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ポケノベ2010夏企画
日時: 2010/09/06 22:41
名前: 一号

☆あいさつ
 2010年度夏企画の季節がやってきました。今まで企画に興味がない人も是非参加してもらえたらなと思っています。

☆企画概要
 短編小説を書いてその完成度を競います。


☆作品投稿ルール
★守ってね
・基本的に規約や常識を守った文章を書くこと
・他の人が書いた文章のアイディアを無断で使用しないこと
・基本的な投稿の仕方については下記を参照のこと
●投稿するレスに書かなきゃいけないこと
@「タイトル」
A文章
・作品の後のアピールや質問文は付けてもなくても構いません
BAコースかBコースか
・トビ様が分かりづらいんで、タイトルは原則「コメント」のところに書いてください
・AかBかは作品の最初及び最後に分かるようにしていただければいいです
>規約に反している文章とは
・宣伝行為
・度が過ぎて性的な文章
・度が過ぎて暴力的な文章
(度が過ぎて、の判断基準はこちら側で決めさせていただきます)
★してもいいよ
・ネタ・ホラー・ケータイ小説系・推理・パロディなんでもこい><
・エロもいいけどほどほどにな。
・文章形式もHNもこのスレだけは自由です。
・企画なので、ポケモンを扱った文章でなくてもかまいませんし、いくつ投稿してもオッケーです。
※このルールは住人の希望や管理側の意図で変える事が出来ますのでご意見あればこのスレに書き込んでください


★期間
・テーマ発表期間
 7月23日〜7月30日
・作品投稿期間
 7月31日〜8月21日
・人気投票期間
 8月22日〜9月1日
・スレッドロック
 9月2日以降
※管理者とトビ様の都合で変更する場合があります
※テーマ発表期間内ではスレッドをロックさせていただきます。


☆テーマ
Aコース
 「探検」
 夏と言えば……というには遠いけどポケモン大好きクラブ的には夏っぽいので。探検を題材にした話を書いてください。またポケモンを必ず登場させてください。

Bコース
 「祭り:続きが気になる短編」
 夏と言えば定番でしょう。祭りを題材に話の続きが気になるような短編を書いてください。ポケモンの登場は強制しませんが、出来れば登場させてもらいたいです。

 小説の長さは1レスで終わる程度(約一万字)でお願いします。


目次 >>14
AB別の目次 >>39
投票について >>38
投票&感想のレス >>40-
投票結果>>55
メンテ

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Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.21 )
日時: 2010/09/06 22:56
名前: 紅蓮

Missing Link4・AB

夏企画2010 『鎮霊祭と小さな夜の冒険』

【ポケモン暦56年 8月8日 リューキュー ナンブシティ】

 ギンガ達の冒険から遡る事18年前・・・ナンブシティでは毎年恒例の鎮霊祭が
行なわれていた。実際の儀式は夜行なう神聖なものだが、昼はシティの市長の提案により
屋台が立ち並ぶまさに祭と言った様相を見せている。
「焼き蕎麦の次は綿飴かなぁ・・・」
「デザート感覚なら口がべたつかないかき氷で良いんじゃない?」
「俺は物足りねぇし唐揚でも買おうかな。」
「ねぇ、皆でモンスターボールすくいの方に行ってみようよ!」
遠くから聞こえてくる祭囃子の音を聴きながら、アイ達4人は祭での買い物を
楽しんでいた。この日の為に小遣いを貯め、使う機会をずっと待っていたのである。

