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ポケモンカードゲームシリーズBW アルセウスジム編
日時: 2011/04/06 23:26
名前: でりでり 13話リメイク ID:dXTaWwQs
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

どうも。でりでりです。今回はポケカで小説を書かせていただきます。
ポケカを知らない方でも楽しめるようにしてありますので是非どうぞ。
ツイッターもやってます。「terikazememe」

私と霜月さんのサイト、「気長きままな旅紀行」
http://www.geocities.jp/derideri1215/
でりでりのブログ、「Over fresh」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/


キャラクターをまとめてみました。気長wiki
http://www15.atwiki.jp/kinaga/
ファーストバトル編&風見杯編目次 >>103

PCC編
39話 風見の用事 >>47
40話 バトルベルト! >>48
41話 力の証明 >>49
42話 能力者の影 >>50
43話 かーどひーろー >>51
44話 再会 >>52
45話 姉弟 >>53
46話 凍結! >>54
47話 油断大敵 >>55
48話 訪問者 >>56
49話 二人目 >>57
50話 精神戦 >>58
51話 暴風 >>59
52話 出陣 >>62
53話 PCC予選 >>66
54話 昼時 >>68
55話 ケンカ >>69
56話 地獄 >>70
57話 俺流 >>71
58話 痛快 >>72
59話 真剣 >>73
60話 下準備 >>74
61話 チェーン >>75
62話 初歩的ミス >>78
63話 ハイレート >>80
64話 ギガントパワー >>81
65話 ライバル! >>83
66話 機転 >>84
67話 天王山 >>85
68話 弱気 >>86
69話 無から有を >>89
70話 挑戦 >>91
71話 真摯 >>92
72話 情熱 >>95
73話 五分 >>96
74話 転落 >>97
75話 困惑 >>98
76話 不足 >>99
77話 絶望 >>100
78話 アイツ >>104
79話 指針 >>105
80話 恐怖 >>106
81話 真価 >>107
82話 窮境 >>108
83話 奇跡 >>109
84話 勝敗 >>110

アルセウスジム編
85話 疑惑B >>117
86話 能力C >>118
87話 新たなカードN >>119
88話 プレイT >>120
89話 新天地へM >>121

その他
ファーストバトル編を終わって >>10
風見杯編を終わって >>44
ポケモンはてなて。カード用語って何? >>45
PCC編を読む前に >>46
PCC編を終わって >>111
アルセウスジム編を読む前に >>116
蜂谷語録その1 >>79
芸能人事情 >>85
芸能人事情2 >>89
由香里のダイエット >>90
ハロウィン2010 >>97
おいしいラーメン >>99
PCC編セリフ集A >>112
PCC編セリフ集B >>113
PCC編セリフ集C >>114
PCC編セリフ集D >>115

デッキソースまとめ
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/deck.html
カード検索はこちらから(公式サイト。だいすきクラブのログインが必要です)
http://pcgn.pokemon-card.com/help/index.php

奥村翔botが登場!
https://twitter.com/okumurasho_bot
風見雄大botが登場!
https://twitter.com/kazamiyudai_bot
メンテ

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コメ返し ( No.102 )
日時: 2010/11/16 19:24
名前: でりでり ID:BzyAik9M
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

こんばんはー。わざわざ感想ありがとうございます!

最初から読むとは。30万字以上あるので本当に読了お疲れ様です。
再読して発見、ありがたいですねー。翔ほんと頑張ってますよね。なでなで。
応募キャラ、ちゃんと全部の設定活かしきれなかったりと百点満点ではないんですけど、結構充足したと思います。
もしかしたらもう一回やることもありえるかも……。
基本的に非公式ですがカードに興味をもってもらえたらいいなー、カード人口増えたらいいなーとか思ってやってるのでそこを感じ取ってもらえたら非常に嬉しいです。さあ、レイコさんも始めましょう!

先ほども言いましたが、カードに興味を持ってもらいたいために既存のカードで頑張ってます。
オリジナルやってもいいんですが、まあバランスブレイクしそうなので控えてるというのもありますね。遊戯王の経験が長すぎたからポケカはちょっと展開遅いっていう不満が……。
実はコイントスは嫌いなんで、まあ仕方ないなーみたいな気持ちで書いてたんですよ。でもそう言ってもらえると俄然やる気出ますねw
シリアスな展開は物語には必須。これからの展開もまだまだ目が離せないよう頑張っていきます!

感想本当にありがとうございましたー。
メンテ
目次:ファーストバトル編〜風見杯編 ( No.103 )
日時: 2011/03/30 10:50
名前: でりでり ID:ki7VHMKo
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

ファーストバトル編
1話 唐突な出逢い! 翔VS風見(前) >>1
2話 不思議なてかり! ガバイト! 翔VS風見(中) >>2
3話 レインボードラゴンカブリアス! 翔VS風見(後) >>3
4話 カードティーチング! レッスン1 >>4
5話 カードティーチング! レッスン2 >>5
6話 カードティーチング! レッスン3 >>6
7話 黒色の転校生 恭介VS黒川唯 >>7
8話 リベンジ!  翔VS風見(前) >>8
9話 信じる心  翔VS風見(後) >>9
風見杯編
10話 生じる予感 >>13
11話 希望を掴め >>14
12話 壊れた心 >>15
13話 決戦の朝 >>16
14話 風見杯予選! 翔VSM[ムービー]ポケモン(前) >>17
15話 予選終了! 翔VSM[ムービー]ポケモン(後) >>18
16話 本戦開始! ポイズンストラクチャー! >>19
17話 ギンガ団の脅威! 発動、エナジーゲイン! >>20
18話 運命のコイントス! >>21
19話 竜VS草&水VS鋼 >>22
20話 刺激する細胞 バトルドーパミン! >>23
21話 目指すもののために エナジーサイクロン >>24
22話 フローゼルと諦めの悪いヤツ >>25
23話 本戦二回戦開始 太古の化石! >>26
24話 逃げて前へ進む者、願い前へ進む者 >>27
25話 ギリギリの攻防 その先にあるもの >>28
26話 恭介出動! 初心者と熟練者 >>29
27話 (カードへの)愛VS(彼女に対する)愛 >>30
28話 風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて >>31
29話 準決勝への道のり 至上命令! >>32
30話 打倒シェイミLV.X 運と運で……! >>33
31話 恨み >>34
32話 拓哉のゴーストデッキ!? >>35
33話 恐怖のベンチキル! サマヨールを倒せ! >>36
34話 遡行せよ、蘇生せよ! >>37
35話 努力の天才 智略のスピードインパクト! >>38
36話 風見杯決勝運命の激突 翔VS風見! >>39
37話 決戦の果て >>40
38話 終わりと新たな始まり >>43
メンテ
アイツ ( No.104 )
日時: 2010/11/21 18:57
名前: でりでり ID:fM0Q/lL.
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

『雄大。これで最後だ! マッスグマの攻撃、駆け抜ける! ガブリアスに攻撃だ! ガブリアスは無色タイプが弱点。僕の勝ちだ!』
 何年前かは忘れた。まだ俺が小さい頃の話だ。小学生だった。
 ジュニアリーグで出場し、あれよあれよと全国大会まで駒を進めた俺。
 その当時、俺はうぬぼれていた。何一つ自分で掴み取ってはいないのに、すべて自分の思い通りにいくとでも思っていたのだ。
 自分の圧倒的な力、絶対的な戦術、幼いながらに全て自信を持っていた。
 そしてそれがアイツとの戦いで崩れ去った。しかし、それを認めたくなかった俺は幻にすがりついた。俺は強い、という悲しい幻に。
 母親には怒られた。大企業会社の社長の息子は何においてでも負けることは許さない、だと。
 粉々に砕かれたプライド。あの負け以来今日まで公式大会には出ていなかった。だがそれでもポケモンカードを続けていたのは何故だろう。惰性か、それとも別の何かか。
 アイツとは小さい頃からなんとかパーティーでしょっちゅう会っていて、それなりに仲が良かった。たぶん初めての友達だったかもしれない。
 しかしあの全国大会以来アイツとは会えていない。アイツには恥ずかしい姿しか見せれていないのだ。成長し、変わった俺を。母親の束縛から逃れようと、運命に抗い始めたその俺を。そして何より俺にもたくさん仲間と呼べる人が出来たというのを見せてやりたい。
 母から逃れるために北海道を出、悲しい幻を引きずったまま東京にやって来た。そこで出会った奥村翔、翔は俺をその幻から引きずり出してくれた。口には恥ずかしくて言えないがとても感謝している。
 奥村翔、長岡恭介、松野藍、他にもいろんな人と俺は出会えた。そしてその出会いが今の俺の強さだ。もう一度アイツにあって、それを見せてやりたい。……待っていろ、市村アキラ。
「風見杯以来だな」
「ああ。あんときは準決勝だったけど今回は準々決勝だな」
「今度は負けないぜ!」
「いや、俺は今回も負けない。負ける気はない」
「そうこなくっちゃ! じゃあ始めるぜ」
「来い、長岡!」
 バトルベルトはもうテーブルにトランスフォームした。デッキもシャッフルし終わり、両者の場には既に最初のポケモンが出そろった。
 俺のバトル場にはタツベイ50/50。長岡のバトル場はエレキブルFB90/90。互いにベンチにポケモンはいない。
「先攻はいただくぜ。俺のターン! 俺はまず手札の雷エネルギーをエレキブルFBにつける! うん、エレキブルFBのワザを使う。トラッシュドローだ。自分の手札のエネルギーを二枚までトラッシュし、その枚数かける二枚ぶんデッキからカードをドローする。俺は雷エネルギーを一枚トラッシュして二枚ドロー!」
 長岡はあれからかなりのキャリアを積んだ。もう初心者ではない。一瞬の油断も与えられなくなった程だ。
「全力で戦う。俺のターンだ。炎エネルギーをタツベイにつける。よし、サポーターだ。ハマナのリサーチ! デッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで手札に加える。俺はコイキングを二枚手札に加え、そのうち一枚をベンチに出す」
 ベンチにコイキング30/30が現れ、ピチピチと跳ねる。
「へぇ、コイキングも入ってんのか」
「ふ、タツベイでエレキブルFBに噛みつく攻撃だ」
 タツベイがエレキブルFBの腕に噛みついた。HPバーがごくわずかに減ってエレキブルFBのHPは80/90に。噛みつくの威力はわずか10ダメージ。たねポケモンでエネルギー一個なのだから、多少はやむなしといったところか。
「よし、俺のターンだぜ! ベンチにピチュー(50/50)を出す! ピチューに雷エネルギーをつけ、俺もサポーターのハマナのリサーチを使うぜ。デッキからピカチュウとヤジロンを手札に加える。そして、ヤジロン(50/50)をベンチに出し、ピチューのポケパワーを発動だ!」
 ピチューのようなベイビィポケモンは全員がベイビィ進化というポケパワーを持っている。自分の番に一度使え、自分の手札のそのポケモンから進化するたねポケモンを一枚、このポケモンの上にのせ、進化させる。そのときそのポケモンのダメカンを全て取るというやつだ。この場合はピチューからピカチュウ60/60へ進化する。
「ベイビィ進化でピカチュウへ進化させ、このピカチュウのポケパワーを発動。エレリサイクル! このピカチュウの進化前にピチューがいるとき自分の番に一回使える。トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加えることが出来る!」
 長岡のトラッシュにはさっきのターンにエレキブルFBのワザでトラッシュした雷エネルギーが一枚ある。ここまで考えていたのか?
「もう一度トラッシュドロー。今度は手札の雷エネルギーを二枚捨てる。よって四枚ドロー!」
 ひたすら長岡の手札が増えていく。まだ三ターン目なのにデッキの枚数は着実に減っていく。
「引くだけでは勝てないぞ。俺のターンだ。タツベイに水エネルギーをつける。ここでサポーターだ。スージーの抽選。自分の手札を二枚までトラッシュし、トラッシュしたカードの数によってドローするカードの枚数が決まる。俺は手札を二枚トラッシュして四枚ドロー」
 手札のコイキングを二枚トラッシュしておく。俺のデッキはトラッシュにコイキングがあればあるほど強くなる。
「まずはタツベイをコモルー(80/80)に進化させよう。そして俺も手札からヤジロン(50/50)をベンチに出し、コモルーのワザだ。気合い溜め!」
 コモルーはぐぐぐ、っと力を入れる。だがエレキブルFBへのダメージを与えるワザではない。
「へへっ、そういうお前もダメージ与えれてないじゃないか。俺のターン。ピカチュウのエレリサイクル! トラッシュの雷エネルギーを手札に加える。そしてこのターンもハマナのリサーチを発動だ。ピチューとピカチュウを手札に加える。ベンチのピカチュウをライチュウ(90/90)に進化させ、新たにベンチにピチュー(50/50)を出してピチューのポケパワー、ベイビィ進化! このピチューをピカチュウ(60/60)に進化させる!」
 これでヤツのベンチはライチュウ90/90、ピカチュウ60/60、ヤジロン50/50の三匹か。ポケモンを立てるのが早くなったな。
「そしてだ。新しくベイビィ進化したばかりのピカチュウのエレリサイクルを使ってもう一枚トラッシュの雷エネルギーを手札に加える」
 長岡のトラッシュに雷エネルギーがなくなった。ここまで考慮してのトラッシュだったのだろうか。
「雷エネルギーをライチュウにつけよう。そしてもう一度トラッシュドロー。手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして四枚ドローだ。ターンエンド」
 なるほど。エレキブルFBを盾としてドローしている間、ベンチにポケモンを揃える作戦か。
「俺のターンだ。そうだな、炎エネルギーをコモルーにつけ、ミズキの検索を発動。手札を一枚戻しデッキから好きなポケモンを加える。俺はネンドールを選択。そしてヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる。そしてコスモパワーだ。手札を一枚か二枚デッキの底に戻して手札が六枚になるまでドロー。俺は二枚戻して五枚ドローだ」
 引くだけのことはある。長岡相手だが好カードを引き当てれた。
「ベンチのコイキングをギャラドスに進化させる!」
 小型ポケモンが多かったフィールドに急に大きなギャラドス130/130が現れる。威圧感バッチリだ。
「さあ、行け、コモルー。プロテクトチャージ!」
 コモルーがエレキブルFB80/90目指してチャージをかます。そのチャージを鳩尾に受けたエレキブルFBは辛そうだ。
「プロテクトチャージの本来の威力は僅か30だが、気合い溜めを前のターンに使用していた場合このワザの威力は80となる」
「なんだって!?」
 HPバーを減らしたエレキブルFBは、ふらふらとおぼつかない足取りを見せてそのまま前向きに倒れる。
「思ったより一ターン早いじゃんか。俺はライチュウをバトル場に出す」
「サイドを一枚引いてターンエンドだ」
 先にサイドを引かれたが、それでも満面笑みの長岡。何か来るか……?
「よっしゃ、俺のターン!」
 勢いよくカードをドローする長岡。ドローしたカードを確認すると、更にテンションが上がっていくようだ。
「オッケー。ナイスドロー! 俺が引いたカードはこいつだ。頼んだぜ、ライチュウLV.X!」
 ライチュウLV.X110/110が長岡の場に現れる。……先にLV.Xを引いてきたのは長岡の方か。このターンからヤツの激しい攻撃が来るな。
「忘れんなよ、ベンチのピカチュウのポケパワー、エレリサイクルだ。トラッシュの雷エネルギーを手札に加えてライチュウLV.Xにつける。さらにミズキの検索だ。手札を一枚戻してデッキからエレキブルFBを手札に。そしてこのエレキブルFB(90/90)をベンチに出すぜ」
 倒されたエレキブルFBをすぐにリカバリさせるのか? どう来る。
「バトルだ! 手札の雷エネルギーを二枚トラッシュ。こいつが、ビリビリ痺れる強烈な一撃だ! ライチュウLV.X、ボルテージシュートをぶちかませぇ!」
 ライチュウLV.Xの体に大量の電気が集まると刹那、槍のような鋭い紫電が俺の場を襲う。
「ぐぅっ!?」
 紫電はネンドール80/80を襲うと爆風と砂煙のエフェクトを起こす。ネンドールのHPバーはあっという間に0/80となり気絶。予感はこれか!
「ボルテージシュートは手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして相手のポケモン一匹に80ダメージを与えるワザ! ベンチだろうとどこだろうと問題ないぜ? サイドを一枚引く」
「ふん。今度は俺のターン」
「まだまだ! 俺はターンエンドしてないぜ」
「何っ?」
「俺の攻撃はまだまだ終わらない! ライチュウLV.Xのポケボディーだ。連鎖雷! このポケモンがレベルアップしたターンにボルテージシュートを使ったターン、追加でもう一度ワザを使う事が出来る!」
「二回連続攻撃だと!?」
「もう一枚サイドをいただくぜ。こいつを喰らえ、炸裂玉!」
 ライチュウLV.Xの体の半分ほどある白と黄の入り混じった球体が、目で追えないボルテージシュートとは違ってゆっくりコモルーの傍へ近づき、コモルーに触れると一気に膨張し爆発した。これも強風のエフェクトが強い。
「炸裂玉の効果でライチュウLV.Xについている雷エネルギーを三つトラッシュする。炸裂玉の威力は100! それに対してコモルーのHPは80だ。サイドはいただき!」
「悪いが、そう簡単にサイドはやらん」
「うっ! 何だこれ!?」
 コモルー10/80の目の前に緑色の六角形のバリアが張られていた。これのおかげで炸裂玉のダメージを削りなんとか耐えきった。
「先ほどのターンに放ったプロテクトチャージの効果だ。次の相手の番に自分が受けるワザのダメージを30減らす。コモルーが受けるダメージは100から30引かれて70! ギリギリだ」
「流石だぜ。ターンエンド」
 しかしネンドールが気絶させられたのは痛い。俺の数少ないドローエンジンだったのだが……。
「よし。俺のターン。まずはベンチにタツベイ(50/50)を出し、バトル場のコモルーに水エネルギーをつける。そして、バトル場のコモルーをボーマンダに進化させる!」
 コモルーの体が光に包まれ、形が変わっていく。見慣れた屈強の体と大きな赤い翼が出来あがれば、いつもの相棒、ボーマンダ70/140の登場だ。
「サポーターカードを使う。ハマナのリサーチ。俺はヤジロン(50/50)とコイキングを手札に加え、ヤジロンをベンチに出す。……俺の熱い情熱を見せてやる。ボーマンダについている炎エネルギーを二枚トラッシュし、ドラゴンフィニッシュ!」
 ボーマンダの口から真っ赤な炎が放たれ、ライチュウLV.X110/110を焼き尽くす。
「このドラゴンフィニッシュは炎または水エネルギーをそれぞれ二枚ずつトラッシュして発動されるワザ。炎エネルギー二枚をトラッシュした場合、相手のポケモンに100ダメージ!」
 なんとか踏ん張ったライチュウLV.X10/110だが、そのHPはたったの10。さらにエネルギーは一つもない。
「ターンエンド」
「くそっ、まだまだ! 俺のターン。俺はピカチュウのポケパワー、エネリサイクルでトラッシュの雷エネルギーを一枚回収し、そのエネルギーをピカチュウにつける。……どっちにするか迷うなぁ。とりあえずこっちだ。俺もハマナのリサーチを使う。ピチューとピカチュウを手札に加え、ピチュー(50/50)をベンチに出す。そしてまたピチューのベイビィ進化! ピカチュウ(60/60)に進化させるぜ」
 これでベンチにピカチュウが二匹いることに。エネリサイクルも二回使える。
「新たに進化させたピカチュウでエネリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを手札に加え、攻撃する。ライチュウLV.Xでスラッシュ!」
「エネルギーなしのワザか」
 ライチュウLV.Xの尻尾が鋭利な武器となってボーマンダを切りつける。ダメージを受けたボーマンダ40/140は、二歩程後ずさるもまだ大丈夫。
「スラッシュを使った次のターン、俺はこのワザを使えない。ターンエンドだ」
 玉砕覚悟というわけか。その気持ち、買ってやろう。俺もただただ前進するのみ。
「俺のターン。スタジアムカード、破れた時空!」
 バトルテーブルにこのカードをセットするや否や、俺達の周りの風景が変わっていき槍の柱へ変わっていく。
「このスタジアムがある限り、互いのプレイヤーは自分の番に場に出したばかりのポケモンを進化させることが出来る。俺はタツベイをコモルーに進化させ、更にボーマンダまで進化させる」
 一見同じボーマンダ140/140の用に見えるがワザやポケパワーなどが微妙に違う。
「ベンチのボーマンダに炎エネルギーをつけ、このボーマンダのポケパワーを発動。マウントアクセル。自分の番に一度使え、自分のデッキの上のカードを表にする。そのカードが基本エネルギーならそれをボーマンダにつけ、そうでないならそれをトラッシュさせる」
 ボーマンダが前足で思いっきり地面を叩きつけて雄叫びを上げる。するとボーマンダの頭上から炎エネルギーのシンボルマークが落ちてきた。
「デッキの一番上は炎エネルギー。よってボーマンダにつける」
 ここまではいいが、今の手札はコイキング一枚だけ。さすがにこれはなんとかしないと。
「バトル場のボーマンダでライチュウLV.Xに直撃攻撃」
 真っ向から突進するボーマンダ。ライチュウLV.X10/110の体を簡単に跳ね飛ばす。直撃の威力は50なので、もちろんライチュウLV.Xは気絶だ。
「やってくれるな! 俺はエレキブルFBをバトル場にだす」
「サイドを一枚引かせてもらおう」
 む、このカードは……。ただ、問題は使い時か。
「どんどん行くぜ。俺のターンだ! まずはこんな殺風景を変えてやるぜ。スタジアムカード、ナギサシティジム!」
 破れた時空の景色は消え、ひとまず元の会場に戻ると休む間もなくゲームよろしくのナギサシティジム内部に変わる。あの動く歯車は厄介だったな。
「お互いの雷ポケモン全員のワザは抵抗力を無視でき、雷ポケモンの弱点もなくなる」
 この効果は俺のデッキに対しては意味はない。ただ、俺の破れた時空を維持させないためのカードだ。長岡のデッキでは破れた時空の恩恵は受けれない。
「そしてグッズカード、ポケドロアー+を二枚同時に発動。このカードは同名カードと二枚同時に使え、二枚使ったなら自分のデッキから好きなカードを二枚手札に加えれる。もちろん、こうの効果は二枚で一回しか働かない」
 選べるカードは好きなカードなので、ポケモンだけだとかエネルギーだけとかいった制限がないのがおいしいところだ。
「へへーん。盛り上がるのはこれからだ! バトル場のエレキブルFBをレベルアップ。行けぇ、エレキブルFB LV.X!」
「またLV.Xか」
 バトル場のエレキブルFB LV.X120/120が雄叫びをあげる。だがこのエレキブルFB LV.Xにはエネルギーが一枚もついていない。その状況で何をする気だ?
「サポーター、ミズキの検索! 手札を一枚戻し、俺はライチュウを手札に加える。そしてあらかじめ雷エネルギーが一枚ついているピカチュウに雷エネルギーをつけ、エレキブルFB LV.Xのポケパワーを使うぜ。エネリサイクル!」
 ピカチュウのエレリサイクルとは一文字違いだが……。
「こいつは自分の番に一度使え、自分のトラッシュのエネルギーを三枚、好きなように自分のポケモンにつけれる。俺はトラッシュの雷エネルギーを三枚ともエネルギーがついていないピカチュウにつける。このポケパワーを使った時点で俺のターンは終了となる」
 だがエネルギーがあっという間に長岡の場に広がった。トラッシュが激しいデッキなだけにこんなにエネルギーを抱えられると後の爆発力が怖い。
「まだまだ始まったばかりだぜ?」
「ああ……」
 俺は強くなった友、いや、強敵に押されているという事を自覚せざるを得なかった。



恭介「今回のキーカードはライチュウ!
   ワザが三種類! しかもスラッシュはエネルギーなしだ。
   とっておきは炸裂玉! トラッシュするエネルギーは自分の場のポケモンであればなんでもいいんだ」

ライチュウLv.45 HP90 雷 (破空)
─  スラッシュ 30
 次の自分の番、自分は「スラッシュ」を使えない。
無無無  ぶんれつだま 50
 自分のエネルギーを1個、自分のベンチポケモンにつけ替える。(自分のベンチポケモンがいないなら、この効果は無くなる。)
雷雷無  さくれつだま 100
 自分の場のエネルギーを3個トラッシュ。
弱点 闘+20 抵抗力 鋼−20 にげる

