初歩的ミス ( No.78 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:56
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 射出された弾丸は……二つ!
弾丸がライチュウLV.Xに衝突するや否や、鼓膜が破れそうな轟音が響き渡る。 「くっ、あぶねえ。首の皮一枚繋がったや……」 もしライチュウLV.XがレベルアップしていなかったらHPは0となっていた。また、スタジアムのナギサシティジムが無ければそれでもライチュウLV.Xは気絶。まさに間一髪。 ドサイドンのハードクラッシュによってトラッシュされた八雲のカードはアンノーンQ、闘エネルギー二枚、ハードマウンテン、ミステリアス・パール。 しかしいずれにせよもう一度アレを食らってしまえばライチュウLV.Xの息の根は止まるもかもしれぬ。 今の俺のバトル場は雷エネルギー三つのライチュウLV.X10/110、ベンチにはネンドール80/80、ピカチュウ10/60、ピカチュウ60/60。スタジアムは前述したとおりナギサシティジム。 向かいにいる八雲のバトル場には闘エネルギーが一枚ついたドサイドンLV.X170/170。しかしベンチにはユクシー70/70のみ。 「俺のターンだ。ベンチにいるピカチュウのポケパワーを発動、エレリサイクル。ピカチュウがピチューから進化している場合自分の番に一回使え、トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加える。もう一匹いるピカチュウもエレリサイクルを使うぜ」 トラッシュを多用する俺のデッキにとって、弾切れは最大の弱点。こうして補給し続けていないと攻めれなくなる。 「ピカチュウ(60/60)に雷エネルギーをつけ、ライチュウLV.Xの雷エネルギーを三つトラッシュして攻撃だ。炸裂玉!」 再び低速の玉がドサイドンLV.Xに襲いかかる。激しい音と光を纏った炸裂玉は、ドサイドンLV.Xに直撃するとより大きな音を放つ。 「よし、なんとか100ダメージ削ってやったぜ」 ドサイドンのHPバーは大きく削られて70/170まで落ち込む。 しかし次のターン、高確率でライチュウLV.Xは倒されてしまう。ライチュウLV.Xの代わりを勤めれるアタッカーがいないので大きなビハインドになるだろう。 「私のターンです。手札からヒポポタス(70/70)をベンチに出してそのヒポポタスにエネルギーをつけます。そしてドサイドンLV.Xのハードクラッシュ攻撃!」 ドサイドンLV.Xが再び両腕を真っすぐ伸ばす。八雲がデッキの上からトラッシュする五枚のカードのうち、一枚でも闘エネルギーがあればライチュウLV.Xはおじゃんとなる。 「っ、南無三!」 当たるなと願ったのはいいが、ドサイドンからは弾丸が一つ発射される。 音に耐えるため両手で耳を塞ぐ。しかし手で妨げる音なんてたかが知れていて、それでも耳をつんづくような音波が発生する。 これでライチュウLV.XのHPは尽きた。 「俺はピカチュウ(10/60)をバトル場に出すぜ」 「私はサイドを一枚引いてターンエンドです」 これでお互いに残りのサイドは四枚ずつ。出来ればサイドうんぬんの前に、八雲の場のポケモンを全て倒しきってしまいたいが……。 「行くぜ、俺はピカチュウのポケパワー、エレリサイクルを発動。トラッシュにある雷エネルギーを一枚手札に加える。もう一匹のピカチュウも同じようにポケパワーを使って合計二枚の雷エネルギーを回収する! そしてバトル場のピカチュウをライチュウ(40/90)に進化させ、ベンチのピカチュウに雷エネルギーをつける!」 「ライチュウにエネルギーは乗ってないのに何を……」 へへっ、と笑って鼻の下を人差し指でなぞる。 「ライチュウでスラッシュ攻撃!」 ライチュウが尻尾を鞭のように器用に扱い、尻尾で鋭い斬撃を起こす。ドサイドンLV.XのHPバーは40/170まで減り、ようやくゴールが見えてきた。 「スラッシュはエネルギーなしで攻撃出来て、しかも30ダメージも与えれる強力なワザだぜ。でも次のターンにこのライチュウはスラッシュを使えないけどな」 「くっ、私の番です。……」 八雲はさっきのドサイドンLV.Xの攻撃で闘エネルギー以外にサイホーンが二枚とドサイドン、不思議なアメの四枚がトラッシュされている。相手の残りデッキも25枚。こっちがデッキ破壊のスキルを持っていればよかったなと思った。 「手札の闘エネルギーをヒポポタスにつけて、ヒポポタスをカバルドンに進化させます」 ベンチにもう一度カバルドン110/110が現れる。折角頑張ってここまで八雲の陣営を削ってきたのに、またまたここでタフなポケモンが現れたか。 「ドサイドンLV.Xでハードクラッシュ!」 「またかよチキショー!」 ドサイドンLV.Xの両腕から再び弾丸が……。 「あれ?」 出なかった。バトルベルトのモニターで何をトラッシュされたか確認する。念のために左手で左耳は塞いでいたが、無用だったようだ。トラッシュされたカードはサイドン、レベルMAX、ワープポイント、ドサイドン、シロナの想い。安心して左耳のガードをはずす。 「なんかしっくり来ないけど俺のターン! これ以上ハードクラッシュを打たれると心臓と鼓膜がもたないや。そろそろドサイドンLV.Xには帰ってもらうぜ」 「……」 あまりにも八雲が冷静すぎて、逆にこっちが冷めてしまいそうになる。いやいや、俺は俺のペースで自分なりに行けばいいんだ。 「ベンチのピカチュウに雷エネルギーをつけ、ポケパワーのエレリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを手札に加える。サポーター、ミズキの検索を使って手札一枚をデッキに戻し、デッキからライチュウを手札に加えてベンチのピカチュウに進化!」 ベンチにもライチュウ90/90が並ぶ。しかしこれでピカチュウのポケパワーは使えなくなってしまった。でもこれだけ手札に雷エネルギーあれば大丈夫だろう。たぶん。 「バトル場のライチュウ(40/90)とベンチのライチュウ(90/90)を入れ替える! ライチュウの逃げるエネルギーは0だから安心して逃げれるぜ。そんでバトル場のライチュウにポケモンの道具、達人の帯を使うぜ」 ライチュウ90/90の頭に鉢巻きのように帯がつけられる。ぽっこりお腹だから腰には巻けなかったようです。 「達人の帯をつけたポケモンはHPと、与えるワザの威力が20アップ。その代わりつけたポケモンが気絶したとき相手は一枚多くサイドを引くことができる」 これでライチュウのHPが110/110へ。 達人の帯は確かに強い。しかしサイドを一枚多く引かせるディスアドバンテージがあるので、この一匹で二匹くらい倒さないとダメなのがネックだ。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。手札を一枚デッキに戻して六枚になるよう、つまり三枚ドロー。ライチュウでスラッシュ攻撃だ」 威力20増しの、50ダメージ攻撃がドサイドンLV.Xを襲う。ようやっとドサイドンLV.XのHPが0となったが、一匹倒すのにここまで手間がかかるとはなかなか。 「私はカバルドンをベンチからバトル場に出します」 「俺はサイドを一枚引いてターンエンドだ」 「行きます、私のターン。サポーターのシロナの想いを発動。前のターンに自分のポケモンが気絶された場合、手札をデッキに全て戻してシャッフルし、八枚ドロー」 八枚ドロー!? たぶん俺が知る限り一番カードを引くサポーターだ。 「闘エネルギーをカバルドンにつけ、カバルドンをレベルアップさせます。そしてカバルドンLV.Xのポケパワーを発動。サンドリセット!」 轟、と音が鳴り始めて砂嵐が巻き起こる。どうしてこいつのポケモンは耳に優しくないのばっかなんだ、カバルドンLV.X130/130を中心に起こる砂嵐のせいで、フィールドも八雲も見づらいったらありゃしない。 しかしこの砂嵐が3Dで本当によかった。あまりにも砂嵐が激しすぎて、本物であったら目が一切開けられない状況だっただろう。 「サンドリセットは対戦中に一回使え、互いの場にあるポケモン、サポーター以外のカードを全てデッキに戻してシャッフルする。先ほどライチュウにつけた達人の帯をデッキに戻してもらいます!」 砂嵐の強風によってライチュウが頭に巻いていた達人の帯が吹き飛ばされて空高く消え去る。そして砂嵐がようやく止んだ。大きな音に慣れ過ぎて、八雲の声が先ほどよりはっきり聞こえない。後で風見に音をどうにかしろとケチをつけないとな。 「カバルドンLV.Xで砂を飲み込む攻撃。その効果で、ダメージを与える前にトラッシュの闘エネルギーを一枚このポケモンにつける。砂を飲み込む攻撃は20に加え、自分についているエネルギーの数かける10ダメージを与える。今、このポケモンに闘エネルギーは四つついているので60ダメージ!」 再び熾烈な攻撃が始まる。帯がなくなってHPが減ったところに、火力の高いワザが飛んでくる。あっという間にライチュウのHPは30/90。 「くそっ、俺のターンだ!」 引いたカードはプレミアボール。まだまだ運は俺に味方してる。 「よし、グッズのプレミアボールを発動だ。デッキかトラッシュのLV.Xポケモンを手札に加える。俺はトラッシュからライチュウLV.Xを手札に加え、バトル場のライチュウにレベルアップさせる!」 しかしそれでもHPは50/110。次の攻撃はとてもじゃないが耐えられない。 「手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして攻撃、ボルテージシュート! ベンチのユクシーに80ダメージだ!」 どこにでも届く紫電が再び八雲の場を荒らす。HPが70/70しかないユクシーもこれで一撃、気絶だ。 「俺はサイドを引いてライチュウLV.Xのポケボディーの連鎖雷の効果でもう一度攻撃する。効果は言わなくても分かるな?」 「しかしそれでもカバルドンLV.Xは倒せませんよ。ボルデージシュートはユクシーでなくカバルドンLV.Xにして、そこから追撃でカバルドンLV.Xを倒すべきでしたね。初歩的なミスです」 「……。ライチュウLV.Xについている雷エネルギーを三つトラッシュして炸裂玉!」 やはり三つトラッシュはかなりのボードアドバンテージを失うが、100ダメージはそれだけの価値がある。これでカバルドンLV.XのHPは30/130だ。 「私のターンの前のポケモンチェックでカバルドンLV.Xのポケボディー、サンドカバーが発動します。このポケモンがバトル場にいる限り、ポケモンチェックの度に相手のポケモンLV.X全員にダメージカウンターを一つずつ乗せる。よってライチュウLV.XのHPを削って行きます」 砂がライチュウLV.Xを足元から襲う。これで40/110。しかし今さら10ダメージ、たかが知れている。 「それでは私のターン、カバルドンLV.Xに闘エネルギーをつけます。そしてカバルドンLV.Xの闘エネルギーを二つトラッシュして、ダブルシュート!」 カバルドンLV.Xの足元の砂から、直方体の砂の塊が現れてそれが俺のベンチへ飛んできた。 「バトル場のポケモンは攻撃しないのか!」 「ダブルシュートは相手のベンチポケモン二匹にそれぞれ40ダメージ与えるワザです」 ベンチのネンドールとライチュウに砂の塊がぶつかり鈍い音を放つ。それぞれHPは40/80と0/90。 「サイドを一枚引いてターンエンド。そしてカバルドンLV.Xのサンドカバーで再びライチュウLV.Xに10ダメージです」 「俺のターン! さっき、俺が初歩的ミスをしたって言ったよな。でもそれは俺じゃなくてお前の方だぜ! ライチュウLV.Xで攻撃、スラッシュ!」 「しまっ……」 「エネルギーを全てトラッシュしたからもうワザが使えないと思ったその根拠のない余裕が命取りだぜ!」 最後のライチュウLV.Xの一撃がカバルドンLV.Xにヒットする。ドスンと重い音を立てて崩れ落ちたカバルドンLV.XのHPは0/130、サイドを一枚引くがもう八雲には戦えるポケモンがいないのでここで勝敗が決まった。 「よっし! ありがとうございました」 「ありがとうございました」 遠くから見ていた翔達に向かって、拳を突き出して親指を立ててニッと笑う。蜂谷も同じように返してくれ、翔や風見はただ頷いてくれた。 勝利を分かち合える仲間がいるのはなかなかいいもんだな!
恭介「今日のキーカードはドサイドンLV.X! 出来ればもう戦いたくないな……。 MAX250を出せるハードクラッシュが脅威だぜ」
ドサイドンLV.X HP170 闘 (DP5) ─ ハードクラッシュ 50× 自分の山札のカードを上から5枚トラッシュし、その中のエネルギーの枚数×50ダメージ。 闘闘無 なげあげる 60 自分のトラッシュの闘エネルギーをすべて、相手プレイヤーに見せてから、山札にもどす。その後、山札を切る。 ─このカードは、バトル場のドサイドンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 雷−20 にげる 4
─── 気合いで本編更新 まだまだPCC編は続きます。 そういえば今年でこの小説が二周年なので何か考えています。 八雲真耶の使用デッキ 「グラウンド・ゼロ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-774.html
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蜂谷語録その1 ( No.79 ) |
- 日時: 2011/01/25 19:08
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- おまけ・ポケカ番外編
「蜂谷語録その1」
とある日の平見高校食堂にて。 翔「よし、いただきます」 恭介「いちいちそんなのやるんだな」 翔「クセだからなぁ。ってか恭介またラーメンかよ」 恭介「またとは失礼な。前回は醤油ラーメンで、今回は味噌ラーメン」 翔「どっちにしろラーメンじゃん」 恭介「同じラーメンでも全然違う! 与党と野党ぐらい違う!」 翔「それは流石に言いすぎ」 恭介「とかいう翔もカレーだろ? ここの食堂のカレーさ、レトルトカレーと同じ味なのに良く食う」 翔「レトルトみたいな安い味が貧乏民の俺にぴったり」 恭介「ふーん……」 翔「おーい、どこ見てんの? ラーメン食わないと伸びるぞ」 恭介「ああ、やっぱり外れ」 翔「ラーメン並んでるときから外れだとか当りだとか言ってるけど何の話?」 恭介「翔、お前蜂谷語録知らねーの?」 翔「はぁ? どうせロクでもなさそうだけど」 恭介「『女は後ろ姿が一番』」 翔「それが蜂谷語録?」 恭介「他には『左後ろから来る女には気をつけろ』」 翔「さっきのはまだ分かるけど今のは全く意味がわからん。で、当り外れってのは」 恭介「後ろ姿が可愛いけど、振り向いて可愛かったら当り、そうでなければ外れ。当り率低し」 翔「ほんとバカだな」 恭介「ほらほら、あの娘みてみ。銀髪のロングヘアーの?」 翔「いや、あれって───」 恭介「さらさらで手入れされてていかにも! 今度こそ当り!」 翔「だから、俺の話聞いてる? あいつは───」 恭介「水を差す気か!」 翔「良く見ろ、あれは拓哉だ」 恭介「え……」 翔「どう見ても下はズボン履いてるだろ、男子であんな目立つ髪形してるから遠目でもすぐ分かる。こっちのテーブル来るかな」 恭介「……(がっくりと肩を落として黙々とラーメンを食う」 拓哉「翔くん、ここ混ぜてもらってもいい?」 翔「もちろん」 拓哉「恭介くんどうかしたの? 機嫌悪そうだけど」 翔「またいつも通りバカしただけだから放っといてやれ」 恭介(くっ、一生の恥……!) 翔(絶対懲りてないな……) 拓哉(なんかあったのかな……)
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ハイレート ( No.80 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:57
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「ドサイドンLV.Xで一気にヤバくなったけどなんとか捲き返したぜ!」
「よくやった」 「よくやったってお前一回戦で負けただろ!」 「それとこれとは別の話だろ!」 「恭介も蜂谷も折角のおめでたムードが台無しだろ」 俺が間に割って二人のじゃれ合いを止める。割と似た者同士な二人なのでこんなのは喧嘩になんか入らない。 「今から俺の出番だから二人仲良く応援してるんだな」 「絶対応援しない」 「翔応援するなら薫ちゃん応援する」 「それがいい」 「なんでそんなときに限って息合うんだ」 一回戦の最終試合は、俺と石川と松野さんの三人が出場する。この三人はそれぞれ別の人と当たるので、順当に行けば二回戦で俺と石川が当たる。 そしてその二回戦のもう一試合には松野さんと能力者の一人である山本信幸が。拓哉(裏)をあっさりと倒してしまう実力の持ち主なので負けるなんてことはないだろうが。 「翔、ボサッとしてないで早く行ってこい」 風見が俺の背中を突きだす。なんだなんだ、今日はやけに皆冷たいな。三人を少し睨んで所定位置へと足を運ぶ。 「よろしくお願いします」 俺の左のフィールドでは石川が。そして俺の向かいでは松野さんが、それぞれ勝負を始めた。……が、俺の対戦相手が一向に出て来ない。 すると困惑した表情のスタッフがこちらへ駆けて来て、対戦相手が見つからないと伝えてくる。 「それってもしかして」 「不戦勝になります」 「……、はあ」 折角の気持ちや意気込みも、塩をかけられてどんどんすぼまっていく。仕方ないので他の二人の応援をすることにしておこう。
「お昼に翔様とご飯食べてるヤツと戦えるなんて運がいいわ、ケチョンケチョンにしてやる!」 「は……?」 いきなり突っ込みどころが満載だ。翔様? なんだこいつ。 自分よりも二十センチは低い身長で当然小柄な少女だ。顔立ちも押さなく、黒く長い髪をピンクのリボンでツインテールにしている。年齢は一つ下のようだ。 「いいこと、この勝負でわたしが勝ったらわたしの翔様に近づかないで」 「い、いきなりなんだよ」 「だーかーらー! わたしが勝ったら石川薫、あんたは翔様に近づかないで! って言ってるのよ」 「なんでそうしなきゃいけないんだ」 「あんたみたいな男みたいなやつを、翔様が好きになるわけないでしょ! だからお邪魔虫はこうやって力づくで排除するの」 「……」 「言ってること分かる?」 「それじゃあもしこっちが勝てばお前は翔に近づかないってことだな」 「っ……、言うわね。ということは条件を飲んだってことでいいかしら」 「ああ」 なんでこんなわけのわからない勝負を引き受けたのだろう。自分でもよくわからないが、少なくともいろいろ馬鹿にされたのが悔しかった。 「そんなことを言ってるんだからもちろん実力はあるんだろうな」 「もちろんよ、さあ勝負! わたしのターンから」 おれのバトル場はラプラス80/80、相手の如月 麻友(きさらぎ まゆ)のバトル場にはグライガー60/60。互いにベンチはガラ空きだ。 「わたしは闘エネルギーをグライガーにつけ、ガーディをベンチに出すわ」 如月の場に新たな小柄ポケモンが現れる。しかし、そのガーディはHP70/70。進化するたねポケモンにしては割と高めのHP。 「グライガーでラプラスに攻撃。え〜い、ライトポイズン!」 一つ一つが可愛らしい挙動で、カードの配置の仕方も、ワザの指示も、そしてライトポイズンのエフェクトで行うコイントスを行っていく。なんだか浮ついた気持ちになっていて真剣になれないような気がする。 「表ね。ライトポイズンはコイントスが表じゃないとワザが発動しないからよかったわ。それじゃあ今度こそ攻撃よ!」 グライガーは尻尾をバネにしてラプラスへと飛びかかり、そのまま尻尾をチクリとラプラスに突き刺す。HPバーが僅かに10だけ減り、数値の隣に毒のマークがついたところでラプラスから飛び離れる。 「10ダメージと毒ダメージよ。逃げるエネルギーが多くて進化しないラプラスにとっては痛手よね? わたしのターンエンドと同時にポケモンチェック。毒のラプラスは10ダメージ受けてもらうわ」 これであっという間に60/80。グライガーと並んでしまった。 「行くぞ、おれのターン。手札からグッズカード、ひみつのコハク、こうらの化石を使ってそれぞれをベンチに置く。この二枚は手札やデッキにあるときはトレーナーだが、無色タイプのたねポケモンとして場に出すことができる」 ラプラスの後ろに石ころとほぼ同然な化石が二つ現れる。各々HPは50/50。 「化石ね」 「水エネルギーをラプラスにつけ、ラプラスの運びこむ。デッキからポケモンのどうぐ、サポーター、基本エネルギーを手札に加える。おれは達人の帯、化石発掘員、闘エネルギーを加えてターンエンド」 そしてポケモンチェック。毒のダメージを受けたラプラスのHPは50/80と落ち込む。相手のグライガーに劣ってしまう結果になったが、まだまだ。そんなすぐにやられはしないはず。 「わたしのターン。手札から闘エネルギーをグライガーにつけて、グライオンに進化させる!」 グライガーの体が一回りも大きくなり、グライオンが姿を見せる。しかしHPは80/80。決して高いとは言えない数値だ。 「そしてぇ、ベンチに新しいグライガーを出すわ。そしてサポーター、ハマナのリサーチを発動。デッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで手札に加えれる効果によって、リオルとユクシーを手札に加える。わたしはリオルをベンチに出してユクシーもベンチに出すわ。このときユクシーのポケパワーのセットアップを発動。手札が七枚になるようにデッキからカードを引くわ」 このターンであれよあれよと如月のベンチが埋まる。先のターンに出たガーディに加え、グライガー60/60、リオル60/60、ユクシー70/70で空きスペースはもう一枠しかない。しかも減った手札をユクシーのセットアップで補充。今の如月の手札は一枚なので六枚も引くことになる。 「グライオン、ラプラスをやっちゃいなさい! 追撃!」 びしっ、と如月がラプラスに向けて指をさすと、それに合わせるかのようにグライオンがラプラスにキバを使って噛みついてくる。そして、重たいハサミの一撃もラプラスに加わる。 「追撃は相手が状態異常だと、威力が40も上がるの。元の威力は40だから、80ダメージ。イチコロよ」 舌をちょろっと出して笑う如月。しかしこっちは一切笑えない。思っていたよりも強い。 「くっ……。おれはこうらの化石をバトル場に出す」 「そんな石ころで何が出来るのかしら。サイドを一枚引いてターンエンドよ」 「おれのターン! 手札の闘エネルギーをこうらの化石につける。この瞬間でこうらの化石のポケボディー、ロックリアクションが誘発!」 「化石なのにポケボディー……」 「ロックリアクションはこのカードに闘エネルギーをつけたときに発動され、デッキからカブトを一枚選んでこうらの化石の上に重ね、進化させる!」 化石の内側から光が発せられ、表面の砂や石がはがれて中からカブト80/80が現れる。余談だが、カブトは化石から進化しているので扱いはたねポケモンではなく一進化ポケモンである。 「ヤジロン(50/50)をベンチに出し、サポーターの化石発掘員を発動。デッキから化石またはそれから進化するカードを一枚手札に加える。おれはプテラを手札に! そしてひみつのコハクの上に重ねて進化させる」 コハクも先ほどと同じエフェクトがかかって中からプテラが現れる。ようやく自陣に現れた大きめのポケモンは、登場するや否やけたたましい雄たけびを上げる。 「プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからかいの化石、こうらの化石、ひみつのコハクのうち一枚を手札に加える。おれはかいの化石を選択」 プテラが空中から地面に向かって急降下し、立派な足でガッチリとかいの化石をつかみ取る。 「そして加えたばかりのかいの化石をベンチに出し、カブトに達人の帯をつける」 また新たな化石50/50がベンチに現れる。如月のように四匹までとはいかないが、こちらもベンチに三匹揃える。そしてカブトに達人の帯をつけたことで、HPとワザの威力が20ずつ上昇して100/100。しかしこのカブトが気絶したとき、相手は二枚サイドを引ける。 「カブトのワザ、進化促成を発動。デッキから進化ポケモン二匹を手札に加える。おれはカブトプスとオムスターを加えてターンエンド」 「わたしのターン、リオルに闘エネルギーをつけてグッズカードのプレミアムボールを発動よ! デッキからグライオンLV.Xを手札に加えるわ」 プレミアムボールはデッキまたはトラッシュからLV.Xをサーチするカード。サーチ手段が限られているLV.Xの数少ないそれである。 「そしてグライオンをレベルアップさせ、その時にグライオンLV.Xのポケパワーを発動させるわよ。スピットポイズンッ!」 グライオンLV.X110/110がレベルアップするや否やカブトに噛みついてくる。ダメージはないものの、カブトは毒とマヒの二つの状態異常を負ってしまう。 「スピットポイズンはレベルアップしたときのみ使えるポケパワーで、相手のバトルポケモンを毒とマヒにさせるのよ。これであんたは思うどおりに動けない!」 マヒになっているポケモンは、ワザを使う事も逃げることも出来ない。その上毒でHPを奪われていく。本当に思い通りにはできない。 「そしてグライオンLV.Xで攻撃よ。追撃!」 あっという間にHPが20/100へ。しかも、ポケモンチェックで毒のダメージを受けて更に10ダメージ。これで残り10! 「さああんたのターンよ。もっとも逃げることもワザも出来ないから何もできずにターンを終えて、毒のダメージでカブトは気絶ね」 「おれのターン。おれがカブトプスを手札にしていたことを忘れていたか? カブトをカブトプスに進化させることによって、状態異常は全て回復する!」 カブトプス60/150に進化することによって状態異常はこれで回復、毒はもちろん麻痺に悩むこともない。 「そしてプテラのポケパワー、発掘によってデッキからひみつのコハクを手札に加え、ベンチにこうらの化石50/50を出してかいの化石に水エネルギーをつけることによってポケボディーのアクアリアクションが発動する」 これもこうらの化石と同様に、水エネルギーをつけることでデッキからオムナイト80/80を一枚選び出してかいの化石に重ね進化させる。 「カブトプスで攻撃、原始のカマ! 手札のひみつのコハクをトラッシュして攻撃」 原始のカマの威力は20だが、手札のかいまたはこうらの化石、ひみつのコハクを手札からトラッシュすると50足される闘エネルギー一つで使える大技であり、達人の帯の効果で更に20追加。合計90ダメージとなる。 カブトプスが乱暴に切りつけたカマの一撃によってグライオンLV.XのHPは20/110。次のターンは手札の化石類をトラッシュしなくても倒せる! 「今の攻撃で倒せなかったのが運のツキねぇ。わたしのターン。リオルに闘エネルギーをつけてルカリオ(90/90)に進化させるわよ!」 運のツキ……? その意味がイマイチ分からない。 「スタジアム、ハードマウンテンを使用するわ。このカードの効果は自分のターンに一度、自分のポケモンの炎または闘エネルギーを一個選んで自分の炎または闘ポケモンにつけかえる効果。グライオンLV.Xの闘エネルギーをベンチのグライガーに移すわ」 っ!? グライオンLV.Xは闘エネルギー二つで相手に60ダメージを与えるワザ、辻斬りを持っているのだがそれで攻撃すればカブトプス60/150を気絶させることが出来る。 しかもカブトプスは達人の帯をつけているのだから如月はサイドを二枚引け、これでサイドの差が三枚とかなりのアドバンテージを稼げるはず。行動の意図が分からない。 「グライオンLV.X、やっちゃって! バーニングポイズン!」 グライオンLV.Xはカブトプスに噛みつく。ダメージはないが、カブトプスは毒になっていた。 「バーニングポイズンは相手を毒か火傷のどちらかにするワザ。わたしは毒を選択したわ。そしてこのワザの発動後、任意でグライオンLV.X自身とそれについているすべてのカードを手札に戻す。それで新たにユクシーを出すわよ」 ポケモンチェックで毒のダメージを受け、カブトプスのHPは50/150。一撃食らうと倒れかけないギリギリのボーダーへ。 しかし一見残りHPが減っているグライオンLV.Xを手札に戻すのは良い手に見える。何せレベルアップしたときに使えるポケパワーもあるのだ。だがそれが悪手だということを教えてやる……!