 当時最年少のアイは5歳、ズリとザロクは6歳、最年長のオボンは7歳であった。
小遣いを貯めるのにも苦労する年齢であったが、この世界ならば街にいる子供達と
ポケモンバトルをして金を稼ぐ事も出来る。特にアイは幼くして既にトレーナーとしての
能力を開花させつつあった。
「それにしてもこの焼き蕎麦美味ぇなぁ。ソースに焼き鳥のたれを使ってるらしいが。」
「安くて量もあって有難いわよね。」
プラスチックのパックに入った焼き蕎麦を食べながら4人は歩いていた。ナンブシティの一大イベントと
言う事もあり街には沢山の人々が集まり賑わっている。特に屋台の者達は鎮霊祭特需とばかりに
売る事に精を出し声を張り上げ祭の雰囲気を盛り上げていた。
「今はまだお昼時だけど儀式は夜6時からだったよね。」
「私その『儀式』の事が解らないの。父さんも母さんもリューキューの人じゃないから。」
アイの言葉に対してオボンが応える。
「鎮霊祭は元々こんな活気のある祭じゃ無ぇんだよ。ナンブシティの市長が街おこしの一環として
このイベントを盛り込ませたんだ。本来はリューキューの守民達が集まって霊地であるこの
ナンブシティに神器を奉納していただけだったんだが・・・」
「今はこういう単なるお祭り騒ぎも加わったってワケ。」
「へぇ・・・」
アイの立場は微妙な所だった。生まれた場所の事も育った場所の事も解らず、右往左往している様な
状態に等しい。一度は両親が生まれ育ったカントーに行ってみたいと思ってはいたが、
それが『人間として』生きている間に叶う事は無かった。

 一方ナンブシティの神社では儀式の準備が着々と進められている。
「奉納の為の念入れは市長の要請で午後5時から行なってほしいとの事だ。本来ならば
見世物の様な扱いを受ける事は不服ではあるのだが、助成金が出るとなれば話は別だろう。」
この頃守民は資金繰りに苦しんでいた。後にリーグ本部と繋がりを持つ為それは解消されたが、
当時はリーグと関係しておらず独自での運営を行なっていたのだ。
「コウガ様、既に準備は整っております。黒曜御霊は神霊台に置かれ、我々5人も
コウガ様の命を待つだけの状態故・・・」
「うむ。長旅で疲れたであろう。5時までまだ随分時間がある。お前も他の者達も
祭を楽しむなりジムの宿舎で休むなりすると良い。」
深々と頭を下げた守民の1人は、もう1人の傍らにいた女性と共に何処かに去っていった。
(さて、今年も彼等には頑張ってもらわねばな。リューキューの平和を維持し続ける為にも・・・)

 時間は過ぎ、灼熱の太陽もだんだんとその力を失いつつある夕暮れ時となった。
時刻は午後4時。アイ達も一通り屋台を満喫し、帰ろうとしている。
「いやぁ楽しかったな。来年もまた皆で来ようぜ。」
「何言ってるの。家から近いんだから簡単に楽しめるじゃない。」
「そうだよ。来年も再来年も、祭は続いていくんだ。」
「私達の友情と同じ様にね・・・?」
丁度屋台の通りが終わっている道の先はナンブシティの森に通じている。アイは森の奥へと
消えていく謎の影を見た。何かキラキラした球を口に銜えた四足の影を・・・
「どうしたのアイ。そろそろ帰らないとお父さんに叱られちゃうんでしょ?」
「今何かが見えたの。黒くて光ってる球みたいなのを銜えて・・・」
アイの言葉は不意に聞こえてきた怒声によって掻き消される。
「何たる体たらくだ。リューキューを護る守民社の者達でありながら!!」
中央の広場で争う声が聞こえ、何事かと祭の客が集まり始めた。
4人の少年少女もその怒声の主を確かめる為に広場へと向かう。

