唐突な出逢い! 翔VS風見(前) ( No.1 ) |
- 日時: 2010/12/15 21:38
- 名前: でりでり ID:gyTo0W2Y
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 平見高校。いたって普通の東京にある私立の進学高校。教師のいない休み時間に目を盗み、うちのクラスではカードゲーム盛んであった。
そしてこの高校の一生徒の俺こと奥村翔も、同じくカードゲームを楽しんでいた。 「翔、デュエルしようぜ!」 チャイムが鳴り、先生が教室から出ていった瞬間に、窓際にいた翔の方へ廊下側から一人の男子生徒がやってくる。 「ごめん恭介。今日は遊戯王持ってきてないんだ」 その男子生徒、長岡恭介は少しうなって明るい色の髪をポリポリかく。 「仕方ないなぁ。折角、翔のインフェルニティデッキに勝てるようにデッキ組んだのに」 「今日はポケモンカード持ってきてるんだ」 「ポケモンカード? あぁ、CMとかでやってたなぁ。翔やってるのか」 「ああ。結構面白いんだぜ? 恭介もやろうぜやろうぜ」 「けどなぁ。ゲームならともかく子供ばっかじゃないの?」 「そう言うなって」 俺は机の横にかけてあった高校のかばんからカードケースを取り出した。さらにカードケースからポケモンカードのデッキを取り出す。 「俺の熱き想いをこめた魂のデッキさ! 負けることなんてありえない!」 「翔らしいなあ」 恭介は声をあげて軽く笑った。その笑い声を打ち消すかのように、俺の隣の席のイスが音を立てる。 「なんだよ」 喧嘩っぱやい恭介はすかさず横を振り向いて音の主をにらみつける。が、そいつは恭介の胸をひと押しして押しのける。 「なんだテメェー?」 こぶしを作って多少ふざけた顔を作り、恭介は再びそいつをにらみつける。と、恭介の表情が一変した。 「お前は……、風見雄大」 「悪いがお前みたいなヤツに用はない」 流れを一通り見ていた翔は不穏な気配を察知する。風見雄大の親が経営する企業、TECKは電子、機械産業界では日本屈指の企業である。そこの御子息がなんの御用やら。 まさかこれは俺に喧嘩でもなんか吹っ掛けるってことか。 危険を感じた俺は風見に対し身構える。 「何か用なのか?」 身長が低い俺に対し、若干大きい風見は、さらに一歩近づく。 「さっき熱き想いを。とか言ってたな」 質問が意外と平凡だったことに、強張っていた肩の力が簡単に抜ける。 「それが……どうかしたか?」 「カードに気持ちとはなかなかとぼけたことを言うな」 いったいぜんたい何が言いたいのか分からない。 「だからそれが何だって言うんだ」 風見は俺の事を数秒見つめると、ふっ、と声を漏らして背を向ける。 「放課後俺と対戦だ。もちろんただの対戦じゃつまらないから面白いものを用意してやる」
授業も終わって教室を出、俺と恭介の二人が校門のそばにくると風見がそこで待っていた。 「ここからは多少距離があるから、タクシーを使う。そこのタクシーに乗ってくれ」 俺はうなずき、校門前で待ち構えるタクシーに乗り込む。 「俺も俺も!」 恭介も意気揚揚と入ろうとした瞬間、風見の鋭い目つきに射られる。 「なんだよ! 翔の応援に行くんだぜ?」 「まあいいだろう。ギャラリーがいた方が多少は盛り上がるだろうしな」 俺と恭介が後部座席、風見が助手席に座るとタクシーが進みだす。 会話がないまま車だけ進む。窓から覗ける風景は、大きなビルが立ち並ぶ一帯へと入った。 「まさかとは思うが……」 ぽつりと呟いたと同時、大きなビルの前でタクシーが止まる。 「TECKの本社か」 人事のようにボソッと俺が呟く。タクシーから降りて目の前のビルを見上げる。てっぺんを見ようとしたら首がイカれてしまいそうなほどの高いビルだ。いや、実際にやってみるとそうでもなかったか。 「こっちだ。悪いがこれをかけてもらう」 首にかけるタイプの許可証をもらう。話によるとこれがないと自由に入れないらしい。こういう大きな企業ビルに入るのは初めてなのでちょっと緊張とわくわく感を感じる。隣の恭介も大差ないようだ。 風見に言われたとおりついて行き、ビルに入りエレベーターに乗り込む。そして二十四階で止まった。 「この奥だ」 エレベーターを出てすぐ目の前の扉を開ける。このフロアに人気はなく、どうやら俺達三人しかいないようだ。俺は鞄に入れてあったカードケースに手を伸ばす。 このフロアは学校の教室よりもやや広いくらいか。だがそこにはそのフロアを埋め尽くすほどの巨大な機械がある。どうやらこの機械には乗り入れ口というべきか、なんと呼べばいいのかイマイチ表現方法が見つからないのだが二箇所くぼみになっているところがある。 「さあ、奥村翔!」 風見がその窪みの一つに入っているので、俺も急いで真似をする。窪みに入ってみると、そこはプレイマットのようなテーブルが置かれてある。しかしプレイマットの下半分しかないのだが……。 「使い方は見ての通り、説明するまでもない。ただポケモンカードで勝負をするだけだ。分かったか奥村翔。もう一人のお前、お前はその辺で見てろ」 「くっ、名前ぐらい覚えやがれ!」 恭介の怒鳴り声に一切耳を傾けない風見は、ポケモンカードのデッキを見せる。 「ルールは普通だ。ハーフデッキを使用する。サイドカードは三枚だ」 俺はデッキをシャッフルし、半分プレイマットにセットする。このプレイマットのそばに、風見のフィールドが映されているモニターがあった。 「先攻はお前に譲ってやろう」 風見が俺を指差した。自信があるようだな。 「後悔しても知らないぜ。互いにデッキから7枚ドロー! そしてたねポケモンをバトル場、ベンチにセットする!」 風見はバトル場とベンチに一体ずつセットする。この一番最初の引きがポケモンカードゲームでは非常に重要となる。 この最初のひきで、無色タイプのドロー支援ポケモンが来るのが一番重要なのだ。手札を見るとノコッチ60/60とヒノアラシ60/60がすでに揃っている。俺も風見と同じく一体ずつそれぞれセットする。 お互いがセットしたのを確認して、俺と風見はセットしていたカードを表向けにする。俺がバトル場に出していたのはもちろんノコッチだ。 「行くぜ、俺のタ───」 さあ行くぜと張り切っていた俺の目の前でノコッチとオドシシ70/70が対峙していた。 「ポケモンが……どういうことだ!?」 「これが開発中の立体ポケモンバトルシステム。ポケモンが3Dでよく見えるだろう? ちゃんとベンチポケモンも映っているぞ」 風見のベンチにはフカマル50/50。そして俺のベンチにはヒノアラシが。3Dとは思えないほど鮮明に映っていた。 「お前にはこれのテストプレイヤーになってもらう」 俺を呼んだのはこのためか。光栄だぜ。 「すげぇ……。ワクワクするぜ! 俺のターン、ドロー!」
翔「今日のキーカードはノコッチだ! このノコッチはHPが60と少なめだけど、エネルギーなしで技を使える。 一番最初に手札に来るととても助かるパートナーだぜ!」
ノコッチLv.21 HP60 無 (DP2) ─ へびどり 自分の山札からカードを一枚引く。 ─ かんでひっこむ 10 自分を自分のベンチポケモンと入れ替える。 弱点 闘+10 抵抗力 なし にげる エネルギー1
─── 12月15日にリメイク
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不思議なてかり! ガバイト! 翔VS風見(中) ( No.2 ) |
- 日時: 2010/12/22 19:24
- 名前: でりでり ID:z8M56BQA
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「ヒノアラシに炎エネルギーをつける。そしてノコッチの攻撃、へびどり! へびどりの効果によって俺は一枚ドローする!」
「ふっ、そうやってせいぜい無駄なあがきでもすればいい」 株式会社TECKにて、開発中のなんたらシステムを使って同級生の風見雄大との対戦。今の俺のバトル場にはノコッチ60/60、ベンチには炎エネルギーがついたヒノアラシ60/60。一方風見のバトル場にはオドシシ70/70、ベンチにフカマル50/50。 俺の手札は炎エネルギーが二枚、ヒコザル、バクフーン、モウカザル、モンスターボールと非常に微妙な手札である。が、次のターンにモンスターボールを成功してマグマラシを手に入れれば少しは優位に立てるはずである。 「俺のターン。ドロー。手札の雷エネルギーをフカマルにつける。さらに、フカマルをガバイトへ進化させる」 風見がガバイトのカードをフカマルに重ねると、立体映像のフカマルの体が光に包まれてガバイト80/80へと進化を遂げた。 「すげぇ……。まるでアニメみたいだな」 「さらにパッチールをベンチに出す」 フカマルの隣にパッチール70/70が現れる。アニメ、ゲームと同じように足元がフラフラしていて落ち着きがない。 「そしてオドシシのワザだ、導く。この効果は自分の山札のサポーターを一枚、手札に加える。俺が手札に加えるのはオーキド博士の訪問! 俺はターンエンドする」 「俺のターン、ドロー!」 勢いよく引いたカードだが、それは炎エネルギーだった。今の手札には不要な、いや、いらなくはないか。 「手札からモンスターボールを発動する! コイントス!」 指でコインを弾く。表が出ればマグマラシを手札に加え、いきなりチャンスになるのだが……。 「裏……」 「残念だったな。お前の運もその程度だということだ」 「まだだ、炎エネルギーをヒノアラシにつける。そして新たにヒコザル(50/50)をベンチに出す。ノコッチのワザ、へびどりを発動。一枚ドローしてターンエンドする」 思わず舌打ちをしてしまう。向こうはオドシシ、こちらはノコッチとどちらも攻撃ではなくカードサーチ及びドロー支援のポケモン。まだしばらく試合が動く気配はないのだろうか。 「俺のターン、ドロー。手札からオーキド博士の訪問を発動する。このカードの効果によりデッキからカードを三枚ドローし、手札一枚をデッキの一番下に置く」 オーキド博士の訪問は強力なドローカード。さらに不要なカードをデッキの一番下に戻すことができるカード。 「さらにガバイトに炎エネルギーをつける。そして手札からトレーナーカード発動、ポケモン入れ替え!」 「なにっ!」 「もちろんオドシシと入れ替えるのはガバイト! ガバイトの攻撃、不思議なてかり。この技はコインを投げ、その裏表によって効果が変わる。オモテのときは相手のポケモン一匹にダメージカウンターを四個乗せる。ウラなら自分のポケモン一匹からダメージカウンターを四個とる」 風見は手元にあるコインをトスする。 「さあ刻め、俺の最強という道を!」 バトル場そばのモニターを見つめる。 「オモテ! そこのノコッチに40ダメージだ!」 風見が宣言するといなやガバイトは強烈な光を放つ。あまりのまぶしさに目を防ぐも、光はすぐに止んだ。そして視界が元に戻ると、先ほどの元気な体だったノコッチ20/60に傷が見える。 「3Dシステム恐るべし……」 「俺のターンは終了だ」 「ドロー!」 ここで引いたカードはマグマラシであった。 「……」 考えるんだ、この状況を。下手に犠牲を出したくはない。最小限の被害に食い止めるには……。 「ノコッチに炎エネルギーをつける。そしてそのまま、逃がす! そしてヒノアラシの出番だ」 ノコッチとヒノアラシは位置を入れ替える。 「ザコがいくら来ようとガバイトの敵ではない」 「まだだ、さらにヒノアラシをマグマラシに進化させる!」 ガバイトのHPは80。それに対してマグマラシ80/80の技、火花は40ダメージ。うまく行けば二ターンで倒せれる。 「マグマラシでガバイトに攻撃、火花! この技はコイントスをして、裏ならマグマラシの炎エネルギーを一枚トラッシュする!」 お気に入りのヒノアラシコインを指ではじいた。少し音をたてて落ちたコインは表を向く。 「よしっ、そのままガバイトに40ダメージだ!」 マグマラシの攻撃とともにバトル場に火花が舞い散る。パシンバチッ! という軽い音や痛い音を耳に挟んでいると、ガバイトはその火花に襲われていた。火花ラッシュはすぐに収まったが、ガバイト40/80の体は傷が付いている。 「ターンエンド」 「ふん。俺のターン、ドロー! ベンチにフカマル(50/50)を出す。そしてベンチのフカマルに水エネルギーをつける」 これで風見のベンチポケモンはオドシシ、フカマル、パッチールの三匹となった。 「さらに、攻撃だ、不思議なてかり!」 風見は再びコイントスで表を引き当てる。 「俺が攻撃対象に選ぶのは、ノコッチ!」 「何!? ベンチポケモンに攻撃だと?」 「フハハハハ、散れ!」 再びフィールドに光が襲いかかる。ノコッチ0/60は体力がなくなり、バタリとその場に倒れこむ。そして光に包まれフィールドから消えた。 「サイドカードを一枚引いてターンエンド」 形勢は一見悪いように見える。が、マグマラシの次の攻撃でガバイトも倒れ、形勢は振り出しに戻る。落ち着いていくんだ。 「ドロー! 俺はヒコザルをモウカザル(70/70)に進化させる! モウカザルに炎エネルギーをつけてマグマラシで攻撃宣言だ! 火花!」 コインを指ではじく。が、そう運は続かずバトル場に落ちたコインは裏であった。 「炎エネルギーをトラッシュするがガバイトに40ダメージだ!」 ガバイトは倒れ伏し、フィールドからいなくなった。 「次のポケモンを選べ!」 「言われなくても分かっている。パッチールだ」 「サイドカードを一枚とってターンエンド」 「俺のターン。……奥村翔」 「なんだ?」 名前を呼ばれてびっくりする。急に手札をフィールドに置き、こっちを見てきた。何をしでかす気か。 「正直お前程度に本気を出すまいと思っていたが、そうもいかないようだ」 「当たり前だ。俺とこのデッキは熱い絆で繋がっている」 俺がそう言った途端、風見の目つきがきつくなった。何かまずいことを言っただろうか? 「行くぞ! パッチールに炎エネルギーをつける。さらにフカマルをガバイト(80/80)に進化させ、パッチールの攻撃だ。出し抜く! この効果は、デッキの一番上と一番下のカードを手札に加える」 「さっきオーキド博士の訪問でデッキの下に置いたカードが!」 「そうだ。このカードはこのデッキで最強のカードだ! ターンエンド」 おそらくやつは次のターンにそのカードで仕掛けてくるだろう。次のドローで何か道は開けないものか……。
翔「今日のキーカードはマグマラシ! リスクはあるが40ダメージも与えれるぞ! ここから先にバクフーンに進化するぜ」
マグマラシLv.25 HP80 炎(DP2) 炎無 ひばな 40 コインを一回投げ、裏なら自分の炎エネルギーを一個トラッシュ。 弱点 水+20 抵抗力 なし にげる エネルギー1
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レインボードラゴンカブリアス! 翔VS風見(後) ( No.3 ) |
- 日時: 2010/12/29 19:14
- 名前: でりでり ID:xbXwcJWg
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- オーキド博士の訪問でわざわざデッキの下に置いたカードを、パッチールの出し抜くで回収するコンボ。そして先ほどの風見の態度から見てもデッキの下に置かれていたカードは風見の最強カード……!
今の俺のバトル場には炎エネルギーが一つついたマグマラシ80/80。ベンチには炎エネルギーをつけたモウカザル70/70。残りのサイドは二枚。 一方の風見も同じくサイド二枚。バトル場にはパッチール70/70。ベンチに水エネルギー一枚ついたガバイト80/80、オドシシ70/70。 「俺のターン。行くぜ! 俺はマグマラシをバクフーン(110/110)に進化させ、炎エネルギーをつける」 「だがそれでは貴様のバクフーンは攻撃できまい! エネルギーが足りてないぞ!」 「見せてやるよ。バクフーンのポケパワー発動、たきつける。このポケパワーは一ターンに一度だけベンチポケモンにトラッシュの炎エネルギーをつける。さらにエネルギーつけかえ。自分のポケモンのエネルギーを入れ替えるトレーナーカードだ! トラッシュの炎エネルギーをモウカザルにつけ、そのエネルギーをバクフーンに移し替える」 だがパッチールのHPはバクフーンの技の威力では届かない……。 「一気にエネルギーを揃えたか」 「まだだ、トレーナーカード、プラスパワー! この効果によりこのターンだけバクフーンの技の威力が10上がる!」 「何っ!」 プラスパワーがフィールドに現れ、バクフーンに付加される。何かされる前にさっさと倒す! 「バクフーン行け! 気化熱!!」 バクフーンの口から巨大な炎の塊が浮かび上がる。そしてそのままパッチールを炎が包み込んだ。炎が消滅すると、パッチール0/70は床に伏せて倒れた。 「パッチールが気絶したためサイドカードを一枚引く。ターンエンド」 「俺はガバイトを新たにバトル場に出す。行くぞ、俺のターン。これで終わりだ!」 「ターンエンドか?」 「違う、貴様の負けだということだ。ガバイトに水エネルギーをつけ、進化させる! 来い、ガブリアス!」 俺の冗談をあっさりかわし、風見は大袈裟にガブリアス130/130のカードをガバイトに重ねる。そして機械が反応し、ガバイトはガブリアスへ進化を遂げる。 「お前には消えてもらう。ガブリアスの攻撃、竜の牙!」 ガブリアスがバクフーンに向かって突進してくる! 「更にガブリアスのポケパワー発動! レインボースケール!」 「レインボー……スケール?」 「このポケパワーの効果は、このポケモンが、このポケモンのエネルギーと同じタイプの弱点を持つバトルポケモンに、ワザによるダメージを与えるとき、そのダメージは、すべてプラス40される」 「何っ!?」 バクフーンのHPは110。竜の牙の威力は70。さらにレインボースケールの効果によって……。 「バクフーンがたった一撃で!」 そのままガブリアスの攻撃がバクフーンにヒット。激しい爆風とともにバクフーン0/110が気絶させられる。 「サイドカードを一枚ひく。残りサイドカードは互いに一枚ずつだがもう勝敗は決まったも同然」 「俺はモウカザルをバトル場に出す……」 「まだやるか。好きにするがいい。ターンエンド」 「デッキにカードが。俺の想いの込めたカードがある限り、どんなことがあろうとも決して諦めない! ドロー!」 「どこかで聞いたことのあるようなセリフだな」 風見が吐いて捨てるように言う。しかし、このドローが全てを変えるチャンスでもある! 「手札からトレーナーカード、ポケブロアー+を発動! このカードはコイントスの表裏によって効果の有無がある。コイントス!」 頼むぜ、俺のデッキ。頼むぜ、俺のカード。 静寂な空間に落ちたコインはオモテを指していた。 「オモテ! ガブリアスに10のダメージ!」 「ふん。悪あがきもいいとこだ」 「更にモウカザルに炎エネルギーをつけて進化! 来い、ゴウカザル!」 モウカザルに光が走り、雄たけびとともにゴウカザル100/100が俺のバトル場に現れた。 「ゴウカザルの攻撃、流星パンチ。この攻撃はウラが出るまでコイントスをする。そしてオモテになった数かける30ダメージを与える! 四回オモテが出れば俺の勝ちだ! 一回目、オモテ!」 「そう運良くオモテが四回も出るわけがない」 「二回目オモテ!」 あと二回。あと二回だけだ! 頼むぞデッキ! そしてゴウカザル! 「三回目、オモテだ!」 「バカな……。こっ、こんなことがありうるというのか!?」 「四回目は」 誰もが固唾を飲んだ瞬間、答えは出た。 「オモテだああああ!」 「ばっ、バカな!?」 「五回目はウラ。しかしこれで勝負は決まった! 行け、ゴウカザル。流星パンチ!」 ゴウカザルの怒涛のパンチラッシュがガブリアスを襲う! 攻撃が止むと同時にガブリアスはその場に倒れ、フィールドから消える。 「そしてサイドカードを一枚手札に。これで俺のサイドカードはなくなった。俺の勝ちだ!」 俺が最後のサイドカードを一枚をひくと立体システムによって映し出されたすべてのポケモンは消えていく。そして俺は恭介に向ってVサインを作る。恭介もサムズアップで返してくれた。 しかし一方の風見は。 「またこんなカードに情を入れたやつに負けた……だと」 その場に膝を立ててくずれおち、なにやら喋っているようだ。『また』という言葉に気をひかれるものがあるが。 そしてリングから降りて恭介のもとに行く。 「ふぅ。勝てた」 「なんかわからなかったけどすごかったぜ!」 「なんかわからなかったのね」 恭介のキラキラした眼に俺は顔を引きつらせないと答えきれなかった。 そんな瞬間、ドンッと何かをたたくような音が聞こえた。風見がリングを叩いた音であるようだ。俺達が何か声をかける前に走り去って行った。デッキを置いたまま……。 風見側のリングへ向かい、放置されたデッキを眺める。 ガブリアス、ガバイト、オドシシ……。俺が苦しめられた風見のデッキ。 あたりを見回してみるが、だれも来る気配もない。風見も戻ってきそうにない。 「とりあえずこれは預かって明日学校で渡すか。恭介、帰ろうぜ」 「おう。帰ろう」 何故かフロアを出た後も、ビルを出た後も風見の関係者には出会わなかった。大きなビルを尻目に見、歩いて俺達はそれぞれの帰路に着いていった。
翔「今日のキーカードはゴウカザル! HPは少ないが、その分攻撃力は高い。 一気に勝負を決めてやれ!」
ゴウカザルLv.40 HP100 炎 (DP1) 無 りゅうせいパンチ 30× ウラが出るまでコインを投げ続け、オモテ×30ダメージ。 炎炎 フレアドライブ 90 自分の炎エネルギーをすべてトラッシュ。 弱点 水+30 抵抗力 ─ にげる エネルギー 0
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カードティーチング! レッスン1 ( No.4 ) |
- 日時: 2011/01/19 20:16
- 名前: でりでり ID:v/YP5.bE
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 注・ここで説明されるルールは旧ルールのポケモンカードDPです。現在のルールとは異なるので、公式サイト等で確認してください。なお、PCC編までは以下のルールで行います。
「雄大。これで最後だ。マッスグマでガブリアスに攻撃、駆け抜ける! ガブリアスは無色タイプが弱点。これで僕の勝ちだ!」 過去の忌々しい記憶。 「これがカードを信頼する力だ!」 かつて俺が負けた記憶。 アイツのセリフを最後に悪夢は覚める。そうだ、昨日俺は奥村翔に負けたんだ。もうあのデッキに用など何もない。
案の定というかなんというか、風見は昨日の激戦以来姿を見せない。もちろん学校にも来ていない。いやはやメンタル弱すぎだろう……。折角デッキを持ってきてやったのに。 高慢なやつに限ってこういうのはもはや定番なのかもしれないな。 風見が俺の言った「俺の熱き想いをこめた魂のデッキさ! 負けることなんてありえない!」という言葉に過剰に反応していたのが気になる。かつて何かあったのだろうか。 しかし他人の詮索なんて趣味が良いとは言えないし、うーむ。どうすればいいか。まあ今は別にいいかな。 「おっす翔!」 恭介がポケモンカードの束を持って俺の机にやってくる。 「俺もポケモンカードやろうと思って、デッキ作ってみたんだ。三十枚だよな?」 「おう。見せてくれよ」 「ハナからそのつもりだぜ」 ポケモンカードは三十枚を超えたり少なかったりしてはいけない。とはいえ、本来は六十枚で戦うルール。三十枚でも戦えるよ、というルールがあり、前日風見とやったのはその三十枚の方のルール。 さて、恭介がもってきたデッキを見させてもらおうか。 「……。なんだこれ」 「どうかしたか?」 レアコイル、グラエナ、ウィンディ、ユレイドル、カイリキー……。全然統一性がない。更にエネルギーがたった一枚しかない。これぞまさしくカードの束。デッキに非ず。 「ルール……。知ってる?」 「全然」 「そりゃこうなるわな……。ルールを説明するぞ」 「おっ、頼んだぜ」 「とりあえず放課後な」 昼休みの刻が終わりを告げるまでわずか一分。そんな時間でポケカのルールを説明するなんて無謀にもほどがある。 そこから数時間。昼休み後の眠たい授業を乗り越え、巡って来た放課後。掃除をぱっぱと終わらせて恭介を呼ぶ。 「じゃあルールを説明するぞ」 「おう」 「まずカードの説明をするぞ」 俺は自分のデッキなどから、ナエトル、ハヤシガメ、きずぐすり、炎エネルギーを机の上に広げる。 「左から順に、『たねポケモン』、『進化ポケモン』、『トレーナーカード』、『エネルギー』だ」 「なるほどね」 その四枚からナエトルを恭介の手前に広げる。 「まずたねポケモンの説明からな」 「たねポケモンとね」 カード左上のナエトルと書かれた部分に指をさす。 「これがポケモンの名前」 「それはわかる」 そしてカード右上のHPを指差す。 「これが体力だ。この体力以上のダメージを受けると『きぜつ』しちゃうんだ。ゲームでいう『ひんし』みたいなの」 「なるほどね」 HPの隣のマークに指を移す。 「これがポケモンのタイプ。ナエトルは草タイプだ」 「常識だ」 続いてナエトルの絵の下の技の欄を指す。 「ここには使うのに必要なエネルギー、ワザの名前、与えるダメージが書いてるんだ」 「エネルギーとかよくわからないんだけど」 「後で順を追って説明する。とりあえずカードの見方から」 「はーい」 カード左下の弱点に指を指した。 「これがナエトルの弱点だ。このタイプのポケモンから受けるダメージは、数字ぶん多くなっちゃうんだ。なにもかかれてないときは弱点がないんだぜ」 「なるほどね。炎タイプの攻撃を受けると+10の超過ダメージがあるってことか」 「そうそう」 中央下の抵抗力に指をスライドさせる。 「これが抵抗力。弱点の反対だ」 「このタイプのポケモンから受けるダメージはこの抵抗力に書かれてるぶんだけ少なくなるんだな?」 「つまり、水タイプのダメージは−20だ」 「弱点に比べて比率大きいな」 「いいことじゃないか。次行くぞ」 最後に右下のにげるを指す。 「これがこのポケモンがバトル場からベンチににげるために必要なエネルギーだ。エネルギーを2つトラッシュしたらベンチに戻れる。 「ベンチ?」 「後で言うから待ちな」 そして俺はナエトルのカードを最初の位置に戻し、ハヤシガメのカードを新たに出す。 「これが進化ポケモン。進化ポケモンはすでに場に出ているポケモンを進化させるカードだ」 ハヤシガメという名前の下にあるテキストを見るように促す。 「ここに書いてる、ナエトルのカードの上にこのカードを置くと進化するんだ」 「なるほどね」 「たね、一進化、二進化という順番で進化できるんだ。まだハヤシガメの上にドダイトスのカードが置ける」 「そうやって強くしていくんだな」 「おう。あとはさっきと一緒。続いてタイプ」 「タイプね」 ナエトル、ハヤシガメ、きずぐすりを片づけて机の上に水、草、雷、闘、超、悪、鋼、無色エネルギーを置く。 「カードはゲームと違ってタイプが九種類しかないんだ」 「九!? それだとカードになってないやつとかいるのか?」 「落ち着け落ち着け。無色タイプはノーマル、飛行、ドラゴン。炎は炎、水は水と氷、雷は電気、草は草と虫、闘は格闘と地面と岩、超はエスパーとゴーストと毒、悪は悪、鋼は鋼」 「あ、混ざってるのか」 「そう。まあこれが嫌だって人もいるんだけどな。で、次はトレーナーカード」 エネルギーカードを退けてきずぐすりを机の上に出す。 「トレーナーカードはポケモンの手助けをするカードなんだ。右上がカードの名前。そして中央に説明文」 「なるほどね」 きずぐすりを戻してナナカマドはかせを出す。 「これもトレーナーカードの種類だけど、その中で『サポーターカード』っていうやつだ」 「サポーターかぁ」 「サポーターは効果が強いけど、一ターンに一度しか使えないのが難点なんだ」 「ふむふむ」 「ドローやサーチ系の能力が多めのカードだぜ」 ナナカマドはかせを戻しておまもりこばん、マルチワザマシン01、夜明けのスタジアムを出す。 「トレーナーカードは他に、左から順番に『ポケモンのどうぐ』、『ワザマシン』、『スタジアム』とあるんだ」 「いろいろあるな」 「とりあえずそれぞれの説明は後回し。こういうもんがあると思っててくれ。最後にエネルギー」 三枚を戻して炎エネルギーを再び見せる。 「エネルギーは、ポケモンがワザを使ったりベンチに逃げるために必要なカードだ。場に出ているポケモンにつけて使うのさ。基本エネルギーは八種類。無色エネルギーを抜いた各種類だ」 「さっきの無色エネルギーは?」 「具体的に言うと、あれはマルチエネルギー。特殊エネルギーの一つだ。それぞれ効果が違うからちゃんと読むんだぞ」 「なるほどね」 「じゃあ今度は対戦の仕方について教えるぞ!」
翔「今日のキーカードはナエトルだ。 進化するとドダイトスになるぞ! 数少ないパワフルな草タイプなんだ」
ナエトルLv.10 HP60 草 (DP1) ─ たいあたり 10 草 はっぱカッター 20 弱点 炎+10 抵抗力 水−20 にげる 2
─── 奥村翔のデッキ公開 「燃え始める心」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-455.html
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カードティーチング! レッスン2 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/02/02 22:25
- 名前: でりでり ID:qfIaB5Tc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 何かが壊れる音がした。なぜだ? 写真立てが割れたからだ。なぜ割れた? 写真立てが投げられたからだ。誰が投げた? 俺だ。なぜ投げた? アイツと共に肩を組んで笑い合っている写真を見つけたからだ。
改めてこの一人の部屋に静寂が訪れる。ここには俺しかいない。俺しか住んでいない。 目に映ったカードの束をぶん投げようとしたが思い留まった。 「……」 もう、俺はアイツにも奥村翔にも……。
「ポケモンカードゲームは、自分の番にポケモンのワザを使って相手のポケモンにダメージを与えて『きぜつ』させて行くんだ」 「なんだかゲームっぽいな」 放課後、陽も傾き始める。自習している生徒の邪魔にならないようにちょっと小さめの声で恭介にルール説明の続きをしていく。 「ハーフデッキなら三匹、スタンダードデッキなら六匹先にポケモンを『きぜつ』させたら勝ちとなるんだ」 「ハーフデッキ? スタンダードデッキ?」 「ああ、後で説明する。それより、ポケカは基本的に他のTCG(トレーディングカードゲーム)と違って相手のターンに罠カードとかできないんだ。相手の番、自分は何もできないってことだ」 「状況が悪ければ負けを覚悟しなきゃならないのか」 俺は臨時用のデッキを机の上に置く。そこからカードをいくつか選んで手札にし、コータスを恭介に向けて置く。 「ワザの使い方を言うぜ。ワザを使うのにはエネルギーが必要なんだ。一ターンに一度、エネルギーを自分のポケモンにつけれる。一枚だけだぞ」 「それじゃあワザを使うのにエネルギーがたくさん必要なやつはすぐにワザが使えないんだな」 恭介の飲み込みの速さに感嘆する。 「よし、それじゃあこのコータスがワザを使うにはどうする」 俺が恭介に、炎エネルギー三枚と闘エネルギー二枚、きずぐすりの六枚のカードを渡す。 「えーとな。ほのおでこがすをするにはこの炎エネルギー一枚でいいのか?」 「そうそう」 「かえんだまは……。炎エネルギー一枚と無色エネルギー二枚か。だけど無色エネルギーなんてないぞ」 「無色エネルギーはどのエネルギーでもいいってことなんだ。だから、炎エネルギーはともかくそれ以外はとりあえずエネルギーが二つあればいいんだ」 「ははーん。なるほど」 「エネルギーは超過してても技が発動できるんだ。炎二枚、闘一枚とかだったら両方の技が出せるんだぜ」 「便利だな」 コータスの向かい側にリオルのカードを置く。 「じゃあ今度は攻撃するんだ」 「えっと、じゃあかえんだま」 かえんだまと書かれているテキストの隣の数値を指差す。 「ここに書かれている数値分だけ相手にダメージを与えれるんだ」 「なるほどね」 「これでリオルは50ダメージ。リオルのもともとのHPは50。これでリオルのHPはなくなり、『きぜつ』した状態になるんだ」 カード入れと共に入れていたダメージカウンターをリオルに乗せる。 「これはダメージがどれだけ食らったか覚えやすくするためのカウンターね。で、きぜつしたポケモンは『トラッシュ』におくられる。いわゆる墓地みたいな感じね」 「なるほど」 俺はリオルをトラッシュのエリアに置く。 「『きぜつ』したポケモンはそのポケモンについているカードを全て『トラッシュ』するんだ。エネルギーとかも丸ごとね」 「再利用はできないのか」 「そんな都合よく行ったらゲームバランスめちゃくちゃだ。そしてベンチのポケモンをすぐにバトル場に出すんだ」 「なるほど」 「そしてポケモンを倒すたびに『サイドカード』を一枚手札に加えるんだ』 「『サイドカード』?」 「そう。ハーフデッキだと三枚、スタンダードデッキだと六枚あって、それを全てひいたら勝ちになる」 「だからさっきポケモンを三匹か六匹きぜつさせたら勝ちって言ったのか」 「そう。そして、他にも勝利方法があるんだ。ポケモンをきぜつした時点でベンチ含む自分の場にポケモンがいなくなったらサイドの枚数関係なく負けになるんだ」 「なるほど」 「あと他のカードゲームと同じくドローする時に、デッキにカードがなければ負けってのもあるぜ」 「ふむふむ」 あ、そうだ。と思い出したように再び机の上にカードを展開する。 「そういや最近は新しく、『ロストゾーン』というのができたんだ」 「それはどんなのだい?」 「一部のポケモンの効果によって、ロストゾーンにカードを送る効果があるんだ。その『ロストゾーン』は『トラッシュ』と違って『ロストゾーン』のカードはそのゲーム中には再度使用することができなくなるんだ」 「なるほどね。厄介そうだ」 「それじゃあトレーナーカードの細かい説明を言うぞ」 机の上に「ポケモンいれかえ」、「エネルギーリンク」、「ワザマシンTS−1」、「ママのきづかい」、「帯電鉱脈」を広げる。 「トレーナーカードには三種類あるんだ。『トレーナー』、『サポーター』、『スタジアム』だ。更に『トレーナー』の中にも三種類あって『トレーナー』、『ポケモンのどうぐ』、『ワザマシン』があるんだ」 「ほう」 「『トレーナー』は自分のターンに何枚でも使えるんだ。その中で『トレーナー』はポケモンを回復させたりバトルポケモンとベンチポケモンを入れ替える効果があったりするんだ。逆転が狙えたりするぜ」 たとえば。とポケモンいれかえを指差す。 「なるほどね。これもらっていい?」 「……。いいよ、余ってるし」 「サンキュー! 他のも教えてくれよ」 「『ポケモンのどうぐ』は場に出ているポケモンにつけるトレーナーカードなんだ。一度つけたら効果が働くまではそのままにしておくぜ。『ポケモンのどうぐ』は一匹のポケモンに同時に二枚以上はつけれないんだ。ゲームでもポケモンは道具を一つまでしか持てなかっただろ?」 「だな。このエネルギーリンクもらうぞ」 「はいはい好きにしてくれ。『ワザマシン』は『ポケモンのどうぐ』と同じく場のポケモンにつけるカードだ。このカードに書いてるワザは、このカードをつけているポケモンのワザとして使うことができるんだ。ニュアンスてきには『ポケモンのどうぐ』に近いかな。つけたポケモンが場からいなくなるまでつけたままだ」 「なるほどね。ワザの効果はあんまりよくないみたいだな」 「仕方ないさ」 恭介はワザマシンTS−1を俺の方に突き返す。なんだ、今度はいらないのか。 「続いて『サポーター』。『トレーナー』の次くらいに大事だ」 「ふむ」 「自分の番に一枚だけしか使えないトレーナーカードだ。基本的にドロー支援系のカードが多い。カードゲームにとって手札は命と同じぐらい大事だからな。一枚だけ使ったってわかるように、使ったら自分のバトル場の横に置いて自分の番の終わりにトラッシュするんだ」 「大事って言う割にはこの『ママのきづかい』は微妙だな」 「『サポーター』の中では弱い部類だからな。強いのだと二枚ドローしてから相手の手札を一枚デッキの下に戻すってのがある」 「へー。とりあえずもらおう」 「最後は『スタジアム』だ。これも自分の番に一枚しか使えないんだ。使ったらバトル場の横に置いておくんだ。どちらかのプレイヤーが別の名前のスタジアムを出したら、今場にあるスタジアムをトラッシュしなくちゃならない。場に出ているスタジアムと同じ名前のスタジアムを、手札から場に出すことはできないぞ」 「バトル場の横にある限り効果を永続的に発動するんだな?」 「そうそう。飲み込みがいいな」 「帯電鉱脈もらうぞ」 「いいぜ。後はターンについてと特殊状態で説明が終わる。これで恭介もポケモンカードができるぜ!」
翔「今日のキーカードはコータスだ! 危なくなってもかえんだまで、次のポケモンへチャンスをつなげ!」
コータスLv.28 HP80 炎 (DPtエントリーパック・ディアルガデッキ) 炎 ほのおでこがす 10 コインを一回投げオモテなら、相手をやけどにする。 炎無無 かえんだま 40 自分のエネルギーを一個、自分のベンチポケモンにつけ替える。(自分のベンチポケモンがいないなら、この効果はなくなる) 弱点 水+20 抵抗力 なし にげる 2
─── 風見雄大のデッキ公開 「虹色の竜」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-472.html
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カードティーチング! レッスン3 ( No.6 ) |
- 日時: 2011/04/04 13:57
- 名前: でりでり ID:jTsRTpcA
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 昨日の戦いを思い返す。そして調べた。
家の中にある全てのカードを探して作り上げた。これで、もう……負けない。
「もうちょっとで終わるぞ。今度はポケモンチェックと特殊状態だ」 「ポケモンチェック?」 「ポケモンチェックの話をするには先に特殊状態から説明するべきだ。まず、特殊状態には主に五種類ある。『どく』、『やけど』、『ねむり』、『マヒ』、『こんらん』の五種類だ」 「ゲームだと『こおり』とかいろいろあるのにないの?」 「残念ながらないんだ。よいしょ」 ダメージカウンターを入れてるケースからいろいろマーカーを取り出す。 「まず、『どく』からだ」 そういって俺は「どくマーカー」を取り出す。かわいらしい(?)髑髏さんのマークだ。いや、俺は髑髏だとかはそんなに好きじゃないけど。 「どくになったポケモンは、目印としてどくマーカーをカードの上に乗せるんだ。どくになったポケモンは、ポケモンチェックのたびに10ダメージを受けるんだ。どくのポケモンは、攻撃できるし逃げることもできるんだ。どくは他の特殊状態と重なるが、どくにどくは重ならないぜ」 「どうやったらどくが治るんだ?」 「いい質問だ。ベンチに戻るか、進化やレベルアップをするか、トレーナーカード等を使うかだ」 「じゃあどくになればすぐ逃げればいいんだな」 「まぁそれが最善の一手になる場合もあるな」 恭介はどくマーカーをつまみあげて観察する。なにもねーぞ。 「今度は『やけど』だ」 今度はばんそうこうが二つバッテン印を作った、やけどマーカーを机の上に置く。 「やけどはやけどマーカーをカードの上に乗せる。ポケモンチェックの度にコイントスして、裏なら20ダメージを受けてしまうんだ。あとはどくと全く一緒」 「ダメージが違うだけか。攻撃も逃げたりも出来て、ベンチに戻ったりレベルアップや進化したら回復するんだな?」 「だな。親友として、お前も物理がそれぐらい理解度よければなと思うぜ」 「まったくもって余計な話だぜ」 恭介の表情が普通に曇る。クソ野郎と言わんばかりだ。 「今度は『ねむり』。厄介な特殊能力だ」 適当にカードを選び……。こんなもんかな。カモネギだ。カモネギを机の上に置く。 「ねむりのポケモンは───」 「ねむりマーカーか?」 「それがないんだぁ。ねむりの目印には、カードを横にするんだ」 ほらクイッとな。カモネギを横にする。 「一応、左右どちらでもいいんだが左向けに横にするのが一般的。ねむり状態だと、攻撃も逃げることもできない。だが、『どく』と『やけど』以外の特殊状態とは被らないのが救いだ」 「進化とレベルアップとかで治るんだな?」 「ああ。もちろん、ポケモンいれかえ等でベンチに戻っても回復する。そしてこっからだ。ポケモンチェックの度にコイントスをする。表ならねむりは回復するが、裏ならねむり状態のままだ。これ、大事」 「裏が出続けると何もできないってわけか」 「そう。次は『まひ』。一番うざったい特殊能力」 カモネギを正位置に戻す。当然正位置だ。 「まひになったら、やっぱり横にする」 カモネギも忙しいだろう。再びクイッ。ただし、横にする方向はさっきと逆。 「これも横にする方向はどっちでもいいんだ。右が一般的だが。マヒは、ワザを使うこともできず、にげれない。『どく』、『やけど』とだけ被るのは『ねむり』と一緒」 「ふむ。戻るのはねむりと大体一緒?」 「察しがいいぜ。コイントスで回復する以外は一緒。マヒは、自分の番を一回すごしたあとのポケモンチェックで自動的に回復するんだ。絶対足止めを食らう、厄介な特殊状態。次」 カモネギをまたまた正位置に。 「最後は『こんらん』。あんまし見ないな」 カモネギを逆位置にする。これが最後だ、お疲れ様。 「今度は目印としてさかさまにする。こんらんのポケモンが攻撃するときは、コイントス。表なら攻撃は通るが、裏なら失敗。そして自分に30ダメージ。あと、逃げれて『どく』と『やけど』と重なる」 「30っておっきいな。戻るのはレベルアップと進化とベンチに戻るときだけ?」 「そう。じゃあさっきから言ってたポケモンチェックの話するぜ。自分の番と相手の番が終わった時に必ずあるんだ。以上」 「じゃあ、自分の番の次はポケモンチェック、そして相手の番でそれが終わればポケモンチェックで自分の番で……ってことか」 「そうそう。そのときに各状態異常の処理するんだ。質問あるか?」 「特にないな」 「それじゃあ最後だ。対戦のスタートと自分の番について」 「待ってました」 わざとらしく恭介は拍手する。 「まず、対戦相手と握手。礼儀は大事。そんでデッキをシャッフルしてセット。そのまま最初に七枚ドロー。これが最初の手札ね」 「多いな」 「割とすぐなくなっちゃうもんだよ」 「そんなもんなのか」 「ああ。で、手札からたねポケモンを一枚選んでウラにしてバトル場にセット。バトル場にいるポケモンはバトルポケモンって呼ぶんだ」 「もし手札にたねポケモンなかったら?」 「手札を相手に見せて、手札を全てデッキに戻してシャッフル。そして再び七枚ドロー。以降ループ。このとき、相手は後でもう一枚ドローできるから、できるだけ最初の手札でたねポケモンを揃えたい」 「なるほどね」 「手札にまだたねポケモンが残ってたら、五枚まで選んでベンチにセットができる。強制じゃないよ。これ大事」 「ふむ」 「そしてサイドカードをセット。三十枚デッキなら三枚、六十枚デッキなら六枚だ。ちなみにさっき言った、『相手は後でもう一枚ドロー』はこのタイミングな。これ逃すとドローできなくなる。そしてじゃんけん」 「勝ったら先攻後攻を決めれるんだな」 「いや、勝ったら強制的に先攻」 「珍しいな」 「ああ。そしてゲームスタート」 「やっとか」 長かったなあ、と恭介が。まあそこは同調する。 「自分の番にできること。まず、一番最初はドロー。一枚だけだ。二枚ドローしたら反則」 「それぐらいはわかる」 「自分の番に山札がなくてカード引けなかったらそこで『負け』。もちろん、ドローは強制な」 「普通だな」 「自分の番にできることを説明するぞ。たねポケモンのカードをベンチに出す。ベンチはスペースが五つしかないからな。空きがなければ出せないぞ。続いてエネルギーカードをポケモンに一枚つける」 「一枚だけ?」 「そう。何枚もつければ強すぎる。エネルギーをつけるのはバトルポケモンでも、ベンチポケモンでもどっちでもいいぞ」 「ふむふむ」 「次はポケモンを進化させる。進化させる時は、手札の進化ポケモンのカードを場にいるポケモンに重ねるんだ。場に出したばかりのポケモン、この番に進化させたばかりのポケモンは、同じ番のなかですぐに進化できないから注意な。それをクリアしてれば何回でも進化可能だ。進化したら進化前のポケパワー、ポケボディーは無効。きのみやどうぐも無意味になる。進化してもダメージカウンターとエネルギーはそのままな」 「ああ」 「進化して回復するのは状態異常だけじゃない。それまでに受けていたほかの効果もまとめておさらばだ。いいことづくし」 「みたいだな」 「そんで、トレーナーのカードを使う。使い終わったトレーナーカードはちゃんとトラッシュする。カードの発動タイミングが違うトレーナーカードがごく稀にあるから気をつけてな。スタジアムとサポーターは自分の番にそれぞれ一回しか使えないぞ。あと、先攻の最初の番はトレーナーカードは全て使えないからな」 「先攻ってちょっと不利だな」 「でもその分先に攻撃できるからな。バトルポケモンをベンチににがす。バトルポケモンがベンチに『にげる』ときは、カードの『にげる』にある無色エネルギーの数だけそのバトルポケモンからエネルギーをはがして、トラッシュ。足りなかったら逃げれない。あと、『にげる』にエネルギーが書かれてなかったらそのままエネルギーをトラッシュせず逃げれる」 「ほう」 「バトルポケモンをベンチに戻すと同時にベンチポケモンをバトル場に出す。ベンチに逃げても、エネルギーやダメージはそのまんまな。ベンチポケモンがいないと逃げれないから気をつけろ。あと、『にげる』は自分の番に一回だけだぞ。恭介のことだから調子乗ってホイホイ逃がす……ってことは無理」 「俺ってそんな風に思われてんの?」 「いや、適当に言った。次はポケモンをレベルアップ。進化と基本的に一緒だが、レベルアップ前のポケモンの技やポケパワーが使えて、ポケボディーまで働く。対戦スタート直後の、互いの最初の番にはレベルアップ出来ないし、進化と同じく進化した番にレベルアップは出来ないからな。そして一番大事なことだがバトル場にいるポケモンしかレベルアップ出来ない」 「やっぱレベルアップすると強くなるからか」 「そう。そしてポケモンのポケパワーを使う。説明文に従ってくれ。たねポケモンのカードをベンチに出すからポケモンのポケパワーを使うまでは、どの順番でやっても構わないぜ」 俺の熱弁は案外声が大きいかったのか、周りの生徒からチラチラ見られる。まあいいや。 「自分の番にできることは、バトルポケモンのワザを使う。ワザを使うとターンエンド。説明文に従ってワザを使えよ。エネルギー不足でワザが使えなかったら、自分の番が終わりだって宣言すること。で、ポケモンがきぜつさせられたらすぐにベンチポケモンを一匹選んでバトル場に出す。さっきも言ったが替えのベンチポケモンがいなかったらサイドカードに関わりなくゲームセット。これでルール説明は終わりだ。他にも細かいのがいろいろあるけど俺が今日言ったことで十分遊べるぞ」 「ありがとうな」 「これやるよ」 かばんの中から一冊の冊子を渡す。表紙には「ポケモンカードゲームDP 遊び方説明書」と書かれている。 「スターターデッキ買ったら必ずついてくるヤツな。俺が言ったこととか、それ以外のこととか書いてるから読むべき」 恭介はペラペラと冊子をめくる。 「うん、これ翔の説明よりかなり分かりやすい。よし。ありがとな〜」 恭介は満足し、かばんを持って帰って行った。 俺の説明よりかなり分かりやすい……。じゃあ俺が今日こんなに頑張ったのは何だったんだ。無駄に時間消費したのはなんだったんだ。中の人が必至になったのはなんだったんだ。 口を開けたままその場から動けなくなってしまった。
翔「今日のキーカードはカモネギだ! れんぞくぎりは上手くいけば、低エネルギーで50ダメージを狙えるぞ!」
カモネギLv.29 HP70 無色 (DPtエントリーパック・ディアルガデッキ) 無色 とりにいく 自分の山札の「トレーナーのカード」を一枚、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、山札を切る。 無色 れんぞくぎり 10+ コインを三回投げる。オモテが一回なら、10ダメージを追加。オモテが二回なら、20ダメージを追加。すべてオモテなら、40ダメージを追加。 弱点 雷+20 抵抗力 闘−20 にげる エネルギー1
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黒色の転校生 恭介VS黒川唯 ( No.7 ) |
- 日時: 2011/02/17 17:58
- 名前: でりでり ID:N//N.gYk
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 今日の天気は晴れ。所謂秋晴れで、非常に清々しいし心地が良い。
と言ってももうすぐ秋も終わり、長く寒い冬に入る。マフラーどこにしまってあったか思い出さなくちゃあならないな。 学校に登校して教室に入ると、相変わらず固まったグループで他愛のない話を繰り広げていた。 男だろうが女だろうが、やはり気が合うやつ以外とはつるむ気がないようだ。この一体感のないクラスがうちのクラスらしいといえばそれまで。 「恭介おはよう」 背後から声がかかる。俺の大事な親友の奥村翔だ。 うちの高校は進学校なのだが、それをトップくらいで合格して授業料等免除の待遇を受けている。うらやましい限りだが、きっと見えないところで努力をしているのだろう。水鳥みたいな感じだ。ほら、見た目のんびりしてそうだけど水面下で足をめちゃくちゃバタバタしてるっていうやつ。 「デッキ作れた?」 それにこいつは頭がいいと共にゲームの才能もある。3Dアクション以外では翔にゲームで勝てたことさえない。 デッキの方はもちろん昨日は小遣いを全て使い果たしてカードを買い、デッキを組んでみた。かばんの中のデッキケースに入れてある。 「おう。おかげでなかなか寝れなかったぜ」 「早速やろうぜ!」 めっちゃくちゃ良い笑顔じゃん。 ふと背後から肩をたたかれる。 「おい長岡、聞いたか? 転校生が来るって」 俺と親しいクラスメイトが話しかけてきた。どこでその情報をつかんだのだろう。胸が熱くなるな。 「男!? 女!?」 「そこまでは知らないなぁ」 「というよりなんでこんな時期」 「引っ越しか何かじゃないの?」 翔はあまり興味なさげに呟く。 「さぁ、転校生が来るしか聞いてないからなぁ」 とりあえず謎の転校生ということで話がまとまった。まとまってないな。 チャイムが鳴り、皆席に着く。風見は案の定休みだ。無断で休んでいるらしいが、連絡くらい入れやがれ。担任教師が入ると同時にもう一人の影が教室に入る。 「おおおお!」 と同時にクラスの男子からざわめきが起こる。入って来た生徒はもちろんのこと転校生だが、背が高くスタイルもよく、長い黒髪をポニーテールにしている。もう美人と褒めたたえるしかなかった。目つきがきついのが気になるが。 「恭介、顔がにやけすぎ」 「仕方ない仕方ない」 「百合ちゃんがかわいそうだろ」 「大丈夫だ」 百合ちゃんというのは俺の彼女の長谷部百合(はせべ ゆり)。隣のクラスにいる娘だ。きっといつか説明するときがあるだろう。 「えー、この度転校することになった、黒川唯さんだ」 「黒川唯(くろかわ ゆい)です」 黒川唯さんはクラスを見回してから礼をする。 「そのあいてる席に座ってくれ」 おおっ、結構近いぞ! フラグが立ったかな? 「ん……?」 翔が小さく声を出す。 「どうかしたか?」 「いや、なんでもない」 「なんだよー紛らわしい」
休み時間、唯ちゃんのそばにはひとがたくさん集まってきた。満員御礼ですが、俺達の席も相当圧迫されている。俺は近くから唯ちゃんを見れるからいいものの翔はウンザリした表情を浮かべていた。 これが昼休みにもなるともっと人が集まって厄介。押し合い押し合い。俺も苦しい。ウゲッ、今蹴ったやつ誰だ。 でも予鈴と同時に帰って行く。昼休み後に俺らの教室である英語の授業の先生が怖いだけに違いない。 他の奴らがいなくなった後、翔が唯ちゃんに話しかける。 「お前、ポケカやってるだろ?」 常に目つきが鋭く、いつも誰かを恨んでるのか睨んでいるのかしてるように思えた唯ちゃんに驚きの表情が走る。 「どうして唯ちゃんがポケカやってるって分かったんだ?」 このセリフは俺。だが、このセリフを言ったと同時に唯ちゃんにすごい勢いで睨まれた。ちゃん付けそんなに嫌だったか。 「勝手にちゃん付けするな」 「はぁ」 怒られてしまったけど悪い気はしないぞ! 構ってくれてるだけでうれしいのだ。 「はっ、なんだその返事。で、ポケカやってるのが分かった理由は、黒川のブレザーにポケカの袋のゴミがついてる。破空だな?」 よく見ると本当に少しだけついてた。よく分かるな。唯も少し動じていた。 「で、私がポケカやってるのがどうした」 「こいつとポケカで勝負してくれないか?」 翔がトンと俺の肩を叩く。そして唯と目が合う。いつもの睨んだような目つきではなくて人を観察する目つきだった。 「そうね。……いいわ」 「じゃあ放課後、駅のそばのミスドで勝負だ」
学校から駅までは歩いて五分となかなかである。そして大きめの駅の地下にあるミスド。邪魔するような人はなかなかいなく、カードやるには絶好の場所だ。 ふと思えば唯は先ほどまでの堅苦しい表情が消えている。そして翔も満面の笑みになっている。 似た者同士……? 翔は普段は割ときついところもあるが、遊びになると精神年齢が十歳ぐらい若くなったかのようにはしゃぎまくる。唯も先ほどまで他人を睨むような感じだったのが目が笑っている。 「さて、見さしてもらうぜ」 翔がハニーチュロスを口に入れながら言う。俺達は互いにデッキをシャッフルする。 ハーフデッキルールなのでサイドカードは三枚だ。サイドを出して手札を……。うーん、たねポケモンが一匹だけか。しかもビリリダマ50/50。HPは高くない。 仕方ない。ビリリダマを裏伏せにしてバトル場に出す。どうやら唯もたねポケモンは一枚しかないようだ。バトル場にポケモン一匹をセットするだけだった。 「よし、じゃんけんほい」 俺がグーで唯がチョキ。 「もちろん俺が先攻だ」 初めてのポケモンカードゲーム。翔とちょっと練習はしたが本格的な勝負はこれが初めて。どうやら唯のポケモンはバトル場のヤミラミ60/60だけのようだ。 「俺のターン!」 「その前にヤミラミのポケボディー発動」 「へ?」 「ポケボディー、いさみあし! 対戦スタート時にオモテにしたバトルポケモンがこのポケモンならジャンケンで負けていても私が先攻になる。よって私のターン、ドロー!」 「ええええ!?」 「よって私のターンから。ドロー。アブソル(70/70)をベンチに出してトレーナーカード発動。ポケモン入れ替え。これでアブソルとヤミラミが入れ替わりアブソルがバトルポケモンよ。そして悪の特殊エネルギーをアブソルにセット」 なんだそれ聞きなれないエネルギーだ。 「悪の特殊エネルギー?」 「悪の特殊エネルギーが悪タイプのポケモンについているとワザのダメージがプラス10されるのよ」 ビリリダマのHPはわずか50だがアブソルのワザの威力はたったの10。+10されても20なので3ターンはもつ。問題ない。 「それだけじゃ勝てないぜ」 「アブソルの攻撃、襲撃! このワザのダメージはこのアブソルを場に出したターンだけ40になる。そして悪の特殊エネルギーの効果によって50!」 「は!?」 思わず声がひっくり返る。客の視線が俺に向く。顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。 「ビリリダマはきぜつ。あなたのベンチにポケモンはいないから私の勝ちね」 唯はそう告げるとカードを直してさっさとミスドから去って行った。 ハニーチュロスを食べ続けている翔とふと目が合いしばらく見つめあってしまった。
翔「今日のキーカードはアブソル。 奇襲をかけて攻撃だ! エネルギーひとつで40の高火力! 二ターン目以降はベンチに戻してやれよ!」
アブソルLv.31 HP70 悪 (DP3) 無 わざわいのかぜ 相手の手札から、オモテを見ないでカードを1枚選び、トラッシュ。トラッシュしたカードが「トレーナーのカード」なら、さらに1枚トラッシュ。 悪 しゅうげき このワザのダメージは、この「アブソル」を手札から場に出した番だけ、「40」になる。(対戦のスタートのときに出していた場合は、そのまま。) 弱点 闘+20 抵抗力 超−20 にげる 1
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リベンジ! 翔VS風見(前) ( No.8 ) |
- 日時: 2011/03/02 22:13
- 名前: でりでり ID:qfIaB5Tc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 期末テストまで二週間となり、そわそわしてきた生徒たち。
掃除も終わり、放課後となった教室には自主的に残る生徒が複数いた。もちろん、俺も恭介も残っている。 俺はさっさと帰りたいのだが恭介が残りたいというので仕方なく俺も勉強している。 そう、勉強しているはずなのだが、教室に先生はいないため軽い雰囲気が生まれて自由に会話している生徒が大半だった。 だが扉に音があると皆は背筋を急に伸ばし、いかにも「勉強してます」を装うとする。 また扉に音が。皆して机の上に適当に置いてあった問題集に向かう。 扉が開く。だが、いつもの担任教師ではなかった。俺らと同じ制服姿の風見雄大だった。 「奥村翔、お前に用事がある」 「良いところに来たな。実は俺もお前に用事があったんだ」 机の上にまとめてた物をさっと鞄に詰め込む。人によってはぶち込むとも言う。 椅子から立つ間際、隣の席の恭介に囁く。 「風見がリベンジを挑みにきたそうだ。もちろん来るよな?」 「……。仕方ないな。言ってやろうじゃねえか」 「なんでそんな上からなんだよ。それにどうせあんまりはかどってないんだろ。応援しか役目はないけど頼むぜ」 「うるせぇ。さっさと行くぞ」 嫌味を言ったせいか鞄で小突かれた。膝はやめろ。
再び来ましたTECK本社前。しかし何度見ても首が痛くなりそうな高さのビルだ。作るのにどれだけの時間とお金がかかったのだろうか。 風見の後を追い、前回と同じ手順で同じフロアに着く。三人とも終始無言なのが気まずいを通り越して苦痛だった。 「ここに来たことはどういうことか分かっているだろうな」 「もちろんだ。勝負を挑まれて断ることなんてしないぜ。相手が誰だろうと」 「俺は……。お前に勝つために日を費やしてきた。そのリベンジだ」 ここで一つの憶測が生まれる。まさか、ずっと学校休んでたのはこのせいなのか? 「それもいいんだが、忘れモンだ」 鞄からデッキケースを取り出す。そこに入れていたのはこの前の戦いで、風見が置き去ったガブリアスのデッキ。俺の用事はこれを返すことだ。しかし、風見に渡そうとするやいなや。 「その雑魚デッキにもう用はない。くれてやる」 まるでただのゴミを捨てるような言い方だった。それが許せない。 「お前……。それでもポケモンカードが好きなのか? 自分が折角作ったデッキをそんな捨てるようなこと……」 「負けたデッキに用はないと言ってる!」 「それは聞き捨てならないな。負けたデッキに用はない? 勝つだけが全てじゃないんだぜ」 「いいや勝利だけが全てだ!」 「……。言っても仕方ない、か。それに勘違いしているかもしれないがこのデッキは強いよ。俺が証明する」 そこまで言うのなら。風見はそう一息置く。 「ならばその雑魚デッキで俺に勝ってみろ。もしも勝てたら俺がそのデッキを取り戻してやろう」 えー、なんかおかしくない? あまりにも上からすぎない? 少し妙なことになった。が、まあそれでも十分だ。俺は風見にカードのことをもっと想って欲しい。負けたからカードを破棄なんて許せない。 互いに対戦場に向かいあい、デッキをシャッフル。そして手札を引いてポケモンをセット、さらにサイドカードを順にセットしていく。 「さあ、勝負だ!」 俺と風見のリベンジマッチが始まる。裏側だったカードが表側となり、3Dとして目の前に現れる。 と、同時に心配そうな声でそばにいた恭介が俺に向けて声をかける。 「……。おい、翔もしかして」 「ああ。そのもしかしてかもしれない」 俺のバトル場はオドシシ70/70、ベンチはフカマル50/50。 そして風見のバトル場はノコッチ60/60、ベンチはヒノアラシ60/60だった。 「俺のコピーデッキ……?」
翔「今日のキーカードはフカマル! 進化すれば超強力カードのガブリアスになるぜ!」
フカマルLv.9 HP50 無色 (DP2) 無 つきとばす 10 相手を相手のベンチポケモンと入れ替える。入れ替えるベンチポケモンは相手プレイヤーが選ぶ。 弱点 無+10 抵抗力 なし にげる 1
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信じる心 翔VS風見(後) ( No.9 ) |
- 日時: 2011/03/09 15:13
- 名前: でりでり ID:hXQrv4S2
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 驚くべきか、前回のときとゲーム進行はほとんど同じであった。
ノコッチが倒れ、ガバイトも倒れ、俺のベンチはフカマル50/50とパッチール70/70とオドシシ70/70。風見のバトル場はダメージを受けたマグマラシ40/80とベンチのモウカザル70/70。 そしてガバイトが倒された俺はベンチからポケモンを一体選ぶことになる。 前回はパッチールを出していたな……。そしてわざとデッキの下に置いたガブリアス130/130を回収していた。 だが俺はそんな勿体ぶった行動はしない。手札にガブリアスをキープしておく。 「俺はフカマル(50/50)をバトル場に繰り出すぜ」 「っ……!」 風見の表情にようやくアクションが起きる。驚いたような、笑ったような。だが風見のような人間だと俺を小馬鹿にしたようにも見える。 「俺のターン。ドロー! フカマルを進化! 現れろ、ガバイト(80/80)! そしてガバイトに炎エネルギーをつけてバトルだ。不思議なてかり!」 このワザはコイントスをしてオモテなら、相手のポケモン一匹にダメージカウンターを四つ乗せ、ウラならガバイトのダメージカウンターを四つ取り除く効果のワザだ。効果のためにコインを放つ。何回転もしながら宙を舞い、カタンと音を鳴らしておちていく。 「オモテだ。マグマラシに40ダメージ!」 「ぐう!」 HPが0となったマグマラシはその場にバタリと力なく倒れる。 「サイトカードを一枚ひくぜ」 「俺はモウカザル(70/70)をベンチからバトル場へ出す」 ……。ヤツは次のターン、必ず進化させてくる。フレアドライブが来たらガバイトは一発でやられてしまう。 しかし風見はフレアドライブを使えない。なぜならモウカザルにエネルギーがまだついていないからだ。フレアドライブは炎エネルギーを二つ要求するワザ。そのため、エネルギー一つで打てる流星パンチしかできない。 それでもコイントスを三回連続で成功されたら勝ち目はなくなってしまう。ここからは運次第だ。 「俺のターン、ドロー。ふん、モウカザルをゴウカザル(100/100)に進化! さらに炎エネルギーを手札からつけて攻撃する。流星パンチ!」 流星パンチは裏が出るまでコイントスをして、そのオモテだった回数×30ダメージを与える高火力の技だ。 モニター越しに風見の手元を見る。オモテ、オモテ、ウラ。 「ふん、二回だけか。まあいい。行け、ゴウカザル!」 風見は露骨に不満そうな顔を見せた。それに構わずゴウカザルはガバイトにスピードをつけたパンチを二発繰り出す。後方まで飛ばされたガバイト20/80だったが、それでも立ち上がる。HPが少ないとはいえ、残ったものは残ったんだ。 「20だけ残ったか……。ターンエンドだ。しかしHP20なぞ直に吹き飛ぶ数値だ!」 手札にはガブリアスのカード、そしてガバイトには水エネルギーがついている。 「今のターンで俺を倒しきれなかったのを後悔するんだな! 俺のターン、ドロー! ガバイトを進化させる。こい、ガブリアス(70/130)! さらにガブリアスに水エネルギーをつける!」 「何っ!?」 風見は余程驚いたのか声が若干上ずっている。しかしもう驚くのはこれで終わりだぜ。 「これで決まりだ! 行けっ、ガブリアス、竜のキバ!」 ガブリアスがゴウカザルめがけて走りだす。 「ガブリアスのポケボディー、レインボースケールは、このポケモンにエネルギーと同じタイプの弱点を持つバトルポケモンにワザによるダメージを与えるときに技の威力を+40するポケボディーだ。よってガブリアスがゴウカザルに与えるダメージは70+40=110ダメージ!」 ゴウカザル0/100はガブリアスの攻撃を受けると宙を舞い、その場に崩れ落ちる。俺が最後のサイドカードをひくことによって、3D映像のポケモン達は消えていった。 「馬鹿な……!」 「翔すげえ! よくやったな!」 信じられない風景を見たかのように唖然としている風見とは対照的に、恭介は目を輝かせ嬉々としていた。 「そんなコピーデッキで勝てると思ったか」 うなだれる風見のそばに行き、俺が言い放つ。 「とりあえず、これはお前のデッキだ。返すぜ。このデッキをどうするかはお前次第だぜ。……どうして負けたか、よく考えてみな」 黙ったままの風見の傍らにデッキをそっと置き、俺達は静かに去っていく。
「それにしてもやっぱすげーバトルだったな。俺もあれぐらいのバトルができるようになりたいぜ」 TECK本社ビルを出て、バスに乗って帰路へ。バスの中では恭介が興奮が冷めないまま大声で話していた。 「よし、それなら俺と練習でもする?」 「OK! 今度こそ負けないぜ!」 自分自身とデッキ信じる気持ちと諦めない気持ちが大事なことを、風見はあの勝負を通じて分かってくれたのだろうか……。 今はそれを考えても仕方がない。とにかくポケモンカードを楽しむだけだ!
翔「今回のキーカードはガブリアス! 強靭なHP、そしてにげるエネルギーは0だ。 エネルギーさえ合えば、一回の攻撃で110のダメージになるぞ!」
ガブリアスLv.66 HP130 無 (DP2) ポケボディー レインボースケール このポケモンが、このポケモンのエネルギーと同じタイプの弱点を持つバトルポケモンに、ワザによるダメージを与えるとき、そのダメージは、すべて「+40」される。このボディーは、このポケモンに特殊エネルギーがついているならはたらかない。 無無無 りゅうのキバ 70 弱点 無+30 抵抗力 ─ にげる 0
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ファーストバトル編を振り返って ( No.10 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:06
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- さて、公開したデッキソースとか、小説中のゲームを見ていてポケモンカードやってる人はたぶんこういいます。
「なんなのこれ」 ですよねー。ひどいってレベルじゃないぞ。たぶんリアルで同じデッキ組んでてもよほどのことがない限り勝てません。 それぐらい弱いです。それにプレイングに難アリ。 翔VS風見の初戦で、風見がわざわざデッキの一番下にガブリアスを戻すとか不必要極まりない行動。
まぁ、小説だからできるんですけどねー。
この後は風見杯編をやるんですが風見杯編ではメインキャラを揃えるのが目的です。 デッキはまだネタの段階。 もうちょっとしたらガチデッキやオリジナルカードを使ったりいろいろしたりしますのでお楽しみください。 私自身、カードを知らない人でも楽しめるように説明等してるんですが日本語が上手に使えない故、「なにが起きてるのかわからん」と思われてるかもしれません。 その折はどの辺がどうとアドバイスしてくださるとありがたいです。
とりあえず、手札が急に変わったり、増えたりしないように気をつけなければならない……。ポケカはドロー補助のカードが多くて本当に助かる。
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ファーストバトル、風見杯編OP「Start to Day」 ( No.11 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:07
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 1、終わりは遂に 始まりは不意に
素敵なことを探しに出かけよう 追いかける夢の先に未来はきっと待っててくれるさ いつだってfreeに 人生の渦を 避けて通りたい年頃だけど 僕は今もう既に渦中 どうせならばおもいっきりハジけるぜ
いつも今日は0から wake up 飾り気ない時を 僕が描こう 描きたいように 欲しい今を ひたすらに感じて 信じる心で brave life どんな暗い夜も 明けていくさ僕らのため光り輝く 素敵な毎日へ
2、僕らはgreed 弱いけれど 強がっていつも生きてきたから 涙は流したくないし 愚痴を言ったり傷をつけたくもない
だけどそうもいかずに I hurt 砕けくじけそうで 辛い日々に 押しつぶされ 壊されてもう 立てそうにないけど 諦めずに wake up 命がある限り 僕は生きる 知らない明日を まだ目にしない陽を この目で見るために
例えば道が途切れていても 歩いた先が道になる
いつも今日は0から wake up 飾り気ない時を 僕が描こう 描きたいように 欲しい今を ひたすらに感じて 信じる心で brave life どんな暗い夜も 明けていくさ僕らのため光り輝く 素敵な毎日へ
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ファーストバトル、風見杯編ED「fineship」 ( No.12 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:07
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 1、降り続いてた雨は止み 大きな虹が街を包んでく
晴れる心が どんなに暗い夜でも 必ず朝日は昇り晴れるよ 怖がらなくていい
どんな over hardship だって 切り抜けれるから 強気になって 胸を張って 前へ歩き出そう
いつも笑顔なら 壁だって なんだって 越えられるんだから そんな顔せずに 泣きながらでも笑えるよ ずっと ぐっと 決めた想いはそのまま... また朝が来る
2、うつむきながら歩いちゃ 前が見えなくなってしまうから 前を向いて歩こう
そうさ こんな僕だって 出来ることはある くじけないで 立ち上がって 前へ歩き出そう
強く夢 信じ 今だって 明日だって 誇り持てるように どんな現実も 受け止められるように生きて 絶対 悔いは 残さないようにしよう ほら光射す
(Rap)僕は歩いてく ただ単々と 未だあの夢の上を延々と 笑顔マンマン 元気はマンマン 蜿蜒【えんえん】とした道の上だんだんと(.)
やっぱそんなもんだと 決め打たないで 小さくても 可能性は もっと広がるさ
辛い時さえも 頑張って ふんばって 諦めないように 未来変わるから 自分信じてまっすぐに きっと もっと 溢れ出す想い達が 実り始める...
─── 黒川唯のデッキ公開 「シャドウナイト」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-530.html
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生じる予感 ( No.13 ) |
- 日時: 2011/03/16 14:39
- 名前: でりでり ID:msC3yn2g
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 冬の空気は凍てつき寒く、息を吐けば白くなる。手袋やセーターの着用が目立ち、そして迫りくる来年へと世間はせわしくなっていた。
うちの高校は期末考査が終わり、言わずとも残念だった人や普段の勉学の成果が出た人など大きく分かれた。 恭介はかなり底の方の成績だったが、俺が指導することによってなんとか平均点に近づいてきた。 文理分けもそろそろ始まり、俺も恭介も共に理系に進むことに決めた。ただ、変わったことはそれだけではなかった。 この間の対戦の後、風見が再び学校に来始めた。そして少しずつではあるが俺たちと打ち解けて来るようになったのだった。 性格も喋っていると意外とフランクなことも分かった。周囲は今までずっと独りだった風見が俺らのグループに入ってきたという大ニュースに驚きを隠せないでいた。 試験も終わり、再びカードゲームで遊び始めた俺ら。あと一週間とちょっとで冬休みだが、それが近づくごとに様子がおかしくなる奴がいた。 彼の名前は藤原拓哉。ほとんどのやつは拓哉とか藤原とか普通に名前を呼ぶだけである、やや地味な男友達。ただ、男の割には銀色の綺麗な髪を腰ほどまで伸ばしていたり、その柔和な笑顔から女の子に間違われることも多い。 性格は非常に引っこみ思案で、揉め事などが苦手で一歩後ろを歩いてくるような感じである。カードをあまり持ってなく、四色混合デッキとかなり暴挙に出ていたりする。俺もカードを譲ってあげたことが何度かある。余談だがムウマが好きなそうだ。 で、その拓哉の調子が変なのだ。どう変かと言うと、やけに何かを気にするようそわそわしている。俺達がいくら訪ねても「何もないよ」と誤魔化しているのだが。 よそ様のことであるのであまり深追いしないようにしているのだがどうしても気になる。 だが、他人の心配をしていられる暇はなかった。
珍しく風見と二人っきりで喋りながら帰っていた時のことだった。本来風見と俺は全然違う方向なのだが、用があるとのことで共に歩いている始末である。うちのボロアパートのそばまで来たとき、大きな体格でいかつい顔をした男が一人。そしてその後ろにやや細めのひょろい男が一人いた。 こちらを見るや否や近づいて来る。え、そんな変なことしたっけ。俺の目の前まで来ると大柄ないかつい男の方が声をかけてきた。 「君、奥村昌樹さんの息子さん?」 奥村昌樹とは俺の父の名前である。俺の両親は三年前、飛行機の墜落事故で命を落とした。現在は社会人である姉に養ってもらい、なんとか二人で暮らしているのである。死んだ父に用があるのだろうか。 「はい、そうですけど」 「昌樹さんは今いるかな?」 見た目のいかつさとは違って割とジェントルマン。もしかして昔の知り合いとかか? 「いえ、三年前に飛行機事故で……」 俺が表情を曇らせると、相手もそうか、と一つ呟く。 「そうかそうか、すまないな」 男は遠くを見るような眼で俺を見る。 「あまり子供に対して言うのは気が進まないが」 そう言うと、男は持っていた鞄から一枚の紙を取り出した。そこには「借用書」と大きく書かれている。 「君の伯父さんが、一年前に借金をしたままなんだ。ところが夜逃げされてねぇ。悪いけど、保証人のお父さんの御子息である君に払ってもらいたいんだ」 冬なのに冷たい汗が背中を流れた。思わず頬をつねるが、手渡された借用書には変わらず五百万とかかれていた。 「俺は未成年の、こっち系でないヤツにこんなことをするのは嫌いだが、こちとら仕事なんでね。悪いけど頼むよ」 男が俺の方をやさしく叩く。細い男は大柄な男の後を追うように去って行った。 取り残された俺は渡された借用書を持ったまましばらく動けない。どうしてこうなるんだ。膝ががくがく震え始めた。 「翔」 後ろにいた風見の手が俺の左肩に置かれる。 「聞け、翔。運が良いのか悪いのか、タイミングだけは非常にいい。TECK主催のポケモンカードゲーム大会の風見杯。これが一月に行われるのだが、この大会で優勝すればちょうど五百万の賞金が出ることになっている」 黙ったままの俺に風見は話を続ける。 「この大会はこの間俺とお前で使った3D投影機のプロモーションも兼ねていて、それなりに提供も多い。人数を集めるためにさっきも言ったが優勝者には賞金を出している。翔、お前は風見杯に出ろ」 「……」 もう何が何やらわからず頭がパニックを起こしている。もはや今持っている紙が何を示しているのか、風見が何を言っているのかもう分からない。 「……とりあえず詳しいことが決まり次第教えるからな」 風見は一切動かない俺を見つめていたが、やがて踵を返して立ち去って行った。
翔「今回のキーカードはムウマ! 相手がねむりならばこいつは一気にキラーカードになるぜ!」
ムウマLv.19 HP60 超 (破空) ─ こもりうた 相手をねむりにする。 超 あくむのうたげ 相手がねむりなら、相手に50ダメージを与え、自分のダメージカウンターを5個とる。相手がねむりでないなら、このワザは失敗。 弱点 悪+10 抵抗力 無−20 にげる 1
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希望を掴め ( No.14 ) |
- 日時: 2011/03/23 12:55
- 名前: でりでり ID:abyYshMU
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「……」
部屋に入るとかばんを投げ捨て、床の上に大の字で寝転がる。 あの借用書はリビングの机に置いてきた。今は何も考えたくない。 これからどうするか。この後どうなるか。カイジみたいにエスポワールにのって限定ジャンケンでもしなくちゃならないのか。 どうやらまだどうでもいいことを考える余裕はあるようだ。 あまりにも非現実的すぎるような気がして脳がどこぞにでも行ってしまったかのようである。でもこれはたぶん行ったきり戻ってこないかもしれない。 ちらと部屋の時計を見ると、もう七時を指していた。かれこれ一時間半以上はぼんやりと打開策がない迷路に迷っていることになる。 そろそろ姉が帰ってきそうだ。両親がいなくなってから、家計を支えてくれた姉が。このご時世に一流の機会、電子企業EMDCに勤めているが不況故、給与も若干の右肩下がりである。 風見が言っていた風見杯。自社製品の宣伝のために賞金つきのポケモンカードの大会を開催すると言っていた。望みがあるとすればそれしかないか……。 ふと玄関の鍵が開く音がする。 「ただいま〜」 明るく元気な声が聞こえてきた。姉の奥村雫だ。 「どうしたの、暗い顔して」 亜麻色の長い髪を巻いている姉さんは巻き毛の部分を指に絡めてクルクルするのが姉さんのクセである。現に今もしている。 俺はそんな明るい姉にどうとも言うことができず、黙って借用書の紙を渡す。間もなく姉さんの表情が一変した。
どんな絶望的な気分でも、誰にも等しく朝はやってくる。今日は朝の明るさがやけに恨めしい。 学校を休んでバイトして、少しでも借金のアテにしたかったのだが姉さんは決してそれを許してくれなかった。こっそりバイトしてお金を稼いでも、姉さんは受け取ってくれそうにもない。 せめて学校では明るく振舞おうとしてもうまく笑顔が作れない。 だからと言って借金のことを話し、同情されるのも嫌だ。我ながら自分の気持ちに整理が行ってない。 「おう。翔」 「よっ」 愛想良く振舞っているつもりでも、精彩に欠ける。恭介もそんな俺を不審がる。 「オーラが死んでるぞ。なんかあったのか?」 「まあいろいろな」 「そうか……。まぁ頑張れよ」 恭介は戸惑った顔を作ったが、そのまま何も聞かずに席についてくれた。こういう気遣いこそがありがたいということを痛感せざるを得ない。 当たり前のように授業には集中出来ず、周りも怪しがっていたがぎこちなく笑うのが今できる精一杯だった。
昼休み、なんとなく風に当たりたくなって、普段は利用しない屋上に上がることにした。 屋上は昼休みのみの開放スペースで、俺以外にもたくさんの生徒がそれなりに広い屋上でお弁当の包みを広げていた。 いつもは教室や食堂でみんなでワイワイ食べているのだが、今日はそんな気になれずに一人ベンチに座り、ぼんやりと虚空を見つめていた。 「おい」 誰かに声をかけられる。振り返ると、風見が立っていた。 「お前らしくないな」 「そんなこと言うほど俺のことを知っているわけでもないだろう」 「それもそうかもしれないな」 風見が妬ましい。親がTECKの社長ってことは間違いなく裕福な家庭に生まれ、そりゃあ苦労とかはしただろうが破滅的危機には遭遇していないと思う。俺のようなスレスレ、ギリギリな生活を送っていない。……だろう。 「で、何の用だ」 「昨日言っていた風見杯についての資料だ」 透明なA4クリアファイルが手渡される。中には言われた通りの資料が数枚入っている。 「お前は俺を倒した程のヤツだ。これくらいの大会で負けてもらっては困る。見ればわかるが、風見杯の賞金は破格の五百万だ。TECKもTECKで全力でかかってる」 基本的に大会の概要に関する資料だった。基本概要、開催日、開催場所、募集要項、レギュレーション、ジャッジ、大会ルールなど。 ハーフデッキの大会か。だがどんなヤツであっても必勝などはない。大会経験の少ない俺としては怖いんだ。 「このようなところでお前のようなやつが終わってもらっては困る。必ず勝て!」 そんな心を見透かした風見の喝が俺に飛び込む。俺を見る眼差しは真剣そのものだった。こいつは本気でそう言ってくれている。 そこまで言うと風見は踵を返し、屋上を去ってゆく。口では言えなかったが心の中で風見の叱咤激励と、俺に希望をつなげてくれたことを感謝する。 ふとポケットにしまってあったデッキを見ると、一番上にあったバクフーンのカードまでもが俺に叱咤激励をしてくれるような気がした。
翔「今回のキーカードはバクフーン! 気化熱は水タイプに有効なワザだ。 俺のお気に入りのカードだぜ!」
バクフーンLv.46 HP110 炎 (DP2) ポケパワー たきつける 自分の番に1回使える。自分のトラッシュの炎エネルギーを1枚、自分のベンチポケモンにつける。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 炎炎無 きかねつ 60 相手の水エネルギーを1個トラッシュ。 弱点 水+30 抵抗力 − にげる 2
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壊れた心 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/03/30 10:50
- 名前: でりでり ID:ki7VHMKo
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 夕陽は当たっているが、室内灯が点いていないためやけに暗い。
小さなマンションの五階、そこに一つ小さな声が聞こえる。 「ただいま……」 近づいて聞かないと聞き取れないようなか細い声。しかしその声を聞く相手などそもそもいない。 声の主の藤原拓哉、その母は仕事に出ていた。父は彼の幼い頃に母と離婚し、いわゆる母子家庭。貧困な生活の中、母はいつもパートで家におらず、彼は常に独りぼっちだった。 小、中学校時代共にいじめられたがようやく高校で彼は自分の居場所を見つけた。居場所というのは翔達のグループ。きっかけはずっと独りぼっちだった彼に翔が話しかけたことが始まりだった。 だが、この居場所を失えば今度こそ独り……。 それは彼を押さえつけるある種の呪縛でもある。彼はなけなしの自分の手持ちのお金を全てカードに変え、かろうじてついてきているような状態。翔達のグループはよくカードで遊んでいるためこのような呪縛が本人に植えつけられてしまった。 翔自身は彼がカードを持っていなくとももちろん仲良くするつもりなのだが、拓哉はそれを知っていない。 カードがなくなれば翔達にお払い箱にされ、すべてが破滅、終わりだと思っている。 拓哉の母が稼げど稼げど消えゆく金は、主に拓哉の養育費である。それゆえ嫌がらせも激しい。 仕事で何かある度に、そのストレスは全て拓哉にぶつけられていた。怒鳴り、蹴り、殴り。それら全てが拓哉の感情を不完全にしていった。 本日拓哉は学校の帰り、昼食をケチったお金でカードを買い、それを家で開けることをささやかな楽しみにしてパックを手に持っていた。 母の仕事の帰りは遅いはず。その普段が、安心感が非情を呼ぶ。 部屋へ行こうと廊下を歩むと、リビングの方から本来はいないはずの母がいた。 「おかえり……」 母は拓哉が帰ってきたことに感じる苛立ちをまるで隠さない挨拶を放つ。 「……アンタ、何よそれ」 拓哉が持っていたパックを目ざとく見つけ、取り上げる。 「ぽけもんかーどげーむ……?」 パックを読み上げるとそれを後ろに放り投げ、母は拓哉の服を掴む。 「いい御身分でして!」 拓哉はそのまま後ろに押され、床に倒れこむ。母の怒りは止まらなく、頭を抱えてうずくまっている拓哉に追い打ちをかけるよう蹴りを何度も入れていく。 「アンタ育てるのにどれだけ苦労してるか分かってるの!? アンタにどれだけ金とられてるか分かってるの!?」 声を荒げ、何度も何度も拓哉に蹴りを入れていく。そして蹴られていく度に拓哉の憎悪は拡大していく。 「このゴミっ……!」 と叫び、再び拓哉に蹴りかかろうとした途端。ふと空気の流れが変わった。 「おい……。どっちがゴミか教えてやろうか?」 頭を抱えてうずくまっていた拓哉が、蹴りかかろうとしていた母の脚を掴む。拓哉の真っすぐストレートの髪が、怒りの感情を現わすかのように方々にはねている。 力を入れて脚を掴んでいるためか母は痛がり、狂乱ゆえに声にならない悲鳴を叫び続ける。 「おらぁ!」 そのまま逆に母を押し倒し、母を無視して拓哉は投げ捨てられたパックを拾いに行く。 「アンタ、どうなるか分かってるでしょうね! 私に手を……」 「貴様の運を試してやるよ」 拓哉は母の言葉を流し、拓哉はパックを開封する。 母は拓哉を殴りつけようと近づこうとしたが体が思うように動かない。 拓哉からの剣幕、威圧感が自然に動きを妨げていた。逆光で拓哉の顔はよく見えないが、声は笑っている。 通常、ポケモンカードゲームに入っているカードは十一枚入っているが、拓哉はその十一枚をシャッフルしランダムに一枚抜き取る。 「ほぉ、サマヨールか。当たりだな」 拓哉がサマヨールのカードを母親に向けると、カードが黒い靄に包まれていく。 「さぁ、恐怖に慄け!」 黒い靄は母の手前で止まり、何かを形成していく。モゾモゾと音を立て、カードと同じ絵の───サマヨールが現れる。 拓哉がやれ、と言うと、サマヨールのその両手が母を掴む。するとサマヨール諸共跡形もなく綺麗に消えていく。 母が最後に見た拓哉の顔は極上の悦びに浸っていた顔だった。
翔「今回のキーカードはサマヨールだ! なんと相手の手札もトラッシュできちゃうカードだ」
サマヨールLv.41 HP80 超 (破空) 超 やみのひとつめ 20 のぞむなら、自分の手札を1枚トラッシュしてよい。その場合、相手プレイヤーも手札を1枚トラッシュ。 超無無 おそいかかる 40+ コインを一回投げオモテなら、20ダメージを追加。 弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる 1
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決戦の朝 ( No.16 ) |
- 日時: 2011/04/06 13:44
- 名前: でりでり ID:dXTaWwQs
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「よし、準備は万端だ」
「いざ戦地へ! だな。早くしないと時間に遅れるかもしれないから早く行こうぜ!」 「いやいや、予定よりもだいぶ早く動いてるから大丈夫だって。恭介は短気すぎるぞ」 「そういえば翔、お前のねーちゃんは?」 「俺達とは別行動で来るってさ」 「じゃあ百合が駅で待ってるから急ごうぜ」 年明けての一月十日、冬真っ盛りでとても寒い。俺と姉さんが住んでいるボロアパートは冷たい風がよく通る。ストーブを点けないと部屋の中も外も対して差異はない。そりゃそうか。 ボロい反面に駅からは近い。徒歩三分は結構魅力的である。 地下鉄の駅に行くと、チケット売り場で長谷部 百合(はせべ ゆり)さんが待っていた。 長谷部さんはゆったりとした感じの子で、短気な恭介とは逆だ。彼女もポケモンカードをやるらしい。 白い暖かそうなコートに身を包まれていた彼女を見て羨ましいと思った。一言添えると、恭介がうらやましいわけではなくコートがうらやましい。お古のダウンじゃ限界だ。 「おはよう」 いくら身は寒くとも、長谷部さんの笑顔を見ると心は暖かくなる気がする。良い子だ。 「おはよう」 こちらも一言挨拶を返す。 「さて、行くか。忘れ物してない?」 「おう、バッチリだぜ」 「えーと、してないわ」 切符も買ったし問題ない。いつでも行ける用意は出来ている。 休日の朝。平日ほどではないが、社内にはそれなりに人はいる。車内暖房のせいもあるが、人口密度のせいでより暑く感じられる。 当然の如く席になんて座れない。吊り手は満員で、仕方ないから今日のデッキについていろいろ考え事をしていた。隣にいる長谷部さんの少しウェーブがかった亜麻色の長い髪からくる甘いシャンプーの匂いが考え事の妨げとなり、結局ほとんど考えれなかった。 「いつ見てもでかいな」 「こんなところを会場にするなんてさすがは風見だなぁ。ちょっとドキドキしてきたぜ」 「恭介、初戦で負けるなよ」 「翔こそ負けるなよ? なんせお前は……」 恭介は言葉に詰まる。彼なりに気を使ってくれているのだろうか。 「まあ、とにかく頑張れよ!」
大会の会場は、野球の試合でも使われるような大きなドーム。 そのドームにはこの間TECKで使った、3Dマシンが十六台置かれていた。よくもまぁ搬入できたもんだ。 「恭ちゃん、エントリーあっちだって」 当日参加制のこの大会は、ドーム内でエントリーしないと出場できない。まあ普通だが。 エントリー申請をする場所では結構な行列が出来ていた。 「翔くんおはよう」 「おっ、拓哉。調子はどう?」 「頑張れるだけ頑張るよ」 「期待してるぜ!」 拓哉はいつも通りそうだった。向こう側では黒川唯、そして姉さんもいた。 他に辺りを回すと知り合いが何人かいる。こういうところでは誰かがいるということがとても大事だ。 エントリー申請をする場所ではエントリーカードと記念プロモカードが渡される。 エントリーカードには自分の名前、対戦相手の名前、勝ち負けを記入する場所が七箇所あった。七回勝てば優勝なのだろうか。 一方プロモカードはペラップのカード。公式大会ではないのに中々粋なことをしてくれる。株ポケも絡んでるのかな。
大会開催時間になった。檀上で知らないおっさんのTECKのうんたらとかが少しばかり話が始まる。風見と名乗っていなかったので父親ではないようだ。 スピーチ自体に面白みは一切なかった。だが、おっさんがある程度話きると、ルール説明を始め出す。こっちはちゃんと聞いておかないと。 「諸君が首にしているエントリーカードには勝敗を記入できる箇所が七箇所ある。当然と思うが七回戦える。だが、多少変則的にさせてもらった。よく聞いてほしい。 諸君は『七回まで戦える』。詳しく言うと、五勝すれば決勝トーナメントに進むことができるのだ。つまり負けていいのは二回まで。 そして五勝した人全員が決勝には上がれない。早いもの順、先着十六名までが決勝トーナメントに出場可能だ。 五勝したらエントリーカードをこの壇まで持ってくる。それで決勝進出となる。 戦う相手はスタッフが放送した番号のエントリーカードを持っているもの同士となる。以上」 要するに五勝すれば勝ち。対戦相手はエントリーカードの番号によって決まるとのことだ。 エントリーカードはただの紙だが3Dマシンがバトルを自動処理するらしい。最近の科学の力ってすげー。 それはともかく、さっさと五勝して決勝へ行かなければ。 檀上の傍には風見もいる。その風見もこちらに気づき、ふっ、と笑うと控え室へ去っていった。 風見も大会に出るとかなんとか言ってたのでそのうち会えるでしょう。もし戦える機会があれば……、それはそのときまでの楽しみにしていよう。
翔「今日のキーカードはペラップ! アンコールの使い方がキーになるぜ!」
ペラップLv.29 HP60 無色 (PROMO) 無 アンコール 相手のワザを1つ選ぶ。次の相手の番、その相手は、そのワザしか使えない。 無無無 みだれづき 20× コインを3回投げ、オモテ×20ダメージ。 弱点 雷+10 抵抗力 闘−20 にげる 1
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風見杯予選! 翔VSM[ムービー]ポケモン(前) ( No.17 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:13
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「ありがとうございましたー」
「ありがとうございました……」 これで四勝。負けはない。あと一勝すれば決勝進出だ。 次の試合のコールはまだないのでとりあえずデッキ調整をしよう。 今日はデッキを二つと、予備のデッキを少し持ってきた。主にトレーナーカードをいじるためだ。 デッキを組む時はこれで完璧と思っていても、いざ使ってみると使えそうなカードが邪魔になったりと言うことがカードゲームにはよくある。 その点ドロー支援のカードは万能だ。つくづくそう思う。 「おっす翔、そっちはどうだ?」 恭介が声をかけてきた。 「四勝の負けなしだ。リーチだぜ」 「俺はまだ三勝零敗。一歩遅いな」 『エントリー番号38と97は試合会場14番に集合してください』 「おっと、それじゃあ後でな」 「おう! 負けんなよ?」 「決勝会場で会おう」 恭介は自分の試合のために急ぎ足で去って行った。 この大会には借金返済がかかっている。本来はもっとプレッシャーがあっていいはずなんだが、まるで感じられない。 これはこれでいいのかもしれないが複雑な心境だ。 『エントリー番号36と15は試合会場3番に集合してください』 お呼びがかかった。行こう。
この大会の変わった点を挙げれば、いろんな都道府県の人が参加できることと、当日参加可能と、なにより子供と大人が混ざって戦うところだ。 普通、実力差があるため子供と大人は部門別で分かれているのだがこの風見杯は子供も大人も同じ土俵に立つ。 勝って優勝というよりも大会に出るということがメインのヤツと当たると悪いが楽に勝たせてもらえる。 実際俺の目の前の相手は小学生。楽に決勝に進めそうだ。 「よろしくお願いします」 互いに礼を交わし、順番を決めてデッキをシャッフル。カードを引いてたねポケモンをセット。表反して試合が始まる。 俺の最初のバトルポケモンはノコッチ、ベンチポケモンはヒトカゲ。 一方相手の小学生はバトルポケモンはギザみみピチューM、ベンチポケモンはミミロルM。 「M(ムービー)デッキねぇ……」 ファンデッキだなこりゃ。瞬殺とまでは行かないがこれは楽だな。 「僕のターン。えっと、ギザみみピチューMに雷エネルギーをつけてともだちパーティー発動! 山札から好きだけMとついたポケモンをベンチに出せる!」 ギザみみピチューがおいでおいでしてる。 「ピカチュウMとニャースM、ポッチャマMとパルキアMをベンチに出します」 一気にベンチが埋まる。この辺はプレイングが甘い。この後にいいポケモンが手札に考えたときのケアがまるでない。ギザみみピチューのHPが低いという点はあるのだが。 「ドロー! ヒトカゲに炎エネルギーをつけてノコッチのへびどりを発動。カードを一枚引いて終わりだ」 「僕の番だね。カードを引いて、スタジアムカード、ミチーナ神殿を発動!」 3D投影機によって対戦相手の男の子の背後に映画で観たあのミチーナ神殿が映る。 「さらにトレーナーカードの命の宝玉を発動! デッキからエネルギーカードを五つまで選択して手札に加える。僕は水エネルギーを三枚、雷エネルギーを二枚手札に加えます。その後五回コイントスをして表の回数だけMと名のついたカードにエネルギーをつけることができる」 「なっ」 早すぎる。しかし相手の山札はすでに十一枚。下手にサーチしすぎるとあっという間に山札が無くなる。 この間風見と戦ったときよりこの3Dマシンは進化している。どの点が進化しているかというと、コイントス機能がついたことだ。 ボタン一つを押すと自動的にコイントスを行ってくれる。非常に公平なシステムだ。 裏、表、表、裏、表。つまり相手の男の子は三枚までエネルギーをつけれる。 「パルキアMに水エネルギーを二枚、雷エネルギーを一枚つけます。そしてパルキアに水エネルギーをつけます。ギザみみピチューの雷エネルギーをトラッシュしてにがし、パルキアを新たにバトルポケモンにします」 これは弱ったな。水タイプのカードを出されるのは困る。炎デッキの俺には鬼門となる。 「パルキアMの攻撃! いっとうりょうだん。コイントスをして表ならベンチポケモンにもダメージを与える」 裏。ヒトカゲは無事だった。パルキアMがノコッチに向かって右手を振り下ろす。重低音と共に、モニターのノコッチにはダメージカウンターが五つ乗った。 やばいぞ、これは思ったよりも強い。
翔「今日のキーカードは命の宝玉! Mと名のついたポケモンにエネルギーをたくさんつけれるぜ!
命の宝玉 トレーナーカード (オリジナル) 自分のベンチにいる「名前にM[ムービー]がつくポケモン」の数だけ自分の山札から基本エネルギーを選択し、開いてプレイヤーに見せてから手札に加える。その後、山札を切る。さらに、山札から手札に加えた基本エネルギーの数だけコイントスをし、表の数だけ自分の「名前にM[ムービー]がつくポケモン」に基本エネルギーをつける。
─── 11日ぶりの更新。夏休みの間だし進めれるだけ進みたい。
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予選終了! 翔VSM[ムービー]ポケモン(後) ( No.18 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:13
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- ファンデッキはそもそもカード自体が弱く、しかも高コスト。分かりやすく言うと、千五百円のカラフルな弁当があるが、五百円の弁当のほうがうまかった。
分かりにくい? んー。とにかく、コレクション用のカードなのでそもそも強くないということだ。 しかし油断大敵とはまさにこのこと、しまった。 「俺の番だ」 おっ、ふしぎなアメ。しかしここは気を抜いていられない。どう攻めるべきか。今ある手札で必至にめぐらせる。 「ヒトカゲを対象にふしぎなアメ発動。このカードの効果によりヒトカゲをリザードンに進化させる!」 ヒトカゲの足元から光の柱が立つ。俺は手札のリザードンのカードをヒトカゲに重ねた。光の柱が消えるとともにリザードンの雄たけびが会場に響く。 「リザードンに炎エネルギーをつけて、ノコッチのへびどりを発動。山札からカードを一枚引いてターンエンドだ」 防戦一方だが仕方ない……。しかし次の番には逆襲の始まりだ。 「僕のターンドロー! 手札の雷エネルギーをピカチュウMにつけてパルキアMで攻撃。いっとうりょうだん!」 轟音と共にパルキアMがノコッチを粉砕する。これでノコッチは気絶だ。 「さらにコイントス! えっと、表なのでリザードンに20ダメージ!」 パルキアMがリザードンに向かって腕をふるうと、真空波のようなものがベンチのリザードンに直撃する。 「ノコッチが気絶したのでサイドカードを一枚引くよ」 「次のバトルポケモンはリザードンだ」 「それじゃあターンエンド」 「俺のターン!」 引いたカードはマグマラシ。しかし肝心のヒノアラシがいない。リザードンを倒されるとベンチポケモンがいなくなり、負けてしまうがあいにくたねポケモンを呼べそうにはない。ここは強気で攻め続けるしか。 「手札のリザードンに炎エネルギーをつけて攻撃! バーニングテール!」 リザードンが尻尾でパルキアMに攻撃する。派手な音をたててパルキアMに傷を負わせる。 致命傷にはなったものの倒しきることはできない。HP90のパルキアMに80ダメージを与えたため残りHPは10となる。 そしてバーニングテールのコストとしてリザードンの炎エネルギーを一枚トラッシュする。 「僕のターン。ミチーナしんでんの効果発動! 自分の番に一回、自分の場のM[ムービー]と名の付くポケモンを一枚選択し、ダメージカウンターを二つ取り除けます。僕はパルキアMを選択」 パルキアMはHPを20回復したため、これで残りHPは30だ。 「ピカチュウMに雷エネルギーをつけていっとうりょうだんで攻撃!」 パルキアMの攻撃が続く。炎タイプのリザードンに弱点のタイプである水タイプが攻撃したため、通常の50ダメージにさらに30ダメージが追加され80ダメージ。残りHPは40。なんにせよあと一、二撃で倒される。 「俺の番だ、ドロー!」 スーパーボールだ。山札のたねポケモンをベンチに出すことができるカードである。これでヒノアラシを呼びこまないと。 「手札のスーパーボールを発動! デッキのたねポケモンを選択し、ベンチに出すことができる。俺はヒノアラシを呼ぶぜ」 ベンチエリアにヒノアラシが元気よく登場する。 「ヒノアラシに炎エネルギーをつけて、リザードンで攻撃! 炎の翼!」 炎の翼は本来30ダメージなのだが、リザードンのポケボディ。「火炎の陣」の効果により、ベンチの炎タイプの数だけ与えるダメージが+10される。今、ベンチには炎タイプのヒノアラシが一匹いるので30+10となり40ダメージを与える。 上空から炎を身にまといリザードンがパルキアMに突撃する。パルキアMはこれで気絶。相手の次のバトルポケモンはポッチャマMである。 「相手のポケモンを気絶させたため、サイドカードを一枚引いて終わりだ」 引いたカードはヒトカゲ。 「僕の番です。ドロー。ピカチュウMに雷エネルギーをつけてターンエンドです」 やはりというかなんというか、あのピカチュウがキーになるようだ。 「俺のターン!」 エネルギー転送のカードを引いた。このカードはデッキから基本エネルギー一枚を手札に加えるカードだ。デッキ圧縮(山札の数を減らす手段)にはもってこい。 「エネルギー転送を発動。炎エネルギーを手札に加える。そしてヒトカゲをベンチに出し、ヒノアラシをマグマラシに進化させる」 ベンチにヒトカゲがこれまた元気よく飛び出る。一方のヒノアラシは白い光に包まれマグマラシへと姿を変えた。 「そしてリザードンに炎エネルギをつけてポッチャマMを攻撃。バーニングテールっ!」 リザードンのポケボディ、火炎の陣の効果により80+20で100ダメージ。HPが60しかないポッチャマMは一瞬で気絶となる。そして相手の最後のポケモンはピカチュウM。本命がようやく登場らしい。 「サイドカードをひかせてもらうぜ」 「僕の番、ピカチュウMに水エネルギーをつけます。そしてピカチュウMをレベルアップ!」 ピカチュウMが光輝き、ピカチュウMLV.Xへレベルアップを遂げた。 「ボルテッカー!」 ピカチュウMLV.Xが黄色い光に包まれてリザードンへ突撃していく。 「ピカチュウMLV.Xは自分にも20ダメージを受けるけども、相手に100ダメージを与える強力な技です」 「100ダメージ!?」 3ケタのダメージなんて滅多にない。リザードンはHPが0を下回り、気絶となる。俺の最後のバトルポケモンはマグマラシだ。 一方ピカチュウMLV.Xはボルテッカーの反動として20ダメージを受けることになり、残りHPが70となる。 「サイドカードを引いて終わりです」 「俺のターンドロー!」 おっ! いいものを引いた。これで逆転への方程式が完成だ! 「行くぜ、マグマラシをバクフーンexに進化させる!」 マグマラシは普通のバクフーンより一回り大きいバクフーンに進化する。 「そしてこの進化した瞬間にバクフーンexのポケパワー発動! バーストアップ!」 相手の小学生の顔が困惑に歪む。 「このポケパワーは自分の番にこのカードを手札から進化させた時に発動する。相手のベンチポケモンの数までデッキから炎エネルギーを自分の炎ポケモンにつけることができる。今、君の所のベンチポケモンは三匹なので、デッキから炎エネルギーを三枚このバクフーンexにつけることができる!」 これでバクフーンexには炎エネルギーが四枚ついたことになり、技を使えるようになる。 「行くぜ、バクフーンexの攻撃。メラメラ!」 バクフーンexの口から巨大な火の玉が発せられ、ピカチュウMLV.Xに襲い掛かる。 残りHPが70のピカチュウMLV.Xは80ダメージのメラメラを受けて気絶となる。 「最後のサイドカードをひいて、ゲームセットだ!」 ゲームが終わると同時に3Dで映し出されていたポケモンは消滅。モニターにはYOU WINと味気ない文字が浮かび上がった。 「ありがとうございました」 互いに礼をする。これで五勝、決勝への切符を手に入れた。 予選用のエントリーカードをスタッフに渡し、本戦用のエントリーカードをもらう。エントリーカードの番号は2と書いてあった。 本戦用のエントリーカードの番号は勝ち抜け順なので、先に勝ち抜いた人がいるらしい。 予選を勝ち抜いた人は檀上で待機することになっている。つまりそこに一番抜けがいるということだ。一番抜けの顔を一瞬でも早く見たいため階段を駆け上がり、檀上にいる一番抜けの少年を見て驚く。 「拓哉、お前が一番抜けか」 彼は不敵な笑みを浮かべていた。
翔「今日のキーカードはバクフーンex! exのカードは気絶すると二枚もサイドカードをひかれてしまうが、 その分パワーにあふれてるぜ!
バクフーンex HP150 無色 (構築済みスターター「バクフーンex★炎」) ポケモンexがきぜつしたとき、相手プレイヤーはサイドを2枚とります。 ポケパワー バーストアップ このパワーは、自分の番に、このカードを手札から出して、自分のポケモンを進化させたとき、1回使うことができる。 自分の山札から、相手のベンチポケモンの数ぶんまでの炎エネルギーを選び出し、自分の炎ポケモン1匹につける。 その後、その山札を切る。 炎炎無色無色 メラメラ 80 自分のエネルギーを1個トラッシュする。 その後、相手のエネルギーを1個トラッシュする。 弱点 水闘×2 抵抗力 なし にげる エネルギー1
─── 書けるうちに書くんだあああああああ パソコンの調子が最近悪い。 一年半しか経ってないのに死にかけとかもうね それと、命の宝玉強すぎたのでエラッタしました。
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本戦開始! ポイズンストラクチャー! ( No.19 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:13
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 少しすると、ゾロゾロと人が集まって来た。
どうやら風見も参加していたようだった。控え室に戻ったのはデッキを取りに行ったとのこと。 他にも百合ちゃんや姉さん、恭介もやってきた。 十六名が勢ぞろいしたが、その半分近くは身内というなんとも言葉にしづらい。 そして十六名で戦う順番を決めるくじ引きを行った。 その結果、一回戦二回戦に知り合いとは当たりそうにないが、隣のブロックには百合ちゃん、姉さん、恭介、風見と四人もいる。しかも百合ちゃんと風見が一回戦でぶつかる。 一方拓哉は俺と当たるとなると準決勝だ。ぶつかるまではまだまだかかる。 一時間の休憩の後、風見杯本戦が始まる。
風見杯本戦は決勝と準決勝以外は常に二試合ずつ同時に行われる。 先ほど一回戦の第一試合、第二試合が終わり、拓哉は快勝していたようだ。ようだというのは試合を見ていず、結果だけ見たため。 そして第三、第四と終わり俺の出番である第六試合。 エントリーカードを見ると、半田幸治という人が対戦相手だ。ちなみに年は俺の一つ上。 「よろしくお願いします」 挨拶とデッキをシャッフルして手札七枚を引く。そしてたねポケモンを互いに伏せる。俺も相手もバトルポケモン一匹だけのようだ。 続いてサイドカードを三枚伏せて先攻後攻を決める。先攻は俺がもらった。 相手の最初のバトルポケモンはマニューラG、こちらはいつもながらノコッチ。 「ドロー! アチャモをベンチに出し、アチャモに炎エネルギーをつける。ノコッチのへびどりによってカードを一枚引く」 引いたカードはヒコザル。今は少しでも兵を増やすべき。 「俺の番。カードをドローする。手札からスタジアム発動! ギンガ団のアジト!」 周囲がゲームで見たようなギンガ団の───たぶんトバリビル───アジトに変貌する。 「このカードがある限り、手札からポケモンを進化させるとそのポケモンにダメージカウンターを二つ乗せる」 つまり普通に進化すると20ダメージ。進化がメインとなってる俺のデッキにはかなり手痛い。 「そしてスカタンクGをベンチに出してポケパワー発動。ポイズンストラクチャー!」 スカタンクGが体から紫色の霧を出し、各々のバトルポケモンのマニューラG、ノコッチがその霧に包まれてしまう。 「スタジアムが場にある時、互いのバトルポケモンを毒にする!」 霧が晴れると毒に冒され苦しそうなノコッチと、同じく苦しそうなマニューラGが……。ってあれ? 毒を受けたノコッチに対し、マニューラGは元気そうだ。 「ポイズンストラクチャーはSPポケモンには効果がない。SPポケモンであるマニューラGは毒にならない!」 半田さんのポケモンは皆SPポケモンだ。つまり、一方的にこちらが毒になるというコンボになってる。 「スカタンクGに超エネルギーをつけてマニューラGで攻撃。仲間を呼ぶ!」 マニューラGは半田さんを方を見、おいでおいでする。 「山札のSPポケモンを二枚まで選び、ベンチに出す。ドンカラスGとドグロッグGをベンチに出してポケモンチェックに移行。ノコッチには毒のダメージを受けてもらう!」 ノコッチにダメージカウンターが一つ乗る。残りHPが60から50に。 「俺のターン、ドロー!」 アチャモをワカシャモに進化させるとギンガ団のアジトの効果により20ダメージを受けてしまう。しかし手札のキズぐすりを使うとワカシャモから20ダメージを取り除くことができる。よし、行ける! 「ヒコザルをベンチに出してアチャモをワカシャモに進化させる」 「ポケモンを進化させたことにより、ギンガ団のアジトの効果発動!」 ワカシャモの周囲に電気を帯びた棒が現われ、ワカシャモに放電する。20ダメージを受け、残りHPが80から60へ。 「ワカシャモに炎エネルギーをつけてポケモンいれかえ発動。ノコッチとワカシャモを入れ替える」 ノコッチがベンチに引っこみ、ワカシャモをベンチに出す。 「手札のキズぐすりでワカシャモのHPを20回復。そしてワカシャモで攻撃! 火を吹く! この技はコイントスをして表なら20ダメージ追加する」 コイントスは裏だった。つまり20ダメージ。ワカシャモがマニューラGに火を吹きかける。HPが80あるマニューラGに20ダメージを与えたためマニューラGの残ったHPは60。 「ターンエンド!」
翔「今日のキーカードはスカタンクG! 場にスタジアムを出してポイズンストラクチャー! SPポケモンには効果がないぞ!