石川「今回のキーカードはグライオンLV.X。 相手を毒とマヒにするポケパワーは強烈! ワザも使い勝手がいいぞ」
グライオンLV.X HP110 闘 (DP5) ポケパワー スピットポイズン 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。相手のバトルポケモン1匹をどくとマヒにする。 闘無 つじぎり 60 のぞむなら、自分を自分のベンチポケモンと入れ替えてよい。 ─このカードは、バトル場のグライオンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 闘−20 にげる 0
─── 当初の毎週更新は絶望的です。 今年中にPCC編終われるかどうかも。
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ギガントパワー ( No.81 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:58
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 奥村翔くんが不戦勝で勝ち上がり、他の二試合が試合を始めた最中こちらも戦いが始まろうとしていた。
これは勝たなければいけない試合。既に光が閉ざされつつあるポケモンカードの命運を分かつ事件。能力者……。忌々しいことこの上ない。 当然、理論も分からない。能力とは一体なんなのか? なぜポケモンカードに破れると能力が失われるのか? 初めて能力が見つかった日からほぼ半年。この疑問だけは常に胸の中にあった。 とにかくここで勝てば、二回戦に能力者の一人である山本信幸と対戦することになる。今現在分かっている能力者で一番危険な力を持つ男だ。他の人をこれ以上犠牲にさせないため、この一回戦はしっかり勝たないと。 一回戦の相手は桃川 めぐみ(ももかわ めぐみ)。過去の大会やイベントでも何度か見たことがある。いつも着ている服がメイド服という変わった人なので目立ちやすい。 直接対戦したことはないが、いつもそれなりの成績を残しているため実力はあるのだろう。そして現に決勝トーナメントまで勝ち抜いている。油断はもちろん、勝ち急ぎもしないようにしなくては。 「お願いします」 先攻は桃川めぐみ。最初のバトルポケモンはイーブイ60/60のみ。私のバトルポケモンはレジギガス100/100、ベンチにはレジスチル90/90。 相手のポケモンが小型でこちらが大型なだけに、威圧感が凄いことになっている。 「私の番です。イーブイに悪エネルギーをつけてワザを使います。仲間を呼ぶ」 イーブイが可愛らしく鳴き声をあげると、どこからかベンチに他のイーブイ60/60が三匹現れる。 仲間を呼ぶは、自分のデッキのイーブイを好きなだけベンチに出せるワザ。あっという間に展開してきたのは流石だと言うべきだろう。 「私のターン。手札の水エネルギーをレジギガスにつけてサポーター、ハマナのリサーチを発動。その効果でデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで加えるわ。私はレジアイス、レジロックを手札に加えてそれぞれベンチに出すわよ」 ベンチにレジアイス90/90とレジロック90/90が現れると、レジギガスの体にある橙、青、鈍色の点が光を放つ。 「レジギガスは、ポケボディーのレジフォームの効果で場にレジロック、レジアイス、レジスチルの三匹がいるときワザエネルギーが無色一個ぶんだけ減少するわ。さあ、レジギガスの攻撃よ。メガトンパンチ!」 大きな拳がゆっくりとした動作で、だがしかし威力は十分なそれが小さなイーブイを殴りつける。まるで投げられたかのように放物線を描いてイーブイが飛んでいく。メガトンパンチは追加効果なしの30ダメージのワザ。後攻一ターン目で30はなかなか価値を持つ。 「さあ、貴女のターンよ」 「行きます! 私はバトル場のイーブイをブラッキーに。そしてベンチのイーブイをグレイシア、エーフィに進化させます! そしてベンチにヤジロンを」 彼女の場があっという間にがらりと変わる。バトル場はブラッキー50/80、ベンチはエーフィ80/80にグレイシア80/80とイーブイ60/60、ヤジロン50/50。しかも、それだけではない。 「サンライドヴェールね……」 「そうです。エーフィのポケボディー、サンライドヴェールはイーブイから進化するポケモンのHPを20ずつアップさせるもの。そしてブラッキーのムーンライトヴェールはイーブイから進化するポケモンの弱点と逃げるエネルギーを0にさせます」 正確にはブラッキーのHPは70/100、そしてエーフィとグレイシアは100/100だ。どれも一撃で倒すのは難しいHP。 「ブラッキーを逃がし、グレイシアをバトル場に出してグレイシアに水エネルギーをつけます。そして攻撃、雪隠れ!」 グレイシアを中心に強い雪風が舞い起こり、雪に襲われたレジギガスのHPが70/100まで下がる。このワザで厄介なのは水エネルギー一個だけで30ダメージを与えれる威力ではなく、その効果。 「雪隠れの効果でコイントスをします。……オモテ! よって次のターンにこのグレイシアは相手のワザのダメージや効果を受けません。ターンエンド」 「そうねえ。私のターン。雪隠れによってワザを受け付けないのはそのグレイシアだけならば除けてしまえばいいだけよ。行くわよ、手札のポケブロアー+を二枚発動。このカードは二枚同時に使用したとき相手のバトルポケモンとベンチポケモン一匹と強制的に入れ替える! イーブイを場に出してもらうわ。更にスージーの抽選を使うわよ」 スージーの抽選は手札を一枚または二枚捨ててデッキからカードをドローするサポーターだ。手札のバトルサーチャーと闘エネルギーの二枚をトラッシュして四枚ドローする。 「レジギガスに闘エネルギーをつけ、ベンチにユクシーを出すわ。そしてユクシー(70/70)をベンチに出した時にポケパワーのセットアップを発動。デッキからカードを四枚引くわよ」 セットアップはベンチに出した時のみに使えるポケパワーであり、手札が七枚になるようドロー出来るモノだ。今の手札は三枚なので四枚引けるという訳。 「さて、行くわよ。メガトンパンチ!」 再びレジギガスの激しいパンチがイーブイを襲う。これでHPは30/60。イーブイは当然イーブイから進化したポケモンではないのでブラッキーやエーフィのポケボディーの恩恵を受けることができない。次のターン、イーブイはエネルギーを一つつけないと逃げることはもちろんできない。 「私の番ですね。ミズキの検索を発動して手札を一枚戻し、デッキからネンドール(80/80)を加えてヤジロンを進化させます。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動!」 コスモパワーはポケモンカードの中でユクシーのセットアップに並ぶトップクラスのドローエンジン。手札を一枚か二枚デッキの底に戻してデッキから六枚になるようにドローするそれは、手札の不要なカードを処理しつつドローできるという超強力なものだ。実際に桃川は二枚戻して手札は0枚、そして六枚ドローした。 「私はバトル場のイーブイをグレイシアに進化させます」 グレイシアのHPはエーフィのサンライドヴェールの効果を含めて70/100。これで彼女の場は全て進化ポケモンで埋まった。たねポケモンは一匹もいない。 「そしてバトル場とベンチのグレイシアを入れ替え、新たにバトル場に出たグレイシアに水エネルギーをつけて攻撃します。雪隠れ!」 コイントスは再びオモテ。また攻撃が通用しなくなる。レジギガスのHPは40/100とやや余裕がなくなりつつある上、攻撃への道筋が塞がってしまいる。 「私のターン。ここは凌ぐしかないわね、手札からスタジアムカード、キッサキ神殿を発動!」 周囲が一気に雪景色に変わり、私の背後にゲームと同じように大きなキッサキ神殿が構える。 「キッサキ神殿がある限り、互いの進化していないポケモンの最大HPは20ずつ上がる。よって、レジギガスは60/120、ベンチのレジスチル、レジアイス、レジロックは110/110、ユクシーは90/90になるわ」 進化ポケモンしかいない彼女の場を逆手に取ったカードだ。 「手札のカードを二枚トラッシュしてレジロックのレジサイクルを発動。このポケパワーは自分のトラッシュに闘エネルギーがあるときに使え、手札を二枚トラッシュすることでその闘エネルギーをこのポケモンにつけることができるようになるわ」 「闘エネルギーなんていつ……?」 「前のターン、スージーの抽選を発動したときのコストであらかじめ送っていたのよ」 手札の鋼エネルギーと水エネルギーをトラッシュすると、ベンチにいるレジロックの点字が全て橙色に光りだして足元から闘のシンボルマークが出現。それはレジロックの体に直接吸収される。 「そしてバトル場のレジギガスをレベルアップさせるわ」 レジギガスLV.Xが大きく雄たけびを上げる。元からの巨大さもあってかなりの迫力だ。HPもレベルアップ前から50も上がり、110/170との大台に到達。進化しないポケモンでもLV.Xとはいえこんな高いHPになるのは滅多である。 「ここからよ。レジギガスLV.Xのポケパワーを発動。サクリファイス!」 相手のグレイシアを睨んでいたレジギガスが振り返り、私のベンチポケモン達を睨む。そして大きな足音を立てながらベンチポケモン、レジスチルの元に近づいて行く。すると自分の背の半分ほどあるレジスチルを大きな右手で掴むとそのまま持ち上げ、握り潰してしまう。 「サクリファイスは自分の番に一回使え、自分のポケモンを一匹気絶させる! もちろん貴女はサイドを一枚引いていいわよ」 「自ら気絶させるなんて……」 この勝負で先にサイドを引いたのは桃川。しかしサクリファイスはただ気絶させて相手にサイドを引かすだけではない。 「そしてレジギガスLV.Xにトラッシュの基本エネルギーを二枚つけてダメージカウンターを八個取り除く! トラッシュにはさっきのレジサイクルでトラッシュしておいた鋼と水エネルギーが。それをつけるわ。そしてレジスチルが場を離れたことでポケボディーのレジフォームは効果を失う」 一気にレジギガスLV.XのHPがMAXの170/170。このタフさを削り取れるカードはそうそうない。 「ただ、雪隠れの効果でレジギガスLV.Xは攻撃しても意味がないわね。ターンエンド」 「私の番です。バトル場のグレイシアをレベルアップさせて水エネルギーをつけます!」 グレイシアもレベルアップしてHPを120/120にのばしてきた。 「これであなたのポケパワーを封じれますね」 そう。グレイシアのポケボディー、凍てつく吹雪はグレイシアLV.Xがバトル場にいる限り相手のポケモン全員のポケパワーを封じるものだ。ポケパワーを主体としているこちらを妨げる絶好のポケボディー。 「そしてグレイシアで攻撃、雪雪崩! ワザの効果でコイントスをします。……オモテ!」 雪雪崩は70ダメージに加えてコイントスをしてオモテならベンチポケモン全員に20ダメージを与えるワザだ。 グレイシアの背後からポケモンバトルレボリューションの波乗りのような感じで多量の雪がこちらの陣営めがけて襲ってくる。しかし目の前で大きな雪の波が襲ってくるのを見ると結構迫力がある。思わず右腕で顔をカバーする。 「きゃっ」 雪崩の波がこちらのポケモンを飲み込もうと、ずしんと重い音が響くと凄い風が吹きすさぶ。バトルベルトは実際の衝撃はないが、それっぽさを出すためワザのエフェクトに被せて風を噴き出す仕組みがある。 これでレジギガスLV.X100/170、レジアイス、レジロックは90/110、ユクシーは70/90。合計130ダメージだ。 「それじゃあ今度は私のターンね。手札の鋼エネルギーをレジロックにつけてさらにレジギガスLV.Xに達人の帯をつけるわ」 他の選手も使ってるから効果はお馴染みだがもう一度説明しておく。達人の帯はつけたポケモンのHPを20上げ、ワザの威力も20上げるポケモンの道具。しかしデメリットとして達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合は相手はサイドを一枚多く引くのだ。ただでさえとてもつもなく高いHPを誇るレジギガスLV.Xが、120/190へ。これでちょっとやそっとじゃびくともしない。 「雪隠れの効果が切れた今、精一杯攻撃出来るわ。ギガブラスター!」 レジギガスLV.Xが右手を後ろに下げると、右手の手のひらいっぱいにオレンジ色のエネルギー球体が現れる。レジギガスLV.Xは思いっきり右手を前に突きだすと、グレイシアLV.Xを包み込むほどのとても太いレーザー光線が発射された。地面を跳ね返ったレーザーの一部が相手の手札とデッキポケットをも射る。 「ギガブラスターの効果で、あなたのデッキの一番上と手札を一枚トラッシュしてもらうわ」 手札からは夜のメンテナンス、デッキからはクロツグの貢献がトラッシュに送られた。 そしてギガブラスターは元の威力が100、達人の帯で20足されて与えるダメージは120。レーザーによる猛攻を受けて吹っ飛ばされたグレイシアLV.XのHPはあっという間に0。 このワザはかなりの大技であるため次のターンにギガブラスターを撃つことができない。レーザーを打ち切ったレジギガスLV.Xは右膝を地につけて片膝座りになっている。 「これでポケパワー封じもおしまいね。サイドを一枚引いてターンエンドよ」 新たにバトル場に出てきたグレイシア70/100程度じゃこのレジギガスLV.Xの勢いは止められない。さあ、一気に行くわよ!
松野「今日のキーカードはグレイシアLV.X そのポケボディー、凍てつく吹雪は ポケパワー中心に組み立てているデッキを凍らすモノね」
グレイシアLV.X HP100 水 (DP4) ポケボディー いてつくふぶき このポケモンがバトル場にいるかぎり、相手のポケモン全員は、ポケパワーを使えない。 水水無 ゆきなだれ 70 コインを1回投げオモテなら、相手のベンチポケモン全員にも、それぞれ20ダメージ。 ─このカードは、バトル場のグレイシアに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 鋼+30 抵抗力 ─ にげる 1
─── あらかじめ言っておきますが、来週は(イナイレ3をやりこむために)更新は98%無理です。 ところで気長wikiに一年目の年表があるんですが知ってましたか? http://www15.atwiki.jp/kinaga/pages/65.html
カードテキストを間違えて理解していたため対戦パートの一部訂正をしておきました。
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ライバル! ( No.83 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:59
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「おれのターン!」
今のおれの場は闘エネルギーと達人の帯をつけたカブトプス50/150。ベンチにはプテラ80/80とヤジロン50/50とこうらの化石50/50に水エネルギー一つのオムナイト80/80。 それに対して如月のバトル場はユクシー70/70。ベンチにいるポケモンは闘エネルギー一つ乗っているグライガー60/60と闘二つのルカリオ90/90、そしてガーディ70/70だ。スタジアムは今ハードマウンテンが発動している。 「手札の闘エネルギーをこうらの化石につけることでロックリアクションが発動される。こうらの化石をカブト(80/80)に進化!」 ロックリアクションは自分の番に手札から闘エネルギーを出してこのこうらの化石につけたとき、自分のデッキからこのポケモンから進化する進化カードを一枚選んでこのカードの上に乗せて進化させる便利なポケボディー。手札にカブトが無くても使える分、デッキ圧縮にもなって良いアドバンテージとなる。 「さらにヤジロン、オムナイトもネンドールとオムスターに進化させる」 これで俺のベンチのポケモンが徐々に戦闘体勢になりつつある。オムスター120/120はカブトプスに次ぐこのデッキのキーカードだ。そしてネンドール80/80は強力なドローソース! 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。手札を二枚戻してデッキから六枚になるように、つまり六枚ドロー!」 デッキポケットに表記されている残りのデッキ枚数を確認すると残り二十八枚。デッキ切れには気をつけたいものだ。 「プテラのポケパワーの発掘を発動。デッキから化石カードを一枚手札に加える。おれが加えるのはひみつのコハクだ。更に化石発掘員を使用してトラッシュのひみつのコハクを手札に加える」 化石発掘員はデッキかトラッシュにある化石と名のつくトレーナーか、化石から進化するポケモンを一枚選んで手札に加えるサポーターだ。化石をトラッシュしながら攻めるカブトプスとは相性がいい。 「そして手札のひみつのコハクをトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 カブトプスの鋭い両腕のカマがユクシーを切り裂く。このワザの元の威力は20だが、手札の化石カードをトラッシュすることで威力を50上げる。更に達人の帯の効果を含めて20+50+20の合計90ダメージ。HPが70しかないユクシーは即気絶だ。 「やるわね。わたしはルカリオをバトル場に出すわ」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「わたしのターン! ルカリオに闘エネルギーをつけて、ベンチのグライガーをグライオン(80/80)に進化。そして新たにグライガー(60/60)をベンチに出すわよっ」 ここまで激しい手札消費をしたのにまだ七枚も残っている。手札にはまだグライオンLV.Xがいるのは分かっているが、いったい何が来るか。 「へへーん。ルカリオもレベルアップさせるわ! そして見極めを発動!」 見極めはルカリオLV.X110/110がレベルアップした時に使えるポケパワー。このカードを手札から出してレベルアップさせたときのみ一度使えて次の相手の番に相手のワザのダメージや効果を受け付けなくするものだ。さっきの逃げたグライオンLV.Xといい小癪な真似をする。 「ルカリオLV.Xでインファイト!」 ルカリオLV.Xは軽い身のこなしでカブトプスに近づき、手や足、体全体を使ってカブトプスに激しい物理攻撃の連打を見舞いする。80ダメージを受けてカブトプスはそのまま気絶する。おれの次のポケモンは……オムスターだな。 「インファイトを使った次のターン、このルカリオLV.Xが受けるダメージは+30されるけどもまあどうせダメージ受けないしいいわ。達人の帯の効果でサイドを二枚引いてターンエンドよ」 「おれのターン! ダメージを受けないのはそのルカリオLV.Xだけ。だったらワープポイントを使えばそれでいい!」 開いたサイドの差は力で押し縮める! ワープポイントは互いのバトルポケモンをそれぞれのベンチポケモンと入れ替えるもの。これでルカリオLV.Xの見極めの効果は無視してターンを行える。 おれはオムスターとカブトを入れ替え、如月はルカリオLV.Xとグライオンを入れ替えてきた。 なるほど分かりやすい。カブトプスでいくら攻撃してもこのターンで出せる火力は(達人の帯を考慮しなければ)70であってグライオンの80/80を削ることはできない。そして次のターンにバーニングポイズンで逃げるということか。 「おれはバクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚ドローする。そしてカブトに闘エネルギーをつけてカブトプス(130/130)に進化させる。プテラの発掘を使ってデッキからかいの化石を手札に加える!」 御膳立ては整った。 「手札のかいの化石をトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 「残念だけど、いくら手札の化石カードをトラッシュして原始のカマの威力を50上げたところで70ダメージ。グライオンのHPはギリギリ10残るわよ」 「バクのトレーニングがバトル場の隣にあるとき、このターン自分のポケモンが相手のバトルポケモンに与えるダメージは+10される」 「嘘っ!?」 カブトプスの鋭い一撃がグライオンを仕留める。これでグライオンLV.Xのループは一旦止まった。如月は再びルカリオLV.Xをバトル場に繰り出す。 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 しかしこれでもサイド差は一枚不利。こうなれば相手の戦えるポケモンを封じ込めてひたすら攻めきるしかないか……。 ん? 如月が拳を作ってうつむいている。どうやら体も少し震えているようだ。 「絶対こんなやつに負けたくない……。わたしなんて頑張って頑張って可愛く見てもらえるように必死になってるのに、あんたより絶対私の方が可愛いのに! たまたま大会で戦ってその後偶然遭ったからってだけで大した苦労もしないで、それなのにわたしよりも翔様の近くにいるなんて許せない!」 「……」 急に飛び出た本音に気圧されてしまう。しかしなんでおれと翔が再会したことまで知ってんだ。 「わたしはあんたのような男みたいなやつには絶対負けたくない! あんたなんて翔様とは不釣り合いよ!」 流石にこの言葉には衝撃を、というかショックのようなものを受けた。 確かに言う通りかもしれない。自分なんかじゃ確かに不釣り合いかもしれない……。 「行くわよ! わたしのターン! 手札からミズキの検索を発動。このカードの効果によって手札を一枚デッキに戻し、デッキから好きなポケモンを選択して手札に加えることができるわ。わたしはウインディを手札に加えてベンチのガーディに進化させる! そしてウインディに炎エネルギーをつけるわ」 ウインディ100/100にはフレアコンディションというポケボディーがある。このポケボディーは炎エネルギーがこのウインディについているなら、ウインディの弱点は無くなるというものだ。 「更にベンチにロコンを出すわよ」 ベンチにロコン60/60が現れると、一気に如月の場の炎ポケモンの比率が上がる。グライオンLV.Xによるヒットアンドアウェイが通じないとわかったからの戦法転換か。 「40、80。ちょっと足りないわね。ルカリオLV.Xでインファイト!」 如月のさっきまでの可愛らしげな様子から一変して、猛る獣のような雰囲気を受けれる。つまり、勝ちたいのだ。 この大会に優勝したいのではなく、この試合に。 ルカリオLV.Xは命じられた通り一瞬で間合いを詰めて拳や蹴を含めた多連段攻撃をカブトプスにぶつける。80ダメージの威力を受けたカブトプスのHPは50/130。次のインファイトは喰らうとおしまいだ。 「ターンエンドよ」 「……」 気持ちは揺らいでいた。確かに翔は好きだ。だからこそ幸せになって欲しい。おれが勝ったところで本当に翔は喜ぶのだろうか。 「なーに弱気になってんのよ! それでもあんたはわたしのライバルなの?」 「ライバル……」 「ライバルよライバル。あんたとわたしはライバルよ。もしかしてわたしがさっき言ったこと気にしてるの?」 「……うん」 そういえば如月は年下だったなと今さら関係ないことを思い出す。 「これからがあるじゃない! あんたがそのことで気にかけるならこれからなんとかしていけばいいの。可愛くなりたいとかそんなこと思えれば今はそれでいいじゃない。もちろん、わたしに勝ってからだけどね」 背丈も差があるはずなのに、年上に説教された気になった。が、嫌だとはまったく思わなかった。むしろこんな自分にここまで声をかけてくれただけでもうれしい。そう、これからだよね。 『薫、もし父さんが何かあったら俺のでっかい化石を掘る夢を頼むな』 小さい頃から父さんがよく言っていたことだった。そんな憧れの父の背を見て成長していた自分は小学校のころから今のような感じでオトコオンナと言われることもあったが別段気にはしていなかった。父の夢を追おうとするのに一生懸命だったからそんなことは別段どうでもよかった。 しかし、そんな父とは対照的に母はこう言った。 『薫は自分がやりたいと思ったことをやりなさい。お父さんの言う事は……、まあそんなに心に受けないで自分で決めなさい?』 今分かった。自分がやりたいことが。 「お、お……」 「お?」 「わ、あ、あたしのターン!」 不安ながらも如月を見ると、そこには僅かながらも笑顔のようなものが見受けられた。 「あ、あたしはオムスターに水エネルギーをつけて、プテラの発掘でデッキからこうらの化石を加える……わ」 インファイトを使ったルカリオLV.Xは、その反動としてこのターンに受けるダメージが+30されるデメリットを抱えている。そこをうまく突きたいのだが、これもまたさっきのグライオンと同じ。 「いくらインファイトで弱ってるからって、原始のカマしても10余るわよ? 流石にさっきと同じ展開にそうそう上手く行くわけないわよね」 「サポーター、化石発掘員を発動。このカードの効果によってデッキまたはトラッシュから化石カードまたは化石カードから進化するポケモンを手札に加えれる。あ……あたしが加えるのはトラッシュにあるカブトプス!」 残念ながら如月の思惑通りになるもバクのトレーニングは手札にない。そして達人の帯も。自分のデッキの中で打点を強化するこの二枚が手元にない。だったらとりあえずダメージを与えることが先決。 「手札のひみつのコハクをトラッシュして原始のカマ!」 元の威力20にひみつのコハクをトラッシュして+50。更にインファイントの効果でダメージは+30加わり100ダメージ。インファイトの反動で片膝を立てているルカリオLV.Xはカブトプスの攻撃を受けて倒れこむ。うんしょと体全体を使って立ち上がるもののHPは10/110。 ここまでいけばダメージを少しでも与えれたなら倒せる! まだ如月のベンチは戦える準備が不完全だったのでこのターンのうちに仕留めておきたかったがそこまではいかなかったようだ。 「さあ、わたしのターン! 手札のサポーター、ライバルを使うわ。デッキの上から五枚をめくって相手に見せ、相手はその中から三枚選ぶ。その選んだカードがわたしの手札に加えられる!」 「ライバル……」 「良い響きよね? さあ、選んで頂戴」 相手のバトルテーブルの情報がこちらのバトルテーブルに転送される。タッチパネル形式でモニタを確認する。如月のデッキは上からハードマウンテン、キュウコン、炎エネルギー、闘エネルギー、バトルサーチャー。 キュウコンは相手のアドバンテージになるから余り手札に加えさせたくない。そしてエネルギーも同じく。だがどちらかを選ばざるを得ない。 「じゃあ闘エネルギー、ハードマウンテン、バトルサーチャーを」 「それじゃあ早速グッズカードのバトルサーチャーを発動するわ。トラッシュのサポーターを手札に一枚加える。わたしはミズキの検索を手札に戻すわ。早速もらったばかりの闘エネルギーをウインディにつけて、ベンチのロコンをキュウコンに進化させるね」 手札にもキュウコンがいたのか! それじゃあさっきわざわざキュウコンを避けて三枚選んだ意味はない。むしろエネルギーを与えてしまっただけだったようだ。 キュウコン80/80は色化けという変わったポケパワーがある。相手のポケモン一匹と同じタイプになるというものだが、それがどう絡んでくるか。 「ルカリオLV.Xのインファイト!」 ルカリオLV.Xの他のワザでは威力が最大40まで。こちらもインファイトでしか倒せない歯がゆい状況だ。なぜ歯がゆいかというと、ルカリオLV.Xの他のワザはエネルギーが二つ以下。どうせ次のターンにルカリオLV.Xは気絶させられてしまうだろうから、その前にハードマウンテンの効果で今着いているエネルギーをベンチのウインディなどにつけかえた方が間違いなく勝手がいい。 しかしエネルギー三つを要するインファイトを使わなければカブトプスを倒すことができないというわけだ。 二撃目のインファイトを食らったカブトプスはもう立ち上がることができない。ベンチには次のカブトプスがまだいないのでここはオムスターで勝負だ。 「サイドを一枚引いてターンエンド。さあこっからが勝負よ!」
石川「今回のキーカードはルカリオLV.X。 見極めはレベルアップしたターンしか使えないけど、 相手のワザのダメージでなく効果もかわす強力なポケパワー!」
ルカリオLV.X HP110 闘 (DP2) ポケパワー みきわめ 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。次の相手の番、このポケモンはワザによるダメージや効果を受けない。(このポケモンがバトル場を離れたなら、この効果は無くなる。) 闘闘無 インファイト 80 次の相手の番、自分が受けるワザによるダメージは「+30」される。 ─このカードは、バトル場のルカリオに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 超×2 抵抗力 − にげる 1
─── 夏だ夏だ、投稿だ! とほざいてる期末考査期間中のわたしです。 ぶっちゃけ夏を越すと投稿率がググッと下がりそうなのでいまのうちに貯めようかと考えてます。
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機転 ( No.84 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:59
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「私の番です!」
桃川めぐみのバトル場はグレイシア70/100。ベンチには悪エネルギー一つついたブラッキー70/100とエーフィ100/100、ネンドール80/80が控えている。 その一方で私の場は達人の帯と水エネルギー二枚、鋼と闘エネルギーが一枚ずつついているレジギガスLV.X120/190。そしてベンチにはレジアイス90/110、闘エネルギー一枚と鋼エネルギーが一枚ついたレジロック90/110、ユクシー70/90がいる。 私の場のポケモンのHPの高さからも予想できるでしょうけど、スタジアムはたねポケモンのHPを20上げるキッサキ神殿が発動している。 サイドは共に五枚だが、どちらが有利かは誰だって分かるだろう。 「グレイシアに水エネルギーをつけて、手札からグッズカードのポケモンレスキューを発動。トラッシュのポケモンを一枚手札に戻します。私はイーブイを手札に戻し、ベンチへ出します」 さっきからのプレイングを考えるともしやこのデッキでメインで戦えるポケモンはイーブイしかいないのかしら。イーブイの元のHPは60だが、キッサキ神殿の効果で20増幅し80/80とネンドールと同値になっている。 「更にネンドールのコスモパワーを使います。手札を二枚デッキに戻して六枚になるようにドロー」 彼女の手札は最初は四枚。二枚戻したので引くカードは四枚だ。 「ミズキの検索を使います。手札を一枚戻してデッキから好きなポケモンを一枚手札に加えます。私はシャワーズを選びますね」 今引いたシャワーズ以外にもグレイシアとエーフィ、ブラッキー以外にもブイズがまだまだ控えているようだ。 「グレイシアで雪隠れ! コイントスは……オモテです」 雪隠れは威力30のワザで、効果でコイントスを投げてオモテの場合このグレイシアは次の相手の番にワザのダメージや効果を受けない。激しい吹雪が発生し、レジギガスLV.Xを襲ってHPを90/190まで下げると同時にグレイシアの周りに雪のカーテンのようなものが現れる。 「私のターンよ。レジギガスLV.Xのサクリファイスを発動。ベンチのポケモンを一匹気絶させ、ダメカンを八つ取り除くわ」 80も回復したためHPは170/190とほぼ全回復。サクリファイスはこれ以外にもトラッシュの基本エネルギーを二枚まで選んでこのポケモンにつけるという効果もあるのだがトラッシュには残念ながら基本エネルギーがない。とにかく今は主軸となっているレジギガスLV.Xを気絶させないことだけを念頭にするべきだろう。 その巨体を180度回転させてこちらにむいたレジギガスLV.Xは私のベンチにいるユクシーをガッシリ握ってそのまま握りつぶしてしまう。何度も見たが決して楽しい光景じゃないわね。 「サイドを一枚引きます」 「攻撃が防がれているからやることがないわ。ターンエンドよ」 「私の番ですね、手札の水エネルギーをイーブイにつけてこのイーブイをシャワーズに進化させます。ネンドールのコスモパワーを発動! 手札を二枚戻して四枚ドローしますね。ではグレイシアで再び雪隠れ!」 シャワーズは進化したためキッサキ神殿の恩恵は受けれなくなったが代わりにエーフィのサンライドヴェールの効果を受けれるようになり、再びHPが20上がって110/110。 コイントスの結果は再びオモテ。先ほど回復したばかりのレジギガスLV.XのHPを140/190へと削っていく。 「私のターン。……」 基本的に私のデッキは力でゴリ押す短期決着型のデッキ。不本意にもこういう風に長期戦を強いられるとやることがなくなってしまう。 それに追い打ちをかけるかのように、手札のカードは良いとは言えない。 「エムリットをバトル場に出すわよ。そしてサイコバインドを使うわ」 エムリット90/90(キッサキ神殿の効果でHPが+20されている)のポケパワー、サイコバインドはこのカードを手札からベンチに出した時に使え、次のターン相手のポケパワーを使えなくさせるというカードだ。だが相手のポケパワーを持ったポケモンはネンドールのみ。あまりプラスの方向には働いてくれなさそうだ。 「エムリットに超エネルギーをつけてターンエンド」 「行きますね、私は水エネルギーをシャワーズにつけてグッズのミステリアス・パールを使います。サイドを全て確認し、その中にあるポケモンのカードを一枚手札に加えて発動したミステリアス・パールを新たにサイドに置きます」 攻め手にかける桃川と、攻めあぐねる私。どちらも膠着状態だったのだが、その膠着がようやく解ける。 「グレイシアでもう一度雪隠れ行きます」 しかしここでのコイントスはウラ! ようやくグレイシアを守る盾はなくなった。攻撃を受けたレジギガスLV.XのHPは110/190と半分に近くなっているが今はそんなに重要ではない。 「私のターン、ハマナのリサーチを発動。デッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを手札に二枚まで加える。私はユクシーとアグノムを手札に加えるわ」 今引いた二匹を両方ともベンチに一気に出すとベンチが埋まってしまう。レジギガスLV.Xのサクリファイスを使えば減ると言っても、結局は気絶扱い。そんなに調子に乗るわけにはいかない。ここは温存か。 「レジギガスLV.Xでギガブラスター!」 轟音と巨大な橙色のレーザーがグレイシアと手札、デッキポケットを襲う。ギガブラスターの効果は攻撃した後相手のデッキトップと手札のカード一枚を強制的にトラッシュさせるものだ。 相手のデッキの一番上からはブラッキー。手札からは悪エネルギーがそれぞれトラッシュされる。 肝心のグレイシアは威力100に達人の帯で20足された120ダメージを受けて気絶。これで雪隠れで攻めあぐねる心配は取り払われた。 次の桃川のポケモンはシャワーズ。先ほどからベンチで育てていたポケモンだ。 「サイドを一枚引いてターンエンドよ」 「私の番です、手札から時空のゆがみを使います」 時空のゆがみはコイントスを三回し、オモテの数だけトラッシュにあるポケモンを手札に加えるグッズカードだ。そのコイントスの結果はウラ、オモテ、ウラ。彼女はイーブイを再びトラッシュから手札に戻した。 「シャワーズに雷エネルギーをつけてイーブイをベンチに出し、更にサポーターカードのクロツグの貢献を発動。トラッシュの基本エネルギーまたはポケモンを合計五枚まで選んでデッキに戻します。私はトラッシュの水エネルギー三枚と、グレイシア、グレイシアLV.Xをデッキに」 イーブイのHPはスタジアムの効果で20追加され80/80。これで通算六回目の登場だ。 「シャワーズで破壊の渦潮攻撃! この効果でウラが出るまでコインを投げます」 コイントスはオモテ、オモテ、ウラ。このコイントスのオモテの数だけ、相手のエネルギーをトラッシュさせるという効果を持つ。 「それではレジギガスLV.Xの水エネルギーを二枚トラッシュしてもらいます!」 レジギガスLV.Xの足元に大きな渦潮が発生し、レジギガスLV.Xを飲み込もうとする。エネルギー三つで使うワザとしては60ダメージに二枚のエネルギーをトラッシュというのはかなり上々だろう。これでレジギガスLV.Xの残りHPは50/190。 「私のターン。アグノムをベンチに出してポケパワー、タイムウォークを発動」 ベンチに出てきたアグノム90/90(通常は70/70だが、スタジアムのキッサキ神殿の効果でHP+20)の足元(?)を中心に紫色の波紋が発する。 「この効果はサイドを確認し、その中にいるポケモンを望むなら一枚手札に加えれるもの。加えた場合は手札から一枚カードをサイドにセットするの。……、ノーチェンジね」 というのも単純にサイドにポケモンがいなかっただけなのだが。 「そしてエムリットに超エネルギーをつけて手札からグッズカードレベルMAXを発動。コイントスをしてオモテなら自分のポケモンをレベルアップさせるわ」 レベルアップさせるだけならなんてことないと思うかもしれないが、レベルアップできるのはバトル場にいるポケモンのみ。この効果でならベンチのポケモンもレベルアップさせることが可能だ。 「オモテね。ベンチのアグノムをアグノムLV.Xにレベルアップ!」 このときレベルアップするLV.Xのカードはデッキから選択しなければならない。手札やトラッシュでは意味がないのだ。また、アグノムLV.X110/110はサイキックオーラというポケボディーを持っている。これにて自分の場の超ポケモンの弱点はすべて無くなる。 「そしてサクリファイスを発動。ベンチのレジアイスを気絶させ、トラッシュにある水エネルギー二枚をこのポケモンにつけてHPを80回復させるわよ」 トラッシュさせられたエネルギーも、受けたダメージもこれで大丈夫HPは130/190。これでなんとか……。いや、違う。