───
おまけ・ポケカ番外編
「ややこしい」
翔「なぁ拓哉」
拓哉(裏)「あぁん?」
翔「いや、そっちじゃない方」
拓哉(表)「なぁに?」




恭介「なぁ拓哉!」
拓哉(表)「なぁに?」
恭介「あ、違う方」
拓哉(裏)「あぁん?」




風見「藤原、いるか?」
拓哉(表)「あぁん?」
風見「!?」

───
最近風見のネタとしての扱い方がようやく分かってきた。
メンテ
指針 ( No.105 )
日時: 2010/11/28 12:01
名前: でりでり ID:2EyHCukE
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 俺のサイドは残り四枚。バトル場には水エネルギーが二枚ついたボーマンダ40/140。ベンチにはギャラドス130/130、炎エネルギーが二枚ついたバトル場にいるのとは違うボーマンダ140/140、ヤジロン50/50。
 向かいにいる長岡恭介のサイドは五枚。バトル場にエレキブルFB LV.X120/120、ベンチにヤジロン50/50、雷エネルギーが二つついたピカチュウ60/60、雷エネルギーが三つついているピカチュウ60/60。スタジアムは長岡が発動させたナギサシティジム。
「俺のターン!」
 引いたカードはネンドール。そして他の手札はコイキングとボーマンダLV.X。どのカードも俺の目指す構想に必要なカード。コスモパワーで戻しにくい。
 いくら相手の場にエネルギーが溜まっているといえいるポケモンは皆小物。ここは多少リスキーな立ち回りでも問題ないだろう。
「ベンチにコイキング(30/30)を出し、手札からヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる」
 ネンドールのポケパワー、コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻して手札が六枚になるまでドローするもの。今左手で持っている唯一の手札、ボーマンダLV.Xは俺にとっての文字通り「キー」となるカード。俺は長岡のように運が良くないし、それに長岡と戦うといつも(高校でたまに戦っている)運気が下がる。これをデッキに戻して自力で引くのは分の悪い賭け。
 カードゲームにおいて「確実」なことなどほとんどない。俺は常に「不安」と戦い続けなければならない。せめてボーマンダLV.Xが手札にあるという僅かな「確実」だけでも手にキープしておかねば。
「ベンチのボーマンダのポケパワーを発動。マウントアクセル!」
 ボーマンダ140/140が右足を持ち上げると、それを振り下ろして地ならしし、ズシンと辺りに響かせる。
「このポケパワーはデッキの一番上をめくり、それが基本エネルギーならボーマンダにつけ、それ以外の場合はトラッシュするポケパワーだ」
 ボーマンダの頭上に降ってきたカードはギャラドスのカード。これはポケモンのカードだからトラッシュしなければならない。
「む……。だったら攻撃だ。ボーマンダで直撃攻撃!」
 勢いをつけたボーマンダの突進がエレキブルFB LV.X120を襲う。直撃は相手の弱点、抵抗力、すべての効果を無視してダメージを与えるワザ。その威力は50。正面から直撃を受けたエレキブルFB LV.X70/120。大きい体が真上に飛ばされ、そのまま地に落ちる。
「よっしゃー! 俺のターンだ。ドロー! まずはベンチのヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる。そしてポケパワー、コスモパワーを使わせてもらうぜ! 手札を二枚戻し、五枚ドローだ」
 俺とは違って手札が潤う長岡。手札の枚数の差が歴然となった。手札の数だけ可能性、翔が良く言う言葉だがまったくもってそう思う。
 いきなり笑みが浮かぶ長岡。
「ふっ、まずはグッズカードのワープポイントを使う! 互いのバトル場のポケモンをベンチのポケモンと入れ替える!」
 ワープポイントだと? 長岡のベンチにはピカチュウ60/60二匹にネンドール80/80一匹。エネルギーがついていなくてワザでダメージを与えれないエレキブルFB LV.X70/120を入れ替えてピカチュウを出すつもりか?
 俺のベンチにはコイキング30/30、ネンドール80/80、ギャラドス130/130、ボーマンダ140/140。コイキングを出すのは愚の骨頂。ネンドールを出してもバトルは出来ない。ボーマンダは俺の切り札、ボーマンダLV.Xを最大限に活かすためには少しでもダメージを受けさせたくない。となるとギャラドスか……。たしかに雷タイプが弱点だがピカチュウ程度の攻撃。そしてギャラドスはエネルギーがなくても攻撃出来るワザ、リベンジテールがある。
「俺はギャラドスをバトル場に」
 バトル場のボーマンダ40/140とギャラドスが渦に呑まれると、互いに場所を入れ替えるように渦から出てくる。
「なら俺は雷エネルギーが二つついたピカチュウをバトル場に出すぜ」
 長岡の方も同様にポケモンの位置が入れ替わる。
「さらに雷エネルギーをピカチュウにつけ、ライチュウ(90/90)に進化させる!」
「進化か……」
 考えない訳ではなかったが、実際に進化されると幾分つらい。いや、そういえば前のターンにミズキの検索でライチュウを手に入れていたな……。ここまでの展開はあいつの予想通りということになるのか?
「そしてグッズカード、プレミアボール。デッキかトラッシュのLV.Xポケモンを一枚手札に加える。俺はトラッシュからライチュウLV.Xを手札に!」
「だが進化させたターンはレベルアップは出来ない」
「もちろん分かってるさ。だからこのグッズを使うんだ。レベルMAX!」
「レベルMAXだと……!」
 あのカードの効果は、コイントスをしてオモテの場合、自分のポケモン一匹をレベルアップさせるカード。進化させたターンはレベルアップ出来ないという制約を破ることが出来るカードだ。
「……オモテ! よし、レベルアップさせるぜ!」
 再びライチュウLV.X110/110が現れる。だがあの厄介なポケボディー、連鎖雷を行うには手札の雷エネルギー二枚をトラッシュさせるワザ、ボルテージシュートを使う必要がある。それに対して長岡の手札はたった一枚。なのでボルテージシュートは使う事が出来ない。ネンドールのポケパワーを使ったあいつに手札補給の機会はない。
「じゃあ手札を増やすぜ。サポーター発動。バクのトレーニングだ!」
「それで勝負に出る気か!」
「デッキの一番上からカードを二枚ドロー。そしてこのターン与えるワザのダメージが10プラスされる!」
 たった二枚しか引かないのにそれで雷エネルギーを二枚引くのは至難の業だ。流石にそこまで運よく行くはずがない。……と信じたいが。
「手札の雷エネルギーを二枚トラッシュし、ライチュウLV.Xで攻撃。ボルテージシュート!」
「っ!」
 宣言と同時に紫電が俺の場を襲う。ベンチにいるネンドールに向けて発射された紫電はネンドールに触れると爆風と砂煙のエフェクトを巻き起こす。
「うぐあっ!」
「ベンチのポケモンに攻撃するときは抵抗力や弱点を計算しないぜ。ボルテージシュートの威力は80。ただ、バクのトレーニングで与えるダメージがプラス10される場合は相手のバトルポケモンに攻撃した場合のみ! だからネンドールには80ダメージだ」
 最大HPが80のネンドールには一撃だ……。
「ネンドールが倒れたことによってサイドを一枚引く。そしてライチュウLV.Xのポケボディー、連鎖雷はこのポケモンがレベルアップした番にボルテージシュートを使ったなら、もう一度攻撃のチャンスを得るもの。よって追撃だ! 炸裂玉を喰らえッ!」
 巨大な電気の集まりの球体がバトル場にいるギャラドスに襲いかかる。早いボルテージシュートに対し緩やかな炸裂玉だが、ギャラドスに触れた途端爆弾でも落ちたかのような轟音が鳴り響く。
 ギャラドスのHPは130あった。そして炸裂玉の威力は100。しかしギャラドスの弱点は雷+30の上、バクのトレーニングの+10効果もあるので受けるダメージは100+30+10=140ダメージ。ギャラドスのHPを上回ってしまった。
「くっ、ここまで想定内かっ」
「いいや、多少の偶然もあるぜ。ボルテージシュートを使えたこととかな。さてと。炸裂玉は自分の場のエネルギーを三個トラッシュしなければならない。俺はピカチュウについている雷エネルギーを三個トラッシュ」
 このターンだけで長岡がトラッシュしたエネルギーは五枚。そして倒したポケモンは二体。痛手にも程がある。
「俺はボーマンダ(40/140)をバトル場に出す」
「サイドを一枚引くぜ。これで逆転だ」
 そう、俺のサイドは四枚だが長岡のサイドは三枚。あっという間に逆転されてしまったのだ。
 やはり格段と強くなっている。元々の運に加え、立ち回りなどといったプレイングもいい。自分の運を過信しすぎる点もあるが、ある程度のリカバリは想定しているようだ。
 とはいえ簡単に引き下がるわけにはいかない!
「俺はまだまだ上を目指す! 行くぞっ! ドロー!」
 引いたカードは水エネルギー。一番欲しいカードではない……。しかも先ほどドローエンジンのネンドールを気絶させられたために俺はデッキからカードを新たに供給することが一切できない。
「くっ、水エネルギーをベンチのボーマンダにつけて、こいつのポケパワーを使う。マウントアクセル!」
 マウントアクセルの効果でデッキの一番上を確認する。しかし一番上はエネルギーではなくポケモンのエムリット。効果によってトラッシュしなくてはならない。
「ついてないなー」
「俺はお前と違って運は最悪だからな。しかたあるまい。ボーマンダで直撃攻撃」
 ボーマンダの突進する一撃でライチュウLV.Xにダメージを与えていく。HPは60/110まで削ったがまだまだ残っている。
「今度は俺のターン。まずはベンチのピカチュウのポケパワー、エレリサイクル。その効果でトラッシュにある雷エネルギーを手札に加えるぜ。そしてこの雷エネルギーをベンチのエレキブルFB LV.Xにつける」
 エネルギーをつけるということはワザを使わせるという事。エレキブルFB LV.Xはベンチにいてポケパワーを使う置物というわけではないのか。
「手札からサポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを一枚加える。俺はライチュウを加える。そしてネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を一枚戻し、デッキから五枚ドローだ」
 俺のデッキは残り二十六枚だが長岡のデッキは僅か十四枚。ドローが自由に出来ない俺との差がここにも顕れる。
「手札を二枚トラッシュし、ベンチのコイキングにボルテージシュートだ!」
 再び鋭い紫電が俺のベンチを抉る。80ダメージを与えるワザに対しコイキングのHPはたったの30。
 二つ前の俺のターンでコイキングをベンチに出したのは失敗だったか。思惑ではこいつをギャラドスにし、リベンジテールでエネルギーなしの90ダメージを与え続けるはずだったが……! しかしギャラドスを引けなければなんの意味もなかった。
 そもそもコイキングを出した番、まだライチュウLV.Xはピカチュウだった。進化してもライチュウはベンチのポケモンを攻撃出来ないと油断していた。まさかベンチにも攻撃出来るライチュウLV.Xがあっさりサルベージされるとはな。
「サイドを引いてターンエンド」
 連鎖雷はレベルアップしたターンにしか発揮されない。二撃目はないものの、それでも俺と長岡のサイドの差は二枚になった。
「……。俺のターン」
 くっ。今引いたカードがギャラドス。しかしコイキングがいなくなってはもうどうしようもない。俺のトラッシュには四枚のコイキング。つまりデッキにもサイドにももうコイキングはいない。ギャラドスが手札で腐ってしまった。
「ベンチのボーマンダでポケパワーだ。マウントアクセル!」
 ここでもデッキの一番上のカードはクロバットG。このカードのポケパワー、フラッシュバイツはこのポケモンを手札からベンチに出した時、相手のポケモンに10ダメージ与えるポケパワー。
 もしもギャラドスでなくこのカードを引いていた場合、ベンチにクロバットGを出してライチュウLV.Xに10ダメージ与え、ボーマンダの直撃で50ダメージ与えれば気絶させることが出来たものを。とことんついていない。
「仕方ない。ボーマンダで直撃攻撃!」
 この一撃でまた50ダメージを与え、ライチュウLV.XのHPは10/110。そう、クロバットGさえ引けていれば!
「一気に畳み掛けるぜ。俺のターン! ベンチのピカチュウのエレリサイクルを発動し、トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に戻す。そしてベンチのエレキブルFB LV.Xに雷エネルギーをつける」
 長岡のトラッシュにある雷エネルギーはあと五枚。
「コスモパワーを使うぜ。手札を二枚デッキの底に戻して三枚ドロー! 続いてベンチのネンドールにポケモンの道具、ベンチシールドを使う。ベンチシールドがついたポケモンはベンチにいてもダメージを受けない! さあライチュウLV.Xで攻撃だ。分裂玉!」
 ライチュウLV.Xから炸裂玉と同じように大きな球体が発せられる。しかし、それが半分に分割されてそのうち一つは俺のボーマンダに。もう一方は長岡のベンチのエレキブルFB LV.Xに向かって飛んでいく。
「ぐうっ!」
 再び光と風の激しいエフェクトが。
「分裂玉の威力は50! それに対してボーマンダの残りHPは40だ。当然気絶になる!」
 ボーマンダのその大きな体が力を失くして倒れていく。
「そして分裂玉のもう一つの効果。このライチュウLV.Xについているエネルギーを一個、ベンチポケモンにつけかえる。俺はライチュウLV.Xの雷エネルギー一枚をベンチのエレキブルFB LV.Xにつけかえる!」
 これでエレキブルFB LV.Xについている雷エネルギーは三つ。エレキブルFB LV.Xはテキストに書かれている全てのワザを使えることになる。
「俺はベンチのボーマンダをバトル場に出す」
「サイドを一枚引いてターンエンドだ!」
 長岡の残りのサイドはたった一枚。そして俺にはベンチポケモンがいない。あとはこいつを信じるだけだ。このボーマンダ一匹で、サイドを四枚取らなければ。
「たとえどんな状況に追い込まれたとしても、俺は勝負を諦めるわけにはいかない! 行くぞっ!」
 このターンのドローで引いたカードはクロツグの貢献。これも違う。欲しいカードではない。しかし俺にはボーマンダLV.Xがある。
「ポケパワー、マウントアクセルを発動する。デッキの一番上を確認し、それがエネルギーならボーマンダにつけ、そうでないならトラッシュする。……炎エネルギーだ!」
 ようやっと成功した。これでボーマンダについているエネルギーは四枚。
「サイドの差は三枚。そして俺は背水の陣。しかしそんなことを全てひっくりかえすことのできる、圧倒的力を見せてやる! 来いっ、ボーマンダLV.X!」
 バトル場のボーマンダがレベルアップし、ボーマンダLV.X160/160となる。レベルアップしたときに大きく雄たけびをあげるボーマンダLV.X。威圧感は十分。
「ボーマンダLV.Xがレベルアップしたとき、ポケパワーのダブルフォールを使用する。さあ攻撃だ、一撃決めてやる。ボーマンダLV.X、突き抜けろっ!」
 直撃攻撃と似たようにボーマンダLV.Xは相手のライチュウLV.X10/110に向けて突進していく。ライチュウLV.Xの体を軽々と跳ね飛ばすと、さらにベンチにいるエレキブルFB LV.X70/120の巨体も弾き飛ばした。
「二体攻撃かっ!」
「突き抜けるの通常の威力は50。そしてこの効果で相手のベンチポケモン一匹にも20ダメージを与える!」
 当然ライチュウLV.Xは気絶。エレキブルFB LV.X50/120も残りHPが半分を切った。
「俺はベンチのピカチュウをバトル場に出す。だがサイド一枚引いただけでもサイドの差は二枚に……」
「これこそが頂点を目指す者の力だ。ボーマンダLV.Xのポケパワーの効果が発動する。ダブルフォール!」
「このタイミングで!?」
「このポケモンがレベルアップしたターンにのみダブルフォールは使え、このターンにこのポケモンが使うワザのダメージで相手を気絶させたとき、気絶させたポケモン一匹につき一枚サイドをさらに引くことが出来る! 俺が倒したのはライチュウLV.X一匹。俺は通常引けるサイド一枚に加え、さらに一枚サイドを引く!」
「なんだとっ!?」
「サイドの差はあと一枚だ」
 そしてサイドを二枚引けたことで俺の手札も四枚、ようやく潤い始めた。ネンドールというドローエンジンがいなくなってからカードを大量に引けなかった俺にとっては貴重な手札だ。
「くそっ、俺だってまだまだ! ドロー! ピカチュウのポケパワー、エレリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加える。バトル場のピカチュウをライチュウ(90/90)に進化させる。そして手札の雷エネルギーをベンチのエレキブルFB LV.Xにつけ、ネンドールのコスモパワーだ。手札を二枚戻し二枚ドロー。そしてエレキブルFB LV.Xのポケパワーを使うぜ。エネリサイクル!」
 エレキブルFB LV.Xはその電気コードのような尻尾を地面に突き刺す。
「トラッシュのエネルギーを三枚まで選び、自分のポケモンに好きなようにつける!」
 これでライチュウにエネルギーをつけて炸裂玉でもする気だろうか……?
「俺はトラッシュの雷エネルギー三枚を、全てエレキブルFB LV.Xにつける!」
「エレキブルFB LV.Xに!? そいつは既に雷エネルギーを四枚もつけているぞ! 七枚もつけて何になるんだ」
「慌てんなよ、お楽しみはこの後だ。エネリサイクルを使うと自分のターンは強制的に終了となる。ターンエンド!」
「どんな手を打たれようと、俺はするべきことをするのみ! 俺のターン。ボーマンダLV.Xでマウントアクセル!」
 デッキの上を確認するが、時空の歪み。はずれなのでトラッシュ。
「ならば手札からサポーターカードを発動。クロツグの貢献。トラッシュにある基本エネルギー、ポケモンを五枚まで戻す。俺は炎エネルギー二枚、水エネルギー二枚の四枚をデッキに戻しシャッフル!」
 エネルギーだけ戻したのはマウントアクセルの成功率上昇のためだ。
「この攻撃を受けろ! ボーマンダLV.Xでスチームブラスト!」
 ボーマンダが口を開くと、口のすぐ前に白い蒸気が集いだす。そしてそれが限界まで凝縮されると、ボーマンダLV.Xはそれを放つ!
 白い強力な一撃は熱気と湿気を保ちながら長岡のライチュウ90/90にヒット、そしてライチュウの姿が隠れてしまうほどの蒸気が発散する。
「うおっ!」
 エフェクトの激しさに長岡の素っ頓狂な声が聞こえる。
 蒸気が晴れると、そこには力なく伸びているライチュウ0/90の姿のみ。スチームブラストの威力は100。ライチュウ程度は一撃だ。
「スチームブラストの効果で、俺はボーマンダLV.Xについている炎エネルギーをトラッシュ」
「俺はエレキブルFB LV.Xをバトル場に出す!」
「サイドを一枚引く。これで残りサイドはどちらも一枚! しかもお前のエレキブルFB LV.Xの残りHPは半分なのに対し、俺のボーマンダLV.XのHPはマンタンだ。俺の方が優勢だな」
「まだ分からないぜ! 俺のターン。俺は手札のポケモンの道具、達人の帯をエレキブルFB LV.Xにつける!」
 エレキブルFB LV.X50/120の腰の部分に青い帯が巻かれる。この帯をつけたポケモンは、最大HPが20上がり、相手のバトルポケモンに与えるワザの威力も+20されるが、このカードをつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドをより一枚ドローすることができるデメリットを持つ。とはいえこのデメリット、残りサイド一枚の俺にとっては無意味。
 HPが上昇する効果でエレキブルFB LV.Xの残りHPは70/140。
「エレキブルFB LV.Xで攻撃。電気飛ばし!」
 体毛から弾ける電気をボーマンダLV.X160/160に向けて飛ばす。電撃がボーマンダLV.Xを襲い、そのHPを100/160まで削る。達人の帯をつけてこれなのだから元の威力は40か。
「電気飛ばしの効果で、このカードについている雷エネルギー一つを自分のベンチポケモンにつける。俺はエレキブルFB LV.Xの雷エネルギーをネンドールに一枚つけかえる」
「言っておきながら半分も削れていないな。俺が次のターンにエネルギーを引き当て、スチームブラストで100ダメージを与えれば俺の勝ちだ」
「へへ、悪いが俺はお前がエネルギーを引き当てないことを祈るだけだぜ」
 緊張。このドロー次第で俺は準決勝に進めるか否かが決まる。
「ドロー!」
 ドローしたカードを確認するのが怖い。たった一枚で運命が決まってしまうのだ。だが逃げるだけでは何もならない。引いたカードを確認すれば……。
「顔色が良くねーな」
 引いたカードはスタジアムカード、破れた時空。今は不必要なカード。
「だがもうワンチャンスある。ボーマンダLV.Xのポケパワーを発動! マウントアクセルだ!」
 ボーマンダLV.Xが右前足で地面を叩きつけ咆哮する。
「デッキの一番上のカードは……」
 このターンの最後の運否天賦。恐る恐る確認すると、……ボーマンダのカードがそこにあった。
「くそっ! だが攻撃は通す! 突き抜ける攻撃!」
 さっきのターンエレキブルFB LV.Xは60しかダメージを与えれなかった。次のターン、もう60ダメージを受けて俺のターンが回ってこればいずれにしろ倒すことが出来る!
 エレキブルFB LV.Xを弾き飛ばすボーマンダLV.Xだが、長岡の他のベンチポケモンはネンドールのみ。ネンドールのポケモンの道具、ベンチシールドの効果でベンチにいるネンドールにダメージを与えることが出来ない。
 ひとまずエレキブルFB LV.Xの残りHPは20/140。あとどんな一撃でも倒せる。
 そう半ば勝利を確信した時だった。長岡がニヤリと笑みを浮かべる。
「この勝負っ、もらったぁ! 俺のターン! エレキブルFB LV.Xで攻撃。パワフルスパークだ!」
 エレキブルFB LV.Xは右の拳と左の拳をガチンとぶつけると、体中から溢れんばかりの電気を生み出し、それを全て右腕に集中的に溜める。
「パワフルスパークは元の威力の30に加え、自分の場にあるエネルギーの数かける10ダメージ威力が上がるワザだ!」
 長岡の場には雷エネルギーが七つ。そして達人の帯の効果も加わり、パワフルスパークのダメージは30+10×7+20=120になる。ボーマンダLV.X100/160の残りHPを上回る……!
「いっけー!」
 駆けだしたエレキブルFB LV.Xは、電気を大量に溜めた右腕でボーマンダLV.Xの腹部を力いっぱい殴りつける。
 弾ける電気の中、ボーマンダLV.Xの苦しそうな悲鳴、そして減っていくHPバーは目に焼きついた。
「これでゲームセットだな」
 長岡が最後のサイドを引くと同時にゲームが終わる。全ての3Dが消えた。
 今年の俺の大会はこれで終わってしまった。ここから先への戦いに進むことはない。全国大会での市村アキラとの再会、そしてリベンジは叶わぬ夢となった……。
「……」
 首を上に向ける。もちろん天井しか映らなかった。目をつぶり、右拳に力を入れることでなんとか悔しさをやり過ごす。
 ああ、単純に悔しい。ここまで純粋に悔しい気持ちでいっぱいになったのは初めてだ。不運の連続もあるし、俺のプレイングミスもあった。そしてなにより単純に、長岡恭介は強かった。
「風見」
 長岡の声が聞こえる。首を再び正面に向け目を開くと、すぐそこにいつもの笑っているあいつの姿が見える。
「お前、やっぱ強いな!」
「ああ。でも───」
「でも、俺の方がもっと強かった、ってことだ」
 差し出される右手。俺も右手を出し強く握手をする。
 いつの間にか悔しさがなくなり、心が温かくなって何とも言えない充足感を感じた。負けても、楽しい。これが本当の戦いか。
 また来年。次こそは全国の舞台へ進んでやる。そう、俺のリベンジは最下層からまた始まるのだ。新たなる決意を胸にしまった。
 そんなときだった。藤原の悲鳴が聞こえたのは。



風見「今回のキーカードはボーマンダLV.X!
   ボーマンダには豊富なレベルアップ前がある。
   どのカードからレベルアップするかによってこのカードの活かし方が変わるぞ」

ボーマンダLV.X HP160 無 (DPt4)
ポケパワー ダブルフォール
 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。この番、このポケモンが使うワザのダメージで、相手のポケモンをきぜつさせたなら、自分がサイドをとるとき、きぜつさせたポケモン1匹につき1枚、さらにサイドをとる。
炎水無無 スチームブラスト  100
 自分のエネルギーを1個トラッシュ。
─このカードは、バトル場のボーマンダに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 無×2 抵抗力 闘−20 にげる 2


───
風見雄大の使用デッキ
「ドラゴンブラスト」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-849.html
メンテ
恐怖 ( No.106 )
日時: 2010/12/05 12:04
名前: でりでり ID:lrJejOCo
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 あれだけ派手に戦っていた一帯が、急に静まり返った。
 藤原拓哉は後方に向かって倒れたため、尻から落ちたとはいえ後頭部もモロに床に打ちつけている。
 六枚の手札もあちこちに散らばっている始末だ。
「……こいつが悪いんだ。こいつが悪いんだあああ! 俺は忠告をしたはずだ、降参しろと! そうだ、こいつが悪いんだ。俺は何も悪くない!」
 顔の右半分が火傷でただれた高津洋二はそう一人ごちると、高らかに笑い始めた。
 本当は藤原拓哉の元へ駆けつけたい。流石に心配だ。とはいえ選手に試合中触れることは出来ない。
「一之瀬さん!」
 自分の勝負を終えた風見雄大が僕の元に駆け寄ってくる。
「藤原は……」
「分からない。ただ、あと一分だ」
 この大会には、三分以上何もしなかった場合は遅延行為として棄権扱いになるルールがある。藤原拓哉が倒れて既に二分。
 高津洋二のカイリキーLV.Xの攻撃で藤原拓哉のサマヨールが気絶したので、次は藤原拓哉が新たなバトルポケモンを選ばなくてはならない。
 今の藤原拓哉の場はバトル場は不在。ベンチにはベンチシールドをつけたネンドール80/80、超エネルギーが二つついたゲンガー110/110。残りサイドは四枚。藤原拓哉のヨノワールLV.Xが、そのポケパワーの効果でスタジアムカードとなっている。
 一方の高津洋二のバトル場は、闘エネルギーが三つつき、なおかつ強力な存在感を放つカイリキーLV.X130/150。そしてベンチにはパルキアG LV.X40/120に、ネンドール40/80。さらに、残りサイドはあと三枚だがサマヨールが気絶したためこの後一枚引くことができる。
 様子を見ても圧倒的に高津洋二が有利だが……、まずはそれ以前の問題。残り時間は三十秒を切った。立ち上がれるのか?
 気づけばいつの間にか藤原拓哉のぼうぼうにはねていた銀髪が、綺麗にまっすぐに伸びていた。



 痛みが走った。
「ああっ! くっ、うう……」
 完全に気絶してしまったパートナーの人格の代わりに、せめて僕が立ち上がらないと。
 左腕が焼けるように痛い。そして完全に動かせない。左腕が揺れるだけでも痛みが走る。体の節々が痛い。打ちつけた後頭部も、たんこぶくらいはあるだろうか。
 まだ無事な右腕を支えに、なんとか立ち上がる。
「そんな馬鹿なっ!?」
 あの一撃で決まったと確信していたのか、立ち上がった僕を見てたじろぐ高津。
「僕はバトル場に、ゲンガーを出す!」
 手札を拾う前にまずゲンガーを出さないと。バトルテーブルのベンチにあるゲンガーのカードをバトル場へとスライドさせる。
 三分以上何もしなければその時点でもう戦いは終わってしまう。それだけは。それだけは避けないと。
「藤原っ!」
 後ろから風見くんの声が聞こえる。振り返って、うんとだけ頷く。
「あれだけダメージを受けて、どうして!?」
「それは、……負けられないと思ったからだ!」
「くっ、サイドを一枚引いてターンエンド!」
 ターンエンドと同時に、スタジアムカードになったヨノワールLV.Xのエクトプラズマの効果が発動する。
 このカードがスタジアムとしてあるなら、ポケモンチェックのたびに相手のポケモン全員にダメージカウンターをそれぞれ一つずつ乗せるという効果だ。
 高津のポケモンは皆苦しみもがき始める。そして今のHPの状況はカイリキーLV.Xが120/150、ネンドールは30/80。そしてパルキアG LV.Xの30/120となる。
 自分の番を始める前に、まずは床に散らかった手札を拾わないと。手札を持っていた左手はこの有様だから、手札はバトルテーブルの端に置くしかない。
 ……。痛覚、いや触覚を共有していないことが唯一の救いだった。僕らは視覚、聴覚、嗅覚を共有しているが、それ以外は何も感じられない。例えば僕が何かを食べていても、パートナーの彼がその味を知ることはない。
 同様に、僕も彼が受けていたダメージを受けることはなかった。ただ、自分が主人格に戻った時には傷の痛みを感じたが。これだけの傷を負うほどのダメージ。彼はそれに耐えて相当頑張ってきたんだ。その努力を無駄になんて絶対にできない!
「よし。僕のターン!」
 このデッキは僕のデッキではなく彼のデッキ。彼がこのデッキで戦っているところは何度も見たが、自分で運用するとなると使い方がよく分からないのだ。
 だから、今の僕に出来ることは。
 彼がもう一度目を覚ますまで、ひたすら時間を稼ぐことだけだ。
 ……。手札は七枚ある。右手で引いては、それをバトルテーブルの端っこに広げる。彼が考えに考え抜いて作ったデッキのカード達。
 しかし、待てど待てど彼はまだ起きない。そろそろドローから三分が経つ、何かしなくては。でも、何をすれば……?
「うん、ゲンガーをレベルアップさせる!」
 バトル場のゲンガーが、よりパワーアップしてゲンガーLV.X140/140となる。この大会ではまだ出してない、彼の本当のエースカード。
 彼のデッキは非常にややこしい。処理もややこしいが、なにより手順がややこしい。
 ただ単に目の前のバトル場のポケモンを攻撃するだけでなく、バトル場もベンチも、時と場合によればそれ以外も。自分の場も相手の場も、縦横無尽に動き回るプレイングは、見ていて痛快だが行うのは非常に複雑。
 そして僕にはそのプレイングを再現するほどの腕がない。彼の軌跡をなぞるだけならまだしも、臨機応変に動くことなんて……。
「サポーターカード発動。オーキド博士の訪問! デッキから三枚ドローし、その後一枚手札をデッキの底に戻す!」
 三分経つ前に再び動く。しかし引いたのはいいがどのカードを戻すか。手札には超エネルギーが三枚もある。一枚くらい戻してもいいよね……。
 疑問抱きつつひとまずそれをデッキの底に戻す。
 手札にはたねポケモンがない。余ったエネルギーは、ゲンガーLV.Xにつけるか。それともネンドール、いやいやつけないという選択肢もある。
「手札の超エネルギーをゲンガーLV.Xにつける!」
 迷った挙句、ゲンガーLV.Xにつけることにした。あとは……。ポケパワーを使うとか? ゲンガーLV.Xには非常に強力なポケパワー、レベルダウンがある。このレベルダウンは自分の番に一度使え、相手のLV.X一匹の、LV.Xのカードを一枚はがしてレベルダウンさせ、そのLV.Xのカードをデッキに戻すという強力なモノ。
 ただ、高津の場にはLV.Xポケモンは二匹。カイリキーLV.Xを戻すのか、それともパルキアG LV.Xを戻せばいいのか……。
「ベンチのネンドールのポケパワーを発動。コスモパワー! 手札を二枚戻して二枚ドロー!」
 お願い、そろそろ起きて……! もうこれ以上君のプレイングを妨げずに時間稼ぎをすることは出来ない。
 後はゲンガーLV.Xのポケパワー、或いは攻撃を残すのみ。サポーターは一ターンに一度しか使えないし、手札には出せるポケモンや使えるグッズカードはない。
 この三分、この三分以内に!
(……待たせたな)
 その声が聞こえた瞬間、再び僕の感覚は遠のく。



 理由は分からないが、俺が主人格になると髪の毛があちこちにはねる。俺の荒々しい、及び攻撃的な性格を上手く現わしているかのようにも見える。
 俺が気を失っている間に場は多少変わったようだが、なるほど。相棒がなんとか凌いでいてくれたのか。
「……すまんな」
(当然じゃないか。こっちこそ君にばっか辛い思いさせて……)
「けっ、こんなもん大した事ねえ。……おい! そこのクソ野郎!」
「っ!」
 声をかけられ驚く高津。あれだけの傷を負わせたのに、俺が立ち上がってくるということに対する驚きが大きいようだ。
「自分を認めないヤツを叩きつぶすだのなんだのほざいてやがったな。俺様がいーことを教えてやる。他人を信じない奴、なおのこと自分自身を信じない奴を認めてくれる人はいないってな!」
 全ての手はずは相棒が整えてくれた。百点満点とは言わないが、及第点には間違いない。
 少し休めて体調も多少良くなった。やられた左腕はいまだ焼けるような痛みを発しているが、耐えれないわけじゃない。
 どっちにしろ、この痛み、傷を落ちつかせれるのはこいつをブッ倒してからだ。
「多少自分に分があるからって良い気になってんじゃねぇぞ! ゲンガーLV.Xのポケパワーだ! レベルダウン!」
 バトル場のカイリキーLV.X120/150の体に黒い靄(もや)がかかる。その黒い靄の中でカイリキーLV.Xの苦しそうな声が響く。
「レベルダウンの効果でカイリキーLV.Xをレベルダウンさせ、LV.Xのカードはデッキに戻してシャッフルしてもらう!」
「デッキに戻すだと!?」
 カイリキーLV.Xのポケボディー、ノーガードは危険すぎる。このカードがバトル場にいるかぎり、このポケモンがバトルポケモンに与えるワザのダメージと、このポケモンが相手から受けるワザのダメージを+60させるもの。
 自分もリスクを負うのだが、それと同時にこちらも非常に怖い。たった威力20のワザが80になって飛んでくるのだから。
 レベルダウンしたカイリキー100/130、これでノーガードのことは気にせず戦える。
「へっ、一気に潰してやる! ダメージペイン!」
 ワザの宣言と同時にゲンガーLV.Xが右手を真上に振り上げると、上空から一立方メートル程の紫色の立方体が三つ、それぞれカイリキー、ネンドール、パルキアG LV.Xの元へ降り注ぐ。
「ぐおおっ!」
 爆発と風のエフェクトを起こすこの強烈な攻撃は、ダメージカウンターが既に乗っているポケモンに30ダメージを与えるワザ。
 生憎高津の場のポケモンは皆ダメージカウンターが乗っている。ダメージを受けたポケモンに、さらなるダメージを与えるというワザだが、しかもこれはエクトプラズマとの相性も良好。
 ポケモンチェック毎に相手にダメージカウンターを一つずつ乗せるエクトプラズマで、傷ついたポケモンに追い打ちをかけるダメージペインというわけだ。
 煙のエフェクトが晴れてようやく辺りを見渡せるようになった。残りHPが30しかないネンドールとパルキアG LV.Xは気絶。さらにカイリキーも大ダメージ。このワザはダメージを与えるワザなので、バトル場のポケモン限定だが弱点計算をする。よってカイリキーが受けるダメージはその分を計算して30+30=60ダメージ。これで残りHPは40/130。
「サイドを二枚引く。けっ、サイド差二枚もあっという間に埋まるもんだな。ターンエンド。そしてターンエンドと同時にポケモンチェックだ。エクトプラズマでダメージを受けてもらう!」
 カイリキーが再び悶絶する。残りHPは僅か30/130。何も攻撃しなくても、このままでは次の高津の番の後に10ダメージ、俺の番の後に10ダメージ、そしてさらに次の高津の番で10ダメージ受けて気絶だ。
 そのとき、そのまま高津が新たにポケモンを出さなければ、サイドはまだ残っているが高津の場に戦えるポケモンがいなくなり俺の勝ちとなる。自分のターンも終えたので、そっと右手で左腕を押さえる。
「どうしてだ、くっ、俺のターン! ……そうだ。そのゲンガーLV.Xさえ倒してしまえばお前のベンチには非攻撃要員のネンドールしかいない。それにネンドールが攻撃するにしてもワザに必要なエネルギーは二つ! まずはこのターンでゲンガーLV.Xを倒し、その次のターンにネンドールを倒してしまえばもう何も問題はない。エクトプラズマの効果で倒れる前に勝つことは出来る!」
「このターンでゲンガーLV.Xを倒すだと? カイリキーLV.XなしでこのHP140を一撃で倒すとはついにそのチンケな頭も終わっちまったか?」
「だったら見せてやる! カイリキーに闘エネルギーをつけて怒り攻撃だ。このワザは元の威力60に加え、自分のダメージカウンターの数かける10ダメージを与えれるワザ! 今のカイリキーに乗っているダメージカウンターは十! よって与えるダメージは160となる!」
「ひゃ、160だと!?」
「そうだ! それでゲンガーLV.Xは気絶となる! だがその前にお前自身が持つかどうかだが。今度は右腕をもらう! さあ、行けっカイリキー!」
 高津の右人差し指が今度は俺の右肘を指差す……瞬間を逃さなかった。
「このタイミングで!」
 思いっきり大声を出してやる。すると大げさなほどに高津の体は震え、そのせいで右人差し指は狙いを外れて俺の首の右側、右腕の上側。つまりは虚空を指した。
 そしてカイリキーは何事もないようにゲンガーLV.Xへ攻撃を仕掛ける。
「バーカ、ブラフ(はったり)だよ」
 カイリキーの渾身のパンチがゲンガーLV.Xの顔面を殴りつける。だが、俺の右肘には何の衝撃もない。
「貴っ様ああああ! ブラフか!」
「身を守るためだ、悪く思うなよ。そしてこれで完全にお前の能力(ちから)は見切った。お前は相手に衝撃を与えることが出来る能力を持っていて、なおかつどこに衝撃を与えるかを指定することが出来るようだが、ワザの宣言時に自分の指で指したところにしか衝撃を与えることが出来ないようだな。現に左肘に衝撃を与えたときは攻撃宣言時に左肘を指し、今も俺の右肘を指差そうとした。俺自身、体がふらふらで避けるなんて急な動作は出来ないし、バトルテーブルの前から離れると棄権扱いになるからな。こうでもしなきゃ避けられねぇ」
「しかしそれでもゲンガーLV.Xは気絶!」
「調子に乗んなよ! ゲンガーLV.Xが相手のワザで気絶したときにこのポケパワーは発動する。死の宣告! 俺がコイントスをしてオモテだったら、こいつを気絶させたポケモンも気絶させる!」
 左腕を押さえていていた右手をそっと離し、バトルベルトのコイントスボタンを押す。
「これでオモテが出ればお前のカイリキーは気絶っ! ベンチに戦えるポケモンがいないからその時点で俺様の勝ちだ!」
「なっ、なんだと!?」
 画面に表示されたのは、オモテ表示のコインだった。
「残念だがこれまでだ!」
 倒れたゲンガーLV.Xの影がカイリキーの方まで伸びていき、その影がカイリキーの首をしめつける。残り僅かだったカイリキーのHPバーは0を刻んで決着が着く。
 勝負がついたと同時に、高津の体が糸の切れた操り人形のように倒れる。バトル場にいたポケモンや、あのスタジアム、エクトプラズマの映像が消え、元の会場に戻る。
「お前の敗因は、この俺様に一度でも恐怖したことだ。俺、いや、俺らが立ち上がった時にお前は確かにビビッたろう? その恐怖が後からでも目に見えたぜ」
 デッキの片づけは後回しだ。後ろを振り返れば風見と一之瀬が。
「おい一之瀬! これで良いだろ? 俺らはもうここらで限界だ。左腕が動かねえし立つのもやっとだ。休ませて……くれよ」
 右腕を支えに使い、ゆっくりと仰向けに寝転がる。無理のしすぎか、意識が落ちるのは早かった。
 能力者は勝負に負けると能力を失う、らしい。理屈は分からないが、まだ分からない以上はそういうものだと思うしかない。高津はこれを機に俺のようにやり直すことが出来れば、……な。