 中央広場で言い争っていたのは市長と守民の一族のまとめ役であるコウガの2人であった。
「我々は5時に儀式を神社で執り行うと言うタイムスケジュールに応じて祭の開催時刻を
決めたんだ。突然『出来ない』と言われてはいそうですかと納得出来ると思うのか!」
「仕方あるまい。黒曜御霊を少し目を離した隙に何者かに盗まれてしまったのだ。勿論
我等もP.O.D.やダークの妨害を想定していなかったワケでは無い。だが・・・」
「ともかく、5時は無理としても祭が完全に終了する午後9時までには儀式を執り行って
もらうぞ。何の為に助成金を払ってやったと思ってるんだ!」
「クッ・・・」
コウガは悔しそうに両の拳を握り締めた。言い返す事は出来ない。
「ともかく、我々の目が無かったと言うならともかく、ありはしたのですから盗んだ相手は
1人でしょう。手荷物検査を行なうしか・・・」
守民の一員であろうか。若い水色の髪をした女性がコウガに声をかけた。
「ミナモよ。それは出来ぬ・・・祭に来た者達の気分を害する事になるからな。祭の客が
多くなればなるほど盗んだ者も隠れやすくなる。見つけるのは困難だ。」
「何だその言葉は。この私に対するあてつけか?」
市長は憤慨するとコウガを思い切り殴りつけた。コウガは市長を鋭い眼差しで睨み付ける。
「ナンブシティの地域発展の為に祭を行なうと決めたのはこの私だ。この祭によって単なる
儀式で終わっていた客も集まらぬ行為が、祭のメインイベントに昇華されたのだぞ?
それによりお前達邪神守民の認識度も上がった。良い事尽くめではないか!」
「ナリミヤ様、ココは一旦頭を冷やしてください。市長官邸に戻りましょう。」
市長の秘書である女性がナリミヤにそう言うと、彼はその場を後にしようとした。
「元々邪神の発するオーラを広がらせぬ様にする神聖な儀式だったのだ!妙な付加価値を付けた
為にその儀式が悪人達の知る所となった。それが何故解らぬ!」
ナリミヤは最早振り向きもせず背を向いたまま一言釘を刺す。
「とにかく、儀式を今日中に執り行えなかった場合助成金は全額こちらに返金してもらうからな。
元々鎮霊祭等と言う陰気な名前の祭にしなければならなかったのもお前達のせいだ。
この機会に儀式と祭を完全に分けてしまうか・・・」
立ち去る市長に対してコウガも5人の邪神守民も憎しみに満ちた顔を隠そうとしなかった・・・

 広場の騒ぎから離れたアイ達4人は今からどうするか話し合う事にした。
「その影がさっき言ってた『黒曜御霊』を持っていったってのか。」
「うん。黒くて丸かったし多分そうだと思うんだけど・・・」
ズリは暫く悩んでいたが、森の方を指差し提案を出す。
「這って移動する人間なんかいないんだからポケモンがその盗難事件に絡んでいると
見るべきだわ。森の中に消えたのなら森の中を探すしかないんじゃない?」
「でももう暗くなってきたし、昼の時と違って野生のポケモンも活発に活動する時間帯だよ。
危険だしココはそれを大人に伝えて僕達は帰るべきなんじゃないかな・・・」
「いや、大勢の大人が森に入っていけばそのポケモンは逃げちまうだろ。俺はちょっと
そのポケモンに心当たりがあるんだよな。場所も解ってる。」
オボンは分厚いポケモン図鑑をポケットから取り出すと、大きなボタンを押し
検索をかけた。荒い液晶ではあったがポケモンの姿は確認出来る。
「シャムールじゃないの。」
「光り物が大好きなシャムねこポケモンだ。宝石類を主に集めてるが光沢のあるものなら
何でも集めちまうらしい。この間探検した蒼の洞窟に住んでるって話だ。」
「前言った時はそんなポケモンいなかったけど・・・」
「昼間だったからな。奴は昼間宝石類を集めて夜洞窟に隠して眠るんだ。」
「だったら尚の事危険だよ。大人しく黒曜御霊を渡してくれるとは思えないし・・・」
ザロクは全く乗り気では無かったが、ズリやオボンは行くつもりであった。
アイも取り返しに行く事に賛同し、それに押し切られる形でザロクも仕方なく頷く。