これはわざとサクリファイスを使わせているのか。 「サイドを一枚引きますね」 そう、達人の帯がついている上に高火力を誇るレジギガスLV.Xは私の攻撃の要。その分ダメージを受けるとすぐにサクリファイスで回復させているのだがそれを逆に利用しているのか。 自力で高HPを誇る私のポケモン一匹ずつ倒すより、レジギガスLV.Xによる攻撃を無理に受けてまでもサクリファイスによって引くことのできるサイドで自分のサイドを減らしていく作戦のようだ。しかし分かってしまえば怖いことはない。 「レジギガスLV.Xでギガパワー!」 ギガブラスターは使った次のターンにもう一度使えないという反動効果を持つので不本意だがこのワザを使うしかない。 ゆっくりと、それでいて力強く前進するレジギガスLV.Xはシャワーズの元に来ると両手を組んでそのままハンマーのように両手を振り下ろす。ズシンという鈍い音が響いた。 このワザの元の威力は60だが、効果で40ダメージ追加することができる。その分レジギガス自身が40ダメージを受けるのだが。達人の帯の効果も含め120ダメージ、110しかHPのないシャワーズはこれで気絶。一方攻撃した方も90/190。このままレジギガスLV.Xを捨てるのか維持するべきか。 次のポケモンはまだ進化していないイーブイ。私がサイドを引いたことでこれで両者残りのサイドは三枚。ここからが終盤、油断はなおのこと出来ない。 「それじゃあ私の番ですね。手札からポケモンレスキューを使い、イーブイを回収してベンチに出します」 七回目のイーブイ80/80(キッサキ神殿の効果含め)を見ると、流石に萎えてくる。 「バトル場のイーブイをブースターに進化させ、炎エネルギーをつけます」 ブースター110/110(エーフィのサンライドヴェールの効果含む)、シャワーズと来ると次は予測できる。それにさっきのシャワーズに雷エネルギーがついていたということが予想をより盤石にする。 「ネンドールのコスモパワーで手札を一枚デッキボトムに戻してデッキから六枚引きます。それではブースターで炎の牙攻撃!」 ブースターがレジギガスLV.Xの元に駆けつけて足に炎を纏った牙で噛みつく。大きさ的に大したことはなさそうに見えるのだがHPバーはしっかりと30削って60/190。 「コイントスをしてオモテだったら炎の牙の効果で相手のバトルポケモンは火傷になります」 ここで下手に火傷になると相手の思うツボ。だが運よくコインはウラを出してくれた。 「それじゃあ私のターン。手札の闘エネルギーをレジロックにつけ、手札からユクシーを場に出してセットアップを発動。今の手札は三枚なので四枚ドロー」 ユクシーもキッサキ神殿の効果を受けHPは90/90。しかしさっきからドローで引いてくるカードがイマイチだ。 「レジギガスLV.Xでギガブラスター!」 あえてここでサクリファイスを使えばそれこそ思い通りになってしまう。ここはレジギガスLV.Xを切る勢いで突っ込んでいってしまおう。 再び破壊力抜群の攻撃がブースターを。手札を。デッキを襲う。あっという間にブースターを気絶に追い込み、相手の手札の時空のゆがみとデッキの一番上にあるグレイシアLV.Xを丸ごとトラッシュだ。しかしまたしても出てくるポケモンはイーブイ。 「サイドを一枚引いてターンエンドよ」 ようやくサイドが私の方が一枚上回った。このままあと二枚、なんとか突っ切れるか。 「私だって、行きます! イーブイに雷エネルギーをつけ、ミズキの検索を発動! 手札を一枚戻してデッキからサンダースを手札に加えます。そしてイーブイをサンダースに進化!」 これでサンダースもHPが110/110。イーブイから進化するポケモンのHPを20上げるサンライトヴェールがやはり厄介だ。 「サンダースで雷の牙!」 さっきと同じような感じのワザだが、威力はブースターのそれに比べて10劣る20。レジギガスLV.Xは40/190とまだ二発は耐えれる。 そしてここでもコイントス。今度は火傷よりも厳しくマヒだ。だが今さらどっちもどっちのような気がしないでもないが。 「オモテです」 レジギガスLV.XのHPバーにマヒと黄色い字で表示される。マヒはワザを使う事も逃げることも出来ない特殊状態だ。そしてサクリファイスも特殊状態だと使えない。そして桃川の顔が少し緩む。 頬が緩むと言う事は余裕が出来たと言う事か? まだHP40をあるが、それをあっさりひっくりかえせるのだろうか。いや、意外と簡単だ。キッサキ神殿をトラッシュしてしまったり達人の帯をはずしたりすればHPは20下がり、次のサンダースの雷の牙でも十分倒せる。 「私のターン、ドロー。マヒで自分から逃げられないのならば、手札からワープポイントを発動するわ。その効果で互いにバトル場とベンチのポケモンを入れ替える!」 桃川はブースターからエーフィへ。私はレジギガスLV.Xからユクシーへ。私の今の場ではレジギガスLV.X以外でエーフィを一撃で砕くポケモンがいないと踏んだからか。 「ユクシーに超エネルギーをつけて、ユクシーをレベルアップさせるわ。そしてユクシーLV.Xのポケパワー、トレードオフを発動するわ」 ユクシーLV.X110/110(キッサキ神殿の効果含め)のトレードオフは自分のデッキのカード上から二枚見て片方手札に加えてもう片方をデッキの底に戻す効果だ。今確認した二枚はプレミアボールとポケドロアー+。わたしが選んだのはプレミアボールだ。 「続いてグッズのプレミアボールを発動。デッキまたはトラッシュからLV.Xのポケモンを手札に一枚加える。私はデッキからエムリットLV.Xを加えるわよ。そしてユクシーLV.Xの超エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がし、ベンチのエムリットをバトル場に出してレベルアップ!」 これでシナジー完成! エムリットLV.X110/110(キッサキ神殿の効果含む)が私のレジギガスLV.Xに次ぐもう一枚のキーカード。 「エムリットLV.Xで攻撃。ゴッドォブラスト!」 エムリットLV.XとアグノムLV.X、ユクシーLV.XがZ軸方向に輪を結ぶように集まり、回転し始めるとと三匹の間に紫色のエネルギー球体が集まる。そして回転が目まぐるしく早くなった刹那、エネルギー球体がレーザーとなってエーフィめがけて襲いかかる。 このゴッドブラストはアグノムLV.X、ユクシーLV.Xがいないと使えない上エムリットLV.Xについている全てのエネルギーをトラッシュしないと使えないワザだが威力はポケモンカード最強の200。今のところ200を越えるカードがないので実質一撃必殺だ。しかも追い打ちをかけるようにエーフィの弱点である超タイプを突いているので+20され220ダメージ。HPが100しかないエーフィには十分すぎる。 これでエーフィが気絶したのでサンライトヴェールの効果は失われ、ベンチにいるブラッキーとサンダースのHPはそれぞれ20下がって元通りの50/80と90/90に戻る。桃川は次のポケモンにサンダースを選んだ。だが、 「サイドを一枚引いてターンエンド!」 これで残りサイドは一枚。実質桃川は詰みである。 たとえ雷の牙で連続してマヒを出してエムリットLV.Xを倒したところでその次に控えているレジギガスLV.Xは倒せない。 彼女のブイズデッキは小粒揃いのテクニカルタイプ。こういう状況に持ち込まれるとどうしようもないのは本人が一番分かっているはずだ。 しばらく黙りこんでいた彼女が口を開いた時、やはりね、と思った。 「……参りました」 「どーも。いい勝負だったわ。途中何度か危ないと焦ったわよ」 「いえいえ、私の力不足です。またいつか対戦するときがあれば今度は負けませんよ」 「ええ、望むところよ」 対戦に熱中していたため気付かなかったが隣の山本信幸が戦っていたステージはもう勝負は終了していた。様子を見る限り予想通りというか山本信幸が勝ったようだ。 次の二回戦ではとうとう山本信幸との対戦。それを意識すると嫌な汗が背をつたうのを感じた。
松野「今回のキーカードはレジギガスLV.X。 サクリファイスは相手にサイドを引かせてしまうけども超強力。 そしてなによりギガブラスターは破壊力ばっちしよ!」
レジギガスLV.X HP150 無 (破空) ポケパワー サクリファイス 自分の番に1回使える。自分のポケモン1匹をきぜつさせる。その後、自分のトラッシュの基本エネルギーを2枚まで選び、このポケモンにつけ、このポケモンのダメージカウンターを8個とる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 水闘鋼無 ギガブラスター 100 相手の山札のカードを上から1枚トラッシュ。相手の手札から、オモテを見ないでカードを1枚選び、トラッシュ。次の自分の番、自分は「ギガブラスター」を使えない。 ─このカードは、バトル場のレジギガスに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 − にげる 4
─── 桃川めぐみの使用したデッキ 「レインボーデイズ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-791.html
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天王山 ( No.85 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:00
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 他の二試合も終わり、一回戦はこの試合だけとなった。残りサイドは如月が二枚、こちらは四枚。
その如月のバトル場には残りHP10/110のルカリオLV.X、ベンチにはグライガー60/60とキュウコン80/80。更に炎と闘エネルギーが一枚ずつついているウインディ100/100がいる。 こっちのバトル場には水エネルギーが二枚ついたオムスター120/120とベンチにはプテラ80/80にネンドール80/80。終盤に来てかなり余裕がなくなってきた。 「あ、あたしのターン!」 なんだかまだ慣れないな……。ちょっと自分でも恥ずかしいような、なんというか。いや、そんなことを考えてる暇はなかった。 「プテラの発掘でデッキからかいの化石を手札に」 プテラの発掘は自分のデッキからかいの化石、こうらの化石、ひみつのコハクのうち一枚を手札に加えるカード。ずがいの化石などには対応していない。 「手札からこうらの化石をベンチに出してグッズカードのふしぎなアメを発動。自分の場のたねポケモンから進化するポケモンを手札から選んで進化させる。あたしはこうらの化石をカブトプスに進化させるわ」 カブトプス130/130の三度目の登場だ。指定された手札をトラッシュしないと高い火力が出せないものの、やはりうちのエースカードだ。 「ネンドールのコスモパワーを発動。手札を一枚戻して二枚ドロー」 コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの一番下に戻し、手札が六枚になるようにドローするポケパワーだ。 「とりあえずはオムスターで攻撃。原始の触手!」 のろい動きでルカリオLV.Xの元まで詰め寄ったオムスターは触手を使ってルカリオLV.Xの体を縛り上げるとそのまま締め上げる。このワザの元々の威力は30。それに自分のトラッシュにある化石カードの数かける10ダメージ追加出来る。今あたしのトラッシュにはひみつのコハクとこうらの化石が二枚、かいの化石が一枚あるので50追加となり80ダメージ。残りわずかしかHPのないルカリオLV.Xはこれで気絶だ。 「わたしの次のポケモンはウインディよ」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「あと一息ね。わたしのターン! 手札の炎エネルギーをウインディにつけ、更にミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキから好きなポケモンを手札に加えるわ。わたしが加えるのはグライオン! ベンチのグライガーを進化させるわよ」 今、如月の手札にはグライオンLV.Xがいる。ここでグライオン80/80がレベルアップしたとき、序盤と同じように状態異常ラッシュを食らうようになってしまうことへの対策も練っていかなければ。 「ウインディで怒りの炎!」 真っ赤な炎を体に纏ったウインディがオムスター目がけ突進してくる。簡単に撥ねられたオムスターのHPは60減って60/120。怒りの炎は威力60に、炎エネルギーを一つトラッシュしてこのポケモンに乗っているダメカンの数かける10だけ威力が上がるワザ。だがまだウインディにダメカンはないので威力は60のままだ。 「怒りの炎の効果でこのポケモンの炎エネルギーをトラッシュするわ。ターンエンド」 「あたしのターンだ。カブトプスに闘エネルギーをつけて……」 ウインディのHP100に対し、原始の触手の威力は80。そしてウインディは水タイプに対し弱点+20を持っている。本来なら80+20でなんなくウインディを倒せる。……はずなのだがウインディにはフレアコンディションというポケボディーがある。このポケボディーはウインディに炎エネルギーがついているとき、弱点が全てなくなるというものだ。だから原始の触手では倒せない。 いや、出来る。化石カードの基本効果をすっかり忘れていたじゃないか。 「よし、プテラの発掘でこうらの化石を手札に加えて手札からベンチにこうらとかいの化石を出す……わ」 「今さらそんなに化石を出してなんになるのよ」 「この二枚の化石を自身の効果でトラッシュさせるわ! もちろんこの効果はトラッシュするだけであって気絶判定にはならない」 「自分で自分をトラッシュ……?」 「全ての化石カードは、このカードの持ち主は自分の番に場からこのカードをトラッシュしてよい、この効果は気絶とはならない。という効果を持っている。これを使わせてもらっただけだ」 「だからそんなことして何になるのよ」 「トラッシュの化石が増えたと言う事だ。……いや、言う事よ。オムスターで原始の触手!」 このワザはトラッシュにある化石の数だけ威力が増すワザ。元の威力30に対し、これでトラッシュの化石は七枚で足される威力は70。よって与えれるダメージは100! 弱点計算無しで決めれた。ウインディの巨体も軽々と持ち上げた触手はHPバーが底に尽きるまで絞め続けた。 「これで追いついた!」 「む……。わたしの次のポケモンはグライオンよ。分かってるわよね」 「う……」 ウインディを倒したことによってサイドはどちらも二枚ずつ。だがダメージを受けているオムスターを抱えている分こちらが幾分不利だ。 「わたしのターン。手札の炎エネルギーをキュウコンにつけ、グライオンをレベルアップ! そしてスピットポイズン!」 グライオンLV.X110/110が羽を広げて飛んできて、オムスターに噛みつく。オムスターのHPバーにマヒと毒のアイコンが現れた。 スピットポイズンはレベルアップしたときにだけ使えて相手のポケモンを毒とマヒ状態にする恐ろしいポケパワーだ。 「さらにグライオンLV.Xでバーニングポイズン! 相手を毒または火傷にし、その後このポケモンについているカードを自分の手札に戻してもよい。この効果で火傷を選ぶわ。そしてこのグライオンLV.Xはまだ手札に戻さない!」 状態異常を三つも抱えるハメになってしまった。如月のターンが終わると同時にポケモンチェック。毒のダメージで10ダメージを受けHPは50/120。そして火傷はコイントスを行ってオモテならノーダメージ、ウラなら20ダメージ。ここでウラを出すと余裕がなくなる。が、無情にもコイントスの結果はウラ。これで残りHPは30/130。 「あたしのターン。手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンG(50/50)をベンチに出す……わよ」 「アンノーン……?」 マヒになっているオムスターはワザを使うのはもちろんベンチに逃げることも出来ない。 「やることがないのでターンエンドだ」 ここで再びポケモンチェック。毒のダメージで10受け、続いて火傷の判定。ここでオモテを出さなければオムスターはここで気絶、この後始まる如月のターンで相手のポケモンの攻撃をモロに受けてしまう事になる。お願いっ……! 「うーん」 と唸ったのは如月の方だ。なんとかオモテを出したのでオムスターは延命。そして二回目のポケモンチェックなのでマヒもここで自動的に回復。しかしオムスターのHPはもう20/130しかない。 「わたしのターンよ。手札から炎エネルギーをキュウコンにつけてターンエンドね」 グライオンLV.Xは逃げるエネルギーが0。その気になればキュウコンでオムスターに止めをさすことができたのだろうがする必要がないと判断されたのだろうか。 毒のダメージで残りHPは10。そして火傷の判定。ここでオモテが出ればオムスターで……。 「運はあまり良い方じゃなかったわね」 無情にも結果はウラ。これでオムスターのHPは尽きて気絶となる。先にリーチをかけたのは如月だった。あたしの最後のポケモンはカブトプス。しかし、化石カードはもうデッキに一枚も残ってはいない。このデッキにはひみつのコハクとかいの化石が三枚ずつ、こうらの化石が四枚という構成にしてあるのだ。 カブトプス得意の原始のカマは効果を使うことはできず、ただの20ダメージしか与えれない地味なワザに降格してしまう。 「あたしだって負けたくない……。あたしのターン! 手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンGのポケパワー、GUARDを発動! ベンチにいるこのポケモンについているカードをトラッシュし、このカードをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。あたしはカブトプスにアンノーンGをつける」 ベンチにいたアンノーンGがバトル場にいるカブトプスの元までやってきてシールを貼り付けたかのようにカブトプスにひっついた。 「カブトプスで岩雪崩攻撃!」 大量の岩が相手の場を一斉に襲いかかる。このワザは威力60、効果は相手のベンチポケモン二匹にも10ダメージを与えるというものだ。このワザでグライオンLV.XのHPは50/110。ベンチにいたキュウコンは70/80。如月には他のベンチポケモンがいないので岩雪崩のダメージを受けるポケモンはこの二匹だけだ。 「しつこいわね。わたしのターン! グライオンLV.Xでバーニングポイズン!」 グライオンLV.Xがカブトプスに噛みついてきた。だがしかしカブトプスには先ほどと同じように状態異常のマーカーが現れることはなかった。 「ど、どうして?」 驚きを露わにして戸惑う如月、勝負どころでついにボロが出てしまった。相手のカードのテキストを読むという至極普通な行為を忘れると言うミスだ。 「アンノーンGがポケモンの道具として働いている時、アンノーンGをつけているポケモンは相手のワザの『効果』を一切受け付けない! 攻撃するならダメージを与えるワザで戦うべき……ね」 「しまっ……。でもバーニングポイズンの効果でグライオンLV.Xを手札には戻すわ。これはグライオンLV.Xに対する効果であってカブトプスに対する効果ではないもんね」 如月お得意のヒット&アウェイ。だがしかしなぜキュウコン70/80しか場に残らないのを承知でそんなことを。 原始のカマが来ないと分かるのはデッキに何を何枚入れたかしっている自分だけのはず。原始のカマを食らってしまえばキュウコンは気絶して、それで勝負は終わりなのだ。 「あんたのデッキにもう化石カードがないのは分かり切ってるわよ」 「……」 「さっきからずっと続けていたプテラの発掘を、急に使わなくなった、いや、使えなくなったと言った方がいいかしら。そこから簡単に導き出せるわよ。そして手札についてでもさっきのオムスターの原始の触手のワザの威力を上げるために使った策のときのあんたの表情見ればあれで化石が尽きたっていうことはすぐに分かるわ。喜怒哀楽が浮かびやすいのがあんたの弱点ね」 何も言い返せない。御名答です。そんなに表情に出しているつもりはなかったのだがこれはこれからの課題かな。でも、この試合はまだポーカーフェイスにはならないでいよう。わざとニヤッと笑みを作る。 「一つだけ忘れていたことがあるんじゃないか?」 「なっ、何よ。そんなブラフ(※はったり)には引っ掛からないわよ」 「ならば自分で確かめる……のよ。あたしのターン、手札からサポーターカードのバクのトレーニングを使うわ」 如月の表情が驚きと慄きで一杯になった。バクのトレーニングはデッキからカードを二枚ドローする以外にもう一つ効果を持つサポーターだ。 「確かに化石カードはもうデッキにはない。でもそれでもバクのトレーニングが一枚しかないとは限らない」 そのもう一つの効果はこのカードを使ったターン、自分のポケモンの与えるダメージの量を+10するもの。 そう、中盤でグライオンを倒したときと似ているシチュエーションだ。 「カブトプスで岩雪崩!」 威力が+10されてこのワザの威力は70。そしてキュウコンの残りHPは70/80。そして如月のベンチポケモンは一匹もいない。戦えるポケモンがベンチにいなくなったことでこの勝負は決着となった。 「あんたの勝ちね。約束通り、翔様には───」 「そのことなんだけど、やっぱりその賭けやめないか?」 「えっ?」 試合が終わって握手を交わしながら如月に提案してみる。 「そんなことしても誰も嬉しくないからそんな賭けやめよう」 「でも。あんた」 「またどこかで会えることを楽しみにしてる……わ」 「はぁ。分かったわ。そこまで言うなら賭けはなかったことにしてあげる。……それじゃあ、またね」 おれ……いや、あたしよりも年が一つ下なのにそんなあたしよりも強い意思を持って、そして一度口にしたら曲げない性格で。そんな彼女の事は忘れないだろう。自分が変わるきっかけとなったライバルなのだから。 そういえばメルアドか何か聞いとけば良かったなあと、人ごみに紛れて消えてしまった如月の背中を探しつつぼんやり思うのであった。
「ようやく一回戦も終わりね、一之瀬君」 「そうですねえ。良い試合多くて見応えありますね」 スペース的にバトルベルトを使った勝負は同時に四つしか行えない。32人いた一回戦は四つに分けて対戦していたが、16人に減った二回戦では二つに分けて対戦することになる。 そして能力者は高津洋二は沙羅比香里と、山本信幸は私こと松野藍と対戦する。 「絶対に勝たなくちゃ。こんな変な能力のせいで私達のポケモンカードが汚されるなんてたまらないわ」 「松野さん……」 「もし、私に何かあった場合は悪いけどよろしく頼むわ」 「珍しく弱気ですね」 「ええ、何せ山本信幸は対戦相手を植物状態にさせてしまう最悪の能力者だから」 「……」 一之瀬君の難しそうな顔は、普段見る穏やかなそれとは別人のように見えた。
石川「今日のキーカードはカブトプス。 闘エネルギー一個でMAX70ダメージ。 序盤から一気に畳み掛けれるわ!」
カブトプスLv.59 HP130 闘 (DPt4) 闘 げんしのカマ 20+ のぞむなら、自分の手札から、「かいの化石」「こうらの化石」「ひみつのコハク」のうち1枚を選び、トラッシュしてよい。その場合、50ダメージを追加。 闘無無 いわなだれ 60 相手のベンチポkモン2匹にも、それぞれ10ダメージ。 弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「芸能人事情」 恭介「なあなあ聞いてくれよ!」 翔「朝から騒がしいなおい」 恭介「俺さ、昨日さ、五反田ではるな愛を見たんだ! 芸能人みっけたの久しぶりだったぜ」 翔「俺もこないだ学校の帰りに生田斗真くん見たぞ」 恭介「いやいやはるな愛の方がレアだろ」 翔「一体レアの基準はなんだよ」 恭介「そういえば蜂谷はなんか芸能人と会ったことある?」 蜂谷「俺は……。先週に新宿のビッグカメラの傍で岡本信人を見つけたから声をかけたら野草を食わされた……」 翔&恭介「……」
如月麻友の使用したデッキ 「雪原の忠犬達」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-794.html
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弱気 ( No.86 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:00
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「石川おめでと」
辛くも勝利をもぎ取ってきた石川が溢れんばかりの笑みを携え俺達の元に戻ってきた。 「……。あのさ、なんかよそよそしいから下の名前で呼んでくれない?」 「下の名前はえーっと。薫だっけ?」 「うん」 「薫、おめでと」 「うん、ありがとう」 あれ、こいつってこんなキャラだったかな。 「けっ、陽気な事だな」 拓哉(裏)が呆れた目でこちらを見る。こいつの言いたいことはだいたいわかる。 「はいはい。二回戦ももう始まるな」 「二回戦といえば翔とあたしが対戦だね」 と、薫。そういやそうだった。他にもこの二回戦は蜂谷を下した沙羅比香里と、能力者の高津洋二の対戦。そして松野さんともう一人の能力者の山本信幸の対戦もある。注目のカードが多い二回戦だ。 「さて行ってくるか」 「拓哉しっかりな」 「誰に向かって言ってやがる」 相変わらずコミュニケーションの取りにくい奴である。素直になれ素直に。ま、らしいと言えばらしいのだが。 「あっ剛出番だ」 「うん?」 二回戦第一ブロックでは俺らの中では拓哉(裏)と向井剛が出番となる。ちなみにここで二人は潰しあう事はなく、二人が戦うのは順当に行けば準決勝(四回戦)だ。沙羅と高津の対戦もこのブロック。 一方第二ブロックは恭介、風見、俺と薫に松野さんの五人が出て忙しい。恭介と風見は共に勝てば三回戦での対戦。風見杯以来の勝負だ。そして俺か薫のどちらかと松野さんか山本が三回戦で当たることになる。 「頑張ってね」 「……僕も負けないように頑張るよ」 向井の声はどうも弱気だ。 「うーん、剛ももっと自信持てばいいのに」 今から対戦に向かう向井と喋っていた薫を見つめる。……松野さんが負けるとは思わないのだが、万が一。もし俺が負けて薫が勝ち上がって、それで山本も勝って二人の対戦となって山本が勝てば、薫は植物状態になってしまう。 こういう変なややこざに薫はもちろん恭介達を巻き込んじゃダメだ。絶対に勝たなければならない。元より負けるつもりで勝負に挑む気なんてさらさらないのだが。
自信を持て、というのは小さい頃から言われ続けていたことであって、特に小さい頃から馴染みのある薫には事あるごとに言われ続けた。 でも自信を持つというのはどういうことなのか分からず、気丈な振りをしたりもした。 自信というのは辞書によると自分の才能等を信じるということらしいのだが周りの人は僕よりも立派なそれを持っているのでとてもじゃないが信じれない。奥村先輩、風見先輩、長岡先輩、藤原先輩。誰もかれもがこないだの風見杯で上位にいたメンツだ。 手元にあるのは今にも消えそうな炎。しかし周りにはより強い輝きを持つ大きな炎だらけ。委縮するのも仕方ない。 実際ここまで来れたのも、予選といい一回戦といい御世辞にも上手じゃない初心者といったような感じの相手ばかりであったからで、なんとか利を拾う形となっていた。 だがもうそれも通用しない。今、僕の目の前に対戦相手として立っているのは過去の大会(大会に参加したわけではないので聞いた話)やイベントなどで何度も勝ち続けてきた男。中西 哲(なかにし てつ)だ。 スーツを着た四十を越えているパパさんプレイヤーで、柔和な顔つきをしているのだが、それに反して鋭いプレイングで他を寄せ付けない。優勝候補の一角を担う人だ。そして過去に僕自身ジムチャレで完膚なきまで叩きつぶされたことがある。 「お久しぶりですね」 「君は……、先月のジムチャレでの。あのときは私の息子が御世話になりました」 「まぁ……」 二月に行われたジムチャレで彼と対戦した後、小学校中学年くらいの彼の息子とも対戦したのであった。ちなみにそっちは勝てた。 「さて、そろそろ始めますか。私も息子に負けるなと言われているんですよ。というわけで君には悪いが手抜かりは一切ナシで行かせてもらうよ」 「……お願いします」 バトルベルトを起動して対戦の準備を整える。前回はコテンパンにされたのだから、今回は前よりはマシな戦いをすることを目標だ。そう、たとえばせめてサイドを四枚引くくらいか。 「さて、私が先攻をさせてもらってもよろしいですかな」 「はい」 中西さんの最初のバトルポケモンはヒンバス30/30。ベンチにはヤジロン50/50。前戦った時の中西さんのデッキは闘タイプメインのパワーデッキだったがあの時とはまた違うデッキのようだ。 一方僕のバトルポケモンはダンバル50/50でベンチにも同じダンバルが一匹。理想の形ではないが戦えない訳ではない。 「それでは私のターンから。手札の水エネルギーをヒンバスにつけまして、ヒンバスのワザのカウントドローを使わせていただきます。このカウントドローは相手の場にある進化していないポケモンの数だけ山札からカードを引く効果を持っています。今君の場にいる条件に該当するポケモンは二匹。よって二枚引かせてもらい、ターンエンドです」 今回の彼のデッキはどういうデッキなのか、出来れば早めに見切りたかったのだが。もしかして準備に手間がかかるのか? 「僕のターン。ゴージャスボールを使います」 ゴージャスボールはデッキから好きなポケモン(ただしLV.X除く)を手札に一枚加えることのできるグッズだ。僕が選んだのはヌマクロー。 「更にハマナのリサーチを使って僕はデッキから鋼エネルギーとミズゴロウを手札に加え、ベンチにミズゴロウを出します」 ハマナのリサーチはデッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで選んで手札に加えることのできるサポーターだ。そしてベンチに出したミズゴロウ60/60は二進化するたねポケモンでは高水準のHPを持つ部類だ。 「さっき加えた鋼エネルギーをダンバルにつけてピットサーチ!」 ダンバルの赤い眼から真っすぐ会場の天井に向けて同じ赤いレーザーポイントのような光が発せられる。このワザは自分のデッキからスタジアムカードを一枚選んで相手プレイヤーに見せてから手札に加えるもの。僕は破れた時空を加えた。 「私のターンだね。手札からサポーターカードのデパートガールを使わせてもらうよ。このカードの効果で私は自分の山札からポケモンの道具を三つ手札に加えるんだ。私はエネルギーリンク二枚とベンチシールドを一枚手札に入れてそのベンチシールドをヤジロンにつけさせてもらおうか」 ベンチシールドをつけたポケモンはベンチにいるかぎりワザのダメージを受けない。つまりヤジロンにダメージを与えるならバトル場にひきずりださないといけないわけだ。 「さらにグッズカードのミステリアス・パールを発動。このカードの効果で自分のサイドを全て確認し、その中にあるポケモンを一匹相手に見せてから手札に加えることができる。加えた場合はこのミステリアス・パールをオモテにしてサイドに置くんだ。私はミロカロスを加えるよ」 ミステリアス・パールはかなり人気なレアカードだ。大会上位者のみもらえる限定カード。よく持っているな。 「そしてヒンバスをミロカロスへと進化させて水エネルギーをつけよう」 小さい小さいヒンバスが、光り輝きながらそのフォルムをより大きく、美しく作り変えていく。ミロカロス90/90はヒンバスのHPの三倍もある。これはどう切り抜けるべきか。 「ミロカロスで攻撃といこうか。クリアリング」 大きな体を活かしたミロカロスの攻撃がダンバルに襲いかかる。しかしダメージは思ったより軽く20で済んだ。まだHPは30/50残っている。 「僕のターン! 手札からスタジアムカード、破れた時空を発動」 フィールド全体が破れた時空に姿を変えていく。このスタジアムが場にある限り、お互いのプレイヤーは自分のターンに場に出したばかりのポケモンを進化させられる。 「バトル場のダンバル、ベンチのミズゴロウをそれぞれ進化させる!」 これで僕のポケモンは全体的に強化された。メタング60/80もヌマクロー80/80もHPは一進化の平均。簡単には倒されまい。 「そしてメタングのポケボディー、メタルフロートの効果で逃げるエネルギーがなくなったメタングを逃がしベンチのダンバルを新しくバトル場に出してメタングに闘エネルギーをつける!」 メタングのメタルフロートはこのポケモンに鋼エネルギーがついているなら逃げるエネルギーがなくなるというもの。ここはダンバルを盾にして自分の体勢を整えておきたい。 「ダンバルにはエネルギーがついてないからワザは使えない。ここでターンエンド」 「では私のターン。遠慮はしないよ。ヤジロンをネンドール(80/80)に進化させてポケパワーのコスモパワーを使おう。この効果は手札を一枚か二枚を山札の底に戻して手札が六枚になるようにドローするものだ。今の私の手札は六枚。そのうち二枚を山札の底に戻して山札から二枚引く。そしてサポーターのミズキの検索を発動だ」 ミズキの検索は手札のカードを一枚戻してデッキからポケモンのカードを手札に加えるサポーター。一気に攻めてくるつもりか。 「私はヒンバスを手札に加えてベンチに出す。さらに破れた時空の効果で、ヒンバスをミロカロスに進化だ」 しかし今回のミロカロスはさっきのミロカロスと違う。色違いのミロカロス80/80だ。既にバトル場にいるミロカロスよりもHPが10少ない。 「バトル場のミロカロスに水エネルギーをつけて攻撃だ。スケイルブルー!」 ミロカロスの足元から僕の背丈の三倍くらいはありそうな巨大な波が発生し、ダンバルに打ちつける。見た目通りの壮絶な威力で、あっという間にHPが0だ。次のポケモンに僕はメタングを選択。 「このワザの威力は90から自分の手札の枚数かける10引いたものでね、今の私の手札は二枚。だから与えるダメージは70だ。サイドを引いてターンエンド」 サイドを引く……。つまり手札が一枚増えたことになる。だからなんだっていうんだ。でも何か引っかかる。 「それじゃあ僕のターン! 手札からハマナのリサーチを使って闘エネルギーとヤジロンを手札に加え、ヤジロン(50/50)をベンチに出す。そして破れた時空の効果でヤジロンをネンドール(80/80)に進化させ、僕もコスモパワー!」 手札を一枚だけデッキの底に戻す。これで二枚になったから四枚ドローだ。 「メタングに鋼の特殊エネルギーをつけ、メタグロスへ進化だ! メタグロスのポケボディー、グラビテーションの効果で場のポケモンのHPは全て20ずつ小さくなる!」 メタグロスを中心に薄い紫色のドームが形成され場のポケモン全てを包み込んだ。その中にいるポケモンは変な重力に押しつぶされそうでいる。 このポケボディーで僕のポケモンのHPはメタグロスが90/110、ヌマクローとネンドールが60/60。中西さんのポケモンはミロカロス70/70にネンドールと色違いのミロカロスが60/60。 更にメタグロスにつけた鋼の特殊エネルギーは通常の鋼エネルギーと違って鋼ポケモンについているなら受けるワザのダメージを10減らしてくれる。これでグラビテーションのディスアドバンテージも多少はどうにかなる。 「10足りない……。くっ、メタグロスでミロカロスに攻撃。ジオインパクト!」 メタグロスが四つもつ腕のうち一つを地面に擦りつけながら低空移動しミロカロスに近づく。そしてずっと地面に擦りつけていた腕を一気にアッパーカートのように振り上げミロカロスに強大な一撃を喰らわせた。さらに地面から腕を振り上げた際に同時に地中から飛び出した岩がベンチの色ミロカロスに襲いかかる。 「ジオインパクトは場に自分のスタジアムがあるとき、攻撃した相手と同じタイプのポケモンにも20ダメージを与える」 このジオインパクトの元の威力は60。よって相手のミロカロスのHPは10/70、ベンチの色ミロカロスは40/60。 「むっ」 中西さんの表情が僅かに陰る。 「なかなかいい攻撃だ。だが少しだけ足りなかったね」 そう、バトル場のミロカロスは10だけHPを残している。さっき引かれた分のサイドをここで取り返しておきたかったのだが……。 「それでは私のターン。ベンチにカゲボウズ(グラビテーションの効果を受けてHPは30/30)を出そう。そしてバトル場のミロカロスについている超エネルギーをトラッシュしてベンチの色ミロカロスと交代だ」 ここで交代か。だが意図することが分からない。次にジオインパクトを食らえば二匹ともども気絶なのに。更に色ミロカロスにはまだエネルギーはついていない。ワザを使うにはエネルギーが三つ必要なのだ。 「更に手札のポケモンの道具、エネルギーリンクをバトル場の色ミロカロス、ベンチのミロカロスにつけて効果を発動。エネルギーリンクがついているポケモン同士ではエネルギーの移動が自由になるのでね、ミロカロスについている水エネルギー二枚をバトル場の色ミロカロスに移動させ、手札の水エネルギーを色ミロカロスにつけるよ」 これであっという間に色ミロカロスにエネルギーが三枚ついた。早すぎる。 「色ミロカロスで引き潮攻撃といこう」 引き寄せる波がメタグロスを襲う。グラビーテションが発動している中ではいつもよりもダメージの比率が大きい。だから僅かなダメージでも痛いのだが。 引き潮攻撃は80に、色ミロカロスに乗っているダメージカウンターの数×10だけ引いた分の威力を与えるモノ。今色ミロカロスには二つダメカンがあるから80−20で60、更に鋼の特殊エネルギーで10引いて50ダメージだ。これでメタグロスのHPは40/110。 「……」 次同じだけダメージを受ければまずいな。確実にダメージを与えていきたいところだが……。 「先に言っておくが、この色ミロカロスにはアクアミラージュというポケボディーがあるんだ。アクアミラージュは手札が一枚もないときこのポケモンはダメージを受けないというものでね、今の私の手札は?」 「0……」 「そう。だから次のターンに色ミロカロスがダメージを受けることはなく、君のメタグロスを確実に仕留めるよ」 中西さんが前もって説明するということは当然余裕があるということだ。このままでは前と同じく一方的にやられて終わるだけだ。 そんなのは、イヤだ……!
