Re: わたしとあなた ( No.43 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:48
- 名前: 桜庭
- 番外編 クーラーは最大の敵の2歩手前
―――ブーッ―――ブーッ―― 優しい音のバイブ音が朝の8時に響いた
「……ん」
その音に呼ばれたかのように夢の世界から現実へ呼ばれた少女は朝ながら小さな息をもらした 生きてる幸せの息と、これからの大変さを物語る息 目覚まし音がバイブなのは朝からビックリして倒れないようにと、親切にお医者さんがくれたものだ それ程自分は弱い存在なのかと、がっくりと肩を下ろすが自分なり頑張ればいいよ。と言ってくれたりしたのでメンタル面でのダメージは珍しく少なかった
「カーテン開けないと……」
それが唯一自分が得意としている‘仕事‘だ 朝一の日差しは体の健康にもつながるとテレビでやっていた 朝に強いタイプなのか、よいしょと片手で自分を支えながら対して背丈のないベットからおりる
「まぶしっ……」
7月中旬の暑い太陽の光がマイを直撃 思わず目を閉じ、カーテンを閉める、今日は開けるのをやめよ。と閉めたままにした そして次にすることは着替え、そういえば昨日は近所に人が洋服をくれたっけ。とタンスをあけ、着替える
「ワンピース……」
ロング系のワンピースで胸元が淡い青色で蝶やらレースやらの刺繍がされていてちょっと可愛い。 けど、見られたら恥ずかしいな。と思いながらも女子の行動は凄いもので、あっさり脳内を整理してきることにした
階段を下りて、まず目にはいるのはテーブルに置かれた置手紙 今日も朝は誰もいない、博士は研究だし、そのお母さんもお手伝いをしている 自分に合わせてもらうことは出来るが、そんなことしたくないと思う
「今日の朝ごはんは……はぅ」
置手紙には冷蔵庫の中にあるからチンして食べてね。と書かれていて その通りにし、冷蔵庫の開く独特の音がし、その後にまた冷蔵庫の匂いがする マイはその匂いがなんとも苦手で息を止めながらあける、そして中身を見てため息
「さらだ……」
健康のためだというのは100も承知だ、しかし野菜はいつまでたっても食べられない サラダが主食っていうのは控えたいなあ、と思いつつも食べる ご飯ももちろんあるが、食べるとなぜかすぐにお腹いっぱいになるのが難点だった
「――ふぁ」
長い時間かけて食べた朝食をキッチンまで運びおいておく たったそれだけなのに疲れたのか階段に足をかける。そんな時
―――ぴーんぽーん びくっ身体が一気に上がる感覚をマイは覚えた このまま居留守でもしようかな、とこっそり階段をのぼっていったのだが
「マーイッ!! あっそぼうぜー!!」 (また来たよ、あの人!!) 「いるんだろ? 居留守しても無駄だぜー!!」
どうやら彼にはすべてお見通しだったらしい、マイが嫌そうな顔でドアノブに手をかける 泣きそうな顔でもある・・・・・ まわそうとした時に、向こうから勢いよく開いてきた
「マイ!! 今日はオレん家な!!」 「きゃっ!」
挨拶も無しにマイが通れる分のスペースだけ開けると顔を見せずに手だけ伸ばしてマイの細い手首をつかみ、自分の方に寄せ、走り出した 突然のことに、目が点になる。そして涙目に変わった
「な、泣くことねーだろ!」 「だっ、て……こわかっ、た……!!」 (誘拐犯みてーだろうがよ……まあ誘拐はしてみてぇけどな)
ゴールドの家に来てようやく「おはような!」と言ってくるもんだからテンションについて行けずに泣き出してしまった しかし、それでもマイ、泣きながら「おはようございます」という
「とりあえず、オレの部屋行こうぜ?」 「……は、い」
ぐしぐし、と涙を震える手でふき取ると、ゴールドが満面の笑みでマイを誘う なんてたって今回が初めてマイを家に迎え入れるのだからゴールドもテンションが上がるわけだ
「んな嫌そーな顔するなよ。クーラーついてんぞ?」 「え、えあえあえあえあえあえあ」 「待て待て待て待て、おちつけ」
階段を上がりながらゴールドがそうゆう嫌そうな顔が見えたのに気にしない そればかりが喜ぶかと思ったのかマイの苦手な‘クーラー‘発言をする 突然のことに、キャラが一気に変わるはめだ いったん手につけたドアノブから離し、マイの方を見てこう言った
「クーラーくらい、大丈夫だろ?」 「だ、いじょうぶ……です」
よし、と苦笑いも気にせずにドアをオープン。 ブワッ、風がいっきにマイに降りかかってきたようになった そして―――
「くしゅっ」 「は?」 「あ、えと。クーラーだめで……「なら先に言えよ!」……ご、ごめ……なさい」
最小限に抑えたクシャミがゴールドの耳に届く いきなりの事に驚いているのか、いつもより低めの声で、まるで脅しているような声になる それに比例するかのようにマイの声は段々と小さく、そして弱くなる
「マイちゃーん、ゴールド? 入るわ……マイちゃん!?」 「ちっちが、これはっ」
タイミングが良いのか悪いのか、ゴールドの母さん登場 お菓子でも持ってきたのかドアを開ける、しかしいきなり泣いているマイと何やら機嫌の悪そうなゴールドを交互に見る
「ゴールド、あんた……」 「ちっちがいます! わ、わたしが――」 「可哀想に、なにかやられたのね」
少しおかしな展開になってきた。ゴールドは慌てて母さんを押し出す あらあら、と言いながら、お菓子だけ置いといてもらった
「オレ、お前が調子悪くならないようにつけたんだけどよ……」 「ほえ?」
珍しくゴールドから折れたのでマイはうつむいていた顔を思わず上げる そこにいたのは、高潮をさせ、人差し指で顔を掻いているのが見えた じー、と見つめられ続けている。これは珍しい、形勢逆転といったところだろうか
「あの、具合悪いんですか?」 「ちっちげーよ!!」
ぶんぶん、と顔を左右にふり「ほら、なっ」という ほんとかな、心の中で思っているものの、これ以上怒らせたくないと「よかったです」という
(菓子食うぞ、菓子!!) (は、はいっ)
―おまけ― 「くしゅ」 「ほらよ」 「……へ?」 「う、上着だよ!!」
(なんだゴールドさんって優しいんだ……)
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