Re: 光と闇の時空神 ( No.8 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:21
- 名前: 天月
- ◇その他キャラクター
+宝来家+
□宝来優李/Yuuri Hourai ユウナの父親で現在宝来家頭首 温和だが人を翻弄するのが好きらしい いつも笑ってる。逆に恐い。同じドラゴン使いでもワタルよりカッコいい 表には出さないが前世の記憶があり、霊感がとても強い。
□宝来(夜風)奈々/Nana Hourai(Yokaze) ユウナの母親。だがユウナの生まれた3日後に亡くなった シルバーの母、奈美の妹でカントー・マサラ出身 優しくてのんびり屋だったらしいがバトルは強かったらしい 優李や奈美曰く「ユウナは彼女の生き写し」だそうだ
+神崎家+
□神崎昌斗/Masato Shinzaki クウトとユウトの父親。現在神崎家頭首 マイペースだが時に鋭い。直感で動く人 命を大切にしているので「殺し」は大嫌い 微かだが前世の記憶があり、ユウトの体質のことも知っている
□神崎由香里/Yukari Shinzaki ナナカマド博士の娘。クウトとユウトの母親 草花が大好きで、よく木の実を育てている 好きなタイプは草と水 奈々とは仲が良かったらしく、地方を越えて葬式まで赴いた
□ナナカマド博士/Dr.Nanakamado 由香里の父親でクウトとユウトの祖父 「ポケモンの進化」について調べている 顔は怖いが本当は子供好き クウトとユウトの事は本当に子供のように可愛がっている 図鑑やサンとナイトを授けたのも彼
+博士/図鑑所有者+
□アオイ博士/Dr.Aoi レイシン地方のポケモン博士。ユウリとは昔からの知り合い。恋愛には興味が無いようだ 「交換や道具で進化するポケモン」が研究テーマ ナナカマド博士はかつての先生で今でも「先生」と言っている 奈美とは親友同士で、研究所には彼女との写真が飾ってある 本名は「柊 葵<ヒイラギ アオイ>」
□シルバー/Silver ユウナの従弟で、図鑑所有者で“換える者” クールでツンデレでシスコンらしい 過去に色々あり、感情変化が少ないが、一途(たまに暴走) 宝来家の事は実はあまり詳しくは知らない 従姉弟ではあるがユウナに恋心を抱いていた
□レッド/Red ユウナの彼氏。というより母に近い存在 図鑑所有者で代名詞は“戦う者”でカントーチャンピオン ユウナを溺愛していて、当の本人は恥ずかしがっているがそれら全てを愛してると断言できている 所有者の中で唯一ユウナの心情を悟れる人物で、理由は昔の自分と境遇が似ていたから、とのこと
□ブルー/Blue シルバーとユウナの姉のような存在。用意周到で少々ズル賢い でも本当は優しい性格なのを皆知っている。だから皆に愛される 代名詞は“化える者” 幅広い情報網の中に宝来家の情報も(何故か)あったので大体の事は知っている
□グリーン/Green ユウナにからかわれる不憫な人。トキワジムリーダー レッドとユウナの事をひそかに応援しているが、バカップルすぎて呆れている でもちょっと羨ましいのが事実 最近ユウナに負けたらしい(バトルで) 代名詞は“育てる者” ユウナは最初から普通のトレーナーではない事を判っていた
□ゴールド/Gold お騒がせだが、周りの空気を明るくする雰囲気の持ち主。なんか憎めない人 ポケモンに対しては非常に真っ直ぐで優しい。というか放っておけない シルバーとはライバルでありダチ公(親友)であり、シルバーも認めている 代名詞は“孵す者”
□イエロー/Yerrow ユウナとは仲がよく、ツンデレな彼女をからかうのが好き 癒し系で天然でバトルはあまり好きではない が、本気を出せば実力は高いと思われる 自分の気をポケモンに同調させて強さをあげるという隠れ能力も持っている(グリーンが教えた) 代名詞は“癒す者”
□クリスタル/Crystal 通称クリス。自他共に認める「捕獲の専門家」 かなり真面目で少々頭がカタイ、学級委員長みたいな人 ユウナの強がりな性格を誤解していて無意識に嫌っている 所有者としての代名詞は“捕らえる者”
+ジムリーダー等+
□レイラ(鈴羅)/Reira ♀ 炎タイプのジムリーダー、別名「火炎の王女」 バッチ名/ブレイブバッチ ユウナ(宝来家)を敬っており、ユウトとクウトはそうでもないらしい 少々高慢な性格 一人称:アタシ 髪の色:黒 瞳の色:朱色
□セナ(瀬名)/Shena ♂ 水タイプのジムリーダー、別名「海の遣い」 バッチ名/オーシャンバッチ レイラとは対照的で、あまり神を信仰していない しかし、ルギア(海の神)に出逢いたい。というのが夢。という矛盾した信条と夢を持っている 海の如く物静かな時と激しい時がある 一人称:僕(俺) 髪の色:青っぽい黒 瞳の色:青
□シズハ(静葉)/Sizuha ♀ 草タイプのジムリーダー、別名「草花の救世主」 バッチ名/リーフバッチ 天然ボケで、ほんわかしている雰囲気だが、バトルになるととても恐ろしいと噂 少し怖がりて可愛い性格。神サマはあまり信仰していない 一人称:私(わたくし) 髪の色:緑褐色 瞳の色:淡い緑
□ヒスイ(翡翠)/Hisui ♂ 霊タイプのジムリーダー、別名「霊使い」 バッチ名/ネクロバッチ ジムリーダーで最年少だが、威厳と怪しげな雰囲気に満ち溢れている 悪の組織とつるんでいる。と噂が絶えない 自分の気配を消せる能力を持っている 一人称:ボク 髪の色:濁った白 瞳の色:翡翠色
□リョウ(陵)/Ryou ♂ 雷タイプのジムリーダー、別名「輝く稲妻」 バッチ名/ブライトバッチ
□アズサ(梓)/Azusa ♀ 悪タイプのジムリーダー、別名「悪の刃」 バッチ名/シャドーバッチ
□ケイタ(慧太)/Keita ♂ 鋼タイプのジムリーダー、別名「燃える鋼」 バッチ名/メタルバッチ
□ハヤネ(早音)/Hayane ♀ 飛行タイプのジムリーダー、別名「宙舞う翼」 バッチ名/フライバッチ
+夢+
運命の傍観者(本名不明) ♂ 「どんな世界に生まれても希望を失わない少年少女」の物語を見続けている謎の人物 「僕」という一人称から男らしいが、それ以外不明 一応「命」という名がある
神崎悠斗/Yuuto Shinzaki ♂ 前世の「神崎悠斗」であり、現世のユウトの微妙に悪霊に傾いている守護霊 度々ユウトの夢に出て意味深な言葉を言い残す 非常なまでの中二病
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Re: 光と闇の時空神 ( No.9 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:27
- 名前: 天月
- プロローグ
また廻った。これで二回目だ また繰り返した。これでやりなおしだ
……どうして、繰り返す必要があるの? どうして、払いたくもない代償を払って繰り返すの? 大切なモノを奪ってまで、見つけたいことがあるの?
………それは、今から判るよ。
時空の双子。そして光闇の巫女……
その3人を中心に廻る、運命のハジマリだ―――
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Re: 光と闇の時空神 ( No.10 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:31
- 名前: 天月
- 1話 旅立ち
「よし!! 準備できたか? “ユウト”」 「あぁ、出来てるよ、“クウト”」
黒い髪、蒼い瞳が印象的な瓜二つの少年がお互いの顔を見て―まるで鏡を見ているようだ―頷き、バックを手に取り、部屋を出て行った
「お、準備完成か、クウトにユウト」 「あぁ、やっと“外の世界”に行けるんだもんな!」 「っていうか、この“シンオウ地方”以外の地方な」
クウトと呼ばれた少年は「楽しみ」という文字が顔にかかれているくらい嬉しそうな顔をしていた 一方ユウトと呼ばれた少年は顔は緩んでいながら、少しだけ呆れて言った クウトとユウトは双子で、一応兄がクウト、弟がユウトだ この家は、シンオウ地方ソノオタウンに建つ屋敷――それが、神崎家で、ユウトとクウトの家であった そして、この二人はシンオウ地方のポケモン博士、「ナナカマド博士」の孫でもあったのだった―――
*
―マサゴタウン・ポケモン研究所
「「じっちゃーん!!」」
と、研究所の玄関ドアを開けて二人は入ってきた その研究所の向こうに、ナナカマド博士はいた すこし怖い貫禄のある顔をしているが、本当は子供好きな優しい博士だ
「おぉ、クウトにユウト。…今日だったな、旅に出るのは」 「そうだよ、俺達やっと、“レイシン地方”に行けるんだ!」
と、博士が二人に差し出したのは二つの機械。それも精密そうだ
「じっちゃん、これは?」
「これはな、“ポケモン図鑑”というものだ。ソノ名のとおり、ポケモンのデータを登録できる機会だ」 「へぇ……、で、これをくれるの?じっちゃん」 「あぁ、旅の祝いだ」 「シンオウの時はくれなかったのに…」 「ま、それはおいておき。私が授けたイーブイは元気か?」
そう訊かれ、二人は頷いてボールからポケモンを出した ユウトのボールからはエーフィ、クウトのボールからはブラッキーが出てきた
「おぉ…エーフィとブラッキーに進化したのか…」 「あぁ、もう一生のパートナーだよな、サン」 『そうですね』
「俺とナイトだって、な!」 『…あぁ』
まさか、この一年間でここまで絆を深めたのか…と、博士は感嘆をあげる 博士はゴホン、と咳払いをして、言う
「さて、シンオウを回った。次は…“レイシン地方”だ」 「レイシン地方…あ、“神が生まれた場所”ですね?」 「あー、あのレイシンかー」 「そうだ、船はミオシティから出る。これがチケットだ」
二人は博士から船のチケットを受け取る そして、二人は玄関へと踵を返した
「「んじゃ、行って来ます!」」
続く
2話 レイシン地方へ
ユウト視点
ミオシティから出る船に乗り、俺達はレイシン地方へ向かう どんな所なんだろうな……… あ、船が着く場所は……ワッカシティって場所か…
「なー…まだつかねーの?」 「もう少しじゃない?」 「おまっ、後何分何秒とかもわかんねーのかよ!」 「そういうのに無闇に“能力”使いたくないし」 「う………。でも、お前は羨ましいよな、“何も傷つかせない”能力でさ」
そういって、兄貴はその場から外れた。 ……何も傷つけないか…
「でも、俺はこの能力、嫌いだよ」
兄貴には聞こえないように、俺はそっと呟いた もっと、人を、救える能力が欲しい―――
*
暫くして、船はレイシン地方…ワッカシティに着いた 依然、兄貴は少しだけ機嫌が悪い。着いたっていうのに、なんなのさ一体
「ほら、行くよ兄貴」 「……ああ」 「何、俺なんかした?」 「別に、ユウトは何もしてない」 「なら機嫌直せよ、俺が困るから」 「はいはい。…で、何処に行けばいいんだっけ?」 「えーっと…もう少し行った所に“カムイシティ”があるハズだから…そこ行こっか」 「あぁ、カムイって確か…」 「うん、“神が生まれ、神が居座っている”場所」
確か、そこに俺達みたいな人も居る筈……どうだったっけな、まぁいいや
続く
3話 水色と銀の月
「んー、やっぱ故郷はいいねー」 「そうか……?」 「うん、でもトキワだっていい場所でしょ」 「…………まぁ、な」
ここは、レイシン地方カムイシティ 「神が生まれ神が居座る」神聖な街だ
「…んで、何処に行くんだっけ?」
茶色の髪、銀と蒼の混じった瞳の可愛らしい少女は隣に居る赤い髪に銀色の瞳が映える少年に訊く 少年は軽くため息をついて、言った
「…アオイ博士の研究所だろ。ついさっきユウリさんに言われたろ………」 「そうそう、アオイ博士!! って、そんなに呆れないでよ…“シルバー”」 「いつもこんな顔だ」
シルバーと呼ばれた少年は、ポケットに手を突っ込みながら呟いた 少女は、一瞬シルバーを睨んで言った
「ツンデレ」 「なっ!?」 「それとシスコン」 「ッ…五月蝿い!! さっさと行くぞ、“ユウナ”!」
シルバーはポケットから手を出し、ユウナと呼ばれた少女の手を握って先にズンズンと歩いて行った その顔は、髪と同じくらい真っ赤で
「…可愛い♪」 「…っるせ……」
***
「ここが、カムイシティ?」 「らしいね、うわ、壁が白い」
ソノ頃、ユウトとクウトはカムイシティに無事着いていた ユウトの言うとおり、家や建物の壁が真っ白だ 白、汚れの無い色。汚れ(悪)の無いこの街の象徴する色なのだろう
さて、着いたは良いものの、次はどうしようかと迷っている時、クウトのポケギアが鳴った
「もしもし…、あ、父さん?」 《あ、もうレイシンのカムイシティまで着いた?》 「あぁ、丁度今な」 《そっか、じゃぁさ、“アオイ博士”の研究所に行ってくれない?》 「アオイ博士って……じっちゃんの元教え子?」 《そ、結構判りやすいらしいから、お願いね》
と、ブツッと電話は切れた。自分達の父親とはいえ、随分とマイペースだな。と思った
「…んで、アオイ博士だっけ…?」 「う、うん………、判りやすいって、まぁ行けば判るか」 「そうだな、んじゃ行くか」
二人は、アオイ博士の研究所に向かって歩き出した
続く
3話 柊葵―ヒイラギアオイ―
「ここ……だよね?」 「………あぁ、ここだな」
だだッ広い草原にポツンと建つ一つの白壁の建物 それがアオイ博士の研究所だ ユウナの父…ユウリが言うには、彼女は“交換”や“道具”を使って進化するポケモンを中心に調べているらしい それで、シルバーとユウナが必要だ。と言われて二人はここまでやって来た
「…ま、“換える者”であるシルバーが必要なのはわかるけど、如何して私も……」 「問題のあるポケモンが居るから…かもな」 「ん〜………まぁ行けば判るか…こんにちはー」
そう言いながら、ユウナは研究所のドアを開けた 流石女性。と言うべきか部屋は綺麗に整頓されていた
「すいませーん、アオイ博士居ますかー?」 「あら、来てくれたのね。ユウナさんにシルバー君」
部屋の奥からやってきたのは、紺色の髪を後ろで縛り、紫の瞳をもつ、綺麗な人だった その雰囲気も大人っぽく、端麗な女性で、二人は少し見惚れていた
「あ、こんにちは!!」 「…こんにちは」
我に返った二人は慌ててお辞儀をし、次に訊いた
「あの、如何して私も?」 「えぇ、実は今日貴方達以外の子も来るのよ。……来たみたいね」
そうアオイ博士が言った時、研究所のドアが開いた そのドアを開けた人物は、ユウトとクウトだった
「あ、えと…こんにちは」 「こんにちは。昌斗さんとナナカマド先生からは話を聞いてるわ、ユウト君に、クウト君でしょう?」 「はい。………あの、あの二人は…?」
ユウトは、ユウナとシルバーを見て、アオイ博士に問うた アオイ博士は丁度良いわ。と言って
「さっき彼女にも教えようと思ってたの ……ユウナさん、彼らは神崎家の新跡取りよ そして、ユウト君クウト君、彼女は宝来家の跡取りよ」
そう言った後、部屋に静寂が走った その間シルバーはユウナに小さい声で聞いていた
「……神崎家、って?」 「んーと、宝来家と同じような家で、時間と空間を司る家なの……詳しくは知らないけど」
同じく、クウトもユウトに訊いていた
「宝来家って……?」 「俺達と同じような家で、確か光闇を司る家だった……はず」
未だ続く静寂に、耐え切れなくなったのかユウナは
「っていうか、如何してソノ神崎の跡取りがここに?」 「それはッ…強くなるためだよ!」 「確か神崎はシンオウ地方でしょ!? ならシンオウで…」 「シンオウはもう回ったんだよ!」 「ふーん、じゃぁ強いんだ!?」 「あぁ、人並みにな!!」
エスカレートしていくユウナとユウトの言い合いはついにこんな事を言ってしまった
「じゃぁ、勝負しよう!!」 「あぁ、いいぜ!」
と。シルバーは心の中で、終わったな。と呟いた クウトも呆れたように弟を見ていた が、そんな二人も犠牲となる
「タッグバトルでね!!」 「「はぁ!?」」
続く
5話 タッグバトル
「な、何言ってんだよ! ユウナ!!」 「いいじゃない、最近バトルしてないんだし。ね?」
そう言われ、シルバーは渋々承諾した それに、「バトルをしたい」と前に言ったのは他ならぬ自分なのだから
「で? えっと……」 「俺はユウト。で、こっちは双子の兄のクウト」 ((……逆かと思った))
「そっか、私はユウナ。んで従弟のシルバー」 ((背ェちっさ……))
お互いはお互いが血の繋がった様には見えない。とでも言うように見つめていた
「ま、お互い自己紹介も済んだし。やるでしょ? バトル」 「あぁ、いいだろ? 兄貴」 「まぁ、お前がやりたい言うんなら別に構わないけど」
そう言ったのでバトルは既に決まった。という事でアオイ博士審判で、5人は外の草原に向かった
「ただの実力調べだし、両者一匹でいいよね?」 「あぁ、あと、自分の手持ちでもっとも強いポケモンで勝負ってのは?」 「いいねそれ、ますますやる気が出てきたよ!! …じゃぁ、アオイ博士、よろしくお願いします」 「判ったわ。それではユウナ&シルバーvsユウト&クウトのタッグバトルを始めます 使用ポケモンは一匹、レディー…ゴー!」
その言葉を引き金に、4人はいっせいにポケモンを出した
「行っておいで、ルナ!!」 「オーダイル!!」
ユウナはルナ…ブラッキーを。シルバーはオーダイルを出した
「行けっ、サン!!」 「行って来い、ナイト!!!」
ユウトはサンを。クウトはナイトを出した ユウトは一瞬だけオーダイルを見て呟き、サンはそれに反応して頷いた 「オーダイル…サンならいけるよな?」 「フィッ」
「先手必勝だよ、ルナ!“電光石火”!!」 「ブラァッ!!」
ユウナは素早く指示をし、ルナはサンに向かって“電光石火”をした が、
「そうはさせねーよ、ナイトお前も“電光石火”でブラッキーの動きを止めろ!!」 「ブラッ」
ナイトはサンを守る様に、ルナの前に立ちふさがった 2匹は衝突し、一度主人の前に戻った
「やるな…。オーダイル、エーフィに向かって“水鉄砲”だ! …………は?」
シルバーはオーダイルに指示したが、オーダイルは“何故か”ダメージを負っていた
「ナイスだよ。サン、オーダイルにはやっぱり“草結び”で対抗しないとね」 「“草結び”…そうか、水タイプで重さのあるオーダイルには最適…というわけか」
ユウトのサンは、ルナとナイトが衝突している隙を狙ってオーダイルの足元に“草結び”をしていたというわけだった 予想外れの双子の強さに冷や汗を浮かべる二人。だがソノ顔は余裕の顔にも見えた
「…結構強いね。二人とも」 「あぁ。………だが、“勝てない相手”ではないだろう?」 「当たり前じゃない。寧ろ“勝てる相手”なんだからさ」
ユウナがそう言い、シルバーは薄く微笑んで頷いた
「ルナ、もう一度“電光石火”!!!」 「だから、無駄だって!!!」
ルナが突っ込むと同時にナイトも突っ込む その瞬間、ユウナは
「ルナ、ぶつかったっていい!“シャドーボール”!!!」 「ブラァッ!!!!!」 「なっ…!?」
先ほどと同じようにルナとナイトはぶつかった。がルナはぶつかる瞬間、口から黒い球体を出し、サンの方へ放つ
「!? サン、避けろ!!」 「無駄だ。オーダイル“切り裂く”!!!」
横に気を取られていたサンは切り裂くを受け、直後にシャドーボールを受けた シャドーボールは効果抜群で、切り裂くの攻撃力も強いためサンは戦闘不能なり、その場に倒れた
「サン……。お前はよく頑張ったよ。お疲れ様」 そう言い、ユウトはサンを抱き上げた 「頼んだよ。兄貴、…っても、不安だけど」
(…ルナの体力はまだある。オーダイルのほうはギリギリ。ってところか…… 俺のナイトもルナと同じくらい…、なら)
「オーダイル、ブラッキーに“冷凍パンチ”!!!」
サンの近くに居たオーダイルは、すぐにナイトのそばへ行き、冷気を帯びた拳をぶつけた
「………。“しっぺ返し”」 「ブラッ!」
ナイトは冷凍パンチを耐え、オーダイルにしっぺ返しをした 攻撃された後なら攻撃力の上がるこの技。体力(HP)の少ないオーダイルは戦闘不能になった
「くっ……。よくやったな。オーダイル 頼んだぞ。ユウナ」 「えぇ、任せて」
シルバーはオーダイルをボールに戻し、ユウナに託した
これで両者残り一体ずつ。それに同じポケモンだ
続く
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Re: 光と闇の時空神 ( No.11 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:42
- 名前: 天月
- 6話 勝負の行方
(電光石火で決めてもいい。でも向こうはしっぺ返しがある…どうするか……な)
「…ナイト“影分身”!!!!」
ナイトは指示に瞬時に反応して影分身をして自分自身と分身でルナの周りを囲った 普通なら本物を探すために慌てるはずだが、ルナにその様子は見られない それに不審に感じるクウト
「…ルナ“騙し討ち”」
ユウナがそう言い、ルナは本物のナイトに攻撃をし、分身は全て消えた
「なるほどね……あの余裕は騙し討ちがあったからこそ、か……」
騙し討ちは必ず命中する技。たとえ影分身を使っていても、だ
「…お互い、“墓穴を掘る技”を覚えてるわけかよ……」 「そーみたいだね、まぁ…」
「「負けないけど(な/ね)」」
両者一歩も引かず。と言った所か ブラッキーは元々特防と防御が高く、素早さが低い だから電光石火の温存、しっぺ返しを覚える というように組み立てられるのだ この勝負はソノ自分が組み立てた攻撃をぶつけ合う。という意味になる
「……ルナ、小細工なしに勝負つけよっか」 「ナイト、次は作戦とかなしに、全力でぶつけるぞ」
主人の言葉に、ルナとナイトは頷く そして、二人は同時に
「「ルナ/ナイト、“悪の波動”!!!!」」
同時の指示、そして同時に2匹から邪悪な衝撃波が発し、ぶつかりあって、その反動で煙が生じた
煙が晴れた頃、勝敗が見えた 2匹はギリギリの状態でまだ立っていた が、力尽きたように倒れたのは――――
「ル……ナ………。如何して……」
ユウナは膝を突いて弱々しく呟いた ルナを両手に抱えて
「“月の光”だよ。俺のナイトはあの煙の中で“月の光”をして少しだけ回復した。ギリギリだったのは変わりないんだけどさ」 「“月の光”……そっか。それで…… 強いね二人とも。久しぶりに負けてもすっきりしたよ!!! ね? シルバー」
立ち上がり、本当に吹っ切れたような顔を見せたユウナに、一瞬シルバーは見とれていたが、すぐ我に返った
「あ、あぁ……。そう、だな」 「私もまだまだだなー…これじゃ、到底“アノ人”になんて……」 「………。」
そして、ユウナは二人の傍により
「ね、“友達”にならない?」 「友、達………?」 「そ。思い切りぶつかりあった者同士、ね!!」 「………うん。よろしく、な。ユウナ」 「うん!!」
そう言って、多分今日最高の笑顔を見せたユウナに二人は顔を赤くした そしてその訳を知るのはこの時点ではシルバーのみとなる
「ふふ、流石ね。“図鑑所有者”同士のバトルは」 「……図鑑、所有者って……」 「図鑑所有者?」 「………マジかよ」 「な、なんだ。それ……?」
続く
7話 図鑑所有者
「で、図鑑所有者。って何? ユウナ」
ちなみに、in研究所。ユウトは先ほどの“図鑑所有者”のことについてユウナに訊いていた
「えっと、ポケモン図鑑事態は知ってるでしょ?」 「うん。これだよね?」 「そ。それはね博士から認められた“特別”なトレーナーしか貰えないの で、私達のことを皆は“図鑑所有者”って呼んでるのよ」 「「へー………」」
ユウナの判りやすい説明に、ユウトとクウトは感嘆の声を上げた それを横目で睨みながらシルバーは紅茶(甘い方)を飲んでいた
「…あ、アオイ博士。そういえば俺に用があるって………」 「あぁ! すっかり忘れてたわ。シルバー君、貴方の“換える者”としての才能を見込んでちょっと手伝って欲しいのよね。こっち来てくれる?」
そう言われ、シルバーは研究所の奥へと向かった
「……“換える者”って?」 「んと、所有者の代名詞の事。私達は何かしらの能力に長けていて “戦う者(ポケモンバトル)”、“育てる者(ポケモン育成)”、“化える者(ポケモン進化)”、癒す者(ポケモン回復)”、“孵す者(ポケモン孵化)”、“換える者(ポケモン交換)”、“捕らえる者(ポケモン捕獲)”、“魅せる者(ポケモン美しさ)”、“挑む者(ポケモン挑戦)”、鎮める者(ポケモン癒し)” で、私は“繋ぐ者(ポケモン対話)”だよ」 「随分多いな……11人もいるのか?」 「そうね、でも今は13人。貴方達もいれて、ね」 「……それじゃ、俺達もあるよな、そういう能力。な? ユウト」
そうクウトに訊かれ、一瞬目を伏せてから「そうだな」と淋しそうに笑って言った
「……。ん、じゃ!! 俺達はもうそろそろ行くか」 「え、あ、あぁ……」
重い空気を無くそうと、クウトは椅子から立ち ユウトに言った
「もう行くの?」 「あぁ。膳は急げってな」 「膳じゃないだろ。…それじゃ、またなユウナ」 「うん。またね!!!」
***
「……ごめんな」 「別に」 「怒ってる……よな」 「別に。怒ってない」 「………ごめん、な。お前が……“神継ぐ子”として生まれて来た事を後悔してるの、俺が一番判ってたのに………」 「仕方ないよ。“運命”だもの」
―でも、きっと、幸せになれる……そう思う―
続く
8話 月の夜
その日の夜。ユウナの家―宝来邸―へと二人―ユウナとシルバー―は帰路についていた
「7月でもやっぱり夜は寒いねー……」 「だな。……そういや、ユウナは……やるのか?」 「え? あぁ……“ジム制覇”? それとも、“チャンピオン制覇”?」 「……可能なのは、ジム制覇、だろうな」 「ねー。あの人は勝負事になると鬼畜になるから……」
あははー。と苦笑いをしてユウナは言う まぁな。と半ば呆れるようにシルバーも相槌をうった
「でも、やってみようかな」 「……そうか。なら俺も着いて行く」 「ふぇ? どして?」 「俺は一応、お前の……い、とこだし……」
そこで照れるか。とツッコミたくなるが、あえてしないでおこう ユウナは一瞬きょとん、としてから笑って
「ありがとう。シルバー」 「………………フン」
*
「そういえば、シンオウにもあるように、こっちだってジムあるよな?」 「あー…あるかもね、……やるの?」 「あったりまえだろ。ユウトもやるよな?」
子供のように(15歳)目を輝かせて、こちらを見る兄に ユウトは内心「ガキ」と思ったが、あえて言わないで置いた
「……ま、やろうかな」 「よっしゃ!!!! “また”頑張ろうな!!」 「…………あぁ、“二人で一緒に”な」
おう!と元気よく返事をするクウト ユウトは少しだけ微笑んだ後、あ。と声を出した
「……泊まる場所、どうしよう」
数十秒後、クウトが夜にも関わらず叫んだのはいうまでもなかった
続く
9話 新人?