拓哉(裏)「今回のキーカードは俺様が使ったゲンガーLV.Xだァ!
      レベルダウンにダメージペイン。どれもこれも使い時が複雑。
      さらにレベルアップ前のゲンガーも複数種類がある。プレイヤーの実力が試されるってやつだな!」

ゲンガーLV.X HP140 超 (DPt4)
ポケパワー レベルダウン
 自分の番に1回使える。相手の「ポケモンLV.X」1匹の上から、「ポケモンLV.X」のカードを1枚はがし、レベルダウンさせる。はがしたカードは、相手の山札にもどし、山札を切る。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
超超無 ダメージペイン
 ダメージカウンターがのっている相手のポケモン全員に、それぞれ30ダメージ。
─このカードは、バトル場のゲンガーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 悪×2 抵抗力 無−20 にげる 0

───
高津洋二の使用デッキ
「痛みを糧に」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-851.html
メンテ
真価 ( No.107 )
日時: 2010/12/12 23:40
名前: でりでり ID:Vzctmk2U
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「久しぶりだな、一之瀬」
 突然背後からかかってきた声に僕は驚いて振り返った。この声はこの前のPCC大阪が終わった後にかかってきた電話の主だ。
「……会うのは久しぶりですね」
 そこには端正な顔立ちがあった。整った顔のパーツは小奇麗で、シャープな目とメタルフレームの眼鏡が印象的な二枚目だ。
「君がなかなか会いに来てくれないからね」
 少し困った様子を顔に浮かべるも、きっと心の中では微塵も思っていないのだろう。そういう男だということくらいは知っている。
「僕じゃあそう簡単にあそこへ行けませんよ。……さて、このタイミングで来たということは奥村翔目当てですか」
「ああ、そうだ」
 やっぱりか、と僕は呟くと、再び口を開く。
「それじゃあ僕は藤原拓哉の方を見てきます」
「ああ。すまないな」
 手を振りながら僕はこれから戦おうとしている藤原拓哉の元へ向かう。
「さて、最後に直接会ったのはまだ二歳くらいだったからな。どれだけ成長したか、見せてもらおう」
 後ろから聞こえた彼の声に、僕は聞かない振りをした。



「さて、早速準々決勝を始めようか」
「その前に聞きたいことがある」
 俺の前には対戦相手となる山本信幸。痩せこけた頬、黒縁の眼鏡と首にはギリギリ届かないくらいの短い黒い髪。更に黒いシャツまで着ているのに、全身から陰鬱な雰囲気を放っているため不気味さを感じる。その山本が持つ能力(ちから)は意識幽閉だったか。対戦相手が敗北したとき、意識を失い植物状態になる。現に松野さんも……。
「どうしてこんなことをしてるんだ?」
「年下のクセに生意気な口をするんだな」
 二回戦のこともあって敬語的な喋り方をするイメージがあったから、急にこういう威圧的な話し方をされるのは驚いた。松野さんのときは年上だから多少は丁寧な言葉遣いだったのか? こっちが素だとしたらずいぶんとどこかの誰かさんを彷彿させるな。
「誤魔化すなよ。お前はどうしてその能力でいろんな人を……」
「なんだ、そんなことか」
 山本は肩を上下させつつ軽く笑う。
「野望のため」
「野望……?」
「そうさ!」
 今までの静かな声と違い、その声が急に大きくなる。それと同時に両手を横に広げた。
「野望! この世から不要な人間を全て消し去り、おれがおれの理想とする世界をこの手で!」
 広げた左手を元に戻し、右手は体の前に持っていくと拳を作る。まるで何かを握りつぶすかのように。
「そう。この手で造り上げるのだ!」
「どういうことだ?」
「政治家、教育者、労働者をこき使って上でふんずり返る腐った会社人、親……。他にもいくらだっている! 愚図が上で蔓延るがためにこの世界はどんどん淀んでいく! それをおれが造り直してやるのさ!」
 山本の顔が歪んだ笑みを浮かべる。とてもじゃないが正常とは思えない……。なんなんだこいつ……。
「それなら自分が政治家にでもなればいいじゃないか」
「そんなのでは駄目だ。貴様は何にも分かってない。恐怖だ。この能力をもって恐怖を知らしめてやる。同じ舞台で戦うのではない、常に上から愚図共を消し去って行く必要がある!」
 何を言ってるのかがさっぱり分からない。そんなことを本当にしようというのか?
「そのためにいろんな人を犠牲にしたっていうのか?」
「そうだ」
「っ!」
「戦いで勝てば勝つほどおれは能力の増幅を感じる! もう少し、もう少しでおれはこの能力の真の力を解放できる!」
「真の力だと?」
「ポケモンカードなんていう煩わしい手段を使わずとも、他人の意識を消し飛ばし、植物状態にさせることができる。それが真の力だ!」
「なんだとっ!?」
 今まで聞いてきた能力者で、他人に干渉があるものは全てポケモンカード関連だった。拓哉だってそうだ。その拓哉がこれから戦う高津だって。松野さんから聞いた他府県の能力者だってそうだった。
 もしこいつの言う事が本当だとしたらとんでもないことになる。もっと悲惨なことが起きてしまう。
「さあ始めよう。そしておれに負け、おれの力の礎となれ!」
 バトルテーブルのデッキポケットに差し込んだデッキは、オートでシャッフルされる。そして手札の用意とサイドの用意も全てしてくれる。
 俺の最初の手札には、ポケモンは炎タイプのアチャモ60/60だけ。多少心細いが仕方がない、このアチャモをバトルポケモンにするしかないか。
「行くぞ、俺のターン!」
 山本のバトル場にはミュウツー90/90、ベンチにはクレセリア80/80。さっき松野さんとの勝負を見ていた時は、山本はミュウツーLV.Xしか使っていなかった。一之瀬さんもそれ以外は未知数だと。クレセリアがどんな力を秘めているのかは不安だが、まずは目の前の敵から!
「俺は手札からアチャモに炎エネルギーをつけ、アチャモで攻撃、火の礫(つぶて)」
 コイントスボタンを押す。このワザは、コイントスをしてオモテならワザが成功し、ウラなら失敗してしまう。
「オモテだ。20ダメージを喰らえ!」
 アチャモの口から小粒の炎が複数発射され、ミュウツーに襲いかかる。それらがミュウツーに触れるとHPバーを削りながら爆竹が破裂するような音が響き、黒い煙が立ち込める。まずは20ダメージだ。これでミュウツーの残りHPは70/90。
「その程度……。おれのターン! サポーター発動。スージーの抽選! 手札を二枚捨てることでデッキからカードを四枚ドローすることが出来る! おれは手札の超エネルギーを二枚捨てて四枚ドロー」
 エネルギーを二枚捨てる? わざわざそれをやる必要が分からない。エネルギーがなければワザは使えない。その資本であるエネルギーを捨てる? 何を考えてるんだ。
「おれはケーシィ(50/50)をベンチに出し、ミュウツーに超エネルギーをつける!」
 三枚目の超エネルギーがあったのか。しかし捨てた理由にはならないはず。
「ミュウツーでエネルギー吸収。このワザはトラッシュにあるエネルギーを二枚までこのミュウツーにつけることが出来る。おれはさっき捨てた超エネルギーを二枚、このミュウツーにつけさせる」
 なるほど、ミュウツーのワザを見越してのコンボだったのか。たった一ターンでミュウツーにエネルギーはもう三枚もついてしまった。
「俺のターンだ。ドロー! まずはアチャモをワカシャモ(80/80)に進化させ、ワカシャモに炎エネルギーをつける。そしてベンチにバシャーモFB(80/80)を出すぜ。さらにサポーター発動。ハマナのリサーチ!」
 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを合計二枚まで手札に加えることのできるサーチ効果のサポーター。俺はヤジロンとヒードランを手札に加える。
「今加えたヤジロン(50/50)とヒードラン(100/100)をベンチに出し、ワカシャモで火を吹く攻撃だ」
 もう一度コイントスをする。このワザの元の威力は20であり、今度はウラが出てもワザが失敗にならない。だが、オモテが出れば与えるダメージを20ダメージ追加することが出来る。
 しかし結果はウラ。追加ダメージはなく、本来の20ダメージがミュウツーに与えられる。
 ワカシャモが口から炎を吹き出し、ミュウツーに吹き付ける。HPバーが小さく減って、50/90。まだ半分以上も残ってるか。
「おれのターンだ! おれはベンチのクレセリアに超エネルギーをつける」
 クレセリアにエネルギー……。目の前のミュウツー以外にも警戒しなくては。
「サポーター、ミズキの検索を発動! 手札を一枚デッキに戻し、デッキからLV.X以外の好きなポケモンを一枚手札に加える。おれはアブソルGを手札に加え、ベンチに出す」
 新たに山本のベンチにアブソルG(70/70)が現れる。超デッキと思っていたが悪タイプも仕込んでいるようだ。
「ミュウツーで攻撃だ」
 ミュウツー50/90が左足を前に踏み出し、体は右向きに半身の格好になる。そして間にボールでもあるかのように右手を上に、左手を下に添えるとその中間から薄紫の球体が現れた。
「サイコバーン!」
 ワザの宣言と同時にミュウツーが溜めていた球体を一気に打ちだす。投げられたボールのように放物線を描くのではなく、まるで渦潮に飛び込んだかのように螺旋を描きながら飛んできた。
「ぐおっ!」
 ワカシャモに直撃するやいなや、風と爆発のエフェクトが一斉に襲いかかる。なんて攻撃だ……。
「サイコバーンは60ダメージ! 貴様のワカシャモのHPを吹き飛ばしてやる」
 この攻撃を受けてワカシャモのHPは20/80まで落ち込む。次のターンにもう一度サイコバーンを喰らうとワカシャモは気絶してしまう。だが、大丈夫、対応策はある。
「今度は俺のターン! ワカシャモをバシャーモに進化させる!」
 ワカシャモの体が大きくなり、力強い体躯へ進化していく。HPも上がり70/130。サイコバーンをもう一度受けてもまだ大丈夫だ。
「さあ、全てを焼き焦がせ! バシャーモのポケパワー、バーニングブレス!」
 バシャーモの口から真っ赤な炎が吹き付けられ、ミュウツーを覆う。
「このポケパワーは一ターンに一度、相手のバトルポケモンをやけどにする!」
 だが山本の顔は微動だにしない。
 ……。本当はここで炎エネルギーをつけて、炎の渦をして完全にミュウツーを仕留めたい。だが手札には炎エネルギーはなく、それらをドローできるカードもない。
 ここはバシャーモのもう一つのワザでなんとか耐え凌ぐしかないか……。
「行け、バシャーモ。鷲掴み攻撃!」
 バシャーモがミュウツーの元へ駆けより、バシャーモの腕がミュウツーの喉元をしっかりとつかむ。締め付けられ、ミュウツーのHPは10/90に。
「この攻撃を受けたポケモンは次のターンに逃げることが出来ない。ターンエンド。そして、ターンエンドと同時にポケモンチェックだ。やけどのポケモンはポケモンチェックの度にコイントスをし、それがウラなら20ダメージを受ける」
 山本がコイントスのボタンを押す。ここでやけどのダメージを受ければミュウツーは気絶……。がしかし結果はオモテ。ミュウツーはやけどのダメージを受けることがなかった。
「ぬるいな。おれのターン! おれは手札からグッズカードのポケモン入れ替えを発動。ベンチのポケモンとバトル場のポケモンを入れ替えることができる」
 ミュウツーの首を掴んでいたバシャーモが強制的にミュウツーから弾かれ、俺の方へ戻ってくる。山本はミュウツー10/90を戻してベンチにいたクレセリア80/80をバトル場に出すようだ。
「もう一枚グッズカード、不思議なアメを発動。手札の進化ポケモンのカードをたねポケモンの上に重ねる。ケーシィをフーディン(100/100)に進化させる」
 松野さんと戦った時と全然違う戦い方じゃないかこれは。どう来るんだ。
「さらにベンチにアンノーンG(50/50)を出し、ポケパワーGUARD[ガード]を発動。このポケモンについているカードを全てトラッシュし、このポケモンを自分の場のポケモン一匹のポケモンの道具として扱う。おれはフーディンにアンノーンGをつける」
 ベンチにいたアンノーンGが、フーディンのそばに移動するとシールを貼ったかのようにフーディンの体に張り付く。
「アンノーンGをつけたポケモンは相手のワザの効果を受けなくなる。クレセリアで攻撃だ。月のきらめき」
 クレセリアの体が光を吸収し、それを一気に放出させる。目に痛いほどの光はごくわずかにバシャーモのHPを削った。
「このワザは場にスタジアムがあれば自分のダメージカウンターを二つ取り除けるが、今は場にはない。10ダメージだけ受けてもらう」
 バシャーモのHPは60/130。ギリギリ半分を切ってしまった。ミュウツーもベンチに戻ったために火傷は回復したか。だが山本の手札はたった一枚だ。
「俺のターン」
 引いたカードはミズキの検索。炎エネルギーではない。が、炎エネルギーを引こうとするなら……。
「ミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからネンドールを手札に加える。そしてヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる!」
 今の手札は三枚。ネンドールのポケパワー、コスモパワーの手札のカード一枚または二枚をデッキの底に戻し、六枚になるまでドローする効果で炎エネルギーを気合いで引き当てるしかないか。
「ポケパワー、コスモパワー発動。手札を一枚戻し四枚ドロー。……よし、バシャーモに炎エネルギーをつけて攻撃だ。炎の渦!」
 バシャーモが螺旋を描く炎の渦をクレセリアに吹き付ける。炎の渦に覆われ悲鳴を上げるクレセリア。そのHPは100ダメージを受け0/80へ。
「炎の渦の効果で、バシャーモについている炎エネルギーを二個トラッシュする」
「おれはベンチのミュウツーをバトル場に出す」
「サイドを一枚引いてターンエンドだ」
 これで相手より先にサイドを引いた。しかも山本のミュウツーの残りHPはたったの10。恐れるに足らず。
「ふん。おれのターン。ベンチにクレセリア(80/80)を出す」
「またクレセリアか……」
「そしてサポーターカード、デンジの哲学を発動。手札が六枚になるまでドローする。俺の手札はこれで0。六枚ドローする」
 山本のデッキのカードがどんどん減っていく。あっという間にさっきのターンの終わりに一枚だった手札が六枚に。
「ここでベンチのクレセリアに超エネルギーをつけてミュウツーで攻撃する。サイコバーン!」
 ミュウツーからまたもエネルギー弾が放たれ、バシャーモに攻撃して爆発を起こす。
「バシャーモ!」
 煙が晴れると、そこにはHPバーを0/130にして倒れたバシャーモが。
「サイドを一枚引く」
「くっ。俺はヒードランをバトル場に出す」
「いくらあがいても無駄だ。ターンエンド」
 俺のヒードラン100/100は基本的に非戦闘要員だ。薫と勝負したときのようにベンチで控えて主にバシャーモのサポート役をやっていたようなのが正しいヒードランの使い方。今、そのバシャーモが倒されてしまった。それでもバシャーモがまた戻ってきたときのためにサポートは手を抜かない。
「俺のターン。まずはヒードランをレベルアップさせる!」
 レベルアップしたヒードランLV.X120/120の咆哮が周囲に響く。
「そしてポケモン入れ替えを発動。バトル場のヒードランLV.XとベンチのバシャーモFBを入れ替える。続いてバシャーモFBに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を二枚戻し、四枚ドローだ」
 ようやくエネルギーがちゃんと手札に入るようになってきた。だがまだ流れはどちらにもない。この勝負の主導権を早く握りたい。
 出来ることなら目の前のミュウツーをこのターンのうちに倒したい。だが、バシャーモFBが炎エネルギー一個で出せるワザで、ミュウツーを倒すことが出来ない。
「バシャーモFBで誘って焦がす攻撃。このワザは相手のベンチポケモンを一匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えさせる。そしてそのポケモンをやけどにさせる!」
 フーディンはアンノーンGの効果でワザの効果を受け付けない。選べるポケモンはアブソルGとクレセリアか……。
「クレセリアを選択する!」
 バシャーモFBは跳躍して相手ベンチのクレセリア80/80の元まで行くと、これまたクレセリアの首根っこを掴む。するとバシャーモFBの手首の炎が激しく燃え、クレセリアをも燃やした。そして燃えるクレセリアをバシャーモFBがバトル場めがけて投げつける。あらかじめバトル場にいたミュウツー10/90は驚きたまらずベンチに下がる。これでバトル場にはやけど状態となったクレセリアが新たに出ることになった。
「ターンエンドと同時にポケモンチェックをしてもらう」
 ポケモンチェックで山本がやけど判定のコイントスをしようとしたときだ。
「このとき、ヒードランLV.Xのポケボディーのヒートメタルが発動。やけど状態のポケモンがポケモンチェックでコイントスをするとき、そのトスの結果を全てウラとして扱う。よってクレセリアはやけどのダメージを受け20ダメージ!」
「何っ?」
 クレセリアは火傷のダメージを受け、HPを60/80まで減らす。
「くっ! 小賢しい……」
「これ以上お前の好き勝手にはさせない!」
「なかなかどうして、流石は準々決勝と言うべきか。思っていたよりも多少は強いようだ」
「?」
「貴様を倒した時、おれの能力はより強くなれる。その時こそこの能力は最大まで増幅し、おれの目的は達成されるッ!」
 目的……、ポケモンカードなしで相手の意識を奪うことか。もしかして脅しなのか、これは……? そう言って俺の気持ちを乱そうとしているのか?
「もちろん脅しではない。おれも持てる力を全て出し、まずは貴様を叩き潰してこの世界の淀みを、愚図を、消してやる! おれのターン!」



翔「次回のキーカードはアブソルG LV.X。
  ポケモンをロストさせるポケパワーと、
  エネルギー二個で60ダメージの強力カード!」

アブソルG LV.X HP100 悪 (DPt3)
ポケパワー やみにおくる
 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。コインを3回投げ、オモテの数ぶんのカードを、相手の山札の上からロストゾーンにおく。
悪無 ダークスラッガー 30+
 のぞむなら、自分の手札を1枚トラッシュしてよい。その場合、30ダメージを追加。
─このカードは、バトル場のアブソルGに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 闘×2 抵抗力 超−20 にげる 1

