Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.10 ) |
- 日時: 2010/09/06 22:50
- 名前: ギルガメッシュ月光
- Course B 『上辺とやる気は反比例』
日差しがぎらぎらと熱い……一月前まで白かった肌は真っ黒に染まり、上着とズボンを脱げば、パンダの仲間入りをするほど面白いぐらいのツートンカラー。 なのは外で遊んでいる子どもたちであり、家の中で引き籠ってエアコンで冷えた部屋の中に居てパソコンいじっているこの少年とは関係ない。 近場で祭りのせいか浴衣をつけている人やピカチュウのお面をつけている子どもたちが行き交い、水ポケモンが水を発射しては子どもたちが騒ぐ。 五月蠅いことこの上ない。今の時代は海よりネットでサーフィンする方が楽しい。 涼しく適度に乾燥した空間の中でディスプレイを目の前にキーボードを打つことが何と快感なことか。 長々と書いていたとある小説板の企画に投稿する作品がようやく出来上がり、満足げに息をついた少年が Enter ボタンに手を伸ばした瞬間、部屋のドアが猛烈な勢いで開く。
「エルク!」 「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!?……あっ」
突然の訪問者に思わずエルクと呼ばれた少年はブラウザを閉じてしまい、三時間かけて書いた小説は一瞬にしてメモリ上から消えてしまった。
「お、おまっ! 俺がアレでこうしてこれまで一生懸命書いて来た何と言うかアレが!」 「っるっさいわね! 一日中部屋で引き籠ってないで少しは外に出なさいよ。晴れ渡る空、輝く太陽、透き通る風……素晴らしい世界が外で待ってるわよ」 「日陰を作る雲すらいない空、紫外線と赤外線を撒き散らす太陽、落ち葉を巻き上げて打ちつけて来る風……なるほど、確かに素晴らしい世界だ」
もうどうでもいいや――エルクはパソコンの電源を切ると、気だるそうに机の横から小さなウェストポーチを取り出す。
「相変わらずネガティブねあんた」 「相変わらずポジティブねあんた」 「兎に角、エルクは今日私と一緒に祭りに出掛ける約束してくれたんだから、約束は守ってよね」 「はいはい守りますよ守りますとも。このエルク、約束を破ったことなど一度も……あるな」 「何度もあるわね」 「シェイナはもう少し約束を守ってほしいな。まだ三分も前じゃないか」 「早く来たんだから良いじゃない」 「この野郎……」 「野郎じゃなくて、乙女です」 「この野郎……」 「野郎じゃなくて、淑女です」 「もう良いよ。ほら、行くんだろ」
半ばやけくそになっているエルクの言葉にシェイナは内心呆れているが、どうやら一応出かける意思はあるらしいので、その点に関しては安心していいだろう。 ベッドの上で寝ていたイーブイが大きく欠伸をするとゆっくりと起き上がり、いつの間にか訪問していたシェイナを見ると、嬉しそうにベッドから降りて擦り寄っていく。 普段自分にすら擦り寄ってこない癖にシェイナには擦り寄りに行くイーブイを見てエルクは小さく舌打ちし、それを聞いたシェイナが悪戯な笑みを浮かべる。
「もしかして、エルクも私に抱きつきたいの?」 「イール、てめー今日の晩飯覚悟してろよ」
イールと呼ばれたイーブイは「俺にはそれぐらいの覚悟はある!」っと言わんばかりの顔をしてエルクの方を見返すと、再びシェイナの足に擦り寄る。 今すぐボールに戻して外に居る子どもたちにバットとセットにして渡したい気分になったが、動物虐待はエルクとしても気分が悪くなるし、何より唯一のポケモンなのだからさすがにバットと一緒はよろしくない。 せめてグローブと一緒が適度なところだろう……エルクの放つ不吉なオーラにイールは一瞬背筋が震えたが、もはや恐れるものなど何もない。 シェイナに甘えなければ、もはやこの家に癒しは無いと言わんばかりに甘える。 さっさと出掛けてしまおう――エルクはゆっくりと歩み出すと暴れるイールをシェイナから引き離し、自分の頭の上に置いて、シェイナに立つよう指示する。
「祭りに行くんだろ? たこ焼きぐらいおごってやるよ」 「あら、意外と優しいのね」 「意外は余計だ」
