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ポケモンカードゲームシリーズBW アルセウスジム編
日時: 2011/04/06 23:26
名前: でりでり 13話リメイク ID:dXTaWwQs
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

どうも。でりでりです。今回はポケカで小説を書かせていただきます。
ポケカを知らない方でも楽しめるようにしてありますので是非どうぞ。
ツイッターもやってます。「terikazememe」

私と霜月さんのサイト、「気長きままな旅紀行」
http://www.geocities.jp/derideri1215/
でりでりのブログ、「Over fresh」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/


キャラクターをまとめてみました。気長wiki
http://www15.atwiki.jp/kinaga/
ファーストバトル編&風見杯編目次 >>103

PCC編
39話 風見の用事 >>47
40話 バトルベルト! >>48
41話 力の証明 >>49
42話 能力者の影 >>50
43話 かーどひーろー >>51
44話 再会 >>52
45話 姉弟 >>53
46話 凍結! >>54
47話 油断大敵 >>55
48話 訪問者 >>56
49話 二人目 >>57
50話 精神戦 >>58
51話 暴風 >>59
52話 出陣 >>62
53話 PCC予選 >>66
54話 昼時 >>68
55話 ケンカ >>69
56話 地獄 >>70
57話 俺流 >>71
58話 痛快 >>72
59話 真剣 >>73
60話 下準備 >>74
61話 チェーン >>75
62話 初歩的ミス >>78
63話 ハイレート >>80
64話 ギガントパワー >>81
65話 ライバル! >>83
66話 機転 >>84
67話 天王山 >>85
68話 弱気 >>86
69話 無から有を >>89
70話 挑戦 >>91
71話 真摯 >>92
72話 情熱 >>95
73話 五分 >>96
74話 転落 >>97
75話 困惑 >>98
76話 不足 >>99
77話 絶望 >>100
78話 アイツ >>104
79話 指針 >>105
80話 恐怖 >>106
81話 真価 >>107
82話 窮境 >>108
83話 奇跡 >>109
84話 勝敗 >>110

アルセウスジム編
85話 疑惑B >>117
86話 能力C >>118
87話 新たなカードN >>119
88話 プレイT >>120
89話 新天地へM >>121

その他
ファーストバトル編を終わって >>10
風見杯編を終わって >>44
ポケモンはてなて。カード用語って何? >>45
PCC編を読む前に >>46
PCC編を終わって >>111
アルセウスジム編を読む前に >>116
蜂谷語録その1 >>79
芸能人事情 >>85
芸能人事情2 >>89
由香里のダイエット >>90
ハロウィン2010 >>97
おいしいラーメン >>99
PCC編セリフ集A >>112
PCC編セリフ集B >>113
PCC編セリフ集C >>114
PCC編セリフ集D >>115

デッキソースまとめ
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/deck.html
カード検索はこちらから(公式サイト。だいすきクラブのログインが必要です)
http://pcgn.pokemon-card.com/help/index.php

奥村翔botが登場!
https://twitter.com/okumurasho_bot
風見雄大botが登場!
https://twitter.com/kazamiyudai_bot
メンテ

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ファーストバトル編を振り返って ( No.10 )
日時: 2010/09/07 00:06
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 さて、公開したデッキソースとか、小説中のゲームを見ていてポケモンカードやってる人はたぶんこういいます。
「なんなのこれ」
 ですよねー。ひどいってレベルじゃないぞ。たぶんリアルで同じデッキ組んでてもよほどのことがない限り勝てません。
 それぐらい弱いです。それにプレイングに難アリ。
 翔VS風見の初戦で、風見がわざわざデッキの一番下にガブリアスを戻すとか不必要極まりない行動。


 まぁ、小説だからできるんですけどねー。

 この後は風見杯編をやるんですが風見杯編ではメインキャラを揃えるのが目的です。
 デッキはまだネタの段階。
 もうちょっとしたらガチデッキやオリジナルカードを使ったりいろいろしたりしますのでお楽しみください。
 私自身、カードを知らない人でも楽しめるように説明等してるんですが日本語が上手に使えない故、「なにが起きてるのかわからん」と思われてるかもしれません。
 その折はどの辺がどうとアドバイスしてくださるとありがたいです。

 とりあえず、手札が急に変わったり、増えたりしないように気をつけなければならない……。ポケカはドロー補助のカードが多くて本当に助かる。
メンテ
ファーストバトル、風見杯編OP「Start to Day」 ( No.11 )
日時: 2010/09/07 00:07
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

1、終わりは遂に 始まりは不意に
素敵なことを探しに出かけよう
追いかける夢の先に未来はきっと待っててくれるさ
いつだってfreeに 人生の渦を
避けて通りたい年頃だけど
僕は今もう既に渦中 どうせならばおもいっきりハジけるぜ

いつも今日は0から wake up 飾り気ない時を
僕が描こう 描きたいように 欲しい今を ひたすらに感じて
信じる心で brave life どんな暗い夜も
明けていくさ僕らのため光り輝く 素敵な毎日へ


2、僕らはgreed 弱いけれど
強がっていつも生きてきたから
涙は流したくないし 愚痴を言ったり傷をつけたくもない

だけどそうもいかずに I hurt 砕けくじけそうで
辛い日々に 押しつぶされ 壊されてもう 立てそうにないけど
諦めずに wake up 命がある限り
僕は生きる 知らない明日を まだ目にしない陽を この目で見るために


例えば道が途切れていても
歩いた先が道になる


いつも今日は0から wake up 飾り気ない時を
僕が描こう 描きたいように 欲しい今を ひたすらに感じて
信じる心で brave life どんな暗い夜も
明けていくさ僕らのため光り輝く 素敵な毎日へ
メンテ
ファーストバトル、風見杯編ED「fineship」 ( No.12 )
日時: 2010/09/07 00:07
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

1、降り続いてた雨は止み 大きな虹が街を包んでく
晴れる心が
どんなに暗い夜でも 必ず朝日は昇り晴れるよ
怖がらなくていい

どんな over hardship だって 切り抜けれるから
強気になって 胸を張って 前へ歩き出そう

いつも笑顔なら 壁だって なんだって 越えられるんだから
そんな顔せずに 泣きながらでも笑えるよ
ずっと ぐっと 決めた想いはそのまま...
また朝が来る

2、うつむきながら歩いちゃ 前が見えなくなってしまうから
前を向いて歩こう

そうさ こんな僕だって 出来ることはある
くじけないで 立ち上がって 前へ歩き出そう

強く夢 信じ 今だって 明日だって 誇り持てるように
どんな現実も 受け止められるように生きて
絶対 悔いは 残さないようにしよう
ほら光射す

(Rap)僕は歩いてく ただ単々と
未だあの夢の上を延々と
笑顔マンマン 元気はマンマン
蜿蜒【えんえん】とした道の上だんだんと(.)

やっぱそんなもんだと 決め打たないで
小さくても 可能性は もっと広がるさ

辛い時さえも 頑張って ふんばって 諦めないように
未来変わるから 自分信じてまっすぐに
きっと もっと 溢れ出す想い達が
実り始める...

───
黒川唯のデッキ公開
「シャドウナイト」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-530.html
メンテ
生じる予感 ( No.13 )
日時: 2011/03/16 14:39
名前: でりでり ID:msC3yn2g
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 冬の空気は凍てつき寒く、息を吐けば白くなる。手袋やセーターの着用が目立ち、そして迫りくる来年へと世間はせわしくなっていた。
 うちの高校は期末考査が終わり、言わずとも残念だった人や普段の勉学の成果が出た人など大きく分かれた。
 恭介はかなり底の方の成績だったが、俺が指導することによってなんとか平均点に近づいてきた。
 文理分けもそろそろ始まり、俺も恭介も共に理系に進むことに決めた。ただ、変わったことはそれだけではなかった。
 この間の対戦の後、風見が再び学校に来始めた。そして少しずつではあるが俺たちと打ち解けて来るようになったのだった。
 性格も喋っていると意外とフランクなことも分かった。周囲は今までずっと独りだった風見が俺らのグループに入ってきたという大ニュースに驚きを隠せないでいた。
 試験も終わり、再びカードゲームで遊び始めた俺ら。あと一週間とちょっとで冬休みだが、それが近づくごとに様子がおかしくなる奴がいた。
 彼の名前は藤原拓哉。ほとんどのやつは拓哉とか藤原とか普通に名前を呼ぶだけである、やや地味な男友達。ただ、男の割には銀色の綺麗な髪を腰ほどまで伸ばしていたり、その柔和な笑顔から女の子に間違われることも多い。
 性格は非常に引っこみ思案で、揉め事などが苦手で一歩後ろを歩いてくるような感じである。カードをあまり持ってなく、四色混合デッキとかなり暴挙に出ていたりする。俺もカードを譲ってあげたことが何度かある。余談だがムウマが好きなそうだ。
 で、その拓哉の調子が変なのだ。どう変かと言うと、やけに何かを気にするようそわそわしている。俺達がいくら訪ねても「何もないよ」と誤魔化しているのだが。
 よそ様のことであるのであまり深追いしないようにしているのだがどうしても気になる。
 だが、他人の心配をしていられる暇はなかった。


 珍しく風見と二人っきりで喋りながら帰っていた時のことだった。本来風見と俺は全然違う方向なのだが、用があるとのことで共に歩いている始末である。うちのボロアパートのそばまで来たとき、大きな体格でいかつい顔をした男が一人。そしてその後ろにやや細めのひょろい男が一人いた。
 こちらを見るや否や近づいて来る。え、そんな変なことしたっけ。俺の目の前まで来ると大柄ないかつい男の方が声をかけてきた。
「君、奥村昌樹さんの息子さん?」
 奥村昌樹とは俺の父の名前である。俺の両親は三年前、飛行機の墜落事故で命を落とした。現在は社会人である姉に養ってもらい、なんとか二人で暮らしているのである。死んだ父に用があるのだろうか。
「はい、そうですけど」
「昌樹さんは今いるかな?」
 見た目のいかつさとは違って割とジェントルマン。もしかして昔の知り合いとかか?
「いえ、三年前に飛行機事故で……」
 俺が表情を曇らせると、相手もそうか、と一つ呟く。
「そうかそうか、すまないな」
 男は遠くを見るような眼で俺を見る。
「あまり子供に対して言うのは気が進まないが」
 そう言うと、男は持っていた鞄から一枚の紙を取り出した。そこには「借用書」と大きく書かれている。
「君の伯父さんが、一年前に借金をしたままなんだ。ところが夜逃げされてねぇ。悪いけど、保証人のお父さんの御子息である君に払ってもらいたいんだ」
 冬なのに冷たい汗が背中を流れた。思わず頬をつねるが、手渡された借用書には変わらず五百万とかかれていた。
「俺は未成年の、こっち系でないヤツにこんなことをするのは嫌いだが、こちとら仕事なんでね。悪いけど頼むよ」
 男が俺の方をやさしく叩く。細い男は大柄な男の後を追うように去って行った。
 取り残された俺は渡された借用書を持ったまましばらく動けない。どうしてこうなるんだ。膝ががくがく震え始めた。
「翔」
 後ろにいた風見の手が俺の左肩に置かれる。
「聞け、翔。運が良いのか悪いのか、タイミングだけは非常にいい。TECK主催のポケモンカードゲーム大会の風見杯。これが一月に行われるのだが、この大会で優勝すればちょうど五百万の賞金が出ることになっている」
 黙ったままの俺に風見は話を続ける。
「この大会はこの間俺とお前で使った3D投影機のプロモーションも兼ねていて、それなりに提供も多い。人数を集めるためにさっきも言ったが優勝者には賞金を出している。翔、お前は風見杯に出ろ」
「……」
 もう何が何やらわからず頭がパニックを起こしている。もはや今持っている紙が何を示しているのか、風見が何を言っているのかもう分からない。
「……とりあえず詳しいことが決まり次第教えるからな」
 風見は一切動かない俺を見つめていたが、やがて踵を返して立ち去って行った。



翔「今回のキーカードはムウマ!
  相手がねむりならばこいつは一気にキラーカードになるぜ!」

ムウマLv.19 HP60 超 (破空)
─ こもりうた
 相手をねむりにする。
超 あくむのうたげ
 相手がねむりなら、相手に50ダメージを与え、自分のダメージカウンターを5個とる。相手がねむりでないなら、このワザは失敗。
弱点 悪+10 抵抗力 無−20 にげる 1
メンテ
希望を掴め ( No.14 )
日時: 2011/03/23 12:55
名前: でりでり ID:abyYshMU
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「……」
 部屋に入るとかばんを投げ捨て、床の上に大の字で寝転がる。
 あの借用書はリビングの机に置いてきた。今は何も考えたくない。
 これからどうするか。この後どうなるか。カイジみたいにエスポワールにのって限定ジャンケンでもしなくちゃならないのか。
 どうやらまだどうでもいいことを考える余裕はあるようだ。
 あまりにも非現実的すぎるような気がして脳がどこぞにでも行ってしまったかのようである。でもこれはたぶん行ったきり戻ってこないかもしれない。
 ちらと部屋の時計を見ると、もう七時を指していた。かれこれ一時間半以上はぼんやりと打開策がない迷路に迷っていることになる。
 そろそろ姉が帰ってきそうだ。両親がいなくなってから、家計を支えてくれた姉が。このご時世に一流の機会、電子企業EMDCに勤めているが不況故、給与も若干の右肩下がりである。
 風見が言っていた風見杯。自社製品の宣伝のために賞金つきのポケモンカードの大会を開催すると言っていた。望みがあるとすればそれしかないか……。
 ふと玄関の鍵が開く音がする。
「ただいま〜」
 明るく元気な声が聞こえてきた。姉の奥村雫だ。
「どうしたの、暗い顔して」
 亜麻色の長い髪を巻いている姉さんは巻き毛の部分を指に絡めてクルクルするのが姉さんのクセである。現に今もしている。
 俺はそんな明るい姉にどうとも言うことができず、黙って借用書の紙を渡す。間もなく姉さんの表情が一変した。



 どんな絶望的な気分でも、誰にも等しく朝はやってくる。今日は朝の明るさがやけに恨めしい。
 学校を休んでバイトして、少しでも借金のアテにしたかったのだが姉さんは決してそれを許してくれなかった。こっそりバイトしてお金を稼いでも、姉さんは受け取ってくれそうにもない。
 せめて学校では明るく振舞おうとしてもうまく笑顔が作れない。
 だからと言って借金のことを話し、同情されるのも嫌だ。我ながら自分の気持ちに整理が行ってない。
「おう。翔」
「よっ」
 愛想良く振舞っているつもりでも、精彩に欠ける。恭介もそんな俺を不審がる。
「オーラが死んでるぞ。なんかあったのか?」
「まあいろいろな」
「そうか……。まぁ頑張れよ」
 恭介は戸惑った顔を作ったが、そのまま何も聞かずに席についてくれた。こういう気遣いこそがありがたいということを痛感せざるを得ない。
 当たり前のように授業には集中出来ず、周りも怪しがっていたがぎこちなく笑うのが今できる精一杯だった。