───
風見雄大botが登場!
https://twitter.com/kazamiyudaibot
メンテ
窮境 ( No.108 )
日時: 2010/12/19 11:33
名前: でりでり ID:iKtqRFnc
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「おれのターン!」
 俺のサイドは残り五枚。バトル場には炎エネルギー一枚ついたバシャーモFB80/80。ベンチにはヒードランLV.X120/120とネンドール80/80。
 山本信幸のサイドも同じく残り五枚。そしてバトル場には超エネルギーが一枚つき、やけど状態のクレセリア60/80、ベンチにはポケモンの道具となったアンノーンGをつけたフーディン100/100、超エネルギーが三つついたミュウツー10/90。
 山本はこの勝負に勝つと、自信の能力(ちから)が強まりポケモンカードを介せずとも能力を使い、相手の意識を奪って植物状態にさせれるという。そんなことが本当に起きればとんでもないことになってしまう。だからこの勝負にだけは絶対負けられない。これ以上こいつの好き勝手にさせる訳にはいかない。
「まずはスタジアムカードを使う。月光のスタジアム!」
 風景があっという間に月夜の草原になった。穏やかだが冷たい風が吹いて草が揺れ、ざわざわとその音がする。灯りは唯一空に浮かぶ月だけ。どことなく寂しい感じのするスタジアムだ。
「このスタジアムがあるとき、互いの超、悪ポケモンは逃げるエネルギーが0になる。おれはバトル場のクレセリアを逃がし、ベンチからミュウツーをバトル場に出す」
 ベンチにクレセリアが戻ったことで、クレセリアのやけどは回復する。だがバトル場に出たミュウツーの残りHPが10。虫の息もいいとこだ。
「手札からサポーターカードの地底探検隊を発動。デッキの底から四枚確認し、そのうち二枚を手札に加え、残り二枚を好きな順にして戻す。続いて手札の悪エネルギーをアブソルGにつける。そしてミュウツーのワザを使う。ミュウツーの超エネルギーを一枚トラッシュし、自己再生だ」
 ミュウツーの体が薄い青の光に覆われる。それと同時にHPバーも徐々に回復していく。これでミュウツーのHPは70/90にまで回復した。
「この自己再生はミュウツー自身についている超エネルギーを一つトラッシュすることで、そのHPを60回復させるワザ。ターンエンドだ」
 バシャーモFBでとどめがさせなかったがために回復をさせてしまったか……? いいや、全然そんなことはない。むしろ好都合だ。
「俺のターン。まずはバトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」
 バシャーモFB LV.X110/110が威嚇の雄叫びをあげる。レベルアップ前なら無理だったが、レベルアップしたバシャーモFBならミュウツーを倒すことが出来る。
「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからワカシャモ(80/80)を手札に加えてベンチのアチャモを進化させる!」
 手札はこれであと三枚。やはりこれでは心細いな。
「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを使い、手札を一枚戻して四枚デッキからドロー。そしてバシャーモFB LV.Xに炎エネルギーをつけてミュウツーに攻撃だ。ジェットシュート!」
 バシャーモFB LV.Xは高く跳躍すると、そこからミュウツーに向かってとび蹴りを放つ。その様はまるで降り注いでくる赤い彗星だ。ワザのヒットと同時に大きな音と爆風を生み出す。80ダメージのこの大技はミュウツーの体も吹き飛ばし、HPを0にした。
「……。おれはベンチのアブソルGを新たにバトル場に出す」
「よし! レベルアップさせる前になんとか倒したぜ。サイドを一枚引いてターンエンド!」
「おれのターンだ。ドロー。……、まずはアブソルGに悪エネルギーをつける」
 山本が使うポケモンはミュウツーやらクレセリアやらフーディンやら、超タイプばかりなのに、そこに一匹だけ混ざるアブソルG。一体どういう戦術で来るんだ……。
「愚図ばかりで腐りに腐ったこの世界を粛清するための第一歩だァ! アブソルGをレベルアップ。出でよ、アブソルG LV.X!」
 バトル場にアブソルG LV.X100/100が場に現れたと同時に冷気を感じ、肌に触れる空気がずしりと重くなった。山本の雰囲気も急に静かだったのが力強さを感じつつある。……何か来る。
「アァブソルG LV.Xのポケパワーを発動! 闇に送るッ!」
 山本がコイントスを三回行う。その結果はオモテ、オモテ、ウラ。どこに干渉するポケパワーだ。俺のバトル場か、それともベンチか。いや、手札に関係するものか?
「この効果はこのポケモンがレベルアップしたときにのみ使えるポケパワー! コイントスを三回行いオモテだった数だけ相手のデッキの上のカードをロストゾーンに送る! 淀んだ貴様のデッキを消してやるッ!」
「ろっ、ロストだと!?」
 ロストゾーンに送られたカードはゲーム中、一切使うことが出来なくなる。オモテは二回出た、よって俺のデッキからカード二枚がこのゲームから消えてしまう。
「まずは一枚目! ハードマウンテンか……。まあいい。二枚目もだ! ……カカカカッ! バシャーモもロストだァ!」
「しまった!」
 二枚のカードが、アブソルG LV.Xの額にある角が造り出した異次元に吸い込まれ消えていく。あの二枚はもうこの勝負で使うことが出来ない。
 ハードマウンテンはまあまだいいが、問題はバシャーモだ。山本の本来のキーカード、ミュウツーLV.Xは進化していないポケモンのワザと効果を受け付けないポケボディーをもつ。だがその進化ポケモンであるバシャーモがロストされてしまった……。
「さァらに! サポーター、ハマナのリサーチを発動! デッキからミュウツーとユクシーを手札に加え、ミュウツーをベンチに出すッ!」
 二体目のミュウツー90/90が山本のベンチに現れる。
「不要な物を切り落とし、新たな世界への一歩とするッ! 手札を一枚捨てアブソルG LV.Xで攻撃! ダークスラッガー!」
 山本が捨てたカードはスージーの抽選か。ワザの起動に入ったアブソルG LV.Xの角から黒い三日月形の波動が打ち出され、それがバシャーモFB LV.Xを襲う。
「ダークスラッガーは手札を一枚捨てることで、威力を30上げるワザ。元の威力が30なので60ダメージッ! さらに貴様のバシャーモFB LV.Xが前のターンに使ったジェットシュートのデメリット」
「このワザを使った次のターンに、このポケモンが受けるワザのダメージはプラス40される……」
「そうだ! よって100ダメージっ!」
 バシャーモFB LV.XのHPは110。それが今の一撃で100ダメージを受け、残りHPはたったの10。ダメージを与えれるワザを受けたらどんな些細な一撃でも倒れてしまう。
「くっそ、俺のターン! まずはワカシャモをバシャーモ(130/130)に進化させ、バシャーモに炎エネルギーをつける!」
 俺のデッキにはバシャーモは三枚しか入っていない。一枚はトラッシュ、もう一枚はロスト。よってこれが最後のバシャーモ。
 このターン、バシャーモFB LV.Xでジェットシュートをして80ダメージを与えると、アブソルG LV.XのHPは残り20になる。
 さらにバシャーモのポケパワーで火傷にしてやれば、ベンチのヒードランLV.Xのポケボディーで相手は必ずやけどの20ダメージを受け、アブソルG LV.Xを気絶させることができる。山本のベンチのポケモンはほとんど育っていない、今がチャンス。
「バシャーモのポケパワーを使う。バーニングブレス! このポケパワーは一ターンに一度、相手のバトルポケモンをやけどにさせる!」
 バシャーモが赤い吐息をアブソルG LV.Xに吹き付けたそのときだった。
「愚図はこれだから何も分かってないッ! 思い通りに行くと思うなァ! 手札を二枚捨てフーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラァー!」
 山本がバトルサーチャーとミズキの検索を捨てると、フーディンがスプーンをアブソルG LV.Xの方に向けた。するとアブソルG LV.Xの周りに青いバリアのようなものが張られ、バーニングブレスを弾く。
「なっ、ポケパワーを防がれた!?」
「このパワーキャンセラーは相手のターンに発動したポケパワーを、手札を二枚捨てることで一ターンに一度だけそのポケパワーを無効にすることが出来る!」
 このターンでアブソルG LV.Xを倒す手はずが完全に崩れてしまった。でも出来ることは今やらないと。
「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ジェットシュート!」
 またも激しい一撃が山本の場を襲う。強力な80ダメージのワザはアブソルG LV.XのHPを20/100まで減らした。
「おれのターンッ! まずはベンチのクレセリアに超エネルギーをつける。そしてユクシー(70/70)をベンチに出し、ポケパワーを発動する。セットアップ!」
 セットアップは、ユクシーをベンチに出した時デッキから手札が七枚になるまでドローできる強力ポケパワー。山本の手札がたったの一枚だけだったのにこれで七枚まで補充される。そしてこの手札がまたフーディンのパワーキャンセラーに回るのか……。
「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻しデッキからユクシーを手札に加える。そしてアブソルG LV.XでバシャーモFB LV.Xに攻撃だァ。だまし討ち!」
 ふとアブソルG LV.Xの姿が掻き消えると、瞬時にバシャーモFB LV.Xの背後に現れ、その背中を角で一突き攻撃する。残りHP10/110だったバシャーモFB LV.Xはもちろんたまらず気絶してしまう。
「このワザは相手一匹に弱点、抵抗力、ワザの効果を無視して20ダメージを与えるワザ。これ程度で十分だ!」
「ちっ。俺は新たにバシャーモを出す」
「サイドを一枚引いてターンエンドだっ!」
 あとアブソルG LV.XのHPはわずか20。だが、またしても俺の手札にエネルギーがない。ポケパワーが邪魔される以上、ワザで倒さなくてはならないのにこのままではそのワザさえ使えない。バシャーモについているエネルギーは炎エネルギー一つ。しかしバシャーモのワザはエネルギーを二つ以上要するから、このままでは攻撃出来ない。
「俺のターン、ドロー」
 引けたのはエネルギーじゃなくバシャーモFB80/80。くっ、ないよりはいささかマシか。
「ベンチにバシャーモFBを出し、ネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を二枚戻し三枚ドロー」
 山本はここでは動かない。あくまでバーニングブレス対策だけか。そして引いたカードの中には……。エネルギーがない。ダメだ、完全に流れは山本の元にある。なんとかして戻さないと。
「くそっ、バシャーモでバーニングブレ──」
「無駄だ。手札のハマナのリサーチと月光のスタジアムをトラッシュし、フーディンのパワーキャンセラーを発動ゥ!」
 またしても青いバリアに阻まれる。だが無意味じゃない。山本の手札は確実に削れている。
「……ターンエンド」
「おれのターン。アブソルG LV.Xに悪エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを発動だ。デッキから超エネルギー二枚を手札に加る。アブソルG LV.Xについている悪エネルギー三枚を全て手札に戻して攻撃。破滅の知らせェ!」
 しかし場は静まり返っており、ワザのエフェクトは何も起こらない。ワザは条件を満たさなかったために失敗したのか?
「このワザを受けた相手は次の貴様の番の終了時に気絶する!」
「っ!」
「おれは望む世界を造るためなら時間を惜しまないィ! 今すぐ消さずとも、その次に消せばいいだけだッ! クキャキャキャ! キヒャヒャヒャヒャ!」
 狂った笑いが辺りに木霊する。こいつもヤバいが俺の状況もかなりヤバい。ウソだろ、HP130もあるのにたった一撃かよ。いくら時間差とはいえひどすぎる。
「まだまだっ、俺のターン! まずはバシャーモのポケパワーを!」
「手札の悪エネルギーを二枚捨ててパワーキャンセラー!」
 なるほど、アブソルG LV.Xの破滅の知らせの効果で戻された悪エネルギーをここで利用するのか、その技術はうまい。
「俺はハンサムの捜査を発動。相手の手札を確認し、その後自分か相手の手札を全てデッキに戻しシャッフル。そして戻した人はデッキから五枚までドローする。さあまずは手札を見せてもらおう」
 山本の手札は先ほどミズキの検索で加えたユクシー以外、エネルギーカードばかり。なんだこの手札、引きは間違いなく良くない。
「俺は自分の手札をデッキに戻しシャッフル。五枚ドロー。……よし、バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーを使う。手札を二枚戻し四枚ドロー。ターンエンドだ」
「このとき、粛清の知らせが貴様に降りる! 破滅の知らせの効果発動。このワザを受けた相手は次の相手の番の終わりに気絶する!」
 バシャーモの真上から真っ白の極太レーザーが降り注ぐ。情け容赦は微塵もなく、悲鳴を聞く間にバシャーモのHPバーが全て削り取られて気絶してしまった。
 これでミュウツーLV.Xを倒せるバシャーモがこれでデッキと手札からいなくなってしまった。
「っ、俺はベンチのバシャーモFBをバトル場に!」
「サイドを一枚引く。そしておれのターン。クレセリア(60/80)に超エネルギーをつけてターンエンド!」
 もうターンエンドだと? アブソルG LV.Xはあくまでクレセリアを育てるための壁か。
「その挑発、乗ってやる。俺のターン。バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、グッズカードのプレミアボールを使う。デッキまたはトラッシュのLV.Xポケモンを一枚手札に加える。俺はデッキからバシャーモFB LV.X(110/110)を加え、レベルアップさせる!」
「LV.Xポケモンを二枚入れてるだと?」
「そしてネンドールのポケパワーを──」
「悪エネルギーと超エネルギーをトラッシュし、フーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラー!」
 今度はネンドールの体の周りに青いバリアが貼られ、ネンドールのポケパワーが封じられてしまった。もうバシャーモのバーニングブレスを恐れる必要がないから、今度は俺のドロー手段を封じるつもりか。
「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ベイパーキック!」
 水蒸気を纏った熱いキックがアブソルG LV.Xにヒットし、その体は宙を舞う。30ダメージのこのワザは、アブソルG LV.Xを気絶させるには十分だ。
「クレセリアをバトル場に出す」
「サイドを一枚引いてターンエンド!」
 これで俺も山本も残りサイドは三枚。勝負はここから後半戦に入る。
「おれのターン。まァずはクレセリアに超エネルギーをつける。そして、こいつが屑塗れのこの世界に光を与えるおれの力だァ! クレセリアをレベルアップ!」
 バトル場のクレセリアがレベルアップし、クレセリアLV.X80/100に。LV.Xポケモン、これで二匹目……。アブソルG LV.Xであんなだった。今度も厳しい一撃が来るのは間違いない……。
「光を与える? なんかの間違いじゃないのか」
「かつてこのおれが愚図から受けた屈辱、そしておれと同じような目に遭っている悲しき人々を救うための光だ! ポケパワー、満月の舞い!」
「屈辱?」
 クレセリアLV.Xが光をめいいっぱい放ちながら、満月を描くような、どこか妖艶な踊りを繰り広げる。するとクレセリアLV.Xの体から真っ赤な火の玉のようなものが這い出、それがバシャーモFB LV.Xに飛んでいく。火の玉はバシャーモFB LV.Xの体に埋まって行った。
「満月の舞いは自分の番に一度使え、自分または相手のポケモンのダメージカウンターを一つ取り除き、自分または相手の別のポケモンにそれを乗せ換える。おれはクレセリアLV.XのダメカンをバシャーモFB LV.Xに乗せ換える!」
 これでクレセリアLV.XのHPは90/100、バシャーモFB LV.XのHPは100/110に。
「サポーター、地底探検隊を発動。デッキの底のカードを四枚見、そのうち二枚を加え残り二枚を好きな順に戻す。さあ、クレセリアLV.Xで攻撃だ。三日月の舞い!」
 今度は三日月を描くような不思議な舞いを放つ。すると急にクレセリアLV.Xの輝きが強くなり、バシャーモFB LV.XのHPバーが削られる。残りHPは50/110、50ダメージのワザか。
「このワザは望むならこのポケモンのエネルギーを二つトラッシュすることでベンチのポケモンのダメージカウンターを全て取り除ける。だがおれのベンチにはそのようなポケモンはいないためこの効果は使わない」
 ……次のターン、クレセリアLV.Xにもう一度三日月の舞いを喰らうとバシャーモFB LV.Xは気絶になってしまう。
「次のターン! おれが満月の舞いでクレセリアLV.Xに乗っているダメージカウンターをバシャーモFB LV.Xに乗せ換えるとその残りHPは40になる。そこでクレセリアLV.Xのもう一つのワザ、ムーンスキップを使えば貴様の残りの命は減って行く! ムーンスキップの威力はたった40だが、このワザで相手を気絶させたとき、おれが引けるサイドは一枚多くなる。つまりサイドを一気に二枚、引くことが出来る! 貴様のバシャーモFB LV.Xのジェットシュート一撃ではわずかにクレセリアLV.Xを倒すに及ばないッ! もう少しだ……、もう少しで新たな希望に満ち溢れた世界を! クカキャキャキャキャ! ヒーヒャハハハハ!」
 ここで一気にサイドのアドバンテージをとられるともう取り返しがつかない。俺のベンチにはネンドールとヒードランLV.X、共に非戦闘要員。そうなったら本当に終わりだ……! こいつの好きにはさせてたまるか、その能力で身勝手に振る舞えばたくさんの人が傷つく。俺の大好きなポケモンカードでそんなことは絶対にさせない!
「そう思い通りには行かせない! ドロー!」
 来た、ここ一番で必要なカード。
「悪いがお前の思惑ははずれるようだ。ヒードランLV.Xに炎エネルギーをつけ、バシャーモFB LV.Xにポケモンの道具、達人の帯をつける!」
「なんだと!?」
「達人の帯をつけたポケモンは最大HPと相手に与えるワザの威力が20上がる! ……もちろんそのリスクとして達人の帯をつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドをさらに一枚引くことが出来る。しかしそれでもお前の思惑は崩すことが出来る!」
 バシャーモFB LV.XのHPは達人の帯の効果で70/130。これならムーンスキップで倒されることもない。さらに本来のジェットシュートの威力は80で、一撃でクレセリアLV.X90/100を倒すことが出来なかったが威力が20上がることで与えれるダメージは100になる。これなら倒すことが出来る!
「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動」
「させるか! 手札のケーシィ、不思議なアメを捨ててパワーキャンセラー発動! そのポケパワーを無効にする!」
「だが今から与えるワザのダメージは無効には出来ないぜ。行け、バシャーモFB LV.X。お前の力を見せてやれ! ジェットシュートッ!」
 真っ赤な灼熱の流星キックはクレセリアLV.XのHPと山本の思惑をまとめて消し飛ばす。熱風と爆煙が辺りに立ち込め山本の場が一瞬隠れる。
「……」
 ようやく煙が晴れると、バトル場には新しくミュウツー90/90が立っていた。これが山本の次のポケモンか……。
「よし、サイドを一枚引いてターンエンド!」
「おれの野望の、邪魔をするなアアアアアアアアアアアア!」
 今までとは格段に違う山本の目つき、雰囲気に思わず気圧されそうになる。体が震え、鳥肌が立つ。どうしてだ、勝負は快調じゃないか。バシャーモFB LV.XでクレセリアLV.Xを倒し、残りのサイドはあと二枚。もう少しで勝って、この悪夢を終わらせることが出来るはず。場のバシャーモFB LV.XのHPもまだまだ半分あるし、それに対し高津のミュウツーも、ベンチのフーディン、ユクシーもエネルギーは一枚もついていない。恐れることは何もないはずだ。なのにどうして。寒気が止まらない。
「くそォ! おれのタァーン! ……クハハ、キュハハハハ! いいタイミングでこのカードを引いたァ! ミュウツーに超エネルギーをつけ、貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」



翔「今回のキーカードはミュウツーLV.X。
  サイコバリアは未進化ポケモンからは一切何も受け付けない!
  そしてギガバーンは威力120の強力なワザだ」

ミュウツー LV.X HP120 超 (DP5)
ポケボディー サイコバリア
 このポケモンは、相手の「進化していないポケモン」のワザによるダメージや効果を受けない。
超超無 ギガバーン  120
 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。
─このカードは、バトル場のミュウツーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 超×2 抵抗力 − にげる 2

───
藤原拓哉の使用デッキ
「エクトプラズム」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-856.html
メンテ
奇跡 ( No.109 )
日時: 2010/12/26 19:46
名前: でりでり ID:HyUk/Fco
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」
 ついに出てしまった……。山本信幸の真のエースカード、ミュウツーLV.X120/120。
 近くで見るととてつもないプレッシャーだ。だが、このミュウツーLV.Xを倒さなければ俺は山本に勝つことはできない。倒れてしまった松野さんを救うことが出来ない。
「今まで戦ってきた相手の中で、貴様は一番強いと認めてやる。だからだァ! だからこそ、おれがこの戦いに勝ったとき、おれの能力(ちから)は新たな境地へ赴き、腐りきったこの世界から愚図を排除するという野望への大きな、大きな一歩となる!」
「どうしてそこまで」
「三年前、おれが十八のころ。つまり高校三年生の頃だ」
 逆算すると山本の年齢は二十一か。何があってこんな危険な思想を産み出してしまったのだろう。
「センター試験、もちろん知っているだろう?」
「ああ……」
「センター試験受験日の四日前の出来事だった。塾の帰り、おれはバイクに轢かれる事故にあった」
 ミュウツーLV.Xが右腕を前にすると、周囲の風景が変わり、急にビルとビルが立ち並ぶ夜の街中へ変わって行く。いったいぜんたいどういうことだ。俺の体、山本の体はその街を上から覗くように宙に浮いていて、落ちることはない。
 空は暗いが、街はビルが放つ光のためにやけに明るい。よく見ればこの街並み、どこか心当たりがある。南池袋辺りだろうか、何度か行ったことがある。ふと見れば街路樹のない広めの道路の脇に、血だらけで倒れている一人の男がいた。
「これはおれの過去。スクーターといった小型バイクでなく、バイクにしては大型の、つまり大型二輪に轢かれたおれだったが、轢いたヤツはもちろん逃げ、さらに運悪く人通りが悪かったため事故に遭ったおれの発見も遅れた」
 救急車のサイレンの音が鳴り、過去の山本のそばでそれが止まる。救急車の中から救助隊員が現れた。遠くで何を言っているかは聞こえないが、怒鳴り声のようなものがいくつか聞こえながら、過去の山本が救急車に搬入されそのまま運ばれていった。
 急に上方から眩しい光が目を襲い、右手で両目を覆い隠すよう光から守る。
「そののち、おれの手術が行われた。あまりにも損傷個所が酷く、一時は助からないと誰もが思ったらしい。しかし奇跡的にもおれは生きることが出来た」
 覆っていた右手をはずすと、夜の街並みから景色が急に変わり、辺りは真っ白な壁に覆われた病院の一個室へと移っていた。しかしここでも体は宙を浮き、上から個室を覗いている。
 個室のベッドにはいろんな箇所に管を通されている過去の山本の姿が。包帯やギプスなどいろいろなものが巻かれて直視するのも痛々しい。
「計二十二針を縫う大事故だった。そして、おれが目を覚ましたのは事故から五日後の夜のこと」
「五日後の夜ってまさか」
「そうだ。センター試験の二日目も終わっている」
 思わず眉をひそめて下を向いてしまう。実際にこれを味わった山本は、言葉で表せないくらい辛かっただろう。
「当然、こんな大事故にあって一週間後のセンター追試験を受けれるわけもない。おれは、深い絶望を味わった。今まで必死に必死に頑張ってきたものが、信号無視で走ってきたバイクに轢かれてパーだ。こんなことがあるか!? あってたまるかァ!」
 山本の顔を直視できない。追試験ではないだろう。私立の試験だって、受けれるかどうか。一カ月やそこらで試験を受けるほどの回復は厳しい。
「おれが事故に遭ってから約一ヶ月後のことだった」
 今まで動きのなかった病室の時が急に動き出したかのように、病室の扉が開く。五十代くらいの女性だ。その女性は過去の山本の傍で何か耳打ちをする。
『ほ、本当か! 犯人が見つかったって』
 犯人。山本をこういう目に合わせたヤツのことだろう。見つかったのであれば当然法によって処罰される。間違いなく山本にとっては良いニュースだ。
『大きな声出さないで。これは秘密なんだから』
『秘密?』
 女性は誰もいないか周囲を見渡してから、再び山本に耳打ちする。その耳打ちを聞くにつれ、山本は目の焦点が合わなくなり、呼吸のリズムも狂いだす。
『なっ、がっ、かっ、はっ、はぁ、はぁ、ぎゅああ、きゅばっ、はっ、ああああああああああああああああああああ』
 荒れる呼吸と共に、意味不明な言葉が吐かれたと思うと、急に過去の山本は狂ったように叫び出し、身辺にあったものを構わず投げ続ける。
 本、携帯電話、果物、花瓶。花瓶は割れてガラス破片が飛び交い、たまらず女性は悲鳴を上げる。
 過去の山本の暴走はどんどんエスカレートして医療器具をも叩きつけ、破壊し、投げつける。
 女性がナースコールのボタンを押し、助けてと叫ぶと、すぐに部屋にはたくさんの看護師が現れ過去の山本を抑えつけようとする。
「何が……あったんだ」
「おれが母親から言われた言葉は……」
 あの女性は山本の母親だったのか。俺たちがこうして話している間も、眼下では暴れる山本を、殴られつつも看護師が必死に抑えつけようとしている。
「事故を無かったことにする」
「無かったことにする……? どういう意味だ」
「そのままの意味だ。……おれを轢いたのは、当時の法務大臣のどら息子だった。このことが公に出れば、もちろん法務大臣の立場は危うい。そこでその親子は金で事件を」
「まさか、もみ消したってことか」
「そうだ」
 ようやく抑えられた過去の山本は、暴れ疲れてか意識を閉ざす。なんとか抑えた看護師も、生傷だらけ。個室はもはやボロボロだった。
「おれは悔しかった。悔しくてたまらなかった。おれの人生があんなゴミのせいで狂ってしまった! 悪は善が裁く? そんなものはまやかしでしかないィ!」
 何も答えることが出来ない。怒りを思い出したのか、山本は続ける。
「それだけじゃない。こんなゴミ共に、金でへーこら手のひらを返すあの愚図もだ! 許せるか? 許せるかアァァァ!?」
 病室の風景が掻き消え、元の月明かりが照らす夜の草原へと戻った。愚図とは母親のことか。
「だが、おれはその気持ちを押し殺した。怨むことは門違いだ。とにかく受験勉強に精を出そう、と。そして翌年、志望校に無事受かり、これからは新たな未来を切り拓いていこうと決意を胸にした」
「それならどうして……」
「去年の四月。おれは大学生活にも馴染み、過去の事を忘れて自分の目標に向かっていた。そんな春のある日、サークルの新入生に忘れるわけもない男が現れた」
「男って」
「そう。おれを轢いたそのどら息子だった。母親から名前は聞いていたため、忘れるわけもなかった。しかもその愚図は、現役でうちの大学に入ってきたばかり。どういうことかわかるか」
 現役で入ったということはそのどら息子とやらは十八歳……。まさか。
「免許か」
 山本は物分かりが良い、と拍手で俺を称え、話を続ける。
「そうだ。大型二輪の免許は十八歳以上からだが、おれを轢いたときの愚図の年齢は十六歳。無免許だったのだ」
 一般的な原付きなどは十六歳以上だが、山本の話によるとそのどら息子は大型二輪を運転していたらしい。そうだとすると大型二輪の免許は当然、ない。
「もちろん、おれのことなどあの愚図は微塵も覚えていない。それはそうだ。一度も見舞いにさえ来なかったのだからなァ!」
 山本の受けた屈辱とはここまで……。
「そして夏、おれはこの能力に目覚めた。最初は何が起きたか分からなかったが、この意識を消し飛ばす能力こそこのおれに本当に必要な力だ! 現にあの愚図も、簡単に手を返した親も消してやった! まだだ……。きっとおれと同じような屈辱を受けたやつはごまんといる! そのためにも、そいつらのためにもォ! おれはこの屑が蔓延る腐りきった世界を変えなくてはならないィ!」
「確かに、お前の受けた屈辱は分かった。……だがそれは違う! お前も結局そのどら息子と一緒じゃないか!」
「おれがあの愚図と一緒だと? 適当な事を抜かすなぁぁぁぁぁ!」
「いいや、同じだ! お前がやろうとしていることは、ただ悲しみの連鎖を広げるだけだ! お前だって、お前くらい賢いやつなら分かってるだろう!? こんなこと、本当は何の意味にもならないって」
「黙れェ! 黙れェッ!」
 ダメだ、俺の言うことをまるで聞いていない……。
「おれはァ! ミュウツーLV.Xのワザを使う! エネルギー吸収ゥ! トラッシュにある超エネルギー二枚をミュウツーLV.Xにつける!」
 俺のサイドは残り二枚、山本のサイドは残り三枚。
 山本のバトル場にはこれで超エネルギーが三つついたミュウツーLV.X120/120、ベンチにはユクシー70/70と道具となったアンノーンGをつけているフーディン100/100。
 俺のバトル場には炎エネルギーを二枚、達人の帯をつけたバシャーモFB LV.X70/130、ベンチに炎エネルギー一枚ついたヒードランLV.X120/120とネンドール80/80。
 場には山本が発動したスタジアムカード、月光のスタジアム。このカードで互いの超、悪ポケモンは逃げるエネルギーなしで逃げることが出来る。
 一見俺のほうが優勢に見えるが、とんでもない。最悪だ。
 山本のミュウツーLV.Xはポケボディー、サイコバリアで進化していないポケモンからのワザのダメージや効果を一切受け付けない。
 今場にあるバシャーモFB LV.XはSPポケモンなのでたねポケモンとして扱われ、ヒードランLV.Xは言うまでもない。ネンドールはワザを使うために闘エネルギーが必要、そもそも最初からネンドールを戦力として計算していないため闘エネルギーなんて入れてない。
 このデッキに入っている進化ポケモンであるバシャーモは、既に二匹気絶し一匹はロストしてしまった。デッキにもサイドにも、言わずもがな手札にもバシャーモはもうどこにもいない。
 俺じゃあミュウツーLV.Xに傷一つ与えることすらできない。
 とはいえ、山本は俺のデッキにもう進化ポケモンがいないことを知らない。それを悟られてはダメだ、弱みを見せてはいけない。そのときこそ本当の負けになる。
「くっ。行くぞ、俺のターン! ん、これは……」
 今ドローしたカードは……。



『翔、これを貸しておく。使うか使わないかはお前次第だ』
 風見がポケットから十枚程度のカードを裏向けのまま渡した。拒否出来ない雰囲気に負け、何事もないかのように受け取ってしまう。



 PCC予選が始まる前に、風見が俺に渡したカード。全てはデッキのスペース上入れにくいので、少しだけ入れたカードだった。
「なるほど、こういうときのため、って言うつもりか。俺はナックラーをベンチに出す」
「ナックラーだと?」
 ベンチにナックラー50/50が現れる。俺のデッキは基本的に炎中心だったが、このナックラーは闘タイプだ。
「月光のスタジアムをトラッシュし、手札からハードマウンテンを発動!」
 辺りが元の会場に一瞬戻ると、間髪入れずに今度は険しい山脈に舞台が切り替わる。さっきの草原と違い足元はガチガチした岩盤だ。
「ハードマウンテンがあるとき、一ターンに一度自分のポケモンの炎、闘エネルギーを一つ選んでもよい。そのときそのエネルギーを自分の炎または闘ポケモンにつけ替えることができる。俺はバシャーモFB LV.Xの炎エネルギーをナックラーにつけ替える」
「その程度ッ」
「まだまだ! サポーターカード発動だ。ハマナのリサーチ。その効果でデッキから炎エネルギーを二枚加え、ナックラーに炎エネルギーをつける。さらにネンドールのポケパワーだ」
「何度無駄と言えば分かるッ! フーディンと悪エネルギーを手札からトラッシュし、フーディンのポケパワーを発動ォ! パワーキャンセラー! 相手ターンに一度、手札のカードを二枚トラッシュすることで相手のポケパワーを無効にする!」
 そんなことは分かっている。無駄ではなく、山本の手札を削ることに意味がある。
「バシャーモFB LV.Xで攻撃。誘って焦がす。俺はユクシーを選択」
 このワザは相手のベンチポケモン一匹を選び、バトル場のポケモンと強制的に入れ替えさせて新しくバトル場に出たポケモンをやけどにさせる効果だ。これでバトル場にユクシー70/70を引きずり出しやけどにさせた。
「ターンエンドと同時にポケモンチェックだ。このとき、ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルが効果を発揮する。これは相手がポケモンチェックのときにやけどによるコイントスをするとき、そのコイントスを全てウラとして扱う。よってユクシーはやけどのダメージを確実に受けてもらう!」
 やけどの20ダメージを受け、ユクシーのHPは50/70に。
「そんな小細工が今さら通用すると思ったかアァァ! おれのターン! ハードマウンテンをトラッシュさせ、月光のスタジアムを発動ォ!」
 再び舞台が月夜の草原へと姿が変わる。
「バトル場のユクシーを逃がし、ミュウツーLV.Xをバトル場に出す。さらにミュウツーLV.Xにポケモンの道具、達人の帯をつける!」
「何だと!?」
 ユクシーがベンチに戻ったことでやけどは回復。さらに、達人の帯がミュウツーLV.XについたことでミュウツーLV.XのHPと与えるワザの威力が20ずつ上昇する。これでミュウツーLV.XのHPは140/140。
 だが、達人の帯をつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドを一枚多く引くことが出来る。山本も、ミュウツーLV.Xで勝負をつけに来たということか。
「グッズカード、夜のメンテナンスを発動! トラッシュの基本エネルギー、ポケモンを合計三枚までデッキに戻しシャッフルすることができる。トラッシュの超エネルギー二枚、ミュウツーをデッキに戻すッ!」
 山本のデッキは十枚を切っていたが、これで丁度十枚に戻る。おそらく松野さんと戦った時のようにデッキを削られるのを防ぐための策だろうか。
「攻撃だ! 吹き飛べ、サイコバーン!」
 ミュウツーLV.Xが左足を前に踏み出し、体は右向きに半身の格好になる。そして間にボールでもあるかのように右手を上に、左手を下に添えるとその中間から薄紫の球体が現れた。それをミュウツーLV.Xが投げ飛ばすと、球体は螺旋を描きながらバシャーモFB LV.X70/130を襲う。
「ぐおあああっ!」
 強烈な風と爆発のエフェクトが俺の場全体を包み込む。サイコバーンの元の威力は60。それに達人の帯の効果も相まって、60+20=80ダメージ。バシャーモFB LV.Xはこれで気絶になってしまう。
「だったらヒードランLV.Xをバトル場に」
「バシャーモFB LV.Xについていた達人の帯の効果でェ! おれはサイドを二枚引く! あと一ターンだ! 次のターンで貴様に破滅が訪れる! そして新たな世界の幕が開くゥ!」
 山本のサイドはもうあと一枚だけ。次のターン、山本がギガバーンで攻撃してくれば、ヒードランLV.Xは気絶してしまう。
 ギガバーンの威力はサイコバーンの威力の二倍、120。それに達人の帯の効果で20加算され140ダメージ。しかし、この一撃に耐えれるポケモンはそうそういないし、俺のデッキにはどこにもいない。
 さらにミュウツーLV.XはヒードランLV.Xの攻撃、効果を受け付けない。ナックラーでは言わなくとも完全に力不足。
「まだだ。まだ俺は戦える! ドロー!」
 ドローカードはミズキの検索。よし、まだチャンスはある!
「ミズキの検索を発動。デッキに手札のカードを一枚戻すことで、デッキから好きなポケモンのカードをサーチする。俺はフライゴンを選択!」
「いまさらフライゴンを選択したところで、進化出来るのは一ターンに一度きり! ビブラーバまでが精いっぱいだッ!」
「そうかな? グッズカード、不思議なアメを発動する。自分の進化していないポケモンを進化させる。ナックラーを、フライゴンに進化だ!」
 ナックラーを中心に砂嵐が吹き荒れ、その姿が見えなくなる。数秒たって砂嵐が晴れ、そこからフライゴン120/120が姿を見せる。
「だァが! その程度ではおれのミュウツーLV.Xはびくともしない!」
「まずはフライゴンに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーを発動」
「手札のミズキの検索、達人の帯を捨てパワーキャンセラー! そのポケパワーを無効にする!」
 手札の補給が出来ないため俺の手札はたった一枚。しかも炎エネルギーだ。だけど、立ち止まって諦めるつもりはない。
「フライゴンのポケボディー、レインボーフロートは、このポケモンについている基本エネルギーと同じタイプのポケモンの逃げるエネルギーが0になる。ヒードランLV.Xを逃げるエネルギーなしで逃がし、フライゴンをバトル場に出す」
 フライゴンの足元からヒードランLV.Xに向かって虹が伸びる。ヒードランLV.Xはこの虹をつたいベンチに逃げ、フライゴンがバトル場に現れる。
「ミュウツーLV.Xのサイコバリアは進化しているポケモンのワザ、効果は受けるんだよな」
「だがこのミュウツーLV.XのHPは140! 一撃で倒せるはずがない! 無駄な抵抗はやめるんだなァ! キーヒャハハハ!」
「そいつはどうかな。フライゴンで攻撃。砂の壁!」
 フライゴンが翼をはためかせると、足元から砂嵐が巻き起こる。その砂嵐は範囲を広げ、文字通りミュウツーLV.Xとフライゴンを分け隔てる壁となり、その砂嵐はミュウツーLV.XのHPも40削る。さらに、辺りの風景も月夜の草原から元の会場へと戻っている。ミュウツーLV.X100/140にダメージを与えた後もこの砂嵐は一向に止む気配がない。
「何だ、何が起こっているッ!」
「このワザは相手のスタジアムをトラッシュし、次の相手の番にフライゴンは相手のワザのダメージ、効果を受け付けなくする!」
 これで次の山本のターンにフライゴンが倒される恐れはなくなった。なんとかして打開策を拓かないと。
「くっ、小賢しい! 手間取らせよって! おれのターン! ミュウツーLV.Xに超エネルギーをつけてワザを使う。自己再生! ミュウツーLV.Xについている超エネルギーを一枚トラッシュして、このポケモンのHPを60回復する」
 ミュウツーLV.Xが淡い光に包まれ、HPバーを元に戻していく。さっき40ダメージ与えたのに対し60回復。ミュウツーLV.XのHPは元の140/140に戻る。
「フハハハハハッ! 今度こそ、今度こそ! 次のターンにおれはギガバーンで貴様のフライゴンを倒して勝利するッ!」
 山本のターンが終わると同時に砂嵐が晴れる。砂の壁の効果は無くなった。もう俺を守るものが無くなってしまった。
 今度こそ絶体絶命だ。このターンでミュウツーLV.Xを倒さなければ俺は勝てない。そのための逆転の一枚を……。
「俺のターン」
 ドローのためにデッキの一番上のカードに触れる。何故だか触れた指先が熱を帯び始めた。指をつたって徐々に体全体に熱が広まり、心臓の鼓動が早くなる。
「感じる……。このドローに、俺は全てを懸ける! 行くぞォ! ドロー!」
 俺がドローしたカードは……。フライゴンLV.X!
「こいつが、俺の絆の証しだ! 現れろ、フライゴンLV.X(140/140)!」
「たかがHP140! このおれとミュウツーLV.Xの敵ではない!」
「そいつはどうかな」
「何っ?」
 山本の眉がぴくりと動く。
「この悪夢を終わらせる力だ! フライゴンLV.Xで攻撃。エクストリームアタック!」
 フライゴンLV.Xが空高く舞い上がる。
「このワザは、相手のLV.Xポケモン一匹に150ダメージを与えるワザだ!」
「ひゃ、150だと!?」
「行けぇ! フライゴンLV.X!」
 上空から加速をつけて一気に駆け下りてくるフライゴンLV.Xの体は、白の光に包まれる。
「こんなところでおれはっ、おれはああああああああ!」
 光の束と化したフライゴンLV.Xが、正面からミュウツーLV.Xの体を貫く。それと同時に爆発が巻き起こり、山本側の場が一切見えなくなった。
「達人の帯をつけたポケモンが気絶したため、俺はサイドを二枚取る! これで俺の勝ちだ!」
 これで俺は全てのサイドを引ききった。カードから目を離して前を向くと、勝負が終わったために消えかけているフライゴンLV.Xと目が合う。
「ありがとうな」
 勝った。……良かった。一人だったら絶対に勝てなかったが、こいつのお陰で俺は勝つことが出来た。本当に、ありがとう。