向井「僕もこのコーナーいいんですか? えっと、それじゃあ今回のキーカードはメタグロスです。 ポケボディーのグラビテーションをどう使うかがカギです」
メタグロスLv.68 HP130 鋼 (DPt3) ポケボディー グラビデーション おたがいの場のポケモン全員の最大HPは、それぞれ「20」ずつ小さくなる。おたがいの場で複数の「グラビテーション」がはたらいていても、小さくなるHPは「20」。 鋼鋼無 ジオインパクト 60 場に自分の「スタジアム」があるなら、相手と同じタイプの相手のベンチポケモン全員にも、それぞれ20ダメージ。 弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる 3
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無から有を ( No.89 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:02
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 手札が0。
カードゲームでは果てしなく無謀に近い行為だ。手札が0ということはやることがない、出来ることが無いというのと同意。しかし目の前にいる中西さんは簡単にやってみせた。 僕の場には闘、鋼、特殊鋼エネルギーがついているメタグロス40/110とベンチにはヌマクローとネンドールどちらも60/60。 中西さんの方にはエネルギーリンクと水エネルギー三つつけた色違いのミロカロス40/60と、ベンチシールドのついたネンドール60/60、エネルギーリンクのあるミロカロス10/60とカゲボウズ30/30がいる。 全体的にHPが少ないのは僕のメタグロスのポケボディー、グラビテーションのせいだ。全てのポケモンの最大HPが20ずつ下がるという特徴あるポケボディー。 しかしこれより強烈なのは中西さんの色ミロカロスのポケボディーだ。アクアミラージュは手札が0枚の時、相手のワザのダメージを受けない。さっきも述べたが今の中西さんの手札がそれだ。つまりダメージを与えれない。 「このままじゃあ……。僕のターン!」 ……。今引いたカードはミズキの検索。このカードで何が出来るか。 「長考かい? まあ軽率な行動をせずにじっくり考えるのはとてもいいことだね。でもこのハンドレス(手札0)コンボを攻略出来るかな?」 「ここは運否天賦で! ヌマクローのポケパワーを使います。飛び込む!」 デッキポケット横のコイントスボタンを押す。コインが回転するアニメーションが出る。そしてその結果は。 「オモテか……」 もしこれでウラだったら万策尽きていた。ほっと胸を撫でる。 「このポケパワーはコイントスでオモテだったときに効果を得、自分のバトル場のポケモンのエネルギーを全てヌマクローにつけかえてヌマクローとそのポケモンを入れ替える!」 メタグロスがベンチに戻ると、ヌマクローが水泳の飛び込みの要領でバトル場にやってきた。ヌマクローはメタグロスの鋼、闘、鋼特殊エネルギーを引き継いだが、鋼特殊エネルギーの効果は当然受けることができない。 「? これが一体……。ヌマクローのワザでは私のミロカロスは突破できない上に次の私の番に攻撃すればヌマクローは気絶なのだけども」 「もちろんこれだけじゃないですよ。ミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからラグラージを加え、進化!」 ヌマクローの体が光に包まれ大きくなり、ラグラージへ変わっていく。足はもちろん両手を地につけてから雄たけびをするパフォーマンスも中々良い。 「なるほど、ラグラージのHPは130。正しくはメタグロスのグラビテーションで110/110になるけどもこれでなんとか次の番は凌げるね」 「それだけじゃありませんよ」 「……?」 「ラグラージに水エネルギーをつけて手札を一枚戻しネンドールのコスモパワー! 今の手札が二枚だから四枚ドロー。そしてベンチにミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)を出して、ラグラージで攻撃! 引きずり出す!」 ラグラージは僕のバトル場から跳躍して相手の場へと向かう。 「攻撃? 私の色ミロカロスは───」 しかしラグラージはその色ミロカロスの上を通過し、ベンチで控えている普通のミロカロスに地面に着く際に拳でハンマーのように殴りつけた。ズシンと会場震える程の音で勢いよく殴りつけられたミロカロスは気を失い、さらにラグラージはミロカロスを掴むと乱雑にバトル場へブン投げる。場所を失った色ミロカロスはベンチへ仕方なく下がるしかなかった。 「これは……」 「ラグラージの引きずり出すはダメージを与える前に相手のベンチポケモンを一匹を無理やりバトル場に文字通り引きずり出すことが出来るワザ。これならアクアミラージュをかわして攻撃出来る!」 中西さんは参ったなと顎を撫でた。引きずり出すは威力30のワザだが、虫の息だったミロカロスを倒すには十分だ。中西さんは懲りずに色ミロカロスをバトル場に出す。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「いいね。私のターン。……それじゃあ私もネンドールのコスモパワーだ。手札を一枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようにドローする」 今の中西さんの手札は1枚、それを一枚戻してからドローなので六枚ドロー。だけど何故ハンドレスをやめる? 手札を六枚消費するのは中々骨で、ポケモンカードならたねポケモンがいないのに進化ポケモンが来ると詰んでしまう。 「私はカゲボウズをジュペッタ70/70(グラビテーション計算済み)に進化させる。そしてレックウザC80/80(同じく)をベンチに出そう」 グラビテーション下でたねポケモンなのに80/80なんて、なんてHPの高さだ。 「更にレックウザCにエネルギーリンクと超エネルギーを一つつけるよ」 あっという間に残り手札が二枚。でもこの二枚を処理するのは流石に厳しいはず! 「ここでジュペッタのポケパワーだ。癇癪!」 合図と共にベンチでジュペッタが一人暴れだす。しかしそれは誰に向けられたものでなく、自分を傷つけるだけであった。ジュペッタのHPが50/70へ、20下がる。自分を傷つけるポケパワー、一体どういうことだ? 「この癇癪は自分の手札を好きなだけトラッシュし、トラッシュした枚数分のダメージカウンターをこのジュペッタに乗せるんだ。私は残りの手札二枚をトラッシュしてジュペッタにダメージを与えたと言う訳だ」 リスクはあるもののきちんとそういうための策も取ってあると言う事か。トラッシュされたカードはカゲボウズ、マルチ・エネルギーの二枚。そして中西さんの手札は再び0となった。 「それでは攻撃。ミロカロスで引き潮だ」 色ミロカロスに乗っているダメージカウンターは依然二つ。80から20引かれた60ダメージがラグラージに襲いかかり、HPは50/110となる。このままでは次のターン気絶してしまう。 「さあ、君のターンだ」 いや、気絶してしまう。というトラップか! よくよく考えればそれは必然じゃあないか。色ミロカロスにダメージを与える方法は意外と簡単なところにあった。問題なのは自分の場ではそれをやるだけの役者が揃っていないということ。 「僕のターン、ドロー!」 引いたカードはアンノーンQ。このカードを使えばやろうとしていることが案外簡単にできるかもしれない。 「アンノーンQ10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出します」 「HPがたった10……」 「そしてダンバル30/30(グラビテーション計算済み)を出してこいつに鋼の特殊エネルギーをつけます。さらに破れた時空の効果でダンバルをメタング60/60(計算済み)に進化させ、ネンドールのコスモパワー。手札を二枚デッキの底に戻して四枚ドロー。そしてアンノーンQのポケパワーをここで使います。QUICK!」 ベンチでぼんやりとしてたアンノーンQは指令と共にバトル場のラグラージによると、そのまま背中に張り付いた。まるでアンノーンQがシールになったかのようだ。 「QUICKは1ターンに一度このポケモンについているすべてのカードをトラッシュしてこのポケモンをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。このカードをつけているポケモンの逃げるエネルギーは一個分少なくなる。だからラグラージの逃げるエネルギーは二から一へ下がるんだ。そしてラグラージの特殊鋼エネルギーをトラッシュしてベンチのミズゴロウと入れ替える。ターンエンド!」 「ミズゴロウ……。なるほど、確かに」 中西さんはまるで出したクイズの答えを当てられたかのような表情をする。 「私の色ミロカロスが相手を気絶してサイドを一枚引くとなると私に手札が発生する。そして色ミロカロスのアクアミラージュは効果を失う。確かにその通りだ」 だがその顔には余裕がある。 「私がその辺の対策をしていないとでも?」 一気に血の気が引いた気がする。そして積み上げたものが一気に瓦壊したような。 「それでは私のターン。エネルギーリンクの効果で色ミロカロスについている水エネルギーを二つ程レックウザCに動かそう」 色ミロカロスとレックウザCについている装置が共鳴しあって、色ミロカロスについている水シンボル二つがレックウザCに移る。 「そして水エネルギーを一つトラッシュして色ミロカロスをベンチに逃がし、レックウザCをバトル場に」 わざわざ色ミロカロスを控えるのか。そこまで大事にするのは、色ミロカロスが中途半端なダメージを受けると邪魔にしかならないからだろう。確かにそうだ。それが定石だ。自分目線でしか考えれていなかった。 「レックウザCにマルチ・エネルギーをつける。このカードは、これ以外の特殊エネルギーがついているなら無色1個ぶんにしかならないが、そうでなければ全てのタイプのエネルギー1個分として働く。レックウザCで竜巻攻撃」 中西さんはワザの指定と同時にコイントスを二回行った。ウラ、オモテ。その判定が終わるとレックウザが強力な風を吹き起こす。それはバトル場で一つの竜巻となって、ミズゴロウの体を飲み込んでいく。暴風の中でぐるんぐるんと回され、終いには空高くはじき出されたミズゴロウはそのまま地面に打ち付けられてHPバーを0にする。 テキストを確認するとこの竜巻というワザは威力50のワザで、二回コイントスしてオモテの数だけ相手のエネルギーをトラッシュしてしまうものだ。ただし二回裏だとこのワザ自体が失敗してしまう。決して安定したワザとはいえない。 全ての予定がこれで狂ってしまった。しかしここはラグラージでいくしかない。 「さて、サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「僕のターン!」 あのレックウザCを一撃で沈める方法はあることはある。しかしその条件が、そのためのカードが引けない……! 「くそっ、どうしよう」 今の手札はミズキの検索、ポケモンパルシティ、ネンドール、破れた時空、水エネルギー、鋼エネルギー、ラグラージ。どうにかしないと。どうにかしてチャンスを作り出さないと。 「ミズキの検索を使って、手札を一枚戻してメタグロスを手札に! それでメタングを進化だ」 ラグラージをデッキに戻してメタグロスを加え、そしてメタグロス110/110(グラビテーション計算済み)に進化。しかしメタグロスのグラビテーションは重複しなのでHPが40減ることはなく、20しか変動がない。 「破れた時空をトラッシュし、新しいスタジアムカードのポケモンパルシティを使う」 周りの風景が元の会場に戻ると、間髪入れずにポケモンがモチーフとなった建物が並ぶ街並みに変わった。ピカチュウの顔の形をした家や、あちこち空にモンスターボールのバルーンが浮かんでいる。 「そしてパルシティの効果発動。各プレイヤーは自分のターンに一度、デッキの上からカードを七枚確認してその中のたねポケモンを好きなだけベンチに出すことが出来る」 しかしベンチに出せるたねポケモンがない。確認した後、シャッフルさせる。これで僕の手札は四枚。 「ネンドールのコスモパワー。手札を二枚戻し、四枚ドローだ」 手札の水エネルギーとネンドールを戻してこのドローに賭けてみた。しかし結果はうまい事行かず。 「ぐっ、水エネルギーをラグラージにつけて押し倒す」 ラグラージは、レックウザCに向かって走り出すと途中で飛びかかった。そのままショルダータックルをかましてレックウザCのバランスを崩すと、気合いのこもった右拳がレックウザCの体に打ち込まれた。強烈な攻撃を受けたレックウザCは思わずバトル場に倒れ伏し、そのレックウザCの背の上にラグラージが立っていた。辛そうなレックウザCのHPは気絶手前の10/80。 「このワザの元々の威力は60だけど、このカードについている闘エネルギーの数かける10ダメージ追加される! 合計70ダメージだ」 本当はさっきのコスモパワーで闘エネルギーを引くことができ、それをラグラージにつければ80ダメージ与えれてレックウザCを気絶させることができたのだが、闘エネルギーを引くことができなかったのだ。 だがしかしラグラージにはルートプロテクターというポケボディーを持っていて、進化していないポケモンから受けるワザの威力を20弱める効果がある。再び竜巻攻撃が来ても50−20で30ダメージだけ。ラグラージは凌ぎきることが出来る。 「それでは私のターンだ。ミラクル・ダイヤモンドを発動」 「ミラクル・ダイヤモンド!?」 これも超レアなプロモカードだ。ミステリアス・パールといいとても珍しいカードを持っている。 そしてミラクル・ダイヤモンドのカードは自分のサイドを全て確認し、その中にあるトレーナーのカードを一枚手札に加えることができ、加えた場合このミラクル・ダイヤモンドを表向きにしてサイドに置くというものだ。 「ミラクル・ダイヤモンドでミズキの検索を手札に加え、早速使うよ。手札を一枚戻してレックウザC LV.Xをデッキから加えてレベルアップだ!」 バトル場のレックウザCが力に溢れた輝きを放つ。残り僅かしかなかったHPも、30/100とまだある程度まで増やした。しかし問題は威圧感を強く放っていることだ。なんていう力強さを放つカード。 「さて、再び私の手札は0」 中西さんはまるで可愛い幼子を遠目で見るような微笑みで僕を見つめる。 「ポケモンカードでの最大火力を御見舞してあげよう」
向井「今回のキーカードはラグラージです。 ルートプロテクターで相手の攻撃を防ぎつつ、 引きずり出して押し倒すパワースタイルがウリです」
ラグラージLv.60 HP130 水 (DPt3) ポケボディー ルートプロテクター このポケモンが受ける、相手の「進化していないポケモン」のワザのダメージは、「−20」される。 水無無 ひきずりだす 30 のぞむなら、ダメージを与える前に、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えてよい(新しく出てきたポケモンにダメージを与える)。 水無無無 おしたおす 60+ 自分の闘エネルギー×10ダメージを追加。 弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「芸能人事情2」 恭介「俺さ、昨日家の近くのコンビニではんにゃの二人にあったんだ!」 翔「また芸能人ネタかい」 恭介「俺ほど芸能人に会う人はいねーだろー!」 翔「芸能人っていうかお笑い芸人ばっかじゃん」 恭介「一応芸能人じゃん!」 翔「俺はこないだ知念君を見かけたぜ」 恭介「お前もジャニーズばっかだろ!」 翔「知らんよ! なんで俺に言うの」 恭介「なあ蜂谷、お前も何か言ってやれよ!」 蜂谷「俺はこないだ上野公園でアンガールズの田中見かけたから声をかけたら苔食わされた」 翔&恭介(なんでいちいち声かけるのかな……)
─── 久しぶりの本編更新。 そして宣伝ですが夏企画無事おわりました! 是非是非投票だけでもいいのでしていってください。
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由香里のダイエット ( No.90 ) |
- 日時: 2011/01/25 19:01
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- おまけ・ポケカ番外編
「由香里のダイエット」 啓史「おはよう由香里」 由香里「おっ、啓史おっはよー。……最近痩せた?」 啓史「一キロだけな。ってなんで分かんの?」 由香里「勘や勘。女の勘っていうヤツ?」 啓史「冬はなんかしらんけど痩せるなぁ。夏は逆」 由香里「普通って夏痩せて冬太らん?」 啓史「俺汗っかきやけど、汗かいた以上に水分取るから水太りするんかな」 由香里「あたしは逆やなー。冬太る。お陰で今太ってるわ」 啓史「そうかぁ? 由香里痩せてると思うねんけど」 由香里「平均よりは痩せてるけどあたし的には太ってる。今何キロと思う?」 啓史「変に難しい質問しやがって……。五十キロ?」 由香里「失敬な」 啓史(そう言うだろと思った)「で、なんぼなん?」 由香里「四十八。今年の夏は四十二やった」 啓史「六キロ差って結構やな」 由香里「やろ? でもさでもさ。太ってから痩せたらバストアップになんねんて」 啓史「まーた眉唾な」 由香里「いーやいやいや。あたしはそれで大きくなってんねんから」 啓史「ふぅん」 由香里「啓史もそのうちおっきくなるんちゃう?」(啓史の胸を揉みだす) 啓史(由香里の頭を思わずはたく)「アホか!」
─── 今日は気長の連載始まって丁度4年目! もう3年くらい休載してるだろうけど! そしてポケカの挿絵をレイコさんと海さんが書いてくださいました! 53話「PCC予選」 http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/53.html 67話「天王山」 http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/67.html
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挑戦 ( No.91 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:03
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「レックウザC LV.Xでラグラージに攻撃。ファイナルブラスト!」
深く息を吸い込んだレックウザC LV.Xの口から無慈悲なほど巨大で強大な極太レーザーが発射された。 あまりの光で目が、爆発するかのような音で耳が、大気を震わす衝撃で平衡感覚がどうにかなってしまいそうだった。なんとか両膝を足につけて堪える。 レーザーにすっぽり飲み込まれてしまったラグラージはHPバーを確認するまでもなく0となり、散っていく。 「これがポケモンカード最大火力、200ダメージ。ポケモンカードでHPが200を越すポケモンはいない。つまりどんな相手でも一撃で倒す強烈なワザだ。ルートプロテクターなんていう小細工も通用しないよ」 「でもそれほどの威力ならデメリットも……」 「ファイナルブラストは確かにデメリットを持っている。……が、それを回避出来るんだ」 「回避?」 「このワザは自分のエネルギーを全てトラッシュしなくてはならないデメリットがある。しかし手札が0のとき、その効果はなくなるんだよ」 ニヤリ。ああ、あれは勝負師の笑みだ。いや、でも中西さんは本気で僕を相手してくれている。だからこそ諦めちゃダメだ。僕を認めてくれている。こちらも全力で戦ってそれに応じなくてはならない。 中西さんのレックウザC LV.Xにはポケモンの道具のエネルギーリンクが、エネルギーは水が二つ、超、マルチ・エネルギーがついているが残りHPは30/100。ベンチにはジュペッタ50/70、ベンチシールドをつけているネンドール60/60、エネルギーリンクをつけた色違いのミロカロス40/60がいる。 今僕のベンチにはネンドール60/60、メタグロス40/110、特殊鋼エネルギーがついたメタグロス110/110。レックウザC LV.Xの残りHPは僅かだが、それに止めを刺すにはどのポケモンでもワザエネルギーが不足している。 メタグロスのグラビテーションというポケボディーで全てのポケモンのHPを20ずつ下げている。残りサイドは僕が五枚で中西さんが四枚。 「僕はメタグロス(40/110)をバトル場に出す」 「サイドを引いて私はターンエンドだ」 これで中西さんとのサイド差は二枚になった。 「僕のターン。ポケモンパルシティの効果でデッキの上から七枚確認し、その中のたねポケモンを好きなだけ確認してベンチに出す。……、ミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)をベンチに出してデッキをシャッフル!」 そういえば先ほどのターン、中西さんはパルシティを使わなかった。しかし次のターン使われるかもしれない。こういう相互に有益のあるカードは早いうちに自分から潰しておくべき。 「ポケモンパルシティをトラッシュし、破れた時空を発動。さらにメタグロス(110/110)に鋼エネルギーをつける」 可愛げのある街から元の会場へ戻り、休む間もなく破れた時空へと周囲が様変わりだ。このエフェクトは目が疲れるからもう少しなんとかしてもらいたいなぁ。 「ネンドールのコスモパワーで手札を二枚戻して四枚ドロー」 この状況をなんとかできそうなカードを引き当てれた。もう少しこれは温存しておこう。 「ターンエンド」 「それではわたしのターン。手札の超エネルギーをジュペッタにつけ、こちらもネンドールのポケパワーを発動。手札を一枚戻して六枚ドロー」 またもや六枚ドロー。今度は一体何をするのか……。 「ヒンバス10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出し、破れた時空の効果でヒンバスを色ミロカロス60/60(計算済み)に進化させる」 これで一番の難敵色ミロカロスが二匹揃ってしまった。しかし色ミロカロスの欠点として、ワザエネルギーが水水無の3つもあることが挙げられる。今の色ミロカロスは二匹ともエネルギーがない。まだ大丈夫、まだしばらく大丈夫だ。 「そしてジュペッタの癇癪。手札を四枚捨てる」 「四枚ということは40ダメージ……!」 中西さんは手札から夜のメンテナンス、ワンダー・プラチナ、思い出の実、ハマナのリサーチを捨ててまたもや手札を0。そして癇癪は棄てた枚数だけジュペッタにダメージカウンターを乗せるポケパワーであり、合計40ダメージ分受けて残りは僅か10/70とギリギリだ。 「さあ、ファイナルブラスト!」 もう一発、激しい光の束がメタグロスを丸ごと包み込む。自然と目を塞ぎ手で耳を押さえる。大気の震えで体がガクガク震える。本当にこれが3Dなのか、なんていう迫力、パワーだ。もちろんワザとしての威力は言うまでもない。今バトル場にいるメタグロスは当然気絶となる。 「次もメタグロスをバトル場に!」 「サイドを引いて終わりだ。これで残りのサイドは二枚だね」 そう、中西さんのサイドは既に表向きになっているミラクル・ダイヤモンドとミステリアス・パールだけだ。 「まだまだ! 僕のターン、メタグロスに闘エネルギーをつけてミズゴロウをヌマクロー60/60(グラビテーション計算済み)に進化させてメタグロスでジオインパクト!」 メタグロスが腕で地面をえぐりながらレックウザC LV.Xに接近し、腕を勢いよく地面から離すとレックウザC LV.Xを下から上へ殴りつける。上へ殴り飛ばされたレックウザC LV.XはHPバーを0に減らしつつ宙を舞うと、そのまま自由落下していく。ズドンと重い音を鳴らして崩れていった。 「む……。それではジュペッタをバトル場に出そう」 「サイドを一枚引いてターンエンド!」 まだ僕のサイドは四枚も残っている。でもまだまだ諦めない! ようやく一番攻撃力のあるレックウザC LV.Xを倒したのだ。ここからは少し楽になるはず。 「私のターン。ダメージを受けていない方の色ミロカロスに水エネルギーをつけよう。そしてジュペッタの超エネルギーをトラッシュしてダークスイッチ!」 ジュペッタは口についているファスナを開き、顎が外れるのではないかと疑うくらい大きく開けると、口の中から火の玉と思わしきものが六つ程出てきた。そしてなんとジュペッタのHPが先ほどまで10/70だったのに対し今は70/70となっている。 それら火の玉はジュペッタの元を離れてメタグロスの傍によると、メタグロスの体の中に侵入していく。火の玉が一つ侵入していくにつれメタグロスのHPは10ずつ下がり、結果的に50/110と60も減らされてしまった。これはまるで……。 「ダメカンが入れ替わった……?」 「その通り。ジュペッタのダークスイッチは自分のエネルギーを一つトラッシュすることで、自分と相手のダメージカウンターをすべて乗せ換えるモノ。癇癪で蓄えていたダメージをここで放出したわけだ」 「ぐっ……。僕のターン! ヌマクローのポケパワーの飛び込むを発動! ベンチにこのポケモンがいるときコイントスをし、オモテの場合自分のバトルポケモンについているエネルギーをすべてこのポケモンにつけかえてバトルポケモンと入れ替える!」 ここでオモテを出しておかないと後で辛い展開になるのは必至……! 「残念、ウラだね?」 しかし無情にもオモテは出なかった。決死のポケパワーも決まらなかった。 「だったらヌマクローに水エネルギーをつけてミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからラグラージを手札に加える。ネンドールのコスモパワーでデッキの底に手札を二枚戻し、三枚ドロー」 いや、よくよく考えるとジュペッタは次のターンワザを使えない。なぜならジュペッタにワザエネルギーはなく、ワザエネルギー一個で使えるワザはダークスイッチのみ。わざわざ使う意味がないからだ。 だから飛び込むを使うタイミングを間違えていた。ある意味ウラが出てよかったかもしれない。 「メタグロスでジオインパクト!」 ジュペッタに重い一撃が襲いかかる。先ほどダークスイッチでHPをマンタンに戻したにもかかわらず再び10/70とさっきと同じHPまで下げてやった。 「私のターン。手札から水エネルギーをまだダメージを受けていない色ミロカロスにつけ、グッズカードの夜のメンテナンスを使わせてもらうおう。このカードでトラッシュにあるポケモン、基本エネルギーを合計三枚まで戻すことができる」 中西さんが指定したのは水エネルギー二枚と超エネルギー一枚。エネルギー蒐集に回ろうとしているのか? 「そしてターンエンドとしておこう」 やはりジュペッタは棄てに入ったか。しかしそれでも中西さんの手札は再び0になっていた。 「僕のターン。手札の闘エネルギーをヌマクローにつけて飛び込む!」 今度のコイントスはきっちりオモテ。メタグロスの鋼、闘、特殊鋼エネルギーをも引き継ぐことになった。 「ここでヌマクローをラグラージ110/110(計算済み)に進化し、押し倒す攻撃。今ラグラージには闘エネルギーが二つついているから、60に20足して80ダメージ!」 残りHP10のジュペッタを一撃であっさり倒してしまうオーバーキルだ。次のポケモンには先ほどからエネルギーをちまちまと蓄え続けていた色ミロカロス60/60。本当は引きずり出すでこちらを攻撃したかったのだが相手の手札は0枚、アクアミラージュでダメージを与えられない。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「私のターン。ネンドールのポケパワー、コスモパワーで今引いたカードをデッキの底に戻し、手札が六枚になるようにつまり六枚引かせてもらう。ベンチにカゲボウズ30/30、ヒンバス10/10(どちらも計算済み)を出し、ミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻してデッキからミロカロスを手札に加えるよ。そして破れた時空の効果でヒンバスをミロカロス70/70(計算済み)に進化し、カゲボウズにポケモンの道具の達人の帯をつける。この効果でカゲボウズのHPと与えるワザのダメージは20ずつ上がりHPは50/50となる。そして最後にバトル場の色ミロカロスに水エネルギーをつけて引き潮攻撃だ」 ラグラージの背後から襲いかかる波はラグラージを大きく飲み込みダメージを与える。今バトル場にいるミロカロスはダメージを受けていず、引き潮の効果で与えるダメージは80のままだ。これであっさりとラグラージのHPは30/110へと減らされてしまう。 「さあ、君のターンだ。と言っても私の色ミロカロスにダメージを与えることができるかな?」 「出来るさ」 「……?」 「僕のターン。手札からサポーターカードのハンサムの捜査を発動!」 「ハンサムの捜査……。そうかその手が!」 「このカードは相手の手札を確認し、そののち自分か相手を指定して指定されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻して手札が五枚までドローしなくてはならない。そうすればそのハンドレスコンボも終わりだ!」 「くっ……」 中西さんが初めて苦しい表情を見せ、カードを二枚ドローする。ハンサムの捜査は五枚「まで」ドローするカードなので一枚以上五枚以下であれば任意の数だけ引くことができるのだ。 「ベンチのメタグロスに水エネルギーをつけてラグラージで色ミロカロスに押し倒す攻撃!」 ラグラージがミロカロスに向かって飛びかかる。ズン。と鈍い、重い音を立てて色ミロカロスはバランスを崩すと、そのままラグラージの下敷きになってしまった。 「闘エネルギーが二枚ついているから80ダメージ、その色ミロカロスは気絶! サイドを一枚引いてターンエンド!」 よし、この調子ならまだまだ行ける。中西さんが次に出したのはHPが僅か50/50で達人の帯をつけた、エネルギーがまだ一枚もないカゲボウズ。 達人の帯をつけるとHPとワザの威力が20ずつ上昇するものの、このポケモンが気絶したとき逆に相手はサイドを一枚多く引けるデメリットがある。 そしてラグラージには進化していないポケモンから受けるダメージを20減らすルートプロテクターというポケボディーがあるから一撃でやられるなんてそうそうないだろう。逆にこちらが次のターンカゲボウズを倒してしまえば僕の勝ちとなる。勝てるんだ! 「私のターン。バトル場のカゲボウズに超エネルギーをつけさせてもらい、攻撃だ。ぱっと消える」 ふよふよとラグラージのそばにやってきたカゲボウズが、頭の棘でチクリとラグラージに攻撃する。見た目通りの威力のなさそうなワザだ。 「残念ですけどラグラージにはルートプロテクターというポケボディーがあって進化していない───」 「それは分かっているよ。ただいろいろ言う前に君のラグラージを確認してごらん」 一瞬何を言いたいか分からなかったが、ラグラージのHPバーを確認してすぐに分かった。残り30あったHPが尽きている。 「そんな……。50ダメージ与えないと倒せないのに」 「ぱっと消えるの元々の威力は30だが、達人の帯で20プラスされて50ダメージということだ」 「でもカゲボウズのHPは僅か、すぐに倒せば……」 「倒せれるかな?」 「!?」 中西さんの場を確認するが、なぜかバトル場にはカゲボウズではなくネンドール60/60。ベンチを探してみてもカゲボウズの姿はない。 「ぱっと消えるは自分と自分についているカードを全て手札に戻す効果がある、さすがに手札のポケモンを攻撃する術はないだろう」 「くっ……」 仕方なくメタグロス50/110を再びバトル場に繰り出す。 「サイドを引いて、これでリーチだ」 「まだまだ! 僕のターン。鋼エネルギーをメタグロスにつけてターンエンド」 「私のターン、カゲボウズ30/30(計算済み)を再びベンチに出し、カゲボウズに超エネルギーをつけてこちらもターンエンドだ」 どちらもワザエネルギーが足りなくて攻撃ができないのだ。 「僕のターン、手札のマルチ・エネルギーをメタグロスにつけてジオインパクト!」 重い一撃がネンドールの足元から襲いかかる。巨体が空を舞って無抵抗に落ちていく。HPは一撃圏内だったからこれで僕もサイドを更に一枚引いて同じくリーチになった。次に中西さんが出すポケモンが最期のポケモン。 「私はカゲボウズ(30/30)をバトル場に出そう」 カゲボウズが出たという事は……。 「そして私のターン。カゲボウズに達人の帯をつけてぱっと消える!」 中西さんの最後の攻撃がメタグロスに襲いかかる。 「くっ……」 ヌマクローで飛び込むをした際に特殊鋼エネルギーも移動させてしまったのが後々響いてしまった。 やっぱり僕じゃダメだったのか……。 カゲボウズの可愛げな頭突きがきっちりメタグロスのHPを0にしていく。 中西さんは表向きになっている最後のサイドカード、ミステリアス・パールを引いてこの勝負を終わらせた。 持てる力を出したはずだが、それでもまだ及ばなかった。少し目頭が熱くなった、もしかすると潤目になっているかもしれない。 「前と比べてかなり腕をあげたね。私のコンボを破られた時は本当に危なかったよ。でも、今回は勝たせてもらった」 中西さんは優しげな眼でこちらを見つめている。 「次はどうなるかは分からないけどね。また、機会があればそのときは……」 そう言って中西さんは去って行った。 悔しかった。中西さんが僕を認めてくれたのは嬉しかったが、ポケモンカードでこんなに悔しかったのは初めてだ。 抑えていた感情が急に溢れそうになったのでバトルベルトとデッキを急いで直すと人気のないところに走って行った。