スカタンクG[ギンガ]Lv.46 HP80 超 (DPt1) ポケパワー ポイズンストラクチャー 場に自分の「スタジアム」があるなら、自分の番に1回使える。 おたがいのバトルポケモン全員(SPポケモンはのぞく)を、それぞれどくにする。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 無色無色 えんまく 20 次の相手の番、このワザを受けた相手は、ワザを使うときコインを1回投げ、ウラならそのワザは失敗。 弱点 闘×2 抵抗力 なし にげる エネルギー2
─── 連日更新なんだぜ ヒトカゲ→ヒコザルに修正。
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ギンガ団の脅威! 発動、エナジーゲイン! ( No.20 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:14
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「俺のターン。手札のトレーナーカードを発動。ギンガ団の発明G−105 ポケターン! このカードは自分のSPポケモンとそれについているカードを手札に戻す効果を持つ。マニューラGを手札に戻す!」
フィールドのマニューラGが黒い光の球となり、半田さんの手札へ飛んでいく。 一見無意味に思える行為だが、そうではない。手札に戻すという行為は自分のポケモンのダメージを全て回復させることと同値だ。 エネルギーも戻ってきてしまうビハインドがあるが、それでも普通ダメージ全回復なんてない。そして新手をバトル場に出す役目も果たす。 「新しいバトルポケモンはドクロッグGを選択」 ドクロッグGがかったるそうにバトルエリアへやってきた。 「続いてポケモンのどうぐ、ギンガ団の発明G−101 エナジーゲインをドクロッグGにつける。このカードはSPポケモン専用の道具だ」 ドクロッグGが左腕を掲げると、ギンガ団のマークがかかれた腕時計のようなものが装着される。 「このカードをつけているポケモンのワザエネルギーはそれぞれ無色エネルギー一個ぶんずつ少なくなる。ドクロッグGの技、ディープポイズンは超と無色エネルギーが必要だがエナジーゲインの効果により、超エネルギー一つだけでディープポイズンが使えるようになった。そしてスカタンクGのポケパワー発動。ポイズンストラクチャー!」 またもやスカタンクGが紫色の霧を出す。ワカシャモだけが影響を受け、苦しそうにしている。 「ポイズンストラクチャーは場にスタジアムがあるとき発動できるポケパワー。SPポケモン以外の互いのバトルポケモンを毒にするためドクロッグGが影響を受けない。ドクロッグに超エネルギーをつけて攻撃。ディープポイズン!」 ドクロッグGがあっという間にワカシャモに近づく。そしてとがったツメでワカシャモに一突き。ワカシャモは空に舞うとドサッと力なく倒れる。 「ディープポイズンは相手が毒状態だと40ダメージを追加するワザだ」 もともと与えるダメージが20なので60ダメージ。HPが80のワカシャモは残り20。毒のダメージを受けると、俺の番が始まったころには残りHPが10となる。 手札にはこの状況を打開してくれるカードがない。 「ターンエンド。そしてポケモンチェックにより、ワカシャモは毒のダメージとしてダメージカウンターを一つ乗せる」 「俺の番だな」 デッキの一番上のカードを掴む。なんでもいい、この状況を打開してくれるカードをっ……! 「っしゃきたぜ!」 俺の無邪気な笑みに、半田さんは面食らう。 「何を引いたかしらないが、ドクロッグGにはきけんよちというポケボディーがある。このポケボディーによって相手のワザの効果を受けないぞ」 「手札からサポーターカード、ミズキの検索を発動。俺は手札のカードを一枚山札に戻す代わりに山札からバシャーモを手札に加える!」 「なっ……」 訪れた好転にふっと笑みがこぼれる。 「そう。進化したら毒は回復、さらに最大HPも上昇する。俺はワカシャモをバシャーモに進化させる!」 ワカシャモはさらに大きく成長し、バシャーモへと姿を変えた。 「だがスタジアム、ギンガ団のアジトの効果発動。進化したポケモンにダメージカウンターを2つ乗せる!」 HPが130のバシャーモはワカシャモのときに受けたダメージ70に加え、ギンガ団のアジトの効果により受けたダメージ20を合わせて残りHPが40。 しかし攻めれるときには攻めていきましょうか。 「バシャーモのポケパワー発動。バーニングブレス! この効果により相手のバトルポケモンを火傷にする!」 バシャーモは火炎放射に似た炎の息をドクロッグGに吹きつけようとした。まさにその時だ。 「この瞬間、手札のトレーナーカード。ギンガ団の発明G−103 パワースプレーをバシャーモを対象に発動!」 「俺の番なのにトレーナーカードだって?」 通常、ポケカは他のカードゲームとは違い、自分の番には自分しか動けず、相手の番には相手しか動けなかったりする。しかしこのカードはどうやら相手の番に使える相当貴重なカードのようだ。 「このカードは自分の場にSPポケモンが二匹以上いないと発動できないカードだが、俺の場にはドクロッグG、スカタンクG、ドンカラスGの三匹がいるため発動できる。そして相手の番に発動する珍しいカードだ。その効果は、相手のポケパワーを無効にする!」 バシャーモの目の前に謎の黒い機械が現れた。その機械の上部にとりつけられたレーザーがバシャーモのバーニングブレスを妨げる。 「だったら炎エネルギーをバシャーモにつけて攻撃だ! 炎エネルギーを二枚トラッシュしてほのおのうず!」 バシャーモにつけていた炎エネルギー二枚をトラッシュへと置き、ワザを発動させるとバシャーモはドクロッグGを中心に炎の渦を作りだす。そして襲いかかる炎のダメージを受けて合計100。ドクロッグGは一発KOだ。 「次はドンカラスGだ」 「サイドを引いて俺の番は終了だ」 サイドが一枚少ない俺が優勢。……のように思えるかもしれないがそうでもない。気絶寸前のバシャーモとノコッチ。そして全く育ってないヒコザル。しかし半田さんの場には無傷のドンカラスGとスカタンクG、さらに手札にはマニューラGもいる。 「俺のターン!」 半田さんが山札からカードを引く。 「俺はポケモンの道具、エナジーゲインと悪の基本エネルギードンカラスにつける」 またエナジーゲインか。ドンカラスGの首に装着された。しかし呆れる反面エナジーゲインはワザまでの射程時間が短くなるため恐ろしい。本来エネルギーが二つ必要なドンカラスGのワザ、「きずをねらう」がこれで発動できる。 「マニューラGをベンチに出してスカタンクGのポイズンストラクチャーを発動」 もう説明はいらないよね。これでバシャーモがまたしても毒になる。しかしドンカラスGで倒せるんだし何のメリットが……。 「ドンカラスGで攻撃。きずをねらう!」 ドンカラスGが黒い翼で羽ばたくと、バシャーモを……。ではなくてノコッチの方へとやってきた。 「きずをねらうは相手のポケモンに20ダメージを与える技。しかしそれはバトルポケモンでなくてもいい。そしてワザを受けるポケモンにダメージカウンターが乗ってると20ダメージを追加する。もっともノコッチの残りHPは10だけどな」 ドンカラスGが翼でノコッチを攻撃すると、力なくノコッチは倒れ伏す。 「サイドを引いてターンエンド。そしてポケモンチェックでバシャーモに10ダメージだ」 余裕の表情の半田さんに対して苦い顔をする俺。だがこんなところで負けるわけにはいかない! 「俺のターンだ!」 山札の一番上のカードを力強く引いた。 「ドロー!」
翔「今日のキーカードはギンガ団の発明G−101 エナジーゲイン! SPポケモンにしかつけられないカードだが、SPポケモンのワザに必要な無色エネルギーを一つ減らせるカードだ! 一気にガンガン攻撃!
ギンガ団の発明G−101 エナジーゲイン ポケモンのどうぐ (DPt1) このカードをつけているポケモンのワザエネルギーは、それぞれ無色エネルギー1個ぶんずつ少なくなる。 ポケモンのどうぐは、自分のポケモンにつけて使う。すでにポケモンのどうぐをつけているポケモンには、つけられない。 このカードは、SPポケモンにしかつけられない。SPポケモンについていないなら、このカードをトラッシュ。
─── 2話完結のつもりが……。 まあいいか。 それより9/6のイベントいきてえ
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運命のコイントス! ( No.21 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:14
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 引いたカードはオーキド博士の訪問だった。山札からカードを三枚引いて、その後手札から一枚デッキの下に置くカードだ。手札補充をしよう。引く三枚に賭けるんだ。
「サポーター、オーキド博士の訪問を使う」 オーキド博士の訪問で引いたのは不思議なアメ、炎エネルギー、ゴウカザル。 半田さんはドンカラスGでベンチのヒコザルをきずをねらうで攻撃すればダメージカウンターのないヒコザルには最初に20ダメージ、次のターンはすでにヒコザルにはダメージカウンターが乗ってるため40ダメージ。HPが50しかないから気絶。残りHPが40のバシャーモは毒で倒れ、サイドを二枚引く算段なのだろう。 俺の手札にはあらかじめモウカザルがあったがスタジアムのギンガ団のアジトのせいで進化するとダメージを受けてしまい、ドンカラスGによるワザのダメージが増えるためため迂闊に進化できなかった。しかしヒコザルからゴウカザルへと一気に進化できるならHPも一気に増えるため問題ない。 オーキド博士の訪問の効果で戻すカードはモウカザルにした。 「不思議なアメを発動。ヒコザルをゴウカザルに進化させる!」 ヒコザルの足元から光の柱が現われ、それが消えた頃にはゴウカザルへと姿を変えていた。 「進化させたためダメージカウンターを二つ乗せてもらう」 「バシャーモのポケパワー、バーニングブレスを今度こそ喰らってもらうぜ!」 バシャーモが炎の息をドンカラスGへ吹きかける。ドンカラスGは羽を動かして必死に抵抗している。妙にリアルだな。 「バシャーモの炎エネルギーをトラッシュしてベンチのゴウカザルと入れ替える。ゴウカザルに炎エネルギーをつけてワザを使うぜ。ファイアーラッシュ!」 ゴウカザルがドンカラスGへと駆けて行く。 「自分の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュして、トラッシュしたエネルギーの枚数だけコイントスをする。そして表なら表の数かける80ダメージだ。俺の場にはゴウカザルにつけている炎エネルギー一枚しかない。それをトラッシュしてトスだ!」 モニター手前のコイントスボタンを押す。オモテが出ると一気に情勢が変わる。表が出てくれっ! が、ダメっ! 無情にもウラと表示された。それに対応してゴウカザルの攻撃はドンカラスGに当たらず。 「ふぅ」 半田さんは外れたことに安堵しているようで、一瞬緊張が入った表情も元通りに戻っていく。 「だけどポケモンチェックで火傷の判定をしてもらうぜ」 やけどは毒と違い、ポケモンチェック毎コイントスが必要である。表ならダメージはないが裏なら20ダメージだ。 しかし半田さんがコイントスをした結果表となりダメージはまだ0。 「俺のターン。ギンガ団の賭けを発動。互いに手札を全て山札に加えシャッフルだ」 ここで手札リセット。タイミングが微妙なので俺の頭にはクエスチョンマークが一つ。 「そしてじゃんけんをしてもらう。勝ったら山札から六枚、負けたら三枚引くのさ」 確実な一手を踏んできた半田さんが急にギャンブルカードを使うことにまたクエスチョンマークが増える。しかしここは迷うところではないだろう。 「よし、そうとなったら! 最初はグー、じゃんけんほい!」 ……。 「六枚引かせてもらうよ。そしてスカタンクGに超エネルギーをつけてポケパワー発動、ポイズンストラクチャー!」 スタジアムが場にあるとSPポケモン以外のバトルポケモンを毒にするポケパワーが発動し、ゴウカザルは毒に侵される。 「ドンカラスGの攻撃、きずをねらう。バシャーモに攻撃だ!」 ドンカラスGは飛び立つとベンチにいるバシャーモを襲う。バシャーモはHPが0になったのでこれで戦闘不能となる。 「サイドを引かしてもらう。俺の番は終わりだが、ゴウカザルは毒のダメージを受ける」 110あったHPが80まで減っていく。 「だがそっちも火傷判定をしてもらう!」 威勢よく言ったのはいいがまたしても表だ。運を味方にしすぎである。 「俺のターン! ゴウカザルに炎エネルギーをつけて攻撃。ファイアーラッシュ!」 今つけたばかりの炎エネルギーをトラッシュする。 そして今度こそ決まってくれ! と強く念じてコイントスボタンを押す。願いは通じたのか表だ。 「っしゃあ! 行っけえ!」 ゴウカザルは大きな火球をドンカラスGへぶつける。HPが80のドンカラスGは一発KO。 「サイドを俺も引いてターンエンド!」 「次の俺のバトルポケモンはスカタンクGだ。そしてポケモンチェックが来たのでゴウカザルには再び毒のダメージ。俺のターン、スカタンクGに超エネルギーをつけて攻撃だ! えんまく!」 スカタンクGが灰色の煙……って普通の煙だな。目くらましとかで使うような煙幕を発する。 「ゴウカザルに20ダメージだ。そして次のターン、ゴウカザルはコイントスで裏だと技が使えなくなる。俺の番が終わると共に毒のダメージを受けてもらおう」 もう残りHPが40だ。 ここで技を外すか倒しきれないと俺の番の終わりのポケモンチェックで毒の10ダメージ、そして半田さんの攻撃で20ダメージ、そして半田さんの番の終わりのポケモンチェックでさらに10ダメージ。 これで終わってしまう。 「ドロー!」 毒をなんとかするカードもこなければ種ポケモンも来ない。こうなったらこのゴウカザルで勝つしかない。 「炎エネルギーをゴウカザルにつけて攻撃だ!」 つけた炎エネルギーをすぐにトラッシュする。つけた気がしないな……。 「まずはえんまくの効果の判定だ」 コイントスボタンを押す。もしも裏が出たら負け……。 「表だ! 続いてファイアーラッシュの判定!」 でもこんなところで負けるとまた俺は姉さんに頼ることになる。もう高校一年生、いや。あと何ヶ月かで高校二年生だ。なのにまだ。 俺はまだ負けられない。 「俺は勝って勝って勝ち続けるんだ!」 叫び声が響くと同時にモニターに文字が映る。 「表か? 裏か!?」 半田さんも釣られて叫ぶ。モニターには『オモテ』と表示されていた。 「おっしゃあああ!」 ゴウカザルが火球をスカタンクGにぶつける。派手な音が鳴り、スカタンクGは力なく倒れる。最後のサイドカードを引くと試合終了のブザーが鳴る。
「ありがとうございました」 挨拶を終え、熱戦をした相手と握手をする。 「最後までドキドキハラハラで怖かったよ。でも楽しかった。また機会があれば」 半田さんは悔しさの一切見られない笑顔を浮かべる。清々しい対戦だったのは俺も同じだ。半田さんの言葉に俺は黙ってうなずく。 「頑張れよ」 去っていく半田さんは右手拳を高く持ち上げる。俺も釣られて同じ動作をしたのだった。
翔「今日のキーカードはゴウカザル! エネルギーをトラッシュすると80ダメージ! ただしコイントスはしっかりとな!
ゴウカザルLv.44 HP110 炎 (EPDPt) 炎 ファイアーラッシュ 80× 自分の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュし、トラッシュしたエネルギーの枚数ぶんコインを投げ、オモテ×80ダメージ。 無色×2 いかり 30+ 自分のダメージカウンター×10ダメージを追加。 弱点 水+30 抵抗力 なし にげる なし
─── 半田幸治の使用デッキ 「ギンガ団の脅威」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-639.html
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竜VS草&水VS鋼 ( No.22 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:15
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 俺の後には唯が戦った。相手はたねポケモンが上手く引けず、相変わらずと言うかなんというか1キル(1ターンキル。一ターンで勝つこと)を果たした。
そして別ブロックの試合が始まる。いきなり風見VS百合ちゃんと姉さんの対決だ。どちらも見逃せまい。 俺の隣にいる恭介は必至に百合ちゃんの方を凝視していた。 そして試合が始まった。風見VS百合ちゃんは風見が先攻。姉さんと、えーと。向井って人との対戦は向井が先攻らしい。 元来の大会ならテーブル一つあればできるからこの大会のように二試合ずつとか十六試合ずつとかではなく、同時にほぼ全員が戦うのでこうして誰かの試合を観るなんてとてもなかった。というか待ってる人もデッキ調整をしていたりとして真剣に応援してる人も少ない。 しかし折角の機会だ。ここは応援しよう。もちろん黙ってだけどね。
「俺の番だ」 相手は長岡(恭介の苗字)の彼女とやらか。手合わせするのは今回が最初だ。相手のバトル場にはフシギダネ。そしてベンチにはモンジャラ。 その一方俺のバトルポケモンはタツベイ。ベンチには同じタツベイとフカマル。 俺のポケモンのHPは皆50。相手のポケモンを見る限りいきなりやられるということはないだろうが早く進化しないと辛い。 「手札の炎エネルギーをバトル場のタツベイにつけて攻撃。こわいかお。コイントスをして表なら、相手は次の番ワザも使えず逃げられなくなる」 コイントスのボタンを押す。瞬時にオモテウラの判断がつくのも面白くないから数秒してから結果が表示されるように作られている。この緊張感がたまらない。 「ウラか……。終わりだ」 「私のターン! 不思議なアメを使ってフシギダネをフシギバナに進化させます」 早い。あっという間に二進化ポケモンが出るとは。フシギダネは光の柱に覆われフシギバナへと姿を変える。HPも140とかなり大型だ。 「そしてスタジアム。夜明けの疾走を出します」 周囲が平原へ変わり、東と思わしき方向から太陽が現れる。 「えっと、自分の草または水ポケモンに手札からエネルギーをつけるたびにダメージカウンターを一個とって状態異常を全て回復させる効果です」 たったダメージカウンター一つと言えど、されど一つ。僅差というものが勝負には非常に大きい存在となり、壁となる。ほとんど毎ターンHPを回復されるというわけだ。状態異常も回復されるのだがフシギバナのポケボディー、アロマグリーンによって草タイプはそもそも状態異常にならない。 「フシギバナに草エネルギーをつけて攻撃! どたばたかふん!」 草エネルギーひとつで30ダメージだ。あっという間にタツベイの残りHPが20。ただ幸いなのはフシギバナに乗っているダメージカウンターが一つもないということだ。 この「どたばたかふん」はフシギバナにダメージカウンターが8個以上のっていると相手を毒と火傷ど混乱にする効果を持っている。 もしもこうなっていれば俺の番がくる前のポケモンチェックであっという間におじゃんだ。 予選は少しも楽しくないが、本戦ではなんとか満足できそうだ。
「僕のターンだ。ドロー!」 あたしのバトル場にはノコッチ。ベンチにはワニノコ。翔と似たような作戦である。ノコッチでまずは戦闘準備を整えるのだ。 「僕は手札の鋼の特殊エネルギーをつけてダンバルのポケパワー発動。メタルチェイン!」 一方相手のバトル場はダンバル、ベンチはコイル。水タイプをベースとするあたしにとって雷タイプではなく鋼タイプであることが救いだ。 「自分の番に一回、手札から鋼エネルギーをダンバルにつけたときに発動できる。自分の山札のダンバルをベンチに呼び出す!」 ジジジと電磁音が鳴り、開いているベンチスペースに新しいダンバルが現れる。 「ターンエンドだ」 ダンバルのワザのとっしんはエネルギーが二つ必要だ。まだダンバルには一枚しかついていないため技が使えないのだ。 「あたしの番ね、ドロー」 引いたカードはアリゲイツだった。まずはベンチのワニノコを育てよう。 「ワニノコをアリゲイツに進化させる。そしてアリゲイツのポケパワー発動。しんかでげんき! 手札からアリゲイツを進化させたときに自分の山札を上から五枚見て、その中のエネルギーを手札に加える。残りのカードは山札に加えシャッフル!」 上から五枚を確認すると順に水エネルギー、オーキド博士の訪問、ブイゼル、ワニノコ、水エネルギー。そのうち水エネルギー二枚を相手に見せてから手札に加える。 「そしてノコッチのへびどりを発動。カードを一枚引いて終わりよ」 場外にいるギャラリーを見る。予選は皆それぞれ自分のことに必死になっていたが本戦はそうではない。帰ったものは帰ったが残ったものは残ったもので試合を観ている。そしてあたしは観られてる。 ふと傍を見るとこちらを見ていた翔と目が合う。長年いた兄弟だからアイコンタクトでわかる。頑張れ! と応援してくれているのが。
翔「今日のキーカードはフシギバナ! どたばたかふんとスペシャルリアクトのコンボは最強! 相手はたちまち状態異常地獄だ!
フシギバナLv.55 HP140 草 (DPt3) ポケボディー アロマグリーン 自分の場の草ポケモン全員は特殊状態にならず、受けている状態異常はすべて回復する。 草 どたばたかふん 30 自分にダメージカウンターが8個以上のっているなら、相手をどくとやけどとこんらんにする。 草草無色無色 スペシャルリアクト 40+ 相手が受けている特殊状態の数×40ダメージを追加。 弱点 炎+40 抵抗力 なし にげる エネルギー4
─── レイコさんが15話の挿絵を描いてくれました。 その挿絵が載った15話はこちら http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/15.html
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刺激する細胞 バトルドーパミン! ( No.23 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:15
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「俺のターン!」
引いたカードは不思議なアメ。今の手札はコモルー、ガバイト、水エネルギー、ボーマンダ、不思議なアメとなる。 不思議なアメを使わずコモルーにするのもいいが、コモルー程度でフシギバナに耐えれるか。 ここは多少強引だが不思議なアメを使って力押ししよう。 「不思議なアメを使いバトル場のタツベイをボーマンダに進化させる!」 タツベイの足元から光の柱が現われ、続いてボーマンダが姿を現す。 「ボーマンダのポケボディー。バトルドーパミンの効果により、相手の場に最大HPが120以上のポケモンがいるならこのポケモンのワザに必要な無色エネルギーは全て無くなる。ボーマンダに水エネルギーをつける」 通常炎、水、無色二枚の合計四枚で発動できるじょうきのうずが炎、水の二枚だけになる。これは非常に心強いポケボディーである。 「そしてベンチのタツベイとフカマルをコモルーとガバイトにそれぞれ進化させてボーマンダで攻撃。じょうきのうず!」 じょうきのうずは炎と水エネルギーの二枚をトラッシュしないと使えない。ボーマンダにつけているカードをトラッシュすると3Dのボーマンダがフシギバナに襲い掛かる。 このワザは120ダメージ。140もあったフシギバナのHPがあっという間に20となる。 手札は尽きたが相当だ。 「ターンエンド」 「私の番ね。トレーナーカード、ゴージャスボールを使います。デッキからLV.X以外のポケモンを山札から手札に加えます」 ただこのゴージャスボールの弱点は、トラッシュにゴージャスボールがあると発動できないということだ。 デッキには一枚入れる。これが常識であろう。 「私はモジャンボを手札に加えてモンジャラを進化させます。そしてモジャンボに草エネルギーをつけてフシギバナの攻撃ね。どたばたかふん!」 フシギバナが背中の花を大きく揺らす。先ほどは黄色い花粉だけだったが、今回は赤に紫に白と色とりどりだ。 「フシギバナが80以上のダメージを喰らっていた時にこの技を使うと、相手を毒と火傷と混乱にするのよ」 HPが残り90あるボーマンダがやけに満身創痍に見える。 「私の番は終わりだけどここでポケモンチェックね。まずは毒の10ダメージ。続いて火傷判定よ」 火傷は毎ポケモンチェックのときにコイントスをし、裏なら20ダメージを受けてしまう。表が出れば回避できるが裏を当てるとその分痛い。 「裏だ」 これで残り60。ボーマンダのリミットが始まる。ボーマンダのにげるエネルギーは3つもあるのでこれは諦めるほかない。 「俺のターン。サポーター、デンジの哲学を発動させてもらう。手札が六枚になるまで山札からカードを引く。俺の今の手札は0なので六枚ドローだ」 現状維持はできるもののパッとしない手札だ。状態異常をなんとかすることができない。 「ガバイトをガブリアスに進化させる。ボーマンダに炎エネルギーをつけて攻撃する」 と言いたいモノの混乱状態である。混乱は厄介な状態異常で、攻撃するときにコイントスをしなくてはならない。表だと攻撃は可能だが裏の場合は攻撃ができず30ダメージ。 ここでコイントスを外すとボーマンダは気絶街道まっしぐらとなる。 「混乱の判定をする。……、表だ。かえん攻撃!」 ボーマンダが口から大きな火球を吐きフシギバナに与える。残りHPが20のフシギバナは50ダメージを受け戦闘不能。 「これでフシギバナは気絶。サイドを引いてターンエンドだ。ポケモンチェックでボーマンダは毒の10ダメージ。続いて火傷の判定だ」 しかし今度も裏。ボーマンダの残りHPが30となる。ボーマンダもここまでか。しかし今引いたサイドは……。 相手のベンチポケモンはモジャンボしかいないので強制的にモジャンボとなる。 「私のターンね。モジャンボに草エネルギーをつけてレベルアップさせますわ」 レベルアップする前とした後での違いが3Dで出ないのが悔しいところだ。 「モジャンボLV.Xに草エネルギーをつけてワザ、だいせいちょう!」 「ここでだいせいちょうだと?」 「だいせいちょうは自分のトラッシュの草エネルギーを好きなだけ選び自分のポケモンにつけるカード。私のトラッシュには草エネルギーが一枚だけなのでモジャンボLV.Xにつけて私の番は終わりね」 舐めているのか。モジャンボの攻撃でボーマンダを倒せるはず。なのにどうせわざわざ倒せなくてもその程度と高をくくっているのか。 「ポケモンチェックだ。毒のダメージを乗せる。火傷判定だ!」 荒々しくコイントスのボタンを押す。残りHPが20のボーマンダはここで火傷のダメージを受けると気絶する。 が、結果は裏。こうなるかもしれないと予測していたのだが眉をひそめずにはいられない。 「ボーマンダが気絶したのでサイドを引きますわ」 微笑みの浮かぶ相手に舌打ちをするしかない。 「俺の二番手はガブリアスだ!」
向井の番が始まった。 「バトル場のダンバルをメタングに、ベンチのコイルをレアコイルにそれぞれ進化させる。メタングに鋼エネルギーをつけて攻撃。こうそくいどう!」 気づくとメタングがものすごいスピードでノコッチに突撃していた。あたしが見たのは突撃を喰らって宙に舞うノコッチだけだった。 「そしてこうそくいどうの効果によりコイントス。表なら相手のターン、ワザのダメージや効果を受けなくなる。……、表だ」 次のターンはメタングにダメージを与えられない。……が、与えるつもりなどなかった。どうせノコッチでカードを引くだけだ。 「あたしのターン、ドロー。ブイゼルをベンチに出し、アリゲイツに水エネルギーをつけてノコッチのへびどり。終わりね」 「僕の番だ」 カードを引いた顔がしかめっ面になっている。いいカードは引けなかったようだ。 「スタジアム、帯電鉱脈を発動してメタングに鋼エネルギーをつける。メタルクローで攻撃!」 辺りが電気を帯びた殺風景な鉱脈に変わる。この帯電鉱脈の効果は互いのプレイヤーはそれぞれの番にコイントスが一回でき、表ならトラッシュの雷か鋼エネルギーを手札に戻すカードだ。 メタングがバトレボと同じように大きな腕でノコッチに重い一撃を食らわす。 50ダメージもあるのでノコッチのHPは尽きた。 「サイドを引いて終わり」 今度は笑った。どうやら欲しいカードはサイドにあったみたいね。 「あたしの次のポケモンはアリゲイツよ。あたしのターン!」 来た! ようやく反撃の機会。 「アリゲイツをオーダイルに進化させるわ! そしてスーパーボールを発動。山札のたねポケモンをベンチに出すわ。あたしはワニノコを選択」 アリゲイツはオーダイルへと姿を変え、ベンチの開きスペースに転がったスーパーボールからワニノコが颯爽と登場する。 「オーダイルに水エネルギーをつけて攻撃。はかいのしっぽ! このワザの効果により相手の手札一枚を表を見ずにトラッシュする」 さっきサイドから引いたカードは一番右に入れられた。 「あんたから見て一番左のカードをトラッシュしてもらうわよ」 向井はしかめっ面になる。ポーカーフェイスにはまだまだほど遠いようだ。 オーダイルの大きな尻尾でメタングをぶつ。 「メタングについている鋼の特殊エネルギーの効果を発動。この特殊エネルギーが鋼タイプのポケモンについていると、相手のワザによるダメージを−10する。よってはかいのしっぽのダメージは60だが受けるダメージは10減って50だ」 それぐらいは百も承知。あたしはその手札をトラッシュさせたかったのよ。 そしてメタングの残りHPは30。さっき進化させられなかったということはメタグロスは手札にない。念のためにモニターを使って相手のトラッシュを確認する。 「おっ、ついてるついてる」 向井のトラッシュの一番上はメタグロスだった。
翔「今日のキーカードはボーマンダ! 相手が強いほど強くなる! じょうきのうずで熱くなれ!
ボーマンダLv.66 HP140 無色 (破空) ポケボディー バトルドーパミン 相手の場に最大HPが「120」以上のポケモンがいるなら、このポケモンのワザエネルギーのうち、無色エネルギーは、すべてなくなる。 炎無色 かえん 50 炎水無色無色 じょうきのうず 120 自分の炎エネルギーと水エネルギーを、それぞれ1個ずつトラッシュ。 弱点 無色+30 抵抗力 闘−20 にげる エネルギー3
─── 二試合同時だと目が回る……。
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目指すもののために エナジーサイクロン ( No.24 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:16
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 相手の場には無傷のモジャンボLV.X。しかもエネルギーも三つだ。それに比べ俺の場はエネルギーが一つもないガブリアス。
戦略はこうだろう。俺がポケモンを育てている間に攻撃する。もし攻撃を受けてもモジャンボにはポケボディーのさいせいりょくそでポケモンチェックの度に10回復し、モジャンボLV.Xのポケパワー、モジャヒールによって自分の番に一回コイントスをし、表なら40回復できる。更にスタジアムの夜明けの疾走の効果により草エネルギーをつけると状態異常とHPが10回復する。 持久戦に持って行くつもりらしい。 俺の番が始まった。デッキからカードを一枚引く。 「ほぉ」 俺の反応に思わず相手の顔が困惑に歪む。 「ガブリアスに炎エネルギーをつけレベルアップさせる! そしてガブリアスLV.Xのポケパワー発動。……と言いたいが、ガブリアスLV.Xのポケパワー、りゅうのはどうは相手にベンチポケモンがいないと使っても意味がない。ガブリアスのワザを使わせてもらおう。そせい!」 ベンチの空きスペースに白い穴が開く。 「俺のトラッシュのポケモン一体をたねポケモンとしてベンチに出す。戻ってこいボーマンダ! そして蘇生したポケモンにトラッシュの基本エネルギーを三枚までつけることができる。炎二枚と水一枚だ。ターンエンド」 「私の番、カードを引いて、モジャンボLV.Xに草エネルギーをつけて攻撃。つるをのばす!」 モジャンボLV.Xが大きな腕を伸ばして攻撃する。ガブリアスLV.Xに当たった……。が、それだけでは物足りないのかベンチのコモルーとボーマンダにも被害が及んだ。 「つるをのばすは相手のベンチポケモン二体にも20ダメージを与えます」 これでガブリアスLV.Xは残りHP80。ボーマンダは110、コモルーは70となる。 「俺のターン。ガブリアスLV.Xに水エネルギーをつけてベンチに逃がす。ガブリアスに逃がすためのエネルギーは必要ない! ボーマンダを新たなバトルポケモンにする。そして攻撃だ。ボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンによってモジャンボの最大HPが130なのでワザに必要なはずの無色エネルギーは不要となる。じょうきのうず!」 ボーマンダについている炎と水エネルギーをトラッシュする。ボーマンダが可視の白い渦を巻き起こしモジャンボに叩きつける。これで残りHPは10。 「このポケモンチェックでモジャンボのポケボディー『さいせいりょくそ』を発動。HPを10回復させる。そして私のターン。カードを引いてモジャンボLV.Xに草エネルギーをつけるわ」 夜明けのスタジアムの効果によりさらに10回復していく。が、それでも30。余裕で倒せる。 「ここでポケヒーラー+を二枚発動。このカードは同じカードと二枚同時に使え、二枚使ったなら自分のバトルポケモンの状態異常を全て回復させ、ダメージカウンターを八個とる!」 これで110。あと20回復すれば元通りとなる。 「そしてモジャンボLV.Xのポケパワー発動。モジャヒール! コイントスして表ならダメージカウンターを4つ取り除くわ」 そういい彼女はボタンを押す。しかし幸いにも裏。相手の手札ももう一枚もない。 相手も諦めの表情を浮かべた。 「……。うーん、モジャンボLV.Xの攻撃、つるをのばす!」 モジャンボLV.Xの攻撃がボーマンダとベンチのガブリアスとコモルーを襲う。……が、ダメ。気絶には至らない。 「ポケボディーさいせいりょくそで10回復ね」 「俺のターン。ボーマンダに水エネルギーをつける。……なかなか楽しめる試合だった、だがここまでだ。その眼にしかと焼きつけよ! ボーマンダについている炎エネルギーと水エネルギーをトラッシュして攻撃。じょうきのうず!」 爆風と共に試合終了のブザーが鳴り響く。広げられたカードを片づけ試合会場から降りて行く。 傍に目をやると長岡(恭介のことね)と百合がワイワイ騒いでいた。
「僕のターン」 先ほどのターン、相手のキーカードであろうメタグロスを手札からトラッシュさせた。これで順当に次のターンメタングをトラッシュできる。 そう決めつけたのは失敗だった。カードを引いた向井の顔が明るくなる。 「レアコイルに雷エネルギーをつけ、ジバコイルへと進化させる。そしてジバコイルのポケパワー発動。じばけんさく!」 「じばけんさく……」 「このポケパワーは毎ターンに一度使え、自分の山札の雷、鋼タイプのポケモンを山札から一枚相手に見せてから手札に加える。そしてその後デッキをシャッフルする。僕は山札からメタグロスを手札に加えてメタングを進化させる! そしてポケパワー発動。マグネットリバース!」 メタグロスのポケパワー、マグネットリバースはコイントスをして表ならベンチポケモンとバトルポケモンを無理やり入れ替える能力だ。今、手元にポケモン入れ替えがあるが使っても無駄な抵抗である。 「オーダイルとワニノコを入れ替えさせる。コイントス!」 しかし幸いに裏。マグネットリバースは失敗となる。 思わず胸に手を当てほっと一息ついてしまう。 「メタグロスで攻撃。コメットパンチ!」 右腕を大きく振りかざし、彗星のごとくスピードでオーダイルに鉄の腕を振り下ろす。 「コメットパンチのダメージは50。だけど次の番にもう一度コメットパンチを使うと与えるダメージは100になる! ターンエンド」 オーダイルのHPは130から80へ。二発目のコメットパンチはあたしのオーダイル、ベンチのブイゼルとワニノコの全てが気絶まで確定一発である。 「あたしの番ね、ワニノコをアリゲイツにしてポケパワーしんかでげんきを発動。山札の上から五枚を見てその中の水エネルギーを相手に見せてから手札に加え、その後山札を切る。水エネルギーは二枚だったわ」 これで今手札七枚のうち五枚が水エネルギーである。 「ブイゼルに水エネルギーをつけてオーダイルで攻撃するわ!」 そう宣言すると同時にブザーが鳴り響く。首を右に傾けると隣の試合は終わったようだ。恭介くんがその彼女をなだめているように見えるから、やはり風見君が勝ったのだろう。これに勝てば次は彼か……。 この大会は前の試合が終わればどんどん次の試合へと進んでいくので、休む暇なく今度は恭介くんが場に立つ。 「さて、オーダイルのエナジーサイクロンで攻撃! 自分の手札のエネルギーを好きなだけ選び、相手に見せる。このワザのダメージはその見せたエネルギーかける20ダメージとなる!」 あたしは突きつける用に水エネルギーを四枚見せる。 「鋼特殊エネルギーでダメージが−10されるけど、それでも70ダメージよ! メタグロスをきっちり撃破ね」 オーダイルの周囲に水エネルギーのマークが四つ現れる。そのエネルギーマークがメタグロスの足元へ移動し、水色の竜巻を起こす。 オーダイルよりエネルギーマークの方がすごいのはわかった。 「エナジーサイクロンで相手に見せた水エネルギーは全て山札に戻してシャッフル。サイドを一枚引いて終わりよ」 このターンでシャッフルは二回目である。 「僕の次のバトルポケモンはジバコイルだ」 「ダメージはあるけどサイドも同じだし、ジバコイルはまだエネルギーが一枚。これでほぼイーブンよ」 右を見ると恭介くんは善戦しているようだ。仲良く皆で優勝。なんてできないけど、せめて彼とも戦ってみたいと思う。 そのためにはまず目の前の一勝を。
翔「今日のキーカードはメタグロス! マグネットリバースで相手を狙い、 コメットパンチを連打しよう!
メタグロスLv.58 HP120 鋼 (DP5) ポケパワー マグネットリバース 自分の番に1回使える。コインを1回投げオモテなら、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 鋼無色無色 コメットパンチ 50 次の自分の番、自分が使う「コメットパンチ」のダメージは「100」になる。 弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる エネルギー3
─── 明日から勉強合宿なので今日出来ることは今日のうちにしよう。 長谷部百合の使用デッキ 「森に育つ草」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-641.html
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フローゼルと諦めの悪い奴 ( No.25 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:16
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「僕のターン、ドロー。鋼の特殊エネルギーをジバコイルにつける。そして帯電鉱脈の効果発動、自分のターンに一度コイントスをし、表ならトラッシュの鋼または雷エネルギーを手札に加える」
鋼の特殊エネルギーは鋼ポケモンにこのエネルギーがついてると鋼ポケモンが受けるダメージを−10させる厄介なエネルギーだ。 そして帯電鉱脈のコイントスは裏。効果は不発に終わる。 「……。ポケモン入れ替えでダンバルとジバコイルを入れ替えてターンエンド」 ? 頭にクエスチョンマークが浮かんだ。なんでわざわざこんな。最初からダンバルをバトル場にすればよかったのじゃないか。 「あたしの番ね。ブイゼルに水エネルギーをつけてフローゼルに進化させる。そしてサポーターカード発動。オーキド博士の訪問! 山札からカードを3枚引いて、その後手札を一枚山札の下に置く」 オーダイル、不思議なアメ、フローゼルを引く。望んでいたのは水エネルギーだけど下の方で固まっているのだろうか。私は今ひいた不思議なアメを山札の下に戻す。 「ベンチのアリゲイツをオーダイルに進化させてバトル場のオーダイルで攻撃、はかいのしっぽ!」 オーダイルが尻尾でベチーンとダンバルを弾き飛ばす。HPが50しかないダンバルに60ダメージのはかいのしっぽは効いたようだ。 「はかいのしっぽの効果、相手の手札から表を見ずに一枚選んでそれをトラッシュ。私から見て右のカードをトラッシュしてもらうわ」 モニターで何を捨てたか確認。鋼エネルギーか。 「ダンバルは気絶したためサイドを一枚引いて私の番は終了ね」 「次はジバコイルだ」 あとはジバコイルを倒せば終了。今引いたサイドはまたしても不思議なアメ。帰りに飴買おうかしら。 ジバコイルはよほどのことがない限り倒せる。ジバコイルの技、クラッシュボルトは80ダメージだ。このターンでオーダイルは倒されるが、HPが90あるフローゼルはギリギリだけど耐えきる。 フローゼルでジバコイルを倒す算段はついている。 「僕のターン、帯電鉱脈の効果発動。コイントスをして表ならトラッシュの雷か鋼エネルギーを手札に加える。……、表なので鋼の特殊エネルギーを手札に加え、ジバコイルにつける。攻撃! クラッシュボルト!」 ジバコイルがオーダイルに向かって真っすぐ電気を飛ばす。 「オーダイルは80ダメージを受けて気絶! そしてクラッシュボルトの効果により雷エネルギーをトラッシュ。サイドを引いて終わりだ」 「次はフローゼルよ。そしてあたしの番」 鋼の特殊エネルギーが二枚……。これは計算違いだった。これでワザのダメージを与えても−20されてしまう。 「オーキド博士の訪問を発動。三枚引いてその後一枚を山札の下に置く」 ポケヒーラー+、水エネルギー、水エネルギー。今度はあたりだろう。不思議なアメをまた山札の下に置く。 「フローゼルに水エネルギーをつけてみずでっぽう!」 シンプルな技なのでエフェクトもシンプルである。 「このワザは、このワザエネルギーより多くみずエネルギーがついているならそのエネルギーの数かける20ダメージ。よって60ダメージとなる。ただ、ジバコイルの鋼特殊エネルギーの効果で40ダメージ」 120から80へ。思うように相手のHPが減らない……。 「僕のターン。帯電鉱脈を発動。……裏。続いてジバコイルのポケパワー、じばけんさくを発動。ジバコイルLV.Xを手札に加え、レベルアップ!」 「えっ」 思わず拍子抜けした声をあげてしまう。さっきのターン、じばけんさくを使わなかったからこのままレベルアップしないものと思っていた。 「ジバコイルLV.Xに雷エネルギーをつけて攻撃。サイバーショック!」 先ほどは真っ直ぐにとんできた電撃が、今度は拡散するように放たれる。 「自分の雷エネルギーと鋼エネルギーをそれぞれ一個ずつトラッシュし、相手をマヒにする!」 そしてサイバーショックのダメージは80。フローゼルのHPは10残り、首の皮一枚つながったように見えるがまったくもってそうでない。 終わった。 「ターンエンド」 麻痺。それは状態異常の一つである。 麻痺は二回目のポケモンチェック。この場合だとあたしの番が終わった後に回復する。 ただ、麻痺になったポケモンは逃げることもワザを使うこともできない。 手札のポケモン入れ替えを使いオーダイルに入れ替えるとフローゼルの麻痺は治るが、ロクにエネルギーのついていないオーダイルはただの木偶の坊。なにもせずにやられるのがオチだ。 詰んだ。これが正統な言い方。 翔の方を向く。ごめんねという表情を作りたかった。 「姉さん!」 翔の怒声が耳に反響する。 「最後まで自分のデッキを信じて戦ってくれ!」 ……そうだね。自分のことより、とりあえず一緒に戦ってくれたデッキのために最後まで精一杯頑張ろう。 最愛の父がいつも言っていた言葉を反芻する。「勝負事は諦めの悪いヤツが最後に笑うんだ」 「あたしのターン!」 引いたカードは……。 「ポケヒーラー+を二枚発動! このカードは二枚同時に使える。二枚同時に使ったとき、自分のバトルポケモンのダメージカウンターを八つ取り除き、特殊状態をすべて回復させる!」 「えっ」 フローゼルに明るく優しい光が包み込む。 フローゼルに乗っているダメージカウンターは八つ。つまり全回復となる。 「本当に首の皮一枚ね。フローゼルに水エネルギーをつけて攻撃。スクリューテール!」 フローゼルが巧みに尻尾を回転させ、ジバコイルにぶつ。 「スクチューテールの効果はコイントスをして表なら相手のエネルギーをトラッシュする。……表ね、鋼の特殊エネルギーをトラッシュ!」 しかしスクリューテールのダメージは30。−10されてわずか20ダメージ。しかしジバコイルについてるエネルギーは全て無くなった。 これで鋼の特殊エネルギーにダメージを減らされることもなくなる。 「僕のターン、帯電鉱脈を発動。……ウラ。雷エネルギーをジバコイルLV.Xにつけてターンエンド」 今度こそ詰んだ。ただし詰んだのはあたしではない。相手だ。 「あたしの番、フローゼルの水鉄砲! フローゼルには余分なエネルギーが二つあるので80ダメージ!」 ジバコイルLV.Xはこれで気絶。最後のサイドを引くと、ブザーが鳴り響く。 「勝った……」 目をつぶりながら上を向く。冷や汗は乾ききったようだ。 ステージから降りると翔がこちらに向けて駆けてくる。 「おめでと」 「ありがと。アンタのおかげよ」 翔はまんざらでもない表情を作るのだった。
翔「今日のキーカードはフローゼル! 相手のエネルギーをトラッシュしつつ、 みずでっぽうで一気に倒せ!
フローゼルLv.29 HP90 水 (DP1) 水無色 スクリューテール 30 コインを1回投げオモテなら、相手のエネルギーを1個トラッシュ。 水水 みずでっぽう 40+ ワザエネルギーよりも多く水エネルギーがついているなら、多い水エネルギー×20ダメージを追加。追加できるのは水エネルギー2個ぶんまで。 弱点 雷+20 抵抗力 なし にげる エネルギー1
─── 向井剛の使用デッキ 「マグネットバーン」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-642.html
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本戦二回戦開始 太古の化石! ( No.26 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「エレキブルで攻撃!」
激しい音と光が巻き起こるが、モニターはしっかりと作動している。相手のポケモンのHPは0だ。最後のサイドを引くと、ブザーが鳴る。 急いでステージから降りて愛する彼女の元へ向かった。 「百合、仇はとったぜ」 コツンと誰かが頭を叩く音がする。翔だった。 「バーカ、お前が勝っただけで百合ちゃんの仇はとれてねーよ。仇とった言うなら風見倒してからにしろよ」 「ちぇっ」 不満そうに言葉を吐く。ふざけていた雰囲気を捨て、真剣の眼差しで翔を見つめる。 「お前も負けんなよ」 「当たり前だ。決勝で当たったらそんときはよろしくな」 「ああ」 翔と決勝……。決勝かぁ。決勝なぁ……。って何を考えようとしたんだろうっけ。
恭介と言葉を交わすとすぐにブザーが鳴る。拓哉の試合はもう終わったのか。相手が泣いているところを見ると拓哉の勝ちとなる。 そして、俺の出番でもある。 ステージに上がり、デッキをシャッフル。所定の位置に置く。相手はボサボサの短髪にポケットが大量にあるベージュのズボン、そして汚れた白いTシャツ。 とてもじゃないが季節を間違えている。今は冬だ。 ああ、でも小学校とかで冬でも半袖短パンのやついたよな。 名前は石川薫か。俺の一つ年下のようだ。 「よろしく」 「……、よろしく」 無愛想っぽいな、あまりいい印象を持てない。だがカードを交えると言葉は不要だ。 「よし、そこの坊主、勝負だ!」 「俺は女だ」 「そうか、じゃあ……って今なんて?」 「俺は女だって言ってるんだ。坊主じゃない」 えーと、どういうことだろう。もう一度石川の容姿を見てみる。さっきと一緒だ、変身したわけでもなんでもない。 いや、そんなことではない。ルックスなんて関係ないんだ、ボーダーレスだ。見た目で判断するのは一番いけない。先入観は危険。でも一人称が俺って珍しいよね。 「はぁ、そうか。じゃあ仕切り直し。コホン。よし、そこの……。勝負だ!」 「そこのなんだよ。とにかく勝負だ。俺が絶対勝つ!」 先攻は俺がもらうことになった。山札から七枚カードを引き、たねポケモンをセット。続いてサイドカードを三枚伏せて勝負が始まる。 俺の最初のバトルポケモンはヒコザル。一方相手のポケモンは……。これはポケモンなのだろうか。 バトル場にはポケモンがいるはずなのに石ころが転がっているだけ。 「なんだこれは? まぁいい、俺のターン! 手札の炎エネルギーをヒコザルにつけて攻撃だ! かみつく!」 ヒコザルが果敢に突撃していくと、石ころは無機質な音をたてて転がっていった。 「ダメージカウンターが乗ってる。ということはポケモン扱いなのか?」 モニターで相手のカードに乗っているダメージカウンターを確認する。……と同時に妙なことに気づいた。 「あれ、ヒコザルになんでダメージカウンターが……」 戸惑う俺に対岸から男にしては高めの声がって女だから普通か。石川の声がする。 「お前が攻撃したことによってツメの化石のポケボディーが発動した。するどいせきしつ。このポケモンが相手によるワザのダメージを受けたとき、ワザを使った相手にダメージカウンターを一つ乗せる」 「化石?」 「そう、化石だ。化石のカードは総じて無色のたねポケモンとして場に出すことができる。そしてこれを気絶させればもちろんお前はサイドをひける。こいつは特殊状態にはかからず、逃げれない。そして俺の番に任意にこいつをトラッシュできる。しかし俺が任意でトラッシュした場合はお前はサイドを引けないがな」 「化石デッキか。ツメの化石ということはアノプス、アーマルドだな」 「俺のターン、ドロー! ベンチに新たな化石を呼び出す。ねっこの化石!」 相手のベンチエリアにこれまたちっさい石ころが転がる。 「ねっこの化石はポケボディー、すいとるせきしつの効果によってポケモンチェック毎にダメージカウンターを一つ取り除いていく」 「ダメージを与えるのと、回復するのと、か」 「そして化石は現代に蘇る! ツメの化石をアノプスに進化!」 石ころが大きくなりながらひびが入る。ある程度の大きさになると巨大化を止め、ひび割れるスピードが早まる。ひびの中からはアノプスのご登場である。 「アノプスに闘エネルギーをつけて攻撃。ガードクロー!」 ヒコザルのHPがあっという間に風前の灯となる。 「ガードクローを使ったため、次のターンアノプスが受けるワザの威力は−20される!」 「−20ってのはきついな」 「ああ、お前がいくらヒコザルにエネルギーをつけたところで使える技はかみつくとほのおのパンチだけ。ほのおのパンチは追加効果もなくダメージも20」 「そうだ。だが、進化したら別だろう? 俺のターン。ヒコザルをモウカザルに進化させる! そしてベンチにもう一匹のヒコザルを出す」 このターン引いたカードがヒコザル。俺の手札にはゴウカザルはない。次の相手のターンでアノプスのもう一つの技、シザークロスが発動されればコイントスの結果によっては気絶してしまう。目先を追うより先を見ろ、だ。 「ヒコザルのほうに炎エネルギーをつける」 「いいのか?」 「ああ。モウカザルのワザは二つある。片方がエネルギー二個で使えるにらむだ。コイントスが表なら相手をマヒにできるが、ワザの威力は20。相殺されてダメージが与えられない。それならエネルギー一つでも使えて40ダメージもあるファイヤーテールだろう。モウカザルで攻撃。ファイヤーテール!」 モウカザルが尻尾を振ってアノプスを殴りつける。 「ファイヤーテールのダメージは40。ガードクローがあれど20ダメージは受けてもらう。そしてファイヤーテールの効果。コイントスして裏ならモウカザルについている炎エネルギーを一枚トラッシュ!」 ポチっとな。ウラでした。苦い表情をして炎エネルギーをトラッシュへ。 「俺のターン! 手札の闘エネルギーをアノプスにつけ、ひみつのコハクをベンチに出す。ひみつのコハクのポケボディーはハードアンバー。ベンチにこのカードがある限りワザのダメージは受けなくなる。姑息な手は通じない」 「まだ姑息な手はしてない」 「そしてねっこの化石をリリーラへと進化させる!」 先ほどと同じエフェクト。ワンパターンだ。 「そしてアノプスで攻撃。シザークロス!」 石川がワザの宣言と同時にコイントスボタンを押す。 このシザークロス、攻撃時にコイントスをしてオモテなら追加ダメージを与える。俺のモウカザルの残りHPが40なのに対しシザークロスのもともとのダメージは30。オモテが出ると20ダメージ追加されて気絶。保険はとってあるが裏で頼む! 「表だ!」 可愛くない石川の声と同時にアノプスの鋭いツメがモウカザルに振り下ろされる。 「サイドを引いてターンエンド」 「俺のターン」 俺のベンチにはヒコザルしかいないので次のバトルポケモンは強制的にこいつだ。しかし参ったな、いきなりサイドをとられるのか。 今引いたカードはノコッチ。しかしアノプスが闘。プテラも闘。リリーラだけ草だがノコッチを出すのは相性的にリスキー。 「オーキド博士の訪問を発動。カードを三枚引いてその後手札を山札の一番下に置く」 一番下に置いたのはノコッチ。そして引いたカードはモウカザル、アチャモ、ゴージャスボール。 「続いてゴージャスボールを発動。山札から好きなポケモンを一枚手札に加えてデッキをシャッフル。俺はゴウカザルを手札に加える」 突破口は見えた。 「アチャモをベンチに出し、ヒコザルをモウカザルへ進化させる。そしてアチャモに炎エネルギーをつけてファイヤーテールだ!」 コイントスの結果がいかであろうとアノプスの残りHPは10だ。 「コイントスの結果は表。エネルギートラッシュの必要性はない。喰らえ!」 柄になく喰らえと言ってみる。でもクソ喰らえだとは思ったぜ。その微妙にすかした態度が気に食わん。 「俺のターン。サポーター化石発掘員を発動。自分の山札からトラッシュを選び、その中から名前に化石とつくトレーナー、または化石から進化するポケモンのうち一枚を選び手札に加える。俺は山札を選択し、アーマルドを手札に加えアノプスに進化させる!」 地を這うような姿勢のアノプスが急に二足歩行になるだけで威圧感がある。 が、そういう威圧感ではない。このアーマルドは間違いなく曲者だ。 「アーマルドに草エネルギーをつけて攻撃。ブレイククロー!」
翔「今日のキーカードはアーマルド! 硬いガードで相手の攻撃を防ぎつつ、 ブレイククローで大ダメージ!
アーマルドLv.52 HP140 闘 (DP5) ポケボディー かせきのよろい このポケモンの受けるワザのダメージが「60」以下なら、このポケモンはそのダメージを受けない。 闘闘無色 ブレイククロー 60 次の自分の番、このワザを受けた相手が受けるワザのダメージは、「+40」される。 弱点 草+30 抵抗力 なし にげる エネルギー2 ─── お腹いてええええ
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逃げて前へ進む者、願い前へ進む者 ( No.27 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「アーマルドに草エネルギーをつけて攻撃。ブレイククロー!」
右手を高く振り上げ、その先にあるつめでモウカザルを襲いかかる。ゴムボールを投げるように吹っ飛んで行くモウカザル。 でもイマイチ臨場感ないなぁ……。 「ブレイククローの効果はこのワザを受けた相手は次のターン受けるダメージが+40される!」 「まぁモウカザルのHPは20だしまず倒れるな」 「俺の番は終わりだ」 なんだかメチャクチャ石川の視線が痛い。ダメージカウンターは俺にも乗っているらしい。 「俺のターン」 不思議なアメねぇ。しかし今の手札では有用出来ない。 「モウカザルをゴウカザルに進化させ、アチャモに炎エネルギーをつける」 残った手札は二枚。アチャモと不思議なアメだけだ。 「モウカザルからゴウカザルに進化したため、ブレイククローの+40の効力はなくなるぜ」 「言われなくても分かってる」 しかしこいつ姿恰好の割にはなんか偉そうだな、少年味がまるでない。俺の方が年上なのに完全に見下されてる気がする。ちょっと不愉快。 「ゴウカザルの攻撃、ファイヤーラッシュ! 俺の場の炎エネルギーを好きなだけトラッシュし、トラッシュした数だけコイントス。そして表の数かける80ダメージ。俺はゴウカザルについている炎エネルギー一枚をトラッシュ」 「一枚だけでいいのか?」 「確率の神様は信じる者を救うんだぜ」 知らないけどな。安いヒーローを気取ったセリフを言うのは好きだがどーも恥ずかしい。恥ずかしさを紛らわすために下を向いて顔を隠し、コイントスボタンを押す。 「表。喰らってもらうぜ! ファイヤーラッシュ!」 アーマルドはポケボディー、かせきのよろいによって60以下のダメージを喰らわない。しかしファイヤーラッシュは60を越えて80ダメージだ。 残りHPが0を切り、アーマルドがドシンと音を建てて前へ倒れ伏す。数秒のインターバルをもって消えて行った。 「サイドを一枚っ、とらせてもらうぜ」 気取ってサイドを取り、そして鬱になる。何してんだ俺。将来がかかっている大会なのにお気楽過ぎである。 と思っていると派手な音が聞こえる。ドン! という何かを叩く音が響く。響くは言いすぎだろうか、少なくとも俺の試合を見てるやつらが石川の方を向いたのは間違いない。 「俺はリリーラをバトル場に出す」 口調こそ平静を装っているが声音は明らかにそうではない。荒れている。 そんな石川を見て俺は口を挟むしかないと思ったのだった。 「お前さ、カードしてて楽しいか?」 「急になんだ!」 「いや、だってさ。カードって楽しむためのモノだろ? 確かに負けたりして悔しいとか思ったりもするけどさ、まだ負けが決まったわけでもないのにそんなに怒るのもないだろう。対戦相手に失礼じゃないか?」 「……この」 「まぁ俺は別に、ってこのが何?」 「このデッキは化石発掘作業中に事故死した父がくれたものだ」 黙るのは今度は俺だ。 「お前はこの大会、なんのために出ている? ただの遊びのつもりか?」 「いや、俺はこの大会に出て借金を返さなくちゃならない。もし負ければ今まで住んでたボロ家からも出てホームレスの始まりだ」 「そんな重いことがあるのに楽しそうだな」 こいつも俺みたいに何かあるのだろうか。 「ああ、こうしてでも借金のこと忘れてないと正直辛いからな」 これは本音である。借金のことを出しても自虐程度でとどめている。本当に考えると冗談抜きで鬱になるし怖くなる。立つこともままならない。 石川はふっと一つ笑って目をしっかりと俺に向ける。 「強いなお前は」 「そうでもない。借金のことを忘れて現実逃避してるだけだ」 「それこそそうでもない。俺はこの大会で優勝して、父がやりとげれなかった化石発掘の事業をしたいんだ。お前は逃げることで前へ進み、俺は願うことで前へ進もうとする」 四百万でなんとかなるものなのか。てかこいつ短パンのくせにかっこいい。身なりが良ければ、あと声が低ければよかった。 人の話を真剣に聞いていない証拠だな。 「だから!」 落着きを取り戻したと思うとまたまた激しい声。忙しい。 「俺はこの戦い絶対負けられない! 俺のターンドロー!」 のんびりモードもそろそろ終わり、集中しないと。相手のリリーラは草タイプ。炎タイプが弱点なので俺の方が相性はいいはずだ。あくまで相性は。 「リリーラをユレイドルへ進化させ、草エネルギーをつける。そしてエネルギーパッチを発動。コイントスをして表なら、トラッシュの基本エネルギーを自分のポケモンにつける。コイントス!」 そんなに強くたたくと壊れそう。 「表だ! トラッシュの草エネルギーをユレイドルにつけて攻撃! ドレインドレイン!」 何かの曲名にありそうな技名だ。と思っているのも瞬、ユレイドルの首のあたりからピンク色の触手というべきなのかそれっぽいのがゴウカザルに食い込む。 「うっ……」 「30ダメージしかないためゴウカザルは20ダメージ残っているぞ、さあターンエンドだ」 「俺のターン!」 おっと、ノコッチお帰り。すぐさま帰ってほしい。 「ゴウカザルに炎エネルギーをつけてファイヤーラッシュ。トラッシュするのはゴウカザルのエネルギーだけだ」 石川と違い普通にボタンを押す。 「表だ。80ダメージを喰らってもらうぜ」 ゴウカザルが火球をユレイドルにぶち込む。 「ユレイドルは炎タイプが弱点なので30ダメージ追加の合計110ダメージ。一気にHPを120から10へ削ってやったぜ」 「俺のターン、闘エネルギーをユレイドルにつける。そしてサポーター、デンジの哲学を発動。手札が六枚になるように山札からカードを引く。今俺の手札は0。よって六枚引く」 ここにきてドロー加速。俺の手札が三枚に対して石川は五枚、手札数が逆転した。 「ひみつのコハクをプテラに進化させる!」 遅まきながらの登場だ。 「ユレイドルの攻撃、ドレインドレイン!」 先ほどと同じモーション。HPが残り20のゴウカザルはこのドレインドレインによって気絶させられる。しかし似たようにHPが10しかないユレイドルはアチャモでも倒せる。 「アチャモでも倒せると思っただろう?」 その通りだ。しかし姿と声音と言ってることがマッチしないヤツである。 「ドレインドレインの効果発動。このワザにより相手を気絶させた場合、自分のダメージカウンターを全て取り除く!」 「すべて!?」 HPが0になったゴウカザルが光の玉となってユレイドルの体に取り込まれる。 ほぼイーブン状態だった試合が一気に石川の流れに傾いた。 「サイドを引いてターンエンドだ」 俺はダメージ表示がなくなったユレイドルのモニターを虚ろに眺めた。
翔「今日のキーカードはユレイドル! ドレインドレインは30ダメージ! 相手を気絶させると全回復だぜ!
ユレイドルLv.49 HP120 草 (DP5) 草 ドレインドレイン 30 このワザのダメージで、相手の残りHPがなくなったら、自分のダメージカウンターをすべてとる。のぞむなら、ダメージを与える前に、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えてよい(新しく出てきたポケモンにダメージを与える)。 草無色無色 ようかいえき 50 次の相手の番、このワザを受けた相手はにげるができない。 弱点 炎+30 抵抗力 なし にげる エネルギー3
─── 約一年で12話書いた。 しかしこの夏は約二か月で12話書いた。 なにこれ
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ギリギリの攻防 その先にあるもの ( No.28 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 今、石川がサイドを取ったため石川のサイドは残り一枚。一方俺は二枚。
バトル場には草エネルギーが二つで体力が全回復したユレイドルが立ちはだかる。それに比べて俺はアチャモ一匹。炎エネルギーが二つあるがアチャモでは話にならん。 しかもベンチには何もない。石川のベンチにはプテラが顕在しているが。 それだけではなく手札の数も違う。俺が三枚だけに対してヤツは六枚だ。しかも俺の手札はアチャモ、ノコッチ、不思議なアメと救いようがなさすぎる。 これでどっちが勝ちそう? と言えば大多数が石川と声を揃える。 しかし頭で考えるだけでは何も進まない、カードを引いてからこそ進むんだ。深く息を吸い込み、気合いを入れて大きく吐き出す。 「俺のターン!」 俺の右手に新しく現れたカードはオーキド博士の訪問。このカードは山札を三枚引き、その後手札を一枚山札の下に置く。 ノコッチにまたまた下に行ってもらおう。この三枚のドローで明暗が別れる。 「オーキド博士の訪問を発動!」 炎エネルギー、炎エネルギー。そんなに固まらなくても。そして最後の一枚を確認すると、バシャーモ。ノコッチを下に戻して石川に笑いかける。 この状況で一体何だ、何を引いたんだという顔をしているようだ。しかし表情は言ってることとマッチする。ちょっと大人びた顔だ。 「逆転の手立てはできたぜ、俺は不思議なアメを発動。自分のたねポケモンを手札の一進化、あるいは二進化ポケモンに進化させる。俺はアチャモから一気にバシャーモへと進化させる!」 アチャモの足元から光の柱が現われアチャモをすっぽり覆い隠す。シルエットだけが目に見え、あっという間に大きくなりバシャーモの輪郭を作る。デジ○ンっぽい進化の仕方だ。 「バシャーモに炎エネルギーをつけて攻撃。喰らえ、ほのおのうずっ!」 渦状の火炎がユレイドルをすっぽり包みこむ。 「ほのおのうずの効果によりエネルギーを二つトラッシュ。ほのおのうずのダメージは100でユレイドルを倒すには及ばないが、弱点でダメージは+30されて一撃だ!」 炎の渦が消え、倒れ伏すユレイドルが消滅してからサイドをひく。ベンチエリアにいたプテラがバシャーモの前にやってきた。 「あっという間に状況がひっくりかえったぜ。プテラが攻撃するにはエネルギーが二つ必要。しかしお前のプテラにはまだ何も乗っていない」 「それはそっちもだろう、エネルギーが二つトラッシュされてはほのおのうずは連発できない」 「さあどうかな?」 挑発をかけると石川はむっとする。が、可愛げがまるでない。 「俺の番だ。プテラに闘エネルギーをつけ、ベンチにひみつのコハクを出す。ターンエンド」 「俺のターン!」 ゴウカザルが来た。なぜこのタイミングなんだ。 「バシャーモに炎エネルギーをつけてポケパワー発動。このポケパワーは相手のバトルポケモン一匹をやけどにする。喰らえ、バーニングブレス!」 バシャーモが口から3D表示なのに熱そうな息を吹きつける。 「プテラは火傷になったがこの瞬間プテラのポケボディーも発動する。げんしのツメ!」 バシャーモの火炎の吐息にあらがうがように、プテラはバシャーモにツメで襲いかかる。 「相手がポケパワーを使うたびにポケパワーを使ったポケモンにダメージカウンターを二個乗せる」 「これぐらいのリスクなんてことないぜ。バシャーモで攻撃。わしづかみ!」 するどい腕でバシャーモがプテラの首根っこをガッシリ掴む。40ダメージしか与えられないが80しかないプテラには十分だ。 「この攻撃を受けたポケモンは次の番逃げられない」 「逃げる気はない」 「そうこなくちゃな。俺の番が終わったのでポケモンチェックだ」 石川は先ほどとは違いいたって普通にボタンを押す。その表情をチラと見たのだが少年のような笑みだ。さっきの怒りの心情が消えている。 アイツもこの勝負が楽しくて仕方ないんだ。 「残念だったが表だ」 「さあ、お前の番だぜ」 「俺のターン。プテラに草エネルギーをつけて攻撃。ちょうおんぱ!」 首根っこを掴まれたままのプテラが口を開き衝撃派を放つ。モニターを見るとダメージカウンターが五つに増えていた。残りHPは80。 しかしプテラの攻撃技はこのちょうおんぱだけだ。三ターンはもつ。 「ちょうおんぱの効果発動。相手を混乱にする」 バシャーモの頭の上には分かりやすいエフェクトが。頭の上をアチャモがピヨピヨ駆け巡っている。わしづかみの効果も終わり、バシャーモはプテラの首を離す。 「だがお前の番が終わったためポケモンチェックだ」 「……、また表だ」 悪運の強い奴だ事。 「俺のターン。バシャーモに炎エネルギーをつける」 手札にアチャモがあるがベンチには出さない。メリットがないからだ。 もしも俺のアチャモをバトル場に引っ張り出すカードがあったりするとHPの少ないアチャモが一瞬でおじゃんして負けてしまう。それよりこのバシャーモで戦った方が賢明だろう。 「バシャーモで攻撃。ほのおのうず!」 「しかし混乱の判定をしてもらおう。ワザを使うあるいは逃げる時にコイントスをして表なら成功。ただし裏なら失敗の上ダメージカウンター三つだ」 「……、裏」 バシャーモにダメージカンターが三つ増え、残りHPが50。三ターン持つつもりだったがこれじゃあ全然持たない。 「プテラのポケモンチェック。……、裏なのでダメージカウンター二つ乗せる」 しかし相手も同じく限界に近づく。プテラも残りHPが20、互いに状態異常のコイントスによって決着がつきそうになる。 「俺のターン。ちょうおんぱ!」 口から発せられる衝撃波。音は聞こえないのが妙に理屈。 これで本当のイーブンだ。 次の俺の番に攻撃する際、裏が出れば俺の負け。だが次のポケモンチェックで裏を出す、あるいは攻撃する際表が出れば勝ち。 「ポケモンチェック!」 近視でもなく視力に自信があるのだがそれでも目をモニターに近づける。 「表!」 声を強めた石川だが、心底ホッとしているのだろう。 「俺のターン。バシャーモで攻撃。混乱判定だ!」 人差し指を伸ばし、ボタンを押す。それにしてもこの大会、ほとんどコイントスでの運勝ちだ。風見とは大違い。 でもまだこの大会が終わるまでツキは終わってほしくない。 「……。表だああああ! ほのおのうず!」 歓喜の声をあげ、高らかにワザ宣言。俺の声に呼応してバシャーモがプテラに向けて攻撃を放つ。 負けが決まった石川の顔は怒ってはいない。むしろ笑っていた。
試合終了のブザーが鳴り響く。カードを片づけると、ドーム天井を意味なく見つめている石川を見つける。 「楽しいバトルだったぜ」 「ああ。あんなに願っていた夢だけど、負けてもなぜか悔しくない。むしろ清々しい」 「さっきとは大違いだ」 「……。奥村、頑張れよ。いや、お前にエールを送るなら楽しめよ。のほうが正しいか」 「翔でいいよ。名字で呼ばれるよりこっちの方が好きだからな」 最後にカードの束をトントンと明るい音を鳴らして揃え、ステージから去る。 しかし、ふと何を思ったのだろうか。ステージに再び戻ってカードの整理をしている石川に向けてこんなことを言ってしまった。 「やっぱりお前は笑っている方がいいな」 石川がどんな顔をしているのかは見なかった。いや、見なかったことにしよう。
翔「今日のキーカードはふしぎなアメ! たねポケモンから一気に2進化ポケモンにもなれるぞ! 2進化ポケモンが多いデッキには必須のカードだ。
ふしぎなアメ トレーナー (DP4) 自分の「進化していないポケモン」を1匹選び、そのポケモンから進化する「1進化カード」、またはその上の「2進化カード」を、自分の手札から1枚選ぶ。その後、選んだ「進化カード」をそのポケモンの上にのせ、進化させる。
─── 一度バトルを書き始めると楽だが、書き始めるまでにデッキ考えたりとかあるからしんどい このバトルは0プロットなのにかなり盛り上がりました。 まぁ逃げるとかそういう戦略要素ないけど
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恭介出動! 初心者と熟練者 ( No.29 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:18
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「あたしのターン!」
相手のサイドはすでに一枚。それに対してこちらは二枚。形勢は圧倒的不利。 「オーダイルに水エネルギーをつけて攻撃。はかいのしっぽ!」 オーダイルがガブリアスに襲い掛かる。 「ガブリアスはこれで気絶。サイドを引いて終わりよ」 「俺のターン。ボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンの効果によりオーダイルのHPが130なのでワザに必要な無色エネルギーが必要無くなる。これで最後だ。じょうきのうず!」 オーダイルのHPが尽きる。最後のサイドをとったようで、試合終了のブザーを鳴る。 「ここまで、か」 負けてしまった。ステージからチラと見えた翔の顔は困惑でいっぱいだった。泣き出したい気持ちだが、そんなことをしたらとてもじゃないが翔が潰れてしまいそうだ。笑顔で翔の元に帰ることにする。 「ごめんね、負けちゃった」
翔の姉ちゃんも負けちゃったか、やっぱり皆仲良く勝ち上がるのはさすがに無理だった。 でも俺も百合のためにも負けられない。もうある種のデスゲームだ。こんなはっきりしたトーナメントに出場するのは実は初めてである。 召集の放送がなったのでステージに立つ。俺の相手は小太りの男性である。成人してそうだ。ネームプレートは喜田敏光。脂汗は光っている。 「よろしく」 首を縦に振るだけで無反応。なんだかやりにくそうだ。 開始の合図がなる。俺は後攻だ。 相手の最初のバトルポケモンはペラップ。俺のバトルポケモンはヒートロトムだ。ベンチポケモンは俺はエレブー。相手はなし。 「お願いします!」 「えっと、俺のターン。ペラップに超エネルギーをつけてさきどり発動。山札からカードを一枚引く」 まずはカード補強か。翔はよく、「カード(手札)が多ければそれだけ戦略のパターンが増える」と言っていたな。 「俺のターン。ヒートロトムに雷エネルギーをつけてトレーナーカード発動。ゴージャスボール。山札から好きなポケモンを手札に加える。俺はエレキブルを加えるぜ」 ゴージャスボールはノーリスクでポケモンを選べる強力なドローカードである。しかしその分弱点もあり、ゴージャスボールがトラッシュにあるとき別のゴージャスボールは発動できない。つまり基本的に一回だけ使えるという代物だ。 一方でヒートロトムを見つめる。 ロトムの強みはなんといってもポケパワー。それぞれのフォルムによっていろんなタイプになることができる。ヒートロトムのポケパワー、ヒートシフトを使うと自分の番の終わりまで炎タイプになれるのだ。これで草タイプのポケモンは倒せるのだが、相手はペラップ。いちいちポケパワーを使わなくても相性がいい。 ……とはいえ、ヒートロトムがワザで攻撃するにはエネルギーが足りない。まずはチャージ。 「ヒートロトムの攻撃、あたためる。自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける!」 チンと電子レンジ特有の心地よい音をロトムが放つ。そして自らが宿る電子レンジの扉を開くと炎エネルギーのマークがどことなく現れ、エレブーに吸収される。 「俺の番。ラルトスを場に出して超エネルギーをつける。そしてサポーターカード、ミズキの検索発動。手札を一枚山札に戻し、その後山札のポケモンを選んで手札に加える。キルリアを手札に加える」 かなり流暢な手つきだ。熟練していそう。 「ペラップのさきどりを発動」 再びドローだ。ペラップはエネルギーひとつでもう一つ別の技が使える。おんちという技でコイントスして表なら相手を混乱させる。ただ、10ダメージしかない。そう、10ダメージしかないのだ。俺のヒートロトムは無色タイプに抵抗力をもっているため、いくらおんちを使われてもダメージはない。その点正しいといえるだろう。 「俺のターン! よっし、まずはエレブーをエレキブルに進化させて、ヒートロトムに雷エネルギーをつける。つづいてウォッシュロトムをベンチに出すぜ」 あっという間に手札は三枚。ウォッシュロトムはポケパワーウォッシュシフトで水タイプになれるロトムである。 「エネルギーつけかえを発動。エレキブルについている炎エネルギーをヒートロトムにつけかえる。これでヒートロトムで攻撃できるぜ。ヒートロトムで攻撃、ねつでこがす!」 ヒートロトムが再び電子レンジの扉を開く。今度はそこから熱風がペラップを襲いかかる。 「40ダメージと弱点により10ダメージ追加。合計50ダメージだ! さらにねつでこがすの効果によりペラップは火傷状態になる!」 ペラップのHPはこれでわずか10。ポケモンチェックで失敗するとあっという間にお釈迦のHPだ。 「さあ、ポケモンチェックだ。ペラップの判定をしてもらうぜ!」 今まで何のミスもない。順調順調! 鼻歌も出るぜ。 「……表なのでダメージなし」 があああ、なんだよー。そこは裏が出るとこだろ。まあどうせ山札からカードを引くだけなんだし怖くない。 「俺の番。ラルトスをキルリアに進化させ、超エネルギーをつける。続いてトレーナーカード発動。ポケモン図鑑HANDY910is!」 「ポケモン図鑑はんでぃきゅういちぜろ……なんだそれ」 「自分の山札のカードを上から二枚確認し、そのうち一枚を手札に加えてもう一枚を山札の下に戻す」 なんだ、たった一枚だけ引くのかよ。それならもっといいサポーターとかでたくさんドローすればいいのに。 「ペラップの超エネルギーをトラッシュし、ペラップをベンチに逃がす」 え。ええええ!? ちょっとなんで逃がすんだよ! 「キルリアをバトル場にだし、サイコリサーチを発動。このワザの効果は自分のトラッシュのサポーター一枚と同じにする。ミズキの検索を発動!」 効果説明は割愛。またポケモンを手札に加えやがった。今度はサーナイトだそうだ。 「くそっ、俺のターン」 なんとかあのペラップを倒せないものか。そして引いたカードは……。 「よっしゃあ! まずそこのペラップから倒してやる!」
翔「今日のキーカードはヒートロトム! なんと炎タイプにもなれる! 相手の弱点を狙っていこう!
ヒートロトムLv.46 HP80 雷 (DPt2) ポケパワー ヒートシフト 自分の番に一回使える。この番の終わりまで、このポケモンのタイプは炎タイプになる。 無色 あたためる 自分の山札の炎エネルギーを一枚、自分のベンチポケモンにつける。その後、山札を切る。 炎無色無色 ねつでこがす 40 相手をやけどにする。 弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる エネルギー1 ─── 怒濤の更新ラッシュもここまでかな? 新学期始りますた。うわああああ
石川薫の使用デッキ 「夢への願いと古代の化石」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-646.html
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(カードへの)愛VS(彼女に対する)愛 ( No.30 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:18
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「手札のサポートカードを発動。プルートの選択! このカードの効果によって俺のロトムはダメージカウンターとエネルギーをそのままにしてフォルムチェンジができる。ヒートロトムを山札に戻し、フロストロトムを場に出すぜ!」
これがペラップ撃破への秘策。ロトムは電子レンジから離脱し、普通のロトムに戻る。ロトムがいなくなった電子レンジはふっとその場から消えると、代わりに冷蔵庫が現れた。飛び付くようにロトムは冷蔵庫に入り込み、フロストロトムの誕生である。 フロストロトムはポケパワー、フロストシフトで水タイプになることができる。が、やはり不要だ。 俺の場には炎一枚雷二枚の基本エネルギーがついたフロストロトム、ベンチにはそれぞれエネルギーなしのエレキブルとウォッシュロトム。全員無傷だ。手札は残り二枚。 相手の場には超エネルギー二枚ついている無傷のキルリアとHPの残りがわずか10のペラップ。手札は四枚。 ベンチにいるペラップの息の根を止めるのはヒートロトムには出来なくてフロストロトムには出来る技術だ。 「さらにベンチのウォッシュロトムに水エネルギーをつける! そしてフロストロトムで攻撃、あられ!」 あられというにはおこがましい、フロストロトムが冷蔵庫の扉を開くとそこから氷が相手側全方位に叩きつける。 「あられは相手のポケモンならばベンチだろうと届く技! 全員10ダメージだ。ペラップ撃破!」 ワザを受けたペラップが倒れ、喜田は「ああっ」という情けない声をあげる。 「サイドを一枚引いてターンエンドだぜ」 相手はむむぅと小さな声をあげる。 「俺の番。キルリアをサーナイトに進化させて超エネルギーをつける。サーナイトで攻撃、サイコロック!」 フロストロトムにサーナイトの念波が直撃する。冷蔵庫ごと後ろへ飛ばされてしまう。 「サイコロックを受けた君はポケパワーが使えなくなる!」 「うげっ、ロトムだけじゃないの!?」 「そういうことだ」 ポケパワー封じとは。ロトムはもちろん、発動条件が満たせていないがベンチのエレキブルだってポケパワーを使えるんだ。 それごと封じられるのは面倒。しかし、どうしようにも出来ないのも事実。 「俺のターン、ドロー!」 またエネルギーつけかえだ。だが今このタイミングで来たのは非常にいいタイミングである。 というのも、フロストロトムのもう一つの技は水エネルギーが必要なのだ。悪いがフロストロトムにはここでは壁になってもらう。 「雷エネルギーをエレキブルにつけて、エネルギーつけかえを発動。フロストロトムの炎エネルギーをウォッシュロトムにつけかえる。そして攻撃だ! あられ!」 しかしわずか10ダメージ。サーナイトはまだ90も残っていてピンピンしている。 「俺の番、ポケモン図鑑HANDY910isを発動。山札の上から二枚を見て、一枚を手札に、もう一枚を山札の下に置く。そしてサーナイトで攻撃! サイコロック」 攻撃をくらったフロストロトムは再び後ろへ吹っ飛ばされる。冷蔵庫から命からがらロトムは脱出するも、力果てる。俺は新しいバトルポケモンにウォッシュロトムを選択する。 「サイドを一枚ひく」 「俺のターン!」 エレキブルのポケパワー、でんきエンジンはトラッシュに雷エネルギーがあるとき、自分の番に一回だけ雷エネルギー一枚をエレキブルにつける効果だ。 だがサーナイトのサイコロックでそれは阻まれている。 「だったらバクのトレーニングを発動! 山札からカードを二枚引く。そしてエレキブルに雷エネルギーをつけてウォッシュロトムで攻撃だ! だっすい! このワザは30しかダメージが与えられないが、コイントスを裏が出るまでできる。そしてその数だけ手札をトラッシュさせるぜ!」 コイントスを起動する。……表、表、裏。 「よし、それじゃあ一番左とその二つ隣だ」 「ああ、ラルトスとサーナイトLV.Xたんが!」 ……たん? なにも聞いてないよな。 「これでサーナイトの残りHPも50だぜ」 「俺の番! 手札のポケモンレスキューを発動! トラッシュのポケモンカードを手札に加える。俺はサーナイトLV.Xを選択し、サーナイトをレベルアップさせる!」 「なっ」 サーナイトが光の帯に一瞬包まれる。この3D投影ではLV.Xと普通のポケモンが大差ないのだ。わかりにくい。 「そしてサーナイトLV.Xにたつじんのおびを持たせる。たつじんのおびをつけたポケモンはワザで与えるダメージと最大HPが20増える!」 「だがその代り、サーナイトLV.Xが気絶したら俺はサイド二枚もひけるんだぜ?」 「サーナイトたんだけで勝負を決める! サーナイトのポケパワーを発動。テレパス! このポケパワーは相手のトラッシュにあるサポーターのカードと同じ効果を得る。俺は君のトラッシュにあるバクのトレーニングを発動。山札からカードを二枚ひき、このターンサーナイトLV.Xのワザの与えるダメージが10増える」 たつじんのおびとバクのトレーニングの効果ですでに+30。非常に辛い。一撃圏内である。 「そしてサーナイトLV.Xで攻撃。しとめる!」 技の宣言と同時に衝撃音が響く。はっと場を見渡すと、いつのまにかウォッシュロトムが倒れ伏していた。 「しとめるはこのサーナイトLV.X以外で残りHPが一番低いポケモンをきぜつさせる! つまり残りHP90のウォッシュロトムをきぜつ!」 「一撃で!?」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 マズい、次のターンで何か手を打たなければ負けてしまう。 「俺のターン! っしゃあああ! 行くぜ、エレキブルをレベルアップ!」 エレキブルは両腕でガッツポーズをとりながら光に包まれる。 「そしてエレキブルのポケパワー発動。でんきエンジン! トラッシュの雷エネルギーをこのポケモンにつける。そして攻撃。パルスバリア! 場の相手のポケモンのどうぐとスタジアムをトラッシュ! たつじんのおびごと粉砕だ!」 たつじんのおびが無くなったおかげでサーナイトLV.Xの最大HPが元に戻り、パルスバリアのダメージで残りHPはわずか20。 「でもあとわずか20だったね」 「それぐらいなんてことないさ」 「俺の番! でもここで終わりだ! しとめる攻撃!」 しかしさっきと同じ衝撃音は聞こえず、ガン! という鈍い音が響いただけだった。 「なんでエレキブルLV.Xは倒れない……」 「パルスバリアの効果だ。このワザの効果で相手のスタジアムかポケモンのどうぐをトラッシュしたとき、次の相手の番にこいつはダメージもワザの効果も一切受けない! 俺のターン、これで終わりだ、パルスバリア!」 サーナイトLV.Xが倒れ、サイドはまだもう一枚残っているが相手に戦えるポケモンがいなくなった。よって俺の勝ちとなる。 試合終了のブザーが響くと、俺は百合のほうに大きくガッツポーズをする。彼女は俺に微笑み返してくれた。 これだけでおなかいっぱいですともええ。
翔「今日のキーカードはエレキブルLV.X! エネルギーをのせた相手にダメージ! パルスバリアで守りながら攻めろ!
エレキブルLV.X HP120 雷 (DP2) ポケボディー ショッキングテール このポケモンがバトル場にいるかぎり、相手プレイヤーが、手札からエネルギーを出してポケモンに1枚つけるたび、そのポケモンにダメージカウンターを2個のせる。 雷無色 パルスバリア 50 場にある相手の「ポケモンのどうぐ」「スタジアム」を、すべてトラッシュ。トラッシュした場合、次の相手の番、自分はワザによるダメージや効果を受けない。 ─このカードは、バトル場のエレキブルに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 鋼−20 にげる エネルギー3
─── ポケモンカードゲームLEGEND発売決定おめでとう。 でもLEGEND導入するのは結構後。
喜田敏光の使用デッキ 「愛しのサーナイト」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-650.html
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風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて ( No.31 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:19
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 風見杯も三回戦、言い方を変えると準々決勝に進んだ。既に準決勝進出者も一人決まった。藤原拓哉だ。
同じ教室にいるが存在感も薄く、翔に無理やり言われて戦ったが初心者すぎて相手にならなかった。そんなヤツが準決勝進出だと? よっぽど相手が弱いか何かだろう。対戦は時間の都合が合わず見れていない。 準決勝ではないが準々決勝に長岡も進んだ。今年から始めたばかりという割には、見た感じセンスがある。 いざという時のドロー力は翔に似たものがあるが、言い方を変えればドロー力以外秀でたものがない。「もし」長岡が次の相手に勝てば俺との対戦だ。 時刻はすでに昼を回り二時。まだ昼食を食べていない。参加者の中にはコンビニでおにぎりやら何やらを買った奴がいるらしく、飲食禁止のエリアで食べている。そういう奴らは係員に注意され、飲食許可のエリアへ追いやられる。 俺もその飲食許可エリアへ足を向けている。昼飯のためではない、人に会うためだ。 「こんにちは」 ちょうど昼を終わらせたのか、薄っぺらいコンビニの袋を閉まっているスーツ姿の女性に声をかける。 身長はわずか百三十程度で、頭二つも差がある。必然的に相手は俺を見上げるようになる。 「あら、風見君」 「こんなところにいたんですね」 「さっきまでは見てたわ。大会は順調みたいね」 「お陰様で」 「大会進行頑張ってね係長さん?」 身長は俺の方が上だが位は彼女の方が上だ。株式会社クリーチャーズのカードゲーム部門を取り仕切る彼女の名前は松野藍(まつのあい)。 係長というのは俺の会社での役職である。 うちの会社は父が大学の仲間と共に作り上げた会社で、一代で成した会社だ。 そのせいか、俺には金持ちの暮らしというより普通の暮らしをさせたがっていた。だが母がそれに猛反発し、父が忙しいのをいいことに俺を母が勝手に買った館に押し込まれていた。 そんな感じで小学校、中学校と過ぎ去って行ったのだが高校生になってから急に父が俺の元にやって来て言い放ったのだ。「うちの会社に入れ」と。 平社員として自分の父の会社に入る。可笑しいかもしれないが、父のこの判断を俺は非常にいいと思う。無能な息子が社長が後を継ぐより、息子が平社員から、「自力で」社長になった方が信頼もいいだろう。父はもう俺を息子としてではなく普通の一社員として他の人と同じ目で見ている。 今まで人づきあいなどほとんどしなかった俺が、一般社会へと飛び込む。最初は特別扱いされるのが嫌だったが、だんだんうちとけていく。学校生活もある中、それでも同じ課の人たちは俺を「社長の息子」ではなく「仕事の仲間」として手助けしてくれた。俺の毎日は学校、仕事、(仕事の)勉強だけで過ぎ去っていくが不満は一つもない。今までの人生で一番充実している。 そしてこの風見杯は俺にとって非常に重要なプロジェクトだ。この3D投影機を実践で初投入する。 これが上手く行けばポケモンカードゲームの公式大会でも採用してもらえるのだ。社運がかかっていると言えども過言ではない。 その取引先というのがこの松野藍だ。 「でもこの調子だと係長さん、風見くんが優勝しそうね」 「そのときはそのときです。ですけど優勝できるとは思ってませんよ」 「君ほどの実力者でも?」 「彼です」 俺は翔のステージを指差す。相手は……、同じクラスのあの転校生か。黒川唯、彼女はここ一番では強くないが安定した実力の持ち主。 丁度彼女がドンカラスをレベルアップさせたところのようだ。レベルアップさせると月光のスタジアムの効果で逃げるエネルギーなしでベンチに逃がしてヤミカラスへ交代させる。 ドンカラスにエネルギーがついていればポケボディー「やみのいでんし」でヤミカラスはエネルギーなしでドンカラスのワザを使える。考えられたいいコンボだ。 「注目選手みたいね」 「すでに一度負けてましてね」 「なるほど。是非ともお手合わせ願いたいわ」 「いずれ戦えるでしょう。どうせ春の大会には出るんでしょう?」 「もちろんよ」 翔のゴウカザルは攻撃に耐えきり、逆にいかりでヤミカラスを倒した。サイドが一枚になりリーチがかかる。 「本当にいい腕してるわね」 「デッキの回転の良さと、ここ一番の引きのよさ。そしてなによりコイントスが強い」 「過大評価」 「そうでもないですよ。本当に彼は強い」 「名前は?」 「奥村翔」 翔の名前を告げると、藍の表情が驚きに包まれる。 一方で黒川唯はドンカラスLV.Xのやみのはばたきで攻撃し、ゴウカザルを撃破した。やみのはばたきはこのワザで相手を気絶させたときトラッシュのカードを手札に加えることができる効果を持つ。ここからでは見えないがいいカードを手にしたのだろう。これで両者サイド一枚だ。 「奥村さんの息子ね……」 「翔の父と知り合いですか?」 「私の前任よ。非情に優しく朗らかな人だったわ。飛行機の交通事故で亡くなられた時はショックだった。今でも思い出すときついわ」 藍は目を手で覆い伏せる。 「……」 何か声をかけようとしたが声をかけられない。覆われた手の隙間から見えた彼女の瞳には涙が浮かんでいたのだった。 こういう時はどうすればいいか分からない。 仕方ないので翔の試合を再び見る。バシャーモにたつじんのおびをつけたようだ。勝負は決まった。 バシャーモの攻撃でドンカラスLV.Xは一撃で倒されてしまった。ドンカラスLV.Xが3Dから消えると試合終了のブザーが鳴り響く。 「さて、出番なので行ってきますね」 「君は……」 「うん?」 藍が俺を声で呼びとめる。彼女の眼には既に涙は消えていた。 「彼に負けて悔しいなどの気持ちを知った。そして、奥村くんに負けて君は人と触れ合うことを知った。これからもカードを通していろんなモノを学んでいって欲しいわね」 「さすが松野さん。おっしゃることが違う」 「応援してるわよ」 俺は今、彼女に応援されることを知った。 こうなれば翔には負けてられない、俺は意を決してステージへ足を向けた。
翔「今日のキーカードはドンカラスLV.X! やみのはばたきで敵を倒し、 使ったトレーナーやサポーターをサルベージ!
ドンカラスLV.X HP110 悪 (DP4) 無無 だましうち 相手のポケモン1匹に、そのポケモンの弱点・抵抗力・すべての効果に関係なく、40ダメージ。 悪悪無 やみのはばたき 60 このワザのダメージで、相手の残りHPがなくなったとき、のぞむなら、自分のトラッシュのカードを1枚、相手プレイヤーに見せてから、手札に加えてよい。 ─このカードは、バトル場のドンカラスに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 雷+30 抵抗力 闘−20 にげる なし
─── バトルツアー09行ってきました。
でりでりの使用デッキ 「でりでり09」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-652.html
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準決勝への道のり 至上命令! ( No.32 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:19
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 開始のブザーが鳴り勝負が始まる。
準々決勝第三試合。相手は田嶋玲子、俺よりも年齢が高いようだ。この準々決勝には中学生以下は一人も残っていない。やはりカードは財力とプレイングが大きく物を言うためであろう、年齢の低いものから抜けていく。 ふたを開けるとこうなるのは大会をする前から分かっていた。 「私のターン。ドロー!」 今回の先攻は相手からだ。相手のバトル場にはラプラス。俺のバトル場にはフカマル。互いにベンチにはまだポケモンがいない。 「シェイミをベンチに出し、ラプラスに水エネルギーをつけて、はこびこむ! 山札から『ポケモンのどうぐ』、『サポーター』、『基本エネルギー』を手札に加えるわ。草エネルギーとミズキの検索、しあわせタマゴを手札に加えてターンエンド!」 まずは堅実に準備から入ってきたようだ。 「俺のターン、ドロー!」 手札が進化系のカードばかりで動くに動けない。 「フカマルにコールエネルギーをつける。そしてこの瞬間にコールエネルギーの効果が発動! 自分の山札からたねポケモンを二匹までベンチに出す! タツベイを二匹を山札からベンチに出させてもらう」 ベンチエリアに隣同士でタツベイが並ぶ。 「コールエネルギーの効果を発動した場合、自分の番は終わる。ターンエンドだ」 「私のターン、手札のサポーターカードを発動。ミズキの検索!」 先ほどの番に手札に加えたカードをすぐさま発動か。ミズキの検索は自分の手札を一枚戻す代わりに山札から好きなポケモンを手札に加えれるカード。何を引いてくるか。 「手札を一枚戻して、私はエンペルトを手札に加えるわ! そして不思議なアメ発動! ポッチャマをエンペルトに進化させる!」 光の帯がポッチャマを包むとポッチャマはシルエット状態のまま姿を変えていく。見慣れたエンペルトのフォルムを形成すると、跡形残らず光の帯はスッと消えていった。 「エンペルトに水エネルギーをつけてラプラスのはこびこむを使うわ! 再び草エネルギーとしあわせタマゴ、ミズキの検索を手札に加えてターンエンドよ」 また同じカードをサーチ……。相手の手札はもうすでに八枚ある。そろそろ次のターンから一気に攻撃をしかけてくるだろう。 「俺のターンだ! 俺はベンチのタツベイを二匹ともコモルーに進化させる。そしてフカマルに炎エネルギーをつけてこちらも不思議なアメだ!」 ポッチャマと同じエフェクトがフカマルにも起きる。先ほどの小さなフカマルから大きなガブリアスに変わる瞬間は圧巻である。 「そして手札のサポーター、デンジの哲学を発動。手札が六枚になるまで山札からカードをドローする。今の俺の手札は一枚。よって五枚ドロー!」 ボーマンダ、ガバイト、炎エネルギー二枚、水エネルギー一枚。あまり好い引きとは言えまい。 「ガブリアスで攻撃。ガードクロー! このワザは相手に40ダメージを与えるとともに、次のターンに受けるダメージを20軽減する!」 ガブリアスの翼がラプラスの首めがけて襲いかかる。ドーンという派手な音で視覚にわずかにイマジネーションを与える。これでラプラスの残りHPは40。次のターンには撃破できるだろう。 「私のターン! もう一度ミズキの検索を発動! 続いてゴージャスボールも発動するわ」 ゴージャスボールは山札から好きなポケモンを一枚手札に加える優秀なカード。ミズキの検索も同じサーチカードなのでこのターンで手札に任意のポケモンが二匹加わることになる。 「エンペルトに水エネルギーをつけ、ベンチにチコリータを出すわ。ラプラスの水エネルギーをトラッシュしてエンペルトを新たにバトル場に!」 ラプラスとエンペルトはそれぞれ自分の足で入れ替える。ここで下手に犠牲を出すより即座に攻勢に移るのは非常に上手い。 「エンペルトをレベルアップさせるわ! そしてエンペルトLV.Xのポケパワーを発動。しじょうめいれい!」 ポケパワー宣言とともにエンペルトが右の翼で俺を指す。と同時に、青いレーザー光線のようなものが二本俺の手札に突き刺さる。 「しじょうめいれは自分の番に一回使える。相手の手札を表を見ずに二枚選んでそのカードを相手の番の終わりまで手札として扱わずバトル場の横に置いてもらうわ!」 手札封じ。ボーマンダと炎エネルギーが持って行かれた。次のターン即座に進化しようと思っていたが封じられてしまう。 「エンペルトLV.Xで攻撃。氷の刃!」 エンペルトは地面スレスレを凄まじい速度で滑ると、バトル場のガブリアスではなくベンチのコモルーに右の翼を振り下ろす。 「ベンチポケモンに攻撃する技か!」 「そうよ。そこのコモルー一匹は40ダメージを受けて残りHPもちょうど40。次の攻撃が通ればそのコモルーは気絶ね」 ここに来てしじょうめいれいがジワジワ効いてくる。もし、次のターンになんらかでボーマンダを手札に加えることができれば最大HPが変わるためすぐには気絶しなくなる。しかしボーマンダが引けなければ次のターンにエンペルトの攻撃でやられてしまう。 「俺のターン!」 引いたカードはゴージャスボール! 山札からボーマンダを選択すればコモルーが次のターンに気絶することはなくなる! 「ゴージャスボールを発動だ!」 相手は眉をひそめる。誰だって同じアクションを起こすだろう。 「山札から……」 残り十枚になった山札を探すが、そこにはボーマンダの姿がない。確かにこのデッキにはボーマンダが二枚あるはずだ。しかし一体どこに……。 山札と手札、トラッシュになければもう残っているのは一つだけだ。 「サイドか!」 声が聞こえたらしく、相手はひそめた眉を元に戻し、今度は余裕の笑みへ変わる。 「くそっ、フカマルを手札に加える! ガブリアスに水エネルギーをつけて攻撃だ。スピードインパクト!」 ガブリアスが頭からエンペルトLV.Xに突撃していく。会場に衝撃音が響きわたる。 「スピードインパクトは120ダメージだが、相手のエネルギーの数かける20ダメージ分のダメージが軽減される。エンペルトLV.Xには水エネルギーが二枚ついているので80ダメージ!」 最悪の状況はしのいだ。もしコモルーが倒されても次のターンでエンペルトLV.Xは倒せる。エンペルトLV.Xの残りHPは60なので次のターンにエネルギーをつけられてもキッチリ60ダメージだ。 そしてしじょうめいれいでハブられたボーマンダと炎エネルギーが再び手札に戻ってくる。 「私のターン。草エネルギーをシェイミにつけるわ」 いい切り替えだ。無理をせずに次のポケモンを育てる。さすがここまで勝ち進んだことはある。 「チコリータをベイリーフに進化! そして手札から、レベルMAXを発動!」 「レベルMAXだと……?」 「コイントスをしてオモテなら自分の山札からLV.Xのポケモンを一枚選べ、自分のポケモンに重ねることができるわ。コイントス!」 相手のベンチはシェイミとラプラスとベイリーフだ。LV.Xがあるカードはシェイミ。シェイミのレベルアップを狙っているのだろう。 通常レベルアップはバトル場でしか行えないのだが、このカードの効果でベンチでもレベルアップすることができる。 「オモテね。シェイミをレベルアップさせる!」 シェイミLV.X。中々厄介なポケモンがやってきた。手札を持つ左手に手汗が滲む。
翔「今日のキーカードはエンペルトLV.X! しじょうめいれいで相手を押えろ! ハイドロインパクトで大ダメージだ!
エンペルトLV.X HP140 水 (DP1) ポケパワー しじょうめいれい 自分の番に1回使える。相手の手札を、オモテを見ないで2枚まで選ぶ。選んだカードは、ウラのまま相手のバトル場の横におき、手札としてあつかわれない。次の相手の番の終わりに、それらのカードを相手の手札にもどす。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 水水水 ハイドロインパクト 相手のポケモン1匹に80ダメージ。次の自分の番、自分はワザを使えない。 ─このカードは、バトル場のエンペルトに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水+30 抵抗力 にげる エネルギー2
─── シルバーウィークの間にもう一話ぐらい更新したい……!
奥村雫の使用デッキ 「エネジックアクア」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-656.html
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打倒シェイミLV.X 運と運で……! ( No.33 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:20
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- シェイミLV.Xの厄介さはなんといってもポケボディーであるかんしゃのきもち。シェイミLV.X以外の草ポケモンの最大HPを40も増やしてしまうのだ。
40はバカにならない。バカみたいな上昇幅だ。お陰様で相手のベンチのベイリーフの最大HPは80だったのが120まで上昇する。 そして厄介なのはもう一匹いる。 「エンペルトLV.Xのポケパワー、しじょうめいれいを使うわ」 再び先ほどと同じエフェクト。エンペルトLV.Xから発された青いレーザーには再びボーマンダのカードが含まれていた。 「エンペルトLV.Xにポケモンのどうぐ、しあわせタマゴをつけて攻撃。氷の刃!」 残りHP40のコモルーにとどめの一撃。コモルーはその丸っこい体が吹っ飛ぶと、そのまま力なく倒れ消えていく。 「サイドを一枚引くわ」 先にサイドを取られるのはとても大きい。取ったほうは勢いに乗れるし、取られたほうはプレッシャーになる。 次のターンでエンペルトLV.Xを倒せるとしても確実に後手にまわっている。 「ドロー! コモルーに炎エネルギーをつける。ガブリアスで攻撃、スピードインパクト!」 残り60のエンペルトLV.Xにとどめを刺した。俺もサイドを引く。引いたサイドはボーマンダ。自分の番が終わったため手札にボーマンダが被る。トラッシュにすでにコモルーがいるので一枚余計になってしまった。 そしてエンペルトLV.Xについていたしあわせタマゴの効果発動。このカードをつけているポケモンが相手のワザによって気絶させられたときに手札が七枚になるようドローするカードだ。相手はこれで三枚ドローできる。 相手の次のポケモンはシェイミLV.Xである。少々意外だ。シェイミLV.Xが倒れると、かんしゃのきもちは意味がなくなってしまう。 「私のターン。ベイリーフをメガニウムに進化させる。そして手札の草エネルギーをシェイミにつけてトレーナーカードを発動。エネルギーパッチ! コイントスをしてオモテならトラッシュのエネルギー一枚を自分のポケモンにつける」 コイン判定は表だった。 「水エネルギーをシェイミLV.Xにつけるわ。シェイミLV.Xで攻撃。シードフレア!」 シェイミの背中から緑色の波紋が発せられる。 「シードフレアの効果で手札の草エネルギーを三枚メガニウムにつけるわ! そして三枚つけることによってシードフレアのダメージが上昇。つけた草エネルギーかける20ダメージが追加され、100ダメージ!」 波紋と同時に目の前が揺れているような感覚を覚える。 シェイミLV.Xのもう一つの厄介な点、シードフレアだ。草エネルギー限定だがつけ放題はいくらなんでもやりすぎである。 ガブリアスは100もダメージを受けたため残りHPは30。次は耐えれない。 「しかしこの瞬間、ガブリアスのポケボディー発動。りゅうのいあつ! ガブリアスに攻撃をしたポケモンのエネルギー一枚を手札に戻す。俺は水エネルギーを手札に戻させる」 だがもう止まらない。流れは完全に向こうだ。 「俺のターン!」 引いたカードはガブリアスLV.X。一見逆転のドローに見えるがまったくもってそうでもない。 「俺はコモルーをボーマンダに進化させ、ベンチにフカマルを出す」 今引いたカードが水エネルギーだったとする。それをボーマンダにつける。ガブリアスは逃げるエネルギーが不要なのですぐさまボーマンダに交代する。 相手のベンチにはかんしゃのきもちの効果でHPが170となったメガニウムがいるのでボーマンダのポケボディーであるバトルドーパミンが発動可能となる。 バトルドーパミンによってじょうきのうずが炎と水エネルギーだけで使用できるので、シェイミLV.Xを一撃で倒せるのだ。 だが残念ながら水エネルギーはない。次のターンにシェイミはベンチに逃げるだろう。 「ボーマンダに炎エネルギーをつけてガブリアスをレベルアップさせる。そしてレベルアップした瞬間にポケパワー、りゅうのはどうを発動。このカードがレベルアップしたとき、コインを三回投げてオモテの数ぶんのダメージカウンターを相手のベンチポケモン全員に乗せる」 表、裏、表。ガブリアスが口を開くとこちらも波紋が周囲に広がる。波紋はシェイミLV.Xを通過してベンチ組にヒット。これにてベンチのラプラスとメガニウムに20ダメージずつ。しかしラプラスは残り20、メガニウムに至っては150もある。 「クソっ、ガブリアスLV.Xで攻撃。スピードインパクト!」 シェイミLV.Xにはエネルギーが二枚なので80ダメージ。これまた残りHP20でギリギリ残ってしまうのだ。 このデッキの弱点はベンチには手が出せないこと。このガブリアスLV.Xのポケパワーでしかダメージを与えられないのだ。 つまりHPがヤバくなっても逃げてしまえばとどめが刺せない。 「私のターン。水エネルギーをトラッシュしてシェイミLV.Xを逃がし、メガニウムを場に出すわ。メガニウムの攻撃。かじばのいちげき!」 メガニウムがこれまた頭から突っ込んでくる。車にはねられたかのようにガブリアスLV.Xの体は吹っ飛び、そのまま地面に大きな音を立てて倒れこむ。 「サイドを引いて、ターンエンド」 やけに自信に満ちた笑みである。 「俺のターン、ドロー!」 カードを引いた瞬間、急にブザーが鳴る。音源を探すと、隣のステージの試合が終わったようだ。長岡が拳を天井に向かい突き上げている様子をみると、勝ったようだ。今戦っているこの第三試合が最後の準々決勝。長岡もきっと俺の試合を見るだろう。無様な姿は見せられない。 「行くぞ! 手札の水エネルギーをボーマンダにつける。ポケボディーのバトルドーパミンによってワザエネルギーの無色エネルギーが不要になるのでじょうきのうずがエネルギー二つで使用できる。じょうきのうず!」 白い渦がメガニウムに向けて吹き荒れる。最初に170あったHPももう残り30まで削れた。 余程のことがない限り、この勝負は逆転が可能だ。炎と水エネルギーをトラッシュしたがまだ、炎エネルギーが一枚残っているのでかえんが使える。効果はないが50ダメージ与えれば十分である。 しかしその余程というのはメガニウムのウルトラパウダー。ワザ威力は20と少ないが、コインを三回投げて一回目が表ならどく、二回目ならやけど、三回目ならマヒにすることができる。 どくややけどはともかくマヒにされてしまうと本当に勝負がどうなるか。 マヒを食らうと逃げれない上にワザも出せない。状態異常回復系のトレーナーカードは一枚も入れてないのでなんとも。 「私のターン! メガニウムで攻撃。ウルトラパウダー!」 もしもここで三回目のコイントスがウラだと勝負はまだ終わらない。しかしマヒに出来なければ相手は余程のことがない限り詰みだ。 「……表、裏、裏」 メガニウムが首の花から花粉のようなものを撒き散らす。ボーマンダがなった状態異常は毒だけだ。 相手に見えないように右手の拳を小さく、強く握る。 「ポケモンチェックで毒のダメージを乗せる。そして俺のターンだ。ボーマンダに水エネルギーをつける」 このメガニウムが倒れるとバトルドーパミンの効果がなくなる。しかしかえんのワザエネルギーは炎と無色エネルギー。これでかえんはいつでも発動可能。次にラプラス、シェイミLV.Xが来ても一撃の圏内だ。 「ボーマンダで攻撃、かえん!」 先ほどの白い渦とは違い、口から真っ赤な弾が発せられる。大きな音を立ててメガニウムに被弾させる。 「メガニウムはこれで気絶。サイドを引いて終わりだ。ボーマンダに毒のダメージを乗せる」 相手の最後のポケモンはシェイミLV.X。すでにHPは20しかない。その一方でボーマンダはまだ100もある。相手の残りの山札は二枚。シードフレアでエネルギーを三枚つけられない限りなんとかなる。ダメージエイドを食らってもギリギリ20で耐えきる。 こういう、相手の勝利の可能性がまだ潰えていない時が非常に怖い。相手の一挙動が非常にスローに感じられ、自分の思考スピードが加速する。 負けてしまうのではないかという不安、いや、大丈夫だという根拠のない自信、そしてただの神頼み。 「私のターン!」 なんにせよこれが相手にとって最後のドローとなる。 歯と歯を強く噛み合わせる。目にも力が入る。目だけではない、体のあらゆるところに力が入ってしまう。 相手はなかなか動かない。必死に考えを巡らしている。共にジリ貧のようだ。そして彼女の出した結論は、 「……降参」 その宣言と同時にブザーが鳴り響く。相手はチラと俺に向けて自分の手札を見せるも、草エネルギーは一枚しかない。あとはトレーナーカードばかりだが、どれも逆転につながりそうなカードはなし。手札を裏向けると彼女はカードをさっさと片付けて潔く帰って行った。 俺もステージを降りると、翔と長岡がいた。二人は談笑していたが、長岡は俺を見かけると失礼にも俺を指差しこういう。 「俺はお前に絶対勝つぜ! 勝って翔と戦うからな!」 「ふん、貴様がここまで来た実力は認めてやるが、俺には到底及ばん。そのことを後で骨身に教え込んでやる」 不思議な奴だと思う。先ほどまで安堵の気持でいっぱいだったのだがこいつの今の一言で、普段の自分へシフトされる。 楽しい準決勝になりそうだ。
翔「今日のキーカードはシェイミLV.X! かんしゃのきもちで草タイプを支援! シードフレアでエネルギーをつけまくれ!