翔「今回のキーカードはフライゴンLV.X!」
風見「エクストリームアタックは、ベンチのLV.Xポケモンも攻撃出来る。ポケボディーもデッキ破壊の強力効果だ」
翔「これが俺達の絆の証しだ!」

フライゴンLV.X HP140 無 (DPt2)
ポケボディー しんりょくのあらし
 このポケモンがバトル場にいるかぎり、ポケモンチェックのたび、相手の山札のカードを上から1枚トラッシュ。
無無無 エクストリームアタック
 相手の「ポケモンLV.X」1匹に、150ダメージ。
─このカードは、バトル場のフライゴンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 無×2 抵抗力 雷−20 にげる 0

───
山本信幸の使用デッキ
「夜明け」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-858.html
───
これが年末最後の更新です。
メンテ
勝敗 ( No.110 )
日時: 2011/01/01 00:00
名前: でりでり ID:Okv5yxcM
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「大丈夫か、翔」
「風見のおかげでなんとか勝てたぜ……」
「ああ。最後だけだが見ていた」
 山本との対戦が終わると同時に、体に急に物凄い疲労感とだるさが襲いかかってくる。これは風見杯のときにも経験したが慣れれるもんじゃない。
「拓哉はどうなった?」
「あいつもきちんと勝った。だが、その代わり肉体にかなりの負傷を負って病院に運ばれた。準決勝は当然棄権だ」
「そうかぁ……」
「そしてお前は今から長岡との対戦だ」
「ということは風見は負けたのか」
「ああ。内容的にも課題がたくさん残る勝負だったが、後悔はしてない」
「だったらいいんだけどな」
 数秒の間があった後、風見が俺の肩をぽんと叩く。
「さあ、頑張ってくれ」
「は?」
「今から準決勝だ。もう一方の試合はさっきも言った通り、藤原が棄権したため準々決勝を勝ち抜いた中西が一気に決勝進出となる」
「え、ちょっと待───」
「もう能力(ちから)がどうとかいった勝負はない。さあ楽しんで来い」
「棒読みで言うな! くそ、行けばいいんだろ行けば!」
 と口では元気そうに言ったものの、ぶっちゃけこうして立って歩いているのがやっとだ。でもここまで来たんだ。俺は全国大会に行って、才知と由香里との約束を果たさなくてはならない。
「あと二戦、勝つだけだ……」
 自分を奮い立たせる呪文のように、一人小さくつぶやいた。



「翔との公式戦は初めてだぜ」
 バトルベルトでの対戦は、ポケモンが3D映像として現れるがために非常にスペースを取る。俺と恭介の距離は、学校の教室の端から端くらいの広さがあり、ちょっと視力の悪い奴だと細かい表情が見れないだろう。
「お前公式戦出るの初めてだろ。当然じゃん」
 俺が突っ込むと、恭介はうっせーな、と、くだをまく。
「いや、そうだけど! もうなんでもいいからさっさとやろうぜ!」
「ああ。楽しい勝負にしようぜ」
 と言ったはいいが、急に焦点がぶれて向かい側にいる恭介の姿が二人に分裂したかのように見えた。数回瞬きをすれば何事もなかったかのように焦点が戻る。
 くそっ、あと一時間くらいはもってくれ俺の体! まだ倒れたくはないんだ。
 最初の手札からたねポケモンを選択する。バシャーモFB80/80しかたねポケモンはいないか。
 恭介の最初のたねポケモンはピチュー50/50が二匹。
「先攻は俺がもらうぜ! 俺のターン。まずはバトル場のピチューに雷エネルギーをつけてワザ、おさんぽを使う。このワザの効果でデッキのカードを上から五枚見て、その中のカードを一枚、手札に加える。残りのカードはデッキに戻しシャッフル」
 ちゃんとプレイング出来るようになってるじゃないか、流石は俺が教えただけあるな。
「今度は俺のターンだ」
 デッキの一番上に手を伸ばした。が、あるはずのカードはそこにない。辺りを手さぐりで探したところ、間違えてデッキの左隣の空を探しまわっていたようだ。自分の視界がズレてしまっている。
「くっそ、頼むって……。なんとかもたしてくれよ。ドロー!」
 ダメだ、今度は手札がぼやける。絵はまだ見れるがテキストはほとんど読めない。
「炎エネルギーをバシャーモFBにつけ、ハマナのリサーチを発動。ヤジロン(50/50)とアチャモ(60/60)を手札に加えて二匹ともベンチに出す。そしてバシャーモFBで誘って焦がす。ベンチのピチューを引きずり出してやけどにする!」
 バシャーモFBが恭介のベンチへ跳んだ。だが、そこからが妙だ。音がエコーして聞こえる。なんだか遠くで反響する音を聞いているようでずいぶんと気持ちが悪い。
「ポケモンチェック。やけどのコイントスだ」
 コイントスが見えない。恭介がウラ、と宣言したのを聞いてやっと理解する。だがその声も反響して……。
「俺のターン。バトル場のピチューのポケパワーだ。ベイビィ進化。ピチューのダメージカウンターを全て取り除き、ピチューをピカチュウ(60/60)に進化させる。進化したことでやけどは回復だ。そして───」
 体の感覚が徐々に分からなくなる。視界も歪み、耳に入る音は不快感しか伴わない。何がどうなって今起きている? ああわからない。もう、どうにでも、な……れ……。



「はっ! へいあ!」
「ごあっ!」
 次に目を覚ましたとき、目の前にドアップの風見の顔があった。顔と顔の距離が十センチしかなかったと思う。反射的に頭突きで風見を襲ってしまった。
 しかし、よく頭突き出来たなと思うくらい体が動かない。
「いたた、起きるのが結構早いんだな」
「俺がなんだかよくわからんことになってる間に何したんだ!?」
「急に倒れたお前をせっかく運んできたのに、頭突きされるとはとんだ恩知らずだ……」
 気がつけばいつの間にか周囲は会場ではなく、廊下で横になっていた。廊下にはいくつかの扉と、額をおさえて痛がる風見だけしかいない。どこだろうか。
 さっき何があったのかを思い返す。
「……あっ、勝負は? 恭介とやっていたはず───」
「落ち着け。お前はその最中に倒れたんだ。皆びっくりしたぞ。あと言わなくても分かるだろうがお前はもちろん棄権扱いだ」
「……」
 それもそうだろう。
「そんなつまらない顔をするな。良い知らせもきちんとあるぞ。松野さんを始めとした山本の被害者の意識が取り戻ったようだ。実際に松野さんから連絡があった」
「本当か!」
「嘘をつく理由はないだろう。それと、藤原は高津との試合の際に左腕を折ったようだ。全治三カ月程度らしい」
「拓哉も頑張ったんだな」
「翔も頑張ったんだろう?」
「まあ、な」
「俺達には来年がある。未来がある。今回は運が悪かったということだ。次こそ、と意気込むのがいいくらいだろう?」
「へへ、そうだな」
 いつまでも仰向けで廊下に寝転がっているのも良くない。なんとか風見の手助けもあって、立ち上がる。
「今会場に戻ればおそらく決勝戦の最中だ。行くか?」
 服をぱんぱん、と簡単にはたく。
「おう。せめて恭介の応援くらいはしてやらないとな」



「ファイナルブラスト!」
 深く息を吸い込んだレックウザC LV.X100/120の口から無慈悲なほど巨大で強大な極太レーザーが発射される。
「ぐおああああっ」
 音と光が爆発する。大気も震えるかの程だ。離れて見ている俺達にもかなりきついものがある。
「病み上がりにこれを見るのはかなりきついな」
「大丈夫か?」
「ああ」
 見れば恭介のエレキブルFB LV.Xがこの攻撃を受けたらしく、気絶してしまったようだ。
「俺の次のポケモンはライチュウだ!」
「サイドを一枚引いてターンエンド。さて、あとサイドは一枚になったけど、どういうプレイを見せてくれるのかな?」
 恭介のライチュウ90/90には雷エネルギーが既に三つついている。攻撃の準備はばっちりのようだ。
「お望みならば見せてやる。俺のターン! こいつが俺のエースカードだ! 来い、ライチュウLV.X!」
 これが恭介のエースカード……。ライチュウLV.X110/110は頬から大量に電気を放電しながら現れる。
「手札の雷エネルギーを二枚捨て、ライチュウLV.Xで攻撃。ボルテージシュート!」
 瞬間、紫電の槍が中西のベンチを抉るよう襲う。攻撃を喰らった色ミロカロスは強力な電撃を浴びHPを0/80にする。
「へへっ。ボルテージシュートは手札の雷エネルギー二枚を捨てることで相手のポケモン一匹に80ダメージを与えるワザ。色ミロカロスにはアクアミラージュっていう自分の手札が一枚もないときこのポケモンは相手のワザによるダメージを受けないポケボディーがあるが、あんたはさっき俺のエレキブルFB LV.Xを倒してサイドを一枚引いたから手札は一枚。そのポケボディーも働かない! サイドを一枚引く」
「なるほど、私のコンボをそう破るとは流石ですね。ですがサイド差はまだありますよ。君のサイドはまだ二枚ある」
「ライチュウLV.Xがレベルアップしたターンにボルテージシュートで攻撃した場合、ポケボディー連鎖雷が働く。この効果で俺はもう一度だけ攻撃できる!」
「二回攻撃!?」
 決勝戦の相手なのに恭介は一歩も引きさがっていない。それどころか互角の戦いを繰り広げている。もしかしたら……。
「ライチュウLV.XでレックウザC LV.Xに攻撃。炸裂玉!」
 巨大の電気の塊の玉がライチュウLV.Xから放たれ、それがレックウザC LV.Xの元で大爆発する。
「このワザの効果でライチュウLV.Xについている雷エネルギーを三つトラッシュする。だが100ダメージを喰らってもらうぜ!」
「レックウザC LV.X!」
 丁度残りHPを失ったレックウザC LV.Xは、浮力を失い崩れ去る。
「なんという底力。素晴らしい! 私はベンチのミロカロスを出す!」
「サイドを一枚引いて、今度こそターンエンドだ!」
 中西のベンチから現れたのは、息絶え絶えの傷だらけであるミロカロス20/90。
「長岡のライチュウLV.Xは、エネルギーなしでも30ダメージを与えれるスラッシュがある。これで次のターンミロカロスを倒せば長岡の勝ちだ。ライチュウLV.X自身のHPも110もある。そうそう簡単に倒せる相手ではないな」
「よし、頑張れ!」
 中西の手札はたった一枚。それにミロカロスにはエネルギーが超エネルギー一つだけだ。勝てるぞ!
「私のターン。参りましたね……、これが私にできる最善の策です。ハマナのリサーチを発動。デッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで手札に加える。私は水エネルギーとヤジロンを加え、水エネルギーをミロカロスにつける」
 試合を見ている周りの観客のざわつきが消える。皆、この試合の行く末を見守り息をのんでいる。
「ミロカロスで攻撃。クリアリング!」
 中西のミロカロスが水で出来た透明な輪をライチュウLV.Xに向け放つ。輪がライチュウLV.Xに触れると、輪は水に戻って飛沫を上げた。
「たった20ダメージか? ライチュウLV.XのHPはまだ90もある。次のターン俺の勝ちだ!」
「クリアリングの効果発動」
「なっ」
「望むなら、自分の手札を二枚トラッシュすることで自分のポケモンのダメージカウンターを四つ取り除く」
 なるほど。だから中西はわざわざ手札を0にせず二枚残しておいたのか。
「私は手札のヤジロンとワンダー・プラチナをトラッシュしてミロカロスのHPを回復させよう」
 傷ついたミロカロスの傷が癒え、HPバーが60/90まで回復する。うってかわってさっきのターン炸裂玉の効果でライチュウLV.Xにエネルギーはなし。ベンチにポケモンもいない恭介は劣勢になる。
「嘘だろっ!? くっそー! 俺のターン。手札の雷エネルギーをライチュウLV.Xにつけ、スラッシュ攻撃!」
 ライチュウLV.Xが尻尾でミロカロスを叩きつける。
「ミロカロスの弱点は水プラス20。しかし僅かに足りないな、あの中西という人は相当強いぞ。さらにスラッシュは次のターン連続して使うことが出来ない。長岡はやや不利になってしまった」
 30+20=50のダメージを受け、ミロカロスは10/90、文字通りがけっぷちだけ耐えきる。しかし中西にとってはこれで十分だろう。
「私のターン。手札の水エネルギーをつけてミロカロスで攻撃。スケイルブロー!」
 ミロカロスの体からたくさんの鱗がライチュウLV.X90/110に向かって吹き付ける。それぞれがナイフのようにとがった鱗は、一つ一つがライチュウLV.Xにダメージを与えていく。
「このワザは基本値90に対し、手札の数だけダメージを10減らす。しかし私の今の手札は0。よってそのまま90ダメージを受けてもらいます」
 HPバーが徐々に減り、ライチュウLV.XのHPバーは尽きてしまう。まさかあんなピンチからこうもあっさり勝ってしまうとは。
「サイドを一枚引いて、私の勝ちだね」
 勝利と共に周りの観客から共に激戦を繰り広げた両者に賞賛の拍手が送られる。俺も風見も、共に手を叩いた。
『PCC東京A一日目、カードゲーム部門の優勝者が決まりました!』
 急設された表彰台の上に、中西が恥ずかしがりながら上る。もう一度名誉者への拍手が送られ、これで長かったPCC東京A一日目は幕を閉じた。


 
 会場を出ると、既に外は闇。春の夜はまだ冷たさを伴うものの、大会帰りの俺達の熱気を冷ますには程遠かった。
「くっそおおおあと少しで優勝だったのにいいいい!」
「日頃の態度の悪さ故の当然の結果だ」
「うっせー! お前も人の事言えねーだろうが! っていうか一回戦で負けてるじゃんお前!」
「なんだと!?」
「はいはい暴れんなよ」
 相も変わらずどうでもいいことで揉める恭介と蜂谷をなだめ、俺たちは駅に向かった。
 行きに集合した駅に着き、皆方々に帰って行く。
「あ、風見。これ返しとくよ」
 借りていたフライゴン一式を揃えて風見に手渡す。
「ああ、そうだったな。……、今回能力者を二人倒したが、能力騒ぎはまだ終わってない。それは───」
「分かってるさ。どんな能力を使うやつが現れても俺は戦うさ」
 風見はそうか、と呟くと背を向けて改札を通り抜けて去って行く。
 そう、能力騒ぎはまだ終わっていなかったのだ。



「どうでした? 彼」
 誰もいなくなった会場。閑散とした一帯にはさっきの騒々しさは微塵も感じられない。
 片付けも終わり誰もいなくなったこの会場で、一之瀬は翔の対戦をずっと見つめていた眼鏡の男と対談している。
「素晴らしい素養だ。思った通りだったよ」
「高評価ですね」
 一之瀬は男の言うようには思えなかった。確かに奥村翔は強い部類に入るだろうが、この男からそこまでの評価をもらえるほど強いはずがない。
 全国大会に出る実力はあるかもしれないが、その程度で終わってしまうだろう。彼には一之瀬と違い、戦いに対する覚悟が感じられない。
 その点一之瀬は風見雄大を評しているのだ。
「私がそんなに奥村翔に高評価を出すのがおかしいか?」
「……、貴方がそう言うのが珍しいので」
「そうか。……とはいえ、あくまでもまだ素養だ。とてもじゃないが君には及ばないよ」
「素養……」
 男は何をもって奥村翔を見ているのだろう。一之瀬には分からない。
「ところで山本信幸が言っていましたがポケモンカードに勝てば勝つほど能力(ちから)が増幅するというのは」
「本当だよ。……と、言いたいところだが半分正解というところか」
「その実質は」
「能力は基本的に感情によるものだ。こうしたいという負の感情が集えば集うほど能力はより力を増す。山本は勝てば勝つほど能力が増幅するという思い込みをしていたが、その思い込みという感情によって能力は増幅されていっただけだ」
 つまるところ勝てば勝つほど、はあまり関係ないということか。と、一之瀬は考える。
「彼が言っていた、ポケモンカードを介せずとも能力を使えるというのは?」
「どうだろうね、実質私にも分からないが間違いではない可能性はある」
「それじゃあ逆に高津洋二の能力がバトルベルトでしか発動しないのは」
「あくまで私の考察だが」
 男は眼鏡をくいと上げる。
「高津は能力を恐れていたのかもしれない。自分を認めないものを傷つけたい反面、傷つけることによって余計に自分を認めるものがいなくなるものが増えることへのパラドックスに対して、心のどこかでストッパーがかかっていたのだろう」
 能力……。誰一人として本当のそれを知る由はない。一之瀬だって、この男だってそうだ。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。一之瀬、君にわざわざ残ってもらった理由だ」
「有瀬悠介(ありせ ゆうすけ)の頼みを断れる人間がいるとでも?」
 悪態を突くように一之瀬が言い放つと、有瀬と呼ばれた眼鏡の男は軽く笑う。
「それもそうかもしれないな。では今から君と私でミーティングだ。『最後の能力者の宴』の、な」



翔「今回は実際に使用したPCC編資料集!
  PCC東京A一日目の本戦トーナメントは以下のようになってたんだぜ」

Aブロック(16人)
対戦表・一回戦
(A1ブロック)藤原VS沙村、??VS??、蜂谷VS沙羅、??VS高津
(A2ブロック)??VS??、??VS??、向井VS??、中西VS??
Bブロック(16人)
対戦表・一回戦
(B1ブロック)恭介VS八雲、??VS??、風見VS??、??VS井上
(B2ブロック)如月VS石川、翔VS??、松野VS桃川、??VS山本
二回戦
(Aブロック)藤原VS?? 沙羅VS高津 ??VS?? 中西VS向井
(Bブロック)恭介VS?? 風見VS井上 石川VS翔 松野VS山本
準々決勝
(Aブロック)藤原VS高津 中西VS??
(Bブロック)恭介VS風見 翔VS山本
準決勝
(Aブロック)藤原VS中西
(Bブロック)恭介VS翔
決勝 中西VS恭介

───
奥村 翔の使用デッキ
「フレイムバーン」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-860.html
───
新年明けましておめでとうございますと同時にPCC編はこれにて終了となります。
PCC編についての振りかえりと、新年以降の更新については1月2日に発表いたします。
本年も私でりでりとPCSをよろしくお願いします。
メンテ
PCC編を終わって ( No.111 )
日時: 2011/01/02 13:28
名前: でりでり ID:Jywt42pI
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 PCC編の連載期間的には一年3か月くらいでしょうか。キャラ募集も無事成功しました。

 PCSとしてこのPCC編を終わることで大きな意味があります。
 このPCSには三つの区切り方があります。
 ファーストバトル編だとかPCC編だとかの「章」。
 そして翔たちが高校生一年生の区間を示した「年」。
 最後は、この能力編という一番大きな区切りである「編」。
 PCC編が終わることで翔たちが高校一年生を終え、「一年目」という「年」の区切りもつきました。
 ただ、能力編という「編」は本当にこれからというところで、まだまだ盛り上がって行きます。
 そして能力編と同時に風見個人の「編」である、自立編も始まりました。PCC始まる直前の、久遠寺と戦ったとこあたりから。
 こちらはメインである能力編に比べるとやや地味ですが、次の「章」、この自立編は本格的に始動していきます。
 翔も風見も、そしていろんなキャラが人間的に成長していけたらいいなあと思います。

 そして執筆方法にもいろいろ変わって行ったところがあります。
 とはいえ、翔VS山本からなんですが、今までみたいにパソコンで直接その場の思いつきの行き当たりばったりで勝負経過を考えるんじゃなくて、きちんとルーズリーフに練って考察するということも始めました。
 こっちの方がいいですね、どこでどう演出しようなどと考えれるし。

 そして描写方法が変わっただけでなく、次の「章」、アルセウスジム編からは使用するカードも全て一新します!
 今まではDP〜DPtのカードを使っていたのですが、LEGEND〜BWのカードを使うことになります。
 LV.Xポケモンがいなくなり、LEGENDポケモンや、新しいBWルールで戦うキャラクター達にどうかご声援をお願いします。

 なお、本年もPCSにとっては激動な一年となるかもしれません。


 今年の更新状況について。
 次の更新は23日となります。23日にHFの続きを更新。
 終わり次第、PCC編のおまけをうp。
 本編更新が始まるのは3月以降になると思います。ご了承ください。

 気長wiki http://www15.atwiki.jp/kinaga/pages/48.html
 風見雄大bot https://twitter.com/kazamiyudai_bot
 もよろしくお願いします。
メンテ
PCC編セリフ集 奥村翔、風見雄大、藤原拓哉(裏)、長岡恭介 ( No.112 )
日時: 2011/01/30 12:03
名前: でりでり ID:/qCNZI1s
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 奥村 翔
・対戦前
「さぁ、楽しい勝負にしよう」
・勝利
「まっ、こんなもんかな。いつでもまた相手してやるよ」
・敗北
「くっそー! でも熱い勝負だったぜ。またやろうな!」
・先攻1ターン目
「さぁ、熱いバトルの始まりだ! 俺のターン!」
・有利ターン
「このまま流れに乗り切る。俺のターン」
「最後までガンガン行くぜ! 俺のターン」
・通常ターン
「どんどん攻めるぜ。俺のターン」
「手加減はなしだ! 俺のターン」
・不利ターン
「くっ、この流れを断ち切らないと……。俺のターン」
「たとえどんな状況だとしても、俺は絶対諦めない! 俺のターン!」
・逆転ドロー
「感じる……。このドローに俺は全てを懸ける! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「ここで」「これだ!」「うん」「そうだなぁ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「ちょっと待った」「悪いな」「このタイミングで」「残念!」「分かってたぜ!」
・ポケモン登場
「よし」「出番だ!」「来い!」「頼んだぞ」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「よし」「うん」
・ワザ(ダメージ発生)
「バトル!」「手加減なしだ!」
・トドメ
「この勝負、もらった!」
・バシャーモ登場
「機は熟した! 頼んだぞ、バシャーモ!」
・バシャーモポケパワー
「全てを焼き焦がせ! バーニングブレス!」
・バシャーモ攻撃
「熱い炎で全てを燃やせ! 今だ、炎の渦!」
・ヒードランLV.X登場
「サポートは任せた。ヒードランLV.X!」
・ヒードランLV.Xポケパワー
「燃え始めた炎は止まることを知らないってな。ポケパワー、製鉄!」
・バシャーモFB LV.X登場
「こいつでどうだ! バシャーモFB LV.X!」
・バシャーモFB LV.X攻撃
「この一撃で、全てなぎ倒す! ジェットシュート!」
・フライゴンLV.X登場
「これが、俺たちの絆の証だ! 現れろ。フライゴンLV.X!」
・フライゴンLV.X攻撃
「悪夢を断ち切る力だ! エクストリームアタック!」

風見 雄大
・対戦前
「いいだろう。俺が相手になってやる」
・勝利
「俺はまだまだ上へ行く。こんなところでは負けられないんでな」
・敗北
「……。ふっ、俺はまた0からやり直す。そのときまた勝負だ」
・先攻1ターン目
「勝負は常に先手必勝だ。俺のターン」
・有利ターン
「最後まで全力で戦う! 俺のターン!」
「退屈だな。俺のターン」
・通常ターン
「遠慮はいらない。俺のターン」
「さあ行くぞ、俺のターンだ」
・不利ターン
「まだ終わらない! 俺のターン!」
「なかなかやるな。俺のターン」
・逆転ドロー
「俺は、こんなところで立ち止まっている暇はない! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「ふん」「これだ」「こいつだ」「行くぞ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「よそ見する暇はないぞ」「どこを見ている」「このタイミングで」「お見通しだ」「させると思ったか」
・ポケモン登場
「出でよ!」「ああ」「こいつだ」「見せてやる」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「このワザだ」「そうだな」
・ワザ(ダメージ発生)
「戦いだ!」「思い知れ!」
・トドメ
「この一撃に、俺の全てを懸ける!」
・ギャラドス登場
「力の差を見せつけてやる。来い、ギャラドス!」
・ギャラドス攻撃
「エネルギーなど俺には不要! リベンジテール!」
・ボーマンダ登場
「こいつが俺の信じる力! 行け、ボーマンダ!」
・ボーマンダ攻撃
「この勝負にかける情熱をぶつけてやる! ドラゴンフィニッシュ!」
・ボーマンダLV.X登場
「たとえどんな劣勢に立たされようと、それをひっくり返す力を見せてやる! 出でよ、ボーマンダLV.X!」
・ボーマンダLV.X攻撃
「この一撃で俺はさらに上へ進む! 砕け散れ! スチームブラスト!」
・ボーマンダLV.Xポケパワー
「圧倒的な力を見よ! ポケパワー、ダブルフォール!」
・フライゴンLV.X登場
「これが、俺が今まで培ってきたものの全てだ! フライゴンLV.X!」
・フライゴンLV.X攻撃
「俺の進み行く道のりの礎となれ! エクストリームアタック!」

藤原 拓哉(裏)
・対戦前
「けっ、この俺に挑んだことを後悔させてやる」
・勝利
「一瞬でもこの俺に恐怖したことがお前の敗因だ!」
・敗北
「くそっ、この俺がお前ごときに負ける……だと!?」
・先攻1ターン目
「楽しい時間の幕開けだァ! 俺のターン!」
・有利ターン
「おいおい……。達者なのはその口だけか? 俺のターン!」
「なんだなんだ? もう限界か? 俺様のターン!」
・通常ターン
「けっ、俺様のターン!」
「ぶっ潰してやるぜ。俺のターン!」
・不利ターン
「くそっ、いい気になってんじゃねぇぞ! 俺のターン!」
「調子に乗るのもいまのうちだ! 俺様のターン!」
・逆転ドロー
「まだだ。まだ終わらせねぇよ! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「おらおら!」「けっ」「へっ」「こいつだ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「待ちやがれ!」「どこ見てやがる!」「このタイミングだァ」「させねぇよ」「クソ野郎が」
・ポケモン登場
「けっ」「さあ」「オラァ!」「悪くねぇな」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「けっ」「ふん」
・ワザ(ダメージ発生)
「バトルだァ!」「やってやれ!」
・トドメ
「俺たちの力、見せつけてやる!」
・ヨノワールLV.X登場
「楽しくなるのはこっからだぜ! ヨノワールLV.X!」
・ヨノワールLV.Xポケパワー
「本当の地獄はここからだ。エクトプラズマ!」
・ゲンガー登場
「雑魚が。手間取らせんてじゃんねぇよ。本当の恐怖を教えてやる、ゲンガー!」
・ゲンガーポケパワー
「さあデッドオアアライブと洒落こもうじゃねぇか! 死の宣告!」
・ゲンガー攻撃
「自分の力に溺れるんだな。シャドールーム!」
・ゲンガーLV.X登場
「調子に乗るのもそこまでだ! ゲンガーLV.X!」
・ゲンガーポケパワー
「いい気になってんじゃねぇぞ! レベルダウン!」
・ゲンガー攻撃
「痛みには痛みだ! ダメージペイン!」

長岡 恭介
・対戦前
「よっしゃー! 張り切って行くぜ!」
・勝利
「オッケー! 今日の俺は誰にも止められねーぜ!」
・敗北
「チキショー! まだダメだったかぁ……。でも次は勝つからな!」
・先攻1ターン目
「最初からガンガン行くぜ。俺のターン」
・有利ターン
「超絶好調じゃん! 最後まで全力疾走だ。俺のターン!」
「へへっ、どーよ俺のパワーは! 俺のターン」
・通常ターン
「よっしゃー、俺のターンだ!」
「戦うぜ。俺のターン」
・不利ターン
「ヤバいじゃんかくっそー……。でも、まだだ。俺のターン!」
「こっ、こういうときこそ落ち着け俺。俺のターン」
・逆転ドロー
「このドローで全てがひっくり変わるかもしれねーよな? さあ、運命のドローだ!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「ああ」「これだ!」「信じるぜ」「どーだ!」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「待ってくれよ」「恨みっこなしだぜ」「このタイミングで」「悪いな」「おおっと」
・ポケモン登場
「よし」「いいね」「頼むぜ!」「こいつでどうだ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「じゃあ」「よし、このワザだ」
・ワザ(ダメージ発生)
「行っけー!」「喰らえ!」
・トドメ
「お前との勝負、楽しかったぜ! でもこれで終わりだ!」
・ライチュウ登場
「出番だぜ、俺の相棒! ライチュウ!」
・ライチュウ攻撃
「フルパワーをぶつけ合いだ! 炸裂玉!」
・ライチュウLV.X登場
「こいつが自慢のエースだぜ! ライチュウLV.X!」
・ライチュウLV.X攻撃
「一撃必殺! ボルテージシュート!」
・ライチュウLV.Xポケボディー
「まだ俺の番は終わってない! 連鎖雷!」
・エレキブルFB LV.X
「準備は万端、出番だぜ! エレキブルFB LV.X!」
・エレキブルFB LV.Xポケパワー
「まずはチャージ! エネリサイクル!」
・エレキブルFB LV.X攻撃
「体から溢れるエナジー、全部ぶつけてやれっ! パワフルスパーク!」

───
長岡恭介の使用デッキ
「100000V」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-865.html
メンテ
PCC編セリフ集 松野藍、石川薫、向井剛、蜂谷亮 ( No.113 )
日時: 2011/02/06 20:42
名前: でりでり ID:b./QjQfE