外に出て少し歩けばすぐに祭りの雰囲気を醸し出す雪洞や綿菓子を持った子どもたち、他で買えば「これ暴利じゃね?」っと言えるようなケチな焼きそばを売っている店、金魚掬いに射的。 個人的には金魚『掬い』ではなく金魚『救い』なのではないかと思っているが、別にエルクは持って帰るつもりも無いので、救うつもりはさらさらない。 頭の上に乗っているイールが器用にタコ焼きを食べているなか、ベンチに座っているエルクは面倒臭そうに両手を組んだ状態で、大きな欠伸をしながらぽつりと座っている。 どうせなら浴衣が良い……っと言って、シェイナが一旦家に帰ったからだ。 十五歳にもなって面倒臭い女だ――イールが爪楊枝から落してしまったタコ焼きをエルクは器用に口でキャッチし、タコの少なさに愚痴を垂れながら飲み込む。
「おいおいこれタコじゃなくてイカじゃねーの?」 「お待たせー」 「おい、これタコじゃなくてイカじゃね?」 「いきなり何かと思いきやタコ焼きの話しか。それよりどうよ、ほれほれ、私の浴衣姿は」 「ん? あーうん、良いんじゃねーの」 「……それだけ?」 「とってもお似合いで」 「その両目を残った二つのタコ焼きと入れ替えてあげようか? 少しはまともにモノを見れるようになるかもよ」 「勘弁してくれ。ほら、さっさと行こう」
突然立ち上がったせいでイールが「突然立ち上がるなこの野郎」っと言う不満な表情を浮かべるが、そんなこと知らんと言わんばかりにエルクは歩き出す。 同じく少し不満そうな表情を浮かべるシェイナが彼の横に並ぶとさり気なく彼の手を取るとするが、少し戸惑ってからその手を引っ込める。
「……ねぇ、一つ聞きたいことがあ――」
俯いていたシェイナが言葉を紡いだ瞬間、左側に合ったバトルフィールドから轟音と共に大きな歓声が起き、全ての音が一瞬にして飲み込まれる。 鬱陶しそうにエルクがその方向を見るとどうやら勝ち抜き大会が行われているらしく、十回連続勝ち抜いた人には商品として貴重なポケモンが贈呈されるようだ。 今の十回連続勝利商品はイーブイらしく、全身の毛の色が灰色の色違い……確かに珍しい。 そして現在の戦いで連続勝利九連勝を決めたらしく、周りの観客からは「あと一勝」のコールがけたたましいほど聞こえて来る。
「強いんだね、あの人。九回連続勝利だって」 「……なぁ、悪いんだけどどこかでジュース買ってきてくれね? 後でイール思う存分触らせてやるから」 「えー、男の子なら女の子の欲しいモノ買って来るものでしょ。何で私が」 「そうだな、俺がガキだからじゃないか」 「ったく。覚えてなさいよ、あんたが大嫌いなドクターペッパー買ってきてやる」 「コーラで頼むわ」
頭の上のイールが「じゃあ俺はペプシ」っと言うように可愛らしい声を上げるが、シェイナは溜息をつくと、ちょっと悲しそうにエルクから離れて行く。
「さて……」
シェイナが見えなくなったのを確認してから、エルクはバトルフィールドのフェンスをくぐる。 挑戦者サイドと書かれている扉をくぐり抜けた先には彼の入場と共にとてつもない歓声が起こり、現在九連勝中の男が腕を組んで正面で待っている。 頭の上に如何にもだらしなさそうに乗った一匹のイーブイに、観客は若干どころか「こりゃもう駄目だ」と言うような、何だか諦めたような空気が流れる。 対して男のポケモンは巨大な体を持つポケモン、ガルーラだ。普通に考えれば、まともに戦って勝てる様な相手ではない。
「おいおい、最後の相手がこんなしけた相手かよ、十戦中最弱が来たなーこりゃ」 「なぁ、あんた。これから十回連続で俺に挑んでくれない」 「はぁ? いきなり何言ってんだ?」 「いやね、あまり頑張ってる姿見られたくないんだよ。それにさ、好きな女には欲しがってるモノ上げるのが男だろ」
頭の上で欠伸をしていたイールの首根っこを掴み、いきなり安眠直前から起こされ驚くイールをバトルフィールドに投げ入れる。
「一勝30秒ぐらいかな。行かしてもらうぞ」
〜〜〜あとがき〜〜〜
さて、私はギルガメッシュ月光です。分かる人は私が誰だか分かるかも知れませんね。 正直言って文字数が危ないし何も言えること無いよ。やべ、このせいで一万文字越えた。削らねーと。
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