シェイミLV.X HP100 草 (破空) ポケボディー かんしゃのきもち 自分の場の草ポケモン全員(「シェイミ」はのぞく)の最大HPは、それぞれ「40」ずつ大きくなる。自分の場で、すでに別の「かんしゃのきもち」がはたらいているなら、このボディーははたらかない。 草無無 シードフレア 40+ のぞむなら、自分の手札の草エネルギーを好きなだけ選び、自分のポケモンに好きなようにつけてよい。その場合、つけたエネルギーの枚数×20ダメージを追加。 ─このカードは、バトル場のシェイミに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 炎×2 抵抗力 水−20 にげる エネルギー1
─── 今年中に風見杯編終わりそうです。いや、終わらせます。
田嶋玲子の使用デッキ 「玲子スペシャル」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-661.html
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恨み ( No.34 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:20
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 緊張してきた。何もないのになにかと辺りをキョロキョロ見渡したり、手を握って開いたり。
こんなにジーッとしていられなくなるとは思わなかった。緊張すること自体久しぶりなのだが緊張するってこういうことだっけか。 あと二回勝てばいいんだ。あと二回。まずは準決勝、同級生の藤原拓哉を倒すんだ。 そう、藤原拓哉。なぜ準決勝にいるのか。悪いがとてもじゃないがここに勝ちぬけるような実力の持ち主ではない。 運だけではまず予選は抜けれない。準決勝となればなおさらである。まず予選をいち早く抜けるという時点でずっと疑問になっていた。 『準決勝第一試合を始めます。選手は試合会場七番にお集まりください』 考えても仕方ない。とりあえず今は出来ることをするんだ。
3D投影機は大きい。その大きさ故にプレイヤー同士は非常に遠くにいることになる。普通の大会ならばテーブルの向かいで非常に近いのだが視力が悪いと相手の顔が見えない。 「拓哉、よくここまで来たな! 俺とお前で楽しい勝負にしようぜ!」 遠いとはいえたかが知れている。声が聞こえない訳がないはずだが、拓哉からは一切の返事がない。 「……」 仕方なくデッキをシャッフルし、手札を引いたりサイドを用意するも拓哉は一向に用意をする気配が感じられない。 「おい、拓哉!」 思わず声を荒らげる。気弱な彼だから、「ごめんね」と言って慌てて動き始めるのだろう。しかし向こうから返ってきた返事は想像とはかすりもしない言葉だった。 「何が楽しい勝負だ。ふざけるな!」 激しい剣幕で怒鳴られたため思わず手が止まる。 「俺様はお前を許さねぇ」 「何をだ」 意識しなくても引きに回っている。アニメではエフェクトで強い向かい風が来そうなほどだ。 俺の知っている藤原拓哉はこんな人間じゃない。 「あぁ!? どこまでもふざけた野郎だ!」 誰にでも優しいヤツだ。人づきあいが苦手で教室の隅にいるような人間のはずだ。 「お前が俺様に声をかけるまでは良かった。俺はいつも一人だったからな、正直言うとうれしかったよ。あの時はな!」 嫌味らしく語尾を強調するしゃべり方。相当俺が憎いのだろう。しかし全く覚えがない。会場は小虫の羽音も聞こえそうなほど静かだ。 「そしてお前は俺様にカードを教えた。カードもくれた。しかしもらうカードじゃとてもじゃないが足りない。そうだろ?」 「ああ」 「お前も金を出すことを勧めた。俺は為すがままにカードを買っていく。本来遊びたいだけのカードが次第に勝ちたいという願望に変わっていった」 「誰もが通る道だ」 「しかしお前も知ってると思うが俺様の家は貧乏だ。奨学金が頼りとなっている。その中ギリギリの小遣いを必死に切り盛りしてカードを買うものの、母にカードを見つかった。ギリギリの生活しているんだ。余計なことを買うなと怒るよな普通?」 「何が言いたいんだ?」 「俺様は怒り余って『こうした』んだよ!」 拓哉はニヤリと笑うと、左手に持っていたデッキからカードを無作為に一枚引きだしステージ外の観客に向ける。 何をと思ったのは束の間だった。カードから紫色の霧が発せられ、観客のいる中に霧が漂う。それらの霧は見慣れた形を為す。 「3D投影機外なのに……!」 ゴーストポケモンサマヨール。だがその姿は3D投影機で映るポケモンよりもより実体的に見える。 サマヨールは傍にいた子供の腕を掴むと、腹から出したブラックホールに引きずり込む。子供の姿が見えなくなると同時にサマヨールは再び霧となって霧散した。 サマヨールに吸い込まれた子供の姿はどこにも見当たらない。 「あの子はどうした!」 「『別の次元に幽閉した』んだよ。これが俺様の能力(ちから)だ!」 「それをお前の親にしたのか」 「ああ。お前がカードを勧めたせいで身に付けた力でな! お前がカードを勧めさえしなければこういうことにはならなかった」 「結果論だ!」 「なんとでも言え! お前はクラスで一人ぼっちだった俺様をお前らの仲間にしたわけじゃあない。お前の遊び相手を増やすという自己満足のために俺に近づいたんだ」 「そういう……」 ステージの外からは子供の母親と思わしき人の鳴き声がする。先ほどまで準決勝で盛り上がりムードだった会場が一変していた。 「とどのつまりは自分のことなんだ。他人を助けたつもりでいるが、結局は自分のため。俺はそういう偽善者を許さん。徹底的に潰す!」 「……、お前のその怒りも自分勝手じゃないか」 「お前が言ってんじゃねぇ!」 迫力のあまり言い返せない。ここは下手に刺激しないほうがいいようだ。下手に回ろう。 「この能力の残念なところは心がある程度ダメージを受けていないと別の次元に幽閉出来ないところだ。まずはこのカードでお前の心を叩き折る!」 拓哉の怒りが体にピリピリ伝わってくる。 「……。その代わり俺が勝てばお前が幽閉した人たちを解放してやれ」 「クククッ……! どこまでも偽善者だな! 悪いが俺様の意思じゃ解放は出来ねえんだよ!」 静かな会場に拓哉の高らかな笑いだけが響く。じゃあさっきのあの子はもう助からないっていうのか……? 「オラオラ、さっさと始めっぞ!」
翔「今日のキーカードはゴージャスボール! 好きなポケモンをサーチできるぞ! ただし基本は一回だけ。
ゴージャスボール トレーナー (破空) 自分の山札の「ポケモン(ポケモンLV.Xはのぞく)」を1枚、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、山札を切る。 自分のトラッシュに、すでに別の「ゴージャスボール」があるなら、このカードは使えない。
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拓哉のゴーストデッキ!? ( No.35 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:21
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 初めのバトルポケモンは俺がアチャモ。対する拓哉はフワンテ。ベンチポケモンは互いになし。先攻は俺からだ。
「俺のターン! アチャモに炎エネルギーをつけて攻撃だ。ひのつぶて!」 ワザの宣言と共にコイントスボタンを押す。このワザはエネルギー1つで20ダメージを与えることができるのだがコイントスがウラだとワザが失敗してしまうのだ。 「オモテだ。ワザは成功!」 アチャモは小さな火球を口から打ち出す。フワンテに火球がぶつかると弾けて消えていった。 「俺様のターンだ! フワンテをフワライドへと進化させるぜ」 フワンテが光りだすとサイズがさらに大きくなりフワライドへと進化していく。 「そしてフワライドのワザを使う。のせてくる! こいつはワザエネルギーなしで使えるワザだ。デッキからたねポケモンを二匹ベンチに出し、そいつらにまたデッキから基本エネルギーを一枚ずつつけれる。俺様はムウマージGLとヨマワルをベンチに出し超エネルギーをそれぞれつける!」 どこからかムウマージGLとヨマワルがベンチに現れる。フワライドは風を起こし超エネルギーをそれぞれ二匹に与えた。 デッキ圧縮に加え超性能のサーチ。すでに相手は戦える準備がほとんどできている状態だ。 「俺のターン。ノコッチをベンチに出して不思議なアメを発動。アチャモをバシャーモに進化させる!」 何かされる前に急いで攻撃すべきだ。ここは速攻で行こう。 「バシャーモに炎エネルギーをつけてポケパワー、バーニングブレスを発動。フワライドをやけどにするぜ」 続いてバシャーモは口から真っ赤な炎を吹き付ける。フワライドのHPは90。先ほどの攻撃で70まで削ったが火傷に頼る戦法は正直期待できない。最終手段としておこう。 「バシャーモで攻撃。わしづかみ!」 バシャーモは地を一蹴するとフワライドのもとへ一っ飛びして腕をギッと握る。 「わしづかみは40ダメージと同時にフワライドを逃がさないようにさせる。トレーナーカードやポケパワー以外では逃げられないぜ。俺の番が終わると同時にポケモンチェックだ!」 「おらよっ!」 拓哉は乱暴にコイントスボタンを押す。結果は表だ。 「運は俺様を味方にしてくれてるようだ。俺様のターン! ムウマージGLに超エネルギーをつけて手札からゴージャスボールを発動。俺様はデッキからサマヨールを手札に加え、ヨマワルを進化させる! そしてフワライドで攻撃。おとどけ! トラッシュのカードを一枚手札に加える! 俺様はゴージャスボールを手札に加えるぜ」 これはうまいコンボだ。ゴージャスボールはトラッシュに同名のカードがあれば使えないカード。しかしそのゴージャスボールをトラッシュから引き揚げればトラッシュに同名カードはなくなるのでもう一度使える。ワザエネルギーなしでさっきのに続けこんなえぐいサーチ&サルベージかよ……。 「ポケモンチェックだ。裏! けっ、こんなダメージ今更だ」 「俺のターンドロー。ヒコザルをベンチに出しバシャーモに炎エネルギーをつける。そしてサポーターカードを発動。ハンサムの捜査。このカードの効果によってお前の手札を見せてもらう」 「ほらよ!」 拓哉の手札は六枚。さっき墓地から引き揚げたゴージャスボールに超エネルギー一枚とデンジの哲学。そしてエネルギーつけかえとシロナの導きにたつじんのおび。決して好い手札ではないがサーチ能力をもつシロナの導きとゴージャスボールがあるためこの手札は化ける可能性がある。 ハンサムの捜査は相手の手札を見るだけではない。手札を見た後相手の手札か自分の手札のどちらかを選択し手札全てを山札に加える。そして山札に戻したプレイヤーはデッキをシャッフルして五枚になるまでカードを引く。 俺の手札はこのサポーターを使って最後、今の手札は零だ。拓哉の手札が「危険になる可能性が『ある』」程度なのでまずは自分の手札を増強しよう。 「続いて俺は手札が五枚になるまで。つまり五枚山札から引く」 ゴウカザル、不思議なアメ、炎、オーキド博士の訪問、キズぐすり。こちらもあまり好い手札とは言いにくい。 「そして不思議なアメを発動。ヒコザルをゴウカザルに進化させてバシャーモでフワライドを攻撃。わしづかみ!」 これでフワライドを撃破だ。サイドを一枚引く。これで俺のサイドは二枚、拓哉は三枚。先手は取った。次の相手のバトルポケモンはムウマージGLが来た。 「俺様のターン! ゴージャスボールでヨノワールを山札から手札に加える。そしてサマヨールをヨノワールに進化させる! そしてムウマージGLに超エネルギーをつけてレベルアップさせる!」 「ムウマージGLをレベルアップだと!?」 「まだだ! 俺はこいつにたつじんのおびをつける。なんせムウマージGL LV.XのHPはたった100だ。バシャーモのほのおのうずで一撃でやられると後が困るんでな」 たつじんのおびはつけたポケモンのHPを20増やし、ワザのダメージも20増やすという厄介なカードだ。しかしデメリットはある。たつじんのおびをつけたポケモンが気絶するとサイドを二枚も引かれるということ。 つまり俺にとってはムウマージGL LV.Xさえ倒せば勝ちというわけだ。しかし後がうんたらという拓哉の表現が非常に気になる。 「そしてデンジの哲学発動! 六枚になるまでカードをひかせてもらうぜ」 あっという間に三枚になった手札がみるみる六枚へと増えていく。 「さあこっからが俺様の本領発揮だ! ムウマージGL LV.Xでこうげき。やみのまじない!」 ムウマージGL LV.Xが何かボソボソと呟くと対戦場が真っ暗闇に包まれた。闇は数秒で晴れる。今のが攻撃だったのだろうか、バシャーモは何事もないようにピンピンしている。 「俺様はサイドを一枚引いてターンエンドだ」 「なっ、バシャーモは無傷だぞ!」 「ベンチを見てみろクズが」 言われてモニターを確認する。ベンチにいたはずのノコッチのHPが0になっていたのだ。 「やみのまじないは自分の手札の数だけのダメージカウンターを相手に乗せることができる。俺の手札は六枚つまりダメージカウンターを六つノコッチに乗せたんだよ!」 ノコッチのHPもきっかり60。ちょうど気絶だ。 「これが俺様のデッキ! ベンチキル!」 拓哉の高らかな笑いが会場に木霊する。
翔「今日のキーカードはムウマージGL LV.X! マジカルリターンで手札を増やし、 やみのまじないで一気に決めろ!
ムウマージGL LV.X HP100 超 (PROMO) ポケパワー マジカルリターン 自分の番に何回でも使える。自分のポケモンについている「ポケモンのどうぐ」または「ワザマシン」を1枚、自分の手札に戻す。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 超超無 やみのまじない 自分の手札の枚数ぶんのダメージカウンターを、相手にのせる。このワザでのせられるダメージカウンターは、8個まで。 ─このカードは、バトル場のムウマージGL(ジムリーダー)に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 悪×2 抵抗力 無−20 エネルギー1
─── 27話と28話で「気合いのタスキ」という架空のカードが出ていました。正しくは「たつじんのおび」です。訂正しておきました。 29話と30話の今日のキーカードの誤植を訂正しました。 以後同じミスをしないように気をつけます。
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恐怖のベンチキル! サマヨールを倒せ! ( No.36 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:21
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「おらおら! お前のターンだ!」
「俺のターン、ドロー! ゴウカザルに炎エネルギーをつけてサポーターカード発動。オーキド博士の訪問! 山札からカードを三枚引いて手札のカードを一枚山札の底に置く。続いてバシャーモのポケパワー発動! バーニングブレス!」 「けっ、火傷なんかに頼りやがって」 「そしてバシャーモで攻撃。ほのおのうず!」 バシャーモは口からムウマージGL LV.Xを覆う大きさの炎の渦を吐き、ぶつける。ワザコストとしてエネルギーを二つトラッシュしなくてはいけないがその分100ダメージだ。次のポケモンチェックで裏を出せば火傷のダメージで気絶する。 そしてたつじんのおびを持っていたがために俺の勝ちが決まる。 「さあポケモンチェックだ!」 しかし事はそんなにうまく運ばない、表だ。 「俺様のターン! さあこっからが本番だ! 手札の超エネルギーをサマヨールにつけてエネルギーつけかえを発動。ムウマージGL LV.Xの超エネルギーをサマヨールにつける。そしてムウマージGL LV.Xのポケパワー発動、マジカルリターン! こいつ自身についてるたつじんのおびを手札に戻すぜ」 たつじんのおびの効果でHPが20上がっていたため、ムウマージGL LV.Xは気絶してしまう。自ら自分のポケモンを気絶させるとは。 「さあさあサイドを引きな!」 何を考えているのだろうか。相手の場をよく確認すると自ずと答えは出てくる。ムウマージGL LV.Xはおとりだったのだ。本命はサマヨールなのだろう。 「俺様の最後のポケモンはヨノワールだ。貴様なんかこいつだけで十分! ヨノワールにたつじんのおびをつけて攻撃だ!」 先ほどと似たように辺りが暗くなる。しかしまだバシャーモとゴウカザルは可視できる範囲だ。 「じゅおん!」 闇の中からヨノワールのものと思われる両腕が伸びてくると、バシャーモを握る。 「じゅおんはこれも相手にダメージカウンターを乗せる効果を持つ。乗せる数は五つと相手が取ったサイドの数、つまり合計七つを相手のポケモンに好きなように乗せれる。俺はバシャーモにダメージカウンターを七つ乗せるぜ!」 バシャーモのHPは130。二撃は耐えれない。オーキド博士の訪問でキズぐすりを底に送ったのがここでしっぺ返しとなって遅い来る。 「俺のターン、炎エネルギーをバシャーモに乗せてバーニングブレス! 続いて攻撃だ。わしづかみ!」 ヨノワールは一気に火傷と40ダメージのハンデを負う。しかし拓哉はそんなものはなんともないかのような顔を作る。 「ポケモンチェック。……表だ。俺様のターン、もう一度じゅおん! 今度はバシャーモだけじゃねぇぜ。ゴウカザルもだ。バシャーモにダメージカウンターを六つ、ゴウカザルに一つだ!」 再び闇と腕。しかし今度は右腕でバシャーモ、左腕でゴウカザルを握る。このじゅおんでバシャーモは気絶してしまった。 「サイドを引いてターンエンドだ!」 「ポケモンチェックをしてもらう」 「ふん、裏だ」 ヨノワールのHPは120。たつじんのおびの効果でHPが20増えたため合計140。まだ80もダメージを与えなければいけない。ここは考えたプレイングをしなければ。 「俺のターン!」 が、起死回生のカードは来なかった。次のターン何が飛んでくるかわからない。しかしここは最善の一手を打つしか。 「ゴウカザルに炎エネルギーをつけて攻撃。ファイアーラッシュ!」 「炎エネルギーをトラッシュして、その数だけコイントス。そして表の数かける80ダメージを与えるカードか。確かに二枚トラッシュすれば一回くらい表は出るかもしれねえなぁ。ああ?」 「俺は一枚だけトラッシュする!」 「一枚だと?」 炎エネルギーをトラッシュに置き、コイントスボタンを押す。頼む、出てくれ表……! 「……裏っ」 「あっはっはっは! 裏じゃなーんにもダメージ与えれねぇな、ざまぁねえ」 「しかしポケモンチェックはしてもらう」 「ふん、……表。火傷のダメージはなしだ。俺様のターン! もっかいじゅいん! ゴウカザルにダメージカウンターを七つ乗せてやれ!」 ゴウカザルはこれで80ダメージ。HPは110しかないので次の攻撃を食らうと終わりだ。 「次の俺様のターンで貴様は永遠の闇に葬ってやるよ! そして復讐劇の終わりだ!」 「……お前」 「あぁ? 聞こえないぞ」 「お前はカードをして楽しいと思ったことはないのか?」 「何かと思えばそんなことか。楽しいという錯覚をお前にさせられていたな!」 「カードは復讐のために使うもんじゃない、ましてや楽しむものだ!」 周りの雑音のないこの会場に、俺の叫びと拓哉の怒号が響き渡る。 「じゃあ俺はどうして母親に殺されかけた。どうして母親を異次元に送った。答えてみろよ!」 「それはお前が……」 ゴクリとつばを飲み込む。飲み込んで、吐きだそうとした言葉を整理する。 「カードを楽しもうとしていないからだ!」 拓哉は射抜かれたように動かなくなる。舌戦だけしてもこの試合は進まない。カードを引くことにする。 「俺のターン! 手札に炎エネルギーをつけてゴウカザルで攻撃。いかり! このワザのダメージは30プラスゴウカザルに乗っているダメージカウンターの数。八つ乗った今、与えれるダメージは110だ!」 「なんだとっ」 ようやく現実へ帰ってきた拓哉は目の前の悲運に唖然の言の葉だけを発する。 「カードを楽しもうとすれば、必ずカードは答えてくれる! お前は今までカードを楽しもうとしていたんじゃない! 居場所を守りたかったんだ!」 「そうだ……。俺はお前に手をのばしてもらって嬉しかった。だからこの最初で最後の居場所を守りたかった。カードを楽しむなんて考えたこともなかった……。復讐も居場所を守るのも出来なかったんだな」 ゴウカザルがヨノワールへと駆け出し、右腕を振り上げる。 「居場所ならあるじゃないか! お前が望む限りそれは絶えない! 次戦うときはこんな悲しいバトルじゃなくて、一緒に笑えるバトルにしよう」 ゴウカザルは右腕を振り下ろしヨノワールへ一撃を加える。俺が最後のサイドを引いて試合終了のブザーが鳴った。 それと同時に対面の拓哉が急に体中の力を失ったのか、その場に倒れこむ。急いで救護班が呼ばれて医務室へ連れて行かれた。 ステージを降りる前に応援客のほうを見ると拓哉に幽閉されていたはずの少年が元の場所に戻っていた。母親が必死に少年を抱きしめているも、少年は何が起きたか全く事情を把握していないようだ。 なんにせよ準決勝を勝ち抜き、少年は無事だった。後は決勝を勝ち抜くだけ。満を持してステージから降りて行った。
「もしもし、松野です。今風見杯会場なんだけどまた能力(ちから)が確認されたわ。今回は『異次元へ幽閉する』ってものみたい。えぇ。……いや、奥村翔っていう少年が能力を持っている少年を倒したわ。倒されたら急にその場に倒れこんで意識を失ったみたい。今は医務室に行ってるけど別段異常はないみたい、とりあえず大会を見届けて次第資料を作っておくわ。えぇ、それじゃあまた」 青色でシンプルデザインの携帯電話を閉じると地べたに座り込む。椅子がほしいところだけどもこの会場にはないようだ。 自分の身長では大きな鞄からノートパソコンを取り出し、忘れないように今起きた出来事を出来るだけ正確に打ち込む。ここ最近確認され始めたカードを使って本来ありえない力を発揮する能力者。大事が起きないようにあらかじめ対策を練っておかねばならない。 ブザーが鳴り、風見雄大の試合が始まったことにも気付かずひたすらにタイプしていくのだった。
翔「今日のキーカードはヨノワール! やみのてのひらで相手のベンチを削りつつ、 じゅおんでベンチキル!
ヨノワールLv.42 HP120 超 (DP1) ポケパワー やみのてのひら 相手のベンチポケモンが4匹以上いるなら、自分の番に1回使える。相手のベンチポケモン1匹と、そのポケモンについているすべてのカードを、相手プレイヤーの山札にもどし、切る。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 超超無 じゅおん 相手にダメージカウンターを5個のせる。さらに、相手プレイヤーがすでにとったサイドの数ぶんのダメージカウンターを、相手にのせる。 弱点 悪+30 抵抗力 無−20 にげる エネルギー3
─── 風見杯の山場その1。 書いてる方もようやく終わりが見えてきて非常に満足! デュエッ!
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遡行せよ、蘇生せよ! ( No.37 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:21
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 準決勝一回戦はハプニングがあったもののなんとか幕を終えた。試合が終わると共に体全身の力が失われたかのよう崩れ去った藤原拓哉は医務室へ連れて行かれた。その容態は意識を失っただけである。そのうち目が覚めるだろう。
そして準決勝二回戦。この試合に勝ったほうが決勝で翔と戦うことになる。 『準決勝第二試合を始めます。選手は試合会場八番にお集まりください』 先ほどの試合が終わってから松野さんの姿が見えない、俺の試合を観ると言っていたため少し気にかかる。 それも気にかかるのだがまずは目の前の一勝を取らなくては話にならない。たかが三十枚しか入っていないデッキを右手で握り、ステージへ向かう。 「風見、俺はお前に勝つぜ!」 堂々とした勝利宣言。まだカードを始めたばかりの初心者とは思えない、ある種の風格を漂わせるようになった。 「ふん。返り討ちにしてやる」 試合の準備も終わり開始の合図になるブザーが鳴り響く。 「俺のターンからだ!」 先攻は長岡。長岡のバトルポケモンはプラスル、ベンチポケモンはエレブー。俺はフカマルのみだ。 「手札からウォッシュロトムをベンチに出す。続いて水エネルギーをウォッシュロトムにつけてプラスルのワザを使う。よくばりドロー! 自分の手札が相手の手札の数より一枚多くなるよう山札からカードを引く。今俺の手札は四、お前の手札は六枚だ。よって三枚ドロー!」 「俺のターン!」 手札が非常によろしくない。ボーマンダ二枚に炎エネルギー、水エネルギー、スージーの抽選、不思議なアメ、ガブリアス。 このままだと何もできずに倒される可能性もある。運の強い長岡は俺の手札をも悪くしたというのか。こうなったら作戦変更だ。 「不思議なアメでフカマルをガブリアスに進化させる! そしてスージーの抽選を発動」 「スージーの抽選……。手札をトラッシュしてトラッシュした枚数に応じて新たにデッキからドローできるカードか!」 「俺は手札を二枚トラッシュ!」 トラッシュするカードはボーマンダと水エネルギー。モニター越しに俺の捨てたカードを確認した恭介が驚愕する。 「なっ、ボーマンダをトラッシュだと!?」 「そして俺はカードを四枚引いてターンエンドだ」 「何を考えてるんだ……。俺のターン! ウォッシュロトムに雷エネルギーをつけて手札からワープポイントを発動する!」 プラスルとガブリアスの足元に青い穴が開く。そして青い穴にそれぞれのポケモンが落ちていく。 「このカードの効果によって、互いにバトルポケモンとベンチポケモンを入れ替える! 俺はプラスルをベンチに戻してウォッシュロトムを場に出すぜ!」 ウォッシュロトムの足元にも青い穴が開き、穴へ落ちていった。するとウォッシュロトムが落ちた穴からプラスルが。プラスルの落ちた穴からウォッシュロトムがそれぞれ出てきた。 「俺のベンチにはポケモンがいないのでガブリアスは入れ替わらない」 こちらは滑稽にもガブリアスが落ちた穴からガブリアスが這い出て来た。落ちる必要性がなかったなと一笑する。 「ウォッシュロトムでガブリアスに攻撃だ! だっすい!」 恭介は技の宣言と共にコイントスをする。だっすいは裏が出るまでコイントスをして、表が出た数だけ相手の手札をトラッシュさせるワザだ。普段なら厄介と言いたいところだが……。 「表、表、表、裏! 30ダメージと同時にお前の手札を二枚トラッシュするぜ。左側の三枚だ!」 「ボーマンダと炎、水エネルギーの三枚をトラッシュする」 ウォッシュロトムの攻撃が襲いかかる。弾ける水の音と共にモニターにダメージカウンターが加算されていく。二枚目のボーマンダがトラッシュされたためか、恭介がかすかにガッツする。 「俺のターン、ドロー!」 引いたカードこそ俺が待ち望んでいたカードだった。 「貴様がトラッシュにカードを送ってくれたことで俺のコンボが早々に完成することになった。そして貴様の策の愚かさに悔いるがいい! 俺はガブリアスをレベルアップさせる!」 ガブリアスに一瞬だけ白い光が包み込む。ガブリアスの咆哮と共にその光は弾け消えていき、モニターにもガブリアスLV.Xと表示された。 「そしてこのレベルアップした瞬間、ガブリアスLV.Xのポケパワーを発動。りゅうのはどう!」 それと同時にコイントスボタンを三回押す。 「コインを三回投げ、オモテの数ぶんのダメージカウンターを相手のベンチポケモン全員にのせる! 裏、表、裏! 貴様のベンチポケモンに10ダメージだ」 俺のポケパワーの説明が終わると、ガブリアスが再び体を前に傾けながら長岡のベンチにいるエレブーとプラスルを一瞥してから咆哮した。見えない力かプラスルとエレブーは衝撃波を食らったかのように後ずさる。 「お前の策ってのはこれか?」 「ここからだ! ガブリアスLV.Xのワザを使う。さあ、遡行せよ! そせい!」 ベンチゾーンに光る白い穴が開く。そしてその中からボーマンダが姿を現した。 「俺のトラッシュのポケモンを一体選び、たねポケモンとしてベンチに出す。その後トラッシュの基本エネルギーを三枚まで蘇生したポケモンにつける。ボーマンダに炎エネルギー一枚と水エネルギー二枚をつけてターンエンドだ」 「なっ、わざわざトラッシュしたのはこのためか! クソっ、俺のターン!」 苦虫を潰したような顔をした長岡だったが、引いたカードがよかったのか再び喜色満面。 「よし、まずはプルートの選択を発動するぜ。バトル場のウォッシュロトムを山札のスピンロトムと入れ替える!」 洗濯機に憑依していたロトムがそれぞれ分離する。すると洗濯機の足元に白い穴が開き、洗濯機が吸い込まれた。そしてその代わりに扇風機が穴から出てきてロトムはそれに憑依する。 「そしてスピンロトムに雷エネルギーをつけてエレブーをエレキブルに進化させる! まだだぜ! 風見、目ん玉ひん剥いてよーく見とけよ。スピンロトムのポケパワー発動。スピンシフト!」 この3D投影機のステージではバトル場、ベンチにポケモンがいると、そのポケモンのいるエリアにポケモンのタイプの色が出るようわかりやすく表示してある。 スピンロトムは雷タイプなのでバトル場は黄色に満たされていたのだが、急にその黄色が白色に変化した。 「スピンシフトは自分の番の終わりまで、スピンロトムを無色タイプとして扱うポケパワーだ!」 「なるほどな。ガブリアスLV.Xの弱点は無色タイプだ。貴様でもちゃんとしたプレイングが出来るんだな」 「負け惜しみは後で言いな! スピンロトムで攻撃、エアスラッシュ!」 スピンロトムが不可視の衝撃でガブリアスLV.Xを攻撃する。本来は60ダメージなのだが、無色タイプとなったスピンロトムはガブリアスLV.Xの弱点をついている。60ダメージが二倍となって120ダメージだ。残りHPが110だったガブリアスは気絶に追いやられた。 「そしてコイントス。裏ならスピンロトムのエネルギーを一枚トラッシュする。……表!」 「それだけじゃない。ガブリアスのポケボディーがこの瞬間で発動する。りゅうのいあつ! ガブリアスを攻撃したポケモンは攻撃後にポケモンについているエネルギーを一枚手札にもどさなければならない!」 「ならば雷エネルギーを手札に戻すぜ。そしてガブリアスLV.Xが気絶したから俺はサイドを一枚引く。ターンエンド」 長岡のエンド宣言と共に長岡のバトル場が白から黄色に戻った。 「さあ、お前の番だ!」 もう一ターンはもつと思ったんだけどな……。一気に形勢を逆転した自信満々な長岡の声が憂く思えた。
翔「今日のキーカードはスピンロトム! こいつは無色タイプにもなれる! せんぷうで2進化、LV.Xのポケモンを手札に戻してやれ!
スピンロトムLv.46 HP70 雷 (DPt2) ポケパワー スピンシフト 自分の番に一回使える。この番の終わりまで、このポケモンのタイプは無色タイプになる。 無無 せんぷう コインを1回投げオモテなら、相手と相手についているすべてのカードを、相手プレイヤーの手札にもどす。 無無無 エアスラッシュ 60 コインを1回投げウラなら、自分のエネルギーを1個トラッシュ。 弱点 悪+20 抵抗力 無色−20 にげる エネルギー1 ─── 台風うめええええええ うん、2010年なるまでに風見杯編おわれっかな
藤原拓哉の使用デッキ 「ペインフルナイト」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-668.html
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努力の天才 智略のスピードインパクト! ( No.38 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:22
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 俺のバトル場には無傷で炎エネルギー一枚、水エネルギー二枚のボーマンダ、ベンチは空だ。一方で長岡のバトル場には雷エネルギー、水エネルギーそれぞれ一枚のスピンロトム。長岡のベンチにはダメージカウンターがそれぞれ1個ずつ乗っているエレキブルとプラスルがいる。
「俺のターン、ドロー」 引いたカードはミステリアスパール。行き当たりばったりだがやむを得ない。 「手札のトレーナーカードを発動。ミステリアスパール!」 「始めてみるカードだ……」 「このカードの発動後、俺は自分のサイドを確認して望むならポケモンを一枚相手に見せてから手札に加える。その場合、このカードをオモテにしてサイドに置きかえるカードだ」 そう言ってサイドを確認。炎エネルギー、フカマル、コモルー。ポケモンは二枚いる。ここはたねポケモンがほしいのでフカマルを長岡に見せて手札に加える。 ここでようやくたねポケモンのフカマルが来た。が、致し方遅い。ガブリアスはもうトラッシュにいるのだ。しかしまだ救済措置はある。……のだが、その救済措置はまだ出来ない。 「フカマルをベンチに出して炎エネルギーをボーマンダにつける。ボーマンダで攻撃、じょうきのうず!」 じょうきのうずの威力は120。スピンロトムも一撃圏内だ。ボーマンダの攻撃をモロに食らったスピンロトムは力なくその場に倒れこむ。 「じょうきのうずのコストとしてボーマンダの炎エネルギーと水エネルギーをトラッシュする。サイドを引いてターンエンドだ」 今引いたカードは炎エネルギー。ミステリアスパールとコモルーはその場に残した。 長岡の次のポケモンはプラスルである。 「俺のターン! エレキブルに雷エネルギーをつけてヒートロトムを場に出す。そしてプラスルの欲張りドロー! 今、互いの手札は三枚だからカードを一枚引くぜ」 「俺の番だ。フカマルをガバイトに進化させ、ガバイトに炎エネルギーをつける。そしてボーマンダで攻撃! かえんだ!」 ボーマンダが口から火球を発しプラスルにぶつける。プラスルはたちまちその場に崩れ落ちる。 「サイドを引くぞ」 長岡のデッキは燃費があまりよろしくない。お陰でこうした準備期間がかかってしまう。いや、今は相手の身になって考えるのは止めだ。自分が勝つことを考えるんだ。 次のバトルポケモンはやはりエレキブル。 「俺のターン。エレキブルに雷エネルギーをつけて、ポケパワーを発動する。でんきエンジン!」 突如エレキブルの体が電気で帯びられた。そして激しい電気の音と共にエレキブルの右手には雷エネルギーのマークが浮かぶ。 「このポケパワーによってトラッシュの雷エネルギーをエレキブルにつけることができる。そして手札の雷エネルギーをつけて攻撃だ! ほうでん!」 ワザの宣言と共にエレキブルの周囲に雷エネルギーが三つ円を描きながら現れる。 「エレキブルについてる雷エネルギーをすべてトラッシュし、トラッシュしたエネルギーの数だけコイントスして表かける50ダメージを与える」 「はっ、ボーマンダのHPは120。三回全て表じゃないと倒せない!」 「三回表にすればいいんだろ?」 思わず聞き返したくなるセリフだった。コイントスは実際にコイントスをするのではなくて機械のスイッチを押して機械が判定を出す仕組みである。よってコインに何かするなどという人為的な作用は一切効かない。 それで三回とも表にする確率は八分の一だ。これまででも非常にいいコイントスの結果があるのにこれ以上あってたまるか。しかし今のセリフは出してやるという気質を漂わせていた。 「ほら、表、表、……表だ!」 エレキブルの周囲を浮かんでいた雷エネルギーが突如弾け、波動状に飛び散っていく。 「うぐっ!」 あまりの眩しさと炸裂音に思わず声が漏れる。俺のベンチにはガバイトしかいないのでオートでバトル場へ出向いて行った。 「さあ、サイドを引いてターンエンドだ!」 ウォッシュロトムのだっすいに続きエレキブルのほうでん。本当に何か仕掛けをしたのかと疑いたくなるし、今起こっている状況に目も疑いたくなる。 やはりアイツは強い。しかも天性の強さ、何か見えないものから力でも授かっているかのような、いわゆる天才と言っても許されるだろう。 それに比べて俺はそんな天賦の才能はない。あるのはカードと知識だけだ。 そう、そうだ。俺は自分で考えてデッキを組み、考えに考えてプレイングしている。現に今までその努力の結晶が実を結び勝ち進んできた。 「へっへーん、どうだ風見! 参ったか!」 「ああ。強いな。……だが、貴様がカードの天才ならば俺は努力の天才だ! 俺のターン!」 今の手札で可能なことを考える。しかし今の手札だけではパッとしない。今の手札でダメならば新しい手札にすればいいのだ。今、手札には自分の手札が六枚になるまでドローできるデンジの哲学がある。それを最大限に活かすには……。 「まずはポケモンレスキューを発動する。トラッシュのポケモンを手札に加える。俺はガブリアスを手札に加え、ガバイトを進化させる! 続いてガブリアスに水エネルギーをつけてサポーターカード発動。デンジの哲学! このカードを発動させるとき、任意で手札一枚をトラッシュできる。俺はミステリアスパールを捨てたことにより手札はない。よって六枚ドロー!」 しかし万事休す、今の条件をひっくり返せそうな手札が来ないっ……。 「くっ、ガブリアスで攻撃。ガードクロー!」 ガブリアスがエレキブルに向かってダッシュし、右の翼でエレキブルに襲いかかる。攻撃後、バトル場に戻ってきたガブリアスは両翼を前で交差して守備のモーションをする。 「一気に決めるぜ、俺のターン! エレキブルのポケパワー、でんきエンジン発動。トラッシュの雷エネルギーをエレキブルにつける。さらに手札の雷エネルギーもつけるぜ! それだけじゃねぇ。レベルアップ!」 エレキブルが光に包まれ、雄たけびを発しながら光は拡散して消えていく。 「さあ、エレキブルLV.Xで攻撃だ。パルスバリア!」 エレキブルLV.Xは電気で四角形の壁を作りだすと、それを真正面にいるガブリアスへと押し出した。 「この瞬間ガードクローの効果発動。相手の攻撃を受ける時、ダメージを20だけ軽減する。よってガブリアスが受けるダメージは30! そしてガブリアスのポケボディー、りゅうのいあつが発動! エレキブルLV.Xの雷エネルギーを手札に戻してもらおう」 「それでも次のターンにでんきエンジンをして、今戻したエネルギーをつけなおしてエレキブルLV.Xでほうでんしたら俺の勝ちだぜ?」 ほうでんはコイントスでダメージを与えるワザだ、確実性にかける。……と言ったところでこいつには薬にも何にもならない。 しかし恐れていた事態は逃れた。なんらかして先ほどのターンに雷エネルギーをつけられ、ほうでんでガブリアスが倒されることもない、またはエネルギー3つ残したまま俺の番が回っても来なかった。 「貴様の運だけのデッキもここまでのようだ」 「なんだと……?」 「俺のタクティクス、しかと目に焼き付けろ! 俺の番だ。ガブリアスに炎エネルギーをつける」 「待った! その瞬間にエレキブルLV.Xのポケボディー発動。ショックテールっ! 相手が手札からエネルギーをポケモンにつけたとき、そのポケモンに20ダメージ!」 エレキブルLV.Xの尻尾から一筋の電撃がガブリアスにヒットする。 「時すでに遅し! さあ食らえ、ガブリアスの攻撃だ。スピードインパクト!」 ガブリアスが一瞬にして見えなくなると共に爆音が会場に響き渡る。ガブリアスは翼を折りたたんでエレキブルLV.Xに特攻したのだ。 「このワザのダメージは120から相手のエネルギーの数かける20を引いた数値。今エレキブルLV.Xにはエネルギーが一つ、よって100ダメージ。残りHPが70のエレキブルLV.Xはこれで気絶だ!」 最後のサイドを引くと試合開始の時と全く同じブザーが聞こえる。試合時間はごくわずかだったが、このブザーを聞くのは久しぶりのような気がした。 「貴様にしてはなかなかいい勝負だったぞ」 激戦を繰り広げた相手に言葉をかける。 「くっそー、自信あったのになぁ。またいつかリベンジだ」 ふっ、と笑う。どこまでも前向きなヤツだ。踵を返して背中を向けながらこう言ってやった。 「その時を楽しみにしている」 ステージを降りた長岡が翔やほかのヤツらに囲まれてワイワイ盛り上がっているのを少し羨ましく思った。
翔「今日のキーカードはガブリアス! ポケボディーでエネルギーをバウンスさせて、 スピードインパクトで決めてやれ!
ガブリアスLv.71 HP130 無 (DPt3) ポケボディー りゅうのいあつ このポケモンが、バトル場で相手のワザのダメージを受けたとき(このポケモンのHPがなくなっても)、そのワザを使ったポケモンのエネルギーを1個、相手の手札にもどす。 無無 ガードクロー 40 次の相手の番、自分が受けるワザのダメージは、「−20」される。 無無無 スピードインパクト 120− このワザのダメージは、相手のエネルギー×20ダメージぶん、小さくなる 弱点 無+30 抵抗力 なし にげる エネルギーなし
─── WCSの要項決まりましたね。予選からスタン6とは……。 そしてLEGEND発売おめでとう。 いろいろ壊れすぎクソワロタ。
長岡恭介の使用デッキ 「10000Ω」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-672.html
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風見杯決勝運命の激突 翔VS風見! ( No.39 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:22
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- あの日。そう、ヤツと初めて戦ったあの日。
ヤツはカードにとって一番大事なのはデッキを、カードを信じることだと言った。しかし俺はタクティクスだ、構築だと信じていた。 そしてそのまま戦うことになり結果は惨敗。しかしそれでも俺はヤツのことを聞かず、リベンジをした。 前回使ったデッキを入れ替えたような戦いだったが負けだった。こうなると俺はヤツの言うことを少し、少し信じてみることにした。 だが一番関心となったのはカードを信じることではなく、ヤツ自身。 あまり人づきあいは好きではないがヤツらのグループに交わることでヤツの言うことも少しずつ分かってきたし、おまけに人づきあいも出来るようになってきた。 人づきあいが出来るようになってからカードを信じるという事が顕著に分かる。そして俺は今までにもカードを信じていたということが。 デッキを作った。そしてこのデッキではもう誰にも負けないと思う。これもカードを信じることの一つ。俺は今までにこの愉悦を幾度も味わった。 だがヤツと違ったのはその後。俺がカードを信じていたのはその瞬間だけである。ヤツは戦っている間もカードに期待し続けていた。この期待するということが肝心で、この期待するということもカードを信じるという一つである。 そして何よりヤツ自身も楽しそうだった。それに比べ俺はどうだ。下手なプライドのためにピンチになると焦り、苛立つ。思うようにカードが引けないとカードを信じるどころか罵倒し、ひどいとカードを破ることもあった。 無論今でもデッキにはタクティクスや構築が大事だと思っている。だがそれと同じくらいカードを信じるようになった。そうすればいつかアイツにも……。
『決勝戦を始めます。選手は試合会場七番にお集まりください』 ラストコールだ。時刻は既に午後の三時半を廻り、初めはたくさんいた人も減ってきている。 そして最後の最後に今まで共に闘ってきた三十枚のカードを見つめる。お前たちは非常に頑張ってきてくれた。お陰で俺はこうしてヤツと戦える。本当に感謝している。だから、もう少しだけ頼む……。 神社で祈るかのように俺はカードに願いを捧ぐ。そして、意を決してステージへ進む。 先にステージにいた翔は、ヤツにとっては特に負けられない戦いなのだがやはり満面の笑みでこう言う。 「さあ、楽しい勝負にしようぜ!」 「ふっ、望むところだ」 ガラになく緊張してしまったようだ。デッキを切る手がおぼつかない。ようやっとデッキを切り終わり、カードを引く。そしてサイドを三枚伏せてポケモンのカードを伏せる。 互いに準備が出来、ポケモンをリバースする。俺の最初のポケモンはフカマル。ヤツのポケモンはノコッチで、ベンチにヒコザル。 「さあいくぜ、風見。俺が先攻だ! 手札の炎エネルギーをヒコザルにつけてノコッチのへびどりを使う。その効果で山札からカードを一枚引いてターンエンド」 「遠慮はせん。俺のターン。フカマルをガバイトに進化させ、炎エネルギーをつける。そしてサポーター発動、スージーの抽選。その効果によって手札のボーマンダと水エネルギーをトラッシュし、山札からカードを四枚引く。更に、トレーナーカードのゴージャスボールを発動して山札からガブリアスを手札に加える」 これでこのターンで一気にデッキが半分を切った。手札とトラッシュは潤ったものの、ガバイトはノコッチにダメージを与えるワザが使えないのでここで自分の番を終わらせる。 「俺の番だ。ヒコザルをモウカザルに進化させて、アチャモを場に出す。そして俺もゴージャスボールを発動。山札からゴウカザルを手札に加え、もうひとつトレーナーカード、不思議なアメ!」 ベンチのヒコザルが光の柱に包まれる。そしてゴウカザルへとフォルムを変えると、光の柱は拡散しながら消えていく。 「まだだぜ。更にアチャモに炎エネルギーをつけ、ポケモンいれかえを発動。そしてノコッチとベンチのゴウカザルをバトル場へ出す!」 先に仕掛けてくるのは翔からだった。ノコッチを引っ込めてゴウカザルから攻勢に入る。 「ゴウカザルで攻撃、ファイヤーラッシュ! ゴウカザルの炎エネルギーをトラッシュしてコイントス!」 ファイヤーラッシュは自分の場の炎エネルギーを任意の数だけトラッシュし、表の数かける80ダメージを与える強烈なワザだ。 もしもこのワザが通ればHPが80しかないガバイトはすぐに気絶。ベンチがいない俺はこの時点で負けとなってしまう。祈っても無駄だろうが祈りたくなる状況だ。 しかし祈りが届いたのか、コイントスは失敗に終わる。 「調子があまりよろしくないようだな」 「これで勝負が決まるのもつまらないだろ?」 「ふん、俺のターン。ガバイトをガブリアスへと進化させて水エネルギーをつけさせる。ガブリアスでゴウカザルを攻撃、ガードクロー!」 ガブリアスがゴウカザルに右の翼を叩きつける。攻撃後、自分の場に戻ったガブリアスは両手を自分の前でクロスさせた。ガードクローは相手に40ダメージ与えるだけではなく、次の番に相手から受けるダメージを20だけ軽減させる効果を持つ。 もし次の番にファイヤーラッシュを食らってもダメージは60だけでHPは70も残る。そして俺の手札には水エネルギーがあるので次の番にガブリアスのもう一つのワザ、スピードインパクトを使って確実にとどめを刺せる。 「俺のターンだ。アチャモをワカシャモに進化させ、炎エネルギーをゴウカザルにつける」 これで翔の手札はなくなった。カードゲームに置いて手札がなくなるということは可能性がなくなるということである。既存の場でどうこうするなんてのは論外、手札と場を組み合わせてこそのタクティクス。 翔は戦略を切り、運に頼る方向に進んだのだ。 「ゴウカザルでもう一度ファイヤーラッシュ! ゴウカザルについている炎エネルギーを一枚トラッシュする。……表だ!」 「しかしガードクローの効果によってガブリアスが受けるダメージは60となる」 ゴウカザルの突進をガブリアスは両手で受け止める。ダメージは受けたが想定通り次のターンにゴウカザルを撃破できる。 「俺のターン。水エネルギーをガブリアスにつけて、トレーナー、ミステリアスパールを発動。発動後にサイドカードを確認し、その中のポケモンのカードとミステリアスパールを入れ替える。俺はタツベイを手札に加え、ミステリアスパールを表向きのままサイドに置く。そしてタツベイをベンチに出す」 今の手札はまだ使えそうなカードがない。ここは後のために温存して今は攻めるのみ。 「ガブリアスでゴウカザルに攻撃、スピードインパクト! このワザのダメージは、相手のエネルギーかける20ダメージぶん、小さくなる。ゴウカザルにはエネルギーがない、よって120ダメージだ!」 ガブリアスは翼を頭の前でクロスさせると、そのままジェット機のように加速してゴウカザルに突っ込んだ。派手な爆発音とボールのように吹き飛ぶゴウカザルが印象的だ。 「ゴウカザルはこれで気絶。サイドカードを一枚とる」 俺はミステリアスパールではないサイドカードを一枚手札に加える。今手札に入ったのは不思議なアメだ。ミステリアスパールではトレーナーカードを手札に加えれないので、このタイミングで取らないと次のターン使えない。 そう、今の俺の手札にはボーマンダもいる。次のターンにベンチのタツベイを一気にボーマンダに進化させ、ゆっくりベンチ育成させる。 そしてふとモニターを観ると、次の翔のバトルポケモンはなんとノコッチだった。ノコッチはエネルギーなしでワザを使えるが、デッキからカードを一枚引く「へびどり」と、相手に10ダメージだけ与えてベンチポケモンと入れ替わる「かんでひっこむ」のワザしかなくHPも60。確実に次のターン、ガブリアスの餌食となる。そうとわかっていて何故ノコッチだ。 「ノコッチだと……?」 「見てろよ風見! ここからが俺のタクティクスだ!」
翔「今日のキーカードはスージーの抽選! 手札のカードをトラッシュさせながら、 一気に複数ドローだ!
スージーの抽選 サポーター (DP4) 自分の手札を2枚までトラッシュ。 1枚トラッシュしたなら、自分の山札からカードを3枚引く。2枚トラッシュしたなら、4枚引く。
サポータは、自分の番に1回だけ使える。使ったら、自分のバトル場の横におき、自分の番の終わりにトラッシュ。
─── とびんが28話「風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて」の挿絵を描いてくれました! 心から最大の感謝!
挿絵つき28話のアドレスはこちら http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/28.html
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決戦の果て ( No.40 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:22
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 今、俺の場にはノコッチ。そしてベンチには炎エネルギーが一つついたワカシャモ。風見の場にはエネルギーが三つついたガブリアスにベンチにはタツベイ。
ガブリアスは残りHPを70までダメージ減らしているも、十分に風見のほうが優勢である。 「俺のターン!」 そして俺の手札は今引いた一枚だけ。しかし今引いたカードはサポーターのハンサムの捜査。このカードの効果によって相手の手札を確認し、自分か相手の手札のどちらかを山札に戻させて戻したプレイヤーがカードを五枚引くことができる。 つまりその効果を自分に使えば、戻すカードがないので単純に山札からカードを五枚補充出来る。 「俺は手札のハンサムの捜査を発動! まずは風見の手札を見せてもらうぜ」 風見の手札はボーマンダ、炎エネルギー二枚、不思議なアメ、デンジの哲学。不思議なアメとボーマンダが多少引っかかるも、ここは引く場面ではない。 「俺は自分の手札を山札に戻してカードを引く。だが、俺の手札は0なので普通にカードを五枚引くぜ」 来た、狙っていたキーカードが! もう残りの山札は九枚になってしまったが今はそんなことは気にしない、山札が切れる前に勝てばいいのだ。 「よーし、ワカシャモに炎エネルギーをつけて進化させる! そして進化したバシャーモのポケパワー発動。バーニングブレス!」 ベンチのバシャーモが風見の場のガブリアスに向かって赤い吐息を吐く。 「この効果によってガブリアスは火傷になる。そしてノコッチで攻撃、かんでひっこむ!」 ノコッチはガブリアスのもとへ進み寄ると右足に噛みつく。 「本来10ダメージしか与えれないが、ガブリアスの弱点は無色タイプ! よってガブリアスが食らうダメージは40で残りHPは30だ。そしてノコッチは攻撃した後、自分のベンチポケモンと入れ替わる。新しいバトルポケモンはバシャーモだ!」 ガブリアスの足元で、ノコッチは穴を掘り地中(?)を進む。ノコッチ不在のバトル場にバシャーモが跳躍一つで躍り出るとバシャーモが先ほどまでいたベンチエリアにノコッチが地中から姿を現した。 「そしてポケモンチェックだ」 「……表だ。ガブリアスは火傷によるダメージを受けない。俺のターン、手札の不思議なアメを発動してベンチのタツベイをボーマンダに進化させて水エネルギーをつける。そしてガブリアスをレベルアップさせる」 ガブリアスの体が一瞬光に包まれる。レベルアップしたことによってガブリアスは火傷から回復することとなった。 「そしてポケパワー、りゅうのはどうを発動。進化したときに三回コイントスをして表の数かける10ダメージを相手のベンチポケモンに与える。裏、表、表。よってノコッチに20ダメージだ」 ガブリアスの口から青色の球体が発せられ、ノコッチに触れると小さな爆発を起こす。 「更にデンジの哲学を発動。手札の炎エネルギーをトラッシュして山札から六枚引く」 デンジの哲学は手札が六枚になるまでカードを引けるサポーターだ。カードを引く前に一枚だけ手札をトラッシュできる。今、風見が炎エネルギーをトラッシュしたことによって手札が0となり、六枚引けたというわけだ。 「ガブリアスLV.Xのそせいを発動。トラッシュのポケモンをたねポケモンとしてベンチに呼び出し、トラッシュの基本エネルギーを三枚までつけることができる。俺はトラッシュのボーマンダに炎と水エネルギーをつけて蘇生させる!」 あらかじめベンチにいるボーマンダの隣に白い穴が開き、そこからボーマンダが這い出てきた。これでボーマンダが二匹並んだ状態となる。 しかも不味いことに俺のバシャーモはHPが130。ボーマンダのポケボディーのバトルドーパミンが発動してしまう。 「くっ、ドロー! ヒコザルをベンチに出し、バシャーモに炎エネルギーをつける! 更にサポーター、オーキド博士の訪問を使うぜ。山札からカードを三枚引いて一枚をデッキの一番下に置く。そしてバシャーモで攻撃、わしづかみ!」 バシャーモがジャンプ一つでガブリアスLV.Xまで距離を詰め、その喉元に右手を出してそのまま握力で締め付ける。 「レベルアップしてガブリアスLV.Xの最大HPを増やしただろうが、それでも残りHPは40! わしづかみのダメージも40だ、これでガブリアスLV.Xは気絶だぜ!」 「だがガブリアスのポケボディー、りゅうのいあつを発動。ガブリアスに攻撃したポケモンはエネルギーを一枚手札に戻さなくてはいけない。俺の次のポケモンは今蘇生したばかりのボーマンダだ」 「サイドカードを一枚引いてターンエンド」 これで状況はなんとかイーブンに持ち込んだ。まだムードは敗色濃厚だが勝てる可能性はまだある。 「あの状況をここまで持ち直すとは流石というべきか。俺のターンだ! 手札の水エネルギーをバトル場のボーマンダにつけて攻撃だ。じょうきのうず!」 白い渦がバシャーモを空へと持ち上げる。HPが130もあるバシャーモがたった一撃で10まで追い込まれるとは。 「じょうきのうずのコストとしてボーマンダの炎、水エネルギーを一枚ずつトラッシュ」 しかも俺のベンチにはまだ育っていないヒコザルと、すでに20ダメージを受けたノコッチ。それに比べボーマンダ二体がまだ風見の場でピンピンしている。 それにこの勝負には我が家の命運がかかっている。ここで絶対勝って賞金を受け取らないといけない。……のだが、俺の心はいまひとつ緊迫感がなく、むしろワクワクしている。 だってこんなに楽しいことがあるか? そうそうないぜ。風見だけじゃない、今まで戦ってきたライバル達が皆が皆強かった。こんなに一日中ワクワクするなんて。 「……。楽しいな」 そんな俺の心を見透かしたかのように風見が呟く。 「ああ、楽しいな。やっぱりカードはこうじゃないとな」 「まったくだ」 「よし、続けるぜ。俺のターン、ヒコザルをモウカザルに進化させてバシャーモに炎エネルギーをつける。そしてバシャーモのバーニングブレスでボーマンダを火傷にする! そして攻撃だ、ほのおのうず!」 ほのおのうずはエネルギーを二個トラッシュしなくてはならないが100ダメージも与えれる大技だ。これで風見のボーマンダの残りHPは30。 「ポケモンチェック。……裏なのでボーマンダは20ダメージ」 これでボーマンダのHPは10! 再び風見と並んだ。一見次のターンにあっさりと倒されるように思われるがそうではない。 ボーマンダのワザは「かえん」と「じょうきのうず」の二つ。しかしどちらのワザを使おうにも炎エネルギーが少なくとも一枚要る。しかしあのボーマンダについているエネルギーは水エネルギーのみで、風見が次のターンに炎エネルギーをつけれなければ攻撃出来ないのだ。詳しくは20話の本日のキーカード参照。 「俺のターン。手札の炎エネルギーをボーマンダにつける」 しかし淡い期待は見事に粉砕。しかしそれもそうか。風見の山札は残り四枚だけ。しかも手札は七枚。高確率で炎エネルギーが手札にあるのは分かっていた。 「そしてボーマンダでかえん攻撃だ」 ボーマンダの口から無慈悲なほど大きい火球がバシャーモめがけてぶつけらる。 「俺の次のバトルポケモンはモウカザルで行く」 「サイドを引いてターンエンド!」 風見はまたしてもミステリアスパールではないほうのサイドを引いた。 「ポケモンチェックをしてもらうぜ」 「裏っ! これで俺のボーマンダも気絶か。しかしボーマンダはもう一体いる!」 俺もサイドを一枚引く。またしても状況はイーブンに近いが今度はポケモンの地力が違う。HP120以上のポケモンが俺の場にいなくなったので厄介なボーマンダのポケボディー、バトルドーパミンは発動することはなくなったがそれでも十分強い。ゴウカザルに進化できればまだなんとか試合運びを優位にできそうだが手札にゴウカザルはまだない。 「俺のターン!」 引いたカードはワカシャモ。ゴウカザルではない。手札にはサーチカードも、ドローサポートカードもない。 「モウカザルに炎エネルギーをつけてほのおのキバ攻撃!」 モウカザルがボーマンダに接近し、真っ赤な翼にガブリと噛みつく。ボーマンダは苦しげに呻く。 「ボーマンダに30ダメージだ。そしてほのおのキバの効果は攻撃した相手を火傷にする」 モウカザルが噛みついた後が火傷の跡としてボーマンダに残る。 「ポケモンチェックだ。表、ボーマンダにダメージはなし。俺のターンだ。手札の炎エネルギーをボーマンダにつけてかえん攻撃!」 モウカザルよりも一回り大きな火球がモウカザルを包み込む。これでHPわずか20。モウカザルでボーマンダに太刀打ちするのはほぼ不可能に近い。 俺の山札は四枚、つまりゴウカザルを引き当てる確率は四分の一。いや、サイドカードがまだ一枚あるから五分の一。それも違う。オーキド博士の訪問でキズぐすりを山札の一番下に置いたのでやはり四分の一だ。 しかし確率論は机上論、引いてみなくちゃわからない。 「俺のターン!」 思わずドローした瞬間目をつぶってしまう。右目を恐る恐る開くとそこには一枚のサポーターカードがあった。 「きたあ! 二枚目のオーキド博士の訪問を発動!」 残った三枚の山札を全て引く。するとそこにはきっちりゴウカザルがあった。ああ、サイドカードにあるのはアチャモか。 「モウカザルを進化させて炎エネルギーとたつじんのおびをつける」 たつじんのおびはつけたポケモンのHP20増やし、与えるダメージを20増やす強力なポケモンのどうぐである。もちろんディスアドバンテージとしてたつじんのおびをつけたポケモンが倒されるとサイドを一枚ではなく相手に二枚引かれる。しかし現は風見のサイドは一枚、さしてディスアドバンテージにならない。 「そしてこれが最後の攻撃だ、ゴウカザルの攻撃。いかり!」 ボーマンダの残りHPは100。そしていかりの与えるダメージは30。いかりの効果はゴウカザルに乗っているダメージカウンターの数かける10増えるので、30に50ダメージが追加される。更にたつじんのおびの効果によってワザのダメージがプラス20されて総計100ダメージ。 ゴウカザルは右手に炎を纏い、ボーマンダに殴りかかる。エフェクトの輝きで一瞬視界が白に包まれた。
翔「今日のキーカードはガブリアスLV.X! そせいはなんとエネルギーなしで使える! トラッシュされた仲間を蘇生させよう!
ガブリアスLV.X HP140 無 (DP4) ポケパワー りゅうのはどう 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。コインを3回投げ、オモテの数ぶんのダメージカウンターを、相手のベンチポケモン全員に、それぞれのせる。 そせい 自分のトラッシュから「ポケモン(ポケモンLV.Xはのぞく)」を1枚選び、「たねポケモン」としてベンチに出す。その後、のぞむなら、自分のトラッシュの基本エネルギーを3枚選び、そのポケモンにつけてよい。 ─このカードは、バトル場のガブリアスに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 無×2 抵抗力 なし にげる なし
─── 次の話で風見杯編終了となります。
風見雄大の使用デッキ 「ドラゴンエフォート」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-675.html
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Re: ポケモンカードゲームLEGEND PCC編 復旧中 ( No.41 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:23
- 名前: レイコ
- こんばんは。
挿絵がつくとグッと雰囲気と迫力が出ていいですね。素敵な絵を見せて頂けて私もでりでりさんとトビさんに感謝です。 相変わらずカードゲームのルールを把握するに至らず少し申し訳ない思いで読ませていただいているのですが、 そんなことおかまいなしにドンドン進んでいく展開が、たとえルールがよく分からなくても何か凄い事起きたんだよ!と思わせるパワーを放っており、読んでいて楽しくなります。 こういう勢いの良さは小説の上で非常に大切なんだろうなと感じます。 執筆頑張ってください。では。
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Re: ポケモンカードゲームLEGEND PCC編 復旧中 ( No.42 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:23
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- レス返し
>レイコさん こんばんはー。
とびんが描いてくれたおかげです>< おお、そういう勢いがちゃんと伝わっていたなら万々歳です。 まあ一番はカードのこともちゃんと理解してもらえるように書けることなんですけどねぇ。 コメントありがとうございました!
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終わりと新たな始まり ( No.43 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:24
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「───です。そして今度の3D投影機はベルト状になっていて、簡単な操作で簡単になおかつコンパクトに立体映像を伴ったカードバトルが出来るようになります。お手元の資料の十二ページをご覧ください。これが設計図案です。現在まだ正式名称は未定ですが、仮名として『バトルベルト』という名前としています。小売希望は十万円のラインを越えるか越えないか、調整中というところです。図案を見て分かると思われますが、バトルベルトは前回のステージ式3D投影機とは違いモニターがありません。モニターが不必要になるように、資料十三ページをご覧ください。ポケモンの立体映像が表示されている時、ポケモンの真ん中くらいに残りHP、ついているエネルギー、現在の状態異常が全て表示されるようにシステムされております。何か質問等ございますか」
昨日に風見杯があり、翔との壮絶な戦いをしたとは思えない程静かな毎日だが闘いはまだ続く。 今は株式会社ポケットモンスターで新しい3D投影機、バトルベルトの売り込みをしているところだ。 普段は高校生をしているのだが父親の命で休みの日や学校を終わってからの時間を返上して父親の会社で働いている。 俺の一人演説が終わり、静寂が再び訪れた会議室に小さな腕が一つ上がる。松野さんだ。 「価格はどうなの? 主なユーザー年齢的にも四万越えると苦しいわよ?」 「調整中です。出来る限り抑えるつもりですが」 「わかったわ、ほかに質問はないわ」 これでようやく会議が終了。会議室を出る人がそれぞれ伸びをしたり、うーだのあーだの言って視界から消えていく。これで会議室に残ったのは俺と松野さんだけになった。 「風見君、これから時間あるかしら」 「大丈夫です」 「ちょっと込み入った話なのよ。あまり人に知られたくないから」 「分かりました、部屋を手配しておきますね。……風見杯関係ですか?」 「惜しいわ。『風見杯に出ていた藤原拓哉について』、よ。連絡待ってるわ」 それだけ言い残すと松野さんは会議室から去って行った。一人取り残された俺は考える。 確かにあの日の藤原は日ごろ学校で見る彼とはまるで違う、別人格と言うべきか。そのような感じを醸し出していた。 そして少年を3D投影機無しでサマヨールを呼び出し、幽閉。恐らく松野さんの話とはここのことだろう。 不穏な心が渦巻く中、資料を整え会議室を出る。
風見杯から二日。前日の月曜は祝日だったので本日火曜から学校。 教室につくなり、いつもの連中以外に普段はそこまで話さないクラスメイトまで押し寄せてくる。どこからか俺の優勝の知らせを聞いたらしい。 その中で熱心なのが、緑色の短い髪が特徴の蜂谷亮(はちや りょう)だ。 「四百万ってすげえな!」 「まあもう手元にはないけどな。借金返してまたいつも通りすっからかんだ。俺みたいな素寒貧捕まえてもうまい棒一本さえ出てこないぜ」 「別に金目当てで集ってるわけじゃないさ。いや、そういうと嘘になるかもしれないけど、俺もポケモンカード始めようかなぁ」 「どうしてさ」 「賞金だろ賞金!」 蜂谷の眩しい笑顔に、賞金が出る大会はたぶん今回限りだと思うとはなかなか言いづらいかったのだが思わぬ横槍がやってきた。 「ばーか。風見杯が異例なんだよ」 「なんだ、恭介かよ。お前も初心者なんだろ? お前が言ってもあんまり信用できないな」 「しょ、初心者っつったってお前よりは経験者だ!」 急いで胸を張る恭介だが、とても虚しく見える。 「なあ、翔。今回だけなのか?」 「たぶんな。余程の事がないと賞金なんてでねーよ」 「一攫千金のチャンスだったのになぁ。……でも俺もちょっとポケモンカードやってみようかな」 「だったら俺が教えてやるぜ!」 再び蜂谷の目の前に恭介が現れるも、右手だけであっさり恭介はどかされる。 「俺にも教えてくれよ!」 「ああ、いいぜ蜂谷。放課後からやるか?」 「もちろんさ」 蜂谷が満足そうに自分の机へ戻っていくと次の来客者が現れる。 「おはよう、翔くん恭介くん」 「おっ……拓哉か」 一昨日の記憶が思わず蘇る。しかしあの時の凶暴性は夢だったのか、きわめていつもの気弱な拓哉だった。 俺が応答に少し詰まっていると、元気そうに恭介が拓哉に声をかける。 「おお、拓哉! 昼休みに俺と本気の勝負しようぜ!」 本気の勝負と聞いて拓哉の眉がピクッと反応する。 「俺と本気の勝負だぁ? いいぜ、ブッ潰してやる」 口調と声音が一昨日の凶暴拓哉だった。これは二重人格なのか? ハハハハハと高らかに笑いながら席へ着く拓哉をよそに、俺と恭介はただ固まるばかり。特に事情を知らないほかのクラスメイトは皆揃って口あけながら拓哉を見る。そして睨みつけられたのか、皆授業の準備に戻っていく。 「翔、アレって……」 「ああ。恐らくは二重人格だろう」 恭介の問いに答えたのはあろうことか風見だった。 「うおお、風見か」 風見は恭介を少し睨むと俺に対して話しかける。 「カードのこととなるとあの凶暴な人格が出るようだな」 「なるほどねぇ……」 「まあ翔との勝負で改心したのだろう、特に気にかけることはないな。それよりも三月に大会があるんだが、出ないか?」 風見の大会という言葉に俺よりも先に食いついたのは恭介だった。 「本当か!?」 「嘘をついてどうする。ポケモンチャレンジカップ、略してPCCという大会だ。もちろん出るよな?」 「ああ!」 「もちろん出るぜ」 俺たちの答えに風見は満足そうな表情を見せる。 しかしこの時新しい脅威が俺達の前に再び現れようとは思いもよらなかった。
─── これで風見杯編終了となります。 次回からPCC編、これからもよろしくお願いします。
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風見杯編を終わって ( No.44 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:24
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 終わりましたね、なんだかほとんど7月〜10月だけで終わった。
我ながらよくこんなに書けたなぁ。
ファーストバトル編の反省をいかして、風見杯編から始めたことがあります。 ファーストバトル編はバトルの進行をきちんと書かなかったため混乱することがあったので、
奥村翔 山札6枚 サイド2枚 手札3枚:炎 バトル場:バシャーモ炎10/130 ベンチ:ノコッチ 40/60 モウカザル トラッシュ:ゴージャスボール、不思議なアメ、炎、ポケモンいれかえ、ヒコザル、ゴウカザル、炎、ハンサムの捜査、オーキド博士の訪問、炎、炎、 スタジアム: 風見雄大 山札4枚 サイド2枚(ミステリアスパール) 手札6枚:ポケモンレスキュー バトル場:ボーマンダ炎水30/130 ベンチ: ボーマンダ炎水130/130 トラッシュ:スージーの抽選、ゴージャスボール、デンジの哲学、不思議なアメ、フカマル、ガバイト、ガブリアス、ガブリアスLV.X、炎、水、水、炎、水
という風に小説を書きながら対戦の状況をメモっていました。 これがメチャクチャ便利。 書きながら勝負を考えてるので、これがないとねぇ。 一番はやはり考えてから書くのだろうけどもそれじゃあ更新スピード的に苦しいので。
ファーストバトル編より幾分マシになったとはいえデッキのレベルが総じてしょぼい。 PCC編からは本当に実戦レベルのデッキを使わしてあげたいと思います。 まあその代わりとしてドロー支援カード被るかもしれないんですが。
とりあえず今後の予定は、ちょっと寄り道をしてからPCC編へと進みたいです。 それとタイトルをLEGENDとしましたがPCC編ではLEGENDのカードはまだ出さない予定です。DPtまでのカードでやる予定。 なぜ変えたかって? いや、なんか時代遅れみたいだし……。
そしてお知らせ。 この小説のキャラクター紹介等を載せたwikiがあることに気づいていましたか? 更新は非常に遅いんですが、あれ、こいつどんなんだっけと思ったら是非とも利用してください。
気長きままな旅紀行wiki http://www15.atwiki.jp/kinaga/
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ポケカはてなて。カード用語って何? ( No.45 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:25
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 恭介「風見ぃ!」
風見「急になんだ」 恭介「頼みがあるっ! カードの用語を教えてくれ!!」 風見「何かと思えばそんなことか。しかしどうして?」 恭介「ネットでポケカのサイト見てても用語だらけでさ」 風見「なるほどな。ならば俺が一覧表でまとめてやろう。●がついているのはカードゲームの用語で、○がついているのはポケカ専用の用語とするぞ」 恭介「おお! 助かる! 流石だぜ!」 風見「よし、あいうえお順で並べてやる。しかし代表的なものを乗せるので全てが乗ってるわけじゃないぞ。
●アドバンテージ TCGにおいて「アドバンテージを持つ」「アドバンテージがある」とは総合的な数値的優位に立つことを言う。 「アドバンテージを稼ぐ、得る」とは取引において数値的優位に立つことを言う。 また、「アドバンテージを失う、損なう」「ディスアドバンテージを負う」とは取引において数値的劣位に立つことを言う。 普通「アドバンテージ」と言う場合は、カード・アドバンテージを指すことが多い。 ○ウィニー 速攻でケリをつけるタイプのデッキ。 主体になるポケモンはエネコストが低かったり、 またはたねポケモンだったりする。 ○後ろ ベンチ、ベンチポケモンのこと。あまり一般的ではない。 ○エネ加速 ワザやポケパワーでエネルギーをつけること。 これによって、次のワザにスムーズにつなげることができる。 エネルギーがたくさん必要な重いポケモンや、エネルギーを大量にトラッシュするポケモンにとってかなり有効。 ○エネ拘束 ワザを使うときに必要なエネルギーに色の指定が多く、ワザが使いにくいこと。 ○エネ事故 事故の一種。 エネルギーをなかなかひけず、ワザがつかえなくて無駄なターンをすごすこと。 ●オーバーキル 相手プレイヤーへ過剰に攻撃する事を意味する。 こういった行為はマナーに反しているという見方もあるのでオーバーキルを行う場合は、「魅せる」、そして「お互いに楽しめる」ためのプレイングを心がけたい。 ●落とす 能動的にデッキまたは手札からカードをトラッシュに送る事。 または、相手にハンデスを喰らわせること。 また、前者の行為を肥やすということもある。 ○帯〜〜 達人の帯をつけたポケモンのことを帯〜〜(〜〜はポケモンの名前)と言う。 ●重い 基本的にエネルギーがたくさん必要なポケモンや、またはそのようなポケモンが大多数で構成されているデッキのことを指す。 対義語に軽いという言葉がある。 ●回転 「回る」とも言い、デッキが思い通りに動くことを言う。 一般にやりたいことがはっきりしているデッキは回転が良い。 あれもこれもと詰め込みすぎのデッキは回転が悪い。 回転の良さは手札事故の起こりにくさに繋がる、デッキ構築の重要な要素である。 ●壁 時間稼ぎの目的でバトル場におかれたポケモン。 その間に重いポケモンをベンチで育てることができる。 ●火力 ポケモンカードゲームにおいては、ワザによって与えるダメージの量を表す。 ワザのダメージが多いポケモンは火力が高い、あるなどと言う。 ●環境 今現在、「どんなカードがはやっているか」「どんなデッキが大会で大多数を占めるか」「どんなカードが存在しているか」をまとめて「環境」という。 大会で勝ち抜くためには環境を把握することが非常に重要である。 ●キーカード デッキの根幹を成すカード。 デッキによって種類はさまざまで、モンスターカード1つ取ってもフィニッシャーだったりサーチャーだったりする。 ●強化 主にカードの効果でポケモンの火力を上げること。 ●腐る あるカードが、他のカードの効果などの影響で使わないでいるうちに、役立たなくなってしまうことを表す言葉。 大抵は相手のカードやデッキと相性が合わない時、手札事故を起こした時等に使われる。 ただし、他のカードとコンボすることで状況を打破できることもある。 腐ったカードの事を紙という事がある。 ●壊れ ぱっと見、強すぎるようなカードにつかわれる形容。 新弾の情報が出たときに使われることが多い。 ただし、実際使ってみるとあんま強くない場合が多く、逆に発売当初、注目をあびなかったカードの方が長年愛されるケースも多い。 このようなカードを壊れカードと呼ぶことがある。 ●サーチ 主に、デッキに眠っている状態のカードを一定条件下で探すことを示す。 「デッキ内のカードを任意に選択し、コントロールを得る」効果全般を指す。 基本的に「デッキサーチ」と呼ばれる。 トレーナーにはサーチカードが多い。 ●サーチャー デッキからカードをサーチする能力を持つポケモン。 ○サイド落ち サイドカードに必要なカードがあること。 ●サルベージ トラッシュに存在するカードを手札に戻す(または加える)ことであり、「拾ってくる」「釣り上げる」とも呼ばれる。 ●事故 デッキが回りが思い通りにいかず、無駄なターンをすごすこと。 デッキ製作において、これを防ぐことは非常に重要な課題。 ●シナジー 複数の要因が重なることによって、それら個々がもたらす効果の和以上を生じること。 コンボが直接的な重なりを指すのに対し、こちらは間接的な重なりを指す場合が多い。 単体で活用でき、汎用性が高いカードを中心に決めるのが基本。 ●シャークトレード 一般的なレートとかけはなれたトレード。 主に、トレード相手がレートを知らないことにつけこんで行われる。 そのため、人道的によく思われない行為。 この行為自体や、どの程度までなら許されるか、などの見識については賛否両論である。 鮫、シャークとも表記することがある。 ○スタンダード 60枚デッキの通称。 スタンと略されることが多い。 ポケモンカード創設以来の枚数なので、ポケモンカードの基本の枚数とされる。 また、他の一部のカードゲームと違い、デッキの枚数は60枚丁度で、少なくても多くてもいけない。 スタンダードデッキでサイド6枚のときの勝負を「スタン6」、サイド4枚のときの勝負を「スタン4」と言う事がある。 ●スリーブ カードを保護するためのカバーのようなもの。 ほぼ全ての人がデッキをこれに入れている。 スリーブを二つ以上使う二重スリーブ、三重スリーブ等あるが大会によっては使えないこともある。マークつきのスリーブは使用不可。 ○立てる ポケモンを進化させるなり、エネルギーをつけるなりして、戦える状態にすることをいう。 ちなみに、進化させて、ポケパワーを使える状態にすることも、立てるという。 いかに早く立てれるかが勝負の鍵をにぎる。 ●デッキ圧縮 デッキ内の不要カードを減らしてキーカードを引き易くする事。 カードをドロー、サーチしたり、デッキ内の他のカードを墓地に送ったりするのが主な手段。 ●デッキトップ デッキの一番上のこと。 デッキの一番上にバウンスさせることをデッキトップという事もある。 ●デッキ破壊 相手のデッキの枚数を減らす行為を指す。 デッキデスということもある。 ●デッキボトム デッキの一番下のこと。 ●展開 ポケモンを場に出して育てたり、ドローソース系のトレーナーカードやポケパワーで補助しながら場を万全の状態にしていくこと。 コレが早いデッキはいわゆる「展開の早いデッキ」などといわれたりする。 語源は試合展開と思われる。 ●殴る ポケモンで相手を攻撃すること。 ●バウンス 場のカードを持ち主の手札に戻すこと。 ●ハンデス 相手の手札の枚数を減らす行為を指す。 なぜか手札破壊よりもこちらを利用することが多い。 ○ポケモン事故 種ポケモンや欲しい進化ポケモンをなかなかひくことができない状態。 ●メタ 「仮想敵を読む」というわけで、そのまま「仮想敵、流行」といった意味でも用いられる。 「○○対策」と言う意味ももつ。 ○ライン たねポケモン、1進化ポケモン、2進化ポケモンの数の事。 1つのデッキにヒノアラシ4枚、マグマラシ2枚、バクフーン3枚が入っている時は「ヒノ4−マグ2−バク3」と記すことが多い。 ●1KILL 1ターン目で勝つこと。 ●1:1交換 カードの発動と効果等の結果として、お互いのプレイヤーのコントロールするカードが同じ枚数分消費されること。 「1:1の取引き」「相殺交換」「等価交換」とも呼ばれ、数多くのTCGにおいて最も重要なカード消費に関する用語。 1:2以上の交換をしたときアドバンテージを稼ぐと呼ぶ。
とまあこんな感じだ。一部遊戯王wiki、ポケカ用語wiki様から本文抜粋させていただいた。これくらい覚えておけば困ることはないだろう」 恭介「こんなに覚えらんねーよおお!」 風見「あせらずじっくり覚えていくと良い」
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PCC編を読む前に ( No.46 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 第三章PCC編を読んでいただく前に
タイトル変更を兼ねまして、カードテキストや用語をLEGEND準拠にさせていただきます。 具体的にはダメージカウンターをダメカンと読んだり、トレーナーをグッズと言い替えたり。 しかしレギュレーションはDPとDPtのみです。 またカード用語もどんどん使っていくので、「ポケカはてなて? カード用語って何?」をご参照ください。
最後に一つ。これが一番重要なんですが、
───この物語はフィクションです。劇中に出てくる人物、団体は架空の物と実在の物が存在しますが、実在の団体とこの小説に書かれることは何の関係もありません。───
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風見の用事 ( No.47 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:18
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 二月下旬、非常に寒い季節は続く。私立高ゆえに土曜日も授業があり、今日がその土曜日。昼までだからと言えど喜ばしくない。
そんな朝、俺と風見はいつものように談笑をしていた。 「相変わらず寒いな」 「寒すぎて黒い塊が出そうだ」 「正体不明で白い息より怖いな」 「鼻からよだれが出る」 「どういう状況か分からん」 渾身のボケがことごとくかわされ、風見は笑うどころか苦笑いを浮かべている。 「翔、お前熱でもあるんじゃないか」 「失礼な! いや、中学時代の友達のまねごとをしたんだ」 「と、言うと?」 「大阪出身の友達がいてさ、こんな感じで面白い事言ってたんだけども俺には面白いこと言えないなぁ」 「しかしどうして急に?」 「久々にメールがあったんだ」 と言って制服ズボンの左ポケットから携帯を取り出し、受信メールを見せる。 受信ボックスの一番上には宇田由香里(うだゆかり)と書かれたメールが数通ある。その中の一つを表示して風見に見せた。 「『ポケモンチャレンジカップに出るん?』、か。こいつもポケモンカードをしているのか?」 「ああ、中々強いぜ」 「一度手合わせしたいもんだな。大会でぶつかれたらいいな」 ポケモンチャレンジカップ、略してPCCはまず全都道府県で地区予選を行い、その後は地方予選、全国大会となる。 由香里は中学時代だけ大阪で過ごし、今は大阪に戻って高校に行っているので遭うとしたら全国大会だ。 「ああ、そのためにはまず東京での激戦勝ち抜かなきゃならないな」 「そうだな」 その刹那、教室の扉が開く。担任かと思い振り返ると担任ではなく拓哉がやってきた。すかさず風見が声をかける。 「藤原か。悪いが今日の放課後暇か?」 「え? 僕? うーん、大丈夫と思うよ。急にどうしたの?」 「翔とお前とでちょっと着いてきてもらいたいところがあるんだ」 あれ? なんだその話は。 「あれ、俺が行くのはもう確定済みなのか。今初めて聞いたんだけど」 「よし、これできまりだな。放課後よろしくな」 「初耳なんだけど……」
放課後、風見の車に乗せてもらうことになった。いかにも高級感溢れる車だ。この車だけで我が家の総資産を超えることはほぼ間違いない。 「あまり好きじゃないんだがこういうときは便利だな」 助手席に座った風見が呟く。 「好きじゃない、とは?」 「ああ。個人的な話なんだが、今俺は一人暮らしをしてるんだ」 「ほうほう」 「親父の差し金だ。本来北海道に住んでたんだが、高校に入ると同時に上京したんだ。お袋は俺を金持ち暮らしに浸からせたいが、親父は俺を割と一般的な暮らしをさせたい。というわけで親父はお袋から俺を引きはがすために地元から東京に呼び寄せたんだ。俺も親父と同意見だから大歓迎なんだが、その際お袋が抵抗してな、こんな送迎車をつけてきやがった」 うらやましい悩みである。 「お母さんのこと嫌いなのか?」 「ああ。面倒にも程がある、今は一人で暮らせて快適だ。親の束縛がないのは非常に十分だ。……まぁこれは多少仕方ないが」 「いろいろあるんだなぁ」 「戸籍的には俺はまだ北海道に住んでることになってるしな」 「えらく長い旅行ですね」 「その言い方は腹が立つな」 「そういえば僕と翔くんはどこに向かってるの?」 拓哉が俺たちの会話に割ってきた。そういえばすっかり忘れていた。 「もうすぐ着く。着いてからの楽しみだ」 「俺と拓哉っていう組み合わせがイマイチ謎だな。恭介とかはいいのか?」 「ああ。用事があるのは翔と藤原の二人だ。それ以外は関係ない。具体的に言うと、翔とこないだの大会で翔と戦った方の藤原だ」 風見のひと声でスイッチが入る。急に隣にいる拓哉のオーラというか気配というか、そんな感じのが変わって殺気めいたものが溢れだす。 「俺様に何の用なんだ?」 「着いてから話そう。もう着く」 「勿体ぶってんじゃねえよ!」 「落ち着け拓哉」 「翔は黙ってろ!」 「ごめんなさい」 「な、なんだよ……。なんで謝んだよ……」 これが一番黙ってくれそうな返答だと思ったんです。どうやら当たりを引いたみたい。 ムスッとした拓哉を乗せて車は進む。 「高校生が六本木かよ」 「ここだここ」 「しかもヒルズかよ」 車が停車したので降りる。ヒルズの森タワーに入るのは初めてのことなのでちょっとドキドキ。 エレベーターに乗りそのまま十八階へ上がる。風見はまだ何も教えてくれないが、きっと風見の手にあるアタッシュケースが関係あるのか? 「こっちだ」 風見の後を着いていくと、株式会社ポケモンと書かれている扉が目の前にあった。 「えええ!? 株ポケかよ! 入っていいの?」 「翔、興奮するのはいいがもうちょっと静かにしてくれないか。入ってくれ」 扉を開けるとそこはオフィスが並ぶ普通の会社という感じのする一室と思いきやちょいと違う。辺り一面にはポケモン関連のグッズが所狭しと並び、そこに大きなテーブルや会議室っぽいの、デスクがいろいろ。結構広い。 しかしこの広い空間には社員と思わしき人物はなぜか一人もおらず、代わりにレディーススーツを来た小さな女の子がまるで俺たちを待っていたかのように立っていた。 「いらっしゃい、奥村翔君、藤原拓哉君」 その女の子はやけに大人びた笑みを浮かべた。
翔「今日のキーカードはハマナのリサーチ! たねポケモンと基本エネルギーがサーチできる! 試合展開をこれで早めよう!
ハマナのリサーチ サポーター 自分の山札から、「たねポケモン」または「基本エネルギー」を合計2枚まで選び、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、山札を切る。
サポーターは、自分の番に1回だけ使える。使ったら、自分のバトル場の横におき、自分の番の終わりにトラッシュ。
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バトルベルト! ( No.48 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:18
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 本編はこちら
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/40.html
挿絵を描いてくださったレイコさんに感謝!
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力の証明 ( No.49 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:23
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 株式会社ポケモンのオフィスで、学生とクリーチャーズの人が対戦を始める。全く意味がわからん。
そして風見は自社の新商品のテストをさせる。何が何だか、帰りたいです。 拓哉の最初のポケモンはフワンテとヨマワル。一方で松野さんのポケモンはポチエナだ。 今までの3D投影機とは違い、ポケモンの左下に緑色のバーがついてある。その緑色のバーのすぐ上には、たとえばフワンテには「50/50」、ポチエナにも「50/50」とある。これはHPの数値だ。きっとダメージを受けるとバーは減っていく仕組みだろう。 「先攻は俺がもらう! ドロー」 拓哉の使うゴースト(超)タイプは基本的に悪タイプが弱点となっている。相性で既に負い目を背負っている拓哉だがどう展開するのか。 「手札の超エネルギーをヨマワルにつけ、ベンチにムウマージGLを出す」 『バトルベルト』は3D投影機を簡易化にしたもののようで、目の前にはポケモン達が狭いオフィスに現れていた。 「あら、思ったよりも大したことないのね」 「ポチエナだけで何が出来るってんだ?」 「すぐ騒げなくなるわ。私のターン」 クリーチャーズの実力とはいかに。 「手札からスタジアム発動。破れた時空!」 松野さんはバトル場の左にあるスタジアム置きに敗れた時空のカードを置いた。すると、先ほどまでオフィスだった辺りが一気にダイパなどで見た槍の柱に変わる。松野さんのバックには破れた世界の入り口が現れる。 「このスタジアムがあるとき、お互いにその番に出たばかりのポケモンを進化させれるわ。その効果によって、ポチエナをグラエナに進化させる」 ポチエナがより立派な体躯に進化する。左下のバーの数字が「50/50」から「90/90」へと変わる。 「そして手札からスカタンクGを場にだす」 スカタンクG……。風見杯本戦一回戦を思い出す。あの毒コンボには苦しめられ……。 「拓哉! 気をつけろ!」 「スカタンクGのポケパワー発動、ポイズンストラクチャー」 スカタンクGの体から紫色の霧が噴出され、バトル場のグラエナとフワンテを覆う。 このポケパワーはスタジアムがあるとき、互いのバトル場のSPポケモン以外を毒にするポケパワー。風見杯の時は相手もSPポケモンを使っていたから毒を食らったのは俺だけだったが、グラエナはSPポケモンではない。自分のポケモンを巻き込んでまですることか? 「そしてグラエナで攻撃。グラエナのポケボディー、逃げ腰によってグラエナが状態異常の時、ワザエネルギーは全てなくなる。やけっぱち攻撃!」 「なんだと!?」 グラエナが暴れながらフワンテに頭から突進をかます。フワンテは「50+10」と書かれた数字を表記しながら思い切り跳ね飛ばされると、左下のHPバーがゲームのように減少して0になった。 「見やすくなっただろう?」 「ああ。さっきのフワンテに現れた数字は食らったワザダメージだろ?」 「そう。通常のワザダメージは青文字で。弱点補正が入るときはさっきみたいに+10が赤文字で書かれる。×2とかもあるぞ」 しかし気になるのは調子のいい風見ではなく、明らかに苦しい試合運びにされてしまった拓哉だった。 「サイドカードを一枚引くわ」 「クソっ、だったらムウマージGLをベンチからバトル場に出す」 「そしてポケモンチェック。グラエナは毒なので10ダメージ受けるわ」 グラエナが体を苦しそうに縮める。紫色の文字で10と表記表記され、HPバーがわずかに削られる。しかしまだ80もあるのだ。拓哉はこれをどう攻略するか。 「俺のターン!」 山札からカードを引いた拓哉は、怒りで沸騰しそうなほど不機嫌だった。 「クソッ! ヨマワルをサマヨールに進化させる! そしてスタジアムのおかげでヨノワールにまだ進化させる! さらに超エネルギーを……」 そう、ムウマージGLにはつけたくてもつけれない。ムウマージGLが超エネルギー一枚で使えるワザはサイコリムーブのみ。しかしこれは与えるダメージが10しかなく、グラエナは超タイプに抵抗力をもつため結果的に与えるダメージは0となる。ワザの効果も、コイントスを二回行い両方とも表なら相手のエネルギーを全てトラッシュするというものだがグラエナにはそのエネルギーが初めからついていない。 「ヨノワールにつけてターンエンドだ……」 グラエナは更に毒のダメージを受ける。HPは70となるも、拓哉からの攻撃はまだ一つも受けていない。 「私のターン。ベンチにポチエナを出し、さらにグラエナに進化させる。そしてクロバットGをベンチに出す」 クロバットGはHP80。今のグラエナを上回るくらいだ。忙しそうに羽を羽ばたかす。 「そしてこの瞬間にクロバットGのポケパワー発動、フラッシュバイツ!」 視界が一瞬白に変わる。まばゆい光に思わず目を腕でかばう。ようやく目が見えると、ベンチにいたヨノワールのHPが「110/120」に変わっていた。 「クロバットGのフラッシュバイツはこのカードを手札からベンチに出した時、相手のポケモン一体にダメカンを一つ乗せる効果を持つ。これでヨノワールも圏内だ」 風見が関心するように解説をする。圏内というのも、グラエナのやけっぱちは相手が自分よりつけているエネルギーが多いと与えるダメージが+30され、80ダメージになる。さらにヨノワールの弱点は悪。さらに30ダメージ食らうことになり一撃で倒されてしまう。ここまで計算されているプレイングは拍手物だ。 「さらにユクシーをベンチに出してポケパワー、セットアップを発動。その効果により手札が七枚になるよう、つまり五枚ドローする」 そう宣言すると、松野さんのデッキの上からカードが五枚突き出される。便利だ。 「そしてグラエナで攻撃。やけっぱち!」 ムウマージGLもフワンテと同じようダメージを受ける。50×2と表示され、80あったHPも一瞬で0となる。 「あら、ケンカ売ってこの程度? がっかりもいいとこね。これで残りのサイドは一枚よ」 「くっ……、俺の最後のポケモンはヨノワールだ。グラエナには毒のダメージを受けてもらう」 完璧、と言っても過言ではない松野さんのプレイングだが、たった一つだけミスを犯した。まだ可能性はある。 「俺のターン! まだだ、ヨノワールのポケパワー発動。消えてなくなれ! 闇の手のひら!」 ヨノワールが(HPバーをその場に残して)バトル場から姿を消すと、松野さんのベンチのグラエナの背後に移動していた。そして音も立てずグラエナを両手で握る。すると、そのままグラエナは消えてしまった。 「相手のベンチに四匹ポケモンがいるとき、そのうち一匹についているカードを全て山札に戻してシャッフルしてもらう」 「っ……」 松野さんが苦い顔をしてベンチに置いていたグラエナとポチエナのカードをデッキポケットに差し込む。すると、勝手にシャッフルし始めた。 「便利だろう?」 風見がやってやったと言わんばかりの表情でこちらを見る。そんなに自信に満ちた表情をされるとうなずくしかなくなる。 「ヨノワールにエネルギーをつけて呪怨! このワザは相手にダメカンを五個、さらにプレイヤーが既に取ったサイドの数のダメカンを乗せる。よって合計七個だ! そしてこれはダメカンを『乗せる効果』なので抵抗力は無視できる」 今のグラエナのHPは60。そして呪怨によってのせられるダメカンは七、つまり70ダメージ。ようやく逆転の一手だ。 しかも相手のベンチにはロクに戦えそうなポケモンもいず、どれもエネルギー一つさえ乗っていない。 「よし、サイドを引くぜ!」 「私の次のポケモンはユクシーよ。私のターン、手札のサポーター、ハマナのリサーチを発動。山札の基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで手札に加える。私はポチエナとユクシーを選択」 デッキの中途半端な位置からカードが二枚突き出る。デッキの中のカードを勝手にサーチもしてくれるのか! いちいち自分でデッキを見るよりよっぽど早い。 「ポチエナをベンチに出し、グラエナに進化させる」 「なっ、バカな!? 三枚入れてるのか?」 「悪いわね、このターン引いたカードがグラエナだったのよ。運も実力のうちってことね。破れた時空をトラッシュして月光のスタジアムを発動」 辺りがやりの柱からオフィスに戻る、のもつかの間で今度は薄暗い夜の草原に変わった。松野さんの上空にはきれいな三日月が浮かぶ。 「月光のスタジアムがある限り、超と悪タイプの逃げるエネルギーはなくなるわ。ユクシーを逃がしてグラエナをバトル場に出し、スカタンクGのポケパワー、ポイズンストラクチャー発動。これでお互いに毒状態に」 拓哉が右手に作った拳は外から見ても汗ばんでいるのが分かる。 「そして逃げ腰でグラエナはワザエネルギーが必要なくなった。グラエナで攻撃。とどめよ、やけっぱち」 「くっ……!」 グラエナの攻撃によりヨノワールに「80+30」のダメージ値が表示され、HPバーは尽きた。 勝負の決着と共に夜の草原が消え元のオフィスに戻る。電気がなくても陽の光で明るいオフィスだが拓哉の周囲だけは異様に暗く感じた。
藍「今日のキーカードはグラエナよ。 特殊状態にさえなっていればワザエネルギーは不要よ。 やけっぱちとのシナジー性もバッチリね。
グラエナLv.47 HP90 悪 (DPt1) ポケボディー にげごし このポケモンが特殊状態なら、このポケモンのワザエネルギーは、すべてなくなる。 悪無 けったく 20+ この番に、自分が手札から「サポーター」を出して使っていたなら、20ダメージを追加。 悪悪無 やけっぱち 50+ 自分のエネルギーの数が、相手のエネルギーの数より少ないなら、30ダメージを追加。 弱点 闘+20 抵抗力 超−20 にげる エネルギーなし
─── 松野藍の使用デッキ 「期待への謀略」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-687.html
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能力者の影 ( No.50 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:24
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「戻すときは逆の手順だ。テーブルに近づいて、ベルトとキッチリ合わせてテーブル手前のボタンを押す。そう、それでテーブルの脚がなくなる。今度は一個だけ残ったポケット傍のモンスターボールのボタンを押してくれ。その時も危ないから手とか近付けるなよ。最後にさっきのボールを最初とは逆にへそ側へ押してカチッと鳴ったら終わりだ。そう、そうだ」
二人はバトルベルトをはずして風見に返す。風見はテストプレイが上手く行ってご満悦のようだ。 「さて、私に負けたから言うことを一つ聞いてもらうわよ」 ショックからか、下を向く拓哉の傍へ松野さんが近づきながら言い放つ。 「私の言うことは、『私の言う事を聞いてほしい』よ」 「は?」 思わず間抜けた声が出る。意味がまるでわからん。 「まあ、分かりやすく言うと、貴方達を呼んだ理由を話すからさっきみたいに喧嘩とか売らないで私の話を黙って聞いてほしいの」 「はぁ」 イマイチしっくりこない。そんなまどろっこしい事しなくてもいいのに。 しかしそのお願いを完全に無視して風見が先制パンチ。 「それよりも松野さんが何故株ポケのオフィスに? クリーチャーズのオフィスでは」 「どうしても確かめたいことがあったから、無理を言って入れてもらったのよ。それも今から言う話に関係するからよく聞いてね」 松野さんの目が真剣になる。相当は威圧眼だ、自分のつばを飲み込む音が聞こえた。 「まず、君」 と言って松野さんは拓哉を指差す。 「この前の風見杯で、君は人を消した。君の言い方を借りると、異次元に幽閉した、かしら」 「あ、ああ」 「君みたいに不思議な『能力(ちから)』を持つ人が最近あちこちに現れたの」 「なんだと?」 「どういうことですか? 詳しく教えてください」 風見だけは話を聞くというより、話を聞いている俺と拓哉を静観しているようだった。事情は既に聞いているのだろうか。 「それぞれ藤原君とは違う能力だけど、まあ似た類のものが跋扈して困ってるのよ。たとえば、ここ東京では対戦相手がことごとく意識不明になったり、青森県ではカードのポケモンが具現化したり、島根県では左半身麻痺の女の子がポケモンカードをやっているうちに麻痺が回復したり」 「いろいろありますね」 「今のところ二十八人確認されてるわ。このままだと増加していく一方よ」 「それで?」 「この、能力を持つ人のこと。まあ能力者って名づけようかしら。その人達の全員が勝率百パーセントなのよ。ほら」 パソコンの方へ誘導される。モニターを覗き込むと、これは大好きクラブのポケモンカードゲームネットワークの画面。 指で示された所には大好きクラブのユーザー名と、何勝何敗かが書かれている。勝数はバラバラだが、どれも負けがない。 「あれ? でも一敗してる人も数人混ざってる……」 「ええ。勝負で負けた能力者は能力にセーブがかかるようになるの。能力というより精神かしら。まあなんにせよ能力がほとんど無効化されて能力者とは言えなくなるわね」 「精神?」 「今のところ、負けた能力者は藤原君を含め五名。その五名とも、何かしら出来事があって精神状態が崩れ、能力を身に付けた」 「具体的に言うと藤原は母親と揉めてから、今までの怒りや不満が爆裂して精神状態が崩壊して能力を身に付けた。精神状態が安定しないためについでに人格が増えた」 松野さんに代わって風見が代弁するも、拓哉の気に触れたようで「ついでってなんだよ!」と怒鳴られる。 「高揚している精神が、負けによって一気にクールダウンして落ち着くの。なんでもかんでも回り構わず夢中で能力を使っていたのが、まるで夢から覚めたような気になり、使わなくなる。藤原君もそうでしょ? 奥村君に負けないまではなんでもかんでも能力を使おうとしていたが、負けてからはその気が失せる」 「……。ああ」 拓哉が沈んでいく。きっと能力を使ったときの事を思い出しているのだろうか。とてもじゃないが人を気に入らないからといって幽閉するだなんて正気の沙汰でない。幽閉と言ってるが実質、拉致監禁以外の何物でもない。今こうして沈んでいるのはきっと後悔しているのだろう。 「俺達を呼んだのはそれを伝えるだけじゃないでしょう?」 「ええ、もちろんよ。君たちにはお願いがあるの。風見君も含めてね」 じっとこちらを見つめていただけの風見がふと我に返ったように松野さんを見る。 「能力者を倒してほしい」 これが福本漫画なら、ざわざわ擬音が浮かんでいるところだ。倒してほしいって簡単に言ってくれる。 「このまま不祥事が表立ってしまったら私の会社やここ(株式会社ポケモン)が完全に信用を失ってしまうの。我儘なのは承知よ。でもこれもポケモンカードの、いや、むしろポケモンの存続のためなの」 最後の言葉で完全にお願いが脅迫になったじゃないか。こうなったらもう選択肢は一つしかない。 「なんとかします」 「おい翔! それでいいのか!?」 「いや、いいもクソも」 「だってある種、ポケモンの存続危機だぞ?」 「それは……そうだが」 「俺もやるぞ」 「風見、テメーも!」 拓哉は不満もいいとこ、興奮のあまり思いっきり脚をドタドタ踏みならす。下の階に迷惑だ。 しかしふと何か気づいたらしく、松野さんに向かって拓哉が言葉を放つ。 「というよりも能力者をポケモンカードから遠ざければいいだけだろ!」 「それがそうもいかないのよ」 拓哉の言う事は正しい。そうすれば問題は大抵なくなるはずである。しかしそうもいかないとはどういうことだろうか。俺と拓哉は頭にクエスチョンマークを浮かべる。 「さっき言った東京の能力者は、ポケモンカードから遠ざけようとした親を意識不明にしたの」 「つまりあんまり意味がないどころか犠牲者が増えるってことだ。分かったか?」 松野さんと風見が辛辣な表情で答える。分かれ道があるように思えた道も結局合わさり一本道になった。やるしかない。 「分かりました。やります!」 「し、仕方ない! こうなったらやってやる!」 「二人ともありがとう。能力者のほとんどがPCCに出るの。対戦表は操作できないけど、高確率で勝ちあがってくるはずよ。その時に必ず倒してね」 公式大会に出す前になんとかならんものか。 「東京はまだしも他の道府県は?」 「そこの有力トレーナーにもう話はつけてあるわ」 俺たちは現場をこの目で見たのだが、その有力トレーナーとやらはほとんどが能力を見てないだろう。こんなオカルト(というよりはファンタジック?)めいた話をよく信じたもんだ。 「まあなんにせよ、俺たちは初めから相手が誰だろうと勝ち抜くつもりですよ!」 「ああ」 「けっ、全くだ!」 しかし俺たちは能力者の真の恐ろしさを知らなかった。
松野「今日のキーカードというよりは前回のキーカードよ。 このスタジアムが場にある限り出した番、あるいは進化した番にも進化できるわ。 これがあるだけで試合のスピードが一気に変わるわね。
破れた時空 サポーター おたがいのプレイヤーは、自分の番に、その番に出たばかりのポケモンを進化させられる。(その番に進化したポケモンも進化させられる。)
スタジアムは、自分の番に1回だけバトル場の横に出せる。別の名前のスタジアムが出たなら、このカードをトラッシュ。
─── 結末は出来てるけど過程ができてない>< あと二話くらいのストックはあるけども
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かーどひーろー ( No.51 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:24
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 眠れない。あんな話を聞いてしまった日だ。
実際に拓哉という前例があるだけに信じるほかないが、あんなのが二十人もいるのだ。 「どうしたの? 翔」 「いや、なんでも。ちょっと水飲みたくて」 隣の布団で寝ていた姉さんを起こしてしまったようだ。別に水は欲しくなかったけど、言ってしまったものなので蛇口の水をひねり、コップの水を飲む。 能力者は負けると能力(ちから)の効力が弱まり、精神自身も能力を使いたがらなくなるらしい。理由は分からんが、だいたい負ければ能力が消えると考えていいだろう。 『このまま不祥事が表立ってしまったら私の会社やここ(株式会社ポケモン)が完全に信用を失ってしまうの。我儘なのは承知よ。でもこれもポケモンカードの、いや、むしろポケモンの存続のためなの』 やっぱり脅しだ。強烈な脅しだ。
「なあ、翔。この辺で(※)シングル買い出来るカード屋あるか?」 (※)シングル買い……カードをパックで買わず、カード屋で一枚だけカードを買うことをシングル買いと言う。 日曜を挟んで月曜日の放課後。恭介がそんなことをふと尋ねてきた。 「カード屋? あるっちゃあるけど学校からそれなりに距離があるぜ」 「どれくらい?」 「自転車で二十分するかしないかかな」 「それなら行けるじゃん! 蜂谷も誘っていいか?」 「おう」 「よし、先に駐輪場行っといてくれ」 と言うなり俺の机を離れ、廊下に出ようとしていた蜂谷の元へ駆けだす。背後から急に肩を叩かれ驚いた蜂谷だが恭介の話を聞いて嫌そうな顔がどんどん好奇の顔に変わる。 そんな二人を傍目に先に学校の駐輪場に向かうことにした。
「うおおおおおおおお、さみいいいいいいいいいいいい」 「寒いぞちっきしょおおおおおおおおおおお」 「お前ら本当に仲いいな」 仲いいというよりうるさいな。 本日の最高気温はわずか八度。五時くらいで日も傾き始めた今では五度切ってるんじゃないか? そんな寒空の下を男三人が自転車に乗って道を爆走している。しかもそのうち二人は寒さにやられてしまった。 「っておまえら勝手に俺より先行くな! ってそこまっすぐじゃない! 曲がれえええええ! 左に曲がれえええ!」 俺もダメみたいだ。 二十三分かかってようやく着いたカード屋「かーどひーろー」は珍しくポケモンカードをシングル買いできるカード屋である。 ポケカは他のカードよりも置いてる店が少なく、シングル買いになるとより少なく、売ってくれる店となればさらに少なくなる。というのも理由がちゃんとあるのだ。 一応子供向けであるポケカは主に大人が集まるカード屋ではあまり人気ではない。シングル買いになると同じくだ。あんなスペースをとるのに客が来ないとなればもうやる意味がない。 売ってくれるのはまたちょっと違い、いわゆるポケカショックというやつだ。恐らくほとんどの方はご存じだろうが、ポケカは裏面が変わったことがある。そのおかげでポケカを見限ったカード屋が多い。裏面が変わるということは対戦では絶対使えなくなる。まあ、今も(※)レギュ落ちが存在するんだが。まあもう一度裏面が変わるかもしれないということで売り手が増えても買い手がつかなくなる。ということで売れる店は基本ない。ヤフオクでなんとかしてください。 (※)レギュ落ち……ポケカのシリーズが変わると、前のシリーズが大会で使えなくなることがある。そのことをレギュ落ちという。最近新シリーズLEGENDに移行したためWCS2010でDPシリーズが使えなくなる。 「早く入ろうぜ!」 「言われなくてももちろん!」 自転車を店の傍に止めてカード屋に入る。「かーどひーろー」は一階は普通のカード屋である。あちこちに棚があり、遊戯王、ポケカ、デュエルマスターズのシングルがある。二階はカード屋によくあるデュエルスペース。(※)ジムチャレもここで開かれることがある。また、デュエルターミナルも二台置かれている。 (※)ジムチャレ……ジムチャレンジのこと。ポケカの公式カードバトル大会。詳しくはポケモンカードゲーム公式サイトで。 「うおおおお、いっぱいカードあるじゃん!」 「とりあえず静かにしてくれ」 「いやだって翔よ、こんなにカードあるなんて思ってなかったもん。なあ恭介!」 「うんうん」 「いや、あのさ」 俺よりも十センチ以上背丈の大きい二人の肩に手を置き俺の口元に無理やり二人を近づけ、店主に聞こえないように小さな声で話しかける。 「店主いるじゃんか、あの人すっげー無愛想だからあんまりそんなんされると追い出されるかもしれないからさあ」 「それは困る」 「だったら静かにしてくれよ」 「分かった、分かった、心配すんな」 だといいんだが。こいつらは元がうるさい。先生が静かにしろと言ってまともに静かにする試しがほとんどない。 俺は二人から離れて先にカードを見始める。 バシャーモFB LV.X1820円か……。結構下がってきたな。DPt1のバシャーモの値段も下がってきた。 アルセウスはLV.X以外単価が低いな。無色のアルセウスだけちょっと高いって感じか。 ショーケースから離れて今度は積まれている十円コーナーを見る。 「おっ」 アンノーンGが十円かよ! これは買いだな。ハマナもミズキもあるじゃんか。破れた時空もマークか、いやいや迷うなら買いだ。店主、価値わかってねえな。 その後もカードを見続け欲しいカードを手に持ち、レジの傍にある紙切れとボールペンを取って再びショーケースに戻る。 カード屋は主に盗難防止のために高いカードはショーケースに入れてある。で、そのショーケースに入ったカードをどう買うかというとだいたい二パターンある。 一つ目は店の人をショーケースまで呼び寄せ、これが欲しいと直に訴える方法。 そしてもう一つは店に紙切れとボールペンがあるのでそれに欲しいカードの番号(ショーケースの中のカードにはカードの下に番号が書かれたタグが置いてあることが多い)を書く。かーどひーろーは後者だ。 欲しいカードを書いた紙をレジに持っていくと、店主がこれでもかというほどめんどくさそうに立ち上がり、うわめんどくせえというオーラを体から発しながらショーケースに向かって歩き出す。 先ほども述べたがこの店主、愛想が最悪である。ちなみに髪の毛の残り具合も最悪である。大抵は二階のデュエルスペースでこれまたクソめんどくさそうにぼんやり座ってるだけなのだが今日は割と珍しくレジにいた。普段は一人だけいる店員がレジの番をしている。 「これかい?」 背後で聞こえるデュエルターミナルのデモプレイの音声よりも声が小さくていちいち聞き取りにくい。 「はい」 ショーケースの鍵は足元当たりについている。いちいちショーケースを開けるためには屈伸運動をしなくちゃいけないのでこの店主はそれがどうも嫌いなようだ。別のショーケースにすればよかったのに。 「1910円ね」 何言ってるかわからない(聞こえない)のでレジの表示を見て財布から二千円を差し出す。ちゃんと90円帰ってきました。ちょっと帰ってくるか不安だった。 「恭介、蜂谷、先に上で待ってるわ」 「おう」 「分かったぜ」 ポケモンとデュエルマスターズのスペースの間に階段があるので登っていく。この階段横が狭くてすれ違うとなると大変である。 登り切った先の二階はパイプイスとテーブルがあの店主が置いたのか気になるくらいきれいにおいてあり、なんと二十四席もある大きなカード屋である。 ただ、かなり大きな窓がついているためこの季節では窓際はかなり寒い。 休日はそれなりに混んでいるが今日は男か女か分かりにくい中学生か高校生かくらいのヤツが一人いるだけだった。ポケカをしているが知らないやつだ。ここで行われるジムチャレに何度か来たが、見たことない。 しかしそんな俺とは違ってどこか聞き覚えのある声でそいつは話しかけてきた。 「翔、久しぶり」 と。
翔「今日のキーカードだ! って言っても名前だけだけど。 ポケパワーのGUARDが非常に強力! 相手の強力なワザの効果をシャットアウトする究極のメタカードだ!
アンノーンGLv.17 HP50 超 (DP4) ポケパワー GUARD[ガード] このポケモンがベンチにいるなら、自分の番に1回使える。このポケモンについているすべてのカードをトラッシュし、このポケモンを「ポケモンのどうぐ」として、自分のポケモンにつける。このカードをつけているポケモンは、相手のワザの効果を受けない。(ポケモンについているかぎり、このカードは「ポケモンのどうぐ」としてあつかわれる。) 超無 めざめるパワー 50 自分にダメージカウンターがのっているなら、このワザのダメージは「10」になる。 弱点 超+10 抵抗力 にげる 1
─── まさかここまでカード屋の説明をするだなんて微塵も思わなかった。 一応、実際の知識ですが店によってもちろん大差あります。
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再会 ( No.52 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:25
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「誰?」
首の辺りまでボサボサに伸びた髪と茶色の暖かそうなダウン、そして青色のジーンズ。デジャヴがまるで起きない。顔もこれといって目立つほくろとかもないようだし、本当に誰かわからん。 「俺だよ俺、石川薫だ」 「ああああああ! お前か!」 聞き覚えがあると声と思えば風見杯決勝トーナメント二回戦で戦った石川薫だ。こいつ、一人称が「俺」だけど女なんだよな。 ……にしても雰囲気がだいぶ違うように思える。 前回はボサボサは同じだがもっと短髪で、風見杯はまだ十二月くらいなのに半袖半ズボンと季節違いも甚だしい格好をしていたのだが、今回はちゃんと季節をわきまえている。えらくなった。 「って近所なのか?」 風見杯は一応大会だ。ちょっと遠場でも無理してくる人が多いのだがこんなカード屋に来ると言う事は近所だろう。念のために聞いてみる。 「うん。ここまで電車で二駅だ」 「電車ってこの辺じゃJRか。でもJRからまた歩かなきゃならないじゃん?」 「化石掘りには足が全てだ」 「なるほどね……」 やはりこいつには常識のネジが飛んでる。 「その制服……。翔は平見高校なのか?」 「そうだぜ」 「実は俺も二カ月したらそこに通うことになるんだぜ!」 「へえ。……ってえええ!?」 「で、今日は制服採寸の帰りだ」 「なるほど。だから体育館使えなかったんだな」 ここまで喋って立ちっぱなしだったということに気づく。石川の目の前の席に着いた。 制服採寸といや、そういえばこいつ女だから一応スカートか。全然想像できんというのはある意味すごい。 「折角だしやろうぜ」 と、石川がデッキを取り出す。枚数的にハーフだな? 「よし受けよう」 鞄からデッキケースを取り出して応手する。 「先攻は翔からだ」 「よし。俺の先発はヒトカゲだ。お前はトリデプスGLか、相変わらずカセキだな」 「化石は俺のライフスタイルだからな」 ライフスタイルねえ。それにしてもやっぱり笑うとちょっと可愛いな。傍に思いつつヒトカゲに炎エネルギーをつける。 「ヒトカゲの助けを呼ぶでデッキからヒノアラシを手札に加えるぜ」 「よし、俺のターンだな。って勝負やってるけど連れが来たら帰らなくちゃいけないんだよな」 とかいいつつしっかりベンチにたての化石を置き、それに鋼エネルギーを乗せる。 「翔のターンだ」 「連れ?」 「ああ。俺の友達で一緒に平見高校行くことになってるヤツだ。下でカード見てると思うぜ」 ヒトカゲをリザードに進化させ、ヒノアラシをベンチにだす。続いて炎エネルギーをリザードに乗せて手札のゴージャスボールを石川に見せる。石川が頷いたのでデッキからヒトカゲを選び出す。 「へえ。名前は?」 デッキをシャッフルし直しヒトカゲをベンチに出した。 「よし、たたきつけるだ」 テーブルの端のコインを取ってトスする。 「向井ってやつだ。こないだの風見杯にも出てたんだぜ」 「向井……? どっかで聞いたことあるような……。表裏だから30ダメージ。そんでもって弱点で二倍になって60ダメージだな」 たたきつけるはコインを二回投げ、オモテの数かける30ダメージのワザだ。そしてトリデプスGLは弱点が炎なので、二倍である60ダメージをくらうことになる。これで80から20まで一気に消耗、次のターンは倒せるだろう。 「あああ! そうだ、向井ってどこかで聞いたと思ったら風見杯で姉さんと戦ったヤツか!」 石川は鋼エネルギーをたての化石につけ、化石にタテトプスを重ねて進化させる。そしてママのきづかいを俺に見せる。ママのきづかいは山札からカードを二枚引くカードだ。石川はその通り二枚山札から引く。 「あの人お姉さんなのか! 翔と同じ名字だったからもしかしたらと思ったらそうだったんだな。ターンエンドだ」 「そういやお前には兄弟姉妹いるのか?」 俺はリザードをリザードンに進化させて炎エネルギーをつけ、サポーターのハンサムの捜査を発動する。俺は石川の手札を見せてもらい、自分の手札を戻して五枚までカードを引く。 「いないぜ」 「そうなのか。炎の翼で攻撃。ポケボディーの火炎の陣の効果で、俺のベンチに炎タイプのポケモンが二匹いるからワザの威力は20アップだ。30に20足してそれを二倍、100ダメージだ」 「やるな! 兄弟ってどんな感じだ?」 石川がトリデプスGLをトラッシュし、ベンチのタテトプスを場に出す。俺はサイドを一枚引いた。 「そーだなぁ。まあ家によってマチマチじゃないか?」 石川がタテトプスを進化させ、鋼エネルギーをつける。そして達人の帯をつけた。むう。 「まあそうだけど、翔のところはどうだ、って聞いてるんだ」 「俺のとこは姉さんが俺を助けてくれてるって感じかな。喧嘩なんて小学校出て以来したことないからな」 トリデプスは鉄壁というワザをもつ。このワザは30ダメージだが、コイントスをして表なら次の番ワザによるダメージや効果を受けない。 達人の帯の効果でトリデプスはHPとワザの威力が20増えるので、鉄壁を食らうとリザードンは残りHPが90になり、次の俺の番はダメージが与えれないので何もできない。そして次の石川の番にまたエネルギーを一つつけられるとアイアインタックルを食らうと80ダメージ。達人の帯でさらに20ダメージ加算され100ダメージをリザードンが食らうことになり、リザードンが気絶してしまう。 「なるほどね。鉄壁攻撃。トスは……表」 「うわっ」 「ラッキーだぜ」 しかし鉄壁を破る方法はいくらでもある。 「俺のターン。ワープポイントだ! 互いのバトルポケモンを入れ替える。お前のベンチにはポケモンがいないからそのままだが、俺はベンチのヒトカゲをリザードンと入れ替える」 「なっ」 「ヒノアラシをマグマラシに進化させ、リザードに炎エネルギーをつけてターンエンドだ」 「くそっ。手札の鋼エネルギーをトリデプスにつけて……」 詰んだな。俺の手札にはリザードンがある。次の番に進化させればリザードのHPは更に140まで上昇する。 石川がこの状況を打開するには鉄壁で三回連続コイントスを成功させなければならない。 「あーもう、何考えてもダメだぁ! 降参だ降参!」 「よし、これで二連勝って感じか。高校で会ったらまた相手になってやるよ」 「その前にPCCがあるだろ、そこで勝負だ」 階段を上る複数の足音が聞こえる。恭介達か? 「石川もPCC出るのか。でも戦えるかどうかは分からないぞ」 「きっと戦うことになるさ」 石川は今度はニヤリと笑うと荷物を片付け階段に向かう。 「それじゃあまたな」 階段から現れた足音の主は知らない大人二人と向井だった。向井はこちらに一礼すると石川と共に帰って行く。 「……。PCC、ちょっと楽しみになったな」 一人でカードを広げ、硬いパイプ椅子にもたれて誰に向けてでもなく呟く。今度は聞き覚えのある声が階下から聞こえてきたので自分も荷物をまとめることにする。 下からガヤガヤ声を立てながら興奮してやってきた恭介と蜂谷を叱りながら俺達は家路に着くことにした。
薫「今日のキーカードはトリデプスだ! 鉄壁で守りつつ、アイアンタックルで攻撃! ポケボディーもなかなか優秀な俺のカードだ!