場所は変わって、ここはカントー地方のマサラタウン そして、その郊外にある一つの一軒家でちょこっとした物語が始る
明らかに不満そうな顔をしている赤い瞳の少年 そして明らかに呆れた顔をしている青い瞳の少女が居た
「俺、嫌われてるのか?」 「さぁ? アノ子に限ってそれは無いと思うけど?」 「いや、でもさ、最近連絡すら……」 「忙しいのよ」 「それに、何故シルバーなんだよ」 「従姉弟だから」
もういい加減にして。と言う様にソファに寝転がる友人を見下す少女 少年は先ほどからブツブツと小言を言っていた
「なら、電話すれば? “レッド”」 「……もうちょっと待ってみる」
レッドと呼ばれた少年は、希望を捨ててないのか自分からは電話しなかった 少女…“ブルー”は、まったく…。と呟いて長い栗色の髪をかきあげた
ちょうど、その時レッドのポケギアが鳴り 飛び起きるようにレッドは、通話ボタンを押した
《あ、久しぶり! レッド!》 「あぁ、久しぶりだな。ユウナ!!」
電話の相手は、レイシンに居るユウナからだった 実はこの二人、世に言う恋人同士の関係にある ……とは言うものの、現在遠距離恋愛中なのだが
《あのね、実は今日。新しい図鑑所有者にあったの!!》 「……新しい、図鑑所有者? まじで?」 《うん、双子の男の子だったよ!》
と言った時、ピシリ、とレッドは固まった ソノ後、尋問するように
「な、なにもされてないよな!?」 《な、なんかって。何が…?》 「……ならいい」 《?》
電話の向こうでハテナマークを浮かべているであろうユウナだったが、すぐに話題を戻した ブルーは「バカね」と心の中でため息をついた
《あ、でね。ソノ二人。神崎家の人だったの!》 「……神崎って、あの時空を司る?」 《そ!! シルバーとダブルバトルやったんだけど、負けちゃってさ〜》 「ユウナが!?」 「シルバーも。って言ってるでしょうに」
どんだけシルバーの存在無視してんの。と言いたげな顔をしてブルーはレッドを睨んだ
「あ、どんな名前なんだ?」 《えっと、お兄さんの方がクウトで、弟の方がユウトって言うんだよ》 「(……ユウナと名前似てるな)へぇ、いい名前だな」 《ねー。あ、あとね私レイシンのジムとか制覇するまで帰らないから!! じゃあね!》
と言ったあと、ユウナからの通話は途切れた
「……あ、はは、ははは………。俺もレイシンに行けばよかった……」 「自業自得よ」
続く
10話 最初の行く先
―翌日
泊まる場所もなかったため、二人はその辺で野宿をしていた ちなみに、二人はシンオウを旅している時はホテル(スウィートルーム)に泊まって居たんだとか 初めての野宿で二人は少し寝不足であった
「……次の町って、何処?」 「えーっと……ここはカムイシティだから次は…… “炎を祀りし街、イレスシティ”だって」 「炎を祀る…? なんか神サマでもいんのか?」 「…いや、ただ単に。炎が称えられてるだけだろ」
家のせいだからしょうがない。と思いつつも この「祀る=神サマ」という方程式はどうかと思っているユウトだった
「―――――あ。この街、炎タイプ使うジムリーダーいるっぽい」 「まじで!? よっしゃ、早く行こうぜ!!!」
クウトはユウトの腕を引っ張って ユウトはやや引き摺られながら歩いていった
***
「よーし、最初に挑戦するはイレスシティジムリーダー、レイラに挑戦するわよー!!!」 (朝っぱらから元気なことで………)
低血圧なシルバーは、期限の悪そうな顔でユウナを見ていた ユウナは疲れ知らずのようでウキウキしながら出発の準備をしていた
「……あれ、ユウナ。カーディガン…ちょっと違う?」 「あ、よく気づいたねー。この前お父さんが『もう暑くなるから』って買ってくれたんだよー」 「ふーん…(男の大人が女の服を……ねぇ…)」
まぁ、“母親が居ない”のだからしょうがない。とシルバーは割り切った そのカーディガンは、昨日までのと色は同じだが 長袖では無く、半袖になっていて、袖口に小さなレースが施されてあった そして、明るい茶色を基調にした肩下げバックを持ち、濃い水色に白いリボンのついたマリン帽を取り、階段を下りて行った
「あ。似合ってるねー」 「ありがと、お父さん!!」 「……シルバー君、暑くないかい?」 「いえ。平気です(多分)」
ユウナの父…ユウリはシルバーの黒いフリース姿をみて少し心配そうな顔をして言った
「……それじゃ、行ってきます!」 「行ってきます……」
ユウナとシルバーは玄関で靴(ユウナはブーツ)を履き、旅へ出ようとしていた
「うん、頑張ってね。……挑戦してくるの、楽しみにしてるよ」 「うん! 負かさせてやるからね!!!」
そう言い、ユウナとシルバーは家を出て行った
「……ふふ、僕も娘だからと言って容赦はしないけどね」
家に一人残ったユウリは楽しそうな笑みを浮かべ、呟いた
続く
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Re: 光と闇の時空神 ( No.12 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:47
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=8pgH6-zo4Ts
- オープニング 「God Bless」
歌詞のほぼ全て(99.0%)が3人にマッチしていると思うのです、にp(ry 「風を知りたい おねがいカミサマ」の歌詞がなんか、あってるので(
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Re: 光と闇の時空神 ( No.13 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:49
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=zyXbNMHHJDo
- エンディング 「ONE」
誰が誰にとっての「一つ(ONE)」なのかはその人にしか判らないよ。
全体的にあっていると、私は思います。タイトルもね(((( 一番がお兄様で、二番が弟様だと思う( サビがユウナつあんn(ry
時にとっての「ONE」はたった一人の「兄」 空にとっての「ONE」はたった一人の「弟」 光にとっての「ONE」はたった一つの「愛」
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Re: 光と闇の時空神 ( No.14 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:57
- 名前: 天月
- 11話 火を祀りし街
「「あ」」
二人(正確には4人)がイレスシティに着いたのはほぼ同時だった
「………え、何でここに」 「私がジム制覇しちゃダメなわけ?」 「……………あぁ。なるほどね」 「納得かい!!!」
数十秒して納得したユウトに、クウトは素早くつっこんだ 「何だこいつ等……」とシルバーは内心思っていた
「まさか、二人も?」 「ん? あぁ。一応な」 「………二人一斉に、か?」 「んなわけねぇだろ。俺らはタッグ専用じゃねぇんだから」 「そうか…」
4人はそんな会話をしながら、イレスシティにいつの間にか入っていた 傍から見れば、普通の仲良しの4人組だ 誰も“ライバル同士”とは思っていないだろう そして双子に限っては 誰も“神継ぐ子”とは思ってないだろう
と、その時だった
「ちょっと、“ファイア”!!! 待って!!!」
前方から声がした後、シルバーは何かのポケモンに見事タックルを食らわされ、シルバーは二歩ほど後ずさったが転びはしなかった そのポケモンはブースター。イーブイの進化系の一つでもあるポケモン
「あ、大丈夫ですか!? すいません。アタシのファイアが………」 「……いや。平気だ……」
シルバーは無表情でファイアと呼ばれたブースターを主人に渡す
「………あれ? 貴方まさか、ユウナ様?」 「様って……。そうですけど………?」
“ユウナ様”と呼ばれたユウナは疲れたように言った 様って……。とユウトとクウトは小声で話していたが、シンオウは自分達を特に「様」付けしていなかったな…とも言っていた
「え、あ、どうされたんです」 「あのさ、敬語はいいから」
―か。言い切る前にユウナは敬語を拒否した 少女は、「でも……」と戸惑っていたがユウナの少しだけ怒っているような顔に「判りました」と言った後
「それで、どうしたのですか?」 「ハァ………。別に、私達はただジム制覇の旅をし始めただけよ。ねぇ?」 「あぁ…。俺はただの付き添いだがな」
ふいに話を振られたのに関わらずシルバーは何時もの調子で頷いた
「ジム…制覇ですか………」 「そ。この地方でユウナ…っつか宝来家が崇まられてんのか知らねーけど。俺達とユウナはただのトレーナーだぜ?」
クウトは会話に乱入するように言うと、少女はキッと朱色の瞳を釣り上がらせて、言った
「貴方達ねぇ!!! ユウナ様…宝来様がどれほどこの世界の平和を保っているか知らないの!? それに、馬鹿っぽい顔してユウナ様を呼び捨てにしないでよ!!! あんた達はただのトレーナーかもしれないけどユウナ様は由緒あるトレーナーなのよ!? あんた達なんかと一緒にされたら」
「うっせぇんだよ。そうやって自分の地方の令嬢だけ褒めて崇めても、“俺達”神サマは何もしてやんねーよ」
時間が止まったような感覚。その間クウトは「またか」という顔でため息をついていた そう言ったのは、ユウトであった 素人目で見てもユウトはあまり怒らないタイプだろう 第一ユウナとシルバーはそう思っていた そんなユウトが何かを引き金にキレている
「な……俺達って何よ!!」 「俺の兄貴、本気になれば人だって“素手”で殺せるし、俺だって視ようと思えばお前の死ぬ未来も視れちゃうんだよ?」
な………。と少女は後ずさる。目の前の少年は あまりに場違いであまりに恐ろしい瞳を向けていたのだから
「“世界”ってね、時間と空間とで成り立ってるんだよ。知ってた? あぁ、知ってるわけ無いか。さぞかしこの世界は“アルセウス”だけが創った。くらいにしか考えてないんでしょ? それがさ、違うんだよ。本当はね…… “アルセウスとパルキアとディアルガ、ギラティナが世界を創ったんだよ” その時空の能力を受け継いだのが、俺達神崎家。知ってた? だからさ……」
――――そういう侮辱するようなこと、言わないで――――
この未来も過去も視得てしまう能力は嫌い “ともだち”が居ないのだって俺がお坊ちゃまだから でも………俺は俺を生んでくれた母さんや父さん それに、兄貴もディアルガもパルキアも…シェイミも 皆好きだから。 だから、そう卑下されるのは許せない
「………ねぇジムリーダーさん」 「な、なに………?」 「今日、貴方に挑戦を申し込みたいんだけど。良いかな?」
いつ、一体いつこの朱色の瞳の少女がジムリーダーだと判ったのだろうか ただの勘だったのかもしれないがそれは当たっていた
「…………いいわ。貴方が勝ったらさっきの言葉は訂正する。でもアタシが勝ったら…訂正しないから」 「うん。いいよ。………負ける気しないから」
ソノ後、4人は少女…レイラにジムへと案内された
続く
12話 双子の意思
確かに俺はこの能力は嫌いだ 未来も過去も視える能力なんて誰も望んでいない
……それでも、「感謝」はしているんだ―――
「………それじゃぁ、始めましょう?」 「あぁ。――――サン、お願い」
試合はまだ始っていないのに、ユウトはボールからサンを出した サンは一度「フィッ」と鳴くと、戦闘態勢をとる
「これより、ジムリーダー・レイラ対チャレンジャー・ユウトの試合を始めます! 使用ポケモンは3対。どちらか全てが戦闘不能になった場合、試合を終了します ……はじめ!!」
審判の声と同時にレイラはポケモンを出す
「行きなさい、エンカ!!」
レイラは「エンカ(焔華)」と呼ばれたキュウコンを出した
――――
ソノ頃、3人は観戦席で試合を見ていた
「……あの、さ。クウト」 「んー?」 「ユウト、何であんなに怒ったの?」
ただし話の内容は試合ではなかったが ユウナの問いにクウトは一度考え込んで答えがわかったように言い出した
「ユウトはさ、なんつーか……“差別”されるのが嫌いなんだよ だから、ユウナは俺達と同等の立場…のはずなのに、さっきああ言われた事に腹立ったんだと思うぜ」
ま、本当の答えは本人にしかわからないけど とクウトは付け足して言った その話を横で聞いていたシルバーは
「双子なのにお互いの意思が判らないんだな」
と言った 図星をつかれたのか、クウトは髪を掻きながら言う
「アイツ、普段から自分の意思を隠すような奴だから、俺にもよくわかんねーんだよな」 「……双子なのに? 双子ってテレパ(テレパシー)とかつかえ―――――」 「夢の見すぎ…、まぁ俺とユウトにとってテレパシーは“出来てもおかしくない”ことなんだろうけど」
その意味は要するに「俺たちは他の人間には出来ないことができる」という意味であった つまり、「俺たちは普通の人間」ではない。という事になる
「でも、ユウトは心を閉ざしているようには見えないけど……」 「そうだけど……。でもアイツ、人に悩みを言えるような奴じゃないから、多分その影響なんだろうなぁ………」
はぁ、とやや自棄気味にクウトはため息をつき、ユウトのほうを見ていた ユウナは腑に落ちない様子だったがこれ以上人の詮索をしない方がいい。と思ったのか、これ以上は追求しなかった
気づけば、ユウトはレイラの手持ちを残り一匹まで追い詰めていた それも、サン一匹で
――――
「…残り一匹。でしょ?」 「………強いんだね、キミ。さっきのバカと顔そっくりだけど、もしかしてお兄さん?」 「いや、逆。それに兄貴はバカだけどそこまでバカじゃないなら」
え、弟? とでも言いたげなレイラに少々(いやかなり)呆れたようにユウトは言葉を投げ出した
「……まぁでも、これで終わらせてあげるわ ファイア!!!」
レイラはボールから先ほどのブースターを出す ♂のようで、ファイアはやる気満々のようだった
「アタシは負けないからね!」 「俺も、負ける気にはならないし、負ける気しない」
続く
13話 父親雑談
ピンポーン、と家(というか豪邸)のインターフォンがなる 入ってきたのは、蒼い瞳、黒い髪の男性であった
「久しぶり。優李」 「久しぶりだねぇ、昌斗」
迎えたのは家主であるユウナの父親、優李だった 二人は知り合い…というか親友同士の仲らしくよく逢っているようだった 客室に連れて行き、二人は早速雑談を開始した
「そういえば、あの双子ちゃんがココにやって来たんだってね」 「双子ちゃんて……。そういう君も、娘さんがやっと戻ってきたらしいじゃないか」 「あぁ。可愛い従弟を引っ張ってね」 「あー……。アノ子か…。そういえばユウナちゃんはその従弟を探しに旅に出たんだってね」 「あぁ。拉致られた。って知った時ユウナ『絶対にシルバーを助けに行く!』って言ってたよ」 「ハハ、そして見事に見つけた。ってわけか」
そう言い、昌斗は紅茶を口に含む。砂糖を微塵も入れてない甘くない紅茶だったが 対して、優李の紅茶は甘い紅茶であった
「……世界も随分とまた極端に変わったよね」 「あぁ。俺もこうして“生きて”二人の成長を見届けられる」 「僕も、アノ子が傷つかなくて本当、良かったよ」 「………ただ、アイツは、ユウトは未だに苦労してる様だけど」
何でだろうな。と言って軽くため息をつく まぁねー。とのんびりと優李は腕を組んで考える
「ま。ユウト君はそういう子なんだよ」 「そうかもしれないけど、何もユウトじゃなくっても……」 「そりゃ、ね。どうして息子が“違う世界”になったのに“苦労体質”は継続されちゃってるからね 挙句の果てには、“自分の能力”も嫌ってるし」 「時視がまだ制御できなかった時、周りの人の死ぬまでの未来とか、そういうのが視える。って怖がってたから、それがトラウマなんだと思う」
はぁ。と次は盛大にため息をつく 「苦労体質なのは、案外お前だったり」と優李は心のうちで思っていた
「まぁでも、ユウナに逢えたんだから、“光のチカラ”でユウト君も少しは救われると思うよ? 前もそうだったわけだし」 「前は…ユウトがユウナちゃんを救ったんだろ?」 「うん。でもソノ後二人はお互いを救いあって生きてきたんだって」
そこで、間が空き
「――――幸せ。に出逢うのが今回は遅かっただけ、じゃないかな?」
と優李は言う。その言葉に昌斗は笑って
「そうだな」
と言った
「うん。さて、僕も特訓開始しないと。いつ僕の前に現れるか判らないし …手伝ってくれる? 元シンオウ四天王君?」 「はいはい。いいですよ。11歳でチャンピオンになって一度も破られていないチャンピオン」
そういって、二人は客室を出て、特訓場へと向かう
「龍牙(リュウガ)、お願い」 優李はカイリューのリュウガを
「いけ、爽剣(ソウキ)」 昌斗はエルレイドのソウキを出した
「あれ、ハクはお休み? ……それとも、手を抜いてるの? 龍王が?」 「そういう君も、アサヒ(エーフィ)じゃないじゃないか。エスパーを極めた者なのに」 「……ふん、どうせ……
「これから本気を出す。」に決まってるんだろ?」
二人はまるで子供のような笑みを浮かべ
「勝てるの? 僕に」 (勝てるのー? ユウトが私に)
「勝ってやるよ。ついでにその鼻っぱし折る」 (勝ってやる。って言ってるだろーが)
それは、まるで。本当の子供のようだった
「僕が勝っても文句なしだよ?」 (どっちが勝っても、文句言わないでよ?)
「当たり前」 (んな事、判ってるっつの)
それは、かつての“二人”を見ているようだった
「んじゃ、「始めますか」」 (それじゃ、(始めるか!!!!))
それは、まるで。前の“二人”と同じであった。
続く
14話 時間の思い
ドサッ、とファイアの身体が地面に倒れる
「あ…………」
それを信じられないかのように、レイラは地面に視座を着く そこに、ユウトはゆっくりと近づく レイラは顔を上げると、ほぼ無表情のユウトが自分を見下していた
その顔は、哀しんでいるようにも見える無表情だった レイラはその顔がとてつもなく恐ろしく思い、怯えた色を瞳に宿していた
「…………ごめん、」
―恐がらせて。 と言ってユウトはスッと手を伸ばす
「え………?」 「今、恐がってたでしょ? だからごめん」 「……………怒ってないの?」
そう訊かれ、ユウトはふるふると首を横に振って
「怒ってないよ。…ただ俺は、ユウナが嫌そうな顔してたから あと、兄貴をバカにされたから、だよ」 「………。」
それを「怒る」というのでは。とレイラは思ったが 目の前で手を差し伸べている少年の顔は、酷く悲しそうな顔をしていたので何もいえなかった レイラはフッと笑い、ユウトの手をとって立ち上がった
「……ごめんなさい。訂正するわ さっきはあんな事言って。貴方達だって神家のひとつだものね …………ごめんなさい」 「いいって、気にしてないよ」 「…ありがとう、あ。あとこれ、“ブレイブバッチ”よ」
レイラは、銅(あか)色の炎を模したバッチを授けた ユウトはそのバッチをとり、ありがと。と言った
*
―ポケモンセンター
「なぁ、ユウト」 「んー…?」 「お前さ、最後レイラとなんの話してたんだ?」 「んー……………忘れた」 「おいこら」
嘘だろ。とツッコミを入れるクウトを無視して、ユウトは規則的な寝息を立てた
「ちょ、寝るの早いだろ……… ……ま、疲れたんだな。お前、怒ると大抵疲れる体質だし …………お疲れさん」
クウトはユウトの髪を一撫でして自分も眠りに着いた
「………悪かったな、怒ると疲れる体質で」
とユウトが呟いたのは誰も知らなかった
続く
15話 狂夢想
狂って狂って狂って狂いきれ。それが『俺』に出来なくて“俺”に託されたこと
― 生きたいのなら、狂え ―
「ッ!?」
思わずベッドから上半身を起き上がらせた 首やら額には気味悪い冷や汗、だが手はカサカサに乾いていた
「……俺に、出来なくて…俺に託された…こと………?」
まて、日本語おかしい。『俺』は一人……一人? まてまてまてまてまてまて。 俺は、一人、ひとり、独り………? 違う、俺は独りなんかじゃない。違う 俺は昔とは違う。絶対独りなんかじゃない―――
*
「……寝不足か?」 「らしい…………」
盛大な欠伸、あの変な夢のせいでアノ後よく寝れなかった 兄貴は心配して俺の顔をさっきから見ている こういう部分は、兄というか何というか………
「あ、居た!!!」
ポケモンセンターから出ると、昨日みた赤毛が居た 名前は確か……
「シルバー……?」 「そうだ、というかこの前名乗ったはずだが」 「つか。如何したんだよ。ユウナは?」 「…………朝早く、ジムに行ったきり、帰ってこない」
え、今は……あ。13時か……わーお俺たちお寝坊さん♪ ってことは、シルバーも……
「寝坊して、行かなかった?」 「ッ……!! 五月蝿い、とりあえず一緒に探せ」 「何で俺たちが………」 「とある人に殺される。と言ったら?(半分冗談、半分本気)」 「「やります」」
とある人って……気になるけど、シルバーの顔みたら何か冗談に聞こえなかった それに、なんか胸騒ぎする……し
「え? ユウナ様…ならアタシと勝負した後、出て行ったわよ?」 「そっか……ドコに行くかは言ってないのか?」 「えぇ」
なんか、シルバーの周りに「ヤバイ」オーラが出てる気がするのは気のせいだろうか それに、滅茶苦茶焦ってる
「………………あ!!!!!」 「!? ど、どうした……?」 「いや、俺バカだわ。すぐ見つかる方法あったよ」 「まじか!? そ、それってなんだ…?」
シルバーに問い詰められて、兄貴は後ずさりながら、俺を指差す ……俺?