 昼休み、なんとなく風に当たりたくなって、普段は利用しない屋上に上がることにした。
 屋上は昼休みのみの開放スペースで、俺以外にもたくさんの生徒がそれなりに広い屋上でお弁当の包みを広げていた。
 いつもは教室や食堂でみんなでワイワイ食べているのだが、今日はそんな気になれずに一人ベンチに座り、ぼんやりと虚空を見つめていた。
「おい」
 誰かに声をかけられる。振り返ると、風見が立っていた。
「お前らしくないな」
「そんなこと言うほど俺のことを知っているわけでもないだろう」
「それもそうかもしれないな」
 風見が妬ましい。親がTECKの社長ってことは間違いなく裕福な家庭に生まれ、そりゃあ苦労とかはしただろうが破滅的危機には遭遇していないと思う。俺のようなスレスレ、ギリギリな生活を送っていない。……だろう。
「で、何の用だ」
「昨日言っていた風見杯についての資料だ」
 透明なA4クリアファイルが手渡される。中には言われた通りの資料が数枚入っている。
「お前は俺を倒した程のヤツだ。これくらいの大会で負けてもらっては困る。見ればわかるが、風見杯の賞金は破格の五百万だ。TECKもTECKで全力でかかってる」
 基本的に大会の概要に関する資料だった。基本概要、開催日、開催場所、募集要項、レギュレーション、ジャッジ、大会ルールなど。
 ハーフデッキの大会か。だがどんなヤツであっても必勝などはない。大会経験の少ない俺としては怖いんだ。
「このようなところでお前のようなやつが終わってもらっては困る。必ず勝て!」
 そんな心を見透かした風見の喝が俺に飛び込む。俺を見る眼差しは真剣そのものだった。こいつは本気でそう言ってくれている。
 そこまで言うと風見は踵を返し、屋上を去ってゆく。口では言えなかったが心の中で風見の叱咤激励と、俺に希望をつなげてくれたことを感謝する。
 ふとポケットにしまってあったデッキを見ると、一番上にあったバクフーンのカードまでもが俺に叱咤激励をしてくれるような気がした。



翔「今回のキーカードはバクフーン!
  気化熱は水タイプに有効なワザだ。
  俺のお気に入りのカードだぜ!」

バクフーンLv.46 HP110 炎 (DP2)
ポケパワー たきつける
 自分の番に1回使える。自分のトラッシュの炎エネルギーを1枚、自分のベンチポケモンにつける。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
炎炎無 きかねつ  60
 相手の水エネルギーを1個トラッシュ。
弱点 水+30 抵抗力 − にげる 2
メンテ
壊れた心 ( No.15 )
日時: 2011/03/30 10:50
名前: でりでり ID:ki7VHMKo
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 夕陽は当たっているが、室内灯が点いていないためやけに暗い。
 小さなマンションの五階、そこに一つ小さな声が聞こえる。
「ただいま……」
 近づいて聞かないと聞き取れないようなか細い声。しかしその声を聞く相手などそもそもいない。
 声の主の藤原拓哉、その母は仕事に出ていた。父は彼の幼い頃に母と離婚し、いわゆる母子家庭。貧困な生活の中、母はいつもパートで家におらず、彼は常に独りぼっちだった。
 小、中学校時代共にいじめられたがようやく高校で彼は自分の居場所を見つけた。居場所というのは翔達のグループ。きっかけはずっと独りぼっちだった彼に翔が話しかけたことが始まりだった。
 だが、この居場所を失えば今度こそ独り……。
 それは彼を押さえつけるある種の呪縛でもある。彼はなけなしの自分の手持ちのお金を全てカードに変え、かろうじてついてきているような状態。翔達のグループはよくカードで遊んでいるためこのような呪縛が本人に植えつけられてしまった。
 翔自身は彼がカードを持っていなくとももちろん仲良くするつもりなのだが、拓哉はそれを知っていない。
 カードがなくなれば翔達にお払い箱にされ、すべてが破滅、終わりだと思っている。
 拓哉の母が稼げど稼げど消えゆく金は、主に拓哉の養育費である。それゆえ嫌がらせも激しい。
 仕事で何かある度に、そのストレスは全て拓哉にぶつけられていた。怒鳴り、蹴り、殴り。それら全てが拓哉の感情を不完全にしていった。
 本日拓哉は学校の帰り、昼食をケチったお金でカードを買い、それを家で開けることをささやかな楽しみにしてパックを手に持っていた。
 母の仕事の帰りは遅いはず。その普段が、安心感が非情を呼ぶ。
 部屋へ行こうと廊下を歩むと、リビングの方から本来はいないはずの母がいた。
「おかえり……」
 母は拓哉が帰ってきたことに感じる苛立ちをまるで隠さない挨拶を放つ。
「……アンタ、何よそれ」
 拓哉が持っていたパックを目ざとく見つけ、取り上げる。
「ぽけもんかーどげーむ……?」
 パックを読み上げるとそれを後ろに放り投げ、母は拓哉の服を掴む。
「いい御身分でして!」
 拓哉はそのまま後ろに押され、床に倒れこむ。母の怒りは止まらなく、頭を抱えてうずくまっている拓哉に追い打ちをかけるよう蹴りを何度も入れていく。
「アンタ育てるのにどれだけ苦労してるか分かってるの!? アンタにどれだけ金とられてるか分かってるの!?」
 声を荒げ、何度も何度も拓哉に蹴りを入れていく。そして蹴られていく度に拓哉の憎悪は拡大していく。
「このゴミっ……!」
 と叫び、再び拓哉に蹴りかかろうとした途端。ふと空気の流れが変わった。
「おい……。どっちがゴミか教えてやろうか?」
 頭を抱えてうずくまっていた拓哉が、蹴りかかろうとしていた母の脚を掴む。拓哉の真っすぐストレートの髪が、怒りの感情を現わすかのように方々にはねている。
 力を入れて脚を掴んでいるためか母は痛がり、狂乱ゆえに声にならない悲鳴を叫び続ける。
「おらぁ!」
 そのまま逆に母を押し倒し、母を無視して拓哉は投げ捨てられたパックを拾いに行く。
「アンタ、どうなるか分かってるでしょうね! 私に手を……」
「貴様の運を試してやるよ」
 拓哉は母の言葉を流し、拓哉はパックを開封する。
 母は拓哉を殴りつけようと近づこうとしたが体が思うように動かない。
 拓哉からの剣幕、威圧感が自然に動きを妨げていた。逆光で拓哉の顔はよく見えないが、声は笑っている。
 通常、ポケモンカードゲームに入っているカードは十一枚入っているが、拓哉はその十一枚をシャッフルしランダムに一枚抜き取る。
「ほぉ、サマヨールか。当たりだな」
 拓哉がサマヨールのカードを母親に向けると、カードが黒い靄に包まれていく。
「さぁ、恐怖に慄け!」
 黒い靄は母の手前で止まり、何かを形成していく。モゾモゾと音を立て、カードと同じ絵の───サマヨールが現れる。
 拓哉がやれ、と言うと、サマヨールのその両手が母を掴む。するとサマヨール諸共跡形もなく綺麗に消えていく。
 母が最後に見た拓哉の顔は極上の悦びに浸っていた顔だった。



翔「今回のキーカードはサマヨールだ!
  なんと相手の手札もトラッシュできちゃうカードだ」

サマヨールLv.41 HP80 超 (破空)
超 やみのひとつめ  20
 のぞむなら、自分の手札を1枚トラッシュしてよい。その場合、相手プレイヤーも手札を1枚トラッシュ。
超無無 おそいかかる  40+
 コインを一回投げオモテなら、20ダメージを追加。
弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる 1
メンテ
決戦の朝 ( No.16 )
日時: 2011/04/06 13:44
名前: でりでり ID:dXTaWwQs
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「よし、準備は万端だ」
「いざ戦地へ! だな。早くしないと時間に遅れるかもしれないから早く行こうぜ!」
「いやいや、予定よりもだいぶ早く動いてるから大丈夫だって。恭介は短気すぎるぞ」
「そういえば翔、お前のねーちゃんは?」
「俺達とは別行動で来るってさ」
「じゃあ百合が駅で待ってるから急ごうぜ」
 年明けての一月十日、冬真っ盛りでとても寒い。俺と姉さんが住んでいるボロアパートは冷たい風がよく通る。ストーブを点けないと部屋の中も外も対して差異はない。そりゃそうか。
 ボロい反面に駅からは近い。徒歩三分は結構魅力的である。
 地下鉄の駅に行くと、チケット売り場で長谷部 百合(はせべ ゆり)さんが待っていた。
 長谷部さんはゆったりとした感じの子で、短気な恭介とは逆だ。彼女もポケモンカードをやるらしい。
 白い暖かそうなコートに身を包まれていた彼女を見て羨ましいと思った。一言添えると、恭介がうらやましいわけではなくコートがうらやましい。お古のダウンじゃ限界だ。
「おはよう」
 いくら身は寒くとも、長谷部さんの笑顔を見ると心は暖かくなる気がする。良い子だ。
「おはよう」
 こちらも一言挨拶を返す。
「さて、行くか。忘れ物してない?」
「おう、バッチリだぜ」
「えーと、してないわ」
 切符も買ったし問題ない。いつでも行ける用意は出来ている。
 休日の朝。平日ほどではないが、社内にはそれなりに人はいる。車内暖房のせいもあるが、人口密度のせいでより暑く感じられる。
 当然の如く席になんて座れない。吊り手は満員で、仕方ないから今日のデッキについていろいろ考え事をしていた。隣にいる長谷部さんの少しウェーブがかった亜麻色の長い髪からくる甘いシャンプーの匂いが考え事の妨げとなり、結局ほとんど考えれなかった。
「いつ見てもでかいな」
「こんなところを会場にするなんてさすがは風見だなぁ。ちょっとドキドキしてきたぜ」
「恭介、初戦で負けるなよ」
「翔こそ負けるなよ? なんせお前は……」
 恭介は言葉に詰まる。彼なりに気を使ってくれているのだろうか。
「まあ、とにかく頑張れよ!」



 大会の会場は、野球の試合でも使われるような大きなドーム。
 そのドームにはこの間TECKで使った、3Dマシンが十六台置かれていた。よくもまぁ搬入できたもんだ。
「恭ちゃん、エントリーあっちだって」
 当日参加制のこの大会は、ドーム内でエントリーしないと出場できない。まあ普通だが。
 エントリー申請をする場所では結構な行列が出来ていた。
「翔くんおはよう」
「おっ、拓哉。調子はどう?」
「頑張れるだけ頑張るよ」
「期待してるぜ!」
 拓哉はいつも通りそうだった。向こう側では黒川唯、そして姉さんもいた。
 他に辺りを回すと知り合いが何人かいる。こういうところでは誰かがいるということがとても大事だ。
 エントリー申請をする場所ではエントリーカードと記念プロモカードが渡される。
 エントリーカードには自分の名前、対戦相手の名前、勝ち負けを記入する場所が七箇所あった。七回勝てば優勝なのだろうか。
 一方プロモカードはペラップのカード。公式大会ではないのに中々粋なことをしてくれる。株ポケも絡んでるのかな。



 大会開催時間になった。檀上で知らないおっさんのTECKのうんたらとかが少しばかり話が始まる。風見と名乗っていなかったので父親ではないようだ。
 スピーチ自体に面白みは一切なかった。だが、おっさんがある程度話きると、ルール説明を始め出す。こっちはちゃんと聞いておかないと。
「諸君が首にしているエントリーカードには勝敗を記入できる箇所が七箇所ある。当然と思うが七回戦える。だが、多少変則的にさせてもらった。よく聞いてほしい。
 諸君は『七回まで戦える』。詳しく言うと、五勝すれば決勝トーナメントに進むことができるのだ。つまり負けていいのは二回まで。
 そして五勝した人全員が決勝には上がれない。早いもの順、先着十六名までが決勝トーナメントに出場可能だ。
 五勝したらエントリーカードをこの壇まで持ってくる。それで決勝進出となる。
 戦う相手はスタッフが放送した番号のエントリーカードを持っているもの同士となる。以上」
 要するに五勝すれば勝ち。対戦相手はエントリーカードの番号によって決まるとのことだ。
 エントリーカードはただの紙だが3Dマシンがバトルを自動処理するらしい。最近の科学の力ってすげー。
 それはともかく、さっさと五勝して決勝へ行かなければ。
 檀上の傍には風見もいる。その風見もこちらに気づき、ふっ、と笑うと控え室へ去っていった。
 風見も大会に出るとかなんとか言ってたのでそのうち会えるでしょう。もし戦える機会があれば……、それはそのときまでの楽しみにしていよう。



翔「今日のキーカードはペラップ!
  アンコールの使い方がキーになるぜ!」

ペラップLv.29 HP60 無色 (PROMO)
無 アンコール
 相手のワザを1つ選ぶ。次の相手の番、その相手は、そのワザしか使えない。
無無無 みだれづき  20×
 コインを3回投げ、オモテ×20ダメージ。
弱点 雷+10 抵抗力 闘−20 にげる 1
メンテ
風見杯予選! 翔VSM[ムービー]ポケモン(前) ( No.17 )
日時: 2010/09/07 00:13
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「ありがとうございましたー」
「ありがとうございました……」
 これで四勝。負けはない。あと一勝すれば決勝進出だ。
 次の試合のコールはまだないのでとりあえずデッキ調整をしよう。
 今日はデッキを二つと、予備のデッキを少し持ってきた。主にトレーナーカードをいじるためだ。
 デッキを組む時はこれで完璧と思っていても、いざ使ってみると使えそうなカードが邪魔になったりと言うことがカードゲームにはよくある。
 その点ドロー支援のカードは万能だ。つくづくそう思う。
「おっす翔、そっちはどうだ?」
 恭介が声をかけてきた。
「四勝の負けなしだ。リーチだぜ」
「俺はまだ三勝零敗。一歩遅いな」
『エントリー番号38と97は試合会場14番に集合してください』
「おっと、それじゃあ後でな」
「おう! 負けんなよ?」
「決勝会場で会おう」
 恭介は自分の試合のために急ぎ足で去って行った。
 この大会には借金返済がかかっている。本来はもっとプレッシャーがあっていいはずなんだが、まるで感じられない。
 これはこれでいいのかもしれないが複雑な心境だ。
『エントリー番号36と15は試合会場3番に集合してください』
 お呼びがかかった。行こう。



 この大会の変わった点を挙げれば、いろんな都道府県の人が参加できることと、当日参加可能と、なにより子供と大人が混ざって戦うところだ。
 普通、実力差があるため子供と大人は部門別で分かれているのだがこの風見杯は子供も大人も同じ土俵に立つ。
 勝って優勝というよりも大会に出るということがメインのヤツと当たると悪いが楽に勝たせてもらえる。
 実際俺の目の前の相手は小学生。楽に決勝に進めそうだ。
「よろしくお願いします」
 互いに礼を交わし、順番を決めてデッキをシャッフル。カードを引いてたねポケモンをセット。表反して試合が始まる。
 俺の最初のバトルポケモンはノコッチ、ベンチポケモンはヒトカゲ。
 一方相手の小学生はバトルポケモンはギザみみピチューM、ベンチポケモンはミミロルM。
「M(ムービー)デッキねぇ……」
 ファンデッキだなこりゃ。瞬殺とまでは行かないがこれは楽だな。
「僕のターン。えっと、ギザみみピチューMに雷エネルギーをつけてともだちパーティー発動! 山札から好きだけMとついたポケモンをベンチに出せる!」
 ギザみみピチューがおいでおいでしてる。
「ピカチュウMとニャースM、ポッチャマMとパルキアMをベンチに出します」
 一気にベンチが埋まる。この辺はプレイングが甘い。この後にいいポケモンが手札に考えたときのケアがまるでない。ギザみみピチューのHPが低いという点はあるのだが。
「ドロー! ヒトカゲに炎エネルギーをつけてノコッチのへびどりを発動。カードを一枚引いて終わりだ」
「僕の番だね。カードを引いて、スタジアムカード、ミチーナ神殿を発動!」
 3D投影機によって対戦相手の男の子の背後に映画で観たあのミチーナ神殿が映る。
「さらにトレーナーカードの命の宝玉を発動! デッキからエネルギーカードを五つまで選択して手札に加える。僕は水エネルギーを三枚、雷エネルギーを二枚手札に加えます。その後五回コイントスをして表の回数だけMと名のついたカードにエネルギーをつけることができる」
「なっ」
 早すぎる。しかし相手の山札はすでに十一枚。下手にサーチしすぎるとあっという間に山札が無くなる。
 この間風見と戦ったときよりこの3Dマシンは進化している。どの点が進化しているかというと、コイントス機能がついたことだ。
 ボタン一つを押すと自動的にコイントスを行ってくれる。非常に公平なシステムだ。
 裏、表、表、裏、表。つまり相手の男の子は三枚までエネルギーをつけれる。
「パルキアMに水エネルギーを二枚、雷エネルギーを一枚つけます。そしてパルキアに水エネルギーをつけます。ギザみみピチューの雷エネルギーをトラッシュしてにがし、パルキアを新たにバトルポケモンにします」
 これは弱ったな。水タイプのカードを出されるのは困る。炎デッキの俺には鬼門となる。
「パルキアMの攻撃! いっとうりょうだん。コイントスをして表ならベンチポケモンにもダメージを与える」
 裏。ヒトカゲは無事だった。パルキアMがノコッチに向かって右手を振り下ろす。重低音と共に、モニターのノコッチにはダメージカウンターが五つ乗った。
 やばいぞ、これは思ったよりも強い。



翔「今日のキーカードは命の宝玉!
  Mと名のついたポケモンにエネルギーをたくさんつけれるぜ!