トリデプスLv.56 HP130 鋼 (DPt1) ポケボディー きんぞくしつ このポケモンに「ポケモンのどうぐ」がついているなら、ポケモンチェックのたび、このポケモンのダメージカウンターを1個とる。 鋼鋼無 てっぺき 30 コインを1回投げオモテなら、次の相手の番、自分はワザのダメージや効果を受けない。 鋼鋼無 アイアンタックル 80 自分にも30ダメージ。 弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる 4
─── 分かると思いますが翔のリザードンはDPt4のリザードンです。
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姉弟 ( No.53 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:26
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- PCCが着実に近づいてきた二月のとある寒い日曜日の昼ごろ。姉さんがキッチンでチャーハンを作ろうとしていた時だった。
軽快な電子音を鳴らして玄関のチャイムが鳴る。うちはボロアパートだがチャイムだけついているのだ。 「翔、悪いけど見てくれない?」 「はいはい」 丁度床で寝転がって英単語集を見ていた俺は今開けてるページをスプーンの尻の部分で栞代わりに挟み、玄関へ向かった。 「宅配便です」 扉を開けると少し年を取った男の人が細長い段ボールを抱えていた。 「ここにハンコを……」 男の人は段ボールを左足と左脇で器用に挟むと、開いた両手で伝票を渡してくる。 ハンコをきっちり押して伝票を渡すと、先ほどと同じ器用な動作で伝票を直すと段ボールを手渡してきた。邪魔なので先に家の中に入れておく。 「ご苦労様です」 男の人は律儀に社名とロゴの書かれた帽子を脱いでこちらに深くおじぎをする。誘われてこちらも少しからだ全体を下げた。 ふぅ、なんだかやけに疲れる宅配便だった。 改めて段ボールを見ると、それにはびっしり風見のとこの会社のロゴマークが。差出人もきっちり風見雄大だ。 確かにこのデカさ、学校で渡されると軽いが非常に迷惑である。段ボールに貼られた伝票の品名を覗くと「バトルベルト」と書かれていた。 ん、バトルベルトだって!? 「うおおお! 姉さんバトルベルト来たっ!」 しかし反応なし。割と大きな声を出したつもりが換気扇のせいで聞こえていなかったようだ。 段ボールを掲げて姉さんの傍に寄って、さっきと同じ言葉を繰り返す。 今度は姉さんもビックリしてこちらを見つめた。俺は踵を返し、リビングへ戻りサンタさんがプレゼントをくれたかのように無邪気に段ボールを開けていく。
チャーハンはとてもおいしかったです。開けた段ボールの中には商品用のバトルベルト二式と、風見の手紙が入っていた。 手紙といっても、「普段の礼だ」みたいな大したことは書かれていなかったので早々にトラッシュした。 バトルベルトは赤と青の二式で、俺は赤のベルト、姉さんは青のベルトをもうらことに。 「折角だし、早速やってみよう」 もらったバトルベルトをPCCが開かれるまで埃かぶせる気はさらさらない。 ちっさい部屋の中でバトルベルトを起動させようとする。使い方はこないだの勝負で見て覚えた。 「ちょっと待って! ここじゃ狭すぎて出来ないらしいわよ」 姉さんが取扱説明書をヒラヒラさせる。 「えー。じゃあこんな寒いのに外でなくちゃいかんのか」 「仕方ないじゃない。まあ風邪ひかないようにちゃんと何か着といてね」
幸いにも今日はまだ暖かい方で、コートを着てさえいればなんてことない寒さだった。といえど、外でカードをしてたら手はほぼ間違いなくかじかむだろう。 だがそれでも早速。子供のように無邪気な気持ちでバトルベルトを起動する。 「おおおおっ、おおおお!」 いざやってみるとめちゃくちゃ楽しいです。勝手に変形するなんて、子供時代に見た戦隊アニメの合体ロボットを思い出す。 「このボタンでテーブルとベルトを切り離すんだな」 よし、離れた。デッキをデッキポケットに入れてオートシャッフルのボタンを入れる。 本当に勝手にシャッフルしてくれて、さらに最初の手札となる七枚をデッキから突き出して用意してくれる。手札のポケモンをセットすると、いつの間にかサイド置き場にサイドが三枚置かれていた。 「よし、先攻は俺からだ!」 俺の最初のバトルポケモンはヒノアラシでベンチはなし。姉さんの最初のバトルポケモンはデリバードでベンチはタマザラシだ。 氷タイプねぇ。氷タイプといってもポケモンカードでは氷タイプは水タイプにカテゴライズされていているのだが、弱点が違う。 ポケカの水タイプは基本的に雷タイプに弱いのだが、ゲームで氷タイプとなっているポケモンはカードでは鋼タイプが弱点になっている。 現に今目の前にいるデリバードとタマザラシは弱点が鋼タイプだ。 「ヒノアラシに炎エネルギーをつけて攻撃。体当たり!」 ヒノアラシがデリバードに頭から突っ込んで体当たりを仕掛ける。デリバードは少し後方に飛ばされると、体当たりを食らった場所をさすりながら元のポジションに戻る。デリバードの緑色のバーが少し削られ、HP表示は60/70となる。 「あたしの番ね。手札のスーパーボールを発動。デッキのたねポケモンを一枚選んでベンチに出すわ」 タマザラシの右側にどこからかスーパーボールが現れた。スーパーボールは閃光を放つとユキワラシが姿を現していた。 「ユキワラシに水エネルギーをつけてデリバードのプレゼント!」 デリバードが尻尾の袋をごそごそ漁り始める。パチスロのリーチ画面を見てる気分。 「コイントスをして表なら、デッキから好きなカードを一枚手札に加えれるわ。さて、トスよ」 姉さんがコイントスのボタンを押す。運は俺の方に傾いていないらしく、表と表示された。 「この効果で山札のカードをサーチしたとき、相手に見せる必要はないのよ。さあ、何を引いたでしょう?」 どうせ進化系のカードだろう。トドクラーかトドゼルガかオニゴーリかユキメノコか。って結構可能性多いな。 「行くぞ、俺のターンだ!」 しゃきん。引いたカードはハマナのリサーチ。まずはこちらもポケモン達を立てていかないとな。 「手札のハマナのリサーチを発動。山札から基本エネルギーまたはたねポケモンを合計二枚まで選び、相手に見せてから手札に加える。俺が選ぶカードは……」 デッキのカードをサーチする前に気づく。近所の小学生が俺たちの周りに集まっていた。 そうか、バトルベルトが物珍しくて見学か。子供が見てる前で負けるなんてちょっと恥ずかしいな。 安いプライドだが、相性は悪いものの安易に負けるわけにはいかないな。
雫「今日のキーカードはデリバードよ コイントス次第だけど、プレゼントはなかなかいい効果。 好きなカードを一枚、ってのは大きなアドバンテージになるわよ!
デリバードLv.26 HP70 水 (DP4) ─ プレゼント コインを1回投げオモテなら、自分の山札の好きなカードを1枚、手札に加える。その後、山札を切る。 水 アイスボール 20 弱点 鋼+20 抵抗力 にげる 1
─── 奥村雫の使用デッキ 「DD・フローズン」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-692.html
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凍結! ( No.54 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:26
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「俺はハマナのリサーチの効果によりデッキからヒトカゲとヒノアラシを手札に加える。そしてその二匹をベンチに出す。あらかじめバトル場にいるヒノアラシに炎エネルギーをつけてマグマラシに進化させる!」
バトルベルトに内蔵された3D投影機によってヒトカゲとヒノアラシが現れ、ヒノアラシはマグマラシへ進化した。 3D投影機は風見との対戦や風見杯、こないだの拓哉と松野さんの戦いのせいで俺らにとっては至って普通だが一般的には珍しい部類だ。 そのせいか、辺りの小学生がアクションを起こす度に黄色い声を上げるので耳が痛い。ていうか小学生の数が姉さんのターンのときより少し増えてる気がする。 「うーん、なんか調子狂うなぁ」 「翔、早くしなさいよ」 「はいはい。マグマラシで攻撃。火花! コイントスをして表なら技は成功、裏なら失敗する。……裏」 「あっはっは、運に見放されてるわね」 「うるさいなぁ」 次のターンに一体何があるか分からない。少しでも、ダメージを与えるのが吉であるのだが。これは痛い。 「あたしのターン! ユキワラシに水エネルギーをつけ、タマザラシをトドグラーに進化させる。更にユキワラシもユキメノコに進化させるわよ」 ポケモンが進化すると同時に子供たちの歓声もあがる。 「そして進化した瞬間にユキメノコのポケパワー、雪の手土産を発動! ユキメノコに手札から進化させた時、自分のデッキから好きなカードを一枚手札に加える。これもデリバードと一緒で相手にカードを見せなくてもいいわ」 姉さんはまたもうふふと笑いながら何かしらデッキからカードをサーチする。 「そして手札からサポーターカードのギンガ団のマーズを発動。このカードの効果によってあたしはデッキからカードを二枚引き、その後相手の手札を裏のまま一枚選んでデッキの下に置いてもらうわ。それじゃあ翔から見て一番左のカード」 げげ、バクフーンがデッキボトムへ行ってしまった。 「デリバードのプレゼントを発動。……裏ね」 「俺のターンだ。ベンチのヒノアラシをマグマラシに進化させ、手札のゴージャスボールを発動する」 カードの発動宣言と同時に、バトル場のマグマラシの横にゴージャスボールが現れた。 「俺はデッキからリザードンを手札に加える」 そう宣言するとゴージャスボールが開き、リザードンのカードの拡大コピーが数秒姿を見せる。 「そして手札の不思議なアメを発動。ベンチのヒトカゲを手札からリザードンに進化させる!」 お馴染みの不思議なアメのエフェクトは相変わらずのようだ。ヒトカゲを大きな光の柱が覆い、徐々にリザードンへとフォルムを変えていく。シルエットがリザードンになると、リザードンは光の柱をかき消して大きく吠える。 「手札からハンサムの捜査を発動。その効果によって相手の手札を見ることが出来る」 姉さんが俺の方に手札を見せると同時に、デリバードの前に姉さんの四枚の手札が先ほどのゴージャスボールと同じように拡大して現れる。 水エネルギーにワープポイント、トドゼルガとハマナのリサーチ。ワープポイントが気になるってところか。 「俺はハンサムの捜査の効果によって手札をデッキに戻してシャッフルした後、カードを五枚ドローする。しかし今の俺の手札は0なので、手札をデッキに戻す行為は省略だ」 手札が五枚まで潤う。 「手札の炎エネルギーをベンチのリザードンにつけてマグマラシで攻撃。火花!」 コイントスボタンをもう一度押す。子供らも見守る中で表示される結果は裏。子供らの笑い声が聞こえてちょっとムッとなる。 「それじゃああたしの番ね。ワープポイントを発動」 バトル場のマグマラシとデリバードの足元に青い渦が現れ、二体ともそれに引き込まれていく。 「ワープポイントによって互いのバトルポケモンを自分のベンチポケモンと入れ替える。あたしはユキメノコを場に出すわ」 「ならば俺はリザードン」 さっきと同様にユキメノコとリザードンの足元にも青い渦が現れて二匹を引き込み、バトル場に残っていた青い渦からその二匹が現れる。同じようにベンチにデリバードとマグマラシが帰っていく。 「手札の水エネルギーをトドグラーにつけて、トドゼルガに進化させるわ。そしてこの瞬間にトドゼルガのポケパワー発動」 「また!?」 「トドゼルガのポケパワー、凍結はさっきよりも強力よ? このカードを手札から進化させたときに一度使えるわ。コインを二回投げて全てオモテなら相手のバトルポケモンとそのポケモンについているカードをトラッシュさせる!」 「なにっ!?」 「さあコイントスよ!」 姉さんはまるで俺から運を吸収しているかのようにコイントスを見事に成功させる。子供らが感嘆の声をあげると、姉さんは子供らに向けて手を大きく振る。 「凍結!」 トドゼルガが足元から放つ冷気がリザードンを包み込み、リザードンは文字通り氷漬けとなった。 「このポケパワーで唯一残念なのはこの効果でトラッシュさせても、気絶扱いじゃないことね」 「俺はエネルギーが付いていない方のマグマラシをバトル場に出す」 このままだとまだ何かされそうだ。大事をとって育ってない方を。 「あたしはハマナのリサーチを発動。水エネルギーとタマザラシを手札に加えて、タマザラシをベンチに出すわ」 しかしそれでも姉さんの手札は水エネルギー一枚のみ。まだまだ勝負は分からない。 「ユキメノコの攻撃。霜柱!」 マグマラシの足元から人の背ほどあるような霜柱が何十本も伸びてきてマグマラシを襲う。こんな大きさの霜柱は果たして霜柱と分類していいのか。 しかし大きいのは霜柱だけでなく、被ダメージ量も半端ない。マグマラシのHPゲージがほとんどなくなり、色も緑から黄、赤色と変わっていく。 マグマラシのHPは80に対し、ユキメノコの霜柱のダメージは50。更に、マグマラシの弱点が水+20なので合計70ダメージとなり、残りHPはたったの10。でもまあ首の皮一枚繋がっただけまだマシか。 「俺の番だ、ドロー」 引いたカードはバクフーン。めぐりめぐりでようやく手札に戻ってきた。しかし来るタイミングが悪い。 「ベンチのマグマラシをバクフーンに進化させて、ポケパワー焚きつけるを発動。トラッシュの炎エネルギーを自分のベンチポケモンにつける。俺はバクフーンにトラッシュの炎エネルギーをつける」 手札がリザード、リザードン、不思議なアメ、ポケドロアー+、ワープゾーンしかない。ポケドロアー+に賭けてもいいが、これまでの戦況的に運に持ち込むのは自殺行為だ。 「俺もワープポイントを発動。マグマラシとバクフーンを入れ替える」 「あたしはトドゼルガと交代よ」 再び青い渦がポケモン達を入れ替える。思えばこれはかなり正しい選択だ。トドゼルガは逃げようにも逃げるエネルギーが多い。交代させられないままサンドバッグするのは良い判断だ。 「バクフーンで攻撃。気化熱!」 バクフーンが口から溢れんばかりの炎をトドゼルガにぶつけると、大きな音を立てて蒸発していった。トドゼルガのHPバーが半分近くの70/130まで削られ、トドゼルガの体から水エネルギーのマークが出てくると、水エネルギーのマークが真っ二つに割れる。 「気化熱は攻撃を与えた相手の水エネルギーをトラッシュさせる!」 「なるほどねぇ。これじゃあトドゼルガはどうあがいても、ワザを使う事も逃げることもできないってことね」 ようやく雲行きがこちらに傾いてきた。
雫「今日のキーカードはトドゼルガよ! コイントスで二回連続表は大変だけど、効果は絶大! ワザのアイスバインドは任意トラッシュかマヒの付属つき!
トドゼルガLv.51 HP130 水 (DP2) ポケパワー とうけつ 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンを進化させたとき、1回使える。コインを2回投げ、すべてオモテなら、相手のバトルポケモン1匹と、そのポケモンについているすべてのカードをトラッシュ(この効果はきぜつでなはい)。 水水無 アイスバインド 70 相手プレイヤーが手札を1枚トラッシュしないかぎり、相手をマヒにする。 弱点 鋼+30 抵抗力 にげる 3
─── 日曜更新になってきた。
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油断大敵 ( No.55 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:27
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「あたしのターン! 水エネルギーをタマザラシにつけて、ギンガ団のマーズを発動。デッキから二枚ドローしたのち、相手の手札を表を見ずに一枚選択し、それをデッキの底に戻す。一番右のカードを戻してもらうわ」
ポケドロアー+がデッキの底に戻される。二枚で一つの効果を放つポケドロアー+がこのタイミングでデッキの底に戻ると言う事は、もうポケドロアー+の二枚で発動する効果を使うのは無理だろう。 「タマザラシをトドクラーに進化させてターンエンドよ」 今、俺のバトル場にはHP満タン(=HP110/110)で、炎エネ三枚のバクフーンと、ベンチに残りHPが僅か10(=HP10/80)のマグマラシ。そして姉さんのバトル場にはサンドバック状態になったトドゼルガ(HP70/130)と、ベンチには少しだけダメージを受けているデリバード(=HP60/70)と無傷で水エネが二枚ついているユキメノコ(80/80)と水エネ一枚ついたトドクラー(80/80)。 ポケモン的には俺の方が不利だが、流れは今俺に来ている。 「俺のターン! 手札の炎エネルギーをマグマラシにつけてバクフーンで攻撃。気化熱!」 トドゼルガのHPバーが0に近づく。60ダメージを受けて残りはわずか10ダメージ。ちょっとだけ残るのは少し癪だが、次のターンに倒せれる! 「あたしのターン。トドクラーに水エネルギーをつけてターンエンド」 姉さんの手札は未だ一枚のまま。手札が潤わなければ状況の打開も難しい。つまりこれは俺の優勢の維持を意味する。 「俺のターン。もういっちょバクフーンで気化熱だ!」 ようやくトドゼルガのHPも0になり、気絶。サイドカードを一枚引くと、ようやくたねポケモンのヒトカゲを引き当てた。一方で姉さんはユキメノコをバトル場に出す。 俺のベンチが危なっかしくて不安だったが、それからもようやく解放された。 次のターンが来れば、俺の不安はきれいさっぱりなくなる。 それが唯一の油断だったと思う。 「あたしの番よ。トドクラーをトドゼルガに進化させるわ」 「進化!? ということは……」 「この瞬間にトドゼルガのポケパワー発動。氷結!」 二回連続で二回連続コイントスを成功させるのは至難。あれ、二回連続が二回連続でうーん。 「よそ見してていいの?」 はっ、と気付いた時には時すでに遅し。バクフーンが目の前で氷漬けになっていた。氷結が成功していたのだ。 「今日はなんか運がいいわね」 バクフーンはトラッシュされ、今や残るは瀕死のマグマラシのみ。そして止めの一撃が襲いかかる。 「ユキメノコでマグマラシに攻撃。霜柱!」 再びいくつもの巨大の霜柱がフィールドに現れ、マグマラシを襲う。HPバーが尽きたマグマラシは力なく倒れる。 「マグマラシが倒れたからサイドを一枚引くわ。でも、今マグマラシが倒れて翔の(戦える)ポケモンがいなくなったからあたしの勝ちね」 ショックのあまり、膝をついて倒れる。 敗因はコイントス。運で負けるというのはどうも気が晴れない。無念。 ギャラリーの子供たちは姉さんの元に集まっていく。すごいねー、だのなんだのそういう声が聞こえた。 いつまでも地べたに寝転ぶのもどうかと思い、立ち上がろうとしたそのとき。子供のうちの一人が俺の顔の傍にやってきてボソッと呟く。 「全然ダメじゃん」 完全に立ち上がる気を失くした。
「ほらほら、翔。そんなに落ち込まないの。そうだ、今日は外食(弁当屋に弁当を買いに)に行こうか!」 「……」 「子供の言う事なんて気にしなくていいのよ! ほらっ、さっさと出かける準備準備」 「子供は正直に物を言う、だっけか」 「っ……」 その日俺はしばらく憂鬱な気分で過ごすハメになった。
雫「今日のキーカードはユキメノコね。 進化したとき、好きなカードを一枚サーチ! 霜柱もエネルギー二個で50ダメージ!
ユキメノコLv.45 HP80 水 (DPt4) ポケパワー ゆきのてみやげ 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンを進化させたとき、1回使える。自分の山札の好きなカードを1枚、手札に加える。その後、山札を切る。 水無 しもばしら 50 場に「スタジアム」があるなら、このワザは失敗。 弱点 鋼+20 抵抗力 にげる 3
─── 日曜更新に間に合ったあああああ
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訪問者 ( No.56 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:27
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- PCC東京予選まであと三日。そんなまだ寒さの続く三月中旬の木曜日。
「(やらなくて)いいって言ってるのに」 「お母様から命じられていますから」 学校の帰り、いつものように運転士のついている車に乗って登下校を繰り返す。 おぼっちゃまな仕様であるのが、逆に風見の苛立ちの元となる。 自分で言うのもなんだが、成金の父親の金にだけ惚れてくっついた母親は何かと息子に贅沢暮らしをさせたいらしく(詳しくは39話)、当の本人は嫌だと言うのに車の送迎だけはつけてくる。 だったら車に乗らなければいいじゃんというもののこの運転士も曲者で、車を使って道を塞いでくるなどと周りを気にしない傍若無人なことをしてくる。 「本当にやめてくれないか」 「いくらおぼっちゃまのおっしゃることでも」 「おぼっちゃまと言うのもやめろ!」 信号に引っかかって車が止まっているのをチャンスと、扉を開けてダッシュで歩道まで逃げる。 結構強引なことはしたが、逃げれただろう。と、言っても相手は学校も家も知ってるから焼け石に水だろうが。
電車を乗り継いで自宅のあるマンションへ向かう。23区内にある築八年、2LDKのそこそこの賃貸マンションが俺の家だ。 一人で暮らすにはちょっと広すぎる。家と云っても勉強するスペースとパソコン、ベッドと風呂トイレがあれば問題なかったのだが、良い感じの広さで割と手ごろな値段な物件は全て先客がいて、残っているのはちょっと高めの広い家かワケアリ物件ばかりだったのだ。 ちょっとボロが効き始めたエレベーターは俺の家がある九階に止まる。外廊下はまだ冷える風が直接かかって少し寒い。 そして自宅の前にたどり着いた時、部屋の中から誰もいないはずなのに、声が聞こえた。 泥棒か? とりあえず様子を見てみよう。こういうときこそ冷静にならないと。 冷たい玄関の扉に耳をあてる。 「風見君は何作ったら喜んでくれるかなー? ラザニア? チャーハン? カルパッチョ?」 聞こえた声は泥棒とはまるでかけ離れた平和なものだが、それはある種、俺にとっては泥棒よりも驚異的な存在だ。 足音を立てないよう、こっそりとエレベーターホールへ逆走する。 なんだってあいつがいるんだ。くそっ。 あいつ、というだけあって『一応』知り合いである。知り合いたくないけど知り合ってしまった。 それは京都の大手の製薬会社の跡取り娘の久遠寺麗華(くおんじ れいか)。どういうわけか知り合ってしまい、一目惚れしたらしい。 俺が東京にいることすら教えていない(教えるつもりもない)はずなのだがどうしてここに。ていうか家の中にいるんだ。 念のためにポケットを確かめるが家の鍵がきちんとある。相鍵は他にないはずだが一体どうなってんだ。 とりあえずアレがどっか行くまで誰かの家に厄介するか。 携帯を取り出して目ぼしい相手に連絡をつけてみる。 『すまんな、さすがに無理だ』 『俺は行けるけど親がなぁ』 『この電話は電波のつながらないところに───』 翔、蜂谷、恭介諸共壊滅。恭介に至っては電波がダメ。次にあてになりそうな人は……。藤原の家にかけるのは億劫だな。親子喧嘩でもされちゃ敵わん。そうなれば……。 「退くわけにはいかない……」 家に泊めてくれと言えそうな仲のいい人はもうこの人しかいない。 「もしもし、風見です」 『あら、風見くん。珍しいわね』 「松野さん、えーと、無理を承知で言うんですが、家に泊めてくれませんか?」 『……は? えーごめん。なんかあったの?』 「実は───」
結局OKをもらってしまった。年上の女の人の家に泊めてもらうとかどこかで聞いたことがあるようなシチュエーションだが。 松野さんの家は同じ23区内だが区が違う上に離れているので東京メトロを駆使して、松野さんが住むマンションに向かう。 俺の住む賃貸とは違い、しっかりしたマンションで高級感……というのは言いすぎだが割と値が張ってそうな家だ。駐車場まで完備である。 そのマンションの七階までエレベーターで昇ると、エレベーターホールで松野さんが待っててくれていた。それにしても中廊下はいいな。 松野さんの家は黒色のソファーと透明なテーブルのようにシックな家具が多く、大人な雰囲気を放つ……のだが、ところどころにあるポケドールが折角のシックさを削っていく。 「風見君はご飯食べてるの?」 「いえ、食べてないです」 「プライベートなんだしタメでいいわよ」 えー、そんなこと言われてもだな。 「それで、何食べたい? ある程度のものなら作れるつもりなんだけど」 「……しっかりしたものが食べたいです、……じゃなくて食べたいな」 「それじゃあそぼろ丼でも作るわ。適当にくつろいどいて」 と言われてもやることがない。なんとなくテレビを見ながらソファーでごろごろしていよう。こういう無意味な時間を味わうのが初めてなので、少し新鮮な感じがする。 『それはマクロじゃなくてマグロやー!』 まるで面白くない。それにしてもソファーが気持ちいいが、このままでは寝てしまいそうになる。いつもより重力がかかっているように感じられる体に鞭打ち、ソファーから立ち上がらせる。 が、足元がふらついてしっかり歩けない。両手をばたばたさせて何か掴めないか手さぐりする。 あった。右手でがっちり握る。……と、そのとき取っ手が動いた。完全にバランスを崩した俺は尻もちをついてしまう。 だけならよかったのだが、さらに大量の衣類が被さってきた。 どうやら握ったのはくの字型に開くクローゼットで、掴んだはいいものの体の重心が後ろに傾き、それと同時にクローゼットを引いてしまったらしい。 そしてクローゼットに無理やり山積みにされてた衣類が大雪崩を引き起こした。 良い感じに動けない。体の四方をどっさりと衣類で囲まれ、ついでに頭には紫色のブラジャーがちょこんと居座っている。 目の前のブラジャーのタグを見ると、Bとしっかり表記されていた。……、Bあったのか。ちなみにこの間、ソファーから立ち上がってわずか三十秒足らず。 「ちょっ、風見くん、ってええええ」 物音を聞いて様子を見に来た松野さんがお箸を片手に慌てふためく。 「動けないんで助けてください」 「あ、うんわかった」 いつもは冷静な松野さんがこんなに取り乱すなんてちょっと可笑しいな。 松野さんの懸命な救出作業の甲斐もあり、なんとか動けるようになった。何やってんのよと怒られて弁明したが、なんでこんなにたくさん衣服が積まれてたんですかと返すとまた慌てふためきキッチンへ逃げた。 広かったように思えたリビングが、大雪崩のせいで結構狭く見えた。 「風見くん、そぼろ丼出来たわよ」 キッチンから戻ってきた松野さんの両手にはおいしそうな匂いのする茶色のどんぶり茶碗。松野さんは先に食べといて、と言ってキッチンへ戻った。 「いただきます」 そぼろ丼だなんて中々食べる機会がないな。折角だから堪能しよう。 ふんわりとした卵と肉汁が溢れるようなミンチ肉が食欲を更に加速する。これはおいしい! 「気にいった?」 微笑みながら戻ってきた松野さんの両手にはワインとワイングラス。 「そぼろ丼にワインですか? ……じゃなくてワインなのか?」 「私はワインが大好きなのよ。毎週火、木、土曜日はワインって決めてるの」 まるでゴミ出しの曜日みたいだ。というよりもそぼろ丼とワインは組み合わせが悪くないか? 「風見くんも飲む?」 「遠慮する。それよりもアレ……」 未だに事故現場となる大量の衣類に視線を移す。 「ああ、片付けが苦手なのよ」 あははと乾いた笑みを浮かべる松野さん。こんなに感情が起伏な松野さんはウルトラレアだな。 「手伝いますよ」 「タメが混ざったり混ざらなかったりビミョーね。折角だから少しは手伝い頼もうかしら」 それがいい。シックな部屋だったはずが相当カオスになってるからな。 「それにしても松野さんは一人暮しなんですね」 「プライベートだったら『松野さん』じゃなくて『(※)アイコ』って呼んでよ。(※)一部じゃいつもそう呼ばれてるし」 ※アイコ・松野藍の藍に子ってつけたら可愛くなくね? と、言われて定着したあだ名。 ※一部・クリーチャーズ開発一部のこと。松野藍の職場。 オンとオフの切り替えがすごいと賞賛するべきかな。ここまで変容する人はちょっと珍しいのでは。にしても妙に気恥かしい。 「それで……。一人暮しなんですね」 「……。まあね、私は実家が嫌で東京に逃げ出したクチだし」 「東京出身じゃないのか」 「ええ。広島よ。でも東京にいる方が長くて広島弁なんて抜けてるけどね」 「実家が嫌っていうのは」 「うちの親父がうざくてちょっといろいろね。中学から東京の女子校に寮住まいしに上京したわ」 いろいろ複雑なんだなぁ。両親に振り回されている人はたくさんいるから、俺も母があーだこーだ言うのは言い訳にすらならないだろう。 「ごちそうさまでした。そぼろ丼おいしかったです」 意識してもタメと敬語が微妙に混ざる。 「それは結構」 松野さんがにっこり笑う。食器を下げようと立ち上がると、家のチャイムが鳴る。 「あら、結構遅い時間なのに。宅配便かしら。代わりに出てくれない?」 はいはい。食器を再びテーブルの上に置きなおし、玄関へ向かう。 今思えばインターホンで誰か確かめずに玄関の扉を無警戒で開けたのが失敗だった。 扉を開けた先には捲いたはずの久遠寺麗華がいたのだから。
風見「次回のキーカードとなるギャラドスだ。 三種類の技で多彩に攻めろ! テールリベンジの威力には素晴らしいものがある。
ギャラドスLv.52 HP130 水 (破空)) ─ テールリベンジ 自分のトラッシュの「コイキング」の数×30ダメージ。 水無 あばれまくる 40 ウラが出るまでコインを投げ続け、オモテの数ぶんのカードを、相手の山札の上からトラッシュ。 水水無無無 ドラゴンビート 100 コインを1回投げオモテなら、相手のポケモン全員から、エネルギーをそれぞれ1個ずつトラッシュ。 弱点 雷+30 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── 日曜日に間に合わなかった\(^0^)/
PCC編のOPソング「go my days」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-699.html
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二人目 ( No.57 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:27
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- なぜか久遠寺麗華が目の前にいた。それが衝撃過ぎて、扉を閉めるのも忘れてしまう。
様子を見に来た松野さんが玄関にやってくる。 「風見くん……。折角お料理作って待ってたのに、他の女の人のところに行くなんて」 非常に嫌な予感がする。俺が言葉を返す前に、松野さんが先制する。 「この子が例のストーカーね。風見くんも迷惑がってるからやめたら?」 声音がオフ(プライベート)からオンに切り替わって冷たくなる。 「くっ、風見くんはなんでよりにもよってこんなチビを選ぶのよ!」 「チビィ? 頭の容量の小ささは貴女の方がトップクラスね」 「何よこのチビ! わたくしと比べたら家柄は確実に下でしょう」 「それじゃあポケモンカードで決めましょう? 折角貴女の方からバトルベルトを持ってきてくれてるんだから」 言われて久遠寺の左手を見ると、俺のバトルベルトともうひとつ黄色のバトルベルトが握られていた。 「いいわ、それじゃあわたくしと早速勝負よ」 「ということで風見くんよろしくね」 松野さんが戦うんじゃないのか? 背を向けて部屋へ戻ろうとした松野さんに手を伸ばそうとすると、俺のデッキケースが飛んできた。 「……」 「家の中じゃ狭いから、この辺じゃあ駐車場の屋上とかどうかしら」 「いいわ、それじゃあ早速行きましょう」 俺の話なのに勝手に進んでいく。久遠寺は先にエレベーターホールへ向かって行った。 「ちょっと食器洗いしてから行くから先に行っておいて」 玄関にある自分の革靴を履き、玄関から出ようとした時家の中から松野さんの声が聞こえてきた。 「ああ、言い忘れてたけど彼女は能力者だから」 唐突さに数秒固まってしまった。一体、どういう……。
「駐車場の屋上、ここだな」 三月とはいえ夜なのでいくばか寒い。それにしても屋上という立地条件か、停まっている車の台数はまばら。立体映像でドンパチしても迷惑はかからなさそうだ。 しかし久遠寺が能力者とはにわかには信じられない。藤原の時は体からいかにもヤバそうな雰囲気を発していたが、目の前のやる気マンマンなお嬢様にはそんな雰囲気をみじんも感じれない。 「約束は約束よ!」 「分かってる分かってる」 ……。それにしても『能力者相手だからビビる』だなんてらしくないな。PCCでも能力者を倒していかないといけないんだ。そうだ。こんなところで躓いてられない。 「よし、行くぞ!」 俺の言葉を合図に俺達はバトルベルトを起動させる。いつもは枚数三十枚のハーフデッキで戦っていたが、今回は本格的に六十枚のスタンダードデッキでの対戦だ。 デッキポケットにデッキをセットし、オートシャッフルさせた。手札七枚とサイド六枚が自動でセットされる。 最初の手札となる七枚を手に取るが、こういうときに限って雲行きが悪い! 「先攻はわたくしからよ」 俺の最初のバトルポケモンはフカマルでベンチはコイキング。相手のバトルポケモンはストライク。ベンチにはチェリンボ。 「ドロー。手札の草エネルギーをストライクにつけるわ」 しかし、ストライクが草エネルギー一枚で使えるワザは剣の舞のみ。剣の舞は次の番に使うもう一つのワザ「スラッシュダウン」の威力を上げるだけだ。初手から攻撃はないようだ。 「ストライクで剣の舞。それにしても風見君がコイキングなんて、堕ちたものね。北海道を飛び出さない方が良かったわよ絶対」 「何とでも言え。俺のターン」 手札に来たのはコイキング。いいタイミングで来た! 「スージーの抽選を発動。手札のコイキング二枚をトラッシュしてデッキから四枚ドローする」 「たねポケモンを二匹も!?」 「不思議なアメを発動。フカマルはガブリアスになる!」 フカマルを光の柱が覆う。光の柱からはガブリアスが雄たけびを上げながら現れた。 「ガブリアスに水エネルギーをつけ、レジアイスをベンチに出す。ターンエンドだ」 「わたくしのターン。ドロー。手札の草エネルギーをストライクにつけて、ストライクをハッサムに、チェリンボをチェリムに進化させる! 更に手札のゴージャスボールを発動、ストライクを手札に加える」 ハッサムの隣にゴージャスボールが現れ、これまた白色の光を吐きだしながらボールが開く。ボールの中からはハッサムとほぼ同サイズの縦幅を持つ拡大されたストライクのカードの絵が現れ、五秒するとゴージャスボールもろもろ消えていった。 「ストライクをベンチに出し、ハッサムでガブリアスに攻撃しますわ。振りぬく攻撃!」 ハッサムが赤いハサミを大胆にガブリアスに叩きつける。すさまじい衝撃音と共にガブリアスの右下に表示されているHPバーが半分以下になる。 「ハッサムの振りぬくは、自分の場にポケパワーを持つポケモンがいなければ30ダメージ追加で攻撃を与えれますの。更にチェリムのポケボディー、日本晴れによって炎、草ポケモンが相手に与えるワザのダメージも10追加。よって元の威力40に30と10を加え80ダメージですわ」 「……中々やるな」 感心して言ったが、正直のところそんな余裕はない。2ターン目から80はかなりの痛手だ。もっと穏やかな攻撃と思っていたんだが、お陰でガブリアスのHPが130から50に削られた。 「行くぞ、俺のターン! ガブリアスをレベルアップさせる! この瞬間にガブリアスLV.Xのポケパワー発動。このポケモンが手札からレベルアップした時に発動でき、三回コイントスをして表の回数分のダメージカウンターを相手のベンチポケモン全員に与える!」 バトルテーブルのデッキポケット横の赤いボタンを押す。表、裏、表。表の回数は二回。 「よって20ダメージを受けてもらう。竜の波動!」 ガブリアスが鳴き声を放ちながら口から衝撃波を放つ。ベンチにいたチェリムは花弁を閉じようと、ストライクは両手で体をカバーしようと体勢をとるも衝撃波をモロに受けてHPバーが削られる。これでチェリムのHPは60/80。ストライクは40/60だ。 「お前、コイキングを見て俺を堕ちたと言ったな? 最初は弱くとも、いずれ信じる力と共に強く成長する証を見せてやる! コイキングを進化させ、現れろギャラドス!」 力なくベンチで跳ねていたコイキングが白い光に包まれ、より大きく。より力強くギャラドスへとそのフォルムを変えていく。 「ガブリアスLV.Xは逃げるのにエネルギーが不要だ。ガブリアスLV.Xを戻してギャラドスをバトル場に出す。更にレジアイスのポケパワー、ポケムーブを発動。俺は手札を二枚トラッシュする」 俺がトラッシュしたのは四枚目のコイキングとニドクインだ。 「レジアイスのポケパワーによって、お前のベンチの進化していないポケモンとバトル場のポケモンを入れ替えてもらう。どのベンチの進化していないポケモンを選ぶかの選択権は貴様にあるが、残念ながら条件に該当するポケモンはストライクだけだな」 久遠寺の顔が少し歪んだ。その目の前でストライクとハッサムの位置が一瞬で入れ替わった。 「でも貴方のギャラドスにはエネルギーが一つもついてませんわよ!」 「エネルギーなど不要だ! ギャラドスでストライクに攻撃。テールリベンジィィ!」 ギャラドスがその巨大な体躯をうねらすと、長い尻尾でストライクを力いっぱい叩きつけた。ゴム毬のようにストライクの体が宙に浮きながらそのHPバーは0を刻む。 「テールリベンジはトラッシュのコイキングの数かける30ダメージの威力だ。今俺のトラッシュにはコイキングが三枚。よって90ダメージ。受けてもらったぞ。サイドを引いてターンエンドだ」 そうだ! 俺はこんなところで負けていられないんだ。立ち止まる暇はないんだ……!
風見「今日のキーカードはハッサムだ。 エネルギー二つで最大70ダメージを与えることができる。 もう一つのワザも、ポケボディーも非常に優秀でオススメ出来るぞ」
ハッサムLv.47 HP100 草 (破空) ポケボディー ハニカムディフエンダー このポケモンにダメージカウンターが6個以上のっているなら、このポケモンがワザによって受けるダメージは、「−40」される。 無無 アクセレート 30 このワザのダメージで、相手を気絶させたなら、次の相手の番、自分はワザのダメージや効果を受けない。 草草 ふりぬく 40+ 自分の場にポケパワーを持つポケモンがいないなら、30ダメージを追加。 弱点 炎+20 抵抗力 にげる 1
─── あけましておめでとうございます。 留年しなければ今年で高校三年生。よって間違いなく毎週更新は不可能です。 日曜更新は変えませんが、二週間ペースおよび一カ月ペースかどうかは知りません。 まあでも今のうちに書きためておこうかな
あと、「エネルギーなど不要だ!」が書いててツボった
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精神戦 ( No.58 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:28
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「風見君!」
「松野さん!」 夜の闇に包まれた駐車場に松野さんが現れた。多少走ったのか肩が上下している。 「今のところは優勢ね」 「ところで久遠寺が能力者っていうのは?」 能力者。この前の風見杯で起きた藤原拓哉の例を思い出す。負けるとは思いたくないが、負けた時のことが気になるのは確かだ。 「やっぱり藤原とかのように……」 藤原の能力は『相手を消すこと』。本人は『次元幽閉』と言っていたが、やはり久遠寺もそういう類のものなのか。 「久遠寺さんの能力は『位置検索』よ」 「は?」 かなり身構えていたのに帰ってきた答えが意外としょうもないことでちょっとガッカリもした。しかし位置検索? なるほど、確かに俺の住所を教えていないのに俺の家を知っていたのは説明がいく。 「だから、負けたとしても消されたり病院送りとかそんなことはないはずだけど気を抜いちゃダメよ」 松野さんはグッと目に力を入れた。この人の目力は恐ろしく強い。思わずシャキンと背筋が伸びる。 「それに、能力者と戦う事だけで負担になるんだから。精神力で負けたらあっという間に飲み込まれるわよ。能力者との戦いで一番大事なのは強い心!」 「そろそろわたくしのターンを始めてもよくって?」 ずっと無視されていた久遠寺が、怒ったのか俺が松野さんに返事する前に声をかけてくる。 「ああ、始めてくれ」 「わたくしのターン。ハッサムに達人の帯をつける」 ハッサムの突出したお腹の辺りに帯が巻かれるが、ちょっと不格好。 達人の帯は装備したポケモンのHPと与えるワザのダメージを20増やすポケモンの道具だが、達人の帯がついているポケモンが気絶したとき相手が引くサイドは普段より一枚多い二枚となる。久遠寺は打点を増やしに来た。 「続いてサポーターのハマナのリサーチを発動。このカードの効果はもちろん分かっていらして?」 「たねポケモンおよび基本エネルギーを合計二枚までデッキから手札に加えるカードだ。馬鹿にするな」 「わたくしはストライクとチェリンボを加えますわ」 しかし加えたところでベンチには出せない。出したとしても、出した番には進化できないからレジアイスでバトル場に引き出され、俺のギャラドスの餌食になる。久遠寺もそれを分かっているのかポケモンをベンチに出してこない。 「ハッサムでギャラドスに攻撃。振りぬいてください!」 ハッサムがまたもやギャラドスにハサミを振りぬく。ギャラドスの豊富なHPがあっという間に虫の息。 振りぬくは自分の場にポケパワーを持つポケモンがいなければ威力が30上がり、更にチェリムのポケボディー、日本晴れによって草タイプであるハッサムの威力が10、達人の帯で20上昇している。よって元のダメージが40のはずの振りぬくが100という超強力な威力に変わる。 「これで風見君のギャラドスのHPは30よ。ターンエンド」 気持ちで負けたら飲み込まれる。踏ん張りどころはここだ! 「行くぞ、俺のターン!」 しかしドローが冴えない。手札はわずか三枚。どう乗り越えるか考えるんだ。 今の俺の場には満身創痍のギャラドス、ベンチには傷を負ったガブリアスLV.Xとレジアイス。レジアイスのポケパワーは使えない上、ギャラドスを逃がすこともできない。 「俺もハマナのリサーチを発動! フカマルと超エネルギーを手札に加える。フカマルをベンチに出し、超エネルギーをフカマルにつける」 これで手札は残り二枚。レジアイスのポケパワーの発動コストとして常にキープしていたい。 「ギャラドスで攻撃。テールリベンジ! 90ダメージを受けてもらおう」 ギャラドスが振り下ろした尻尾をハッサムが両手の挟みで受けるも、ハッサムのHPバーは四分の一。達人の帯で120まで最大HPが増えたハッサムだがもう30まで削ってやった。 「さあ、お前の番だ」
一見サイドの枚数的にも風見君が有利のように見えるけど、押しているのは確実に久遠寺麗華だ。 もうHPが30しかないハッサムだけど、アレだけで風見君のポケモン二体は確実に気絶させてくる。 風見君はきっと心の底で「所詮『位置検索』程度ならばどうってことないだろう。藤原とは違って負けた時のリスクもない」と高をくくっている。 それがダメなのだ。能力者との戦いは精神戦。先に心が挫けた方が負ける。能力者達は概して強い意思を持っているのにそんな事では勝てない。 とはいえ相手は人間、揺さぶればその強固な意思も崩れるはず。なのだけど、風見君はそういった会話能力がない。 あらかじめ私がシェイクしたんだけど、役立ててはくれないようだ。 「わたくしのターン。グッズカードのポケドロアー+を二枚発動。このカードは一枚単品で使った時と、二枚同時に使った時で効果が変わるわ。二枚同時に使ったので、わたくしはデッキから好きなカードを二枚加えてシャッフルします」 風見君の表情はまだ余裕が浮かんでいる。余裕であれば余裕であるほど心のスキが出来て窮地に陥ってしまうのに彼は気づかない。しかし、ここでアドバイスしたところでむしろ今度は焦りに変わるだけで、彼のためにはならない。彼のためと思うなら、黙って見守ることが一番だ。 「そしてサポーターカードのオーキド博士の訪問を発動。山札から三枚引いてその後、手札から一枚デッキの底に戻します」 手札を増強してきたわね。一気に動いてくるはず。 「手札からスタジアムカード発動。破れた時空!」 「破れた……時空だと」 風見君の表情から余裕が消え、みるみる生気を失っていく。 「このカードがある限り、互いにその番に場に出たばかりのポケモンを進化させれますわ。私はストライクをベンチに出し、ハッサムに進化させて草エネルギーをつけまして。バトル場のハッサムで攻撃! アクセレート!」 アクセレートのワザの元々の威力は30だけど、チェリムと達人の帯によって威力は60。残りのHP30のギャラドスはハッサムの攻撃を受けて気絶した。 「俺の次のポケモンはガブリアスLV.Xだ……」 「わたくしはサイドを一枚引いてターンエンド」 もはや風見君には焦燥しか見えない。このままだと正常の判断も出来ない、声をかけるなら今。 「風見君! アクセレートの効果に気をつけて!」 「効果……」 「アクセレートで相手のポケモンを気絶させたとき、そのハッサムは次の風見君の番ではワザのダメージも効果も与えれないわ」 「ガブリアスにエネルギーをつけてガードクローをしかけようとしたが、尚早だったな。だったら! 行くぞ、俺のターン!」 風見君の目に闘志が戻った。さあ、どんな戦術を見せてくれるのかしら。 「フカマルをガバイトに進化させる。そして俺も破れた時空の効果を使わしてもらうぞ。今進化したばかりのガバイトをガブリアスに進化だ! 更に水エネルギーをガブリアスにつける」 風見君の手札が一気に消費されて残り一枚になる。 「俺は手札からユクシーをベンチに出す。そしてこの瞬間にポケパワーを発動だ。セットアップ!」 セットアップは手札が七枚になるまでドローする強力なポケパワーだ。しかし、当のユクシー自体のステータスは乏しく、HPはわずか70。 「手札のスージーの抽選を発動。俺は手札のニドラン♀と不思議なアメをトラッシュしてデッキから四枚ドローする。そしてガブリアスLV.Xのワザを使わしてもらう。蘇生!」 空いているベンチに白い穴が形成された。そしてその穴の中からギャラドスがリフトアップして出現する。 「ガブリアスLV.Xの蘇生は、自分のトラッシュのLV.X以外のポケモンをたねポケモンとしてベンチに出す。俺はその効果によってギャラドスを戻した。ターンエンドだ」 「一度倒されたポケモンを戻してきたところでどうなるのかしら」 「笑っていられるのもいまのうちだ」 焦燥の色が風見君から消えていく。少しずつ、自分のペースを取り戻してきたようだ。本人に自覚はないと思うが、どうも彼は思っているよりも周りに流されやすい。しかしそれは一度だけ。自分のペースを取り戻した彼はもう迷わない。 「わたくしのターン。手札のポケモン図鑑を発動しますわ」 ポケモン図鑑は自分のデッキのカードを上から二枚を確認し、片方を手札に。もう片方をデッキの底に戻すグッズカード。グッズなのにドローが可能という扱いやすさがウリだ。 「続いてチェリンボをベンチに出しますわ。続いてサポーターのデンジの哲学を発動。手札が六枚になるまで引きます。今のわたくしの手札は0。よって六枚ドローしますわ」 手札の枚数が風見君とほぼ互角になった。久遠寺麗華にはまだまだ余裕の表情が浮かんでいる。 「チェリンボをチェリムに進化させます。そしてベンチのハッサムに草エネルギーをつけて、わたくしはそのガブリアスLV.Xに攻撃をしますわ。アクセレート!」 「またアクセレートっ!」 ハッサムがはさみでガブリアスの腹部を強く打撃するように突進する。ガブリアスのHPバーは完全に尽きて倒れ伏す。 「サイドを一枚引きますわ。これで追い抜きましたわね?」 確かにサイドは久遠寺麗華が一枚上回っている。その上、彼女の場には次の番に攻撃を受けないハッサム。ベンチには同じくすぐに攻撃に移れるハッサムがいる。そしてそのハッサムを支援するチェリムが二匹。それに対して風見君のポケモンは、置物と化したユクシーとレジアイス。そして蘇生したばかりのギャラドス、エネルギーが二個ついたガブリアス。状況的には風見君が責められ続けているという感じだ。 だがしかし。 「だったらガブリアスが次の俺のポケモンだ」 風見君の表情は純粋なところから来る笑みに包まれていた。
風見「今日のキーカードはチェリム。 ベンチにいてこそ活躍するカードだ。 ポケボディーの日本晴れで炎、草タイプのワザの威力が上がるぞ」
チェリムLv.30 HP80 草 (破空) ポケボディー にほんばれ 自分の草ポケモンと炎ポケモンが使うワザの、相手のバトルポケモンに与えるダメージは、すべて「+10」される。 あまからかふん 20 自分のポケモン1匹から、ダメージカウンターを2個とる。 草無無 ソーラービーム 50 弱点 炎+20 抵抗力 水−20 にげる 1
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暴風 ( No.59 ) |
- 日時: 2010/09/09 00:23
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「風見君、変わりましたわね」
「?」 俺がデッキからドローする前に、久遠寺が急に話しかけてきた。 「昔の風見君と今の風見君、だいぶ変わりましたわね」 「ああ。俺はこの半年で自分を変えてきた。俺は過去と決別する」 「それじゃあわたくしも過去なの? これだけ風見君の事を想ってるのに! ここまで来てすぐ向かいにいるのに!」 「……」 「今までわたくしが接してきたことも全て無になるってこと?」 今までにこいつと接してロクな事があった試しもないんだけどな。 「そういうことになる」 「あんまりです!」 久遠寺の悲痛な叫びが襲いかかる。ヤツはただ叫んだだけなのに、ものすごい暴風が来て吹き飛ばされそうになる。手札を持ってない左手で地面のコンクリートに触れて見えない衝撃を受けきる。 今のは一体何なんだ……? 「どうしてそういうことにっ……。ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 鼓膜が爆発しそうな叫びだ。両手で耳をふさぎ、再び謎の暴風に耐えるため姿勢を低く維持する。 暴風が収まり、立ち上がった。正面にいる久遠寺の表情は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。 「風見君、あなた本当に会話ヘタクソね!」 背後から松野さんの声が聞こえる。松野さんも謎の暴風に煽られていたようで、暴風が止んだ今でも右手で顔をカバーする体勢を組んでいる。どうやらまた暴風があってもいいように構えているようだ。 「振るなら振るでちゃんとまともに振りなさいよ! どう考えても相手を怒らせちゃったじゃない」 「いや、だって」 「だってもクソもない! こうなったらこの勝負に勝って、過去と決別しなさい!」 「はっ、はい」 なんという剣幕、正直久遠寺と同じくらい怖かった。どっちにしろ退けなくなった。 「久遠寺! 俺がお前とのこの勝負で俺の意志を見せてやる! 俺のターンだ!」 まずは目の前のハッサムをどうにかしなくてはいけない。残りHPは30だが先ほどのターン、アクセレートでガブリアスLV.Xを倒したためこのターンはワザのダメージと効果を一切受けない。 俺のバトル場はエネルギーが二つついたガブリアス(130/130)。ベンチにはユクシー(70/70)とレジアイス(90/90)とギャラドス(130/130)。一方の久遠寺のバトル場は達人の帯をつけ、草エネルギーが二つついたハッサム(30/120)、ベンチには体力マンタンで同じく草エネルギー二つのハッサム(100/100)とエネルギーなしのチェリム二匹(60/80)、(80/80)。 久遠寺の手札は五枚、サイドは四枚。俺の手札は今九枚でサイドは五枚。スタジアムは久遠寺が発動させた破れた時空がある。 「水エネルギーをガブリアスにつける。まずはそのハッサムをのけてやる。ワープゾーンを発動。互いのバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替える。入れ替えるポケモンを選ぶのは各々だ」 ガブリアスとハッサムの真下に青い穴が現れ、穴が二匹を青い闇に吸い込む。 「俺はギャラドスを選択する!」 ベンチのギャラドスも同じように青い穴に吸い込まれた。久遠寺からは声がしなかったが、ベンチのハッサムを選択したようで、同じように青い穴に吸い込まれる。 そして吸い込まれた計四匹のポケモンはバトル場とベンチを入れ替えて青い穴から現れた。これで俺のバトルポケモンはギャラドス。久遠寺のバトルポケモンは達人の帯がついていないハッサムになった。 「更にサポーターのクロツグの貢献を発動。トラッシュのポケモンと基本エネルギーを合計五枚までデッキに戻し、シャッフルする。俺はフカマル、ガブリアス、ガブリアスLV.X、ニドラン♀、水エネルギーの五枚をデッキに戻してシャッフルする」 この一連の操作が、ボタン一つで出来るのはかなり進んだものだなと我ながら思う。デッキポケット隣の青いボタンを押すと、トラッシュからカードを自動回収(オートサルベージ)してバトルテーブル内を通ってデッキポケットに収まり、自動でシャッフルするのだ。 「ギャラドスでハッサムに攻撃。テールリベンジ!」 ギャラドスが大きな尻尾を勢いよくハッサムに叩きつける。ハッサムは軽々と吹き飛ばされ、HPゲージも0となる。 そう、先ほどは90ダメージしか受けなかったはずなのに、HPが100あるハッサムが倒されている。久遠寺の目はそのことに驚いているかのように見える。 「忘れてもらっちゃ困るが、リベンジテールはトラッシュのコイキングの数かける30ダメージだ。一、二ターンで俺は手札のコイキング三枚をカード効果で捨てたのを覚えてるな?(49話参照) そして四枚目のコイキングはそのときバトル場にいたギャラドスの下にあった。つまりバトル場のギャラドスはコイキングから進化していたわけだ。だが、今バトル場にいるギャラドスはガブリアスLV.Xの蘇生によって戻ってきたギャラドス。蘇生の効果により、『四枚目のコイキングはトラッシュのまま、ギャラドスはたねポケモンとして戻って来た』というわけだ。よってトラッシュのコイキングの数は四匹。120ダメージだ。俺はサイドを引いてターンエンド」 ようやくイーブンか。だが波は確実にこちら向きだ。久遠寺は先ほどベンチに戻されたハッサムをバトル場に出すも、手負いの虎は怖くない。 「わたくしの……ターン。草エネルギーをチェリムにつけますわ」 久遠寺は力ない声と動きでカードを動かす。少し震えている唇からは荒れた吐息が絶え間なく続く。松野さんは能力者との戦いは精神戦と言っていたが、久遠寺が先に折れたのか? 「ハッサム、で、振りぬく、攻撃っ」 壊れそうな久遠寺とは打って変わってハッサムの動きは相変わらず機敏にギャラドスに襲いかかる。130あったHPがなんと20まで削られた。威力は申し分ない。 「よし、俺のターンだ。グッズカード、夜のメンテナンスを発動。トラッシュのポケモン及び基本エネルギーを三枚までデッキに戻してシャッフル。俺はコイキング一枚とニドクインをデッキに戻す。夜のメンテナンスで戻せるのは三枚までなのであって、三枚以下であるなら何枚でも可能だ!」 「コイ、キングをデッキに……?」 「俺は手札のスージーの抽選を発動。手札のアンノーンGとミステリアスパールをトラッシュして四枚ドローする。ハッサムにはハニカムディフェンダーというポケボディーがあるのは知っている。ハッサムにダメカンが六個以上のっている時、ハッサムが受けるダメージは−40されるという優秀なポケボディーだ。だが、そのハニカムディフエンダーを適用した上でも俺のギャラドスのテールリベンジは防げない。ギャラドスでハッサムに攻撃だ、リベンジテール!」 リベンジテールで90ダメージ与えるはずだが、ハニカムディフエンダーでその威力は50まで削がれる。しかし残りHP30のハッサムを気絶させるのには十分すぎる。 「ハッサムには達人の帯がついている。達人の帯はつけたポケモンは最大HPもワザの威力も上がるが、それがついているポケモンが気絶した場合、俺が引けるサイドは二枚となる。これで優劣が一気に変わったな」 俺の残りサイドは2枚。勝利がだいぶ近づいてきた。久遠寺は肩で息をしながらバトルテーブル上のカードを動かす。次のポケモンは先ほどエネルギーをつけたチェリムだ。 「わたくしの、ターン。ベンチのチェリムに、草エネルギーをつけてチェリムで攻げ、コホッ! 攻撃! 甘辛花粉!」 久遠寺は疲労(?)のせいか、行動が短絡的になっている。ワザを指定されたチェリムは一度花弁を閉じると、勢いよく開いた。開くと同時に黄色の細かい花粉がギャラドスに襲いかかった。甘辛と名のつくだけに、ギャラドスは花粉に反応して大きな体をぐねらして暴れている。 甘辛花粉は威力20。チェリムが二匹いることによって40まで与えるダメージが増えていく。残りHP20のギャラドスは、ある程度暴れるとそのままぐたりと動かなくなった。 「風見君、チェリムの甘辛花粉はダメージを与えるだけじゃないわ。自分のポケモン一匹のダメージカウンターを二つ取り除く効果つきよ」 松野さんが背後から声を掛けてくれた。ベンチのチェリムの目をやると、先ほど撒き散らされた花粉がベンチのチェリムにも行き届いていたようなのだが、ギャラドスとは違ってHPバーは最大まで回復していた。どうやらギャラドスにかかったのは辛い花粉で、チェリムにかかったのは甘い花粉ということのようだ。 俺はガブリアスを次のポケモンとしてバトル場に投入した。久遠寺がサイドを引いたのを確認してから俺のターンを始める。 「行くぞ、コイキングをベンチに出す。スタジアムの破れた時空の効果により、この番出したばかりのポケモンも進化させられる。コイキングをギャラドスに進化させるぞ!」 手札の残り枚数が危うくなる。手札を増強するカードも手元にないためハンドアドバンテージも稼げない。 「ガブリアスでチェリムに攻撃。スピードインパクト!」 ガブリアスが急に見えなくなると同時にチェリムの元で衝撃が発生する。物凄い初速で突撃したガブリアスの攻撃を受けたチェリムのHPバーはあっという間に尽きる。 「スピードインパクトは相手のエネルギーの数かける20、与えるダメージが減るが元のダメージ量は120。この場合は与えるダメージは100! チェリムが気絶したことによってサイドを引かせてもらう」 これで残りのサイドは一枚。油断は最後まで出来ない。俺の場にはまだガブリアスもギャラドスもいるが、下手に凌がれるとどうなるか。久遠寺の最後のポケモンは草エネルギーが一枚ついた二匹目のチェリムだ。 「わたくしのターン。……草エネルギーをチェリムに、つけて、グッズカードを、使いますわ……。ポケブロアー+を二枚、発動」 虚空から赤い手が現れ、ガブリアスを掴む。それだけではなく、再び虚空からもう一つの手が現れてベンチのギャラドスも掴んだ。そして掴んだまま二匹を持ち上げ、二匹それぞれの場所を入れ替える。 「ポケブロアー+は一枚だけで使うときと二枚同時に使うときで効果が異なるカードよ! 今のように二枚同時に使った時は相手のベンチポケモンを一匹選んでバトルポケモンと入れ替える効果を持つわ」 松野さんが再びアシストしてくれる。しかしなぜ、ガブリアスからギャラドスに変えたのか。ギャラドスはエネルギーなしでもワザが使えるのに。 「わたくしは、まだ諦めてませんわ! チェリムに草エネルギーと達人の帯をつけて、甘辛花粉!」 チェリムのHPが100まで上昇し、ワザの威力も20上がる。チェリムのポケボディーと加えてギャラドスに襲いかかるダメージは50。 「俺のターン! ギャラドスのリベンジテール! トラッシュのコイキングは三枚。よって90ダメージだ」 「チェリムは、水タイプに抵抗を、持っていましてよ! それによって受けるダメージは70ですわ」 しかしそれでもチェリムのHPは確実に削っていく。100あったHPがあっという間に30まで削って行った。 「わたくしのターン! 草エネルギーをチェリムにつけて攻撃……」 久遠寺がふらついている体を再びしっかり持ち直す。揺らいでいた視線が真っすぐ俺を見つめる。その瞳には闘志が見られる。 「ソーラービーム!」 夜にも関わらず、太陽を直視したような眩い光がチェリムから放たれた。眩さ余り、思わず目を閉じ右腕で顔を覆う。 視界は防がれても、音で何が起きてるかはわかる。ギャラドスのHPバーが尽き、ギャラドスが大きな音を立てて崩れ落ちる。 ようやく視界が戻ったときには久遠寺が五枚目のサイドを引いていたところだった。 「ソーラービームの元の威力は50、帯とポケボディーで80まで威力が上がったか。確かにギャラドスを倒すには十分……」 バトルテーブルでベンチにあるガブリアスのカードをバトル場へと動かす。それに対応するようにガブリアスが足音を出しながらバトル場へ歩み寄る。 「だがここまでだ。俺のターン! ガブリアスでとどめだ! スピードインパクトォ!」 ガブリアスが突進する前に、久遠寺の目じりに涙が浮かんでいるのを見かけた。その次の瞬間、ガブリアスの突進によって巻き起こる砂煙のビジョンで久遠寺が見えなくなる。 俺が最後のサイドを引いたことによってガブリアス達の映像が消え、そして砂煙のビジョンも晴れる。そして見つけた久遠寺は、うつ伏せに倒れていた。 「っ……! うぐあ!」 その刹那、物凄い脱力感が体を包み込み、物凄い吐き気がしてくる。急に腹の中から押し上げられたような衝撃に、口を右手で防いでいたのだが吐き出るものが全て出てしまった。苦さと苦しさに少しだけ目頭がジーンとしてきた。 「風見くん、大丈夫?」 松野さんが必死に背中をさすってくれ、ようやく平静を取り戻した。松野さんが渡してくれたハンカチで口元をぬぐう。それでもまだ不快感は残っているが、とりあえず展開しているバトルテーブルをバトルベルトに戻す。 「なんとか、大丈夫……です」 「それじゃあ私は久遠寺麗華をどうにかするから、私の家のベッドで休んでおきなさい」 松野さんが家の鍵を手渡した。携帯電話で誰かと連絡を取り始めた松野さんをよそに、一人先に休めるところに向かう。 しかし能力者との対戦がこんなにきついとは。風見杯で藤原と対戦したのち、俺とも対戦した翔の精神の強さを思い浮かべる。 それにしても、久遠寺と戦ったことで本当に過去と決別したことになるのだろうか。いや、俺の決別はまだ……。
松野「今回のキーカードはポケブロアー+。 一枚だけでは効果は微妙だけれど、 二枚使うと相手のポケモンと入れ替えれるわよ!」
ポケブロアー+ グッズ このカードは、同じ名前のカードと2枚同時に使ってもよい。 1枚使ったなら、コインを1回投げる。オモテなら、相手のポケモン1匹に、ダメージカウンターを1個のせる。 2枚使ったなら、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替える。(この効果は、2枚で1回はたらく。)
─── みんな応募ありがとー! こんなに集まるとは思わんかった。とりあえず期間まで応募まってまーす。
久遠寺麗華の使用デッキ 「ハッサムPB」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-719.html
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出陣 ( No.62 ) |
- 日時: 2010/09/09 00:25
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 三月下旬の日曜日、待ちに待ったPCC(ポケモンチャレンジカップ)の※東京Aの地区予選が開催される日だ。
※東京A・東京は参加する人数が多いため、東京Aと東京Bに分けられることがある。 姉を置いて一人、先に会場となるサンシャインシティを目指し池袋駅に着いた。 「姉を置いて一人」とは言ったものの、日ごろの仲間達とは待ち合わせをしてある。集合場所はJR池袋駅の改札だ。 どうやら一番乗りらしい。集合時間の七分前に来てしまったのだが、とりあえず歩行者の邪魔にならないよう壁際で待つ。 三分ほどしてやってきたのは石川薫だった。 「あれ? 遅れてごめん」 「まだ集合時間の四分前だから問題ないぜ」 「いや、本当はおれが一番に来るつもりだったんだけどやられちまった」 三月下旬の東京はようやく春めいてきた。今日の最高気温は十五度だが、それでも薄着だとそこそこ寒いと感じることもある。 俺もそれを見越して、真ん中に英語がプリントされた長袖のTシャツの上に長袖の赤系チェックシャツを羽織っているのだが、事あろうか石川は肩出しニット一枚だ。ちなみにパンツは俺が薄青ダメージジーンズで、石川がレギンス付きスカートを履いている。 しかし肩にギリギリ届かない程度の石川の髪が、柔らかい雰囲気を持ったためなのか可愛らしい印象を受ける。 「毎度思うけど寒くないの?」 「そもそも今日って寒い? 暖かいと思うんだけど」 「いや、なんでもない」 思えばこいつは真冬にあった風見杯で半袖半ズボンという理解不能な服装をしていた。それに比べれば今回はマシというわけだが、やはり理解に及ばず。 ちなみに石川とはこの間かーどひーろーで会った後にもう一度別の日にかーどひーろーで会い、そこで連絡先を交換した。折角なので、一緒にPCCに行こうと誘ってみたのだ。 「もうすぐ時間かな」 他愛ない話をしている最中、ジーンズの尻ポケットに入れていた携帯で時間を確認する。時刻は丁度集合時間の一分前を指していた。 「おっすー、待たせたな」 図ったかのようなタイミングで人ごみの中から声が聞こえてきた。 まずやってきたのは恭介と蜂谷と拓哉だった。 「ちょっとまてよ翔、そこの女の子はどなただよおい」 蜂谷が眉間にしわ寄せ問うてくる。そんながっつくなよ。 「こないだの大会で戦って、かーどひーろーで再会してから連絡先交換したんだよ。お前も初めてかーどひーろー来た時顔見ただろ?」 人がマジメに答えてやったのに、蜂谷は頭をひねる。そのまま百八十度まわしてやろうか。 「ちょっと待てよ、こないだの大会?」 蜂谷に代わり今度は恭介が食いついてきた。 「ああ、風見杯本戦の二回戦で」 「ってあの季節違いの服装してたやつか! って男じゃないの!?」 やっぱりそういう覚え方してたかー。でも本人の目の前で言うのはどうかと思うぞ。 「おれは女だ!」 「説得力ねー!」 さかさず突っ込んだ石川だが、恭介に返される。互いに睨みあうせいで(恭介が睨む必要性はないと思うが)妙に緊迫した雰囲気になった。 「そういえば確かに風見杯のときと比べて急に印象変わったよね」 俺の問いかけに石川は睨みあいを中断し、素直に首を縦に振る。 「お母さんに、高校に入るんだから女の子らしくしろって言われてさ」 「じゃあ風見杯のアレは黒歴史になるわけか」 「さっきからうっさい!」 「ごべばっ!」 鳩尾を思いっきり殴ってきた。とてつもないダメージで、思わず床に両手をつく。その様子を見ていた恭介は、口は笑っているも目が死んでいた。 「遅れてすまんな。何かあったのか?」 背後から風見の声がした。怪訝な顔を作る風見から手を借りて立ち上がる。 「いや、大丈夫、何でもないさ。おそらくだけど」 「? まあそんなことより時間だしそろそろ行こうか」 「ちょっと待ったぁ!」 会話を割ったのは蜂谷だ。 「風見の後ろにいる人誰?」 「ああ、お前は風見杯に来てなかったんだな。風見杯ベスト16の向井剛だっけか。PCCに来るようだったからな」 要は拾ってきたという事か。向井は恥ずかしそうにお辞儀をした。人見知りっぽいね。 向井と同級生(幼馴染でもあるらしい)である石川は、「一緒にいこーぜ!」と背中をバシバシ叩きまくってる。手綱は石川にアリ、か。 「それじゃあそろそろ行くぞ」 音頭を取ったのは風見だった。皆が風見の後ろをついていく形になる。 風見と絡むようになってから知ったのだが、非常にリーダーシップを持っている。働いているという理由もあるのだろうが、各々に別方向を向いているヤツらを一気に同じ向きに向かせる程のリーダーシップは天性のものだろう。 「今回の会場はサンシャインシティだ。35番出口から出るのが一番早い」 下調べもバッチリか、風見先導のまま地上に出てからも迷うことなく進んでいく。休日日曜の朝も、池袋は人の行き交いがとても盛んだ。七人で固まってあるいていると通れる道も通れないので、自然とだいたいな二列縦隊に組まれる。 俺はなんとなく先頭の風見の左隣りで落ち着いた。俺の後ろには恭介と蜂谷と拓哉、その更に後ろは石川と向井と続く。 「翔、今回の自信の程は?」 「まあ少なからず予選は抜けたいな」 「なんだ、風見杯の優勝者がこんな弱気とは拍子抜けだな」 「本当のことを言うと全国に出たい」 「本音はそっちか。まあ会場に向かう人の大多数が望むことだからな」 「いや、約束なんだ」 「約束?」 風見が眉をひそめる。風見の疑問に応えるために、ポケットに入れていたデッキケースから一枚のカードを取り出す。 「『マニーの決意』? 見た感じ創作カードのようだが」 まるで警察官が証拠品をみるかのように、そのカードをいろんな角度から見る。 このカードは、裏面は普通のカードと変わりないのだが、表面の部分は剥がされ、ザラザラになった表面にボールペン等でイラストとテキストが書かれているものだ。 「一応サポーターか。筆跡は翔のではないな」 風見が呟いたように、一応このカードはサポーター扱いである。どっちにしろ実際に勝負するときには使わないけどね。バクフーンを連れ、腕組みをした男がイラストの部分に鎮座している。 このカードの効果のテキストは、『全国大会で再会する約束を守る』とある。風見が言った通り、これを書いたのは俺ではない。 「これは?」 「中学時代の仲間と書いたんだ。これと同じのがあと二枚、その仲間が各自持ってる」 「ほう、じゃあその仲間というのも翔とあと二人か」 「ああ。一人は今大阪にいて、もう一人は東京にいるはずなんだけど……」 「?」 「連絡がつかないんだ。メールしても電話しても、年賀状も帰ってこないし」 「気になるな」 「冴木才知(さえき さいじ)ってやつなんだけどな……」 「全国に出れば何も分かるかもしれない、ってことか」 黙って頷く。風見が返してきたカードをデッキケースに戻す。 「翔、これを貸しておく。使うか使わないかはお前次第だ」 風見がポケットから十枚程度のカードを裏向けのまま渡した。拒否出来ない雰囲気に負け、何事もないかのように受け取ってしまう。 「よし、後はこのエレベーターで三階まで昇ったら会場だ。気を引き締めていくぞ!」 「おー!」 カリスマ性だな、と感じる。今の風見がとった音頭も、普段は俺がするポジショリングなんだが今日は風見の機嫌がいいような気もする。おー! と返した恭介達の表情も実に柔らかい。 サンシャインシティ、文化会館展示ホールへ向かうエレベーターは四つ。エレベーターホールには、俺たち以外にPCCに出ると思われるような人達が見受けられる。 バトルベルトを既に装着している人はカードで出るのだろうと分かるが、俺のようにまだ未装着の人をゲームかカードかどちらで出るのかは分からない。 「翔、エレベーター来たぞー」 蜂谷に小突かれる。辺りを見回すのに必死で、目の前の目的を忘れるところだった。稼働するエレベーターは四つあるが、どれもこれもエレベーター一つではここにいる人を運びきれない。ちょうど他にも降りてきたエレベーターに人が分かれて乗り込む。 自分の意志でエレベーターに向かわずとも、人ごみに押されて自然とエレベーターの中に収まる。エレベーターが閉まる瞬間、ホールの方から嫌な視線を感じたような気がした。
翔「今回のキーカードはマニーの決意。 一年前の約束のカードだ」
マニーの決意 サポーター 全国大会で再会する約束を守る。
サポーターは、自分の番に1枚だけ使える。使ったら、自分のバトル場の横におき、自分の番の終わりにトラッシュ。
※このカードは実在しません。
─── 無理やりマニー出演。これで全シリーズ登場おめでとう。 ようやくPCCが開催されますが、今思えばそれまでの過程が長かったなぁ。 そして、キャラ募集に参加していただいた皆さんありがとうございました! 前述の通り、出演をもって結果を発表したいと思います。
50話記念企画第2弾として、レイコさんに挿絵を描いてもらいました。 風見杯編のクライマックスシーン、37話「決戦の果て」 http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/37.html
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PCC予選 ( No.66 ) |
- 日時: 2010/09/09 00:31
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 聞いた話によると、カード部門は予選は普通にバトルベルトを使わないでテーブルを使用し、決勝トーナメントからはバトルベルトを使用するということらしい。
展示場Cの入り口でポケモンだいすきクラブのカードを提示し、そのあとセキュリティーチェックと手荷物検査を受けてようやく会場内に入る。 入ったその先、展示場Cには大量のテーブルとDSを置いた台が綺麗に並んでいる。 「思ったよりも味気ねーなぁ」 蜂谷がぼやいた通りである。真っ白な壁と地面に、青く着色された柱が十本近く並んでいる展示場Cに、緑のプレイマットが敷かれたテーブルだけでは味気がない。ゲームの方では用意されているDSも、そのDSを置いてある机も白なので、会場全体が虚しさを放っている。 「まあ大会は普通こうだよ」 公式大会に初めて参加するのは恭介と拓哉と蜂谷と向井の四人。四人の顔はどこかしら少し興奮が混じって見える。 「おっとすみません」 背後から誰かと浅くぶつかった。保護者らしき男の人が、人の多い会場を駆ける子供を追っている。 「修也ー! 待ちなさい」 親になるっていうのは大変なんだなぁ。灌漑にふける先、その男の人とクロスするように小さな女性のシルエットが現れる。 「一か月ぶりくらいかしら?」 あの人は、クリーチャーズの。確か松野さんだったかな。 前回会ったときのレディーススーツと違って、ベージュのシフォンタックワンピに茶色のパンチングベルト、そしてヒールの高いベージュのスプリングブーツ。前回会った時のレディーススーツがピシッとしている印象を与えたせいで、大人の女性というイメージが強かったのだが、何だかやけに可愛らしい服装を着ていてるためどんなキャラかが掴めない。 「風見くん、翔くん、藤原くん。ちょっと」 「あの人誰? 知り合い?」 「うわー! まさか藤原まで女の子の知り合いが!」 後ろから石川や蜂谷の痛い目線を受けながら適当に手を振って松野さんに着いていく。時間が時間なので、俺らを除く四人のエントリーを石川に託したのだが、恭介や蜂谷みたいなクセのあるやつをなんとかできるかな。 俺たちは松野さんと共にスタッフのみしか入れない部屋にでも行くのかと思えばそうでもなく、ついた先は会場の隅だった。 松野さんは携帯電話を操作して、俺達に画面を見せる。 「今回の大会に参加してる能力者は二人。一人目は『高津 洋二(たかつ ようじ)』。丁度そこの柱の傍にいるわね」 松野さんが指さす方向には、柱にもたれかかって携帯電話をいじくる男がいる。こいつの能力は「影響直受」という名前らしく、ワザのダメージが実体化するものらしい。しかしプレイマットでの戦いでは能力が発動しないとのこと。 「そして二人目が『山本 信幸(やまもと のぶゆき)』よ。うーん、見当たらないわね、まあここに写真があるからいいけれども」 携帯電話に映っている写真には、黒縁の眼鏡をかけた不健康そうな男がいた。これがこの間聞いた、「意識幽閉」の能力をもつヤツらしい。こいつに負けると病院送りは必至、意識不明になってしまう。 「対戦表までは操作できないから、予選で当たるか決勝戦で当たるかなんてのは分からないわよ」 三人とも同時に固唾を飲み込む。どことあらぬ方向に意識を向けていたが、松野さんが携帯を閉じる音によって現実に引き戻される。 「そもそもこの二人に戦う前に負けたら承知しないわよ。さ、また後でね」 さっさと去りゆく松野さんを見て、この人は精神が強いなと思わずにはいられない。俺の心臓の鼓動は緊張のせいで早くなっているのに、松野さんの顔はそういう類の感情がまるで浮かんでいないように見えるのだ。 「こいつらに当たろうが、当たらなかろうが、俺は勝つ」 藤原(性格の悪い人格の方)が反吐でも吐くように呟き、エントリーに一人で先に向かう。追いかけようとしたときには既に雑踏の中に紛れて姿が見えなくなっていたのだが。 ……あいつ、大会初出場なんだからちゃんとエントリー出来るかが心配だな。 「翔、さっさとエントリーを済ますぞ」 「そうだな」 藤原の後をつけるように、俺と風見もエントリーをしに人ごみの中に歩み寄る。
「俺のターン! 手札の炎エネルギーをつけてバクフーンでサワムラーに攻撃。気化熱!」 PCCはゲームもカードも共に、小学生以下と中学生以上の二部門に分かれる。もちろん俺たちが出るのは中学生以上の部門だ。 そして予選は同じ勝ち数の人が適当に対戦することになる。分かりやすく砕いて言うと、自分が今0勝なら対戦相手も0勝の人で、今1勝ならば相手も1勝。という感じ。その予選で三連勝すると先着三十二名が本戦を進むことができる。予選からも一度たりとも負けることを許されない。 さっきも言ったが、予選はテーブルでの試合で行われる。今俺は二連勝同士のテーブル、つまり予選最後の勝負をしていた。「していた」と過去形なのは、たった今俺のバクフーンの攻撃で勝利が確定したわけで、サイドを引いてスタッフに勝利の判を押してもらったところなのだ。 テーブルから離れて、俺は先に最初にエントリーを行った場所で本戦に進むために必要なバトルシートを貰った。 「翔はえーな!」 恭介が笑いながらこっちにやってきた。その様子だと、恭介も勝ち抜いてきたようだ。 「忘れずに本戦のバトルシートもらっとけよ」 「おう!」 「とりあえず他の奴らの応援しとくぜ」 恭介と別れてテーブルの方へ向かう。試合をしている選手以外は入れないようにテープが敷かれてあり、その周りを囲むように負けた人或いは勝ち抜いた人が応援をしたり、トレードしたりと自由に活動している。 別に風見の応援をする、だとか蜂谷の応援をする、みたく別に誰の応援をするとかは考えてなくて、とにかく目についた奴の応援をしようと思っているので適当に辺りを見渡す。 「俺のターン。ハクリューをカイリューに進化させて攻撃。破壊光線!」 聞きなれた声の方を振り向くと。風見が小さくガッツポーズを組んでいた。風見もこれで予選を勝ち抜きだな。 「行くぜ、ビークインで攻撃だ。ビーパウダー!」 その風見の二つ奥のテーブルで蜂谷が拳を天井に向けて突き上げた。初挑戦ながらも蜂谷が本戦に参戦確定。風見杯での恭介を彷彿させる。 「おれのターン。バトル場のプテラを逃がして、ラムパルドを新たにバトル場に出す。ラムパルド、真空頭突きだ!」 蜂谷の斜め右では石川がおっしゃー! と拳を握る。 「私のターン。グラエナでトドゼルガに攻撃、やけっぱち!」 石川の三つ手前で、松野さんも勝利をしたようだ。ん? よく見ると、松野さんの相手は姉さん。ということは姉さんは予選落ちか。後で適当に慰めておこう。 「そりゃ皆が皆本戦に行けるわけじゃないよなぁ」 「何言ってんだ、んなの当り前だろうが」 俺のつぶやきに応えるように、背後から拓哉の声がした。 「勝ったのか?」 「当たり前だ、この俺を誰だと思ってる」 「はいはい、藤原拓哉だろ」 他にも勝ち抜けを決めたメンバーが集まってきた。しかし本戦は一時から始まるとのことなのでそれまで昼飯を食う事になった。昼飯を用意してるやつ、してないやつなどいろいろいるので基本的に各自自由行動になる。 「翔! 一緒に飯食おうぜー!」 石川が俺の肩をバシバシ叩きながら笑顔で言ってくる。手加減ないから痛い痛い。 「分かったから叩くのやめっ、ちょマジ痛い!」 ようやく叩くのをやめてくれた石川は、「ちょっと待ってて」と鞄をごそごそ漁る。 そんなとき背後から俺を射す視線に気づいたので、振りかえってみると風見がいた。 「翔、ちょっと」 「分かった。石川、悪い! すぐ戻るから待っててくれ」 「はっ? ちょっと翔!」 不貞腐れた石川を置いておくのは気が引けるが、風見の真剣な表情が大きな事情───恐らく能力関係だろう───があることを物語っていたのでそちらを優先させていただく。 「能力者は両方とも予選抜きをしたようだ。高津は前述したとおり、プレイマットの試合なので影響なし。一方の山本は能力が作動して、負けた三人は皆一旦救護室にいるようだ」 「……」 「藤原のときのように、山本に勝てば意識を失った人々が戻ってくるかもしれない。俺達次第だ」 「そうだな……」 風見が俺の肩を軽く叩く。そしてそのままどこかへ去って行く。 どうしようもなくなった俺は、石川の元に戻ることにした。
翔「今日のキーカードはビークごふっ!」 蜂谷「今日のキーカードはビークイン! 状態異常に火力上昇。なのにエネルギーコストは悪くないんだぜ!」
ビークインLv.44 HP100 草 (破空) ポケボディー みどりのいげん このボディーは、自分のサイドの枚数が、相手のサイドの枚数より多いなら、はたらく。このポケモンが使うワザの、バトルポケモンに与えるダメージは、自分のベンチの草ポケモンの数×10ダメージぶん大きくなる。 草 ビードレイン 20 相手に与えたダメージぶんのダメージカウンターを、自分からとる。 草無 ビーパウダー 50 コインを2回投げ、すべてオモテなら、相手をどくとやけどとマヒにする。 弱点 炎+20 抵抗力 闘−20 にげる 1
─── 久しぶりの本編更新 カードの公式大会出たことないからWCSゲーム部門と同じような感じにしてます。
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昼時 ( No.68 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:51
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「翔! 頑張って早起きして弁当作ったんだ、食ってくれ!」
石川の元に戻ると、腕を引っ張られて展示ホールの外へ(展示ホール内での飲食はご遠慮くださいということらしかった)連れ出された。そして座れるところまで来ると、まるで飛んで跳ねるようなテンションで俺に弁当の入った包みを渡してきた。 「これで昼飯代は浮くな、ありがとう」 とは口で言ったものの、包みを開ける手は化学の実験をしてるかのような慎重な手つきだった。偏見で悪いけど、いかにもご飯作れなさそうなタイプだもんね。 「おっ」 水色の包みの中から可愛らしいくまさんのお弁当箱が出てきた。俺の予想ではこの辺ですさまじい臭いが襲いかかってくるはずだったのだが、そんなことはなさそうだ。 「よし、それじゃあいただきます」 意を決して弁当箱を開けてみると、悪臭どころかむしろおいしそうな匂いが。予想はいい方向に外れたらしい。しかし、具を良く見ると。 「ハンバーグにからあげに肉団子にたこさんウインナー……」 「からあげと肉団子は冷凍のやつだけど、他は全部自分でやったんだぜ」 野菜がどこにも見当たらん。 「あ、ありがとう……」 そのときどこかからこちらを見つめる視線を感じた。慌てて視線の元へ顔を向けたが別段こちらを向いてるような人は見受けれなかった。 「翔」 「うん?」 「お口あけて」 「いや、ハンバーグを一口で食わせようとするのはどう考えてもあばばばばっ!」
「クソッ、本当なら百合ちゃんのお弁当をお口あーんでいただけたのに」 「ざまあ」 蜂谷が口に含んだコンビニおにぎりをこぼしそうな勢いで笑いだす。イラっとしたので睨み返す。 「ていうか口の中にモノ入れながら喋るな」 頭を少し叩いてやると、蜂谷は左手を俺の眼前に突き出した。止まれってこと? ようやく飲み込んだらしい蜂谷は左手を下ろす。 「なあ恭介、さっきから気になってるんだけどアレは何の騒ぎなんだ?」 口の中がようやく開いたらしい蜂谷は、人だかりができてる一帯を指差す。 「行ってみるか」 慌ててコンビニおにぎりを口の中にねじ込み、ゴミを捨てて人だかりの中に突っ込む。 どうやらこの人だかりの何人かはカメラを構えているようだ。人と人の間を頭を無理やり突っ込んで先に進む。 「ぬおぅわ!」 右の方から呑気な蜂谷の声が聞こえる。どうやら転んだようだ。一方で俺はようやく最前列までたどり着いたのだが、目の前の光景を見るとこれがまたとんでもない。 なんとメイドさんがいたのだ。 「おおおおおおおおぉぉぉぉ!」 どうやらこの人だかりはメイドさんを写真に撮ろうとしてるようだ。急いでポケットから携帯を取りだす。 どうやらメイドさんは派手に転んだ蜂谷を労わっているようだ。蜂谷は後で肩パン。 「あの大丈夫ですか?」 「あいてて……、うん?」 辺りを軽く見渡してようやく状況を飲み込めた蜂谷は、彼女の手を借り立ち上がる。服の砂埃を払った蜂谷は、俺に向かって 「恭介、写メ撮って俺の携帯に送って!」 「断る!」 「あの、一緒に写真撮ってもらってもいいですよね」 聞けよ! 「え、いいですけどそれよりもお怪我は大丈夫なんですか?」 メイドさんはどうすればいいか分からずはたまた蜂谷を気遣う。 「ええ大丈夫です。紳士ですから」 意味がわからん。 「はいチーズ」 二人がきちんとこちらを向く前に携帯カメラのシャッターを押した。 「まだ準備できてねーだろ! マジメに頼む!」 「お前といるからメイドさん困ってるじゃん! むしろ俺が一緒に!」 あぁ、これはいつもの終わらない醜い言い争いのパターンだな……。メイドさんとの写真は諦めるべきか。 「あの……」 「はい?」 「それじゃあ三人で撮りましょう。それなら問題ないでしょう?」 俺と蜂谷は急いで携帯をその辺の人に渡し、写真を撮ってもらうことにした。
写真を撮ってもらった長岡君と蜂谷君は喜色満面の表情を浮かべながら肩を組んでホールの方へ走って行く。 「平和ねぇ」 「ですね」 私こと松野藍はその様子を職場の部下である一之瀬和也(いちのせ かずや)と共に眺めていた。 「ずっとこんな状態が続けばいいのにねぇ」 「そうですね」 「それよりも能力者、か。いったい何でそんなのが現れたのよ」 隣にいる一之瀬君にはっきりと聞こえるよう溜息をつく。 「とか口に言いながらアイコさんあんまり困った表情してませんね」 「どっちかっていうとめんどくさいって感じね。対応が」 「言いますね」 「こういうときに前の主任がいればなぁ」 「奥村昌樹さんでしたっけ」 「ええ、あの人にはお世話になったわ」 奥村昌樹さんは奥村翔君の父親である。面倒見がいい人で、常に笑顔を絶やさない太陽のような人だった。……父親か。 「アイコさんがそんなに人を褒めるのはみたいことないなぁ」 「一之瀬君は会ったことないもんね。さて、私達もそろそろ戻るわよ。一之瀬君は別の業務よろしくねー」 「アイコさんも負けないで下さいよ」 「当たり前じゃない。むしろ負けるわけにはいかない、って感じよ」 鞄からバトルベルトを取り出し、装着する。 「折角コーディネートしてきたのにバトルベルトのせいでブチ壊しね」
「拓哉! 飯は食ったのか?」 「あっ翔君。うん、ちゃんと食べたよ」 「そうか。……そろそろ決勝リーグの時間だな」 「僕と蜂谷くんの出番だね」 バトルベルトは広い空間を要するため、スペース上の問題からか同時に四試合しか出来ない。そして決勝リーグのバトルシートに記載されてる番号が1〜8の選手が最初に戦う。 拓哉は1番、蜂谷は5番である。うまくいけば三回戦(準々決勝)でぶつかることができる。一方で俺は27番なので一回戦をするのは最後(前に書いたとおり決勝リーグは32人)だ。 「しっかり行ってこいよ!」 「うん。……風見杯のときに迷惑かけたからさ」 「ん?」 「だから、PCCで少しでも役に立ちたいんだ。だから絶対負けない!」 「ああ、その心意気だ。絶対勝てよ!」 「うん!」 先を行く拓哉の後ろ姿がいつもよりも大きいように感じられた。
風見「前回使ったキーカードだ。 エネルギーはたくさん必要だが、威力は申し分ない」
カイリューLv.61 HP140 無 (DP5) 無無無 はかいこうせん 40 コインを1回投げオモテなら、相手のエネルギーを1個トラッシュ。 無無無無 りゅうせいぐん 相手の場のポケモン全員に対して、それぞれ1回ずつコインを投げ、オモテが出たポケモン全員に、それぞれ50ダメージ。 弱点 無+30 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── 54話の挿絵をレイコさんがつけてくれました。感謝! http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/54.html
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ケンカ ( No.69 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:52
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「よし、決勝リーグ一回戦頑張ろう!」
両頬をパチンと手のひらで叩いて気合いを入れる。すると、耳の奥から僕にだけしか聞こえない声が聞こえる。 (俺が出なくてもいいのか?) とある事情で二カ月ほど前に僕の中で生まれたもう一つの人格。彼が心の奥から声をかけてくる。 「大丈夫。予選も僕が勝ち抜いたし、僕だって出来るってことをさ」 (そうか。応援はしてるが、ヤバそうになったら俺が出るからな。例えば……能力者とか) 「分かってるさ、そのときは頼むよ」 外からすれば独り言にしか聞こえない。そのため傍にいるスタッフがこちらを変な人を見る目で見つめる。 (ケッ、損な役回りだ事) 心の中の存在のため、表情は見えないがきっと笑っているのだろう。 スタッフに誘導され指定位置につくと、バトルベルトを起動する。 かつてもう一人の人格がバトルベルトを使用したことがあるが、僕自身がバトルベルトを使うのは初めてである。そのためどう操作すればいいかわからない。 (おいおい。そんなんで本当に大丈夫か?) 「ごめん、変わって」 折角頑張ろうと思ったのにこれじゃあどうしようもない。息を吸って目を閉じればもう一人の人格がなんとかしてくれるだろう。
「フン」 相棒がようやくしっかりしたかと思えば結局これかよ。以前にあの松野とかいうチビと戦ったことを思い出すのは癪だが、そのときに言われた通りベルトを起動させる。 「ねえ、この程度の操作も満足にできないの」 既にバトルベルトを展開してバトルテーブルを組み立てた対戦相手が声をかけてきた。 「ああん? 今組み立ててんのが見えねぇのか」 「早くしろよな……」 「ケッ、どうしてこうもチビガキの相手ばっかり俺がしなくちゃいけないんだ」 対戦相手の背丈からして中坊程度だろう。しかし相手の容姿で気になるのは背丈よりも左目にしている眼帯と、対戦をするというのに未だつけられているヘッドホンだ。 肩にかかるぐらいに伸びたちょっとパーマ掛かった黒髪。そして上は半袖の白色Tシャツの上から手が隠れるほどぶかぶかな白のパーカだが、下は鼠色と黒のチェック柄のスーツというやや変わった格好がそいつの変わり具合を更に醸し出す。 「準備出来たぜキテレツ野郎」 「ちゃんと沙村凛介(さむら りんすけ)っていう名前があるんだけど」 「お前の名前なんて知ったこっちゃねえ。せいぜい俺に潰されるっていう程度でしか価値はねーよ」 「一々五月蠅いな……」 今のはきっと本人にとって独り言のつもりで言ってるのだろうが、声が大きいため耳に普通に入ってくる。それが俺の苛立ちを加速させる。 (揉めても仕方ないよ) 「それくらい分かってる」 デッキをデッキポケットにセットして、デッキ横の赤いボタンを押す。カードがオートでシャッフルされ、デッキの底から六枚サイドがセットされる。そしてデッキの上から手札となる七枚が突き出される。 互いに最初のバトルポケモン及びベンチポケモンをセットする。 「さあ潰しあいと行こうか!」 セットされたポケモンが表示される。俺のバトル場にはヨマワル50/50。そしてベンチには同じくヨマワル。一方、相手のバトル場のポケモンはドーブル70/70からのスタートだ。 「先攻は僕がもらう。ドロー。ディアルガをベンチに出し、ディアルガに鋼エネルギーをつける」 いきなりベンチに大型ポケモンのディアルガ90/90が現れたため、ドーブルがとても小さく見える。もちろんドーブルだけではなく俺のヨマワルもだ。 「ドーブルの色選びを発動。自分のデッキから基本エネルギーを三つまで選び、手札に加える」 ドーブルが自分の尻尾で空中に絵を描く。鋼のシンボルマークが三つ描かれた。 「鋼ねぇ。まあ俺様のオカルトデッキの相手になんねえな」 「所詮エスパーじゃん」 「どこまでも喧嘩売んのが好きなガキだな。よっぽど痛い目に遭いたいと見た」 「そんなこと言ってると自分が負けた時すごくはずかしいから気をつければ?」 「ケッ。俺のターン! ベンチにヤジロンを出してバトル場のヨマワルに超エネルギーをつける。手札からサポーターのミズキの検索を発動する。デッキからたねポケモンか基本エネルギーをそれぞれ二枚まで選択して手札に加える。俺が選ぶのはゴースと超エネルギーだ」 デッキ横の赤いボタンを押すと、デッキから指定通りのカードが出てくる。便利なこった。 「ヨマワルで攻撃。影法師! このワザの効果によって相手にダメカンを一つ乗せる!」 ヨマワルは一瞬で姿を消すと、ドーブルの影から現れ右手でドーブルをはたく。ドーブルが振りかえる前にヨマワルは再び姿を消し、俺のバトル場に戻った。 「ターンエンドだ」 「僕のターン。ディアルガに鋼エネルギーをつけてベンチにコイルを出す」 ディアルガの隣にコイル50/50が現れるが、ディアルガと大きさを対比すると小さいのなんの。 「そして手札のモンスターボールを発動。コイントスをして表ならデッキから好きなポケモンを手札に加える」 そうして沙村はデッキ横の青いボタンを押した。ドーブルとヨマワルの間に大きなコインが現れ、虚空にトスされる。示された結果は裏。沙村はおもむろにバツの悪そうな顔にする。 「ドーブルでもう一度色選び」 再び鋼のシンボルマークが三つ、ドーブルによって描かれる。 「鋼しか入ってねえのかよ」 「いちいち五月蠅いなあ。ムカつく。マジでくたばっちゃえよ」 「そおかい。だったらお前に特別に地獄を見せてやる。まずはそのための下準備だ。俺のターン、手札からミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを手札に加える。俺はネンドールを手札に加えさせてもらうぜ」 手札のカードを一枚デッキトップに置いて青いボタンを押すと、ネンドールがオートで選ばれデッキから突き出される。俺がネンドールを手札に加えるや否や、デッキは再びオートでシャッフルしだす。 「ベンチのヤジロンをネンドールに進化させ、バトル場のヨマワルに超エネルギーをつけてサマヨールに進化させる!」 それぞれのポケモンが進化する。ポケモンの右下に表示されるHPバーはサマヨールが80/80で、ネンドールも同じ80/80だ。 「ここでネンドールのポケパワーを発動だ、コスモパワー! 自分の手札を二枚まで好きな順にデッキの底に戻し、自分の手札が六枚になるまでドローする!」 手札のクロツグの貢献をデッキボトムに戻す。これによって俺の手札は0。よって六枚きっちりドローすることができる。 「手札のポケモンの道具、ベンチシールドをネンドールにつける。ベンチシールドがついたポケモンはベンチにいる限りワザのダメージは受けなくなる」 ベンチにいるネンドールの前に六角形の水色の薄い盾が現れる。 「ここでサマヨールで攻撃だ。闇の一つ目!」 サマヨールが目を閉じて息を大きく吸うと辺りが暗くなった。サマヨールが勢いよく目を開くと、まさにインパクトは大。ドーブルは衝撃で後ろへ吹っ飛ばされる。ドーブルのHPバーは60/70から40/70へ。 「闇の一つ目の効果によって、俺は手札を一枚捨てる。そしてお前も手札を一枚捨てるんだ」 俺は手札からヨマワルを捨てる。相手は鋼エネルギーを捨てたようだ。 「僕のターン。手札の鋼エネルギーをドーブルにつける。ベンチのコイルをレアコイルに進化させてサポーターカード、スージーの抽選を発動。手札を二枚トラッシュしてデッキから新たに四枚ドローする」 沙村が手札からトラッシュしたカードは鋼エネルギーとディアルガLV.Xだ。 (LV.Xのカードを捨てるって一体……) 「なんかしらのサルベージ手段があンだろな」 「手札からゴージャスボールを発動。デッキからLV.X以外のポケモンを手札に加える。僕が手札に加えるのはジバコイル」 ドーブルの横にゴージャスボールが現れ、パンと軽快な音を立てて開く。中からはジバコイルの拡大コピーの絵が現れた。 「ドーブルでトレース。このワザはコイントスをして裏ならば失敗する」 再びコイントス。さっきのモンスターボールで外れたせいか、今回はきっちり表を出した。 「トレースのダメージや効果は相手のベンチポケモンのワザと同じになる。あんたのネンドールのワザをもらうよ。回転アタック」 ドーブルがコミカルに回転し、サマヨールに突撃していく。 「わりぃな。サマヨールの抵抗力は無色だ。よってサマヨールが受けるダメージは40から20へ減少する」 サマヨールのHPバーは60/80。まだまだ余裕はある。 「さあ俺のターンだ。ドロー。ゴースに超エネルギーをつけてゴーストに、サマヨールをヨノワールに進化させる!」 これでヨノワールのHPは100/120。一気に40上昇だ。ゴーストも80/80までHPが上がる。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。俺は手札を一枚デッキボトムに戻して六枚になるよう、つまり五枚ドローする。ベンチのヨマワルをサマヨールに進化させ、サポーターのシロナの導きを発動する。自分のデッキの上から七枚を見て、そのうち一枚手札に加える。残りをデッキに戻してシャッフル!」 上から七枚めくって確認する。コール・エネルギー、ヨノワールLV.X、アンノーンQ、ネンドール、ミズキの検索、不思議なアメ、ゴーストの七枚だ。 「ケッ、憎いほどいいタイミングだな」 黙ってヨノワールLV.Xを手札に加える。シロナの導きの効果によって手札に加えたカードは相手に見せるまたは知らせる必要はない。残りの六枚をデッキに戻してシャッフルさせる。 (場は揃ってきたけど油断は禁物だよ) 「はいはい。だがまあまずは目の前のドーブルを潰すとっからだな」 今の手札は五枚。ヨノワールを効率よく動かすには一枚邪魔だな。 「ゴースをベンチに新たに出すぜ」 これで俺のベンチはサマヨール、ネンドール、ゴースト、ゴースの四匹がいることになる。空きスペースに入れるのは残り一匹か。 「ここでヨノワールのポケパワーだ。影の指令! デッキからカードを二枚ドローし、手札が七枚以上ならば六枚になるようにトラッシュする。その後ヨノワールにダメージカウンターを二つ乗せる」 手札をわざわざ四枚にしたのはこのためだ。用無く手札からカードを捨てるのはあまり得策ではない。 「ダメカンを乗せてまでドローしたいの?」 「俺がわざわざ手札を引きまくった理由を教えてやる。ヨノワールでダメージイーブン!」 ヨノワールの腹にある口が開き、四つの赤い玉が現れる。 「さっさとそのドーブルを潰させてもらうぜ」 頬の筋肉が痛くなりそうなほど笑ってやる。ヨノワールが放出した赤い玉はドーブルに突き刺さり、HPバーを削って0にする。するとドーブルは急に力を失ったように前に倒れこんだ。 「ダメージイーブンはヨノワールに乗ってるダメージカウンターの分だけ相手のポケモン一匹にダメージカウンターを乗せる。影の指令でダメージカウンターを乗せなきゃドーブルのHPは20しか削れず20/70で耐えられるが、わざわざカードを二枚引くだけでお前のドーブルは気絶だ。ざまあねえな」 「っ……。次のバトルポケモンはディアルガだ」 「ケッ。サイドを一枚引いてターンエンドだ。この俺様にケンカを売ったんだ、もうちょっと楽しませてくれよ?」
拓哉(裏)「今回のキーカードはヨノワールだ。 影の指令、ダメージイーブン、ナイトスピンとそれぞれ方向性が違う。 このカードを使うトレーナーのプレイングが鍵だ」
ヨノワールLv.48 HP120 超 (破空) ポケパワー かげのしれい 自分の番に、1回使える。自分の山札からカードを2枚引き、自分の手札が7枚以上になったら、6枚になるまで手札をトラッシュ。その後、このポケモンにダメージカウンターを2個のせる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 超無 ダメージイーブン 自分のダメージカウンターと同じ数のダメージカウンターを、相手のポケモン1匹にのせる。 超超無 ナイトスピン 50 次の相手の番、自分は、ついているエネルギーが2個以下のポケモンから、ワザのダメージや効果を受けない。 弱点 悪+30 抵抗力 無−20 にげる 3
─── ツッキーの応募キャラ登場! 今後もたくさん出てきます。 Hyper freshのED曲 「Hyper fresh」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-740.html
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地獄 ( No.70 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:52
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「僕のターン、ドロー。手札の鋼エネルギーをディアルガにつけ、ベンチにココドラとコイルを出す。そしてミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻し、好きなポケモンを手札に加える。ボスゴドラを手札に加え、更に不思議なアメを発動。自分のたねポケモンから進化するポケモンを手札から一枚選び、そのポケモンに乗せて進化させる。僕はココドラをボスゴドラへ一気に進化させる!」
現れたばかりのココドラの足元から光の柱が形成される。光の中でシルエットだけ浮かぶココドラのフォルムが徐々に変わり、光の渦が消えるや否やボスゴドラが現れる。だがディアルガに比べると大きさは半分以下。フィールド的には俺の方が威圧されている雰囲気がある。 これで今の沙村のバトル場は鋼エネルギー三つのディアルガ90/90。ベンチにはレアコイル70/70、ボスゴドラ130/130、コイル50/50。 「ディアルガでラスターカノン!」 ディアルガが口を開くと口の前で鈍色のエネルギー体が形成され、ヨノワールに向けて放たれた。ディアルガの口元にあるときラスターカノン自体は大きく見えなかったが、ヨノワールの元に来ると意外とでかい。ヨノワールのHPが40削られ60/120へ。 「なんだぁ? そんなもんか? つまんねえな」 (……) サイドも一枚有利なため勢いづく俺だが、相棒はむしろ危機感を持っているようだ。 「どうした相棒」 (あんまり熱くなり過ぎちゃダメだよ) 「それくらい言われなくても分かってる」 どちらかというと、いちいちそんなことを口に出されることで冷静さを欠きそうだった。 「俺のターン! ゴースに超エネルギーをつけてゴーストに進化させる。そしてベンチのサマヨールをヨノワールに進化させる!」 これで俺のバトル場には超エネルギー二つのヨノワール60/120と、ベンチにはエネルギーなしのヨノワール120/120、ベンチシールドのついたネンドール80/80、超エネルギーがついたゴースト80/80が二体。相手と比べ、ほとんどベンチのポケモンが立っている。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動する。俺は手札を一枚戻し、手札が六枚になるまで。つまり四枚ドロー。それだけじゃねえ、バトル場のヨノワールをレベルアップさせる!」 これでヨノワールのHPは更に増強され、80/140となった。これでだいぶタフになった。簡単にはやられまい。 「さて、ヨノワールLV.Xで攻撃だ。ダメージイーブン!」 ヨノワールに乗っているダメージカウンターの数だけ、つまり六個の奇妙な赤い玉がヨノワールの腹部にある口からディアルガに向けて放たれる……。と誰もが思ったはずだが、ディアルガを通り抜けてその後ろにいたコイルに赤い玉の群れが襲いかかる。 「なっ……!」 「ダメージイーブンによってダメージカウンターを乗せられるのは『相手』ではなくて『相手のポケモン』だ。よってベンチのポケモンにもダメージカウンターが乗せられるってわけだ」 コイルのHPバーがあっという間に底を尽き、急に力を失ったよう空中から地面に落ちた。 「サイドを引いてターンエンドだ」 これで俺の残りサイドは四枚。相手とは二枚の差ぶん引き離している。決勝リーグってのに大した事ねえな。 「僕のターン。手札からグッズカード、プレミアボールを発動。自分の山札またはトラッシュからLV.Xを一枚手札に加える。僕はトラッシュからディアルガLV.Xを加えて場のディアルガをレベルアップさせる!」 「ディアルガLV.X……。二ターン前のか!」 (あのときにスージーの抽選で捨てたカード、やっぱりサルベージしてきたね) ディアルガのHPは90/90からレベルアップすることによって110/110まで上昇。ダメージイーブンで倒そうとするにもヨノワールの残りHPが10だけでなくてはならない。 「そしてサポーターカード、デンジの哲学を発動。手札を六枚になるようにドローする。また、ドローする前に手札を一枚トラッシュ出来る。僕は手札の鋼の特殊エネルギーをトラッシュ。これによって今の手札は0。なので六枚ドロー!」 「特殊鋼……」 エネルギーはエネルギーでも、基本エネルギーはサーチやサルベージ手段が豊富であるが特殊エネルギーはその逆でサーチもサルベージもしづらい。そんな貴重なカードをトラッシュしてまで六枚引きたかったのだろうか。 「ベンチのレアコイルをジバコイルに進化させ、バトル場のディアルガLV.Xに特殊鋼エネルギーをつける!」 ジバコイルに進化することによってHPが70/70から120/120へと大幅に上昇した。更にディアルガLV.Xについた特殊鋼エネルギーは、そのエネルギーが鋼タイプのポケモンについているなら受けるワザのダメージを10減らす厄介なものだ。 「ディアルガLV.Xのポケパワーを発動。その効果によって相手プレイヤーはコインを二回投げる」 「ふん」 コイントスのボタンを押す。……裏、裏。二回とも裏か。 「ディアルガLV.Xでヨノワールに攻撃。メタルフラッシュ!」 ポケパワーは発動されなかったのか……? 考える間もなくディアルガLV.Xの体が眩く輝きだし、視界が白で覆われる。その中でヨノワールLV.Xは両腕を使って目をかばうも、HPバーは順調に削られて0になった。 「メタルフラッシュの威力は80。だけどメタルフラッシュを使った次のターン、このワザは使えない」 「そんな程度知ったこっちゃねえ。だがたった今、お前は自分で地獄行きのチケットを切った。ヨノワールLV.Xのポケパワー発動。エクトプラズマー!」 「そんな、倒したはずなのに……」 「こいつのポケパワーは、こいつ自身がバトル場にいて相手のワザによって気絶させられた時に発動する」 俺と沙村の周囲が一気にスタジアム状で紫色の何かに包まれる。観客の姿は見えなくなり、俺と沙村とそのポケモンしかモノが見えなくなった。上下左右前後全てが紫色で、足元までも紫色なので地面に立っている感じがしないでもない。 「その効果により、ヨノワールLV.Xはスタジアムカードとして扱われる」 急きょ俺たちを包んでいた紫の景色にスゥっと切れ目がいくつも入り、それは開いた。目だ。人の目のような小奇麗なものではない。少し濁った白目の真ん中にあるその瞳孔は闇のように暗い。上下左右前後にウン百万、ウン千万もある目は丁度俺達の方を向いている。 普通なら気分が悪くなる。あまりの不快感に吐き気を催すだろう。だが俺はこの程度じゃ何ともない、そのついでに沙村も戸惑いはしたが、やがて何事もないように俺をしっかり見据えた。なかなか根性があるじゃねーか。周りにいた観客共は嫌そうな顔をして俺らから離れるのが大半だ。 「このスタジアムの中ではポケモンチェックの度に『相手のポケモン全員に』ダメージカウンターを一つずつ乗せていく。ギリギリな寿命でファックしとけ。俺の次のポケモンはもう一匹のヨノワールだ」 「サイドを引いてターンエンド」 沙村がターンエンドをすると同時にポケモンチェックが行われる。急に沙村のポケモンが苦しそうにのたうつ。HPバーが10ずつ減って行き、ディアルガは100/110。ジバコイルは110/120。ボスゴドラは120/130。どいつもなかなかタフそうだな。 「俺のターン、ドロー!」 「この瞬間、ディアルガLV.Xのポケパワー発動、タイムスキップ!」 「あぁ?」 「このポケパワーによって行ったコイントスで二回とも裏を出した場合、次の相手の番の最初に相手がドローした瞬間、そこで強制的にターンエンドとなる」 「俺のターンを……スキップだと!?」 予想外の展開に驚かざるを得ない。まさか自分のターンが簡単に飛ばされるだなんて。だが。 「ポケモンチェックは行ってもらうぜ」 再びポケモン達がのたうつ。苦しそうな悲鳴を上げる奴もいる。なかなかな情景じゃねぇか。ディアルガLV.Xは90/110。ジバコイル100/120。ボスゴドラ110/130。少しずつ。少しずつだが確実にダメージを負わせている。 「それじゃあ僕のターン、ドロー。特殊鋼エネルギーをボスゴドラにつけ、ディアルガLV.Xを逃がしてボスゴドラと入れ替える」 (そうか、ジバコイルのポケボディー、電磁波によってあの人のバトルポケモンに鋼エネルギーさえ乗っていたら逃げるエネルギーは必要なくなるんだ) 「ケッ、入れ替えるのは構わねえがそいつ(ボスゴドラ)には生憎まだエネルギーが一個しか乗ってねえぞ」 「僕は手札からエネルギー付け替えを発動。その効果によってディアルガLV.Xについている鋼の基本エネルギーをボスゴドラに付け替える」 その辺も考えているのか。気に食わねえな。 「さらにスタジアムカード、帯電鉱脈を使う。新しいスタジアムが発動したことにより、前のスタジアムはトラッシュされる」 紫色の空間は霧のように消え行き、一度元のホールに戻る。だが休む間もなくまた新たな背景へと変わる。今度は殺伐とした谷だ。その谷の底の部分にあたるところに立っているようだ。辺りからは紫電が飛び交っている。 「悪いが地獄はこの程度じゃ終わんねぇぜ。ヨノワールLV.Xはトラッシュされるとき、手札に戻ってくる」 常に辺りに不快感を撒き散らしていた沙村だが、今回ははっきりと悪意のある目を向けて舌打ちをしてきた。 「帯電鉱脈の効果により自分の番にコインを一回投げることができる。表なら自分のトラッシュの雷または鋼エネルギーを一枚手札に加えることができる」 なるほどねぇ。さっきから鋼エネルギーを簡単に捨てていたからどうかと思っていたが、リカバリー手段はあるんだな。 沙村のコイントスの結果は表。ヤツはトラッシュから鋼の基本エネルギーを手札に加えた。この帯電鉱脈では鋼の特殊エネルギーもサルベージ出来るはずなのに、あえて鋼の基本エネルギーを選んだ。何かあるな。 「ココドラをベンチに出し、ボスゴドラで攻撃。山盛り」 ボスゴドラは右腕で地面を殴りつけた。もちろん立体映像なので会場自体にヒビが入るわけもないのだが、ボスゴドラの腕は帯電鉱脈の地面に深々とめり込んでいた。そして力技で右腕を引っこ抜く。 引っこ抜いた時に鉱脈がヒビ割れ、ヨノワールの足元までヒビが広がり、そのヒビから大量の土砂がヨノワールめがけて飛んでくる。しかし飛んできたのは土砂だけではない。土砂の中に鋼のシンボルマークがいくつも混ざっていた。 「自分のトラッシュにあるエネルギーを全てデッキに戻してシャッフルする。戻すエネルギーの中に鋼の特殊エネルギーがある場合、元の威力40に加え更に30ダメージ追加する」 だから帯電鉱脈のときに鋼の特殊エネルギーを戻さなかったのか! 沙村は自分のトラッシュにある鋼の基本エネルギー二枚と鋼の特殊エネルギーを一枚デッキに戻した。これによってヨノワールが受けるダメージは70。HPも50/120と大幅に減った。 「ほう。行くぞ、俺のターン」 今の沙村は勝ち急いでいる。俺に優勢をとられていたため、流れを持ち返そうとしていて、実際流れは沙村にあるように見える。 が、実際は全然逆だ。その理由として先ほどのターンにディアルガLV.Xの効果を使わなかったのが挙げられる。もしこれでタイムスキップを発動すれば利率は大きい。しかしタイムスキップは相手が二回とも表を出した時にそこで自分のターンが終わってしまうというデメリットも存在する。沙村はそれを恐れたのだ。 「中々頑張ってる。と褒めてやりたいところだが、俺と戦(や)ろうってんならその程度じゃ困るな」 沙村は再び悪意のある視線を送りつけてきた。感情的だな。ああ、感情的だ。こうも簡単に挑発に乗ってくれると助かるぜ。 「手札からミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻し、俺はゲンガーを手札に加える。ベンチにいるゴーストを二匹ともゲンガーにし、ヨノワールをレベルアップさせる!」 ゲンガーはのHPは二匹とも110/110と高水準に昇り、ヨノワールLV.Xは70/140となった。 「片方のゲンガーに超エネルギーをつけてネンドールのコスモパワーを使うぜ。手札を二枚デッキの底に戻して三枚引くぜ。これでターンエンドだ」 「僕のターン。スージーの抽選を発動。ドーブルと鋼の特殊エネルギーをトラッシュして四枚ドロー! 更にボスゴドラに鋼の特殊エネルギーをつける!」 さっきまでおとなしい口調が、段々荒くなっている。語尾に力がこもってる。完全に冷静さを欠いているな。戦法も粗い。 「さあ、タイムスキップでもすんのか? またしょっぼいコイントスして裏二回出るといいな、ああ?」 もはや脅しともとれるような声音でもう一段階挑発する。 「……。ボスゴドラでヨノワールLV.Xに攻撃! 山盛り!」 再び地面にヒビが入り、土砂がヨノワールLV.Xを襲う。さっき捨てられたばかりの鋼の特殊エネルギーはデッキに戻ってシャッフルされる。ヨノワールLV.XはHPが尽きた。 「さあもう一度地獄の幕開けだ!」 演出っぽく指をパチンと鳴らすと同時、殺風景な谷から元のホールへ。そして再びあの紫の空間に戻って行く。またもや空間のあちこちから目が現れて二人を、どちらかというと沙村を見つめる。 「俺様のお次は超エネルギー一個の方のゲンガーだ!」 「サイドを一枚引いてターンエンドっ!」 もう一段階深い地獄を見せてやる。 乾いた下唇を少し舐めて憤っている沙村を見つめる。