向井「今回のキーカードはレックウザC LV.X。 圧倒的なそのパワー。威力200は最高火力! 手札が0なら何回でも打てる!」
レックウザC LV.X HP120 無 (DPt3) ポケボディー ドラゴンスピリット このポケモンが、バトル場で相手のワザのダメージを受けたとき(このポケモンのHPがなくなった場合はのぞく)、自分のトラッシュのエネルギーを1枚、このポケモンにつけてよい。 水超闘無 ファイナルブラスト 200 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。自分の手札が1枚もないなら、エネルギーをトラッシュする効果はなくなる。 ─このカードは、バトル場のレックウザC[チャンピオン]に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 無×2 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── 向井剛の使用デッキ 「力と技」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-821.html
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真摯 ( No.92 ) |
- 日時: 2010/09/12 09:49
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 健闘虚しく破れてしまった向井だったが、その隣では藤原が開始僅か七分で相手を仕留めるという速攻プレイで準々決勝を決めた。
その準々決勝で藤原が戦うのは能力者の高津。高津のプレイを見ていたが、強烈なパワーで相手をねじ込むタイプのプレイヤーのようだ。 そしてこの二回戦、今から俺、翔、長岡と戦う訳だがもう一戦は能力者の山本と松野さんの勝負。 彼女のことだから負けるだなんてことは微塵も思っていない。だから俺はただただ上へ進むことを望むだけだ。 このPCC、能力者の事で頭がいっぱいになっているがあくまで普通の公式大会なのだ。 東京の予選を勝ち抜いて、全国大会へと出場。果ては世界大会へ行って頂点を目指すのはここにいる誰もが思っていること。 例外なくこの俺もそうだ。こんなとこで負けてられない。少なくとも全国へ行って「あいつ」にリベンジを……。 「風見、そろそろ行こうぜ」 「ああ」 長岡が俺の肩をポンと叩くと、先に向かって行った。この二回戦、俺と長岡の両方が勝てばこいつと当たることになる。 まだポケモンカードを初めて一年どころか半年も経っていないが、持ち前の運の強さはもちろん実力も着々とついているのは認めよう。だからといって負ける気はさらさらない。なにしろ風見杯では勝っているのだ、どちらかというと得意な相手の部類に入るだろう。 とはいえまずはこの二回戦だ。勝ちにいかないと。この試合も勝って、その次も勝たないと。 「よろしく」 「よろしくお願いします!」 対戦相手は井上 心大(いのがみ しんた)という一つ年下の小柄な少年だ。一見すると活発そうに見える外はねの黒髪だが、そう見えないのは臆病そうにおどおどとした表情のせいだろう。 黒のハイネックに橙色系のパーカー。紺のニット帽を深めに被っている。 最初のポケモンは井上がポリゴン50/50、俺のバトル場にはコイキング30/30とベンチにタツベイ50/50。 「僕の先攻で行きます。ポリゴンに超エネルギーをつけて、ポリゴンのワザの計算を使用。その効果で自分のデッキの上三枚を確認し、そのカードを好きな順番に入れ替えることができます」 相手は序盤は様子見から始めるのだろう。定石だ。 「俺のターン、ドロー!」 初戦は手札の運がよく非常に流れの早いバトルで相手をいなしたが、今回は芳しくないようだ。序盤から苦しい展開は必至だが、それでも最善の手を選んで自分の流れが来るまで耐えるしかない。 「手札からスタジアムカードの破れた時空を使わせてもらう。このカードがあるとき、互いのプレイヤーはその番に場に出た、及びその番に進化したポケモンも進化させることができる。俺はコイキングをギャラドスに進化させよう」 まだ小さなポケモンしか場にいなかった中、急にギャラドス130/130という大型ポケモンが現れたことによって途端に場全体にプレッシャーが降りかかる。 井上は一瞬びくっ、と体を震わせたがそれでも目にははっきり闘志のようなものを感じた。芯が強いタイプだろう、こういうタイプは中々折れないため意外と厄介だ。 「タツベイに水エネルギーをつけ、手札からサポーターカードのハマナのリサーチを発動する。デッキからヤジロンとコイキングを手札に加え、ヤジロン(50/50)をベンチに出してターンエンド」 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを計二枚まで選んで手札に加えれるカードだ。 そしてギャラドスは使えるワザがないので今はターンエンドするしかない。 「僕の番です。ドロー! ポリゴンをポリゴン2に進化させ、ポリゴン2のポケパワーのダウンロードを発動します。ダウンロードは手札のサポーターをトラッシュすることでそのカードの効果をこのポケパワーとして扱います。僕はハマナのリサーチをトラッシュしてその効果を得ます。デッキからムクホークFBとポリゴンを加え、それぞれをベンチに出します」 井上のベンチにポリゴン50/50とムクホークFB80/80が現れる。ここからどう仕掛ける。 「そしてサポーターカードを発動。ミズキの検索。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを手札に加えます。僕はユクシーを選択。さらに特殊エネルギーのワープエネルギーをポリゴン2につけることでワープエネルギーの効果を使います。ワープエネルギーをバトルポケモンにつけたとき、バトルポケモンをベンチポケモンと入れ替えます! よってポリゴン2とポリゴンを入れ替えてターンエンド」 もうターンエンドするのか? 攻撃しなくていいのか? 相手も引きが悪いとみなすか、攻撃を誘っているとみなすかだがどちらにせよ立ちふさがる敵をなぎ倒すだけだ。 「だったら行かせてもらおう。俺のターン! 手札のサポーター、スージーの抽選を発動。手札を二枚トラッシュして四枚ドロー」 スージーの抽選においてドローは副次的なもの。一番肝心なのはカードをトラッシュすることにある。 手札を効率よく捨てるカードが少ないポケモンカードでは貴重な一枚だ。 「ミズキの検索を発動だ。手札を一枚戻しデッキからネンドールを加え、ヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる」 今の手札は三枚。最初の良くない手札をなんとかここまで持っていくことができた。しかしこのデッキは手札を結構消費するから供給も絶えず必要だ。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワー。手札を二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるまでドロー」 三枚から二枚減らしたので五枚ドロー出来る。さっきの手札になかったエネルギーがようやっと来た。 「タツベイに水エネルギーをつけてギャラドスで攻撃。リベンジテール!」 「エネルギーなしで攻撃!?」 「リベンジテールはエネルギーなしで攻撃出来る。そしてその威力はトラッシュにいるコイキングの数×30だ」 「でもトラッシュにコイキングは……」 ギャラドスが体を大きくうねらせて尻尾で井上のポリゴンを上から叩きつける。弾かれたボールのように飛んで行ったポリゴンのHPバーは0。 「先ほど使ったスージーの抽選のコストでトラッシュしたカード、それはコイキングが二枚だ。よって30×2=60となってポリゴンのHPを削り切るには十分だ」 井上はまさか、というような困惑した表情を浮かべるとムクホークFBをバトル場に送りだした。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「えっと僕のターン。ムクホークFBをムクホークFB LV.Xにレベルアップさせてベンチのポリゴン2と入れ替えます!」 ムクホークFB LV.X100/100は逃げるエネルギーを必要としないポケモンだ。そしてすぐにベンチに戻すという事は戦わせるのがメインではなくてベンチにいさせるのがメイン、つまり置物タイプのポケモンか。 「ポリゴン2のダウンロードでデンジの哲学を発動。手札のアンノーンGをトラッシュし、手札が六枚になるまでドローします」 井上は今手札をトラッシュすることで一枚となった。つまり五枚もカードを引くのか。 「ワザマシンTS−1を二枚ポリゴン2につけ、さらにワザマシンTS−2も一枚ポリゴン2につけます」 「……ワザマシンか」 ワザマシンはポケモンの道具のようにつけれ、そのテキストにかかれているワザをつけたポケモンのワザとして使う事が出来る。 まったく使えないことはないのだが、たかが知れている程度の効果なのでデッキに入れる必要性がそこまでない。 しかも一匹に対し一枚使うならともかく、同じワザマシンが重複している中で三枚もつけるのは異端なんてレベルじゃない。 「ベンチのムクホークFB LV.Xのポケパワーを使います。ファーストコール!」 ムクホークFB LV.Xは両翼を広げると、天井に向かって大きく鳴き声を上げる。まるで何かを呼んでいるかのようだ。 「ファーストコールは自分の番に一度だけ使え、山札のサポーターを相手に見せてから手札に加える効果を持ちます。よって僕はミズキの検索を手札に加えて発動。手札を一枚戻してポリゴンZを手札に加え、バトル場のポリゴン2に進化させます」 こっちがエースポケモンか? ポリゴンZ120/120は進化するやいなや、首を360度回転しているが無表情なせいで周りの出来事に興味がなさそうだ。 「そして手札からベンチにユクシーを出してセットアップを発動」 セットアップはユクシー70/70を手札からベンチに出した時のみ使え、手札が七枚になるようにドローする非常に強力なドローソースである。井上はその効果で六枚も新たにドローする。 「超エネルギーをムクホークFB LV.Xに、ワザマシンTS−2を二枚ポリゴンZにつけます」 これで計五枚のワザマシンがポリゴンZについたことになる。ここまでワザマシンをつける意味は一体なんだ? ワザマシンTS−1にはエヴォリューターというワザがあり、自分のデッキから自分のポケモン一匹から進化するカードを選びそのポケモンの上に乗せて進化させる進化促成のワザ。 そしてワザマシンTS−2はデヴォリューターがあり、相手の進化ポケモン一匹を一進化分退化させるという風変わりでトリッキーなワザを覚えさせることが出来る。 しかし大量につける意味はどこにもない。一枚あれば十分なのになぜこうも五枚もつけるのか。 「ポリゴンZでギャラドスに攻撃。熱暴走!」 首を回していたポリゴンZの動きが急に止まると、ヒーターのようにポリゴンZの体が真っ赤に輝き出し、そこから熱量を持った電子が四方八方へ放出される。 ギャラドスは非常に痛々しそうな表情を作るもなんとか堪えようとする。しかし無情にも130もあるHPがあっという間に0へ。HPバーが空になったギャラドスはついに自重を支える力を失い倒れ伏す。嘘だろう。まだこんな早いターンで130オーバーのダメージを叩き出すだと? 「熱暴走はワザマシンの数×20ダメージ威力を上げることが出来るワザ。よって元の威力40に20×5を足して140ダメージです!」 なるほど、あの大量のワザマシンにはそういう意図があったのか。ポリゴンZをどうにかしたいところだが、こちらは一撃で120ダメージを叩き出せるポケモンもいない。ベンチにはネンドール80/80とタツベイ50/50しかいないのだ。仕方ない、ドローソースのネンドールを捨てて準備を整えるしかないだろう。 「俺はネンドールを次のポケモンに選ぶ」 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 「よし、行くぞ。俺のターン。タツベイに炎エネルギーをつけ、コモルー(80/80)に進化させる。そしてハマナのリサーチを発動しデッキからコイキングとヤジロンを手札に加えそれぞれベンチに出す」 コイキング30/30とヤジロン50/50を出したことでベンチのポケモン総数が井上を上回る。しかし皆が皆低HPで育ちあがっていない。あまり使いたくないカードだが止む得ずだ。 「グッズの時空の歪みを発動。コイントスを三回し、オモテの回数分トラッシュからポケモンを手札に加えることが出来る」 コイントス運がことごとく弱い俺だが、他のカードではトラッシュのポケモンをデッキに戻せても手札に戻せない。苦肉の策だ。 ウラ、ウラ、オモテ。かろうじてオモテが出たことに安堵し、トラッシュのギャラドスを手札に戻す。 「手札に戻したギャラドス(130/130)をコイキングから進化させ、ネンドールのコスモパワーを発動。二枚戻して三枚ドローだ。ターンエンド」 ギャラドスを立てることはなんとか叶ったが、ネンドールを逃げさせることが出来ない。こちらも苦肉の策、チャンスを待とう。 「僕のターンです。ムクホークFB LV.Xのファーストコールでデッキからサポーターのオーキド博士の訪問を加え発動します。デッキから三枚ドローし、手札を一枚デッキの底に戻す。そしてベンチに新しいポリゴン(50/50)を出してポリゴンに超エネルギーをつけます」 やはりというかファーストコールで常にサポーターを引き当てることが出来るためバトルの組み立てが早い。ポリゴンZも勿論厄介だがムクホークFB LV.Xも中々凶悪だ。 「さらにポリゴンにワザマシンTS−1をつけ、アグノムをベンチに出します。そしてアグノムのポケパワー、タイムウォーク!」 タイムウォークは自分のサイドを確認し、その中のポケモンのカードを一枚手札に加えてその代わり自分の手札一枚を戻すことが出来る便利なポケパワーだ。 いわゆるサイド落ちしたカードを回収することが出来る上に自分のサイドのどこに何があるかという情報を得ることが出来る。 相手のポケモンを倒してサイドを引く際に適当に引いて、望んだカードでないときがあるのでそれを未然に防ぐのにも役立つ。 「僕はポリゴンZを手札に加え、手札のカードを一枚サイドに戻す。そしてポリゴンZで熱暴走!」 ポリゴンZから再び激しい攻撃が発せられネンドールを襲う。HPが80/80のネンドールはその倍近くある140ダメージを受けて気絶させられてしまう。 「なら次はもう一度ギャラドスで行かせてもらう」 「うん、サイドを一枚引いてターンエンドです」 俺よりも一枚少ない井上のサイドはまだ四枚。そうだ、まだまだ序盤。今回俺がこの大会に懸ける想いはここで負けて終わるようなもんじゃない。ポリゴンZを破る策は整った、これから逆転へ向かって進むだけだ。
風見「今回のキーカードはポリゴンZ。 ワザマシンをつけることでワザの威力がより強力になる。 200ダメージを叩き出すのも夢じゃないぞ」
ポリゴンZLv.56 HP120 無 (PROMO) ポケパワー インストール 自分の番に何回でも使える。自分のポケモンについている「ワザマシン」を1枚、自分の別のポケモンにつけ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 ─ ラーニング 自分の山札から、自分のポケモン1匹からレベルアップする「ポケモンLV.X」を1枚選び、そのポケモンの上にのせ、レベルアップさせる。その後、山札を切る。 無無 ねつぼうそう 40+ 自分についている「ワザマシン」の数×20ダメージを追加。 弱点 闘+30 抵抗力 にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「ホクロ七星」 (次の授業が体育なので着替え中) 蜂谷「新しくギャツビーの制汗スプレー買ってみたんだけど授業の後使ってみる?」 拓哉「ゴキジェット?」 蜂谷「ベタなボケありがとう。っていうか拓哉がボケたのか、なんか斬新」 (シャツを脱ぎ蜂谷は上半身すっぽんぽんに) 蜂谷「三月は涼しいから体育にはちょうどいいよな」 翔「あれ?」 蜂谷「どうかした?」 翔「それってもしかして」 (蜂谷に近づく翔) 翔「胸に七つのホクロを持つ男!」 蜂谷「うわっ、ちょうど北斗七星の形に……」 翔「ホクロ神拳!」 蜂谷「ねーよ!」 翔「ホクロ毛(ホクロから生える毛)が見える」 蜂谷「死兆星が見えるみたいに言うな言うな」 拓哉「あれ、でもこれ」 (拓哉は蜂谷に近づき蜂谷のホクロ七星のうちの一個のホクロを指す) 拓哉「ここにもホクロあるね」 蜂谷「死兆星の位置にホクロが! 俺もう死ぬの!? ってかラオウと戦える資 格あるじゃん!(っていうか俺ケンシロウポジションじゃないの?)」 翔「ラオウなら」(と言って恭介を指差す) 蜂谷「髪の色しか一致してねーぞ!」 恭介「我が生涯に一片の悔い無し!」 蜂谷「しかももう死んでるし!」
(このあと授業のバスケで蜂谷は突き指しました)
─── BW発売まで一週間切りました! そしてポケカBWも! なのに小説ではLEGENDさえ出てない。正直PCC編の最初にレギュレーション縛ったのはやっちゃった感がある
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残骸 ( No.94 ) |
- 日時: 2011/01/25 18:56
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- (ここに載っていたHFは別スレに移動しました)
─── 中西哲の使用デッキ 「これが大人だ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-830.html
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情熱 ( No.95 ) |
- 日時: 2010/10/03 11:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 臆病そうな見た目に反して、大胆でいて力強いプレイングだ。
俺のバトル場にはギャラドス130/130。ベンチにはヤジロン50/50と炎エネルギーが一枚、水エネルギーが二枚ついたコモルー80/80。残りのサイドは五枚。 対戦相手の井上心大のバトル場は超、ワープエネルギーとワザマシンTS−1が二つ、ワザマシンTS−2が三つついたポリゴンZ120/120、ベンチにはユクシー70/70、アグノム70/70、超エネルギーとワザマシンTS−1がついているポリゴン50/50、そして超エネルギーのついたムクホークFB LV.X100/100。そして残りのサイドカードは俺より一枚少ない四枚となっている。 ベンチの充実具合でも俺の方が劣っている。そして井上には常にサポーターカードを供給できるムクホークFB LV.X、140ダメージを叩き出すことのできるポリゴンZと難敵が揃っている。 「俺のターン。サポーターのミズキの検索を使う」 手札のスージーの抽選をデッキに戻してボーマンダをサーチする。今回の俺のデッキのエースはギャラドスだけでなく、ボーマンダとの二大エースだ。 「炎エネルギーをコモルーにつけてボーマンダに進化させる」 大型ドラゴンのボーマンダ140/140がベンチに現れ、雄叫びをあげる。迫力のあまり井上は少し体を震わせた。 「ギャラドスでポリゴンZを攻撃。リベンジテール!」 先ほどはコイキングが二匹しかトラッシュにいなかったが今は三匹いる。よって与えるダメージは30×3=90。ポリゴンZのHPも半分を切り30/120。 90や140という大台ダメージが序盤から飛びまくっている。ここまで乱打戦になるとは戦う前の井上の印象を見ると予想だにしてなかった。 「俺はターンエンドだ」 「それじゃあ僕のターン。ムクホークFB LV.Xのファーストコールでデッキからミズキの検索を手札に加えて効果発動。僕は手札を一枚戻してポリゴン2をデッキから加え、ポリゴンを進化させます」 角ばったポリゴンのフォルムが白い光に包まれながら丸みを帯び、ポリゴン270/70に進化してゆく。 「ポリゴン2のダウンロードでオーキド博士の訪問を選択。ポリゴン2のポケパワー、ダウンロードは手札のサポーターをトラッシュする効果でその効果を得ることが出来る。僕は三枚ドローして一枚デッキボトムに戻します」 一ターンにサポーター二枚を使って自分の場を出来るだけ綺麗に整えていくこの素早さが井上の戦法だろうか。そしてポリゴンZの熱暴走の恐ろしい威力で相手の場が立つ前に倒しきるみたいだ。 「ムクホークFB LV.Xに超エネルギーをつけ、ポリゴン2にワザマシンTS−2を一枚つけて攻撃します。ポリゴンZで熱暴走!」 熱を帯びて真っ赤に染まりゆくポリゴンZが溜めていた熱を四方八方に飛ばしていく。異常な熱気に包まれただろうギャラドスのHPはみるみる削られて0。 熱暴走の威力は基本ダメージ40に、ポリゴンZがつけているワザマシンの数×20ダメージ増えていく。今ポリゴンZにはワザマシンが五つあるので、40+20×5=140ダメージ、130しかHPのないギャラドスはあっさり倒れるしかない。 しかしこれで問題はない。むしろ十分良いほどに事が運んでいる。 「ボーマンダをバトル場に出そう」 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 「よし、俺のターン!」 引いたカードはミズキの検索。いいところに来たもんだ。 「サポーターカード、ミズキの検索を使わせてもらう。俺は手札を一枚デッキに戻してネンドール(80/80)を手札に加え、ベンチのヤジロンをそれに進化させる」 今の手札は二枚。ネンドールのポケパワーであるコスモパワーをめいいっぱい使うにはベストな状態だが、ここでもう一枚だけ使わせてもらおう。 「俺は手札の水エネルギーをボーマンダにつけてからネンドールのコスモパワーを発動だ。手札を一枚戻し、六枚に手札がなるようドロー。俺の手札は一枚戻したことによって0。よって六枚ドローだ」 井上には火力だけでなく速攻性でも完全に後れを取っている。俺のポケモンは残り二匹だけで、サイドも井上は残り三枚しかない。 しかしそれでも井上には弱点があった。 「手札からタツベイ(50/50)をベンチに出し、エムリット(70/70)をベンチに出す。更にこの瞬間、エムリットのポケパワーが発動する。サイコバインド!」 井上の場の全てのポケモンの周りに一匹に対しそれぞれ二つの紫色の輪っかが現れる。しかしそれらの輪っかは何をするでもなく井上のポケモンの周りを舞っているだけだ。 「このポケパワーはエムリットをベンチに手札から出した時に使えるもの。次の相手の番、相手プレイヤーはポケパワーを使う事ができなくなる」 これはムクホークFB LV.Xとポリゴン2のシナジーを抑えるためのモノ。これ以上都合勝手にはさせない。 「そしてボーマンダで直撃攻撃!」 ボーマンダが勢いよく体一つでポリゴンZに猛スピードで突進していく。飛行機にはねられたかのような強力な一撃がポリゴンZを簡単に吹き飛ばした。 もちろん吹き飛ばしたのはポリゴンZの体だけではなく、HPもだ。直撃は相手の弱点、抵抗力、ワザの効果に無関係に50ダメージを与えるワザ。残りHP30のポリゴンZは50ダメージを受け0、気絶だ。 ただしこれはただの気絶よりも強力な意味合いを持つ。ポリゴンZ以外にも進化前、ついているエネルギーもそうだが何よりワザマシンもトラッシュされること。 ワザマシンは一度トラッシュに行ってしまえば墓地から回収することは困難極まりない。つまりこれ以上今ベンチにいるポリゴン2にワザマシンが新たにつけられる可能性が極めて低いのだ。 このポリゴンZを倒したことで井上のポケモンの火力は全体的にダウンする。現に井上の表情は早くも曇っていた。 「ポリゴン2をバトル場に出します……」 「俺もサイドを引かせてもらおう。ターンエンドだ」 「僕のターン」 井上のターンが始まると同時に井上の場の全てのポケモンが、先ほど現れた二つの紫色の輪っかに絞めつけられる。これで相手のポケパワーは封じられた。 「僕は、ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサイクロンエネルギーをポリゴンZにつけ、その効果を発動します」 サイクロンエネルギーがポリゴンZにつけた刹那、ボーマンダの足元から竜巻が現れてベンチに強制的に飛ばされてしまった。 「サイクロンエネルギーは無色エネルギー一個ぶんとして働き、このカードを手札からバトルポケモンにつけたとき、相手のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替えさせる。入れ替えるポケモンは相手が選びます」 まだ自分で選べるだけいくらかマシだろう。 「エムリットをバトル場に出そう」 「サポーター、クロツグの貢献を発動します。その効果でトラッシュのポケモン、基本エネルギーを合計五枚までデッキに戻せるので僕は超エネルギー、アンノーンG、ポリゴン、ポリゴン2、ポリゴンZを選択します」 五枚トラッシュから回収することで少なくなったデッキを補ったのだろう。 「ポリゴンZで熱暴走攻撃!」 今ポリゴンZについているワザマシンの数は三つ。よって与えるダメージは40+20×3=100、エムリットの最大HP70を上回る一撃になる。 一匹目のポリゴンZが倒されたら倒されたですぐに戦法を変えてくるところは評価できる。 倒されたエムリットの代わりに再びボーマンダをバトル場に出した。 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 ターンエンドと同時に井上のポケモンを縛り付けていた二つの紫の輪っかは消滅していく。 「俺のターンだ。ドロー!」 すでに井上のサイドは残り二枚。しかし焦ることはない、戦術は既に整っている。 「グッズカード、不思議なアメを手札から発動。ベンチのタツベイをボーマンダ(140/140)へと進化させ炎エネルギーをつける! ネンドールにポケモンの道具、ベンチシールドもつけよう」 ベンチシールドはこのポケモンがベンチにいる限りワザによるダメージを守るもの。井上のポケモンでそういう攻撃を仕掛けるポケモンは今のところ見当たらないが念には念を、だ。 「コスモパワーを発動し、手札を二枚デッキの底に戻す。そして六枚ドローだ。ミズキの検索を使う。手札を一枚戻しレジアイスを手札に加える。そしてボーマンダで攻撃を仕掛けよう。水エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 バトル場のボーマンダが大きく地面を踏みならすとベンチにいるムクホークFB LV.Xの足元から強力な水柱が現れてムクホークFB LV.Xに強力なダメージを与える。 「ベンチにっ!?」 「ドラゴンフィニッシュは攻撃前に水エネルギー二枚または炎エネルギー二枚をトラッシュしなければならない厄介なワザだ。だがトラッシュするエネルギーによってワザの効果が変わる面白いワザでもある。そして水エネルギーを二枚トラッシュした場合、相手のベンチポケモン一匹に100ダメージを与える」 水柱が無くなり、高く飛ばされていたムクホークFB LV.X0/100が力なく落ちてゆく。 「これでサポーターを自由に供給できなくなったな。サイドを一枚引いてターンエンド」 サイドは俺が残り三枚、井上が残り二枚。そろそろバトルも最終段階というところか。 「僕のターン。ハマナのリサーチを発動。デッキからポリゴン、超エネルギーを手札に加えてベンチにポリゴン50/50を出して超エネルギーをつけます。ここでバトル場のポリゴンZをポリゴンZLV.Xにレベルアップ!」 ここでレベルアップか。だがしかしポリゴンZLV.X130/130には新たに攻撃ワザがなく、その代わりポケパワーが二つあるだけだ。 しかもそのうちのポケパワーの一つ、モードクラッシュはレベルアップさせたときに使え、相手の場の特殊エネルギーをトラッシュするもの。俺の場には特殊エネルギーなど一枚もない。 「ポリゴンZLV.Xのポケパワー、デコードを発動します。自分のターンに一度だけ使え、自分の山札の好きなカードを二枚選び出しデッキをシャッフル。そののち選んだカードを好きな順にして山札の上に戻します。最後にポリゴンZLV.X熱暴走攻撃!」 レベルアップしたからとはいえワザの威力は変わらない。100ダメージは非常に強力な一撃だがHP140のボーマンダを倒すには足りない。 「俺のターン。バトル場のボーマンダに水エネルギーをつけ、スージーの抽選を発動。手札の不思議なアメを二枚トラッシュして四枚ドロー。ボーマンダの炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 先ほどとは違い、ボーマンダの口から灼熱の炎が放たれバトル場のポリゴンZLV.Xを焼き尽くす。 炎エネルギーを二枚トラッシュしたドラゴンフィニッシュは、相手のバトルポケモンに対し100ダメージを与えるもの。ポリゴンZに比べると同じダメージでもいささか効率の悪いように見えるかもしれない。 しかしそれも今のうちは、だ。ポリゴンZLV.Xの残りHPは30/130。あと一歩というところにまで体力を減らせば十分だ。 「……、心を、心を強く!」 井上は胸に手をあて深く深呼吸をする。