「ゆ、ユウトの時視でこの街の未来を視れば…いいんじゃないか?」 「あー、なるほどね。でも出来るか判んないから期待するなよ」
一応釘をさしておいた後、俺は未来に集中させて時を視た
―白い……白衣の男が……3人。の後ろに黒い奴一人…… 囲まれてるのは……………ユウナ 場所は、外れの森……か
「……視えた。ユウナは、この街の外れの森にいる」 「よし今すぐ行くぞ、ヤミカラス!」 「フライ」 「ホーク!」
俺はフライゴンのフライ、兄貴はムクホークのホークをだして、俺の視た森へ向かっていった
続く
16話 絶望の表情(カオ)
ユウナが白衣の男と黒服に囲まれたのはついさっきであった レイラとのバトルを終え、ジムを後にした後散歩手柄に森に行ったのが間違いだった 自分の“何”を狙ってか、研究員のような男3人。そしてそれを従えているような黒服、彼女にしては忌まわしく、同時に哀しい存在に似ている服であった
「…………。」 「どうした? 反抗しないのか? まぁ大人しい方がこちらといては好都合だけどな」
と、白衣の男の一人が悪者特有の笑みを浮かべてそう言った、吐き気のするような笑みで ユウナは3人を睨みつけることもせず、ただただ追い詰められていた その表情は無表情に見えて全てに絶望したような顔だった もちろん、ボールに収まっている自分の家族達からは“声”が聞こえてくる。だが回復もしていないのにバトルに出すなんて非常識で非情すぎる それに、何故だがきっと助けが来ると思っていたから、ユウナはボールに手を掛けなかった
「ま、いいだろう。……コイル、“でんじ… 「ニューラ、“凍える風”!!!!」な!?」
コイルに指示をしようとした途中、声変わりをしはじめた少年の指示でコイルは「こおり」状態になった まるで、それはユウナの望み通りに助けが来た様に
「殺されたくなかったら、ユウナを返せ。今すぐに」
と、ニューラを指示したシルバーは純粋な銀の瞳で男達を一瞥しながら言った その後ろには、双子の姿が
「……言うこと聞かないと、」 「時空の果てで木っ端微塵にさせるぜ?」
双子は、まるで二人で一つの言葉を言うように蒼の瞳で男達をにらみつけた、否挑発していた
「ふっ、騎士の登場…というのは本当にあるんですねぇ」
黒服の男が皮肉をこめたようにシルバー達3人を見た それも品定めするような目で
「お前がユウナを……?」 「えぇ、ですがこれは私のみの行動ではなく、上からの命令、ですけれど」
シルバーの問いに黒服は素直に答える その異常なまでの素直さにユウトは疑念を抱いていた それはシルバーとクウトも同じで
「……口封じ、ってわけか。ウィン“火炎放射”!!!」
その理由に気づいたのか、ユウトは黒服に向かってウィンディに指示を出した 黒服は避ける事無く炎を浴び、黒服は焼けてコートのように剥がれ落ちた。実際コートだったのだが
コートを脱いだ男は、下の服も黒く、髪も瞳も闇のように黒かった それに反射するように肌は白い。汚れた白であったが
「まったく……随分直接的ですね、“遠慮”を知らないんですか? 神崎悠斗」 「なっ…………!?」
初対面である男の口から名前はともかく本名を出されたことに、ユウトは目を見開き、男を見る ユウトはその瞬間得体の知れない感覚に襲われる それは「恐怖」。無意識に身体が震え、足がガクガクと揺れる
「ユウト…………?!!」
クウトはユウトの変化に驚きそして思い出す “彼は恐怖心が人一倍強い”ことを やりたくない。と思い軽く舌打ちした後クウトはボールからサーナイトをだし、催眠術でユウトを眠らせた 今はこうするしかなかった
再び黒服の男と対峙すると、男はフッと笑い
「今回は失敗ですね。思わぬヒーローのお出ましに ……今回は見逃しますが、次は本気で行きますよ?」
その残酷な笑みにシルバーとクウトは背筋に悪寒を覚えた コイツが本気を出したら、太刀打ちできないんじゃないか、と思うほどに
男はテレポートかなんかで姿を消した。白衣の男と共に その間、樹に凭れ掛かっていたユウナの元にシルバーが駆け寄る
「大丈夫か?」 「………うん、平気。ありがとねシルバー、ユウト、クウト」 「……何故、反撃しなかった? ユウナなら返り討ちにすることぐらい、容易いだろ……」 「……………ジムバトルのあとだった。ってことも理由の一つなんだけど ………絶望、しちゃってさ」
そう言って見せたユウナの表情は本当に絶望しているような陰りを見せた表情だった
困惑しているシルバーに、弱く笑みを見せてからユウナは
「汚れの無い、人間なんて居ないんだよ 汚れていない世界も無いんだよ」
と言った
続く
17話 心の闇
時刻は、空に星が瞬きはじめた夜。今日の月は嘲笑う形に似た三日月
「汚れの無い人間も、世界も無いって……どういうこと?」 「そのまんまの意味だよ。本当に綺麗な人間も世界も無い。そう、仮初の白。のようにね」
ユウトの質問に、ユウナは歌うように答える 仮初の白。それは白い服を洗濯して綺麗になったように見えても、本当は汚れている。という意味だった
「……ごめんね、私が光に近い所為だもんね。こんんなこと言っちゃうの」 「間違ったことは言ってないよ。俺もそう思ってた事あるから」 「そうだな…、俺も思ったことは何度かある」
ユウトに倣うように、シルバーも頷いて言う クウトだけは、何も言わなかった そっか。とだけユウナは言って空を仰いだ
前に誰かが自分のことを「夜空」と称した人がいた 誰かはわからない。でもその人は今の自分と酷く似ていた 愛されることが足りないまま育ってしまった自分と似ていたのだった その人は自分にとって太陽のような人だった。自分を闇から連れ出してくれる。そんな人だった気がする 最も、ユウナはその人が誰なのかももう忘れていたのだが それに、不思議なことに、自分が生まれる前に逢った。という事は覚えていた。こんなことあるはずが無いのに
「……でも、本当に汚れた人間も多くは無いだろ?」
というクウトの言葉にユウナは我に代える 多くは無い。逆に言えば少なくも無い。つまり居るけどそんなに居ない。ということだった
「少なくとも、俺たちは、な」 「…自意識過剰」 「うっせ!」 「五月蝿いのは兄貴だろ? …まぁ、兄貴の言うことも間違ってないけどさ」
ユウトはそう言いながら、とても安心したような笑みを浮かべていた まるで、その言葉を待っていたかのように
「そうだな。確かにこの世界にはユウナの言う汚れた人間ばかりかもしれない でも、汚れきった人間はそう居ない クウトの言うとおり、俺たちは……大丈夫、だろ?」 「シルバー……」
シルバーは少し負い目を感じるような表情で言う それはきっと、かつて自分が背負っていた過去と罪からくるのだろう それでも、彼は精一杯言ってくれた。成長の、証
「そうだね。私が逢って来た人の殆どは、そんな人達じゃなかった 心を、闇に染め上げては居なかった 大丈夫だよね。またあいつ等がやって来ても…私達なら、起こせるよね? 奇跡」 「あぁ。大丈夫だ。ココにいる間、俺がユウナを……護る、から」 「ありがと、シルバー」
いつの間にか二人の世界に入っていて着いていけなくなった双子は、完全に蚊帳の外だった
「…どうする?」 「んー……もう行くか?」 「…そだね」 「ユウナ、シルバー。俺たちもう行くから、また逢う時はよろしくな!!!」 「あ、うん!! またねユウト、クウト!!!」
そして、双子の姿が完全に見えなくなった後、シルバーは一つの質問を問いかけた
「そういえばさ、さっきアイツに刃向えなかった理由、もう一つあるんだろ」
疑問系ではなく、確定しているように問う ユウナはあはは、と空笑いをして頷いた
「アイツの姿見たとき、シルバーも同じ事思ったんでしょ?」 「あぁ…。酷く、奴らに似ていた」
シルバーは一旦間を置いて
「「ロケット団」」
とユウナと同時にその言葉を放った ユウナが刃向えなかった理由。それはあの黒服が、ロケット団の服に似ていたからであった 敵。そのカテゴリに入ってはいるものの、ユウナには多少の戸惑いがあった それは、シルバーがロケット団のボス……サカキの息子で、自分は従姉であるからだ、だから微少ではあるものの、ユウナにも“ロケット団の血”というものが流れていた それはシルバーも同じことで
「…だが、それは似ているだけであってロケット団ではない」 「そうだね…。今回は初対面だったし…次からは、こっちだって大人しくしてる気は無いよ」 「言うと思った……。それじゃ俺たちも行くか」 「うん!」
その声と同時に、ユウナは自分が座っていた岩から飛び降りる。が、バランスを崩し転びかけたところをシルバーが片手で抑えた
「ありがとー」 「……危なっかしい」
続く
18話 憧れ
それは、まだアタシが小さい頃の話 アタシと歳、変わらないのに、すっごく強く見えて……それから、ずっと憧れの存在なんだ
ファイア(イーブイ)と外で散歩していたら、大勢の大人が横を通り過ぎた 何だろう? と思ったから、私はこっそり大人の後を着いて行った その大人たちが見ているのは…ピカチュウ? にしても、小さいピカチュウ……
「あの、どうしたんですか?」 「あー、あのピカチュウ、この街に来たんだってよ んで、果物を落としちまって、また野菜…って感じだと」
あ、じゃぁこの人は被害者。って訳じゃないのか…… もう少し集団をかいくぐって前のほうに来ると そのピカチュウは、なんだか…怯えていた
「ブイッ」 「ファイア…やっぱり、アノ子ちょっと…違うよね?」 「ブイ」
ファイアも頷いてる。でも、言うの恐いな…… アタシはまだ8歳だし、相手は大人だし……… そんな時、
「何、やってるんですか!?」
その声に、一斉に振り向く人(アタシ含めて) その声の主は……
「ユウナ、さん……!?」 「そんなことより、そこに…居ますよね? ポケモン」 「え、えぇ……」 「退けて下さい。……大丈夫? ピカチュウ」
ユウナ…宝来家のユウナ。確か…アタシと同じ歳… 凄い、なぁ……
そのピカチュウは、やっぱり怯えていた それに気づいたユウナさんは、微笑んで、ピカチュウの頭を撫でた
「大丈夫よ。大丈夫……」 「ピ……」 「――――――――そっか、恐かったんだね」
ピ、とそのピカチュウは頷く ユウナさんはそのピカチュウを抱き上げると、キッ、と大人達を見た
「どうして、この子を恐がらせたんですか?」
その声は、怒りを含みながらもすごく冷静な声だった 逆に、その冷静さが恐かった
「だ、って…ですね、コイツ、俺の野菜、やほかの店の果物とか、落としたんですよ?」 「…わざとにですか?」 「いや……わざと、じゃないとは思うけど…」 「この子、住処の森から迷って出てきちゃって、始めてみる人に怯えてて… わざとじゃないのに、追いかけられて…すごく恐がってたんです この子に悪気なんて無かったんですよ、最初から」
アタシと同じ歳…のはずなのに、すごく大人に見えた これが、“お嬢様”ってやつなのかな……
「ピ、ピカチュ」 「……もう、良いって?」 「ピ。ピッカチュ!!」 「………ありがとう」
多分、ピカチュウは「ありがとう」と言ったんだと思う そのあと、大人たちはピカチュウに謝って、散り散りになった アタシも、家に帰ろうと踵を返す その時、確かにアタシの心に芽生えたのは「憧れ」という気持ちだった
「宝来優奈。ユウナ…様、か……」 「ブイ?」 「アタシね、アノ子の事、憧れちゃったみたい」 「ブイー」 「あはは、もちろん、お母さんも憧れてるよ!」 「ブイッ!!」
『ねぇ、名前…何?』 「私はね、ユウナ。よろしくね、ピカチュウ…じゃなくて、ピル」 『ピル?』 「そ。貴方は私にとって家族なんだから、ピカチュウのままじゃ他人みたいでしょ? ♀だから、ピル」 『可愛い…。ありがとう、ユウナ!』 「ありがとう、これからよろしくね、ピル」 『うん!』 『あーっ、ボクの事忘れてるでしょ、ユウナ!!』 「忘れてないって。あ、この子はルナ。一応♂だよ」 『一応じゃない!! ボクは生粋の♂だよ!!』 『……。あはっ、よろしくね、ルナ!!』 『よろしく、ピル!』 「早速仲良しだねー、二人とも♪」
続く
19話 森
―タイの森
「…ハクタイより、鬱蒼と茂ってる森だな、ココ」 「だね。ニュアンスとしてはジョウトのウバメっぽいかも」 「………良く知ってるな」 「基本中の基本だぞ?」 「…………っるせ」
そう言われ、やれやれ。と言ったふうにユウトは肩をすくめる ……にしても、とユウトは木々で殆ど見えなくなっている空を見上げた なんだか、嫌な予感がする。そんな予感は――――
「………って、ここ、さっきも来た、よな……」
的中した。なんということか、最初の場所に戻ってしまったらしい どんだけ典型的なんだか……とため息をつく しかし、これからどうしたものか。 もう一度迷う…なんてことはしたくない ………あ、アノ子を使えば良いんだ
「サン、出ておいで」 『どうしたんですか? まさか迷った…のですね』 「そ。だからさ、出口まで教えてくれない?」 『……空間使いのクウトが迷ったのですか…』 「うるせー。いちいち一言多い奴だな……」 「ま、いいからさ。夜になる前に出たいんだけど」 『判りました』
サンは頷いて、二人の前を歩いていく クウトは相変わらずブツブツ言っていたが、ユウトは無視し続けた これで大丈夫。そう思っていたが………
「あれー………?」 「……………ザ・予想外」
あろうことか、再び戻ってきてしまった …まさか、エンドレス?と二人は頭の隅で考えてしまった サンもサンで、平静を装ってはいるものの、かなり動揺していた
『……おかしいですね』 「何が?」 『“行けない”んですよ。出口まで まるで、“何かに阻まれているように”』 「…………って、ことは………」
ユウトは、何か閃いたようにクウトのほうへ振り向いた え?俺? という顔をしたが、クウトもユウトの考えていることがわかったらしく なるほどな。と呟いた
「その阻んでる“何か”を壊せば良いんだな」 「そ。んじゃぁサン、その阻まれてる所まで行ってみて?」 『はい』
((……でも、何で……、“俺たちを動かないように”したんだろう………))
続く
20話 空殺し
歩き続けて、サンが何も無い場所で立ち止まる 一見、ただの道に見えるがサンが言うにはココが阻まれている場所だという ユウトはサンにありがとう、と言ってボールに戻した クウトはその阻まれている場所を凝視して、力の弱い場所を探していた(そこを壊す方が体力を温存できるらしい)
「よし、ここだな。ユウト下がってろよ」 「はいはい。別に流れ弾なんてこないと思うけどね」
そうだけど、と言おうと思ったが喉まで出かけた言葉を呑み込んだ クウトは力の一番弱い場所に手を置き、右手に神経を集中させる 空殺し<スペースブレイカー> それは、クウトが空間神パルキアから受け継いだ能力 それはこの世界に存在する物質を力を込めるだけで壊せる。というもので、本気になれば人だって、あるいは世界だって壊せるらしい 最も、一度もやったという記述は無いのだが
パリ、と何も無い場所から亀裂のはいる音がする そしてその音は次々と増えていく パリ、パリパリ、パリパリパリ……… そして、最後にパリン、と心地の良い音がした
「……終わった?」 「あぁ。…にしても、これただの“リフレクター”だったよ」 「“リフレクター”が……?」
リフレクター。それはエスパー技で特殊技の威力を少なくさせる技 人を通れなくするほどの力は無い……はずだ
「…ま、さっさと行こうぜ。もうじき夕方だ」 「そだね。次の町は……ノンノタウンらしいよ」 「ノンノ?」 「花。って意味だって“花香る町”って呼ばれてるらしいよ」 「ふーん…俺らの故郷みたいなところ…かな」
二人の故郷、ソノオタウンも花が綺麗な町だった ノンノ、とついているくらいだからその町も花が綺麗なんだろうと思うが 二人は自分の故郷の花のほうが綺麗だ。と内心思っていた
二人は足早に森の出口まで歩き出した その背中を木の上から見ている人物が居た その人物は、白い髪、翡翠色の瞳をしている少女のようで少年のような体格をしていた その少年はポケギアである人に電話を繋ぐ
「してやられちゃいました。兄のほう…普段は悪そうな頭していますが やるときはやる頭みたいですよ。っていうか意外と頭良かったです …リフレクターというのが判ったくらいですからね」
チッ、と少年は相手に聞こえないように舌打ちする 相手はただ平淡な声で「そうか、引き続き頼む」と言って通話を終了させた
「判ってますよ。“時空双子捕獲”は僕の役目なんですから ………それにしても、彼のほうも失敗したみたい “光闇の神子(みこ)”を盗り逃した…というか自ら退いたみたいですけどね」
時間も残っていないのに。と今は居ない仲間に愚痴を漏らして木から降りた
少しずつ、少しずつ、闇が3人に忍び寄っていく その事に、まだ誰も気づかない
「――――へぇ、“ユウナ”の言ってた双子君がノンノに来るのかー」 《多分ですよ。タイの森で迷ってるかもしれませんから まぁ、来ていたら………どうするんですか? “ソラ”さん》 「んー……とりあえず実力調べ、かな」 《うわ……。でもあの二人も結構強いですよ?》 「判ってるよ。なんたってあのユウナを負かさせたくらいだもの」 《ッ…言わないでくださいよ! 結構ショックなんですから!! …それじゃ》
プッ、という音の後無機質な音が耳に通るのをきいて、ソラと呼ばれた少年も電話を切る その顔はほんの少しだけ苦笑いを浮かべていた
(相変わらずの強がりさんだよねー……)
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.15 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:09
- 名前: 天月
- 21話 ソラ色少年
「ユウト、ユウト!!! 見ろよコレ!!!」 「ん〜……なにがどうし―――うわぁ」
ポケセンの宿泊施設の窓から見えたのは色取り取りの花…畑だった その広さや花の種類の多さに流石の二人も息を呑む それに暫く感じていなかった花の香りも故郷に良く似ていた 実は昨日、ノンノタウンについたのは夜だったため花が見れなかった二人だった
本日も晴天なり。まだ朝なのに昼のような空の明るさだった ポケセンから出た後、クウトはんーっと腕を上げて伸びをして、ユウトは大きな欠伸をした
「さて、どうする?」 「んー……天気も良いし…今日はゆっくりする?」 「そうだなー。んじゃ、出せる奴は出すか」 「ん。サン、グレイ」 「ナイト、ライク」
ユウトはサンとグレイシアのグレイを クウトはナイトとライボルトのライクを出した まぁ言ってはなんだが二人の手持ちは比較的大型系が多いらしい 小型3:大型7という具合だ
「……にしても、長閑過ぎて超平和だな」 「だねー」 「バトルしたくなってきた……」 「じゃぁ、してみる?」 「いいねぇ……。って誰!?」
いつの間にか。本当にいつの間にか 何か居た。 年上のように見える、男の人 というか、滅茶苦茶なれなれしい…いやフレンドリーなお方
「あ、俺はソラ。お前達はユウトとクウトだろ?」 「……そうですけど、如何して知ってるんですか?」 「んー、だってお前達の話はユウナから聞いてるからさー」
知ってるんだよー。といかにもへらっと言うかほのぼのとソラは言った 何だか微妙に子供っぽい気もするが、聞いてみたら、二人より3歳年上の18歳であった ソラは二人をその辺のベンチに座らせ、飲み物を買いに行くと言った
「飲み物、何がいい?」 「俺は炭酸以外なら何でも良いですよ」 「俺はレモン味の飲み物がいいー」 「へぇ、ユウトって炭酸無理なんだなー」 「はい…。あのシュワッって喉にくる感じが…嫌なんです」 「というか、前に飲んで吐いたからだろ?」 「うぐっ……」
事実なのか、ユウトは何も言えずに俯いた ちなみに何かボソボソ言っている ソラは何とか会話を変えようと
「……あ、クウトはレモン好きなのか?」 「はい! あのすっぱさが好きなんですよ!」 「へぇ〜。じゃ、俺行って来るな」 「いってらっさーい」
(思い出したくなかったのに……) 「おーい、戻ってこーい」
続く
22話 アレルギー
「はい、ユウトにはコーヒーミルク、クウトにはレモンサイダー」 「ありがとうございます」 「ありがとうございまーす」
ソラは二人に飲み物を渡した後、自分もベンチに座る ちなみにソラの飲み物は苺ミルク そういえば。とソラは一人呟き、こう訊いた
「ユウトって、なんで炭酸飲めないの?」 「え゛っ………と……………」 「あー、コイツ、炭酸アレルギーで、飲むと吐くんですよ、盛大に」 「盛大は余計だっ!!!」
振られたくなかったのか、言われて恥ずかしいのか、ユウトは真っ赤な顔をしてクウトに反撃した クウトは余裕な顔で、あははーと笑っていた ソラは仲良いなーと思いながら、二人を見ている 特に赤面しているユウトが、らしい
「そういえば、ユウナも核心つかれると赤面するんだよなー」 「……そう、なんですか?」 「というか、アイツに羞恥心があったのか」 「クウト。それは失礼だよー。ユウナは清楚キャラに見えて、ツンデレなんだから」 「「まじで!?」」
男の子がそんな会話して良いのか。というのは置いておき、何故そこまで知っているんだろう、ソラは。
「…ソラさんにとって、ユウナってどんな子なんですか?」 「んー………妹第二号。かなー」 「第二号…ってことは、もう一人妹みたいな人居るんですか?」
クウトがそう訊くと、あぁ。と健気に、それでいて少し淋しそうに言う その表情に二人は疑問を抱くが、きっと訊かれたくない事なのだろうと思い、言わなかった
「今はすっごい遠い地方に居るんだけど、俺と一緒に孤児院に居た時は病弱で泣き虫だったんだ」
ソラは、思い出し語るように言った 二人は何も口を挟まず、ただ聞いていた
「でも、最近はすっごく元気らしくって、普通にポケモンバトル、それに旅をしてる。ってユウナから聞いた時さ、すっげー嬉しかったんだ あの病弱で泣き虫なアイツ…マイって言うんだけどな、その子 そのマイが、普通の人と同じように過ごしてるってことが、俺にとってすごく嬉しかったんだよな… ごめんな、こんな話しちゃって」 「いえ。初対面の俺たちに話してくれてありがとうございます …俺も、そんな人が身近に居るからよく判ります」
クウトがそう言うと、ユウトが食いつくように訊いて来た
「そんな人って、誰?」 「…………。―――に、決まってるだろ」 「え。聞こえなかった。もう一回。ワンモア」 「嫌だ。男なら一度で聞くべきだ」 「えーっ」
口を尖らせて、愚痴を言っているユウトを見て クウトは安心したように笑って 誰にも聞こえないように呟いた
「…ホント、良かった」
―お前が、元気になって―
*
「じゃ、俺は家こっちだから。またなー!」 「はい。ありがとうございました!!!」 「ありがとうございました。…じゃ、今日また一泊して明日出発しよっか」 「おう!」
続く
23話 N極とS極
「……大丈夫か、コイツ」 「いいえ、大丈夫じゃないわ」 「返事が無い。ただの屍のようだ。ですね」 「イエロー先輩…さり気無く怖いッスよ?」 「っていうか、どうしてレッドさん、こんなことに…?」 ((((クリス(さん)…まさか知らない?))))
ちなみにここはレッドの家。そして現家主のレッドはまるで屍のように動かない というか、ショックで動けない。らしい さっきからぼそぼそと「ユウナ」と連呼しているので5人のうち一人以外は原因がすぐ判った様だ
「…クリス、おめーだけだと思うぞ? おしゃれ小僧も、野生児ギャルも、エメラルドも知ってるんだぜ?」 「な、何がよ!」 「レッド先輩とユウナが付き合ってる、ってこと」
本当にクリス…もといクリスタルは知らなかったらしく、瞳を大きくしている その様子に、ブルー、グリーン、イエロー、ゴールドは、ほんの少しだけ引いた と同時に、本当にこの子は“ユウナ”に興味ないのか・・・と思ったようだ
「………あれ? シルバーとかも居ないわね…」 (((((コイツ、ひでぇ)))))
そんな時、ゆらりとレッドは立ち上がった まるで、操られているように
「クリス…タル」 「は、はい?」 「…………シルバーとかって、今居ないのは、ユウナとシルバーの二人だけだよ?」
どすの利いた低い声。笑っているのに怖い。ただひたすら怖い
「い、いや、えっと………」 「ユウナとシルバーは、今レイシンに居るの。判る?ユウナの故郷 で、俺は置いてけぼり。これでも、ユウナの彼氏なのによ……なんでなんだよ、こんなのアリかよ」 「先輩、俺みたいな口調になってるッスよ?」 「ヤケクソになってるわね……」
そして、スイッチが切れたようにまたレッドは倒れた どんだけユウナを溺愛してどんだけ落ち込んでるんだこの人は
「……あ、じゃぁレッドさんもレイシンに行けばいいじゃないですか!」 「……なるほどな。様はストーカーのように」 「いやいやいや、それは流石にヤバイですよ、グリーン先輩」 「まぁ、いいアイディアではあるわね」
でしょう!? とイエローは両手をグッと握り、自信に満ち溢れた顔をした
「レッド先輩レッド先輩。先輩もレイシンに行けば良いんじゃないッスか? そーすればユウナに逢えますよ?(多分)」 「……………。そっか!!!!」
がばっ、という効果音がつくほど急に立ち上がる 横にいたゴールドはびっくりしてしりもちをついた そして、自分以上に単純な人だ…と半ば呆れたようだった
「行くのね?」 「あぁ。…っても、今日はもう遅いから…明日にでも」 「そう。逢えることを祈ってるわ」 「…シルバーは如何するんだ? 追い出すのか?」 「え、わかんない」
けろっとした返事にグリーンはため息を吐く まぁ、レッドもそこまで鬼畜でSじゃないから、多分、シルバーを追い出すような真似はしないだろう。…多分
そんななか、ブルーは
(ユウナはともかく、離れていても引き合う存在なのね…この二人は まるで、磁石や電子のN極(+極)とS極(−極)じゃない)
まぁ、だからバカップルなんでしょうけど、とブルーは肩をすくめた
次の日、レッドがあてもなくレイシンを歩き回ることになるのは言うまでも無い
続く
24話 黄の星と銀の羽
「『―千年に一度目覚め、七日間だけ地上で過ごす“願星” 願星は心が強く、優しい人間によって目が覚める …以前、それを利用し願星を捉えようとした人間が居たらしい 願星の生まれし場所は、“麗神”。そこの“星の故郷(ふるさと)”である 神は、願星を護り讃えるニンゲンを創りだした 星の故郷には、海も広がっていた。その海に生まれた“海の神”も同時に護り讃えるようになった そのニンゲンを“銀羽一族”と呼んだ』 ――って、言うけど、わたしにはあんまり自覚ないんだよなー…」
はぁ、と軽くため息を吐いて分厚い本を閉じる その小柄な身体にはあまり合わない机、それに椅子だった 題名は『神継ぐ者』
「アルセウス様とダークライの御家は、来る宝…、蓬莱…“宝来”でしょ ディアルガとパルキアは神の崎(みさき)…“神崎” ギラティナと『 』は魅せる海…“海魅” 蓬莱は、月…かぐや姫。まぁクレセリアだもん 神の崎……あ、ソノオ、花が咲き…だから崎? 海魅は、マナフィでしょう。それにミオは海が近いもの……」
幼い割に、かなり色々と詳しいのは幼い頃から学んでいたからか 鎖骨あたりまでの金色の髪と銀かがった白の瞳が特徴的な少女であった 少女は、部屋を出ようと椅子からおり、同時に星飾りのついたヘアゴムを二つ取り、髪を二つ結び…所謂、ツインテールにした。…髪の長さ故か、かなり小さかったが
部屋もかなりの広さだったが、廊下の広さも負けては居なかった バカでかい家を建てるよりは、貧しい人たちに寄付でもしようよ。と何度思ったことか そして家柄に捉われず走り出していったアノ人が羨ましいと思っていた
「あれ、姉ちゃんどっか行くの?」
不意に背後から声がして振り向くと、少女とは真逆の銀の髪、金かがった黒の瞳の…少女よりほんの少し幼い少年であった “姉ちゃん”というあたり、弟なのだろう
「星汰(セイタ)…、平気だよ?脱走は“二度と”しないから」 「うん。判ってる。……でも逃げ出したいんでしょ?」 「当たり前だよ。どうして“優奈さん”は許されてわたしは許されないのかな……」
はーぁ。と先ほどより大きなため息を吐いた 弟…星汰もだよねぇと相槌をうつ
「それじゃ、わたしはその辺歩いてくるだけだからすぐ帰ってくるよ …行って来ます」 「うん、行ってらっしゃい。星奈(セイナ)姉ちゃん」
少女…セイナは家を出る。6匹の“仲間”と一緒に セイタは姉を見送り。何も起きないように。と思っていた
「でも…まだ姉ちゃんは良いほうだよ。僕は…… 外に出ることさえ許されたことがないんだから ―――――――“跡継ぎ”だから」
*
丁度その時、ユウトとクウトは…
「……“星の瞬く街、ノチウシティ”だって」 「いや、今昼だし」 「で。水タイプのジムリーダーさんが居るんだって」 「お、水タイプかー…ホントだ近くに海がある」 「…………………そ、そうなんだー」
“海”と聞いて、ユウトは冷や汗を浮かべて乾いた笑いをしていた 別に、彼は海が嫌いなわけではない。が苦手ではあった。泳ぐのは
「ユウトくんはカナヅチだからねー」 「っ、るせぇ!!!!」 「炭酸アレルギーに病弱、そしてカナヅチの3大苦……くくっ」 「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
クウトは笑いを堪えようとしているが堪えきれず ユウトは恥ずかしくて顔を真っ赤にしている 図星のため、何も言えない、ユウトであった
そんな時、ピルルルル…とクウトのポケギアが鳴った はい。と出てみると相手は父親で
「父さん?」 『そ、いまノチウシティ?』 「そーだけど、なん………あぁ、そーいうことか」 「能力、使ったんだ、父さん」 『た、たまたまだ。それよりノチウといえば星だ さて問題。神継ぐ家は全部で何家でしょーか』
いきなり!?とツッコムのも嫌なので二人は考える まず自分達で1つ。次にユウナ…宝来家で2つ もう2つは……アイツで3つ
残りの1つが判らない
「神崎、宝来、海魅…あと1つ……」 「わかんねーよ。答えは?」 『答えは、願星と海の神の能力を継ぐ、銀羽家だよ 教えただろ、4つって。忘れないでくれよー 神崎だけなんだから、跡継ぎ決まっていないの』
銀羽(ぎんう)……習ったような、習ってないような…… と思いつつも、さりげなくアリエナイ事を口にした父に
「「マジかよ!?」」 『うん、マジ。だって、兄弟ならまだしも、双子だから“それぞれの能力”しか継いでないから 選ぶの難しいんだよ』
と父は言うが、本来「双子の下のほうは“生まれなかった”ことにして殺す」というのが基本であったが、父は「殺す」という言葉、行為が嫌いなためやらなかったらしい そんなことも露知らず、“幸せな兄弟”は少々怒っていた
――姉弟の弟が後継ぐこともあり、また双子両方が継ぐこともある……
そんな、理不尽で曖昧な世の世界であった
続く
25話 母親似
「優李さん!!!」 「……あ、レッド君。久しぶりだねー如何したの?」
次の日、レッドは最初に優李のところに向かった 優李は相変わらずのんびりしていて、危うくそちらのムードに流れ込みそうだったが、それを寸でで止めた
「あ、あの…ユウナは……どこにいるんですか?」 「んー……どこだろうね……僕、連絡しないようにしてるから」 「な、ん………。そうですか…。判りました…」
何で。と言おうとしたがレッドはこの人の立場を思い出したため、それ以上は言わなかった が、居場所がわからなければ逢えない。それがショックだった
「ま、なんならちょっと、ユウナがレッド君に“言えない”話でもしようかな」 「ユウナが俺にも言えない話……?」 「あぁ。というか…ユウナも知らない話…かな」
ユウナも知らない話……。自惚れかもしれないけれど、レッドは他の所有者よりユウナの事を判っている。そんな自信があった けど、全てを知っているわけではない。ユウナは基本自分のことはあまり話さないタイプだからだ それでもレッドに話したのは信用できるからであり、レッドはユウナの背負っているモノを少しでも軽くしてあげようと思っているからだ 興味本位ではない、純粋な想いで。
「……教えてください」 「うん。いいよ。……立ち話もなんだしこっちで話そうか」
そう言い、優李は歩き出す。その背中が何故か悲しそうに見えた
*
「―――ユウナの、お母さん?」 「あぁ。シルバー君のお母さんの妹だったんだよ」 「だった……?」
もしかして、離婚だろうか。そしたらユウナとシルバーも従姉弟じゃない…辻褄が合わない その時、一瞬最悪の状況を思いついてしまった そして、自分の事も嫌な方へ考えてしまう レッドはその予想を無しにしようと頭を振る。忘れるように
「……多分、レッド君の考えはあってる ……僕の妻…奈々は、亡くなっている」
ズシン、と心臓に杭を打たれたようなそんな痛みが走る。いや、最早痛みではないのかもしれないが 思えば、始めてこの家に来た時も、今も、母親。という姿を見たことがない …ユウナはソレを、見て見ていぬフリをしていたのだろうか そして、「甘え方が判らない」という彼女の言葉も判る気がした
「……どうして、亡くなったんですか?」 「警察は“事故”ってしているけど…… もしかしたら、意図的な犯罪だった……かもね “宝来家の子供が生まれる前に母親を殺す”っていう。でも…奈々が亡くなったのは、ユウナが生まれた3日後…なのにね」 「みっ、3日後!?」
母という存在を覚える暇もなく、亡くなったのか、ユウナの母…奈々さんは それは、一体どれだけ残酷なのであろう そして、ユウナにどれだけの悪影響を与えてしまったのだろう 両親は、生まれてくる子供に夢を持って待っている こんな子に育って欲しい、と そして名前にもしっかりとした意味を持って名づけている ……と、前にブルーの母親が言っていた気がした
「奈々は、“生まれてくる子には自分と僕の名前を入れたい”と言っていた。…本当のユウナの名前の意味は“優しく、素直に育って欲しい”って意味なんだ けど……偶然にも“光の優に奈落の奈”って意味にされちゃったんだけどね……」 「…奈々さんの願は…叶ってます。…素直、っていうのは微妙かもしれませんが……」 「うん。でもそれは僕の責任だ。仕事で忙しいことを言い訳に、ユウナに甘えさせてあげられなかったから」
と、優李は表情に翳りを含めて言った ユウナは、優しくて自分以外の事に素直だ。ポケモンを助けようと思ったら、助けるまで決して諦めない。それは人も同じ でも、自分の事になると頑なに何も言わない、何も動かない それでも耐え切れなくなったら、自分にこっそり言ってくれるのだが 別にユウナはレッド以外の所有者を信用していないわけではなく、寧ろ仲間として「大好き」と言っている きっと、ユウナは心配をかけさせたくないだけなのだろう それでも、レッドに話したのは彼がユウナにとって一番「好き」な人だからであろう
「……ユウナは奈々にそっくりなんだ。生き写し…とでも言えばいいかな」 「生き写し……?」 「うん、優しくてポケモンや人の事を優先させて、何があっても諦めなかった それでいて、自分の事はあまり話したがらない人だったんだ …でも、僕には話してくれたんだ」 「……ホント、そっくりですね」 「だろう? 二人とも“自分が一番好きな人”にだけ素直なんだ。……ってことは僕とレッド君も似ているのかもね」 「俺はそんなにのほほんとしてませんよ ……でも、ちょっと似ているかもしれませんね」 「だろう? きっと奈々とユウナは趣味も性格も一緒なのかもね」 「そうかもしれないですね」
先ほどの暗い空気はどこへ行ったのだろう 流石、優李さんと言ったところだろう この人は本当に場の空気を変えるのが上手い だからこその強さ…つまり勝負の機転が上手いのかもしれない そんなところも、二人は良く似ているのだが
「……レッド君、ユウナを頼んだよ」 「わかりまし…。って、え、っと…それって……」
にこり、と優李は笑って頷いた レッドは綻びそうな顔を何とか保って「ありがとうございます」と言った
家を出た時、彼は本当に嬉しそうな顔をしていた
「さって、ユウナとシルバーに会いに行くか!!」
彼が目指すは、二人の居場所
続く
26話 星の子 +星奈視点+
「さてと…ドコに行こうかな。スカイ」 『どこでも良いんじゃない? 帰ってこられれば』 「そうだね。…あ、じゃぁ海行こう海!」 『さんせーい!』
わたしと、スカイ(イーブイ)は海へかけだした あの海は、わたしとスカイの思い出の場所だから
「やー、もう夏だから人多いねー」 『そーだねー!!』
本当、暑くなったから人が多くなった …人目につくのは苦手なんだけどね 人を眺めてるとき、何か違和感がはしった
「あれ……?」
こんな暑いのに、黒と灰色のパーカーきてる、男の子二人… それに、あの二人から見える“能力の波紋”は…… そんな時、スカイが肩から飛び降りて、その二人の方に向かった
「ちょ、ちょっとスカイ!!!」
前もろくに見ないで、スカイを追いかけてたら、人とぶつかった
「あたたた……」 「大丈夫か?」 「あ。はい…すいません……ッ!?」
ぶつかったのは、あの二人 …っていうか、双子さん? っていうか一卵性双生児? っていうか…スカイは!?