拓哉(表)「今日のキーカードはディアルガLV.X。 特徴的なポケパワーはコイントス次第。 だけど決まればすごいことになるよ!」
ディアルガLV.X HP110 鋼 (DP3) ポケパワー タイムスキップ 自分の番に、1回使える。相手プレイヤーは、コインを2回投げる。すべてオモテなら、この番は終わる。すべてウラなら、次の相手の番の最初に、相手プレイヤーが山札からカードを1枚引いた後、すぐにその番は終わる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 鋼鋼無無 メタルフラッシュ 80 次の自分の番、自分は「メタルフラッシュ」を使えない。 ─このカードは、バトル場のディアルガに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 炎×2 抵抗力 超−20 にげる 2
─── 翔の使用デッキ 「フレイムブースト」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-747.html また、wikiもだいぶ更新しました。 http://www15.atwiki.jp/kinaga/
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俺流 ( No.71 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:53
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「さあ、ポケモンチェックだ。エクトプラズマーの効果によってお前のポケモン全員にダメージカウンターを乗せる」
沙村のポケモン達は各々の姿勢で苦しみだす。そしてそのままHPバーは緩やかに減少していく。 バトル場にいる鋼の特殊エネルギーが二枚、基本エネルギーが一枚ついたボスゴドラは100/130。ベンチのジバコイルは90/120。鋼の基本エネルギーが二つ、鋼の特殊エネルギーが一つついたディアルガLV.Xは80/110、ココドラは40/50。 それに対して俺のバトル場のポケモンは超エネルギー一つついているゲンガー110/110、ベンチには同じゲンガー110/110、ベンチシールドのついたネンドールは80/80。 残りのサイドは互いに四枚だが、主導権は完全に掌握している。 「俺のターン。ゴースとヤジロンをベンチに出し、ゲンガーで攻撃する。シャドールーム!」 ゲンガーは両腕を自分の腹部に持っていく。すると右手と左手の間に黒と見違えるほどの濃い紫色の立方体の謎の物体を作り出す。ゲンガーが腕を広げるとその立方体もそれに合わせて大きくなる。ある程度の大きさになると、ゲンガーはその立方体を投げつけた。 謎の立方体は沙村のバトル場にいるボスゴドラに───。少なくとも沙村はそう思ったはずだ。実際には、謎の立方体はボスゴドラの脇腹の横を通り過ぎてベンチにいるココドラにぶつかった。 ぶつかっただけならまだしも、謎の立方体はココドラを包み込む。謎の立方体にココドラが捕えられる様子になった。 「なっ」 ココドラのHPバーが40から10へと減少すると、ココドラを包んでいた謎の立方体は霧散した。 「シャドールームは『相手のポケモン一匹』にダメージカウンターを三つ乗せる技だ。そこのデカブツみたいに真正面しか殴れないと思うなよ。ポケモンチェックだ!」 休む間もなく沙村のポケモンが苦しみ始める。ボスゴドラのHPは90/130、ジバコイルは80/120、ディアルガは70/110。そしてココドラのHPは尽きた。 「サイドを一枚引くぜ」 「くっ、僕のターン! ジバコイルにマルチエネルギーをつける」 (マルチエネルギーはポケモンについてる限り全てのタイプのエネルギー一個ぶんとして働くエネルギーだね) 「あいつのジバコイルのワザには鋼エネルギーと無色エネルギーしか必要としねぇはずだ。何かあるかもな」 「そしてグッズカードのエネルギーつけかえを発動。ディアルガLV.Xについている鋼の基本エネルギーをボスゴドラにつけかえる! 更にサポーターのバクのトレーニングを発動」 バクのトレーニングとは、自分の山札からカードを二枚引くサポーターだ。しかし効果はそれだけでなく、このカードを使用したターンはポケモンのワザの威力を10上げるのだ。 「来いよ、潰してみろ!」 「ボスゴドラでゲンガーに攻撃。ハードメタル! ボスゴドラに40ダメージを与えることによって、ワザの威力は60から100へ。更にバクのトレーニングの効果によってゲンガーに与えるダメージは110!」 鈍色の光に包まれたボスゴドラが地面を蹴り勢い良くゲンガーに肩からぶつかっていく。ゲンガーを地面に叩き伏せるようにのしかかると、ボスゴドラは思い切り頭をゲンガーの頭に叩きつける。爆ぜるような音が衝撃の強さを物語り、頭突きを見舞ったボスゴドラでさえ、ふらつきながら後退るとゲンガーから距離をとった。 ゲンガーのHPは110から一気に0へ。ボスゴドラのHPは70/130。ハードメタルの効果で自らも40ダメージを受けるはずだが、現に20しか受けていない。 「ハードメタルの効果でボスゴドラが受けるダメージは、鋼の特殊エネルギーで軽減できる。ボスゴドラについている鋼の特殊エネルギーは二つ。よって受けるダメージは20軽減され、20ダメージ」 「まーたトリガー引いたな。再び天国か地獄かのターニングポイントだ! ゲンガーのポケパワー発動。死の宣告!」 「倒したはずなのに……」 「倒されたときに発動するポケパワーなんだよ。今から俺様はコイントスをする。裏なら効果はないが」 出来るだけ相手に緊張感や動揺を与えれるようにわざと言葉を区切る。 「表だった場合は問答無用でボスゴドラは地獄送り(気絶してトラッシュ)だ!」 バトルテーブルを叩きつけるようにコイントスのスイッチを押す。結果は、 「わりぃな、表だ」 倒されたゲンガーの影がすっと伸びてボスゴドラの影と重なり、重なった影はゲンガーの形を形成した。ボスゴドラが異変に気づいて振りかえったのが最期、なんと影が立体と化してボスゴドラを殴りつけた。70も余力のあったボスゴドラのHPはあっという間に0になる。 今まで無表情、それかかろうじて悪意の眼差ししかしなかった沙村の顔が初めて負の色に包まれた。思い通りにいかない動揺、予想しない出来ごとの連続から来る驚愕。 「ようやくいい表情しはじめたじゃねえか」 「……ゲンガーが気絶したことによってサイドを一枚引く。新しいバトルポケモンはジバコイル」 「俺も引かしてもらうぜ。ベンチにいたもう一匹のゲンガーをバトル場に出す。そして楽しみポケモンチェックだ」 何度目だろうか、またも沙村のポケモンが苦しみ始める。先ほどよりもポケモンの数が減ったのでうめき声の音量は控えめだ。今回のエクトプラズマーによってジバコイルは70/120、ディアルガLV.Xは60/110へ。 「俺のターン、ドロー。ゴースに超エネルギーをつけ、ヤジロンをネンドールに進化させてベンチシールドをつける」 これでベンチにベンチシールドがついたネンドールが二匹ずつ並んだことになる。 「まずは一匹目のコスモパワーだ。俺は手札を二枚デッキボトムに戻し、手札が六枚になるよう。つまり三枚ドロー。さらに二匹目のコスモパワーもいくぞ。手札を二枚デッキボトムに戻して二枚ドロー。そしてベンチのゴースをゴーストに進化させる」 一見手札をぐるぐる回してるだけに思える行為だが、「今自分に要らない手札」をデッキボトムに戻し、「これから必要になるであろう手札」をデッキから新たに探っているのだ。そして、そのためのピースは揃った。 ケッ、もうサポーターを使う必要性も感じねえ。チェックメイトどころかもう、剣が体に突き刺さってるじゃねえか。後は息の根が止まるのを待つだけだな。 「ゲンガーで攻撃。シャドールーム!」 再びゲンガーが謎の立方体を生み出す。今度はベンチのディアルガLV.Xに向けて投げられた。投げられた謎の立方体はディアルガLV.Xに届く前に自然と大きくなり、あの大きなディアルガLV.Xをも閉じ込めた。 「ダメージカウンター三つだけではまだディアルガLV.Xは気絶しない!」 「カードテキストも読めねえのか? シャドールームは確かに相手のポケモン一匹にダメージカウンターを三つだけ乗せる技だ。だが、乗せる相手がポケパワーを持っている場合は更に乗せるカウンターを三つ増やす!」 今のディアルガLV.XのHPは60/110。きっちりHPは0となり、ディアルガLV.Xは足に力が抜けて崩れ落ちるように倒れた。 「タイムスキップで逆転の可能性もあったのにこうなっちゃどうしようもねえな。サイドを一枚引いてターンエンド。あれ、もう残りサイド一枚か?」 沙村の舌打ちが聞こえる。だが、舌打ちだけじゃなかった。 「さっきからいちいち一言余計でむかつくんだけど」 態度だけで我慢していた沙村だったが、ついに言葉に表した。 「むかつかせてんのはどっちの方だ?」 「くっ……!」 返す言葉がないようだ。そしてジバコイルに再びエクトプラズマーの効果が適用され、HPは60/120まで下がった。 「僕のターン。ジバコイルに鋼の基本エネルギーをつけて、レベルアップさせる!」 ジバコイルはレベルアップしたことによってHPが80/140へと拡張。それだけでなく新しい技をも使えるようになった。だが、その位想定内だ。 「ジバコイルLV.Xでゲンガーに攻撃。サイバーショック!」 ジバコイルLV.Xを中心に、眩い青白い光が拡散する。眩さあまり思わず目を伏せ両腕で顔を隠したが、健康に悪そうな光ったらありゃしねえ。 光が収まったので目を開いてフィールドを見ると、ゲンガーのHPバーは30/110まで一気に下がっていた。さらに、ゲンガーは体が麻痺しているのか、立っているだけでつらそうに見える。 「エネルギー二個でなかなか大技だな」 「サイバーショックは相手に80ダメージを与えて更に相手を麻痺にする技。自分についている鋼と雷エネルギーをトラッシュしなくてはいけないけど、効果は十分」 沙村のターンが終わったのでポケモンチェックが入る。エクトプラズマーによってジバコイルLV.XのHPは70/120へ。 「俺のターン。まさかゲンガーが動けないからこのままターンエンド。……とか言うと思ったか?」 「……」 「手札からグッズカード発動。ワープポイント!」 ゲンガーとジバコイルLV.Xの足元に青い渦が発生する。 「ワープポイントの効果により、互いにポケモンを入れ替える。ただ、お前は替えるポケモンがいないからそのままだな。俺はゲンガーとゴーストを入れ替える!」 青い渦はゲンガーを飲み込んだ。ベンチのゴーストの足元にも青い渦が現れて、同様に吸い込む。そして互いに先ほどとは違う渦から現れる。沙村のジバコイルLV.Xの足元にあった青い渦は別段何もせずに消えていった。 「新しくバトル場に来たゴーストをゲンガーに進化させ、ジバコイルLV.Xに攻撃だ。シャドールーム!」 これで三回目となるシャドールーム。謎の立方体がジバコイルLV.Xを包んだ。 「ジバコイルLV.Xには使われなかったが、ポケパワーがある。よって乗せるダメカン六つだ」 「ジバコイルLV.Xの抵抗力は超タイプ。だから受けるダメージは───」 「ダメージじゃねえよ。このワザは『相手にダメージを与える』んじゃなくて『相手のポケモン一匹にダメージカウンターを乗せる』効果だ。抵抗力はダメージに対してしか働かねえ。これでジバコイルLV.XのHPは10/140だな」 沙村は左手に持っていた手札六枚をポロポロと落とす。そんな沙村とは関わりがまるでないように、ジバコイルLV.XのHPバーは残り僅かの赤へ減少する。 「そしてポケモンチェック。スタジアム、エクトプラズマーの効果発動だ」 今度こそジバコイルLV.XのHPが0となる。急に浮力を失ったジバコイルLV.Xは金属音を放って落ちた。 「最後のサイドを引いて終わりだな」 ようやく紫色の空間が消え、辺りは元の展示ホールへ戻った。「くっそぉ!」と声を荒げてバトルテーブルを叩く沙村に向けて言い放つ。 「俺は自分の場と相手の場にある全てのカード、全てのポケモンを最大限に活かして一つのバトルを組み立てる。そのためにあいつほどじゃねえが、俺も俺なりにデッキを信じてる」 そうやって観客として試合を観ているはずの翔を探した。目があったが、それだけだった。再び沙村に視線を戻す。 「お前に足りないのはそういうものと、後は簡単に挑発に乗ってくる精神の弱さだ。ま、戦う分には最高ってくらいやりやすかったけどな」 バトルテーブルを変形させて元のバトルベルトに戻し、その場から立ち去ろうと振りかえると背後から声がかかった。 「次は絶対ぶっ倒す」 「ケッ、そんときゃ精々スクラップにならないようにな」 何はともあれ一回戦突破だ。誰にも見えないように拳をグッと握って小さくガッツポーズを作る。
「やるわね彼」 今の勝負を静観していた松野がようやく口を開いた。ずっと腕組みして試合を見続けていた風見は腕組みを解いて松野に話しかける。 「藤原だってなんだかんだ言って元能力者ですしね。松野さんは今の勝負見ていてどう思いました?」 「まず最初の方で、わざわざ自分でヨノワールにダメカンを乗せてダメージイーブンを放ったときに感覚でやってるのじゃないというのは感じたわね。あの挑発も、感情的にやってるものかと思えばそうではなくて相手の冷静さを欠くもの。私と戦った時より全然成長して、今は立派な策士ね」 「このまま順当に昇って行けばあいつは準々決勝で能力者の高津洋二との対戦、ですか」 「風見くんも勝ち続ければ準決勝で山本信幸との対戦よ」 「まずは目の前の一勝を、ですね」 能力者の足音が聞こえる位置にいることを、風見は改めて自覚した。
拓哉(表)「今日のキーカードはジバコイルLV.X。 サイバーショックはリスキーだけど威力も効果も高レベル! エネルギーが足りなくなったらポケパワーでつけなおそう!」
ジバコイルLV.X HP140 鋼 (DP5) ポケパワー でんじトランス 自分の番に、何回でも使える。自分のポケモンの雷エネルギーまたは鋼エネルギーを1個選び、自分の別のポケモンにつけ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 雷鋼 サイバーショック 80 自分の雷エネルギーと鋼エネルギーを、それぞれ1個ずつトラッシュし、相手をマヒにする。 ─このカードは、バトル場のジバコイルに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 炎×2 抵抗力 超−20 にげる 4
─── 拓哉(裏)様の名言でましたー 沙村凛介の使用デッキ 「鋼の世界」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-752.html この後気長wikiに沙村をうpる予定です。 読めば分かりますが今回で拓哉VS沙村も終わり、次の話にはまた別の応募キャラが出ます。
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痛快 ( No.72 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:53
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 藤原が勝負を繰り広げようとしている時と同じころ、同じブロックにいた俺こと蜂谷亮も決勝リーグの一回戦が始まろうとしていた。
対戦相手の名前は沙羅 比香里(さら ひかり)と言うらしく、俺(16)より二つ上の年上のお姉さんである。艶のある黒色の長髪に、スタイルの良さを魅せる紅蓮のライダースーツ。正直カードに対するわくわくよりも違う方向でわくわくが働いて仕方ありません! 「ふっ、これは役得」 近くで試合を見ている恭介をニヤニヤしながら見つめると、なんか腕でジェスチャーをし始めた。何を伝えたいかは分からないのだが。 ここは勝負で勝って、「お姉さん、僕がカードの勝ち方をご教授しますよ」みたいなことを言ってそのまま……。 「……。早くしてくんない?」 「へあ?」 妄想しているうちにお姉さんはバトルテーブルを組み立て、デッキをセットしていた。俺も遅れないようセットする。 俺の遅さに遅れたお姉さんはポケットから小さな青い箱を取り出し、箱の中身を開けようとした。が、なぜか辺りを見渡しながら箱をポケットに戻す。 理由は単純。あの青い箱の中身はタバコだ。うちの親父が吸ってる、ピース・インフィニティっていうやつだ。お姉さんもまだ未成年、特にこういう年齢のバレやすい場所で吸うとすぐに注意されたりする可能性があるからな。特に目の前の対戦相手とか。 代わりに違うポケットから緑の大きな箱が出てきた。アレはプリッツのサラダ味だ。そっちなら問題ないです。 「よし、準備出来た!」 俺も遅れてデッキポケットにデッキをセットし、シャッフルさせる。手札が七枚引かれ、サイドが六枚セットされる。そして互いに最初のバトルポケモンを選ぶとポケモンが表示される。俺のバトルポケモンはフィオネ60/60、ベンチにはヤジロン50/50。一方で相手のバトルポケモンはロコン50/50、ベンチにはブビィ40/40。 「俺から先攻だぜ。ドロー!」 一ターン目の先攻はトレーナーカードが使えず、進化もできない。俺の今の手札がゴージャスボール、ポケドロアー+、コール・エネルギー、破れた時空、バトルサーチャー、ミズキの検索となっているだけにほとんどすることがない。 「よし、手札のコール・エネルギーをフィオネにつけてエネルギーの効果発動だ! 自分の山札からたねポケモンを二匹ベンチに出すぜ」 俺のベンチエリアにビードル50/50が二匹現れる。しかし出したはいいけど、相手は炎デッキっぽいぞ……。どう対処しようか。 「私のターン。手札からスタジアムカードの破れた時空を発動」 辺りがあっという間に破れた世界への入り口が開いた槍の柱に変わる。この瞬間俺の手札の破れた時空が腐った。よりによって相手が発動かよ。 「破れた時空が場にある間は互いに場に出したばかりまたは進化したばかりのポケモンをさらに進化させることができる。よってロコンをキュウコンに、ブビィをブーバーに進化させる」 沙羅さんのポケモンが一気にキュウコン90/90、ブーバー70/70へと進化する。全体的にHPの少ない俺のポケモンからすると、大きさもHPも圧迫されている気がする。 「そしてサポーター、地底探検隊を発動。自分の山札のカードを下から四枚見て、好きなカードを二枚手札に加える。その後残りのカードを好きな順番にして山札の下に戻す」 沙羅さんが手札に加えたカードは俺からでは分からない。地底探検隊のテキストには加えたカードを相手に見せる必要はないからだ。しかし四枚のうち二枚と言えど、ある程度のレベルでチョイスが可能だ。何を引いたのか……。 「キュウコンに炎エネルギーをつけて、ワザを使うわ。炎の宴! 裏が出るまでコイントスをして、表の数だけデッキから炎エネルギーを選んで好きだけ自分のポケモンにつける」 コイントスの結果は表が三回出てようやく裏、つまり炎エネルギーを三枚自由につけることが出来る。 キュウコンの周りに炎のシンボルマークが三つ現れて三つともブーバーに吸収されていく。 「私はブーバーに炎エネルギーを三つつけてターンエンド」 「よし、俺のターンだ! 手札からグッズカード発動。ゴージャスボール! 自分の山札からLV.X以外のポケモンを一枚手札に加える。俺はコクーンを手札に加えるぜ」 バトル場にいるフィオネの隣にゴージャスボールが現れる。ゴージャスボールが開くと、拡大されたコクーンのカードの絵が映し出された。 「更にサポーターカードのハマナのリサーチも使うぜ。デッキからビードルを二匹加えてそいつらもベンチに出す!」 これで俺のベンチはヤジロンとビードル四匹で全て埋まった。 「ビードルのうち一匹をコクーンに進化させるぜ」 ビードルのうち一匹がコクーン80/80へと進化する。他のポケモンはポケモンバトルレボリューションみたいな感じである程度各自で動作を取っているが、コクーンだけは微動だにしない。流石だ。 「そしてコクーンに草エネルギーをつけ、フィオネのワザを使う! 進化の願い。自分のデッキから、自分のポケモン一匹から進化するカードを選んでそのポケモンに進化させる。俺はベンチのヤジロンをネンドールにさせるぜ」 フィオネが両手を胸の辺りで手を合わせると、ヤジロンに淡い光が降り注ぐ。するとヤジロン自身が白く輝きフォルムを変えてネンドール80/80へと進化する。 「よし、ターンエンドだ」 「私のターン。ブーバーをブーバーンに進化させ、ベンチにデルビルを出すわ。そしてキュウコンに炎エネルギーをつける」 進化したブーバーン100/100と新たに現れたデルビル50/50が壁となる。かろうじてデルビルが悪タイプなのが救いだが、残りが丸ごと炎タイプ。草タイプを主として戦う俺にとっては不利だ。 「キュウコンで攻撃、怪しい炎!」 九色の火の玉がフィオネの周りを輪のように遊泳し、同時にフィオネに襲いかかる。フィオネのHPが20/60へ一気に下がり、更に火傷のマーカーと混乱の象徴としてフィオネの頭上で幾多の星が回り始める。 「怪しい炎は自分の場のエネルギーの数が相手の場のエネルギーより多いとき、相手を火傷と混乱にする。今の私の場のエネルギー五つ。あんたのエネルギーは二つ。よってフィオネは火傷と混乱になってもらうわ。そしてポケモンチェックよ」 「む……」 火傷は各ターン終了後に行われるポケモンチェックでコイントスをし、裏ならそのポケモンに20ダメージを。混乱は、ワザを使用するときにコイントスをして裏ならワザが失敗してそのポケモンに30ダメージを与える状態異常だ。 このコイントスで裏が出ればフィオネは気絶。ベンチが整っていない状況でのこれは出来る限り避けたい。 「せあ!」 コイントスボタンを押すと、結果は表。ダメージはなんとか免れた。 「ふうー」 一息つかざるを得ない。肺に溜めていた空気をすべて吐き出す。 「よし、俺のターンだ。手札からグッズのポケドロアー+を二枚発動。ポケドロアー+は同時に二枚使うと効果が変わるカードだ。二枚使った場合、自分の山札の好きなカードを二枚選んで手札に加えることが出来る。もちろんこの効果は、二枚で一回しか働かないけどな。俺はカードを二枚手札に加え、ベンチのビードルを二匹コクーンに進化させる!」 俺がポケドロアー+の効果で手札に加えたのはコクーン二匹だ。 ベンチのビードル二匹がコクーンに進化したことによって、コクーン三匹ビードル一匹という割と奇妙な構図が出来あがる。 「そして草エネルギーのついたコクーンをスピアーに進化させる!」 コクーンが殻の内側から光を発すると、そこからスピアー110/110が現れる。小型ポケモンばかりの俺のベンチにようやく大きめのポケモンがようやく登場だ。 「まだだ、ミズキの検索発動。手札のカードを一枚デッキに戻して好きなポケモンを一枚手札に加える。俺が加えたのはスピアー! ベンチのコクーンをスピアーに進化させる」 再びベンチのコクーンがスピアーに進化する。だが俺のデッキのエンジンはかかったばかり。相手が強力な炎のビートダウンなら、やられる前にやるまで。 「ベンチのスピアーのポケパワーを使う。羽を鳴らす! 自分のデッキから草ポケモンを一枚手札に加えることができる。俺はコクーンを手札に加え、ベンチのビードルをコクーンに進化させる。そしてもう一匹のスピアーの羽を鳴らすも発動。スピアーを手札に加えてコクーンを進化させる!」 「嘘!?」 相手もようやく危機感を感じたらしいが、これだけじゃあ止まらない。ちなみに今進化させたスピアーはポケパワー、羽を鳴らすを持つスピアーとは別のスピアーだ。シリーズ分けで呼ぶなら、羽を鳴らすのスピアーがスピアー(DPt2)で、今進化させたのがスピアー(DP4)。 「更にネンドールのポケパワーを発動。コスモパワー! 手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようにドローする。俺は手札を一枚戻すことによって今の手札は0。だから六枚ドローだ!」 これで残りデッキ枚数は三十。 「貴女が発動させてくれた破れた時空のお陰でおお助かりだぜ。更にベンチのコクーンをスピアー(DP4)に進化させ、そのスピアー(DP4)に草エネルギーをつける。そしてフィオネのコール・エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がし、草エネルギーのついたスピアー(DP4)と入れ替える!」 「くっ」 フィオネがベンチに逃げることで、混乱と火傷が回復する。これでいつ気絶するかわからないハラハラする状況は防ぎきった。 「スピアー(DP4)でキュウコンに突撃だ! 皆で襲う!」 バトル場のスピアーがキュウコンに向かって襲いかかる。それを号令に、ベンチにいる他のスピアー三匹もキュウコンに飛びかかる。 「皆で襲うは俺の場にいるスピアーの数かける30ダメージを与えるワザ。今俺の場にはベンチにいるスピアーが三匹、そしてバトル場にいるスピアーが一匹。よって合計四匹。与えるダメージの累計は120だ!」 スピアーの突撃から身を守っているキュウコンのHPバーはあっという間に0になり、その場に崩れ去る。 「やるね。私はブーバーンを新たにバトル場に出すわ」 「よし! やられる前に勝負を決めるぜ! サイドを一枚引いてターンエンド!」 ふう、一時はどうなるかとひやひやしたけどもなんとか捲き返せそうなとこまで試合を運んでやったぜ。 俺だってまだポケモンカードを始めて二ヶ月くらいだけど、やればここまで出来るんだ! 満更でもない表情でチラと後ろにいる恭介を見つめる。予想通り驚いた顔をしているあいつを見れてなかなか痛快だ。
蜂谷「今日のキーカードはスピアー! ベンチにスピアーを集めれば、 草エネルギー一個で120ダメージも与えれるんだぜ!」
スピアーLv.41 HP110 草 (DP4) 草 みんなでおそう 自分の場の「スピアー」の数×30ダメージ。 無無無 ダブルニードル 50× コインを2回投げ、オモテ×50ダメージ。 弱点 炎+30 抵抗力 − にげる
─── いくらなんでも蜂谷のこのチートドロー、やりすぎであると書いてて思った。 蜂谷亮の使用デッキ 「ハイパービートスピア」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-756.html
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真剣 ( No.73 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:54
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「へへっ」
笑いながら鼻の下を指でこする。俺の残りサイドは五枚で、対戦相手の沙羅さんは六枚。 俺のバトル場には草エネルギーのついたスピアー(DP4)110/110。ベンチにはネンドール80/80、草エネルギー一つついたスピアー(DPt2)110/110、スピアー(DPt2)110/110、スピアー草(DP4)110/110、ダメージを負っているフィオネ20/60。 相手のバトル場には新しく登場した炎エネルギーが三つついているブーバーン100/100、ベンチにはデルビル50/50。まだまだ俺の方が有利だ。 「喜ぶにはまだ早いぞ。私のターン」 しかし沙羅さんの手札は今ドローしてもようやっと二枚だ。たった二枚じゃ俺のこのリードは揺るがないさ。 「手札の炎エネルギーをデルビルにつけて、ベンチにユクシーを出す。そしてこの瞬間にポケパワー発動。セットアップ!」 ユクシー70/70が新たにベンチに現れると、ユクシーの周りにカードを象った長方形が七つどこからともなく出てきた。 「このポケモンを手札からベンチに出した時、自分の手札が七枚になるようにデッキからドローする。今の私の手札は0。よって七枚ドローする」 なんということだ。一気に相手の手札が潤ってしまった。文字通り開いた口が塞がらない。 「そしてブーバーンをブーバーンLV.Xにレベルアップさせてサポーターカード、ミズキの検索発動。手札を一枚戻し、ポケモンのカードを一枚手札に加える。私はヘルガーを手札に加え、ベンチのデルビルを進化させる」 沙羅さんの手札はあっという間に四枚まで減るものの、バトル場には悠然とブーバーンLV.X130/130、ベンチにはヘルガー80/80とユクシー70/70が構えている。 「ブーバーンLV.Xで攻撃。火炎太鼓!」 ブーバーンLV.Xがバトル場のスピアーに向かって大きな咆哮をあげると、それに遅れてブーバーンLV.Xの体から溢れんばかりの火炎がほとばしり、それは拡散しつつも確かにスピアーを狙った。 スピアーのHPバーは減り続ける。半分を切り、四分の一を切り、そして0。 「えっ、もう気絶!?」 「ブーバーンの火炎太鼓は威力は80と高いけど、自分の進化前にブビィが無ければ自分の手札のエネルギーを二枚トラッシュしないと使えないワザ。私のブーバーンLV.Xはブビィから進化しているからカードをトラッシュする必要はないわ。更にスピアーの弱点は炎+30。よってスピアーが受けるダメージは110!」 「110って、スピアーのHPと同値じゃねえか……。くそっ、俺はスピアー(DP4)をバトル場に出すぜ」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「たった一ターンで追いつかれるとは思わなかったな。俺のターン! 手札からグッズカード、夜のメンテナンスを使うぜ。トラッシュの基本エネルギーかポケモンを合計三枚までデッキに戻す。俺はビードル、コクーン、スピアー(DP4)をデッキに戻してベンチのスピアー(DPt2)のポケパワー、羽を鳴らすを発動。その効果によってデッキからビードルを手札に加える。さらにもう一匹のスピアー(DPt2)の羽を鳴らすを発動してスピアー(DP4)を手札に戻す! ビードルをベンチに出して不思議なアメを発動。ベンチのビードルをスピアー(DP4)に進化させるぜ」 「倒したばっかりなのに?」 俺のベンチには再びスピアーが三匹並んだ。沙羅さんは驚いて絶句しているようだ。 「倒されても諦めねー! それが俺の根性だ。バトル場のスピアー(DP4)に草エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。手札を二枚デッキボトムに戻し、デッキから五枚ドロー!」 またたく間にデッキの残り枚数は二十七枚になる。流石にドローしすぎかな? 「スピアー(DP4)で攻撃。皆で襲う!」 またスピアーの大群がブーバーンLV.Xに襲いかかる。130あるブーバーンLV.XのHPがあっという間に10まで削り取る。 「よっし、ターンエンド!」 「私のターン。……、それにしても正直驚いたわ。まさか倒した次のターンにポケモンをすぐ並べるだなんて」 「俺にとっては造作ないことですさ」 「そう。だったらそのリズムを崩すとこから攻めていくわ」 沙羅さんが余裕の笑みに。思わず俺は身をグッと構える。 「まず手始めに。あんたのポケモンが手早く進化する流れを断つ。新しいスタジアム、ポケモンコンテスト会場を発動。新しいスタジアムが発動されたため、破れた時空はトラッシュされる」 暗い背景が元の展示場に戻ると、今度は明るいポケモンコンテスト会場がバックに現れる。辺りもヨスガシティの栄えた街になり、平和な光景が広がった。 「そしてポケモンコンテスト会場の効果発動。お互いのプレイヤーは、自分の番ごとにコインを一回投げれる。そして表だった場合、自分のデッキからたねポケモンを一枚ベンチに出してポケモンのどうぐをつけることができる。……表ね、デッキからデルビルをベンチに出し、達人の帯をつける」 コンテスト会場の扉が開くと、中から達人の帯をつけたデルビル50/50が現れる。しかし、達人の帯の効果でHPが20増えてデルビルのHPは70だ。それ以外にも達人の帯をつけたポケモンはワザの威力が+20され、気絶させられた場合相手はサイドを二枚引くという効果もある。 「ブーバーンLV.Xに炎エネルギーをつけて、ブーバーンLV.Xのポケパワー発動。灼熱波動!」 ブーバーンLV.Xが深く息を吸い込むと、紅蓮の吐息を俺のバトル場のスピアー(DP4)に吹きかける。吹きかけられたスピアーには火傷マーカーがつけられた。 「灼熱波動は相手のバトルポケモンを火傷にするポケパワー。このポケパワーで火傷になった場合、火傷で受けるダメージは通常の20から30になるわ」 「30!? いや、でもまあある程度は余裕あるか……」 「草ポケモンをサーチし続けるスピアー(DPt2)は厄介だけど、それ以上にドローエンジンとなるネンドールが一番厄介。ブーバーンLV.Xでネンドールに攻撃。フレイムブラスター!」 ブーバーンLV.Xは真正面にいるスピアー(DP4)ではなく、ベンチにいるネンドールに向けて真っすぐに右腕を突き出すと唸るような低い音と共にすさまじい火炎が放たれ、それは広がりはしないものの不規則に荒れ狂いながらネンドールを包み込んだ。そしてネンドールのHPは瞬きする間に80から0へ下がって行く。 「一撃でこんなにやられるとは」 「フレイムブラスターはブーバーンLV.Xについている炎エネルギーを二個トラッシュしなくてはならない上に次の番にこのワザが使えないデメリットがあるけど、相手の場のポケモン一匹に100ダメージを打ち込む大技よ。『相手』ではなくて『相手のポケモン一匹』だからベンチのネンドールを攻撃できたってワケ。サイドを引いてターンエンド」 沙羅さんの番が終わったため、ポケモンチェックが行われる。コイントスボタンを押すと、儚い願いは届かず裏。スピアー(DP4)の体が一瞬だけ炎に包まれるエフェクトが発生し、HPバーが110から80へ緩やかに削られる。 「俺のターン! 手札の草エネルギーをベンチのスピアー(DP4)につけ、俺もポケモンコンテスト会場の効果を発動させるぜ。コイントス!」 今度こそと憤ってみるも、またもや裏。俺には分かる。こういうときはダメだ。運も流れもついてこない。 「バトル場のスピアー(DP4)をベンチに逃がし、今エネルギーをつけたばかりのベンチのスピアー(DP4)を新たに場に出すぜ。逃げるエネルギーは0だからエネルギーはトラッシュしなくて済む上に、ベンチに逃がすことで火傷も回復だ」 俺にちょくちょくカードを教えてくれた風見が、「運が向かないと思ったらコイントスは避けろ」と言っていたのを思い出す。思えばあいつのデッキにはコイントスを要するカードがほぼないな……。と余計なことを考えていた。 「よーし。スピアー(DP4)で攻撃だ。皆で襲う!」 本日何度目だろうか、スピアーの大群が残りHP10しかないブーバーンLV.Xにとどめの一撃を───いや、スピアーが大勢で襲いかかる様を一撃と言い表すのには無茶があった───食らわす。 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 次の沙羅さんのポケモンは先ほどポケモンコンテスト会場の効果でベンチに出した達人の帯つきのデルビルだ。 「私のターン。流れを断ったと思ったら考えは甘いわね。手札のグッズ、ゴージャスボールを発動。自分のデッキからLV.X以外の好きなポケモンのカードを手札に加える。私が加えるのはもちろんヘルガー。そしてバトル場のデルビルを進化させる。 小柄なデルビルの体が二倍程大きくなってヘルガーとなる。達人の帯をつけているせいでHPが通常のヘルガーより20大きい100/100だ。 「そしてこのヘルガーに炎エネルギーをつけて、傷を焦がす攻撃!」 「へへん、傷を焦がすは威力たったの20! 達人の帯と弱点の効果で20、30と加算していったところで俺のスピアー(DP4)が受けるダメージは70だぜ!」 「甘いわね。ヘルガーには復讐の牙というポケボディーがあるの。私のベンチポケモンの数があなたのベンチポケモンより少ない場合、ヘルガーがバトルポケモンに与えるワザのダメージは+40される。今の貴方のベンチにはスピアー三体とフィオネの四体。私のベンチはヘルガーとユクシーのみ。よってポケボディーが働き、このワザでそのスピアー(DP4)に110ダメージを与える」 「110って俺のスピアー(DP4)の最大HPと一緒じゃねえか!」 気付いた時にはスピアー(DP4)はぐったりと倒れていた。仕方なく、さっき火傷を受けたスピアー(DP4)70/110をバトル場にだす。 「残念ね、サイドを一枚引いてターンエンドよ」 「俺のターンだ。えーと、くそ! どうすんだ」 俺の手札は今八枚ある。しかし、内訳がネンドール、草エネルギー二枚、コール・エネルギー二枚、フィオネ、アグノム、ミズキの検索。このピンチを打開する手がない。アグノムやフィオネをベンチに出せばヘルガーのポケボディーで……。 焦りを通り過ぎてイライラしてしまっていた。風見に「どんな不利な状況であっても自分をしっかりと保て。チャンスは必ず来る」とアドバイスを受けていたのだがそれさえ思い出す余裕がなかった。 「ベンチのあらかじめ草エネルギーが一つついてあるスピアー(DPt2)に草エネルギーをつけ、バトル場のスピアー(DP4)で皆で襲う攻撃!」 しかしヘルガーを倒しきることは出来なかった。スピアーの数が減ったため、皆で襲うの威力は90しか出ずにヘルガーのHPを10だけ残すという状況で俺の攻撃は終わった。 「私のターン。ベンチのヘルガーに炎エネルギーをつけ、傷で焦がす攻撃!」 またも110の三ケタダメージで俺のスピアー(DP4)は気絶。さっきエネルギーをつけたスピアー(DPt2)をバトル場に出す。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 俺のサイドは四枚なのに沙羅さんのサイドはもう二枚だ。どうすれば勝てるんだ。どうやったら。 「俺のターン、スピアーに草エネルギーをつけて攻撃だ。ニードルショック!」 さっきみたいにスピアーをまたトラッシュから速攻でベンチに戻すコンボは、トラッシュのカードをデッキに戻してから始まる。しかし俺の手札にはそれを可能にさせるカードがない。だからがむしゃらに攻撃するしかない。 本来ニードルショックは相手を毒とマヒに出来るワザだが、残りHP10のヘルガー相手ではその効果も無意味。勿体ないな、と思った。 「私はベンチのヘルガーをバトル場に出すわ」 「今倒したヘルガーは達人の帯をつけていたため、俺はサイドを二枚ドローできる!」 ようやく夜のメンテナンスが来た! 間に合うか……!? 「私のターン。手札の炎エネルギーを更にバトル場のヘルガーにつけて攻撃。紅蓮の炎!」 ヘルガーが口をあんぐりと開くと、そこから真っ赤な炎が射出された。 「紅蓮の炎の威力は60。弱点とポケボディーの効果によって与えるダメージは130だ」 HP110は本来決して低いという数字ではない。そのはずが、さっきから何度も何度も三ケタダメージばかりを食らっているのだ。どういうことだ。 「紅蓮の炎を使った後、コイントスをして裏ならヘルガーについている炎エネルギーを二枚トラッシュ。……表。よってエネルギーはトラッシュしないわ」 もう後がない。ベンチの最後のスピアー(DPt2)をバトル場に出した。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「俺のターン!」 手札の夜のメンテナンス。これを使えばまたスピアー(DP4)を呼び出せるかもしれない。 「手札からグッズカード、夜の───」 いや、ちょっと待てよ? もしスピアー(DP4)を呼んで、攻撃できるようになったとしてもそのスピアー(DP4)と今バトル場にいるスピアー(DPt2)の二体しかスピアーがいないため、皆で襲うは60しか威力が出せない。それじゃあ今目の前にいるヘルガー80/80は倒せない。 そして次の番、沙羅さんがヘルガーで紅蓮の炎をしたら……。 そこから導き出せる結論、俺がすべきことは一つ。 「降参します」
俺のナンパ計画は終わった。そのまま膝からがっくりと崩れ落ちるが、沙羅さんはそんな俺に見向きもせずにどこぞに行ってしまった。 後ろの方で拓哉が対戦相手の中学生の男子に向かって「俺は自分の場と相手の場にある全てのカード、全てのポケモンを最大限に活かして一つのバトルを組み立てる。そのためにあいつほどじゃねえが、俺も俺なりにデッキを信じてる」と言っていた。 翔ぐらいだと「ちゃんとデッキを信じずに自分の目先の欲望だけ考えてたからこうなったんだろ?」と言ってきそうだ。 そこまで考えると胸に堅いものが突き刺さり、もう自力でそこから立てそうになかった。
蜂谷「今回のキーカードはブーバーンLV.X…… レベルアップ前も非常に強くてバラエティに富んだ戦い方が出来るみたい……。 帰っていい?」 翔「こないだ俺のセリフを俺を撥ね退けてでも無理やりでも言ったヤツとは思えないなぁ。っておい大丈夫か!?」
ブーバーンLV.X HP130 炎 (DP2) ポケパワー しゃくねつはどう このポケモンがバトル場にいるなら、自分の番に1回使える。相手のバトルポケモン1匹をやけどにする。ポケモンチェックのとき、このやけどでのせるダメージカウンターの数は3個になる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 炎炎炎炎 フレイムブラスター 自分の炎エネルギーを2枚トラッシュし、相手のポケモン1匹に100ダメージ。次の自分の番、自分は「フレイムブラスター」を使えない。 ─このカードは、バトル場のブーバーンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 − にげる 3
─── 小説のストックなくなってきました。 沙羅比香里の使用デッキ 「爆炎!咆哮の光」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-760.html
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下準備 ( No.74 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:54
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 最初の四試合が終わり、拓哉は無事に二回戦へ駒を進めた。その一方で蜂谷は敗北から来た喪失感なのか、「心ここに在らず」状態でどこを見てるのかイマイチ分からない状況だ。
そしてこの最初の四試合のうち一つに、能力者の一人である高津洋二の試合があった。そう、あったはずなのだがなぜか全然目に止まらなかった。 試合が終わってからそういえば高津の試合があったなと思い出す程度で、びっくりするくらい存在感のない試合だった。 そして担架でその対戦相手が運ばれてたのに、ほとんどの人が知らんぷりというよりは気づいていない感じだった。 真っ白な服を着た男性が数人で担架を運んでいればどう考えても目立つのは必至なのに、周りはそれに気付かない。 この不思議な光景に一抹の不安を感じた俺は、風見と共に首をかしげるしかなかった。 そして次の四試合。向井が三十近く見えるおっさんと戦って圧勝。相手の引きが悪くて、たねポケモンが二匹しか揃わなかったところを向井は遠慮なく叩きのめした。 一回戦は残り八試合。今から行われる四試合には、恭介と風見が。そしてその後は俺と石川と松野さんと、もう一人の能力者である山本信幸が戦う。 恭介の選手番号は17で、風見の選手番号は21。二人がぶつかるのは三回戦だ。そしてその恭介らの試合が今から始まろうとしている。
「恭介ー! 俺の仇をとってくれー!」 「えー」 「おいこら『えー』ってなんだよ!」 蜂谷が外野からぎゃーぎゃー騒いでいると、翔がコツンと蜂谷の頭を叩いた。 「蜂谷、お静かに。周りから変な目で見られると一緒にいる俺らが恥ずかしいじゃん」 「……はい」 とりあえず蜂谷は翔に任せれば大丈夫そうだ。気分を入れ替えるために両頬をピシャと叩いて、これから始まる試合に集中しようと図る。 バトルベルトをマニュアル通りに起動させる。今まで遠目で見てたが、目の前で使ってみるとなんだか楽しい。時代の最先端にいる気がする。 「うおおお、すげえ楽しい!」 とはしゃいだはいいものの、今から決勝リーグ一回戦だと考えると緊張する。部活のバスケの試合前とかと同じような緊張感があって、ポケモンカードは遊びだが、その遊びにいろいろ懸けている人がいるんだなあと認識させられる。 負けたくないな。勝ちたい。別に勝って優越感に浸りたいとかそんなんじゃなくて、純粋に勝ちたいなと思う。 「よろしくお願いします」 「こちらこそお願いします」 俺の対戦相手は八雲 真耶(やくも まや)と言う名前らしく、綺麗な艶のある黒色の痛みの少ない肩甲骨辺りまでのロングヘアー。カールした毛先が可愛らしい。 身体は細いが若干引き締まっていて、ウェストにくびれがある。首に黒のチョーカーを付けていて、色の濃い長袖のシャツと、タイトなジーンズを履いている。男装が似合いそうな印象がある。あと、年齢はタメだ。ピシッとしている印象があって年上に見えた。 デッキをデッキポケットに入れ、オートシャッフルのボタンを押す。バトルテーブルがデッキを認識して、人がするシャッフルの何十倍もの速さでデッキがシャッフルされ、手札とサイドが分配される。 「う」 最初の俺の手札は雷エネルギー、雷エネルギー、ピチュー、ライチュウ、ナギサシティジム、ハマナのリサーチ、ゴージャスボール。最初のたねポケモンがピチューのみのため、下手をすれば相手に一撃でやられてしまう恐れがあるため決していい手札とは言い難い。 やむなくピチューをバトル場にセットする。相手のセッティングも終わったらしく、同時に最初のポケモンを開示する。 俺のバトル場はピチュー50/50で、八雲のバトル場はサイホーン60/60、ベンチにはヒポポタス70/70。 「最悪だ……」 右手でパシンと額を叩く。ここまで来ると言葉にせざるを得ない。雷タイプの最大の弱点となる闘タイプのポケモンがまとめてやってきた。こっちの弱点でもあるし、相手にとっては抵抗力があるためダメージが綺麗に通らない。 「恭介、まだ諦めんなよ! 始まってさえないんだから!」 「そうだ! 翔の言う通りだ! ……セリフ取られて大して言う事がない」 翔と蜂谷が後ろの方からエールを送ってくれる。根拠はないが、なんだか安心できる気がする。 運が悪いと嘆いている俺だが、実は相手の手札はこのとき五枚とも全て闘エネルギーという俺よりもっと悲惨な典型的な逆エネ事故を起こしていた。もちろん、俺は知る余地がなかったのだが。 「先攻は俺がもらうぜ! ドロー」 今引いたのはピチュー。ハマナのリサーチやゴージャスボールを使ってなんとかやられる前に立てようと思うが、先攻一ターン目はトレーナーカードを一切使えない。 「雷エネルギーをバトル場のピチューにつけ、俺は新たにベンチにピチューを出すぜ。そしてピチューのワザ。おさんぽ! このワザは自分のデッキのカードを上から五枚見て、その中のカードを一枚手札に加える。そして残りのカードをデッキに戻してシャッフルする技だ!」 バトルベルトがオートでデッキの上から五枚のカードのディスプレイを表示する。エレキブルFB LV.X、ピカチュウ、雷エネルギー、バクのトレーニング、ベンチシールドの五枚だ。今一番必要なカードは……。ピカチュウだ。ピカチュウを手札に加えてシャッフルボタンを押すと、再びバトルベルトが高速でシャッフルを行う。 「私のターンです。ドロー。……手札の闘エネルギーをサイホーンにつけて攻撃します。角で突く!」 サイホーンがドスンドスンと大きな足音を立てながらピチューに突っ込み、そしてそのまま額の角でピチューを突き飛ばした。本来角で突くのワザの威力は10だが、ピチューは弱点として闘ポケモンからワザを食らうと更に10食らう。ピチューのHPは30/50となった。 「よし、俺のターンだ。まずはゴージャスボール。自分のデッキから好きなポケモンを一枚手札に加える。俺が手札に加えるのはライチュウ。そして更にサポーター、ハマナのリサーチを発動。俺はヤジロンとピカチュウを手札に加える。そしてヤジロンをベンチに出すぜ」 ベンチのピチューの隣にヤジロン50/50が現れる。 「そしてバトル場のピチューのポケパワー発動。ベイビィ進化! 自分の番に一度使え、自分の手札のピカチュウをピチューに重ねて進化させる。そのときピチューの受けているダメージは全て回復だ!」 ピチューのHPゲージがMAXまで回復すると、その体が白く包まれてピカチュウ60/60へと進化する。 「ベンチのピチューも同様にベイビィ進化だ! 更にバトル場のピカチュウに雷エネルギーをつけて、手札からスタジアムカードを発動。ナギサシティジム!」 スタジアムカードを所定の位置にセットすると、丁度俺達二人を中心に周りの景観が変わって行く。回転する歯車やスイッチなどが辺りに大量に現れ、ゲームを想わせる環境になった。 「このナギサシティジムが発動している間、互いの雷タイプの弱点はなくなり、雷ポケモン全員のワザは相手の抵抗力を無視してダメージを与えることができるようになる。なんとかこれでバトルはイーブンに持ちこめるぜ」 雷タイプの最大の弱点をこれで補うことができる。俺のデッキに入ってるポケモンのほとんどが闘タイプが弱点であり、その逆の闘タイプは雷タイプに抵抗力を持っていることが多い。現にサイホーンとかがそうだ。 「ピカチュウで攻撃。ビカビカ!」 ワザの宣言と同時にコイントスをする。このワザはコイントスが表の場合、与えるダメージを10追加することができるワザだ。 「ラッキー! コイントスは表! よって20に10足してサイホーンに30ダメージ!」 ピカチュウの頬から放たれる電撃がサイホーンに襲いかかる。それだけでなく、なんとジムのギミックからもサイホーンに向けて放電されていた。何はともあれ、サイホーンのHPは30/60。もし次のターン進化できず、またビカビカが成功すれば倒せる。 「ターンエンドだ」 「私のターン、ドロー。サイホーンに闘エネルギーをつけ、サイドンに進化させます」 サイドン60/90がドスドスと響くような足踏みをして現れる。一通り足音を鳴らし終えると、こちらを睨んできた。その目が妙にリアルに感じられて気圧される。 「サイドンで攻撃。突き壊す!」 サイドンが牛のように左足で数回地面をならすと、頭のドリルを前にして突っ込んできた。ピカチュウがトラックに撥ねられたように、というよりはコミカルに吹っ飛んだが、サイドンはピカチュウなんて最初からいなかったと想わせるようまだまだ突進していく。そしてベンチのピカチュウとヤジロンの間をすり抜け、俺の隣もすり抜け、俺の背後にあるナギサシティジムの壁に激突する。するとジグソーパズルが崩れるような感じでナギサシティジムの景観は失われ、元の会場に戻って行く。 「突き壊すは場にスタジアムがある場合20ダメージを追加し、そのスタジアムをトラッシュさせます」 突き壊すの威力は30。それに20追加されると50ダメージ。ピカチュウのHPはあっという間に10/60となった。しかしサイドンが隣を通った時は冷や汗が浮かんだ。 「幸いなのはワザのダメージを計算してからスタジアムがトラッシュされたことだな……。もし処理順がスタジアムのトラッシュを優先されてたら弱点も計算してピカチュウは気絶していたぜ」 俺がそうつぶやくと、対戦相手の八雲もまったくだと言わんばかりに頷いてきた。 「俺のターン! よし。手札のポケドロアー+を二枚発動。このグッズは二枚同時に発動したとき、自分のデッキから好きなカードを二枚手札に加える効果を持つ!」 ナギサシティジムを手札に加えようとした。しかし、それを選択する前に一つの考えが頭をよぎる。 もしこのターン、再びジムを発動させても次のターンまたまたサイドンにトラッシュされてしまうのではないか。もしドサイドンに進化できる環境であっても、再び突き壊すをしてくるという可能性は否めない。 だからといってジムを手札に加えないと、俺のポケモンがやられてしまう。どちらも阻止するにはどうすればいいか。 「これだ!」 適当に山札から引くこと! 全ては後から考える。引いたカードはワープポイント。……良いこと思いついたぜ。もう一枚は順当にネンドールを選ぶ。 「ヤジロンをネンドール80/80に。ベンチのピカチュウをライチュウ90/90に進化させるぜ。そしてネンドールのポケパワー発動。コスモパワー。手札を一枚か二枚デッキの底に戻して手札が六枚になるようにドローする!」 俺は手札のライチュウをデッキの底に戻す。これで手札はワープポイントのみとなり、新たに五枚ドローする。 「エレキブルFB[フロンティアブレーン]をベンチに出す」 これで俺のベンチにはライチュウとネンドールとエレキブルFBが並ぶことになる。 「そして雷エネルギーをこのエレキブルFBにつけ、グッズ発動。ワープポイント!」 バトル場のピカチュウとサイドンの足元に青い渦が現れて両者を飲み込む。 「ワープポイントによって互いにバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替える! 俺はエレキブルFBをバトル場に」 「私はヒポポタスを……」 八雲の顔が陰る。これが俺の即興タクティクス。ヒポポタスを引きずり出すことに一見意味はなさそうだが、ヒポポタスは逃げるエネルギーが二つ必要なうえに使えるワザもまだ大したことない。 「そしてエレキブルFBのワザを使うぜ。トラッシュドロー。自分の手札のエネルギーを二枚までトラッシュし、トラッシュした枚数×2枚ドローする。俺は手札の雷エネルギーを二枚捨てて四枚ドロー。ターンエンド」 「私のターン。手札の闘エネルギーをヒポポタスにつけ、スタジアム発動します。ハードマウンテン!」 今度は周囲が険しい山に変わる。丁度山の高いところにいるようで、俺達より低い(ように見える)ところに雲がかかっている。 「ハードマウンテンの効果は、互いのプレイヤーは自分の番に一度自分のポケモンの炎または闘エネルギーを一個選んで別の炎または闘ポケモンにつけかえることが出来ます。これでサイドンの闘エネルギーをヒポポタスに一つつけかえます」 「これでヒポポタスのエネルギーは二つ!?」 「そしてサポーター、ミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻し、LV.X以外のポケモンを手札に加えます。私が加えるのはドサイドン」 ヒポポタスを逃がさないでくれ……! と祈っていたが、よく考えるとそれをする利率は低そうだ。 サイドンの今の闘エネルギーは一つ。そしてサイドンのワザエネルギーは闘無の突き壊すと闘闘無の激突。既にこのターン、ヒポポタスにエネルギーをつけかえているのでサイドンは攻撃できないことになる。 「ヒポポタスで攻撃、突き飛ばす!」 ヒポポタスが体で思い切りタックルをすると、エレキブルFBはベンチエリアまで吹っ飛んだ。弱点が闘×2のエレキブルFBは10×2の20ダメージを受けて70/90に。 「突き飛ばすの効果で、相手はバトルポケモンとベンチポケモンを強制的に入れ替えなくてはなりません」 「俺はピカチュウをバトル場に出す」 「ターンエンド」 「俺のターン、ドロー。ピカチュウの雷エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がし、エレキブルFBをまたバトル場に出すぜ。そして手札の雷エネルギーをベンチのライチュウにつけて、サポーター発動。ハマナのリサーチ。その効果によってデッキからピチューとピカチュウを手札に加る。そしてベンチにピチューを出してピチューのポケパワー、ベイビィ進化によってピカチュウに進化させるぜ!」 これで俺のベンチに二匹目のピカチュウが並ぶ。 「エレキブルFBをレベルアップさせるぜ!」 エレキブルFB LV.Xの咆哮が響く。HPも100/120と大台に乗り、ポケパワーも強力になる。 「さあ、こっからが本番だ!」
恭介「こいつが今日のキーカード! ポケパワーを使うとターンは終わるけど、 エネルギーをトラッシュするワザの多い雷タイプとの相性はいいぜ!」
エレキブルFB LV.X HP120 雷 (DPt3) ポケパワー エネリサイクル 自分の番に、1回使えて、使ったら、自分の番は終わる。自分のトラッシュのエネルギーを3枚まで選び、自分のポケモンに好きなようにつける。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 雷無無 パワフルスパーク 30+ 自分の場のエネルギーの合計×10ダメージを追加。 ─このカードは、バトル場のエレキブルFBに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 鋼−20 にげる 3
─── ストックおしまい。来週はHF更新か本編更新か……? PCC編のED「one step」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-764.html
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チェーン ( No.75 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:55
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- PCC東京Aのカード大会は決勝リーグに入った。そしてその一回戦。俺こと長岡恭介と八雲真耶との対戦が行われている。
俺のバトル場には雷エネルギーが一つついたエレキブルFB LV.X100/120と、ベンチにはネンドール80/80、ピカチュウ60/60、雷エネルギー一つついたライチュウ90/90、同じく雷エネルギーが一つついたピカチュウ10/60。 一方の八雲のバトル場は闘エネルギーが二つついたヒポポタス70/70と、ベンチには闘エネルギー一つのサイドン60/90。スタジアムはハードマウンテンが依然発動されたままだ。 そして今は俺のターン。 「エレキブルFB LV.Xのポケパワーを発動。エネリサイクル!」 トラッシュをチラと確認する。 「エネリサイクルは自分の番に一度使え、自分のトラッシュのエネルギーを三枚、好きなようにつけれるパワーだ。俺はトラッシュの雷エネルギーを二枚ライチュウにつけ、もう一枚の雷エネルギーをダメージを受けていないピカチュウにつける! エネリサイクルを使うと自分のターンは終了する」 「私のターン。手札からサイホーンをベンチに出して、ヒポポタスをカバルドンに進化させます」 これで八雲のバトル場にはカバルドン110/110。ベンチにサイドン60/90とサイホーン60/60がいる形になる。 「そしてカバルドンに闘エネルギーをつけます」
「なんだかんだあったけどだいぶ相手も食いついてるなあ」 「まだまだ始まったばっかだろ? ……まあ風見の方はもう勝負決まったみたいだけど」 蜂谷がいろんな試合を見ては、何を納得したかふんふん言っている。確かに流石は決勝リーグだけあってどの試合もプレイングは丁寧だ。だがその中で光るプレイングをしているのは風見である。 「ギャラドスでナッシーに攻撃。テールリベンジ!」 風見の最後の一撃が決まった。ナッシーが倒れたことによって、風見の対戦相手の戦えるポケモンがいなくなったので風見の勝利だ。 風見はバトルベルトを閉じるとそのまま観客エリアにいる俺達の方へやってきた。 「長岡はまだ対戦中か。相手は……、闘タイプ。雷タイプを主に使う長岡では苦戦しそうな相手だな」 「ああ。でも、恭介ならなんとかするんじゃないかな?」 「俺もそう思う」 蜂谷は分かっているのか分かっていないのかというような言い方で適当に相槌を打つ。決勝リーグまで勝ち進んだとはいえ本当に強いのかどうかよくわからない。恐らく単純に運が良いんだろうなあ。 「カバルドンの闘エネルギーは三つか。ハードマウンテンの効果でサイドンの闘エネルギーをカバルドンにつけかえるとグランドクエイクが使えるな」 風見の解説に蜂谷が聞き返す。 「グランドクエイク?」 「グランドクエイクは闘闘無無で使えるカバルドンのワザだ。威力は80で、互いのベンチにいる進化していないポケモンに10ダメージを与える効果をもつ」 「それじゃあグランドクエイクが使われれば恭介のエレキブルFB LV.Xも、ピカチュウも一気に気絶になんのか!」 俺よく計算出来ました! とでも言いたそうな蜂谷の肩をトンと叩いて「バーカ」と言う。 「恭介のピカチュウは、どれもピチューから進化してるからグランドクエイクでダメージは受けねーぞ。むしろ対戦相手自身のサイホーンがダメージを受けるだけだ」 「じゃあもう一個のワザを使うのか?」 「だろうなあ。砂をため込むは無色エネルギー一個で使えるワザの割に小回りいいしな。元の威力は20だけど、自分のエネルギー×10ダメージ分追加できて、ダメージを与える前にトラッシュの闘エネルギーを一枚つけることができるからな。まあ最もその闘エネルギーがトラッシュにないんだけど」 「エレキブルFB LV.XのHPは100/120だからハードマウンテンの効果は使わなくてもいいんだな!」 「そういうことだ! 今度こそよく出来ました」 「馬鹿にすんじゃねー!」 蜂谷は血眼になって俺を睨んできた。その様子が面白おかしくて「ははっ」と微かに声を出して笑った。風見も声には出さなかったが、口元は緩んでいた。
「カバルドンで攻撃。砂をため込む!」 カバルドンに向かって周囲から砂が大量に集まっていく。その砂にエレキブルFB LV.Xが足を取られ、後ろへ倒れこんでしまう。そんなエレキブルFB LV.Xに遠慮なく砂はどんどんカバルドンに集まって行くため、エレキブルFB LV.Xは砂に埋もれてしまう形になった。地形変化したため、カバルドンの位置が高くなり逆にエレキブルFB LV.Xの位置が低くなる。カバルドンが見下ろす形になった。 「砂をため込むのワザの威力は20に30足され、更に弱点を突いたことによって二倍。つまり100ダメージ!」 「つまり……、エレキブルFB LV.Xは気絶っ……!」 エレキブルFB LV.Xの体が崩れ落ち、表示されているHPバーにはしっかりと0/120と書かれていた。 「俺の次のバトルポケモンはライチュウだ」 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 「くっそー……。俺のターン!」 今引いたのはナギサシティジム。発動してもいいが、ベンチにはまだサイドンがいる。あのサイドンがいる限り、ナギサシティジムはまた破壊されるだろう。デッキにこのカードは三枚しかない上に、スタジアムはトラッシュからサルベージする手段がほぼ無いので使いどころが大事だ。そう。プレイングを求められている。 少しくらいは長考してもいいだろう。気の向くままにトントン拍子で戦って、知らぬままに相手のペースにハマるのはもう御免だ。蜂谷の二の舞はしたくない。 手札を、自分の場を、相手の場を、そして互いのサイドの数、トラッシュのカードをチェックして「自分なり」でベストと思うプレイングをするんだ。 「よし、手札からスタジアムカードを発動。ナギサシティジム! 新しいスタジアムが発動されたため、ハードマウンテンはトラッシュ!」 八雲の顔が僅かに陰る。 「そして手札の雷エネルギーをベンチのピカチュウ(60/60)につけ、サポーター発動。バクのトレーニング! デッキからカードを二枚ドロー!」 まだ手札は六枚ある。頭の中でやりたいことと手札との釣り合いを考え直す。 「ライチュウをレベルアップさせるぜ」 これが俺がこの大会のために作ったデッキのエースカード。このライチュウLV.X110/110で、逆転への軌跡を紡ぐ。 「ライチュウLV.Xで攻撃だ! 必殺! ボルテージシュート!」 ライチュウLV.Xの頬から紫電が矢のような速さで射出され、カバルドンの横を通ると後ろにいるサイドンに命中する。サイドンの残りHPは一瞬で削られて0になった。 「ボルテージシュートは手札の雷エネルギーを二枚トラッシュすることによって、相手のポケモン一匹に80ダメージを与えるワザ。残りHP60だったサイドンは一発KOだ! サイドを一枚引くぜ」 「くっ……。私のターン───」 「まだ俺はターンエンドを宣言してないぜ。サイドンを倒したこの瞬間、ポケボディー発動。連鎖雷! レベルアップした番にボルテージシュートを使ったなら、もう一度ライチュウLV.Xは攻撃出来る!」 「二回攻撃!?」 八雲の表情が困惑のそれになる。 「二撃目を食らえ! 炸裂玉!」 ライチュウLV.Xの半分くらいの大きさの黄色と白が入り乱れた球体が先ほどのボルテージシュートとは違って遅いスピードで発射される。その玉がカバルドンの目先まで来ると、辺りの人が皆振り返る程の大きい音を発して爆発を起こした。 「炸裂玉は場のエネルギー三枚をトラッシュするカード。俺はベンチにいるピカチュウ10/60についている雷エネルギー一枚、ピカチュウ60/60についている雷エネルギーを二枚トラッシュだ」 「炸裂玉の威力は100。抵抗力で威力は20引かれて───」 「ナギサシティジムを忘れちゃ困るぜ。こいつの効果によって、雷タイプが闘タイプに攻撃するとき、抵抗力の計算を行わない!」 「しかしカバルドンのHPは110! なんとか10は耐えきった。カバルドンのポケボディー、サンドカバーであなたのポケモンLV.X全員に10ダメージを与えます」 「ちゃんと目の前のカバルドンを見てみな」 八雲は怪訝な表情を浮かべ、ワンテンポ置いてからカバルドンをチェックする。本来ならHP10を残しているはずのカバルドンだがそこにいたカバルドンのHPバーは0/110と表示されていた。 「どうして!?」 「俺がさっき使ったバクのトレーニングの効果は、このカードが自分のバトル場の横にあるときに自分のバトルポケモンが与えるワザの威力を10足すというものだ。サポーターは使ったら自分のバトル場の横に置き、自分の番の終わりにトラッシュするカード。だから炸裂玉の威力は100に+10で110。カバルドンも気絶ってことさ。サイドを一枚引いて今度こそターンエンド!」 八雲は苦虫を潰すような顔で渋々とサイホーンをバトル場に出す。このサイホーンはまだエネルギーが一枚もついておらず、八雲の手札は五枚ある俺に比べて僅か二枚。そしてサイドは俺の方が四枚、彼女は五枚でなおかつベンチポケモンはなし。 この勝負勝てるかもしれない。決して、油断はしない。とは思うものの、頭をひねって考えたコンボが上手く決まったことに快感を感じずにはいられない。 よっしゃ! と心の中で大きなガッツポーズを作る。 「私のターン! っ……」 暗い八雲の表情が、少しだけマシになる。もしかしたらなんとかなるかもしれない程度のカードを引いたのだろうか。 「サイホーンに闘エネルギーをつけ、ベンチにユクシー(70/70)を出します。そしてユクシーをベンチに出したタイミングでユクシーのポケパワー、セットアップを発動。手札が七枚になるようにドロー。今の私の手札は一枚。なので六枚ドロー」 あれよあれよと言う間に手札の数が俺を越す。もしかしたらもしかしてしまうかもしれない。なんとなく握った拳に手汗が生じる。 「サポーター発動。ミズキの検索。手札を一枚デッキに戻し、私はデッキからドサイドンを手札に加えます。そしてグッズカードの不思議なアメを使います」 不思議なアメはたねポケモンを一進化、或いは二進化ポケモンに一気に進化させるカード。ドサイドンを手札に加えたという事は。 「サイホーンをドサイドン(140/140)に進化! そしてドサイドンのポケパワー、地割り!」 ドサイドンはその重たい腕を持ち上げると、地面に向けて振り下ろす。地面はあっさり砕けると、ドサイドンの位置から俺の位置まで亀裂が生じ、カード(もちろん実際のカードではなく、立体映像のカード)が亀裂の中に三枚吸い込まれる。別に映像と音だけであるはずなのに、ドサイドンが腕を地面に叩きつけた時は本当の衝撃があるような錯覚を覚えた。 「ドサイドンのポケパワー、地割りは手札からこのカードを進化させたとき、相手のデッキを三枚トラッシュする効果!」 トラッシュしたカードはエレキブルFB、達人の帯、そして三枚目のナギサシティジム。サイドンがいないので破壊されることはないが、もし今発動されているナギサシティジムが破壊されればもうリカバリーはできない。 「まだです。もう一枚グッズを使います。レベルMAX!」 八雲はカードの宣言と同時にコイントスのボタンを押す。判定は表、効果が適用される。 「レベルMAXの効果はコイントスして表のときに発動でき、自分の山札から自分のポケモン一匹からレベルアップさせるLV.Xのカードを選び、そのポケモンの上に乗せレベルアップさせるカード。もちろん、私はドサイドンをレベルアップ!」 ドサイドンのHPバーは既に140/140という高水準から更に伸び、170/170。 「ひゃ、170!?」 170だなんてHPは壊れ物である。平均的な二進化ポケモンのLV.XのHPは140が相場だ。170なんてどんな攻撃をすれば倒せるんだ。 「そしてドサイドンで攻撃。ハードクラッシュ! このワザはエネルギーなしで使え、自分の山札のカードを上から五枚トラッシュしてその中にあるエネルギーの数かける50ダメージを与えるカード。もしも三枚トラッシュできれば、ライチュウLV.XのHPは0、気絶です!」 ドサイドンLV.Xは両腕をライチュウLV.Xに突きだす。すると両手の噴射孔から茶色い弾丸がいくつか発射された。効果的に弾丸一つにつき50ダメージだろう。打ち出された弾丸が三つなら絶体絶命……!
恭介「こいつが今日のキーカード! そして俺のデッキのエースカード! ボルテージシュートはピカチュウ(DP2)とも相性がいいし、 連鎖雷はライチュウ(破空)の炸裂玉とも相性がいいぞ!」
ライチュウLV.X HP110 雷 (破空) ポケボディー れんさかみなり このポケモンが、レベルアップした番に「ボルテージシュート」を使ったなら、そのあとに追加で1回、このポケモンはワザを使える(追加できるのは1回だけ)。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 雷雷無 ボルテージシュート 自分の手札の雷エネルギーを2枚トラッシュし、相手のポケモン1匹に、80ダメージ。(トラッシュできないならこのワザは失敗。) ─このカードは、バトル場のライチュウに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 鋼−20 にげる 0
─── なんとか更新は間に合いました。
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初歩的ミス ( No.78 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:56
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 射出された弾丸は……二つ!
弾丸がライチュウLV.Xに衝突するや否や、鼓膜が破れそうな轟音が響き渡る。 「くっ、あぶねえ。首の皮一枚繋がったや……」 もしライチュウLV.XがレベルアップしていなかったらHPは0となっていた。また、スタジアムのナギサシティジムが無ければそれでもライチュウLV.Xは気絶。まさに間一髪。 ドサイドンのハードクラッシュによってトラッシュされた八雲のカードはアンノーンQ、闘エネルギー二枚、ハードマウンテン、ミステリアス・パール。 しかしいずれにせよもう一度アレを食らってしまえばライチュウLV.Xの息の根は止まるもかもしれぬ。 今の俺のバトル場は雷エネルギー三つのライチュウLV.X10/110、ベンチにはネンドール80/80、ピカチュウ10/60、ピカチュウ60/60。スタジアムは前述したとおりナギサシティジム。 向かいにいる八雲のバトル場には闘エネルギーが一枚ついたドサイドンLV.X170/170。しかしベンチにはユクシー70/70のみ。 「俺のターンだ。ベンチにいるピカチュウのポケパワーを発動、エレリサイクル。ピカチュウがピチューから進化している場合自分の番に一回使え、トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加える。もう一匹いるピカチュウもエレリサイクルを使うぜ」 トラッシュを多用する俺のデッキにとって、弾切れは最大の弱点。こうして補給し続けていないと攻めれなくなる。 「ピカチュウ(60/60)に雷エネルギーをつけ、ライチュウLV.Xの雷エネルギーを三つトラッシュして攻撃だ。炸裂玉!」 再び低速の玉がドサイドンLV.Xに襲いかかる。激しい音と光を纏った炸裂玉は、ドサイドンLV.Xに直撃するとより大きな音を放つ。 「よし、なんとか100ダメージ削ってやったぜ」 ドサイドンのHPバーは大きく削られて70/170まで落ち込む。 しかし次のターン、高確率でライチュウLV.Xは倒されてしまう。ライチュウLV.Xの代わりを勤めれるアタッカーがいないので大きなビハインドになるだろう。 「私のターンです。手札からヒポポタス(70/70)をベンチに出してそのヒポポタスにエネルギーをつけます。そしてドサイドンLV.Xのハードクラッシュ攻撃!」 ドサイドンLV.Xが再び両腕を真っすぐ伸ばす。八雲がデッキの上からトラッシュする五枚のカードのうち、一枚でも闘エネルギーがあればライチュウLV.Xはおじゃんとなる。 「っ、南無三!」 当たるなと願ったのはいいが、ドサイドンからは弾丸が一つ発射される。 音に耐えるため両手で耳を塞ぐ。しかし手で妨げる音なんてたかが知れていて、それでも耳をつんづくような音波が発生する。 これでライチュウLV.XのHPは尽きた。 「俺はピカチュウ(10/60)をバトル場に出すぜ」 「私はサイドを一枚引いてターンエンドです」 これでお互いに残りのサイドは四枚ずつ。出来ればサイドうんぬんの前に、八雲の場のポケモンを全て倒しきってしまいたいが……。 「行くぜ、俺はピカチュウのポケパワー、エレリサイクルを発動。トラッシュにある雷エネルギーを一枚手札に加える。もう一匹のピカチュウも同じようにポケパワーを使って合計二枚の雷エネルギーを回収する! そしてバトル場のピカチュウをライチュウ(40/90)に進化させ、ベンチのピカチュウに雷エネルギーをつける!」 「ライチュウにエネルギーは乗ってないのに何を……」 へへっ、と笑って鼻の下を人差し指でなぞる。 「ライチュウでスラッシュ攻撃!」 ライチュウが尻尾を鞭のように器用に扱い、尻尾で鋭い斬撃を起こす。ドサイドンLV.XのHPバーは40/170まで減り、ようやくゴールが見えてきた。 「スラッシュはエネルギーなしで攻撃出来て、しかも30ダメージも与えれる強力なワザだぜ。でも次のターンにこのライチュウはスラッシュを使えないけどな」 「くっ、私の番です。……」 八雲はさっきのドサイドンLV.Xの攻撃で闘エネルギー以外にサイホーンが二枚とドサイドン、不思議なアメの四枚がトラッシュされている。相手の残りデッキも25枚。こっちがデッキ破壊のスキルを持っていればよかったなと思った。 「手札の闘エネルギーをヒポポタスにつけて、ヒポポタスをカバルドンに進化させます」 ベンチにもう一度カバルドン110/110が現れる。折角頑張ってここまで八雲の陣営を削ってきたのに、またまたここでタフなポケモンが現れたか。 「ドサイドンLV.Xでハードクラッシュ!」 「またかよチキショー!」 ドサイドンLV.Xの両腕から再び弾丸が……。 「あれ?」 出なかった。バトルベルトのモニターで何をトラッシュされたか確認する。念のために左手で左耳は塞いでいたが、無用だったようだ。トラッシュされたカードはサイドン、レベルMAX、ワープポイント、ドサイドン、シロナの想い。安心して左耳のガードをはずす。 「なんかしっくり来ないけど俺のターン! これ以上ハードクラッシュを打たれると心臓と鼓膜がもたないや。そろそろドサイドンLV.Xには帰ってもらうぜ」 「……」 あまりにも八雲が冷静すぎて、逆にこっちが冷めてしまいそうになる。いやいや、俺は俺のペースで自分なりに行けばいいんだ。 「ベンチのピカチュウに雷エネルギーをつけ、ポケパワーのエレリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを手札に加える。サポーター、ミズキの検索を使って手札一枚をデッキに戻し、デッキからライチュウを手札に加えてベンチのピカチュウに進化!」 ベンチにもライチュウ90/90が並ぶ。しかしこれでピカチュウのポケパワーは使えなくなってしまった。でもこれだけ手札に雷エネルギーあれば大丈夫だろう。たぶん。 「バトル場のライチュウ(40/90)とベンチのライチュウ(90/90)を入れ替える! ライチュウの逃げるエネルギーは0だから安心して逃げれるぜ。そんでバトル場のライチュウにポケモンの道具、達人の帯を使うぜ」 ライチュウ90/90の頭に鉢巻きのように帯がつけられる。ぽっこりお腹だから腰には巻けなかったようです。 「達人の帯をつけたポケモンはHPと、与えるワザの威力が20アップ。その代わりつけたポケモンが気絶したとき相手は一枚多くサイドを引くことができる」 これでライチュウのHPが110/110へ。 達人の帯は確かに強い。しかしサイドを一枚多く引かせるディスアドバンテージがあるので、この一匹で二匹くらい倒さないとダメなのがネックだ。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。手札を一枚デッキに戻して六枚になるよう、つまり三枚ドロー。ライチュウでスラッシュ攻撃だ」 威力20増しの、50ダメージ攻撃がドサイドンLV.Xを襲う。ようやっとドサイドンLV.XのHPが0となったが、一匹倒すのにここまで手間がかかるとはなかなか。 「私はカバルドンをベンチからバトル場に出します」 「俺はサイドを一枚引いてターンエンドだ」 「行きます、私のターン。サポーターのシロナの想いを発動。前のターンに自分のポケモンが気絶された場合、手札をデッキに全て戻してシャッフルし、八枚ドロー」 八枚ドロー!? たぶん俺が知る限り一番カードを引くサポーターだ。 「闘エネルギーをカバルドンにつけ、カバルドンをレベルアップさせます。そしてカバルドンLV.Xのポケパワーを発動。サンドリセット!」 轟、と音が鳴り始めて砂嵐が巻き起こる。どうしてこいつのポケモンは耳に優しくないのばっかなんだ、カバルドンLV.X130/130を中心に起こる砂嵐のせいで、フィールドも八雲も見づらいったらありゃしない。 しかしこの砂嵐が3Dで本当によかった。あまりにも砂嵐が激しすぎて、本物であったら目が一切開けられない状況だっただろう。 「サンドリセットは対戦中に一回使え、互いの場にあるポケモン、サポーター以外のカードを全てデッキに戻してシャッフルする。先ほどライチュウにつけた達人の帯をデッキに戻してもらいます!」 砂嵐の強風によってライチュウが頭に巻いていた達人の帯が吹き飛ばされて空高く消え去る。そして砂嵐がようやく止んだ。大きな音に慣れ過ぎて、八雲の声が先ほどよりはっきり聞こえない。後で風見に音をどうにかしろとケチをつけないとな。 「カバルドンLV.Xで砂を飲み込む攻撃。その効果で、ダメージを与える前にトラッシュの闘エネルギーを一枚このポケモンにつける。砂を飲み込む攻撃は20に加え、自分についているエネルギーの数かける10ダメージを与える。今、このポケモンに闘エネルギーは四つついているので60ダメージ!」 再び熾烈な攻撃が始まる。帯がなくなってHPが減ったところに、火力の高いワザが飛んでくる。あっという間にライチュウのHPは30/90。 「くそっ、俺のターンだ!」 引いたカードはプレミアボール。まだまだ運は俺に味方してる。 「よし、グッズのプレミアボールを発動だ。デッキかトラッシュのLV.Xポケモンを手札に加える。俺はトラッシュからライチュウLV.Xを手札に加え、バトル場のライチュウにレベルアップさせる!」 しかしそれでもHPは50/110。次の攻撃はとてもじゃないが耐えられない。 「手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして攻撃、ボルテージシュート! ベンチのユクシーに80ダメージだ!」 どこにでも届く紫電が再び八雲の場を荒らす。HPが70/70しかないユクシーもこれで一撃、気絶だ。 「俺はサイドを引いてライチュウLV.Xのポケボディーの連鎖雷の効果でもう一度攻撃する。効果は言わなくても分かるな?」 「しかしそれでもカバルドンLV.Xは倒せませんよ。ボルデージシュートはユクシーでなくカバルドンLV.Xにして、そこから追撃でカバルドンLV.Xを倒すべきでしたね。初歩的なミスです」 「……。ライチュウLV.Xについている雷エネルギーを三つトラッシュして炸裂玉!」 やはり三つトラッシュはかなりのボードアドバンテージを失うが、100ダメージはそれだけの価値がある。これでカバルドンLV.XのHPは30/130だ。 「私のターンの前のポケモンチェックでカバルドンLV.Xのポケボディー、サンドカバーが発動します。このポケモンがバトル場にいる限り、ポケモンチェックの度に相手のポケモンLV.X全員にダメージカウンターを一つずつ乗せる。よってライチュウLV.XのHPを削って行きます」 砂がライチュウLV.Xを足元から襲う。これで40/110。しかし今さら10ダメージ、たかが知れている。 「それでは私のターン、カバルドンLV.Xに闘エネルギーをつけます。そしてカバルドンLV.Xの闘エネルギーを二つトラッシュして、ダブルシュート!」 カバルドンLV.Xの足元の砂から、直方体の砂の塊が現れてそれが俺のベンチへ飛んできた。 「バトル場のポケモンは攻撃しないのか!」 「ダブルシュートは相手のベンチポケモン二匹にそれぞれ40ダメージ与えるワザです」 ベンチのネンドールとライチュウに砂の塊がぶつかり鈍い音を放つ。それぞれHPは40/80と0/90。 「サイドを一枚引いてターンエンド。そしてカバルドンLV.Xのサンドカバーで再びライチュウLV.Xに10ダメージです」 「俺のターン! さっき、俺が初歩的ミスをしたって言ったよな。でもそれは俺じゃなくてお前の方だぜ! ライチュウLV.Xで攻撃、スラッシュ!」 「しまっ……」 「エネルギーを全てトラッシュしたからもうワザが使えないと思ったその根拠のない余裕が命取りだぜ!」 最後のライチュウLV.Xの一撃がカバルドンLV.Xにヒットする。ドスンと重い音を立てて崩れ落ちたカバルドンLV.XのHPは0/130、サイドを一枚引くがもう八雲には戦えるポケモンがいないのでここで勝敗が決まった。 「よっし! ありがとうございました」 「ありがとうございました」 遠くから見ていた翔達に向かって、拳を突き出して親指を立ててニッと笑う。蜂谷も同じように返してくれ、翔や風見はただ頷いてくれた。 勝利を分かち合える仲間がいるのはなかなかいいもんだな!
恭介「今日のキーカードはドサイドンLV.X! 出来ればもう戦いたくないな……。 MAX250を出せるハードクラッシュが脅威だぜ」
ドサイドンLV.X HP170 闘 (DP5) ─ ハードクラッシュ 50× 自分の山札のカードを上から5枚トラッシュし、その中のエネルギーの枚数×50ダメージ。 闘闘無 なげあげる 60 自分のトラッシュの闘エネルギーをすべて、相手プレイヤーに見せてから、山札にもどす。その後、山札を切る。 ─このカードは、バトル場のドサイドンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 雷−20 にげる 4
─── 気合いで本編更新 まだまだPCC編は続きます。 そういえば今年でこの小説が二周年なので何か考えています。 八雲真耶の使用デッキ 「グラウンド・ゼロ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-774.html
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蜂谷語録その1 ( No.79 ) |
- 日時: 2011/01/25 19:08
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- おまけ・ポケカ番外編
「蜂谷語録その1」
とある日の平見高校食堂にて。 翔「よし、いただきます」 恭介「いちいちそんなのやるんだな」 翔「クセだからなぁ。ってか恭介またラーメンかよ」 恭介「またとは失礼な。前回は醤油ラーメンで、今回は味噌ラーメン」 翔「どっちにしろラーメンじゃん」 恭介「同じラーメンでも全然違う! 与党と野党ぐらい違う!」 翔「それは流石に言いすぎ」 恭介「とかいう翔もカレーだろ? ここの食堂のカレーさ、レトルトカレーと同じ味なのに良く食う」 翔「レトルトみたいな安い味が貧乏民の俺にぴったり」 恭介「ふーん……」 翔「おーい、どこ見てんの? ラーメン食わないと伸びるぞ」 恭介「ああ、やっぱり外れ」 翔「ラーメン並んでるときから外れだとか当りだとか言ってるけど何の話?」 恭介「翔、お前蜂谷語録知らねーの?」 翔「はぁ? どうせロクでもなさそうだけど」 恭介「『女は後ろ姿が一番』」 翔「それが蜂谷語録?」 恭介「他には『左後ろから来る女には気をつけろ』」 翔「さっきのはまだ分かるけど今のは全く意味がわからん。で、当り外れってのは」 恭介「後ろ姿が可愛いけど、振り向いて可愛かったら当り、そうでなければ外れ。当り率低し」 翔「ほんとバカだな」 恭介「ほらほら、あの娘みてみ。銀髪のロングヘアーの?」 翔「いや、あれって───」 恭介「さらさらで手入れされてていかにも! 今度こそ当り!」 翔「だから、俺の話聞いてる? あいつは───」 恭介「水を差す気か!」 翔「良く見ろ、あれは拓哉だ」 恭介「え……」 翔「どう見ても下はズボン履いてるだろ、男子であんな目立つ髪形してるから遠目でもすぐ分かる。こっちのテーブル来るかな」 恭介「……(がっくりと肩を落として黙々とラーメンを食う」 拓哉「翔くん、ここ混ぜてもらってもいい?」 翔「もちろん」 拓哉「恭介くんどうかしたの? 機嫌悪そうだけど」 翔「またいつも通りバカしただけだから放っといてやれ」 恭介(くっ、一生の恥……!) 翔(絶対懲りてないな……) 拓哉(なんかあったのかな……)
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ハイレート ( No.80 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:57
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「ドサイドンLV.Xで一気にヤバくなったけどなんとか捲き返したぜ!」
「よくやった」 「よくやったってお前一回戦で負けただろ!」 「それとこれとは別の話だろ!」 「恭介も蜂谷も折角のおめでたムードが台無しだろ」 俺が間に割って二人のじゃれ合いを止める。割と似た者同士な二人なのでこんなのは喧嘩になんか入らない。 「今から俺の出番だから二人仲良く応援してるんだな」 「絶対応援しない」 「翔応援するなら薫ちゃん応援する」 「それがいい」 「なんでそんなときに限って息合うんだ」 一回戦の最終試合は、俺と石川と松野さんの三人が出場する。この三人はそれぞれ別の人と当たるので、順当に行けば二回戦で俺と石川が当たる。 そしてその二回戦のもう一試合には松野さんと能力者の一人である山本信幸が。拓哉(裏)をあっさりと倒してしまう実力の持ち主なので負けるなんてことはないだろうが。 「翔、ボサッとしてないで早く行ってこい」 風見が俺の背中を突きだす。なんだなんだ、今日はやけに皆冷たいな。三人を少し睨んで所定位置へと足を運ぶ。 「よろしくお願いします」 俺の左のフィールドでは石川が。そして俺の向かいでは松野さんが、それぞれ勝負を始めた。……が、俺の対戦相手が一向に出て来ない。 すると困惑した表情のスタッフがこちらへ駆けて来て、対戦相手が見つからないと伝えてくる。 「それってもしかして」 「不戦勝になります」 「……、はあ」 折角の気持ちや意気込みも、塩をかけられてどんどんすぼまっていく。仕方ないので他の二人の応援をすることにしておこう。
「お昼に翔様とご飯食べてるヤツと戦えるなんて運がいいわ、ケチョンケチョンにしてやる!」 「は……?」 いきなり突っ込みどころが満載だ。翔様? なんだこいつ。 自分よりも二十センチは低い身長で当然小柄な少女だ。顔立ちも押さなく、黒く長い髪をピンクのリボンでツインテールにしている。年齢は一つ下のようだ。 「いいこと、この勝負でわたしが勝ったらわたしの翔様に近づかないで」 「い、いきなりなんだよ」 「だーかーらー! わたしが勝ったら石川薫、あんたは翔様に近づかないで! って言ってるのよ」 「なんでそうしなきゃいけないんだ」 「あんたみたいな男みたいなやつを、翔様が好きになるわけないでしょ! だからお邪魔虫はこうやって力づくで排除するの」 「……」 「言ってること分かる?」 「それじゃあもしこっちが勝てばお前は翔に近づかないってことだな」 「っ……、言うわね。ということは条件を飲んだってことでいいかしら」 「ああ」 なんでこんなわけのわからない勝負を引き受けたのだろう。自分でもよくわからないが、少なくともいろいろ馬鹿にされたのが悔しかった。 「そんなことを言ってるんだからもちろん実力はあるんだろうな」 「もちろんよ、さあ勝負! わたしのターンから」 おれのバトル場はラプラス80/80、相手の如月 麻友(きさらぎ まゆ)のバトル場にはグライガー60/60。互いにベンチはガラ空きだ。 「わたしは闘エネルギーをグライガーにつけ、ガーディをベンチに出すわ」 如月の場に新たな小柄ポケモンが現れる。しかし、そのガーディはHP70/70。進化するたねポケモンにしては割と高めのHP。 「グライガーでラプラスに攻撃。え〜い、ライトポイズン!」 一つ一つが可愛らしい挙動で、カードの配置の仕方も、ワザの指示も、そしてライトポイズンのエフェクトで行うコイントスを行っていく。なんだか浮ついた気持ちになっていて真剣になれないような気がする。 「表ね。ライトポイズンはコイントスが表じゃないとワザが発動しないからよかったわ。それじゃあ今度こそ攻撃よ!」 グライガーは尻尾をバネにしてラプラスへと飛びかかり、そのまま尻尾をチクリとラプラスに突き刺す。HPバーが僅かに10だけ減り、数値の隣に毒のマークがついたところでラプラスから飛び離れる。 「10ダメージと毒ダメージよ。逃げるエネルギーが多くて進化しないラプラスにとっては痛手よね? わたしのターンエンドと同時にポケモンチェック。毒のラプラスは10ダメージ受けてもらうわ」 これであっという間に60/80。グライガーと並んでしまった。 「行くぞ、おれのターン。手札からグッズカード、ひみつのコハク、こうらの化石を使ってそれぞれをベンチに置く。この二枚は手札やデッキにあるときはトレーナーだが、無色タイプのたねポケモンとして場に出すことができる」 ラプラスの後ろに石ころとほぼ同然な化石が二つ現れる。各々HPは50/50。 「化石ね」 「水エネルギーをラプラスにつけ、ラプラスの運びこむ。デッキからポケモンのどうぐ、サポーター、基本エネルギーを手札に加える。おれは達人の帯、化石発掘員、闘エネルギーを加えてターンエンド」 そしてポケモンチェック。毒のダメージを受けたラプラスのHPは50/80と落ち込む。相手のグライガーに劣ってしまう結果になったが、まだまだ。そんなすぐにやられはしないはず。 「わたしのターン。手札から闘エネルギーをグライガーにつけて、グライオンに進化させる!」 グライガーの体が一回りも大きくなり、グライオンが姿を見せる。しかしHPは80/80。決して高いとは言えない数値だ。 「そしてぇ、ベンチに新しいグライガーを出すわ。そしてサポーター、ハマナのリサーチを発動。デッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで手札に加えれる効果によって、リオルとユクシーを手札に加える。わたしはリオルをベンチに出してユクシーもベンチに出すわ。このときユクシーのポケパワーのセットアップを発動。手札が七枚になるようにデッキからカードを引くわ」 このターンであれよあれよと如月のベンチが埋まる。先のターンに出たガーディに加え、グライガー60/60、リオル60/60、ユクシー70/70で空きスペースはもう一枠しかない。しかも減った手札をユクシーのセットアップで補充。今の如月の手札は一枚なので六枚も引くことになる。 「グライオン、ラプラスをやっちゃいなさい! 追撃!」 びしっ、と如月がラプラスに向けて指をさすと、それに合わせるかのようにグライオンがラプラスにキバを使って噛みついてくる。そして、重たいハサミの一撃もラプラスに加わる。 「追撃は相手が状態異常だと、威力が40も上がるの。元の威力は40だから、80ダメージ。イチコロよ」 舌をちょろっと出して笑う如月。しかしこっちは一切笑えない。思っていたよりも強い。 「くっ……。おれはこうらの化石をバトル場に出す」 「そんな石ころで何が出来るのかしら。サイドを一枚引いてターンエンドよ」 「おれのターン! 手札の闘エネルギーをこうらの化石につける。この瞬間でこうらの化石のポケボディー、ロックリアクションが誘発!」 「化石なのにポケボディー……」 「ロックリアクションはこのカードに闘エネルギーをつけたときに発動され、デッキからカブトを一枚選んでこうらの化石の上に重ね、進化させる!」 化石の内側から光が発せられ、表面の砂や石がはがれて中からカブト80/80が現れる。余談だが、カブトは化石から進化しているので扱いはたねポケモンではなく一進化ポケモンである。 「ヤジロン(50/50)をベンチに出し、サポーターの化石発掘員を発動。デッキから化石またはそれから進化するカードを一枚手札に加える。おれはプテラを手札に! そしてひみつのコハクの上に重ねて進化させる」 コハクも先ほどと同じエフェクトがかかって中からプテラが現れる。ようやく自陣に現れた大きめのポケモンは、登場するや否やけたたましい雄たけびを上げる。 「プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからかいの化石、こうらの化石、ひみつのコハクのうち一枚を手札に加える。おれはかいの化石を選択」 プテラが空中から地面に向かって急降下し、立派な足でガッチリとかいの化石をつかみ取る。 「そして加えたばかりのかいの化石をベンチに出し、カブトに達人の帯をつける」 また新たな化石50/50がベンチに現れる。如月のように四匹までとはいかないが、こちらもベンチに三匹揃える。そしてカブトに達人の帯をつけたことで、HPとワザの威力が20ずつ上昇して100/100。しかしこのカブトが気絶したとき、相手は二枚サイドを引ける。 「カブトのワザ、進化促成を発動。デッキから進化ポケモン二匹を手札に加える。おれはカブトプスとオムスターを加えてターンエンド」 「わたしのターン、リオルに闘エネルギーをつけてグッズカードのプレミアムボールを発動よ! デッキからグライオンLV.Xを手札に加えるわ」 プレミアムボールはデッキまたはトラッシュからLV.Xをサーチするカード。サーチ手段が限られているLV.Xの数少ないそれである。 「そしてグライオンをレベルアップさせ、その時にグライオンLV.Xのポケパワーを発動させるわよ。スピットポイズンッ!」 グライオンLV.X110/110がレベルアップするや否やカブトに噛みついてくる。ダメージはないものの、カブトは毒とマヒの二つの状態異常を負ってしまう。 「スピットポイズンはレベルアップしたときのみ使えるポケパワーで、相手のバトルポケモンを毒とマヒにさせるのよ。これであんたは思うどおりに動けない!」 マヒになっているポケモンは、ワザを使う事も逃げることも出来ない。その上毒でHPを奪われていく。本当に思い通りにはできない。 「そしてグライオンLV.Xで攻撃よ。追撃!」 あっという間にHPが20/100へ。しかも、ポケモンチェックで毒のダメージを受けて更に10ダメージ。これで残り10! 「さああんたのターンよ。もっとも逃げることもワザも出来ないから何もできずにターンを終えて、毒のダメージでカブトは気絶ね」 「おれのターン。おれがカブトプスを手札にしていたことを忘れていたか? カブトをカブトプスに進化させることによって、状態異常は全て回復する!」 カブトプス60/150に進化することによって状態異常はこれで回復、毒はもちろん麻痺に悩むこともない。 「そしてプテラのポケパワー、発掘によってデッキからひみつのコハクを手札に加え、ベンチにこうらの化石50/50を出してかいの化石に水エネルギーをつけることによってポケボディーのアクアリアクションが発動する」 これもこうらの化石と同様に、水エネルギーをつけることでデッキからオムナイト80/80を一枚選び出してかいの化石に重ね進化させる。 「カブトプスで攻撃、原始のカマ! 手札のひみつのコハクをトラッシュして攻撃」 原始のカマの威力は20だが、手札のかいまたはこうらの化石、ひみつのコハクを手札からトラッシュすると50足される闘エネルギー一つで使える大技であり、達人の帯の効果で更に20追加。合計90ダメージとなる。 カブトプスが乱暴に切りつけたカマの一撃によってグライオンLV.XのHPは20/110。次のターンは手札の化石類をトラッシュしなくても倒せる! 「今の攻撃で倒せなかったのが運のツキねぇ。わたしのターン。リオルに闘エネルギーをつけてルカリオ(90/90)に進化させるわよ!」 運のツキ……? その意味がイマイチ分からない。 「スタジアム、ハードマウンテンを使用するわ。このカードの効果は自分のターンに一度、自分のポケモンの炎または闘エネルギーを一個選んで自分の炎または闘ポケモンにつけかえる効果。グライオンLV.Xの闘エネルギーをベンチのグライガーに移すわ」 っ!? グライオンLV.Xは闘エネルギー二つで相手に60ダメージを与えるワザ、辻斬りを持っているのだがそれで攻撃すればカブトプス60/150を気絶させることが出来る。 しかもカブトプスは達人の帯をつけているのだから如月はサイドを二枚引け、これでサイドの差が三枚とかなりのアドバンテージを稼げるはず。行動の意図が分からない。 「グライオンLV.X、やっちゃって! バーニングポイズン!」 グライオンLV.Xはカブトプスに噛みつく。ダメージはないが、カブトプスは毒になっていた。 「バーニングポイズンは相手を毒か火傷のどちらかにするワザ。わたしは毒を選択したわ。そしてこのワザの発動後、任意でグライオンLV.X自身とそれについているすべてのカードを手札に戻す。それで新たにユクシーを出すわよ」 ポケモンチェックで毒のダメージを受け、カブトプスのHPは50/150。一撃食らうと倒れかけないギリギリのボーダーへ。 しかし一見残りHPが減っているグライオンLV.Xを手札に戻すのは良い手に見える。何せレベルアップしたときに使えるポケパワーもあるのだ。だがそれが悪手だということを教えてやる……!
石川「今回のキーカードはグライオンLV.X。 相手を毒とマヒにするポケパワーは強烈! ワザも使い勝手がいいぞ」
グライオンLV.X HP110 闘 (DP5) ポケパワー スピットポイズン 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。相手のバトルポケモン1匹をどくとマヒにする。 闘無 つじぎり 60 のぞむなら、自分を自分のベンチポケモンと入れ替えてよい。 ─このカードは、バトル場のグライオンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 闘−20 にげる 0
─── 当初の毎週更新は絶望的です。 今年中にPCC編終われるかどうかも。
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ギガントパワー ( No.81 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:58
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 奥村翔くんが不戦勝で勝ち上がり、他の二試合が試合を始めた最中こちらも戦いが始まろうとしていた。
これは勝たなければいけない試合。既に光が閉ざされつつあるポケモンカードの命運を分かつ事件。能力者……。忌々しいことこの上ない。 当然、理論も分からない。能力とは一体なんなのか? なぜポケモンカードに破れると能力が失われるのか? 初めて能力が見つかった日からほぼ半年。この疑問だけは常に胸の中にあった。 とにかくここで勝てば、二回戦に能力者の一人である山本信幸と対戦することになる。今現在分かっている能力者で一番危険な力を持つ男だ。他の人をこれ以上犠牲にさせないため、この一回戦はしっかり勝たないと。 一回戦の相手は桃川 めぐみ(ももかわ めぐみ)。過去の大会やイベントでも何度か見たことがある。いつも着ている服がメイド服という変わった人なので目立ちやすい。 直接対戦したことはないが、いつもそれなりの成績を残しているため実力はあるのだろう。そして現に決勝トーナメントまで勝ち抜いている。油断はもちろん、勝ち急ぎもしないようにしなくては。 「お願いします」 先攻は桃川めぐみ。最初のバトルポケモンはイーブイ60/60のみ。私のバトルポケモンはレジギガス100/100、ベンチにはレジスチル90/90。 相手のポケモンが小型でこちらが大型なだけに、威圧感が凄いことになっている。 「私の番です。イーブイに悪エネルギーをつけてワザを使います。仲間を呼ぶ」 イーブイが可愛らしく鳴き声をあげると、どこからかベンチに他のイーブイ60/60が三匹現れる。 仲間を呼ぶは、自分のデッキのイーブイを好きなだけベンチに出せるワザ。あっという間に展開してきたのは流石だと言うべきだろう。 「私のターン。手札の水エネルギーをレジギガスにつけてサポーター、ハマナのリサーチを発動。その効果でデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで加えるわ。私はレジアイス、レジロックを手札に加えてそれぞれベンチに出すわよ」 ベンチにレジアイス90/90とレジロック90/90が現れると、レジギガスの体にある橙、青、鈍色の点が光を放つ。 「レジギガスは、ポケボディーのレジフォームの効果で場にレジロック、レジアイス、レジスチルの三匹がいるときワザエネルギーが無色一個ぶんだけ減少するわ。さあ、レジギガスの攻撃よ。メガトンパンチ!」 大きな拳がゆっくりとした動作で、だがしかし威力は十分なそれが小さなイーブイを殴りつける。まるで投げられたかのように放物線を描いてイーブイが飛んでいく。メガトンパンチは追加効果なしの30ダメージのワザ。後攻一ターン目で30はなかなか価値を持つ。 「さあ、貴女のターンよ」 「行きます! 私はバトル場のイーブイをブラッキーに。そしてベンチのイーブイをグレイシア、エーフィに進化させます! そしてベンチにヤジロンを」 彼女の場があっという間にがらりと変わる。バトル場はブラッキー50/80、ベンチはエーフィ80/80にグレイシア80/80とイーブイ60/60、ヤジロン50/50。しかも、それだけではない。 「サンライドヴェールね……」 「そうです。エーフィのポケボディー、サンライドヴェールはイーブイから進化するポケモンのHPを20ずつアップさせるもの。そしてブラッキーのムーンライトヴェールはイーブイから進化するポケモンの弱点と逃げるエネルギーを0にさせます」 正確にはブラッキーのHPは70/100、そしてエーフィとグレイシアは100/100だ。どれも一撃で倒すのは難しいHP。 「ブラッキーを逃がし、グレイシアをバトル場に出してグレイシアに水エネルギーをつけます。そして攻撃、雪隠れ!」 グレイシアを中心に強い雪風が舞い起こり、雪に襲われたレジギガスのHPが70/100まで下がる。このワザで厄介なのは水エネルギー一個だけで30ダメージを与えれる威力ではなく、その効果。 「雪隠れの効果でコイントスをします。……オモテ! よって次のターンにこのグレイシアは相手のワザのダメージや効果を受けません。ターンエンド」 「そうねえ。私のターン。雪隠れによってワザを受け付けないのはそのグレイシアだけならば除けてしまえばいいだけよ。行くわよ、手札のポケブロアー+を二枚発動。このカードは二枚同時に使用したとき相手のバトルポケモンとベンチポケモン一匹と強制的に入れ替える! イーブイを場に出してもらうわ。更にスージーの抽選を使うわよ」 スージーの抽選は手札を一枚または二枚捨ててデッキからカードをドローするサポーターだ。手札のバトルサーチャーと闘エネルギーの二枚をトラッシュして四枚ドローする。 「レジギガスに闘エネルギーをつけ、ベンチにユクシーを出すわ。そしてユクシー(70/70)をベンチに出した時にポケパワーのセットアップを発動。デッキからカードを四枚引くわよ」 セットアップはベンチに出した時のみに使えるポケパワーであり、手札が七枚になるようドロー出来るモノだ。今の手札は三枚なので四枚引けるという訳。 「さて、行くわよ。メガトンパンチ!」 再びレジギガスの激しいパンチがイーブイを襲う。これでHPは30/60。イーブイは当然イーブイから進化したポケモンではないのでブラッキーやエーフィのポケボディーの恩恵を受けることができない。次のターン、イーブイはエネルギーを一つつけないと逃げることはもちろんできない。 「私の番ですね。ミズキの検索を発動して手札を一枚戻し、デッキからネンドール(80/80)を加えてヤジロンを進化させます。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動!」 コスモパワーはポケモンカードの中でユクシーのセットアップに並ぶトップクラスのドローエンジン。手札を一枚か二枚デッキの底に戻してデッキから六枚になるようにドローするそれは、手札の不要なカードを処理しつつドローできるという超強力なものだ。実際に桃川は二枚戻して手札は0枚、そして六枚ドローした。 「私はバトル場のイーブイをグレイシアに進化させます」 グレイシアのHPはエーフィのサンライドヴェールの効果を含めて70/100。これで彼女の場は全て進化ポケモンで埋まった。たねポケモンは一匹もいない。 「そしてバトル場とベンチのグレイシアを入れ替え、新たにバトル場に出たグレイシアに水エネルギーをつけて攻撃します。雪隠れ!」 コイントスは再びオモテ。また攻撃が通用しなくなる。レジギガスのHPは40/100とやや余裕がなくなりつつある上、攻撃への道筋が塞がってしまいる。 「私のターン。ここは凌ぐしかないわね、手札からスタジアムカード、キッサキ神殿を発動!」 周囲が一気に雪景色に変わり、私の背後にゲームと同じように大きなキッサキ神殿が構える。 「キッサキ神殿がある限り、互いの進化していないポケモンの最大HPは20ずつ上がる。よって、レジギガスは60/120、ベンチのレジスチル、レジアイス、レジロックは110/110、ユクシーは90/90になるわ」 進化ポケモンしかいない彼女の場を逆手に取ったカードだ。 「手札のカードを二枚トラッシュしてレジロックのレジサイクルを発動。このポケパワーは自分のトラッシュに闘エネルギーがあるときに使え、手札を二枚トラッシュすることでその闘エネルギーをこのポケモンにつけることができるようになるわ」 「闘エネルギーなんていつ……?」 「前のターン、スージーの抽選を発動したときのコストであらかじめ送っていたのよ」 手札の鋼エネルギーと水エネルギーをトラッシュすると、ベンチにいるレジロックの点字が全て橙色に光りだして足元から闘のシンボルマークが出現。それはレジロックの体に直接吸収される。 「そしてバトル場のレジギガスをレベルアップさせるわ」 レジギガスLV.Xが大きく雄たけびを上げる。元からの巨大さもあってかなりの迫力だ。HPもレベルアップ前から50も上がり、110/170との大台に到達。進化しないポケモンでもLV.Xとはいえこんな高いHPになるのは滅多である。 「ここからよ。レジギガスLV.Xのポケパワーを発動。サクリファイス!」 相手のグレイシアを睨んでいたレジギガスが振り返り、私のベンチポケモン達を睨む。そして大きな足音を立てながらベンチポケモン、レジスチルの元に近づいて行く。すると自分の背の半分ほどあるレジスチルを大きな右手で掴むとそのまま持ち上げ、握り潰してしまう。 「サクリファイスは自分の番に一回使え、自分のポケモンを一匹気絶させる! もちろん貴女はサイドを一枚引いていいわよ」 「自ら気絶させるなんて……」 この勝負で先にサイドを引いたのは桃川。しかしサクリファイスはただ気絶させて相手にサイドを引かすだけではない。 「そしてレジギガスLV.Xにトラッシュの基本エネルギーを二枚つけてダメージカウンターを八個取り除く! トラッシュにはさっきのレジサイクルでトラッシュしておいた鋼と水エネルギーが。それをつけるわ。そしてレジスチルが場を離れたことでポケボディーのレジフォームは効果を失う」 一気にレジギガスLV.XのHPがMAXの170/170。このタフさを削り取れるカードはそうそうない。 「ただ、雪隠れの効果でレジギガスLV.Xは攻撃しても意味がないわね。ターンエンド」 「私の番です。バトル場のグレイシアをレベルアップさせて水エネルギーをつけます!」 グレイシアもレベルアップしてHPを120/120にのばしてきた。 「これであなたのポケパワーを封じれますね」 そう。グレイシアのポケボディー、凍てつく吹雪はグレイシアLV.Xがバトル場にいる限り相手のポケモン全員のポケパワーを封じるものだ。ポケパワーを主体としているこちらを妨げる絶好のポケボディー。 「そしてグレイシアで攻撃、雪雪崩! ワザの効果でコイントスをします。……オモテ!」 雪雪崩は70ダメージに加えてコイントスをしてオモテならベンチポケモン全員に20ダメージを与えるワザだ。 グレイシアの背後からポケモンバトルレボリューションの波乗りのような感じで多量の雪がこちらの陣営めがけて襲ってくる。しかし目の前で大きな雪の波が襲ってくるのを見ると結構迫力がある。思わず右腕で顔をカバーする。 「きゃっ」 雪崩の波がこちらのポケモンを飲み込もうと、ずしんと重い音が響くと凄い風が吹きすさぶ。バトルベルトは実際の衝撃はないが、それっぽさを出すためワザのエフェクトに被せて風を噴き出す仕組みがある。 これでレジギガスLV.X100/170、レジアイス、レジロックは90/110、ユクシーは70/90。合計130ダメージだ。 「それじゃあ今度は私のターンね。手札の鋼エネルギーをレジロックにつけてさらにレジギガスLV.Xに達人の帯をつけるわ」 他の選手も使ってるから効果はお馴染みだがもう一度説明しておく。達人の帯はつけたポケモンのHPを20上げ、ワザの威力も20上げるポケモンの道具。しかしデメリットとして達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合は相手はサイドを一枚多く引くのだ。ただでさえとてもつもなく高いHPを誇るレジギガスLV.Xが、120/190へ。これでちょっとやそっとじゃびくともしない。 「雪隠れの効果が切れた今、精一杯攻撃出来るわ。ギガブラスター!」 レジギガスLV.Xが右手を後ろに下げると、右手の手のひらいっぱいにオレンジ色のエネルギー球体が現れる。レジギガスLV.Xは思いっきり右手を前に突きだすと、グレイシアLV.Xを包み込むほどのとても太いレーザー光線が発射された。地面を跳ね返ったレーザーの一部が相手の手札とデッキポケットをも射る。 「ギガブラスターの効果で、あなたのデッキの一番上と手札を一枚トラッシュしてもらうわ」 手札からは夜のメンテナンス、デッキからはクロツグの貢献がトラッシュに送られた。 そしてギガブラスターは元の威力が100、達人の帯で20足されて与えるダメージは120。レーザーによる猛攻を受けて吹っ飛ばされたグレイシアLV.XのHPはあっという間に0。 このワザはかなりの大技であるため次のターンにギガブラスターを撃つことができない。レーザーを打ち切ったレジギガスLV.Xは右膝を地につけて片膝座りになっている。 「これでポケパワー封じもおしまいね。サイドを一枚引いてターンエンドよ」 新たにバトル場に出てきたグレイシア70/100程度じゃこのレジギガスLV.Xの勢いは止められない。さあ、一気に行くわよ!