最後に両手で両頬をパチンと叩くと落ち着いた眼差しで場を睨んでいた。 「僕のターン。手札からハンサムの訪問を使います。その効果でまず相手の手札を確認できる」 自分の手札のカードを井上に見せる。手札は七枚あるが、特にこれといった特徴のない手札である。ハンサムの捜査はこの後自分か相手を選択して選択されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻しシャッフル、その後五枚までドロー出来る。井上は自分を選択して新たにカードをドローした。 「ベンチにいるポリゴンをポリゴン2(70/70)に進化させてポリゴン2のダウンロードを発動! 手札のハマナのリサーチをトラッシュし、デッキから超エネルギーとユクシーを手札に加えます。そして超エネルギーをポリゴン2につけ、ポリゴンZLV.Xで熱暴走攻撃!」 100ダメージの攻撃がボーマンダに止めを刺す。俺の次のポケモンは引き続きベンチに控えていたボーマンダだが、井上はボーマンダを倒したことによってサイドを一枚ドロー。よって残りのサイドが一枚となった。 「よし」 井上は胸に手を当て一息ついた。終盤に来てサイド差二枚はひっくりかえせまいと思っているからか。 「……。俺のターンだ! 手札の水エネルギーをボーマンダにつけてサポーターのクロツグの貢献を発動。トラッシュの水エネルギー二枚、炎エネルギー一枚とコイキング、ギャラドスをデッキに戻しシャッフルする。そしてボーマンダでポリゴンZLV.Xに直撃攻撃!」 弾丸のようなスピードでボーマンダがポリゴンZLV.Xに突撃する。固定50ダメージは残りHP30のポリゴンZLV.Xを確実に気絶させた。 「くっ! 僕はポリゴン2をバトル場に出します!」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 六、七、八。ジャストだな。PCCのレギュレーションでポリゴンZにつけれるワザマシンは八枚。そしてトラッシュに送ってやったワザマシンは八枚だ。これで完全に井上の攻めの芽を完全に摘んだ。 井上の攻撃パターンは基本的にポリゴンZの熱暴走のみ。他のポケモンは全てそれにおいてのアシスト。 そしてエネルギーもサイクロン、ワープエネルギーを組んでいるところからみていち早く相手のポケモンを倒すことをモットーとしている。 熱暴走の火力を上げるワザマシンは何度も言っているがサルベージの方法がごくわずかなので、ポリゴンZが倒されると同時にトラッシュされると熱暴走の元の威力40から火力を上げれずただの平凡な、むしろ二進化にしては虚弱なポケモンでしかない。 よってワザマシンが無くなる前に、いわゆる「殺られる前に殺る」戦法の相手にはその剣を叩き折ってしまえばいい。ワザマシンが切れた井上はもはや恐れるに足らず、だ。 「こ、……」 井上が弱弱しく右手を挙げながら震える声で発する。 「こ?」 「降参し───」 「ふざけるなァ!」 降参しかけた井上に対し、俺はバトルテーブルを右手で強く叩きつけ大きく一喝する。周りが一瞬で静まり返ったように思える。 「お前がこのPCCに賭けている情熱はその程度なのか? お前はそんな生半可な気持ちで今ここにいるのか?」 驚きと困惑が交差している井上は上げかけていた右手を下ろす。だがしかし、井上のリアクションはそれだけで、特に何も言い返しそうにないので勝手に続けることにした。 「勝ったものには負けたものの気持ちを受け継ぐ義務がある。お前がこのPCC二回戦に勝ち進むまでに倒した相手は四人だ。四人分の気持ちをお前は背負っているんだ。勝ちたかった、もっと上へ進みたかった。お前が倒した相手は皆が皆そう思っていただろう。そして倒した相手はお前に自分のぶんまで戦ってほしいと想いを託したはずだ! なのにお前のそのザマはなんだ! 自分が少し不利になったからといって降参? そんな態度でお前に敗れたヤツらは喜ぶのか? 喜ぶわけがないだろ!」 「ぼ、僕は……」 「降参するのも自由だ。しかし諦めずに戦いを続けるのも自由だ。だが、その想いを背負わず捨てたりすることは許さん。それを背負った上でせめて自分の真っすぐな気持ちをプレイにぶつけてみろ!」 「……。僕の、ターン!」 再び井上の目に強い闘志が蘇った。 あのまま降参させれば俺が勝っていた? そんなのでは満足しない。去年の九月、翔と出会うまではポケモンカードがこんなに熱いものとは知らなかった。楽しいのは楽しいがただただ単純に勝利を求めるだけの俺に、それ以外の良さを教えてくれた翔のように。俺も全ての感情をぶつけあう、そういう熱い勝負がしたいのだ。今の井上のように。 「ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサポーターカードを発動。マイのお願い! 自分のトラッシュから名前の違うトレーナーのカードを二枚選び相手プレイヤーに見せて、そのうち一枚を相手が選択。そして選択されたカードを手札に加え残りをトラッシュする! 僕はワザマシンTS−1、ワザマシンTS−2を選択!」 「なるほど、どっちにしろワザマシンしか選ばせないというわけか。TS−1を選択する」 「僕はワザマシンTS−1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」 40+20×1=60のダメージ。ボーマンダの豊富なHPが幸いして80/140と半分以上余している。 だが油断は一切出来ない。次のターンにもう一度マイのお願いを使われてワザマシンをつければ80ダメージを食らうことになる。そうすればこちらが終わりだ。それを未然に防ぐには……。 「俺のターン! こいつをボーマンダにつけよう。達人の帯! 達人の帯をつけたポケモンは最大HP、そして与えるワザのダメージが20足される!」 もちろんデメリットとして達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合相手はサイドを余計一枚多く引ける。しかし残りサイド一枚の井上には無関係なデメリット。そしてボーマンダのHPは100/140。強化された熱暴走が来ても問題はない。 「ボーマンダに炎エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを使ってデッキから水エネルギーとクロバットGを手札に加える。そしてクロバットGをベンチに出してワープポイントを発動!」 バトル場にいるボーマンダとポリゴンZの足元に青い渦が現れて二匹を飲み込んでしまう。 「ワープポイントは互いにバトル場とベンチのポケモンを入れ替えさせるグッズカードだ。俺はベンチに出したばかりのクロバットGをバトル場にだす」 「僕はユクシーをバトル場に」 「クロバットGを逃がして(クロバットGの逃げるエネルギーはなし)ボーマンダを再びバトル場に戻す。ユクシーに直撃攻撃!」 激しい一撃がユクシー70/70に襲いかかる。ボーマンダに突き飛ばされたユクシーのHPは50+20(達人の帯)=70のダメージを受けて尽きる。 「直撃は全ての効果に関係ないんじゃあ!」 「それは『相手の効果』限定だ。ボーマンダ自身の変化は普通に受け付けるぞ」 「なっ……! ぼ、僕はポリゴンZをバトル場に出します!」 「サイドを一枚引いてターンエンド。これで共に残り一枚ずつ、だ」 残り一枚ずつとはいえどダメージを受けているボーマンダを抱えてるこちらが分が悪い。達人の帯でHP20強化したとはいえ向こうも達人の帯とワザマシンをつけてしまえばHP100は簡単に吹き飛んでしまう。 「僕のターン! マイのお願いを発動。ワザマシンTS−1、TS−2を選択」 「TS−1を選んでもらう」 「そのワザマシンTS−1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」 これで熱暴走の威力は40+20×2=80となる。ギリギリのところでボーマンダ20/160が踏みとどまった結果だ。 井上は額の汗をぬぐう。ボーマンダを倒しきれなかったのだが、その顔は先ほどのおどおどした表情と違ってむしろこの勝負自体を楽しんでいた。 「行くぞ! 俺のターン。俺の全てを、情熱を見せてやる! ボーマンダに水エネルギーをつける。そして炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 達人の帯も相まって100+20=120のダメージを与える超火力の炎がボーマンダからポリゴンZめがけて放射される。 炎のエフェクトの向こう側にいた井上も、俺が最後のサイドを引くまでこの勝負の中で一番の表情をしていた。
風見「今日のキーカードはボーマンダだ。 バトル場もベンチも、どこにだって攻撃できる。 これこそが圧倒的な力だ!」
ボーマンダLv.62 HP140 無 (DP3) 無無 ちょくげき 50 このワザは、相手の弱点・抵抗力・すべての効果に関係なく、ダメージを与える。 炎炎水水 ドラゴンフィニッシュ 自分の炎の基本エネルギーを2枚、または、水の基本エネルギーを2枚トラッシュ。炎をトラッシュしたなら、相手に100ダメージ。水をトラッシュしたなら、相手のベンチポケモン1匹に、100ダメージ。(トラッシュできないなら、このワザは失敗) 弱点 無+30 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── いつもより分量が多くなってしまいました。 そして応募キャラ全員消化終了。またいつか登場する機会があると思いますよ! もう一つ連絡。受験が本格化してきたので更新速度がさらに遅くなります。
井上心太の使用デッキ 「電脳の泉」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-835.html
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五分 ( No.96 ) |
- 日時: 2010/10/17 21:53
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 二回戦の試合が始まろうかとしていた刹那、薫が切り出してきた。
「翔とバトルしたのはこの間かーどひーろーでたまたま会った時だよな」 「だいたい二週間前くらいかな?」 「そうそう。そんで風見杯はもっと前だよな、一月くらいだったっけ」 「一月十日だったぜ。それがどうしたの?」 「いやあ、日数的には久しぶりのはずなのに、こうしていざ戦うとなるとこの間戦ったのがついさっきのように感じるんだ。もうあのときのワクワクした気持ちが来てる!」 身振り手振りで感動を伝えようとする薫。そんな姿を見ていると非常にうれしく感じる。俺と戦って喜んでくれるのは本望だ。 「だったら今から俺とあのときよりもさらにワクワクする勝負をしようぜ!」 「ああ。勝負だ!」 バトルベルトの起動の手順はもう慣れたもんだ。風見にもらったバトルベルトで既に何度か遊んだことがある。 スイッチ数は多そうに見えるが単純な手順で、後は機械が頑張って作動してくれる。 オートシャッフルのデッキポケットから手札七枚を渡される。開始手札は可もなく不可もなくといったところだ。 そして互いの最初のポケモンは、俺がアチャモ60/60、ベンチにはヤジロン50/50。向かいの薫のバトル場にはプテラGL80/80。 「先攻はあたしから。ドロー! あたしはプテラGLに闘エネルギーをつけ、ワザの持ってくるを発動。その効果でデッキから二枚ドロー!」 「ツードロー!? そんなに持ってっちゃうの!」 並のポケモンならエネルギー一個で一枚ドローだ。しかもこのプテラGL、逃げるエネルギーは0。ベンチへの攻撃手段が乏しい今回の俺のデッキにとって、引くだけ引いてベンチに逃げられると非常に厄介。ただ幸いにも薫の化石デッキは起動に時間がかかる。そこまでになんとかプテラGLを倒す術を見つけなくてはならない。 「俺のターン! 手札の炎エネルギーをアチャモにつけ、ミズキの検索を使わせてもらうぜ。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを相手に見せてから手札に加える。俺はバシャーモを手札に加える。続いて手札からグッズ、不思議なアメを発動。自分の進化していないポケモン一匹に、そのポケモンから進化する一進化または二進化カードを重ねて進化させる。俺はアチャモをバシャーモ130/130に進化させる!」 アチャモを起点に光の柱が現れアチャモをすっぽりと覆い隠す。そしてその光の柱の中でアチャモのフォルムがより屈強に、より逞しくなっていく。光の柱がすっと消えると新たに現れたバシャーモが場に向かって雄叫びを一つあげた。 「バシャーモのポケパワーだ。バーニングブレス!」 バシャーモから真っ赤な吐息が吐き出され、プテラGLを覆う。直接浴びたプテラGLのHPバーには火傷マーカーが発生した。 このバーニングブレスは自分の番に一度使え、相手を火傷にするものだ。無条件に火傷にさせることができる結構便利なものだ。 「ターンエンド。っと同時にポケモンチェックだ」 火傷の判定はポケモンチェックの度にコイントスをし、オモテならなにもないがウラならば火傷のポケモンは20ダメージを受ける。 薫が放ったコイントス(といってもバトルベルトのコイントスボタンだが)の結果はウラ。ゲームと同じようにプテラGLの体が一瞬炎に包まれHPバーを20減らして60/80となる。 「そんなのまだまだ効かない! あたしのターン! 手札のこうらの化石、かいの化石、ひみつのコハク(どれもHPは50/50)をベンチに出してこうらの化石に闘エネルギーをつける。このタイミングでこうらの化石のポケボディー、ロックリアクションが発動! 手札から闘エネルギーをこの化石につけたとき、デッキからカブト(80/80)をサーチしてこの化石に進化させる!」 「やばいな、思ったより速いな……」 しまったな、まさかこんなわずかにカブトを立てれるとは思わなかった。完全に作戦ミスか……。薫がベンチでポケモンを立てている間にプテラGLを倒す目論見は崩れる。 「プテラGLをベンチに逃がし、カブトをバトル場に出してワザを使うわ、進化促成! 自分のデッキから進化ポケモンのカードを二枚手札に加える。あたしはプテラとカブトプスを手札に入れてターンエンド」 ベンチに逃げたことでプテラGLの火傷状態は解除される。そして薫は次のターンへの布石をもう打ったのだ。 「迷っていても仕方ない! 俺のターンだ。ここはこいつだな。手札からサポーターカードのハマナのリサーチを発動だ! デッキから炎エネルギーとバシャーモFBを手札に加え、バシャーモFB(80/80)をベンチに出す!」 バシャーモFBはSPポケモンだ。こいつ単独でたねポケモン。そしてバシャーモとは同名カードではない。 二匹のバシャーモ。これが今回の俺のデッキのコンセプト。しかしそのコンセプトを完全に決めるために場を整えなくては。 「バシャーモに炎エネルギーをつける。そして手札からグッズのゴージャスボールを発動だ。デッキから好きなポケモンを手札に加える。俺はネンドール(80/80)を選択し、ベンチのヤジロンを進化させる。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを使わせてもらうぜ。このポケパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようデッキの上からドローする。俺は手札を一枚戻して、これで手札は0。よって六枚ドローだ」 まだバトルは始まったばかりだが、俺の攻撃を上手くかわしている薫の方に流れが傾きかけようとしている。 出来るだけそれを阻止しなくてはならないな。 「俺はベンチにアチャモ(60/60)を出してバシャーモのポケパワー、バーニングブレスを使う!」 真っ赤な吐息がカブトを包み込む。デメリットなしで確実にカブトを火傷にさせた。 「バシャーモで鷲掴み攻撃!」 バシャーモのがっちりとした腕がカブトを掴んではしっかり握って宙に持ち上げてしまう。ギリギリと強く握られたカブトのHPバーは40/80へとダウンする。 「この鷲掴み攻撃を受けたポケモンは次の番、逃げる事が出来ない!」 「逃がさずに火傷のダメージを与えていく戦法か!?」 「とりあえずはポケモンチェックだ」 だがしかしコイントスの結果はオモテ。カブトは火傷のダメージを受けない。 「よし。あたしのターンだ! あたしはまずカブトをカブトプスに進化させる」 カブトの体が白く光り出したところでバシャーモはその輝きから目を守ろうとカブトを鷲掴みしていた腕を離し、両腕で目をガードする。 進化したカブトプス90/130は、もうバシャーモの拘束に捕らわれることはない。鷲掴みの対象であったカブトから別のポケモンへと変わったカブトプスは自由に逃げることが出来る。さらに火傷といった状態異常も進化すれば回復する。 「そしてベンチのひみつのコハクをプテラ(80/80)へと進化させこのプテラのポケパワー、発掘を発動。デッキからかい、こうらの化石かひみつのコハクを一ターンに一度手札に加えることが出来る。あたしはかいの化石を選択。そしてベンチのかいの化石に水エネルギーをつけてポケボディー発動。アクアリアクション!」 「ロックリアクションのオムナイトバージョンか!」 「その通り! というわけでデッキのオムナイト(80/80)をかいの化石に重ねて進化!」 まずい、これで低HPのポケモンが薫の場から消えた。とはいえ80も決して高い部類ではないのだが……。 「手札のかいの化石をトラッシュ!」 化石をトラッシュする行動は……。そうだ、さっきの一回戦で薫が見せた高火力の一撃が来る! 「カブトプスの原始のカマ!」 真っ白に輝いたカブトプスのカマでバシャーモに切りかかる! 肩口から綺麗にきまった一撃で、バシャーモは攻撃された部位を腕でかばうモーションをしてみせた。 「このワザはかい、こうらの化石かひみつのコハクをトラッシュした場合、このワザの威力は50上がる!」 元の威力は20。よって20+50=70のダメージがバシャーモ60/130に決まり、半分以上のHPを奪って行った。 「さあ、翔のターンよ!」 「おし! まだまだ行くぜ。俺のターンだ! 手札からこいつをベンチに出すぜ。ヒードラン!」 ベンチから真っ赤なマグマを噴き出しながらヒードラン100/100が現れる。たねポケモンでこの高いHPがウリでもある。 「そしてサポーターのシロナの導きを発動。自分のデッキの上から七枚を確認して一枚を手札に加える。そしてそのあとシャッフルだ」 このとき手札に加えたカードは相手に見せなくてもいい。ミズキの検索などとはこの点が違う。そして加えるカードはどの種類であってもいい。 「手札から炎エネルギーをバシャーモにつけて、グッズカードのレベルMAXを発動! まずはコイントス。オモテならこのカードの効果が発動する」 ここが分岐路。上手くオモテが出ればいいが。 「おっしゃあ! オモテだ! 自分の山札から、自分のポケモン一匹からレベルアップするポケモンLV.Xを一枚選び、そのポケモンの上に乗せてレベルアップさせる。俺はヒードランをヒードランLV.X(120/120)にレベルアップさせる!」 こちらも薫に負けず劣らずのメンツが揃う。 「さらに手札を二枚デッキに戻してネンドールのコスモパワーを発動。デッキからカードを五枚引き、ベンチのアチャモをワカシャモ(80/80)に進化させる! これで攻撃だ。バシャーモで炎の渦攻撃!」 カブトプス90/130がバシャーモが放つ炎の渦に包まれて悶えている。灼熱の炎の中でうごめくそれは結構怖い。 「炎の渦は100ダメージを与える大技だが、炎エネルギーを二枚トラッシュしなければならない。よってトラッシュ。だが100ダメージはカブトプスのHPをきっちり奪って行くぜ!」 炎の渦から解放されたカブトプスは力なく前へ倒れ伏す。 「くっ、あたしはオムナイトをベンチからバトル場に出す!」 「俺はサイドを一枚引いてターンエンドだ」 よし。これで完全に流れは俺に傾いた。良い傾向だ。 「あたしのターン。あたしはプテラの発掘を発動! こうらの化石(50/50)を手札に加えてベンチにだす。そして手札の水エネルギーをオムナイトにつけて、サポーターのミズキの検索を使うわ。手札を一枚デッキに戻しオムスターを加える。そしてベンチのオムナイトをオムスター(120/120)へ進化!」 「だがオムスターはトラッシュの化石があればこそのカードだろう」 「そんなになくても行けるよ。原始の触手攻撃!」 オムスターの触手が鋭い槍のように輝きバシャーモ60/130の四肢を突いていく。的確に決まった攻撃はバシャーモのHPを大きく削り……。 「気絶!?」 「原始の触手はトラッシュのかい、こうらの化石またはひみつのコハクの数かける10だけ威力が上がるワザ」 薫のトラッシュにはかいの化石とこうらの化石の二枚。そして元の威力は30だ。よって30+10×2=50。それではバシャーモのHPを0まで削げないはず。 「弱点のこと忘れたの?」 そうか。オムスターは水タイプ。水が弱点なバシャーモには更に50+30=80のダメージが。残りHP60のバシャーモを倒すには十分だ。 「俺はバシャーモFBをバトル場に出す」 「あたしはサイドを一枚引いてターンエンド」 「これでイーブンか。俺のターン! 手札の炎エネルギーをバシャーモFBにつけてグッズカードのプレミアボールを発動。このカードの効果でデッキまたはトラッシュからLV.Xのポケモンを手札に加えることが出来る。俺はバシャーモFB LV.Xを選択し、バトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」 このバシャーモFB LV.X110/110が俺の二枚目のエースカードだ。 「手札からサポーター、ハマナのリサーチを発動。俺はデッキから炎エネルギーを二枚手札に加えるぜ。そしてバシャーモFB LV.Xで誘って焦がす攻撃!」 バシャーモFB LV.Xが圧倒的な脚力で高く跳躍すると薫のベンチのプテラGL60/80の元へ降り立つ。そしてそのプテラGLの首筋を掴むと腕から炎を出して火傷状態にしてしまった。そしてそのままプテラGLをバトル場に投げつける。居場所を失ったオムスター120/120は渋々ベンチへと帰って行く。 でもこのワザのエフェクトは全然誘ってないな。誘うどころか超強引だったが。 「このワザは相手のポケモンを一匹選択し、バトルポケモンと入れ替えると新たにバトル場に出たポケモンを火傷にするものだ。そしてターンエンドと同時にポケモンチェック」 「よし、コイントスを───」 ちっちっちっ、と古典的に指を振って見せる。 「その必要はないぜ」 「えっ」 プテラGL60/80は火傷判定をする前に炎に包まれダメージを受けて残りHPが40/80へと変わっていた。 「どうして……」 「ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルは相手が火傷でのポケモンチェックで行うコイントスは全てウラとして扱う。つまり必ず火傷のダメージを受けるものだ」 よし、このまま一気に行くぞ。 ふと他の対戦場を見る。恭介は……、あれはライチュウLV.Xか、良い感じじゃないか。そして風見はポリゴンZに多少押され気味か? サイドの枚数までは攻撃できないが今の攻撃(熱暴走)で風見のギャラドスのHPが0になっているのを確認出来た。 そして最後に松野さん。相手はあの能力者相手だが、拓哉(裏)を圧倒的な差でひねりつぶした彼女なら。 現にエムリットLV.Xのゴッドブラストが今、対戦相手の山本信幸のミュウツーLV.Xを襲おうとしていた。 ゴッドブラストは威力200。どれだけ小細工をしようが200のダメージを防げるポケモンはそういまい。 エムリットLV.Xから紫の巨大なレーザーがミュウツーLV.Xに向かって放たれた。 エムリットLV.X、アグノムLV.X、ユクシーLV.Xの三匹がいて初めて使えるこの難しいワザをなんなく使いこなす松野さんだ、負けるはずがない。 そう思っていた。そう確信していたのだ。 だがこれはどういうことだ? ミュウツーLV.Xが右腕を前に差し出すと、その右腕から楯状の緑色の膜が張られる。そしてその膜はゴッドブラストを別のどことない方向へ弾いてしまった。 もしかして、と思ったがやはりミュウツーLV.XのHPバーは一切減っていない。無傷。 嘘だ、あの200ダメージを何事もないように弾いて無傷だと? 今度は山本のターンだ。ミュウツーLV.Xが両腕から放つ大きな濃い紫のエネルギー弾が、エムリットLV.Xに炸裂した。どちらかというと爆発に近い。そしてその破滅の一撃による音と衝撃は俺達の場所まで響いてきた。
翔「今日のキーカードはバシャーモFB LV.Xだ! ポケボディーはなんと火傷の相手に対し威力を上げるもの! そしてワザも極めて強力だ!」
バシャーモFB LV.X HP110 炎 (DPt3) ポケボディー バーニングソウル おたがいの場のやけどのポケモンが、ワザによって受けるダメージは「+40」される。おたがいの場で複数の「バーニングソウル」がはたらいていても、追加されるダメージは「+40」。 炎無 ジェットシュート 80 次の相手の番、自分が受けるワザのダメージは、「+40」される。 ─このカードは、バトル場のバシャーモFBに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 − にげる 1
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転落 ( No.97 ) |
- 日時: 2010/10/24 10:05
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「翔……! 翔!」
薫の俺を呼ぶ声によって我に返る。 「ごめん」 「勝負中に集中力切らすなんて翔らしくないよ」 「ほんとにごめん」 だがあの山本のミュウツーLV.Xはなぜ松野さんのエムリットLV.Xのゴッドブラストを弾いたのだ? なんで無傷でいられる? 「だから翔!」 再び薫が俺の名前を叫ぶ。今度は先ほどと違って怒号に近い。 「あたしはそんな翔と戦いたくないね、いつもみたいに勝負に対して真摯な翔と戦いたい!」 「ああ、そうだな」 改めて場を見回す。 俺のバトル場には炎エネルギーが一つついたバシャーモFB LV.X110/110、ベンチにはネンドール80/80、ワカシャモ80/80、ヒードランLV.X120/120。サイドは残り五枚。 石川の方にはバトル場が火傷状態だが闘エネルギー一つのプテラGL40/80、ベンチはプテラ80/80、こうらの化石50/50、水エネルギーが二つあるオムスター120/120。俺と同じくサイドは五枚だ。 状況はイーブン。流れも今はどちらにもない。 「よそ見する暇は与えない! あたしのターン! プテラGLをベンチに逃がし、オムスターをバトル場へ!」 プテラGLには逃げるのに必要なエネルギーは0。ノーリスクでベンチに戻ることが出来る。そしてベンチに戻ったことで火傷状態も回復。 「更に手札から闘エネルギーをこうらの化石につけてこうらの化石のポケボディーのロックリアクションが効果を発動! デッキからカブトを選び出してこうらの化石をそのカブト(80/80)に進化させる!」 俺より打点が控えめな薫だが、その点俺よりも早い展開スピードがある。 エネルギーが少なめでも十分に戦う事ができ、そしてプテラで化石をサーチしポケボディーでサクサクと進化してしまう展開の早さ。あっという間に薫の場は戦えるポケモンで埋まって行く。 「プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからひみつのコハクを手札に加える。サポーターカード、ミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからカブトプスを手札に加える!」 次のターンにすぐにカブトプスでも攻撃できるように準備に転じたか。早いな。 「オムスターでバシャーモFB LV.Xに攻撃! 原始の触手!」 硬化され、鋭い槍のようになったオムスターの触手がバシャーモFB LV.Xめがけて真っすぐに突き進み、バシャーモFB LV.Xを貫く。 「このワザはトラッシュのかい、こうらの化石とひみつのコハクの数だけ威力が上がるワザ! 今トラッシュに該当するカードは二枚」 そして元の威力が30だ。よってバシャーモFB LV.Xが受けるダメージは30+10×2=50。といいたいところだがバシャーモFB LV.Xはさらに水タイプに対し弱点を持っている。なので50×2=100ダメージが受けるダメージ! 鋭い攻撃で後ろに跳ね飛ばされたバシャーモFB LV.X。そのHPバーが大幅に減少し、今のHPは10/110。首の皮一枚繋がったか! 「これでターンエンド」 だが首の皮一枚だろうが残ったら残ったで文句はない。むしろ残ってくれて大助かりだ。 「俺の……」 今から俺のターン。というところでふと隣の松野さんの場に目がいった。
「まだまだ! 私のターン!」 相手の山本信幸の場にはミュウツーLV.X120/120しかいない。私のサイドは残り五枚だが、このミュウツーLV.Xを倒してしまえば相手の場に戦えるポケモンがいなくなるので私の勝ちだ。 しかしその一匹が果てしなく遠い。ミュウツーLV.XはエムリットLV.Xの攻撃を弾いてしまった。あれのからくりは一体……!? 今の私の場にはバトル場は水、鋼、闘エネルギーが揃ったレジギガス100/100、ベンチにはレジアイス90/90、レジロック90/90、アグノムLV.X90/90、ユクシーLV.X90/90。 「私は手札からレジスチル(90/90)をベンチに出して、バトル場のレジギガスをレベルアップさせる!」 LV.XとはいえたねポケモンなのにHPは最大級の150/150という超大型ポケモンのレジギガスLV.Xは私の頼れるエースポケモンだ。エムリットLV.Xでダメならこっちでいくしかない。 「レジギガスLV.Xのポケボディー、レジフォームによって自分の場にレジロック、レジアイス、レジスチルがいるときこのポケモンのワザエネルギーは無色エネルギー一個ぶん少なくなる! よってこのまま攻撃よ。ギガブラスター!」 この会場を揺らす程の高濃度の橙色のエネルギーが、レーザーとなって山本の場を襲いかかる! 発射されるだけで空気が爆発しそうなそのギガブラスター。 「嘘……」 しかしそれもミュウツーLV.Xが薄い緑の球体の膜を自分を覆うように張ることで、ギガブラスターから完全に身を守っていた。 「残念だが、それも通らない」 「このワザでもダメ……」 「いいや、ワザじゃあないんですよワザじゃあ」 「……?」 ワザが効かないという効果じゃないのか? ワザ以外の何かが? 「ミュウツーLV.Xのポケボディーはサイコバリア。このバリアはたねポケモンからの攻撃を全てシャットダウンする。だから、いくら威力が高くてもエムリットLV.Xでも! レジギガスLV.Xでも! その攻撃は無に帰すっ!」 たねポケモンを一切遮断……!? そんな、私のデッキにはたねポケモンしか入っていない……。攻撃出来なければ相手は倒せない……。いや? 「でっ、でもギガブラスターは相手の手札とデッキの一番上をトラッシュ!」 「往生際が悪いですねえ」 山本は仕方なさそうにそれぞれトラッシュしていく。これで相手の手札の超エネルギーと、ケーシィがそれぞれトラッシュされた。 そうよ。ギガブラスターは相手のデッキを削ることが出来る。ミュウツーLV.Xのさっきのワザはエネルギーを全てトラッシュしなければいけないというデメリット。ワザとワザを使うまでにあるインターバルのうちに逃げ切って相手の山札を全て削れば勝つことはできる。まだ、まだ勝負は終わってないわ!