「この子、君の?」
と、思ってたらスカイは黒パーカーの男の子の肩にいた …エーフィーの視線が怖い気がするのは気のせいかな?
「あ、ありがとうございます。もう、ダメだよスカイ!」 『だって、なんかセイナと“近かった”から、つい〜』 「近いって……」
まさか、あの“能力の波紋”は…ホンモノ?
「……どうした?」 「ふぇ!? あ、大丈夫、です!! あの……わたし、銀羽星奈って言います」 「銀羽……あ、あの家?」 「“神の四家”の一つ…の?」 「え、知っているんですか!?」
そう聞くと、知ってるも何も…と二人は顔を見合わせる …鏡見てるみたい……
「俺たち、神崎悠斗と、神崎空斗なんだけど」 「……。」
やっぱり……。 あの能力の波紋は本当だったんだ……… 神の四家の中で、わたしだけが見える、「能力の波紋」 今まであんまり信じてなかったけど…… その時、一番聞きたくないことを言われた
「やっぱり、セイナが銀羽家の跡取りなのか?」
一瞬で周りが真っ暗になった。そんな錯覚を覚えた
「……あ、当たり前じゃないですか!!!」
嘘を、吐いてしまった わたしはアノ人のように、怒れない アノ人のように強くは無いから
「……。嘘、でしょ」 「ッ!? そ、そんな事……」 「別に俺たちは怒らないから、本当のこと言っていいよ?」 「………本当、ですか?」 「当たり前だろ。男に二言はない!」
……大丈夫、だよね。この二人なら………
「判りました。本当は―――――――」
続く
27話 己の願は +星奈視点+
「……わたしは、昔…家を脱走したことがあるんです あの人は…優奈さんと、同じように」 「ユウナと、同じように?」
あぁ、この人…知らないのか………
「はい。優奈さんが8歳の時、優奈さんは家を抜け出したんですよ …そんなこと、許される行為ではないのに。許されたんですけどね。あの人は ……でもわたしの時は……」
ぐっ、と唇をかみ締める。正直、言いたくない でもその時、頭に柔らかい感触がやっていた …撫でられてる…? 撫でてくれたのは、ユウトさん…
「セイナも、大変だったんだね」 「ゆ、ユウト…さん?」 「……弟くん、今は……大丈夫?」 「え……。あ、セイタ……!?」
どうしてわたしに弟がいるのかわかったのかは知らないけど 今はセイタの安否が最優先……… わたしの所為で、またセイタが犠牲になるようなことがあったら、わたし……!!
その時、肩を叩く手があった
「落ち着けよ、まだ大丈夫だから」 「ッ、どうして、大丈夫って…あ……」 「うん、ごめん。ちょっとセイナの未来“視せて”もらったよ」
未来…視る……。時視…… ユウトさんは、ディアルガの能力を……? じゃぁ、クウトさんは…… とクウトさんを見ると、ニッと右手を出して笑った …本当、なんだ……
「……一緒に、来てくれませんか?」 「もちろん」 「良いぜ!」
ありがとうございます。と笑顔で言った 多分、久しぶりの笑顔
お母さん、わたし、初めて、
自分の願が叶ったよ。
「…あ、姉ちゃん!」 「セイタ!! よかっ………!?」
ほっ、としたのもつかの間 セイタの、後ろに………イタ。
「…少し、」 「遅かった…みたいだね」
少し…そう、本当に少しだったのかもしれない
「お、とう……様……」 「また、脱走か? …セイナ」 「ッ、違います!」 「…では、何故時空双子がおる?」
と、お父様は、ユウトさんとクウトさんを見る 多分、慣れてるのか二人は動じていなかったけど
「……俺は、ただセイナを、あと弟を自由にさせてあげたいだけですよ」 「…束縛するのが、全てじゃありませんよ?」 「……戯けが。優李も昌斗も甘いのだよ 自由なんて、無くても良い…私達のような家は、な」
ピキッ、となにかの音がして、後ろから殺気が……
「……そーいうの、差別って言うんだけど 俺たちみたいなニンゲンでも、他のニンゲンと同じなんですよ? …………そういうの、すごくウザイ」
ユウトさんが、怒ってる…(気の長い人だと思ってました) クウトさんは…呆れてる………?
「ユウト、落ち着け。今お前が暴走しても何も変わらないから」 「……………判った」 「よし。……でも、お前、最悪だよ」
ニコリ、と黒い何かを含んでクウトさんは笑う 怖い……… でも、これも、全部、わたしのため……
なら、わたしも、言わなくてはいけない。
―自分の願は自分で叶えるよ、お母さん
続く
28話 最初で最後の願事 +星奈視点+
言わなきゃ、ずっと、ずっとわたしの中に閉じ込めていた “言葉”を……!!
「お、おとう……お父様! わたしは……いいえ、わたしとセイタは“自由”になりたかった!!!! でも、お父様は許してくれなかった…… “自由”になれなくてもいい!! せめて、理由を、本当の理由を教えてください…!」
今まで、恐くて逆らえなかったお父様に、初めて 自分の意思を伝えられた
お父様は、ふむ。と言って こういった
「ならば、ポケモン勝負で決めるとするか。星奈、お前とな」 「え………?」
バトル?勝負?ポケモンの? そんなの、やったことないよ……!? テレビで見たことくらいしか…… その時、また肩に手を置かれた やっぱり、ユウトさんだった
「大丈夫、俺らがアドバイスするから。な?」 「あぁ。大人と子供だ。ハンディはあるだろ? おとーさま?」
ちょ、それ明らかに挑発…… でも、お父様は全然動じなかった。外側では
「いいだろう。こいつはバトル未経験だからな ただのレベル上げ。と言ったところで終了させたからな」 ((こいつ、まじムカつく……)) 「判りました。ならわたしが勝ったら、自由にさせてください。セイタも!!!」 「判った。だがお前が負ければ、一生家に居る。ということにする」
…この勝負は、ある意味、わたしの人生の分かれ道……… セイタのぶんも、絶対に負けられない!!!
そして、腰に居る仲間たちも、カタカタと震える やる気、だね……!
「では、庭へ来い、星奈」 「……はい」
続く
29話 生の分かれ道。 *URLは挿絵の下書きです*
ヒュウッ、と潮の香りがする風が通り過ぎる それに合わせて、セイナの金色の髪も踊る ゴクリ、とセイナは固唾を飲み込む 額からは、冷や汗が頬を伝う そして、腰のボールに手を掛ける
「先攻はお前からで良いぞ」 「……はい。エアロ!出番だよ!!」
セイナはボールから、エアロ(エアームド)を出す エアロは鋼鉄の翼を広げ、甲高い声をあげる
「エアロ、頑張ろうね!」 『あぁ。セイナとセイタのためだからね!』
セイナとエアロは、お互いを見て、頷く 神の四家の共通能力は『ポケモンとの会話』 で、宝来家は「全てのポケモン」、神崎家は「“特別”なポケモン以外の全てのポケモン、海魅家は「“雷、草タイプ以外”の全てのポケモン」 そして、銀羽家は「手持ちとする全てのポケモン」であった なので、セイナはスカイ、エアロと会話が出来る
「行け、ブーバーン」
セイナの父が出したのは、ブーバーの進化系であるブーバーン。炎タイプでエアロには相性が悪い
ユウトとクウトは、ヒソヒソと話をする それは、セイナの父のことについて
「うわっ、汚っ……」 「そーいう奴、なんだろーな」 「それにしても、酷いな……」 「あーいうのが俺たちの父さんじゃなくてよかった」 「なー…」
また、ヒュウッと風が通り過ぎる ザァ、と庭の草がざわめく
『相性不利……だね』 「うん、でも……信じてるから、エアロのこと」 『あたしもだよ。出逢った時からセイナを信頼してるからね!』 「ありがと。……エアロ、“嫌な音”!!!」
セイナがそう指示をすると、エアロは翼を擦り合わせてギリギリと嫌な音を出す ブーバーンはその音に耐え切れず、両手で耳のあるらしい部分を押さえる その瞬間を、セイナは見逃さなかった
「エアロ!“エアロスラッシュ”!!」
エアロは空高く飛び上がり、空気の刃を生み出してブーバーンに攻撃する
「……あれが、初心者?」 「全ッ然、そう見えない……」 「だよな……。埋もれた才能…か」
もし、彼女が自由だったら、自分達より強いトレーナーになっていたかも…… と、思う二人であった
が。現実はそう甘くは無かった
ドサッ、とエアロが地に落ちる 二人が目を放している時、ブーバーンの炎技によって、エアロが倒されたのであった
「くっ……スター!」 『エアロさんの仇、取って見せましょう!!』
セイナが次に出したのは、スター(スターミー) 水・エスパーでブーバーンと相性が良い きっとセイナはそれに掛けているのだろう
「…絶対、負けないんだから……!!」
続く
30話 もう、負けない
「スター、“ハイドロポンプ”!!」
セイナが素早く指示をすると、スターは真中の紅いコアから、水圧の激しい水を出す その水がブーバーンに届くのも早かったため、ブーバーンに水は直撃し、戦闘不能になった
「くっ……。いけ、エレキブル」 「……スター、戻って」
エアロの二の舞になるまい。と思ったのだろう セイナはスターを戻す。そして……
「出番だよ、フレア!!」 『一発でねじふせてやるよ!デカ物!!』
セイナは、フレア(ブースター)を出す 先程のように、相性の良し悪しはないが、きっと何かあるのだろう
「エレキブル、“雷”だ」 「フレア、“穴を掘る”!!!」
雷がフレアに落ちる直前、フレアは地面に身を潜めた チッ、とエレキブルは舌打ちをする そして、地面の中のドコにいるのか。と探し始める
一瞬、ニヤリと笑い、セイナは声を上げる
「フレアは貴方の真下よ!!!」 「ブルッ!?」 『へへっ、上手くいったぜ!!!!』
ドサッ、と巨体が倒れる 攻撃をしたのは、小さな躰であるのに関わらず、だ そんな時、ユウトはあることに気づく とても簡単で、とても不思議な事にだ
(アノ人………もしかして………)
そしてユウトの心の中に、一つの疑念が生まれる 同時に、疑問も生まれた
その疑念は、決して間違っては居なかった
「なぁ、兄貴。もしかしてさ―――――」 「―――――、まじで?」 「うん。もしかしたら。だけど」
「フレア!!“火炎放射”!!!」
エレキブルの留めに、フレアは火焔を放つ 先程の技が効いていたのか、エレキブルは戦闘不能になる
そして、フレアはここに違和感を覚えた 無論、セイナは気づいては居ない
(あれ……?これ、“おかしくねぇ”……?)
フレアの感じた違和感、ユウトに生まれた疑念は、同じ意味だった
続く
31話 Is it you that win?
―俺が感じた疑問、それは……
「…これで、最後だ。いけドサイドン」 「……。フレア、戻って」 『あぁ。なぁセイナ。…なんか、おかしくないか?』 「……うん、最初から判ってた。でも勝負だから」 『……………そっか。俺は、俺たちは信じてるからな』 「うん。ありがと」
そう言い、セイナはフレアを戻し、再びスターを出す
「スター、一発で、決めるよ?」 『えぇ、セイナ。あなたは…これに勝ったら、お父様になんと?』 「………もう、考えてあるよ」 『……わかりました』
「ドサイドン、“雷パンチ”」 「スター!“サイコキネシス”でドサイドンの動きを封じて!!」
と、ドサイドンはスターの前で身動きが取れなくなる 自分の思い通りに動かない自分の身体にドサイドンはいらいらしている
でも父親は何もしない。
そう、“最初の攻撃以外、彼はポケモンに何も指示をしていない”のだ 相手が自分に不利なポケモンを出しても、交代はしなかった ………“初めから、『負け』を認めた戦い”だったというわけだ
ユウトの疑念はコレで晴れる が、疑問はまだ残っている
「…スター、“ハイドロポンプ”」
セイナは、落ち着いて冷静に攻撃を指示する ドサイドンは岩・地面タイプなのでダメージは二倍となり、戦闘不能となる
戻れ。と父親はドサイドンを戻し、セイナもスターをボールに戻す そして、父親は言う
「…お前の勝ちだ、セイナ。好きにするがいい」 「まって。なんで…“勝負”なんて口実、作ったの?」 「……………。私は、優李から、優奈さんの従弟が攫われた。と聞き焦った “もしかしたら、セイナやセイタも攫われるのではないか”と」
でも、それは終わった。けれど私は不安だったのだ
と父は言った
「……ありがとう。お父さん。私達の事心配してくれてたんだね ごめんね。誤解、しちゃって」 「いや、いいんだ。私こそ悪かった。これからは二人とも自由にするがいい …跡継ぎはセイタになってしまうが、な」 「僕はいいよ。お父さんが決めたんだし。ね、姉さん」 「うん!」
完全に、蚊帳の外の二人は、事が丸くなった家族を優しく見た後 去ろうとした
その時
「ユウトさん、クウトさん!!!」 「……何?」 「あの、ありがとうございます! 貴方達に逢ってなかったら、わたし、ずっとお父さんのこと誤解したままでした だから、ありがとうございます!!!」 「……どういたしまして。セイナ、またな」 「家族3人、幸せにな!んじゃ、またなー!」
はい!と3人は手を振り別れる
「……強かったなセイナ」 「あぁ。……っていうか、俺らなんか忘れて……… あ!!!! ジムリーダーの事……」 「忘れてた……ね。明日、挑戦しよっか」 「あぁ…。次、俺先だからな」 「はいはい」
そういい、二人はポケセンへと足を運んだ
続く
32話 静かなる海
「……僕に、挑戦者。だって?」 「はい、“セナ”さん」 「………うん、いいよ。入れてあげて」 「はい」
黒かがった青の髪を靡かせて、セナは座っていた椅子から立ち上がる “海の遣い”と呼ばれている彼の夢は
「海の神に出逢う事」であった―――
* 〜ここから、URLの曲をお聴きし楽しんでください〜
「君が、挑戦者?」 「―――あぁ。俺はクウト…です」 「クウト君か。僕はセナ、よろしくね …じゃぁ早速、始めようか」
コクン、とクウトは相槌をうつ そして二人は腰のボールに手をかける
(…相手は、水タイプ専門、兄貴なら…多分、アイツだろうな)
「では、ジムリーダー・セナ対チャレンジャー・クウトの試合を始めます! 使用ポケモンは3体。どちらか3匹先頭不能になった時点で終了します! では……Ready Go!!」
その声と共に、二人はボールを投げる 二つのボールは弧を描き、地面に落ちる。そしてポケモンが出てくる
セナは、シャワーズ クウトは、ラプラスを出した
「……舐めてるの? 僕のこと」 「ぜーんぜん。俺のラスは特別だからな! ラス、“10万ボルト”!!!!」 「なっ!? シャワーズ、“守る”!」
土壇場で、シャワーズは何とか自分の身を守った チッ、と聞こえないように舌打ちをしたクウト。そして次の作戦を思いつく
「ラス、」 『えぇ。判ったわ、クウト』 「サンキュ。ラス“怪しい光”!!」
ラスは濁った虹色の光を出し、シャワーズを混乱させた よし、と心の中でガッツポーズをするクウト 対してセナは未だに余裕を見せていた
「……シャワーズ“岩砕き”!!!」 「!? ラス!!!」
混乱状態でも攻撃できるが、その確率は低い が、あのシャワーズは………
あ。とクウトはココで気づいた もしや……
「混乱が、解けてる……?」 「正解。状態異常を治す木の実を持たせておいてるからね」 「………流石。ラス、ありがとう。戻って休んでろ ……いけ、クライ!!」
クウトが次に出したのは、ラクライ 電気タイプであるため、相性は良い。……はずだ
「アノ子が、時空双子かー。なんだ、私と同じくらいじゃない」
続く
33話 天使の幼き末裔 +ある人視点+
今、私はこっそりと“神崎空斗”と“美汐瀬名”のバトルを見ている 二人とも、実力が高く、一進一退のバトル。とでも言うべきだろう ただ……私が気になるのは、彼“神崎悠斗”の実力 ………“炎華鈴羅”との時は、慌しくて見れなかったからね……
と、かくいう私の名は“天歌 留梨亜<テンカ ルリア>” 天歌の意味は、天使の歌声って意味らしい ……まぁ、わかる人にはわかるんじゃぁないかな? ちなみに、神の四家とは無関係だけど …いろんな意味で神サマに関係してるけど♪ あ。空斗が攻撃にでる
「クライ、“電撃波”!!」
ふぅん、威力は少ないけれど、必ず命中する技を選んだ…… 性格に似合わず、慎重派ねー ……でもさっきのラプラスちゃんを戻す前に“ある事”やったほうが有利になっていたかも…ね
「くっ……。シャワーズ、“溶ける”!!」
瀬名の方は、シャワーズちゃんを水に潜る…んじゃなくて、溶け込ませる でも…空斗はもう何か策を思いついたみたいだけど……
「クライ、水に向かって“放電”!!」
おお、上手いねー。これなら溶け込んだシャワーズにもダメージを与えられる 勝負事になると頭が回転するタイプみたいね、彼 その時、腰についてるボールのひとつが揺れる ……スノウか
「どしたの? スノウ、まさか…バトルしたいとか?」
スノウ(グレイシア)はうん。と力強くうなずく この子は……すーぐ興奮しちゃうんだから まぁ、私も戦ってみたくなったなぁ…彼と
「うん、じゃぁこのバトルを見届けたら、ね?」
再び、スノウは頷く っと、いけない!最後まで見てなかった…… けど、シャワーズはラクライによって倒されたみたい あと2匹……どんな子を出してくるのかな?
その時、ポケギアがなる。やばい。と思ったけれど、幸いにばれなかった 電話の相手は、彼女だった
「もしもし…? あ、結じゃない」 《結って、省略すんなよ……。私には“結那”って名前があるのよ》 「はいはい。どうでもいいけど、男言葉は無理しないほうがいいよ?」 《む……。判った。で? どうなの?》 「うん。けっこー実力派で頭脳型だよ。かなり冷静だし」 《ふぅん……。ルリア、あんた……》 「あ。一旦きるね、ばいばーい♪」
ピッ、と通話をきる。後で起こられそう… まぁいっか さっきのは結那。本当の名前は……“純悪 結那<ジュンアク ユイナ>” さて……次はどんなバトルを見せてくれるかな?