【8月8日 リューキュー 16:32 ナンブシティ近くの森】

 夏と言う事もあって太陽はまだ見えていたが、辺りは夕暮れから闇に移行する黄昏時であった。
「こういう時間帯って逢魔が時って言うよね。昼と夜の境目は人ならざるものが動き出す時間だって・・・」
「ザロク、ビビんなよ。ちゃんとポケモン持ってんだから心配すんなって。」
この頃からトレーナーとしての才能を持っていた3人はポケモンを多数持っていたが、アイは母のおさがりで
あるポケモン1匹しか持っていなかった。アイは子供心に3人に対して憧れのようなものも持っていたのかもしれない。
「ただ、油断しない方が良いわよ。ザロクが言った通り野生のポケモンが・・・」
その瞬間、茂みの奥から飛び出してきたポケモンに、彼等は素早く対応しポケモンを取り出した。
「ノーム、相手が逃げ出すまで引っ掻いてやれ!」
オボンが出現させたノームは子供程の大きさしか無かったが、飛び掛ってきた野生のグラエナにも怯まず挑み、
顔を思い切り引っ掻いた。爪は鋭く長い為傷も生半可なものでは済まない。
『ガアッ!!』
『キャハハハハハハハ!』
丁度3匹の野生のグラエナに対して3人が持っていたポケモンが1匹ずつ対処する形となっている。
カムロは頭突きで相手の頭を狙い、ケセランは相手を強烈な電撃で感電させた。
『ウウウウ・・・』
不利と悟ったグラエナは3匹とも逃げ出し、再び森は静寂に包まれる。木の枝にはホーホーや
コダマが現れ、鳴き声が遠くからも聞こえてきた。
『クスクスクス・・・』
「よぉしよくやったノーム。やっぱりお前は頼りになるぜ。」
「ま、コレで相手を完全に怒らせちゃったかもしれないけど・・・」
「ズリの言う通りよ。ともかく一刻も早く蒼の洞窟に向かいましょう。」
4人は野生のポケモンを刺激しないよう、走らずしかし歩かず競歩の様に動いて先を急いだ。
しかし昼の時とは勝手が違うのか洞窟の場所を知っているにも関わらずなかなか目的地へ
辿り着く事が出来ない。見た様な景色が続く。
「やべぇな・・・化かされてる様な気分だ。」
「だから止めようって言ったのに!」
「大分暗くなってきたわね・・・野生のポケモンも増えてきたみたい。」
木の上で月をただぼんやり眺めているコダマの数が増えていた。
また茂みからグラエナが姿を現す。その数は3匹どころの数では無い。
群れの後ろからさらに巨大な体躯のポケモンが出てきた。
「コレはちょっとヤバイかも・・・」
黒い毛並みに光る金色の瞳、口の両端に見える鋭い犬歯・・・
『グルルル・・・』
辺り一帯のボスらしいハリキングは、傷付いたグラエナ3匹を見た後4人を改めて
睨み付けた。復讐するつもりマンマンと言った感じだ。
「流石にこの人数を相手に出来る程ポケモンを持ってはいねぇな・・・」
「逃げようにも逃げられないよ。」
「うーん、コレは参ったわね・・・」
平静を装っているオボンとズリだがザロクと同じ様に足は震え奥歯が鳴りっぱなしである。
「・・・大丈夫。私が何とかするから。」
アイはそう呟くと、すっと3人より前に進み出てじっと野生のポケモン達を見つめた。
白いワンピースや藍色の髪が月夜に照らされ映えている。その瞳は優しげだった。
「出てきて頂戴、サーナイト。」
アイは懐からモンスターボールを取り出し、地面に投げポケモンを出現させる。
閃光と共に出現したサーナイトは攻撃するでも無く、ハリキングと何事か
話し合っている様に見えた。

 『私達は争いを望んでいるワケではありません。人間達の持ち物を探しに来ただけです。』
『しかし、グラエナ3匹の傷はどう説明するつもりだ。こっぴどくやられたと聞いたから
ワザワザこの俺が出張ってきたんだぞ。』
『元々そちらが先に仕掛けてきたので正当防衛したまでの事です。』
『オイ、俺に嘘をついたのかお前等、どうなんだ!?』
ハリキングに睨まれたグラエナはあまりの迫力に項垂れてしまう。
『申し訳ありませんでした・・・』
グラエナ3匹もあくまでしらを切り通す事は出来たハズであったが、早々に折れて
サーナイトに謝った。勿論4人には何がどうなっているのかサッパリ解らない。
「何かを話し合ってるみたいだけど・・・」
「とりあえずポケモンはポケモン同士任せてみましょう。ココで下手に私達が出しゃばるのは
得策じゃ無いわ。」