松野 藍
・対戦前
「私と戦うってことはそれなりの覚悟が出来てるってことよね?」
・勝利
「もう少し楽しませてくれると思ったんだけど、見込み違いだったかしら?」
・敗北
「くっ……、なんて強さ! こんなにあっさりやられるなんて……」
・先攻1ターン目
「最初のターンが肝心なの。私のターン」
・有利ターン
「あら、もう終わり? 私のターン」
「もうちょっと頑張って欲しいわね。私のターン」
・通常ターン
「行くわよ。私のターン」
「互いに後悔の残らないようにしましょう。私のターン」
・不利ターン
「なかなか……、やるわね。私のターン」
「まだまだ戦えるわ。私のターン」
・逆転ドロー
「油断大敵、よ。ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「さあ」「これよ」「抜かりはないわ」「どうかしら」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「ええ」「焦りは禁物よ」「このタイミングで!」「スキだらけね」「そんなに上手く行かないわよ」
・ポケモン登場
「おいで」「この子でどうかしら」「そうね」「行くわよ」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「さあ」「このワザよ」
・ワザ(ダメージ発生)
「耐えれるかしら!」「攻めさせてもらうわ」
・トドメ
「残念だけど、ここまでよ」
・キッサキ神殿発動
「この戦いにふさわしい舞台よ。スタジアムカード、キッサキ神殿」
・エムリットLV.X登場
「本気で行くわよ。エムリットLV.X!」
・エムリットLV.X攻撃
「私と戦ったことを後悔することね。ゴッドブラスト!」
・ユクシーLV.X登場
「遠慮はしないわ。ユクシーLV.X!」
・ユクシーLV.Xポケパワー
「ひとまずは、トレードオフ!」
・ユクシーLV.X攻撃(未登場)
「侮っていると痛い目に遭うわよ。思念の刃!」
・アグノムLV.X登場
「出し惜しみはしない。アグノムLV.X!」
・アグノムLV.X攻撃(未登場)
「ここが最良のタイミングね。ディープバランス!」
・レジギガスLV.X登場
「さあ、これにどこまで抵抗出来るかしら。レジギガスLV.X!」
・レジギガスLV.Xポケパワー
「弱き命を、より強大な力の礎に! サクリファイス!」
・レジギガスLV.X攻撃
「この攻撃を受けて、無事でいられるかしら。ギガブラスター!」

石川 薫
・対戦前
「やるからには負けないんだから!」
・勝利
「よし、あたしの勝ちね。この調子でもっと強くなる!」
・敗北
「そんな! 万全のコンディションだったのに……」
・先攻1ターン目
「最初の一歩は土台を作るための大事なもの。行くよ、あたしのターン」
・有利ターン
「最初の威勢はどこ行ったやら。あたしのターン」
「この調子で一気に決めてやるんだから。あたしのターンだ!」
・通常ターン
「さっ、あたしのターン」
「勝負はまだ始まったばかり! あたしのターンだ!」
・不利ターン
「ううん……、あたしのターン」
「くっ、押されてる? あたしのターン!」
・逆転ドロー
「ここでなんとかするんだ……。ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「よし」「うん」「これだ!」「もらった!」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「ここ!」「待ってよ」「このタイミングで」「させない!」「待ってたよ!」
・ポケモン登場
「じゃあ」「よし」「出番よ」「お願い!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「よし」「このワザね」
・ワザ(ダメージ発生)
「全力で行くよ!」「バトル!」
・トドメ
「これでトドメだ!」
・こうらの化石発動
「こうらの化石!」
・かいの化石発動
「かいの化石!」
・ひみつのコハク発動
「ひみつのコハク!」
・カブトプス登場
「さあ、どんどん攻めてくよ。カブトプス!」
・カブトプス攻撃
「全てを叩き斬れ! 原始のカマ!」
・オムスター登場
「全ての準備は整った。出番だ、オムスター!」
・オムスター攻撃
「貯めに貯めた力を解き放て! 原始の触手!」

向井 剛
・対戦前
「やるからには全力で行きます!」
・勝利
「対戦ありがとうございました! よし!」
・敗北
「やっぱり僕程度じゃまだまだダメなのかな……」
・先攻1ターン目
「先攻をもらいます。僕のターン」
・有利ターン
「よし、あと一息! 僕のターン」
「最後まで気を抜きません! 僕のターン」
・通常ターン
「行きます。僕のターン」
「よし、僕のターンですね」
・不利ターン
「くっ……。僕のターン!」
「まだまだ戦える! 僕のターン!」
・逆転ドロー
「僕だって……、僕だって! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「じゃあ」「これで」「よし」「そうだ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「おっと」「待ってください」「このタイミングで」「すみません」「割り込みます」
・ポケモン登場
「じゃあ」「出番だ!」「よし」「任せた!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「うん」「これにします」
・ワザ(ダメージ発生)
「やりますよ!」「バトルです!」
・トドメ
「最後の攻撃!」
・ラグラージ登場
「君に任せるよ。ラグラージ!」
・ラグラージポケボディー
「読んでました! ポケボディー、ルートプロテクター!」
・ラグラージ攻撃その1
「思い通りにはさせないっ! 引きずり出す!」
・ラグラージ攻撃その2
「このまま一気に! 押し倒す!」
・メタグロス登場
「こいつが僕のエースカード。メタグロス!」
・メタグロス攻撃
「これが僕に出来る全てだ! ジオインパクト!」

蜂谷 亮
・対戦前
「来な! ぎったぎったにしてやるぜ!」
・勝利
「勝った! やっべー俺超強いんじゃね!?」
・敗北
「なんでだよ! なんで負けるんだよ!」
・先攻1ターン目
「最初から全開で行くぜ! 俺のターン!」
・有利ターン
「キてるキてる! 俺のターンだ!」
「これ勝てるんじゃね? 俺のターン」
・通常ターン
「来いよ。泣かせてやるぜ! 俺のターン」
「負けねぇぞ。俺のターンだ」
・不利ターン
「まだ諦めないからな! 俺のターン」
「くっそー、バカにしやがって! 俺のターンだ!」
・逆転ドロー
「ドローなら俺の十八番! やってやるぜ、ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「どーよ?」「これだ!」「へへっ」「面白そうじゃん」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「待ちやがれ!」「おっと」「このタイミングで」「焦んなよ」「させるかっ!」
・ポケモン登場
「へいへいへい!」「行け行け!」「そらっ」「こいつだ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「へへへ」「見せてやるぜ」
・ワザ(ダメージ発動)
「やってやれ!」「ぶちかませ!」
・トドメ
「これで俺の勝ちだ!」
・スピアー登場
「俺のいいとこ見せてやる。出番だ、スピアー!」
・スピアーポケパワー発動
「どんどんスピード上げていくぜ! 羽を鳴らす」
・スピアー攻撃その1
「これでも喰らいやがれ! ニードルショック!」
・スピアー攻撃その2
「ぶちのめしてやれ! 皆で襲う!」
メンテ
PCC編セリフ集 津田啓史、宇田由香里、杉森孝仁、藤原拓哉(表) ( No.114 )
日時: 2011/02/13 12:06
名前: でりでり ID:5oTiS6Jw
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

津田 啓史
・対戦前
「さあ、全力で勝負や!」
・勝利
「なかなかええ勝負やったやん。めっちゃ熱くなれたな!」
・敗北
「嘘やんもう終わり!? もう一回、もう一回や!」
・先攻1ターン目
「最初からガンガン攻めんで。俺のターン!」
・有利ターン
「この勝負、もらった! 俺のターン!」
「手はずミスらへんかったら俺の勝ちや。俺のターン」
・通常ターン
「さぁ、俺のターン」
「行くで、俺のターン」
・不利ターン
「くそっ、まだまだ! 俺のターン」
「なんとかここで挽回しーひんと……。俺のターンや!」
・逆転ドロー
「肝心なのはここでの勝負強さ! 見せてたるで。ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「うん」「ええやん」「これか」「こうや!」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「待ちや」「そらっ!」「このタイミングや」「狙ってたで!」「思った通りや」
・ポケモン登場
「頼むで」「出番や!」「来い!」「こいつや!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「これや」「よし」
・ワザ(ダメージ発動)
「バトル!」「喰らえっ!」
・トドメ
「もらったぁ!」
・ガブリアスC LV.X登場
「こいつが俺のとっておき! 現れろ、ガブリアスC LV.X!」
・ガブリアスC LV.Xポケパワー
「その程度のダメージじゃ、残念やけど倒せへんで。癒しの息吹!」
・ガブリアスC LV.X攻撃
「どこにおっても射程距離! ぶっ潰せ! ドラゴンダイブ!」
・レントラーGL LV.X登場
「おもろなんのはこっからや! レントラーGL LV.X!」
・レントラーGL LV.Xポケパワー
「何をしたって逃がさへん! 輝く眼差し!」
・レントラーGL LV.X攻撃
「渾身の一撃、受けてみろ! フラッシュインパクト!」
・ゴウカザル四LV.X登場
「こいつでどうや! ゴウカザル四LV.X!」
・ゴウカザル四LV.Xポケパワー
「残念やけどお呼びじゃないで。威嚇の雄叫び」
・ゴウカザル四LV.X攻撃
「俺の全力をぶつけるまでや! 炎の渦!」
・ディアルガG LV.X登場(未登場)
「ディアルガG LV.X! お前の力を見せつけてやれ!」
・ディアルガG LV.Xポケボディー(未登場)
「今さら小細工は無用や。時の結晶!」
・ディアルガG LV.X攻撃(未登場)
「欠片残さず消えて無くなれ! リムーブロスト!」
宇田 由香里
・対戦前
「さぁ、楽しい勝負にしよう、ってね」
・勝利
「あたしを満足させるには全然アカンな。もっと本気にさせて欲しかったわ」
・敗北
「なかなかやるやん! 次は本気でやるで!」
・先攻1ターン目
「満足させてや? あたしのターン」
・有利ターン
「なんや、だらしないなぁ。あたしのターン」
「ふわぁ〜あ。眠たいわぁ。あたしのターン?」
・通常ターン
「さっ、あたしのターン」
「行くで。あたしのターン!」
・不利ターン
「へぇ、見掛けよりやるやん。あたしのターン」
「なかなかえぇセンスやん。あたしのターン」
・逆転ドロー
「ちょびっとだけ本気で行くで。ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「どや」「これや」「うんうん」「これくらいやな」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「おっと」「焦りなや」「このタイミングで」「アホちゃう?」「それっ」
・ポケモン登場
「さあ」「来てや」「頑張りや」「見せたるで」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「こんなんでどうよ」「ほらほら」
・ワザ(ダメージ発生)
「バトルや!」「行くで!」
・トドメ
「最後の一撃、喰らいや!」
・キングドラ登場
「頑張りに免じて遊んであげる。さぁ、キングドラ!」
・キングドラ攻撃その1
「一気に行くで! ドラゴンポンプ!」
・キングドラ攻撃その2
「この機会をずっと待ってたんや! アクアストリーム!」
・フローゼルGL LV.X登場(未登場)
「これで準備はばっちりや。フローゼルGL LV.X!」
・フローゼルGL LV.Xポケパワー(未登場)
「そんなんされても大丈夫や。ウォーターレスキュー!」
・フローゼルGL LV.X攻撃(未登場)
「これでどない? エナジーサイクロン!」
杉森 孝仁
・対戦前
「やるからには勝ったる!」
・勝利
「なんや、ポケモンカードって案外簡単やねんな」
・敗北
「……。こっち本業ちゃうから別にええし」
・先攻1ターン目
「俺先攻でええねんな? 俺のターン」
・有利ターン
「畳み掛けるで。俺のターン!」
「勝てそうやん。俺のターン」
・通常ターン
「手加減してや? 俺のターン」
「やったんで。俺のターンや」
・不利ターン
「クソゲーが! ……俺のターン!」
「鬱陶しいな。俺のターン」
・逆転ドロー
「ドローだって乱数や! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「こうか?」「一気に行くで」「どや!」「舐めんな!」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「待てや」「割り込むで」「このタイミングやな」「させへんし」「はいはい乙ゲー乙ゲー」
・ポケモン登場
「よし」「ええやん」「頼むで」「行けっ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「こうか」「じゃあ」
・ワザ(ダメージ発生)
「ぶっ潰す!」「決まれ!」
・トドメ
「これで俺の勝ちや!」
藤原 拓哉(表)
・対戦前
「本当に僕が相手でいいの?」
・勝利
「うん、僕もなかなか良い調子だね」
・敗北
「やっぱり君は強いなぁ。僕も、君みたく強くなりたいよ。大事なモノを守れる強さを!」
・先攻1ターン目
「じゃあ先攻はもらうよ! 僕のターン」
・有利ターン
「このまま勝ちに行くよ。僕のターン」
「良い感じ! 僕のターン」
・通常ターン
「遠慮はなしだよ。僕のターン」
「さあやろっか。僕のターン」
・不利ターン
「強いね……。僕のターン」
「くっ……。僕のターン!」
・逆転ドロー
「守られてるばかりじゃ嫌なんだ! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「よし」「うん」「これだよ」「どうかな?」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「あっ、そうだ」「ちょっと待って」「このタイミングで」「ごめんね」「させないぞ!」
・ポケモン登場
「お願い!」「出番だよ」「任せるよ」「一緒に頑張ろう」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「これだよ」「このワザを使うよ」
・ワザ(ダメージ発生)
「バトル!」「よし!」
・トドメ
「これが通れば僕の勝ち!」
メンテ
PCC編セリフ集 一之瀬和也、山本信幸(敬)&(狂)、高津洋二 ( No.115 )
日時: 2011/02/20 10:38
名前: でりでり ID:dmxxUKgc

一之瀬 和也
・対戦前
「君の力を試してあげるよ」
・勝利
「なんだ、正直のところがっかりしたよ。この程度の実力だったとはね」
・敗北
「君、強いね。君ならば……。いや、なんでもないよ」
・先攻1ターン目
「手加減してあげるから全力で来てよ。僕のターン」
・有利ターン
「つまらないね。僕のターン」
「期待しすぎたか。僕のターン」
・通常ターン
「さあ戦おうか。僕のターン」
「君の力を見せてくれ。僕のターン」
・不利ターン
「いいねぇ。たぎるねぇ。僕のターン」
「面白い。僕のターン」
・逆転ドロー
「ほんのちょっとだけ本気で行くよ。ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「このくらいかな」「多少は抗って欲しいね」「余裕だね」「行くよ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「ここだ」「そこで」「このタイミングで」「見え見えだよ」「効かないね」
・ポケモン登場
「君だ」「現れろ」「来い」「出でよ」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「ふっ」「このくらいかな」
・ワザ(ダメージ発生)
「堪えてくれよ?」「バトルしようか」
・トドメ
「もうお仕舞いか」

山本 信幸(敬)
・対戦前
「ククク……。さぁ! 始めましょうか。どちらかのみが生き残る、究極の戦いを!」
・勝利
「安心して良いですよ? 貴方の血肉は僕の力になるのだから」
・敗北
「たまには負けてあげないと、ねぇ?」
・先攻1ターン目
「先攻譲って良いんですかね? 僕のターン」
・有利ターン
「しっかりしてくださいよ……。まだまだ遊び足らないんだから! キカカカカッ! 僕のタァーン!」
「脆い! 脆い! 脆い! あまりにも脆い! 僕の、タァーン!」
・通常ターン
「さぁ、やりましょうか。僕のターン」
「それでは。僕のターン」
・不利ターン
「認めない! 僕が負けるだなんて……! 僕のターン!」
「まだだ、まだだァ! 僕のタァーン!」
・逆転ドロー
「僕は……。おれは……! 野望のために負けるわけにはいかないィィ! ドロー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「これで」「どうです」「さあさあ」「ほらほら」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「焦りは良くないですよ。本当に大切なものを見逃してしまうのだから!」「ヒヒャヒャヒャヒャヒャ!」「このタイミングで!」「その望みとやらをへし折る!」「儚いねぇ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「ククク……」「キカカカカ……」
・ワザ(ダメージ発生)
「バトル!」「消し飛べ!」
・トドメ
「終わりだァ!」
・アブソルG LV.X登場
「楽しませてあげますよ! アブソルG LV.X!」
・アブソルG LV.Xポケパワー
「希望とやらを掻き消す絶望を! 闇に送る!」
・アブソルG LV.X攻撃
「まとめて吹き飛べ! ダークスラッガー!」
・クレセリアLV.X登場
「努力だけは認めますよ。それに免じてこいつの出番と行きましょう。クレセリアLV.X」
・クレセリアLV.Xポケパワー
「自らの過ちが招く結果がこれですよ。満月の舞い」
・クレセリアLV.X攻撃
「残りの命を削り取らせてもらいましょうか。ムーンスキップ!」
・ミュウツー登場
「見せてあげますよ、僕の力を! 現れろ、ミュウツー!」
・ミュウツー攻撃
「吹き飛べ、サイコバーン!」
・ミュウツーLV.X登場
「ここまで良く出来ましたと褒めてあげましょう。でも、ここまでだァ! キヒャヒャヒャヒャ! ミュウツーLV.X!」
・ミュウツーLV.Xポケボディー
「余りにもか弱すぎる! その攻撃は全て無に帰す! サイコバリア!」
・ミュウツーLV.X攻撃
「それではさようなら。これで貴方を消してやる! ギガバーン!」

山本 信幸(狂)
・対戦前
「貴様に勝てばおれの能力は真の力を発揮でき、汚れた世界をおれが自ら変えることが出来る! 貴様がおれの最後の相手だ!」
・勝利
「これだァ! この能力(ちから)だァ! この世界を粛正し、新たな世界を築き上げる恐怖の力ァ! クキヒャヒャヒャ! キヒャヒャヒャヒャッ!」
・敗北
「嘘だっ! うっ、うああああああああああああああああ!」
・先攻1ターン目
「ふん、先攻で攻めさせてもらう。おれのターン」
・有利ターン
「貴様が強いのは認めてやる。だからこそおれの野望はもう少しで達成されるゥ! おれのタァーン!」
「もう少し……。あと少しだッ! この腐った世界を変えるまでほんの少しィ! 行くぞォ! おれのターン!」
・通常ターン
「足掻け足掻け足掻けェ! もっと足掻いて見せろォ! おれのターン!」
「この戦いにおれの全てが懸かっている。おれのターン」
・不利ターン
「このまま、引き下がれるかァ! おれの、タァーン!」
「くっ、どうしてだ……。あと少しだと言うのに! おれの、おれのタァーン!」
・逆転ドロー
「神でも悪魔でもなんでもいい! おれに、力をォ! ドロォー!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「これだ」「クキカカカ」「粛正への一歩だ」「穢れた世界の浄化の始まりだ!」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「逃がすかァ!」「まだだ、まだだ!」「このタイミングで!」「調子に乗るなァ!」「させると思ったかァ!」
・ポケモン登場
「キヒャヒャヒャ」「こいつだァ!」「怯えろ!」「現れろ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「キカカカカ!」「ヒヒャヒャヒャヒャ」
・ワザ(ダメージ発生)
「悶えろ!」「喰らえ!」
・トドメ
「これで新たな世界の幕が開ける! トドメだァ!」
・アブソルG LV.X登場
「愚図ばかりで腐りに腐ったこの世界を粛清するための第一歩だァ! 出でよ、アブソルG LV.X!」
・アブソルG LV.Xポケパワー
「淀んだ貴様のデッキを消してやるッ! 闇に送る!」
・アブソルG LV.X攻撃
「不要な物を切り落とし、新たな世界への一歩とするッ! ダークスラッガー!」
・クレセリアLV.X登場
「こいつが屑塗れのこの世界に光を与えるおれの力だァ! クレセリアLV.X!」
・クレセリアLV.Xポケパワー
「かつてこのおれが愚図から受けた屈辱、そしておれと同じような目に遭っている悲しき人々を救うための光だ! 満月の舞い!」
・クレセリアLV.X攻撃
「貴様に走馬灯を見る余裕などないィ! ムーンスキップ!」
・ミュウツー登場
「さあ、楽しい楽しいショータイムだ! 出でよ、ミュウツー!」
・ミュウツー攻撃
「まとめて吹き飛べ! サイコバーン」
・ミュウツーLV.X登場
「貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」
・ミュウツーLV.Xポケボディー
「無駄だ無駄だァ! このサイコバリアの前ではそのようなワザなど無力! 格の差を知れェ!」
・ミュウツーLV.X攻撃
「ここまでよく頑張ったと褒めてやろう! だからこそこれで楽にしてやる! 全て消し飛べ! ギガバーン!」

高津 洋二
・対戦前
「お前に話すことはない。ただ戦うだけだ」
・勝利
「……こいつが悪いんだ。こいつが悪いんだあああ! 俺は忠告をしたはずだ、降参しろと! そうだ、こいつが悪いんだ。俺は何も悪くない」
・敗北
「くっ……あああぁっ! ぐぅっ!」
・先攻1ターン目
「本当の力を見せてやる。俺のターン」
・有利ターン
「今度こそ降参したらどうだ? 俺のターン」
「しぶといな……。俺のターン」
・通常ターン
「……俺のターン」
「どうなっても知らないぞ、俺のターン」
・不利ターン
「どうしてだ、くっ、俺のターン!」
「その言葉が後に自分の首を絞めることになることを教えてやる。俺のターン」
・逆転ドロー
「お前も、お前も、お前も! 潰してやる……! 二度と立ち上がれないくらい! ドローッ!」
・トレーナーズ発動時掛け声
「……」「こうだ」「どうだ」「この力を思い知れっ」
・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
「くだらんな」「邪魔をするな」「このタイミングだ」「芸の無い奴だ」「好きにさせるか」
・ポケモン登場
「さあ」「こいつだ」「現れろ!」「出でよ!」
・ワザ(ダメージ発生せず)
「このワザだ」「やれ」
・ワザ(ダメージ発生)
「さらなる絶望を教えてやる」「さあ、やれ!」
・トドメ
「口だけならなんとでも言える。お前が何と言おうと、それは意味を成さない。俺は俺を否定する奴を認めない。これでお前に止めを刺してやる」
・パルキアG LV.X登場
「圧倒的な力の前に慄け! パルキアG LV.X!」
・パルキアG LV.Xポケパワー
「パルキアG LV.X、力の差を見せつけてやれ。ロストサイクロン」
・パルキアG LV.X攻撃(未登場)
「数多の戒めを吹き飛ばせ! ハイドロシュート!」
・カイリキー登場
「その力、存分に振る舞え! カイリキー!」
・カイリキー攻撃その1
「エネルギー一つでも力の差を見せつけてやろう。落とす攻撃」
・カイリキー攻撃その2
「ははははは! 俺を愚弄したことを後悔させてやる。ハリケーンパンチ!」
・カイリキー攻撃その3
「これが俺の怒りだ! いかり攻撃!」
・カイリキーLV.X登場
「己が過ちに恐れを知れ! 現れろ、カイリキーLV.X」
・カイリキーLV.X攻撃
「さらなる絶望を教えてやる。斬新攻撃!」

───
おまけシリーズ最後です。
今後の更新予定としては、来週は新章を読む前に。その次の週に本編を更新します。
メンテ
アルセウスジム編を読む前に ( No.116 )
日時: 2011/02/27 19:25
名前: でりでり ID:Fz3Xgm6g

 第四章アルセウスジム編を読んでいただく前に

 タイトルがBWになったのと同じく、テキストや用語、ルールを全てBW準拠にさせていただきます。
 レギュレーションは前章まで使っていたDP、DPtまでのカードが一切使用せず、LEGEND、BWのカードとなります。
 なお、オリジナルカードも登場します。

 そして、来週から始まる本編ですが、本編更新とともにカードの画像を実際に使ってルールやその回のカードを解説していくコーナーを設立しようと思います。

 ───この物語はフィクションです。劇中に出てくる人物、団体は架空の物と実在の物が存在しますが、実在の人物、団体とこの小説に書かれることは何の関係もありません。───
メンテ
疑惑B ( No.117 )
日時: 2011/03/06 12:03
名前: でりでり ID:b./QjQfE

 窓の外はすっかり暗く、ビルから溢れていた光も消えていき、もうほとんど街を照らしていない。
 時刻はすでに夜の十一時を回り、オフィス街に立つこのビルもほとんど灯りは消えていた。
 今いるフロアだってそうだ。たった一人暗がりの中でパソコンに向かう俺は、解せない疑問と一人戦っていた。
「……くそっ!」
 勢いよく椅子の背もたれにもたれかかると、ギイギイと椅子が悲鳴を上げる。
 長時間デスクワークに向かっていたがために、俺の腰と肩も悲鳴を上げている。
「……帰ろうか」
 いつからだろうか。人とちゃんと向き合うようになってから、どうしてか人肌が恋しくなることがある。
 パソコンに熱中している間は良かったが、ふと興奮が冷めるとこの誰もいない感じがとても辛い。こうして独り言でも言わないと、寂しさが募り積もってどうにかなってしまいそうになる。
 大事な大事なデータが入っているUSBをパソコンから抜き取ると、大事にケースにしまい、鞄の中に放り込む。忘れモノがないか確認してから一人オフィスを出る。エレベーターを待ちながら、いろいろ思索を巡らせる。
 先ほど抜き取ったUSBにはバトルベルトの、平たく言うと設計プログラムのようなものが入っている。
 このプログラムは俺、風見雄大が全て自分が造ったもののはず……だった。
 そう、「だった」。
 知らず知らずのうちに俺の知らないプログラムが含まれていたのだ。
 しかしそれはバトルベルトを良い方向へ働かせるプログラム。同じ社内の仲間に、バトルベルトの設計プログラムを何かいじくったかどうかを尋ねても、皆が皆否定をする。ならば一体誰が?
 このバトルベルトはうちの会社、TECK社と、提携企業のエレクトロマシーンデベロップメントカンパニー、通称EMDCが共同開発を行ったもの。とはいえEMDCはプログラムにはノータッチのはず。念のために尋ねたところ、もちろん答えはNOだった。
 本来のプログラムではポケモン達の3D映像はもっとカクカクしていて、攻撃ワザの発動と同時に起こる爆風などのエフェクトなんてなかった。他にもいろいろ上げればキリがない。いろいろ検証してみたところ、どうやらこれらが害を与えるようなものはなさそうなので仕方なくこの改変されたプログラムを採用していたのだ。
 そしてバトルベルトは世に出、大ヒットとまでは言いにくいが、予想を超える業績を叩き出した。
 PCCのややこざも一段落したところで、再びこのプログラムが一体何なのかを再検証している。だが本当に何が何やらさっぱり分からない。見たこともない関数、並び、数列、条件。本当に誰が一体何のために?
 一階に着き、誰もいなくなった会社を出る。四月二日の土曜日も、あと何十分かで終わってしまう。高校の春休みもあと一週間程度か。ここしばらく翔らとは会えていない。始業式が始まる前に、俺達二年生は入学式に出席しなければならないからそれまでお預けか。
「ん?」
 暗がりの中、人影が一つ突っ立っている。ライトをつけた車の往来によってかろうじて男であるということしか分からなかった。
 別にその男が誰かだなんて特になんだっていい。それよりも早く帰って飯を食べてシャワーを浴びて寝よう。とにかく疲れた。社内で一夜も考えたが、毛布の一枚も持ってきていないので流石に風邪を引きかねないからな。そう考えながら人影を通り抜けようとしたそのときだった。
「雄大」
 俺の名を呼ぶ声に思わず足を止める。
「久しぶりだな雄大」
 いまだ暗い外のせいではっきりと顔は見えないが、この東京で俺の下の名前を呼ぶ人は一人しか知らない。
「……父さん」
「どうだ、食事でもどうだ」



 俺と俺の父、風見 雄平(かざみ ゆうへい)の関わりは親というより知り合いと言っていいほど極めて希薄だ。
 物心ついたときから母、風見 美紀(かざみ みき)と共に北海道の大きな屋敷に住んでいた。そこに父が来ることは基本的に無く、父親というものがどういう存在かを知らなかった。
 父の話も母から聞くことは一切なかった。二人は政略結婚で結婚したらしく、二人の間には恋愛感情だとかそんなものが一切なかったようだ。夫婦ではなく、あくまで営利目的で知り合った他人……と。
 究極の箱入り息子として育った俺は、母から常に英才教育を与えられ、周りのメディアから得られる情報は母から制限されていた。お陰さまで、本当に世間を知らなかった。
 仕方なしで入った義務教育の私立の小中学校は当時一匹狼だったために自ずから孤立していた。俺が周りに干渉しなければ、自然に向こうから干渉しないようになる。当時の俺としてはそれが一番だった。
 痛々しいのだが、当時の俺は周りを見下すことが普通であった。自分以外の人間は俺より劣った不良品でしかない、と。これは母の差別的主義が反映したものだった。もっともその人を見下す性分は翔に負けるまで当分治ることがなかったのだが。
 ところで、そんな俺は中学を卒業するまで父を見たのは四回程度でしかなかった。そのうちまともに会話したのはたった一回だけだ。中学三年生の一月頃だった。たまたま北海道の屋敷にいる母に用事があった父に帰り際直談判しにいったのだ。
 母と専属家庭教師としか会話をまともにしなかった俺だが、父は俺の話をよく聞いてくれた。俺は、母が縛り付けるこの狭い狭い箱庭から出ることを熱望すると、父はそれを一つ返事で了承してくれた。母に隠れて父のいる東京へ俺を連れてくれ、今住んでいるマンションの一室の付与と、平見高校の受験の手続き、さらに俺のプログラミングの腕を買ってくれて、社会勉強も兼ねて俺をTECKに採用してくれたりと至れり尽くせりだった。
 それから俺はいろいろ苦労をしたが、翔たちと出会えていろいろ知ることが出来たし、バトルベルトを作ることも出来た。だが、母からの介入が何もないのが未だ怖い。母の性格なら地の果てまで俺を追いかけるだろう。しかし今のところ、PCCの前に久遠寺が尋ねる以外俺の過去に関する出来事は今のところ何も起きていない。
 何かそれが嫌な予感を醸し出しているようにしか思えないのだ。きっとこの先なにかが起きる。



