蒼海の王子の名は ( No.340 ) |
- 日時: 2011/04/06 21:36
- 名前: 桜庭 ID:JZNEHpnw
- 第190話 蒼海の王子の名は
軽く投げられたマイは、瞬きをする間もなく海に叩きつけられた。 物凄い衝撃を受けて気絶しそうになる中、海は気にせずにマイを地の底に案内する。 そんな中、リュックの中からポケモン図鑑、腕からはポケギアが外れてしまった。
(ちょ……う、そ)
薄れ行く意識の中に見えた、丸くて赤い、真珠のようなものがマイにはうっすらと確認できた。 その真珠が段々とマイに近づいてくるにつれて、黄色に繭のようなものが4つ。真珠から離れて着いているのまで分かった。しかしマイは限界だった。
(くるし――)
必死に図鑑とギアだけを腕に抱える。そして目を閉じて奇跡を待つように丸々。 次に目を開けたときには、ゴールドやソラがいる、そんなことを思いながら。
(――ええっ) 「マッナ!」
ちっぽけなポケモンがマイの身体を泡のようなボールに包み込んでいた。 クリオネを連想させるような姿に、頭には2本の触覚があって光る。暖かい光がマイを安堵させる。
「マーナッ」 (なんて言ってるの?) 「――!!」 (ふえ? だめだ、さっきの衝撃で意識が――)
本能的にこのポケモンは悪いポケモンではないようだ。 安堵させすぎたせいと衝撃からの痛みでマイは眠ってしまった―― あと意識が残っているのは、図鑑とギア。 図鑑が電子的な声で読み上げた。
<マナフィ。かいゆうポケモン。どんなポケモンとも心を通わせることの出来る温厚なポケモンである。しかしその生態はあまり知られていない>
そこまで言って図鑑は閉じた。しかしデータは手に入れた。あとはマイが再び開く時に見るだけだ。 そして、あとひとつ残っている意識がある。ギアだ。
<もしもーしッおーい! マイ! 居留守か? どこにいんだよー! あ、オレってわかるか? ちぇっ……聞こえてないのか? サファリじゃ電波も通じないってか?>
なんというタイミング。ゴールドが電話をかけてきたではないか。しかもなんか気取ってる。 聞こえるわけがないそのギアは、図鑑が閉じた衝撃によって切られ、カメラモードになった。 そして運よく、マナフィを撮ることに成功してしまった。
「まーなっ」
浜辺付近の波打ち際。マナフィはそこまで運んで泡を消すと今度はマイを能力だろうか、持ち上げて浜辺に打ち上げた。 ご丁寧に目の前には「真上はサファリ。階段を上れば入り口付近!」と書かれた看板の近くに置いてやる。
「……」 「ぴかぴー?」 「りゅーっ」 「にゃー」 「ばうー?」 「ごー?」
勝手にボールから出てきたマイの手持ちたちが心配そうに鳴いた。 リューやピーは顔の怪我をしていない部分を触ってみたり、キューは己の身体で冷え切った身体を暖めてやる。
「ん……あれ」 「!!」 「わーみんなあ……ごめんねえありがとー……にがっ」
懸命の介護あってようやく目を覚ましたマイに、みんなの笑顔が蘇った。 それぞれの頭を撫でてやりお礼をいうと、戻ってきた痛覚に顔を歪める。そして、苦いとは?
「ふゅちきっらっらー」 「ぴー?」 <口切っちゃったーですね>
どうやら口内を切ったらしい。あんな高さから投げられて口を切らない方がおかしいが。 エーフィのフィーが訳してくれた。よく分かったな
「んーあひほてもいひゃい」 <んー足と手も痛い> 「ごーりゅどにれんあくひひゃは」 <ゴールドに連絡しなきゃ> 「おほられひゃうおー」 <怒られちゃうよー>
ふたり(というのか)の奇妙な会話に、首をかしげながら聞いてる時、リューが妙な動きをした。
「ひゅーくん!?」 <ちょ、リュー!? あんた何して――> 「りゅー♪」 「あーそーいへばりゅーのだっひはきゃはだにまきゅりょにゃおるっへひいたほほあうー」 <あーそういえばリューの脱皮は身体に巻くと治るって聞いたことあるー>
リューが自ら脱皮して、竜の皮をマイにくれた。 そんな知識をどこで手に入れたのかは分からないがなんとか助かった。 流石に口の中には入れれなかったが。
「にゃーにゃおってう! いひゃくひゃーい!」 <わー治ってる! いたくなーい!>
どれだけ口にダメージを受けたのか。全く聞き取れないし、本人も痛そうにしている。 しかし両手足は治った。そしてマイは思い出す。
(そういえばさっきのポケモン……あ!! 図鑑!)
浜辺に落ちていた図鑑を手に取ると砂をはらって開くと、やはりマナフィのデータがあった。
(マナフィかーありがとうねマナフィ!)
グンっと立ち上がって海に手を振る姿は、もう平気だよ、と言っているようにも見える。 あとはギアを確認するだけなのだが――
(よひ、さふぁいにもふぉろー!) (よし、サファリに戻ろー!)
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