命の宝玉 トレーナーカード (オリジナル)
 自分のベンチにいる「名前にM[ムービー]がつくポケモン」の数だけ自分の山札から基本エネルギーを選択し、開いてプレイヤーに見せてから手札に加える。その後、山札を切る。さらに、山札から手札に加えた基本エネルギーの数だけコイントスをし、表の数だけ自分の「名前にM[ムービー]がつくポケモン」に基本エネルギーをつける。


───
11日ぶりの更新。夏休みの間だし進めれるだけ進みたい。
メンテ
予選終了! 翔VSM[ムービー]ポケモン(後) ( No.18 )
日時: 2010/09/07 00:13
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 ファンデッキはそもそもカード自体が弱く、しかも高コスト。分かりやすく言うと、千五百円のカラフルな弁当があるが、五百円の弁当のほうがうまかった。
 分かりにくい? んー。とにかく、コレクション用のカードなのでそもそも強くないということだ。
 しかし油断大敵とはまさにこのこと、しまった。
「俺の番だ」
 おっ、ふしぎなアメ。しかしここは気を抜いていられない。どう攻めるべきか。今ある手札で必至にめぐらせる。
「ヒトカゲを対象にふしぎなアメ発動。このカードの効果によりヒトカゲをリザードンに進化させる!」
 ヒトカゲの足元から光の柱が立つ。俺は手札のリザードンのカードをヒトカゲに重ねた。光の柱が消えるとともにリザードンの雄たけびが会場に響く。
「リザードンに炎エネルギーをつけて、ノコッチのへびどりを発動。山札からカードを一枚引いてターンエンドだ」
 防戦一方だが仕方ない……。しかし次の番には逆襲の始まりだ。
「僕のターンドロー! 手札の雷エネルギーをピカチュウMにつけてパルキアMで攻撃。いっとうりょうだん!」
 轟音と共にパルキアMがノコッチを粉砕する。これでノコッチは気絶だ。
「さらにコイントス! えっと、表なのでリザードンに20ダメージ!」
 パルキアMがリザードンに向かって腕をふるうと、真空波のようなものがベンチのリザードンに直撃する。
「ノコッチが気絶したのでサイドカードを一枚引くよ」
「次のバトルポケモンはリザードンだ」
「それじゃあターンエンド」
「俺のターン!」
 引いたカードはマグマラシ。しかし肝心のヒノアラシがいない。リザードンを倒されるとベンチポケモンがいなくなり、負けてしまうがあいにくたねポケモンを呼べそうにはない。ここは強気で攻め続けるしか。
「手札のリザードンに炎エネルギーをつけて攻撃! バーニングテール!」
 リザードンが尻尾でパルキアMに攻撃する。派手な音をたててパルキアMに傷を負わせる。
 致命傷にはなったものの倒しきることはできない。HP90のパルキアMに80ダメージを与えたため残りHPは10となる。
 そしてバーニングテールのコストとしてリザードンの炎エネルギーを一枚トラッシュする。
「僕のターン。ミチーナしんでんの効果発動! 自分の番に一回、自分の場のM[ムービー]と名の付くポケモンを一枚選択し、ダメージカウンターを二つ取り除けます。僕はパルキアMを選択」
 パルキアMはHPを20回復したため、これで残りHPは30だ。
「ピカチュウMに雷エネルギーをつけていっとうりょうだんで攻撃!」
 パルキアMの攻撃が続く。炎タイプのリザードンに弱点のタイプである水タイプが攻撃したため、通常の50ダメージにさらに30ダメージが追加され80ダメージ。残りHPは40。なんにせよあと一、二撃で倒される。 
「俺の番だ、ドロー!」
 スーパーボールだ。山札のたねポケモンをベンチに出すことができるカードである。これでヒノアラシを呼びこまないと。
「手札のスーパーボールを発動! デッキのたねポケモンを選択し、ベンチに出すことができる。俺はヒノアラシを呼ぶぜ」
 ベンチエリアにヒノアラシが元気よく登場する。
「ヒノアラシに炎エネルギーをつけて、リザードンで攻撃! 炎の翼!」
 炎の翼は本来30ダメージなのだが、リザードンのポケボディ。「火炎の陣」の効果により、ベンチの炎タイプの数だけ与えるダメージが+10される。今、ベンチには炎タイプのヒノアラシが一匹いるので30+10となり40ダメージを与える。
 上空から炎を身にまといリザードンがパルキアMに突撃する。パルキアMはこれで気絶。相手の次のバトルポケモンはポッチャマMである。
「相手のポケモンを気絶させたため、サイドカードを一枚引いて終わりだ」
 引いたカードはヒトカゲ。
「僕の番です。ドロー。ピカチュウMに雷エネルギーをつけてターンエンドです」
 やはりというかなんというか、あのピカチュウがキーになるようだ。
「俺のターン!」
 エネルギー転送のカードを引いた。このカードはデッキから基本エネルギー一枚を手札に加えるカードだ。デッキ圧縮(山札の数を減らす手段)にはもってこい。
「エネルギー転送を発動。炎エネルギーを手札に加える。そしてヒトカゲをベンチに出し、ヒノアラシをマグマラシに進化させる」
 ベンチにヒトカゲがこれまた元気よく飛び出る。一方のヒノアラシは白い光に包まれマグマラシへと姿を変えた。
「そしてリザードンに炎エネルギをつけてポッチャマMを攻撃。バーニングテールっ!」
 リザードンのポケボディ、火炎の陣の効果により80+20で100ダメージ。HPが60しかないポッチャマMは一瞬で気絶となる。そして相手の最後のポケモンはピカチュウM。本命がようやく登場らしい。
「サイドカードをひかせてもらうぜ」
「僕の番、ピカチュウMに水エネルギーをつけます。そしてピカチュウMをレベルアップ!」
 ピカチュウMが光輝き、ピカチュウMLV.Xへレベルアップを遂げた。
「ボルテッカー!」
 ピカチュウMLV.Xが黄色い光に包まれてリザードンへ突撃していく。
「ピカチュウMLV.Xは自分にも20ダメージを受けるけども、相手に100ダメージを与える強力な技です」
「100ダメージ!?」
 3ケタのダメージなんて滅多にない。リザードンはHPが0を下回り、気絶となる。俺の最後のバトルポケモンはマグマラシだ。
 一方ピカチュウMLV.Xはボルテッカーの反動として20ダメージを受けることになり、残りHPが70となる。
「サイドカードを引いて終わりです」
「俺のターンドロー!」
 おっ! いいものを引いた。これで逆転への方程式が完成だ!
「行くぜ、マグマラシをバクフーンexに進化させる!」
 マグマラシは普通のバクフーンより一回り大きいバクフーンに進化する。
「そしてこの進化した瞬間にバクフーンexのポケパワー発動! バーストアップ!」
 相手の小学生の顔が困惑に歪む。
「このポケパワーは自分の番にこのカードを手札から進化させた時に発動する。相手のベンチポケモンの数までデッキから炎エネルギーを自分の炎ポケモンにつけることができる。今、君の所のベンチポケモンは三匹なので、デッキから炎エネルギーを三枚このバクフーンexにつけることができる!」
 これでバクフーンexには炎エネルギーが四枚ついたことになり、技を使えるようになる。
「行くぜ、バクフーンexの攻撃。メラメラ!」
 バクフーンexの口から巨大な火の玉が発せられ、ピカチュウMLV.Xに襲い掛かる。
 残りHPが70のピカチュウMLV.Xは80ダメージのメラメラを受けて気絶となる。
「最後のサイドカードをひいて、ゲームセットだ!」
 ゲームが終わると同時に3Dで映し出されていたポケモンは消滅。モニターにはYOU WINと味気ない文字が浮かび上がった。
「ありがとうございました」
 互いに礼をする。これで五勝、決勝への切符を手に入れた。
 予選用のエントリーカードをスタッフに渡し、本戦用のエントリーカードをもらう。エントリーカードの番号は2と書いてあった。
 本戦用のエントリーカードの番号は勝ち抜け順なので、先に勝ち抜いた人がいるらしい。
 予選を勝ち抜いた人は檀上で待機することになっている。つまりそこに一番抜けがいるということだ。一番抜けの顔を一瞬でも早く見たいため階段を駆け上がり、檀上にいる一番抜けの少年を見て驚く。
「拓哉、お前が一番抜けか」
 彼は不敵な笑みを浮かべていた。




翔「今日のキーカードはバクフーンex!
  exのカードは気絶すると二枚もサイドカードをひかれてしまうが、
  その分パワーにあふれてるぜ!

バクフーンex HP150 無色 (構築済みスターター「バクフーンex★炎」)
ポケモンexがきぜつしたとき、相手プレイヤーはサイドを2枚とります。
ポケパワー バーストアップ
 このパワーは、自分の番に、このカードを手札から出して、自分のポケモンを進化させたとき、1回使うことができる。 自分の山札から、相手のベンチポケモンの数ぶんまでの炎エネルギーを選び出し、自分の炎ポケモン1匹につける。 その後、その山札を切る。
炎炎無色無色 メラメラ 80
 自分のエネルギーを1個トラッシュする。 その後、相手のエネルギーを1個トラッシュする。
弱点 水闘×2 抵抗力 なし にげる エネルギー1


───
書けるうちに書くんだあああああああ
パソコンの調子が最近悪い。
一年半しか経ってないのに死にかけとかもうね
それと、命の宝玉強すぎたのでエラッタしました。
メンテ
本戦開始! ポイズンストラクチャー! ( No.19 )
日時: 2010/09/07 00:13
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 少しすると、ゾロゾロと人が集まって来た。
 どうやら風見も参加していたようだった。控え室に戻ったのはデッキを取りに行ったとのこと。
 他にも百合ちゃんや姉さん、恭介もやってきた。
 十六名が勢ぞろいしたが、その半分近くは身内というなんとも言葉にしづらい。
 そして十六名で戦う順番を決めるくじ引きを行った。
 その結果、一回戦二回戦に知り合いとは当たりそうにないが、隣のブロックには百合ちゃん、姉さん、恭介、風見と四人もいる。しかも百合ちゃんと風見が一回戦でぶつかる。
 一方拓哉は俺と当たるとなると準決勝だ。ぶつかるまではまだまだかかる。
 一時間の休憩の後、風見杯本戦が始まる。



 風見杯本戦は決勝と準決勝以外は常に二試合ずつ同時に行われる。
 先ほど一回戦の第一試合、第二試合が終わり、拓哉は快勝していたようだ。ようだというのは試合を見ていず、結果だけ見たため。
 そして第三、第四と終わり俺の出番である第六試合。
 エントリーカードを見ると、半田幸治という人が対戦相手だ。ちなみに年は俺の一つ上。
「よろしくお願いします」
 挨拶とデッキをシャッフルして手札七枚を引く。そしてたねポケモンを互いに伏せる。俺も相手もバトルポケモン一匹だけのようだ。
 続いてサイドカードを三枚伏せて先攻後攻を決める。先攻は俺がもらった。
 相手の最初のバトルポケモンはマニューラG、こちらはいつもながらノコッチ。
「ドロー! アチャモをベンチに出し、アチャモに炎エネルギーをつける。ノコッチのへびどりによってカードを一枚引く」
 引いたカードはヒコザル。今は少しでも兵を増やすべき。
「俺の番。カードをドローする。手札からスタジアム発動! ギンガ団のアジト!」
 周囲がゲームで見たようなギンガ団の───たぶんトバリビル───アジトに変貌する。
「このカードがある限り、手札からポケモンを進化させるとそのポケモンにダメージカウンターを二つ乗せる」
 つまり普通に進化すると20ダメージ。進化がメインとなってる俺のデッキにはかなり手痛い。
「そしてスカタンクGをベンチに出してポケパワー発動。ポイズンストラクチャー!」
 スカタンクGが体から紫色の霧を出し、各々のバトルポケモンのマニューラG、ノコッチがその霧に包まれてしまう。
「スタジアムが場にある時、互いのバトルポケモンを毒にする!」
 霧が晴れると毒に冒され苦しそうなノコッチと、同じく苦しそうなマニューラGが……。ってあれ?
 毒を受けたノコッチに対し、マニューラGは元気そうだ。
「ポイズンストラクチャーはSPポケモンには効果がない。SPポケモンであるマニューラGは毒にならない!」
 半田さんのポケモンは皆SPポケモンだ。つまり、一方的にこちらが毒になるというコンボになってる。
「スカタンクGに超エネルギーをつけてマニューラGで攻撃。仲間を呼ぶ!」
 マニューラGは半田さんを方を見、おいでおいでする。
「山札のSPポケモンを二枚まで選び、ベンチに出す。ドンカラスGとドグロッグGをベンチに出してポケモンチェックに移行。ノコッチには毒のダメージを受けてもらう!」
 ノコッチにダメージカウンターが一つ乗る。残りHPが60から50に。
「俺のターン、ドロー!」
 アチャモをワカシャモに進化させるとギンガ団のアジトの効果により20ダメージを受けてしまう。しかし手札のキズぐすりを使うとワカシャモから20ダメージを取り除くことができる。よし、行ける!
「ヒコザルをベンチに出してアチャモをワカシャモに進化させる」
「ポケモンを進化させたことにより、ギンガ団のアジトの効果発動!」
 ワカシャモの周囲に電気を帯びた棒が現われ、ワカシャモに放電する。20ダメージを受け、残りHPが80から60へ。
「ワカシャモに炎エネルギーをつけてポケモンいれかえ発動。ノコッチとワカシャモを入れ替える」
 ノコッチがベンチに引っこみ、ワカシャモをベンチに出す。
「手札のキズぐすりでワカシャモのHPを20回復。そしてワカシャモで攻撃! 火を吹く! この技はコイントスをして表なら20ダメージ追加する」
 コイントスは裏だった。つまり20ダメージ。ワカシャモがマニューラGに火を吹きかける。HPが80あるマニューラGに20ダメージを与えたためマニューラGの残ったHPは60。
「ターンエンド!」


翔「今日のキーカードはスカタンクG!
  場にスタジアムを出してポイズンストラクチャー!
  SPポケモンには効果がないぞ!