「俺は手札から炎エネルギーをバシャーモFB LV.Xにつける。そして俺もミズキの検索を使わせてもらうぜ。手札を一枚戻してバシャーモを加え、ベンチのワカシャモを進化させる!」 ベンチに再びバシャーモ130/130が現れる。バシャーモ、バシャーモFB LV.X、ヒードランLV.Xのこの三体が揃うときが俺のデッキの真骨頂! ただ、実はあまり理想形ではないのだが。 「バシャーモのポケパワーだ。バーニングブレスを食らえ!」 ベンチから真っ赤な吐息が放たれ、オムスターを包みこむ。この吐息を食らったポケモンは火傷状態になるのだ。 「ネンドールのポケパワーも発動。コスモパワーによって、手札を二枚デッキの下に戻して四枚ドローする」 これできっちり手札は六枚。だが、引き自体はあまりいいとは言いにくいな。 「手札からバシャーモFB(80/80)とヤジロン(50/50)をベンチに出す」 相手のオムスターは水タイプのポケモン。俺のポケモンはネンドールとヤジロン以外は皆水が弱点なのでさっさと駆逐したいところだ。 「バトルだ! バシャーモFB LV.Xでオムスターに攻撃。ベイパーキック!」 バシャーモFB LV.Xの力強い脚から放たれるハイキックはオムスターの体をサッカーボールのように軽々と飛ばした。 「このベイパーキックは相手の場に水ポケモンがいるとき、威力が30上がるワザだ」 「元の威力が30だから60ダメージね。でっ、でもオムスターのHPは100も減ってるっ!?」 「そう。バシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルは火傷のバトルポケモンがワザによるダメージを受けるとき、そのポケモンが受けるダメージを40追加するポケボディー! よって30にベイパーキックの効果で30、バーニングソウルで40足されて100ダメージ!」 オムスターのHPは風前の灯、20/120だ。だがまだ終わらない。 「これで俺はターンエンド。だが俺のターンが終わると同時にポケモンチェック! ベンチのヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルによって火傷のコイントス判定は常にウラとなる。オムスターには火傷のダメージ20を受けてもらうぜ」 オムスターが火傷のエフェクトで炎に包まれると残り少ないHPが尽き、力を失いその場で倒れ伏す。 「あたしはカブトをバトル場に出すわ」 「俺はサイドを一枚引くぜ」 これで一枚俺が有利? いや、案外そうでもない。流れはまだ不動、どちらも状況はイーブン。 「あたしだって負けないんだから。あたしのターン。ドロー! まずはこれかな。プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからこうらの化石(50/50)を加え、ベンチに出す。そしてベンチに出したこの化石に闘エネルギーをつけることでポケボディーのロックリアクションが発動。デッキからカブトを加えて進化!」 これでベンチにもバトル場にも闘エネルギーがついたカブト80/80が一枚ずつか。 「そしてバトル場のカブトをカブトプス(130/130)に進化させる! 早速攻撃! 原始のカマ!」 バシャーモFB LV.XのHPがわずかだからか、今回は化石をトラッシュせずに攻撃してきた。化石は有限だ、こんなところで無駄遣いはしていられない、ということかな? カブトプスの一閃でバシャーモFB LV.XのHPは0/110。これでさっき俺が一枚ゲットしたアドバンテージも無くなり、サイドは同数。だが、俺のベンチには攻撃にすぐさま転じれるカードがない。そういう点では多少俺の分が悪い。やむなしでネンドール80/80をバトル場へ。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「まだまだ行くぜ! 俺のターン。うーん、バシャーモに炎エネルギーをつけてバーニングブレス!」 ネンドールに攻撃の術はない。だが黙ってるのも違うだろう。せめて火傷だけでも与えておく。 「よし、サポーターカードだ。シロナの導き! デッキの上から七枚を確認し、そのうち一枚を加える。……ターンエンド」 そしてポケモンチェックとなり、カブトプスは火傷のダメージ20を負う。しかし110/130はまだまだ大きい壁だな。 「あたしのターン。あたしはサポーターのバクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚をドロー!」 だがバクのトレーニングの真骨頂はこのターン、相手に与えるワザのダメージを+10するところにある。 「プテラの発掘を発動し、デッキからひみつのコハクを手札に。そしてバトル場のカブトプスに水エネルギーをつけて、カブトプスについている闘、水エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がしベンチのカブトプスをバトル場へ!」 火傷を避けたか、カブトプスを入れ替えてきた。ベンチに下がったことでカブトプス110/130の火傷は回復。 「手札のひみつのコハクをトラッシュし、原始のカマ攻撃!」 ネンドール80/80に重たい一撃がヒット! 弾かれてコマのように回転して倒れていく。 元の威力20に化石をトラッシュしたことによって+50、バクのトレーニングでさらに+10で20+50+10=80ダメージ。ネンドールをジャストで気絶させた。 「だったら俺はバシャーモFBをバトル場に出すぜ」 「サイドを引いてターンエンド!」 残りサイドは三枚か。だが流れを俺に引き寄せるチャンスはある。 「さあ、俺のターンだ! まずは手札の炎エネルギーをベンチのバシャーモにつける。そしてグッズカード発動。プレミアボール! このカードの効果でデッキまたはトラッシュからLV.Xポケモンを手札に加える。俺はトラッシュからバシャーモFB LV.X(110/110)を選択し、バトル場のバシャーモFBをレベルアップさせる!」 「またっ!?」 「もう一枚グッズカードだ。ポケモン入れ替えを発動。バトル場のバシャーモFB LV.Xとベンチのバシャーモを入れ替える!」 このバシャーモがバトル場にいて、バシャーモFB LV.XとヒードランLV.Xがベンチにいる。これが俺の望む陣形だ! 「手札からポケモンの道具、達人の帯をつけるぜ。これでバシャーモのHPと相手に与えるダメージが20上昇! バシャーモ(150/150)のポケパワー、バーニングブレスでカブトプスを火傷にさせて攻撃。鷲掴み!」 屈強な腕がカブトプスの喉元に伸び、しっかりがっちりと掴み、締め付ける。元の威力が40だが、達人の帯、バシャーモFB LV.Xのバーニングソウルで+40されて40+20+40=100ダメージ。これであっという間にカブトプスのHPが30/130に。 「ターンエンドだが、さらにポケモンチェック。火傷でカブトプスに20ダメージだ」 これで残り10/130。オムスターと同じHPであればこの時点で気絶させることができたが少し足りなかったか。 「さあ、薫のターンだぜ?」
「まだまだ! ギガブラスター!」 何度目だろうか、再び巨大な橙レーザーが発射される。しかしミュウツーLV.Xはサイコバリアを張ってダメージから身を守る。 「なかなか貴女しつこいんですねぇ。そんなことしても無駄なのに」 「ギガブラスターの効果よ……、相手の手札と、デッキトップを一枚、トラッシュさせる!」 能力者との対戦は精神への負荷がかかる。まして相手はワーストワンの能力者。既に松野さんは肩を上下にさせた状態だ。こんな松野さんは見たことがない。 『もし、私に何かあった場合は悪いけどよろしく頼むわ』 対戦前に松野さんが僕、一之瀬に告げた一言が頭の中でリフレインする。 松野さんはあらかじめ負けるかもしれないと分かっていたのかもしれないな……。 「そうか、分かりましたよ。貴女は僕のデッキを削り取る気ですか。なるほどねえ。でも僕のデッキはまだ十枚もある。そして僕のサイドは残り二枚だ。しぶとくサクリファイスでHPを補充しているがそれにも限界というものがある。それに、そのパワーバランスは簡単に崩れる。僕は達人の帯をミュウツーLV.Xにつけさせてもらうよ。さあこれでそのあがきも終わりにしてあげよう」 すっ、と山本は松野さんを指差す。 「貴女も僕に負けて消えていくのではない。僕の能力(ちから)の礎となるのだから、安心して消えていけばいい」 二ターン前に、松野さんは自分のレジギガスLV.X140/170はHP補強のため達人の帯をつけた。しかし達人の帯は強力ゆえにデメリットも存在する。それは達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合、相手はサイドは一枚更に引けるというもの。つまりここでレジギガスLV.Xが気絶したとき山本が引くことの出来るサイドカードは二枚だ。 そしてミュウツーLV.Xのギガバーンは120ダメージを与える大技。それも達人の帯の効果でワザの威力は20プラスされて……。 「それではさようなら。ミュウツーLV.Xで貴女を消してやる。咲いては散る花火のように! ギガバーン!」 深い紫色のエネルギー球体がレジギガスLV.Xに触れると一気に膨張して爆発、轟音放ちながら全てを包み込んでいった。 僕が松野さん! と叫んだ声も。全て消えていった。
翔「今日のキーカードはバシャーモ! ポケパワーはノーリスクで確実に相手を火傷にさせるぜ。 そしてワザも高火力! 申し分なしだ!」
バシャーモLv.59 HP130 炎 (DPt1) ポケパワー バーニングブレス 自分の番に1回使える。相手のバトルポケモン1匹をやけどにする。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 無無 わしづかみ 40 次の相手の番、このワザを受けた相手はにげるができない。 炎炎無 ほのおのうず 100 自分のエネルギーを2個トラッシュ。 弱点 水+30 抵抗力 − にげる エネルギー1
─── おまけ・ポケカ番外編 「ハロウィン2010」 蜂谷「トリックオアトリート!」 翔「はぁ?」 蜂谷「ってあるじゃんか!」 翔「あるけども」 蜂谷「あれっていたずらするか、さもなければお菓子くれ! って意味だったよな!」 翔「まあそうだけど、それがどうしたの?」 蜂谷「いやぁ、妹がハロウィンのイベントかなんかに参加するんだよ。そんで俺ん家に来て言ってくれないかなあって」 翔「シスコンきもいぞ。っていうかなんで?」 蜂谷「決まってるじゃん! お菓子あげないからイタズラしてくれって言うに!」 恭介「どうせ上からタライが降ってくるとかそんなオチじゃないの?」 蜂谷「いやいやいやいや。ぱふぱふ的なことが」 翔&恭介「何か辛いことでもあったの?」
─── 来週更新出来るか微妙なので早めにハロウィンネタ投下。 でもなんかすごい下衆いデキになってしまった……
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困惑 ( No.98 ) |
- 日時: 2010/10/31 18:29
- 名前: でりでり
- 「松野さん!」
二回目の叫びは勝負を終えたばかりの風見くんが上げたものだった。 「くそっ!」 彼が取り乱したところを見るのは初めてだ。それだから、彼自身が暴走すると何が起こるかが怖い。 「担架っ!」 担架を呼ぶ指示を声を荒げて僕も松野さんの元へ走る。しかし用があるのは松野さんではない。こちらに向かってくる風見くんだ。 「風見くん、落ちつけ!」 猛牛のように松野さんの元へ突進してくる彼をショルダータックルで突き飛ばす。 「担架は急いで運んで!」 「はい!」 ようやくぴくりとも動かなくなった松野さんを担架に乗せてレスキュー班が会場奥へ消えていった。松野さんの姿が見えなくなるまで風見くんは立ちあがってなお松野さんの元へ行こうと僕と格闘を繰り広げていた。 「はっ、はっ、はっ」 血眼になっている風見くんは今のでかなりの体力を消耗してしまったのだろうか、僕にほとんどもたれかかって体重を預けている様相だ。 「……。風見くん。いくら松野さんが君の恩人だからといって焦っちゃダメだ。怒っちゃダメだ。松野さんは二度と目を覚まさない訳ではない。山本信幸を倒せば松野さんはきっと目を覚ます」 「……」 「だから、松野さんが帰ってくるまで僕、一之瀬がその代役をするよ」 柱の傍まで風見くんを連れて行ってあげて、柱にもたれれるよう彼を座らせた。利口な彼ならきっとすべきことがわかるだろう。 ふと目が合った山本がこちらを見て嘲笑ってくれたが、馬鹿馬鹿しくて声を出して笑いそうになった。 狩られる者の立場を分かってないな、と。
「嘘……だろ」 気がつけば松野さんは担架で運ばれていったところだった。必死に松野さんの元に行こうとする風見を止める一之瀬さん。 あんな感情的な風見は見たことないが、それよりも拓哉(裏)をあっさりと倒してしまう実力の松野さんが負けた……? 松野さんが負け、山本が準々決勝へ駒を進めたということは、だ。 俺か、……薫が山本と戦う事になる。 思わず薫が担架で運ばれるところを想像してしまった。そんなことはさせない。絶対にだ! 能力者との対戦をしたことがあるから分かる。あれはもうカードゲームじゃない。本当に自分自身の精神を削るような戦いだ。 それを何も知らない薫にはさせたくない。だから勝つしかない……。 「翔! 何ぼさっとしてるの!」 「ああ……」 この能力者についてはもう一つ疑問がある。能力者が戦うたびに担架が右往左往しているのに、それについて騒ぎ立てる人が一切いないということだ。 恭介も、蜂谷も、薫も、向井も、皆が皆気づいていないのかどうかはしらないがそれについての言及が一切ないのがおかしい。 今すぐそこで担架騒ぎがあったのに薫が何も言わないのはおかしい。こういう話で騒ぎ立てるのがしょっちゅうな恭介も蜂谷も何も言わない。 一体本当にどうなっているんだ? まさかそれも能力なのか? 「あたしのターン!」 今はとにかく薫に勝つことに集中しなければならない。絶対だ。絶対勝たないと。 薫のサイドは三枚。俺のサイドは四枚。薫のバトル場には火傷で、闘エネルギー一枚ついたカブトプス10/130、ベンチにはプテラ80/80、カブトプス110/130、プテラGL40/80。 俺のバトル場には達人の帯、炎エネルギー二枚のついてあるバシャーモ150/150、ベンチにヒードランLV.X120/120、バシャーモFB LV.X110/110、ヤジロン50/50。 「まずはベンチのカブトプスに闘エネルギーをつけて、プテラのポケパワー発掘を発動! この効果で自分のデッキからかい、こうらの化石かひみつのコハクを一枚手札に加えることが出来る。あたしはひみつのコハクをデッキから手札に加える。そしてベンチにかいの化石(50/50)を出す」 かいの化石、こいつが中々面倒だ。進化されると俺のカードの弱点を突く水タイプのオムスターになる。 「手札のひみつのコハクをトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 原始のカマは攻撃する前にかい、こうらの化石またはひみつのコハクを手札からトラッシュした場合威力が50上昇するワザ。 元の威力が20なので、バシャーモが受けるダメージは20+50=70の70ダメージ。 カブトプスのカマで鋭い一撃を受けたバシャーモは後ずさるも、HPバーは半分以上残って80/150だ。 「ターンエンドと同時にポケモンチェックね」 「一気に行く! このタイミングで、ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルの効果だ! ポケモンチェックのとき、相手プレイヤーが火傷で投げるコインは全てウラとなる! よってカブトプスには火傷のダメージ20を食らってもらう!」 エフェクトでカブトプスの身が一瞬炎で包まれると同時にHPも奪われて行く。20ダメージを受けたカブトプス0/130は、力なく膝から崩れていく。薫は次のポケモンにプテラGL40/80をバトル場に出してきた。 「俺はサイドを一枚引く。そして俺のターン!」 絶対に勝たねばならない。薫は回転の遅い俺のデッキに対し速攻で仕留めにかかってくる。ならばこっちはその速攻を崩す重い一撃を休む暇なくぶつけていくしかない。 「俺は炎エネルギーをバシャーモにつける。そしてサポーターカードを発動。ミズキの検索! 手札を一枚戻してデッキからポケモンを一枚手札に加える!」 勝つにはパワーだ。ここで勝つには力で押すプレイング、ポケモンが必要! 「この効果で俺は───」 しまった! パワーのことを考えすぎて本来求めていたカードとは違う、バシャーモを選択してしまった……! 「くっ、俺はバシャーモを手札に加える!」 今バシャーモが手札に来てもベンチにはアチャモもワカシャモもいない。完全に意味のないカードを選んでしまった。本当はネンドールを加え、ベンチのヤジロンに進化させてポケパワーのコスモパワーを使うつもりだった。コスモパワーは自分の手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、そこから手札が六枚になるまでドローできるドロー支援のポケパワー。そこから自分のデッキに勢いをつけるはずだったが、焦りのあまりプレイングミスをしてしまった……。でもなったものは仕方ない。 「行くぞォ! バシャーモで攻撃! 炎の渦!」 深く息を吸い込んだバシャーモが、プテラGL40/80を覆い尽くす巨大な炎のうねりを吹き付ける。威力100の大技はプテラGLをあっさり倒してしまった。 「炎の渦の効果で、バシャーモの炎エネルギーを二個トラッシュする!」 「あっ、あたしはカブトプス(110/130)をバトル場に」 「サイドを一枚引いてターンエンド! そしてこのタイミングでヒードランLV.Xのポケパワーを発動する!」 「えっ、自分の番が終わったタイミングで!?」 「ポケパワー、熱風は自分のターンの終わりに一回使える。そのターンに自分の炎または鋼のバトルポケモンのワザで、そのポケモンからトラッシュした基本エネルギーのうち二枚までを選び、そのポケモンにつけ直す!」 「つけ直す!?」 「俺は炎の渦でトラッシュした炎エネルギー二個をバシャーモにつけ直す」 炎タイプのポケモンは高火力だがいちいちエネルギーをトラッシュしないといけないデメリットがある。それをカバーするためのポケパワーだ。 「……。なんだか翔らしくないな」 「……?」 「翔はいつも勝負を楽しんでるヤツだと思ってたし、実際さっきまでそうだった。だけどさっき集中を一瞬切らした後から、なんだか勝負の楽しさじゃなくてただ勝利を求めて焦るようなプレイングに変わってた。たとえばさっきのミズキの検索、あれはミスじゃない?」 「いや……」 「ミスだよ。ネンドールを選ぶのが正解だったはず。ミズキの検索をしたあと翔の手札は三枚、ネンドールを引いていたならネンドールにヤジロンを進化させて二枚、これでコスモパワー使えば手札の状況はがらりと変わる。そして何よりバシャーモを選択してしまった時の翔の顔は明らかにミスに対するいら立ちみたいな感じだった」 「っ……」 「悪いけど、『そんな程度』の気持ちで倒せるほどあたしは甘くないよ。あたしのターン! あたしはかいの化石をオムナイト(80/80)に進化させて水エネルギーをつける。そしてミズキの検索を使うよ! 手札を一枚戻してデッキからオムスターを手札に加える。さあ、手札のかいの化石をトラッシュして原始のカマ!」 相変わらずエネルギー一個だけで強襲してくるカブトプスは強力だ。だが、カブトプスの一撃を受けたバシャーモ10/150はすんでのところで耐えきった。 「俺のターン。俺は……」 本当にこれでいいのだろうか? 薫のためだという理由で薫の望まない意識で戦うというのは結局薫にとっていいことなのだろうか? 分からない。 「俺は、手札の炎エネルギーをバシャーモFB LV.Xにつけて、バトル。バシャーモで攻撃する。炎の渦!」 激しく荒れ狂う真っ赤な渦がカブトプスを飲み込み大幅にHPを奪う。かろうじて耐えきったカブトプス10/130だが、さらに追い打ちはかかる。 「ポケモンチェックだ。カブトプスは火傷! そしてヒードランLV.Xのポケボディーで確実に火傷のダメージ20を受けてもらう!」 今度こそHPの尽きたカブトプスは力なく倒れる。 「くっ、あたしはオムナイト80/80をバトル場に出すわ」 「サイドカードを一枚引かせてもらう」 これで残りのサイドは一枚。あと一匹、あと一匹を倒せば俺は勝てる。そして薫が危険な目に遭う必要性もなくなる。 丁度そのとき、隣で戦っていた恭介がよっしゃあああああ! と大声を張り上げて右腕を天井に向け突き上げる。どうやら勝って次へと駒を進めたようだ。 俺も能力者とかがいなければこれくらいの気持ちで戦えたのになあ。ふと見た恭介の背中は近いはずなのにすごい距離を感じる。 「おい翔てめえ! 負けたら承知しねえぞ!」 後ろから拓哉(裏)の罵声か応援か、その辺の声が飛んでくる。返事に困った俺は、とりあえず苦笑いだけで返しておく。 「無駄に力が入りすぎてんぞバカが!」 むっ、最後の一言は流石に余計だろう。 「うっせえ! そっちこそバカだろ!」 「けっ、ようやくいつもの表情に戻ったな」 拓哉(裏)が珍しく普通の笑みを浮かべるが、なかなか様じゃないか。 「……お前、わざわざ俺のために」 「うっせえな。さっさとその勝負、ケリをつけろ」 「ああ」 柄にもないことしやがって、ほんと拓哉めバカだ。バカなのは裏の方限定だけど。 「よし、薫。来い!」 「うん、あたしのターン! 手札のマルチエネルギーをオムナイトにつける。マルチエネルギーはポケモンについている限り、全てのタイプのエネルギー一個ぶんとして働く特殊エネルギー。続いて手札からオムスター(120/120)をオムナイトに進化させる!」 これが薫の最後のポケモンか、俺のポケモン達の弱点である水ポケモンが立ちはだかる。 「ただ倒すだけじゃダメ。だから、こんなのはどう? タイムスパイラル!」 オムスターの触手がバシャーモを縛り付ける。すると、縛り付けられたバシャーモの体が青く光り出し、その姿が縮んでいく。 「タイムスパイラルは相手の進化ポケモンを一進化ぶん退化させる! 退化させたポケモンのカードはデッキに戻してシャッフルよ」 やがてバシャーモ10/150の姿はワカシャモ0/100へと戻っていく。 「そうか。退化してもワカシャモに乗っているダメージカウンター自体は変わらない。HP150で140ダメージを受けていた状態から退化してHP100で140ダメージ受けた状態になったのか!」 「そうそう。それでワカシャモは気絶!」 ようやく触手から解放されたワカシャモはぱたりと倒れてしまう。デッキに戻すという効果が結構厄介だ。たとえばデッキの中に入っているあのカードが欲しいと思うと、デッキの枚数が少ない時ほどそのカードを引く確率が高くなる。こうやってデッキを増やされると、望みのカードを引く確率が下がってしまう。 「だったら俺はベンチのバシャーモFB LV.Xをベンチからバトル場に出す!」 「あたしはサイドをドローする。ただ、ワカシャモにはポケモンの道具達人の帯がついていた。達人の帯をつけているポケモンが気絶したとき、あたしは更にサイドを一枚ドローできる。よって二枚ドロー! これで五分よ」 五分? 五分どころなもんか。むしろ最悪だ。 今の俺の手札、場ではオムスターを「一撃で」倒す術がない。もし一撃で倒さなかった場合、次の薫の番でオムスターのワザ、原始の触手で攻撃されるとジエンドだ。一撃でバシャーモFB LV.Xは気絶させられてしまう。 だから俺の勝利条件はこのターン以内でオムスターを倒すことだ。オムスターのHPは120/120。バシャーモFB LV.Xでの最大火力は80で40足りない。40……? そうか、バシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルを発動出来ればいい。 バーニングソウルはバトル場のポケモンが火傷のとき、そのポケモンが受けるワザのダメージは+40させるというもの。オムスターを火傷に出来れば勝てる。 だがどうやって? ポケパワー、バーニングブレスで相手を火傷に出来るバシャーモはもう俺の場にはいない。生憎と前のターン、俺のプレイミスで手札に来たバシャーモはある。しかし残りの手札四枚はクロツグの貢献、ハードマウンテン、炎エネルギー、ポケモン入れ替えの三枚。これではどうしようもない。 「このドローで全てが決まる。頼むっ!」 大きな動作でデッキから引いたカード。それは───。 「俺はベンチのヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる!」 この一枚で逆転にはならない。ただ、逆転へつながる大きな希望だ! 「手札の炎エネルギーをバトル場のバシャーモFB LV.Xにつける。さあ、ネンドールのポケパワー発動だ。コスモパワー! このポケパワーは手札を一枚か二枚をデッキの底に戻し、その後手札が六枚になるまでドローする。俺は手札を二枚戻し、四枚ドロー!」 このドローで逆転の手札を引かねば。残り十八枚のデッキから勝利の軌跡を描くカードを! 一枚目はワカシャモ。ダメだ、この場面では重要になりえない。 二枚目は不思議なアメ。そう、これは起爆剤だ。勝利を得るには必要な一枚。だがこれだけでは勝てない! 三枚目は炎エネルギー。違うこれじゃない! 最後の一枚に全てを賭けるしかないっ! 「これだ! 手札からサポーターカードを発動! ハマナのリサーチ! 自分のデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚手札に加えることが出来る! 俺はアチャモと炎エネルギーを選択する。そして俺はベンチにアチャモ(60/60)を出す」 「またアチャモ?」 「いいやまだだぜ。手札からグッズカードを発動。不思議なアメ! 自分の場のたねポケモンの上に手札のそのポケモンの進化ポケモンを重ねて進化させる! さあ、来い! バシャーモ!」 アチャモを覆う白い光の中で、その小さな体躯はより大きく屈強に変わって行く。そして光が消え、バシャーモ130/130が大きな雄叫びを上げながら俺の場に現れる。 「さあ、焼き焦がしてやれバシャーモ。ポケパワー、バーニングブレス!」 一際激しく全ての色を塗り替えるその真っ赤な灼熱がオムスターを覆い尽くし、火傷状態にする。 「この一撃で決めてやる! バシャーモFB LV.X、ぶちかませ! ジェットシュート!」 高く跳躍したバシャーモFB LV.X。そのまま赤い彗星と化してオムスター120/120に高い位置から激しい蹴りの一撃を浴びせる。空気を激震させる激しい一撃が、オムスターのHPを奪い取る。 「ジェットシュートは次の相手の番、このポケモンが受けるワザのダメージはプラス40されるデメリットを持つワザだが、エネルギー二つで80ダメージの超火力ワザ。そしてバシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルは火傷のバトルポケモンが受けるワザのダメージを40追加させるポケボディーだ!」 「つまりオムスターが受けるダメージは120!?」 薫のバトル場にはぐたりと動かなくなってしまったオムスター0/120のみ。 「これでゲームセットだ!」 最後のサイドカードを一枚引いて、この勝負の幕を下ろす。恭介じゃないが、俺も思わず右腕を突きあげる。 PCCも二回戦を終わり、次はいよいよ準々決勝。次は絶対負けられない。自然と右手に力がこもっていたのを感じた。
翔「今日のキーカードはヒードランLV.X。 火傷のポケモンを簡単には逃がさせない! そしてハイリスクな炎ポケモンのワザをより安定させてくれるぜ」
ヒードランLV.X HP120 炎 (破空) ポケパワー ねっぷう このポケモンがベンチにいるなら、自分の番の終わりに1回使える。その晩に、自分の炎または鋼のバトルポケモンのワザで、そのポケモンからトラッシュした基本エネルギーのうち2枚までを選び、そのポケモンにつけなおす。 ポケボディー ヒートメタル 相手のやけどのポケモンが進化・退化・レベルアップしても、やけどは回復しない。ポケモンチェックのとき、相手プレイヤーがやけどで投げるコインは、すべてウラとしてあつかう。 ─このカードは、バトル場のヒードランに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 − にげる 4
─── BW発売おめでとう! ルール改正とかエラッタとかいろいろありますが、この章は旧判定で行い続けます。
石川薫の使用デッキ 「トラッシュフォッシル」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-842.html
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不足 ( No.99 ) |
- 日時: 2010/11/20 18:45
- 名前: でりでり ID:yzgLJy36
- 「松野さんが倒れた今、松野さんの部下である僕、一之瀬和也が彼女の代役をします」
拳を強く握りしめ、既に闘志を目に宿した奥村翔くん、不気味な笑みを浮かべている藤原拓哉くん、そしてまだ柱にもたれかかり明日のジョーみたいに燃え尽きている風見雄大くん。 今の三人は皆が皆意識が違うようだ。別に問題があるわけではない。むしろ、面白いなと笑ってしまいそうなくらいだった。 「まずは藤原くん。君はこの次能力者の高津洋二と戦う事になる。彼の特徴は───」 「言われなくてもあのチビから聞いた。ワザの衝撃をそのままプレイヤーに与えるやつだろ?」 「そう。ただ、どの程度までダメージを与えれるかは分からない。勝てたとしてもどうなるかは分からない」 「けっ」 「彼のデッキはパワー型軸だがテクニカルな戦術も持ち合わせている。その辺も注意して」 「言われなくても分かってる。それだけか?」 「うん。健闘を祈るよ」 藤原くんは露骨に舌打ちをすると先に対戦場の指定位置へ向かう。 「さて。次は奥村翔くん。言わずとも分かるだろうが山本信幸が相手だ。彼はほとんど自分のプレイングの全てを見せずに勝ち続けている」 「……」 「特にあのミュウツーLV.Xは強烈だ。相手がたねポケモンならばダメージを受けないポケボディー、サイゴバリアは非常に厄介。十分に注意してくれ」 「はい」 奥村翔くんも強く頷くと、藤原くんの後を追って走って行った。 「さて、風見くん。君はこのままでいいのかな?」 相変わらず虚空を見つめる彼。しかし彼に命を吹き込む一つの魔法がある。 「『市村アキラ』が全国で君を待ってるよ」 こう耳打ちした刹那、彼の目は一気に命を取り戻す。 「本当ですか!?」 「彼にリベンジしたいなら、君はここでこんなことをしている暇はないはずだ。能力者なんて関係ない」 「……」 「君は君がすべきことを全うするんだよ」 「アキラ……」 ようやっと立ち上がった風見くんを背に、僕は一足お先に対戦上へ向かうことにした。