松野「今日のキーカードはグレイシアLV.X そのポケボディー、凍てつく吹雪は ポケパワー中心に組み立てているデッキを凍らすモノね」
グレイシアLV.X HP100 水 (DP4) ポケボディー いてつくふぶき このポケモンがバトル場にいるかぎり、相手のポケモン全員は、ポケパワーを使えない。 水水無 ゆきなだれ 70 コインを1回投げオモテなら、相手のベンチポケモン全員にも、それぞれ20ダメージ。 ─このカードは、バトル場のグレイシアに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 鋼+30 抵抗力 ─ にげる 1
─── あらかじめ言っておきますが、来週は(イナイレ3をやりこむために)更新は98%無理です。 ところで気長wikiに一年目の年表があるんですが知ってましたか? http://www15.atwiki.jp/kinaga/pages/65.html
カードテキストを間違えて理解していたため対戦パートの一部訂正をしておきました。
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ライバル! ( No.83 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:59
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「おれのターン!」
今のおれの場は闘エネルギーと達人の帯をつけたカブトプス50/150。ベンチにはプテラ80/80とヤジロン50/50とこうらの化石50/50に水エネルギー一つのオムナイト80/80。 それに対して如月のバトル場はユクシー70/70。ベンチにいるポケモンは闘エネルギー一つ乗っているグライガー60/60と闘二つのルカリオ90/90、そしてガーディ70/70だ。スタジアムは今ハードマウンテンが発動している。 「手札の闘エネルギーをこうらの化石につけることでロックリアクションが発動される。こうらの化石をカブト(80/80)に進化!」 ロックリアクションは自分の番に手札から闘エネルギーを出してこのこうらの化石につけたとき、自分のデッキからこのポケモンから進化する進化カードを一枚選んでこのカードの上に乗せて進化させる便利なポケボディー。手札にカブトが無くても使える分、デッキ圧縮にもなって良いアドバンテージとなる。 「さらにヤジロン、オムナイトもネンドールとオムスターに進化させる」 これで俺のベンチのポケモンが徐々に戦闘体勢になりつつある。オムスター120/120はカブトプスに次ぐこのデッキのキーカードだ。そしてネンドール80/80は強力なドローソース! 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動。手札を二枚戻してデッキから六枚になるように、つまり六枚ドロー!」 デッキポケットに表記されている残りのデッキ枚数を確認すると残り二十八枚。デッキ切れには気をつけたいものだ。 「プテラのポケパワーの発掘を発動。デッキから化石カードを一枚手札に加える。おれが加えるのはひみつのコハクだ。更に化石発掘員を使用してトラッシュのひみつのコハクを手札に加える」 化石発掘員はデッキかトラッシュにある化石と名のつくトレーナーか、化石から進化するポケモンを一枚選んで手札に加えるサポーターだ。化石をトラッシュしながら攻めるカブトプスとは相性がいい。 「そして手札のひみつのコハクをトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 カブトプスの鋭い両腕のカマがユクシーを切り裂く。このワザの元の威力は20だが、手札の化石カードをトラッシュすることで威力を50上げる。更に達人の帯の効果を含めて20+50+20の合計90ダメージ。HPが70しかないユクシーは即気絶だ。 「やるわね。わたしはルカリオをバトル場に出すわ」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「わたしのターン! ルカリオに闘エネルギーをつけて、ベンチのグライガーをグライオン(80/80)に進化。そして新たにグライガー(60/60)をベンチに出すわよっ」 ここまで激しい手札消費をしたのにまだ七枚も残っている。手札にはまだグライオンLV.Xがいるのは分かっているが、いったい何が来るか。 「へへーん。ルカリオもレベルアップさせるわ! そして見極めを発動!」 見極めはルカリオLV.X110/110がレベルアップした時に使えるポケパワー。このカードを手札から出してレベルアップさせたときのみ一度使えて次の相手の番に相手のワザのダメージや効果を受け付けなくするものだ。さっきの逃げたグライオンLV.Xといい小癪な真似をする。 「ルカリオLV.Xでインファイト!」 ルカリオLV.Xは軽い身のこなしでカブトプスに近づき、手や足、体全体を使ってカブトプスに激しい物理攻撃の連打を見舞いする。80ダメージを受けてカブトプスはそのまま気絶する。おれの次のポケモンは……オムスターだな。 「インファイトを使った次のターン、このルカリオLV.Xが受けるダメージは+30されるけどもまあどうせダメージ受けないしいいわ。達人の帯の効果でサイドを二枚引いてターンエンドよ」 「おれのターン! ダメージを受けないのはそのルカリオLV.Xだけ。だったらワープポイントを使えばそれでいい!」 開いたサイドの差は力で押し縮める! ワープポイントは互いのバトルポケモンをそれぞれのベンチポケモンと入れ替えるもの。これでルカリオLV.Xの見極めの効果は無視してターンを行える。 おれはオムスターとカブトを入れ替え、如月はルカリオLV.Xとグライオンを入れ替えてきた。 なるほど分かりやすい。カブトプスでいくら攻撃してもこのターンで出せる火力は(達人の帯を考慮しなければ)70であってグライオンの80/80を削ることはできない。そして次のターンにバーニングポイズンで逃げるということか。 「おれはバクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚ドローする。そしてカブトに闘エネルギーをつけてカブトプス(130/130)に進化させる。プテラの発掘を使ってデッキからかいの化石を手札に加える!」 御膳立ては整った。 「手札のかいの化石をトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 「残念だけど、いくら手札の化石カードをトラッシュして原始のカマの威力を50上げたところで70ダメージ。グライオンのHPはギリギリ10残るわよ」 「バクのトレーニングがバトル場の隣にあるとき、このターン自分のポケモンが相手のバトルポケモンに与えるダメージは+10される」 「嘘っ!?」 カブトプスの鋭い一撃がグライオンを仕留める。これでグライオンLV.Xのループは一旦止まった。如月は再びルカリオLV.Xをバトル場に繰り出す。 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 しかしこれでもサイド差は一枚不利。こうなれば相手の戦えるポケモンを封じ込めてひたすら攻めきるしかないか……。 ん? 如月が拳を作ってうつむいている。どうやら体も少し震えているようだ。 「絶対こんなやつに負けたくない……。わたしなんて頑張って頑張って可愛く見てもらえるように必死になってるのに、あんたより絶対私の方が可愛いのに! たまたま大会で戦ってその後偶然遭ったからってだけで大した苦労もしないで、それなのにわたしよりも翔様の近くにいるなんて許せない!」 「……」 急に飛び出た本音に気圧されてしまう。しかしなんでおれと翔が再会したことまで知ってんだ。 「わたしはあんたのような男みたいなやつには絶対負けたくない! あんたなんて翔様とは不釣り合いよ!」 流石にこの言葉には衝撃を、というかショックのようなものを受けた。 確かに言う通りかもしれない。自分なんかじゃ確かに不釣り合いかもしれない……。 「行くわよ! わたしのターン! 手札からミズキの検索を発動。このカードの効果によって手札を一枚デッキに戻し、デッキから好きなポケモンを選択して手札に加えることができるわ。わたしはウインディを手札に加えてベンチのガーディに進化させる! そしてウインディに炎エネルギーをつけるわ」 ウインディ100/100にはフレアコンディションというポケボディーがある。このポケボディーは炎エネルギーがこのウインディについているなら、ウインディの弱点は無くなるというものだ。 「更にベンチにロコンを出すわよ」 ベンチにロコン60/60が現れると、一気に如月の場の炎ポケモンの比率が上がる。グライオンLV.Xによるヒットアンドアウェイが通じないとわかったからの戦法転換か。 「40、80。ちょっと足りないわね。ルカリオLV.Xでインファイト!」 如月のさっきまでの可愛らしげな様子から一変して、猛る獣のような雰囲気を受けれる。つまり、勝ちたいのだ。 この大会に優勝したいのではなく、この試合に。 ルカリオLV.Xは命じられた通り一瞬で間合いを詰めて拳や蹴を含めた多連段攻撃をカブトプスにぶつける。80ダメージの威力を受けたカブトプスのHPは50/130。次のインファイトは喰らうとおしまいだ。 「ターンエンドよ」 「……」 気持ちは揺らいでいた。確かに翔は好きだ。だからこそ幸せになって欲しい。おれが勝ったところで本当に翔は喜ぶのだろうか。 「なーに弱気になってんのよ! それでもあんたはわたしのライバルなの?」 「ライバル……」 「ライバルよライバル。あんたとわたしはライバルよ。もしかしてわたしがさっき言ったこと気にしてるの?」 「……うん」 そういえば如月は年下だったなと今さら関係ないことを思い出す。 「これからがあるじゃない! あんたがそのことで気にかけるならこれからなんとかしていけばいいの。可愛くなりたいとかそんなこと思えれば今はそれでいいじゃない。もちろん、わたしに勝ってからだけどね」 背丈も差があるはずなのに、年上に説教された気になった。が、嫌だとはまったく思わなかった。むしろこんな自分にここまで声をかけてくれただけでもうれしい。そう、これからだよね。 『薫、もし父さんが何かあったら俺のでっかい化石を掘る夢を頼むな』 小さい頃から父さんがよく言っていたことだった。そんな憧れの父の背を見て成長していた自分は小学校のころから今のような感じでオトコオンナと言われることもあったが別段気にはしていなかった。父の夢を追おうとするのに一生懸命だったからそんなことは別段どうでもよかった。 しかし、そんな父とは対照的に母はこう言った。 『薫は自分がやりたいと思ったことをやりなさい。お父さんの言う事は……、まあそんなに心に受けないで自分で決めなさい?』 今分かった。自分がやりたいことが。 「お、お……」 「お?」 「わ、あ、あたしのターン!」 不安ながらも如月を見ると、そこには僅かながらも笑顔のようなものが見受けられた。 「あ、あたしはオムスターに水エネルギーをつけて、プテラの発掘でデッキからこうらの化石を加える……わ」 インファイトを使ったルカリオLV.Xは、その反動としてこのターンに受けるダメージが+30されるデメリットを抱えている。そこをうまく突きたいのだが、これもまたさっきのグライオンと同じ。 「いくらインファイトで弱ってるからって、原始のカマしても10余るわよ? 流石にさっきと同じ展開にそうそう上手く行くわけないわよね」 「サポーター、化石発掘員を発動。このカードの効果によってデッキまたはトラッシュから化石カードまたは化石カードから進化するポケモンを手札に加えれる。あ……あたしが加えるのはトラッシュにあるカブトプス!」 残念ながら如月の思惑通りになるもバクのトレーニングは手札にない。そして達人の帯も。自分のデッキの中で打点を強化するこの二枚が手元にない。だったらとりあえずダメージを与えることが先決。 「手札のひみつのコハクをトラッシュして原始のカマ!」 元の威力20にひみつのコハクをトラッシュして+50。更にインファイントの効果でダメージは+30加わり100ダメージ。インファイトの反動で片膝を立てているルカリオLV.Xはカブトプスの攻撃を受けて倒れこむ。うんしょと体全体を使って立ち上がるもののHPは10/110。 ここまでいけばダメージを少しでも与えれたなら倒せる! まだ如月のベンチは戦える準備が不完全だったのでこのターンのうちに仕留めておきたかったがそこまではいかなかったようだ。 「さあ、わたしのターン! 手札のサポーター、ライバルを使うわ。デッキの上から五枚をめくって相手に見せ、相手はその中から三枚選ぶ。その選んだカードがわたしの手札に加えられる!」 「ライバル……」 「良い響きよね? さあ、選んで頂戴」 相手のバトルテーブルの情報がこちらのバトルテーブルに転送される。タッチパネル形式でモニタを確認する。如月のデッキは上からハードマウンテン、キュウコン、炎エネルギー、闘エネルギー、バトルサーチャー。 キュウコンは相手のアドバンテージになるから余り手札に加えさせたくない。そしてエネルギーも同じく。だがどちらかを選ばざるを得ない。 「じゃあ闘エネルギー、ハードマウンテン、バトルサーチャーを」 「それじゃあ早速グッズカードのバトルサーチャーを発動するわ。トラッシュのサポーターを手札に一枚加える。わたしはミズキの検索を手札に戻すわ。早速もらったばかりの闘エネルギーをウインディにつけて、ベンチのロコンをキュウコンに進化させるね」 手札にもキュウコンがいたのか! それじゃあさっきわざわざキュウコンを避けて三枚選んだ意味はない。むしろエネルギーを与えてしまっただけだったようだ。 キュウコン80/80は色化けという変わったポケパワーがある。相手のポケモン一匹と同じタイプになるというものだが、それがどう絡んでくるか。 「ルカリオLV.Xのインファイト!」 ルカリオLV.Xの他のワザでは威力が最大40まで。こちらもインファイトでしか倒せない歯がゆい状況だ。なぜ歯がゆいかというと、ルカリオLV.Xの他のワザはエネルギーが二つ以下。どうせ次のターンにルカリオLV.Xは気絶させられてしまうだろうから、その前にハードマウンテンの効果で今着いているエネルギーをベンチのウインディなどにつけかえた方が間違いなく勝手がいい。 しかしエネルギー三つを要するインファイトを使わなければカブトプスを倒すことができないというわけだ。 二撃目のインファイトを食らったカブトプスはもう立ち上がることができない。ベンチには次のカブトプスがまだいないのでここはオムスターで勝負だ。 「サイドを一枚引いてターンエンド。さあこっからが勝負よ!」
石川「今回のキーカードはルカリオLV.X。 見極めはレベルアップしたターンしか使えないけど、 相手のワザのダメージでなく効果もかわす強力なポケパワー!」
ルカリオLV.X HP110 闘 (DP2) ポケパワー みきわめ 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。次の相手の番、このポケモンはワザによるダメージや効果を受けない。(このポケモンがバトル場を離れたなら、この効果は無くなる。) 闘闘無 インファイト 80 次の相手の番、自分が受けるワザによるダメージは「+30」される。 ─このカードは、バトル場のルカリオに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 超×2 抵抗力 − にげる 1
─── 夏だ夏だ、投稿だ! とほざいてる期末考査期間中のわたしです。 ぶっちゃけ夏を越すと投稿率がググッと下がりそうなのでいまのうちに貯めようかと考えてます。
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機転 ( No.84 ) |
- 日時: 2010/09/11 23:59
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「私の番です!」
桃川めぐみのバトル場はグレイシア70/100。ベンチには悪エネルギー一つついたブラッキー70/100とエーフィ100/100、ネンドール80/80が控えている。 その一方で私の場は達人の帯と水エネルギー二枚、鋼と闘エネルギーが一枚ずつついているレジギガスLV.X120/190。そしてベンチにはレジアイス90/110、闘エネルギー一枚と鋼エネルギーが一枚ついたレジロック90/110、ユクシー70/90がいる。 私の場のポケモンのHPの高さからも予想できるでしょうけど、スタジアムはたねポケモンのHPを20上げるキッサキ神殿が発動している。 サイドは共に五枚だが、どちらが有利かは誰だって分かるだろう。 「グレイシアに水エネルギーをつけて、手札からグッズカードのポケモンレスキューを発動。トラッシュのポケモンを一枚手札に戻します。私はイーブイを手札に戻し、ベンチへ出します」 さっきからのプレイングを考えるともしやこのデッキでメインで戦えるポケモンはイーブイしかいないのかしら。イーブイの元のHPは60だが、キッサキ神殿の効果で20増幅し80/80とネンドールと同値になっている。 「更にネンドールのコスモパワーを使います。手札を二枚デッキに戻して六枚になるようにドロー」 彼女の手札は最初は四枚。二枚戻したので引くカードは四枚だ。 「ミズキの検索を使います。手札を一枚戻してデッキから好きなポケモンを一枚手札に加えます。私はシャワーズを選びますね」 今引いたシャワーズ以外にもグレイシアとエーフィ、ブラッキー以外にもブイズがまだまだ控えているようだ。 「グレイシアで雪隠れ! コイントスは……オモテです」 雪隠れは威力30のワザで、効果でコイントスを投げてオモテの場合このグレイシアは次の相手の番にワザのダメージや効果を受けない。激しい吹雪が発生し、レジギガスLV.Xを襲ってHPを90/190まで下げると同時にグレイシアの周りに雪のカーテンのようなものが現れる。 「私のターンよ。レジギガスLV.Xのサクリファイスを発動。ベンチのポケモンを一匹気絶させ、ダメカンを八つ取り除くわ」 80も回復したためHPは170/190とほぼ全回復。サクリファイスはこれ以外にもトラッシュの基本エネルギーを二枚まで選んでこのポケモンにつけるという効果もあるのだがトラッシュには残念ながら基本エネルギーがない。とにかく今は主軸となっているレジギガスLV.Xを気絶させないことだけを念頭にするべきだろう。 その巨体を180度回転させてこちらにむいたレジギガスLV.Xは私のベンチにいるユクシーをガッシリ握ってそのまま握りつぶしてしまう。何度も見たが決して楽しい光景じゃないわね。 「サイドを一枚引きます」 「攻撃が防がれているからやることがないわ。ターンエンドよ」 「私の番ですね、手札の水エネルギーをイーブイにつけてこのイーブイをシャワーズに進化させます。ネンドールのコスモパワーを発動! 手札を二枚戻して四枚ドローしますね。ではグレイシアで再び雪隠れ!」 シャワーズは進化したためキッサキ神殿の恩恵は受けれなくなったが代わりにエーフィのサンライドヴェールの効果を受けれるようになり、再びHPが20上がって110/110。 コイントスの結果は再びオモテ。先ほど回復したばかりのレジギガスLV.XのHPを140/190へと削っていく。 「私のターン。……」 基本的に私のデッキは力でゴリ押す短期決着型のデッキ。不本意にもこういう風に長期戦を強いられるとやることがなくなってしまう。 それに追い打ちをかけるかのように、手札のカードは良いとは言えない。 「エムリットをバトル場に出すわよ。そしてサイコバインドを使うわ」 エムリット90/90(キッサキ神殿の効果でHPが+20されている)のポケパワー、サイコバインドはこのカードを手札からベンチに出した時に使え、次のターン相手のポケパワーを使えなくさせるというカードだ。だが相手のポケパワーを持ったポケモンはネンドールのみ。あまりプラスの方向には働いてくれなさそうだ。 「エムリットに超エネルギーをつけてターンエンド」 「行きますね、私は水エネルギーをシャワーズにつけてグッズのミステリアス・パールを使います。サイドを全て確認し、その中にあるポケモンのカードを一枚手札に加えて発動したミステリアス・パールを新たにサイドに置きます」 攻め手にかける桃川と、攻めあぐねる私。どちらも膠着状態だったのだが、その膠着がようやく解ける。 「グレイシアでもう一度雪隠れ行きます」 しかしここでのコイントスはウラ! ようやくグレイシアを守る盾はなくなった。攻撃を受けたレジギガスLV.XのHPは110/190と半分に近くなっているが今はそんなに重要ではない。 「私のターン、ハマナのリサーチを発動。デッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを手札に二枚まで加える。私はユクシーとアグノムを手札に加えるわ」 今引いた二匹を両方ともベンチに一気に出すとベンチが埋まってしまう。レジギガスLV.Xのサクリファイスを使えば減ると言っても、結局は気絶扱い。そんなに調子に乗るわけにはいかない。ここは温存か。 「レジギガスLV.Xでギガブラスター!」 轟音と巨大な橙色のレーザーがグレイシアと手札、デッキポケットを襲う。ギガブラスターの効果は攻撃した後相手のデッキトップと手札のカード一枚を強制的にトラッシュさせるものだ。 相手のデッキの一番上からはブラッキー。手札からは悪エネルギーがそれぞれトラッシュされる。 肝心のグレイシアは威力100に達人の帯で20足された120ダメージを受けて気絶。これで雪隠れで攻めあぐねる心配は取り払われた。 次の桃川のポケモンはシャワーズ。先ほどからベンチで育てていたポケモンだ。 「サイドを一枚引いてターンエンドよ」 「私の番です、手札から時空のゆがみを使います」 時空のゆがみはコイントスを三回し、オモテの数だけトラッシュにあるポケモンを手札に加えるグッズカードだ。そのコイントスの結果はウラ、オモテ、ウラ。彼女はイーブイを再びトラッシュから手札に戻した。 「シャワーズに雷エネルギーをつけてイーブイをベンチに出し、更にサポーターカードのクロツグの貢献を発動。トラッシュの基本エネルギーまたはポケモンを合計五枚まで選んでデッキに戻します。私はトラッシュの水エネルギー三枚と、グレイシア、グレイシアLV.Xをデッキに」 イーブイのHPはスタジアムの効果で20追加され80/80。これで通算六回目の登場だ。 「シャワーズで破壊の渦潮攻撃! この効果でウラが出るまでコインを投げます」 コイントスはオモテ、オモテ、ウラ。このコイントスのオモテの数だけ、相手のエネルギーをトラッシュさせるという効果を持つ。 「それではレジギガスLV.Xの水エネルギーを二枚トラッシュしてもらいます!」 レジギガスLV.Xの足元に大きな渦潮が発生し、レジギガスLV.Xを飲み込もうとする。エネルギー三つで使うワザとしては60ダメージに二枚のエネルギーをトラッシュというのはかなり上々だろう。これでレジギガスLV.Xの残りHPは50/190。 「私のターン。アグノムをベンチに出してポケパワー、タイムウォークを発動」 ベンチに出てきたアグノム90/90(通常は70/70だが、スタジアムのキッサキ神殿の効果でHP+20)の足元(?)を中心に紫色の波紋が発する。 「この効果はサイドを確認し、その中にいるポケモンを望むなら一枚手札に加えれるもの。加えた場合は手札から一枚カードをサイドにセットするの。……、ノーチェンジね」 というのも単純にサイドにポケモンがいなかっただけなのだが。 「そしてエムリットに超エネルギーをつけて手札からグッズカードレベルMAXを発動。コイントスをしてオモテなら自分のポケモンをレベルアップさせるわ」 レベルアップさせるだけならなんてことないと思うかもしれないが、レベルアップできるのはバトル場にいるポケモンのみ。この効果でならベンチのポケモンもレベルアップさせることが可能だ。 「オモテね。ベンチのアグノムをアグノムLV.Xにレベルアップ!」 このときレベルアップするLV.Xのカードはデッキから選択しなければならない。手札やトラッシュでは意味がないのだ。また、アグノムLV.X110/110はサイキックオーラというポケボディーを持っている。これにて自分の場の超ポケモンの弱点はすべて無くなる。 「そしてサクリファイスを発動。ベンチのレジアイスを気絶させ、トラッシュにある水エネルギー二枚をこのポケモンにつけてHPを80回復させるわよ」 トラッシュさせられたエネルギーも、受けたダメージもこれで大丈夫HPは130/190。これでなんとか……。いや、違う。これはわざとサクリファイスを使わせているのか。 「サイドを一枚引きますね」 そう、達人の帯がついている上に高火力を誇るレジギガスLV.Xは私の攻撃の要。その分ダメージを受けるとすぐにサクリファイスで回復させているのだがそれを逆に利用しているのか。 自力で高HPを誇る私のポケモン一匹ずつ倒すより、レジギガスLV.Xによる攻撃を無理に受けてまでもサクリファイスによって引くことのできるサイドで自分のサイドを減らしていく作戦のようだ。しかし分かってしまえば怖いことはない。 「レジギガスLV.Xでギガパワー!」 ギガブラスターは使った次のターンにもう一度使えないという反動効果を持つので不本意だがこのワザを使うしかない。 ゆっくりと、それでいて力強く前進するレジギガスLV.Xはシャワーズの元に来ると両手を組んでそのままハンマーのように両手を振り下ろす。ズシンという鈍い音が響いた。 このワザの元の威力は60だが、効果で40ダメージ追加することができる。その分レジギガス自身が40ダメージを受けるのだが。達人の帯の効果も含め120ダメージ、110しかHPのないシャワーズはこれで気絶。一方攻撃した方も90/190。このままレジギガスLV.Xを捨てるのか維持するべきか。 次のポケモンはまだ進化していないイーブイ。私がサイドを引いたことでこれで両者残りのサイドは三枚。ここからが終盤、油断はなおのこと出来ない。 「それじゃあ私の番ですね。手札からポケモンレスキューを使い、イーブイを回収してベンチに出します」 七回目のイーブイ80/80(キッサキ神殿の効果含め)を見ると、流石に萎えてくる。 「バトル場のイーブイをブースターに進化させ、炎エネルギーをつけます」 ブースター110/110(エーフィのサンライドヴェールの効果含む)、シャワーズと来ると次は予測できる。それにさっきのシャワーズに雷エネルギーがついていたということが予想をより盤石にする。 「ネンドールのコスモパワーで手札を一枚デッキボトムに戻してデッキから六枚引きます。それではブースターで炎の牙攻撃!」 ブースターがレジギガスLV.Xの元に駆けつけて足に炎を纏った牙で噛みつく。大きさ的に大したことはなさそうに見えるのだがHPバーはしっかりと30削って60/190。 「コイントスをしてオモテだったら炎の牙の効果で相手のバトルポケモンは火傷になります」 ここで下手に火傷になると相手の思うツボ。だが運よくコインはウラを出してくれた。 「それじゃあ私のターン。手札の闘エネルギーをレジロックにつけ、手札からユクシーを場に出してセットアップを発動。今の手札は三枚なので四枚ドロー」 ユクシーもキッサキ神殿の効果を受けHPは90/90。しかしさっきからドローで引いてくるカードがイマイチだ。 「レジギガスLV.Xでギガブラスター!」 あえてここでサクリファイスを使えばそれこそ思い通りになってしまう。ここはレジギガスLV.Xを切る勢いで突っ込んでいってしまおう。 再び破壊力抜群の攻撃がブースターを。手札を。デッキを襲う。あっという間にブースターを気絶に追い込み、相手の手札の時空のゆがみとデッキの一番上にあるグレイシアLV.Xを丸ごとトラッシュだ。しかしまたしても出てくるポケモンはイーブイ。 「サイドを一枚引いてターンエンドよ」 ようやくサイドが私の方が一枚上回った。このままあと二枚、なんとか突っ切れるか。 「私だって、行きます! イーブイに雷エネルギーをつけ、ミズキの検索を発動! 手札を一枚戻してデッキからサンダースを手札に加えます。そしてイーブイをサンダースに進化!」 これでサンダースもHPが110/110。イーブイから進化するポケモンのHPを20上げるサンライトヴェールがやはり厄介だ。 「サンダースで雷の牙!」 さっきと同じような感じのワザだが、威力はブースターのそれに比べて10劣る20。レジギガスLV.Xは40/190とまだ二発は耐えれる。 そしてここでもコイントス。今度は火傷よりも厳しくマヒだ。だが今さらどっちもどっちのような気がしないでもないが。 「オモテです」 レジギガスLV.XのHPバーにマヒと黄色い字で表示される。マヒはワザを使う事も逃げることも出来ない特殊状態だ。そしてサクリファイスも特殊状態だと使えない。そして桃川の顔が少し緩む。 頬が緩むと言う事は余裕が出来たと言う事か? まだHP40をあるが、それをあっさりひっくりかえせるのだろうか。いや、意外と簡単だ。キッサキ神殿をトラッシュしてしまったり達人の帯をはずしたりすればHPは20下がり、次のサンダースの雷の牙でも十分倒せる。 「私のターン、ドロー。マヒで自分から逃げられないのならば、手札からワープポイントを発動するわ。その効果で互いにバトル場とベンチのポケモンを入れ替える!」 桃川はブースターからエーフィへ。私はレジギガスLV.Xからユクシーへ。私の今の場ではレジギガスLV.X以外でエーフィを一撃で砕くポケモンがいないと踏んだからか。 「ユクシーに超エネルギーをつけて、ユクシーをレベルアップさせるわ。そしてユクシーLV.Xのポケパワー、トレードオフを発動するわ」 ユクシーLV.X110/110(キッサキ神殿の効果含め)のトレードオフは自分のデッキのカード上から二枚見て片方手札に加えてもう片方をデッキの底に戻す効果だ。今確認した二枚はプレミアボールとポケドロアー+。わたしが選んだのはプレミアボールだ。 「続いてグッズのプレミアボールを発動。デッキまたはトラッシュからLV.Xのポケモンを手札に一枚加える。私はデッキからエムリットLV.Xを加えるわよ。そしてユクシーLV.Xの超エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がし、ベンチのエムリットをバトル場に出してレベルアップ!」 これでシナジー完成! エムリットLV.X110/110(キッサキ神殿の効果含む)が私のレジギガスLV.Xに次ぐもう一枚のキーカード。 「エムリットLV.Xで攻撃。ゴッドォブラスト!」 エムリットLV.XとアグノムLV.X、ユクシーLV.XがZ軸方向に輪を結ぶように集まり、回転し始めるとと三匹の間に紫色のエネルギー球体が集まる。そして回転が目まぐるしく早くなった刹那、エネルギー球体がレーザーとなってエーフィめがけて襲いかかる。 このゴッドブラストはアグノムLV.X、ユクシーLV.Xがいないと使えない上エムリットLV.Xについている全てのエネルギーをトラッシュしないと使えないワザだが威力はポケモンカード最強の200。今のところ200を越えるカードがないので実質一撃必殺だ。しかも追い打ちをかけるようにエーフィの弱点である超タイプを突いているので+20され220ダメージ。HPが100しかないエーフィには十分すぎる。 これでエーフィが気絶したのでサンライトヴェールの効果は失われ、ベンチにいるブラッキーとサンダースのHPはそれぞれ20下がって元通りの50/80と90/90に戻る。桃川は次のポケモンにサンダースを選んだ。だが、 「サイドを一枚引いてターンエンド!」 これで残りサイドは一枚。実質桃川は詰みである。 たとえ雷の牙で連続してマヒを出してエムリットLV.Xを倒したところでその次に控えているレジギガスLV.Xは倒せない。 彼女のブイズデッキは小粒揃いのテクニカルタイプ。こういう状況に持ち込まれるとどうしようもないのは本人が一番分かっているはずだ。 しばらく黙りこんでいた彼女が口を開いた時、やはりね、と思った。 「……参りました」 「どーも。いい勝負だったわ。途中何度か危ないと焦ったわよ」 「いえいえ、私の力不足です。またいつか対戦するときがあれば今度は負けませんよ」 「ええ、望むところよ」 対戦に熱中していたため気付かなかったが隣の山本信幸が戦っていたステージはもう勝負は終了していた。様子を見る限り予想通りというか山本信幸が勝ったようだ。 次の二回戦ではとうとう山本信幸との対戦。それを意識すると嫌な汗が背をつたうのを感じた。
松野「今回のキーカードはレジギガスLV.X。 サクリファイスは相手にサイドを引かせてしまうけども超強力。 そしてなによりギガブラスターは破壊力ばっちしよ!」
レジギガスLV.X HP150 無 (破空) ポケパワー サクリファイス 自分の番に1回使える。自分のポケモン1匹をきぜつさせる。その後、自分のトラッシュの基本エネルギーを2枚まで選び、このポケモンにつけ、このポケモンのダメージカウンターを8個とる。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 水闘鋼無 ギガブラスター 100 相手の山札のカードを上から1枚トラッシュ。相手の手札から、オモテを見ないでカードを1枚選び、トラッシュ。次の自分の番、自分は「ギガブラスター」を使えない。 ─このカードは、バトル場のレジギガスに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 − にげる 4
─── 桃川めぐみの使用したデッキ 「レインボーデイズ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-791.html
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天王山 ( No.85 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:00
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 他の二試合も終わり、一回戦はこの試合だけとなった。残りサイドは如月が二枚、こちらは四枚。
その如月のバトル場には残りHP10/110のルカリオLV.X、ベンチにはグライガー60/60とキュウコン80/80。更に炎と闘エネルギーが一枚ずつついているウインディ100/100がいる。 こっちのバトル場には水エネルギーが二枚ついたオムスター120/120とベンチにはプテラ80/80にネンドール80/80。終盤に来てかなり余裕がなくなってきた。 「あ、あたしのターン!」 なんだかまだ慣れないな……。ちょっと自分でも恥ずかしいような、なんというか。いや、そんなことを考えてる暇はなかった。 「プテラの発掘でデッキからかいの化石を手札に」 プテラの発掘は自分のデッキからかいの化石、こうらの化石、ひみつのコハクのうち一枚を手札に加えるカード。ずがいの化石などには対応していない。 「手札からこうらの化石をベンチに出してグッズカードのふしぎなアメを発動。自分の場のたねポケモンから進化するポケモンを手札から選んで進化させる。あたしはこうらの化石をカブトプスに進化させるわ」 カブトプス130/130の三度目の登場だ。指定された手札をトラッシュしないと高い火力が出せないものの、やはりうちのエースカードだ。 「ネンドールのコスモパワーを発動。手札を一枚戻して二枚ドロー」 コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの一番下に戻し、手札が六枚になるようにドローするポケパワーだ。 「とりあえずはオムスターで攻撃。原始の触手!」 のろい動きでルカリオLV.Xの元まで詰め寄ったオムスターは触手を使ってルカリオLV.Xの体を縛り上げるとそのまま締め上げる。このワザの元々の威力は30。それに自分のトラッシュにある化石カードの数かける10ダメージ追加出来る。今あたしのトラッシュにはひみつのコハクとこうらの化石が二枚、かいの化石が一枚あるので50追加となり80ダメージ。残りわずかしかHPのないルカリオLV.Xはこれで気絶だ。 「わたしの次のポケモンはウインディよ」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「あと一息ね。わたしのターン! 手札の炎エネルギーをウインディにつけ、更にミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキから好きなポケモンを手札に加えるわ。わたしが加えるのはグライオン! ベンチのグライガーを進化させるわよ」 今、如月の手札にはグライオンLV.Xがいる。ここでグライオン80/80がレベルアップしたとき、序盤と同じように状態異常ラッシュを食らうようになってしまうことへの対策も練っていかなければ。 「ウインディで怒りの炎!」 真っ赤な炎を体に纏ったウインディがオムスター目がけ突進してくる。簡単に撥ねられたオムスターのHPは60減って60/120。怒りの炎は威力60に、炎エネルギーを一つトラッシュしてこのポケモンに乗っているダメカンの数かける10だけ威力が上がるワザ。だがまだウインディにダメカンはないので威力は60のままだ。 「怒りの炎の効果でこのポケモンの炎エネルギーをトラッシュするわ。ターンエンド」 「あたしのターンだ。カブトプスに闘エネルギーをつけて……」 ウインディのHP100に対し、原始の触手の威力は80。そしてウインディは水タイプに対し弱点+20を持っている。本来なら80+20でなんなくウインディを倒せる。……はずなのだがウインディにはフレアコンディションというポケボディーがある。このポケボディーはウインディに炎エネルギーがついているとき、弱点が全てなくなるというものだ。だから原始の触手では倒せない。 いや、出来る。化石カードの基本効果をすっかり忘れていたじゃないか。 「よし、プテラの発掘でこうらの化石を手札に加えて手札からベンチにこうらとかいの化石を出す……わ」 「今さらそんなに化石を出してなんになるのよ」 「この二枚の化石を自身の効果でトラッシュさせるわ! もちろんこの効果はトラッシュするだけであって気絶判定にはならない」 「自分で自分をトラッシュ……?」 「全ての化石カードは、このカードの持ち主は自分の番に場からこのカードをトラッシュしてよい、この効果は気絶とはならない。という効果を持っている。これを使わせてもらっただけだ」 「だからそんなことして何になるのよ」 「トラッシュの化石が増えたと言う事だ。……いや、言う事よ。オムスターで原始の触手!」 このワザはトラッシュにある化石の数だけ威力が増すワザ。元の威力30に対し、これでトラッシュの化石は七枚で足される威力は70。よって与えれるダメージは100! 弱点計算無しで決めれた。ウインディの巨体も軽々と持ち上げた触手はHPバーが底に尽きるまで絞め続けた。 「これで追いついた!」 「む……。わたしの次のポケモンはグライオンよ。分かってるわよね」 「う……」 ウインディを倒したことによってサイドはどちらも二枚ずつ。だがダメージを受けているオムスターを抱えている分こちらが幾分不利だ。 「わたしのターン。手札の炎エネルギーをキュウコンにつけ、グライオンをレベルアップ! そしてスピットポイズン!」 グライオンLV.X110/110が羽を広げて飛んできて、オムスターに噛みつく。オムスターのHPバーにマヒと毒のアイコンが現れた。 スピットポイズンはレベルアップしたときにだけ使えて相手のポケモンを毒とマヒ状態にする恐ろしいポケパワーだ。 「さらにグライオンLV.Xでバーニングポイズン! 相手を毒または火傷にし、その後このポケモンについているカードを自分の手札に戻してもよい。この効果で火傷を選ぶわ。そしてこのグライオンLV.Xはまだ手札に戻さない!」 状態異常を三つも抱えるハメになってしまった。如月のターンが終わると同時にポケモンチェック。毒のダメージで10ダメージを受けHPは50/120。そして火傷はコイントスを行ってオモテならノーダメージ、ウラなら20ダメージ。ここでウラを出すと余裕がなくなる。が、無情にもコイントスの結果はウラ。これで残りHPは30/130。 「あたしのターン。手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンG(50/50)をベンチに出す……わよ」 「アンノーン……?」 マヒになっているオムスターはワザを使うのはもちろんベンチに逃げることも出来ない。 「やることがないのでターンエンドだ」 ここで再びポケモンチェック。毒のダメージで10受け、続いて火傷の判定。ここでオモテを出さなければオムスターはここで気絶、この後始まる如月のターンで相手のポケモンの攻撃をモロに受けてしまう事になる。お願いっ……! 「うーん」 と唸ったのは如月の方だ。なんとかオモテを出したのでオムスターは延命。そして二回目のポケモンチェックなのでマヒもここで自動的に回復。しかしオムスターのHPはもう20/130しかない。 「わたしのターンよ。手札から炎エネルギーをキュウコンにつけてターンエンドね」 グライオンLV.Xは逃げるエネルギーが0。その気になればキュウコンでオムスターに止めをさすことができたのだろうがする必要がないと判断されたのだろうか。 毒のダメージで残りHPは10。そして火傷の判定。ここでオモテが出ればオムスターで……。 「運はあまり良い方じゃなかったわね」 無情にも結果はウラ。これでオムスターのHPは尽きて気絶となる。先にリーチをかけたのは如月だった。あたしの最後のポケモンはカブトプス。しかし、化石カードはもうデッキに一枚も残ってはいない。このデッキにはひみつのコハクとかいの化石が三枚ずつ、こうらの化石が四枚という構成にしてあるのだ。 カブトプス得意の原始のカマは効果を使うことはできず、ただの20ダメージしか与えれない地味なワザに降格してしまう。 「あたしだって負けたくない……。あたしのターン! 手札の闘エネルギーをカブトプスにつけて、アンノーンGのポケパワー、GUARDを発動! ベンチにいるこのポケモンについているカードをトラッシュし、このカードをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。あたしはカブトプスにアンノーンGをつける」 ベンチにいたアンノーンGがバトル場にいるカブトプスの元までやってきてシールを貼り付けたかのようにカブトプスにひっついた。 「カブトプスで岩雪崩攻撃!」 大量の岩が相手の場を一斉に襲いかかる。このワザは威力60、効果は相手のベンチポケモン二匹にも10ダメージを与えるというものだ。このワザでグライオンLV.XのHPは50/110。ベンチにいたキュウコンは70/80。如月には他のベンチポケモンがいないので岩雪崩のダメージを受けるポケモンはこの二匹だけだ。 「しつこいわね。わたしのターン! グライオンLV.Xでバーニングポイズン!」 グライオンLV.Xがカブトプスに噛みついてきた。だがしかしカブトプスには先ほどと同じように状態異常のマーカーが現れることはなかった。 「ど、どうして?」 驚きを露わにして戸惑う如月、勝負どころでついにボロが出てしまった。相手のカードのテキストを読むという至極普通な行為を忘れると言うミスだ。 「アンノーンGがポケモンの道具として働いている時、アンノーンGをつけているポケモンは相手のワザの『効果』を一切受け付けない! 攻撃するならダメージを与えるワザで戦うべき……ね」 「しまっ……。でもバーニングポイズンの効果でグライオンLV.Xを手札には戻すわ。これはグライオンLV.Xに対する効果であってカブトプスに対する効果ではないもんね」 如月お得意のヒット&アウェイ。だがしかしなぜキュウコン70/80しか場に残らないのを承知でそんなことを。 原始のカマが来ないと分かるのはデッキに何を何枚入れたかしっている自分だけのはず。原始のカマを食らってしまえばキュウコンは気絶して、それで勝負は終わりなのだ。 「あんたのデッキにもう化石カードがないのは分かり切ってるわよ」 「……」 「さっきからずっと続けていたプテラの発掘を、急に使わなくなった、いや、使えなくなったと言った方がいいかしら。そこから簡単に導き出せるわよ。そして手札についてでもさっきのオムスターの原始の触手のワザの威力を上げるために使った策のときのあんたの表情見ればあれで化石が尽きたっていうことはすぐに分かるわ。喜怒哀楽が浮かびやすいのがあんたの弱点ね」 何も言い返せない。御名答です。そんなに表情に出しているつもりはなかったのだがこれはこれからの課題かな。でも、この試合はまだポーカーフェイスにはならないでいよう。わざとニヤッと笑みを作る。 「一つだけ忘れていたことがあるんじゃないか?」 「なっ、何よ。そんなブラフ(※はったり)には引っ掛からないわよ」 「ならば自分で確かめる……のよ。あたしのターン、手札からサポーターカードのバクのトレーニングを使うわ」 如月の表情が驚きと慄きで一杯になった。バクのトレーニングはデッキからカードを二枚ドローする以外にもう一つ効果を持つサポーターだ。 「確かに化石カードはもうデッキにはない。でもそれでもバクのトレーニングが一枚しかないとは限らない」 そのもう一つの効果はこのカードを使ったターン、自分のポケモンの与えるダメージの量を+10するもの。 そう、中盤でグライオンを倒したときと似ているシチュエーションだ。 「カブトプスで岩雪崩!」 威力が+10されてこのワザの威力は70。そしてキュウコンの残りHPは70/80。そして如月のベンチポケモンは一匹もいない。戦えるポケモンがベンチにいなくなったことでこの勝負は決着となった。 「あんたの勝ちね。約束通り、翔様には───」 「そのことなんだけど、やっぱりその賭けやめないか?」 「えっ?」 試合が終わって握手を交わしながら如月に提案してみる。 「そんなことしても誰も嬉しくないからそんな賭けやめよう」 「でも。あんた」 「またどこかで会えることを楽しみにしてる……わ」 「はぁ。分かったわ。そこまで言うなら賭けはなかったことにしてあげる。……それじゃあ、またね」 おれ……いや、あたしよりも年が一つ下なのにそんなあたしよりも強い意思を持って、そして一度口にしたら曲げない性格で。そんな彼女の事は忘れないだろう。自分が変わるきっかけとなったライバルなのだから。 そういえばメルアドか何か聞いとけば良かったなあと、人ごみに紛れて消えてしまった如月の背中を探しつつぼんやり思うのであった。
「ようやく一回戦も終わりね、一之瀬君」 「そうですねえ。良い試合多くて見応えありますね」 スペース的にバトルベルトを使った勝負は同時に四つしか行えない。32人いた一回戦は四つに分けて対戦していたが、16人に減った二回戦では二つに分けて対戦することになる。 そして能力者は高津洋二は沙羅比香里と、山本信幸は私こと松野藍と対戦する。 「絶対に勝たなくちゃ。こんな変な能力のせいで私達のポケモンカードが汚されるなんてたまらないわ」 「松野さん……」 「もし、私に何かあった場合は悪いけどよろしく頼むわ」 「珍しく弱気ですね」 「ええ、何せ山本信幸は対戦相手を植物状態にさせてしまう最悪の能力者だから」 「……」 一之瀬君の難しそうな顔は、普段見る穏やかなそれとは別人のように見えた。
石川「今日のキーカードはカブトプス。 闘エネルギー一個でMAX70ダメージ。 序盤から一気に畳み掛けれるわ!」
カブトプスLv.59 HP130 闘 (DPt4) 闘 げんしのカマ 20+ のぞむなら、自分の手札から、「かいの化石」「こうらの化石」「ひみつのコハク」のうち1枚を選び、トラッシュしてよい。その場合、50ダメージを追加。 闘無無 いわなだれ 60 相手のベンチポkモン2匹にも、それぞれ10ダメージ。 弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「芸能人事情」 恭介「なあなあ聞いてくれよ!」 翔「朝から騒がしいなおい」 恭介「俺さ、昨日さ、五反田ではるな愛を見たんだ! 芸能人みっけたの久しぶりだったぜ」 翔「俺もこないだ学校の帰りに生田斗真くん見たぞ」 恭介「いやいやはるな愛の方がレアだろ」 翔「一体レアの基準はなんだよ」 恭介「そういえば蜂谷はなんか芸能人と会ったことある?」 蜂谷「俺は……。先週に新宿のビッグカメラの傍で岡本信人を見つけたから声をかけたら野草を食わされた……」 翔&恭介「……」
如月麻友の使用したデッキ 「雪原の忠犬達」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-794.html
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弱気 ( No.86 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:00
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「石川おめでと」
辛くも勝利をもぎ取ってきた石川が溢れんばかりの笑みを携え俺達の元に戻ってきた。 「……。あのさ、なんかよそよそしいから下の名前で呼んでくれない?」 「下の名前はえーっと。薫だっけ?」 「うん」 「薫、おめでと」 「うん、ありがとう」 あれ、こいつってこんなキャラだったかな。 「けっ、陽気な事だな」 拓哉(裏)が呆れた目でこちらを見る。こいつの言いたいことはだいたいわかる。 「はいはい。二回戦ももう始まるな」 「二回戦といえば翔とあたしが対戦だね」 と、薫。そういやそうだった。他にもこの二回戦は蜂谷を下した沙羅比香里と、能力者の高津洋二の対戦。そして松野さんともう一人の能力者の山本信幸の対戦もある。注目のカードが多い二回戦だ。 「さて行ってくるか」 「拓哉しっかりな」 「誰に向かって言ってやがる」 相変わらずコミュニケーションの取りにくい奴である。素直になれ素直に。ま、らしいと言えばらしいのだが。 「あっ剛出番だ」 「うん?」 二回戦第一ブロックでは俺らの中では拓哉(裏)と向井剛が出番となる。ちなみにここで二人は潰しあう事はなく、二人が戦うのは順当に行けば準決勝(四回戦)だ。沙羅と高津の対戦もこのブロック。 一方第二ブロックは恭介、風見、俺と薫に松野さんの五人が出て忙しい。恭介と風見は共に勝てば三回戦での対戦。風見杯以来の勝負だ。そして俺か薫のどちらかと松野さんか山本が三回戦で当たることになる。 「頑張ってね」 「……僕も負けないように頑張るよ」 向井の声はどうも弱気だ。 「うーん、剛ももっと自信持てばいいのに」 今から対戦に向かう向井と喋っていた薫を見つめる。……松野さんが負けるとは思わないのだが、万が一。もし俺が負けて薫が勝ち上がって、それで山本も勝って二人の対戦となって山本が勝てば、薫は植物状態になってしまう。 こういう変なややこざに薫はもちろん恭介達を巻き込んじゃダメだ。絶対に勝たなければならない。元より負けるつもりで勝負に挑む気なんてさらさらないのだが。
自信を持て、というのは小さい頃から言われ続けていたことであって、特に小さい頃から馴染みのある薫には事あるごとに言われ続けた。 でも自信を持つというのはどういうことなのか分からず、気丈な振りをしたりもした。 自信というのは辞書によると自分の才能等を信じるということらしいのだが周りの人は僕よりも立派なそれを持っているのでとてもじゃないが信じれない。奥村先輩、風見先輩、長岡先輩、藤原先輩。誰もかれもがこないだの風見杯で上位にいたメンツだ。 手元にあるのは今にも消えそうな炎。しかし周りにはより強い輝きを持つ大きな炎だらけ。委縮するのも仕方ない。 実際ここまで来れたのも、予選といい一回戦といい御世辞にも上手じゃない初心者といったような感じの相手ばかりであったからで、なんとか利を拾う形となっていた。 だがもうそれも通用しない。今、僕の目の前に対戦相手として立っているのは過去の大会(大会に参加したわけではないので聞いた話)やイベントなどで何度も勝ち続けてきた男。中西 哲(なかにし てつ)だ。 スーツを着た四十を越えているパパさんプレイヤーで、柔和な顔つきをしているのだが、それに反して鋭いプレイングで他を寄せ付けない。優勝候補の一角を担う人だ。そして過去に僕自身ジムチャレで完膚なきまで叩きつぶされたことがある。 「お久しぶりですね」 「君は……、先月のジムチャレでの。あのときは私の息子が御世話になりました」 「まぁ……」 二月に行われたジムチャレで彼と対戦した後、小学校中学年くらいの彼の息子とも対戦したのであった。ちなみにそっちは勝てた。 「さて、そろそろ始めますか。私も息子に負けるなと言われているんですよ。というわけで君には悪いが手抜かりは一切ナシで行かせてもらうよ」 「……お願いします」 バトルベルトを起動して対戦の準備を整える。前回はコテンパンにされたのだから、今回は前よりはマシな戦いをすることを目標だ。そう、たとえばせめてサイドを四枚引くくらいか。 「さて、私が先攻をさせてもらってもよろしいですかな」 「はい」 中西さんの最初のバトルポケモンはヒンバス30/30。ベンチにはヤジロン50/50。前戦った時の中西さんのデッキは闘タイプメインのパワーデッキだったがあの時とはまた違うデッキのようだ。 一方僕のバトルポケモンはダンバル50/50でベンチにも同じダンバルが一匹。理想の形ではないが戦えない訳ではない。 「それでは私のターンから。手札の水エネルギーをヒンバスにつけまして、ヒンバスのワザのカウントドローを使わせていただきます。このカウントドローは相手の場にある進化していないポケモンの数だけ山札からカードを引く効果を持っています。今君の場にいる条件に該当するポケモンは二匹。よって二枚引かせてもらい、ターンエンドです」 今回の彼のデッキはどういうデッキなのか、出来れば早めに見切りたかったのだが。もしかして準備に手間がかかるのか? 「僕のターン。ゴージャスボールを使います」 ゴージャスボールはデッキから好きなポケモン(ただしLV.X除く)を手札に一枚加えることのできるグッズだ。僕が選んだのはヌマクロー。 「更にハマナのリサーチを使って僕はデッキから鋼エネルギーとミズゴロウを手札に加え、ベンチにミズゴロウを出します」 ハマナのリサーチはデッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで選んで手札に加えることのできるサポーターだ。そしてベンチに出したミズゴロウ60/60は二進化するたねポケモンでは高水準のHPを持つ部類だ。 「さっき加えた鋼エネルギーをダンバルにつけてピットサーチ!」 ダンバルの赤い眼から真っすぐ会場の天井に向けて同じ赤いレーザーポイントのような光が発せられる。このワザは自分のデッキからスタジアムカードを一枚選んで相手プレイヤーに見せてから手札に加えるもの。僕は破れた時空を加えた。 「私のターンだね。手札からサポーターカードのデパートガールを使わせてもらうよ。このカードの効果で私は自分の山札からポケモンの道具を三つ手札に加えるんだ。私はエネルギーリンク二枚とベンチシールドを一枚手札に入れてそのベンチシールドをヤジロンにつけさせてもらおうか」 ベンチシールドをつけたポケモンはベンチにいるかぎりワザのダメージを受けない。つまりヤジロンにダメージを与えるならバトル場にひきずりださないといけないわけだ。 「さらにグッズカードのミステリアス・パールを発動。このカードの効果で自分のサイドを全て確認し、その中にあるポケモンを一匹相手に見せてから手札に加えることができる。加えた場合はこのミステリアス・パールをオモテにしてサイドに置くんだ。私はミロカロスを加えるよ」 ミステリアス・パールはかなり人気なレアカードだ。大会上位者のみもらえる限定カード。よく持っているな。 「そしてヒンバスをミロカロスへと進化させて水エネルギーをつけよう」 小さい小さいヒンバスが、光り輝きながらそのフォルムをより大きく、美しく作り変えていく。ミロカロス90/90はヒンバスのHPの三倍もある。これはどう切り抜けるべきか。 「ミロカロスで攻撃といこうか。クリアリング」 大きな体を活かしたミロカロスの攻撃がダンバルに襲いかかる。しかしダメージは思ったより軽く20で済んだ。まだHPは30/50残っている。 「僕のターン! 手札からスタジアムカード、破れた時空を発動」 フィールド全体が破れた時空に姿を変えていく。このスタジアムが場にある限り、お互いのプレイヤーは自分のターンに場に出したばかりのポケモンを進化させられる。 「バトル場のダンバル、ベンチのミズゴロウをそれぞれ進化させる!」 これで僕のポケモンは全体的に強化された。メタング60/80もヌマクロー80/80もHPは一進化の平均。簡単には倒されまい。 「そしてメタングのポケボディー、メタルフロートの効果で逃げるエネルギーがなくなったメタングを逃がしベンチのダンバルを新しくバトル場に出してメタングに闘エネルギーをつける!」 メタングのメタルフロートはこのポケモンに鋼エネルギーがついているなら逃げるエネルギーがなくなるというもの。ここはダンバルを盾にして自分の体勢を整えておきたい。 「ダンバルにはエネルギーがついてないからワザは使えない。ここでターンエンド」 「では私のターン。遠慮はしないよ。ヤジロンをネンドール(80/80)に進化させてポケパワーのコスモパワーを使おう。この効果は手札を一枚か二枚を山札の底に戻して手札が六枚になるようにドローするものだ。今の私の手札は六枚。そのうち二枚を山札の底に戻して山札から二枚引く。そしてサポーターのミズキの検索を発動だ」 ミズキの検索は手札のカードを一枚戻してデッキからポケモンのカードを手札に加えるサポーター。一気に攻めてくるつもりか。 「私はヒンバスを手札に加えてベンチに出す。さらに破れた時空の効果で、ヒンバスをミロカロスに進化だ」 しかし今回のミロカロスはさっきのミロカロスと違う。色違いのミロカロス80/80だ。既にバトル場にいるミロカロスよりもHPが10少ない。 「バトル場のミロカロスに水エネルギーをつけて攻撃だ。スケイルブルー!」 ミロカロスの足元から僕の背丈の三倍くらいはありそうな巨大な波が発生し、ダンバルに打ちつける。見た目通りの壮絶な威力で、あっという間にHPが0だ。次のポケモンに僕はメタングを選択。 「このワザの威力は90から自分の手札の枚数かける10引いたものでね、今の私の手札は二枚。だから与えるダメージは70だ。サイドを引いてターンエンド」 サイドを引く……。つまり手札が一枚増えたことになる。だからなんだっていうんだ。でも何か引っかかる。 「それじゃあ僕のターン! 手札からハマナのリサーチを使って闘エネルギーとヤジロンを手札に加え、ヤジロン(50/50)をベンチに出す。そして破れた時空の効果でヤジロンをネンドール(80/80)に進化させ、僕もコスモパワー!」 手札を一枚だけデッキの底に戻す。これで二枚になったから四枚ドローだ。 「メタングに鋼の特殊エネルギーをつけ、メタグロスへ進化だ! メタグロスのポケボディー、グラビテーションの効果で場のポケモンのHPは全て20ずつ小さくなる!」 メタグロスを中心に薄い紫色のドームが形成され場のポケモン全てを包み込んだ。その中にいるポケモンは変な重力に押しつぶされそうでいる。 このポケボディーで僕のポケモンのHPはメタグロスが90/110、ヌマクローとネンドールが60/60。中西さんのポケモンはミロカロス70/70にネンドールと色違いのミロカロスが60/60。 更にメタグロスにつけた鋼の特殊エネルギーは通常の鋼エネルギーと違って鋼ポケモンについているなら受けるワザのダメージを10減らしてくれる。これでグラビテーションのディスアドバンテージも多少はどうにかなる。 「10足りない……。くっ、メタグロスでミロカロスに攻撃。ジオインパクト!」 メタグロスが四つもつ腕のうち一つを地面に擦りつけながら低空移動しミロカロスに近づく。そしてずっと地面に擦りつけていた腕を一気にアッパーカートのように振り上げミロカロスに強大な一撃を喰らわせた。さらに地面から腕を振り上げた際に同時に地中から飛び出した岩がベンチの色ミロカロスに襲いかかる。 「ジオインパクトは場に自分のスタジアムがあるとき、攻撃した相手と同じタイプのポケモンにも20ダメージを与える」 このジオインパクトの元の威力は60。よって相手のミロカロスのHPは10/70、ベンチの色ミロカロスは40/60。 「むっ」 中西さんの表情が僅かに陰る。 「なかなかいい攻撃だ。だが少しだけ足りなかったね」 そう、バトル場のミロカロスは10だけHPを残している。さっき引かれた分のサイドをここで取り返しておきたかったのだが……。 「それでは私のターン。ベンチにカゲボウズ(グラビテーションの効果を受けてHPは30/30)を出そう。そしてバトル場のミロカロスについている超エネルギーをトラッシュしてベンチの色ミロカロスと交代だ」 ここで交代か。だが意図することが分からない。次にジオインパクトを食らえば二匹ともども気絶なのに。更に色ミロカロスにはまだエネルギーはついていない。ワザを使うにはエネルギーが三つ必要なのだ。 「更に手札のポケモンの道具、エネルギーリンクをバトル場の色ミロカロス、ベンチのミロカロスにつけて効果を発動。エネルギーリンクがついているポケモン同士ではエネルギーの移動が自由になるのでね、ミロカロスについている水エネルギー二枚をバトル場の色ミロカロスに移動させ、手札の水エネルギーを色ミロカロスにつけるよ」 これであっという間に色ミロカロスにエネルギーが三枚ついた。早すぎる。 「色ミロカロスで引き潮攻撃といこう」 引き寄せる波がメタグロスを襲う。グラビーテションが発動している中ではいつもよりもダメージの比率が大きい。だから僅かなダメージでも痛いのだが。 引き潮攻撃は80に、色ミロカロスに乗っているダメージカウンターの数×10だけ引いた分の威力を与えるモノ。今色ミロカロスには二つダメカンがあるから80−20で60、更に鋼の特殊エネルギーで10引いて50ダメージだ。これでメタグロスのHPは40/110。 「……」 次同じだけダメージを受ければまずいな。確実にダメージを与えていきたいところだが……。 「先に言っておくが、この色ミロカロスにはアクアミラージュというポケボディーがあるんだ。アクアミラージュは手札が一枚もないときこのポケモンはダメージを受けないというものでね、今の私の手札は?」 「0……」 「そう。だから次のターンに色ミロカロスがダメージを受けることはなく、君のメタグロスを確実に仕留めるよ」 中西さんが前もって説明するということは当然余裕があるということだ。このままでは前と同じく一方的にやられて終わるだけだ。 そんなのは、イヤだ……!
向井「僕もこのコーナーいいんですか? えっと、それじゃあ今回のキーカードはメタグロスです。 ポケボディーのグラビテーションをどう使うかがカギです」
メタグロスLv.68 HP130 鋼 (DPt3) ポケボディー グラビデーション おたがいの場のポケモン全員の最大HPは、それぞれ「20」ずつ小さくなる。おたがいの場で複数の「グラビテーション」がはたらいていても、小さくなるHPは「20」。 鋼鋼無 ジオインパクト 60 場に自分の「スタジアム」があるなら、相手と同じタイプの相手のベンチポケモン全員にも、それぞれ20ダメージ。 弱点 炎+30 抵抗力 超−20 にげる 3
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無から有を ( No.89 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:02
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 手札が0。
カードゲームでは果てしなく無謀に近い行為だ。手札が0ということはやることがない、出来ることが無いというのと同意。しかし目の前にいる中西さんは簡単にやってみせた。 僕の場には闘、鋼、特殊鋼エネルギーがついているメタグロス40/110とベンチにはヌマクローとネンドールどちらも60/60。 中西さんの方にはエネルギーリンクと水エネルギー三つつけた色違いのミロカロス40/60と、ベンチシールドのついたネンドール60/60、エネルギーリンクのあるミロカロス10/60とカゲボウズ30/30がいる。 全体的にHPが少ないのは僕のメタグロスのポケボディー、グラビテーションのせいだ。全てのポケモンの最大HPが20ずつ下がるという特徴あるポケボディー。 しかしこれより強烈なのは中西さんの色ミロカロスのポケボディーだ。アクアミラージュは手札が0枚の時、相手のワザのダメージを受けない。さっきも述べたが今の中西さんの手札がそれだ。つまりダメージを与えれない。 「このままじゃあ……。僕のターン!」 ……。今引いたカードはミズキの検索。このカードで何が出来るか。 「長考かい? まあ軽率な行動をせずにじっくり考えるのはとてもいいことだね。でもこのハンドレス(手札0)コンボを攻略出来るかな?」 「ここは運否天賦で! ヌマクローのポケパワーを使います。飛び込む!」 デッキポケット横のコイントスボタンを押す。コインが回転するアニメーションが出る。そしてその結果は。 「オモテか……」 もしこれでウラだったら万策尽きていた。ほっと胸を撫でる。 「このポケパワーはコイントスでオモテだったときに効果を得、自分のバトル場のポケモンのエネルギーを全てヌマクローにつけかえてヌマクローとそのポケモンを入れ替える!」 メタグロスがベンチに戻ると、ヌマクローが水泳の飛び込みの要領でバトル場にやってきた。ヌマクローはメタグロスの鋼、闘、鋼特殊エネルギーを引き継いだが、鋼特殊エネルギーの効果は当然受けることができない。 「? これが一体……。ヌマクローのワザでは私のミロカロスは突破できない上に次の私の番に攻撃すればヌマクローは気絶なのだけども」 「もちろんこれだけじゃないですよ。ミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからラグラージを加え、進化!」 ヌマクローの体が光に包まれ大きくなり、ラグラージへ変わっていく。足はもちろん両手を地につけてから雄たけびをするパフォーマンスも中々良い。 「なるほど、ラグラージのHPは130。正しくはメタグロスのグラビテーションで110/110になるけどもこれでなんとか次の番は凌げるね」 「それだけじゃありませんよ」 「……?」 「ラグラージに水エネルギーをつけて手札を一枚戻しネンドールのコスモパワー! 今の手札が二枚だから四枚ドロー。そしてベンチにミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)を出して、ラグラージで攻撃! 引きずり出す!」 ラグラージは僕のバトル場から跳躍して相手の場へと向かう。 「攻撃? 私の色ミロカロスは───」 しかしラグラージはその色ミロカロスの上を通過し、ベンチで控えている普通のミロカロスに地面に着く際に拳でハンマーのように殴りつけた。ズシンと会場震える程の音で勢いよく殴りつけられたミロカロスは気を失い、さらにラグラージはミロカロスを掴むと乱雑にバトル場へブン投げる。場所を失った色ミロカロスはベンチへ仕方なく下がるしかなかった。 「これは……」 「ラグラージの引きずり出すはダメージを与える前に相手のベンチポケモンを一匹を無理やりバトル場に文字通り引きずり出すことが出来るワザ。これならアクアミラージュをかわして攻撃出来る!」 中西さんは参ったなと顎を撫でた。引きずり出すは威力30のワザだが、虫の息だったミロカロスを倒すには十分だ。中西さんは懲りずに色ミロカロスをバトル場に出す。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「いいね。私のターン。……それじゃあ私もネンドールのコスモパワーだ。手札を一枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようにドローする」 今の中西さんの手札は1枚、それを一枚戻してからドローなので六枚ドロー。だけど何故ハンドレスをやめる? 手札を六枚消費するのは中々骨で、ポケモンカードならたねポケモンがいないのに進化ポケモンが来ると詰んでしまう。 「私はカゲボウズをジュペッタ70/70(グラビテーション計算済み)に進化させる。そしてレックウザC80/80(同じく)をベンチに出そう」 グラビテーション下でたねポケモンなのに80/80なんて、なんてHPの高さだ。 「更にレックウザCにエネルギーリンクと超エネルギーを一つつけるよ」 あっという間に残り手札が二枚。でもこの二枚を処理するのは流石に厳しいはず! 「ここでジュペッタのポケパワーだ。癇癪!」 合図と共にベンチでジュペッタが一人暴れだす。しかしそれは誰に向けられたものでなく、自分を傷つけるだけであった。ジュペッタのHPが50/70へ、20下がる。自分を傷つけるポケパワー、一体どういうことだ? 「この癇癪は自分の手札を好きなだけトラッシュし、トラッシュした枚数分のダメージカウンターをこのジュペッタに乗せるんだ。私は残りの手札二枚をトラッシュしてジュペッタにダメージを与えたと言う訳だ」 リスクはあるもののきちんとそういうための策も取ってあると言う事か。トラッシュされたカードはカゲボウズ、マルチ・エネルギーの二枚。そして中西さんの手札は再び0となった。 「それでは攻撃。ミロカロスで引き潮だ」 色ミロカロスに乗っているダメージカウンターは依然二つ。80から20引かれた60ダメージがラグラージに襲いかかり、HPは50/110となる。このままでは次のターン気絶してしまう。 「さあ、君のターンだ」 いや、気絶してしまう。というトラップか! よくよく考えればそれは必然じゃあないか。色ミロカロスにダメージを与える方法は意外と簡単なところにあった。問題なのは自分の場ではそれをやるだけの役者が揃っていないということ。 「僕のターン、ドロー!」 引いたカードはアンノーンQ。このカードを使えばやろうとしていることが案外簡単にできるかもしれない。 「アンノーンQ10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出します」 「HPがたった10……」 「そしてダンバル30/30(グラビテーション計算済み)を出してこいつに鋼の特殊エネルギーをつけます。さらに破れた時空の効果でダンバルをメタング60/60(計算済み)に進化させ、ネンドールのコスモパワー。手札を二枚デッキの底に戻して四枚ドロー。そしてアンノーンQのポケパワーをここで使います。QUICK!」 ベンチでぼんやりとしてたアンノーンQは指令と共にバトル場のラグラージによると、そのまま背中に張り付いた。まるでアンノーンQがシールになったかのようだ。 「QUICKは1ターンに一度このポケモンについているすべてのカードをトラッシュしてこのポケモンをポケモンの道具として自分のポケモンにつけることができる。このカードをつけているポケモンの逃げるエネルギーは一個分少なくなる。だからラグラージの逃げるエネルギーは二から一へ下がるんだ。そしてラグラージの特殊鋼エネルギーをトラッシュしてベンチのミズゴロウと入れ替える。ターンエンド!」 「ミズゴロウ……。なるほど、確かに」 中西さんはまるで出したクイズの答えを当てられたかのような表情をする。 「私の色ミロカロスが相手を気絶してサイドを一枚引くとなると私に手札が発生する。そして色ミロカロスのアクアミラージュは効果を失う。確かにその通りだ」 だがその顔には余裕がある。 「私がその辺の対策をしていないとでも?」 一気に血の気が引いた気がする。そして積み上げたものが一気に瓦壊したような。 「それでは私のターン。エネルギーリンクの効果で色ミロカロスについている水エネルギーを二つ程レックウザCに動かそう」 色ミロカロスとレックウザCについている装置が共鳴しあって、色ミロカロスについている水シンボル二つがレックウザCに移る。 「そして水エネルギーを一つトラッシュして色ミロカロスをベンチに逃がし、レックウザCをバトル場に」 わざわざ色ミロカロスを控えるのか。そこまで大事にするのは、色ミロカロスが中途半端なダメージを受けると邪魔にしかならないからだろう。確かにそうだ。それが定石だ。自分目線でしか考えれていなかった。 「レックウザCにマルチ・エネルギーをつける。このカードは、これ以外の特殊エネルギーがついているなら無色1個ぶんにしかならないが、そうでなければ全てのタイプのエネルギー1個分として働く。レックウザCで竜巻攻撃」 中西さんはワザの指定と同時にコイントスを二回行った。ウラ、オモテ。その判定が終わるとレックウザが強力な風を吹き起こす。それはバトル場で一つの竜巻となって、ミズゴロウの体を飲み込んでいく。暴風の中でぐるんぐるんと回され、終いには空高くはじき出されたミズゴロウはそのまま地面に打ち付けられてHPバーを0にする。 テキストを確認するとこの竜巻というワザは威力50のワザで、二回コイントスしてオモテの数だけ相手のエネルギーをトラッシュしてしまうものだ。ただし二回裏だとこのワザ自体が失敗してしまう。決して安定したワザとはいえない。 全ての予定がこれで狂ってしまった。しかしここはラグラージでいくしかない。 「さて、サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「僕のターン!」 あのレックウザCを一撃で沈める方法はあることはある。しかしその条件が、そのためのカードが引けない……! 「くそっ、どうしよう」 今の手札はミズキの検索、ポケモンパルシティ、ネンドール、破れた時空、水エネルギー、鋼エネルギー、ラグラージ。どうにかしないと。どうにかしてチャンスを作り出さないと。 「ミズキの検索を使って、手札を一枚戻してメタグロスを手札に! それでメタングを進化だ」 ラグラージをデッキに戻してメタグロスを加え、そしてメタグロス110/110(グラビテーション計算済み)に進化。しかしメタグロスのグラビテーションは重複しなのでHPが40減ることはなく、20しか変動がない。 「破れた時空をトラッシュし、新しいスタジアムカードのポケモンパルシティを使う」 周りの風景が元の会場に戻ると、間髪入れずにポケモンがモチーフとなった建物が並ぶ街並みに変わった。ピカチュウの顔の形をした家や、あちこち空にモンスターボールのバルーンが浮かんでいる。 「そしてパルシティの効果発動。各プレイヤーは自分のターンに一度、デッキの上からカードを七枚確認してその中のたねポケモンを好きなだけベンチに出すことが出来る」 しかしベンチに出せるたねポケモンがない。確認した後、シャッフルさせる。これで僕の手札は四枚。 「ネンドールのコスモパワー。手札を二枚戻し、四枚ドローだ」 手札の水エネルギーとネンドールを戻してこのドローに賭けてみた。しかし結果はうまい事行かず。 「ぐっ、水エネルギーをラグラージにつけて押し倒す」 ラグラージは、レックウザCに向かって走り出すと途中で飛びかかった。そのままショルダータックルをかましてレックウザCのバランスを崩すと、気合いのこもった右拳がレックウザCの体に打ち込まれた。強烈な攻撃を受けたレックウザCは思わずバトル場に倒れ伏し、そのレックウザCの背の上にラグラージが立っていた。辛そうなレックウザCのHPは気絶手前の10/80。 「このワザの元々の威力は60だけど、このカードについている闘エネルギーの数かける10ダメージ追加される! 合計70ダメージだ」 本当はさっきのコスモパワーで闘エネルギーを引くことができ、それをラグラージにつければ80ダメージ与えれてレックウザCを気絶させることができたのだが、闘エネルギーを引くことができなかったのだ。 だがしかしラグラージにはルートプロテクターというポケボディーを持っていて、進化していないポケモンから受けるワザの威力を20弱める効果がある。再び竜巻攻撃が来ても50−20で30ダメージだけ。ラグラージは凌ぎきることが出来る。 「それでは私のターンだ。ミラクル・ダイヤモンドを発動」 「ミラクル・ダイヤモンド!?」 これも超レアなプロモカードだ。ミステリアス・パールといいとても珍しいカードを持っている。 そしてミラクル・ダイヤモンドのカードは自分のサイドを全て確認し、その中にあるトレーナーのカードを一枚手札に加えることができ、加えた場合このミラクル・ダイヤモンドを表向きにしてサイドに置くというものだ。 「ミラクル・ダイヤモンドでミズキの検索を手札に加え、早速使うよ。手札を一枚戻してレックウザC LV.Xをデッキから加えてレベルアップだ!」 バトル場のレックウザCが力に溢れた輝きを放つ。残り僅かしかなかったHPも、30/100とまだある程度まで増やした。しかし問題は威圧感を強く放っていることだ。なんていう力強さを放つカード。 「さて、再び私の手札は0」 中西さんはまるで可愛い幼子を遠目で見るような微笑みで僕を見つめる。 「ポケモンカードでの最大火力を御見舞してあげよう」
向井「今回のキーカードはラグラージです。 ルートプロテクターで相手の攻撃を防ぎつつ、 引きずり出して押し倒すパワースタイルがウリです」
ラグラージLv.60 HP130 水 (DPt3) ポケボディー ルートプロテクター このポケモンが受ける、相手の「進化していないポケモン」のワザのダメージは、「−20」される。 水無無 ひきずりだす 30 のぞむなら、ダメージを与える前に、相手のベンチポケモンを1匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えてよい(新しく出てきたポケモンにダメージを与える)。 水無無無 おしたおす 60+ 自分の闘エネルギー×10ダメージを追加。 弱点 草+30 抵抗力 − にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「芸能人事情2」 恭介「俺さ、昨日家の近くのコンビニではんにゃの二人にあったんだ!」 翔「また芸能人ネタかい」 恭介「俺ほど芸能人に会う人はいねーだろー!」 翔「芸能人っていうかお笑い芸人ばっかじゃん」 恭介「一応芸能人じゃん!」 翔「俺はこないだ知念君を見かけたぜ」 恭介「お前もジャニーズばっかだろ!」 翔「知らんよ! なんで俺に言うの」 恭介「なあ蜂谷、お前も何か言ってやれよ!」 蜂谷「俺はこないだ上野公園でアンガールズの田中見かけたから声をかけたら苔食わされた」 翔&恭介(なんでいちいち声かけるのかな……)
─── 久しぶりの本編更新。 そして宣伝ですが夏企画無事おわりました! 是非是非投票だけでもいいのでしていってください。
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由香里のダイエット ( No.90 ) |
- 日時: 2011/01/25 19:01
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- おまけ・ポケカ番外編
「由香里のダイエット」 啓史「おはよう由香里」 由香里「おっ、啓史おっはよー。……最近痩せた?」 啓史「一キロだけな。ってなんで分かんの?」 由香里「勘や勘。女の勘っていうヤツ?」 啓史「冬はなんかしらんけど痩せるなぁ。夏は逆」 由香里「普通って夏痩せて冬太らん?」 啓史「俺汗っかきやけど、汗かいた以上に水分取るから水太りするんかな」 由香里「あたしは逆やなー。冬太る。お陰で今太ってるわ」 啓史「そうかぁ? 由香里痩せてると思うねんけど」 由香里「平均よりは痩せてるけどあたし的には太ってる。今何キロと思う?」 啓史「変に難しい質問しやがって……。五十キロ?」 由香里「失敬な」 啓史(そう言うだろと思った)「で、なんぼなん?」 由香里「四十八。今年の夏は四十二やった」 啓史「六キロ差って結構やな」 由香里「やろ? でもさでもさ。太ってから痩せたらバストアップになんねんて」 啓史「まーた眉唾な」 由香里「いーやいやいや。あたしはそれで大きくなってんねんから」 啓史「ふぅん」 由香里「啓史もそのうちおっきくなるんちゃう?」(啓史の胸を揉みだす) 啓史(由香里の頭を思わずはたく)「アホか!」
─── 今日は気長の連載始まって丁度4年目! もう3年くらい休載してるだろうけど! そしてポケカの挿絵をレイコさんと海さんが書いてくださいました! 53話「PCC予選」 http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/53.html 67話「天王山」 http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/67.html
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挑戦 ( No.91 ) |
- 日時: 2010/09/12 00:03
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「レックウザC LV.Xでラグラージに攻撃。ファイナルブラスト!」
深く息を吸い込んだレックウザC LV.Xの口から無慈悲なほど巨大で強大な極太レーザーが発射された。 あまりの光で目が、爆発するかのような音で耳が、大気を震わす衝撃で平衡感覚がどうにかなってしまいそうだった。なんとか両膝を足につけて堪える。 レーザーにすっぽり飲み込まれてしまったラグラージはHPバーを確認するまでもなく0となり、散っていく。 「これがポケモンカード最大火力、200ダメージ。ポケモンカードでHPが200を越すポケモンはいない。つまりどんな相手でも一撃で倒す強烈なワザだ。ルートプロテクターなんていう小細工も通用しないよ」 「でもそれほどの威力ならデメリットも……」 「ファイナルブラストは確かにデメリットを持っている。……が、それを回避出来るんだ」 「回避?」 「このワザは自分のエネルギーを全てトラッシュしなくてはならないデメリットがある。しかし手札が0のとき、その効果はなくなるんだよ」 ニヤリ。ああ、あれは勝負師の笑みだ。いや、でも中西さんは本気で僕を相手してくれている。だからこそ諦めちゃダメだ。僕を認めてくれている。こちらも全力で戦ってそれに応じなくてはならない。 中西さんのレックウザC LV.Xにはポケモンの道具のエネルギーリンクが、エネルギーは水が二つ、超、マルチ・エネルギーがついているが残りHPは30/100。ベンチにはジュペッタ50/70、ベンチシールドをつけているネンドール60/60、エネルギーリンクをつけた色違いのミロカロス40/60がいる。 今僕のベンチにはネンドール60/60、メタグロス40/110、特殊鋼エネルギーがついたメタグロス110/110。レックウザC LV.Xの残りHPは僅かだが、それに止めを刺すにはどのポケモンでもワザエネルギーが不足している。 メタグロスのグラビテーションというポケボディーで全てのポケモンのHPを20ずつ下げている。残りサイドは僕が五枚で中西さんが四枚。 「僕はメタグロス(40/110)をバトル場に出す」 「サイドを引いて私はターンエンドだ」 これで中西さんとのサイド差は二枚になった。 「僕のターン。ポケモンパルシティの効果でデッキの上から七枚確認し、その中のたねポケモンを好きなだけ確認してベンチに出す。……、ミズゴロウ40/40(グラビテーション計算済み)をベンチに出してデッキをシャッフル!」 そういえば先ほどのターン、中西さんはパルシティを使わなかった。しかし次のターン使われるかもしれない。こういう相互に有益のあるカードは早いうちに自分から潰しておくべき。 「ポケモンパルシティをトラッシュし、破れた時空を発動。さらにメタグロス(110/110)に鋼エネルギーをつける」 可愛げのある街から元の会場へ戻り、休む間もなく破れた時空へと周囲が様変わりだ。このエフェクトは目が疲れるからもう少しなんとかしてもらいたいなぁ。 「ネンドールのコスモパワーで手札を二枚戻して四枚ドロー」 この状況をなんとかできそうなカードを引き当てれた。もう少しこれは温存しておこう。 「ターンエンド」 「それではわたしのターン。手札の超エネルギーをジュペッタにつけ、こちらもネンドールのポケパワーを発動。手札を一枚戻して六枚ドロー」 またもや六枚ドロー。今度は一体何をするのか……。 「ヒンバス10/10(グラビテーション計算済み)をベンチに出し、破れた時空の効果でヒンバスを色ミロカロス60/60(計算済み)に進化させる」 これで一番の難敵色ミロカロスが二匹揃ってしまった。しかし色ミロカロスの欠点として、ワザエネルギーが水水無の3つもあることが挙げられる。今の色ミロカロスは二匹ともエネルギーがない。まだ大丈夫、まだしばらく大丈夫だ。 「そしてジュペッタの癇癪。手札を四枚捨てる」 「四枚ということは40ダメージ……!」 中西さんは手札から夜のメンテナンス、ワンダー・プラチナ、思い出の実、ハマナのリサーチを捨ててまたもや手札を0。そして癇癪は棄てた枚数だけジュペッタにダメージカウンターを乗せるポケパワーであり、合計40ダメージ分受けて残りは僅か10/70とギリギリだ。 「さあ、ファイナルブラスト!」 もう一発、激しい光の束がメタグロスを丸ごと包み込む。自然と目を塞ぎ手で耳を押さえる。大気の震えで体がガクガク震える。本当にこれが3Dなのか、なんていう迫力、パワーだ。もちろんワザとしての威力は言うまでもない。今バトル場にいるメタグロスは当然気絶となる。 「次もメタグロスをバトル場に!」 「サイドを引いて終わりだ。これで残りのサイドは二枚だね」 そう、中西さんのサイドは既に表向きになっているミラクル・ダイヤモンドとミステリアス・パールだけだ。 「まだまだ! 僕のターン、メタグロスに闘エネルギーをつけてミズゴロウをヌマクロー60/60(グラビテーション計算済み)に進化させてメタグロスでジオインパクト!」 メタグロスが腕で地面をえぐりながらレックウザC LV.Xに接近し、腕を勢いよく地面から離すとレックウザC LV.Xを下から上へ殴りつける。上へ殴り飛ばされたレックウザC LV.XはHPバーを0に減らしつつ宙を舞うと、そのまま自由落下していく。ズドンと重い音を鳴らして崩れていった。 「む……。それではジュペッタをバトル場に出そう」 「サイドを一枚引いてターンエンド!」 まだ僕のサイドは四枚も残っている。でもまだまだ諦めない! ようやく一番攻撃力のあるレックウザC LV.Xを倒したのだ。ここからは少し楽になるはず。 「私のターン。ダメージを受けていない方の色ミロカロスに水エネルギーをつけよう。そしてジュペッタの超エネルギーをトラッシュしてダークスイッチ!」 ジュペッタは口についているファスナを開き、顎が外れるのではないかと疑うくらい大きく開けると、口の中から火の玉と思わしきものが六つ程出てきた。そしてなんとジュペッタのHPが先ほどまで10/70だったのに対し今は70/70となっている。 それら火の玉はジュペッタの元を離れてメタグロスの傍によると、メタグロスの体の中に侵入していく。火の玉が一つ侵入していくにつれメタグロスのHPは10ずつ下がり、結果的に50/110と60も減らされてしまった。これはまるで……。 「ダメカンが入れ替わった……?」 「その通り。ジュペッタのダークスイッチは自分のエネルギーを一つトラッシュすることで、自分と相手のダメージカウンターをすべて乗せ換えるモノ。癇癪で蓄えていたダメージをここで放出したわけだ」 「ぐっ……。僕のターン! ヌマクローのポケパワーの飛び込むを発動! ベンチにこのポケモンがいるときコイントスをし、オモテの場合自分のバトルポケモンについているエネルギーをすべてこのポケモンにつけかえてバトルポケモンと入れ替える!」 ここでオモテを出しておかないと後で辛い展開になるのは必至……! 「残念、ウラだね?」 しかし無情にもオモテは出なかった。決死のポケパワーも決まらなかった。 「だったらヌマクローに水エネルギーをつけてミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからラグラージを手札に加える。ネンドールのコスモパワーでデッキの底に手札を二枚戻し、三枚ドロー」 いや、よくよく考えるとジュペッタは次のターンワザを使えない。なぜならジュペッタにワザエネルギーはなく、ワザエネルギー一個で使えるワザはダークスイッチのみ。わざわざ使う意味がないからだ。 だから飛び込むを使うタイミングを間違えていた。ある意味ウラが出てよかったかもしれない。 「メタグロスでジオインパクト!」 ジュペッタに重い一撃が襲いかかる。先ほどダークスイッチでHPをマンタンに戻したにもかかわらず再び10/70とさっきと同じHPまで下げてやった。 「私のターン。手札から水エネルギーをまだダメージを受けていない色ミロカロスにつけ、グッズカードの夜のメンテナンスを使わせてもらうおう。このカードでトラッシュにあるポケモン、基本エネルギーを合計三枚まで戻すことができる」 中西さんが指定したのは水エネルギー二枚と超エネルギー一枚。エネルギー蒐集に回ろうとしているのか? 「そしてターンエンドとしておこう」 やはりジュペッタは棄てに入ったか。しかしそれでも中西さんの手札は再び0になっていた。 「僕のターン。手札の闘エネルギーをヌマクローにつけて飛び込む!」 今度のコイントスはきっちりオモテ。メタグロスの鋼、闘、特殊鋼エネルギーをも引き継ぐことになった。 「ここでヌマクローをラグラージ110/110(計算済み)に進化し、押し倒す攻撃。今ラグラージには闘エネルギーが二つついているから、60に20足して80ダメージ!」 残りHP10のジュペッタを一撃であっさり倒してしまうオーバーキルだ。次のポケモンには先ほどからエネルギーをちまちまと蓄え続けていた色ミロカロス60/60。本当は引きずり出すでこちらを攻撃したかったのだが相手の手札は0枚、アクアミラージュでダメージを与えられない。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「私のターン。ネンドールのポケパワー、コスモパワーで今引いたカードをデッキの底に戻し、手札が六枚になるようにつまり六枚引かせてもらう。ベンチにカゲボウズ30/30、ヒンバス10/10(どちらも計算済み)を出し、ミズキの検索を発動。手札を一枚デッキに戻してデッキからミロカロスを手札に加えるよ。そして破れた時空の効果でヒンバスをミロカロス70/70(計算済み)に進化し、カゲボウズにポケモンの道具の達人の帯をつける。この効果でカゲボウズのHPと与えるワザのダメージは20ずつ上がりHPは50/50となる。そして最後にバトル場の色ミロカロスに水エネルギーをつけて引き潮攻撃だ」 ラグラージの背後から襲いかかる波はラグラージを大きく飲み込みダメージを与える。今バトル場にいるミロカロスはダメージを受けていず、引き潮の効果で与えるダメージは80のままだ。これであっさりとラグラージのHPは30/110へと減らされてしまう。 「さあ、君のターンだ。と言っても私の色ミロカロスにダメージを与えることができるかな?」 「出来るさ」 「……?」 「僕のターン。手札からサポーターカードのハンサムの捜査を発動!」 「ハンサムの捜査……。そうかその手が!」 「このカードは相手の手札を確認し、そののち自分か相手を指定して指定されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻して手札が五枚までドローしなくてはならない。そうすればそのハンドレスコンボも終わりだ!」 「くっ……」 中西さんが初めて苦しい表情を見せ、カードを二枚ドローする。ハンサムの捜査は五枚「まで」ドローするカードなので一枚以上五枚以下であれば任意の数だけ引くことができるのだ。 「ベンチのメタグロスに水エネルギーをつけてラグラージで色ミロカロスに押し倒す攻撃!」 ラグラージがミロカロスに向かって飛びかかる。ズン。と鈍い、重い音を立てて色ミロカロスはバランスを崩すと、そのままラグラージの下敷きになってしまった。 「闘エネルギーが二枚ついているから80ダメージ、その色ミロカロスは気絶! サイドを一枚引いてターンエンド!」 よし、この調子ならまだまだ行ける。中西さんが次に出したのはHPが僅か50/50で達人の帯をつけた、エネルギーがまだ一枚もないカゲボウズ。 達人の帯をつけるとHPとワザの威力が20ずつ上昇するものの、このポケモンが気絶したとき逆に相手はサイドを一枚多く引けるデメリットがある。 そしてラグラージには進化していないポケモンから受けるダメージを20減らすルートプロテクターというポケボディーがあるから一撃でやられるなんてそうそうないだろう。逆にこちらが次のターンカゲボウズを倒してしまえば僕の勝ちとなる。勝てるんだ! 「私のターン。バトル場のカゲボウズに超エネルギーをつけさせてもらい、攻撃だ。ぱっと消える」 ふよふよとラグラージのそばにやってきたカゲボウズが、頭の棘でチクリとラグラージに攻撃する。見た目通りの威力のなさそうなワザだ。 「残念ですけどラグラージにはルートプロテクターというポケボディーがあって進化していない───」 「それは分かっているよ。ただいろいろ言う前に君のラグラージを確認してごらん」 一瞬何を言いたいか分からなかったが、ラグラージのHPバーを確認してすぐに分かった。残り30あったHPが尽きている。 「そんな……。50ダメージ与えないと倒せないのに」 「ぱっと消えるの元々の威力は30だが、達人の帯で20プラスされて50ダメージということだ」 「でもカゲボウズのHPは僅か、すぐに倒せば……」 「倒せれるかな?」 「!?」 中西さんの場を確認するが、なぜかバトル場にはカゲボウズではなくネンドール60/60。ベンチを探してみてもカゲボウズの姿はない。 「ぱっと消えるは自分と自分についているカードを全て手札に戻す効果がある、さすがに手札のポケモンを攻撃する術はないだろう」 「くっ……」 仕方なくメタグロス50/110を再びバトル場に繰り出す。 「サイドを引いて、これでリーチだ」 「まだまだ! 僕のターン。鋼エネルギーをメタグロスにつけてターンエンド」 「私のターン、カゲボウズ30/30(計算済み)を再びベンチに出し、カゲボウズに超エネルギーをつけてこちらもターンエンドだ」 どちらもワザエネルギーが足りなくて攻撃ができないのだ。 「僕のターン、手札のマルチ・エネルギーをメタグロスにつけてジオインパクト!」 重い一撃がネンドールの足元から襲いかかる。巨体が空を舞って無抵抗に落ちていく。HPは一撃圏内だったからこれで僕もサイドを更に一枚引いて同じくリーチになった。次に中西さんが出すポケモンが最期のポケモン。 「私はカゲボウズ(30/30)をバトル場に出そう」 カゲボウズが出たという事は……。 「そして私のターン。カゲボウズに達人の帯をつけてぱっと消える!」 中西さんの最後の攻撃がメタグロスに襲いかかる。 「くっ……」 ヌマクローで飛び込むをした際に特殊鋼エネルギーも移動させてしまったのが後々響いてしまった。 やっぱり僕じゃダメだったのか……。 カゲボウズの可愛げな頭突きがきっちりメタグロスのHPを0にしていく。 中西さんは表向きになっている最後のサイドカード、ミステリアス・パールを引いてこの勝負を終わらせた。 持てる力を出したはずだが、それでもまだ及ばなかった。少し目頭が熱くなった、もしかすると潤目になっているかもしれない。 「前と比べてかなり腕をあげたね。私のコンボを破られた時は本当に危なかったよ。でも、今回は勝たせてもらった」 中西さんは優しげな眼でこちらを見つめている。 「次はどうなるかは分からないけどね。また、機会があればそのときは……」 そう言って中西さんは去って行った。 悔しかった。中西さんが僕を認めてくれたのは嬉しかったが、ポケモンカードでこんなに悔しかったのは初めてだ。 抑えていた感情が急に溢れそうになったのでバトルベルトとデッキを急いで直すと人気のないところに走って行った。
向井「今回のキーカードはレックウザC LV.X。 圧倒的なそのパワー。威力200は最高火力! 手札が0なら何回でも打てる!」
レックウザC LV.X HP120 無 (DPt3) ポケボディー ドラゴンスピリット このポケモンが、バトル場で相手のワザのダメージを受けたとき(このポケモンのHPがなくなった場合はのぞく)、自分のトラッシュのエネルギーを1枚、このポケモンにつけてよい。 水超闘無 ファイナルブラスト 200 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。自分の手札が1枚もないなら、エネルギーをトラッシュする効果はなくなる。 ─このカードは、バトル場のレックウザC[チャンピオン]に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 無×2 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── 向井剛の使用デッキ 「力と技」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-821.html
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真摯 ( No.92 ) |
- 日時: 2010/09/12 09:49
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 健闘虚しく破れてしまった向井だったが、その隣では藤原が開始僅か七分で相手を仕留めるという速攻プレイで準々決勝を決めた。
その準々決勝で藤原が戦うのは能力者の高津。高津のプレイを見ていたが、強烈なパワーで相手をねじ込むタイプのプレイヤーのようだ。 そしてこの二回戦、今から俺、翔、長岡と戦う訳だがもう一戦は能力者の山本と松野さんの勝負。 彼女のことだから負けるだなんてことは微塵も思っていない。だから俺はただただ上へ進むことを望むだけだ。 このPCC、能力者の事で頭がいっぱいになっているがあくまで普通の公式大会なのだ。 東京の予選を勝ち抜いて、全国大会へと出場。果ては世界大会へ行って頂点を目指すのはここにいる誰もが思っていること。 例外なくこの俺もそうだ。こんなとこで負けてられない。少なくとも全国へ行って「あいつ」にリベンジを……。 「風見、そろそろ行こうぜ」 「ああ」 長岡が俺の肩をポンと叩くと、先に向かって行った。この二回戦、俺と長岡の両方が勝てばこいつと当たることになる。 まだポケモンカードを初めて一年どころか半年も経っていないが、持ち前の運の強さはもちろん実力も着々とついているのは認めよう。だからといって負ける気はさらさらない。なにしろ風見杯では勝っているのだ、どちらかというと得意な相手の部類に入るだろう。 とはいえまずはこの二回戦だ。勝ちにいかないと。この試合も勝って、その次も勝たないと。 「よろしく」 「よろしくお願いします!」 対戦相手は井上 心大(いのがみ しんた)という一つ年下の小柄な少年だ。一見すると活発そうに見える外はねの黒髪だが、そう見えないのは臆病そうにおどおどとした表情のせいだろう。 黒のハイネックに橙色系のパーカー。紺のニット帽を深めに被っている。 最初のポケモンは井上がポリゴン50/50、俺のバトル場にはコイキング30/30とベンチにタツベイ50/50。 「僕の先攻で行きます。ポリゴンに超エネルギーをつけて、ポリゴンのワザの計算を使用。その効果で自分のデッキの上三枚を確認し、そのカードを好きな順番に入れ替えることができます」 相手は序盤は様子見から始めるのだろう。定石だ。 「俺のターン、ドロー!」 初戦は手札の運がよく非常に流れの早いバトルで相手をいなしたが、今回は芳しくないようだ。序盤から苦しい展開は必至だが、それでも最善の手を選んで自分の流れが来るまで耐えるしかない。 「手札からスタジアムカードの破れた時空を使わせてもらう。このカードがあるとき、互いのプレイヤーはその番に場に出た、及びその番に進化したポケモンも進化させることができる。俺はコイキングをギャラドスに進化させよう」 まだ小さなポケモンしか場にいなかった中、急にギャラドス130/130という大型ポケモンが現れたことによって途端に場全体にプレッシャーが降りかかる。 井上は一瞬びくっ、と体を震わせたがそれでも目にははっきり闘志のようなものを感じた。芯が強いタイプだろう、こういうタイプは中々折れないため意外と厄介だ。 「タツベイに水エネルギーをつけ、手札からサポーターカードのハマナのリサーチを発動する。デッキからヤジロンとコイキングを手札に加え、ヤジロン(50/50)をベンチに出してターンエンド」 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを計二枚まで選んで手札に加えれるカードだ。 そしてギャラドスは使えるワザがないので今はターンエンドするしかない。 「僕の番です。ドロー! ポリゴンをポリゴン2に進化させ、ポリゴン2のポケパワーのダウンロードを発動します。ダウンロードは手札のサポーターをトラッシュすることでそのカードの効果をこのポケパワーとして扱います。僕はハマナのリサーチをトラッシュしてその効果を得ます。デッキからムクホークFBとポリゴンを加え、それぞれをベンチに出します」 井上のベンチにポリゴン50/50とムクホークFB80/80が現れる。ここからどう仕掛ける。 「そしてサポーターカードを発動。ミズキの検索。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを手札に加えます。僕はユクシーを選択。さらに特殊エネルギーのワープエネルギーをポリゴン2につけることでワープエネルギーの効果を使います。ワープエネルギーをバトルポケモンにつけたとき、バトルポケモンをベンチポケモンと入れ替えます! よってポリゴン2とポリゴンを入れ替えてターンエンド」 もうターンエンドするのか? 攻撃しなくていいのか? 相手も引きが悪いとみなすか、攻撃を誘っているとみなすかだがどちらにせよ立ちふさがる敵をなぎ倒すだけだ。 「だったら行かせてもらおう。俺のターン! 手札のサポーター、スージーの抽選を発動。手札を二枚トラッシュして四枚ドロー」 スージーの抽選においてドローは副次的なもの。一番肝心なのはカードをトラッシュすることにある。 手札を効率よく捨てるカードが少ないポケモンカードでは貴重な一枚だ。 「ミズキの検索を発動だ。手札を一枚戻しデッキからネンドールを加え、ヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる」 今の手札は三枚。最初の良くない手札をなんとかここまで持っていくことができた。しかしこのデッキは手札を結構消費するから供給も絶えず必要だ。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワー。手札を二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるまでドロー」 三枚から二枚減らしたので五枚ドロー出来る。さっきの手札になかったエネルギーがようやっと来た。 「タツベイに水エネルギーをつけてギャラドスで攻撃。リベンジテール!」 「エネルギーなしで攻撃!?」 「リベンジテールはエネルギーなしで攻撃出来る。そしてその威力はトラッシュにいるコイキングの数×30だ」 「でもトラッシュにコイキングは……」 ギャラドスが体を大きくうねらせて尻尾で井上のポリゴンを上から叩きつける。弾かれたボールのように飛んで行ったポリゴンのHPバーは0。 「先ほど使ったスージーの抽選のコストでトラッシュしたカード、それはコイキングが二枚だ。よって30×2=60となってポリゴンのHPを削り切るには十分だ」 井上はまさか、というような困惑した表情を浮かべるとムクホークFBをバトル場に送りだした。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「えっと僕のターン。ムクホークFBをムクホークFB LV.Xにレベルアップさせてベンチのポリゴン2と入れ替えます!」 ムクホークFB LV.X100/100は逃げるエネルギーを必要としないポケモンだ。そしてすぐにベンチに戻すという事は戦わせるのがメインではなくてベンチにいさせるのがメイン、つまり置物タイプのポケモンか。 「ポリゴン2のダウンロードでデンジの哲学を発動。手札のアンノーンGをトラッシュし、手札が六枚になるまでドローします」 井上は今手札をトラッシュすることで一枚となった。つまり五枚もカードを引くのか。 「ワザマシンTS−1を二枚ポリゴン2につけ、さらにワザマシンTS−2も一枚ポリゴン2につけます」 「……ワザマシンか」 ワザマシンはポケモンの道具のようにつけれ、そのテキストにかかれているワザをつけたポケモンのワザとして使う事が出来る。 まったく使えないことはないのだが、たかが知れている程度の効果なのでデッキに入れる必要性がそこまでない。 しかも一匹に対し一枚使うならともかく、同じワザマシンが重複している中で三枚もつけるのは異端なんてレベルじゃない。 「ベンチのムクホークFB LV.Xのポケパワーを使います。ファーストコール!」 ムクホークFB LV.Xは両翼を広げると、天井に向かって大きく鳴き声を上げる。まるで何かを呼んでいるかのようだ。 「ファーストコールは自分の番に一度だけ使え、山札のサポーターを相手に見せてから手札に加える効果を持ちます。よって僕はミズキの検索を手札に加えて発動。手札を一枚戻してポリゴンZを手札に加え、バトル場のポリゴン2に進化させます」 こっちがエースポケモンか? ポリゴンZ120/120は進化するやいなや、首を360度回転しているが無表情なせいで周りの出来事に興味がなさそうだ。 「そして手札からベンチにユクシーを出してセットアップを発動」 セットアップはユクシー70/70を手札からベンチに出した時のみ使え、手札が七枚になるようにドローする非常に強力なドローソースである。井上はその効果で六枚も新たにドローする。 「超エネルギーをムクホークFB LV.Xに、ワザマシンTS−2を二枚ポリゴンZにつけます」 これで計五枚のワザマシンがポリゴンZについたことになる。ここまでワザマシンをつける意味は一体なんだ? ワザマシンTS−1にはエヴォリューターというワザがあり、自分のデッキから自分のポケモン一匹から進化するカードを選びそのポケモンの上に乗せて進化させる進化促成のワザ。 そしてワザマシンTS−2はデヴォリューターがあり、相手の進化ポケモン一匹を一進化分退化させるという風変わりでトリッキーなワザを覚えさせることが出来る。 しかし大量につける意味はどこにもない。一枚あれば十分なのになぜこうも五枚もつけるのか。 「ポリゴンZでギャラドスに攻撃。熱暴走!」 首を回していたポリゴンZの動きが急に止まると、ヒーターのようにポリゴンZの体が真っ赤に輝き出し、そこから熱量を持った電子が四方八方へ放出される。 ギャラドスは非常に痛々しそうな表情を作るもなんとか堪えようとする。しかし無情にも130もあるHPがあっという間に0へ。HPバーが空になったギャラドスはついに自重を支える力を失い倒れ伏す。嘘だろう。まだこんな早いターンで130オーバーのダメージを叩き出すだと? 「熱暴走はワザマシンの数×20ダメージ威力を上げることが出来るワザ。よって元の威力40に20×5を足して140ダメージです!」 なるほど、あの大量のワザマシンにはそういう意図があったのか。ポリゴンZをどうにかしたいところだが、こちらは一撃で120ダメージを叩き出せるポケモンもいない。ベンチにはネンドール80/80とタツベイ50/50しかいないのだ。仕方ない、ドローソースのネンドールを捨てて準備を整えるしかないだろう。 「俺はネンドールを次のポケモンに選ぶ」 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 「よし、行くぞ。俺のターン。タツベイに炎エネルギーをつけ、コモルー(80/80)に進化させる。そしてハマナのリサーチを発動しデッキからコイキングとヤジロンを手札に加えそれぞれベンチに出す」 コイキング30/30とヤジロン50/50を出したことでベンチのポケモン総数が井上を上回る。しかし皆が皆低HPで育ちあがっていない。あまり使いたくないカードだが止む得ずだ。 「グッズの時空の歪みを発動。コイントスを三回し、オモテの回数分トラッシュからポケモンを手札に加えることが出来る」 コイントス運がことごとく弱い俺だが、他のカードではトラッシュのポケモンをデッキに戻せても手札に戻せない。苦肉の策だ。 ウラ、ウラ、オモテ。かろうじてオモテが出たことに安堵し、トラッシュのギャラドスを手札に戻す。 「手札に戻したギャラドス(130/130)をコイキングから進化させ、ネンドールのコスモパワーを発動。二枚戻して三枚ドローだ。ターンエンド」 ギャラドスを立てることはなんとか叶ったが、ネンドールを逃げさせることが出来ない。こちらも苦肉の策、チャンスを待とう。 「僕のターンです。ムクホークFB LV.Xのファーストコールでデッキからサポーターのオーキド博士の訪問を加え発動します。デッキから三枚ドローし、手札を一枚デッキの底に戻す。そしてベンチに新しいポリゴン(50/50)を出してポリゴンに超エネルギーをつけます」 やはりというかファーストコールで常にサポーターを引き当てることが出来るためバトルの組み立てが早い。ポリゴンZも勿論厄介だがムクホークFB LV.Xも中々凶悪だ。 「さらにポリゴンにワザマシンTS−1をつけ、アグノムをベンチに出します。そしてアグノムのポケパワー、タイムウォーク!」 タイムウォークは自分のサイドを確認し、その中のポケモンのカードを一枚手札に加えてその代わり自分の手札一枚を戻すことが出来る便利なポケパワーだ。 いわゆるサイド落ちしたカードを回収することが出来る上に自分のサイドのどこに何があるかという情報を得ることが出来る。 相手のポケモンを倒してサイドを引く際に適当に引いて、望んだカードでないときがあるのでそれを未然に防ぐのにも役立つ。 「僕はポリゴンZを手札に加え、手札のカードを一枚サイドに戻す。そしてポリゴンZで熱暴走!」 ポリゴンZから再び激しい攻撃が発せられネンドールを襲う。HPが80/80のネンドールはその倍近くある140ダメージを受けて気絶させられてしまう。 「なら次はもう一度ギャラドスで行かせてもらう」 「うん、サイドを一枚引いてターンエンドです」 俺よりも一枚少ない井上のサイドはまだ四枚。そうだ、まだまだ序盤。今回俺がこの大会に懸ける想いはここで負けて終わるようなもんじゃない。ポリゴンZを破る策は整った、これから逆転へ向かって進むだけだ。
風見「今回のキーカードはポリゴンZ。 ワザマシンをつけることでワザの威力がより強力になる。 200ダメージを叩き出すのも夢じゃないぞ」
ポリゴンZLv.56 HP120 無 (PROMO) ポケパワー インストール 自分の番に何回でも使える。自分のポケモンについている「ワザマシン」を1枚、自分の別のポケモンにつけ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 ─ ラーニング 自分の山札から、自分のポケモン1匹からレベルアップする「ポケモンLV.X」を1枚選び、そのポケモンの上にのせ、レベルアップさせる。その後、山札を切る。 無無 ねつぼうそう 40+ 自分についている「ワザマシン」の数×20ダメージを追加。 弱点 闘+30 抵抗力 にげる 2
─── おまけ・ポケカ番外編 「ホクロ七星」 (次の授業が体育なので着替え中) 蜂谷「新しくギャツビーの制汗スプレー買ってみたんだけど授業の後使ってみる?」 拓哉「ゴキジェット?」 蜂谷「ベタなボケありがとう。っていうか拓哉がボケたのか、なんか斬新」 (シャツを脱ぎ蜂谷は上半身すっぽんぽんに) 蜂谷「三月は涼しいから体育にはちょうどいいよな」 翔「あれ?」 蜂谷「どうかした?」 翔「それってもしかして」 (蜂谷に近づく翔) 翔「胸に七つのホクロを持つ男!」 蜂谷「うわっ、ちょうど北斗七星の形に……」 翔「ホクロ神拳!」 蜂谷「ねーよ!」 翔「ホクロ毛(ホクロから生える毛)が見える」 蜂谷「死兆星が見えるみたいに言うな言うな」 拓哉「あれ、でもこれ」 (拓哉は蜂谷に近づき蜂谷のホクロ七星のうちの一個のホクロを指す) 拓哉「ここにもホクロあるね」 蜂谷「死兆星の位置にホクロが! 俺もう死ぬの!? ってかラオウと戦える資 格あるじゃん!(っていうか俺ケンシロウポジションじゃないの?)」 翔「ラオウなら」(と言って恭介を指差す) 蜂谷「髪の色しか一致してねーぞ!」 恭介「我が生涯に一片の悔い無し!」 蜂谷「しかももう死んでるし!」