スカタンクG[ギンガ]Lv.46 HP80 超 (DPt1)
ポケパワー ポイズンストラクチャー
 場に自分の「スタジアム」があるなら、自分の番に1回使える。
 おたがいのバトルポケモン全員(SPポケモンはのぞく)を、それぞれどくにする。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
無色無色 えんまく  20
 次の相手の番、このワザを受けた相手は、ワザを使うときコインを1回投げ、ウラならそのワザは失敗。
弱点 闘×2 抵抗力 なし にげる エネルギー2


───
連日更新なんだぜ
ヒトカゲ→ヒコザルに修正。
メンテ
ギンガ団の脅威! 発動、エナジーゲイン! ( No.20 )
日時: 2010/09/07 00:14
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「俺のターン。手札のトレーナーカードを発動。ギンガ団の発明G−105 ポケターン! このカードは自分のSPポケモンとそれについているカードを手札に戻す効果を持つ。マニューラGを手札に戻す!」
 フィールドのマニューラGが黒い光の球となり、半田さんの手札へ飛んでいく。
 一見無意味に思える行為だが、そうではない。手札に戻すという行為は自分のポケモンのダメージを全て回復させることと同値だ。
 エネルギーも戻ってきてしまうビハインドがあるが、それでも普通ダメージ全回復なんてない。そして新手をバトル場に出す役目も果たす。
「新しいバトルポケモンはドクロッグGを選択」
 ドクロッグGがかったるそうにバトルエリアへやってきた。
「続いてポケモンのどうぐ、ギンガ団の発明G−101 エナジーゲインをドクロッグGにつける。このカードはSPポケモン専用の道具だ」
 ドクロッグGが左腕を掲げると、ギンガ団のマークがかかれた腕時計のようなものが装着される。
「このカードをつけているポケモンのワザエネルギーはそれぞれ無色エネルギー一個ぶんずつ少なくなる。ドクロッグGの技、ディープポイズンは超と無色エネルギーが必要だがエナジーゲインの効果により、超エネルギー一つだけでディープポイズンが使えるようになった。そしてスカタンクGのポケパワー発動。ポイズンストラクチャー!」
 またもやスカタンクGが紫色の霧を出す。ワカシャモだけが影響を受け、苦しそうにしている。
「ポイズンストラクチャーは場にスタジアムがあるとき発動できるポケパワー。SPポケモン以外の互いのバトルポケモンを毒にするためドクロッグGが影響を受けない。ドクロッグに超エネルギーをつけて攻撃。ディープポイズン!」
 ドクロッグGがあっという間にワカシャモに近づく。そしてとがったツメでワカシャモに一突き。ワカシャモは空に舞うとドサッと力なく倒れる。
「ディープポイズンは相手が毒状態だと40ダメージを追加するワザだ」
 もともと与えるダメージが20なので60ダメージ。HPが80のワカシャモは残り20。毒のダメージを受けると、俺の番が始まったころには残りHPが10となる。
 手札にはこの状況を打開してくれるカードがない。
「ターンエンド。そしてポケモンチェックにより、ワカシャモは毒のダメージとしてダメージカウンターを一つ乗せる」
「俺の番だな」
 デッキの一番上のカードを掴む。なんでもいい、この状況を打開してくれるカードをっ……!
「っしゃきたぜ!」
 俺の無邪気な笑みに、半田さんは面食らう。
「何を引いたかしらないが、ドクロッグGにはきけんよちというポケボディーがある。このポケボディーによって相手のワザの効果を受けないぞ」
「手札からサポーターカード、ミズキの検索を発動。俺は手札のカードを一枚山札に戻す代わりに山札からバシャーモを手札に加える!」
「なっ……」
 訪れた好転にふっと笑みがこぼれる。
「そう。進化したら毒は回復、さらに最大HPも上昇する。俺はワカシャモをバシャーモに進化させる!」
 ワカシャモはさらに大きく成長し、バシャーモへと姿を変えた。
「だがスタジアム、ギンガ団のアジトの効果発動。進化したポケモンにダメージカウンターを2つ乗せる!」
 HPが130のバシャーモはワカシャモのときに受けたダメージ70に加え、ギンガ団のアジトの効果により受けたダメージ20を合わせて残りHPが40。
 しかし攻めれるときには攻めていきましょうか。
「バシャーモのポケパワー発動。バーニングブレス! この効果により相手のバトルポケモンを火傷にする!」
 バシャーモは火炎放射に似た炎の息をドクロッグGに吹きつけようとした。まさにその時だ。
「この瞬間、手札のトレーナーカード。ギンガ団の発明G−103 パワースプレーをバシャーモを対象に発動!」
「俺の番なのにトレーナーカードだって?」
 通常、ポケカは他のカードゲームとは違い、自分の番には自分しか動けず、相手の番には相手しか動けなかったりする。しかしこのカードはどうやら相手の番に使える相当貴重なカードのようだ。
「このカードは自分の場にSPポケモンが二匹以上いないと発動できないカードだが、俺の場にはドクロッグG、スカタンクG、ドンカラスGの三匹がいるため発動できる。そして相手の番に発動する珍しいカードだ。その効果は、相手のポケパワーを無効にする!」
 バシャーモの目の前に謎の黒い機械が現れた。その機械の上部にとりつけられたレーザーがバシャーモのバーニングブレスを妨げる。
「だったら炎エネルギーをバシャーモにつけて攻撃だ! 炎エネルギーを二枚トラッシュしてほのおのうず!」
 バシャーモにつけていた炎エネルギー二枚をトラッシュへと置き、ワザを発動させるとバシャーモはドクロッグGを中心に炎の渦を作りだす。そして襲いかかる炎のダメージを受けて合計100。ドクロッグGは一発KOだ。
「次はドンカラスGだ」
「サイドを引いて俺の番は終了だ」
 サイドが一枚少ない俺が優勢。……のように思えるかもしれないがそうでもない。気絶寸前のバシャーモとノコッチ。そして全く育ってないヒコザル。しかし半田さんの場には無傷のドンカラスGとスカタンクG、さらに手札にはマニューラGもいる。
「俺のターン!」
 半田さんが山札からカードを引く。
「俺はポケモンの道具、エナジーゲインと悪の基本エネルギードンカラスにつける」
 またエナジーゲインか。ドンカラスGの首に装着された。しかし呆れる反面エナジーゲインはワザまでの射程時間が短くなるため恐ろしい。本来エネルギーが二つ必要なドンカラスGのワザ、「きずをねらう」がこれで発動できる。
「マニューラGをベンチに出してスカタンクGのポイズンストラクチャーを発動」
 もう説明はいらないよね。これでバシャーモがまたしても毒になる。しかしドンカラスGで倒せるんだし何のメリットが……。
「ドンカラスGで攻撃。きずをねらう!」
 ドンカラスGが黒い翼で羽ばたくと、バシャーモを……。ではなくてノコッチの方へとやってきた。
「きずをねらうは相手のポケモンに20ダメージを与える技。しかしそれはバトルポケモンでなくてもいい。そしてワザを受けるポケモンにダメージカウンターが乗ってると20ダメージを追加する。もっともノコッチの残りHPは10だけどな」
 ドンカラスGが翼でノコッチを攻撃すると、力なくノコッチは倒れ伏す。
「サイドを引いてターンエンド。そしてポケモンチェックでバシャーモに10ダメージだ」
 余裕の表情の半田さんに対して苦い顔をする俺。だがこんなところで負けるわけにはいかない!
「俺のターンだ!」
 山札の一番上のカードを力強く引いた。
「ドロー!」



翔「今日のキーカードはギンガ団の発明G−101 エナジーゲイン!
  SPポケモンにしかつけられないカードだが、SPポケモンのワザに必要な無色エネルギーを一つ減らせるカードだ!
  一気にガンガン攻撃!

ギンガ団の発明G−101 エナジーゲイン ポケモンのどうぐ (DPt1)
 このカードをつけているポケモンのワザエネルギーは、それぞれ無色エネルギー1個ぶんずつ少なくなる。
 ポケモンのどうぐは、自分のポケモンにつけて使う。すでにポケモンのどうぐをつけているポケモンには、つけられない。
 このカードは、SPポケモンにしかつけられない。SPポケモンについていないなら、このカードをトラッシュ。


───
2話完結のつもりが……。
まあいいか。
それより9/6のイベントいきてえ
メンテ
運命のコイントス! ( No.21 )
日時: 2010/09/07 00:14
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 引いたカードはオーキド博士の訪問だった。山札からカードを三枚引いて、その後手札から一枚デッキの下に置くカードだ。手札補充をしよう。引く三枚に賭けるんだ。
「サポーター、オーキド博士の訪問を使う」
 オーキド博士の訪問で引いたのは不思議なアメ、炎エネルギー、ゴウカザル。
 半田さんはドンカラスGでベンチのヒコザルをきずをねらうで攻撃すればダメージカウンターのないヒコザルには最初に20ダメージ、次のターンはすでにヒコザルにはダメージカウンターが乗ってるため40ダメージ。HPが50しかないから気絶。残りHPが40のバシャーモは毒で倒れ、サイドを二枚引く算段なのだろう。
 俺の手札にはあらかじめモウカザルがあったがスタジアムのギンガ団のアジトのせいで進化するとダメージを受けてしまい、ドンカラスGによるワザのダメージが増えるためため迂闊に進化できなかった。しかしヒコザルからゴウカザルへと一気に進化できるならHPも一気に増えるため問題ない。
 オーキド博士の訪問の効果で戻すカードはモウカザルにした。
「不思議なアメを発動。ヒコザルをゴウカザルに進化させる!」
 ヒコザルの足元から光の柱が現われ、それが消えた頃にはゴウカザルへと姿を変えていた。
「進化させたためダメージカウンターを二つ乗せてもらう」
「バシャーモのポケパワー、バーニングブレスを今度こそ喰らってもらうぜ!」
 バシャーモが炎の息をドンカラスGへ吹きかける。ドンカラスGは羽を動かして必死に抵抗している。妙にリアルだな。
「バシャーモの炎エネルギーをトラッシュしてベンチのゴウカザルと入れ替える。ゴウカザルに炎エネルギーをつけてワザを使うぜ。ファイアーラッシュ!」
 ゴウカザルがドンカラスGへと駆けて行く。
「自分の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュして、トラッシュしたエネルギーの枚数だけコイントスをする。そして表なら表の数かける80ダメージだ。俺の場にはゴウカザルにつけている炎エネルギー一枚しかない。それをトラッシュしてトスだ!」
 モニター手前のコイントスボタンを押す。オモテが出ると一気に情勢が変わる。表が出てくれっ!
 が、ダメっ! 無情にもウラと表示された。それに対応してゴウカザルの攻撃はドンカラスGに当たらず。
「ふぅ」
 半田さんは外れたことに安堵しているようで、一瞬緊張が入った表情も元通りに戻っていく。
「だけどポケモンチェックで火傷の判定をしてもらうぜ」
 やけどは毒と違い、ポケモンチェック毎コイントスが必要である。表ならダメージはないが裏なら20ダメージだ。
 しかし半田さんがコイントスをした結果表となりダメージはまだ0。
「俺のターン。ギンガ団の賭けを発動。互いに手札を全て山札に加えシャッフルだ」
 ここで手札リセット。タイミングが微妙なので俺の頭にはクエスチョンマークが一つ。
「そしてじゃんけんをしてもらう。勝ったら山札から六枚、負けたら三枚引くのさ」
 確実な一手を踏んできた半田さんが急にギャンブルカードを使うことにまたクエスチョンマークが増える。しかしここは迷うところではないだろう。
「よし、そうとなったら! 最初はグー、じゃんけんほい!」
 ……。
「六枚引かせてもらうよ。そしてスカタンクGに超エネルギーをつけてポケパワー発動、ポイズンストラクチャー!」
 スタジアムが場にあるとSPポケモン以外のバトルポケモンを毒にするポケパワーが発動し、ゴウカザルは毒に侵される。
「ドンカラスGの攻撃、きずをねらう。バシャーモに攻撃だ!」
 ドンカラスGは飛び立つとベンチにいるバシャーモを襲う。バシャーモはHPが0になったのでこれで戦闘不能となる。
「サイドを引かしてもらう。俺の番は終わりだが、ゴウカザルは毒のダメージを受ける」
 110あったHPが80まで減っていく。
「だがそっちも火傷判定をしてもらう!」
 威勢よく言ったのはいいがまたしても表だ。運を味方にしすぎである。
「俺のターン! ゴウカザルに炎エネルギーをつけて攻撃。ファイアーラッシュ!」
 今つけたばかりの炎エネルギーをトラッシュする。
 そして今度こそ決まってくれ! と強く念じてコイントスボタンを押す。願いは通じたのか表だ。
「っしゃあ! 行っけえ!」
 ゴウカザルは大きな火球をドンカラスGへぶつける。HPが80のドンカラスGは一発KO。
「サイドを俺も引いてターンエンド!」
「次の俺のバトルポケモンはスカタンクGだ。そしてポケモンチェックが来たのでゴウカザルには再び毒のダメージ。俺のターン、スカタンクGに超エネルギーをつけて攻撃だ! えんまく!」
 スカタンクGが灰色の煙……って普通の煙だな。目くらましとかで使うような煙幕を発する。
「ゴウカザルに20ダメージだ。そして次のターン、ゴウカザルはコイントスで裏だと技が使えなくなる。俺の番が終わると共に毒のダメージを受けてもらおう」
 もう残りHPが40だ。
 ここで技を外すか倒しきれないと俺の番の終わりのポケモンチェックで毒の10ダメージ、そして半田さんの攻撃で20ダメージ、そして半田さんの番の終わりのポケモンチェックでさらに10ダメージ。
 これで終わってしまう。
「ドロー!」
 毒をなんとかするカードもこなければ種ポケモンも来ない。こうなったらこのゴウカザルで勝つしかない。
「炎エネルギーをゴウカザルにつけて攻撃だ!」
 つけた炎エネルギーをすぐにトラッシュする。つけた気がしないな……。
「まずはえんまくの効果の判定だ」
 コイントスボタンを押す。もしも裏が出たら負け……。
「表だ! 続いてファイアーラッシュの判定!」
 でもこんなところで負けるとまた俺は姉さんに頼ることになる。もう高校一年生、いや。あと何ヶ月かで高校二年生だ。なのにまだ。
 俺はまだ負けられない。
「俺は勝って勝って勝ち続けるんだ!」
 叫び声が響くと同時にモニターに文字が映る。
「表か? 裏か!?」
 半田さんも釣られて叫ぶ。モニターには『オモテ』と表示されていた。
「おっしゃあああ!」
 ゴウカザルが火球をスカタンクGにぶつける。派手な音が鳴り、スカタンクGは力なく倒れる。最後のサイドカードを引くと試合終了のブザーが鳴る。



「ありがとうございました」
 挨拶を終え、熱戦をした相手と握手をする。
「最後までドキドキハラハラで怖かったよ。でも楽しかった。また機会があれば」
 半田さんは悔しさの一切見られない笑顔を浮かべる。清々しい対戦だったのは俺も同じだ。半田さんの言葉に俺は黙ってうなずく。
「頑張れよ」
 去っていく半田さんは右手拳を高く持ち上げる。俺も釣られて同じ動作をしたのだった。



翔「今日のキーカードはゴウカザル!
  エネルギーをトラッシュすると80ダメージ!
  ただしコイントスはしっかりとな!