 ハリキングはサーナイトから事情を全て聞くと、怒りを露にし低く唸った。
『全く今日は人間に迷惑をかける不届きな奴等ばかりだぜ。人間を侮ってる奴が世界には
多くいる様だが、人間は数で言えば圧倒的に多いし、兵器は俺達の力を圧倒しているものすら
ある。共存を考えていなきゃ人間に潰されるだけだからな。』
『先程の話ですが、本当に同行してくださるのですか?』
『ああ。俺が一緒に洞窟に入ってシャムールの奴をちょいと脅かせば簡単に事が済むだろうぜ。
人間達との共存とは言ったがやはりポケモンにはポケモンの領分、テリトリーが存在してるんだ。
誰だってその領分を脅かされるのは御免だからな。』
サーナイトはアイに近付き微笑むと、ハリキングの方を指差し彼についていくべきだと言う考えを示した。
4人はポケモンの言葉が解らない為に100%事態を把握する事は出来なかったが、それでも
ハリキングの後に続き一路洞窟を目指す事にした。
「とりあえず交渉が成功したみたいだね。」
「洞窟まで案内してもらえるなら有難い事この上無いわ。」
ズリやザロクは顔をほころばせ、オボンも安堵の溜息をついた。
(危なかったぜ。一触即発のムードだったからな・・・もしサーナイトが上手くやってくれなきゃ
俺達全員アイツの爪や牙でやられてたかもしれねぇ。)
最悪の結末が一瞬頭をよぎり身震いこそしたが、アイの機転が功を奏し4人は
蒼の洞窟までハリキングに案内される事となる。

【8月8日 リューキュー 17:47 蒼の洞窟内】

 洞窟内は昼間訪れた時よりもさらに底冷えとしており、懐中電灯が無ければ奥が見えない程の
暗闇であった。ザロクは発光電気体であるケセランをボールから出し明かりの代わりにする。
「うわ、上にズバットが・・・」
何気無く上を見上げると羽を畳んだズバットが洞窟の天井に多数止まっていた。
「ズバットも昼間は外に出て獲物を捕らえる習性があるタイプみてぇだな。」
「ハリキングがいる事が牽制になってるみたい。」
アイの言う通り、ズバットの中には敵意を露にはするが攻撃はしてこないものが数匹いる。
強大な力と巨大な体躯を持つハリキングがいる為にそれを怖れ近寄りはしないのだろう。
『さぁて、洞窟の最深部に御到着だ。』
蒼の洞窟の奥は前に4人が訪れた時と同じ美しい湖が広がっている。その手前の地面に
寝そべって舟を漕いでいるポケモンがいた。
『おい、シャムール!!』
ハリキングが吠えるとそのポケモンは飛び起き辺りを見回した。
『ハ、ハリキング様じゃないですか。一体どうしてココに・・・?』
『人間の持ち物を盗んだだろ。何時もなら気にしない所だが大勢の人間が迷惑して
子供達が森に入ってきたんだ。こうなると俺も黙っているワケにはいかねぇよ。』
シャムールは抵抗しようとしたが、勝てる相手では無い事は解り切っている。
『解りましたよ・・・それで、何を返せばいいんです?』
ハリキングは4人の子供を指差して、彼等に聞く様目配せした。
「うーん・・・話が通じるかどうかは解らねぇが、俺達は綺麗な黒色の真球を
探しに来たんだ。お前がそれを盗んだんだろ?」
オボンの言葉に対してシャムールは項垂れると、ぽっかりと空いている
横穴の1つに入り数分後黒曜御霊を持って戻ってきた。
『ハァ・・・気に入ってたのになぁ・・・』
『他の持ち物もあるとは思うが、今回はコレで許してやれよ。とは言っても
こいつ等には俺の声が理解出来てねぇみたいだが・・・』
ポケモンの声を人間が理解出来る様になるまでには時が経つのを待たねばならない。
だが4人は声を解さずとも野生のポケモンとコミュニケーションを取り
黒曜御霊を取り戻す事に成功した。それは彼等が純真な子供だったからかもしれない。