続く
34話 荒々しき海 +クウト視点+
「いけ、スターミー!」
スターミー……。素早さも高いうえに、エスパータイプも備えてある…… ある意味、強敵だ。けど……
「クライ、ちょっと休んでろ ……いけ、ナイト!!」
次に俺が出したのはナイト。素早さが低いけど、“一つのタイプの攻撃”が無効化されるんだから、五分五分だろ
「……スターミー“冷凍ビーム”」
ピーッ、とスターミーのコアから冷却が流れ出し、ナイトにあたる もちろん、よけることはできた。けど……これも作戦の一種ってもんだ
「ナイト、“しっぺ返し”!!!」
状態異常にならなかったナイトは、プールサイド飛び越えて、スターミーに攻撃する んで、同時に“噛み付く”もやっていた
「!? ……こういう、ことだったのですか」 「へへっ、わざと攻撃受けたほうが威力倍増! ……まぁ、凍り状態にならなきゃの話だったけどな」
まぁ、効果抜群の技を二つ受けたんだ。スターミーは倒れた さぁて、次は最後………いったい、何だしてくるのかねぇ
「……これで、最後だ。キングドラ!!」 「なっ!?」
キングドラって……水とドラゴン… ちぇ、微妙に……不利じゃん
「んー………。よし、ナイト“シャドーボール”!!!」 「キングドラ、“高速移動”で避けて」
ナイトのシャドーボールは避けられ、壁にぶつかって消滅した 高速移動で素早さがあがって、避けやすくなっちまったな……… あ。でも………
「ナイト、“騙まし討ち”」
とっさにナイトはキングドラに向かって飛び出す そして俺は次の準備をしようとボールにてをかける 一回目は避けられた。でも…ナイトは身体を捻って次はキングドラに当てる 騙まし討ちは、絶対に当たる攻撃だからな こっちに戻ってきたナイトを一度戻し、またラスを出す ちょっくらダメージ負ってるけど、向こうも同じくらいだから、なんとかなるだろ ……多分
「ラス、“あられ”! んでもって“吹雪”!!」
ラスは天に向かって金切り声をあげ、雪より硬く雹より小さいあられを降らせ 次は前が見えなくなるほどの吹雪をキングドラにあてさせる あられの効果で吹雪は必ず命中する技になってるからな
……吹雪が晴れた頃、キングドラは既に倒されていた ってことで、俺のか……
「認めない!!!!!!!!!!!!!!!!!」
突然の大声に、俺とラスも驚く 認めないって、どういうことだよ……
「僕は……認めない。クウト君。僕の次のポケモンを倒せたら、認めてあげる」 「ちょ、それってズルイじゃんか!!! 最初に3対3と決めたら、それ以上はできない!! お前もわかってるだろ!?」 「あぁ、判ってるさ。だが、認めない!! 僕は海の神……ルギアに会うまで、僕は勝ち続けなければいけなんだ!!!!」 「それは…………」
―――ただの、往生際の悪い奴の言う事じゃねぇか セナの言っていることは、3回じゃんけんで決める。と言ったことを「やっぱり4回」「やっぱり5回」と言ってるようなもんだ こいつの言ってることは、間違ってる けど……戦わないと何起こるか、わかんないし…… しゃーねぇな
「……仕方ねぇ。早く出せよ。お前の4匹目とやらを……!!」 「ふっ……。いけ、“ギャラドス”!!!」
4匹目が、ギャラドス……か
「ギャラドス“龍の怒り”!!」
って、攻撃早ッ!? 指示するヒマもねぇじゃん!!! …まぁ、なんとか耐え切ったけど ギャラドスに攻撃する体力はもう無い……なら
「ラス“雨乞い”!!!」
ラスは再び、金切り声を上げて次は雨を降らした ギャラドスの特性は「威嚇」だから素早さはあがること無い 俺はラスを戻し、クライを出した
「クライ、“雷”!!!!」
クライは天に向かって吠え、ギャラドスの頭上に雷を打ち落とす 水・飛行のギャラドスには効果4倍だ ギャラドスは、そのままグラリと横に倒れた
「ギャラドス……まで……」 「さ、俺の勝ちだ。だろ? 審判さん」 「え、あ、はい。勝者チャレンジャーのクウト!!」
審判がそういうと、ステージにあったプールは無くなった(なんかの操作で) そのプールがあった場所を歩いて俺はセナのところまで歩く
「お前、間違ってる」 「ッ、何がだ!? ルギアは強い者の前に現れる。だから、僕は……」 「ルール破ってまでして勝って、それが本当に強いといえるのか?」
びくっ、とセナの肩がゆれる 多分、自分でもこんなやり方は間違ってると思ってるんだろう 俺は頭を掻きながら続ける
「……本当に強い奴って、ただ勝負に勝つだけが強いってわけじゃないと思うんだ ただ、力量があれば良いわけでもない ………必要なのは、強い心と信頼する心、なんじゃないのか?」
その言葉に、セナは目を見開く きっと今までの自分の行動が間違っていたと、気づいたのだろう セナはゆっくりと立ち上がり、はい。と手のひらにのったバッチを見せる ほんの少し後ろめたいけど、俺はそのバッチを受け取る
「……君が、僕からバッチを取ったのは初めてのトレーナーだ。誇りを持て」 「はいはい、でもお前も強かったぜ。またいつかバトルしような」 「…………あぁ」
*
ジムを後にして、もう日が落ちかけている夕日が綺麗に反射している海を見た すごく、綺麗
「……綺麗、だな」 「あぁ。夜の海も、朝の海も、綺麗だけど」
――夕日の海は、もっと綺麗だ
とユウトは言った そういうのって、普通だったら「君のほうが綺麗だ」って言うけど、俺男だし、それはそれでいっか っつか、ユウトがそんな台詞言うはずないけど
結局、街を出るのは明日になった
*
僕を負かして、僕に大切なものを気づかせてくれた ……どれもこれも、君が初めてだった
「さて……ジムに篭りっ放しじゃなくて、たまには外に出てみようかな」
まぁ、今日は疲れたから寝るけれど
続く
 |
Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.16 ) |
- 日時: 2010/09/07 13:44
- 名前: 天月
- 35話 夜月
さて、双子が人に街に出会っている頃、二人は タイの森を抜け、ノンノの手前にある分かれ道を、ノンノではない方の道へと進んだ
そこは………
「“太陽と月の都市、チュツシティ”……だって」 「この地方は、自然とかの名前が多いな」 「まぁねー」
ユウナはシルバーの言葉に胸を張って答える お前が自慢してどうする。とツッコミたくなるが、いつになくユウナが上機嫌なので許しておく 話しながら歩いていると、あっという間にポケセンにたどり着いた
ポケセンに入り、ユウナは宿泊受付に行き、シルバーは飲み物を買いに自販機まで行った
(えっと、ユウナは…冷たいココアで…俺は……。いいや、俺もそれで)
二人分のお金を入れ、同じボタンを二回押す そして、落ちてきた飲み物(缶)を取り出しどこかその辺のソファに座り、シルバーはユウナを待っていた
少しして、ユウナが部屋の鍵を二つ分持ってきて(当たり前ですが別室です) 一つをシルバーに渡し、シルバーは持っていたココアを手渡す ユウナはプシュッとプルタブを開け、一口飲んだ
「はぁー甘くて冷たくて美味しい〜♪」 「そうだな……。丁度のども渇いてたしな」 「ねー。あ、シルバーもココアなんだね!」 「あ、あぁ」
実を言うと、二人は甘党で、シルバーの母によると自分も奈々も甘党だということから、母親同士の遺伝だろうな。とシルバーは考えていた
ココアを飲み干し、二人は宿泊部屋と向かった
「んじゃ、入ってきたら殴るからね!!!」 「……。大丈夫だ」 「うん。じゃぁお休みー」 「お休み」
二人は部屋のドアを閉じながら、手を振り合った 宿泊部屋は洋室で、とても綺麗な部屋で、チュツの景色が良く見えた
ユウナはまず、ベッドにダイブした後、ポケギアで彼に電話した
「もしもしー、レッドー?」 《ユウナ!! 今どの辺に居るんだ?》 「えー? チュツシティ。って場所だよー。結構遠くまで来た」 《へぇー。頑張ってるな!》 「うん!! レッドも来れば良かったのになぁ…… ……。っあ!! 今のはなんでもない!! 空耳! じゃあね!!!」
ピッ!と慌しく通話を終わらせる。一体何口走ったんだ自分は!!!! とユウナは布団に顔を埋めながら自己嫌悪に陥った もちろん、ユウナはただ今レッドがレイシンに居るなんて露程にも思っていない
『ユウナー。ボクにはちゃーんと聞こえてたよ?』 『私もちゃーんと聞こえてたよー!』
いつの間にかボールから出ていた二匹―ルナとピル―は先ほどのユウナの言葉を聞いていた様だ
「……ルナ…? ピル……?」 『『!?』』
埋めていた顔を上げ、怖い笑顔で二匹を見た 二匹はビクッと身体を強張らせ、後ずさる 逃がせまいとユウナは二匹を猫掴みする(ねずみと犬?を)
『ご、ごめんなひゃい……』 『だってだってー!!!』 「だって、じゃない!!」
二匹に一喝を入れ、ボールに戻す 怒った事で疲れが溜まったのか、お風呂に入ってもう寝ようとユウナは思った
*
「おはよー!シルバー!」 「おはよ。ユウナ。……昨日、叫んでたな」 「それは……この子たちに、ちょっとした喝を、ね?」 「そうか…(一体、何やったんだよ……)」
はぁ、とシルバーはユウナの腰についているボールを見た ルナとピルは、心なしか落ち込んでいた
続く
36話 純粋な悪魔 +あの方視点+
ったく……。ルリアってば…… 怒る気もなくすよ、まったく
「っと、こっちは神子を見なくちゃいけないんだっけ…… って、何で“悪”の私が神子を……“天”のルリアが見たほうが、よかったんじゃ……」
ま、独り言はここまでにしておこうっと あ私はユイナ。本当の名前は“純悪結那” 由来は「“純”粋な“悪”魔」から。矛盾してるけど、私はこれはこれで良いと思う だって、人のココロなんて矛盾で満ち溢れてるもの……
……“宝来優奈”。影の二つ名は“光闇の神子” ソノ血には、アルセウスの能力の血とマサラの血が混ざっている その過程で、彼女は“意思繋ぎ”の能力を手に入れた んで、ダークライの能力の血も、ね クレセリアの血も……ちょっとだけ混ざってるのかな
私もルリアみたいに、神の四家には関係ないけど、神サマにはちょっと関係している 神サマというか、私は“悪魔”にルリアは“天使”に…… でもその悪魔は悪いことをできない、純粋な悪魔 純粋で無垢で、儚い悪魔 なんていうか、堕天使にも悪魔にもなれなかった。そんな悪魔
ルリアは、人に幸福を与えられなかった天使 だって自分が幸福じゃないのに人に幸福を与えれるなんて、無理に決まっている 言うなら、堕天使にも天使にもなれない。そんな天使だったそうだ
………文献によれば、それは、私たちのご先祖様だったそうだ これは私しか知らない。ルリアはきっと知りたくないだろうから
すっ、と腰についている一つのボールを取り出す 中には、ブラッキーのダーク。英語で闇 私の一番のパートナーで、この子の声は聞こえる っていうか、悪タイプの子の声は聞こえるんだよね ルリアは、声っていうか…ココロが詠める。人やポケモン、物にもね これも、ご先祖様の能力だったらしい
「私たち、大変だね」
私は自嘲気味に笑う、ダークは心配そうに私の顔を見る ……ありがと
「さぁって、神子さんのこと見守らなくちゃね!」
続く
37話 Evil that approaches
影はいつだってついてくる。光がある限り闇があり 正義がある限り悪だってあるのだ 悪を全て消そうなど、愚かにも程がある―――
「さて、ココで特訓でもしよっかー。ね、シルバー」 「あぁ。ここなら広いしな」
二人は、チュツの外れの森に来ていた その森の中に、バトルに最適な場所を見つけたらしい 二人はさっ、とボールを宙に投げた ユウナはルナ。シルバーはニューラだ
「……ニューラ、“乱れ引っかき”」 「ルナ!“影分身”!!」
シルバーの指示から、特訓は始まった どちらも悪タイプのため、二人は出来るだけ悪タイプの技を使わずに指示している
―その時だ。二匹は不意にピタッと動きを止める そして、辺りをキョロキョロと見回す。まるで何かに警戒しているように そんな様子に、二人も辺りの気配に気づく
何か、潜んでいる。と―――
(…どういう事? さっきまでシルバーでさえ気づかなかったのに…… でも、さっきからこの辺りは邪気で溢れてる ………怖い)
「……何処に居る!!! さっさと出て来い!!!」
いきなり、シルバーが叫んで、ユウナと二匹は驚く それもそのはず、シルバーが怒鳴ることは、稀だ そして潜んでいる相手も突然の怒鳴り声に驚き、ガサッと音を立ててしまったようだ それを、シルバーは見逃さず素早くニューラに指示を出した
「ニューラ、“電光石火”!!!」
ニューラは音の鳴った草地へと高速で向かう ……が、相手は居なかった 確かにそこに居たはずだ、そして自分の指示は音が鳴った瞬間だから、他の場所に移動なんて、ほぼ不可能だ ……テレポートなら別……。テレポート?
そして再び、草の揺れる音が鳴った なった場所は……ユウナの背後 それに、相手は……ユウナの真後ろに居た
「!?、ユウッ……」
ユウナ。と呼ぼうとしたその時、相手は、ユウナの頭上に、刃物を、振りかざしていた
「ッ……ユウナ!!!!!!!」
つっかえた喉から出てきた言葉は、酷く裏返って掠れていた その声にユウナは振り向くが、もう刃物は目の前に迫っていた
痛みと、死を覚悟してユウナは目を瞑る
ザグ、と肉を切る音がした。
……だが、何時まで経っても痛みはこない そっ、とユウナは目を開けると、相手の持っている刃物には、血が そして、自分と相手の間には……
最も信頼していた、家族が、倒れていた 黒い毛からは、赤黒い血が流れ、黄色の毛の部分が赤黒く染まっていく ユウナは、何が起こったか理解できなかった。否理解したくなかった
「あ……ルナ……………!?」 『あ、はは……ユウナ、大丈夫だっ、た……? 怪我、してない………?』
ルナは、自分が危険な状態に陥りながら尚、ユウナを、この世で最も大好きな主人を心配していた
「どうして……、あんたがっ、犠牲になったのよ……」
ユウナは、力尽きたようにその場にペタンと座り込み、息の薄いルナを見つめた その赤い瞳も虚ろで輝きをも失いかけていた それでも、彼は笑って
『ぼ、くは……ゆうなが、傷つくほうが……もっと、辛くて、痛いから…… こんな傷、へっちゃら、だよ……』
そして、彼は微笑み、気を失った あ。とユウナは息を止める、思いたくない 思いたくないけれど最悪の状況が、目の前に映った気がした それは―――――「 」。
そんな事、絶対にさせまいとユウナはルナを抱き、全速力で森を出ようと駆け出す シルバーはそこで置き去りになって、気づいた
いつの間にか、敵が居なくなったという事に きっとユウナはルナのことで頭がいっぱいで、気づかなかったのだろう そして、シルバーも目の前の光景に戸惑い、敵が居なくなったことにも気づけなかった
「…相手は、ユウナを狙っていた。だが、予想外の出来事がおき、去っていた。……かな」 「ニュラ……。ニュラ!!!」 「あぁ、俺たちも早く森を出るか」
そう言い、シルバーとニューラも、森を出て行った
*
「ユウナ………」 「シルバー、ルナはね、ギリギリ助かるって! 見た目以上に傷は酷くなくって、手術して、少ししたら、すぐ、良くなるって…!!」
その顔は、嬉しさと涙でぬれていた だが、その裏には、きっと……。 シルバーはチラリとユウナの服を見た …血で、ぬれていた
「……ユウナ、服。血ついてる」 「え!? ……本当だ。気づかなかった…… 着替えてくるね!!!」
タタッと、ユウナはシルバーの横を通り過ぎて、脱室へと向かった シルバーは傍にあったベンチに腰掛、背中を壁に預けて、肺の中を整理させるように息をはいた
驚いた。とでも言えばいいのだろうか 人に刃物を向ける人など、おぞましい行為だ たとえいかなる思いがあろうとも…… そして、ユウナは泣いていた 稀にしか涙を見せない彼女はきっと、涙が出てることさえ気付いていないんだろう……
*
脱衣室でユウナは着替え、血のついた服を洗っていた その時初めて自分は泣いていたんだと気付く 目の前の鏡に映る自分の瞳は濡れていて、赤くなっていた
ショックだった。目の前で家族が傷ついたのだから それも、自分を庇って そして彼女は無意識に自分を責めていた
何故、気配に気付けなかった? 何故、周囲に気を配らなかった? 何故、ルナを出しっぱなしにしていた――?
気配に気付けば、少なくとも誰も怪我をしなかった 周囲に気を配れば、すぐに相手の場所がわかっていた ルナをボールに戻せば、彼は傷を負わなかった
それなのに………。自分はなんて、酷いのだろう 自分はなんて……未熟なのだろう―――
*
「ちょっと、貴方…その血塗れた刃物はなぁに?」 「ッ……!!」 「もしかして、神子さんを傷つけたりした?」 「していない…。しようとしたが、邪魔された」 「そう。…………でも、神子様を傷つけようとした罪は、重いわよ? ヘル“催眠術”」
黒い髪の少女―ユイナ―は、ヘル(ムウマ)の催眠術で 先ほどルナを傷つけた相手を眠らせた その後、被っていたフードをとったら 攻撃した相手は、自分や彼女らとなんら変わらない歳ほどの少年だった コートを取り、服を見れば胸のほうに「B」のイニシャルがあった
(………“ブレイク団”は、子供も雇ってるのね……ったく、酷い奴ら)
だが、この少年は、刃物で人を傷つける事に何も疑問を抱かなかったのだろうか…… その疑問を解決するべく、彼女はポケギアで通話をした
「ルリア? 今すぐ私の居る場所にきて」 《りょうかーい。何か見つけたんだね?》 「えぇ。一刻も早くよ」 《オッケー》
そう言い、通話は途切れた 早く、こいつが目覚める前に………
続く
38話 心詠
ユイナが電話してから少し後、ルリアはトゲキッスに乗ってやって来た トゲキッス…ホーリーは眠っている相手を起こさぬよう、目的地より少し遠くで着地する ルリアはホーリーの背から降り、首元をひと撫でしてからボールに戻しユイナの元へ向かった もちろん、相手を起こさぬように静かに そして二人は小さな声で会話する
「おまたせ」 「ん。さすが早いね」 「ユイナは“判りやすい”からすぐ場所が判るの …で、この子が? 私たちと同じくらいじゃない」
先ほど眠らせた少年を目で見て、ルリアは言う そしてユイナはまじめな顔で頷いた チッ、と小さく舌打ちしたあと、ルリアは目を瞑った
―心詠<ハーツリーディング> これが、彼女の先天性の能力で人を始めとするさまざまなモノ(ポケモンや自然関係など)の心を詠むことがきる ただ、時間が経つにつれ、記憶が薄れていくのと同時に心を詠む時も曖昧になっている時がある そのため途切れ途切れの事も多い イエローと似たような能力だが、ポケモン以外の心を詠むことが出来る部分と自身の精神力を使わない部分は違っている 先ほどの「ユイナは“判りやすい”」というのは、彼女の心がルリアにとって“発信機”のように詠み取れるだからであろう
―『――です!ぼ―…に、そ――こと!!』 ―『……か。なら―……。お仕置―だな』 ―『!? ―めて、くだ―い!!』 ―『なら―…、コレを―って、宝来の神子を……殺せ』 ―『ッ……はい』
ルリアは、驚いて目を開ける 宝来の神子――。それは問えば誰もが一致する答えを言うだろう 「宝来優奈」と……… ちらり、とルリアは少年の手に握られている刃物にこびりついている血…… それは、彼女のものなのだろうか……
そして再び目を瞑り、少年の心を詠んでいく …記憶が新しい。きっと今日のことだろう
―『ッ、ユウナ!!!!』
酷く裏返った少年の声の叫びの後、肉を切る、嫌な音がした だが、ユウナは傷一つついていない 代わりに傷ついているのは……ブラッキーだった
そうか…あの刃物についた血は…ブラッキーもの…… きっとユウナを護ろうとした、決死の行動だったのだろう そして、この少年はケーシィの“テレポート”でその場から去った 元々人を殺すことを躊躇ったのだ。動揺して場を去るのは当たり前だろう
―『…どうしよう、僕、失敗した……!! あの人に、殺される……!!! …でも、僕だってやりたくてやったわけじゃない…… あの人が無理やり僕を団に入れて、無理やりこんな仕事を与えたんだ……』
ここで、真実が見えた。この少年は攫われてブレイク団に入団させられた きっとこの少年以外にも少女や少年が同じような扱いを受けているのだろう
もう十分だろう。とルリアは思い、目を開ける ユイナに詠み取ったことを伝えた
「そっか……つまり、強制的に殺人をやらせようと……にしても、“あの人”ってやっぱ……」 「ボス、でしょうね。それかその幹部か部下 ……神子様が、優奈が死ななかっただけでも不幸中の幸いね」 「えぇ。“神の四家の内の二家の次期跡継滅んだ時、世界に歪みが生まれる”と記されているくらいだし……」 「うん。宝来家と神崎家の次期跡継…優奈、悠斗、空斗のうち誰かが滅んだとき…世界に歪みが生まれる 優奈の場合は光と闇の均衡<バランス>が乱れ、人々の心が壊れてしまう 悠斗の場合は時間の均衡が崩れ、時間が止まったり、早まったり、戻ったり、進んだりする 空斗の場合は空間の均衡が歪み、人が消えたり土地、建物が消え最終的には世界が消える」
ゴクリ、とユイナは息を呑む。恐らく、いやきっとその3人はまったく知らないのであろう けれど…疑問が残る
「じゃぁ“前世”の空斗は殺された。でも本当は悠斗が殺される予定だった ……それは、どういう事?」 「……あの祖父は知らなかった。だから双子の弟を殺そうとした けれど空斗が庇い、空斗は弟を見守りたいという未練から、自らを弟の“裏の姿”とし、世界の歪みを押さえてた……。とした言えないわ」
そっか……とユイナは満月が浮かぶ夜空を見上げる ―満月は厚い雲に覆われそうになっていた
ん…、と自分でもルリアでもない呻き声が聞こえた 少年が起きたのだ そして上半身を起こし、寝ぼけ眼で辺りを見回す そして…目の前に自分を眠らせた少女が居て、頭が起きたらしく後ずさる
「あ。起きてる」 「な…あ………あ……」 「…。落ち着いて。私たちは貴方を傷つけることはしない。絶対に とりあえず、貴方はこの子に乗って、この地方から出て この子が向かう場所を判っているから」 「な、ん………」
いきなり「レイシンから出て逃げろ」と言われて動揺しないほうがおかしい 不安と恐怖で顔を歪ませる少年を見て、彼女は優しく微笑み、言う
「私は、私たちは、あなたを見殺しにしたくない …きっと、このまま“あの人”の場所へ帰れば任務失敗で殺される 私はそんなことさせたくない。あなたも殺されたくないでしょう?」
その口から紡がれる言葉は相手を包容するような母の優しさだった 少年は、頷く。その仕草にルリアは目を細めて続ける
「この子…ホーリーの背に乗って、あなたは逃げて 大丈夫。この事が終われば迎えに行くから。ね?」 「……わか、った……」 「うん。じゃぁホーリー、よろしくね」 「キュイ!」
ホーリーは片翼をあげて鳴いた「まかせて!」とでも言ったのだろう 少年はホーリーの背に乗り、ホーリーはゆっくりと宙に浮く そして、行くべき場所へと飛び立った
「あの………ありがとう!!!!!」
少年は去り際に、ルリアとユイナに礼を言った もしこの二人に会わなければ自分は死んでいた この二人は命の恩人だ。と思ったのだろう
「……あの子、やっぱりあそこに向かわせたの?」 「うん。“天魔教会”の神父さん…ううん、お父さんとお母さんなら、事情を判ってくれるからね」 「……そうね」
二人は顔を見合わせ、ニコリと微笑んだ その後、二人は再び別れ双子と神子を見守る為に 二人は“天使”と“悪魔”として、世界を護る為に
続く
39話 ごめんね
パッ、と「手術中」と書かれたライトが消える それが消えたと同時にユウナは座っていたベンチから立ち上がり、扉の向こうを見つめた
ガチャリ、と扉が開き、中からジョーイさんが安心したような顔で出てきて こう言った
「貴方のブラッキーは、治りましたよ」
嬉しさと驚きで目を丸くしているユウナに、ジョーイさんは微笑み、言う
「逢いに行ってあげて、ユウナさん」 「…はい。ありがとうございます!」
ユウナはジョーイさんにお辞儀をして、彼女の横を通り過ぎた
「……あの、」 「大丈夫ですよ、シルバーさん。ブラッキーは助かりました ……ただ、気になるのは傷です。あの切り裂いた傷は……」 「…はい。刃物…です、でも、俺は、ユウナはやっていません 顔は見えなかった…だが、フード付のコートを、着ていました」 「そう……。やっぱり……」
目を伏せたジョーイさんにシルバーは問う
「あの…まさか、知っている。とか?」 「えぇ。実は――――」
*
「ルナ……」 『…ユウナ! いたぁ!?』 『あ! まだ完全に傷が癒えてないんですから!! 大人しくしてくださいよ!』 『はーい…』
ルナとジョーイさんのラッキーがそんな会話をしていたからおかしくなってユウナは思わず笑った そして
「……ごめんね、ルナ」 『ふぇー? 大丈夫だよー。それより、ユウナは怪我無いー?』 「…。私は、無いよ。………ありがとう」 『そっか! 良かったー! ユウナが傷ついたら、ボク絶対3ヶ月寝込んじゃうよー』 『3ヶ月も…ですか』
へらへらと、優しく言うルナに …ルナに気づかないように、
ごめんね。とありがとうと呟いた
*
「………、ブレイク……団?」 「えぇ。……最近、レイシンに…ね」
続く
40話 痛み
「………。」 「シルバー? ねぇシルバーってば!!」
その日の夜、私はシルバーに呼ばれた 呼ばれた。呼ばれた。でも、シルバーはさっきから無言で前を歩き続けてる(無視ってことね) 私は無視と虫と無死が嫌いなんだよ! いつもなら、服を引っ張ってでもとめた でも、シルバーから放たれるオーラがそうさせなかった
* +シルバー視点+
『……ブレイク団?』 『えぇ。…最近このレイシンに…やってきたのよ』 『で、でも、この地方に“邪気”は無いって……』 『えぇ、少なくともロケット団の様な邪気の塊は無かった』
“ロケット団”その言葉に反応してしまうのはやはり、繋がった血の所為なのだろう 邪気の塊…邪気…悪者…… あ。 前に一度、あの黒い奴……あいつも、まさか……
『…俺、もしかしたら会った事あるかもしれない』 『え……? 神子…ユウナさんは大丈夫だったの!?』
ジョーイさんは、急に慌てて俺に問うた 神子。という言葉に首を傾げたが、ただうなずいた そしたら、ジョーイさんはほっ、と肩の力を抜く
『……気をつけなさい。奴らは世界の均衡を崩し、世界を我が物としようとしているの その為には、子供だって利用する この地方で最近誘拐事件が多発しているのは全てブレイク団の仕業だと警察は踏んでいるわ』
世界の…均衡…バランス…それを崩す。バランスを崩せば、倒れる…壊れる ……奴らはソレを利用して世界中を恐怖に覆い、その恐怖心を煽る様に、利用する…という訳か
『…ユウナさんはきっと知らないわ だから、教えてあげて。“彼女が世界の均衡を保っている”ということを』 『――――――ッ!?』
ユウナが、世界のバランスを……保っている……?