ゴウカザルLv.44 HP110 炎 (EPDPt)
炎 ファイアーラッシュ  80×
 自分の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュし、トラッシュしたエネルギーの枚数ぶんコインを投げ、オモテ×80ダメージ。
無色×2 いかり  30+
 自分のダメージカウンター×10ダメージを追加。
弱点 水+30 抵抗力 なし にげる なし

───
半田幸治の使用デッキ
「ギンガ団の脅威」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-639.html
メンテ
竜VS草&水VS鋼 ( No.22 )
日時: 2010/09/07 00:15
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 俺の後には唯が戦った。相手はたねポケモンが上手く引けず、相変わらずと言うかなんというか1キル(1ターンキル。一ターンで勝つこと)を果たした。
 そして別ブロックの試合が始まる。いきなり風見VS百合ちゃんと姉さんの対決だ。どちらも見逃せまい。
 俺の隣にいる恭介は必至に百合ちゃんの方を凝視していた。
 そして試合が始まった。風見VS百合ちゃんは風見が先攻。姉さんと、えーと。向井って人との対戦は向井が先攻らしい。
 元来の大会ならテーブル一つあればできるからこの大会のように二試合ずつとか十六試合ずつとかではなく、同時にほぼ全員が戦うのでこうして誰かの試合を観るなんてとてもなかった。というか待ってる人もデッキ調整をしていたりとして真剣に応援してる人も少ない。
 しかし折角の機会だ。ここは応援しよう。もちろん黙ってだけどね。



「俺の番だ」
 相手は長岡(恭介の苗字)の彼女とやらか。手合わせするのは今回が最初だ。相手のバトル場にはフシギダネ。そしてベンチにはモンジャラ。
 その一方俺のバトルポケモンはタツベイ。ベンチには同じタツベイとフカマル。
 俺のポケモンのHPは皆50。相手のポケモンを見る限りいきなりやられるということはないだろうが早く進化しないと辛い。
「手札の炎エネルギーをバトル場のタツベイにつけて攻撃。こわいかお。コイントスをして表なら、相手は次の番ワザも使えず逃げられなくなる」
 コイントスのボタンを押す。瞬時にオモテウラの判断がつくのも面白くないから数秒してから結果が表示されるように作られている。この緊張感がたまらない。
「ウラか……。終わりだ」
「私のターン! 不思議なアメを使ってフシギダネをフシギバナに進化させます」
 早い。あっという間に二進化ポケモンが出るとは。フシギダネは光の柱に覆われフシギバナへと姿を変える。HPも140とかなり大型だ。
「そしてスタジアム。夜明けの疾走を出します」
 周囲が平原へ変わり、東と思わしき方向から太陽が現れる。
「えっと、自分の草または水ポケモンに手札からエネルギーをつけるたびにダメージカウンターを一個とって状態異常を全て回復させる効果です」
 たったダメージカウンター一つと言えど、されど一つ。僅差というものが勝負には非常に大きい存在となり、壁となる。ほとんど毎ターンHPを回復されるというわけだ。状態異常も回復されるのだがフシギバナのポケボディー、アロマグリーンによって草タイプはそもそも状態異常にならない。
「フシギバナに草エネルギーをつけて攻撃! どたばたかふん!」
 草エネルギーひとつで30ダメージだ。あっという間にタツベイの残りHPが20。ただ幸いなのはフシギバナに乗っているダメージカウンターが一つもないということだ。
 この「どたばたかふん」はフシギバナにダメージカウンターが8個以上のっていると相手を毒と火傷ど混乱にする効果を持っている。
 もしもこうなっていれば俺の番がくる前のポケモンチェックであっという間におじゃんだ。
 予選は少しも楽しくないが、本戦ではなんとか満足できそうだ。



「僕のターンだ。ドロー!」
 あたしのバトル場にはノコッチ。ベンチにはワニノコ。翔と似たような作戦である。ノコッチでまずは戦闘準備を整えるのだ。
「僕は手札の鋼の特殊エネルギーをつけてダンバルのポケパワー発動。メタルチェイン!」
 一方相手のバトル場はダンバル、ベンチはコイル。水タイプをベースとするあたしにとって雷タイプではなく鋼タイプであることが救いだ。
「自分の番に一回、手札から鋼エネルギーをダンバルにつけたときに発動できる。自分の山札のダンバルをベンチに呼び出す!」
 ジジジと電磁音が鳴り、開いているベンチスペースに新しいダンバルが現れる。
「ターンエンドだ」
 ダンバルのワザのとっしんはエネルギーが二つ必要だ。まだダンバルには一枚しかついていないため技が使えないのだ。
「あたしの番ね、ドロー」
 引いたカードはアリゲイツだった。まずはベンチのワニノコを育てよう。
「ワニノコをアリゲイツに進化させる。そしてアリゲイツのポケパワー発動。しんかでげんき! 手札からアリゲイツを進化させたときに自分の山札を上から五枚見て、その中のエネルギーを手札に加える。残りのカードは山札に加えシャッフル!」
 上から五枚を確認すると順に水エネルギー、オーキド博士の訪問、ブイゼル、ワニノコ、水エネルギー。そのうち水エネルギー二枚を相手に見せてから手札に加える。
「そしてノコッチのへびどりを発動。カードを一枚引いて終わりよ」
 場外にいるギャラリーを見る。予選は皆それぞれ自分のことに必死になっていたが本戦はそうではない。帰ったものは帰ったが残ったものは残ったもので試合を観ている。そしてあたしは観られてる。
 ふと傍を見るとこちらを見ていた翔と目が合う。長年いた兄弟だからアイコンタクトでわかる。頑張れ! と応援してくれているのが。



翔「今日のキーカードはフシギバナ!
  どたばたかふんとスペシャルリアクトのコンボは最強!
  相手はたちまち状態異常地獄だ!

フシギバナLv.55 HP140 草 (DPt3)
ポケボディー アロマグリーン
 自分の場の草ポケモン全員は特殊状態にならず、受けている状態異常はすべて回復する。
草 どたばたかふん  30
 自分にダメージカウンターが8個以上のっているなら、相手をどくとやけどとこんらんにする。
草草無色無色 スペシャルリアクト  40+
 相手が受けている特殊状態の数×40ダメージを追加。
弱点 炎+40 抵抗力 なし にげる エネルギー4


───
レイコさんが15話の挿絵を描いてくれました。
その挿絵が載った15話はこちら
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/15.html
メンテ
刺激する細胞 バトルドーパミン! ( No.23 )
日時: 2010/09/07 00:15
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「俺のターン!」
 引いたカードは不思議なアメ。今の手札はコモルー、ガバイト、水エネルギー、ボーマンダ、不思議なアメとなる。
 不思議なアメを使わずコモルーにするのもいいが、コモルー程度でフシギバナに耐えれるか。
 ここは多少強引だが不思議なアメを使って力押ししよう。
「不思議なアメを使いバトル場のタツベイをボーマンダに進化させる!」
 タツベイの足元から光の柱が現われ、続いてボーマンダが姿を現す。
「ボーマンダのポケボディー。バトルドーパミンの効果により、相手の場に最大HPが120以上のポケモンがいるならこのポケモンのワザに必要な無色エネルギーは全て無くなる。ボーマンダに水エネルギーをつける」
 通常炎、水、無色二枚の合計四枚で発動できるじょうきのうずが炎、水の二枚だけになる。これは非常に心強いポケボディーである。
「そしてベンチのタツベイとフカマルをコモルーとガバイトにそれぞれ進化させてボーマンダで攻撃。じょうきのうず!」
 じょうきのうずは炎と水エネルギーの二枚をトラッシュしないと使えない。ボーマンダにつけているカードをトラッシュすると3Dのボーマンダがフシギバナに襲い掛かる。
 このワザは120ダメージ。140もあったフシギバナのHPがあっという間に20となる。
 手札は尽きたが相当だ。
「ターンエンド」
「私の番ね。トレーナーカード、ゴージャスボールを使います。デッキからLV.X以外のポケモンを山札から手札に加えます」
 ただこのゴージャスボールの弱点は、トラッシュにゴージャスボールがあると発動できないということだ。
 デッキには一枚入れる。これが常識であろう。
「私はモジャンボを手札に加えてモンジャラを進化させます。そしてモジャンボに草エネルギーをつけてフシギバナの攻撃ね。どたばたかふん!」
 フシギバナが背中の花を大きく揺らす。先ほどは黄色い花粉だけだったが、今回は赤に紫に白と色とりどりだ。
「フシギバナが80以上のダメージを喰らっていた時にこの技を使うと、相手を毒と火傷と混乱にするのよ」
 HPが残り90あるボーマンダがやけに満身創痍に見える。
「私の番は終わりだけどここでポケモンチェックね。まずは毒の10ダメージ。続いて火傷判定よ」
 火傷は毎ポケモンチェックのときにコイントスをし、裏なら20ダメージを受けてしまう。表が出れば回避できるが裏を当てるとその分痛い。
「裏だ」
 これで残り60。ボーマンダのリミットが始まる。ボーマンダのにげるエネルギーは3つもあるのでこれは諦めるほかない。
「俺のターン。サポーター、デンジの哲学を発動させてもらう。手札が六枚になるまで山札からカードを引く。俺の今の手札は0なので六枚ドローだ」
 現状維持はできるもののパッとしない手札だ。状態異常をなんとかすることができない。
「ガバイトをガブリアスに進化させる。ボーマンダに炎エネルギーをつけて攻撃する」
 と言いたいモノの混乱状態である。混乱は厄介な状態異常で、攻撃するときにコイントスをしなくてはならない。表だと攻撃は可能だが裏の場合は攻撃ができず30ダメージ。
 ここでコイントスを外すとボーマンダは気絶街道まっしぐらとなる。
「混乱の判定をする。……、表だ。かえん攻撃!」
 ボーマンダが口から大きな火球を吐きフシギバナに与える。残りHPが20のフシギバナは50ダメージを受け戦闘不能。
「これでフシギバナは気絶。サイドを引いてターンエンドだ。ポケモンチェックでボーマンダは毒の10ダメージ。続いて火傷の判定だ」
 しかし今度も裏。ボーマンダの残りHPが30となる。ボーマンダもここまでか。しかし今引いたサイドは……。
 相手のベンチポケモンはモジャンボしかいないので強制的にモジャンボとなる。
「私のターンね。モジャンボに草エネルギーをつけてレベルアップさせますわ」
 レベルアップする前とした後での違いが3Dで出ないのが悔しいところだ。
「モジャンボLV.Xに草エネルギーをつけてワザ、だいせいちょう!」
「ここでだいせいちょうだと?」
「だいせいちょうは自分のトラッシュの草エネルギーを好きなだけ選び自分のポケモンにつけるカード。私のトラッシュには草エネルギーが一枚だけなのでモジャンボLV.Xにつけて私の番は終わりね」
 舐めているのか。モジャンボの攻撃でボーマンダを倒せるはず。なのにどうせわざわざ倒せなくてもその程度と高をくくっているのか。
「ポケモンチェックだ。毒のダメージを乗せる。火傷判定だ!」
 荒々しくコイントスのボタンを押す。残りHPが20のボーマンダはここで火傷のダメージを受けると気絶する。
 が、結果は裏。こうなるかもしれないと予測していたのだが眉をひそめずにはいられない。
「ボーマンダが気絶したのでサイドを引きますわ」
 微笑みの浮かぶ相手に舌打ちをするしかない。
「俺の二番手はガブリアスだ!」



 向井の番が始まった。
「バトル場のダンバルをメタングに、ベンチのコイルをレアコイルにそれぞれ進化させる。メタングに鋼エネルギーをつけて攻撃。こうそくいどう!」
 気づくとメタングがものすごいスピードでノコッチに突撃していた。あたしが見たのは突撃を喰らって宙に舞うノコッチだけだった。
「そしてこうそくいどうの効果によりコイントス。表なら相手のターン、ワザのダメージや効果を受けなくなる。……、表だ」
 次のターンはメタングにダメージを与えられない。……が、与えるつもりなどなかった。どうせノコッチでカードを引くだけだ。
「あたしのターン、ドロー。ブイゼルをベンチに出し、アリゲイツに水エネルギーをつけてノコッチのへびどり。終わりね」
「僕の番だ」
 カードを引いた顔がしかめっ面になっている。いいカードは引けなかったようだ。
「スタジアム、帯電鉱脈を発動してメタングに鋼エネルギーをつける。メタルクローで攻撃!」
 辺りが電気を帯びた殺風景な鉱脈に変わる。この帯電鉱脈の効果は互いのプレイヤーはそれぞれの番にコイントスが一回でき、表ならトラッシュの雷か鋼エネルギーを手札に戻すカードだ。
 メタングがバトレボと同じように大きな腕でノコッチに重い一撃を食らわす。
 50ダメージもあるのでノコッチのHPは尽きた。
「サイドを引いて終わり」
 今度は笑った。どうやら欲しいカードはサイドにあったみたいね。
「あたしの次のポケモンはアリゲイツよ。あたしのターン!」
 来た! ようやく反撃の機会。
「アリゲイツをオーダイルに進化させるわ! そしてスーパーボールを発動。山札のたねポケモンをベンチに出すわ。あたしはワニノコを選択」
 アリゲイツはオーダイルへと姿を変え、ベンチの開きスペースに転がったスーパーボールからワニノコが颯爽と登場する。
「オーダイルに水エネルギーをつけて攻撃。はかいのしっぽ! このワザの効果により相手の手札一枚を表を見ずにトラッシュする」
 さっきサイドから引いたカードは一番右に入れられた。
「あんたから見て一番左のカードをトラッシュしてもらうわよ」
 向井はしかめっ面になる。ポーカーフェイスにはまだまだほど遠いようだ。
 オーダイルの大きな尻尾でメタングをぶつ。
「メタングについている鋼の特殊エネルギーの効果を発動。この特殊エネルギーが鋼タイプのポケモンについていると、相手のワザによるダメージを−10する。よってはかいのしっぽのダメージは60だが受けるダメージは10減って50だ」
 それぐらいは百も承知。あたしはその手札をトラッシュさせたかったのよ。
 そしてメタングの残りHPは30。さっき進化させられなかったということはメタグロスは手札にない。念のためにモニターを使って相手のトラッシュを確認する。
「おっ、ついてるついてる」
 向井のトラッシュの一番上はメタグロスだった。



翔「今日のキーカードはボーマンダ!
  相手が強いほど強くなる!
  じょうきのうずで熱くなれ!