(このあと授業のバスケで蜂谷は突き指しました)
─── BW発売まで一週間切りました! そしてポケカBWも! なのに小説ではLEGENDさえ出てない。正直PCC編の最初にレギュレーション縛ったのはやっちゃった感がある
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残骸 ( No.94 ) |
- 日時: 2011/01/25 18:56
- 名前: でりでり ID:6tJmlmYc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- (ここに載っていたHFは別スレに移動しました)
─── 中西哲の使用デッキ 「これが大人だ」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-830.html
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情熱 ( No.95 ) |
- 日時: 2010/10/03 11:17
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 臆病そうな見た目に反して、大胆でいて力強いプレイングだ。
俺のバトル場にはギャラドス130/130。ベンチにはヤジロン50/50と炎エネルギーが一枚、水エネルギーが二枚ついたコモルー80/80。残りのサイドは五枚。 対戦相手の井上心大のバトル場は超、ワープエネルギーとワザマシンTS−1が二つ、ワザマシンTS−2が三つついたポリゴンZ120/120、ベンチにはユクシー70/70、アグノム70/70、超エネルギーとワザマシンTS−1がついているポリゴン50/50、そして超エネルギーのついたムクホークFB LV.X100/100。そして残りのサイドカードは俺より一枚少ない四枚となっている。 ベンチの充実具合でも俺の方が劣っている。そして井上には常にサポーターカードを供給できるムクホークFB LV.X、140ダメージを叩き出すことのできるポリゴンZと難敵が揃っている。 「俺のターン。サポーターのミズキの検索を使う」 手札のスージーの抽選をデッキに戻してボーマンダをサーチする。今回の俺のデッキのエースはギャラドスだけでなく、ボーマンダとの二大エースだ。 「炎エネルギーをコモルーにつけてボーマンダに進化させる」 大型ドラゴンのボーマンダ140/140がベンチに現れ、雄叫びをあげる。迫力のあまり井上は少し体を震わせた。 「ギャラドスでポリゴンZを攻撃。リベンジテール!」 先ほどはコイキングが二匹しかトラッシュにいなかったが今は三匹いる。よって与えるダメージは30×3=90。ポリゴンZのHPも半分を切り30/120。 90や140という大台ダメージが序盤から飛びまくっている。ここまで乱打戦になるとは戦う前の井上の印象を見ると予想だにしてなかった。 「俺はターンエンドだ」 「それじゃあ僕のターン。ムクホークFB LV.Xのファーストコールでデッキからミズキの検索を手札に加えて効果発動。僕は手札を一枚戻してポリゴン2をデッキから加え、ポリゴンを進化させます」 角ばったポリゴンのフォルムが白い光に包まれながら丸みを帯び、ポリゴン270/70に進化してゆく。 「ポリゴン2のダウンロードでオーキド博士の訪問を選択。ポリゴン2のポケパワー、ダウンロードは手札のサポーターをトラッシュする効果でその効果を得ることが出来る。僕は三枚ドローして一枚デッキボトムに戻します」 一ターンにサポーター二枚を使って自分の場を出来るだけ綺麗に整えていくこの素早さが井上の戦法だろうか。そしてポリゴンZの熱暴走の恐ろしい威力で相手の場が立つ前に倒しきるみたいだ。 「ムクホークFB LV.Xに超エネルギーをつけ、ポリゴン2にワザマシンTS−2を一枚つけて攻撃します。ポリゴンZで熱暴走!」 熱を帯びて真っ赤に染まりゆくポリゴンZが溜めていた熱を四方八方に飛ばしていく。異常な熱気に包まれただろうギャラドスのHPはみるみる削られて0。 熱暴走の威力は基本ダメージ40に、ポリゴンZがつけているワザマシンの数×20ダメージ増えていく。今ポリゴンZにはワザマシンが五つあるので、40+20×5=140ダメージ、130しかHPのないギャラドスはあっさり倒れるしかない。 しかしこれで問題はない。むしろ十分良いほどに事が運んでいる。 「ボーマンダをバトル場に出そう」 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 「よし、俺のターン!」 引いたカードはミズキの検索。いいところに来たもんだ。 「サポーターカード、ミズキの検索を使わせてもらう。俺は手札を一枚デッキに戻してネンドール(80/80)を手札に加え、ベンチのヤジロンをそれに進化させる」 今の手札は二枚。ネンドールのポケパワーであるコスモパワーをめいいっぱい使うにはベストな状態だが、ここでもう一枚だけ使わせてもらおう。 「俺は手札の水エネルギーをボーマンダにつけてからネンドールのコスモパワーを発動だ。手札を一枚戻し、六枚に手札がなるようドロー。俺の手札は一枚戻したことによって0。よって六枚ドローだ」 井上には火力だけでなく速攻性でも完全に後れを取っている。俺のポケモンは残り二匹だけで、サイドも井上は残り三枚しかない。 しかしそれでも井上には弱点があった。 「手札からタツベイ(50/50)をベンチに出し、エムリット(70/70)をベンチに出す。更にこの瞬間、エムリットのポケパワーが発動する。サイコバインド!」 井上の場の全てのポケモンの周りに一匹に対しそれぞれ二つの紫色の輪っかが現れる。しかしそれらの輪っかは何をするでもなく井上のポケモンの周りを舞っているだけだ。 「このポケパワーはエムリットをベンチに手札から出した時に使えるもの。次の相手の番、相手プレイヤーはポケパワーを使う事ができなくなる」 これはムクホークFB LV.Xとポリゴン2のシナジーを抑えるためのモノ。これ以上都合勝手にはさせない。 「そしてボーマンダで直撃攻撃!」 ボーマンダが勢いよく体一つでポリゴンZに猛スピードで突進していく。飛行機にはねられたかのような強力な一撃がポリゴンZを簡単に吹き飛ばした。 もちろん吹き飛ばしたのはポリゴンZの体だけではなく、HPもだ。直撃は相手の弱点、抵抗力、ワザの効果に無関係に50ダメージを与えるワザ。残りHP30のポリゴンZは50ダメージを受け0、気絶だ。 ただしこれはただの気絶よりも強力な意味合いを持つ。ポリゴンZ以外にも進化前、ついているエネルギーもそうだが何よりワザマシンもトラッシュされること。 ワザマシンは一度トラッシュに行ってしまえば墓地から回収することは困難極まりない。つまりこれ以上今ベンチにいるポリゴン2にワザマシンが新たにつけられる可能性が極めて低いのだ。 このポリゴンZを倒したことで井上のポケモンの火力は全体的にダウンする。現に井上の表情は早くも曇っていた。 「ポリゴン2をバトル場に出します……」 「俺もサイドを引かせてもらおう。ターンエンドだ」 「僕のターン」 井上のターンが始まると同時に井上の場の全てのポケモンが、先ほど現れた二つの紫色の輪っかに絞めつけられる。これで相手のポケパワーは封じられた。 「僕は、ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサイクロンエネルギーをポリゴンZにつけ、その効果を発動します」 サイクロンエネルギーがポリゴンZにつけた刹那、ボーマンダの足元から竜巻が現れてベンチに強制的に飛ばされてしまった。 「サイクロンエネルギーは無色エネルギー一個ぶんとして働き、このカードを手札からバトルポケモンにつけたとき、相手のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替えさせる。入れ替えるポケモンは相手が選びます」 まだ自分で選べるだけいくらかマシだろう。 「エムリットをバトル場に出そう」 「サポーター、クロツグの貢献を発動します。その効果でトラッシュのポケモン、基本エネルギーを合計五枚までデッキに戻せるので僕は超エネルギー、アンノーンG、ポリゴン、ポリゴン2、ポリゴンZを選択します」 五枚トラッシュから回収することで少なくなったデッキを補ったのだろう。 「ポリゴンZで熱暴走攻撃!」 今ポリゴンZについているワザマシンの数は三つ。よって与えるダメージは40+20×3=100、エムリットの最大HP70を上回る一撃になる。 一匹目のポリゴンZが倒されたら倒されたですぐに戦法を変えてくるところは評価できる。 倒されたエムリットの代わりに再びボーマンダをバトル場に出した。 「サイドを一枚引いてターンエンドです」 ターンエンドと同時に井上のポケモンを縛り付けていた二つの紫の輪っかは消滅していく。 「俺のターンだ。ドロー!」 すでに井上のサイドは残り二枚。しかし焦ることはない、戦術は既に整っている。 「グッズカード、不思議なアメを手札から発動。ベンチのタツベイをボーマンダ(140/140)へと進化させ炎エネルギーをつける! ネンドールにポケモンの道具、ベンチシールドもつけよう」 ベンチシールドはこのポケモンがベンチにいる限りワザによるダメージを守るもの。井上のポケモンでそういう攻撃を仕掛けるポケモンは今のところ見当たらないが念には念を、だ。 「コスモパワーを発動し、手札を二枚デッキの底に戻す。そして六枚ドローだ。ミズキの検索を使う。手札を一枚戻しレジアイスを手札に加える。そしてボーマンダで攻撃を仕掛けよう。水エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 バトル場のボーマンダが大きく地面を踏みならすとベンチにいるムクホークFB LV.Xの足元から強力な水柱が現れてムクホークFB LV.Xに強力なダメージを与える。 「ベンチにっ!?」 「ドラゴンフィニッシュは攻撃前に水エネルギー二枚または炎エネルギー二枚をトラッシュしなければならない厄介なワザだ。だがトラッシュするエネルギーによってワザの効果が変わる面白いワザでもある。そして水エネルギーを二枚トラッシュした場合、相手のベンチポケモン一匹に100ダメージを与える」 水柱が無くなり、高く飛ばされていたムクホークFB LV.X0/100が力なく落ちてゆく。 「これでサポーターを自由に供給できなくなったな。サイドを一枚引いてターンエンド」 サイドは俺が残り三枚、井上が残り二枚。そろそろバトルも最終段階というところか。 「僕のターン。ハマナのリサーチを発動。デッキからポリゴン、超エネルギーを手札に加えてベンチにポリゴン50/50を出して超エネルギーをつけます。ここでバトル場のポリゴンZをポリゴンZLV.Xにレベルアップ!」 ここでレベルアップか。だがしかしポリゴンZLV.X130/130には新たに攻撃ワザがなく、その代わりポケパワーが二つあるだけだ。 しかもそのうちのポケパワーの一つ、モードクラッシュはレベルアップさせたときに使え、相手の場の特殊エネルギーをトラッシュするもの。俺の場には特殊エネルギーなど一枚もない。 「ポリゴンZLV.Xのポケパワー、デコードを発動します。自分のターンに一度だけ使え、自分の山札の好きなカードを二枚選び出しデッキをシャッフル。そののち選んだカードを好きな順にして山札の上に戻します。最後にポリゴンZLV.X熱暴走攻撃!」 レベルアップしたからとはいえワザの威力は変わらない。100ダメージは非常に強力な一撃だがHP140のボーマンダを倒すには足りない。 「俺のターン。バトル場のボーマンダに水エネルギーをつけ、スージーの抽選を発動。手札の不思議なアメを二枚トラッシュして四枚ドロー。ボーマンダの炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 先ほどとは違い、ボーマンダの口から灼熱の炎が放たれバトル場のポリゴンZLV.Xを焼き尽くす。 炎エネルギーを二枚トラッシュしたドラゴンフィニッシュは、相手のバトルポケモンに対し100ダメージを与えるもの。ポリゴンZに比べると同じダメージでもいささか効率の悪いように見えるかもしれない。 しかしそれも今のうちは、だ。ポリゴンZLV.Xの残りHPは30/130。あと一歩というところにまで体力を減らせば十分だ。 「……、心を、心を強く!」 井上は胸に手をあて深く深呼吸をする。最後に両手で両頬をパチンと叩くと落ち着いた眼差しで場を睨んでいた。 「僕のターン。手札からハンサムの訪問を使います。その効果でまず相手の手札を確認できる」 自分の手札のカードを井上に見せる。手札は七枚あるが、特にこれといった特徴のない手札である。ハンサムの捜査はこの後自分か相手を選択して選択されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻しシャッフル、その後五枚までドロー出来る。井上は自分を選択して新たにカードをドローした。 「ベンチにいるポリゴンをポリゴン2(70/70)に進化させてポリゴン2のダウンロードを発動! 手札のハマナのリサーチをトラッシュし、デッキから超エネルギーとユクシーを手札に加えます。そして超エネルギーをポリゴン2につけ、ポリゴンZLV.Xで熱暴走攻撃!」 100ダメージの攻撃がボーマンダに止めを刺す。俺の次のポケモンは引き続きベンチに控えていたボーマンダだが、井上はボーマンダを倒したことによってサイドを一枚ドロー。よって残りのサイドが一枚となった。 「よし」 井上は胸に手を当て一息ついた。終盤に来てサイド差二枚はひっくりかえせまいと思っているからか。 「……。俺のターンだ! 手札の水エネルギーをボーマンダにつけてサポーターのクロツグの貢献を発動。トラッシュの水エネルギー二枚、炎エネルギー一枚とコイキング、ギャラドスをデッキに戻しシャッフルする。そしてボーマンダでポリゴンZLV.Xに直撃攻撃!」 弾丸のようなスピードでボーマンダがポリゴンZLV.Xに突撃する。固定50ダメージは残りHP30のポリゴンZLV.Xを確実に気絶させた。 「くっ! 僕はポリゴン2をバトル場に出します!」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 六、七、八。ジャストだな。PCCのレギュレーションでポリゴンZにつけれるワザマシンは八枚。そしてトラッシュに送ってやったワザマシンは八枚だ。これで完全に井上の攻めの芽を完全に摘んだ。 井上の攻撃パターンは基本的にポリゴンZの熱暴走のみ。他のポケモンは全てそれにおいてのアシスト。 そしてエネルギーもサイクロン、ワープエネルギーを組んでいるところからみていち早く相手のポケモンを倒すことをモットーとしている。 熱暴走の火力を上げるワザマシンは何度も言っているがサルベージの方法がごくわずかなので、ポリゴンZが倒されると同時にトラッシュされると熱暴走の元の威力40から火力を上げれずただの平凡な、むしろ二進化にしては虚弱なポケモンでしかない。 よってワザマシンが無くなる前に、いわゆる「殺られる前に殺る」戦法の相手にはその剣を叩き折ってしまえばいい。ワザマシンが切れた井上はもはや恐れるに足らず、だ。 「こ、……」 井上が弱弱しく右手を挙げながら震える声で発する。 「こ?」 「降参し───」 「ふざけるなァ!」 降参しかけた井上に対し、俺はバトルテーブルを右手で強く叩きつけ大きく一喝する。周りが一瞬で静まり返ったように思える。 「お前がこのPCCに賭けている情熱はその程度なのか? お前はそんな生半可な気持ちで今ここにいるのか?」 驚きと困惑が交差している井上は上げかけていた右手を下ろす。だがしかし、井上のリアクションはそれだけで、特に何も言い返しそうにないので勝手に続けることにした。 「勝ったものには負けたものの気持ちを受け継ぐ義務がある。お前がこのPCC二回戦に勝ち進むまでに倒した相手は四人だ。四人分の気持ちをお前は背負っているんだ。勝ちたかった、もっと上へ進みたかった。お前が倒した相手は皆が皆そう思っていただろう。そして倒した相手はお前に自分のぶんまで戦ってほしいと想いを託したはずだ! なのにお前のそのザマはなんだ! 自分が少し不利になったからといって降参? そんな態度でお前に敗れたヤツらは喜ぶのか? 喜ぶわけがないだろ!」 「ぼ、僕は……」 「降参するのも自由だ。しかし諦めずに戦いを続けるのも自由だ。だが、その想いを背負わず捨てたりすることは許さん。それを背負った上でせめて自分の真っすぐな気持ちをプレイにぶつけてみろ!」 「……。僕の、ターン!」 再び井上の目に強い闘志が蘇った。 あのまま降参させれば俺が勝っていた? そんなのでは満足しない。去年の九月、翔と出会うまではポケモンカードがこんなに熱いものとは知らなかった。楽しいのは楽しいがただただ単純に勝利を求めるだけの俺に、それ以外の良さを教えてくれた翔のように。俺も全ての感情をぶつけあう、そういう熱い勝負がしたいのだ。今の井上のように。 「ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサポーターカードを発動。マイのお願い! 自分のトラッシュから名前の違うトレーナーのカードを二枚選び相手プレイヤーに見せて、そのうち一枚を相手が選択。そして選択されたカードを手札に加え残りをトラッシュする! 僕はワザマシンTS−1、ワザマシンTS−2を選択!」 「なるほど、どっちにしろワザマシンしか選ばせないというわけか。TS−1を選択する」 「僕はワザマシンTS−1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」 40+20×1=60のダメージ。ボーマンダの豊富なHPが幸いして80/140と半分以上余している。 だが油断は一切出来ない。次のターンにもう一度マイのお願いを使われてワザマシンをつければ80ダメージを食らうことになる。そうすればこちらが終わりだ。それを未然に防ぐには……。 「俺のターン! こいつをボーマンダにつけよう。達人の帯! 達人の帯をつけたポケモンは最大HP、そして与えるワザのダメージが20足される!」 もちろんデメリットとして達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合相手はサイドを余計一枚多く引ける。しかし残りサイド一枚の井上には無関係なデメリット。そしてボーマンダのHPは100/140。強化された熱暴走が来ても問題はない。 「ボーマンダに炎エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを使ってデッキから水エネルギーとクロバットGを手札に加える。そしてクロバットGをベンチに出してワープポイントを発動!」 バトル場にいるボーマンダとポリゴンZの足元に青い渦が現れて二匹を飲み込んでしまう。 「ワープポイントは互いにバトル場とベンチのポケモンを入れ替えさせるグッズカードだ。俺はベンチに出したばかりのクロバットGをバトル場にだす」 「僕はユクシーをバトル場に」 「クロバットGを逃がして(クロバットGの逃げるエネルギーはなし)ボーマンダを再びバトル場に戻す。ユクシーに直撃攻撃!」 激しい一撃がユクシー70/70に襲いかかる。ボーマンダに突き飛ばされたユクシーのHPは50+20(達人の帯)=70のダメージを受けて尽きる。 「直撃は全ての効果に関係ないんじゃあ!」 「それは『相手の効果』限定だ。ボーマンダ自身の変化は普通に受け付けるぞ」 「なっ……! ぼ、僕はポリゴンZをバトル場に出します!」 「サイドを一枚引いてターンエンド。これで共に残り一枚ずつ、だ」 残り一枚ずつとはいえどダメージを受けているボーマンダを抱えてるこちらが分が悪い。達人の帯でHP20強化したとはいえ向こうも達人の帯とワザマシンをつけてしまえばHP100は簡単に吹き飛んでしまう。 「僕のターン! マイのお願いを発動。ワザマシンTS−1、TS−2を選択」 「TS−1を選んでもらう」 「そのワザマシンTS−1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」 これで熱暴走の威力は40+20×2=80となる。ギリギリのところでボーマンダ20/160が踏みとどまった結果だ。 井上は額の汗をぬぐう。ボーマンダを倒しきれなかったのだが、その顔は先ほどのおどおどした表情と違ってむしろこの勝負自体を楽しんでいた。 「行くぞ! 俺のターン。俺の全てを、情熱を見せてやる! ボーマンダに水エネルギーをつける。そして炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」 達人の帯も相まって100+20=120のダメージを与える超火力の炎がボーマンダからポリゴンZめがけて放射される。 炎のエフェクトの向こう側にいた井上も、俺が最後のサイドを引くまでこの勝負の中で一番の表情をしていた。
風見「今日のキーカードはボーマンダだ。 バトル場もベンチも、どこにだって攻撃できる。 これこそが圧倒的な力だ!」
ボーマンダLv.62 HP140 無 (DP3) 無無 ちょくげき 50 このワザは、相手の弱点・抵抗力・すべての効果に関係なく、ダメージを与える。 炎炎水水 ドラゴンフィニッシュ 自分の炎の基本エネルギーを2枚、または、水の基本エネルギーを2枚トラッシュ。炎をトラッシュしたなら、相手に100ダメージ。水をトラッシュしたなら、相手のベンチポケモン1匹に、100ダメージ。(トラッシュできないなら、このワザは失敗) 弱点 無+30 抵抗力 闘−20 にげる 3
─── いつもより分量が多くなってしまいました。 そして応募キャラ全員消化終了。またいつか登場する機会があると思いますよ! もう一つ連絡。受験が本格化してきたので更新速度がさらに遅くなります。
井上心太の使用デッキ 「電脳の泉」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-835.html
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五分 ( No.96 ) |
- 日時: 2010/10/17 21:53
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 二回戦の試合が始まろうかとしていた刹那、薫が切り出してきた。
「翔とバトルしたのはこの間かーどひーろーでたまたま会った時だよな」 「だいたい二週間前くらいかな?」 「そうそう。そんで風見杯はもっと前だよな、一月くらいだったっけ」 「一月十日だったぜ。それがどうしたの?」 「いやあ、日数的には久しぶりのはずなのに、こうしていざ戦うとなるとこの間戦ったのがついさっきのように感じるんだ。もうあのときのワクワクした気持ちが来てる!」 身振り手振りで感動を伝えようとする薫。そんな姿を見ていると非常にうれしく感じる。俺と戦って喜んでくれるのは本望だ。 「だったら今から俺とあのときよりもさらにワクワクする勝負をしようぜ!」 「ああ。勝負だ!」 バトルベルトの起動の手順はもう慣れたもんだ。風見にもらったバトルベルトで既に何度か遊んだことがある。 スイッチ数は多そうに見えるが単純な手順で、後は機械が頑張って作動してくれる。 オートシャッフルのデッキポケットから手札七枚を渡される。開始手札は可もなく不可もなくといったところだ。 そして互いの最初のポケモンは、俺がアチャモ60/60、ベンチにはヤジロン50/50。向かいの薫のバトル場にはプテラGL80/80。 「先攻はあたしから。ドロー! あたしはプテラGLに闘エネルギーをつけ、ワザの持ってくるを発動。その効果でデッキから二枚ドロー!」 「ツードロー!? そんなに持ってっちゃうの!」 並のポケモンならエネルギー一個で一枚ドローだ。しかもこのプテラGL、逃げるエネルギーは0。ベンチへの攻撃手段が乏しい今回の俺のデッキにとって、引くだけ引いてベンチに逃げられると非常に厄介。ただ幸いにも薫の化石デッキは起動に時間がかかる。そこまでになんとかプテラGLを倒す術を見つけなくてはならない。 「俺のターン! 手札の炎エネルギーをアチャモにつけ、ミズキの検索を使わせてもらうぜ。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを相手に見せてから手札に加える。俺はバシャーモを手札に加える。続いて手札からグッズ、不思議なアメを発動。自分の進化していないポケモン一匹に、そのポケモンから進化する一進化または二進化カードを重ねて進化させる。俺はアチャモをバシャーモ130/130に進化させる!」 アチャモを起点に光の柱が現れアチャモをすっぽりと覆い隠す。そしてその光の柱の中でアチャモのフォルムがより屈強に、より逞しくなっていく。光の柱がすっと消えると新たに現れたバシャーモが場に向かって雄叫びを一つあげた。 「バシャーモのポケパワーだ。バーニングブレス!」 バシャーモから真っ赤な吐息が吐き出され、プテラGLを覆う。直接浴びたプテラGLのHPバーには火傷マーカーが発生した。 このバーニングブレスは自分の番に一度使え、相手を火傷にするものだ。無条件に火傷にさせることができる結構便利なものだ。 「ターンエンド。っと同時にポケモンチェックだ」 火傷の判定はポケモンチェックの度にコイントスをし、オモテならなにもないがウラならば火傷のポケモンは20ダメージを受ける。 薫が放ったコイントス(といってもバトルベルトのコイントスボタンだが)の結果はウラ。ゲームと同じようにプテラGLの体が一瞬炎に包まれHPバーを20減らして60/80となる。 「そんなのまだまだ効かない! あたしのターン! 手札のこうらの化石、かいの化石、ひみつのコハク(どれもHPは50/50)をベンチに出してこうらの化石に闘エネルギーをつける。このタイミングでこうらの化石のポケボディー、ロックリアクションが発動! 手札から闘エネルギーをこの化石につけたとき、デッキからカブト(80/80)をサーチしてこの化石に進化させる!」 「やばいな、思ったより速いな……」 しまったな、まさかこんなわずかにカブトを立てれるとは思わなかった。完全に作戦ミスか……。薫がベンチでポケモンを立てている間にプテラGLを倒す目論見は崩れる。 「プテラGLをベンチに逃がし、カブトをバトル場に出してワザを使うわ、進化促成! 自分のデッキから進化ポケモンのカードを二枚手札に加える。あたしはプテラとカブトプスを手札に入れてターンエンド」 ベンチに逃げたことでプテラGLの火傷状態は解除される。そして薫は次のターンへの布石をもう打ったのだ。 「迷っていても仕方ない! 俺のターンだ。ここはこいつだな。手札からサポーターカードのハマナのリサーチを発動だ! デッキから炎エネルギーとバシャーモFBを手札に加え、バシャーモFB(80/80)をベンチに出す!」 バシャーモFBはSPポケモンだ。こいつ単独でたねポケモン。そしてバシャーモとは同名カードではない。 二匹のバシャーモ。これが今回の俺のデッキのコンセプト。しかしそのコンセプトを完全に決めるために場を整えなくては。 「バシャーモに炎エネルギーをつける。そして手札からグッズのゴージャスボールを発動だ。デッキから好きなポケモンを手札に加える。俺はネンドール(80/80)を選択し、ベンチのヤジロンを進化させる。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを使わせてもらうぜ。このポケパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、手札が六枚になるようデッキの上からドローする。俺は手札を一枚戻して、これで手札は0。よって六枚ドローだ」 まだバトルは始まったばかりだが、俺の攻撃を上手くかわしている薫の方に流れが傾きかけようとしている。 出来るだけそれを阻止しなくてはならないな。 「俺はベンチにアチャモ(60/60)を出してバシャーモのポケパワー、バーニングブレスを使う!」 真っ赤な吐息がカブトを包み込む。デメリットなしで確実にカブトを火傷にさせた。 「バシャーモで鷲掴み攻撃!」 バシャーモのがっちりとした腕がカブトを掴んではしっかり握って宙に持ち上げてしまう。ギリギリと強く握られたカブトのHPバーは40/80へとダウンする。 「この鷲掴み攻撃を受けたポケモンは次の番、逃げる事が出来ない!」 「逃がさずに火傷のダメージを与えていく戦法か!?」 「とりあえずはポケモンチェックだ」 だがしかしコイントスの結果はオモテ。カブトは火傷のダメージを受けない。 「よし。あたしのターンだ! あたしはまずカブトをカブトプスに進化させる」 カブトの体が白く光り出したところでバシャーモはその輝きから目を守ろうとカブトを鷲掴みしていた腕を離し、両腕で目をガードする。 進化したカブトプス90/130は、もうバシャーモの拘束に捕らわれることはない。鷲掴みの対象であったカブトから別のポケモンへと変わったカブトプスは自由に逃げることが出来る。さらに火傷といった状態異常も進化すれば回復する。 「そしてベンチのひみつのコハクをプテラ(80/80)へと進化させこのプテラのポケパワー、発掘を発動。デッキからかい、こうらの化石かひみつのコハクを一ターンに一度手札に加えることが出来る。あたしはかいの化石を選択。そしてベンチのかいの化石に水エネルギーをつけてポケボディー発動。アクアリアクション!」 「ロックリアクションのオムナイトバージョンか!」 「その通り! というわけでデッキのオムナイト(80/80)をかいの化石に重ねて進化!」 まずい、これで低HPのポケモンが薫の場から消えた。とはいえ80も決して高い部類ではないのだが……。 「手札のかいの化石をトラッシュ!」 化石をトラッシュする行動は……。そうだ、さっきの一回戦で薫が見せた高火力の一撃が来る! 「カブトプスの原始のカマ!」 真っ白に輝いたカブトプスのカマでバシャーモに切りかかる! 肩口から綺麗にきまった一撃で、バシャーモは攻撃された部位を腕でかばうモーションをしてみせた。 「このワザはかい、こうらの化石かひみつのコハクをトラッシュした場合、このワザの威力は50上がる!」 元の威力は20。よって20+50=70のダメージがバシャーモ60/130に決まり、半分以上のHPを奪って行った。 「さあ、翔のターンよ!」 「おし! まだまだ行くぜ。俺のターンだ! 手札からこいつをベンチに出すぜ。ヒードラン!」 ベンチから真っ赤なマグマを噴き出しながらヒードラン100/100が現れる。たねポケモンでこの高いHPがウリでもある。 「そしてサポーターのシロナの導きを発動。自分のデッキの上から七枚を確認して一枚を手札に加える。そしてそのあとシャッフルだ」 このとき手札に加えたカードは相手に見せなくてもいい。ミズキの検索などとはこの点が違う。そして加えるカードはどの種類であってもいい。 「手札から炎エネルギーをバシャーモにつけて、グッズカードのレベルMAXを発動! まずはコイントス。オモテならこのカードの効果が発動する」 ここが分岐路。上手くオモテが出ればいいが。 「おっしゃあ! オモテだ! 自分の山札から、自分のポケモン一匹からレベルアップするポケモンLV.Xを一枚選び、そのポケモンの上に乗せてレベルアップさせる。俺はヒードランをヒードランLV.X(120/120)にレベルアップさせる!」 こちらも薫に負けず劣らずのメンツが揃う。 「さらに手札を二枚デッキに戻してネンドールのコスモパワーを発動。デッキからカードを五枚引き、ベンチのアチャモをワカシャモ(80/80)に進化させる! これで攻撃だ。バシャーモで炎の渦攻撃!」 カブトプス90/130がバシャーモが放つ炎の渦に包まれて悶えている。灼熱の炎の中でうごめくそれは結構怖い。 「炎の渦は100ダメージを与える大技だが、炎エネルギーを二枚トラッシュしなければならない。よってトラッシュ。だが100ダメージはカブトプスのHPをきっちり奪って行くぜ!」 炎の渦から解放されたカブトプスは力なく前へ倒れ伏す。 「くっ、あたしはオムナイトをベンチからバトル場に出す!」 「俺はサイドを一枚引いてターンエンドだ」 よし。これで完全に流れは俺に傾いた。良い傾向だ。 「あたしのターン。あたしはプテラの発掘を発動! こうらの化石(50/50)を手札に加えてベンチにだす。そして手札の水エネルギーをオムナイトにつけて、サポーターのミズキの検索を使うわ。手札を一枚デッキに戻しオムスターを加える。そしてベンチのオムナイトをオムスター(120/120)へ進化!」 「だがオムスターはトラッシュの化石があればこそのカードだろう」 「そんなになくても行けるよ。原始の触手攻撃!」 オムスターの触手が鋭い槍のように輝きバシャーモ60/130の四肢を突いていく。的確に決まった攻撃はバシャーモのHPを大きく削り……。 「気絶!?」 「原始の触手はトラッシュのかい、こうらの化石またはひみつのコハクの数かける10だけ威力が上がるワザ」 薫のトラッシュにはかいの化石とこうらの化石の二枚。そして元の威力は30だ。よって30+10×2=50。それではバシャーモのHPを0まで削げないはず。 「弱点のこと忘れたの?」 そうか。オムスターは水タイプ。水が弱点なバシャーモには更に50+30=80のダメージが。残りHP60のバシャーモを倒すには十分だ。 「俺はバシャーモFBをバトル場に出す」 「あたしはサイドを一枚引いてターンエンド」 「これでイーブンか。俺のターン! 手札の炎エネルギーをバシャーモFBにつけてグッズカードのプレミアボールを発動。このカードの効果でデッキまたはトラッシュからLV.Xのポケモンを手札に加えることが出来る。俺はバシャーモFB LV.Xを選択し、バトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」 このバシャーモFB LV.X110/110が俺の二枚目のエースカードだ。 「手札からサポーター、ハマナのリサーチを発動。俺はデッキから炎エネルギーを二枚手札に加えるぜ。そしてバシャーモFB LV.Xで誘って焦がす攻撃!」 バシャーモFB LV.Xが圧倒的な脚力で高く跳躍すると薫のベンチのプテラGL60/80の元へ降り立つ。そしてそのプテラGLの首筋を掴むと腕から炎を出して火傷状態にしてしまった。そしてそのままプテラGLをバトル場に投げつける。居場所を失ったオムスター120/120は渋々ベンチへと帰って行く。 でもこのワザのエフェクトは全然誘ってないな。誘うどころか超強引だったが。 「このワザは相手のポケモンを一匹選択し、バトルポケモンと入れ替えると新たにバトル場に出たポケモンを火傷にするものだ。そしてターンエンドと同時にポケモンチェック」 「よし、コイントスを───」 ちっちっちっ、と古典的に指を振って見せる。 「その必要はないぜ」 「えっ」 プテラGL60/80は火傷判定をする前に炎に包まれダメージを受けて残りHPが40/80へと変わっていた。 「どうして……」 「ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルは相手が火傷でのポケモンチェックで行うコイントスは全てウラとして扱う。つまり必ず火傷のダメージを受けるものだ」 よし、このまま一気に行くぞ。 ふと他の対戦場を見る。恭介は……、あれはライチュウLV.Xか、良い感じじゃないか。そして風見はポリゴンZに多少押され気味か? サイドの枚数までは攻撃できないが今の攻撃(熱暴走)で風見のギャラドスのHPが0になっているのを確認出来た。 そして最後に松野さん。相手はあの能力者相手だが、拓哉(裏)を圧倒的な差でひねりつぶした彼女なら。 現にエムリットLV.Xのゴッドブラストが今、対戦相手の山本信幸のミュウツーLV.Xを襲おうとしていた。 ゴッドブラストは威力200。どれだけ小細工をしようが200のダメージを防げるポケモンはそういまい。 エムリットLV.Xから紫の巨大なレーザーがミュウツーLV.Xに向かって放たれた。 エムリットLV.X、アグノムLV.X、ユクシーLV.Xの三匹がいて初めて使えるこの難しいワザをなんなく使いこなす松野さんだ、負けるはずがない。 そう思っていた。そう確信していたのだ。 だがこれはどういうことだ? ミュウツーLV.Xが右腕を前に差し出すと、その右腕から楯状の緑色の膜が張られる。そしてその膜はゴッドブラストを別のどことない方向へ弾いてしまった。 もしかして、と思ったがやはりミュウツーLV.XのHPバーは一切減っていない。無傷。 嘘だ、あの200ダメージを何事もないように弾いて無傷だと? 今度は山本のターンだ。ミュウツーLV.Xが両腕から放つ大きな濃い紫のエネルギー弾が、エムリットLV.Xに炸裂した。どちらかというと爆発に近い。そしてその破滅の一撃による音と衝撃は俺達の場所まで響いてきた。
翔「今日のキーカードはバシャーモFB LV.Xだ! ポケボディーはなんと火傷の相手に対し威力を上げるもの! そしてワザも極めて強力だ!」
バシャーモFB LV.X HP110 炎 (DPt3) ポケボディー バーニングソウル おたがいの場のやけどのポケモンが、ワザによって受けるダメージは「+40」される。おたがいの場で複数の「バーニングソウル」がはたらいていても、追加されるダメージは「+40」。 炎無 ジェットシュート 80 次の相手の番、自分が受けるワザのダメージは、「+40」される。 ─このカードは、バトル場のバシャーモFBに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 − にげる 1
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転落 ( No.97 ) |
- 日時: 2010/10/24 10:05
- 名前: でりでり
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「翔……! 翔!」
薫の俺を呼ぶ声によって我に返る。 「ごめん」 「勝負中に集中力切らすなんて翔らしくないよ」 「ほんとにごめん」 だがあの山本のミュウツーLV.Xはなぜ松野さんのエムリットLV.Xのゴッドブラストを弾いたのだ? なんで無傷でいられる? 「だから翔!」 再び薫が俺の名前を叫ぶ。今度は先ほどと違って怒号に近い。 「あたしはそんな翔と戦いたくないね、いつもみたいに勝負に対して真摯な翔と戦いたい!」 「ああ、そうだな」 改めて場を見回す。 俺のバトル場には炎エネルギーが一つついたバシャーモFB LV.X110/110、ベンチにはネンドール80/80、ワカシャモ80/80、ヒードランLV.X120/120。サイドは残り五枚。 石川の方にはバトル場が火傷状態だが闘エネルギー一つのプテラGL40/80、ベンチはプテラ80/80、こうらの化石50/50、水エネルギーが二つあるオムスター120/120。俺と同じくサイドは五枚だ。 状況はイーブン。流れも今はどちらにもない。 「よそ見する暇は与えない! あたしのターン! プテラGLをベンチに逃がし、オムスターをバトル場へ!」 プテラGLには逃げるのに必要なエネルギーは0。ノーリスクでベンチに戻ることが出来る。そしてベンチに戻ったことで火傷状態も回復。 「更に手札から闘エネルギーをこうらの化石につけてこうらの化石のポケボディーのロックリアクションが効果を発動! デッキからカブトを選び出してこうらの化石をそのカブト(80/80)に進化させる!」 俺より打点が控えめな薫だが、その点俺よりも早い展開スピードがある。 エネルギーが少なめでも十分に戦う事ができ、そしてプテラで化石をサーチしポケボディーでサクサクと進化してしまう展開の早さ。あっという間に薫の場は戦えるポケモンで埋まって行く。 「プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからひみつのコハクを手札に加える。サポーターカード、ミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからカブトプスを手札に加える!」 次のターンにすぐにカブトプスでも攻撃できるように準備に転じたか。早いな。 「オムスターでバシャーモFB LV.Xに攻撃! 原始の触手!」 硬化され、鋭い槍のようになったオムスターの触手がバシャーモFB LV.Xめがけて真っすぐに突き進み、バシャーモFB LV.Xを貫く。 「このワザはトラッシュのかい、こうらの化石とひみつのコハクの数だけ威力が上がるワザ! 今トラッシュに該当するカードは二枚」 そして元の威力が30だ。よってバシャーモFB LV.Xが受けるダメージは30+10×2=50。といいたいところだがバシャーモFB LV.Xはさらに水タイプに対し弱点を持っている。なので50×2=100ダメージが受けるダメージ! 鋭い攻撃で後ろに跳ね飛ばされたバシャーモFB LV.X。そのHPバーが大幅に減少し、今のHPは10/110。首の皮一枚繋がったか! 「これでターンエンド」 だが首の皮一枚だろうが残ったら残ったで文句はない。むしろ残ってくれて大助かりだ。 「俺の……」 今から俺のターン。というところでふと隣の松野さんの場に目がいった。
「まだまだ! 私のターン!」 相手の山本信幸の場にはミュウツーLV.X120/120しかいない。私のサイドは残り五枚だが、このミュウツーLV.Xを倒してしまえば相手の場に戦えるポケモンがいなくなるので私の勝ちだ。 しかしその一匹が果てしなく遠い。ミュウツーLV.XはエムリットLV.Xの攻撃を弾いてしまった。あれのからくりは一体……!? 今の私の場にはバトル場は水、鋼、闘エネルギーが揃ったレジギガス100/100、ベンチにはレジアイス90/90、レジロック90/90、アグノムLV.X90/90、ユクシーLV.X90/90。 「私は手札からレジスチル(90/90)をベンチに出して、バトル場のレジギガスをレベルアップさせる!」 LV.XとはいえたねポケモンなのにHPは最大級の150/150という超大型ポケモンのレジギガスLV.Xは私の頼れるエースポケモンだ。エムリットLV.Xでダメならこっちでいくしかない。 「レジギガスLV.Xのポケボディー、レジフォームによって自分の場にレジロック、レジアイス、レジスチルがいるときこのポケモンのワザエネルギーは無色エネルギー一個ぶん少なくなる! よってこのまま攻撃よ。ギガブラスター!」 この会場を揺らす程の高濃度の橙色のエネルギーが、レーザーとなって山本の場を襲いかかる! 発射されるだけで空気が爆発しそうなそのギガブラスター。 「嘘……」 しかしそれもミュウツーLV.Xが薄い緑の球体の膜を自分を覆うように張ることで、ギガブラスターから完全に身を守っていた。 「残念だが、それも通らない」 「このワザでもダメ……」 「いいや、ワザじゃあないんですよワザじゃあ」 「……?」 ワザが効かないという効果じゃないのか? ワザ以外の何かが? 「ミュウツーLV.Xのポケボディーはサイコバリア。このバリアはたねポケモンからの攻撃を全てシャットダウンする。だから、いくら威力が高くてもエムリットLV.Xでも! レジギガスLV.Xでも! その攻撃は無に帰すっ!」 たねポケモンを一切遮断……!? そんな、私のデッキにはたねポケモンしか入っていない……。攻撃出来なければ相手は倒せない……。いや? 「でっ、でもギガブラスターは相手の手札とデッキの一番上をトラッシュ!」 「往生際が悪いですねえ」 山本は仕方なさそうにそれぞれトラッシュしていく。これで相手の手札の超エネルギーと、ケーシィがそれぞれトラッシュされた。 そうよ。ギガブラスターは相手のデッキを削ることが出来る。ミュウツーLV.Xのさっきのワザはエネルギーを全てトラッシュしなければいけないというデメリット。ワザとワザを使うまでにあるインターバルのうちに逃げ切って相手の山札を全て削れば勝つことはできる。まだ、まだ勝負は終わってないわ!
「俺は手札から炎エネルギーをバシャーモFB LV.Xにつける。そして俺もミズキの検索を使わせてもらうぜ。手札を一枚戻してバシャーモを加え、ベンチのワカシャモを進化させる!」 ベンチに再びバシャーモ130/130が現れる。バシャーモ、バシャーモFB LV.X、ヒードランLV.Xのこの三体が揃うときが俺のデッキの真骨頂! ただ、実はあまり理想形ではないのだが。 「バシャーモのポケパワーだ。バーニングブレスを食らえ!」 ベンチから真っ赤な吐息が放たれ、オムスターを包みこむ。この吐息を食らったポケモンは火傷状態になるのだ。 「ネンドールのポケパワーも発動。コスモパワーによって、手札を二枚デッキの下に戻して四枚ドローする」 これできっちり手札は六枚。だが、引き自体はあまりいいとは言いにくいな。 「手札からバシャーモFB(80/80)とヤジロン(50/50)をベンチに出す」 相手のオムスターは水タイプのポケモン。俺のポケモンはネンドールとヤジロン以外は皆水が弱点なのでさっさと駆逐したいところだ。 「バトルだ! バシャーモFB LV.Xでオムスターに攻撃。ベイパーキック!」 バシャーモFB LV.Xの力強い脚から放たれるハイキックはオムスターの体をサッカーボールのように軽々と飛ばした。 「このベイパーキックは相手の場に水ポケモンがいるとき、威力が30上がるワザだ」 「元の威力が30だから60ダメージね。でっ、でもオムスターのHPは100も減ってるっ!?」 「そう。バシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルは火傷のバトルポケモンがワザによるダメージを受けるとき、そのポケモンが受けるダメージを40追加するポケボディー! よって30にベイパーキックの効果で30、バーニングソウルで40足されて100ダメージ!」 オムスターのHPは風前の灯、20/120だ。だがまだ終わらない。 「これで俺はターンエンド。だが俺のターンが終わると同時にポケモンチェック! ベンチのヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルによって火傷のコイントス判定は常にウラとなる。オムスターには火傷のダメージ20を受けてもらうぜ」 オムスターが火傷のエフェクトで炎に包まれると残り少ないHPが尽き、力を失いその場で倒れ伏す。 「あたしはカブトをバトル場に出すわ」 「俺はサイドを一枚引くぜ」 これで一枚俺が有利? いや、案外そうでもない。流れはまだ不動、どちらも状況はイーブン。 「あたしだって負けないんだから。あたしのターン。ドロー! まずはこれかな。プテラのポケパワーを発動。発掘! デッキからこうらの化石(50/50)を加え、ベンチに出す。そしてベンチに出したこの化石に闘エネルギーをつけることでポケボディーのロックリアクションが発動。デッキからカブトを加えて進化!」 これでベンチにもバトル場にも闘エネルギーがついたカブト80/80が一枚ずつか。 「そしてバトル場のカブトをカブトプス(130/130)に進化させる! 早速攻撃! 原始のカマ!」 バシャーモFB LV.XのHPがわずかだからか、今回は化石をトラッシュせずに攻撃してきた。化石は有限だ、こんなところで無駄遣いはしていられない、ということかな? カブトプスの一閃でバシャーモFB LV.XのHPは0/110。これでさっき俺が一枚ゲットしたアドバンテージも無くなり、サイドは同数。だが、俺のベンチには攻撃にすぐさま転じれるカードがない。そういう点では多少俺の分が悪い。やむなしでネンドール80/80をバトル場へ。 「サイドを一枚引いてターンエンド」 「まだまだ行くぜ! 俺のターン。うーん、バシャーモに炎エネルギーをつけてバーニングブレス!」 ネンドールに攻撃の術はない。だが黙ってるのも違うだろう。せめて火傷だけでも与えておく。 「よし、サポーターカードだ。シロナの導き! デッキの上から七枚を確認し、そのうち一枚を加える。……ターンエンド」 そしてポケモンチェックとなり、カブトプスは火傷のダメージ20を負う。しかし110/130はまだまだ大きい壁だな。 「あたしのターン。あたしはサポーターのバクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚をドロー!」 だがバクのトレーニングの真骨頂はこのターン、相手に与えるワザのダメージを+10するところにある。 「プテラの発掘を発動し、デッキからひみつのコハクを手札に。そしてバトル場のカブトプスに水エネルギーをつけて、カブトプスについている闘、水エネルギーをトラッシュしてベンチに逃がしベンチのカブトプスをバトル場へ!」 火傷を避けたか、カブトプスを入れ替えてきた。ベンチに下がったことでカブトプス110/130の火傷は回復。 「手札のひみつのコハクをトラッシュし、原始のカマ攻撃!」 ネンドール80/80に重たい一撃がヒット! 弾かれてコマのように回転して倒れていく。 元の威力20に化石をトラッシュしたことによって+50、バクのトレーニングでさらに+10で20+50+10=80ダメージ。ネンドールをジャストで気絶させた。 「だったら俺はバシャーモFBをバトル場に出すぜ」 「サイドを引いてターンエンド!」 残りサイドは三枚か。だが流れを俺に引き寄せるチャンスはある。 「さあ、俺のターンだ! まずは手札の炎エネルギーをベンチのバシャーモにつける。そしてグッズカード発動。プレミアボール! このカードの効果でデッキまたはトラッシュからLV.Xポケモンを手札に加える。俺はトラッシュからバシャーモFB LV.X(110/110)を選択し、バトル場のバシャーモFBをレベルアップさせる!」 「またっ!?」 「もう一枚グッズカードだ。ポケモン入れ替えを発動。バトル場のバシャーモFB LV.Xとベンチのバシャーモを入れ替える!」 このバシャーモがバトル場にいて、バシャーモFB LV.XとヒードランLV.Xがベンチにいる。これが俺の望む陣形だ! 「手札からポケモンの道具、達人の帯をつけるぜ。これでバシャーモのHPと相手に与えるダメージが20上昇! バシャーモ(150/150)のポケパワー、バーニングブレスでカブトプスを火傷にさせて攻撃。鷲掴み!」 屈強な腕がカブトプスの喉元に伸び、しっかりがっちりと掴み、締め付ける。元の威力が40だが、達人の帯、バシャーモFB LV.Xのバーニングソウルで+40されて40+20+40=100ダメージ。これであっという間にカブトプスのHPが30/130に。 「ターンエンドだが、さらにポケモンチェック。火傷でカブトプスに20ダメージだ」 これで残り10/130。オムスターと同じHPであればこの時点で気絶させることができたが少し足りなかったか。 「さあ、薫のターンだぜ?」
「まだまだ! ギガブラスター!」 何度目だろうか、再び巨大な橙レーザーが発射される。しかしミュウツーLV.Xはサイコバリアを張ってダメージから身を守る。 「なかなか貴女しつこいんですねぇ。そんなことしても無駄なのに」 「ギガブラスターの効果よ……、相手の手札と、デッキトップを一枚、トラッシュさせる!」 能力者との対戦は精神への負荷がかかる。まして相手はワーストワンの能力者。既に松野さんは肩を上下にさせた状態だ。こんな松野さんは見たことがない。 『もし、私に何かあった場合は悪いけどよろしく頼むわ』 対戦前に松野さんが僕、一之瀬に告げた一言が頭の中でリフレインする。 松野さんはあらかじめ負けるかもしれないと分かっていたのかもしれないな……。 「そうか、分かりましたよ。貴女は僕のデッキを削り取る気ですか。なるほどねえ。でも僕のデッキはまだ十枚もある。そして僕のサイドは残り二枚だ。しぶとくサクリファイスでHPを補充しているがそれにも限界というものがある。それに、そのパワーバランスは簡単に崩れる。僕は達人の帯をミュウツーLV.Xにつけさせてもらうよ。さあこれでそのあがきも終わりにしてあげよう」 すっ、と山本は松野さんを指差す。 「貴女も僕に負けて消えていくのではない。僕の能力(ちから)の礎となるのだから、安心して消えていけばいい」 二ターン前に、松野さんは自分のレジギガスLV.X140/170はHP補強のため達人の帯をつけた。しかし達人の帯は強力ゆえにデメリットも存在する。それは達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合、相手はサイドは一枚更に引けるというもの。つまりここでレジギガスLV.Xが気絶したとき山本が引くことの出来るサイドカードは二枚だ。 そしてミュウツーLV.Xのギガバーンは120ダメージを与える大技。それも達人の帯の効果でワザの威力は20プラスされて……。 「それではさようなら。ミュウツーLV.Xで貴女を消してやる。咲いては散る花火のように! ギガバーン!」 深い紫色のエネルギー球体がレジギガスLV.Xに触れると一気に膨張して爆発、轟音放ちながら全てを包み込んでいった。 僕が松野さん! と叫んだ声も。全て消えていった。
翔「今日のキーカードはバシャーモ! ポケパワーはノーリスクで確実に相手を火傷にさせるぜ。 そしてワザも高火力! 申し分なしだ!」
バシャーモLv.59 HP130 炎 (DPt1) ポケパワー バーニングブレス 自分の番に1回使える。相手のバトルポケモン1匹をやけどにする。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 無無 わしづかみ 40 次の相手の番、このワザを受けた相手はにげるができない。 炎炎無 ほのおのうず 100 自分のエネルギーを2個トラッシュ。 弱点 水+30 抵抗力 − にげる エネルギー1
─── おまけ・ポケカ番外編 「ハロウィン2010」 蜂谷「トリックオアトリート!」 翔「はぁ?」 蜂谷「ってあるじゃんか!」 翔「あるけども」 蜂谷「あれっていたずらするか、さもなければお菓子くれ! って意味だったよな!」 翔「まあそうだけど、それがどうしたの?」 蜂谷「いやぁ、妹がハロウィンのイベントかなんかに参加するんだよ。そんで俺ん家に来て言ってくれないかなあって」 翔「シスコンきもいぞ。っていうかなんで?」 蜂谷「決まってるじゃん! お菓子あげないからイタズラしてくれって言うに!」 恭介「どうせ上からタライが降ってくるとかそんなオチじゃないの?」 蜂谷「いやいやいやいや。ぱふぱふ的なことが」 翔&恭介「何か辛いことでもあったの?」
─── 来週更新出来るか微妙なので早めにハロウィンネタ投下。 でもなんかすごい下衆いデキになってしまった……
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困惑 ( No.98 ) |
- 日時: 2010/10/31 18:29
- 名前: でりでり
- 「松野さん!」
二回目の叫びは勝負を終えたばかりの風見くんが上げたものだった。 「くそっ!」 彼が取り乱したところを見るのは初めてだ。それだから、彼自身が暴走すると何が起こるかが怖い。 「担架っ!」 担架を呼ぶ指示を声を荒げて僕も松野さんの元へ走る。しかし用があるのは松野さんではない。こちらに向かってくる風見くんだ。 「風見くん、落ちつけ!」 猛牛のように松野さんの元へ突進してくる彼をショルダータックルで突き飛ばす。 「担架は急いで運んで!」 「はい!」 ようやくぴくりとも動かなくなった松野さんを担架に乗せてレスキュー班が会場奥へ消えていった。松野さんの姿が見えなくなるまで風見くんは立ちあがってなお松野さんの元へ行こうと僕と格闘を繰り広げていた。 「はっ、はっ、はっ」 血眼になっている風見くんは今のでかなりの体力を消耗してしまったのだろうか、僕にほとんどもたれかかって体重を預けている様相だ。 「……。風見くん。いくら松野さんが君の恩人だからといって焦っちゃダメだ。怒っちゃダメだ。松野さんは二度と目を覚まさない訳ではない。山本信幸を倒せば松野さんはきっと目を覚ます」 「……」 「だから、松野さんが帰ってくるまで僕、一之瀬がその代役をするよ」 柱の傍まで風見くんを連れて行ってあげて、柱にもたれれるよう彼を座らせた。利口な彼ならきっとすべきことがわかるだろう。 ふと目が合った山本がこちらを見て嘲笑ってくれたが、馬鹿馬鹿しくて声を出して笑いそうになった。 狩られる者の立場を分かってないな、と。
「嘘……だろ」 気がつけば松野さんは担架で運ばれていったところだった。必死に松野さんの元に行こうとする風見を止める一之瀬さん。 あんな感情的な風見は見たことないが、それよりも拓哉(裏)をあっさりと倒してしまう実力の松野さんが負けた……? 松野さんが負け、山本が準々決勝へ駒を進めたということは、だ。 俺か、……薫が山本と戦う事になる。 思わず薫が担架で運ばれるところを想像してしまった。そんなことはさせない。絶対にだ! 能力者との対戦をしたことがあるから分かる。あれはもうカードゲームじゃない。本当に自分自身の精神を削るような戦いだ。 それを何も知らない薫にはさせたくない。だから勝つしかない……。 「翔! 何ぼさっとしてるの!」 「ああ……」 この能力者についてはもう一つ疑問がある。能力者が戦うたびに担架が右往左往しているのに、それについて騒ぎ立てる人が一切いないということだ。 恭介も、蜂谷も、薫も、向井も、皆が皆気づいていないのかどうかはしらないがそれについての言及が一切ないのがおかしい。 今すぐそこで担架騒ぎがあったのに薫が何も言わないのはおかしい。こういう話で騒ぎ立てるのがしょっちゅうな恭介も蜂谷も何も言わない。 一体本当にどうなっているんだ? まさかそれも能力なのか? 「あたしのターン!」 今はとにかく薫に勝つことに集中しなければならない。絶対だ。絶対勝たないと。 薫のサイドは三枚。俺のサイドは四枚。薫のバトル場には火傷で、闘エネルギー一枚ついたカブトプス10/130、ベンチにはプテラ80/80、カブトプス110/130、プテラGL40/80。 俺のバトル場には達人の帯、炎エネルギー二枚のついてあるバシャーモ150/150、ベンチにヒードランLV.X120/120、バシャーモFB LV.X110/110、ヤジロン50/50。 「まずはベンチのカブトプスに闘エネルギーをつけて、プテラのポケパワー発掘を発動! この効果で自分のデッキからかい、こうらの化石かひみつのコハクを一枚手札に加えることが出来る。あたしはひみつのコハクをデッキから手札に加える。そしてベンチにかいの化石(50/50)を出す」 かいの化石、こいつが中々面倒だ。進化されると俺のカードの弱点を突く水タイプのオムスターになる。 「手札のひみつのコハクをトラッシュしてカブトプスで攻撃。原始のカマ!」 原始のカマは攻撃する前にかい、こうらの化石またはひみつのコハクを手札からトラッシュした場合威力が50上昇するワザ。 元の威力が20なので、バシャーモが受けるダメージは20+50=70の70ダメージ。 カブトプスのカマで鋭い一撃を受けたバシャーモは後ずさるも、HPバーは半分以上残って80/150だ。 「ターンエンドと同時にポケモンチェックね」 「一気に行く! このタイミングで、ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルの効果だ! ポケモンチェックのとき、相手プレイヤーが火傷で投げるコインは全てウラとなる! よってカブトプスには火傷のダメージ20を食らってもらう!」 エフェクトでカブトプスの身が一瞬炎で包まれると同時にHPも奪われて行く。20ダメージを受けたカブトプス0/130は、力なく膝から崩れていく。薫は次のポケモンにプテラGL40/80をバトル場に出してきた。 「俺はサイドを一枚引く。そして俺のターン!」 絶対に勝たねばならない。薫は回転の遅い俺のデッキに対し速攻で仕留めにかかってくる。ならばこっちはその速攻を崩す重い一撃を休む暇なくぶつけていくしかない。 「俺は炎エネルギーをバシャーモにつける。そしてサポーターカードを発動。ミズキの検索! 手札を一枚戻してデッキからポケモンを一枚手札に加える!」 勝つにはパワーだ。ここで勝つには力で押すプレイング、ポケモンが必要! 「この効果で俺は───」 しまった! パワーのことを考えすぎて本来求めていたカードとは違う、バシャーモを選択してしまった……! 「くっ、俺はバシャーモを手札に加える!」 今バシャーモが手札に来てもベンチにはアチャモもワカシャモもいない。完全に意味のないカードを選んでしまった。本当はネンドールを加え、ベンチのヤジロンに進化させてポケパワーのコスモパワーを使うつもりだった。コスモパワーは自分の手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、そこから手札が六枚になるまでドローできるドロー支援のポケパワー。そこから自分のデッキに勢いをつけるはずだったが、焦りのあまりプレイングミスをしてしまった……。でもなったものは仕方ない。 「行くぞォ! バシャーモで攻撃! 炎の渦!」 深く息を吸い込んだバシャーモが、プテラGL40/80を覆い尽くす巨大な炎のうねりを吹き付ける。威力100の大技はプテラGLをあっさり倒してしまった。 「炎の渦の効果で、バシャーモの炎エネルギーを二個トラッシュする!」 「あっ、あたしはカブトプス(110/130)をバトル場に」 「サイドを一枚引いてターンエンド! そしてこのタイミングでヒードランLV.Xのポケパワーを発動する!」 「えっ、自分の番が終わったタイミングで!?」 「ポケパワー、熱風は自分のターンの終わりに一回使える。そのターンに自分の炎または鋼のバトルポケモンのワザで、そのポケモンからトラッシュした基本エネルギーのうち二枚までを選び、そのポケモンにつけ直す!」 「つけ直す!?」 「俺は炎の渦でトラッシュした炎エネルギー二個をバシャーモにつけ直す」 炎タイプのポケモンは高火力だがいちいちエネルギーをトラッシュしないといけないデメリットがある。それをカバーするためのポケパワーだ。 「……。なんだか翔らしくないな」 「……?」 「翔はいつも勝負を楽しんでるヤツだと思ってたし、実際さっきまでそうだった。だけどさっき集中を一瞬切らした後から、なんだか勝負の楽しさじゃなくてただ勝利を求めて焦るようなプレイングに変わってた。たとえばさっきのミズキの検索、あれはミスじゃない?」 「いや……」 「ミスだよ。ネンドールを選ぶのが正解だったはず。ミズキの検索をしたあと翔の手札は三枚、ネンドールを引いていたならネンドールにヤジロンを進化させて二枚、これでコスモパワー使えば手札の状況はがらりと変わる。そして何よりバシャーモを選択してしまった時の翔の顔は明らかにミスに対するいら立ちみたいな感じだった」 「っ……」 「悪いけど、『そんな程度』の気持ちで倒せるほどあたしは甘くないよ。あたしのターン! あたしはかいの化石をオムナイト(80/80)に進化させて水エネルギーをつける。そしてミズキの検索を使うよ! 手札を一枚戻してデッキからオムスターを手札に加える。さあ、手札のかいの化石をトラッシュして原始のカマ!」 相変わらずエネルギー一個だけで強襲してくるカブトプスは強力だ。だが、カブトプスの一撃を受けたバシャーモ10/150はすんでのところで耐えきった。 「俺のターン。俺は……」 本当にこれでいいのだろうか? 薫のためだという理由で薫の望まない意識で戦うというのは結局薫にとっていいことなのだろうか? 分からない。 「俺は、手札の炎エネルギーをバシャーモFB LV.Xにつけて、バトル。バシャーモで攻撃する。炎の渦!」 激しく荒れ狂う真っ赤な渦がカブトプスを飲み込み大幅にHPを奪う。かろうじて耐えきったカブトプス10/130だが、さらに追い打ちはかかる。 「ポケモンチェックだ。カブトプスは火傷! そしてヒードランLV.Xのポケボディーで確実に火傷のダメージ20を受けてもらう!」 今度こそHPの尽きたカブトプスは力なく倒れる。 「くっ、あたしはオムナイト80/80をバトル場に出すわ」 「サイドカードを一枚引かせてもらう」 これで残りのサイドは一枚。あと一匹、あと一匹を倒せば俺は勝てる。そして薫が危険な目に遭う必要性もなくなる。 丁度そのとき、隣で戦っていた恭介がよっしゃあああああ! と大声を張り上げて右腕を天井に向け突き上げる。どうやら勝って次へと駒を進めたようだ。 俺も能力者とかがいなければこれくらいの気持ちで戦えたのになあ。ふと見た恭介の背中は近いはずなのにすごい距離を感じる。 「おい翔てめえ! 負けたら承知しねえぞ!」 後ろから拓哉(裏)の罵声か応援か、その辺の声が飛んでくる。返事に困った俺は、とりあえず苦笑いだけで返しておく。 「無駄に力が入りすぎてんぞバカが!」 むっ、最後の一言は流石に余計だろう。 「うっせえ! そっちこそバカだろ!」 「けっ、ようやくいつもの表情に戻ったな」 拓哉(裏)が珍しく普通の笑みを浮かべるが、なかなか様じゃないか。 「……お前、わざわざ俺のために」 「うっせえな。さっさとその勝負、ケリをつけろ」 「ああ」 柄にもないことしやがって、ほんと拓哉めバカだ。バカなのは裏の方限定だけど。 「よし、薫。来い!」 「うん、あたしのターン! 手札のマルチエネルギーをオムナイトにつける。マルチエネルギーはポケモンについている限り、全てのタイプのエネルギー一個ぶんとして働く特殊エネルギー。続いて手札からオムスター(120/120)をオムナイトに進化させる!」 これが薫の最後のポケモンか、俺のポケモン達の弱点である水ポケモンが立ちはだかる。 「ただ倒すだけじゃダメ。だから、こんなのはどう? タイムスパイラル!」 オムスターの触手がバシャーモを縛り付ける。すると、縛り付けられたバシャーモの体が青く光り出し、その姿が縮んでいく。 「タイムスパイラルは相手の進化ポケモンを一進化ぶん退化させる! 退化させたポケモンのカードはデッキに戻してシャッフルよ」 やがてバシャーモ10/150の姿はワカシャモ0/100へと戻っていく。 「そうか。退化してもワカシャモに乗っているダメージカウンター自体は変わらない。HP150で140ダメージを受けていた状態から退化してHP100で140ダメージ受けた状態になったのか!」 「そうそう。それでワカシャモは気絶!」 ようやく触手から解放されたワカシャモはぱたりと倒れてしまう。デッキに戻すという効果が結構厄介だ。たとえばデッキの中に入っているあのカードが欲しいと思うと、デッキの枚数が少ない時ほどそのカードを引く確率が高くなる。こうやってデッキを増やされると、望みのカードを引く確率が下がってしまう。 「だったら俺はベンチのバシャーモFB LV.Xをベンチからバトル場に出す!」 「あたしはサイドをドローする。ただ、ワカシャモにはポケモンの道具達人の帯がついていた。達人の帯をつけているポケモンが気絶したとき、あたしは更にサイドを一枚ドローできる。よって二枚ドロー! これで五分よ」 五分? 五分どころなもんか。むしろ最悪だ。 今の俺の手札、場ではオムスターを「一撃で」倒す術がない。もし一撃で倒さなかった場合、次の薫の番でオムスターのワザ、原始の触手で攻撃されるとジエンドだ。一撃でバシャーモFB LV.Xは気絶させられてしまう。 だから俺の勝利条件はこのターン以内でオムスターを倒すことだ。オムスターのHPは120/120。バシャーモFB LV.Xでの最大火力は80で40足りない。40……? そうか、バシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルを発動出来ればいい。 バーニングソウルはバトル場のポケモンが火傷のとき、そのポケモンが受けるワザのダメージは+40させるというもの。オムスターを火傷に出来れば勝てる。 だがどうやって? ポケパワー、バーニングブレスで相手を火傷に出来るバシャーモはもう俺の場にはいない。生憎と前のターン、俺のプレイミスで手札に来たバシャーモはある。しかし残りの手札四枚はクロツグの貢献、ハードマウンテン、炎エネルギー、ポケモン入れ替えの三枚。これではどうしようもない。 「このドローで全てが決まる。頼むっ!」 大きな動作でデッキから引いたカード。それは───。 「俺はベンチのヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる!」 この一枚で逆転にはならない。ただ、逆転へつながる大きな希望だ! 「手札の炎エネルギーをバトル場のバシャーモFB LV.Xにつける。さあ、ネンドールのポケパワー発動だ。コスモパワー! このポケパワーは手札を一枚か二枚をデッキの底に戻し、その後手札が六枚になるまでドローする。俺は手札を二枚戻し、四枚ドロー!」 このドローで逆転の手札を引かねば。残り十八枚のデッキから勝利の軌跡を描くカードを! 一枚目はワカシャモ。ダメだ、この場面では重要になりえない。 二枚目は不思議なアメ。そう、これは起爆剤だ。勝利を得るには必要な一枚。だがこれだけでは勝てない! 三枚目は炎エネルギー。違うこれじゃない! 最後の一枚に全てを賭けるしかないっ! 「これだ! 手札からサポーターカードを発動! ハマナのリサーチ! 自分のデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚手札に加えることが出来る! 俺はアチャモと炎エネルギーを選択する。そして俺はベンチにアチャモ(60/60)を出す」 「またアチャモ?」 「いいやまだだぜ。手札からグッズカードを発動。不思議なアメ! 自分の場のたねポケモンの上に手札のそのポケモンの進化ポケモンを重ねて進化させる! さあ、来い! バシャーモ!」 アチャモを覆う白い光の中で、その小さな体躯はより大きく屈強に変わって行く。そして光が消え、バシャーモ130/130が大きな雄叫びを上げながら俺の場に現れる。 「さあ、焼き焦がしてやれバシャーモ。ポケパワー、バーニングブレス!」 一際激しく全ての色を塗り替えるその真っ赤な灼熱がオムスターを覆い尽くし、火傷状態にする。 「この一撃で決めてやる! バシャーモFB LV.X、ぶちかませ! ジェットシュート!」 高く跳躍したバシャーモFB LV.X。そのまま赤い彗星と化してオムスター120/120に高い位置から激しい蹴りの一撃を浴びせる。空気を激震させる激しい一撃が、オムスターのHPを奪い取る。 「ジェットシュートは次の相手の番、このポケモンが受けるワザのダメージはプラス40されるデメリットを持つワザだが、エネルギー二つで80ダメージの超火力ワザ。そしてバシャーモFB LV.Xのポケボディー、バーニングソウルは火傷のバトルポケモンが受けるワザのダメージを40追加させるポケボディーだ!」 「つまりオムスターが受けるダメージは120!?」 薫のバトル場にはぐたりと動かなくなってしまったオムスター0/120のみ。 「これでゲームセットだ!」 最後のサイドカードを一枚引いて、この勝負の幕を下ろす。恭介じゃないが、俺も思わず右腕を突きあげる。 PCCも二回戦を終わり、次はいよいよ準々決勝。次は絶対負けられない。自然と右手に力がこもっていたのを感じた。
翔「今日のキーカードはヒードランLV.X。 火傷のポケモンを簡単には逃がさせない! そしてハイリスクな炎ポケモンのワザをより安定させてくれるぜ」
ヒードランLV.X HP120 炎 (破空) ポケパワー ねっぷう このポケモンがベンチにいるなら、自分の番の終わりに1回使える。その晩に、自分の炎または鋼のバトルポケモンのワザで、そのポケモンからトラッシュした基本エネルギーのうち2枚までを選び、そのポケモンにつけなおす。 ポケボディー ヒートメタル 相手のやけどのポケモンが進化・退化・レベルアップしても、やけどは回復しない。ポケモンチェックのとき、相手プレイヤーがやけどで投げるコインは、すべてウラとしてあつかう。 ─このカードは、バトル場のヒードランに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 水×2 抵抗力 − にげる 4
─── BW発売おめでとう! ルール改正とかエラッタとかいろいろありますが、この章は旧判定で行い続けます。
石川薫の使用デッキ 「トラッシュフォッシル」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-842.html
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不足 ( No.99 ) |
- 日時: 2010/11/20 18:45
- 名前: でりでり ID:yzgLJy36
- 「松野さんが倒れた今、松野さんの部下である僕、一之瀬和也が彼女の代役をします」
拳を強く握りしめ、既に闘志を目に宿した奥村翔くん、不気味な笑みを浮かべている藤原拓哉くん、そしてまだ柱にもたれかかり明日のジョーみたいに燃え尽きている風見雄大くん。 今の三人は皆が皆意識が違うようだ。別に問題があるわけではない。むしろ、面白いなと笑ってしまいそうなくらいだった。 「まずは藤原くん。君はこの次能力者の高津洋二と戦う事になる。彼の特徴は───」 「言われなくてもあのチビから聞いた。ワザの衝撃をそのままプレイヤーに与えるやつだろ?」 「そう。ただ、どの程度までダメージを与えれるかは分からない。勝てたとしてもどうなるかは分からない」 「けっ」 「彼のデッキはパワー型軸だがテクニカルな戦術も持ち合わせている。その辺も注意して」 「言われなくても分かってる。それだけか?」 「うん。健闘を祈るよ」 藤原くんは露骨に舌打ちをすると先に対戦場の指定位置へ向かう。 「さて。次は奥村翔くん。言わずとも分かるだろうが山本信幸が相手だ。彼はほとんど自分のプレイングの全てを見せずに勝ち続けている」 「……」 「特にあのミュウツーLV.Xは強烈だ。相手がたねポケモンならばダメージを受けないポケボディー、サイゴバリアは非常に厄介。十分に注意してくれ」 「はい」 奥村翔くんも強く頷くと、藤原くんの後を追って走って行った。 「さて、風見くん。君はこのままでいいのかな?」 相変わらず虚空を見つめる彼。しかし彼に命を吹き込む一つの魔法がある。 「『市村アキラ』が全国で君を待ってるよ」 こう耳打ちした刹那、彼の目は一気に命を取り戻す。 「本当ですか!?」 「彼にリベンジしたいなら、君はここでこんなことをしている暇はないはずだ。能力者なんて関係ない」 「……」 「君は君がすべきことを全うするんだよ」 「アキラ……」 ようやっと立ち上がった風見くんを背に、僕は一足お先に対戦上へ向かうことにした。
「さてと、お前が話に聞いていた高津洋二か」 「……」 「おいおいおいなんか喋れよクソ野郎」 「お前に話すことはない」 「そぉか。お前はそうでも俺はそうじゃないんだよ」 灰色のパーカーのフードを被って下を向いている高津は、顔が一切見えない。そして会話に関しても閉鎖的だ。元からそういう質(たち)なのか何も返してこない。 「せめてよぉ。人と人と会話するときは相手の目を見ろなんて学ばなかったのかよ? あぁ!?」 「言葉数が多いな……」 「俺様は喋って好感をもたれるタイプなんでな。そんなことよりお前の能力(ちから)、危なっかしいからとっとと潰させてもらうぜ」 「能力のこと、知っているのか」 初めて高津の顔が俺を見つめた。とはいえ高津の顔は長い前髪でほとんど見えないのだが、その顔には衝撃的な物が一つあった。 「へぇ、火傷か」 俺がそう言うと高津の眉が微かに動く。そう、高津は顔の右半分が火傷でただれていた。非常に醜い容貌を彼は必死に隠そうとしていたのだろう。 ふーんなるほどね。能力というのは嫌なことに対する負の感情から生まれるまさに醜い力。あの火傷の跡から生まれたコンプレックスが高津に能力を与えたか。 「まあいい。俺様がお前をぶっつぶしてやる。さぁ、遊ぼうぜ!」 先攻は俺からだ。互いにバトルベルトを広げ、バトルの準備を整える。俺のバトル場はヨマワル50/50。ベンチにはゴース50/50。一方高津のバトル場はワンリキー60/60一匹だけだ。 ワンリキーの弱点は俺が扱う超タイプ。こいつはいい。超タイプを扱う俺にしては飛んで火にいる夏の虫ってところだ。 「へぇ、格闘タイプか。おいしいな」 「相性なんてものはまやかしだ。本当の力を見せてやる」 「力じゃなくて能力の間違いじゃないのかあぁ? 俺様のターン! まずは手札の超エネルギーをヨマワルにつけて攻撃! 影法師!」 ヨマワルから伸びる影がワンリキーに襲いかかる。しかし与えたダメージは僅かに10。ワンリキー50/60もまだまだ余裕そうだ。 このワザは相手にダメージカウンターを一つ乗せるワザ。相手に既にダメージカウンターが乗っている場合、更に追加でダメージカウンターをもう一つ乗せることが出来るが、生憎ワンリキーはダメージカウンターが乗っていなかったため10ダメージだけだ。 そしてこれはワザのダメージを与えるものでなくダメージカウンターを乗せるという効果なので、弱点及び抵抗力の計算を受けない。 「威勢の割にはそれだけか。俺のターン、手札の闘エネルギーをワンリキーにつける。そしてサポーターを発動する。ハマナのリサーチ」 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで選び手札に加えるサポーターカード。高津はパルキアGとマンキーを選択した。 「そして俺はパルキアG(100/100)をベンチに出して、手札からグッズカードの不思議なアメを使用」 不思議なアメはご存じ、進化していないポケモンをそのポケモンから進化する一進化及び二進化ポケモンに進化させることのできるグッズカード。これが二進化ポケモンの弱点である遅さを軽減させる。 「ワンリキーをカイリキーに進化!」 「くっそ、まだ二ターン目なのに遠慮なしかよ」 光の柱に包まれたワンリキーは全体的に大きくフォルムを変えていき、逞しい体つきへ変わっていく。そして光の柱からカイリキー120/130が現れた。 「同じエネルギー一つでもその違いを見せつけてやろう。落とす攻撃だ」 カイリキーがチョップをヨマワルの頭部に喰らわせたその時だった。 「!?」 理解不能の衝撃が頭上にズシンときた。思わず姿勢を崩して前のめりになる。 (大丈夫!?) 俺のもう一つの人格である相棒が語りかけてくる。心配されるほど俺は軟(やわ)じゃねぇ。 「ああ、まだまだ。……なるほど、これがお前の能力か……」 いってーな、と呟き頭をさする。口ではそう言ったがそんなもんじゃすまない。かなり硬いもので殴られたような感じがして立ち上がる時は少しふらついた。こいつは厄介だ。 「この落とす攻撃は、攻撃した相手が進化していない場合、ダメージを与える代わりに相手を気絶させるワザ」 「なんだと!? 俺のヨマワルが一撃かよ! くそっ、鬱陶しい!」 ふらふらと倒れていくヨマワル。最大まであったHPはあの一撃で0/50となった。 「相性なんてまやかしだ。これが本当の力だ」 「ふぅん、そんな程度か。それくらいなら俺だって出来るぜ。俺はゴースをバトル場に出す」 「さっきから口ばかりだな。サイドを一枚引いてターンエンド」 しかしまさかいきなりサイド先取されるとはね。 (やっぱり強いね……) 「けっ、これくらいやってもらわないとな。さあ、俺様のターン! ドロォー! まずはこうだ! 俺は手札の超エネルギーをゴースにつけ、ベンチにヤジロン(50/50)を出す。サポーター、シロナの導きを発動!」 シロナの導きはデッキの上から七枚を確認し、そのうち一枚を手札に加えることの出来るサポーター。単純に引くだけとは違いきっちりサーチ出来るのがこのカードの強み。 (ここは手堅くアレで行こうよ) 「ああ、当然だ相棒よォ。このカードで決まりだ。さて、良いもん見せてもらったらしっかりお返ししねぇとな。こっちも不思議なアメだ。進化させるのはもちろんゴース。面白くなるのはここからだ! 来い、ゲンガー!」 光の柱の中から光を消しさる程の深い闇を纏ったゲンガー110/110が現れる。 「もがいてみせろ! ゲンガー、シャドールーム!」 ゲンガーは両腕を自分の腹部に持っていく。すると右手と左手の間に黒と見違えるほどの濃い紫色の立方体の謎の物体を作り出す。ゲンガーが腕を広げるとその立方体もそれに合わせて大きくなる。ある程度の大きさになると、ゲンガーはその立方体を投げつけた。 謎の立方体はカイリキーの元へ飛んでいき、カイリキーにぶつかるや否や謎の立方体がカイリキーを包み込む。 外からでは何も見えないが、この立方体の中でカイリキーには全身に異常なまでの圧力をかけれらてそれがダメージとなるのだ。 「このワザは相手一匹にダメージカウンターを三つ乗せるワザ。これも弱点と抵抗力は無視だ」 ようやく解放されたカイリキー90/130、肩を上下させていたが程なく元通りに動き出す。 「その程度のダメージでは俺には効かない」 「へ、ほざいてろ顔面グロテスクが」 ほとんど動かなかった高津の表情が今完全に憎悪のそれに切り替わった。 (さ、流石に煽りすぎじゃない!?) 「大丈夫だ」 「何を独り言を! 俺のターン」 一瞬高津の行動が止まった。かと思うと、歪んだ笑顔で突如笑いだす。 「ははははは! 俺を愚弄したことを後悔させてやる!」 (何か仕掛けてくるよ!) 「けっ、口上はいい」 「俺は闘エネルギーをカイリキーにつけ、ベンチにマンキー(50/50)を出す。遊んでやる。カイリキーで攻撃、ハリケーンパンチ!」 高津はワザの宣言と同時にコイントスを始める。 「このワザはコイントスをしてオモテの数かける30ダメージを与えるワザ。そのコイントスは……、オモテ、ウラ、ウラ、オモテ。60ダメージを食らえ!」 ゲンガーに向かって走り始めたカイリキーは、右の二本の腕をぐんぐん回すとその二本の腕でゲンガーを思いっきり殴りつけた。ゲームならゴーストタイプに格闘ワザなど効かないが、これはカードなのだ。モロにパンチを受けたゲンガー50/110はその威力ゆえに吹き飛ばされ、衝撃を受けた俺も後ずさりをしてなんとか耐えた。 左の肩甲骨の辺りと鳩尾のちょっと上に、これまた硬いもので殴りつけられたような衝撃、痛みが走る。 「くっ……」 「お前を少しずついたぶってやることにする」 「ふん、まだまだ! 俺のターン!」 引いたカードはネンドール80/80。俺の方からサーチをかけようとしていたが自ずとやってきた。どうやら運は俺の方にあるらしい。 「俺はベンチのヤジロンをネンドールに進化させ、手札からグッズカードのゴージャスボールを使う。ゴージャスボールはデッキからLV.X以外の好きなポケモンをサーチするカードだ。俺は……。そうだなぁ、サマヨールを加える。更にネンドールのポケパワーを使うぜ。コスモパワー!」 コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻し、その後手札が六枚になるまでドローするドローソースだ。今の手札は二枚。ヨノワールでない方の手札をデッキの底に戻し、五枚ドロー。 「けっ、超エネルギーをゲンガーにつけてヨマワル(50/50)をベンチに出すぜ。サポーター、オーキド博士の訪問を使う。デッキから三枚ドローした後手札を一枚デッキの底に戻す。ポケモンの道具、ベンチシールドをネンドールにつけるぜ。ベンチシールドをつけたポケモンがベンチにいる限り、ワザのダメージを受けない。さあ攻撃だ! ゲンガー、ポルターガイスト攻撃!」 ゲンガーの影がすっと伸びてカイリキーの影と融合する。 「このワザは相手の手札を確認し、その中のトレーナーのカードの枚数かける30ダメージを与えるワザだ。さあ手札を見せな!」 高津はバツの悪そうに眉をひそめると手札を見せる。ミズキの検索、闘エネルギー、プレミアボール、ネンドール。ミズキの検索とプレミアボールがトレーナーのカード。二枚だ。 「さあ、やれ!」 カイリキー90/130の影から耳を壊しかねないような嫌な音が鳴り響く。カイリキーは四本の腕で耳を押さえようとするがそれも無駄。膝をつき、そしてついには倒れていく。 「さっきまではダメージカウンターを乗せるワザばっかだったが、今度は別だ。きっちりダメージを与えるワザだ。弱点計算はきっちりさせてもらうぜ!」 30×2=60に、カイリキーの弱点は超+30。よって60+30=90。ジャストでカイリキーが戦闘不能になる。 「へっ、弱点がどーだこーだいっときながらこのザマかよ!」 「俺はパルキアGをバトル場に出す」 「サイドを引いてターンエンドだ!」 「……。俺のターンだ。手札からプレミアボールを発動。デッキからパルキアG LV.Xを手札に加える」 プレミアボールはデッキまたはトラッシュのLV.Xを手札に加えることのできるカード。何か仕掛けてくるか。 「パルキアGをパルキアG LV.X(120/120)にレベルアップさせる」 大きく咆哮するパルキアG LV.X。ついつい目が合ったが何だこの威圧感は。 「マンキーに闘エネルギーをつけて、サポーターカード発動する。ミズキの検索。俺は手札を一枚戻してヤジロン(50/50)を手札に加え、ベンチに出す。そしてターンエンドだ」 もうターンエンドだと? まあいい。 「だったら俺のターン! アグノム(70/70)をベンチに出してタイムウォークを発動。このポケパワーはアグノムを手札からベンチに出した時に使え、サイドカードを確認し、その中のポケモンを一枚手札に加えることができる。加えた場合、俺は手札から一枚サイドにウラにして置く。俺はアンノーンG(50/50)を手札に加えて手札を一枚サイドに置く。そしてアンノーンGをベンチに出すぜ」 これで俺のベンチは四匹。だがまだまだ増える。 「ベンチのヨマワルをサマヨール(80/80)に進化させて超エネルギーをつける。さらにサポーターカードのハマナのリサーチだ。超エネルギーとヨマワルを手札に加え、ヨマワル(50/50)をベンチに出す!」 一気にベンチに大量展開したため俺のベンチがMAXの五体に。これで俺はこれ以上ベンチにポケモンを置けないが、それで十分だ。 「ネンドールのコスモパワーだ。手札を一枚戻してデッキから五枚ドロー! よし、攻撃する。ゲンガー、シャドールームだ!」 高津の手札は一枚だけ。恐らくネンドールだろう。これではポルターガイストで攻撃する意味がない。 ゲンガーから放たれる謎の物体はパルキアG LV.Xをとらえ、締め付けていく。 「シャドールームはポケパワーのあるポケモンにダメージを与える場合、ダメージカウンター三つに加えさらに三つ乗せることが出来る。パルキアG LV.Xにはポケパワーがあるみたいだな。それが仇となったぜ!」 パルキアG LV.X60/120が苦しそうな悲鳴を上げたところでようやくシャドールームから解放された。 「おいおいおい、能力者ってこんなに大したことなかったか? 暇つぶしにもなんねぇぜ」 「その言葉が後に自分の首を絞めることになることを教えてやる」
拓哉(裏)「キーカードはこいつだな、カイリキー。 なかなか鬱陶しい能力じゃねえか。 特に落とすが強力だ。SPポケモンなんて瞬殺だぜ」
カイリキーLv.62 HP130 闘 (破空) 闘 おとす 40 相手が進化していないなら、このワザのダメージを与える代わりに、相手をきぜつさせる。 無無 ハリケーンパンチ 30× コインを4回投げ、オモテ×30ダメージ。 闘闘無無 いかり 60+ 自分のダメージカウンター×10ダメージを追加。 弱点 超+30 抵抗力 − にげる エネルギー2
─── おまけ・ポケカ番外編 「おいしいラーメン」
恭介「―――でさ、そこの醤油ラーメンは味が薄いんだよなぁ。麺はめちゃくちゃ良かったんだけど」 翔「ちょっと待った」 恭介「ん?」 翔「今の話聞いてて思ったんだけど、まさか三日連続ラーメン?」 恭介「あぁ、もちろん! 三度の蕎麦よりラーメンだぜ」 風見「なんだそれは」 恭介「標語?」 翔「なんで聞くの?」 店員「はい味噌ラーメン三つでーす」 恭介「おっ、きたきた!」 翔「おいしそー」 風見「ほう」 恭介「よっし、俺先に食う」 翔「先とかあんのか」 恭介「ああこれめちゃくちゃうめぇ! ヤバいこれマジ旨いわ!」 翔「で、どんな味?」 恭介「……ま、まるで味の宝石箱やでぇ」 翔「えー、苦し紛れだからってそれは雑だろー」 風見「食べていいか?」 恭介「……、ごめん。食べて」 風見「おぉ、これは美味しいな」 翔「で、どんな味?」 風見「……、まるであ、味の宝石箱やでぇ」 翔「ごめん俺が悪かった」 ─── 松野藍の使用デッキ 「勝利への威圧」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-844.html
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絶望 ( No.100 ) |
- 日時: 2010/11/20 18:47
- 名前: でりでり ID:yzgLJy36
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 異様な雰囲気が漂う準々決勝。その雰囲気の発生源であるこの一帯では暗い戦いが続いている。
どちらもサイドは五枚。俺の場には超エネルギー二枚ついたゲンガー50/110がバトル場に。ベンチにはベンチシールドのついたネンドール80/80、超エネルギーのついたサマヨール80/80、ヨマワル50/50、アグノム70/70、アンノーンG50/50。 相手である高津洋二のバトル場はパルキアG LV.X60/120、ベンチに闘エネルギー一つついたマンキー50/50、ヤジロン50/50がいる。 そして次のターンは高津から。 「俺のターン。ヤジロンを手札からネンドール(80/80)に進化させる」 高津の手札は僅か一枚だが、このネンドールで手札を増強させる気だ。ネンドールの持つポケパワー、コスモパワーはポケモンカード屈指のドローサポート。手札を一枚か二枚戻して六枚ドローするというトンデモ効果はほとんどのプレイヤーを助けてきた。 「ネンドールのポケパワーを発動だ。手札を一枚デッキの底に戻し、デッキから六枚ドロー」 「ちっ」 「続いて手札から闘エネルギーをマンキーにつけ、サポーターカードだ。バクのトレーニングを発動。デッキからカードを二枚ドロー。手札からマンキーをオコリザル(90/90)に進化させる」 「そんな弱小カードで何をする気だ? あぁ?」 「更にワンリキー(60/60)をベンチに出し、パルキアG LV.Xのポケパワーを発動する。ロストサイクロン!」 互いのベンチの上空に紫と黒の混じった鈍い色の渦が現れる。 「このポケパワーは自分の番に一度使う事が出来る。ベンチポケモンが四匹以上いるプレイヤーは自分のベンチポケモンを三匹選び、その後選んでいないポケモンとそのポケモンについているカードを全てロストゾーンへと送りこむ」 「ロストゾーンだと!?」 「そうだ。ロストゾーンに一度行ったカードは二度とプレイ中に使うことはできなくなる」 高津のベンチは丁度三匹しかいないので効果対象にはならない。一方、俺のベンチには五匹いる。二匹は必ずロストゾーン行きだ。 「だったら、ネンドール、サマヨール、ヨマワルを残す。アグノムとアンノーンGをロストゾーンに送る」 バトルテーブルの小脇にあるロストゾーンにカードを置くと、俺のベンチ上空の渦がアグノムとアンノーンGを吸って飲み込み消えていく。幸い、この二匹にはエネルギーなどがついていないのが救いだ。 「グッズカード、ポケモン入れ替えを発動。バトル場のパルキアG LV.Xとベンチのオコリザルを入れ替える、そしてオコリザルで瓦割攻撃だ」 走り出したオコリザルは、ゲンガーの手前まで来ると跳躍してから右手でゲンガーの頭に瓦割を叩きこむ。 「ぐあっ!?」 と同時に俺にもダメージが飛んでくる。丁度額のところにものすごい衝撃を受け、思わず後ろにこけそうになった。なんとか踏ん張ったがこれは最悪な気分だ。 (大丈夫!?) 「まだまだ……」 俺のもう一人の人格はまたもや心配してくれる。その気持ちはありがたいがこの戦いに情け容赦はない。 ふと鼻の下に何かついていると思い、服の袖で拭うと血がついていた。おいおい鼻血かよ。 「降参するならまだ間に合うぞ」 「誰が降参するかよ……。この顔面グロテスクが! 舐めてんじゃねぇぞぉ!」 ふらつく足を気合いで保ち、威嚇の意味を兼ねて吠える。そうだ。精神が先に折れたら負けだ。俺様がこんな弱小能力者に負けるわけがねぇんだよ。 「……。またその目だ」 「あぁ?」 「その俺を見る憎悪の目! 気持ち悪いものを見るかのような、そして俺を消えろと言わんばかりのそれが!」 (……?) 「お前もだ! どいつもこいつも俺をそんな目で見やがる!」 (ねぇ) 「ああ、これがこいつのコンプレックスだ」 能力(ちから)は負の感情にリンクして生まれる力。こいつの力の由縁はもう予想がついた。 「お前も、お前も、お前も! 潰してやる……! 二度と立ち上がれないくらい!」 自分を気持ち悪い目でみるようなヤツをまとめて全員潰したい。その負の感情がこいつの、他人にワザのダメージが直接衝撃として与える能力になったのだろう。しかしこいつに必要なのは同情ではない。 「おいおいおいおい! お前のことなんてどーでもいんだよこの弱小が! この俺様が直々にぶっ壊してやる!」 「だがお前のゲンガーはこれで気絶だ! 瓦割の威力は40だが、バクのトレーニングの効果でこのカードがバトル場の横にあるとき(サポーターは使うとその番の終わりまでバトル場の横に置く)相手に与えるワザのダメージを10追加するもの。これで合計50ダメージ、ゲンガーはきっちり気絶となる!」 「んなこと分かってんだよ! 本領はこっからだ! ゲンガーのポケパワーを発動。死の宣告! さぁ、デッドオアアライブ。コイントスの時間だ! もしオモテを出したら、このポケモンを気絶させた相手のポケモンも気絶させる!」 「っ!」 ……だが、コイントスの結果はウラ。不発に終わる。 「ちっ、ベンチのサマヨールをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンド」 これでサイドは高津が四枚。俺が一枚ビハインドだ。 「けっ。俺様のターンだぁ! 手札からバトル場のサマヨールをヨノワール(120/120)に、ベンチのヨマワルをサマヨール(80/80)に進化させる。そぉだな。ここでネンドールのコスモパワーだ。手札を二枚戻し四枚ドロー!」 デッキの残数は二十九枚。まだまだ暴れても足りるな。 「サポーター、ハマナのリサーチだ。デッキから基本エネルギーまたはたねポケモンを二枚まで手札に加えることが出来る。俺様はゴースと超エネルギーを加え、ゴース(50/50)をベンチに出しヨノワールに超エネルギーをつける!」 このターンのうちに体勢を立て直したい。ここはちょっと強引に行ってやる。 「ふん、こんなんじゃあまだまだ足りねえ。ヨノワールのポケパワーを使ってやる。影の指令! 自分の番に一度使え、デッキからカードを二枚ドロー。そして手札が七枚を越えたら六枚になるように手札をトラッシュ。そしてヨノワールに20ダメージだ」 俺は手札からコール・エネルギーをトラッシュする。ヨノワール100/120は体力が減ったが、減ってこそ、その本領を発揮出来る。 「こうしてやる。ヨノワールで攻撃。ダメージイーブン!」 ヨノワールの腹にある口が開くと、そこから火の玉が二つ飛び出る。ヨノワールの指示によって飛び回る火の玉は相手のベンチにいるネンドール80/80に襲いかかった。 「またベンチに攻撃か」 「なんとでも言え。ダメージイーブンは相手のポケモン一匹に、このカードに乗っているダメカンと同数のダメカンを乗せる。よってネンドールに20ダメージだ」 まだまだネンドールはHPが60/80と余裕だが、これも計算の内だ。手はずは整いつつある。 「俺のターン。ベンチのワンリキーをゴーリキー(80/80)に進化させ闘エネルギーをつける。そしてネンドールのコスモパワー。手札を二枚戻して三枚ドロー」 パルキアG LV.Xのロストサイクロンは確かに強力だが、自分の首も絞めていることになる。自分のベンチに四匹以上並ぶと自分もポケモンをロストしなくてはならないからだ。だから高津は手札にあるポケモンを処理しきれないのだろう。 「ここで俺はペラップG(60/60)をベンチに出す」 「何っ!?」 「ペラップGのポケパワー、撹乱スパイがこのタイミングで発動される。このカードを手札からベンチに出した時、相手のデッキのカードを上から四枚見て好きな順番に入れ替えることが出来る」 相手のデッキの上を入れ替え……? いったい何が目的だ。 「……。よし、この並びだ。さあ次はパルキアG LV.Xのロストサイクロンを発動。ベンチに四匹以上いるのは俺の場のみ。この効果でペラップGをロストゾーンに送る」 俺のベンチキルを意識した策略か? ただ相手のデッキを入れ替えることに何の意味が。 「オコリザルで攻撃する。マウントドロップ! このワザは相手のデッキの上を一枚トラッシュし、そのカードがポケモンだった場合そのポケモンのHP分ダメージを与える!」 「けっ、ペラップGはこのためか! トラッシュしたカードは……。ちっ、ゴーストだ」 「ゴーストのHPは80。よって80ダメージだ」 再びオコリザルがヨノワールの元へ駆けて来て、手前でジャンプしヨノワールに絡みつくとマウントポジションになる。そして拳を高いところから振り下ろし脳天チョップを炸裂させる。 「かはっ……!」 頭上からまるで鉄の棒で叩きつけられたような衝撃が走る。体の平衡を保てない。思わずおちそうになった、いや、おちた。気がつけばうつ伏せになって倒れていたのだ。 (よかった、起きてくれて……) もう一度立ち上がる。立ちくらみが半端なかったが、まだ行ける。服をぱんぱん、と掃う。首も回して腕も回す。俺の体は、いや、俺達の体はまだ大丈夫のようだ。 「なあ、俺はどんだけあんな風に倒れてた?」 (いや、ほんの僅かだったよ) 「ならいい」 口の中が不快だ。ぺっ、と唾を吐くが血も幾らか混ざっていた。 「ふん」 「しぶといな……」 「七転八起は常識だろ?」 さて、今のマウントドロップを受けてヨノワールのHPは20/120。もう一度影の指令を使うことは出来ない。自ら自滅しに行く必要はない。 「まだまだ余裕だ。俺のターン! けっ、いいもん引いたじゃねえか。ヨノワールをレベルアップさせる!」 ヨノワールLV.X30/130になればHPに余裕が出来てもう一度影の指令が使える。レベルアップしてもレベルアップ前のポケパワーやポケボディーを使う事が出来るからだ。 「ふん。ゴースに超エネルギーをつける。サポーター、ミズキの検索だ。手札を一枚デッキに戻し、デッキからゲンガーを加える。そしてヨノワールLV.Xのポケパワーを使う。影の指令。デッキから二枚ドローし、ヨノワールLV.Xにダメカンを二つ乗せるぜ」 これでヨノワールLV.X10/130はどんな些細なダメージでも気絶だ。だがその前にやるべきことは残っている。 「悪くねぇな。グッズカード、不思議なアメだ。ベンチのゴースをゲンガー(110/110)に進化させる。そしてネンドールのポケパワー、コスモパワーを使う。手札を二枚戻し四枚ドロー。そしてヨノワールLV.Xでダメージイーブン!」 ヨノワールLV.Xの口から十二の火の玉が現れ、オコリザルを襲っていく。圧倒的な火の玉の量にオコリザルはあっという間に気絶していく。 「……。俺はゴーリキーをバトル場に出す」 「へ、サイドを一枚引いてターンエンドだ」 「俺のターン。手札からグッズカード、夜のメンテナンスを発動。トラッシュの基本エネルギーまたはポケモンを三枚までデッキに戻す。俺は闘エネルギーを三つデッキに戻そう。さらにミズキの検索も使う。手札を一枚戻してカイリキーを加える。バトル場のゴーリキーに闘エネルギーをつけて、カイリキー(130/130)に進化させる」 またカイリキーか。こいつの放つワザはどれもかしこも強力だ。踏ん張らないと。 「ネンドールのコスモパワーだ。一枚手札をデッキの底に戻し、五枚ドロー。さあ止めだ。カイリキーでおとす攻撃」 そしてそのワザの宣言と同時に高津の右手人差し指が俺を指す。いや、正確には……。 「さらなる絶望を教えてやる」 「っぐああああああああああああああ!」 カイリキーのチョップがヨノワールLV.Xにクリーンヒットすると同時に、左肘にとてつもない衝撃が走る。思わず左手に持っていた手札をこぼしそうになった。衝撃を喰らった後、痛みが引くまでしばらく右手で患部を抑える。 「あいつめ……」 (今、狙ってきたね) 「ああ……」 あのとき高津は俺の左肘を指で指した。そしてそこに衝撃が来た。ここから推測出来ることは高津はある程度能力を操作することが出来るということだ。 「おとすはたねポケモンを気絶させる効果だけではなく、普通に40ダメージを与えれるワザだ。これでヨノワールLV.Xは気絶」 「……、面白くなるのは、こっからだ……。ヨノワールLV.Xのポケパワーだぁ! エクトプラズマ!」 倒れ伏せているヨノワールLV.Xを中心にドーム状に紫色の空間が広がっていく。 「何だこれはっ!?」 バトル場を。ベンチを。俺達を。俺達が戦っている空間だけ周囲と完全に切り離された。 「どういうことだ。俺はヨノワールLV.Xを倒したはずだ!」 「それが地獄への……、トリガーだ」 (ちょっと、大丈夫?) 相棒が実際にいたら俺の肩を揺さぶっていただろう。だが俺の肩は自力で上下に揺れていた。 「はぁ、はぁ、……エクトプラズマは、ヨノワールLV.Xが気絶したときに使えるポケパワー……」 俺達を囲む紫色の空間のあちこちにスッと切れ目が入ると、その切れ目からたくさんの眼が現れた。濁った白目の真ん中の瞳孔はこれでもかというくらい真っ暗だ。上下左右、全方位にウン百万、ウン千万、いやもっとあるこの眼達は俺達を凝視する。まるで監視されているかのようだ。 「くっ、このヨノワールLV.Xは、相手のワザで気絶したとき、スタジアムカードとして、このLV.X一枚だけを、残すことが、出来る……。俺は次のポケモンに、ベンチのサマヨールを選ぶ」 「サイドを一枚引く。これで残りサイドは三枚だ」 息するのが辛いぞクソ野郎、全力疾走した後みたいな疲弊だ。座り込みてぇ。だが、それはまだ、まだだ。 「さあ、ワザを使ったから、お前の番は終わりだ。はっ、はぁ、ポケモンチェックにフェイズは移行する……。エクトプラズマの効果だ。このカードがスタジアムとして場にあるなら、ポケモンチェックの度に、相手のポケモン全員に、ダメカンを一つ乗せる……。さぁ苦しめ!」 合図と同時に高津の場の全てのポケモンが苦しそうにのたうちまわる。カイリキー120/130は四つの腕を使って頭を押さえ、ネンドール50/80は変な回転を始め、パルキアG LV.X50/120は首を振りまわしながら悲鳴を上げている。 「ははっ、いい声上げるじゃねぇか……。おいおい……。今度は俺のターンだ。ドォロー!」 ちっ、こいつじゃない。クソ、引きも悪くなってんじゃねえか。これが翔が言う「流れ」ってやつか。 「サポーターだ。クロツグの、貢献。トラッシュの基本エネルギーか、ポケモンをデッキに五枚戻して、シャッフル……。はぁ、俺は超エネルギー三枚とゴースとゲンガーを、戻すぞ」 減らしすぎたデッキのリカバリーだ。これで二十四枚……。 「ゲンガーに超エネルギーをつける。ネンドールのコスモパワー、手札を二枚戻して二枚ドロー。ターンエンドだ」 そしてポケモンチェック。高津の場は地獄絵図と化し、それぞれのポケモンのHPはカイリキー110/130、ネンドール40/80、パルキアG LV.X40/120となった。 「今度こそ降参したらどうだ?」 「けっ、人傷つける割には、そんなことを言いやがって、このクズめ」 瞼が重い。右腕でバトルテーブルを上から押して、それでなんとか体重を保っている感じだ。さすがにあんだけ連打を受ければ辛い。だが負けたくは、ない。 「不思議だな……」 「む?」 「こんなボロボロになっても、お前にだけは負けたくねぇ……」 高津は一人笑いはじめる。紫の空間には高津の笑い声がしばらく響いた。 「口だけならなんとでも言える。お前が何と言おうと、それは意味を成さない。俺は俺を否定する奴を認めない。このターンでお前に止めを刺してやる」 (本気だよあいつ!) 「くっ……」 「俺のターン。サポーターカード、地底探検隊を発動。デッキの底から四枚カードを確認し、そのうち二枚を手札に加える。そして俺はカイリキーに闘エネルギーをつけ、レベルアップさせる!」 ぞわり、身の毛がよだつ。カイリキーLV.X130/150、こいつはヤバい。直感で分かる。あれはダメだ。ヤバい、ヤバすぎる。あんなのの一撃をまともに喰らうと本当にどうなるか分からない。 思わず右足が一歩下がる。しかし下がったところでどうなるものでもない。 「カイリキーLV.Xで攻撃。斬新だ」 高津の指はまたもや俺の左肘を指す。しかしどこに衝撃が来るか分かっても対処のしようがない。 「斬新は威力はたった20。だがしかし、カイリキーLV.Xにはポケボディーがある。このポケボディーのノーガードはこのポケモンがバトル場にいる限り、相手に与えるワザのダメージと受けるワザのダメージは全てプラス60。よって斬新で与えれるダメージは80。サマヨールのHPも80。これで気絶だ。だがその前にこの一撃に耐えれるかだがな」 走り出したカイリキーLV.X。ニンマリ笑うその顔から繰り出されるチョップがサマヨールに届いたとき。 「ぐっ、がああああああああああああああああああああああ!」 絶叫と共に俺と、俺が左手に持っていた手札六枚が宙を舞う。
拓哉(表)「今回のキーカードはカイリキーLV.X。 なんといってもポケボディーのノーガード。 ダメージを受けるのはもちろんだけど、それ以上に与えるダメージ増幅がすごい」
カイリキーLV.X HP150 闘 (破空) ポケボディー ノーガード このポケモンがバトル場にいるかぎり、このポケモンの、バトルポケモンに与えるワザのダメージと、相手のポケモンから受けるワザのダメージは、すべて「+60」される。 闘無無 ざんしん 20 次の相手の番、ワザのダメージで自分の残りHPがなくなったなら、コインを1回投げる。オモテなら、自分はきぜつせず、残りHPが「10」になる。 ─このカードは、バトル場のカイリキーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 超+40 抵抗力 − にげる 3
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Re: ポケモンカードゲームシリーズLEGEND PCC編 ( No.101 ) |
- 日時: 2010/11/14 22:11
- 名前: レイコ
- こんばんは。移転更新ご苦労様です。こちらでは初のお邪魔となります。
新サイトになったということで、改めて最初から読ませて頂きました。 いやぁ、おもしろい。今回通して読んでみて色んな発見がありました。 懐かしさも手伝っているのか、展開やキャラの動き一つでもまた違った印象も受けました。 たとえば主人公の翔が前より断然好きになりましたし、というよりも正確にはこれまでよりどのキャラも魅力的に見えました。 応募キャラも違和感なく物語りを盛り上げており、よく生かされているなと思います。 そして何より、登場人物達が本当にカードバトルが好きなんだということが伝わってくるのがいいんですね。 勝負で芽生えた友情一つ一つに胸が熱くなります。
また物語の流れもお見事だと思いました。既存のカードをうまく使っているところにも驚かされるのですが、 コイントスのハラハラ感がたまりません。こういう読者をぐいと惹き付けるような描写がお上手ですね。素直にのめり込むことができます。 PCCの後半は重い展開が続いていますが、この状況を打開できるであろう主人公と仲間達の活躍に期待しております。ああ、松野さん……拓哉……
それでは。いつもながらの迅速な更新、お待ちしています。
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コメ返し ( No.102 ) |
- 日時: 2010/11/16 19:24
- 名前: でりでり ID:BzyAik9M
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- こんばんはー。わざわざ感想ありがとうございます!
最初から読むとは。30万字以上あるので本当に読了お疲れ様です。 再読して発見、ありがたいですねー。翔ほんと頑張ってますよね。なでなで。 応募キャラ、ちゃんと全部の設定活かしきれなかったりと百点満点ではないんですけど、結構充足したと思います。 もしかしたらもう一回やることもありえるかも……。 基本的に非公式ですがカードに興味をもってもらえたらいいなー、カード人口増えたらいいなーとか思ってやってるのでそこを感じ取ってもらえたら非常に嬉しいです。さあ、レイコさんも始めましょう!
先ほども言いましたが、カードに興味を持ってもらいたいために既存のカードで頑張ってます。 オリジナルやってもいいんですが、まあバランスブレイクしそうなので控えてるというのもありますね。遊戯王の経験が長すぎたからポケカはちょっと展開遅いっていう不満が……。 実はコイントスは嫌いなんで、まあ仕方ないなーみたいな気持ちで書いてたんですよ。でもそう言ってもらえると俄然やる気出ますねw シリアスな展開は物語には必須。これからの展開もまだまだ目が離せないよう頑張っていきます!
感想本当にありがとうございましたー。
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目次:ファーストバトル編〜風見杯編 ( No.103 ) |
- 日時: 2011/03/30 10:50
- 名前: でりでり ID:ki7VHMKo
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- ファーストバトル編
1話 唐突な出逢い! 翔VS風見(前) >>1 2話 不思議なてかり! ガバイト! 翔VS風見(中) >>2 3話 レインボードラゴンカブリアス! 翔VS風見(後) >>3 4話 カードティーチング! レッスン1 >>4 5話 カードティーチング! レッスン2 >>5 6話 カードティーチング! レッスン3 >>6 7話 黒色の転校生 恭介VS黒川唯 >>7 8話 リベンジ! 翔VS風見(前) >>8 9話 信じる心 翔VS風見(後) >>9 風見杯編 10話 生じる予感 >>13 11話 希望を掴め >>14 12話 壊れた心 >>15 13話 決戦の朝 >>16 14話 風見杯予選! 翔VSM[ムービー]ポケモン(前) >>17 15話 予選終了! 翔VSM[ムービー]ポケモン(後) >>18 16話 本戦開始! ポイズンストラクチャー! >>19 17話 ギンガ団の脅威! 発動、エナジーゲイン! >>20 18話 運命のコイントス! >>21 19話 竜VS草&水VS鋼 >>22 20話 刺激する細胞 バトルドーパミン! >>23 21話 目指すもののために エナジーサイクロン >>24 22話 フローゼルと諦めの悪いヤツ >>25 23話 本戦二回戦開始 太古の化石! >>26 24話 逃げて前へ進む者、願い前へ進む者 >>27 25話 ギリギリの攻防 その先にあるもの >>28 26話 恭介出動! 初心者と熟練者 >>29 27話 (カードへの)愛VS(彼女に対する)愛 >>30 28話 風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて >>31 29話 準決勝への道のり 至上命令! >>32 30話 打倒シェイミLV.X 運と運で……! >>33 31話 恨み >>34 32話 拓哉のゴーストデッキ!? >>35 33話 恐怖のベンチキル! サマヨールを倒せ! >>36 34話 遡行せよ、蘇生せよ! >>37 35話 努力の天才 智略のスピードインパクト! >>38 36話 風見杯決勝運命の激突 翔VS風見! >>39 37話 決戦の果て >>40 38話 終わりと新たな始まり >>43
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アイツ ( No.104 ) |
- 日時: 2010/11/21 18:57
- 名前: でりでり ID:fM0Q/lL.