【8月8日 リューキュー 18:51 ナンブシティ鎮霊祭会場 中央広場】

 7時前の中央広場では祭の一大イベントである儀式を前に、職人達が花火を打ち上げる準備を
着々と進めていた。4人の邪神守民とコウガには焦りの色が浮かんでいる。
「コウガ様、街中をくまなく捜索しましたが見つかりませぬ。ナリミヤに頭を下げに下げ
手荷物検査も実施しましたが・・・」
「もしP.O.D.の妨害なら街からすぐに逃げてしまっただろうからな。儀式が執り行えないと
言う事は祭の失敗よりももっと大きな弊害を生む。即ち邪神が発するオーラの影響が
ますます濃くなると言う事だ。そうなれば壊れる者達もまた増えてしまうだろう・・・」
邪神が放つオーラによってリューキューの人々は人ならざる能力を得た。だがそれは同時に心の闇を
増幅する力も持っている。闇に触れた人間の肌は褐色となりさらに堕ちる時暴走して沢山の人間を
殺してしまうのだ。儀式にはそのオーラの力を抑える目的がある。
「いずれナリミヤは失脚するだろう。あそこまで市民の反感を買ってしまっているのだからな。だが
今この時は我慢するしかあるまい。あれを作るには半年を要する・・・」
諦めかけたコウガがふと広場の入り口を見ると、子供が4名息せき切って駆けてくるのが見えた。
「黒曜御霊を取り返してきました!」
オボンが代表としてコウガに御霊を渡すと、5人の守民はほっと胸を撫で下ろした。
ミナモは涙を流しアイ達に礼を言い、シガンは黙ってその光景を見つめている。 
「守民としては情けないばかりですね。子供達に助けられてしまうなんて・・・」
炎邪神守民のカゲロウはそう呟くと夫でもある風邪神守民のハヤテを見た。
「ともあれ儀式が行なえる様になったのだ。素直に感謝するべきだろう。」

 儀式は7時丁度に無事執り行われ、市民はそれを鑑賞する。
台座に乗せられた御霊に対して5人の邪神守民が念を入れ邪神のオーラを
出来うる限り封じた。最後に守民の代表であるコウガが御霊を高く掲げ思い切り叫ぶ。
「今こそ、邪神の力封印せしめん!」
朱雀・玄武・白虎・青龍・鳳凰・・・炎・岩・光・水・風のオーラが
コウガの力により御霊から溢れ出て空中を覆い尽くした。そのオーラは
何処までも遠くに広がり空中一帯が様々な色に光り輝く。
「綺麗・・・」
帰宅する事をすっかり忘れ、アイ達4人はその美しい光景にただ驚き立っていた。
「これは、凄ぇな・・・」
やがてその光もゆっくりと霞む様に消えていき、儀式は完了する。
「ダルフ、カゲロウ、ミナモ、ハヤテ、シガン・・・今年も無事に儀式を行なう事が出来たな。」
「我々はやるべき事をやっただけです。それより、あの子供達に労いの言葉をかけるべきでしょう。」
ダルフはそう言うとまだ会場に残っていた子供達を指差した。
「ああ・・・そうだな。」
色とりどりの花火が空中に舞う。儀式の後行なわれた花火も綺麗ではあったが、4人の心により
深く残ったのは空中を覆い尽くしたあの聖なる光の集合体であった。

 小さな冒険と祭の思い出は4人の心に深く刻まれた。例え4人が3人になってしまおうとも、
残された者達の心にあの時の記憶はしっかりと焼き付いている。
守民達が後に生んだ子供達や失われたもの・・・それは現代と深く繋がり1つの形を成すに至るのだった。

『後書き』
今回Aコースでの作品提出と相成りました。結局
自分の作品の番外編となりましたが楽しんで
読んでもらえれば幸いです。
メンテ

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