ボーマンダLv.66 HP140 無色 (破空)
ポケボディー バトルドーパミン
 相手の場に最大HPが「120」以上のポケモンがいるなら、このポケモンのワザエネルギーのうち、無色エネルギーは、すべてなくなる。
炎無色 かえん  50
炎水無色無色 じょうきのうず  120
 自分の炎エネルギーと水エネルギーを、それぞれ1個ずつトラッシュ。
弱点 無色+30 抵抗力 闘−20 にげる エネルギー3


───
二試合同時だと目が回る……。
メンテ
目指すもののために エナジーサイクロン ( No.24 )
日時: 2010/09/07 00:16
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 相手の場には無傷のモジャンボLV.X。しかもエネルギーも三つだ。それに比べ俺の場はエネルギーが一つもないガブリアス。
 戦略はこうだろう。俺がポケモンを育てている間に攻撃する。もし攻撃を受けてもモジャンボにはポケボディーのさいせいりょくそでポケモンチェックの度に10回復し、モジャンボLV.Xのポケパワー、モジャヒールによって自分の番に一回コイントスをし、表なら40回復できる。更にスタジアムの夜明けの疾走の効果により草エネルギーをつけると状態異常とHPが10回復する。
 持久戦に持って行くつもりらしい。
 俺の番が始まった。デッキからカードを一枚引く。
「ほぉ」
 俺の反応に思わず相手の顔が困惑に歪む。
「ガブリアスに炎エネルギーをつけレベルアップさせる! そしてガブリアスLV.Xのポケパワー発動。……と言いたいが、ガブリアスLV.Xのポケパワー、りゅうのはどうは相手にベンチポケモンがいないと使っても意味がない。ガブリアスのワザを使わせてもらおう。そせい!」
 ベンチの空きスペースに白い穴が開く。
「俺のトラッシュのポケモン一体をたねポケモンとしてベンチに出す。戻ってこいボーマンダ! そして蘇生したポケモンにトラッシュの基本エネルギーを三枚までつけることができる。炎二枚と水一枚だ。ターンエンド」
「私の番、カードを引いて、モジャンボLV.Xに草エネルギーをつけて攻撃。つるをのばす!」
 モジャンボLV.Xが大きな腕を伸ばして攻撃する。ガブリアスLV.Xに当たった……。が、それだけでは物足りないのかベンチのコモルーとボーマンダにも被害が及んだ。
「つるをのばすは相手のベンチポケモン二体にも20ダメージを与えます」
 これでガブリアスLV.Xは残りHP80。ボーマンダは110、コモルーは70となる。
「俺のターン。ガブリアスLV.Xに水エネルギーをつけてベンチに逃がす。ガブリアスに逃がすためのエネルギーは必要ない! ボーマンダを新たなバトルポケモンにする。そして攻撃だ。ボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンによってモジャンボの最大HPが130なのでワザに必要なはずの無色エネルギーは不要となる。じょうきのうず!」
 ボーマンダについている炎と水エネルギーをトラッシュする。ボーマンダが可視の白い渦を巻き起こしモジャンボに叩きつける。これで残りHPは10。
「このポケモンチェックでモジャンボのポケボディー『さいせいりょくそ』を発動。HPを10回復させる。そして私のターン。カードを引いてモジャンボLV.Xに草エネルギーをつけるわ」
 夜明けのスタジアムの効果によりさらに10回復していく。が、それでも30。余裕で倒せる。
「ここでポケヒーラー+を二枚発動。このカードは同じカードと二枚同時に使え、二枚使ったなら自分のバトルポケモンの状態異常を全て回復させ、ダメージカウンターを八個とる!」
 これで110。あと20回復すれば元通りとなる。
「そしてモジャンボLV.Xのポケパワー発動。モジャヒール! コイントスして表ならダメージカウンターを4つ取り除くわ」
 そういい彼女はボタンを押す。しかし幸いにも裏。相手の手札ももう一枚もない。
 相手も諦めの表情を浮かべた。
「……。うーん、モジャンボLV.Xの攻撃、つるをのばす!」
 モジャンボLV.Xの攻撃がボーマンダとベンチのガブリアスとコモルーを襲う。……が、ダメ。気絶には至らない。
「ポケボディーさいせいりょくそで10回復ね」
「俺のターン。ボーマンダに水エネルギーをつける。……なかなか楽しめる試合だった、だがここまでだ。その眼にしかと焼きつけよ! ボーマンダについている炎エネルギーと水エネルギーをトラッシュして攻撃。じょうきのうず!」
 爆風と共に試合終了のブザーが鳴り響く。広げられたカードを片づけ試合会場から降りて行く。
 傍に目をやると長岡(恭介のことね)と百合がワイワイ騒いでいた。



「僕のターン」
 先ほどのターン、相手のキーカードであろうメタグロスを手札からトラッシュさせた。これで順当に次のターンメタングをトラッシュできる。
 そう決めつけたのは失敗だった。カードを引いた向井の顔が明るくなる。
「レアコイルに雷エネルギーをつけ、ジバコイルへと進化させる。そしてジバコイルのポケパワー発動。じばけんさく!」
「じばけんさく……」
「このポケパワーは毎ターンに一度使え、自分の山札の雷、鋼タイプのポケモンを山札から一枚相手に見せてから手札に加える。そしてその後デッキをシャッフルする。僕は山札からメタグロスを手札に加えてメタングを進化させる! そしてポケパワー発動。マグネットリバース!」
 メタグロスのポケパワー、マグネットリバースはコイントスをして表ならベンチポケモンとバトルポケモンを無理やり入れ替える能力だ。今、手元にポケモン入れ替えがあるが使っても無駄な抵抗である。
「オーダイルとワニノコを入れ替えさせる。コイントス!」
 しかし幸いに裏。マグネットリバースは失敗となる。
 思わず胸に手を当てほっと一息ついてしまう。
「メタグロスで攻撃。コメットパンチ!」
 右腕を大きく振りかざし、彗星のごとくスピードでオーダイルに鉄の腕を振り下ろす。
「コメットパンチのダメージは50。だけど次の番にもう一度コメットパンチを使うと与えるダメージは100になる! ターンエンド」
 オーダイルのHPは130から80へ。二発目のコメットパンチはあたしのオーダイル、ベンチのブイゼルとワニノコの全てが気絶まで確定一発である。
「あたしの番ね、ワニノコをアリゲイツにしてポケパワーしんかでげんきを発動。山札の上から五枚を見てその中の水エネルギーを相手に見せてから手札に加え、その後山札を切る。水エネルギーは二枚だったわ」
 これで今手札七枚のうち五枚が水エネルギーである。
「ブイゼルに水エネルギーをつけてオーダイルで攻撃するわ!」
 そう宣言すると同時にブザーが鳴り響く。首を右に傾けると隣の試合は終わったようだ。恭介くんがその彼女をなだめているように見えるから、やはり風見君が勝ったのだろう。これに勝てば次は彼か……。
 この大会は前の試合が終わればどんどん次の試合へと進んでいくので、休む暇なく今度は恭介くんが場に立つ。
「さて、オーダイルのエナジーサイクロンで攻撃! 自分の手札のエネルギーを好きなだけ選び、相手に見せる。このワザのダメージはその見せたエネルギーかける20ダメージとなる!」
 あたしは突きつける用に水エネルギーを四枚見せる。
「鋼特殊エネルギーでダメージが−10されるけど、それでも70ダメージよ! メタグロスをきっちり撃破ね」
 オーダイルの周囲に水エネルギーのマークが四つ現れる。そのエネルギーマークがメタグロスの足元へ移動し、水色の竜巻を起こす。
 オーダイルよりエネルギーマークの方がすごいのはわかった。
「エナジーサイクロンで相手に見せた水エネルギーは全て山札に戻してシャッフル。サイドを一枚引いて終わりよ」
 このターンでシャッフルは二回目である。
「僕の次のバトルポケモンはジバコイルだ」
「ダメージはあるけどサイドも同じだし、ジバコイルはまだエネルギーが一枚。これでほぼイーブンよ」
 右を見ると恭介くんは善戦しているようだ。仲良く皆で優勝。なんてできないけど、せめて彼とも戦ってみたいと思う。
 そのためにはまず目の前の一勝を。



翔「今日のキーカードはメタグロス!
  マグネットリバースで相手を狙い、
  コメットパンチを連打しよう!

メタグロスLv.58 HP120 鋼 (DP5)
ポケパワー マグネットリバース
 自分の番に1回使える。コインを1回投げオモテなら、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
鋼無色無色 コメットパンチ  50
 次の自分の番、自分が使う「コメットパンチ」のダメージは「100」になる。
弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる エネルギー3


───
明日から勉強合宿なので今日出来ることは今日のうちにしよう。
長谷部百合の使用デッキ
「森に育つ草」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-641.html
メンテ
フローゼルと諦めの悪い奴 ( No.25 )
日時: 2010/09/07 00:16
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「僕のターン、ドロー。鋼の特殊エネルギーをジバコイルにつける。そして帯電鉱脈の効果発動、自分のターンに一度コイントスをし、表ならトラッシュの鋼または雷エネルギーを手札に加える」
 鋼の特殊エネルギーは鋼ポケモンにこのエネルギーがついてると鋼ポケモンが受けるダメージを−10させる厄介なエネルギーだ。
 そして帯電鉱脈のコイントスは裏。効果は不発に終わる。
「……。ポケモン入れ替えでダンバルとジバコイルを入れ替えてターンエンド」
 ?
 頭にクエスチョンマークが浮かんだ。なんでわざわざこんな。最初からダンバルをバトル場にすればよかったのじゃないか。
「あたしの番ね。ブイゼルに水エネルギーをつけてフローゼルに進化させる。そしてサポーターカード発動。オーキド博士の訪問! 山札からカードを3枚引いて、その後手札を一枚山札の下に置く」
 オーダイル、不思議なアメ、フローゼルを引く。望んでいたのは水エネルギーだけど下の方で固まっているのだろうか。私は今ひいた不思議なアメを山札の下に戻す。
「ベンチのアリゲイツをオーダイルに進化させてバトル場のオーダイルで攻撃、はかいのしっぽ!」
 オーダイルが尻尾でベチーンとダンバルを弾き飛ばす。HPが50しかないダンバルに60ダメージのはかいのしっぽは効いたようだ。
「はかいのしっぽの効果、相手の手札から表を見ずに一枚選んでそれをトラッシュ。私から見て右のカードをトラッシュしてもらうわ」
 モニターで何を捨てたか確認。鋼エネルギーか。
「ダンバルは気絶したためサイドを一枚引いて私の番は終了ね」
「次はジバコイルだ」
 あとはジバコイルを倒せば終了。今引いたサイドはまたしても不思議なアメ。帰りに飴買おうかしら。
 ジバコイルはよほどのことがない限り倒せる。ジバコイルの技、クラッシュボルトは80ダメージだ。このターンでオーダイルは倒されるが、HPが90あるフローゼルはギリギリだけど耐えきる。
 フローゼルでジバコイルを倒す算段はついている。
「僕のターン、帯電鉱脈の効果発動。コイントスをして表ならトラッシュの雷か鋼エネルギーを手札に加える。……、表なので鋼の特殊エネルギーを手札に加え、ジバコイルにつける。攻撃! クラッシュボルト!」
 ジバコイルがオーダイルに向かって真っすぐ電気を飛ばす。
「オーダイルは80ダメージを受けて気絶! そしてクラッシュボルトの効果により雷エネルギーをトラッシュ。サイドを引いて終わりだ」
「次はフローゼルよ。そしてあたしの番」
 鋼の特殊エネルギーが二枚……。これは計算違いだった。これでワザのダメージを与えても−20されてしまう。
「オーキド博士の訪問を発動。三枚引いてその後一枚を山札の下に置く」
 ポケヒーラー+、水エネルギー、水エネルギー。今度はあたりだろう。不思議なアメをまた山札の下に置く。
「フローゼルに水エネルギーをつけてみずでっぽう!」
 シンプルな技なのでエフェクトもシンプルである。
「このワザは、このワザエネルギーより多くみずエネルギーがついているならそのエネルギーの数かける20ダメージ。よって60ダメージとなる。ただ、ジバコイルの鋼特殊エネルギーの効果で40ダメージ」
 120から80へ。思うように相手のHPが減らない……。
「僕のターン。帯電鉱脈を発動。……裏。続いてジバコイルのポケパワー、じばけんさくを発動。ジバコイルLV.Xを手札に加え、レベルアップ!」
「えっ」
 思わず拍子抜けした声をあげてしまう。さっきのターン、じばけんさくを使わなかったからこのままレベルアップしないものと思っていた。
「ジバコイルLV.Xに雷エネルギーをつけて攻撃。サイバーショック!」
 先ほどは真っ直ぐにとんできた電撃が、今度は拡散するように放たれる。
「自分の雷エネルギーと鋼エネルギーをそれぞれ一個ずつトラッシュし、相手をマヒにする!」
 そしてサイバーショックのダメージは80。フローゼルのHPは10残り、首の皮一枚つながったように見えるがまったくもってそうでない。
 終わった。
「ターンエンド」
 麻痺。それは状態異常の一つである。
 麻痺は二回目のポケモンチェック。この場合だとあたしの番が終わった後に回復する。
 ただ、麻痺になったポケモンは逃げることもワザを使うこともできない。
 手札のポケモン入れ替えを使いオーダイルに入れ替えるとフローゼルの麻痺は治るが、ロクにエネルギーのついていないオーダイルはただの木偶の坊。なにもせずにやられるのがオチだ。
 詰んだ。これが正統な言い方。
 翔の方を向く。ごめんねという表情を作りたかった。
「姉さん!」
 翔の怒声が耳に反響する。
「最後まで自分のデッキを信じて戦ってくれ!」
 ……そうだね。自分のことより、とりあえず一緒に戦ってくれたデッキのために最後まで精一杯頑張ろう。 
 最愛の父がいつも言っていた言葉を反芻する。「勝負事は諦めの悪いヤツが最後に笑うんだ」
「あたしのターン!」
 引いたカードは……。
「ポケヒーラー+を二枚発動! このカードは二枚同時に使える。二枚同時に使ったとき、自分のバトルポケモンのダメージカウンターを八つ取り除き、特殊状態をすべて回復させる!」
「えっ」
 フローゼルに明るく優しい光が包み込む。
 フローゼルに乗っているダメージカウンターは八つ。つまり全回復となる。
「本当に首の皮一枚ね。フローゼルに水エネルギーをつけて攻撃。スクリューテール!」
 フローゼルが巧みに尻尾を回転させ、ジバコイルにぶつ。
「スクチューテールの効果はコイントスをして表なら相手のエネルギーをトラッシュする。……表ね、鋼の特殊エネルギーをトラッシュ!」
 しかしスクリューテールのダメージは30。−10されてわずか20ダメージ。しかしジバコイルについてるエネルギーは全て無くなった。
 これで鋼の特殊エネルギーにダメージを減らされることもなくなる。
「僕のターン、帯電鉱脈を発動。……ウラ。雷エネルギーをジバコイルLV.Xにつけてターンエンド」
 今度こそ詰んだ。ただし詰んだのはあたしではない。相手だ。
「あたしの番、フローゼルの水鉄砲! フローゼルには余分なエネルギーが二つあるので80ダメージ!」
 ジバコイルLV.Xはこれで気絶。最後のサイドを引くと、ブザーが鳴り響く。
「勝った……」
 目をつぶりながら上を向く。冷や汗は乾ききったようだ。
 ステージから降りると翔がこちらに向けて駆けてくる。
「おめでと」
「ありがと。アンタのおかげよ」
 翔はまんざらでもない表情を作るのだった。



翔「今日のキーカードはフローゼル!
  相手のエネルギーをトラッシュしつつ、
  みずでっぽうで一気に倒せ!