*
「ねぇ、シル…バー……?」
シルバーは、人目のつかないところに来て、立ち止まる けれどユウナの方は向かなかった
(……言えるかよ。ユウナがそんな重大な立場だって知ったら、あいつは絶対に また背負い込むことになる。 宝来家の跡継、俺の従姉、図鑑所有者、孤独…… これ以上、背負わせて溜まるかよ…… 少なくともユウナはアノ人のお陰で………)
「……何、考えてるの。私には言えない事だよね でも言わなきゃ大変なことになるような事だよね それでもシルバーは自分の口から言うのは躊躇う事なんだよね それでも私に言わないといつかヤバイ事になるような事なんだよね」
ユウナの口から紡がれる言葉に疑問は無かった 確定したように紡ぐ言葉だった その瞳に光は無く、“蒼”から“銀”に変わる前だった シルバーはその瞳を幾度か見たことがある けれど、今回は恐ろしくて振り向けなかった
何故、自分の考えていることがわかった? 心を詠むなんて、普通の人間が出来るはず無い それが怖くて、振り向けなかった が。
「………仲間って、嘘は無いんだよね?」
その言葉にシルバーは振り向いた ユウナは笑っていた。光のない瞳で 蒼と銀が入り混じったが、だんだんと銀に変わっていく瞳で
「……それ、お前が言えることかよ?」 「やっとコッチ向いた。 もう一度言うよ。仲間ってのは……」
パシン、と乾いた音が静かな空間に響く シルバーは、右手でユウナの左の頬を叩いた たった、それだけの事
「……確かにな、仲間は嘘や隠し事は無い けど、それをお前が言えるか? 言う権利はあるのか? 俺とお前、どちらの方が隠し事が多い? 嘘が多い? 考えるまでも無い。お前の方が多い どんなに俺が、俺たちが訊いても“何でもないよ”って泣きそうな顔で笑って 最終的にはあの人にだけ話して!!!! それも出来なかった時は狂って……… 俺たちは心底心配してるのに、お前は……。 ……だから、お前は仲間なんかじゃない 嘘をつかないのが仲間なら、お前は……仲間じゃ、無い」
その言葉に、ユウナは無表情で訊いていた そして、全てを堪える様に笑い
「そ、っか。それはそれで良いんじゃないかな? だって私が旅に出なかったら少なくとも仲間じゃなかったんだし たったそれだけの事だよ。ただ私たちが仲間になったのは、ただの運命がぶつかっただけ 神サマのイタズラだよ。ただの。 だから……もう、帰っていいよ、シルバー」
最後に、唇をかみ締めて、笑い、隠すようにシルバーの横を通り過ぎていった
何も言わず、俯いているシルバーは、嗚咽を堪えて泣いていた 判っていた。あんな事を言えば彼女は強がると 「嫌だ」とも「やめてよ」とも言わず 「良いんじゃない?」と強がった 本当は泣きながら否定したいはずだ なのに彼女はそれすらもしなかった 否、“知らなかった” 我侭を言う術も人に甘える術も人を愛する術も何も知らなかった
突然、ザッ、と地を踏む音がし、涙を拭って彼は前を向く そこには漆黒のごとく黒い瞳と黒い髪。そして汚らわしい白の肌の男がいた あの、黒服だった
「なっ……!!」 「おっと、攻撃なんて真似してはいけませんよ。攻撃した直後、貴方はその倍の攻撃を私の部下によって受けますからね」 「………!? やはり、お前…ブレイク団……」
彼の後ろには、たくさんの部下……いや、自分と対して変わらない少年少女が多数いた 中には全てを諦めたような無表情。中にはここまできてもやりたくないと泣きそうな顔 中には傷つけたいと笑う顔があった
「おや、知っていたんですか ……それなら話が早いですね。サカキさんの息子さん」 「なっ、ぜ……それを、知っている……?」 「何故って…そりゃぁ自分たちと同類の者の情報など、当然入ってくるに決まってるでしょう 一人は物質的支配。一人は空間的支配。一人は時間的支配。二人は自然的支配 …まぁどれも、貴方やそのお仲間によって防がれましたけれどね ……私たちの目的はそんなチャチなものではない 世界的支配。とでも言いましょうか……」 「世界……? ……あ」
そういえば、先ほどジョーイさんが
“彼らは世界の均衡を崩し、世界を我が物にしようとしているのよ”
「………。行かせない。この先には絶対に行かせない」 「おや、先ほど貴方は“仲間ではない”と口にしたはずですが……?」 「それでも、行かせない。行くのなら、殺す」 「……ソノ前に、貴方の身体が蜂の巣になりますがね? …っと私の目的はそんな野蛮なことではありません」
黒服は、淡々と喋っていく 黒服は、漆黒の瞳でシルバーを見ながら続ける
「……彼女を救うために、一役買ってもらいませんか?」 「は…………?」 「もちろん、嫌と言ってもいいですよ。その代わり……私たちは彼女を瀕死にさせてでも掻っ攫います」 「なっ………」
どちらを選んでも、世界は奴らのモノになってしまう どちらを選んでも、ユウナは傷つく シルバーが一役買えば、彼女の心が シルバーが断れば、彼女の身体が 結果、どちらを選んでも悪い結果になる 残された道は唯一つ。 この場で奴を倒すこと だが、代償にシルバーは傷つく。最悪の場合死に至る
それでも、倒さなければ、いけない
「……俺は、お前を倒す」
男は、ニヤリと嘲笑った(わらった)
それでも、シルバーは退かなかった
続く
41話 ふつうのひと +ユウナ視点+
どれぐらい、走ったんだろう ……あはは、またやっちゃったよ……… 私は、力が抜けたようにその場に座り込む ってか、“我侭を言う事”も“甘え方”も“愛し方”も“素直になる事”も判らない私って 普通の人間じゃないよね……あ。生まれた時から、か 普通の人間になりたかった でもほんのちょっとだけ特別な人になりたかった だから、羨ましかった “普通の日常”から“特別”になった図鑑所有者が …そりゃぁ、シルバーやブルーさんは、少し違うけど……
世界に数人しか居ない聖人<セイジン> それは、生まれた時から神の能力を継がれている 神に限らず、天使や悪魔も その人達は外見は人間でも中身は“神代<ゴットレプリカ>”みたいに呼ばれている 文字通り、神サマの代り。まぁ言うなれば双子のどちらかが風邪引いて、引かなかったほうが弟の代わりを務める そんな感じ 現実世界にあまり出られない神サマの代りに私たちは現実世界で生きる。ってこと。ただ、現人神とはちょっと違うんだけどね だから私は、私たちは普通じゃない 私たちが死んで、世界が狂うことだって有り得るのだから……
それにその聖人たちには必ず二つ名が存在する 私は「光闇の神子」 お父さんは「光闇の竜王者」 神崎双子は「時空双子」 ユウトが「時間の覇者」 クウトが「空間の破壊者」
っていう風に、一人ひとりにまたは二人で一つの二つ名がある 代名詞じゃない、二つ名 だから、この地方で二つ名を言えばどんな場所でもきっと通れるでしょうね
「………なんで、普通の人として生まれなかったのかなぁ………」 「“運命のイタズラ”でしょうね」
急に聞こえた、低くい声 アイツの声は低くも高くもとれない声 シルバーの声は声変わりし始めた少し低い声 どちらでもない…… じゃぁ、ダレ?
「……あんたは………、確か……」 「覚えててくれましたか。えぇ、以前貴方を襲った者です」 「……。何のよう? っていうか……シルバー、は?」 「あぁ、あの少年なら………私の部下が倒しました」 「なっ!?」
部下……? 倒したって、まさかシルバー……!? その男は、笑って
「大丈夫ですよ。“殺しはしません”から」 「………あんたねぇ……無関係な人を巻き込むんじゃないわよ!!! シルバーは関係ない! 用があるのは私のほうでしょ!? シルバーが一体、何したって言うの!?」 「……彼は、私を行かせまいと勇敢に滑稽に攻撃した だから……反撃した。たったそれだけ」
何で…何で、攻撃したのよバカシルバー “帰っていい”って言ったのに! 私のことなんか放って置いて良かったのに! 何でよ………
「…彼は私を殺してまでも行かせない。と言っておりました 優しい方ですね、あなたとは違う優しさ 罪を犯してまで守り抜こうとする優しさ 心配をかけぬよう嘘を使って巻き込ませないようにする優しさ ……一体どちらが正しいのでしょうかね」
……そんなの、変らない 傷つく相手が変るだけ だから私は他人が、仲間が傷つくより自分が傷ついたほうが良いと思った だから嘘ついた。平気じゃないのに大丈夫って言った そうすることで、少なくとも巻き込む確率は減る ……アイツはその嘘さえ見抜くだろうけど だから、私はアイツに、縋ってしまう
「………、シルバーが死なないのならいいわ で? 何の様なの?」 「…ちょっとだけ、“前世”と入れ変ってもらえませんか? “宝来優奈”」
前世……? 前の、私………? 一体、どういう事……?
「どういう、事よ……」 「対して意味はありませんが……少なくとも前世のあなたの方が意志が強かったらしいですよ」 「い、し………?」
こいつ、何言ってるの? 前世の私は、ここ(現世)にはいないはずでしょ? 頭おかしくなったの……?
「彼女は、心の傷を背負いながら世界を救った 同じくして幼き頃に全てを失った時間の子と共に」
――――――――――――あ。
あー。なるほど。懐かしいね “約束”まだ果たしてなかったっけ? そーだそーだ。やっと思い出したよ
「……で? この子に何の用があるの? 今のユウナに、何の用?」 「………。(口調が少々変ってますね……。自信の表れでしょうか…?)」 「……、口調が変るのは、仕方ないことよ この子は大人しい…ってうより謙遜ちゃんだもの」
でも、この子の方がよっぽど女の子らしいけれどね そんでもって強がり ……私は、泣き虫だからね 周りに頼ってしまうってのは一緒かもしれないけど
「……まぁこの私と、この子との違いを見たかっただけなんでしょう? なら、もう戻るわ」 「…………好きにすればいい」
……大丈夫だよ。あんたなら 今の私より強くなれるからね――――
「…………、それじゃぁ。改めて目的を…教えて」
続く
42話 世界的支配
「……貴方の力をかりて、世界を支配する というのが“当初”の目的でしたが…方針が変りました 貴方と時空双子の力を借り、世界をわがブレイク団のものとします ……そういえば、まだ名を名乗ってませんでしたね 私の名は……クロイ<黒射>。と申します」
黒射……黒を射る……クロイ…… 真っ黒……
「……ふーん、じゃぁクロイさん どうして私とあの双子が対象なの?」 「……貴方やあの双子が後を継いだ時、現在の頭首はその能力は完全なるものではなくなるからですよ」 「………そう。でも、私がそれに協力するわけにはいかないのよ 私の使命は“この世に潜む悪を倒す”事 そんな私が悪者に協力するなんて外道なこと、出来ないよ ……無理やりにでもさせるんなら…… 私を倒してからにしな!!!!」
その声に応えるように、ユウナの腰に付けてあるモンスターボールからは、彼女の“家族”たちが出てきた “意思繋<インテーションティース>” それが、彼女の能力 ポケモンと自分の意思を繋ぐ事により、そのポケモンは普段よりも能力は増幅する あるいは素早さのみがあがったり、力量が上がったりする
「……いいでしょう」
*
ソノ頃、シルバーは既にボロボロの状態だった
「ッ、くそっ………」 「大丈夫ッスかぁ? そんなボロボロになって… っつか、ニューラ一匹で俺たちに挑むとか、バカか? お前 今頃、クロイさんは……お前の大事な“従姉さん(ねえさん)”と交渉中かもねぇ?」
倒れ、息の荒いシルバーに声をかけたのはとある少年の口調と似た少年だった だが、その言葉に優しさは含まれていなかった 身体に鞭を打つようにシルバーは全精力を持って立ち上がろうとする だが、その様子をみていた少年は彼の前髪を持ち、持ち上げた
「ッ………!?」 「ったく、楽になっちゃえよシルバーちゃん 別に俺らはお前を殺したくねぇんだ ……だから、楽に死んでおくれよ」 「……断るッ………!!!!」 「…………なら、俺が殺してやるか」
少年は、前髪を掴んでいない反対の手を握り、シルバーの顔に拳を向けようとした その瞬間
「“ツルの鞭”!!!!」
何処からか延びて来たツルが、拳を握った腕に絡まり、動きを止めた シルバーはその声を主を知っていた
「………れっ、ど……さ、ん……」 「……お前、俺の仲間に何やってんだ? ……んでもって、俺のユウナは何処にいる?」
黒い髪、赤い瞳… 表情は笑っていたが、瞳は笑っていなかった 明らかに、怒っている ……レッドは
「……離してくれませんかねぇ? このツル」 「断る。お前こそその手を離せ ……じゃないと、俺のフッシーの“葉っぱカッター”がお前を切り刻むぜ?」 「………チッ」
やはり自分の身体が傷つくのが嫌だったのだろう、少年はしぶしぶソノ手を離した 地面に直撃しかけたシルバーは、フッシーのツルによってそれは逃れた これ以上怪我させれば、義姉さんの報復が来るだろう
「さっさと退け。俺は容赦しないぜ?」 「………てめぇら、ここは一旦退くぞ ……クロイさんは、奥にいる」 「そうかい。ありがとな」
そうして、子供たちはいなくなった 緊張が解けたのか、シルバーはぐらり、と気を失って倒れた
「………無理しすぎなんだよなぁ、お前ら従姉弟は とりあえず、休んでろ。フッシー頼んだぜ」
こくん、とフッシーはうなずき、レッドは奥へと走っていった
*
「…クロイさん、もう勝負はつきましたよ…… いいか、げん……諦めたら、どうです……?」 「……まだですよ」 「こんの、根性悪男が!!!!!!」
確かに、勝敗は明らかにユウナが勝っている というより、クロイのポケモンは全滅した けれどクロイは引き下がらない その時、クロイは何か気づいたように言う
「貴方のその能力は、精神力を使うのですね」 「っ、それが……どうしたの?」 「………貴方と私、どちらの方が体力が残っていると思いますか…?」
ユウナは既に肩で息をしている状態で 対するクロイはまだ涼しい顔をしていた
「……そんな、の関係……ない……でしょ……」
そう言った時、ユウナは立ちくらみを覚え、そのまま倒れそうになった だが、地面の感触ではなく、ユウナが一番好きで一番安心できる 温もりの感触だった ユウナは顔を上げると、そこには……
「……なっ、レッド……!?」 「意思繋ぎは体力を使うんだよ。って言ったのはどこの俺の嫁ですかねー」 「………五月蝿い」 「まぁいいや。クロイ…だっけ? お前の部下はとっくに退いたぜ …だから、このレッド様にやられるまえにお前もちゃちゃっと退けよ」
レッドは極めて笑顔でクロイに話しかける
「………………仕方ないですね まぁいいです。……いずれ、私は貴方を手に入れますから」 「…………。」
*
「……ってことで。俺は行くな 二人とも無理するなよ」 「「はーい」」
レッドはポケセンで二人の怪我の手当てをしてから、二人と別れた 心なしか、ユウナの顔は残念そうだったのは言うまでも無い
「……あの、シルバー……ごめん」 「いや、俺も………すまなかった」 「……あの、さ、これからも一緒に……旅、できる……?」 「……………あぁ」
続く
43話 Secret
―次の日、二人はこの街を出ようと思ったが、レッドの計らいで二人は今日一日外に出るな。とジョーイさんに言われた 元々一つ所にあまり留まりたくない二人だったため、膨れっ面としかめっ面のまま昼になってしまった
「……暇」 「知るか。…俺もだが」 「…………、あ、そうだ」
ユウナは何かひらめいたようにシルバーの顔を見る シルバーは首を傾げるが、脳内には嫌な選択肢が浮かんでいた
「……私の秘密、話そうかな。こんなことになっちゃったんだし」 「……いいのか? ユウナはそれで……」 「良いよ。……その代わり、シルバーも危険に関わってしまうかもしれない 最悪の場合、人が死ぬ所を見てしまうかもしれない …もしかしたら、シルバーは死んでしまうかもしれない ただ、関わってしまった場合、こんな傷では済まないと思ってて ……それでも、一緒に旅してくれる?」
ユウナは、シルバーの頭に巻かれている包帯を見ながら、シルバーの瞳を見ながら訊く そんなの……、と呟きシルバーは
「そんなの、元々俺は危険に関わったんだ。今更そんなこと訊くまでもないだろう それに俺は昨日言った筈だ ……一緒に行く。地獄の果てだって、お前に付いて行く」 「………ありがとう …じゃぁ、まず宝来家…神に関する人達の事について説明するよ 私たちは外見はなんら変らない人間 でも中身は“ニセモノの神サマ”まぁ“神代”と呼ばれてるんだけどね だから私達は神サマの能力を使える」
ユウナは陰りのある表情で話す ニセモノの神。つまり中身は普通の人間ではない そのことが気に入らないのだろう ……そういえば、去年の七夕の短冊に 「普通の人になりたい」って書いてあったっけ……
「そんでもって、私達が死んだら世界になんらかの支障が出る 私の場合、全人類の心が狂うわ」 「……知ってたのか…? ユウナが死ぬことによって、世界の均衡が崩れるってこと……」
シルバーは驚きながらそう言うと、ユウナも驚いてシルバーを見た きっとお互いがお互いに知らないと思っていたのだろう
「…なら、話し早いね。あいつ等はそれを利用して世界を手に入れようとしている もし、レッドがこなかったら……あっさり捕まってたかもね、私 ま、だから巻き込みたくなかった 私達が旅に出てから着かれている事は何となく判ってた ……まぁ、イレスシティで“見つかった”時に確定できたことなんだけどね……」
はぁ、と溜息をつきながら、髪を耳にかける そういえば、ユウナがこんなに自分のことを話したのは…、恐らく初めてのことだろう そんな些細なことが、シルバーには少し嬉しかった
「………こんなことしてる間にも、どこかで私達の情報が漏れているかもしれないから早く出たかったんだけどなぁ…… 特に、あの2人に事情説明しないと…… あと、ノチウにいる銀羽の所にも……」 「銀羽?」 「うん。海の神と願星…ルギアとジラーチの能力を継ぐ神の四家の一つよ あとシンオウにももう一つあったんだけど…そっちは多分理解済みだろうから……」 「多いな……」 「でしょ? なんでも大昔、神サマ達とミュウが決めたことなんだってさ」
ふーん。とシルバーは興味なさそうに答えながら席を立ち、自販機へと向かう もちろん、興味が無い訳ではなく、子供のように目をキラキラさせて答えるのが恥ずかしいだけだったりする
「シルバー! 私ミックスオレ!」 「はいはい、っと」
……まぁ、一先ず一件落着。ってことかな?
*
さて、レッドはソノ頃―――
「……さてと、俺はユウナとは別ルートで調べますとしますか とりあえずこっちは人脈を使って……。もしもし、グリーン?」 《なんだ?》 「あのさー最強のジムリーダーさんとオーキド博士にちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだ “ブレイク団”について、調べてもらえないか…?」 《ブレイク団? ………もしかしてレイシンで何かあったのか?》
よしよし、食いついてきた まぁ何かあったってのは本当のことだから、全部話すか そのほうが受け入れてくれそうだし
「あぁ、実は昨日、そういつらにシルバーと俺のユウナが襲われていたんだ クロイ……っていう幹部らしい奴に」 《なっ………。判ったこっちも人脈を使って調べてみる 何かわかったらすぐ電話するからな》 「あぁ。よろしく。……あと気をつけろよ」
声は聞こえなかったが、多分うなずいたんだと思う 俺はポケギアの通話終了ボタンを押してまた歩き出す ……多分、俺も危険に関わった身だから追われているだろう でもそんな危険、俺の危険の内に入らない 俺は、ユウナを救うためなら何だってやってやるさ
―なんたって、俺はユウナの婿だからな
*
「ふぅ、私が出る幕じゃなくて良かった。ね、サタン」 「プゥ!」
私はサタン(フワライド)に捕まりながらサタンに言う 私はサタンの言葉は理解できないけど、うなずいてくれたのはわかった
「………でも、まだこれはほんの序章よ神子さん あなたの言うとおり、最悪の状況も無きにしも非ず。だからね」
でも多分、アノ子ならやってくれると思う
―そう、ここからが本当の物語の幕開けなのかもしれない
続く
 |
Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.17 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:01
- 名前: 天月
- 44話 変装
次の日、まだ全快とは言えないけど(シルバーが) 私にもやることがあるのでポケセンから釈放されたよ!
「…でも、大丈夫? 頭まだ治ってないんでしょ?」 「平気だ。まぁまたあんな事になったら傷口が開くかもしれないけどな」 「それ、本当に平気じゃないよね」
無視。あーはいはい、判りましたー シルバーさんは心配されるのが嫌いなんですよねー まぁいいや。私の今回の目的は……ココなんだし
「……デパート?」 「Yes.その中にある服屋に行くのよ!」 「服屋……。なんで?」 「まぁまぁ、人を欺くなら人に紛れる。でしょ?」
って、シルバー判ってないし まぁいいや、さっさと用済ませて、この街を出ましょうか
*
さて、ユウナはデパートの中に入ると真っ先に服屋に行き、シルバーはその辺で待っていることにしたらしい 途中、彼は何度か立ちくらみをしたがあまり気にしていないらしい
―小1時間。と言ったところだろう シルバーもそろそろ待つのが飽きてきたのか、欠伸を連発していた その時、ソプラノの少し低いような声が遠くから聞こえ、シルバーは寝ぼけ眼を擦る そこには、いつもの白いワンピースはなく 代りに紺色のサロペットがあった
「ゆ、うな……?」 「そーよ。ごめんね待たせちゃって」 「いや、別にいい…。っつか、その服……」
その服。というのは、いつものカーディガンに白いわピース、ブーツではなく 白いV開きのTシャツに紺地のショートパンツのサロペット そして、思いっきり脹脛露出してのスニーカーであった
「ん? ただの“変装”だよ“変装”」 「変装? なんっ………」 「少しでも、奴らに見つからないためにも、ね」
ユウナはそう言いながらバッグの中にあった黒いゴムを取り出し、髪を後ろで結った そして、同じくバッグにしまわれていた帽子も被り、最後にブレスレットをTシャツの下に隠す これで、変装は完成した
「これまでに二度見られた服装じゃ、またすぐ見つかってしまう可能性が高くなってしまう でも、私は違う人にはなれない だから、コレが最善の方法……なんだよ」
ユウナは、唇をかみ締めるように言う いくらレッドが助けに来てくれたとはいえ、それは不幸中の幸運でしかない だから、自分も自分なりに自分やソノ周りの人を守れるように、昨日の夜に決心したことだった だから、着替えた
「……そうか」 「うん、あと……シルバーには“お守り”」 「お守り……?」
はい。とユウナはシルバーの首に何かを巻きつける ユウナ自身は特に何も思っていないが 旗から見ればある意味、カレシとカノジョの光景だろう
「おお、案外似合う!」 「案外って…。つか、これ……」
シルバーの首に下げられていたのは、月を模した紺色に星がちりばめられたような金箔がある宝石のネックレスだった それは、ユウナのかけている(ただ今隠していますが)月を模したダイヤモンドのネックレスと同じだった
「知ってる? 誕生石を身につけてると、威力倍増するんだよ! ……せめてもの、救いとしてね 知ってるよー。シルバーがそういうのに頼れないのも でも、私はシルバー達に犠牲になってほしくないから」 「………いや、ありがとう。ユウナ」
そう言われ、一瞬顔を赤くしたが、すぐ微笑んで ユウナはシルバーの手をとった
「んじゃ、ちゃちゃっとまた旅を始めましょうか!」 「……あぁ」
続く
45話 バケモノ、化ケ物、化物
それは、ユウトの心の闇の元凶だった その単語は『俺』にとってもユウトにとっても禁句なのだから
―ある日、人とすれ違いました その人はあと3日で死ぬ身でした でも普通の人にはわかりません
普通だったら、わかるはずありません でも、特別な人だったら…?
―ある日、とある少年と人がぶつかりました 少年は、視てしまいました 何を? 財布を盗むところを? いいえ、その人が死ぬ未来を、視てしまったのです 少年は、この能力が嫌で嫌でたまりませんでした
それが、彼の闇の元凶だったのです
*
俺は、俺たちは、どうも他の人と違うらしい 家が?そりゃ、俺たちは「お坊ちゃま」の部類だ 違う、そういう地位的なのじゃない もっと、中身が違う……
ヒソヒソ、ヒソヒソと、町を歩けば聞こえる声 あえて聞こえるように言ってるのかそんなのはどうでもよかった
でも、これだけは聞き逃せなかった
「―――――“化物”、よねぇ」 「そうよね。そんなのが町にいるなんて、恐ろしいわ……」
化物。うん、化物 ………なんで? 同じ人間なのに。ちょっと中身が違うだけなのに どうして……
大人たちはまだいい方。子供は、容赦ない
「……、兄ちゃん。あれ」 「んー…なんだよ。ただ子供が「そっちじゃない。上」 上……? って……!?」
子供―俺たちと同じくらいの―の上に、植木鉢があって その植木鉢が、落ちそうになってる 多分、強い風が来れば落ちるだろう
―ヒュゥ
って言ってる傍から、風が吹いた そして、植木鉢は落ちる、真下には子供が ユウトは、真っ先に走り出して、子供を助けた ガシャン、とガラスが割れる音がする
「………大丈夫?」 「…………、」 「ユウト、大丈夫か!?」 「兄ちゃん、うん。俺は大丈夫」
良かった。怪我したら俺が困るからな その子供は、ずっとユウトをにらみつけていた
「…何、俺に触ってんだよ化物!!!!!!」
エコーのように、「化物」という単語が頭の中で響く その子供や、周りの子供も怯えてる なんで、なんで………?
「お前、助けてもらったのに礼も無しなのかよ ユウトが助けなかったら、お前病院送りだったんだぞ!?」 「うるせぇ! 誰も化物に助けてもらおうなんて思ってないんだよ! ただ、迷惑だし、目障りなんだよ!」 「っ、お前なぁッ……!」
本気で飛び掛ろうとしたとき、服の裾を掴まれた ユウトだ。ユウトはただただ首を横に振っていた 「やらないで」そう言ってる
「……いいのかよ、お前は」 「良いんだよ、兄ちゃん。仕方ないよ、仕方、ないんだよ………」
仕方ない。言ってる割には泣きそうじゃないか おかしいよ。この世界は
「さっさとどっか行けよ! 化物兄弟!」 「「そうだ、そうだ!!!」」 「…………行こう、兄ちゃん」
その次の日からだ。ユウトが家から、部屋から出なくなったのは
「父さんが子供の頃は、そんなことなかったのにな…… やっぱり、近代化の影響で信仰が薄れてるんだろうな…… それなのに“神サマ助けてください”なんて、矛盾にもほどがあるんだけど」 「………俺たちは、化物なの? 父さん」
そう訊くと、父さんは笑って
「そんなわけがない」
そう言ってくれた
「俺やお前達は、神サマ直々に命をもらったすごく有難い人間なんだ 化物なんかじゃない。そんなのただの戯言だ いいか? クウト。お前はお前らしく生きればいい 誰かの考えに流されたら、ダメなんだ。相手の考えに憑かれたらダメなんだ ……神崎空斗という人間はこの世でたった一人しか居ない もちろん、神崎悠斗もたった一人しか居ない 一人いなくなっても代わりがいる世界なんてない 俺はお前ら2人が死んだら、哀しいからな 誰かが居なくていい世界なんて要らないんだ 俺や由香里、お前達や皆が居て当たり前の世界が一番の世界なんだ …判るか?」
「つまり……邪魔な人間なんて、一人も居ないってこと……?」 「そう、ユウトにも教えてやれ。そしてユウトを外へ連れ出せ そして、化物扱いした奴にヤキを入れてやれ」 「………最後は出来ないかもしれないけど、最初の二つは絶対出来るよ!」 「おう」
*
「ユウト!!!」 「…………なんだよ。何の様だよ」 「外、出ようぜ。暗いとこにいたら、目が悪くなるぞ」 「いい」 「…………俺は、嫌だ。ユウトが死んじゃうは絶対に嫌だ 父さんが言ってた。誰かが居なくていい世界なんて無いんだって だからお前もこの世界に必要な存在なんだよ! だから俺がお前を死なせない。絶対に だから………出ようぜ、外」 「………本当?」
ユウトは、痩せた顔で見てきた その顔は嬉しさとかいろんなものが混じってぐちゃぐちゃだったけど 綺麗に見えた
「あぁ。当たり前だ。もしお前をバカにする奴が居たら、俺がぶっ飛ばすからな!」 「………暴力はダメだよ …………ありがとう。兄貴」
*
そーいえば……あれから7年かぁ…… 早いようで、短いな………
「………んじゃ、いくか」 「うん」
早く、ユウトの本当の存在意義を、教えてやりたいな………
続く
46話 偽りの愛 T
偽りの愛なんてイラナイ 偽りの安らぎなんてイラナイ ただ、教えてほしかっただけなの
「……そういえば、まだ教えてなかったね」 「何を?」 「――――――私の、事情 今から話すけど、間違っても自分を責めないでね」 「あ、あぁ………」
*
私は、春の初めから、よく判らないけど家に閉じ込められていた その理由は、後に判るんだけど それは“私の従弟が誘拐されたから”っていう理由 私はその子に一回しか会った事ないから覚えてないけど なんとなく、そのことを知ったときは怒りを覚えた その子は私も全然知らないお母さんのお姉さんの子で 宝来の血は流れていないからこんな事になった。と家に余るほどいるメイド達が話してた 女の大人は、ヒソヒソ話が好きだな、と思ったけれど
外の世界にも憧れたけれど、それよりも私は欲しいものがあった
「ねぇ、おとうさんは?」 「……お父様は、今日もお仕事ですわ だから、ユウナ様も勉強しないと」 「ほんとうに? ほんとうにおとうさんは、おしごとなの? ………わたし、おとうさんに、会いたい」
お父さんは?と聞くと、いつも「お仕事」と言う 月曜も火曜も水曜も木曜も金曜も土曜も、日曜も 流石に、怪しくなったから我侭を言ってみた
そしたら、
「いけません!!!」
急に大声を出したから、びっくりした なんで?お父さんに会っちゃだめなの? ………ドウシテ?