「ここ、お気に入りの焼肉屋なんだ」
 高級感が溢れる焼肉屋に連れて来られた。さすがの俺でもこの店は聞いたことがある。有名なところで、完全予約制だとかなんとか。奥のお座敷に通された俺たちは、靴を脱いで掘りごたつ席で腰を下ろす。
「どうだ?」
 優しげな表情で父が問いかけてくる。
「どうだって?」
「いや、最近の調子だよ」
「特に……。いや、バトルベルトのことで悩んでいるかな」
「その話なら私も聞いている。どうやら難儀しているようだな」
「ああ……。こんなことをして誰が何の得になるのかが全く検討がつかない」
「そうか」
 店員がやってきて水とおしぼりを渡してくる。父はBコースをオススメだから、と言って俺の分ごと注文する。
「バトルベルトの方も大事だが、高校はどうだ」
「上手くやれてるよ。友人だって出来た」
「そうか。なら良かったよ」
 ぎこちない断片的な会話がその後も続いていく。だいたいは父が俺のことを聞いて、それに対して一言応えるとそうか、とだけ帰ってくるのだ。
 ここまで来ると若干の気まずさが。俺だけでなく、父もそう思っているかもしれない。しかし俺から何か話しかけようとしても何を言えば良いのか分からないのだ。父親との会話とは一体何をすればいいのか。
 無言だったテーブルに肉が運ばれ、網に移していく。肉の焼けるけたたましい音だけがこの一帯を支配する。
「……」
 黙ったまま肉を口に含む。脂身があって、口の中でそんなに噛まなくても自然と溶けていく。ロースとかカルビとか肉の種類とかはよく分からないのだが、とにかくこれが上等で美味しいものなのは分かる。しかしこの沈黙というスパイスは肉の味を盛り下げているファクターだ。
「実はな」
「うん?」
 やっと父の口が開く。しかし、その言葉の次が中々出て来ない。
「お前に……、伝えとかないといけないことがあったんだ。本当はもっと早く伝えたかったんだが使える機会がなかなか無くてな」
 若干眉間に皺を寄せ、重々しく語るその言葉からその伝えることというのがシリアスなモノだろうと察知する。箸を動かすペースが心なしか遅くなる。
「雄大。お前の母親は風見美紀ではない」
「何っ……? どういうことだ」
「お前は私と亡き前妻との間の子供だ。風見美紀は前の妻が亡くなった後に私が政略結婚して出来た妻だ」
「じゃあ俺の本当の母親は……」
「それを語るためには株式会社TECKがどのように立ち上げられた会社かどうかを語るところからだ」
 株式会社TECK。今は名を馳せた機械、電子産業企業。しかし創立する二十年程前は小さな町工場だったということは知っていた。
「TECKは元々町工場だった。っていうのは知ってるか? 私と、大学時代の友人がその町工場を母体として立ち上げた企業だ。そもそもTECKという企業名は立ち上げたときの私を含む仲間四人の頭文字からとっている」
「それと俺の母親の話とどう繋がるんだ?」
「まあ聞け。Tは田中 秀平(たなか しゅうへい)、Eは遠藤 将(えんどう まさる)、Cは千葉 愛華(ちば あいか)、Kが私、風見 雄平(かざみ ゆうへい)だ。お前も知っている名前もあるだろう」
「遠藤将って……」
 俺が北海道で暮らしていた時、常に俺の傍にいた男。やや細身のつり上がった目が特徴だった家庭教師の一人。それが遠藤将だった。あいつの声は今もまだ耳に残る。耳に響く声は、思い返せばすぐにリフレインされる。目を閉じればあの嫌な笑顔が思い浮かぶ。
「TECKの基盤となる町工場が私の親の物であったためにその場の勢いで社長にされた私。そして遠藤、田中、愛華の三人が私を支えてくれた。そしてTECKを立ち上げて二年経った頃、大学時代から恋仲であった私と愛華は結婚し、雄大。お前が産まれた」
「……」
「結婚してから愛華は仕事を辞め、遠藤、田中が私と共にTECKの中心となって会社をより大きくしていった。ただ、結婚してからたった三年、お前がまだ一歳だったころに愛華は事故で亡くなってしまったが……」
「一歳のとき、か……」
 小さい頃の記憶がない俺にとっては、そんな千葉、いや、風見愛華の温もりは知らない。現に今だって、あまり悲しいとかそういったことを感じなかった。むしろ、遠藤の方に引っかかる。
「田中さんなら今でもTECKで役員をしているのは知っているが、遠藤がTECKにいただと?」
 俺の箸を動かす手が完全に止まった。父は一旦間をおいて、頷く。
「そうだ。遠藤は我々を裏切った。開発部のトップにいた遠藤は、遠藤の知っているTECKの情報を全て他の企業に伝えたのだ。EMDCに」
「EMDC……。エレクトロマシーンデベロップメントカンパニーか。だがTECKとEMDCは提携企業では」
 ふいに父が首を動かし辺りを見渡す。俺もつられて周囲を確認するが、特におかしい様子はない。父は俺の方にやや体を傾けて口を開く。
「提携させられているのだ」
 声音を低くしたものの、父が初めて大きく感情をあらわにした。眉間にも大きく皺が寄せられている。
「……何だと?」
「大きい声を出すな。愛華が亡くなって約一年後、お前が二歳の時に恐らくEMDCに大量の金を積まれた遠藤は機密情報を全て漏らしてTECKを辞め、EMDCの役員になった。そしてEMDCから私に、その社長の娘と結婚をするよう迫ってきた。政略結婚だ」
 政略結婚。相手は間違いなく、俺の母。いや、義母の風見美紀だろう。しかし何故政略結婚を申し込んだのだろう。
「雄大、きっとお前は何故EMDCが政略結婚を申し込んだか考えているだろう」
「え、あ、ああ」
 見事なまでに当てられて、動揺せざるを得ない。だが慌てふためく俺と違って父は至って真剣な眼差しだ。
「EMDCの狙いは恐らく……。お前だ、雄大」
「なっ!? どういうことだ?」
 心臓が一気に委縮した。今までより一際緊張が全身に走る。
「俺にもヤツらの詳しい事情までは分からないが、お前が狙いだと言うことは分かる。事実、結婚してすぐにお前の身元は美紀のいる北海道に移され、私が会おうとしても自由に会う機会を失った。そして美紀や遠藤がお前の教育に当たった。本当はもっと前からお前をなんとかして連れ出そうとしていたが、遠藤が常にお前についていたため中々そうもなかったのだ。お前の方から俺に会いに来た時は間違いなくチャンスだと思ったよ」
「ふっ、偶然にも俺達の思惑が一致したってことか」
「ははは、そうなるな」
 ようやく父の顔が緩む。だが、その表情もすぐに曇ったものに変わる。
「EMDCはTECKを買収していない。ということはまだTECKはヤツらの手のひらの上で踊らされる必要があるかもしれない、と考えている。そんなことはさせない。TECKは必ず私が守る。だから雄大、お前は自分自身を守れ」
「俺自身を……守る」
「お前の居場所を向こうが知らないはずはない。TECKもお前も、泳がされている。とりあえず、お前にも既にボディーガードを何人か既に配置している。遠くからお前を見守り、何か危害を加えられればすぐに救援が向かうはずだ。しかし、結局のところ信じ切れるのは自分だけ。既にTECKにEMDCの手の者が何人潜んでいるか分からない」
「信じ切れるのは俺だけ……」
 いや、それは違うぞ。父さん、俺には信頼出来る仲間が、友がいる。父さんにもきっと亡くなったその風見愛華や、俺がいる。人は他人(ひと)を信じたくなってしまうんだ。
 そう言おうと思ったが、口は閉ざしておいた。父さんだって遠藤に裏切られているんだ。こう言っても何にもならない。
「夜も遅いし私がお前を送って行くよ」
「ありがとう。……父さんも気をつけてくれよ」
「私はお前と違って『大人』だ。心配は無用だ」
 ……子どもと大人か。子と親の違いとは一体何なのかは、まだ俺には分からない。
 しかしバトルベルトの謎のプログラムと遠藤らEMDC、不明瞭かつ危険因子が多すぎる。俺はどう立ち向かえばいいのだろうか。
 星の見えない東京の夜、強い風が巻き起こる。



風見「今回のキーカードはチェレンだ。
   シンプルな効果だが、それでいて効果は強力。
   どのデッキにも入りやすく使い勝手がいいぞ」

チェレン サポート
 自分の山札を3枚引く。

 サポートは、自分の番に1枚しか使えない。

───
今回からPCS更新と同時にポケモンカードを解説するコーナー、「ポケモンカードスーパーレクチャー」が開始!
第一回「カードを知る」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/85.html
メンテ
能力C ( No.118 )
日時: 2011/03/13 12:00
名前: でりでり ID:N3EbLJFs
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 何にもやる気の起きない四月六日の水曜日。午後のうららかな春の日射しが舞い込むリビングでただ一人何もせずにボーッとしていた。
 明日は高校の入学式だ。とはいえ俺、奥村翔は二年生になるので新たに入学するわけではないのだが、そうではなく。入学式には在校生として出席しなくてはいけない。
 果てしなくめんどくさい。動くのがめんどくさい。PCCが終わってからは見事に燃えカスのようにうだうだと日々を過ごしていた。
 せめて生活リズムだけは直さなくては。とりあえず立ち上がるところからだ。
「あよっこいしょ!」
 うおん立ち眩み。焦点が定まらない。千鳥足で二歩床を踏みつけると、ようやくいつもの視界が広がる。
 ……立ち上がったはいいけど何しよう。
「おっ?」
 床に裏面になったカードが一枚だけ落ちている。かがんでそれを手に取ってみた。カードを裏返して見ると、なんてことはないただの炎エネルギーだ。なんてことのない、ただのポケモンカードだ。
 そして俺はこのなんてことはないポケモンカードになんてことはない高校生活を変えられていたんだな……。



 よくよく思い返すとほぼ半年前、九月の十日くらいが全ての始まりだった。
 その日たまたま学校に持ち込んだポケモンカード。それを恭介に紹介してるときの俺の、『熱き想いをこめた魂のデッキ』という言葉に反応した風見が、俺にケチをつけて対戦することになった。
 初めての風見との戦い。風見のガブリアスデッキに苦戦していた俺だったが、なんとかゴウカザルの流星パンチで倒すことが出来た。
 だが、それからしばらくして再び風見が俺に挑んできた。風見のデッキは前回対戦したときに俺が使っていたデッキ。
 カードはデッキだけではダメだ、大切なのはカード一枚一枚に込めるハートだということを伝えるために、俺も風見が前回使っていたガブリアスデッキで対戦したことを覚えている。
 そして風見とカードをしていくうちに、恭介や拓哉達も次第にポケモンカードを始めていくようになった。
 そう、拓哉だ。あいつも俺と同じく、いや、俺以上にポケモンカードに運命を変えられているヤツだ。



 一月十日の風見杯。俺は父さんが保証人となっていた借金のカタをつけるために賞金つきのこの大会に出場した。
 予選を勝ち抜き、本戦の駒もどんどん進めていく。そんな俺の目の前に現れたのが藤原拓哉だった。
 普段は穏やかで優しい性格である拓哉なのだが、行く手を立ち塞ぐ拓哉はそんないつもの様子とは百八十度違っていた。
『俺様はお前を許さねぇ』
 あの冷たい声。ゾッとしたことを覚えている。カードを使って普通は考えられないような事を引き起こす能力(ちから)で、あのときの拓哉は人を消し去った。いや、あいつ風に言うと「異次元に幽閉した」、か。
 拓哉は母親と一人暮らしで、切り詰めた生活を送っていた。後で聞いた話だが、公立高校の受験に失敗し私立高校の平見高校にやむなしで来たらしい。しかし学費の高い私立高校に来たことで拓哉の家の家計はどんどん貧困していった。
 にも関わらず俺達のポケモンカードをうらやましく思った拓哉は苦しい家計にも関わらずカードを買い、そしてそれが母親に見つかって怒りを買い、暴力を振るわれた。それがきっかけで拓哉にもう一つの人格と能力が目覚めることになったのだ。
 こればっかしは本人にも責任はあるだろうが、俺にも責任がないことはない。いつも遊んでる仲間たちがカードを始めれば、その仲間たちについていくがためにカードをやり始めようという気になる。事実、蜂谷だってそういう感じでポケモンカードを始めた。
 そのせいもあって、拓哉との対戦は辛かった。ベンチのポケモンに攻撃をして相手を苦しめるベンチキルの戦術に、俺は押され気味だった。なんとかゴウカザルの怒り攻撃で拓哉を撃破したが、倒したと同時に拓哉は意識を失い倒れ、拓哉の能力は無くなった。
 俺にもとてつもない疲労感が圧し掛かって来たのを覚えている。なんとかして次の決勝戦で風見を倒し、風見杯を優勝することが出来た。
 それでも、拓哉(裏)が使っていたあの能力。ずっと一体あれはなんなのかと考えていた。



 その能力とはその約二ヶ月後、三月二十日に開かれたPCC(ポケモンチャレンジカップ)で再び出くわすこととなった。
 バトルベルトという持ち運び式の3D投影機器が誕生し、俺たちのバトルはより進化した。そのバトルベルトを使った初の公式大会。
 全国に数多いる能力者のうち二人が。しかも能力者の中では特別に危険な二人が現れたといい、クリーチャーズの松野さん、そして松野さんの補佐として現れた一之瀬さんが俺たちにその能力者の高津と山本を倒すようお願いをしてきた。
 予選を勝ち抜きトーナメント形式の本戦二回戦で山本と松野さんが対戦した。山本の能力は対戦相手を打ち負かすと、その対戦相手の意識を無くし植物状態とさせてしまう非常に恐ろしい能力だった。
 松野さんは超大型ポケモンであるレジギガスLV.Xを主体としたデッキで山本に立ち向かうも、山本のミュウツーLV.Xのポケボディー、サイコバリアによってダメージを与えれずにそのまま一方的にやられてしまいそうになる。
 それでも松野さんはなんとかデッキ切れを狙って勝利をもぎ取ろうとするも、それを見越されギガバーンを喰らって敗北してしまった。
 松野さんが敗北したことで、風見は大きく取り乱してしまう。普段は慌てることがない風見のあんな様相を見るのは初めてだった。
 そして三回戦、準々決勝では俺と山本、拓哉ともう一人の能力者である高津と対戦することに。
 拓哉の対戦相手である高津はポケモンのワザの衝撃を実際に相手に与えることが出来る、こちらも極めて危険な能力だ。
 闘ポケモン主体の高津に苦戦した拓哉(裏)。特にカイリキーLV.Xの攻撃で一度は意識を失い、左腕を骨折する大怪我を負ってしまうが、拓哉(表)のお陰でなんとかそれをカバーして、最後は高津の能力の特徴。ワザの宣言時に自分の指で指したところにしか衝撃を与えることが出来ないという欠点を利用して自身に受ける肉体的なダメージを防ぎ、ゲンガーのポケパワーで勝利を収めた。
 その一方で俺は山本と対戦した。山本は勝てば勝つほど自身の能力が強まり、その能力が強まる先にはポケモンカードで相手を負かさずとも相手の意識を奪えるようになると言っていた。
 そんなことはさせられない。緊張の糸がピンと貼った試合展開。あらかじめミュウツーLV.Xの恐るべし力をしっていたがために進化ポケモンを温存しようとしていたが、アブソルG LV.X、クレセリアLV.Xによって俺のポケモンは倒され、あとミュウツーLV.Xを倒せればという肝心なときに限ってミュウツーLV.Xを倒すことが出来る進化ポケモンを失ってしまった。
 そして山本が何故力を得るかの過程を知ることになった。山本がどれほど辛かったか、それはきっと俺には知ることが出来ないだろう。でも、だからと言ってそれが他の人を苦しめる理由にはならない。
 進化前がいなくなったと思っていたが、大会前に風見に借りたフライゴンLV.Xでなんとか逆転の道を切り開くことが出来た。やはり二人とも、風見杯の拓哉(裏)のように対戦に負けると能力が失われたらしい。
 続く準決勝では拓哉は怪我のために棄権し、なんと風見を打ち負かした恭介と俺が対戦することになった。……のだが、先の山本のバトルで疲弊した俺は対戦途中に倒れてしまい、棄権。
 偶然もあり、決勝まで進んだ恭介だったが決勝戦では対戦相手の中西さんに一枚上手の戦法をとられ、敗北してしまった。



 いろいろあっても終わってしまえばなんてことはない想い出だ。
 たまにはこうやって振り返ってみるのもいいかもしれない。振り返ることでまた新しい発見が生まれるかもしれないしね。
 この振り返る過程で、やっぱり引っ掛かるのは能力に関することだ。
 一体なんなんだ。今俺たちが知っていることは、能力は基本的にポケモンカードを通して発生し、そして対戦で敗北すると能力は消える。
 能力は負の感情と連動しているようで、負の感情が高まると能力もその力を増す場合があるらしい。山本は対戦に勝てば勝つほど能力はより力を発揮すると言っていた。
 きっとまだこの能力と俺たちは立ち向かわなければならないかもしれない。辛いことがあるかもしれないけど、絶対に負けられない。ポケモンカードは娯楽だ。遊びだ。そんな人を傷つけたり苦しめたりするものじゃあない。
 結局能力とは一体何なのか。……いつかその全貌が明らかになる日が来るのだろうか。




「もしもし、一之瀬です」
『PCC以来だね』
「有瀬さん。何か用でも」
 今の時期は新商品が発売するわけでもなく、仕事は忙しくない。お陰で早めに上がれて今は帰路だ。
 家の最寄駅に着き舗装された道を歩いていると携帯電話が鳴りだし、それに応じると有瀬悠介の声が聞こえた。この男は僕を友人と言っているが、僕からするとどうも得意ではない。
『前々から言っていた「例の件」だが、日にちを決めたから連絡するよ』
「……いつです」
『七月二十四日、日曜日』
「丁度夏休みといった日程ですね」
『この日程の方が私としても楽なのでね。それで、そのための準備がある』
「それを僕に手伝えと」
『素晴らしい察しの良さだ』
 この男は知っている。誰が何をできる力量を持っているのか。有瀬は僕のキャパシティを越すような頼みは決してしてこない。
『君にはWebサイトを作ってもらう』
「Webサイト……」
『来る七月二十四日、「アルセウスジム」主催のポケモンカードの対戦イベント! そのためのWebサイトだ。頼まれてくれるかな』
「……いいですよ」
 どうせ僕に断る術はないのだ。
『そのページを作るにあたっての必要事項はまた後で連絡しよう』
「僕はいいんですけど有瀬さん、そっちはどうなんですか?」
『WW(ダブルダブリュー)のテストは進んでいるよ。ありとあらゆるシチュエーションを試し、欠陥がないかを探っている』
「貴方でも欠陥とかを気にするんですね」
 皮肉のような一言でもあるが、自身が感じた事をそのまま伝えた。この男でも失敗は恐れるのか。向こうは僕の事を知りすぎているが、僕は有瀬のことをどれだけ知っているだろうか。
『ははは。不具合は怖いからね。万全を期す程良いことはない』
「そうだね」
『一之瀬、君にもまだまだ手伝ってもらわなければいけないことがある。なんたって、君は私の友だからね』
「分かっていますよ」
 と、言ってからこちらから通話を切る。君は私の友、だと。どこまで信用すればいいのか。
 しかし有瀬を信用するしか出来ない。事実彼の力は凄まじい。僕には出来ないことを何でもこなして見せる。
 ……全てはポケモンカードのため。今は何も考えずに有瀬から与えられた仕事をこなしていくだけだ。



翔「今回のキーカードはダブル無色エネルギー!
  このカード一枚でなんと二個分の働きをするぞ。
  これで勝負のスピードを上げていこう!」

ダブル無色エネルギー(L1) 特殊エネルギー
 このカードは無色エネルギー2個ぶんとしてはたらく。

───
ポケモンカードスーパーレクチャー第二回「対戦が始まるまで」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/86.html
メンテ
新たなカードN ( No.119 )
日時: 2011/03/21 09:02
名前: でりでり ID:e2WXLZsY
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「めんどくせー、四組とか今日休みだぞ?」
「五組と六組と八組も休みらしいな」
 四月七日の木曜日。蜂谷と恭介が春休みなのに入学式の在校生代表として出なくてはいけないことにケチをつけている。
「仕方ないだろ。担任がくじ引いて、うちのクラスが在校生代表で出ることになったんだし。それに卒業式の在校生代表は入学式に出ないクラスが出るし、プラマイは0だろ。先になったか後になったかだけじゃん」
 と、なだめてみたものの恭介は先に出る分損した気分とまたまた文句を言う。
「そういうのを朝三暮四って言うんだ」
 風見が鼻で笑いながらかつ若干のどや顔で恭介に忠告した。春休みは皆それぞれ都合が合わず、集って遊ぶことが出来なかったためこうして喋るのは久しぶりなのだが相変わらずで安心した。
 いや、相変わらずというのもやや違う。拓哉はPCCで左腕を骨折したためにギプスを巻いているのが物凄く目立つ。痛々しく、それを見る度に能力(ちから)の事を考えてしまう。本人は事情を知らない俺と風見以外には適当にいって誤魔化している。
 余談だが、うちの高校は他の高校とは違って学年が変わってもクラス替えは行わない。これはクラスでの結束を高めるためだとからしいのだが、険悪なムードを持つクラスだったら一たまりもないと常々思う。うちのクラスはそんなこともなく極めて穏やか。
「なあなあ、これって昼までだろ?」
 蜂谷が唐突に切りだす。
「入学式終わったら飯食いに行こうぜ」
「どこにだよ」
「それは決めてないけどさ、街に繰り出してさ!」
 ノープランなのは御愛嬌、ってか。何か考えてから言ってもらいたい。っていうか前日に言え。
「俺お金あんまり持ってきてないぞ」
「えー。翔の財布は寒いなあ!」
 所謂オタマロ顔で言う蜂谷に、事実だから言い返せないのが悔しい。が一発殴りたい。殴らせろ。しかしここは堪えてきっと睨みつけておくだけに留めてやろう。
「風見は大丈夫?」
「構わん。行く」
「拓哉は?」
「僕もいいよ」
「で、恭介はどう」
「うーん、行きたいのはやまやまだけど俺今日家族で出かけるからさ」
 どうしたものかとふーっ、と鼻息を鳴らす蜂谷。
「そうだ。定食屋の二割引きチケットあるんだけど翔それ使うか?」
「百六十円くらいで食べれる?」
「絶対無理」
「だよねー。ということで俺もパス、三人で行ってこい」
 俺がお金の貸し借りを、風見杯の頃のこともあってか極端に嫌っているのを知っているので、皆は俺にそういうことを言ってこない。
 そしてまたどうでもいいことを喋っているとようやく校内放送がかかり、在校生は体育館に行けとアナウンスを鳴らした。



 俺が振り返ることでパイプ椅子がギィと悲鳴を上げる。そんなことはどうでもよく、振り返って蜂谷の頭をバチンとボタンを虫を潰すように叩きつけた。
「ちょっかいかけるな!」
「いや、だって」
「だってじゃない!」
 やや興奮気味に喋っているが、式典会場ということなので小声で怒鳴っている。あまり悪目立ちしたくないのに。喋る程度なら他の生徒もいっぱいしているため百歩譲るが、後ろを振り返るのはどうしても目立つ。
 丁度真後ろに座っている蜂谷が、俺がくすぐりに弱いのを知っていながらやってくる。もちろん我慢できるわけもなく大きなリアクションを音とともに上げてしまった。その腹いせに一発。さっきの殴りたかった分も込めたので若干鈍い音が響いた。
 アナウンスが鳴って新入生が体育館の後ろの入り口から入場してくる。新品のぴっちりした制服を着た新入生が顔を強張らせながら入ってくる。
 初々しいなあと思っていると、後ろで蜂谷と、メタボ体系で顔にいわゆるブサイクゆえに逝ケメンというあだ名を付けられた野田 義弘(のだ よしひろ)が新入女子生徒の品定めをしている。左隣りの風見は腕組みして目をつぶっている。寝ているのか。
「お、翔! 向井いたぞ!」
 肩をぱしぱし叩きながら蜂谷が興奮気味に告げる。新入生の歩く花道を見れば、気弱そうな顔が冷や汗でトッピングされて見ていて気の毒だった。そんなに緊張しなくても。
 向井の所属する二組が着席し、三組、四組と続々入場する。そして五組でようやく薫を見つける。向井とは対照的に、落ちついた表情でしっかりと歩いていた。
 薫こっち気づくかな、と思うとちらとこちらを振り向いてくれた。バッチリ目も合い、笑ってくれた。部活に参加してない俺としては数少ない後輩とのつながりである。
 新入生全員が着席し、式典が始まる。新入生在校生起立だの礼だの着席だの、後は校長とか来賓とかの話を聞いたり校歌を歌ったりと無駄に時間を過ごしてちょっと眠ったりもした。
 式典も終わり、新入生と保護者が退場してからは入学式に来ている二年生だけで体育館に並べられた大量の長椅子の片付けを行う。風見と一緒になって長椅子を四つ同時に持っていこうとしたがそれが崩れ、恭介の右足に長椅子が落下して変な声を上げたことしかあんまり覚えていない。
 もう帰っていいと言われたので、締りがないものの俺と恭介は一足お先に帰らせていただくことにした。新一年生は教室に行っていろいろ説明を受けているようなので、待っているとあと一時間はしそうなので今日のところはパスさせてもらう。



 金欠と用事で帰った翔と恭介を除く、俺と拓哉と蜂谷で昼食を取りに行くことになった。校舎を出たのは良いものの、どこに食べに行くかを知らない。
「一体どこに食べに行くんだ?」
「全然決めてないけど、拓哉はどこか食べに行きたいとこある?」
「僕はどこでもいいよ」
 ノープランなのか。予想はしていたが一体どこにいくのか。
「とりあえず駅前まで行ってから考えよう」
 蜂谷の鶴の一声で三人揃って駅に向かう。この学校の辺りは飲食店がほとんどなく、駅前まで七分ほど歩いて行かないとまともなものが食べれない。
 ようやく駅前まで来るものの、結局考えるのがめんどくさいと投げだした蜂谷が目に着いたマクドナルドに入って行った。三人思うように注文する。骨折して片腕しか使えない拓哉のために、俺が拓哉の分と二人分のトレイをテーブルまで運んで行った。
「あー、二年生かあ。全然実感ないなあ」
 蜂谷がポテトを齧りながらぽつりと呟く。それはそうだろう。
「学年が上がってもクラスのメンバーは変わらないしな」
「なんでも受験は団体戦だから結束をうんたらっていう学校の方針だったよね」
「なーんだそれ、新鮮な感じがしないなあ」
 ぶーぶー不平を言う蜂谷だが、何かあったのだろうか。まあ詮索して気まずい空気になるよりは明るい話をしよう。
「新鮮というのならこういうのはどうだ」
 鞄からハーフデッキを三つとりだす。ついでにプレイマットと、ダメカンとコインとマーカーのポケモンカードをプレイするために必要な物一式だ。
「どこがどう新鮮なんだ?」
「ポケモンカードゲームBWだ。今までのポケモンカードとはルールなどが改正され、ある意味新鮮だろう。お前のことだからどうせ知ってないと思ってな」
「失礼な。ルール変わったとか言われても知らないけども」
 食べ終えたトレイを端に除け、プレイマットを広げる。
「対戦しながら説明するのが一番だろう。今用意してあるのははじめてセットという構築済みスターターセットだ。ポカブデッキ、ツタージャデッキ、ミジュマルデッキの三種類がある。好きなのを使って良いぞ」
 夢中でデッキを確認する蜂谷。カードを見ながらほーだのへーだの変な声を一々上げるのだが恥ずかしい。
「ミジュマルデッキにするぜ。ホイーガとかいてかっこよさそうだ」
「どんな基準で決めたんだ。そこはいいか。拓哉、蜂谷の相手をやってやれ」
「え、僕が?」
「折角の機会だし、お前の代わりに俺が手札を持ってプレイする。お前はどのカードを使うかとかの宣言だけしてくれればいい」
「うん。じゃあポカブデッキでやるよ」
 あえて水タイプメインのミジュマルデッキに対して炎タイプメインのポカブデッキにするか。そして対戦をする、となってもいつものようにもう一つの人格の方は出ないようだ。
 隣の席にいる拓哉の補助をするのは若干遠いため、椅子を隣り合わせにして近づく。拓哉からは女性と同じような甘い匂いが。特に長い髪からシャンプーの強い香りがして、どうも近づくのはあまり得意ではないがここは割り切る。
「よし、じゃあデッキをシャッフル。手札を七枚引いて、たねポケモンをセットだ」
 蜂谷がバトル場にポケモンを一匹だけセットしたが、こちらはバトル場に一匹、ベンチに一匹の計二匹をセット。
「続いてサイドを三枚伏せる。スタンダードデッキじゃないから六枚伏せるなよ」
「馬鹿にしすぎ」
 とはいえ蜂谷だし何をしでかすかわからん。初めてポケモンカードのルールを教えたときもモノになるまで大変だった。
「そして伏せたポケモンをオープン」
 蜂谷のポケモンはバオップ70/70。こちらはバトル場にダルマッカ70/70、ベンチにポカブ60/60。
「よし。じゃあ先攻は僕がもらうよ。ドロー!」
 デッキからドローするのは拓哉の役目。ドローしたカードを俺に手渡す。拓哉はうーん、と場と手札を睨みつける。
「まずはダルマッカに炎エネルギーをつける」
 言われた通りカードをつける。ダルマッカは炎エネルギー一つでワザが使えるポケモンだ。この選択に迷いはない。
「さらにグッズカード、モンスターボールを発動。コイントスをしてオモテの場合、自分のデッキからポケモンを一枚に加える。コイントスも代わりにやってくれる?」
「ああ。……オモテ、成功だ」
「じゃあチャオブーを手札に加えるよ。そしてダルマッカで火を吹く攻撃! このワザの基本威力は10だけど、コイントスをしてオモテなら更に10ダメージ追加出来る!」
 コイントスをすると再びオモテ。二連続でオモテを決めて中々幸先がいい。20ダメージ与えたことによってバオップの残りHPは50/70。
「じゃあ俺のターンだな! えーと、まずはバオップに超エネルギーをつける。そしてバオップのワザ、持ってくる! このワザの効果でデッキからカードを一枚ドローする。ターンエンド」
「僕のターン。それじゃあ、シママ(60/60)をベンチに出して、シママに雷エネルギーをつける。さらにポカブをチャオブー(100/100)に進化させてもう一度ダルマッカの火を吹く攻撃!」
 二度目の火を吹く攻撃もコイントスはオモテ。再び20ダメージを喰らい、バオップのHPは更に削られ残り30/70だ。
「まだまだ! 俺のターン! フシデ(70/70)をベンチに出し、フシデに超エネルギーをつける。更に俺もグッズカード、モンスターボールを使うぜ」
 しかしオモテが三回続く拓哉に対し、蜂谷のコインはウラ。ツキの良さが両極端だ。
「くっそ、でも手札の枚数は俺の方が拓哉より多い。バオップのワザ、持ってくるでカードを一枚引いてターンエンドだ」
 確かに拓哉の手札は三枚で、蜂谷の手札は六枚だ。しかし手札だけが全てを決めるわけではない。そのことを教えてやれ。



風見「今回のキーカード、というよりは次回のキーカードになる。
   水タイプの大型ポケモン。ダイケンキだ。
   ロングスピアで敵を丸ごと襲いかかれ!」

ダイケンキ HP140 水 (HS)
無無 ロングスピア  30
 相手のベンチポケモン1匹にも、30ダメージ。[ベンチへのダメージは弱点・抵抗力の計算をしない。]
水水無 なみのり  80
弱点 雷×2 抵抗力 − にげる 2