フローゼルLv.29 HP90 水 (DP1)
水無色 スクリューテール  30
 コインを1回投げオモテなら、相手のエネルギーを1個トラッシュ。
水水 みずでっぽう  40+
 ワザエネルギーよりも多く水エネルギーがついているなら、多い水エネルギー×20ダメージを追加。追加できるのは水エネルギー2個ぶんまで。
弱点 雷+20 抵抗力 なし にげる エネルギー1


───
向井剛の使用デッキ
「マグネットバーン」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-642.html
メンテ
本戦二回戦開始 太古の化石! ( No.26 )
日時: 2010/09/07 00:17
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「エレキブルで攻撃!」
 激しい音と光が巻き起こるが、モニターはしっかりと作動している。相手のポケモンのHPは0だ。最後のサイドを引くと、ブザーが鳴る。
 急いでステージから降りて愛する彼女の元へ向かった。
「百合、仇はとったぜ」
 コツンと誰かが頭を叩く音がする。翔だった。
「バーカ、お前が勝っただけで百合ちゃんの仇はとれてねーよ。仇とった言うなら風見倒してからにしろよ」
「ちぇっ」
 不満そうに言葉を吐く。ふざけていた雰囲気を捨て、真剣の眼差しで翔を見つめる。
「お前も負けんなよ」
「当たり前だ。決勝で当たったらそんときはよろしくな」
「ああ」
 翔と決勝……。決勝かぁ。決勝なぁ……。って何を考えようとしたんだろうっけ。



 恭介と言葉を交わすとすぐにブザーが鳴る。拓哉の試合はもう終わったのか。相手が泣いているところを見ると拓哉の勝ちとなる。
 そして、俺の出番でもある。
 ステージに上がり、デッキをシャッフル。所定の位置に置く。相手はボサボサの短髪にポケットが大量にあるベージュのズボン、そして汚れた白いTシャツ。
 とてもじゃないが季節を間違えている。今は冬だ。
 ああ、でも小学校とかで冬でも半袖短パンのやついたよな。
 名前は石川薫か。俺の一つ年下のようだ。
「よろしく」
「……、よろしく」
 無愛想っぽいな、あまりいい印象を持てない。だがカードを交えると言葉は不要だ。
「よし、そこの坊主、勝負だ!」
「俺は女だ」
「そうか、じゃあ……って今なんて?」
「俺は女だって言ってるんだ。坊主じゃない」
 えーと、どういうことだろう。もう一度石川の容姿を見てみる。さっきと一緒だ、変身したわけでもなんでもない。
 いや、そんなことではない。ルックスなんて関係ないんだ、ボーダーレスだ。見た目で判断するのは一番いけない。先入観は危険。でも一人称が俺って珍しいよね。
「はぁ、そうか。じゃあ仕切り直し。コホン。よし、そこの……。勝負だ!」
「そこのなんだよ。とにかく勝負だ。俺が絶対勝つ!」
 先攻は俺がもらうことになった。山札から七枚カードを引き、たねポケモンをセット。続いてサイドカードを三枚伏せて勝負が始まる。
 俺の最初のバトルポケモンはヒコザル。一方相手のポケモンは……。これはポケモンなのだろうか。
 バトル場にはポケモンがいるはずなのに石ころが転がっているだけ。
「なんだこれは? まぁいい、俺のターン! 手札の炎エネルギーをヒコザルにつけて攻撃だ! かみつく!」
 ヒコザルが果敢に突撃していくと、石ころは無機質な音をたてて転がっていった。
「ダメージカウンターが乗ってる。ということはポケモン扱いなのか?」
 モニターで相手のカードに乗っているダメージカウンターを確認する。……と同時に妙なことに気づいた。
「あれ、ヒコザルになんでダメージカウンターが……」
 戸惑う俺に対岸から男にしては高めの声がって女だから普通か。石川の声がする。
「お前が攻撃したことによってツメの化石のポケボディーが発動した。するどいせきしつ。このポケモンが相手によるワザのダメージを受けたとき、ワザを使った相手にダメージカウンターを一つ乗せる」
「化石?」
「そう、化石だ。化石のカードは総じて無色のたねポケモンとして場に出すことができる。そしてこれを気絶させればもちろんお前はサイドをひける。こいつは特殊状態にはかからず、逃げれない。そして俺の番に任意にこいつをトラッシュできる。しかし俺が任意でトラッシュした場合はお前はサイドを引けないがな」
「化石デッキか。ツメの化石ということはアノプス、アーマルドだな」
「俺のターン、ドロー! ベンチに新たな化石を呼び出す。ねっこの化石!」
 相手のベンチエリアにこれまたちっさい石ころが転がる。
「ねっこの化石はポケボディー、すいとるせきしつの効果によってポケモンチェック毎にダメージカウンターを一つ取り除いていく」
「ダメージを与えるのと、回復するのと、か」
「そして化石は現代に蘇る! ツメの化石をアノプスに進化!」
 石ころが大きくなりながらひびが入る。ある程度の大きさになると巨大化を止め、ひび割れるスピードが早まる。ひびの中からはアノプスのご登場である。
「アノプスに闘エネルギーをつけて攻撃。ガードクロー!」
 ヒコザルのHPがあっという間に風前の灯となる。
「ガードクローを使ったため、次のターンアノプスが受けるワザの威力は−20される!」
「−20ってのはきついな」
「ああ、お前がいくらヒコザルにエネルギーをつけたところで使える技はかみつくとほのおのパンチだけ。ほのおのパンチは追加効果もなくダメージも20」
「そうだ。だが、進化したら別だろう? 俺のターン。ヒコザルをモウカザルに進化させる! そしてベンチにもう一匹のヒコザルを出す」
 このターン引いたカードがヒコザル。俺の手札にはゴウカザルはない。次の相手のターンでアノプスのもう一つの技、シザークロスが発動されればコイントスの結果によっては気絶してしまう。目先を追うより先を見ろ、だ。
「ヒコザルのほうに炎エネルギーをつける」
「いいのか?」
「ああ。モウカザルのワザは二つある。片方がエネルギー二個で使えるにらむだ。コイントスが表なら相手をマヒにできるが、ワザの威力は20。相殺されてダメージが与えられない。それならエネルギー一つでも使えて40ダメージもあるファイヤーテールだろう。モウカザルで攻撃。ファイヤーテール!」
 モウカザルが尻尾を振ってアノプスを殴りつける。
「ファイヤーテールのダメージは40。ガードクローがあれど20ダメージは受けてもらう。そしてファイヤーテールの効果。コイントスして裏ならモウカザルについている炎エネルギーを一枚トラッシュ!」
 ポチっとな。ウラでした。苦い表情をして炎エネルギーをトラッシュへ。
「俺のターン! 手札の闘エネルギーをアノプスにつけ、ひみつのコハクをベンチに出す。ひみつのコハクのポケボディーはハードアンバー。ベンチにこのカードがある限りワザのダメージは受けなくなる。姑息な手は通じない」
「まだ姑息な手はしてない」
「そしてねっこの化石をリリーラへと進化させる!」
 先ほどと同じエフェクト。ワンパターンだ。
「そしてアノプスで攻撃。シザークロス!」
 石川がワザの宣言と同時にコイントスボタンを押す。
 このシザークロス、攻撃時にコイントスをしてオモテなら追加ダメージを与える。俺のモウカザルの残りHPが40なのに対しシザークロスのもともとのダメージは30。オモテが出ると20ダメージ追加されて気絶。保険はとってあるが裏で頼む!
「表だ!」
 可愛くない石川の声と同時にアノプスの鋭いツメがモウカザルに振り下ろされる。
「サイドを引いてターンエンド」
「俺のターン」
 俺のベンチにはヒコザルしかいないので次のバトルポケモンは強制的にこいつだ。しかし参ったな、いきなりサイドをとられるのか。
 今引いたカードはノコッチ。しかしアノプスが闘。プテラも闘。リリーラだけ草だがノコッチを出すのは相性的にリスキー。
「オーキド博士の訪問を発動。カードを三枚引いてその後手札を山札の一番下に置く」
 一番下に置いたのはノコッチ。そして引いたカードはモウカザル、アチャモ、ゴージャスボール。
「続いてゴージャスボールを発動。山札から好きなポケモンを一枚手札に加えてデッキをシャッフル。俺はゴウカザルを手札に加える」
 突破口は見えた。
「アチャモをベンチに出し、ヒコザルをモウカザルへ進化させる。そしてアチャモに炎エネルギーをつけてファイヤーテールだ!」
 コイントスの結果がいかであろうとアノプスの残りHPは10だ。
「コイントスの結果は表。エネルギートラッシュの必要性はない。喰らえ!」
 柄になく喰らえと言ってみる。でもクソ喰らえだとは思ったぜ。その微妙にすかした態度が気に食わん。
「俺のターン。サポーター化石発掘員を発動。自分の山札からトラッシュを選び、その中から名前に化石とつくトレーナー、または化石から進化するポケモンのうち一枚を選び手札に加える。俺は山札を選択し、アーマルドを手札に加えアノプスに進化させる!」
 地を這うような姿勢のアノプスが急に二足歩行になるだけで威圧感がある。
 が、そういう威圧感ではない。このアーマルドは間違いなく曲者だ。
「アーマルドに草エネルギーをつけて攻撃。ブレイククロー!」



翔「今日のキーカードはアーマルド!
  硬いガードで相手の攻撃を防ぎつつ、
  ブレイククローで大ダメージ!

アーマルドLv.52 HP140 闘 (DP5)
ポケボディー かせきのよろい
 このポケモンの受けるワザのダメージが「60」以下なら、このポケモンはそのダメージを受けない。
闘闘無色 ブレイククロー  60
 次の自分の番、このワザを受けた相手が受けるワザのダメージは、「+40」される。
弱点 草+30 抵抗力 なし にげる エネルギー2
───
お腹いてええええ
メンテ
逃げて前へ進む者、願い前へ進む者 ( No.27 )
日時: 2010/09/07 00:17
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「アーマルドに草エネルギーをつけて攻撃。ブレイククロー!」
 右手を高く振り上げ、その先にあるつめでモウカザルを襲いかかる。ゴムボールを投げるように吹っ飛んで行くモウカザル。
 でもイマイチ臨場感ないなぁ……。
「ブレイククローの効果はこのワザを受けた相手は次のターン受けるダメージが+40される!」
「まぁモウカザルのHPは20だしまず倒れるな」
「俺の番は終わりだ」
 なんだかメチャクチャ石川の視線が痛い。ダメージカウンターは俺にも乗っているらしい。
「俺のターン」
 不思議なアメねぇ。しかし今の手札では有用出来ない。
「モウカザルをゴウカザルに進化させ、アチャモに炎エネルギーをつける」
 残った手札は二枚。アチャモと不思議なアメだけだ。
「モウカザルからゴウカザルに進化したため、ブレイククローの+40の効力はなくなるぜ」
「言われなくても分かってる」
 しかしこいつ姿恰好の割にはなんか偉そうだな、少年味がまるでない。俺の方が年上なのに完全に見下されてる気がする。ちょっと不愉快。
「ゴウカザルの攻撃、ファイヤーラッシュ! 俺の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュし、トラッシュした数だけコイントス。そして表の数かける80ダメージ。俺はゴウカザルについている炎エネルギー一枚をトラッシュ」
「一枚だけでいいのか?」
「確率の神様は信じる者を救うんだぜ」
 知らないけどな。安いヒーローを気取ったセリフを言うのは好きだがどーも恥ずかしい。恥ずかしさを紛らわすために下を向いて顔を隠し、コイントスボタンを押す。
「表。喰らってもらうぜ! ファイヤーラッシュ!」
 アーマルドはポケボディー、かせきのよろいによって60以下のダメージを喰らわない。しかしファイヤーラッシュは60を越えて80ダメージだ。
 残りHPが0を切り、アーマルドがドシンと音を建てて前へ倒れ伏す。数秒のインターバルをもって消えて行った。
「サイドを一枚っ、とらせてもらうぜ」
 気取ってサイドを取り、そして鬱になる。何してんだ俺。将来がかかっている大会なのにお気楽過ぎである。
 と思っていると派手な音が聞こえる。ドン! という何かを叩く音が響く。響くは言いすぎだろうか、少なくとも俺の試合を見てるやつらが石川の方を向いたのは間違いない。
「俺はリリーラをバトル場に出す」
 口調こそ平静を装っているが声音は明らかにそうではない。荒れている。
 そんな石川を見て俺は口を挟むしかないと思ったのだった。
「お前さ、カードしてて楽しいか?」
「急になんだ!」
「いや、だってさ。カードって楽しむためのモノだろ? 確かに負けたりして悔しいとか思ったりもするけどさ、まだ負けが決まったわけでもないのにそんなに怒るのもないだろう。対戦相手に失礼じゃないか?」
「……この」
「まぁ俺は別に、ってこのが何?」
「このデッキは化石発掘作業中に事故死した父がくれたものだ」
 黙るのは今度は俺だ。
「お前はこの大会、なんのために出ている? ただの遊びのつもりか?」
「いや、俺はこの大会に出て借金を返さなくちゃならない。もし負ければ今まで住んでたボロ家からも出てホームレスの始まりだ」
「そんな重いことがあるのに楽しそうだな」
 こいつも俺みたいに何かあるのだろうか。
「ああ、こうしてでも借金のこと忘れてないと正直辛いからな」
 これは本音である。借金のことを出しても自虐程度でとどめている。本当に考えると冗談抜きで鬱になるし怖くなる。立つこともままならない。
 石川はふっと一つ笑って目をしっかりと俺に向ける。
「強いなお前は」
「そうでもない。借金のことを忘れて現実逃避してるだけだ」
「それこそそうでもない。俺はこの大会で優勝して、父がやりとげれなかった化石発掘の事業をしたいんだ。お前は逃げることで前へ進み、俺は願うことで前へ進もうとする」
 四百万でなんとかなるものなのか。てかこいつ短パンのくせにかっこいい。身なりが良ければ、あと声が低ければよかった。
 人の話を真剣に聞いていない証拠だな。
「だから!」
 落着きを取り戻したと思うとまたまた激しい声。忙しい。
「俺はこの戦い絶対負けられない! 俺のターンドロー!」
 のんびりモードもそろそろ終わり、集中しないと。相手のリリーラは草タイプ。炎タイプが弱点なので俺の方が相性はいいはずだ。あくまで相性は。
「リリーラをユレイドルへ進化させ、草エネルギーをつける。そしてエネルギーパッチを発動。コイントスをして表なら、トラッシュの基本エネルギーを自分のポケモンにつける。コイントス!」
 そんなに強くたたくと壊れそう。
「表だ! トラッシュの草エネルギーをユレイドルにつけて攻撃! ドレインドレイン!」
 何かの曲名にありそうな技名だ。と思っているのも瞬、ユレイドルの首のあたりからピンク色の触手というべきなのかそれっぽいのがゴウカザルに食い込む。
「うっ……」
「30ダメージしかないためゴウカザルは20ダメージ残っているぞ、さあターンエンドだ」
「俺のターン!」
 おっと、ノコッチお帰り。すぐさま帰ってほしい。
「ゴウカザルに炎エネルギーをつけてファイヤーラッシュ。トラッシュするのはゴウカザルのエネルギーだけだ」
 石川と違い普通にボタンを押す。
「表だ。80ダメージを喰らってもらうぜ」
 ゴウカザルが火球をユレイドルにぶち込む。
「ユレイドルは炎タイプが弱点なので30ダメージ追加の合計110ダメージ。一気にHPを120から10へ削ってやったぜ」
「俺のターン、闘エネルギーをユレイドルにつける。そしてサポーター、デンジの哲学を発動。手札が六枚になるように山札からカードを引く。今俺の手札は0。よって六枚引く」
 ここにきてドロー加速。俺の手札が三枚に対して石川は五枚、手札数が逆転した。
「ひみつのコハクをプテラに進化させる!」
 遅まきながらの登場だ。
「ユレイドルの攻撃、ドレインドレイン!」
 先ほどと同じモーション。HPが残り20のゴウカザルはこのドレインドレインによって気絶させられる。しかし似たようにHPが10しかないユレイドルはアチャモでも倒せる。
「アチャモでも倒せると思っただろう?」
 その通りだ。しかし姿と声音と言ってることがマッチしないヤツである。
「ドレインドレインの効果発動。このワザにより相手を気絶させた場合、自分のダメージカウンターを全て取り除く!」
「すべて!?」
 HPが0になったゴウカザルが光の玉となってユレイドルの体に取り込まれる。
 ほぼイーブン状態だった試合が一気に石川の流れに傾いた。
「サイドを引いてターンエンドだ」
 俺はダメージ表示がなくなったユレイドルのモニターを虚ろに眺めた。



翔「今日のキーカードはユレイドル!
  ドレインドレインは30ダメージ!
  相手を気絶させると全回復だぜ!