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 『雄大。これで最後だ! マッスグマの攻撃、駆け抜ける! ガブリアスに攻撃だ! ガブリアスは無色タイプが弱点。僕の勝ちだ!』
何年前かは忘れた。まだ俺が小さい頃の話だ。小学生だった。 ジュニアリーグで出場し、あれよあれよと全国大会まで駒を進めた俺。 その当時、俺はうぬぼれていた。何一つ自分で掴み取ってはいないのに、すべて自分の思い通りにいくとでも思っていたのだ。 自分の圧倒的な力、絶対的な戦術、幼いながらに全て自信を持っていた。 そしてそれがアイツとの戦いで崩れ去った。しかし、それを認めたくなかった俺は幻にすがりついた。俺は強い、という悲しい幻に。 母親には怒られた。大企業会社の社長の息子は何においてでも負けることは許さない、だと。 粉々に砕かれたプライド。あの負け以来今日まで公式大会には出ていなかった。だがそれでもポケモンカードを続けていたのは何故だろう。惰性か、それとも別の何かか。 アイツとは小さい頃からなんとかパーティーでしょっちゅう会っていて、それなりに仲が良かった。たぶん初めての友達だったかもしれない。 しかしあの全国大会以来アイツとは会えていない。アイツには恥ずかしい姿しか見せれていないのだ。成長し、変わった俺を。母親の束縛から逃れようと、運命に抗い始めたその俺を。そして何より俺にもたくさん仲間と呼べる人が出来たというのを見せてやりたい。 母から逃れるために北海道を出、悲しい幻を引きずったまま東京にやって来た。そこで出会った奥村翔、翔は俺をその幻から引きずり出してくれた。口には恥ずかしくて言えないがとても感謝している。 奥村翔、長岡恭介、松野藍、他にもいろんな人と俺は出会えた。そしてその出会いが今の俺の強さだ。もう一度アイツにあって、それを見せてやりたい。……待っていろ、市村アキラ。 「風見杯以来だな」 「ああ。あんときは準決勝だったけど今回は準々決勝だな」 「今度は負けないぜ!」 「いや、俺は今回も負けない。負ける気はない」 「そうこなくっちゃ! じゃあ始めるぜ」 「来い、長岡!」 バトルベルトはもうテーブルにトランスフォームした。デッキもシャッフルし終わり、両者の場には既に最初のポケモンが出そろった。 俺のバトル場にはタツベイ50/50。長岡のバトル場はエレキブルFB90/90。互いにベンチにポケモンはいない。 「先攻はいただくぜ。俺のターン! 俺はまず手札の雷エネルギーをエレキブルFBにつける! うん、エレキブルFBのワザを使う。トラッシュドローだ。自分の手札のエネルギーを二枚までトラッシュし、その枚数かける二枚ぶんデッキからカードをドローする。俺は雷エネルギーを一枚トラッシュして二枚ドロー!」 長岡はあれからかなりのキャリアを積んだ。もう初心者ではない。一瞬の油断も与えられなくなった程だ。 「全力で戦う。俺のターンだ。炎エネルギーをタツベイにつける。よし、サポーターだ。ハマナのリサーチ! デッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを二枚まで手札に加える。俺はコイキングを二枚手札に加え、そのうち一枚をベンチに出す」 ベンチにコイキング30/30が現れ、ピチピチと跳ねる。 「へぇ、コイキングも入ってんのか」 「ふ、タツベイでエレキブルFBに噛みつく攻撃だ」 タツベイがエレキブルFBの腕に噛みついた。HPバーがごくわずかに減ってエレキブルFBのHPは80/90に。噛みつくの威力はわずか10ダメージ。たねポケモンでエネルギー一個なのだから、多少はやむなしといったところか。 「よし、俺のターンだぜ! ベンチにピチュー(50/50)を出す! ピチューに雷エネルギーをつけ、俺もサポーターのハマナのリサーチを使うぜ。デッキからピカチュウとヤジロンを手札に加える。そして、ヤジロン(50/50)をベンチに出し、ピチューのポケパワーを発動だ!」 ピチューのようなベイビィポケモンは全員がベイビィ進化というポケパワーを持っている。自分の番に一度使え、自分の手札のそのポケモンから進化するたねポケモンを一枚、このポケモンの上にのせ、進化させる。そのときそのポケモンのダメカンを全て取るというやつだ。この場合はピチューからピカチュウ60/60へ進化する。 「ベイビィ進化でピカチュウへ進化させ、このピカチュウのポケパワーを発動。エレリサイクル! このピカチュウの進化前にピチューがいるとき自分の番に一回使える。トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加えることが出来る!」 長岡のトラッシュにはさっきのターンにエレキブルFBのワザでトラッシュした雷エネルギーが一枚ある。ここまで考えていたのか? 「もう一度トラッシュドロー。今度は手札の雷エネルギーを二枚捨てる。よって四枚ドロー!」 ひたすら長岡の手札が増えていく。まだ三ターン目なのにデッキの枚数は着実に減っていく。 「引くだけでは勝てないぞ。俺のターンだ。タツベイに水エネルギーをつける。ここでサポーターだ。スージーの抽選。自分の手札を二枚までトラッシュし、トラッシュしたカードの数によってドローするカードの枚数が決まる。俺は手札を二枚トラッシュして四枚ドロー」 手札のコイキングを二枚トラッシュしておく。俺のデッキはトラッシュにコイキングがあればあるほど強くなる。 「まずはタツベイをコモルー(80/80)に進化させよう。そして俺も手札からヤジロン(50/50)をベンチに出し、コモルーのワザだ。気合い溜め!」 コモルーはぐぐぐ、っと力を入れる。だがエレキブルFBへのダメージを与えるワザではない。 「へへっ、そういうお前もダメージ与えれてないじゃないか。俺のターン。ピカチュウのエレリサイクル! トラッシュの雷エネルギーを手札に加える。そしてこのターンもハマナのリサーチを発動だ。ピチューとピカチュウを手札に加える。ベンチのピカチュウをライチュウ(90/90)に進化させ、新たにベンチにピチュー(50/50)を出してピチューのポケパワー、ベイビィ進化! このピチューをピカチュウ(60/60)に進化させる!」 これでヤツのベンチはライチュウ90/90、ピカチュウ60/60、ヤジロン50/50の三匹か。ポケモンを立てるのが早くなったな。 「そしてだ。新しくベイビィ進化したばかりのピカチュウのエレリサイクルを使ってもう一枚トラッシュの雷エネルギーを手札に加える」 長岡のトラッシュに雷エネルギーがなくなった。ここまで考慮してのトラッシュだったのだろうか。 「雷エネルギーをライチュウにつけよう。そしてもう一度トラッシュドロー。手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして四枚ドローだ。ターンエンド」 なるほど。エレキブルFBを盾としてドローしている間、ベンチにポケモンを揃える作戦か。 「俺のターンだ。そうだな、炎エネルギーをコモルーにつけ、ミズキの検索を発動。手札を一枚戻しデッキから好きなポケモンを加える。俺はネンドールを選択。そしてヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる。そしてコスモパワーだ。手札を一枚か二枚デッキの底に戻して手札が六枚になるまでドロー。俺は二枚戻して五枚ドローだ」 引くだけのことはある。長岡相手だが好カードを引き当てれた。 「ベンチのコイキングをギャラドスに進化させる!」 小型ポケモンが多かったフィールドに急に大きなギャラドス130/130が現れる。威圧感バッチリだ。 「さあ、行け、コモルー。プロテクトチャージ!」 コモルーがエレキブルFB80/90目指してチャージをかます。そのチャージを鳩尾に受けたエレキブルFBは辛そうだ。 「プロテクトチャージの本来の威力は僅か30だが、気合い溜めを前のターンに使用していた場合このワザの威力は80となる」 「なんだって!?」 HPバーを減らしたエレキブルFBは、ふらふらとおぼつかない足取りを見せてそのまま前向きに倒れる。 「思ったより一ターン早いじゃんか。俺はライチュウをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 先にサイドを引かれたが、それでも満面笑みの長岡。何か来るか……? 「よっしゃ、俺のターン!」 勢いよくカードをドローする長岡。ドローしたカードを確認すると、更にテンションが上がっていくようだ。 「オッケー。ナイスドロー! 俺が引いたカードはこいつだ。頼んだぜ、ライチュウLV.X!」 ライチュウLV.X110/110が長岡の場に現れる。……先にLV.Xを引いてきたのは長岡の方か。このターンからヤツの激しい攻撃が来るな。 「忘れんなよ、ベンチのピカチュウのポケパワー、エレリサイクルだ。トラッシュの雷エネルギーを手札に加えてライチュウLV.Xにつける。さらにミズキの検索だ。手札を一枚戻してデッキからエレキブルFBを手札に。そしてこのエレキブルFB(90/90)をベンチに出すぜ」 倒されたエレキブルFBをすぐにリカバリさせるのか? どう来る。 「バトルだ! 手札の雷エネルギーを二枚トラッシュ。こいつが、ビリビリ痺れる強烈な一撃だ! ライチュウLV.X、ボルテージシュートをぶちかませぇ!」 ライチュウLV.Xの体に大量の電気が集まると刹那、槍のような鋭い紫電が俺の場を襲う。 「ぐぅっ!?」 紫電はネンドール80/80を襲うと爆風と砂煙のエフェクトを起こす。ネンドールのHPバーはあっという間に0/80となり気絶。予感はこれか! 「ボルテージシュートは手札の雷エネルギーを二枚トラッシュして相手のポケモン一匹に80ダメージを与えるワザ! ベンチだろうとどこだろうと問題ないぜ? サイドを一枚引く」 「ふん。今度は俺のターン」 「まだまだ! 俺はターンエンドしてないぜ」 「何っ?」 「俺の攻撃はまだまだ終わらない! ライチュウLV.Xのポケボディーだ。連鎖雷! このポケモンがレベルアップしたターンにボルテージシュートを使ったターン、追加でもう一度ワザを使う事が出来る!」 「二回連続攻撃だと!?」 「もう一枚サイドをいただくぜ。こいつを喰らえ、炸裂玉!」 ライチュウLV.Xの体の半分ほどある白と黄の入り混じった球体が、目で追えないボルテージシュートとは違ってゆっくりコモルーの傍へ近づき、コモルーに触れると一気に膨張し爆発した。これも強風のエフェクトが強い。 「炸裂玉の効果でライチュウLV.Xについている雷エネルギーを三つトラッシュする。炸裂玉の威力は100! それに対してコモルーのHPは80だ。サイドはいただき!」 「悪いが、そう簡単にサイドはやらん」 「うっ! 何だこれ!?」 コモルー10/80の目の前に緑色の六角形のバリアが張られていた。これのおかげで炸裂玉のダメージを削りなんとか耐えきった。 「先ほどのターンに放ったプロテクトチャージの効果だ。次の相手の番に自分が受けるワザのダメージを30減らす。コモルーが受けるダメージは100から30引かれて70! ギリギリだ」 「流石だぜ。ターンエンド」 しかしネンドールが気絶させられたのは痛い。俺の数少ないドローエンジンだったのだが……。 「よし。俺のターン。まずはベンチにタツベイ(50/50)を出し、バトル場のコモルーに水エネルギーをつける。そして、バトル場のコモルーをボーマンダに進化させる!」 コモルーの体が光に包まれ、形が変わっていく。見慣れた屈強の体と大きな赤い翼が出来あがれば、いつもの相棒、ボーマンダ70/140の登場だ。 「サポーターカードを使う。ハマナのリサーチ。俺はヤジロン(50/50)とコイキングを手札に加え、ヤジロンをベンチに出す。……俺の熱い情熱を見せてやる。ボーマンダについている炎エネルギーを二枚トラッシュし、ドラゴンフィニッシュ!」 ボーマンダの口から真っ赤な炎が放たれ、ライチュウLV.X110/110を焼き尽くす。 「このドラゴンフィニッシュは炎または水エネルギーをそれぞれ二枚ずつトラッシュして発動されるワザ。炎エネルギー二枚をトラッシュした場合、相手のポケモンに100ダメージ!」 なんとか踏ん張ったライチュウLV.X10/110だが、そのHPはたったの10。さらにエネルギーは一つもない。 「ターンエンド」 「くそっ、まだまだ! 俺のターン。俺はピカチュウのポケパワー、エネリサイクルでトラッシュの雷エネルギーを一枚回収し、そのエネルギーをピカチュウにつける。……どっちにするか迷うなぁ。とりあえずこっちだ。俺もハマナのリサーチを使う。ピチューとピカチュウを手札に加え、ピチュー(50/50)をベンチに出す。そしてまたピチューのベイビィ進化! ピカチュウ(60/60)に進化させるぜ」 これでベンチにピカチュウが二匹いることに。エネリサイクルも二回使える。 「新たに進化させたピカチュウでエネリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを手札に加え、攻撃する。ライチュウLV.Xでスラッシュ!」 「エネルギーなしのワザか」 ライチュウLV.Xの尻尾が鋭利な武器となってボーマンダを切りつける。ダメージを受けたボーマンダ40/140は、二歩程後ずさるもまだ大丈夫。 「スラッシュを使った次のターン、俺はこのワザを使えない。ターンエンドだ」 玉砕覚悟というわけか。その気持ち、買ってやろう。俺もただただ前進するのみ。 「俺のターン。スタジアムカード、破れた時空!」 バトルテーブルにこのカードをセットするや否や、俺達の周りの風景が変わっていき槍の柱へ変わっていく。 「このスタジアムがある限り、互いのプレイヤーは自分の番に場に出したばかりのポケモンを進化させることが出来る。俺はタツベイをコモルーに進化させ、更にボーマンダまで進化させる」 一見同じボーマンダ140/140の用に見えるがワザやポケパワーなどが微妙に違う。 「ベンチのボーマンダに炎エネルギーをつけ、このボーマンダのポケパワーを発動。マウントアクセル。自分の番に一度使え、自分のデッキの上のカードを表にする。そのカードが基本エネルギーならそれをボーマンダにつけ、そうでないならそれをトラッシュさせる」 ボーマンダが前足で思いっきり地面を叩きつけて雄叫びを上げる。するとボーマンダの頭上から炎エネルギーのシンボルマークが落ちてきた。 「デッキの一番上は炎エネルギー。よってボーマンダにつける」 ここまではいいが、今の手札はコイキング一枚だけ。さすがにこれはなんとかしないと。 「バトル場のボーマンダでライチュウLV.Xに直撃攻撃」 真っ向から突進するボーマンダ。ライチュウLV.X10/110の体を簡単に跳ね飛ばす。直撃の威力は50なので、もちろんライチュウLV.Xは気絶だ。 「やってくれるな! 俺はエレキブルFBをバトル場にだす」 「サイドを一枚引かせてもらおう」 む、このカードは……。ただ、問題は使い時か。 「どんどん行くぜ。俺のターンだ! まずはこんな殺風景を変えてやるぜ。スタジアムカード、ナギサシティジム!」 破れた時空の景色は消え、ひとまず元の会場に戻ると休む間もなくゲームよろしくのナギサシティジム内部に変わる。あの動く歯車は厄介だったな。 「お互いの雷ポケモン全員のワザは抵抗力を無視でき、雷ポケモンの弱点もなくなる」 この効果は俺のデッキに対しては意味はない。ただ、俺の破れた時空を維持させないためのカードだ。長岡のデッキでは破れた時空の恩恵は受けれない。 「そしてグッズカード、ポケドロアー+を二枚同時に発動。このカードは同名カードと二枚同時に使え、二枚使ったなら自分のデッキから好きなカードを二枚手札に加えれる。もちろん、こうの効果は二枚で一回しか働かない」 選べるカードは好きなカードなので、ポケモンだけだとかエネルギーだけとかいった制限がないのがおいしいところだ。 「へへーん。盛り上がるのはこれからだ! バトル場のエレキブルFBをレベルアップ。行けぇ、エレキブルFB LV.X!」 「またLV.Xか」 バトル場のエレキブルFB LV.X120/120が雄叫びをあげる。だがこのエレキブルFB LV.Xにはエネルギーが一枚もついていない。その状況で何をする気だ? 「サポーター、ミズキの検索! 手札を一枚戻し、俺はライチュウを手札に加える。そしてあらかじめ雷エネルギーが一枚ついているピカチュウに雷エネルギーをつけ、エレキブルFB LV.Xのポケパワーを使うぜ。エネリサイクル!」 ピカチュウのエレリサイクルとは一文字違いだが……。 「こいつは自分の番に一度使え、自分のトラッシュのエネルギーを三枚、好きなように自分のポケモンにつけれる。俺はトラッシュの雷エネルギーを三枚ともエネルギーがついていないピカチュウにつける。このポケパワーを使った時点で俺のターンは終了となる」 だがエネルギーがあっという間に長岡の場に広がった。トラッシュが激しいデッキなだけにこんなにエネルギーを抱えられると後の爆発力が怖い。 「まだまだ始まったばかりだぜ?」 「ああ……」 俺は強くなった友、いや、強敵に押されているという事を自覚せざるを得なかった。
恭介「今回のキーカードはライチュウ! ワザが三種類! しかもスラッシュはエネルギーなしだ。 とっておきは炸裂玉! トラッシュするエネルギーは自分の場のポケモンであればなんでもいいんだ」
ライチュウLv.45 HP90 雷 (破空) ─ スラッシュ 30 次の自分の番、自分は「スラッシュ」を使えない。 無無無 ぶんれつだま 50 自分のエネルギーを1個、自分のベンチポケモンにつけ替える。(自分のベンチポケモンがいないなら、この効果は無くなる。) 雷雷無 さくれつだま 100 自分の場のエネルギーを3個トラッシュ。 弱点 闘+20 抵抗力 鋼−20 にげる
─── おまけ・ポケカ番外編 「ややこしい」 翔「なぁ拓哉」 拓哉(裏)「あぁん?」 翔「いや、そっちじゃない方」 拓哉(表)「なぁに?」 ・ ・ ・
恭介「なぁ拓哉!」 拓哉(表)「なぁに?」 恭介「あ、違う方」 拓哉(裏)「あぁん?」 ・ ・ ・
風見「藤原、いるか?」 拓哉(表)「あぁん?」 風見「!?」
─── 最近風見のネタとしての扱い方がようやく分かってきた。
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指針 ( No.105 ) |
- 日時: 2010/11/28 12:01
- 名前: でりでり ID:2EyHCukE
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 俺のサイドは残り四枚。バトル場には水エネルギーが二枚ついたボーマンダ40/140。ベンチにはギャラドス130/130、炎エネルギーが二枚ついたバトル場にいるのとは違うボーマンダ140/140、ヤジロン50/50。
向かいにいる長岡恭介のサイドは五枚。バトル場にエレキブルFB LV.X120/120、ベンチにヤジロン50/50、雷エネルギーが二つついたピカチュウ60/60、雷エネルギーが三つついているピカチュウ60/60。スタジアムは長岡が発動させたナギサシティジム。 「俺のターン!」 引いたカードはネンドール。そして他の手札はコイキングとボーマンダLV.X。どのカードも俺の目指す構想に必要なカード。コスモパワーで戻しにくい。 いくら相手の場にエネルギーが溜まっているといえいるポケモンは皆小物。ここは多少リスキーな立ち回りでも問題ないだろう。 「ベンチにコイキング(30/30)を出し、手札からヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる」 ネンドールのポケパワー、コスモパワーは手札を一枚か二枚デッキの底に戻して手札が六枚になるまでドローするもの。今左手で持っている唯一の手札、ボーマンダLV.Xは俺にとっての文字通り「キー」となるカード。俺は長岡のように運が良くないし、それに長岡と戦うといつも(高校でたまに戦っている)運気が下がる。これをデッキに戻して自力で引くのは分の悪い賭け。 カードゲームにおいて「確実」なことなどほとんどない。俺は常に「不安」と戦い続けなければならない。せめてボーマンダLV.Xが手札にあるという僅かな「確実」だけでも手にキープしておかねば。 「ベンチのボーマンダのポケパワーを発動。マウントアクセル!」 ボーマンダ140/140が右足を持ち上げると、それを振り下ろして地ならしし、ズシンと辺りに響かせる。 「このポケパワーはデッキの一番上をめくり、それが基本エネルギーならボーマンダにつけ、それ以外の場合はトラッシュするポケパワーだ」 ボーマンダの頭上に降ってきたカードはギャラドスのカード。これはポケモンのカードだからトラッシュしなければならない。 「む……。だったら攻撃だ。ボーマンダで直撃攻撃!」 勢いをつけたボーマンダの突進がエレキブルFB LV.X120を襲う。直撃は相手の弱点、抵抗力、すべての効果を無視してダメージを与えるワザ。その威力は50。正面から直撃を受けたエレキブルFB LV.X70/120。大きい体が真上に飛ばされ、そのまま地に落ちる。 「よっしゃー! 俺のターンだ。ドロー! まずはベンチのヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる。そしてポケパワー、コスモパワーを使わせてもらうぜ! 手札を二枚戻し、五枚ドローだ」 俺とは違って手札が潤う長岡。手札の枚数の差が歴然となった。手札の数だけ可能性、翔が良く言う言葉だがまったくもってそう思う。 いきなり笑みが浮かぶ長岡。 「ふっ、まずはグッズカードのワープポイントを使う! 互いのバトル場のポケモンをベンチのポケモンと入れ替える!」 ワープポイントだと? 長岡のベンチにはピカチュウ60/60二匹にネンドール80/80一匹。エネルギーがついていなくてワザでダメージを与えれないエレキブルFB LV.X70/120を入れ替えてピカチュウを出すつもりか? 俺のベンチにはコイキング30/30、ネンドール80/80、ギャラドス130/130、ボーマンダ140/140。コイキングを出すのは愚の骨頂。ネンドールを出してもバトルは出来ない。ボーマンダは俺の切り札、ボーマンダLV.Xを最大限に活かすためには少しでもダメージを受けさせたくない。となるとギャラドスか……。たしかに雷タイプが弱点だがピカチュウ程度の攻撃。そしてギャラドスはエネルギーがなくても攻撃出来るワザ、リベンジテールがある。 「俺はギャラドスをバトル場に」 バトル場のボーマンダ40/140とギャラドスが渦に呑まれると、互いに場所を入れ替えるように渦から出てくる。 「なら俺は雷エネルギーが二つついたピカチュウをバトル場に出すぜ」 長岡の方も同様にポケモンの位置が入れ替わる。 「さらに雷エネルギーをピカチュウにつけ、ライチュウ(90/90)に進化させる!」 「進化か……」 考えない訳ではなかったが、実際に進化されると幾分つらい。いや、そういえば前のターンにミズキの検索でライチュウを手に入れていたな……。ここまでの展開はあいつの予想通りということになるのか? 「そしてグッズカード、プレミアボール。デッキかトラッシュのLV.Xポケモンを一枚手札に加える。俺はトラッシュからライチュウLV.Xを手札に!」 「だが進化させたターンはレベルアップは出来ない」 「もちろん分かってるさ。だからこのグッズを使うんだ。レベルMAX!」 「レベルMAXだと……!」 あのカードの効果は、コイントスをしてオモテの場合、自分のポケモン一匹をレベルアップさせるカード。進化させたターンはレベルアップ出来ないという制約を破ることが出来るカードだ。 「……オモテ! よし、レベルアップさせるぜ!」 再びライチュウLV.X110/110が現れる。だがあの厄介なポケボディー、連鎖雷を行うには手札の雷エネルギー二枚をトラッシュさせるワザ、ボルテージシュートを使う必要がある。それに対して長岡の手札はたった一枚。なのでボルテージシュートは使う事が出来ない。ネンドールのポケパワーを使ったあいつに手札補給の機会はない。 「じゃあ手札を増やすぜ。サポーター発動。バクのトレーニングだ!」 「それで勝負に出る気か!」 「デッキの一番上からカードを二枚ドロー。そしてこのターン与えるワザのダメージが10プラスされる!」 たった二枚しか引かないのにそれで雷エネルギーを二枚引くのは至難の業だ。流石にそこまで運よく行くはずがない。……と信じたいが。 「手札の雷エネルギーを二枚トラッシュし、ライチュウLV.Xで攻撃。ボルテージシュート!」 「っ!」 宣言と同時に紫電が俺の場を襲う。ベンチにいるネンドールに向けて発射された紫電はネンドールに触れると爆風と砂煙のエフェクトを巻き起こす。 「うぐあっ!」 「ベンチのポケモンに攻撃するときは抵抗力や弱点を計算しないぜ。ボルテージシュートの威力は80。ただ、バクのトレーニングで与えるダメージがプラス10される場合は相手のバトルポケモンに攻撃した場合のみ! だからネンドールには80ダメージだ」 最大HPが80のネンドールには一撃だ……。 「ネンドールが倒れたことによってサイドを一枚引く。そしてライチュウLV.Xのポケボディー、連鎖雷はこのポケモンがレベルアップした番にボルテージシュートを使ったなら、もう一度攻撃のチャンスを得るもの。よって追撃だ! 炸裂玉を喰らえッ!」 巨大な電気の集まりの球体がバトル場にいるギャラドスに襲いかかる。早いボルテージシュートに対し緩やかな炸裂玉だが、ギャラドスに触れた途端爆弾でも落ちたかのような轟音が鳴り響く。 ギャラドスのHPは130あった。そして炸裂玉の威力は100。しかしギャラドスの弱点は雷+30の上、バクのトレーニングの+10効果もあるので受けるダメージは100+30+10=140ダメージ。ギャラドスのHPを上回ってしまった。 「くっ、ここまで想定内かっ」 「いいや、多少の偶然もあるぜ。ボルテージシュートを使えたこととかな。さてと。炸裂玉は自分の場のエネルギーを三個トラッシュしなければならない。俺はピカチュウについている雷エネルギーを三個トラッシュ」 このターンだけで長岡がトラッシュしたエネルギーは五枚。そして倒したポケモンは二体。痛手にも程がある。 「俺はボーマンダ(40/140)をバトル場に出す」 「サイドを一枚引くぜ。これで逆転だ」 そう、俺のサイドは四枚だが長岡のサイドは三枚。あっという間に逆転されてしまったのだ。 やはり格段と強くなっている。元々の運に加え、立ち回りなどといったプレイングもいい。自分の運を過信しすぎる点もあるが、ある程度のリカバリは想定しているようだ。 とはいえ簡単に引き下がるわけにはいかない! 「俺はまだまだ上を目指す! 行くぞっ! ドロー!」 引いたカードは水エネルギー。一番欲しいカードではない……。しかも先ほどドローエンジンのネンドールを気絶させられたために俺はデッキからカードを新たに供給することが一切できない。 「くっ、水エネルギーをベンチのボーマンダにつけて、こいつのポケパワーを使う。マウントアクセル!」 マウントアクセルの効果でデッキの一番上を確認する。しかし一番上はエネルギーではなくポケモンのエムリット。効果によってトラッシュしなくてはならない。 「ついてないなー」 「俺はお前と違って運は最悪だからな。しかたあるまい。ボーマンダで直撃攻撃」 ボーマンダの突進する一撃でライチュウLV.Xにダメージを与えていく。HPは60/110まで削ったがまだまだ残っている。 「今度は俺のターン。まずはベンチのピカチュウのポケパワー、エレリサイクル。その効果でトラッシュにある雷エネルギーを手札に加えるぜ。そしてこの雷エネルギーをベンチのエレキブルFB LV.Xにつける」 エネルギーをつけるということはワザを使わせるという事。エレキブルFB LV.Xはベンチにいてポケパワーを使う置物というわけではないのか。 「手札からサポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキから好きなポケモンを一枚加える。俺はライチュウを加える。そしてネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を一枚戻し、デッキから五枚ドローだ」 俺のデッキは残り二十六枚だが長岡のデッキは僅か十四枚。ドローが自由に出来ない俺との差がここにも顕れる。 「手札を二枚トラッシュし、ベンチのコイキングにボルテージシュートだ!」 再び鋭い紫電が俺のベンチを抉る。80ダメージを与えるワザに対しコイキングのHPはたったの30。 二つ前の俺のターンでコイキングをベンチに出したのは失敗だったか。思惑ではこいつをギャラドスにし、リベンジテールでエネルギーなしの90ダメージを与え続けるはずだったが……! しかしギャラドスを引けなければなんの意味もなかった。 そもそもコイキングを出した番、まだライチュウLV.Xはピカチュウだった。進化してもライチュウはベンチのポケモンを攻撃出来ないと油断していた。まさかベンチにも攻撃出来るライチュウLV.Xがあっさりサルベージされるとはな。 「サイドを引いてターンエンド」 連鎖雷はレベルアップしたターンにしか発揮されない。二撃目はないものの、それでも俺と長岡のサイドの差は二枚になった。 「……。俺のターン」 くっ。今引いたカードがギャラドス。しかしコイキングがいなくなってはもうどうしようもない。俺のトラッシュには四枚のコイキング。つまりデッキにもサイドにももうコイキングはいない。ギャラドスが手札で腐ってしまった。 「ベンチのボーマンダでポケパワーだ。マウントアクセル!」 ここでもデッキの一番上のカードはクロバットG。このカードのポケパワー、フラッシュバイツはこのポケモンを手札からベンチに出した時、相手のポケモンに10ダメージ与えるポケパワー。 もしもギャラドスでなくこのカードを引いていた場合、ベンチにクロバットGを出してライチュウLV.Xに10ダメージ与え、ボーマンダの直撃で50ダメージ与えれば気絶させることが出来たものを。とことんついていない。 「仕方ない。ボーマンダで直撃攻撃!」 この一撃でまた50ダメージを与え、ライチュウLV.XのHPは10/110。そう、クロバットGさえ引けていれば! 「一気に畳み掛けるぜ。俺のターン! ベンチのピカチュウのエレリサイクルを発動し、トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に戻す。そしてベンチのエレキブルFB LV.Xに雷エネルギーをつける」 長岡のトラッシュにある雷エネルギーはあと五枚。 「コスモパワーを使うぜ。手札を二枚デッキの底に戻して三枚ドロー! 続いてベンチのネンドールにポケモンの道具、ベンチシールドを使う。ベンチシールドがついたポケモンはベンチにいてもダメージを受けない! さあライチュウLV.Xで攻撃だ。分裂玉!」 ライチュウLV.Xから炸裂玉と同じように大きな球体が発せられる。しかし、それが半分に分割されてそのうち一つは俺のボーマンダに。もう一方は長岡のベンチのエレキブルFB LV.Xに向かって飛んでいく。 「ぐうっ!」 再び光と風の激しいエフェクトが。 「分裂玉の威力は50! それに対してボーマンダの残りHPは40だ。当然気絶になる!」 ボーマンダのその大きな体が力を失くして倒れていく。 「そして分裂玉のもう一つの効果。このライチュウLV.Xについているエネルギーを一個、ベンチポケモンにつけかえる。俺はライチュウLV.Xの雷エネルギー一枚をベンチのエレキブルFB LV.Xにつけかえる!」 これでエレキブルFB LV.Xについている雷エネルギーは三つ。エレキブルFB LV.Xはテキストに書かれている全てのワザを使えることになる。 「俺はベンチのボーマンダをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ!」 長岡の残りのサイドはたった一枚。そして俺にはベンチポケモンがいない。あとはこいつを信じるだけだ。このボーマンダ一匹で、サイドを四枚取らなければ。 「たとえどんな状況に追い込まれたとしても、俺は勝負を諦めるわけにはいかない! 行くぞっ!」 このターンのドローで引いたカードはクロツグの貢献。これも違う。欲しいカードではない。しかし俺にはボーマンダLV.Xがある。 「ポケパワー、マウントアクセルを発動する。デッキの一番上を確認し、それがエネルギーならボーマンダにつけ、そうでないならトラッシュする。……炎エネルギーだ!」 ようやっと成功した。これでボーマンダについているエネルギーは四枚。 「サイドの差は三枚。そして俺は背水の陣。しかしそんなことを全てひっくりかえすことのできる、圧倒的力を見せてやる! 来いっ、ボーマンダLV.X!」 バトル場のボーマンダがレベルアップし、ボーマンダLV.X160/160となる。レベルアップしたときに大きく雄たけびをあげるボーマンダLV.X。威圧感は十分。 「ボーマンダLV.Xがレベルアップしたとき、ポケパワーのダブルフォールを使用する。さあ攻撃だ、一撃決めてやる。ボーマンダLV.X、突き抜けろっ!」 直撃攻撃と似たようにボーマンダLV.Xは相手のライチュウLV.X10/110に向けて突進していく。ライチュウLV.Xの体を軽々と跳ね飛ばすと、さらにベンチにいるエレキブルFB LV.X70/120の巨体も弾き飛ばした。 「二体攻撃かっ!」 「突き抜けるの通常の威力は50。そしてこの効果で相手のベンチポケモン一匹にも20ダメージを与える!」 当然ライチュウLV.Xは気絶。エレキブルFB LV.X50/120も残りHPが半分を切った。 「俺はベンチのピカチュウをバトル場に出す。だがサイド一枚引いただけでもサイドの差は二枚に……」 「これこそが頂点を目指す者の力だ。ボーマンダLV.Xのポケパワーの効果が発動する。ダブルフォール!」 「このタイミングで!?」 「このポケモンがレベルアップしたターンにのみダブルフォールは使え、このターンにこのポケモンが使うワザのダメージで相手を気絶させたとき、気絶させたポケモン一匹につき一枚サイドをさらに引くことが出来る! 俺が倒したのはライチュウLV.X一匹。俺は通常引けるサイド一枚に加え、さらに一枚サイドを引く!」 「なんだとっ!?」 「サイドの差はあと一枚だ」 そしてサイドを二枚引けたことで俺の手札も四枚、ようやく潤い始めた。ネンドールというドローエンジンがいなくなってからカードを大量に引けなかった俺にとっては貴重な手札だ。 「くそっ、俺だってまだまだ! ドロー! ピカチュウのポケパワー、エレリサイクルを発動。トラッシュの雷エネルギーを一枚手札に加える。バトル場のピカチュウをライチュウ(90/90)に進化させる。そして手札の雷エネルギーをベンチのエレキブルFB LV.Xにつけ、ネンドールのコスモパワーだ。手札を二枚戻し二枚ドロー。そしてエレキブルFB LV.Xのポケパワーを使うぜ。エネリサイクル!」 エレキブルFB LV.Xはその電気コードのような尻尾を地面に突き刺す。 「トラッシュのエネルギーを三枚まで選び、自分のポケモンに好きなようにつける!」 これでライチュウにエネルギーをつけて炸裂玉でもする気だろうか……? 「俺はトラッシュの雷エネルギー三枚を、全てエレキブルFB LV.Xにつける!」 「エレキブルFB LV.Xに!? そいつは既に雷エネルギーを四枚もつけているぞ! 七枚もつけて何になるんだ」 「慌てんなよ、お楽しみはこの後だ。エネリサイクルを使うと自分のターンは強制的に終了となる。ターンエンド!」 「どんな手を打たれようと、俺はするべきことをするのみ! 俺のターン。ボーマンダLV.Xでマウントアクセル!」 デッキの上を確認するが、時空の歪み。はずれなのでトラッシュ。 「ならば手札からサポーターカードを発動。クロツグの貢献。トラッシュにある基本エネルギー、ポケモンを五枚まで戻す。俺は炎エネルギー二枚、水エネルギー二枚の四枚をデッキに戻しシャッフル!」 エネルギーだけ戻したのはマウントアクセルの成功率上昇のためだ。 「この攻撃を受けろ! ボーマンダLV.Xでスチームブラスト!」 ボーマンダが口を開くと、口のすぐ前に白い蒸気が集いだす。そしてそれが限界まで凝縮されると、ボーマンダLV.Xはそれを放つ! 白い強力な一撃は熱気と湿気を保ちながら長岡のライチュウ90/90にヒット、そしてライチュウの姿が隠れてしまうほどの蒸気が発散する。 「うおっ!」 エフェクトの激しさに長岡の素っ頓狂な声が聞こえる。 蒸気が晴れると、そこには力なく伸びているライチュウ0/90の姿のみ。スチームブラストの威力は100。ライチュウ程度は一撃だ。 「スチームブラストの効果で、俺はボーマンダLV.Xについている炎エネルギーをトラッシュ」 「俺はエレキブルFB LV.Xをバトル場に出す!」 「サイドを一枚引く。これで残りサイドはどちらも一枚! しかもお前のエレキブルFB LV.Xの残りHPは半分なのに対し、俺のボーマンダLV.XのHPはマンタンだ。俺の方が優勢だな」 「まだ分からないぜ! 俺のターン。俺は手札のポケモンの道具、達人の帯をエレキブルFB LV.Xにつける!」 エレキブルFB LV.X50/120の腰の部分に青い帯が巻かれる。この帯をつけたポケモンは、最大HPが20上がり、相手のバトルポケモンに与えるワザの威力も+20されるが、このカードをつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドをより一枚ドローすることができるデメリットを持つ。とはいえこのデメリット、残りサイド一枚の俺にとっては無意味。 HPが上昇する効果でエレキブルFB LV.Xの残りHPは70/140。 「エレキブルFB LV.Xで攻撃。電気飛ばし!」 体毛から弾ける電気をボーマンダLV.X160/160に向けて飛ばす。電撃がボーマンダLV.Xを襲い、そのHPを100/160まで削る。達人の帯をつけてこれなのだから元の威力は40か。 「電気飛ばしの効果で、このカードについている雷エネルギー一つを自分のベンチポケモンにつける。俺はエレキブルFB LV.Xの雷エネルギーをネンドールに一枚つけかえる」 「言っておきながら半分も削れていないな。俺が次のターンにエネルギーを引き当て、スチームブラストで100ダメージを与えれば俺の勝ちだ」 「へへ、悪いが俺はお前がエネルギーを引き当てないことを祈るだけだぜ」 緊張。このドロー次第で俺は準決勝に進めるか否かが決まる。 「ドロー!」 ドローしたカードを確認するのが怖い。たった一枚で運命が決まってしまうのだ。だが逃げるだけでは何もならない。引いたカードを確認すれば……。 「顔色が良くねーな」 引いたカードはスタジアムカード、破れた時空。今は不必要なカード。 「だがもうワンチャンスある。ボーマンダLV.Xのポケパワーを発動! マウントアクセルだ!」 ボーマンダLV.Xが右前足で地面を叩きつけ咆哮する。 「デッキの一番上のカードは……」 このターンの最後の運否天賦。恐る恐る確認すると、……ボーマンダのカードがそこにあった。 「くそっ! だが攻撃は通す! 突き抜ける攻撃!」 さっきのターンエレキブルFB LV.Xは60しかダメージを与えれなかった。次のターン、もう60ダメージを受けて俺のターンが回ってこればいずれにしろ倒すことが出来る! エレキブルFB LV.Xを弾き飛ばすボーマンダLV.Xだが、長岡の他のベンチポケモンはネンドールのみ。ネンドールのポケモンの道具、ベンチシールドの効果でベンチにいるネンドールにダメージを与えることが出来ない。 ひとまずエレキブルFB LV.Xの残りHPは20/140。あとどんな一撃でも倒せる。 そう半ば勝利を確信した時だった。長岡がニヤリと笑みを浮かべる。 「この勝負っ、もらったぁ! 俺のターン! エレキブルFB LV.Xで攻撃。パワフルスパークだ!」 エレキブルFB LV.Xは右の拳と左の拳をガチンとぶつけると、体中から溢れんばかりの電気を生み出し、それを全て右腕に集中的に溜める。 「パワフルスパークは元の威力の30に加え、自分の場にあるエネルギーの数かける10ダメージ威力が上がるワザだ!」 長岡の場には雷エネルギーが七つ。そして達人の帯の効果も加わり、パワフルスパークのダメージは30+10×7+20=120になる。ボーマンダLV.X100/160の残りHPを上回る……! 「いっけー!」 駆けだしたエレキブルFB LV.Xは、電気を大量に溜めた右腕でボーマンダLV.Xの腹部を力いっぱい殴りつける。 弾ける電気の中、ボーマンダLV.Xの苦しそうな悲鳴、そして減っていくHPバーは目に焼きついた。 「これでゲームセットだな」 長岡が最後のサイドを引くと同時にゲームが終わる。全ての3Dが消えた。 今年の俺の大会はこれで終わってしまった。ここから先への戦いに進むことはない。全国大会での市村アキラとの再会、そしてリベンジは叶わぬ夢となった……。 「……」 首を上に向ける。もちろん天井しか映らなかった。目をつぶり、右拳に力を入れることでなんとか悔しさをやり過ごす。 ああ、単純に悔しい。ここまで純粋に悔しい気持ちでいっぱいになったのは初めてだ。不運の連続もあるし、俺のプレイングミスもあった。そしてなにより単純に、長岡恭介は強かった。 「風見」 長岡の声が聞こえる。首を再び正面に向け目を開くと、すぐそこにいつもの笑っているあいつの姿が見える。 「お前、やっぱ強いな!」 「ああ。でも───」 「でも、俺の方がもっと強かった、ってことだ」 差し出される右手。俺も右手を出し強く握手をする。 いつの間にか悔しさがなくなり、心が温かくなって何とも言えない充足感を感じた。負けても、楽しい。これが本当の戦いか。 また来年。次こそは全国の舞台へ進んでやる。そう、俺のリベンジは最下層からまた始まるのだ。新たなる決意を胸にしまった。 そんなときだった。藤原の悲鳴が聞こえたのは。
風見「今回のキーカードはボーマンダLV.X! ボーマンダには豊富なレベルアップ前がある。 どのカードからレベルアップするかによってこのカードの活かし方が変わるぞ」
ボーマンダLV.X HP160 無 (DPt4) ポケパワー ダブルフォール 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。この番、このポケモンが使うワザのダメージで、相手のポケモンをきぜつさせたなら、自分がサイドをとるとき、きぜつさせたポケモン1匹につき1枚、さらにサイドをとる。 炎水無無 スチームブラスト 100 自分のエネルギーを1個トラッシュ。 ─このカードは、バトル場のボーマンダに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 無×2 抵抗力 闘−20 にげる 2
─── 風見雄大の使用デッキ 「ドラゴンブラスト」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-849.html
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恐怖 ( No.106 ) |
- 日時: 2010/12/05 12:04
- 名前: でりでり ID:lrJejOCo
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- あれだけ派手に戦っていた一帯が、急に静まり返った。
藤原拓哉は後方に向かって倒れたため、尻から落ちたとはいえ後頭部もモロに床に打ちつけている。 六枚の手札もあちこちに散らばっている始末だ。 「……こいつが悪いんだ。こいつが悪いんだあああ! 俺は忠告をしたはずだ、降参しろと! そうだ、こいつが悪いんだ。俺は何も悪くない!」 顔の右半分が火傷でただれた高津洋二はそう一人ごちると、高らかに笑い始めた。 本当は藤原拓哉の元へ駆けつけたい。流石に心配だ。とはいえ選手に試合中触れることは出来ない。 「一之瀬さん!」 自分の勝負を終えた風見雄大が僕の元に駆け寄ってくる。 「藤原は……」 「分からない。ただ、あと一分だ」 この大会には、三分以上何もしなかった場合は遅延行為として棄権扱いになるルールがある。藤原拓哉が倒れて既に二分。 高津洋二のカイリキーLV.Xの攻撃で藤原拓哉のサマヨールが気絶したので、次は藤原拓哉が新たなバトルポケモンを選ばなくてはならない。 今の藤原拓哉の場はバトル場は不在。ベンチにはベンチシールドをつけたネンドール80/80、超エネルギーが二つついたゲンガー110/110。残りサイドは四枚。藤原拓哉のヨノワールLV.Xが、そのポケパワーの効果でスタジアムカードとなっている。 一方の高津洋二のバトル場は、闘エネルギーが三つつき、なおかつ強力な存在感を放つカイリキーLV.X130/150。そしてベンチにはパルキアG LV.X40/120に、ネンドール40/80。さらに、残りサイドはあと三枚だがサマヨールが気絶したためこの後一枚引くことができる。 様子を見ても圧倒的に高津洋二が有利だが……、まずはそれ以前の問題。残り時間は三十秒を切った。立ち上がれるのか? 気づけばいつの間にか藤原拓哉のぼうぼうにはねていた銀髪が、綺麗にまっすぐに伸びていた。
痛みが走った。 「ああっ! くっ、うう……」 完全に気絶してしまったパートナーの人格の代わりに、せめて僕が立ち上がらないと。 左腕が焼けるように痛い。そして完全に動かせない。左腕が揺れるだけでも痛みが走る。体の節々が痛い。打ちつけた後頭部も、たんこぶくらいはあるだろうか。 まだ無事な右腕を支えに、なんとか立ち上がる。 「そんな馬鹿なっ!?」 あの一撃で決まったと確信していたのか、立ち上がった僕を見てたじろぐ高津。 「僕はバトル場に、ゲンガーを出す!」 手札を拾う前にまずゲンガーを出さないと。バトルテーブルのベンチにあるゲンガーのカードをバトル場へとスライドさせる。 三分以上何もしなければその時点でもう戦いは終わってしまう。それだけは。それだけは避けないと。 「藤原っ!」 後ろから風見くんの声が聞こえる。振り返って、うんとだけ頷く。 「あれだけダメージを受けて、どうして!?」 「それは、……負けられないと思ったからだ!」 「くっ、サイドを一枚引いてターンエンド!」 ターンエンドと同時に、スタジアムカードになったヨノワールLV.Xのエクトプラズマの効果が発動する。 このカードがスタジアムとしてあるなら、ポケモンチェックのたびに相手のポケモン全員にダメージカウンターをそれぞれ一つずつ乗せるという効果だ。 高津のポケモンは皆苦しみもがき始める。そして今のHPの状況はカイリキーLV.Xが120/150、ネンドールは30/80。そしてパルキアG LV.Xの30/120となる。 自分の番を始める前に、まずは床に散らかった手札を拾わないと。手札を持っていた左手はこの有様だから、手札はバトルテーブルの端に置くしかない。 ……。痛覚、いや触覚を共有していないことが唯一の救いだった。僕らは視覚、聴覚、嗅覚を共有しているが、それ以外は何も感じられない。例えば僕が何かを食べていても、パートナーの彼がその味を知ることはない。 同様に、僕も彼が受けていたダメージを受けることはなかった。ただ、自分が主人格に戻った時には傷の痛みを感じたが。これだけの傷を負うほどのダメージ。彼はそれに耐えて相当頑張ってきたんだ。その努力を無駄になんて絶対にできない! 「よし。僕のターン!」 このデッキは僕のデッキではなく彼のデッキ。彼がこのデッキで戦っているところは何度も見たが、自分で運用するとなると使い方がよく分からないのだ。 だから、今の僕に出来ることは。 彼がもう一度目を覚ますまで、ひたすら時間を稼ぐことだけだ。 ……。手札は七枚ある。右手で引いては、それをバトルテーブルの端っこに広げる。彼が考えに考え抜いて作ったデッキのカード達。 しかし、待てど待てど彼はまだ起きない。そろそろドローから三分が経つ、何かしなくては。でも、何をすれば……? 「うん、ゲンガーをレベルアップさせる!」 バトル場のゲンガーが、よりパワーアップしてゲンガーLV.X140/140となる。この大会ではまだ出してない、彼の本当のエースカード。 彼のデッキは非常にややこしい。処理もややこしいが、なにより手順がややこしい。 ただ単に目の前のバトル場のポケモンを攻撃するだけでなく、バトル場もベンチも、時と場合によればそれ以外も。自分の場も相手の場も、縦横無尽に動き回るプレイングは、見ていて痛快だが行うのは非常に複雑。 そして僕にはそのプレイングを再現するほどの腕がない。彼の軌跡をなぞるだけならまだしも、臨機応変に動くことなんて……。 「サポーターカード発動。オーキド博士の訪問! デッキから三枚ドローし、その後一枚手札をデッキの底に戻す!」 三分経つ前に再び動く。しかし引いたのはいいがどのカードを戻すか。手札には超エネルギーが三枚もある。一枚くらい戻してもいいよね……。 疑問抱きつつひとまずそれをデッキの底に戻す。 手札にはたねポケモンがない。余ったエネルギーは、ゲンガーLV.Xにつけるか。それともネンドール、いやいやつけないという選択肢もある。 「手札の超エネルギーをゲンガーLV.Xにつける!」 迷った挙句、ゲンガーLV.Xにつけることにした。あとは……。ポケパワーを使うとか? ゲンガーLV.Xには非常に強力なポケパワー、レベルダウンがある。このレベルダウンは自分の番に一度使え、相手のLV.X一匹の、LV.Xのカードを一枚はがしてレベルダウンさせ、そのLV.Xのカードをデッキに戻すという強力なモノ。 ただ、高津の場にはLV.Xポケモンは二匹。カイリキーLV.Xを戻すのか、それともパルキアG LV.Xを戻せばいいのか……。 「ベンチのネンドールのポケパワーを発動。コスモパワー! 手札を二枚戻して二枚ドロー!」 お願い、そろそろ起きて……! もうこれ以上君のプレイングを妨げずに時間稼ぎをすることは出来ない。 後はゲンガーLV.Xのポケパワー、或いは攻撃を残すのみ。サポーターは一ターンに一度しか使えないし、手札には出せるポケモンや使えるグッズカードはない。 この三分、この三分以内に! (……待たせたな) その声が聞こえた瞬間、再び僕の感覚は遠のく。
理由は分からないが、俺が主人格になると髪の毛があちこちにはねる。俺の荒々しい、及び攻撃的な性格を上手く現わしているかのようにも見える。 俺が気を失っている間に場は多少変わったようだが、なるほど。相棒がなんとか凌いでいてくれたのか。 「……すまんな」 (当然じゃないか。こっちこそ君にばっか辛い思いさせて……) 「けっ、こんなもん大した事ねえ。……おい! そこのクソ野郎!」 「っ!」 声をかけられ驚く高津。あれだけの傷を負わせたのに、俺が立ち上がってくるということに対する驚きが大きいようだ。 「自分を認めないヤツを叩きつぶすだのなんだのほざいてやがったな。俺様がいーことを教えてやる。他人を信じない奴、なおのこと自分自身を信じない奴を認めてくれる人はいないってな!」 全ての手はずは相棒が整えてくれた。百点満点とは言わないが、及第点には間違いない。 少し休めて体調も多少良くなった。やられた左腕はいまだ焼けるような痛みを発しているが、耐えれないわけじゃない。 どっちにしろ、この痛み、傷を落ちつかせれるのはこいつをブッ倒してからだ。 「多少自分に分があるからって良い気になってんじゃねぇぞ! ゲンガーLV.Xのポケパワーだ! レベルダウン!」 バトル場のカイリキーLV.X120/150の体に黒い靄(もや)がかかる。その黒い靄の中でカイリキーLV.Xの苦しそうな声が響く。 「レベルダウンの効果でカイリキーLV.Xをレベルダウンさせ、LV.Xのカードはデッキに戻してシャッフルしてもらう!」 「デッキに戻すだと!?」 カイリキーLV.Xのポケボディー、ノーガードは危険すぎる。このカードがバトル場にいるかぎり、このポケモンがバトルポケモンに与えるワザのダメージと、このポケモンが相手から受けるワザのダメージを+60させるもの。 自分もリスクを負うのだが、それと同時にこちらも非常に怖い。たった威力20のワザが80になって飛んでくるのだから。 レベルダウンしたカイリキー100/130、これでノーガードのことは気にせず戦える。 「へっ、一気に潰してやる! ダメージペイン!」 ワザの宣言と同時にゲンガーLV.Xが右手を真上に振り上げると、上空から一立方メートル程の紫色の立方体が三つ、それぞれカイリキー、ネンドール、パルキアG LV.Xの元へ降り注ぐ。 「ぐおおっ!」 爆発と風のエフェクトを起こすこの強烈な攻撃は、ダメージカウンターが既に乗っているポケモンに30ダメージを与えるワザ。 生憎高津の場のポケモンは皆ダメージカウンターが乗っている。ダメージを受けたポケモンに、さらなるダメージを与えるというワザだが、しかもこれはエクトプラズマとの相性も良好。 ポケモンチェック毎に相手にダメージカウンターを一つずつ乗せるエクトプラズマで、傷ついたポケモンに追い打ちをかけるダメージペインというわけだ。 煙のエフェクトが晴れてようやく辺りを見渡せるようになった。残りHPが30しかないネンドールとパルキアG LV.Xは気絶。さらにカイリキーも大ダメージ。このワザはダメージを与えるワザなので、バトル場のポケモン限定だが弱点計算をする。よってカイリキーが受けるダメージはその分を計算して30+30=60ダメージ。これで残りHPは40/130。 「サイドを二枚引く。けっ、サイド差二枚もあっという間に埋まるもんだな。ターンエンド。そしてターンエンドと同時にポケモンチェックだ。エクトプラズマでダメージを受けてもらう!」 カイリキーが再び悶絶する。残りHPは僅か30/130。何も攻撃しなくても、このままでは次の高津の番の後に10ダメージ、俺の番の後に10ダメージ、そしてさらに次の高津の番で10ダメージ受けて気絶だ。 そのとき、そのまま高津が新たにポケモンを出さなければ、サイドはまだ残っているが高津の場に戦えるポケモンがいなくなり俺の勝ちとなる。自分のターンも終えたので、そっと右手で左腕を押さえる。 「どうしてだ、くっ、俺のターン! ……そうだ。そのゲンガーLV.Xさえ倒してしまえばお前のベンチには非攻撃要員のネンドールしかいない。それにネンドールが攻撃するにしてもワザに必要なエネルギーは二つ! まずはこのターンでゲンガーLV.Xを倒し、その次のターンにネンドールを倒してしまえばもう何も問題はない。エクトプラズマの効果で倒れる前に勝つことは出来る!」 「このターンでゲンガーLV.Xを倒すだと? カイリキーLV.XなしでこのHP140を一撃で倒すとはついにそのチンケな頭も終わっちまったか?」 「だったら見せてやる! カイリキーに闘エネルギーをつけて怒り攻撃だ。このワザは元の威力60に加え、自分のダメージカウンターの数かける10ダメージを与えれるワザ! 今のカイリキーに乗っているダメージカウンターは十! よって与えるダメージは160となる!」 「ひゃ、160だと!?」 「そうだ! それでゲンガーLV.Xは気絶となる! だがその前にお前自身が持つかどうかだが。今度は右腕をもらう! さあ、行けっカイリキー!」 高津の右人差し指が今度は俺の右肘を指差す……瞬間を逃さなかった。 「このタイミングで!」 思いっきり大声を出してやる。すると大げさなほどに高津の体は震え、そのせいで右人差し指は狙いを外れて俺の首の右側、右腕の上側。つまりは虚空を指した。 そしてカイリキーは何事もないようにゲンガーLV.Xへ攻撃を仕掛ける。 「バーカ、ブラフ(はったり)だよ」 カイリキーの渾身のパンチがゲンガーLV.Xの顔面を殴りつける。だが、俺の右肘には何の衝撃もない。 「貴っ様ああああ! ブラフか!」 「身を守るためだ、悪く思うなよ。そしてこれで完全にお前の能力(ちから)は見切った。お前は相手に衝撃を与えることが出来る能力を持っていて、なおかつどこに衝撃を与えるかを指定することが出来るようだが、ワザの宣言時に自分の指で指したところにしか衝撃を与えることが出来ないようだな。現に左肘に衝撃を与えたときは攻撃宣言時に左肘を指し、今も俺の右肘を指差そうとした。俺自身、体がふらふらで避けるなんて急な動作は出来ないし、バトルテーブルの前から離れると棄権扱いになるからな。こうでもしなきゃ避けられねぇ」 「しかしそれでもゲンガーLV.Xは気絶!」 「調子に乗んなよ! ゲンガーLV.Xが相手のワザで気絶したときにこのポケパワーは発動する。死の宣告! 俺がコイントスをしてオモテだったら、こいつを気絶させたポケモンも気絶させる!」 左腕を押さえていていた右手をそっと離し、バトルベルトのコイントスボタンを押す。 「これでオモテが出ればお前のカイリキーは気絶っ! ベンチに戦えるポケモンがいないからその時点で俺様の勝ちだ!」 「なっ、なんだと!?」 画面に表示されたのは、オモテ表示のコインだった。 「残念だがこれまでだ!」 倒れたゲンガーLV.Xの影がカイリキーの方まで伸びていき、その影がカイリキーの首をしめつける。残り僅かだったカイリキーのHPバーは0を刻んで決着が着く。 勝負がついたと同時に、高津の体が糸の切れた操り人形のように倒れる。バトル場にいたポケモンや、あのスタジアム、エクトプラズマの映像が消え、元の会場に戻る。 「お前の敗因は、この俺様に一度でも恐怖したことだ。俺、いや、俺らが立ち上がった時にお前は確かにビビッたろう? その恐怖が後からでも目に見えたぜ」 デッキの片づけは後回しだ。後ろを振り返れば風見と一之瀬が。 「おい一之瀬! これで良いだろ? 俺らはもうここらで限界だ。左腕が動かねえし立つのもやっとだ。休ませて……くれよ」 右腕を支えに使い、ゆっくりと仰向けに寝転がる。無理のしすぎか、意識が落ちるのは早かった。 能力者は勝負に負けると能力を失う、らしい。理屈は分からないが、まだ分からない以上はそういうものだと思うしかない。高津はこれを機に俺のようにやり直すことが出来れば、……な。
拓哉(裏)「今回のキーカードは俺様が使ったゲンガーLV.Xだァ! レベルダウンにダメージペイン。どれもこれも使い時が複雑。 さらにレベルアップ前のゲンガーも複数種類がある。プレイヤーの実力が試されるってやつだな!」
ゲンガーLV.X HP140 超 (DPt4) ポケパワー レベルダウン 自分の番に1回使える。相手の「ポケモンLV.X」1匹の上から、「ポケモンLV.X」のカードを1枚はがし、レベルダウンさせる。はがしたカードは、相手の山札にもどし、山札を切る。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。 超超無 ダメージペイン ダメージカウンターがのっている相手のポケモン全員に、それぞれ30ダメージ。 ─このカードは、バトル場のゲンガーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 悪×2 抵抗力 無−20 にげる 0
─── 高津洋二の使用デッキ 「痛みを糧に」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-851.html
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真価 ( No.107 ) |
- 日時: 2010/12/12 23:40
- 名前: でりでり ID:Vzctmk2U
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「久しぶりだな、一之瀬」
突然背後からかかってきた声に僕は驚いて振り返った。この声はこの前のPCC大阪が終わった後にかかってきた電話の主だ。 「……会うのは久しぶりですね」 そこには端正な顔立ちがあった。整った顔のパーツは小奇麗で、シャープな目とメタルフレームの眼鏡が印象的な二枚目だ。 「君がなかなか会いに来てくれないからね」 少し困った様子を顔に浮かべるも、きっと心の中では微塵も思っていないのだろう。そういう男だということくらいは知っている。 「僕じゃあそう簡単にあそこへ行けませんよ。……さて、このタイミングで来たということは奥村翔目当てですか」 「ああ、そうだ」 やっぱりか、と僕は呟くと、再び口を開く。 「それじゃあ僕は藤原拓哉の方を見てきます」 「ああ。すまないな」 手を振りながら僕はこれから戦おうとしている藤原拓哉の元へ向かう。 「さて、最後に直接会ったのはまだ二歳くらいだったからな。どれだけ成長したか、見せてもらおう」 後ろから聞こえた彼の声に、僕は聞かない振りをした。
「さて、早速準々決勝を始めようか」 「その前に聞きたいことがある」 俺の前には対戦相手となる山本信幸。痩せこけた頬、黒縁の眼鏡と首にはギリギリ届かないくらいの短い黒い髪。更に黒いシャツまで着ているのに、全身から陰鬱な雰囲気を放っているため不気味さを感じる。その山本が持つ能力(ちから)は意識幽閉だったか。対戦相手が敗北したとき、意識を失い植物状態になる。現に松野さんも……。 「どうしてこんなことをしてるんだ?」 「年下のクセに生意気な口をするんだな」 二回戦のこともあって敬語的な喋り方をするイメージがあったから、急にこういう威圧的な話し方をされるのは驚いた。松野さんのときは年上だから多少は丁寧な言葉遣いだったのか? こっちが素だとしたらずいぶんとどこかの誰かさんを彷彿させるな。 「誤魔化すなよ。お前はどうしてその能力でいろんな人を……」 「なんだ、そんなことか」 山本は肩を上下させつつ軽く笑う。 「野望のため」 「野望……?」 「そうさ!」 今までの静かな声と違い、その声が急に大きくなる。それと同時に両手を横に広げた。 「野望! この世から不要な人間を全て消し去り、おれがおれの理想とする世界をこの手で!」 広げた左手を元に戻し、右手は体の前に持っていくと拳を作る。まるで何かを握りつぶすかのように。 「そう。この手で造り上げるのだ!」 「どういうことだ?」 「政治家、教育者、労働者をこき使って上でふんずり返る腐った会社人、親……。他にもいくらだっている! 愚図が上で蔓延るがためにこの世界はどんどん淀んでいく! それをおれが造り直してやるのさ!」 山本の顔が歪んだ笑みを浮かべる。とてもじゃないが正常とは思えない……。なんなんだこいつ……。 「それなら自分が政治家にでもなればいいじゃないか」 「そんなのでは駄目だ。貴様は何にも分かってない。恐怖だ。この能力をもって恐怖を知らしめてやる。同じ舞台で戦うのではない、常に上から愚図共を消し去って行く必要がある!」 何を言ってるのかがさっぱり分からない。そんなことを本当にしようというのか? 「そのためにいろんな人を犠牲にしたっていうのか?」 「そうだ」 「っ!」 「戦いで勝てば勝つほどおれは能力の増幅を感じる! もう少し、もう少しでおれはこの能力の真の力を解放できる!」 「真の力だと?」 「ポケモンカードなんていう煩わしい手段を使わずとも、他人の意識を消し飛ばし、植物状態にさせることができる。それが真の力だ!」 「なんだとっ!?」 今まで聞いてきた能力者で、他人に干渉があるものは全てポケモンカード関連だった。拓哉だってそうだ。その拓哉がこれから戦う高津だって。松野さんから聞いた他府県の能力者だってそうだった。 もしこいつの言う事が本当だとしたらとんでもないことになる。もっと悲惨なことが起きてしまう。 「さあ始めよう。そしておれに負け、おれの力の礎となれ!」 バトルテーブルのデッキポケットに差し込んだデッキは、オートでシャッフルされる。そして手札の用意とサイドの用意も全てしてくれる。 俺の最初の手札には、ポケモンは炎タイプのアチャモ60/60だけ。多少心細いが仕方がない、このアチャモをバトルポケモンにするしかないか。 「行くぞ、俺のターン!」 山本のバトル場にはミュウツー90/90、ベンチにはクレセリア80/80。さっき松野さんとの勝負を見ていた時は、山本はミュウツーLV.Xしか使っていなかった。一之瀬さんもそれ以外は未知数だと。クレセリアがどんな力を秘めているのかは不安だが、まずは目の前の敵から! 「俺は手札からアチャモに炎エネルギーをつけ、アチャモで攻撃、火の礫(つぶて)」 コイントスボタンを押す。このワザは、コイントスをしてオモテならワザが成功し、ウラなら失敗してしまう。 「オモテだ。20ダメージを喰らえ!」 アチャモの口から小粒の炎が複数発射され、ミュウツーに襲いかかる。それらがミュウツーに触れるとHPバーを削りながら爆竹が破裂するような音が響き、黒い煙が立ち込める。まずは20ダメージだ。これでミュウツーの残りHPは70/90。 「その程度……。おれのターン! サポーター発動。スージーの抽選! 手札を二枚捨てることでデッキからカードを四枚ドローすることが出来る! おれは手札の超エネルギーを二枚捨てて四枚ドロー」 エネルギーを二枚捨てる? わざわざそれをやる必要が分からない。エネルギーがなければワザは使えない。その資本であるエネルギーを捨てる? 何を考えてるんだ。 「おれはケーシィ(50/50)をベンチに出し、ミュウツーに超エネルギーをつける!」 三枚目の超エネルギーがあったのか。しかし捨てた理由にはならないはず。 「ミュウツーでエネルギー吸収。このワザはトラッシュにあるエネルギーを二枚までこのミュウツーにつけることが出来る。おれはさっき捨てた超エネルギーを二枚、このミュウツーにつけさせる」 なるほど、ミュウツーのワザを見越してのコンボだったのか。たった一ターンでミュウツーにエネルギーはもう三枚もついてしまった。 「俺のターンだ。ドロー! まずはアチャモをワカシャモ(80/80)に進化させ、ワカシャモに炎エネルギーをつける。そしてベンチにバシャーモFB(80/80)を出すぜ。さらにサポーター発動。ハマナのリサーチ!」 ハマナのリサーチはデッキからたねポケモンまたは基本エネルギーを合計二枚まで手札に加えることのできるサーチ効果のサポーター。俺はヤジロンとヒードランを手札に加える。 「今加えたヤジロン(50/50)とヒードラン(100/100)をベンチに出し、ワカシャモで火を吹く攻撃だ」 もう一度コイントスをする。このワザの元の威力は20であり、今度はウラが出てもワザが失敗にならない。だが、オモテが出れば与えるダメージを20ダメージ追加することが出来る。 しかし結果はウラ。追加ダメージはなく、本来の20ダメージがミュウツーに与えられる。 ワカシャモが口から炎を吹き出し、ミュウツーに吹き付ける。HPバーが小さく減って、50/90。まだ半分以上も残ってるか。 「おれのターンだ! おれはベンチのクレセリアに超エネルギーをつける」 クレセリアにエネルギー……。目の前のミュウツー以外にも警戒しなくては。 「サポーター、ミズキの検索を発動! 手札を一枚デッキに戻し、デッキからLV.X以外の好きなポケモンを一枚手札に加える。おれはアブソルGを手札に加え、ベンチに出す」 新たに山本のベンチにアブソルG(70/70)が現れる。超デッキと思っていたが悪タイプも仕込んでいるようだ。 「ミュウツーで攻撃だ」 ミュウツー50/90が左足を前に踏み出し、体は右向きに半身の格好になる。そして間にボールでもあるかのように右手を上に、左手を下に添えるとその中間から薄紫の球体が現れた。 「サイコバーン!」 ワザの宣言と同時にミュウツーが溜めていた球体を一気に打ちだす。投げられたボールのように放物線を描くのではなく、まるで渦潮に飛び込んだかのように螺旋を描きながら飛んできた。 「ぐおっ!」 ワカシャモに直撃するやいなや、風と爆発のエフェクトが一斉に襲いかかる。なんて攻撃だ……。 「サイコバーンは60ダメージ! 貴様のワカシャモのHPを吹き飛ばしてやる」 この攻撃を受けてワカシャモのHPは20/80まで落ち込む。次のターンにもう一度サイコバーンを喰らうとワカシャモは気絶してしまう。だが、大丈夫、対応策はある。 「今度は俺のターン! ワカシャモをバシャーモに進化させる!」 ワカシャモの体が大きくなり、力強い体躯へ進化していく。HPも上がり70/130。サイコバーンをもう一度受けてもまだ大丈夫だ。 「さあ、全てを焼き焦がせ! バシャーモのポケパワー、バーニングブレス!」 バシャーモの口から真っ赤な炎が吹き付けられ、ミュウツーを覆う。 「このポケパワーは一ターンに一度、相手のバトルポケモンをやけどにする!」 だが山本の顔は微動だにしない。 ……。本当はここで炎エネルギーをつけて、炎の渦をして完全にミュウツーを仕留めたい。だが手札には炎エネルギーはなく、それらをドローできるカードもない。 ここはバシャーモのもう一つのワザでなんとか耐え凌ぐしかないか……。 「行け、バシャーモ。鷲掴み攻撃!」 バシャーモがミュウツーの元へ駆けより、バシャーモの腕がミュウツーの喉元をしっかりとつかむ。締め付けられ、ミュウツーのHPは10/90に。 「この攻撃を受けたポケモンは次のターンに逃げることが出来ない。ターンエンド。そして、ターンエンドと同時にポケモンチェックだ。やけどのポケモンはポケモンチェックの度にコイントスをし、それがウラなら20ダメージを受ける」 山本がコイントスのボタンを押す。ここでやけどのダメージを受ければミュウツーは気絶……。がしかし結果はオモテ。ミュウツーはやけどのダメージを受けることがなかった。 「ぬるいな。おれのターン! おれは手札からグッズカードのポケモン入れ替えを発動。ベンチのポケモンとバトル場のポケモンを入れ替えることができる」 ミュウツーの首を掴んでいたバシャーモが強制的にミュウツーから弾かれ、俺の方へ戻ってくる。山本はミュウツー10/90を戻してベンチにいたクレセリア80/80をバトル場に出すようだ。 「もう一枚グッズカード、不思議なアメを発動。手札の進化ポケモンのカードをたねポケモンの上に重ねる。ケーシィをフーディン(100/100)に進化させる」 松野さんと戦った時と全然違う戦い方じゃないかこれは。どう来るんだ。 「さらにベンチにアンノーンG(50/50)を出し、ポケパワーGUARD[ガード]を発動。このポケモンについているカードを全てトラッシュし、このポケモンを自分の場のポケモン一匹のポケモンの道具として扱う。おれはフーディンにアンノーンGをつける」 ベンチにいたアンノーンGが、フーディンのそばに移動するとシールを貼ったかのようにフーディンの体に張り付く。 「アンノーンGをつけたポケモンは相手のワザの効果を受けなくなる。クレセリアで攻撃だ。月のきらめき」 クレセリアの体が光を吸収し、それを一気に放出させる。目に痛いほどの光はごくわずかにバシャーモのHPを削った。 「このワザは場にスタジアムがあれば自分のダメージカウンターを二つ取り除けるが、今は場にはない。10ダメージだけ受けてもらう」 バシャーモのHPは60/130。ギリギリ半分を切ってしまった。ミュウツーもベンチに戻ったために火傷は回復したか。だが山本の手札はたった一枚だ。 「俺のターン」 引いたカードはミズキの検索。炎エネルギーではない。が、炎エネルギーを引こうとするなら……。 「ミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからネンドールを手札に加える。そしてヤジロンをネンドール(80/80)に進化させる!」 今の手札は三枚。ネンドールのポケパワー、コスモパワーの手札のカード一枚または二枚をデッキの底に戻し、六枚になるまでドローする効果で炎エネルギーを気合いで引き当てるしかないか。 「ポケパワー、コスモパワー発動。手札を一枚戻し四枚ドロー。……よし、バシャーモに炎エネルギーをつけて攻撃だ。炎の渦!」 バシャーモが螺旋を描く炎の渦をクレセリアに吹き付ける。炎の渦に覆われ悲鳴を上げるクレセリア。そのHPは100ダメージを受け0/80へ。 「炎の渦の効果で、バシャーモについている炎エネルギーを二個トラッシュする」 「おれはベンチのミュウツーをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンドだ」 これで相手より先にサイドを引いた。しかも山本のミュウツーの残りHPはたったの10。恐れるに足らず。 「ふん。おれのターン。ベンチにクレセリア(80/80)を出す」 「またクレセリアか……」 「そしてサポーターカード、デンジの哲学を発動。手札が六枚になるまでドローする。俺の手札はこれで0。六枚ドローする」 山本のデッキのカードがどんどん減っていく。あっという間にさっきのターンの終わりに一枚だった手札が六枚に。 「ここでベンチのクレセリアに超エネルギーをつけてミュウツーで攻撃する。サイコバーン!」 ミュウツーからまたもエネルギー弾が放たれ、バシャーモに攻撃して爆発を起こす。 「バシャーモ!」 煙が晴れると、そこにはHPバーを0/130にして倒れたバシャーモが。 「サイドを一枚引く」 「くっ。俺はヒードランをバトル場に出す」 「いくらあがいても無駄だ。ターンエンド」 俺のヒードラン100/100は基本的に非戦闘要員だ。薫と勝負したときのようにベンチで控えて主にバシャーモのサポート役をやっていたようなのが正しいヒードランの使い方。今、そのバシャーモが倒されてしまった。それでもバシャーモがまた戻ってきたときのためにサポートは手を抜かない。 「俺のターン。まずはヒードランをレベルアップさせる!」 レベルアップしたヒードランLV.X120/120の咆哮が周囲に響く。 「そしてポケモン入れ替えを発動。バトル場のヒードランLV.XとベンチのバシャーモFBを入れ替える。続いてバシャーモFBに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を二枚戻し、四枚ドローだ」 ようやくエネルギーがちゃんと手札に入るようになってきた。だがまだ流れはどちらにもない。この勝負の主導権を早く握りたい。 出来ることなら目の前のミュウツーをこのターンのうちに倒したい。だが、バシャーモFBが炎エネルギー一個で出せるワザで、ミュウツーを倒すことが出来ない。 「バシャーモFBで誘って焦がす攻撃。このワザは相手のベンチポケモンを一匹選び、相手のバトルポケモンと入れ替えさせる。そしてそのポケモンをやけどにさせる!」 フーディンはアンノーンGの効果でワザの効果を受け付けない。選べるポケモンはアブソルGとクレセリアか……。 「クレセリアを選択する!」 バシャーモFBは跳躍して相手ベンチのクレセリア80/80の元まで行くと、これまたクレセリアの首根っこを掴む。するとバシャーモFBの手首の炎が激しく燃え、クレセリアをも燃やした。そして燃えるクレセリアをバシャーモFBがバトル場めがけて投げつける。あらかじめバトル場にいたミュウツー10/90は驚きたまらずベンチに下がる。これでバトル場にはやけど状態となったクレセリアが新たに出ることになった。 「ターンエンドと同時にポケモンチェックをしてもらう」 ポケモンチェックで山本がやけど判定のコイントスをしようとしたときだ。 「このとき、ヒードランLV.Xのポケボディーのヒートメタルが発動。やけど状態のポケモンがポケモンチェックでコイントスをするとき、そのトスの結果を全てウラとして扱う。よってクレセリアはやけどのダメージを受け20ダメージ!」 「何っ?」 クレセリアは火傷のダメージを受け、HPを60/80まで減らす。 「くっ! 小賢しい……」 「これ以上お前の好き勝手にはさせない!」 「なかなかどうして、流石は準々決勝と言うべきか。思っていたよりも多少は強いようだ」 「?」 「貴様を倒した時、おれの能力はより強くなれる。その時こそこの能力は最大まで増幅し、おれの目的は達成されるッ!」 目的……、ポケモンカードなしで相手の意識を奪うことか。もしかして脅しなのか、これは……? そう言って俺の気持ちを乱そうとしているのか? 「もちろん脅しではない。おれも持てる力を全て出し、まずは貴様を叩き潰してこの世界の淀みを、愚図を、消してやる! おれのターン!」
翔「次回のキーカードはアブソルG LV.X。 ポケモンをロストさせるポケパワーと、 エネルギー二個で60ダメージの強力カード!」
アブソルG LV.X HP100 悪 (DPt3) ポケパワー やみにおくる 自分の番に、このカードを手札から出してポケモンをレベルアップさせたとき、1回使える。コインを3回投げ、オモテの数ぶんのカードを、相手の山札の上からロストゾーンにおく。 悪無 ダークスラッガー 30+ のぞむなら、自分の手札を1枚トラッシュしてよい。その場合、30ダメージを追加。 ─このカードは、バトル場のアブソルGに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 闘×2 抵抗力 超−20 にげる 1
─── 風見雄大botが登場! https://twitter.com/kazamiyudaibot
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窮境 ( No.108 ) |
- 日時: 2010/12/19 11:33
- 名前: でりでり ID:iKtqRFnc
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「おれのターン!」
俺のサイドは残り五枚。バトル場には炎エネルギー一枚ついたバシャーモFB80/80。ベンチにはヒードランLV.X120/120とネンドール80/80。 山本信幸のサイドも同じく残り五枚。そしてバトル場には超エネルギーが一枚つき、やけど状態のクレセリア60/80、ベンチにはポケモンの道具となったアンノーンGをつけたフーディン100/100、超エネルギーが三つついたミュウツー10/90。 山本はこの勝負に勝つと、自信の能力(ちから)が強まりポケモンカードを介せずとも能力を使い、相手の意識を奪って植物状態にさせれるという。そんなことが本当に起きればとんでもないことになってしまう。だからこの勝負にだけは絶対負けられない。これ以上こいつの好き勝手にさせる訳にはいかない。 「まずはスタジアムカードを使う。月光のスタジアム!」 風景があっという間に月夜の草原になった。穏やかだが冷たい風が吹いて草が揺れ、ざわざわとその音がする。灯りは唯一空に浮かぶ月だけ。どことなく寂しい感じのするスタジアムだ。 「このスタジアムがあるとき、互いの超、悪ポケモンは逃げるエネルギーが0になる。おれはバトル場のクレセリアを逃がし、ベンチからミュウツーをバトル場に出す」 ベンチにクレセリアが戻ったことで、クレセリアのやけどは回復する。だがバトル場に出たミュウツーの残りHPが10。虫の息もいいとこだ。 「手札からサポーターカードの地底探検隊を発動。デッキの底から四枚確認し、そのうち二枚を手札に加え、残り二枚を好きな順にして戻す。続いて手札の悪エネルギーをアブソルGにつける。そしてミュウツーのワザを使う。ミュウツーの超エネルギーを一枚トラッシュし、自己再生だ」 ミュウツーの体が薄い青の光に覆われる。それと同時にHPバーも徐々に回復していく。これでミュウツーのHPは70/90にまで回復した。 「この自己再生はミュウツー自身についている超エネルギーを一つトラッシュすることで、そのHPを60回復させるワザ。ターンエンドだ」 バシャーモFBでとどめがさせなかったがために回復をさせてしまったか……? いいや、全然そんなことはない。むしろ好都合だ。 「俺のターン。まずはバトル場のバシャーモFBをレベルアップ!」 バシャーモFB LV.X110/110が威嚇の雄叫びをあげる。レベルアップ前なら無理だったが、レベルアップしたバシャーモFBならミュウツーを倒すことが出来る。 「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻し、デッキからワカシャモ(80/80)を手札に加えてベンチのアチャモを進化させる!」 手札はこれであと三枚。やはりこれでは心細いな。 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを使い、手札を一枚戻して四枚デッキからドロー。そしてバシャーモFB LV.Xに炎エネルギーをつけてミュウツーに攻撃だ。ジェットシュート!」 バシャーモFB LV.Xは高く跳躍すると、そこからミュウツーに向かってとび蹴りを放つ。その様はまるで降り注いでくる赤い彗星だ。ワザのヒットと同時に大きな音と爆風を生み出す。80ダメージのこの大技はミュウツーの体も吹き飛ばし、HPを0にした。 「……。おれはベンチのアブソルGを新たにバトル場に出す」 「よし! レベルアップさせる前になんとか倒したぜ。サイドを一枚引いてターンエンド!」 「おれのターンだ。ドロー。……、まずはアブソルGに悪エネルギーをつける」 山本が使うポケモンはミュウツーやらクレセリアやらフーディンやら、超タイプばかりなのに、そこに一匹だけ混ざるアブソルG。一体どういう戦術で来るんだ……。 「愚図ばかりで腐りに腐ったこの世界を粛清するための第一歩だァ! アブソルGをレベルアップ。出でよ、アブソルG LV.X!」 バトル場にアブソルG LV.X100/100が場に現れたと同時に冷気を感じ、肌に触れる空気がずしりと重くなった。山本の雰囲気も急に静かだったのが力強さを感じつつある。……何か来る。 「アァブソルG LV.Xのポケパワーを発動! 闇に送るッ!」 山本がコイントスを三回行う。その結果はオモテ、オモテ、ウラ。どこに干渉するポケパワーだ。俺のバトル場か、それともベンチか。いや、手札に関係するものか? 「この効果はこのポケモンがレベルアップしたときにのみ使えるポケパワー! コイントスを三回行いオモテだった数だけ相手のデッキの上のカードをロストゾーンに送る! 淀んだ貴様のデッキを消してやるッ!」 「ろっ、ロストだと!?」 ロストゾーンに送られたカードはゲーム中、一切使うことが出来なくなる。オモテは二回出た、よって俺のデッキからカード二枚がこのゲームから消えてしまう。 「まずは一枚目! ハードマウンテンか……。まあいい。二枚目もだ! ……カカカカッ! バシャーモもロストだァ!」 「しまった!」 二枚のカードが、アブソルG LV.Xの額にある角が造り出した異次元に吸い込まれ消えていく。あの二枚はもうこの勝負で使うことが出来ない。 ハードマウンテンはまあまだいいが、問題はバシャーモだ。山本の本来のキーカード、ミュウツーLV.Xは進化していないポケモンのワザと効果を受け付けないポケボディーをもつ。だがその進化ポケモンであるバシャーモがロストされてしまった……。 「さァらに! サポーター、ハマナのリサーチを発動! デッキからミュウツーとユクシーを手札に加え、ミュウツーをベンチに出すッ!」 二体目のミュウツー90/90が山本のベンチに現れる。 「不要な物を切り落とし、新たな世界への一歩とするッ! 手札を一枚捨てアブソルG LV.Xで攻撃! ダークスラッガー!」 山本が捨てたカードはスージーの抽選か。ワザの起動に入ったアブソルG LV.Xの角から黒い三日月形の波動が打ち出され、それがバシャーモFB LV.Xを襲う。 「ダークスラッガーは手札を一枚捨てることで、威力を30上げるワザ。元の威力が30なので60ダメージッ! さらに貴様のバシャーモFB LV.Xが前のターンに使ったジェットシュートのデメリット」 「このワザを使った次のターンに、このポケモンが受けるワザのダメージはプラス40される……」 「そうだ! よって100ダメージっ!」 バシャーモFB LV.XのHPは110。それが今の一撃で100ダメージを受け、残りHPはたったの10。ダメージを与えれるワザを受けたらどんな些細な一撃でも倒れてしまう。 「くっそ、俺のターン! まずはワカシャモをバシャーモ(130/130)に進化させ、バシャーモに炎エネルギーをつける!」 俺のデッキにはバシャーモは三枚しか入っていない。一枚はトラッシュ、もう一枚はロスト。よってこれが最後のバシャーモ。 このターン、バシャーモFB LV.Xでジェットシュートをして80ダメージを与えると、アブソルG LV.XのHPは残り20になる。 さらにバシャーモのポケパワーで火傷にしてやれば、ベンチのヒードランLV.Xのポケボディーで相手は必ずやけどの20ダメージを受け、アブソルG LV.Xを気絶させることができる。山本のベンチのポケモンはほとんど育っていない、今がチャンス。 「バシャーモのポケパワーを使う。バーニングブレス! このポケパワーは一ターンに一度、相手のバトルポケモンをやけどにさせる!」 バシャーモが赤い吐息をアブソルG LV.Xに吹き付けたそのときだった。 「愚図はこれだから何も分かってないッ! 思い通りに行くと思うなァ! 手札を二枚捨てフーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラァー!」 山本がバトルサーチャーとミズキの検索を捨てると、フーディンがスプーンをアブソルG LV.Xの方に向けた。するとアブソルG LV.Xの周りに青いバリアのようなものが張られ、バーニングブレスを弾く。 「なっ、ポケパワーを防がれた!?」 「このパワーキャンセラーは相手のターンに発動したポケパワーを、手札を二枚捨てることで一ターンに一度だけそのポケパワーを無効にすることが出来る!」 このターンでアブソルG LV.Xを倒す手はずが完全に崩れてしまった。でも出来ることは今やらないと。 「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ジェットシュート!」 またも激しい一撃が山本の場を襲う。強力な80ダメージのワザはアブソルG LV.XのHPを20/100まで減らした。 「おれのターンッ! まずはベンチのクレセリアに超エネルギーをつける。そしてユクシー(70/70)をベンチに出し、ポケパワーを発動する。セットアップ!」 セットアップは、ユクシーをベンチに出した時デッキから手札が七枚になるまでドローできる強力ポケパワー。山本の手札がたったの一枚だけだったのにこれで七枚まで補充される。そしてこの手札がまたフーディンのパワーキャンセラーに回るのか……。 「サポーターのミズキの検索を発動。手札を一枚戻しデッキからユクシーを手札に加える。そしてアブソルG LV.XでバシャーモFB LV.Xに攻撃だァ。だまし討ち!」 ふとアブソルG LV.Xの姿が掻き消えると、瞬時にバシャーモFB LV.Xの背後に現れ、その背中を角で一突き攻撃する。残りHP10/110だったバシャーモFB LV.Xはもちろんたまらず気絶してしまう。 「このワザは相手一匹に弱点、抵抗力、ワザの効果を無視して20ダメージを与えるワザ。これ程度で十分だ!」 「ちっ。俺は新たにバシャーモを出す」 「サイドを一枚引いてターンエンドだっ!」 あとアブソルG LV.XのHPはわずか20。だが、またしても俺の手札にエネルギーがない。ポケパワーが邪魔される以上、ワザで倒さなくてはならないのにこのままではそのワザさえ使えない。バシャーモについているエネルギーは炎エネルギー一つ。しかしバシャーモのワザはエネルギーを二つ以上要するから、このままでは攻撃出来ない。 「俺のターン、ドロー」 引けたのはエネルギーじゃなくバシャーモFB80/80。くっ、ないよりはいささかマシか。 「ベンチにバシャーモFBを出し、ネンドールのポケパワーのコスモパワーを発動。手札を二枚戻し三枚ドロー」 山本はここでは動かない。あくまでバーニングブレス対策だけか。そして引いたカードの中には……。エネルギーがない。ダメだ、完全に流れは山本の元にある。なんとかして戻さないと。 「くそっ、バシャーモでバーニングブレ──」 「無駄だ。手札のハマナのリサーチと月光のスタジアムをトラッシュし、フーディンのパワーキャンセラーを発動ゥ!」 またしても青いバリアに阻まれる。だが無意味じゃない。山本の手札は確実に削れている。 「……ターンエンド」 「おれのターン。アブソルG LV.Xに悪エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを発動だ。デッキから超エネルギー二枚を手札に加る。アブソルG LV.Xについている悪エネルギー三枚を全て手札に戻して攻撃。破滅の知らせェ!」 しかし場は静まり返っており、ワザのエフェクトは何も起こらない。ワザは条件を満たさなかったために失敗したのか? 「このワザを受けた相手は次の貴様の番の終了時に気絶する!」 「っ!」 「おれは望む世界を造るためなら時間を惜しまないィ! 今すぐ消さずとも、その次に消せばいいだけだッ! クキャキャキャ! キヒャヒャヒャヒャ!」 狂った笑いが辺りに木霊する。こいつもヤバいが俺の状況もかなりヤバい。ウソだろ、HP130もあるのにたった一撃かよ。いくら時間差とはいえひどすぎる。 「まだまだっ、俺のターン! まずはバシャーモのポケパワーを!」 「手札の悪エネルギーを二枚捨ててパワーキャンセラー!」 なるほど、アブソルG LV.Xの破滅の知らせの効果で戻された悪エネルギーをここで利用するのか、その技術はうまい。 「俺はハンサムの捜査を発動。相手の手札を確認し、その後自分か相手の手札を全てデッキに戻しシャッフル。そして戻した人はデッキから五枚までドローする。さあまずは手札を見せてもらおう」 山本の手札は先ほどミズキの検索で加えたユクシー以外、エネルギーカードばかり。なんだこの手札、引きは間違いなく良くない。 「俺は自分の手札をデッキに戻しシャッフル。五枚ドロー。……よし、バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーを使う。手札を二枚戻し四枚ドロー。ターンエンドだ」 「このとき、粛清の知らせが貴様に降りる! 破滅の知らせの効果発動。このワザを受けた相手は次の相手の番の終わりに気絶する!」 バシャーモの真上から真っ白の極太レーザーが降り注ぐ。情け容赦は微塵もなく、悲鳴を聞く間にバシャーモのHPバーが全て削り取られて気絶してしまった。 これでミュウツーLV.Xを倒せるバシャーモがこれでデッキと手札からいなくなってしまった。 「っ、俺はベンチのバシャーモFBをバトル場に!」 「サイドを一枚引く。そしておれのターン。クレセリア(60/80)に超エネルギーをつけてターンエンド!」 もうターンエンドだと? アブソルG LV.Xはあくまでクレセリアを育てるための壁か。 「その挑発、乗ってやる。俺のターン。バシャーモFBに炎エネルギーをつけ、グッズカードのプレミアボールを使う。デッキまたはトラッシュのLV.Xポケモンを一枚手札に加える。俺はデッキからバシャーモFB LV.X(110/110)を加え、レベルアップさせる!」 「LV.Xポケモンを二枚入れてるだと?」 「そしてネンドールのポケパワーを──」 「悪エネルギーと超エネルギーをトラッシュし、フーディンのポケパワーを発動。パワーキャンセラー!」 今度はネンドールの体の周りに青いバリアが貼られ、ネンドールのポケパワーが封じられてしまった。もうバシャーモのバーニングブレスを恐れる必要がないから、今度は俺のドロー手段を封じるつもりか。 「バシャーモFB LV.Xで攻撃だ。ベイパーキック!」 水蒸気を纏った熱いキックがアブソルG LV.Xにヒットし、その体は宙を舞う。30ダメージのこのワザは、アブソルG LV.Xを気絶させるには十分だ。 「クレセリアをバトル場に出す」 「サイドを一枚引いてターンエンド!」 これで俺も山本も残りサイドは三枚。勝負はここから後半戦に入る。 「おれのターン。まァずはクレセリアに超エネルギーをつける。そして、こいつが屑塗れのこの世界に光を与えるおれの力だァ! クレセリアをレベルアップ!」 バトル場のクレセリアがレベルアップし、クレセリアLV.X80/100に。LV.Xポケモン、これで二匹目……。アブソルG LV.Xであんなだった。今度も厳しい一撃が来るのは間違いない……。 「光を与える? なんかの間違いじゃないのか」 「かつてこのおれが愚図から受けた屈辱、そしておれと同じような目に遭っている悲しき人々を救うための光だ! ポケパワー、満月の舞い!」 「屈辱?」 クレセリアLV.Xが光をめいいっぱい放ちながら、満月を描くような、どこか妖艶な踊りを繰り広げる。するとクレセリアLV.Xの体から真っ赤な火の玉のようなものが這い出、それがバシャーモFB LV.Xに飛んでいく。火の玉はバシャーモFB LV.Xの体に埋まって行った。 「満月の舞いは自分の番に一度使え、自分または相手のポケモンのダメージカウンターを一つ取り除き、自分または相手の別のポケモンにそれを乗せ換える。おれはクレセリアLV.XのダメカンをバシャーモFB LV.Xに乗せ換える!」 これでクレセリアLV.XのHPは90/100、バシャーモFB LV.XのHPは100/110に。 「サポーター、地底探検隊を発動。デッキの底のカードを四枚見、そのうち二枚を加え残り二枚を好きな順に戻す。さあ、クレセリアLV.Xで攻撃だ。三日月の舞い!」 今度は三日月を描くような不思議な舞いを放つ。すると急にクレセリアLV.Xの輝きが強くなり、バシャーモFB LV.XのHPバーが削られる。残りHPは50/110、50ダメージのワザか。 「このワザは望むならこのポケモンのエネルギーを二つトラッシュすることでベンチのポケモンのダメージカウンターを全て取り除ける。だがおれのベンチにはそのようなポケモンはいないためこの効果は使わない」 ……次のターン、クレセリアLV.Xにもう一度三日月の舞いを喰らうとバシャーモFB LV.Xは気絶になってしまう。 「次のターン! おれが満月の舞いでクレセリアLV.Xに乗っているダメージカウンターをバシャーモFB LV.Xに乗せ換えるとその残りHPは40になる。そこでクレセリアLV.Xのもう一つのワザ、ムーンスキップを使えば貴様の残りの命は減って行く! ムーンスキップの威力はたった40だが、このワザで相手を気絶させたとき、おれが引けるサイドは一枚多くなる。つまりサイドを一気に二枚、引くことが出来る! 貴様のバシャーモFB LV.Xのジェットシュート一撃ではわずかにクレセリアLV.Xを倒すに及ばないッ! もう少しだ……、もう少しで新たな希望に満ち溢れた世界を! クカキャキャキャキャ! ヒーヒャハハハハ!」 ここで一気にサイドのアドバンテージをとられるともう取り返しがつかない。俺のベンチにはネンドールとヒードランLV.X、共に非戦闘要員。そうなったら本当に終わりだ……! こいつの好きにはさせてたまるか、その能力で身勝手に振る舞えばたくさんの人が傷つく。俺の大好きなポケモンカードでそんなことは絶対にさせない! 「そう思い通りには行かせない! ドロー!」 来た、ここ一番で必要なカード。 「悪いがお前の思惑ははずれるようだ。ヒードランLV.Xに炎エネルギーをつけ、バシャーモFB LV.Xにポケモンの道具、達人の帯をつける!」 「なんだと!?」 「達人の帯をつけたポケモンは最大HPと相手に与えるワザの威力が20上がる! ……もちろんそのリスクとして達人の帯をつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドをさらに一枚引くことが出来る。しかしそれでもお前の思惑は崩すことが出来る!」 バシャーモFB LV.XのHPは達人の帯の効果で70/130。これならムーンスキップで倒されることもない。さらに本来のジェットシュートの威力は80で、一撃でクレセリアLV.X90/100を倒すことが出来なかったが威力が20上がることで与えれるダメージは100になる。これなら倒すことが出来る! 「ネンドールのポケパワー、コスモパワーを発動」 「させるか! 手札のケーシィ、不思議なアメを捨ててパワーキャンセラー発動! そのポケパワーを無効にする!」 「だが今から与えるワザのダメージは無効には出来ないぜ。行け、バシャーモFB LV.X。お前の力を見せてやれ! ジェットシュートッ!」 真っ赤な灼熱の流星キックはクレセリアLV.XのHPと山本の思惑をまとめて消し飛ばす。熱風と爆煙が辺りに立ち込め山本の場が一瞬隠れる。 「……」 ようやく煙が晴れると、バトル場には新しくミュウツー90/90が立っていた。これが山本の次のポケモンか……。 「よし、サイドを一枚引いてターンエンド!」 「おれの野望の、邪魔をするなアアアアアアアアアアアア!」 今までとは格段に違う山本の目つき、雰囲気に思わず気圧されそうになる。体が震え、鳥肌が立つ。どうしてだ、勝負は快調じゃないか。バシャーモFB LV.XでクレセリアLV.Xを倒し、残りのサイドはあと二枚。もう少しで勝って、この悪夢を終わらせることが出来るはず。場のバシャーモFB LV.XのHPもまだまだ半分あるし、それに対し高津のミュウツーも、ベンチのフーディン、ユクシーもエネルギーは一枚もついていない。恐れることは何もないはずだ。なのにどうして。寒気が止まらない。 「くそォ! おれのタァーン! ……クハハ、キュハハハハ! いいタイミングでこのカードを引いたァ! ミュウツーに超エネルギーをつけ、貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」
翔「今回のキーカードはミュウツーLV.X。 サイコバリアは未進化ポケモンからは一切何も受け付けない! そしてギガバーンは威力120の強力なワザだ」
ミュウツー LV.X HP120 超 (DP5) ポケボディー サイコバリア このポケモンは、相手の「進化していないポケモン」のワザによるダメージや効果を受けない。 超超無 ギガバーン 120 自分のエネルギーをすべてトラッシュ。 ─このカードは、バトル場のミュウツーに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 超×2 抵抗力 − にげる 2
─── 藤原拓哉の使用デッキ 「エクトプラズム」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-856.html
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奇跡 ( No.109 ) |
- 日時: 2010/12/26 19:46
- 名前: でりでり ID:HyUk/Fco
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」
ついに出てしまった……。山本信幸の真のエースカード、ミュウツーLV.X120/120。 近くで見るととてつもないプレッシャーだ。だが、このミュウツーLV.Xを倒さなければ俺は山本に勝つことはできない。倒れてしまった松野さんを救うことが出来ない。 「今まで戦ってきた相手の中で、貴様は一番強いと認めてやる。だからだァ! だからこそ、おれがこの戦いに勝ったとき、おれの能力(ちから)は新たな境地へ赴き、腐りきったこの世界から愚図を排除するという野望への大きな、大きな一歩となる!」 「どうしてそこまで」 「三年前、おれが十八のころ。つまり高校三年生の頃だ」 逆算すると山本の年齢は二十一か。何があってこんな危険な思想を産み出してしまったのだろう。 「センター試験、もちろん知っているだろう?」 「ああ……」 「センター試験受験日の四日前の出来事だった。塾の帰り、おれはバイクに轢かれる事故にあった」 ミュウツーLV.Xが右腕を前にすると、周囲の風景が変わり、急にビルとビルが立ち並ぶ夜の街中へ変わって行く。いったいぜんたいどういうことだ。俺の体、山本の体はその街を上から覗くように宙に浮いていて、落ちることはない。 空は暗いが、街はビルが放つ光のためにやけに明るい。よく見ればこの街並み、どこか心当たりがある。南池袋辺りだろうか、何度か行ったことがある。ふと見れば街路樹のない広めの道路の脇に、血だらけで倒れている一人の男がいた。 「これはおれの過去。スクーターといった小型バイクでなく、バイクにしては大型の、つまり大型二輪に轢かれたおれだったが、轢いたヤツはもちろん逃げ、さらに運悪く人通りが悪かったため事故に遭ったおれの発見も遅れた」 救急車のサイレンの音が鳴り、過去の山本のそばでそれが止まる。救急車の中から救助隊員が現れた。遠くで何を言っているかは聞こえないが、怒鳴り声のようなものがいくつか聞こえながら、過去の山本が救急車に搬入されそのまま運ばれていった。 急に上方から眩しい光が目を襲い、右手で両目を覆い隠すよう光から守る。 「そののち、おれの手術が行われた。あまりにも損傷個所が酷く、一時は助からないと誰もが思ったらしい。しかし奇跡的にもおれは生きることが出来た」 覆っていた右手をはずすと、夜の街並みから景色が急に変わり、辺りは真っ白な壁に覆われた病院の一個室へと移っていた。しかしここでも体は宙を浮き、上から個室を覗いている。 個室のベッドにはいろんな箇所に管を通されている過去の山本の姿が。包帯やギプスなどいろいろなものが巻かれて直視するのも痛々しい。 「計二十二針を縫う大事故だった。そして、おれが目を覚ましたのは事故から五日後の夜のこと」 「五日後の夜ってまさか」 「そうだ。センター試験の二日目も終わっている」 思わず眉をひそめて下を向いてしまう。実際にこれを味わった山本は、言葉で表せないくらい辛かっただろう。 「当然、こんな大事故にあって一週間後のセンター追試験を受けれるわけもない。おれは、深い絶望を味わった。今まで必死に必死に頑張ってきたものが、信号無視で走ってきたバイクに轢かれてパーだ。こんなことがあるか!? あってたまるかァ!」 山本の顔を直視できない。追試験ではないだろう。私立の試験だって、受けれるかどうか。一カ月やそこらで試験を受けるほどの回復は厳しい。 「おれが事故に遭ってから約一ヶ月後のことだった」 今まで動きのなかった病室の時が急に動き出したかのように、病室の扉が開く。五十代くらいの女性だ。その女性は過去の山本の傍で何か耳打ちをする。 『ほ、本当か! 犯人が見つかったって』 犯人。山本をこういう目に合わせたヤツのことだろう。見つかったのであれば当然法によって処罰される。間違いなく山本にとっては良いニュースだ。 『大きな声出さないで。これは秘密なんだから』 『秘密?』 女性は誰もいないか周囲を見渡してから、再び山本に耳打ちする。その耳打ちを聞くにつれ、山本は目の焦点が合わなくなり、呼吸のリズムも狂いだす。 『なっ、がっ、かっ、はっ、はぁ、はぁ、ぎゅああ、きゅばっ、はっ、ああああああああああああああああああああ』 荒れる呼吸と共に、意味不明な言葉が吐かれたと思うと、急に過去の山本は狂ったように叫び出し、身辺にあったものを構わず投げ続ける。 本、携帯電話、果物、花瓶。花瓶は割れてガラス破片が飛び交い、たまらず女性は悲鳴を上げる。 過去の山本の暴走はどんどんエスカレートして医療器具をも叩きつけ、破壊し、投げつける。 女性がナースコールのボタンを押し、助けてと叫ぶと、すぐに部屋にはたくさんの看護師が現れ過去の山本を抑えつけようとする。 「何が……あったんだ」 「おれが母親から言われた言葉は……」 あの女性は山本の母親だったのか。俺たちがこうして話している間も、眼下では暴れる山本を、殴られつつも看護師が必死に抑えつけようとしている。 「事故を無かったことにする」 「無かったことにする……? どういう意味だ」 「そのままの意味だ。……おれを轢いたのは、当時の法務大臣のどら息子だった。このことが公に出れば、もちろん法務大臣の立場は危うい。そこでその親子は金で事件を」 「まさか、もみ消したってことか」 「そうだ」 ようやく抑えられた過去の山本は、暴れ疲れてか意識を閉ざす。なんとか抑えた看護師も、生傷だらけ。個室はもはやボロボロだった。 「おれは悔しかった。悔しくてたまらなかった。おれの人生があんなゴミのせいで狂ってしまった! 悪は善が裁く? そんなものはまやかしでしかないィ!」 何も答えることが出来ない。怒りを思い出したのか、山本は続ける。 「それだけじゃない。こんなゴミ共に、金でへーこら手のひらを返すあの愚図もだ! 許せるか? 許せるかアァァァ!?」 病室の風景が掻き消え、元の月明かりが照らす夜の草原へと戻った。愚図とは母親のことか。 「だが、おれはその気持ちを押し殺した。怨むことは門違いだ。とにかく受験勉強に精を出そう、と。そして翌年、志望校に無事受かり、これからは新たな未来を切り拓いていこうと決意を胸にした」 「それならどうして……」 「去年の四月。おれは大学生活にも馴染み、過去の事を忘れて自分の目標に向かっていた。そんな春のある日、サークルの新入生に忘れるわけもない男が現れた」 「男って」 「そう。おれを轢いたそのどら息子だった。母親から名前は聞いていたため、忘れるわけもなかった。しかもその愚図は、現役でうちの大学に入ってきたばかり。どういうことかわかるか」 現役で入ったということはそのどら息子とやらは十八歳……。まさか。 「免許か」 山本は物分かりが良い、と拍手で俺を称え、話を続ける。 「そうだ。大型二輪の免許は十八歳以上からだが、おれを轢いたときの愚図の年齢は十六歳。無免許だったのだ」 一般的な原付きなどは十六歳以上だが、山本の話によるとそのどら息子は大型二輪を運転していたらしい。そうだとすると大型二輪の免許は当然、ない。 「もちろん、おれのことなどあの愚図は微塵も覚えていない。それはそうだ。一度も見舞いにさえ来なかったのだからなァ!」 山本の受けた屈辱とはここまで……。 「そして夏、おれはこの能力に目覚めた。最初は何が起きたか分からなかったが、この意識を消し飛ばす能力こそこのおれに本当に必要な力だ! 現にあの愚図も、簡単に手を返した親も消してやった! まだだ……。きっとおれと同じような屈辱を受けたやつはごまんといる! そのためにも、そいつらのためにもォ! おれはこの屑が蔓延る腐りきった世界を変えなくてはならないィ!」 「確かに、お前の受けた屈辱は分かった。……だがそれは違う! お前も結局そのどら息子と一緒じゃないか!」 「おれがあの愚図と一緒だと? 適当な事を抜かすなぁぁぁぁぁ!」 「いいや、同じだ! お前がやろうとしていることは、ただ悲しみの連鎖を広げるだけだ! お前だって、お前くらい賢いやつなら分かってるだろう!? こんなこと、本当は何の意味にもならないって」 「黙れェ! 黙れェッ!」 ダメだ、俺の言うことをまるで聞いていない……。 「おれはァ! ミュウツーLV.Xのワザを使う! エネルギー吸収ゥ! トラッシュにある超エネルギー二枚をミュウツーLV.Xにつける!」 俺のサイドは残り二枚、山本のサイドは残り三枚。 山本のバトル場にはこれで超エネルギーが三つついたミュウツーLV.X120/120、ベンチにはユクシー70/70と道具となったアンノーンGをつけているフーディン100/100。 俺のバトル場には炎エネルギーを二枚、達人の帯をつけたバシャーモFB LV.X70/130、ベンチに炎エネルギー一枚ついたヒードランLV.X120/120とネンドール80/80。 場には山本が発動したスタジアムカード、月光のスタジアム。このカードで互いの超、悪ポケモンは逃げるエネルギーなしで逃げることが出来る。 一見俺のほうが優勢に見えるが、とんでもない。最悪だ。 山本のミュウツーLV.Xはポケボディー、サイコバリアで進化していないポケモンからのワザのダメージや効果を一切受け付けない。 今場にあるバシャーモFB LV.XはSPポケモンなのでたねポケモンとして扱われ、ヒードランLV.Xは言うまでもない。ネンドールはワザを使うために闘エネルギーが必要、そもそも最初からネンドールを戦力として計算していないため闘エネルギーなんて入れてない。 このデッキに入っている進化ポケモンであるバシャーモは、既に二匹気絶し一匹はロストしてしまった。デッキにもサイドにも、言わずもがな手札にもバシャーモはもうどこにもいない。 俺じゃあミュウツーLV.Xに傷一つ与えることすらできない。 とはいえ、山本は俺のデッキにもう進化ポケモンがいないことを知らない。それを悟られてはダメだ、弱みを見せてはいけない。そのときこそ本当の負けになる。 「くっ。行くぞ、俺のターン! ん、これは……」 今ドローしたカードは……。
『翔、これを貸しておく。使うか使わないかはお前次第だ』 風見がポケットから十枚程度のカードを裏向けのまま渡した。拒否出来ない雰囲気に負け、何事もないかのように受け取ってしまう。
PCC予選が始まる前に、風見が俺に渡したカード。全てはデッキのスペース上入れにくいので、少しだけ入れたカードだった。 「なるほど、こういうときのため、って言うつもりか。俺はナックラーをベンチに出す」 「ナックラーだと?」 ベンチにナックラー50/50が現れる。俺のデッキは基本的に炎中心だったが、このナックラーは闘タイプだ。 「月光のスタジアムをトラッシュし、手札からハードマウンテンを発動!」 辺りが元の会場に一瞬戻ると、間髪入れずに今度は険しい山脈に舞台が切り替わる。さっきの草原と違い足元はガチガチした岩盤だ。 「ハードマウンテンがあるとき、一ターンに一度自分のポケモンの炎、闘エネルギーを一つ選んでもよい。そのときそのエネルギーを自分の炎または闘ポケモンにつけ替えることができる。俺はバシャーモFB LV.Xの炎エネルギーをナックラーにつけ替える」 「その程度ッ」 「まだまだ! サポーターカード発動だ。ハマナのリサーチ。その効果でデッキから炎エネルギーを二枚加え、ナックラーに炎エネルギーをつける。さらにネンドールのポケパワーだ」 「何度無駄と言えば分かるッ! フーディンと悪エネルギーを手札からトラッシュし、フーディンのポケパワーを発動ォ! パワーキャンセラー! 相手ターンに一度、手札のカードを二枚トラッシュすることで相手のポケパワーを無効にする!」 そんなことは分かっている。無駄ではなく、山本の手札を削ることに意味がある。 「バシャーモFB LV.Xで攻撃。誘って焦がす。俺はユクシーを選択」 このワザは相手のベンチポケモン一匹を選び、バトル場のポケモンと強制的に入れ替えさせて新しくバトル場に出たポケモンをやけどにさせる効果だ。これでバトル場にユクシー70/70を引きずり出しやけどにさせた。 「ターンエンドと同時にポケモンチェックだ。このとき、ヒードランLV.Xのポケボディー、ヒートメタルが効果を発揮する。これは相手がポケモンチェックのときにやけどによるコイントスをするとき、そのコイントスを全てウラとして扱う。よってユクシーはやけどのダメージを確実に受けてもらう!」 やけどの20ダメージを受け、ユクシーのHPは50/70に。 「そんな小細工が今さら通用すると思ったかアァァ! おれのターン! ハードマウンテンをトラッシュさせ、月光のスタジアムを発動ォ!」 再び舞台が月夜の草原へと姿が変わる。 「バトル場のユクシーを逃がし、ミュウツーLV.Xをバトル場に出す。さらにミュウツーLV.Xにポケモンの道具、達人の帯をつける!」 「何だと!?」 ユクシーがベンチに戻ったことでやけどは回復。さらに、達人の帯がミュウツーLV.XについたことでミュウツーLV.XのHPと与えるワザの威力が20ずつ上昇する。これでミュウツーLV.XのHPは140/140。 だが、達人の帯をつけたポケモンが気絶したとき、相手はサイドを一枚多く引くことが出来る。山本も、ミュウツーLV.Xで勝負をつけに来たということか。 「グッズカード、夜のメンテナンスを発動! トラッシュの基本エネルギー、ポケモンを合計三枚までデッキに戻しシャッフルすることができる。トラッシュの超エネルギー二枚、ミュウツーをデッキに戻すッ!」 山本のデッキは十枚を切っていたが、これで丁度十枚に戻る。おそらく松野さんと戦った時のようにデッキを削られるのを防ぐための策だろうか。 「攻撃だ! 吹き飛べ、サイコバーン!」 ミュウツーLV.Xが左足を前に踏み出し、体は右向きに半身の格好になる。そして間にボールでもあるかのように右手を上に、左手を下に添えるとその中間から薄紫の球体が現れた。それをミュウツーLV.Xが投げ飛ばすと、球体は螺旋を描きながらバシャーモFB LV.X70/130を襲う。 「ぐおあああっ!」 強烈な風と爆発のエフェクトが俺の場全体を包み込む。サイコバーンの元の威力は60。それに達人の帯の効果も相まって、60+20=80ダメージ。バシャーモFB LV.Xはこれで気絶になってしまう。 「だったらヒードランLV.Xをバトル場に」 「バシャーモFB LV.Xについていた達人の帯の効果でェ! おれはサイドを二枚引く! あと一ターンだ! 次のターンで貴様に破滅が訪れる! そして新たな世界の幕が開くゥ!」 山本のサイドはもうあと一枚だけ。次のターン、山本がギガバーンで攻撃してくれば、ヒードランLV.Xは気絶してしまう。 ギガバーンの威力はサイコバーンの威力の二倍、120。それに達人の帯の効果で20加算され140ダメージ。しかし、この一撃に耐えれるポケモンはそうそういないし、俺のデッキにはどこにもいない。 さらにミュウツーLV.XはヒードランLV.Xの攻撃、効果を受け付けない。ナックラーでは言わなくとも完全に力不足。 「まだだ。まだ俺は戦える! ドロー!」 ドローカードはミズキの検索。よし、まだチャンスはある! 「ミズキの検索を発動。デッキに手札のカードを一枚戻すことで、デッキから好きなポケモンのカードをサーチする。俺はフライゴンを選択!」 「いまさらフライゴンを選択したところで、進化出来るのは一ターンに一度きり! ビブラーバまでが精いっぱいだッ!」 「そうかな? グッズカード、不思議なアメを発動する。自分の進化していないポケモンを進化させる。ナックラーを、フライゴンに進化だ!」 ナックラーを中心に砂嵐が吹き荒れ、その姿が見えなくなる。数秒たって砂嵐が晴れ、そこからフライゴン120/120が姿を見せる。 「だァが! その程度ではおれのミュウツーLV.Xはびくともしない!」 「まずはフライゴンに炎エネルギーをつけ、ネンドールのポケパワーを発動」 「手札のミズキの検索、達人の帯を捨てパワーキャンセラー! そのポケパワーを無効にする!」 手札の補給が出来ないため俺の手札はたった一枚。しかも炎エネルギーだ。だけど、立ち止まって諦めるつもりはない。 「フライゴンのポケボディー、レインボーフロートは、このポケモンについている基本エネルギーと同じタイプのポケモンの逃げるエネルギーが0になる。ヒードランLV.Xを逃げるエネルギーなしで逃がし、フライゴンをバトル場に出す」 フライゴンの足元からヒードランLV.Xに向かって虹が伸びる。ヒードランLV.Xはこの虹をつたいベンチに逃げ、フライゴンがバトル場に現れる。 「ミュウツーLV.Xのサイコバリアは進化しているポケモンのワザ、効果は受けるんだよな」 「だがこのミュウツーLV.XのHPは140! 一撃で倒せるはずがない! 無駄な抵抗はやめるんだなァ! キーヒャハハハ!」 「そいつはどうかな。フライゴンで攻撃。砂の壁!」 フライゴンが翼をはためかせると、足元から砂嵐が巻き起こる。その砂嵐は範囲を広げ、文字通りミュウツーLV.Xとフライゴンを分け隔てる壁となり、その砂嵐はミュウツーLV.XのHPも40削る。さらに、辺りの風景も月夜の草原から元の会場へと戻っている。ミュウツーLV.X100/140にダメージを与えた後もこの砂嵐は一向に止む気配がない。 「何だ、何が起こっているッ!」 「このワザは相手のスタジアムをトラッシュし、次の相手の番にフライゴンは相手のワザのダメージ、効果を受け付けなくする!」 これで次の山本のターンにフライゴンが倒される恐れはなくなった。なんとかして打開策を拓かないと。 「くっ、小賢しい! 手間取らせよって! おれのターン! ミュウツーLV.Xに超エネルギーをつけてワザを使う。自己再生! ミュウツーLV.Xについている超エネルギーを一枚トラッシュして、このポケモンのHPを60回復する」 ミュウツーLV.Xが淡い光に包まれ、HPバーを元に戻していく。さっき40ダメージ与えたのに対し60回復。ミュウツーLV.XのHPは元の140/140に戻る。 「フハハハハハッ! 今度こそ、今度こそ! 次のターンにおれはギガバーンで貴様のフライゴンを倒して勝利するッ!」 山本のターンが終わると同時に砂嵐が晴れる。砂の壁の効果は無くなった。もう俺を守るものが無くなってしまった。 今度こそ絶体絶命だ。このターンでミュウツーLV.Xを倒さなければ俺は勝てない。そのための逆転の一枚を……。 「俺のターン」 ドローのためにデッキの一番上のカードに触れる。何故だか触れた指先が熱を帯び始めた。指をつたって徐々に体全体に熱が広まり、心臓の鼓動が早くなる。 「感じる……。このドローに、俺は全てを懸ける! 行くぞォ! ドロー!」 俺がドローしたカードは……。フライゴンLV.X! 「こいつが、俺の絆の証しだ! 現れろ、フライゴンLV.X(140/140)!」 「たかがHP140! このおれとミュウツーLV.Xの敵ではない!」 「そいつはどうかな」 「何っ?」 山本の眉がぴくりと動く。 「この悪夢を終わらせる力だ! フライゴンLV.Xで攻撃。エクストリームアタック!」 フライゴンLV.Xが空高く舞い上がる。 「このワザは、相手のLV.Xポケモン一匹に150ダメージを与えるワザだ!」 「ひゃ、150だと!?」 「行けぇ! フライゴンLV.X!」 上空から加速をつけて一気に駆け下りてくるフライゴンLV.Xの体は、白の光に包まれる。 「こんなところでおれはっ、おれはああああああああ!」 光の束と化したフライゴンLV.Xが、正面からミュウツーLV.Xの体を貫く。それと同時に爆発が巻き起こり、山本側の場が一切見えなくなった。 「達人の帯をつけたポケモンが気絶したため、俺はサイドを二枚取る! これで俺の勝ちだ!」 これで俺は全てのサイドを引ききった。カードから目を離して前を向くと、勝負が終わったために消えかけているフライゴンLV.Xと目が合う。 「ありがとうな」 勝った。……良かった。一人だったら絶対に勝てなかったが、こいつのお陰で俺は勝つことが出来た。本当に、ありがとう。
翔「今回のキーカードはフライゴンLV.X!」 風見「エクストリームアタックは、ベンチのLV.Xポケモンも攻撃出来る。ポケボディーもデッキ破壊の強力効果だ」 翔「これが俺達の絆の証しだ!」
フライゴンLV.X HP140 無 (DPt2) ポケボディー しんりょくのあらし このポケモンがバトル場にいるかぎり、ポケモンチェックのたび、相手の山札のカードを上から1枚トラッシュ。 無無無 エクストリームアタック 相手の「ポケモンLV.X」1匹に、150ダメージ。 ─このカードは、バトル場のフライゴンに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─ 弱点 無×2 抵抗力 雷−20 にげる 0
─── 山本信幸の使用デッキ 「夜明け」 http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-858.html ─── これが年末最後の更新です。
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