───
ポケモンカードスーパーレクチャー第三回「対戦開始!」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/87.html
メンテ
プレイT ( No.120 )
日時: 2011/03/27 12:18
名前: でりでり ID:qOtMko3Q
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 駅前のマクドナルドでプレイマットを使った拓哉と蜂谷のチュートリアルバトルが行われている。
 左腕骨折のため自由にプレイ出来ない拓哉の代わりに俺が拓哉の腕となっている。
 今の蜂谷の場はバトル場に超エネルギーの一つついたバオップ30/70、ベンチに同じく超エネルギーが一つついたフシデ70/70。拓哉のバトル場には炎エネルギー一つついたダルマッカ70/70、ベンチにチャオブー100/100、シママ60/60。残りのサイドはどちらも三枚。
 どちらも発売されている構築済みデッキを使っているが、蜂谷がダイケンキデッキを選び、拓哉がエンブオーデッキを選んでいるため拓哉の方がやや不利である。
 さらに拓哉はカードをするときいつも出てくる拓哉(裏)ではなく、普段の拓哉のままプレイしている。さて、どういうプレイを見せてくれるか。
「僕のターン。……僕はシママに雷エネルギーをつけ、ダルマッカで火を吹く攻撃。このワザの元々の威力は10に加え、コイントスをしてオモテなら10ダメージ追加する」
 拓哉の右手にコインを乗せるとそれをやや長い親指で高く弾く。パストス(※三回転以上しないコイントスの仕方。回転数が減ってオモテが出やすくなるためやると非常に嫌われる)でない綺麗なコイントスだ。しかし、結果はウラ。ダメージをプラスするには足らずといったところか。だがバオップ20/70に次のターン、火を吹くでオモテを出せば気絶させられる。
「よし。俺のターンだ! ドロー。フシデに手札から超エネルギーをつけ、更にミジュマル(60/60)をベンチに出してもういっちょコロモリ(60/60)もベンチに出す。そしてグッズカード、ポケモン図鑑を発動だ! デッキの上からカードを……ってあれ?」
「どうした?」
「これエラーカード(※表記やフォーマット等が誤っているカードのこと)じゃない? だってポケモン図鑑の効果って『自分の山札のカードを上から二枚見て、どちらか一枚を手札に加える。その後、残りの一枚を、山札の一番下に戻す』って」
「よくそこまで一字一句覚えてるな。でも正しく言うと、お前の言っているポケモン図鑑の正しいカード名は『ポケモン図鑑HANDY910is』であって、今お前が使ったカードは『ポケモン図鑑』だから単純に別物だ。自分の山札を上から五枚見て、好きな順番に入れ替えて山札の上に戻すという効果がポケモン図鑑」
 蜂谷はほぉ、と一つ呟くと、早速デッキの上から五枚を並び替える。
「よし。じゃあバオップのワザ、持ってくる。自分のデッキの一番上をドローする!」
 今ポケモン図鑑で入れ替えたカードをわざわざ手札に加えてきたか。よほど良いカードでもあったのだろうか。
「じゃあ僕の番だね。ドロー」
 拓哉の右手が山札の上に乗り、一番上のカードを引き取る。そのカードを確認したのち、俺が受け取る。左手で手札の持てない拓哉の代わりに俺が手札を持たなければいけないのだ。
「うん。じゃあシママをゼブライカ(90/90)に進化させるよ。そしてダルマッカの火を吹く攻撃」
 高く弾かれたコインは蜂谷の食い散らかしたポテトの容器の隣に落ちて、ポカブ、ミジュマル、ツタージャの三匹が揃ったイラストの面。オモテを上向きにして落ちる。
「火を吹くの効果で威力が10加算されて20ダメージ!」
 早くも蜂谷のバオップが倒される。拓哉は一番手前のサイドを手札に加えると、蜂谷は新たにベンチのフシデ70/70をバトル場に繰り出す。
 今ごく自然にやりとりがなされたが、今まではポケモンが気絶すると、相手が新しいバトルポケモンを選んでからサイドを引くという順番であった。それがBWからは今のようにサイドを引いてから新しくバトルポケモンを出すという順番に変わったのだ。
「ここまで計算済みだぜ! 俺のターン。まずはフシデをホイーガに進化させる!」
 ドローしたばかりの手札、ホイーガをフシデに重ねる。ホイーガ90/90はデッキの中でも強力な部類のポケモンだ。恐らく計算済みというのは、ポケモン図鑑でホイーガをドロー出来るようにデッキの順番を入れ替え、バオップが倒されたことでスムーズにフシデをバトル場に持ち出すということか。
「ホイーガに水エネルギーをつける。さらに、ベンチのミジュマルをフタチマル(90/90)に進化させてホイーガで攻撃だ。転がる!」
 転がるは超無無のエネルギー三つで行えるワザ。効果はない一般的なワザだが威力は50。この威力ではダルマッカ20/70には致命傷となる。
「よっしゃあ! ここから逆転していくぜ」
 早くもガッツポーズを繰り広げ目と口を釣りあげる満面のどや顔を披露する。友人間でやってるからいいものの、イベント会場などで知らない人にそれをすれば嫌がれること間違いなし。
「僕のターン。僕は、手札の炎エネルギーをベンチのゼブライカにつける。そして新たにベンチにバッフロンを出すよ」
 たねポケモンでHPが90/90もあるバッフロンは、壁としても戦力としても有力だ。さあどう戦う。
「ダルマッカで火を吹く攻撃! ……ウラなので10ダメージだ」
 たった10ダメージではホイーガ80/90には無傷も同然だ。その程度で一体どうになる。
「へっ、俺のターン。俺はフタチマルに水エネルギーをつける。そしてホイーガの転がる攻撃! これでダルマッカ、ようやく気絶だぜ!」
 まさにようやく。ポケモン一匹気絶させるのに十ターンは流石に時間のかかりすぎだろう。蜂谷がサイドを一枚引くと、拓哉はずっと温存していたゼブライカをバトル場に出す。蜂谷がホイーガを用意していたのと同じシチュエーションだな。
「いくよ、僕のターン。まず、手札の雷エネルギーをチャオブーにつける。そしてゼブライカで攻撃、ワイルドボルト!」
 ワイルドボルトは雷雷無と、ホイーガの転がるよりも条件が厳しいために威力が70と高めだ。その反面自身にも反動として10ダメージを受けてしまう。これでホイーガの残りHPは10/90、ゼブライカ80/90となる。先の拓哉のターンにダルマッカの火を吹くでオモテを出していればホイーガを気絶させれていた。ここは拓哉の運が悪かったと言うより蜂谷の運が良かったと言うべきか。
「俺のターン、ドロー! お、いいカードが来たぜ。フタチマルに超エネルギーをつけ、グッズカードのモンスターボールを発動。コイントスをしてオモテならばデッキの好きなポケモン一枚を手札に加える!」
 引いたカードがいいカードといいながらその隣のカードをプレイした。いいカードとやらはこの後来るか。
「グッズカード、エネルギー付け替えを発動だ。自分のポケモンについているエネルギーを一つ選び、別のポケモンに付けかえさせる。俺はホイーガの水エネルギーをフタチマルに付け替える!」
 いいカードとやらがこれのようだ。果たしてこのプレイングが後にどう影響するのか。恐らく、返しのターンでホイーガを気絶させられることを読んでのことだろうが。
「ホイーガで毒針攻撃! このワザの威力は20だけだが、相手を毒にする!」
 ゼブライカにダメカン二つと毒マーカーを乗せる。このダメージを受けてもゼブライカ60/90のHPはまだまだ余裕だが、そう余裕をもってはいられない。毒の影響でじわじわとそのHPは削られる。
「蜂谷の番が終わったことでポケモンチェックに入り、毒の処理を行う。ゼブライカにダメカンを一つ乗せるぞ」
 更にダメージを受けゼブライカ50/90は残りHPがほとんど半分だ。ポケモンチェックの度に10ダメージを受けるのは微々たるように思えるかもしれないが、実際にはその数値以上に苦戦することになる。塵も積もれば山となる、10ダメージが継続的に重なるのは痛い。
「僕のターン。僕はゼブライカについている炎エネルギーをトラッシュしてゼブライカを逃がし、新たにチャオブーをバトル場に出す。そしてグッズカードを使うよ。エネルギー回収! エネルギー回収の効果でトラッシュにある基本エネルギーを二枚まで手札に戻す。僕は炎エネルギー二枚を回収する」
 ゼブライカがベンチに戻ったことで毒状態から解放される。そしてエネルギー回収で戻したのはダルマッカについていた炎エネルギーと、今逃げることでトラッシュした炎エネルギーの二枚だな。手札にエネルギーがないこの状況でこのカードを引き当てれたのは運が良い。
「チャオブーに炎エネルギーをつけてもう一枚グッズカード、きずぐすりを使うよ。この効果でベンチのゼブライカのHPを30回復させる!」
「は!? ちょ、待った待った!」
 急に声を上げて慌てる蜂谷。その反動で椅子を大きく後ろに引き、軽く立ちあがっている。今のどこに何があった。
「きずぐすりの効果って『自分のポケモン1匹から、ダメージカウンターを2個とる』じゃないの? もしかしてそれこそエラーカードじゃあ」
 なんだ、その程度のことか。というよりさっきからだがよくもテキストを正確に覚えているな。
「そういうことか。エラーカードじゃなくエラッタだ」
 蜂谷が首を傾げる。若干キモイ。
「エラッタとは、カードのテキストが変更されることだ。今お前が上げたのが『昔のきずぐすり』の効果であって、ポケモンカードBWから『新しくなったポケモン図鑑』の効果にならう必要がある。新しくなったきずぐすりの効果は『自分のポケモン1匹のHPを「30」回復する』」
「ほえー。カードの効果って変わるのね。じゃあ昔のポケモン図鑑は使えなくなるのか」
「いや、使えなくなることはない。ただし、使用カードが旧テキストであってもエラッタ後のテキストとしてカードを使用しなければならない。きずぐすりだけでなく、ふしぎなアメ、スーパーボール、プラスパワーもエラッタされてあるぞ」
「どんな風に変わったのさ」
「長くなるが……。ふしぎなアメは、最初の自分の番に使えず、その番に出したばかりのポケモンや、たねポケモンを1進化ポケモンに進化させることが出来なくなった。前の番から出していたたねポケモンを2進化ポケモンに進化させるカードになる。そしてプラスパワーは自分のポケモンのワザのダメージを+10する効果に変更し、今までのようにどのポケモンに使うかが選べなくなった。また、使うとポケモンにつける処理を行わず、すぐにトラッシュする。そしてスーパーボールは効果が大きく変わり、『自分の山札の上から七枚見る。その中からポケモンを1枚選び、相手に見せてから、手札に加えてよい。残りのカードは山札にもどし、山札を切る』というものに変わった」
 ほうほう、と蜂谷は頷くが、本当に分かっているかは甚だ疑問だ。とにかくこれでゼブライカのHPは80/90とほぼ全快した。
「続けていい?」
「あ、ああ。すまんな」
「僕はチャオブーのワザ、ニトロチャージを使うよ。この効果で自分のデッキの炎エネルギー一枚をこのチャオブーにつける」
 エネ加速を促すワザだ。チャオブーの進化系、エンブオーは必要なエネルギーは多いが一撃が非常に大きい重量級ポケモン。今のうちに準備をしておくといったところか。
「俺のターンだ。くっそ、計算狂ったなあ。じゃあ、ホイーガに超エネルギーをつけて転がる攻撃!」
 あえてホイーガを倒さなかったのは蜂谷の狙いを外させる意味もあったのか。柔和で臆病な雰囲気とは反して、拓哉(裏)のように案外策士のようだ。だが、転がるを受けてチャオブー50/100のHPは大きく削られてしまった。さあどうする。
「僕のターン、まずはポカブ(60/60)をベンチに出す。続いてグッズカードのモンスターボールを使うよ」
 コイントスの結果はウラ。よって効果の発動はなし。だが特にこのモンスターボールは発動する必要はないカードであっただろう。何せ手札には既にエンブオー100/150がいる。
「チャオブーをエンブオーに進化させ、エンブオーに炎エネルギーをつける。そしてエンブオーでバトル! ヒートスタンプ!」
 ヒートスタンプの威力は50。残りHPが10/90だったホイーガにトドメの一撃が刺さる。手札を全て消費してしまったが、今サイドを引くことで希少な手札を得た。残りのサイドはこれで一枚。そして蜂谷はフタチマル90/90をバトル場に出す。単純だが炎に水、懸命な判断だ。
 しかしフタチマルの持つ一番威力の高いワザのシェルブレードの威力は40+。コイントスをしてオモテなら20ダメージ追加できる。さらにエンブオーの弱点をつけることで、最大(40+20)×2=120ダメージを与えれる。その場合残りHPが100/150のエンブオーを気絶させることが出来るが、ウラが出てしまうとエンブオーのHPを削りきれない。
 そして返しの拓哉のターンでエンブオーのフレアドライブ。炎炎無無と厳しく、さらに攻撃後にエンブオーの炎エネルギーを全てトラッシュしなければならないワザだが威力はなんと150もある。それを決めてしまえばHP90のフタチマルは気絶して拓哉の圧勝となる。二分の一の運だめしになるか……?
「楽しくなるのはここからだぜ! 俺のターン! ドォロー!」
 気合いの入ったドローの動作の後、ニヤリと笑みを浮かべながら引いたカードを手札に加える。何かする気か。
「ベンチのフタチマルをダイケンキに進化!」
「進化だと!」
 今加えたカードをフタチマルに重ねる。ダイケンキ140/140はデッキに一枚だけしか入っておらず、ドローする時点で蜂谷のデッキは十枚、サイドは二枚。十二分の一の確率をここぞというタイミングで引き当てたのか……。
「ダイケンキで攻撃。ロングス……いや! いや、ちょっと待った」
「今度は何だ何だ」
 また待ったか、と蜂谷に対しやや呆れ気味に言い放つ。
「ロングスピアで拓哉のベンチのポカブを攻撃したら弱点計算するよな?」
 今蜂谷が言ったロングスピアとは、無無で打てる威力30のワザ。このワザの効果でベンチポケモン一匹にも30ダメージを与えることが出来、今言ったようにポカブ60/60の弱点を突ければ30×2=60で気絶させることが出来る。のだが。
「はぁ、カードのテキストをよく読め。ベンチへのダメージは弱点・抵抗力の計算をしないとしっかり書いているだろ」
「うおっ、本当だ。危ない危ない。じゃあ波乗り攻撃!」
 波乗りの威力は80。効果はなく水水無とエネルギー三つで打てる中々の威力を持つワザだ。さらにエンブオーの弱点は水×2なので、実際に受けるダメージは160。蜂谷はこれで拓哉のエースポケモンを一撃で倒してしまった。しかもダイケンキ140/140にはHPに余裕がある。
「サイドを一枚引く。これで互いに残り一枚だ!」
「じゃあ僕はゼブライカ(80/90)をバトル場に出すよ」
「え、ゼブライカとかいたの!?」
 ここまでの逆転劇は見事なものだった、と言いたかったがどちらにしろゼブライカがベンチに残っていた時点で蜂谷は詰んでいた。
「僕のターン、炎エネルギーをゼブライカにつけて」
「ちょちょちょ、タイム! ちょっと待った!」
「待ちません! ゼブライカで攻撃、ワイルドボルト!」
 ゼブライカ自身にもワザの反動で10ダメージを受けるが、雷タイプが弱点のダイケンキ140/140は70×2=140のダメージを受けなくてはいけない。ゼブライカの上にダメカンを大量にばらまくと、拓哉は最後のサイドを引いた。
「終わりだな。と、まあこんな感じだ。中々良かっただろう」
「自分のデッキじゃなくて構築済みデッキだったけど思ったより楽しめたねー」
 すぐ真横で首を少しだけ傾けながら拓哉が満面の笑みを浮かべる。……どうも俺は拓哉は苦手のようだ。
「上手いプレイングだったな。元々相性的に不利なデッキだったが余裕を持って勝てたじゃないか」
「えへへ、これくらいは余裕だよ!」
 カードセットを片付けて鞄を直し、鞄を担いでゴミを乗せたトレイを拓哉の分も持って立ちあがる。いつまでもうなだれる蜂谷をあごで動かし、トレイを片付け店を出る。
 春の気持ちいい風が流れる街へ再び三人で繰り出す。



風見「今回のキーカードはエンブオーだ。
   エネルギーのロスは多いが、
   フレアドライブの威力は目を見張るものがある」

エンブオー HP150 炎 (HS)
炎無無 ヒートスタンプ  50
炎炎無無 フレアドライブ  150
 このポケモンについている炎エネルギーをすべてトラッシュする。
弱点 水×2 抵抗力 − にげる 4

───
ポケモンカードスーパーレクチャー第四回「ポケモンを気絶」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/88.html
メンテ
新天地へM ( No.121 )
日時: 2011/04/03 08:57
名前: でりでり ID:dGiJqfwE
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「風見ってトラック運転出来る?」
「馬鹿言え」
「じゃあトラック運転出来る人知ってる?」
「馬鹿言え」
「馬鹿言ってねえよ」
 四月十三日の水曜日、始業式も二日前に終わって健康診断もさっき終わって、そして今は委員会の役員決めを執り行うホームルームの真っ最中だ。俺は委員会とかは遠慮してさっさと数学係、いわゆる数学の教師のパシリに就任した。ちなみに風見とは席が隣同士であって、横で喋っている最中なのだ。
「第一に翔、どうしていきなりそんなことを言いだすんだ」
「土日辺りに引っ越しするんだけどさ、業者に頼むよりも自力で何とか出来たら金銭的になあって」
「引っ越しだと?」
「あ、うん。けどもそんな遠くないし、電車二駅くらいの距離」
「なるほどな。トラック運転出来る人を呼んだところで、翔と雫さんと運転出来る人の三人だけじゃあ流石に無理だろう」
「えっ、もちろん風見も手伝うでしょ?」
 一瞬ぴくりと風見の眉が動いたのを見逃さなかった。
「いや、俺はまだ何も」
「えっ?」
「だからだな、俺は」
「風見が手伝うのはもう揺るぎない真実だしあとは恭介、蜂谷、拓哉とあと向井とかその辺呼べばまあ十分になるんじゃないかな」
「ちょっと待てまだ俺はなんとも」
「あー、八人いれば十分かー。っていうか八人いないときついなー。八人いないと無理だよなー引っ越しとかどう考えても」
「……手伝えばいいんだろう?」
 ヤケクソ気味に風見が言い放ったが、思う以上に簡単に承諾してくれた。心の中でガッツポーズ十回ぐらいした。
 恭介と蜂谷は二回くらいゴリ押しすればあいつらだし首を縦に振るし、拓哉もなんとかなるでしょう。向井も……まあなんとかしてしまいましょう。問題はトラック運転出来る人が確保できるかどうかだなあ。
 そしてまだ風見にする用事がもう一個だけある。
「うん?」
 思いっきり眉をひそめて風見の右腋を凝視する。
「どうした翔」
「いや、風見の右腋の辺りに何かついてるなって。ちょっと右手あげてみてくんない?」
「ああ」
 そうやって風見が右手を高く持ち上げると。
「それじゃあ文化委員は風見君で」
 教壇に立っていた委員長がそう言って黒板に名前を書き始めた。ちょうど文化委員の立候補を集っている時に風見が手を上げた、いや、上げさせたので周りは勘違いしたのだ。というよりさせたのだ。
 一瞬状況整理に戸惑った風見がその意味をようやっと理解した瞬間、騒ぎ立てないように口を塞ぐ。もごもご大声で言ってる間に風見が文化委員という方向で進んでしまい、体育委員の立候補を集い始めた。
「暴れるな風見、運命を受け入れろ」
 そう言ってようやく塞いでいた風見の口を放してやる。怪訝な顔をされたが仕方ないだろう。一方で蜂谷が体育委員に立候補し、これで全委員が確定した。
「くっ、さっきから!」
「でもさ、チャンスじゃん」
「チャンスだと?」
「去年はあんな感じ(ファーストバトル編辺り)でまともに学校行事参加してなかったんだからさ、今年くらいは積極的に参加するとやっぱ良い思い出になるんじゃないかなって」
 なるほどな、と、風見は右手を顎にあてて考え始めた。思ったよりも乗せられやすいな。
 実のところは去年風見が文化祭への取り組みを一切しなかったがために、俺に雑用が大量に回ってきたことに対する腹いせである。せいぜい今年は苦労してください。
 担任がいろいろプリントを配布して、それの説明があり、それらを終わると下校になる。部活のある蜂谷と恭介には引っ越しの件をまた後で言うとして、とりあえずまずは拓哉に……。



「ははは、風見くんも大変だね」
「笑わないで下さいよ」
 学校が早く終わってその午後に、ちょっと洒落たカフェで俺と一之瀬さん、男二人で談笑する。本来は仕事の話なのだが一之瀬さんと会話をするとよくペースが乱されてしまう。なんというか、掴みどころのない不思議な人だ。
 それでいて実力もある。実力といっても仕事の方ではなくポケモンカードのことを指す。かつての世界大会優勝者とは名ばかりではない。PCCの後にたまたま対戦する機会があり、互いにサンプルデッキとはいえ完膚なきまでにやられたのはしっかり覚えている。
 この人の表情の裏が読めない。裏があるのかさえも読めない。今まで出会った人の中ではトップクラスの怖さをもっている。そして出会う度身構えている。しかしそれでも彼のペースに巻き込まれ、談笑したりしてしまう。
「忘れないうちに渡しておくよ」
 USBメモリが俺の手にしっかりと手渡されたのを確認してから鞄の中に大事にしまいこむ。このメモリの中にはバトルベルトにアップデートする新しいカードの情報が記載されており、これをTECKにあるマザーコンピューターに使うと、全てのバトルベルトの情報が更新されて新しいカードに対応するようになる。
 今回の更新でバトルベルトにはカードの情報だけでなく、バトルベルト自体の仕様も若干変更する。いわゆるちょっとしたバージョンアップ、バトルベルトVer1.37と言ったところだ。
「ところで」
「ん? どうしたの?」
 今日の昼にあったことを思い返すとわざわざ聞いてやるのもためらうが、助け合うのが友というものだろう。
「一之瀬さんはトラック運転出来ます?」



「絶対に落とすなよ! 絶対だぞ! それダチョウ倶楽部だからとかいって本気で落とすなよ! せーの!」
 俺と向井と蜂谷と恭介の四人で横に倒し、梱包材で包んだ冷蔵庫を運び出す。ボロアパートとはいえ二階なので、この重たい冷蔵庫を運びながら四人で階段を通らなければならない。
 一階では風見がスカウトしてくれた一之瀬さんがトラックを構えて用意してくれてる。なんと休日を返上してまで一之瀬さんはわざわざ来てくれた。本当に感謝。そして梱包材やダンボールは姉さんの友人が引っ越し業者らしいのでそこから徴収したらしい。
 本日四月十七日、日曜日の丁度お昼頃だった。拓哉と向井と一之瀬さんを除いた三人は文句を言いながらもきちんと仕事をしてくれる。
「くっそ、さっきまで部活あったんだぞこれ重てー!」
 と、愚痴を言いながら運んでいるように恭介に至っては午前にバスケ部の練習をした後に来てるので結構ごねている。こういう重いものを動かせそうな肉体派が俺ら四人と一之瀬さんしかいないので、殺生だが恭介の働きには期待してます。一方非力組の残りの姉さん、風見、拓哉は家で小物類をダンボールにまとめている。
「せーの!」
 掛け声をあげて冷蔵庫をトラックに乗せる。一仕事終わると恭介はぺたんと地べたに座り込み、額をぬぐう。蜂谷は軍手を外して手をぷらぷらさせながら休憩。
「次はテレビ動かすぞー。三人のうち一人来てくれ」
「あ、僕行きます」
 へこたれてる恭介と蜂谷をよそに、向井が自ずと立候補してくれる。本当に優しいいい子です。
 一之瀬さんは大型トラックの免許を持っていたので非常に助かります。当のトラックはレンタルしたものだが、いやあ本当に人脈は持つべきものです。
 一之瀬さん自身はPCCでいろいろ迷惑をかけたから、と好意的に手伝いに来てくれた。風見ら三人もこれくらいの好意を持ってほしい。まあ来てくれてるだけ十分かな。
 俺と向井と一之瀬さんで再び家に荷物をとりに階段を上ろうとしたとき、ふいに上の階から人が降りてきた。
 眼鏡をかけた小奇麗な顔立ちの男だ。こんな人このアパートに住んでいただろうか。すれ違うまでその男は薄く笑いながら俺をひたすら凝視していた。何か、その視線に嫌な予感を感じる。そしてこういう勘に限ってよく当たってしまうのだろう。
 出来るだけ今の男のことを忘れようと頭を横に振って、歩みを続ける。本当に今の感じはなんだったのだろうか。しばらくあの顔が頭の中に残り続ける……。
 それから一時間すれば、荷物は全てトラックに詰まった。元々荷物の多い家ではないのでそんなに苦戦することはないのだ。
 トラックには一之瀬さんと、新居までのガイドをするために姉さんが乗り込み、残りの男五人は電車で俺が引率した。
 引っ越し先も前と同じくアパートだが、向こうは築三十年以上してるのに対しこちらは築三年。家賃も上がり家も若干小さくなったが交通の便は何よりよくなった。
 というよりも姉さんが働いているEMDCまでは新居の最寄駅から電車一本で乗り換えずに済む、というエゴな理由で引っ越しすることになったのであって、お陰で俺は自転車通学可能な距離だったのに電車通学にさせられるハメになった。
 白塗りの新アパートの前では既にトラックが来ており、一之瀬さんが手を振って俺たちを待っていてくれた。そしてもう一人俺たちを待っている人がいた。
「翔! 皆!」
 黒いジャージを羽織った薫もこちらに向かって手を振っていた。
「向井から連絡あって来たの。どーして呼んでくれなかったの?」
 若干怒ったように言ってくる。まさかこんなことになるとは。
「いや、手伝わせたら悪いなと思って」
 一応は本当のことである。予想通り、後ろから恭介と蜂谷がじゃあ俺らはなんなんだとまたもやぶーぶー言い始める。
「まあでも来ちゃったし手伝わせてよ。これでも体力は向井よりはあるつもりだし」
「僕が言うのもなんだけどあながち間違ってないしね」
 向井がはにかみながら人差し指でこめかみをポリポリかく。なるほど、確かに半年前の薫を思い返すとそれも十分頷ける。これを本人に言うとそれもそれで怒り出すのだが。
 それにしても結局はいつものメンバーが揃ってしまったじゃないか。それもそれでもちろん結構。
「よし、第二ラウンド始めるぞ!」
 ここまできたら蜂谷と恭介も文句を言わなくなった。先に上に上がっていた姉さんの的確な指示で、運ばれた家具がどんどん並べられていく。
 すっかり辺りも暗くなり、お腹の虫も鳴き始めた頃ようやくトラックの中身を全て新居に持ち運んだ。まだダンボールが壁際に鎮座しているものの、とりあえず残りは俺ら姉弟でやるために手伝ってもらうことはこれで終わりだ。
「今日はほんとにありがとな。一応お礼としてはなんだけど引っ越し蕎麦でも食べてくか?」
「待ってました!」
「マジ腹減ってどうにかなりそう」
「俺もだな」
「風見そんな重労働してないだろ」
「そういう恭介もしょっちゅう休んでいただろう」
「はいはい、喧嘩しないの。今から作るけど蕎麦がダメな人とかいる? ……いないならよし! じゃあちょっとの間待っててね」
「あ! あたしも手伝います」
 姉さんの後に続いて薫も台所に駆けていく。九人分のお蕎麦を用意するのは大変だろうな、と他人事に思う。
 ちょっと待っているとお蕎麦が出来た。そもそもうつは俺と姉さんの二人暮らしなので小さなテーブルしかなく、どう囲んでも四人が限界なので後輩二人と姉さんと一之瀬さんがテーブルを囲み、残り五人が床にあぐらをかきながら食べることになる。
 冷えたお蕎麦がおいしくて、とても心地いい。皆が皆談笑しているときにふと、一之瀬さんが何かを思い出したように大きな声を上げる。
「そうそう。皆に知らせたいことがあるんだ」
 と言うと、鞄から一枚の紙を取り出す。
「まだ三カ月くらい先の話だけど、七月にアルセウスジムっていうポケモンカードの非公式団体が大会を開くんだ。それに僕と松野さんが出ようと思うんだけど皆もどうかい?」
「えー、二人も出るんですか? ちゃんと仕事してくださいよ」
 そう恭介が文句を言うのも頷ける。あんたらはカードを開発したりしてるとこで働いてるのに。
「あはは、まあそう言わずに。実を言うと僕の友人が開催しているんだ、そいつのイベントの成功のために手伝ってやってくれないかな」
 一之瀬さんが苦笑いを浮かべながら頭をかく。なるほど、そういう事情があるのか。
「俺はこの日に何か用事がなければ行ってもいいかな」
「翔が言うなら俺も行こう」
「俺も俺も」
 俺が引き金となって恭介、蜂谷、拓哉、姉さん、向井、薫も参加を表明する。しかし風見だけは何も言ってこない。
「風見はどうするの?」
「ああ……。考えておくよ」
 今日のことで相当迷惑をかけたために無理やり参加させるわけにもいかないが、やはり風見という刺激的なライバルが来ないと面白くないだろう。そして風見の乗らない一言のせいで場が少しだけ凍りつく。
「そ、そういえばさ───」
 なんとか俺が話のきっかけを作りだすと、その後もしばらくはどうでもいい話を繰り返し、ようやく九時には皆が帰った。
 アルセウスジム……。そんな団体聞いたことはないが、面白いことにはなりそうだ。
 公式大会は冬から春にかけて地方予選、そして初夏に全国大会があってその一カ月か二が月後には世界大会となる。地方大会で終わってしまった俺にとっては半年後の地方予選へのいい調整、腕試しになる。折角誘ってくれたんだ。参加するに限るだろう。今度こそ、ポケモンカードを純粋に楽しめるはずだ……。



翔「今日のキーカードはふしぎなアメ!
  エラッタして使いにくくはなったけど、
  それでも二進化デッキからは外せないカードだぜ」

ふしぎなアメ グッズ
 自分の「たね」ポケモン1匹から進化する「1進化」の上の「2進化」ポケモンを、手札から1枚選び、その「たね」ポケモンの上にのせて進化させる。
 [最初の自分の番と、この番出したばかりの「たね」ポケモンには使えない。]

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ポケモンカードスーパーレクチャー第五回「特殊状態を扱え」
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/89.html
メンテ

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