「ねぇ、何で? どうして私はお父さんに会っちゃだめなの? 会わせない様にしてるの? 会ったらヤバイ事にでもなるの? 私は……宝来優李の娘だッ!!!!!!! 本当は今日も仕事なんて無いんだろう!? じゃぁ、会わせろ!! 私の…宝来家次期頭首の命令だ!!!」
多分、この時に“闇の私”が目覚めたんだろう 幼い怒りと疑惑が生み出した、もう一人の自分 相手は、メイドは、さっきとは逆になって肩を強張らせていた その時、威厳のある、低い女の人の声がした
「優奈様、優李様は…本当にお仕事ですよ 自分の意思だけで物事を決めてないでくださいね ………それでなくても、あの人は忙しいんです 貴方の相手をしている暇なんかないんですよ 優李様の代わりなら、執事にお願いすればいいじゃないですか?」
メイド長。聞くとお父さんのお父さんの頃からここで勤めているらしい ……正直、私はあまり好かないし、向こうも好いてないみたい お父さんの代わり…? お父さんは一人しかいない。代わりなんてない
でも、目の前の人物が恐ろしくて、何もいえなかった
―今の時点では。
それから、4年後 小さい頃は外の世界にそこまで行きたいとは思わなかった けど、6歳にもなれば自然と興味はわくものだった けれど、家は反比例をするように厳しくなっていった お父さんに会えるのはお互いの誕生日の日だけ それ以外は会えなかった 私は勉強をさせられ、遊ぶこともなくなった けど、窓からたまに見える子供達と遊びたいと思った そして自由な子供達を、羨ましく思ったし妬ましく思った それを見た執事やらメイドは、私の機嫌を直そうとした 直せるわけ無いのに。無駄なのに それでも、営業スマイルで機嫌を直そうとしてる 誰一人、本当の笑みではなかった
そして、私は言い放つ
「そんな嘘っぽい笑顔なんて作らなくて良いし そんな笑顔作るなら、初めからお嬢様のご機嫌直しなんてしなくていいから ……イラナイ。偽りの優しさなんて」
図星だったんだろう、何も言わずに去って行った 中には、私を睨みながら去っていく“新人”もいた ……辛くない 辛くなんかない。嘘の笑顔で嘘の態度取ってるほうが嫌だ 辛くなんかない。辛く、なんか…… ツラクナンカ、ナインダカラ
―1年後 さすがに、痺れが切れてきた 何度も脱走しようと試みたけど、それだけは遮られた でも、今日は違う 今日は絶好の脱走日和 なぜかって? ………奴らが、クリスマスとか言うイベントの準備で忙しいから あの時から私に張り付く奴は居なくなった だから、今日こそ脱走できる
―そして、私は、大事な家族に出会った
続く
47話 偽りの愛 U
「さっむ……」
今は、“冬”という季節らしく、寒い レイシン地方は豪雪地帯らしくて、1月にもなれば雪の壁が出来るらしい …まぁ、私はまったく知らないんだけどね
カーディガンだけでは寒い それでも、行かなくてはならなかった なんだか、何かが起こりそうな気がしたから
「はぁっ……はぁっ…………!!」
流石に、この7年間をほぼ家で過ごしてきたバウンドは大きい 走ったらすぐに息が上がった。瞬発力はあってもスタミナはないらしい それは、ヒョウと同じだ
それに寒くて眠くなってきた でも周りには薄い雪を被った草原だけだった ………限界が近づいてきた頃、ひとつの家を見つけた 純白の壁の家。私の家は茶褐色のレンガだから、珍しかった ……家の明るさに誘われて、チャイムを押す
出てきたのは、藍色の髪に紫の瞳の女の人 何故だが、白衣を着ている その人は一瞬驚いていたが、事態を理解したのか優しく笑った 始めてみた気がする、嘘じゃない笑顔
「……、寒かったでしょう? 入りなさい」
その声に促されるまま、家に入っていった
*
「貴方、優奈さんでしょう?」 「え、なんで……」 「その瞳をみたら、ピーンと来たのよ」
温かい紅茶をすすりながら、瞳?と考えていた 私の瞳は変わってて、蒼と銀が両方混じった瞳 でも、蒼のほうが強いから蒼かがった銀。というのが正しいのかもしれない
でも、お父さんの瞳は蒼色だった
「本当、似てるわね。優李にも奈々にも」 「あ、の……お父さんのこと知ってるんですか?」 「知ってるも何も、幼馴染だったのよ私達」 「え!? じゃ、じゃぁ…奈々さん…も?」
そう訊くと、その人は少し哀しそうな顔をして 知らないのね。と呟いた
「奈々は、貴方のお母さんよ。………3日限りの」 「お母さん……、だったんですか…… そういえば、貴方は?」 「そういえば、自己紹介まだだったわね 私はアオイ、柊葵よ レイシン地方のポケモン博士と呼ばれているわ」 「アオイ…さん。……私は優奈です。宝来優奈です」 「えぇ、改めてよろしくね優奈さん」
差し伸べてきた手を、そっと握って、握手をした
「……そうだ。お近づきの印に、良い物あげるわ あげる…というより、授けるわ」
そう言って、アオイさんは部屋の奥へと行った 一体……なんだろう……… 暫くして、アオイさんは一つのモンスターボールを持ってやってきた
「優奈さん、この子を授けるわ」
そう言い、ボールの開閉ボタンを押し、ポケモンを出す 中からは、茶色い毛並みに首周りがクリーム色で尻尾がふわふわしてて、黒い瞳が可愛い ……イーブイ、だ
「イーブイ……、この子を、私に?」 「えぇ。ただ一つ質問に答えてくれるかしら 貴方にとって、今の時点でポケモンとはどんな存在?」
その質問は、なかなか答えられなかった だって、生でポケモンを見たのは初めてのことだったから でも、この子は何だが前にも会ったことがある気がしてならない 初対面なのに、どこが繋がりがあるそれは……
「“家族”………。私の答えは“家族”です」 「家族……良い答えね、ならその子は今日から貴方の家族よ 家族なら、名前を付けないとね」
んー……イーブイって7つの進化があるんだから…… 炎、水、雷、陽、月、草、氷…… 月、ムーン、ユエ、……ルナ
「ルナ、この子は、ルナ!よろしくね!ルナ!」 『うん!よろしくねー!!ユウナ!』
……ふぇ? 幻聴…… じゃない、この子がしゃべったんだ……
「宝来家…いいえ、神四家<シンシケ>の能力“会話”よ」 「会話………」
そういえば、言ってたような言ってなかったような………
その時、外から羽音が聞こえた
「あら、お迎えが来た見たいね ……今日はこれでお別れ。また今度ね」 「……はい。ありがとうございました」
礼をして、外へ出る。外にはカイリューと ……お父さん
「お、お父さん!?」 「や。ここに居ると思ったよ。……おや、パートナーを見つけたんだね 良かった。運良くアオイのトコに行ってて さ、帰ろうか」 「……怒ってないの?」
私は脱走した、なのにお父さんは怒ってない
「怒らないよ。僕も同じ事を昔したんだから それに、あんな窮屈な家にずっと居るとおかしくなっちゃうからね …僕はユウナを自由に育てたかったのに、執事達が…ね まぁ、もう寒いから家に帰ろう。ね?」
こくん、と頷き、お父さんの手を借りてカイリューの背に乗る
この時点で、ゆっくりゆっくりと歯車が廻り始めた
続く
48話 偽りの愛 V
「……んで、私は10歳になったとき、マサラに行ったの シルバーを探すために、ね」 「そう、だったのか………すまん、な。 ………俺のせいで「シルバーのせいじゃないよ」
きっぱり、という描写が相応しいほど言い切ったユウナ それでも、シルバーは自分のせいだと思ったため、顔を俯かせる その様子を見てユウナは笑って
「悪いのは、お父さんに頼まれても居ないのに私を家に出さなかったメイド達 そして、運命だよ。だからシルバーは悪くない」 「………あぁ。でも、すまん」
いいのにな。と言いそうになったが、シルバーもシルバー自身のせいではないとは言え、負い目を負っている だから、これ以上この話はしないようにした
*
「……そうですか。で、私があの2人に連絡をとれ、と?」 「そういう訳だ。なんなら直接話してもいいぞ、“詩亜”」
詩亜。そう呼ばれたシアン色の瞳の少女は口に手を当て考えるふりをしていた その後、詩亜は行く。と答えた そして、鞄を持ち、行って来ます。と行って屋敷をでる
「……さてと、“影探し<シャドウサーチ>”でクウトの位置を当てましょうか じゃぁ行こっか、アクア」 『うん!』
詩亜……“海魅詩亜<カイミ シアン>” 海を魅せる。シアンは薄い青色の事。青は海の色 海魅。神四家の一つで“影と幻を司り海を示す者”の一族 そして彼女はその次期跡取りであった ちなみに、神四家の中で最も知識が深い人物である
影探し。とは名の通り影を探すという事 彼女に流れている、影―ギラティナ―の能力で、自身の知っている人物の影を追うことができる能力であった
「……見つけました、ティ、お願いしますね」
シアンはボールからティ(ネイティオ)を出し、その背にのり、飛び立った
彼女が目指すは、“神話と神謡の語られる村” レイシン地方・ユーカラタウンだった
そこに、双子はいた
続く
49話 幼馴染
「ユーカリタウン?」 「……バカ。ユーカラだよ。神話と神謡の村」 「うぐっ………」
わざとボケただけなのに、思いっきりバカにされたクウトは、ほんの少しだけへこんだ
「……兄貴は、神話信じる?」 「………エムリットにあったら3日で感情がなくなる、とか?」 「………うん。あと、“お前が剣を振るい仲間を傷つけるなら私達は爪とキバでお前の仲間を傷つけよう”……とかさ。これは神謡だけど」
と、ユウトは肩を竦めながら言う、言った割にはあまり信じていないようだった その時、バサッという羽音が聞こえ二人そろって上を見ると 大きな目が二つあった ……良く見ると、それは目の模様だったのだが
「見つけました。クウト、ユウト」 「「……シアン!?」」 「正解です♪」
すたっ、とシアンはネイティオから軽やかに降りる その時、少しクセのついた灰色の髪が踊る
「……でも、なんで来たの?」 「も・ち・ろ・ん、理由があって来たんですよ♪」
シアンは、右手の人差し指を立てながら言う それは楽しそうだが少しだけ真面目な雰囲気を出していた それにいち早く気づいたのはユウトだった
「……で、そのオハナシは?」
ユウトが真剣な口調で話すと、クウトも顔を引き締める こういう部分はさすが双子だ。とシアンはつくづく感心した そして一つ咳払いをして、話し出す
「……貴方達は神四家の中で最も知識が浅いです ……過去にイザコザがあったのは判っていますけど」
イザコザ。…簡潔に言うと、双子の過去であった そのせいで、知識があまり得られなかった そして逆にシアンは知識が神四家で最もあったのだった
「……私達神四家、及び神、天使、悪魔の能力を継ぐ者は皆、聖人と呼ばれる種族とされています 外見は人間。ですが中身は神等の代理。神代、と呼ばれてます …………そして、貴方達2人と優奈さんは“世界の均衡”を保つ真聖人です ……貴方達3人が死ねば、世界にそれなりの代償がふりかかります」
代償。それはきっと自分の思っていること以上の惨劇なのだろう ごくり、と2人は唾を飲む
「……私が伝えたかったことはそれだけです」 「………つまり、俺達にその自覚を持て。ってこと?」 「はい。……ついこの前、優奈が危険な目に遭いました まぁ、奇跡的に紳士が助けてきてくれたらしいですけど ………ユウト。貴方が一番危険ですから、気をつけてくださいね ……時間は過ぎるだけ。戻ることなど、出来ませんから」 「……それもだけど、精神的にもなんだろ、シアン」
シアンに言われ、黙りこくったユウトに代り、クウトが言う シアンは、ただ無言でうなずいた 精神的、恐らくストレスだろう ………それも、ユウトの過去から、だろう
「……とりあえず、ヤバクなったら私は再びここに着ます 貴方の影を追って。……では」
シアンは再びネイティオに乗り戻っていった シアンの姿が見えなくなった頃、ユウトは不安そうな顔でクウトに訊いた
「………大丈夫、だよね? 兄貴が……助けてくれる、よね? ………俺、死なない、よね?」 「………あぁ。俺達双子はお互いを守るんだ だから、ユウトも助けてくれるよな?」 「……………うん」 「よし!」
―大丈夫? なーに言ってんだか。俺は大切な人を護れた でも、お前にソノ勇気は………ナイダロウ?
続く
50話 麗神神話 +弟様視点+
「「麗神神話?」」
ユーカラタウンの、村長さんの家で、俺たちはソノ話を聞いた どうやら、レイシン地方の神話らしい 村長さんは古い一冊の本を持ってきて、読ませてくれた よく判らないけど、この人は俺たちが普通じゃない人間だと直感でわかったらしい それが俺たちにとって“良い意味”なのか“悪い意味”なのかはわからないけど
「神王<シンオウ>の神話とはちょっと違うんですか?」 「えぇ、感橙<カントー>神話、浄土<ジョウト>神話、豊艶<ホウエン>神話、依守<イッシュ>神話……それぞれの地方のみの神話はあるでしょう それの、レイシン地方の神話なのです」
へぇ〜……と、俺と兄貴は声を上げ、本を見始めた
「“世界は、アルセウス様により創られた アルセウス様は、人を創り、世界に運命を創った アルセウス様は眠りに就く前、1人の神代を創った それが、後の宝来家初代頭首…… 名は『宝来 優』” ………同時に、ディアルガとパルキア、ギラティナも……神代―俺たち―の先祖を創った」
兄貴は淡々と、本に書いてあることを読んで、最後に付け足した レイラの時みたいに、怒られないかと村長さんの顔をうかがったが、今の時点では大丈夫そうだった 次のページを開いたとき、俺はあ、と声を漏らした
「………“残酷な神話”……?」 「え……“誰かが大切な人を守ろうと、その人は命を犠牲にした 大切な人は涙を流した。次は両親が亡くなった 大切な人は大切なものを一度に亡くしてしまった 誰かは大切な人を守ろうとしたのに 大切な人はその人が居なくなるのを悲しんだ もっと、一緒に居たかったのに……”」
兄貴が読み終えた後、頬がぬれてるのと、目頭が熱い事に気づいた 泣いてた。 なんで? 俺の大切な人も、両親も居るのに なんで自分のことのように哀しいんだろう 涙はとめどなく流れて、止まらなくて 兄貴が頭をなでたら、もっと涙が流れてきて……
―だって、自分のことだったもんな。俺の経験した過去がレイシンの神話に載ってた ……嬉しいんだか、哀しいんだか…な
幻聴が聞こえた気がした。でも幻聴じゃないような気もした
*
「ったく、びっくりしたよ。お前が急に泣き出すんだもん」 「………五月蝿い」 「ま、神話に涙流せるほど、お前は心の優しい奴だって証拠だろうけどな!」 「…じゃぁ、兄貴は冷たい人g「いや、それだけで決められても困ります」
……ま、兄貴は寧ろ優しい人間だろうけど ただからかっただけなのに
大丈夫だよね。兄貴が死ぬなんてコト、ないよね
続く
51話 Information.
ピルルル……と、ポケットに入れていたポケギアがなる かけてきたのは、GREEN……ぐれ、グリーンだ レッドは通話ボタンを押し、話を始める
「何だ? グリーン」 《残念でした♪ あたしよ、あ・た・し♪》 「……ブルーか。で? どうしたんだよ」
何故グリーンのポケギアからブルーがかけたのかは知らないが、同じ質問をする そして、ブルーは情報よ、情報♪とさも楽しそうに言っていた 情報……ブレイク団のことだ
「はやっ……、さすが情報収集が早いと言うか……」 《ホホホ、あたしにかかればちょちょいのちょいよ それでね。あたしが見つけた情報はほんの一握りだけど、あったほうが無いより得よね?》 「あぁ。………教えてくれ」
多分、知れば知るほど自分の危険レベルは高くなるだろう それでも、レッドは守りたいモノがあった
《まずね、ユウナが狙われてる理由は、アノ子が“聖人”っていう種族だかららしいの 平たく言えば、普通の人間ではないのよ、アノ子は》 「………あぁ。知ってる。自分はただの器だって、ユウナは言ってた。俺は否定したけどな」 《それで、アノ子の能力は神サマから受け継がれてる、これはあたし達も知ってるわ ……大事なのはここから アノ子が死ねば、世界のバランスが崩れる ソレを狙っているのよ、奴らは》 「………ユウナが、死んだら……… ………いや、俺がさせない。ユウナは死なせないから、絶対に」 《えぇ。判ってるわ。あたしたちも準備が出来たら、行くかもしれないから、またね》
そして、無機質な音が聞こえ、レッドも通話を切った 仲間が多いに越したことはないし、今はユウナの傍にシルバーが居る そして、もう1人………
「さっきから…いや、ずいぶん前から俺の事つけてるけど、何か用か?」 「……気づかれてたかー。さすが、図鑑所有者ってところだね」
草陰から姿を現したのは、こげ茶の瞳の少女、ユイナだった 腰まである髪についた葉っぱをとりながら、レッドの元へ歩いていく 対してレッドは警戒もせずにまるで味方だとわかっているような瞳で見ていた
「いつから気づいてたの?」 「んー……ユウナとシルバーが襲われた日」 「……最初から気づいてたもんじゃない あ、私はユイナ。純悪結那よ、よろしく」 「俺はレッド、よろしくな。ユイナ」
ユイナは、自分より少しだけ背の高いレッドと握手を求めたが、レッドは笑顔で拒否した ちょっと気分が悪いが仕方ない。とユイナは自分の知っていること全てを彼に話した
「……そっか。ユウナも大変なんだな…… なら、俺たちがもっとサポートしてやんないと」 「そうだね。……んじゃ、私は神子さんを見に行かないと。それじゃぁね」
ユイナはフワライドをだし、ユウナが居るという方向へと飛び立った
「………神代か。でも器じゃなくてユウナは人間だぜ 心もあるし、何より俺を好きになったんだからな」
続く
53話 前世ノ世界
―痛い 辛い 怖い……
そんな世界だった でも
―優しさ 愛 強さ……
それがあった。狂った愛もあったけれど 強さを培った世界でもあった。絆の世界でもあった
でも、それは“罪と消失”の世界でもあった
―宝来優奈 5歳の頃に、祖父により虐待・重症、及び5歳以前の名前(本名ではない)などの個人情報以外の記憶を失う 心の傷の影響のため、トラウマが多々ある
―神崎悠斗 3歳の頃兄に庇われ兄を失い、5歳の頃に両親を失う それに、その両方の死を間近で見てしまった為、血・刃物がトラウマとなっている この世界の彼の能力は時視ではなく人護<パーソンディフェンス>であった それは「二度と大切なものを失いたくない」という想いの表れだ
―神崎空斗 3歳の頃ユウトを庇い死亡。がユウトの心のバランスを保つため闇の存在となり彼の心に居座る ユウトの感情を共にしているため、この世界ではユウナに恋を抱いている。が闇の存在のため恋愛表現が狂っている
……そんな世界だった でも、罪や消失があっても、欠けているものはそれぞれで補っていた
イマノセカイハ? そりゃ、見てれば判るでしょ 1人は欠けたものを気づいてもそのままで生きて 1人は前で欠けた物が無い。けど新たな傷が生まれ 1人は地上という場所で歩いて、生きてるんだから
まぁ、僕にはどうすることもできない 僕はただの傍観者だからね。見ることだけ、干渉は出来ない ……入りたいとは思ってるけどね 僕が入ったことで狂いが起こると困るし 僕が居なくたってこの世界には勝利が決まってるんだし だから、僕は傍観者でオッケーてわけ
……僕の名前?運命の傍観者…は二つ名だしね んー………、あ。やっぱやめた、教えない というより、名前が無いっていうのが本当の理由だからね 夢の住人には二つ名しかないんだ、ごめんね でもとりあえず、命<メイ>って覚えてくれればいいよ
ま、前世の“おさらい”が出来たから、またこっちのお話をはじめようか
神子さんが、ジムリーダーに挑戦するらしいしね それじゃ、またね
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.18 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:04
- 名前: 天月
- 53話 幻想桜
―“桜の街、カウリンパシティ” この街の中心には、春夏秋冬問わずに桜の花が咲いている“幻想桜<ゲンソウザクラ>”がある なんでも、夏の夜に不思議なことが起こるというのだ
「幻想の桜って……ファンタジーじゃないのk「だっ、黙ってシルバー!!」
急に、ユウナは慌ててシルバーの口に手を当てる そして、周りをキョロキョロと見て安全を確認してから手を離す 窒息寸前だったのか、シルバーはげほげほと咽ていた
「……一体、どうした」 「ここでんなこと言ったらリンチにされる。って意味よ! この街の人たちは幻想桜を神みたいに崇めてる つまりバカにしたら罵声を浴びる所じゃないのよ ………たとえ私でもね」
リンチは言いすぎだと思うが、マジのようなのでシルバーは無言でうなずいた 最後の言葉からしてあの桜をバカにしたら本気で殺されるらしい それで均衡が崩れても自業自得なのだろうけど
「……さ、怪しまれないようにあの桜に願掛けしてきましょ」 「願掛け?……桜にか?」 「そうよ。結構評判あるけど、宝来神社の方が御利益あるけどね」 「宝来神社……ってユウナの?」 「そ。毎年8月6日には御祭やってるらしいのよ まぁちゃちゃっと願い事、祈ろのっか」
そう言って、ユウナは桜の場所(街の中心)へと向かった シルバーもそれに着いて行く 桜の元へ来ると、そこは結構な人で集まっていた ユウナとシルバーは人込を抜け、両手を合わせて願掛けをした 2人が何を願ったのかは、教えないでおく
*
「そーいや、ここにはジムがあるんだよねー 久しぶりの“賭け無し”バトルが楽しめるよ」 「………だな。そういえば、ルナはまだバトルは出来ないのか?」 「……うん。だから今回はお休み。……まぁ、草相手だからこの子使えるんだけどね」
にやり、とユウナは笑う シルバーは「まさか……アイツか」と呟いた 多分その予想は間違っては居ないだろう
「今回はホープの出番だよ♪」 『えっ………』 (やっぱり………)
続く
54話 草風静葉
「たーのーもーっ!!」 (道場破りじゃない、挑戦だから)
バァン!とユウナはジムのドアを開けて道場破り染みた台詞を言った そこには、薄い青色の生地に桜の模様の着物をきた少女が居た ユウナは何処と無くエリカっぽいな、と思った
「ようこそ、我ジムへ……優奈さん」 「……よく判りましたね。静葉さん」 「えぇ。私、そういう部分は鋭いですから」
と、シズハは扇子を口元にあてて笑った この仕草からして大和なんとかだな。とシルバーは思ったらしい
〜参照の曲を聴こう!〜
「流石ですね。…では早速バトル、しましょうか」 「えぇ。………覚悟しなさい」
パァン、とシズハは扇子を閉じ、ボールを手に持った それと同時に、ユウナもボールを持つ
「では審判。お願いします」 「はい。…ジムリーダーシズハ対チャレンジャーユウナによる公式試合を始めます! 内容は4匹によるダブルバトル、どちらか3匹が先頭不能になった時点で勝負は終了にします では……Ready fight!!」
「キレイハナ、モンジャラ!」 「ホープ、ミスト!!」
シズハはキレイハナとモンジャラ ユウナはホープ(キュウコン)とミスト(ジュゴン)を出した 今の時点ではユウナのほうが有利だが……
「ホープ“怪しい光”、ミスト“神秘の守り”!」
ホープはモンジャラを混乱させ、ミストは自分とホープを状態異常にさせなくした
(…モンジャラに“あれ”があると踏んだのですか。…やられましたね それに、毒などの状態異常にもしばらくなってもらえない……うわさどおりですね。カントーチャンピオンに最も近い少女、というのは)
「ホープ、キレイハナに“鬼火”、ミストは“アクアリング”」 「くっ、キレイハナ“ギガドレイン”モンジャラは“根を張る”!!」
キレイハナはホープの鬼火で火傷状態に ミストは、キレイハナのギガドレインをうける 水・氷の彼にとっては効果抜群だった だがアクアリングの効果で少しずつ回復していった モンジャラは混乱をしているにも関わらず、根を張ることが出来た
(…んー…まずはキレイハナを倒そうかな 火傷でダメージ減る毎にミスとが犠牲になるだろうし ……ホープ、いくよ) 《えぇ。任せてください》
ユウナはホープを見ると、ホープはうなずいた
「ホープ、“火炎車”!」 「モンジャラ“原始のの力”!!!」
ホープが火傷で動けないキレイハナに止めをさそうとした時、混乱が解けてしまったモンジャラの原始の力がホープに直撃する 炎タイプのホープにこの一撃は効果抜群だ 同時に、岩で身体を纏っていた炎も消えてしまった
「ホープ!」 『だい、じょうぶですよ…。私はコレくらいで、倒れません』 「……ホープ、戻って」 『!? 大丈夫ですよ!ユウナ!! 私は……』 「…無理しなくて良いから、これ以上私は私の家族をボロボロにしたくないだけだから。…戻って」
まだ大丈夫、と言っていたが効果抜群の技を受けて平気なものは殆どいない そしてルナの経験からユウナはすぐさまホープを戻した そして次にだしたのは……
「ミチル、お願い」
ミチル(チルタリス)だ。飛行タイプのためやはり岩タイプの技は効果抜群だが要はあのモンジャラさえ倒せば問題ないのだ とユウナは思っていた
(さぁーって、喰いかかりましょうか)
続く
55話 笑顔で鬼畜な 〜参照の曲を聴こう!〜
「ミスト“眠る”。ミチルは“大文字”」
とりあえず、ミストは眠らせて回復させる そしてあの厄介な“原始の力”をさせないために、あのモンジャラを倒す まだ神秘の守りの効果は続いてるから…勝てる まだ2匹いるけど、この子たちならきっと…
ミチルの大文字は命中して、モンジャラは倒れた そしていいタイミングでミストも起きる ミストは“吹雪”でキレイハナを攻撃し、キレイハナは倒れた
「……さすがですね」 「そんなんでもないですよ。さっきの原始の力は結構焦りましたし」 「随分とポーカーフェイスなんですね ……しかし、次はそうは行きませんよ?」
シズハは自身ありげに笑って言い、次の2匹を出した ロズレイドとナッシーだ 草・毒のロズレイド、草・念のナッシー……
(ルナが居ればナッシーは簡単なんだけどなぁ……。まぁ、とりあえず)
「ミスト、もう一回“神秘の守り”。ミチルは“雨乞い”」
ミチルの雨乞いで、フィールドには雨が降る 恐らく、ソーラービームの考慮だろう そして催眠術などの技を避けるため、もう一度神秘の守りをした
「……ロズレイド、“日本晴れ”。ナッシーは“ソーラービーム”」 「なっ!?」
雨が降ったフィールドは瞬く間に晴天になり、ミスとはソーラービームを受けて倒れてしまった ユウナは、「ごめん」と呟きながらミストをボールに戻し、すぐに次の手持ちを出した
「頼んだよ、アース!」 『オッケー!』
ユウナが出したのはアース(ハクリュー)だ レベルはとっくにカイリューに達しているが、ユウナはハクリューのままにしていた
「ミチル“驚かす”!アースは“火炎放射”!」
ミチルはナッシーを驚かし、アースはロズレイドに日本晴れで威力を増した火炎放射で倒した これでユウナはシズハのポケモンを3対倒したので、勝負は終了となった
「よって、勝者チャレンジャーのユウナ!」 「やったぁ!!」
わーい!とミチルとアースとじゃれ合いながら勝利を喜んでいると、シズハがバッチをもってやってきた
「おめでとうございます、見事でした」 「そんなことないですよー。さっきの日本晴れからソーラービームは読めませんでしたし」 「ふふふ、……では、あなたにリーフバッチを授けます」 「ありがとうございます!」
ユウナは、シズハから草を模したリーフバッチを受け取った そして、2匹をボールに戻し、帰ろうとしたとき、シズハが「あ、」と呟いた
