94話 光闇の神子 ( No.187 )
日時: 2011/04/09 17:49
名前: 天月 ID:y14tqs8s
参照: ただのバカップルである。

94話 光闇の神子

「ふー…疲れたー…」

儀式が終った後、ユウナは巫女服からいつもの服に戻っていた。ちょっと残念…いや、なんでもないです
ユウナはリビングのテーブルに顎をつけて、先ほどからつかれたーと連呼していた
あれだけのことだったが、緊張とかそういうもので疲れてしまったんだろう。お疲れ様……と声をかけたかったが

「ユウナ〜♪ お疲れ様っ!」
「ありがとうございます、ブルーさん」

ブルーに先を越されてしまった


「………。」
「おい、眉間に皺がよってるぞ」
「……ちょっと悔しいです」
「諦めるんだな」

はぁ、とそれぞれ別の意味で俺とグリーンは同時に溜息をついた


「ユウナさんは、もう、宝来家の頭首…なんですよね?」
「そうだよ、イエロー。色々事務的な仕事があるらしくって、忙しくなるんだって」
「へぇ〜。こんなに若くて可愛いのにもう仕事詰になっちゃうのね」
「ってことは、カントーにもこれなくなるってことですか?」
「かもねー……。すごく行きたいんだけど……」
「主に、レッドに会いたいからでしょ?」
「!? ち、違いますよ!!」

The・ガールズトーク。…のようでそうでもない会話が聞こえる
俺、自惚れて良いですか

「クリス、おめーは輪にはいんねーの?」
「え、」
「まぁ、お前がユウナの性格を誤解してたってのは知ってるけどよ、これで大体判ったんじゃねーの? “ユウナはただの優しい強がり”だって」
「………。私だって、判ってたわ。でも、仲間にも嘘を…強がるなんて、おかしいと思っただけよ……」
「………ユウナは、俺たちが大切で大事だって言ってた。でも、だからこそ本当の事をいえなかったんだとも、言ってた」
「俺は、ユウナは、俺たちのことが誰よりも大切で大事だから、強がってたんじゃねーのかな」
「…………そういうものかしら」
「そーそ。お前は真面目だから、隠し事が好きじゃなかったんだろ? でも、俺たちのために、ユウナは本当の事を隠したんだよ、きっと」
「……………、真面目すぎるのも……ダメね」
「そーだな」
「お前みたいに不良すぎるのもダメだがな」
「う、うるせー!」



                   *


日の入りが始まった頃、俺たちは帰る事になった。理由は最近はすぐ暗くなってしまうから、早めに帰ったほうが安全だというユウリさんの優しさからだった

「じゃ、おじゃましました」
『おじゃましましたー』
「またね、皆」
「いつでもおいで。歓迎するよ」

手を振りながら、笑いながら、俺たちは宝来家を後にした。………俺を除いて

「…………あの、」
「またすぐ、会いに行くからな」
「ああ。是非来てくれ。……実はね、仕事のほうは、暫くは僕はやることになっているんだ。ユウナはまだ若いし、いっぱいやりたいことがあるだろうからね」
「えっ……!?」
「で、僕はもうチャンピオンの座に満足したから、次のチャンピオンはユウナってことになってるから」
「はぁ!? 何言って……!!」
「まぁ、それはまだ先の話だけど」

あははーと、呑気に話を進めるユウリさんを見て、俺もユウナも脱力してしまう
その後、ユウナが何かに気付いたのか、はっ、とさせて、ユウリさんに問うた

「ってことは、しばらくは今までどおりでいい、ってこと?」
「そういうこと。ユウナには、まだまだ色んな世界を見て欲しいからね。それに、レッド君とももっと仲良くなって欲しいし」
「「なっ!?」」

さりげなくそんなことを言うもんだから、俺とユウナは同時に叫んでしまった
それって、あれか、もっとカップルらしいことをしろと……? そういう解釈で良いのか……
ユウナをちら、とみると、そりゃもう耳まで真っ赤にして、声が出せないのか口をぱくぱくさせていた
そんな様子をみても、ユウリさんはからかうわけでもなく、ただ笑っていた
……この人は本当に末恐ろしい人だ

「…………あ、じゃぁ、俺も、そろそろお暇します……」
「あ、うん。ま、またね!!」
「じゃぁねー」

恥ずかしい空気に耐え切れず、俺は半ば逃げるようにして帰っていった


その後の話は、俺には知らないことだった





「……お父さん」
「んー?」
「私さ、………ある場所に行きたいの」
「ああ―――…“イッシュ地方”だね?」
「うん。でも、今すぐじゃなくって……私がもうちょっと、成長してからだけど」
「その間、何をするんだい?」
「…………もっと、レッドと、一緒に居たい」
「そうか。………レッド君から、ユウナを任せられるよ。なんたって………―――――――」
「? 何か言った?」
「いいや、なんでも。さ、家に入ろうか」
「? うん」






       “なんたって、奈々が救った、男の子だからね”


続く