「さてと、お前が話に聞いていた高津洋二か」 「……」 「おいおいおいなんか喋れよクソ野郎」 「お前に話すことはない」 「そぉか。お前はそうでも俺はそうじゃないんだよ」 灰色のパーカーのフードを被って下を向いている高津は、顔が一切見えない。そして会話に関しても閉鎖的だ。元からそういう質(たち)なのか何も返してこない。 「せめてよぉ。人と人と会話するときは相手の目を見ろなんて学ばなかったのかよ? あぁ!?」 「言葉数が多いな……」 「俺様は喋って好感をもたれるタイプなんでな。そんなことよりお前の能力(ちから)、危なっかしいからとっとと潰させてもらうぜ」 「能力のこと、知っているのか」 初めて高津の顔が俺を見つめた。とはいえ高津の顔は長い前髪でほとんど見えないのだが、その顔には衝撃的な物が一つあった。 「へぇ、火傷か」 俺がそう言うと高津の眉が微かに動く。そう、高津は顔の右半分が火傷でただれていた。非常に醜い容貌を彼は必死に隠そうとしていたのだろう。 ふーんなるほどね。能力というのは嫌なことに対する負の感情から生まれるまさに醜い力。あの火傷の跡から生まれたコンプレックスが高津に能力を与えたか。 「まあいい。俺様がお前をぶっつぶしてやる。さぁ、遊ぼうぜ!」 先攻は俺からだ。互いにバトルベルトを広げ、バトルの準備を整える。俺のバトル場はヨマワル50/50。ベンチにはゴース50/50。一方高津のバトル場はワンリキー60/60一匹だけだ。 ワンリキーの弱点は俺が扱う超タイプ。こいつはいい。超タイプを扱う俺にしては飛んで火にいる夏の虫ってところだ。 「へぇ、格闘タイプか。おいしいな」 「相性なんてものはまやかしだ。本当の力を見せてやる」 「力じゃなくて能力の間違いじゃないのかあぁ? 俺様のターン! まずは手札の超エネルギーをヨマワルにつけて攻撃! 影法師!」 ヨマワルから伸びる影がワンリキーに襲いかかる。しかし与えたダメージは僅かに10。ワンリキー50/60もまだまだ余裕そうだ。 このワザは相手にダメージカウンターを一つ乗せるワザ。相手に既にダメージカウンターが乗っている場合、更に追加でダメージカウンターをもう一つ乗せることが出来るが、生憎ワンリキーはダメージカウンターが乗っていなかったため10ダメージだけだ。 そしてこれはワザのダメージを与えるものでなくダメージカウンターを乗せるという効果なので、弱点及び抵抗力の計算を受けない。 「威勢の割にはそれだけか。俺のターン、手札の闘エネルギーをワンリキーにつける。そしてサポーターを発動する。ハマナのリサーチ」 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで選び手札に加えるサポーターカード。高津はパルキアGとマンキーを選択した。 「そして俺はパルキアG(100/100)をベンチに出して、手札からグッズカードの不思議なアメを使用」 不思議なアメはご存じ、進化していないポケモンをそのポケモンから進化する一進化及び二進化ポケモンに進化させることのできるグッズカード。これが二進化ポケモンの弱点である遅さを軽減させる。 「ワンリキーをカイリキーに進化!」 「くっそ、まだ二ターン目なのに遠慮なしかよ」 光の柱に包まれたワンリキーは全体的に大きくフォルムを変えていき、逞しい体つきへ変わっていく。そして光の柱からカイリキー120/130が現れた。 「同じエネルギー一つでもその違いを見せつけてやろう。落とす攻撃だ」 カイリキーがチョップをヨマワルの頭部に喰らわせたその時だった。 「!?」 理解不能の衝撃が頭上にズシンときた。思わず姿勢を崩して前のめりになる。 (大丈夫!?) 俺のもう一つの人格である相棒が語りかけてくる。心配されるほど俺は軟(やわ)じゃねぇ。 「ああ、まだまだ。……なるほど、これがお前の能力か……」 いってーな、と呟き頭をさする。口ではそう言ったがそんなもんじゃすまない。かなり硬いもので殴られたような感じがして立ち上がる時は少しふらついた。こいつは厄介だ。 「この落とす攻撃は、攻撃した相手が進化していない場合、ダメージを与える代わりに相手を気絶させるワザ」 「なんだと!? 俺のヨマワルが一撃かよ! くそっ、鬱陶しい!」 ふらふらと倒れていくヨマワル。最大まであったHPはあの一撃で0/50となった。 「相性なんてまやかしだ。これが本当の力だ」 「ふぅん、そんな程度か。それくらいなら俺だって出来るぜ。俺はゴースをバトル場に出す」 「さっきから口ばかりだな。サイドを一枚引いてターンエンド」 しかしまさかいきなりサイド先取されるとはね。 (やっぱり強いね……) 「けっ、これくらいやってもらわないとな。さあ、俺様のターン! ドロォー! まずはこうだ! 俺は手札の超エネルギーをゴースにつけ、ベンチにヤジロン(50/50)を出す。サポーター、シロナの導きを発動!」 シロナの導きはデッキの上から七枚を確認し、そのうち一枚を手札に加えることの出来るサポーター。単純に引くだけとは違いきっちりサーチ出来るのがこのカードの強み。 (ここは手堅くアレで行こうよ) 「ああ、当然だ相棒よォ。このカードで決まりだ。さて、良いもん見せてもらったらしっかりお返ししねぇとな。こっちも不思議なアメだ。進化させるのはもちろんゴース。面白くなるのはここからだ! 来い、ゲンガー!」 光の柱の中から光を消しさる程の深い闇を纏ったゲンガー110/110が現れる。 「もがいてみせろ! ゲンガー、シャドールーム!」 ゲンガーは両腕を自分の腹部に持っていく。すると右手と左手の間に黒と見違えるほどの濃い紫色の立方体の謎の物体を作り出す。ゲンガーが腕を広げるとその立方体もそれに合わせて大きくなる。ある程度の大きさになると、ゲンガーはその立方体を投げつけた。 謎の立方体はカイリキーの元へ飛んでいき、カイリキーにぶつかるや否や謎の立方体がカイリキーを包み込む。 外からでは何も見えないが、この立方体の中でカイリキーには全身に異常なまでの圧力をかけれらてそれがダメージとなるのだ。 「このワザは相手一匹にダメージカウンターを三つ乗せるワザ。これも弱点と抵抗力は無視だ」 ようやく解放されたカイリキー90/130、肩を上下させていたが程なく元通りに動き出す。 「その程度のダメージでは俺には効かない」 「へ、ほざいてろ顔面グロテスクが」 ほとんど動かなかった高津の表情が今完全に憎悪のそれに切り替わった。 (さ、流石に煽りすぎじゃない!?) 「大丈夫だ」 「何を独り言を! 俺のターン」 一瞬高津の行動が止まった。かと思うと、歪んだ笑顔で突如笑いだす。 「ははははは! 俺を愚弄したことを後悔させてやる!」 (何か仕掛けてくるよ!) 「けっ、口上はいい」 「俺は闘エネルギーをカイリキーにつけ、ベンチにマンキー(50/50)を出す。遊んでやる。カイリキーで攻撃、ハリケーンパンチ!」 高津はワザの宣言と同時にコイントスを始める。 「このワザはコイントスをしてオモテの数かける30ダメージを与えるワザ。そのコイントスは……、オモテ、ウラ、ウラ、オモテ。60ダメージを食らえ!」 ゲンガーに向かって走り始めたカイリキーは、右の二本の腕をぐんぐん回すとその二本の腕でゲンガーを思いっきり殴りつけた。ゲームならゴーストタイプに格闘ワザなど効かないが、これはカードなのだ。モロにパンチを受けたゲンガー50/110はその威力ゆえに吹き飛ばされ、衝撃を受けた俺も後ずさりをしてなんとか耐えた。 左の肩甲骨の辺りと鳩尾のちょっと上に、これまた硬いもので殴りつけられたような衝撃、痛みが走る。 「くっ……」 「お前を少しずついたぶってやることにする」 「ふん、まだまだ! 俺のターン!」 引いたカードはネンドール80/80。俺の方からサーチをかけようとしていたが自ずとやってきた。どうやら運は俺の方にあるらしい。 「俺はベンチのヤジロンをネンドールに進化させ、手札からグッズカードのゴージャスボールを使う。ゴージャスボールはデッキからLV.X以外の好きなポケモンをサーチするカードだ。俺は……。そうだなぁ、サマヨールを加える。更にネンドールのポケパワーを使うぜ。コスモパワー!」 コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、その後手札が六枚になるまでドローするドローソースだ。今の手札は二枚。ヨノワールでない方の手札をデッキの底に戻し、五枚ドロー。 「けっ、超エネルギーをゲンガーにつけてヨマワル(50/50)をベンチに出すぜ。サポーター、オーキド博士の訪問を使う。デッキから三枚ドローした後手札を一枚デッキの底に戻す。ポケモンの道具、ベンチシールドをネンドールにつけるぜ。ベンチシールドをつけたポケモンがベンチにいる限り、ワザのダメージを受けない。さあ攻撃だ! ゲンガー、ポルターガイスト攻撃!」 ゲンガーの影がすっと伸びてカイリキーの影と融合する。 「このワザは相手の手札を確認し、その中のトレーナーのカードの枚数かける30ダメージを与えるワザだ。さあ手札を見せな!」 高津はバツの悪そうに眉をひそめると手札を見せる。ミズキの検索、闘エネルギー、プレミアボール、ネンドール。ミズキの検索とプレミアボールがトレーナーのカード。二枚だ。 「さあ、やれ!」 カイリキー90/130の影から耳を壊しかねないような嫌な音が鳴り響く。カイリキーは四本の腕で耳を押さえようとするがそれも無駄。膝をつき、そしてついには倒れていく。 「さっきまではダメージカウンターを乗せるワザばっかだったが、今度は別だ。きっちりダメージを与えるワザだ。弱点計算はきっちりさせてもらうぜ!」 30×2=60に、カイリキーの弱点は超+30。よって60+30=90。ジャストでカイリキーが戦闘不能になる。 「へっ、弱点がどーだこーだいっときながらこのザマかよ!」 「俺はパルキアGをバトル場に出す」 「サイドを引いてターンエンドだ!」 「……。俺のターンだ。手札からプレミアボールを発動。デッキからパルキアG LV.Xを手札に加える」 プレミアボールはデッキまたはトラッシュのLV.Xを手札に加えることのできるカード。何か仕掛けてくるか。 「パルキアGをパルキアG LV.X(120/120)にレベルアップさせる」 大きく咆哮するパルキアG LV.X。ついつい目が合ったが何だこの威圧感は。 「マンキーに闘エネルギーをつけて、サポーターカード発動する。ミズキの検索。俺は手札を一枚戻してヤジロン(50/50)を手札に加え、ベンチに出す。そしてターンエンドだ」 もうターンエンドだと? まあいい。 「だったら俺のターン! アグノム(70/70)をベンチに出してタイムウォークを発動。このポケパワーはアグノムを手札からベンチに出した時に使え、サイドカードを確認し、その中のポケモンを一枚手札に加えることができる。加えた場合、俺は手札から一枚サイドにウラにして置く。俺はアンノーンG(50/50)を手札に加えて手札を一枚サイドに置く。そしてアンノーンGをベンチに出すぜ」 これで俺のベンチは四匹。だがまだまだ増える。 「ベンチのヨマワルをサマヨール(80/80)に進化させて超エネルギーをつける。さらにサポーターカードのハマナのリサーチだ。超エネルギーとヨマワルを手札に加え、ヨマワル(50/50)をベンチに出す!」 一気にベンチに大量展開したため俺のベンチがMAXの五体に。これで俺はこれ以上ベンチにポケモンを置けないが、それで十分だ。 「ネンドールのコスモパワーだ。手札を一枚戻してデッキから五枚ドロー! よし、攻撃する。ゲンガー、シャドールームだ!」 高津の手札は一枚だけ。恐らくネンドールだろう。これではポルターガイストで攻撃する意味がない。 ゲンガーから放たれる謎の物体はパルキアG LV.Xをとらえ、締め付けていく。 「シャドールームはポケパワーのあるポケモンにダメージを与える場合、ダメージカウンター三つに加えさらに三つ乗せることが出来る。パルキアG LV.Xにはポケパワーがあるみたいだな。それが仇となったぜ!」 パルキアG LV.X60/120が苦しそうな悲鳴を上げたところでようやくシャドールームから解放された。 「おいおいおい、能力者ってこんなに大したことなかったか? 暇つぶしにもなんねぇぜ」 「その言葉が後に自分の首を絞めることになることを教えてやる」
拓哉(裏)「キーカードはこいつだな、カイリキー。 なかなか鬱陶しい能力じゃねえか。 特に落とすが強力だ。SPポケモンなんて瞬殺だぜ」
カイリキーLv.62 HP130 闘 (破空) 闘 おとす 40 相手が進化していないなら、このワザのダメージを与える代わりに、相手をきぜつさせる。 無無 ハリケーンパンチ 30× コインを4回投げ、オモテ×30ダメージ。 闘闘無無 いかり 60+ 自分のダメージカウンター×10ダメージを追加。 弱点 超+30 抵抗力 − にげる エネルギー2
─── おまけ・ポケカ番外編 「おいしいラーメン」
恭介「―――でさ、そこの醤油ラーメンは味が薄いんだよなぁ。麺はめちゃくちゃ良かったんだけど」 翔「ちょっと待った」 恭介「ん?」 翔「今の話聞いてて思ったんだけど、まさか三日連続ラーメン?」 恭介「あぁ、もちろん! 三度の蕎麦よりラーメンだぜ」 風見「なんだそれは」 恭介「標語?」 翔「なんで聞くの?」 店員「はい味噌ラーメン三つでーす」 恭介「おっ、きたきた!」 翔「おいしそー」 風見「ほう」 恭介「よっし、俺先に食う」 翔「先とかあんのか」 恭介「ああこれめちゃくちゃうめぇ! ヤバいこれマジ旨いわ!」 翔「で、どんな味?」 恭介「……ま、まるで味の宝石箱やでぇ」 翔「えー、苦し紛れだからってそれは雑だろー」 風見「食べていいか?」 恭介「……、ごめん。食べて」 風見「おぉ、これは美味しいな」 翔「で、どんな味?」 風見「……、まるであ、味の宝石箱やでぇ」 翔「ごめん俺が悪かった」 ─── 松野藍の使用デッキ 「勝利への威圧」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-844.html
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絶望 ( No.100 ) |
- 日時: 2010/11/20 18:47
- 名前: でりでり ID:yzgLJy36
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 異様な雰囲気が漂う準々決勝。その雰囲気の発生源であるこの一帯では暗い戦いが続いている。
どちらもサイドは五枚。俺の場には超エネルギー二枚ついたゲンガー50/110がバトル場に。ベンチにはベンチシールドのついたネンドール80/80、超エネルギーのついたサマヨール80/80、ヨマワル50/50、アグノム70/70、アンノーンG50/50。 相手である高津洋二のバトル場はパルキアG LV.X60/120、ベンチに闘エネルギー一つついたマンキー50/50、ヤジロン50/50がいる。 そして次のターンは高津から。 「俺のターン。ヤジロンを手札からネンドール(80/80)に進化させる」 高津の手札は僅か一枚だが、このネンドールで手札を増強させる気だ。ネンドールの持つポケパワー、コスモパワーはポケモンカード屈指のドローサポート。手札を一枚か二枚戻して六枚ドローするというトンデモ効果はほとんどのプレイヤーを助けてきた。 「ネンドールのポケパワーを発動だ。手札を一枚デッキの底に戻し、デッキから六枚ドロー」 「ちっ」 「続いて手札から闘エネルギーをマンキーにつけ、サポーターカードだ。バクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚ドロー。手札からマンキーをオコリザル(90/90)に進化させる」 「そんな弱小カードで何をする気だ? あぁ?」 「更にワンリキー(60/60)をベンチに出し、パルキアG LV.Xのポケパワーを発動する。ロストサイクロン!」 互いのベンチの上空に紫と黒の混じった鈍い色の渦が現れる。 「このポケパワーは自分の番に一度使う事が出来る。ベンチポケモンが四匹以上いるプレイヤーは自分のベンチポケモンを三匹選び、その後選んでいないポケモンとそのポケモンについているカードを全てロストゾーンへと送りこむ」 「ロストゾーンだと!?」 「そうだ。ロストゾーンに一度行ったカードは二度とプレイ中に使うことはできなくなる」 高津のベンチは丁度三匹しかいないので効果対象にはならない。一方、俺のベンチには五匹いる。二匹は必ずロストゾーン行きだ。 「だったら、ネンドール、サマヨール、ヨマワルを残す。アグノムとアンノーンGをロストゾーンに送る」 バトルテーブルの小脇にあるロストゾーンにカードを置くと、俺のベンチ上空の渦がアグノムとアンノーンGを吸って飲み込み消えていく。幸い、この二匹にはエネルギーなどがついていないのが救いだ。 「グッズカード、ポケモン入れ替えを発動。バトル場のパルキアG LV.Xとベンチのオコリザルを入れ替える、そしてオコリザルで瓦割攻撃だ」 走り出したオコリザルは、ゲンガーの手前まで来ると跳躍してから右手でゲンガーの頭に瓦割を叩きこむ。 「ぐあっ!?」 と同時に俺にもダメージが飛んでくる。丁度額のところにものすごい衝撃を受け、思わず後ろにこけそうになった。なんとか踏ん張ったがこれは最悪な気分だ。 (大丈夫!?) 「まだまだ……」 俺のもう一人の人格はまたもや心配してくれる。その気持ちはありがたいがこの戦いに情け容赦はない。 ふと鼻の下に何かついていると思い、服の袖で拭うと血がついていた。おいおい鼻血かよ。 「降参するならまだ間に合うぞ」 「誰が降参するかよ……。この顔面グロテスクが! 舐めてんじゃねぇぞぉ!」 ふらつく足を気合いで保ち、威嚇の意味を兼ねて吠える。そうだ。精神が先に折れたら負けだ。俺様がこんな弱小能力者に負けるわけがねぇんだよ。 「……。またその目だ」 「あぁ?」 「その俺を見る憎悪の目! 気持ち悪いものを見るかのような、そして俺を消えろと言わんばかりのそれが!」 (……?) 「お前もだ! どいつもこいつも俺をそんな目で見やがる!」 (ねぇ) 「ああ、これがこいつのコンプレックスだ」 能力(ちから)は負の感情にリンクして生まれる力。こいつの力の由縁はもう予想がついた。 「お前も、お前も、お前も! 潰してやる……! 二度と立ち上がれないくらい!」 自分を気持ち悪い目でみるようなヤツをまとめて全員潰したい。その負の感情がこいつの、他人にワザのダメージが直接衝撃として与える能力になったのだろう。しかしこいつに必要なのは同情ではない。 「おいおいおいおい! お前のことなんてどーでもいんだよこの弱小が! この俺様が直々にぶっ壊してやる!」 「だがお前のゲンガーはこれで気絶だ! 瓦割の威力は40だが、バクのトレーニングの効果でこのカードがバトル場の横にあるとき(サポーターは使うとその番の終わりまでバトル場の横に置く)相手に与えるワザのダメージを10追加するもの。これで合計50ダメージ、ゲンガーはきっちり気絶となる!」 「んなこと分かってんだよ! 本領はこっからだ! ゲンガーのポケパワーを発動。死の宣告! さぁ、デッドオアアライブ。コイントスの時間だ! もしオモテを出したら、このポケモンを気絶させた相手のポケモンも気絶させる!」 「っ!」 ……だが、コイントスの結果はウラ。不発に終わる。 「ちっ、ベンチのサマヨールをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 これでサイドは高津が四枚。俺が一枚ビハインドだ。 「けっ。俺様のターンだぁ! 手札からバトル場のサマヨールをヨノワール(120/120)に、ベンチのヨマワルをサマヨール(80/80)に進化させる。そぉだな。ここでネンドールのコスモパワーだ。手札を二枚戻し四枚ドロー!」 デッキの残数は二十九枚。まだまだ暴れても足りるな。 「サポーター、ハマナのリサーチだ。デッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで手札に加えることが出来る。俺様はゴースと超エネルギーを加え、ゴース(50/50)をベンチに出しヨノワールに超エネルギーをつける!」 このターンのうちに体勢を立て直したい。ここはちょっと強引に行ってやる。 「ふん、こんなんじゃあまだまだ足りねえ。ヨノワールのポケパワーを使ってやる。影の指令! 自分の番に一度使え、デッキからカードを二枚ドロー。そして手札が七枚を越えたら六枚になるように手札をトラッシュ。そしてヨノワールに20ダメージだ」 俺は手札からコール・エネルギーをトラッシュする。ヨノワール100/120は体力が減ったが、減ってこそ、その本領を発揮出来る。 「こうしてやる。ヨノワールで攻撃。ダメージイーブン!」 ヨノワールの腹にある口が開くと、そこから火の玉が二つ飛び出る。ヨノワールの指示によって飛び回る火の玉は相手のベンチにいるネンドール80/80に襲いかかった。 「またベンチに攻撃か」 「なんとでも言え。ダメージイーブンは相手のポケモン一匹に、このカードに乗っているダメカンと同数のダメカンを乗せる。よってネンドールに20ダメージだ」 まだまだネンドールはHPが60/80と余裕だが、これも計算の内だ。手はずは整いつつある。 「俺のターン。ベンチのワンリキーをゴーリキー(80/80)に進化させ闘エネルギーをつける。そしてネンドールのコスモパワー。手札を二枚戻して三枚ドロー」 パルキアG LV.Xのロストサイクロンは確かに強力だが、自分の首も絞めていることになる。自分のベンチに四匹以上並ぶと自分もポケモンをロストしなくてはならないからだ。だから高津は手札にあるポケモンを処理しきれないのだろう。 「ここで俺はペラップG(60/60)をベンチに出す」 「何っ!?」 「ペラップGのポケパワー、撹乱スパイがこのタイミングで発動される。このカードを手札からベンチに出した時、相手のデッキのカードを上から四枚見て好きな順番に入れ替えることが出来る」 相手のデッキの上を入れ替え……? いったい何が目的だ。 「……。よし、この並びだ。さあ次はパルキアG LV.Xのロストサイクロンを発動。ベンチに四匹以上いるのは俺の場のみ。この効果でペラップGをロストゾーンに送る」 俺のベンチキルを意識した策略か? ただ相手のデッキを入れ替えることに何の意味が。 「オコリザルで攻撃する。マウントドロップ! このワザは相手のデッキの上を一枚トラッシュし、そのカードがポケモンだった場合そのポケモンのHP分ダメージを与える!」 「けっ、ペラップGはこのためか! トラッシュしたカードは……。ちっ、ゴーストだ」 「ゴーストのHPは80。よって80ダメージだ」 再びオコリザルがヨノワールの元へ駆けて来て、手前でジャンプしヨノワールに絡みつくとマウントポジションになる。そして拳を高いところから振り下ろし脳天チョップを炸裂させる。 「かはっ……!」 頭上からまるで鉄の棒で叩きつけられたような衝撃が走る。体の平衡を保てない。思わずおちそうになった、いや、おちた。気がつけばうつ伏せになって倒れていたのだ。 (よかった、起きてくれて……) もう一度立ち上がる。立ちくらみが半端なかったが、まだ行ける。服をぱんぱん、と掃う。首も回して腕も回す。俺の体は、いや、俺達の体はまだ大丈夫のようだ。 「なあ、俺はどんだけあんな風に倒れてた?」 (いや、ほんの僅かだったよ) 「ならいい」 口の中が不快だ。ぺっ、と唾を吐くが血も幾らか混ざっていた。 「ふん」 「しぶといな……」 「七転八起は常識だろ?」 さて、今のマウントドロップを受けてヨノワールのHPは20/120。もう一度影の指令を使うことは出来ない。自ら自滅しに行く必要はない。 「まだまだ余裕だ。俺のターン! けっ、いいもん引いたじゃねえか。ヨノワールをレベルアップさせる!」 ヨノワールLV.X30/130になればHPに余裕が出来てもう一度影の指令が使える。レベルアップしてもレベルアップ前のポケパワーやポケボディーを使う事が出来るからだ。 「ふん。ゴースに超エネルギーをつける。サポーター、ミズキの検索だ。手札を一枚デッキに戻し、デッキからゲンガーを加える。そしてヨノワールLV.Xのポケパワーを使う。影の指令。デッキから二枚ドローし、ヨノワールLV.Xにダメカンを二つ乗せるぜ」 これでヨノワールLV.X10/130はどんな些細なダメージでも気絶だ。だがその前にやるべきことは残っている。 「悪くねぇな。グッズカード、不思議なアメだ。ベンチのゴースをゲンガー(110/110)に進化させる。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを使う。手札を二枚戻し四枚ドロー。そしてヨノワールLV.Xでダメージイーブン!」 ヨノワールLV.Xの口から十二の火の玉が現れ、オコリザルを襲っていく。圧倒的な火の玉の量にオコリザルはあっという間に気絶していく。 「……。俺はゴーリキーをバトル場に出す」 「へ、サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「俺のターン。手札からグッズカード、夜のメンテナンスを発動。トラッシュの基本エネルギーまたはポケモンを三枚までデッキに戻す。俺は闘エネルギーを三つデッキに戻そう。さらにミズキの検索も使う。手札を一枚戻してカイリキーを加える。バトル場のゴーリキーに闘エネルギーをつけて、カイリキー(130/130)に進化させる」 またカイリキーか。こいつの放つワザはどれもかしこも強力だ。踏ん張らないと。 「ネンドールのコスモパワーだ。一枚手札をデッキの底に戻し、五枚ドロー。さあ止めだ。カイリキーでおとす攻撃」 そしてそのワザの宣言と同時に高津の右手人差し指が俺を指す。いや、正確には……。 「さらなる絶望を教えてやる」 「っぐああああああああああああああ!」 カイリキーのチョップがヨノワールLV.Xにクリーンヒットすると同時に、左肘にとてつもない衝撃が走る。思わず左手に持っていた手札をこぼしそうになった。衝撃を喰らった後、痛みが引くまでしばらく右手で患部を抑える。 「あいつめ……」 (今、狙ってきたね) 「ああ……」 あのとき高津は俺の左肘を指で指した。そしてそこに衝撃が来た。ここから推測出来ることは高津はある程度能力を操作することが出来るということだ。 「おとすはたねポケモンを気絶させる効果だけではなく、普通に40ダメージを与えれるワザだ。これでヨノワールLV.Xは気絶」 「……、面白くなるのは、こっからだ……。ヨノワールLV.Xのポケパワーだぁ! エクトプラズマ!」 倒れ伏せているヨノワールLV.Xを中心にドーム状に紫色の空間が広がっていく。 「何だこれはっ!?」 バトル場を。ベンチを。俺達を。俺達が戦っている空間だけ周囲と完全に切り離された。 「どういうことだ。俺はヨノワールLV.Xを倒したはずだ!」 「それが地獄への……、トリガーだ」 (ちょっと、大丈夫?) 相棒が実際にいたら俺の肩を揺さぶっていただろう。だが俺の肩は自力で上下に揺れていた。 「はぁ、はぁ、……エクトプラズマは、ヨノワールLV.Xが気絶したときに使えるポケパワー……」 俺達を囲む紫色の空間のあちこちにスッと切れ目が入ると、その切れ目からたくさんの眼が現れた。濁った白目の真ん中の瞳孔はこれでもかというくらい真っ暗だ。上下左右、全方位にウン百万、ウン千万、いやもっとあるこの眼達は俺達を凝視する。まるで監視されているかのようだ。 「くっ、このヨノワールLV.Xは、相手のワザで気絶したとき、スタジアムカードとして、このLV.X一枚だけを、残すことが、出来る……。俺は次のポケモンに、ベンチのサマヨールを選ぶ」 「サイドを一枚引く。これで残りサイドは三枚だ」 息するのが辛いぞクソ野郎、全力疾走した後みたいな疲弊だ。座り込みてぇ。だが、それはまだ、まだだ。 「さあ、ワザを使ったから、お前の番は終わりだ。はっ、はぁ、ポケモンチェックにフェイズは移行する……。エクトプラズマの効果だ。このカードがスタジアムとして場にあるなら、ポケモンチェックの度に、相手のポケモン全員に、ダメカンを一つ乗せる……。さぁ苦しめ!」 合図と同時に高津の場の全てのポケモンが苦しそうにのたうちまわる。カイリキー120/130は四つの腕を使って頭を押さえ、ネンドール50/80は変な回転を始め、パルキアG LV.X50/120は首を振りまわしながら悲鳴を上げている。 「ははっ、いい声上げるじゃねぇか……。おいおい……。今度は俺のターンだ。ドォロー!」 ちっ、こいつじゃない。クソ、引きも悪くなってんじゃねえか。これが翔が言う「流れ」ってやつか。 「サポーターだ。クロツグの、貢献。トラッシュの基本エネルギーか、ポケモンをデッキに五枚戻して、シャッフル……。はぁ、俺は超エネルギー三枚とゴースとゲンガーを、戻すぞ」 減らしすぎたデッキのリカバリーだ。これで二十四枚……。 「ゲンガーに超エネルギーをつける。ネンドールのコスモパワー、手札を二枚戻して二枚ドロー。ターンエンドだ」 そしてポケモンチェック。高津の場は地獄絵図と化し、それぞれのポケモンのHPはカイリキー110/130、ネンドール40/80、パルキアG LV.X40/120となった。 「今度こそ降参したらどうだ?」 「けっ、人傷つける割には、そんなことを言いやがって、このクズめ」 瞼が重い。右腕でバトルテーブルを上から押して、それでなんとか体重を保っている感じだ。さすがにあんだけ連打を受ければ辛い。だが負けたくは、ない。 「不思議だな……」 「む?」 「こんなボロボロになっても、お前にだけは負けたくねぇ……」 高津は一人笑いはじめる。紫の空間には高津の笑い声がしばらく響いた。 「口だけならなんとでも言える。お前が何と言おうと、それは意味を成さない。俺は俺を否定する奴を認めない。このターンでお前に止めを刺してやる」 (本気だよあいつ!) 「くっ……」 「俺のターン。サポーターカード、地底探検隊を発動。デッキの底から四枚カードを確認し、そのうち二枚を手札に加える。そして俺はカイリキーに闘エネルギーをつけ、レベルアップさせる!」 ぞわり、身の毛がよだつ。カイリキーLV.X130/150、こいつはヤバい。直感で分かる。あれはダメだ。ヤバい、ヤバすぎる。あんなのの一撃をまともに喰らうと本当にどうなるか分からない。 思わず右足が一歩下がる。しかし下がったところでどうなるものでもない。 「カイリキーLV.Xで攻撃。斬新だ」 高津の指はまたもや俺の左肘を指す。しかしどこに衝撃が来るか分かっても対処のしようがない。 「斬新は威力はたった20。だがしかし、カイリキーLV.Xにはポケボディーがある。このポケボディーのノーガードはこのポケモンがバトル場にいる限り、相手に与えるワザのダメージと受けるワザのダメージは全てプラス60。よって斬新で与えれるダメージは80。サマヨールのHPも80。これで気絶だ。だがその前にこの一撃に耐えれるかだがな」 走り出したカイリキーLV.X。ニンマリ笑うその顔から繰り出されるチョップがサマヨールに届いたとき。 「ぐっ、がああああああああああああああああああああああ!」 絶叫と共に俺と、俺が左手に持っていた手札六枚が宙を舞う。
拓哉(表)「今回のキーカードはカイリキーLV.X。 なんといってもポケボディーのノーガード。 ダメージを受けるのはもちろんだけど、それ以上に与えるダメージ増幅がすごい」
カイリキーLV.X HP150 闘 (破空) ポケボディー ノーガード このポケモンがバトル場にいるかぎり、このポケモンの、バトルポケモンに与えるワザのダメージと、相手のポケモンから受けるワザのダメージは、すべて「+60」される。 闘無無 ざんしん 20 次の相手の番、ワザのダメージで自分の残りHPがなくなったなら、コインを1回投げる。オモテなら、自分はきぜつせず、残りHPが「10」になる。 ─このカードは、バトル場のカイリキーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 超+40 抵抗力 − にげる 3
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Re: ポケモンカードゲームシリーズLEGEND PCC編 ( No.101 ) |
- 日時: 2010/11/14 22:11
- 名前: レイコ
- こんばんは。移転更新ご苦労様です。こちらでは初のお邪魔となります。
新サイトになったということで、改めて最初から読ませて頂きました。 いやぁ、おもしろい。今回通して読んでみて色んな発見がありました。 懐かしさも手伝っているのか、展開やキャラの動き一つでもまた違った印象も受けました。 たとえば主人公の翔が前より断然好きになりましたし、というよりも正確にはこれまでよりどのキャラも魅力的に見えました。 応募キャラも違和感なく物語りを盛り上げており、よく生かされているなと思います。 そして何より、登場人物達が本当にカードバトルが好きなんだということが伝わってくるのがいいんですね。 勝負で芽生えた友情一つ一つに胸が熱くなります。
また物語の流れもお見事だと思いました。既存のカードをうまく使っているところにも驚かされるのですが、 コイントスのハラハラ感がたまりません。こういう読者をぐいと惹き付けるような描写がお上手ですね。素直にのめり込むことができます。 PCCの後半は重い展開が続いていますが、この状況を打開できるであろう主人公と仲間達の活躍に期待しております。ああ、松野さん……拓哉……
それでは。いつもながらの迅速な更新、お待ちしています。
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