VSルイス(前編) ( No.42 ) |
- 日時: 2010/12/25 21:18
- 名前: あずらび◆2UZxO8bG3w ID:y79/rkAI
- 参照: 結論:エスパーはチートである
- 「クサイハナ!」
「ハート、お願い!!」
ルイスのボールから出てきたポケモンは、毒々しい雰囲気を出しているポケモン“クサイハナ”というポケモンだった。 クウはラルトスのハートを出した後、ポケモン図鑑でクサイハナのデータを確認した。
「毒タイプのポケモンで……」 「クサイハナの口から出ている液……蜜はね、どんなに遠くてもとーっても、くさい臭いを出すのよ!」
図鑑で確認する前に、ルイスは解説をしてくれた。 ただの唾液だと思われている蜜が、たとえ2キロ離れていようとも、その臭いは鼻を曲げるほどくさいというらしい。今は蜜を出してはいないが……それを出すと、猛烈に臭いだろう。 しかし相手は草と毒タイプ。前に同じ毒タイプのズバット戦のことを思うと、エスパータイプのハートはクサイハナには有利。だが、タイプ相性だけがバトルではない、とは思っている。
「先攻は譲ってあげるよー」 「ハート、念力!!」
ルイスの余裕な発言にお構いなく、クウは攻めに入る。ラルトスは念力で、クサイハナを中に浮かせた。
「よーし! そのまま――――」 「溶解液」
「地面に叩きつける」と口にする前にルイスは冷静にクサイハナに攻撃指令を出し、クサイハナは口から液を出し、地面に向けて発射した。やがてその液は、ハートの体にまとわりついた。 そのことに驚いたのか、力が抜け、先ほどまで浮かせていたクサイハナを地に降ろしてしまった。
「吸い取る!!」
地面に降りるとクサイハナはハートに近づき、吸い取る攻撃をした。 ハートはだんだんとクサイハナに体力を奪われる。しかし、クサイハナはピンピンでダメージ1つ受けていない。
「ハートっ!!!」 「――――がっかり、だね」
ハートは今にも倒れそうなほどの残り少ない体力になっている頃、ルイスは俯き気味でそう呟いた。それは、クウにも聞こえたことだが、クウはいまいち意味がわかっていない。
「あの子から話を聞いて、ちょっと期待してたのに……実力は大したことないし、賭けだしのトレーナーとはいえ……あれだね、“絆”が見られないかなー」 「…………絆?」 「そ、絆。貴方達からは“信頼”というものが見られないの。……ラルトスを見てごらん? 貴方のために頑張ってるっていうのに、貴方は大して技の指示をしていなければ、ぼけーっと見てるだけにしか思えないんだよねぇ」
ルイスは次々とクウに言葉を突き刺していく。……しかし、それは事実であり、ルイスの言うことはすべて間違ってはいなかった。 クウはじっとハートを見る。ついさっき仲間になったばかりで、ほとんどのトレーニングもせずに、向う見ずで自分勝手に振り回してしまっていた。 ――――それなのに、ハートは自分のために敵だと思っているものを指示通り攻撃しようとしてくれた。攻撃を息を切らしてでも耐えてくれた。 ……クウは、情けない気持ちになってしまった。
「ハート、もう少し……頑張ってくれないかな……?」 『……ラル……!』
クウは「あるがと」と呟く。先ほどまでの瞳とは少し変わった瞳になり、ルイスはうんうんと心で頷く。 ハートも態勢を元に戻した。残りHPは少ないはずなのに、まだまだ戦えそうな状態の体になって、クウもまだまだ負ける気はしなかった。
「“負ける気はない”って目だね。さっきとは大違い。……だからって、勝たせる気もないんだけどね!」 「そんなことは分かってますよ! ハート、影分身よ!!」 「無駄よ! 甘い香り!」
クウの心に火がついたように、堂々とフィールド上にしっかり立って、ハートに技の指示を出す。 ハートは幾つもの姿に分身して回避率を上げていく。が、ルイスは冷静にクサイハナに技の指示を出した。クサイハナから出た甘い香りは、ハートを惑わせ、回避率を下げさせた。
「私がそんな対策をしてないとでも思ったかしら?」 「まさかそんな。ジムリーダーですもの、強くて当たり前のことでしてよ☆」 「私は甘く見られる為にジムリーダーをやっているわけじゃないんでね!! 眠り粉!!」 (来た!!!)
クウはバカにするようにお嬢様口調でルイスを挑発する。ルイスもその挑発に乗るように技の指示を出すと、クウはずっと待っていたかのように目を輝かせた。 クサイハナは頭からたくさんの粉を出して、操るようにハートの頭上に降りかかる。
「念力で持ち上げるのよハート!!!」 「なッ!?」
クサイハナが振り撒いた眠り粉を、ハートは念力で持ち上げた。ルイスはその行動に驚きを隠せなかった。
「念力ごとクサイハナに吹ッ飛ばせぇぇぇぇ!!!」
その持ち上げた粉と念力を混ぜたハートの攻撃は、クサイハナに大きなダメージを与えた。 念力はエスパータイプの技、毒タイプの入っているクサイハナには効果抜群だ。それにその眠り粉でクサイハナはその場で眠り状態になってしまった。
「――――っ! クサイハナ!」 「ハート、とどめの念力よ!!!」 『ラルッ!!』
ルイスは「マズイ」という顔をした。ハートは力を振り絞って体全体から念を出していき、クサイハナにそれをぶつけた。 そして、眠り状態から覚めないまま、クサイハナは戦闘不能になった。ルイスはため息をつきながらクサイハナをボールに戻すと、小さく笑った。
「なんか……貴方達の絆は思っていたよりも凄いものね。……さっき出会ったばかりなのに」 「ぇ……知ってたんですか!?」 「私の知り合いがその様子を見てただけなんだけどね」
“知り合い”というものには突っ込まず、クウは何となくルイスに認められた気がして、緊張が少し解れた。しかし、まだポケモンは1匹残っている。
「でもそのラルトスももう体力は少ない。このポケモンで、決めさせてもらうわ!!」 「ハートはまだまだ倒れません。……いえ、倒させませんよ!」
二人はまだ目を合わせてニッと笑いあう。それは微笑ましい光景ではない、二人は燃えている目をしていた。 ルイスはスッと腰からひとつのモンスターボールを掌に乗せると、腕を伸ばし上に翳す。すると、それまで閉まってジムの天井が開き、青空が見えた。 その青空には、太陽がギラギラと輝いており、太陽の光が、そのルイスの持つモンスターボールに反射している。
「いけぇ、キマワリ!!」 「キマワリ?」
キマワリというポケモンは、細めで笑顔の植物ポケモン。クウには聞きなれない名と見たことのない姿に、再びポケモン図鑑を手に取って調べた。 暖かい日差しがエネルギーである、と図鑑に載ってある。そこで、クウはあることに気がついた。
「……成程、だから太陽の光が入ってくるように、天井を開いたんですね」 「そ。ジムリーダーは結構優遇されるのよね。その分ハンデとかもあるんだけど。……さて、エースのキマワリの恐ろしさ、教えてあげるっ!!!」
――――ルイスとクウジムバトル戦は、太陽の日差しが眩しいくらいになっている輝きの中の戦いになった。
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