Re: 光と闇の時空神  72話うp ( No.82 )
日時: 2010/10/10 20:30
名前: 天月 ID:

73話 宝来旧家


「………ここが、旧家…?」
「……多分……?」

ユウトとクウトはやっと宝来旧家で思われる建物を、外れの森の中で見つけた
その外見や景色はまさに……

「「森の洋館……」」

そう、その様子はまさにハクタイの森に建つ幽霊屋敷、「森の洋館」そのものであった
ツルの張ったレンガ造りの壁、好き勝手と茂った雑草たち
森の木で薄暗く、仄かに恐怖心を覚える2人だった
邸(やしき)を見上げながら、ユウトは呟くように言った

「でも、本当にココなのか? ………シアン」
「はい。恐らく。……にしてもよくわかりましたね」

いつの間にか、シアンはクウトの横に居た。こんなにも早く影を追えるのか。という突っ込みは、やっぱり神の力だからである
驚くなどとっくに慣れたのか、クウトは邸の入り口の前に落ちている板を拾い、合点した

「ここ、旧家で良いって。ほれ、これが証拠」

ぽい、と投げられた板をユウトは上手にキャッチし、シアンと共に見ると…
“宝来家”と薄く筆で書かれていた。きっと何年もする間に墨が消えかかったのだろう…
ユウトは板…いや、標識を足元に置き、再び邸を見る

「……この中に、ユウナのお爺さんが居るかもしれない…んだよね」
「だとしたら、ユウナとシルバーはココにもう来てるのか? それとも来てないのか?」

その問いに、シアンは首を横にふり、言った

「実は、2人の影の気配がなくなったんです。突然」
「………なら、ここに居るかもしれないね」
「だな。……行くぞ」

クウトの声を最後に、3人は邸の中へ入って行った――――

                  *


「あ、あった………?」

ユウトたちが邸に入って行った数分後、レッドも旧家前にたどり着く
よほど急いだのか慌てたのか、肩で息をしながら邸を見ていた

「………」

レッドは、手に持っていたネックレスと邸を交互に見比べた
宝石は、もう既に何年も使ったモノのように、ヒビが所々に入っていた
見ようによっては、今にも壊れそうな宝石<イノチ>だった

「………約束したんだよ。絶対、死なせないって。……なのに、取り返しのつかないことになったらどうするんだよ……!」

宝石を見る彼の顔は、苦しそうに、泣きそうに、歪んでいた
レッドは壊れないように包み込みながら、大事に上着のポケットの中に入れた
そして、強さと、勇気と、優しさと、怒りを含んだ赤の瞳を鋭くさせ、邸の中に入っていった


―大切な人を、救うために



続く