「あの、お二人さん、丁度良い時間なので……良いもの魅せてあげますよ」
ふふっ、と優しげにシズハは笑って二人を案内する ユウナは感づいているようだがシルバーは首をかしげながらシズハに着いていった
*
シズハに案内されてやってきたのは、幻想桜の植えてある街の中心 気付けばもう夜でシルバーはやっとこの桜のジンクスを思い出した
“夏の夜には、不思議なことが起こる”と
その不思議なことはもう始まっていて、桜は灯りもないのに、淡く輝いていて その名の通り、幻想的な桜になっていた
「きれー………。っていうか、これが不思議なこと何ですか?」 「いいえ。不思議なことは人それぞれです」 「「人それぞれ………?」」 「えぇ。……ほら、始まりましたよ」
え?と思いながら二人は桜を見る 桜は一瞬だけパッ、と輝いた
その時、ユウナは幼い頃に学んだことを思い出す “幻想桜はその人が逢いたがっている人を見ることができる”………と
そして、ユウナの前には……
続く
56話 オカアサン ユウナ視点
私の目の前に現れたのは……… 私がそのまま大人になったような姿で… でも髪が赤く、瞳は銀色で……… まるでシルバーのお姉さんみたいな人…… でも私はこの人を知っている。写真でしか見たことなくって 優しい人だったって言ってて 自分の生き写しだと、言ってた…… そうだ、この人は………
「お母さん……」 『そうよ。逢えて嬉しいわ』
お母さんは優しく笑って、私の事を抱きしめた なんで触れるんだろう、っていう疑問はおいておいて 私はただ純粋に嬉しかった 逢った事もない母親に始めて逢えたのだから
「大きくなったわね……、ユウナ」 「な……なに?」
私がぎこちなく顔を上げると、お母さんは笑って
「お母さんは、あなたをずっと見守っていたのよ そして、今日やっとあなたに逢えた ……こうしてられるのも今だけだろうから、お母さんと約束してくれる?」 「……うん。何を?」
「絶対に、死んだらだめよ。あなたが死ぬことで哀しむ人はたくさんいる もちろん、私も。特に……優李さんとレッド君は」 「……うん、判った。寿命以外では死なないよ!」 「良い子ね。………それじゃぁね。私はユウナに見えなくても、いつでも見守ってるからね」
そう言って、お母さんは消えていった それと同時に、桜からも淡い光は消えて、普通の桜に戻った
「うん。………ありがとう、お母さん」
*
「ふーん……奈々さんに、な」 「うん!やっと逢えたんだよ! シルバーは誰だった?」 「……………一瞬しか見えなかったけど多分、生きてる奴には一瞬しか見えないんだろうな」 「だから、誰なの?」
ぐいっ、とユウナはシルバーに顔を近づけて問う シルバーは一瞬動揺したが、すぐ明後日の方向を向いて小さく呟いた
「……………母さん」 「へぇーシルバーはブルーさんじゃなくって奈美さんを、ねぇ………」 「なっ、悪いか!」 「そんなことないよ。やっぱり、お母さんは大切だもんね!」
にこっ、とユウナは笑いながら言い、シルバーはあぁ。と少しだけ笑いながらうなずいた
「………お母さんね、ずっと見守っててくれたんだって」 「へぇ。奈々さん、良い人だな」 「うん! それからね、私お母さんと約束したの!」 「約束?」
と、言いながらシルバーはちゃんとユウナに向き合った
「“絶対、死なない”って約束!」
続く
57話 ばったりはったり
『ねールリアー、私あの双子と戦いたいー!』 「我慢しなさい。私だって我慢してるんだから」 『えー! かれこれ5日待ってるからもう我慢できないー!! それに結だってもうレッド?にばれてるんだし、こそこそする必要ないって! ね!?』
ルリアは今にも双子の居るほうで飛び出していきそうなスノウを抑えながら、スノウと話していた 結…ユイナは確かにちょっと前にレッドという人につけていたことをばれている そのこともあって、スノウは必死にルリアに抗議していたのであった
「……まったく……」 『スキありぃ!!』
ルリアが溜息をついて力を抜いたそのスキに、スノウは隠れていた草むらから抜け出してしまった ルリアがヤバイ、と思ったのは言うまでもない
*
双子は昼食を取った後、バトルの特訓を始めた 詩亜にアノ事を言われてから2人はいつ敵が来ても困らないように、とバトルの特訓をしていたのだった
その時、草むらからグレイシアが飛び出してきた 普通、野生のグレイシアは雪山に居るはずなので、こんな草むらには居ないはずだ だが、居た
双子は自分の手持ち以外とは会話できないので ユウトは同種族であるグレイ(グレイシア)を出した
「……グレイ、ちょっと交渉してきて」 『りょーかい』
グレイはそのグレイシア(スノウ)の元へ行き、話しをした そして話が終ったらしく、ユウトに話の内容を伝えた
「……つまり、俺たちのストーカーのグレイシアって事?」 『まぁ…平たく言うと』 「ふーん………なぁ、スノウ…だっけ? お前のご主人、呼んでくれる?」
ユウトがそう言うと、スノウはうなずき、また草むらに入っていった ……草むらから出たのは、ストーカーとは程遠い自分たちと同じくらいの少女だった 栗色の髪に、空色の瞳……。まぁ例えるなら美少女だ
「……お前が、俺たちをすとーk「ストーカーなんかじゃないっ!」……じゃぁ、何」
クウトは明らかに機嫌の悪いユウトと少女を交互に見てハラハラした まさか、あの時(ユウナと始めてあったとき)みたいな口げんかにならないか…と だが少女はけんかを買わず、冷静に話し始めた
「私はルリア、天歌留梨亜です。……一応、聖人の一人でもありますが、神ではなく天使の生まれ変わり、と言われてます ……今回は、貴方たち時空双子を見張っていてほしい、とおと…神父様からの命令の元、貴方たちを出来るだけ危険な目に逢さぬよう、見張っておりました。 ………ってこと。断じてストーカーじゃないわ」
先ほどの威圧感溢れる敬語口調はどこへやら 大体の話を終えるとルリアはとたんに“普通の少女”の喋り方になった ユウトは納得したらしく、ごめん。と謝った クウトはけんかにならずに済んだ。と胸をなでおろすが、次の発言により、驚くことになる
「私と、バトルしてくれない?」 「……なんで急に」 「いや、あのね、スノウが前からやりたいって言ってて……」 「お前はやりたくないなら「いや、私もやりたいんだって。あなたのおにーさんのバトルみてn「おにーさんって気安く言わないでくれるかな」 「……じゃぁ、クウトさんのバトルを見て、私も戦闘意欲がわいたのよ」
バチバチ、と火花のはじける音が聞こえそうなほど睨み合ってる2人 どうやら、馬が合わない様子だ はぁ、とクウトが頭を抱えながら溜息をつく。この時はクウトが2人よりも大人に見えた
「……ふーん。ね、兄貴、どうする?」 「っつか……お前ら仲悪すぎ…… ……俺はまぁいいけど?」 「ありがとう。………2対1のダブルバトルで良いわよね?」 「あぁ。……でも、大丈夫か?」 「えぇ、………自信は、あるからね♪」
……さてはて、(一応)神サマと天使の戦いが始まりましたとさ
続く
58話 仲違い +クウト視点+
まぁ、なんだかんだで勝負をする事になった ……バトルは良いんだ。むしろやりたかったし 俺が気になるのはもっとほかの事
「とか言って、負けたら悔しがるんでしょ?」 「それはそっちでしょ!へタレ!」 「…………へタレ?」
お前らなんでそんなに仲悪いの そう、(何故か)ユウトとルリアは仲が悪い。初対面でこんなに陰険になるもんなのか。ちょっとびっくり …………あ、でも遠くからみたらただのケンカしてるカップルに見えなくもない って思ってたら、2人がコッチ向いて思いっきり睨んできた 心詠まれた……? いや、ユウトならありえるかもしれないけど(双子はそういうのあるらしいし) ルリアは、なんで
「私、人やポケモンの心を詠む能力があるんで」 「へー、そうなの」 「………っていうか、早く始めましょう?日が暮れちゃうわ」 「一体誰の所為で日が暮れるんでしょうねー」 「あーったく、ユウトも一回やめろ。決着ならバトルで決めれば良いじゃん」 「………わかった」
そう言って、ユウトはとりあえず落ち着いてボールを手に取った ……あ、この人鬼畜なの忘れてた。ドSだった
「んじゃ、始めましょっか。スノウ、シント」
ルリアはさっきのグレイシアとルカリオを出した シント…神道? そして、ユウトはウィン(ウィンディ)を出した ……めっちゃ不利じゃん、ルリア んで俺はゲン(ゲンガー)をだした ……そいや、こいつ久々に出した気がする
「ルリアの方からで良いぞ」 「そりゃどうも。……スノウ“シャドーボール”!シントは“龍の波動”!」 「ウィン、“火炎車”で避けながら攻撃」 「……。ゲン“守る”」
俺のゲンにシャドーボールは効果抜群だしな んで、ウィンは火炎車で避けてルカリオに攻撃した ………倒れなかったけど。倒れなかったからって舌打ちはしない
「ウィン……“火炎放射”」 「ゲン“気合球”!」 「スノウ“穴を掘る”、シントは“見切り”!」
スノウは穴を掘り、シントは見切りで攻撃を防いだ しかもスノウは地底にいるのでどこから出てくるのかは判らない ………“普通の人間なら”な。あいつは“絶対に”判るんだけど ボコッ、と地面に亀裂が入る そしてユウトは“まるで初めから判っていた”ようにニヤリと笑って指示をする
「ウィン、飛んで“火炎放射”」
ウィンは強靭な後ろ足で飛び、地面から出てきたスノウに火炎放射を浴びせた 至近距離で効果抜群の技を浴びたため、戦闘不能になった
「……俺相手に、穴を掘るは“無駄”だよ?」
ユウトは無駄。を思いっきり強調して言う そりゃそうだ。アイツは未来が視れる。つまり穴を掘って地面に潜っても 未来を視て“どこから出てくるか判る”のだから ……まぁ、ずるいっちゃずるいんだけど、精神集中すれば普通の人間<ヤツ>にも出来ないわけでもないし
「あっちゃぁー……心詠で詠もうとしたけど、やるの忘れちゃった」 「…真正のバカだな「何!?」…ウィン、“大文字”」 (うわ、ずるい)
ユウトはルリアの言葉を無視して、ルカリオをノックアウトにした ……俺、何もやっていない気がする
*
「自信ある。とか言って何も出来なかったな」 「うるさい!っていうか、炎タイプ出すとかずるいわよ!!」 「ふん、勝つためにはあらゆる戦法を使うんだぜ?」
勝負が終ってからも、2人は一向に口げんかをやめなかった ……いい加減うるせぇ その時、遠くから羽音が聞こえ、頭上を見ると、トゲキッスが俺たちの居る空を旋回していた ……ルリアの手持ちだろうか? にしても、シンオウにいるポケモンが多いな…… シンオウ出身とか?まぁ、確かどっかに教会あった気がするけど……
「あっ、ホーリー! どうだった?」 「キュイ、キュイ!!」 「そっかぁ、やっぱ“神父さん<オトウサン>”は優しいね!」 「………お父さん?」
ユウトがそう聞くと、ルリアは笑って…でも少し寂しそうに言った
「私ね、小さい頃にお父さんとお母さんが死んじゃって神父さんに引き取られたの だから、私にとってはお父さんの様な人なの ……もう1人、居るんだけどね」
そう言って、ルリアはトゲキッスをボールに戻した ……ユウトが、ユウトの瞳から光が消えたのは一瞬だったけど、俺にははっきりと判った
「………そうか、所謂、孤児なんだな、お前」 「そうよ。悪い? ………なぁに、アンタも孤児“だった”とか?」
………昔から、この空気は嫌いだ ただ、ただ、風が俺たちの髪を揺らしてて 何も音を発さず、俺たちは黙っていた
「〜〜〜ッ!!! も、もういいだろ!? ……この話は、もうお終いだ」 「……判った」 「えぇ、……それじゃぁ、……私はまだ貴方たちを見張ります 貴方たちを出来るだけ危険から身を遠ざけれるように」 「ああ。……ありがとな」
そして、ルリアは帰っていった ………俺たちも帰ろうとした、でも
「――――俺は、孤児だよ」 「あぁ、知ってる。“孤児だった”だけどな」 「うん。でも、兄貴は居た」 「あぁ、そうだな。“幽霊として”だけどな」 「うん。兄貴、死んでた」 「あぁ、死んだな。“お前を庇って”だけどな」
淡々と、俺たちは話していた 俺は生きてる、でも死んだ。霊として傍に居た ユウトの顔は見えない。けど
きっと、無表情で、瞳に光が入っていないんだろう でも、これはたまにあることで、特に意味は……あるけど、ない
「………。そんじゃ、帰るか」 「…………あぁ」
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.19 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:05
- 名前: 天月
- 59話 天国か地獄か
「もしさー私が死んだら、どっちにいくと思う?」 「どっちって……どっち?」
首をかしげて問うシルバーに、あの時と随分変わったなぁと思いながらユウナは人差し指を出しながら答えた
「天国か、地獄」
“天国”と指を上に向け、“地獄”と指を下に向けた 本当にあるかはわからないが、ユウナはあると信じているらしい 最も、あの時母に逢っていなかったら曖昧なままだったかもしれないが
「………天国?」 「なんで疑問系?」 「天国」 「………。」
肯定にすれば何でも良いわけじゃないでしょ。と突っ込もうとしたがシルバーは本気の様なのであえて突っ込まなかった
「というか、死んだらダメだろ」 「あはははー、もしもの話しだから気にするな!」 「気にするから」
えー。と明らかに「突っ込むなよ」とジト目で見ながら微妙に不貞腐れた
「じゃぁさ、シルバーはどっちだと思う?」 「地獄」 「そこ肯定する必要ないから!!」 「だって、犯罪いっぱいしたぞ俺」 「その分良いことしたから大丈夫だってー」 「そうか……?」
うん。とユウナがうなずくと、シルバーもそっか、と小さく笑った 最近も笑うようになってきて、シルバーは本当に変わった 何が彼を変えた。と言えば一つは仲間のおかげであろう あとは…本人の努力だと思う
「そういえば、次の街は?」 「え、んー……と……“絆の村、ウウタリタウン”だって」 「そうか。遠い…のか?」 「どうだろー………。あ、歩いて二日はかかる」 「…………。そうか」
歩くの面倒なのか、シルバーはちょっとかっがりしながら返事をした まぁ歩き続けるのは面倒だろうが…… というか、休みたい気持ちが優先させられるのだろう
「んじゃ、ちゃっちゃと行きますか」 「あぁ」
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.20 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:05
- 名前: 天月
- 60話 しばしの休息
「やっと着いた〜!」
ユウナとシルバーが町に着いた頃には既に日が落ちていて、星が輝いていた けれど、月はなかった シルバーは町に着くと早く寝たいとでも言うように、フラフラとポケセンへ足を運んでいった それを見かねたユウナは「酔っ払いかよ」と心の内で突っ込みながらシルバーの後を追いかけた
* 次の日は生憎の大雨で、2人はやることもなく、つまるところ暇のまま一日を過ごすと思っていた(もちろんそんなの嫌なのだが) が、なんと今日はこのポケセンのバトル場で小さなバトルトーナメントが開かれるというのだ どちらかと言うとバトルが好きな2人は「暇つぶし」ということで参加することにした
「うひゃー、人が多い!」 「すげ……」 「にしても、こりゃ暇つぶしドコロじゃないかもねー」 「だな。まぁそっちの方が俺は良いんだが」
そう、参加している者の中には明らかに新人の者と明らかに熟練の者が揃いに揃っていたのだった 2人はどちらかと言うと熟練のトレーナーのほうだろうなと思っていた このバトル大会の人選は参加するときに与えられた番号をトーナメント上に表し、バトルする事になっているためバトルをするまで「ほぼ」の相手の素顔は判らない ルールは3匹使用の交代有、どちらか2匹が倒れたところで終了する ちなみに2人の番号はユウナが「88」、シルバーが「61」番だ
「じゃぁさ、もしもの話で決勝で戦わない?」 「あぁ。当たらなかったらな。当たっても、負ける気はしないが」 「そりゃこっちの台詞だよ。……じゃ、どっちか負けても恨みっこなしね」 「当たり前だ」
“負けない”と自信がある2人にとって、お互いのバトルはやってみたいものだ 口に出したのはユウナだがシルバーも同じことを考えていた
シルバーとの対戦を楽しみにしている反面ユウナは「アイツ」が居ないかと選手をキョロキョロと見回していたが、居ないようで安堵の気持ちとちょっと寂しい気持ちが入り混じったまま、大会は開かれた
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.21 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:06
- 名前: 天月
- 61話 第一回戦 〜SILVER
―一回戦は61番対55番です―
「早速シルバーが一回戦かー」 「一回戦目とか……はぁ」 「頑張れ! シルバーなら勝てるから!」 「……さんきゅ、行くか、ニューラ」 『はーい!』
シルバーは行き際に手を振りながらバトルへ赴いた きっと、いや必ずシルバーは勝てるだろうとユウナは信じていた
『っていうか、勝たないとダメなんでしょ?』 「そりゃそーよ! 一回戦敗退なんて、私が許さない!」 『だよねー♪ユウナのライバルはレッドだけどねー 私知ってるよー?さっきキョロキョロみてたの』 「いや、あれはちがっ………くない、です」 『あははは♪』
っていうか、もう戻って。と言いながらユウナは肩に乗っているピルをボールに戻す そして、今から始まるバトルに目を向けた
(勝ってよね、シルバー)
*
ちょっと待て、これはハンデありすぎだろ 相手は……虫小僧…… 俺、ほとんど悪タイプなんだけど…… ま、まぁ……ヤミカラスとオーダイルで……頑張ろう この試合の醍醐味が今わかった……
「それでは、第一試合初め!」
「いけっ、バタフリー!!」 「いけ、ヤミカラス」
虫タイプに飛行技は効果抜群だ だが、それはこっちにも効果があること さっさと仕留めるか……
「バタフリー、“追い風”!」 「……ヤミカラス“鋼の翼”」
追い風は、しばらく向こうの素早さが上がる だが要はその前に仕留めれば良い話だ 向こうに飛行タイプが着いているが、別に変わらないだろう だが
「バタフリー“銀色の風”!」 「なっ!? ヤミカラス“翼で打つ”!!」
まさか、耐え切ってその技を使ってくるとはな…… だが俺のヤミカラスは打たれ強い 次の攻撃で、バタフリーはやっと倒れた
「これで終らせちゃうよ!ヘラクロス!」 「……いいのか?ヤミカラスの飛行技ですぐ倒れるぞ?」 「それはどうかな?キミ、大事なこと忘れてるよ」
大事なこと?……そういえば、奴、追い風使ってた……
「今更気付いたって遅いんだよ!ヘラクロス“気合球”!!!」 「くっ、ヤミカラス、避けろ!!」 「ヘラクロス、バンバン打っちゃえ!!」
チッ、ヤバイな……一発でも当たれば大ダメージ…… ……でも、ヘラクロスは打つことで精一杯……つまり
「ヤミカラス、球を避けながらヘラクロスの懐に行け」
俺の言葉に、ヤミカラスはうなずいて、作戦通りに動いた 綺麗に避けながら、ヤミカラスはヘラクロスの死角にはいった
「ヤミカラス“鋼の翼”!!!」
そして、ヘラクロスが気付いたときには、攻撃は既に当たっていた もちろん、効果が4倍だからヘラクロスは倒れて、俺の勝利だ ヘロヘロになりがなら戻ってきたヤミカラスの頭をなでて、俺はボールに戻す よく頑張ったな、ありがとう
「勝者、61番!」
*
「お疲れー、さすがヤミカラス、偉い偉い」 『そんなことありませんよ……』
ユウナの元に戻ってきたら、ユウナはまずヤミカラスをほめやがった 頑張ったのは俺だ、とは言えないから我慢するしかない
「シルバーもよく頑張りました!はい、お茶!」 「あ、あぁ……サンキュ」 「いやーでも最後のはすごかった! 避けきれたヤミカラスもすごいけど、あんなこと思いつくシルバーもさすがだよー」 「………た、たまたまだ。それより次の試合のアナウンス、入ったぞ」
―第二試合、3番対88番―
「うわ、次私かー」 「勝ってこいよ」 「言われなくても! ……絶対勝って来るから!」 「あぁ」
行って来る!と言いながらユウナは走って試合場に行った 勝つよな……ユウナなら
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.22 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:06
- 名前: 天月
62話 第二回戦 〜YUUNA
「あ、よろしくお願いします……」 「うん、よろしくねっ♪」
相手は気弱…じゃない、キャンプボーイか 確かあっちは色々使ってくるから……“色々使える”この子でいいか
「それでは、第二回戦初め」
「いけっ、マグカルゴ!」 「アース、行っておいで」
相手はマグカルゴ、そして私は“色々な技が使える”アースを出す この子は、一応貰った子。誰から……は大体察しがつくと思うけど
「アース、“雨乞い”」 「!? マグカルゴ!“堅くなる”!」
相手はきっと“次は水技がくる”とでも思ったから防御力を上げようとしたのかな? まぁそこまでは良い予測だけど…… 無駄だと思うなぁ♪
「アース、よろしくね」 『りょーかい!』
私は技の指示をしなかった。でも彼女はわかった。と頷いて攻撃を仕掛ける
アースの綺麗な宝石の着いた尾に、水が纏い それを振り払うように横に尾を振る そう、“アクアテール” 指示しなかったのは、ただの気まぐれ。指示しなくても、勝てそうだったからね
案の定、防御を上げてたマグカルゴは倒れた 雨乞いの効果で水技は威力が上がってるし、炎・岩両方に効果抜群だものね
「アース、よくやったよー!」 『えへへーユウナは私を信じてくれたんだもの!絶対応えたいからね!』 「へへっ、良い子良い子」
アースの頭をなでて、ボールに戻す そして、次に出すのは
「ルナ!」 「……それ、遅いじゃん。いけ、ユンゲラー!」
今、遅いって言ったよね……? ふん、ブラッキーの…っていうかルナのすごさを見せてあげるからね
「ユンゲラー“気合球”!!」
気合球を、ルナは逃げずに攻撃を受ける もちろん、柔な鍛え方はしてないから耐性はある ……反撃は、これからだよ
「ルナ“しっぺ返し”」
その指示に、ルナは軽快な足取りでユンゲラーの元まで行き、先ほどのお返しとでも言うように攻撃をした まぁ、お返しなんだけどね しっぺ返しは相手より後に攻撃すると、威力が上がる技 そして悪タイプだから……効果は抜群ってわけ
「……ルナそのまま“だまし討ち”」
最後のとどめをさすように、ルナは蹴りを入れる まぁ効果抜群の技を二回も当てられたんだし、ユンゲラーは簡単に倒れた
「勝者、88番!」
*
「この鬼畜」 「強いって言ってくれるかなー?」 「強いけど! ……あれは相手がかわいそうだ」 「でも、アイツルナを遅いって言ったし、ユンゲラーは自業自得よ!! ……マグカルゴは、うん」
はぁ、とシルバーは溜息をつきながら頭をなでてきた
「ま、勝ったんだから許してやるよ」 「ゆっ……許してほしいなんて思ってないから!」 「はいはーい」
……私をなでるのは、1人だけかと思ってた ………にしても、ちょっと小恥ずかしい…
―第三回戦は……
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.23 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:10
- 名前: 天月
- 63話 決勝戦 〜YUUNA vs SILVER
「どうして、こう俺、ユウナ…ってなるんだろう」 「偶然でしょ。ほら、行った行った」 「………。あぁ」
また、トン、と背中を押されてシルバーは向かった
三回戦の相手は本当に新人で、シルバーは一発で倒せた 次の四回戦目、五回戦目と2人は順調に勝ち進み 準決勝も2人ともが勝ち、ついに決勝が行われた 先ほどの“約束”通りに
「いっやー、まさか本当になるとは♪」 「そう言いながら、喜んでるだろ?」 「うん♪ 今からシルバーをぶっつb…じゃなくて、戦えるなんてさ♪」 「……………。はぁ」
本音が出たため、シルバーは思いっきり溜息を着く 本当に、この子は先ほどの優しい女の子なのだろうか。というかなんでこうも豹変するんだろうか ツッコミ所が多すぎて、ツッコミ切れないとシルバーは頭の端っこで考えていた
勝負は始まって、なんというか……
あっ、というまに終った気がした 結果は…俺の負けだ惨敗だった ユウナは優勝、俺は準優勝 まぁ……あのユウナに勝てるのは1人くらいだろうから何となく判っていたんだがな……
*
「んー! 楽しかったー!!」 「そりゃ、よかったな」 「でも……目指すのはレイシンのポケモン・リーグだからね、早くバッチ8個集めないと……!」 「そうだな、頑張れよ」 「うん!!」
続く
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.24 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:11
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=P8av8KV6rpk
- 神崎悠斗キャラソン(表)「フラワリングナイト」
ヴァイオリンの華奢で芯の強い音がシンクロしてると思うので 激しくなる部分と大人しい部分もどこかあってるので^^
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.25 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:13
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=3grAI-9WOgg
- 神崎悠斗キャラソン(裏)「平安のエイリアン」
狂った感とか、そういうものがあると思うので^^
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.26 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:23
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=yoFq1Q6qcRc&feature=related
- 神崎空斗キャラソン(表) 「ハルトマンの妖怪少女」
大人しいけどなんだかおどけた雰囲気があってると思うので^^
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Re: 光と闇の時空神 コメントは控えてください>< ( No.27 ) |
- 日時: 2010/09/07 14:27
- 名前: 天月
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=QQbCthOxWhc
- 神崎空斗キャラソン(裏) 「月時計〜ルナ・ダイアル」
時計の音とか、暴走した感じがいいので
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