ユレイドルLv.49 HP120 草 (DP5)
草 ドレインドレイン  30
 このワザのダメージで、相手の残りHPがなくなったら、自分のダメージカウンターをすべてとる。のぞむなら、ダメージを与える前に、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えてよい(新しく出てきたポケモンにダメージを与える)。
草無色無色 ようかいえき  50
 次の相手の番、このワザを受けた相手はにげるができない。
弱点 炎+30 抵抗力 なし にげる エネルギー3


───
約一年で12話書いた。
しかしこの夏は約二か月で12話書いた。
なにこれ
メンテ
ギリギリの攻防 その先にあるもの ( No.28 )
日時: 2010/09/07 00:17
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 今、石川がサイドを取ったため石川のサイドは残り一枚。一方俺は二枚。
 バトル場には草エネルギーが二つで体力が全回復したユレイドルが立ちはだかる。それに比べて俺はアチャモ一匹。炎エネルギーが二つあるがアチャモでは話にならん。
 しかもベンチには何もない。石川のベンチにはプテラが顕在しているが。
 それだけではなく手札の数も違う。俺が三枚だけに対してヤツは六枚だ。しかも俺の手札はアチャモ、ノコッチ、不思議なアメと救いようがなさすぎる。
 これでどっちが勝ちそう? と言えば大多数が石川と声を揃える。
 しかし頭で考えるだけでは何も進まない、カードを引いてからこそ進むんだ。深く息を吸い込み、気合いを入れて大きく吐き出す。
「俺のターン!」
 俺の右手に新しく現れたカードはオーキド博士の訪問。このカードは山札を三枚引き、その後手札を一枚山札の下に置く。
 ノコッチにまたまた下に行ってもらおう。この三枚のドローで明暗が別れる。
「オーキド博士の訪問を発動!」
 炎エネルギー、炎エネルギー。そんなに固まらなくても。そして最後の一枚を確認すると、バシャーモ。ノコッチを下に戻して石川に笑いかける。
 この状況で一体何だ、何を引いたんだという顔をしているようだ。しかし表情は言ってることとマッチする。ちょっと大人びた顔だ。
「逆転の手立てはできたぜ、俺は不思議なアメを発動。自分のたねポケモンを手札の一進化、あるいは二進化ポケモンに進化させる。俺はアチャモから一気にバシャーモへと進化させる!」
 アチャモの足元から光の柱が現われアチャモをすっぽり覆い隠す。シルエットだけが目に見え、あっという間に大きくなりバシャーモの輪郭を作る。デジ○ンっぽい進化の仕方だ。
「バシャーモに炎エネルギーをつけて攻撃。喰らえ、ほのおのうずっ!」
 渦状の火炎がユレイドルをすっぽり包みこむ。
「ほのおのうずの効果によりエネルギーを二つトラッシュ。ほのおのうずのダメージは100でユレイドルを倒すには及ばないが、弱点でダメージは+30されて一撃だ!」
 炎の渦が消え、倒れ伏すユレイドルが消滅してからサイドをひく。ベンチエリアにいたプテラがバシャーモの前にやってきた。
「あっという間に状況がひっくりかえったぜ。プテラが攻撃するにはエネルギーが二つ必要。しかしお前のプテラにはまだ何も乗っていない」
「それはそっちもだろう、エネルギーが二つトラッシュされてはほのおのうずは連発できない」
「さあどうかな?」
 挑発をかけると石川はむっとする。が、可愛げがまるでない。
「俺の番だ。プテラに闘エネルギーをつけ、ベンチにひみつのコハクを出す。ターンエンド」
「俺のターン!」
 ゴウカザルが来た。なぜこのタイミングなんだ。
「バシャーモに炎エネルギーをつけてポケパワー発動。このポケパワーは相手のバトルポケモン一匹をやけどにする。喰らえ、バーニングブレス!」
 バシャーモが口から3D表示なのに熱そうな息を吹きつける。
「プテラは火傷になったがこの瞬間プテラのポケボディーも発動する。げんしのツメ!」
 バシャーモの火炎の吐息にあらがうがように、プテラはバシャーモにツメで襲いかかる。
「相手がポケパワーを使うたびにポケパワーを使ったポケモンにダメージカウンターを二個乗せる」
「これぐらいのリスクなんてことないぜ。バシャーモで攻撃。わしづかみ!」
 するどい腕でバシャーモがプテラの首根っこをガッシリ掴む。40ダメージしか与えられないが80しかないプテラには十分だ。
「この攻撃を受けたポケモンは次の番逃げられない」
「逃げる気はない」
「そうこなくちゃな。俺の番が終わったのでポケモンチェックだ」
 石川は先ほどとは違いいたって普通にボタンを押す。その表情をチラと見たのだが少年のような笑みだ。さっきの怒りの心情が消えている。
 アイツもこの勝負が楽しくて仕方ないんだ。
「残念だったが表だ」
「さあ、お前の番だぜ」
「俺のターン。プテラに草エネルギーをつけて攻撃。ちょうおんぱ!」
 首根っこを掴まれたままのプテラが口を開き衝撃派を放つ。モニターを見るとダメージカウンターが五つに増えていた。残りHPは80。
 しかしプテラの攻撃技はこのちょうおんぱだけだ。三ターンはもつ。
「ちょうおんぱの効果発動。相手を混乱にする」
 バシャーモの頭の上には分かりやすいエフェクトが。頭の上をアチャモがピヨピヨ駆け巡っている。わしづかみの効果も終わり、バシャーモはプテラの首を離す。
「だがお前の番が終わったためポケモンチェックだ」
「……、また表だ」
 悪運の強い奴だ事。
「俺のターン。バシャーモに炎エネルギーをつける」
 手札にアチャモがあるがベンチには出さない。メリットがないからだ。
 もしも俺のアチャモをバトル場に引っ張り出すカードがあったりするとHPの少ないアチャモが一瞬でおじゃんして負けてしまう。それよりこのバシャーモで戦った方が賢明だろう。
「バシャーモで攻撃。ほのおのうず!」
「しかし混乱の判定をしてもらおう。ワザを使うあるいは逃げる時にコイントスをして表なら成功。ただし裏なら失敗の上ダメージカウンター三つだ」
「……、裏」
 バシャーモにダメージカンターが三つ増え、残りHPが50。三ターン持つつもりだったがこれじゃあ全然持たない。
「プテラのポケモンチェック。……、裏なのでダメージカウンター二つ乗せる」
 しかし相手も同じく限界に近づく。プテラも残りHPが20、互いに状態異常のコイントスによって決着がつきそうになる。
「俺のターン。ちょうおんぱ!」
 口から発せられる衝撃波。音は聞こえないのが妙に理屈。
 これで本当のイーブンだ。
 次の俺の番に攻撃する際、裏が出れば俺の負け。だが次のポケモンチェックで裏を出す、あるいは攻撃する際表が出れば勝ち。
「ポケモンチェック!」
 近視でもなく視力に自信があるのだがそれでも目をモニターに近づける。
「表!」
 声を強めた石川だが、心底ホッとしているのだろう。
「俺のターン。バシャーモで攻撃。混乱判定だ!」
 人差し指を伸ばし、ボタンを押す。それにしてもこの大会、ほとんどコイントスでの運勝ちだ。風見とは大違い。
 でもまだこの大会が終わるまでツキは終わってほしくない。
「……。表だああああ! ほのおのうず!」
 歓喜の声をあげ、高らかにワザ宣言。俺の声に呼応してバシャーモがプテラに向けて攻撃を放つ。
 負けが決まった石川の顔は怒ってはいない。むしろ笑っていた。



 試合終了のブザーが鳴り響く。カードを片づけると、ドーム天井を意味なく見つめている石川を見つける。
「楽しいバトルだったぜ」
「ああ。あんなに願っていた夢だけど、負けてもなぜか悔しくない。むしろ清々しい」
「さっきとは大違いだ」
「……。奥村、頑張れよ。いや、お前にエールを送るなら楽しめよ。のほうが正しいか」
「翔でいいよ。名字で呼ばれるよりこっちの方が好きだからな」
 最後にカードの束をトントンと明るい音を鳴らして揃え、ステージから去る。
 しかし、ふと何を思ったのだろうか。ステージに再び戻ってカードの整理をしている石川に向けてこんなことを言ってしまった。
「やっぱりお前は笑っている方がいいな」
 石川がどんな顔をしているのかは見なかった。いや、見なかったことにしよう。



翔「今日のキーカードはふしぎなアメ!
  たねポケモンから一気に2進化ポケモンにもなれるぞ!
  2進化ポケモンが多いデッキには必須のカードだ。

ふしぎなアメ トレーナー (DP4)
 自分の「進化していないポケモン」を1匹選び、そのポケモンから進化する「1進化カード」、またはその上の「2進化カード」を、自分の手札から1枚選ぶ。その後、選んだ「進化カード」をそのポケモンの上にのせ、進化させる。


───
一度バトルを書き始めると楽だが、書き始めるまでにデッキ考えたりとかあるからしんどい
このバトルは0プロットなのにかなり盛り上がりました。
まぁ逃げるとかそういう戦略要素ないけど
メンテ
恭介出動! 初心者と熟練者 ( No.29 )
日時: 2010/09/07 00:18
名前: でりでり
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

「あたしのターン!」
 相手のサイドはすでに一枚。それに対してこちらは二枚。形勢は圧倒的不利。
「オーダイルに水エネルギーをつけて攻撃。はかいのしっぽ!」
 オーダイルがガブリアスに襲い掛かる。
「ガブリアスはこれで気絶。サイドを引いて終わりよ」
「俺のターン。ボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンの効果によりオーダイルのHPが130なのでワザに必要な無色エネルギーが必要無くなる。これで最後だ。じょうきのうず!」
 オーダイルのHPが尽きる。最後のサイドをとったようで、試合終了のブザーを鳴る。
「ここまで、か」
 負けてしまった。ステージからチラと見えた翔の顔は困惑でいっぱいだった。泣き出したい気持ちだが、そんなことをしたらとてもじゃないが翔が潰れてしまいそうだ。笑顔で翔の元に帰ることにする。
「ごめんね、負けちゃった」



 翔の姉ちゃんも負けちゃったか、やっぱり皆仲良く勝ち上がるのはさすがに無理だった。
 でも俺も百合のためにも負けられない。もうある種のデスゲームだ。こんなはっきりしたトーナメントに出場するのは実は初めてである。
 召集の放送がなったのでステージに立つ。俺の相手は小太りの男性である。成人してそうだ。ネームプレートは喜田敏光。脂汗は光っている。
「よろしく」
 首を縦に振るだけで無反応。なんだかやりにくそうだ。
 開始の合図がなる。俺は後攻だ。
 相手の最初のバトルポケモンはペラップ。俺のバトルポケモンはヒートロトムだ。ベンチポケモンは俺はエレブー。相手はなし。
「お願いします!」
「えっと、俺のターン。ペラップに超エネルギーをつけてさきどり発動。山札からカードを一枚引く」
 まずはカード補強か。翔はよく、「カード(手札)が多ければそれだけ戦略のパターンが増える」と言っていたな。
「俺のターン。ヒートロトムに雷エネルギーをつけてトレーナーカード発動。ゴージャスボール。山札から好きなポケモンを手札に加える。俺はエレキブルを加えるぜ」
 ゴージャスボールはノーリスクでポケモンを選べる強力なドローカードである。しかしその分弱点もあり、ゴージャスボールがトラッシュにあるとき別のゴージャスボールは発動できない。つまり基本的に一回だけ使えるという代物だ。
 一方でヒートロトムを見つめる。
 ロトムの強みはなんといってもポケパワー。それぞれのフォルムによっていろんなタイプになることができる。ヒートロトムのポケパワー、ヒートシフトを使うと自分の番の終わりまで炎タイプになれるのだ。これで草タイプのポケモンは倒せるのだが、相手はペラップ。いちいちポケパワーを使わなくても相性がいい。
 ……とはいえ、ヒートロトムがワザで攻撃するにはエネルギーが足りない。まずはチャージ。
「ヒートロトムの攻撃、あたためる。自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける!」
 チンと電子レンジ特有の心地よい音をロトムが放つ。そして自らが宿る電子レンジの扉を開くと炎エネルギーのマークがどことなく現れ、エレブーに吸収される。
「俺の番。ラルトスを場に出して超エネルギーをつける。そしてサポーターカード、ミズキの検索発動。手札を一枚山札に戻し、その後山札のポケモンを選んで手札に加える。キルリアを手札に加える」
 かなり流暢な手つきだ。熟練していそう。
「ペラップのさきどりを発動」
 再びドローだ。ペラップはエネルギーひとつでもう一つ別の技が使える。おんちという技でコイントスして表なら相手を混乱させる。ただ、10ダメージしかない。そう、10ダメージしかないのだ。俺のヒートロトムは無色タイプに抵抗力をもっているため、いくらおんちを使われてもダメージはない。その点正しいといえるだろう。
「俺のターン! よっし、まずはエレブーをエレキブルに進化させて、ヒートロトムに雷エネルギーをつける。つづいてウォッシュロトムをベンチに出すぜ」
 あっという間に手札は三枚。ウォッシュロトムはポケパワーウォッシュシフトで水タイプになれるロトムである。
「エネルギーつけかえを発動。エレキブルについている炎エネルギーをヒートロトムにつけかえる。これでヒートロトムで攻撃できるぜ。ヒートロトムで攻撃、ねつでこがす!」
 ヒートロトムが再び電子レンジの扉を開く。今度はそこから熱風がペラップを襲いかかる。
「40ダメージと弱点により10ダメージ追加。合計50ダメージだ! さらにねつでこがすの効果によりペラップは火傷状態になる!」
 ペラップのHPはこれでわずか10。ポケモンチェックで失敗するとあっという間にお釈迦のHPだ。
「さあ、ポケモンチェックだ。ペラップの判定をしてもらうぜ!」
 今まで何のミスもない。順調順調! 鼻歌も出るぜ。
「……表なのでダメージなし」
 があああ、なんだよー。そこは裏が出るとこだろ。まあどうせ山札からカードを引くだけなんだし怖くない。
「俺の番。ラルトスをキルリアに進化させ、超エネルギーをつける。続いてトレーナーカード発動。ポケモン図鑑HANDY910is!」
「ポケモン図鑑はんでぃきゅういちぜろ……なんだそれ」
「自分の山札のカードを上から二枚確認し、そのうち一枚を手札に加えてもう一枚を山札の下に戻す」
 なんだ、たった一枚だけ引くのかよ。それならもっといいサポーターとかでたくさんドローすればいいのに。
「ペラップの超エネルギーをトラッシュし、ペラップをベンチに逃がす」
 え。ええええ!? ちょっとなんで逃がすんだよ!
「キルリアをバトル場にだし、サイコリサーチを発動。このワザの効果は自分のトラッシュのサポーター一枚と同じにする。ミズキの検索を発動!」
 効果説明は割愛。またポケモンを手札に加えやがった。今度はサーナイトだそうだ。
「くそっ、俺のターン」
 なんとかあのペラップを倒せないものか。そして引いたカードは……。
「よっしゃあ! まずそこのペラップから倒してやる!」



翔「今日のキーカードはヒートロトム!
  なんと炎タイプにもなれる!
  相手の弱点を狙っていこう!

ヒートロトムLv.46 HP80 雷 (DPt2)
ポケパワー ヒートシフト
 自分の番に一回使える。この番の終わりまで、このポケモンのタイプは炎タイプになる。
無色 あたためる
 自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける。その後、山札を切る。
炎無色無色 ねつでこがす  40
 相手をやけどにする。
弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる エネルギー1
───
怒濤の更新ラッシュもここまでかな?
新学期始りますた。うわああああ

石川薫の使用デッキ
「夢への願いと古代の化石」
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メンテ

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