90話 太陽と夜 ( No.177 ) |
- 日時: 2011/03/22 18:50
- 名前: 天月 ID:ZNPvSv2Y
- 90話 太陽と夜
「サン!」 「ナイト!」
2人が最後に出したのは、お互いが一番心が通い合っている、所謂相棒だ タイプならばナイトが有利だろう。だが、ここまでくるとタイプだけでは決まらない それが、上級のトレーナーというものだ
「サンは素早さが結構高い。ナイトは…ルナ程じゃないけど、打たれ強いからねぇ どうなるんだろ。楽しみ」
にこにこ、とユウナは2匹の特徴を述べながら勝敗の行方を誰よりも楽しみにしていた …そんな彼女の表情に、可愛いと思っている男は約2名
「俺は負けないよ」 「そりゃこっちのセリフ。お前自慢のサンがいくら強くても、タイプに勝るものはないと思っときな」
先ほどと打って変わって自信満々のお兄さん。タイプ相性というのが彼の自信の根拠だろう けれど、先ほども述べたとおり タイプだけで勝負が決まるわけではないのが上級のトレーナーというものである それに危機感を覚えているのか、覚えていないのかは、まだ判らない そして、もう一つ。彼の弟はとことんサディストなのを忘れてはならない
「ナイト“怪しい光”」 「サン“スピードスター”」
ナイトは、額から、彩度が低い虹色の光を出現させ、サンの元へと光は進んでいく 一方サンは先が二又になった尻尾を二度ほど軽く振り、星の形をしたモノをナイトへと放っていく
光は逃げようと駆け出したサンに纏わり付くようにふよふよととび、ついにサンへと追いついた 追いついた光はサンの頭の周りをくるくると回り、サンを惑わす 結果、サンは混乱してしまった
ナイトもナイトで、追ってくる星を精一杯避けている最中であった ナイト…もといブラッキーたちは防御が高いことに反して素早さが低いポケモンなのだ。もちろん例外はいくらでもいるが そんな中、ナイトは普通のブラッキーと近い能力を持っている つまり、星に追いつかれるのも時間の問題というわけだった そこで、クウトは一つ閃いた
「ナイト! 星に向かって“シャドーボール”!」
その指示を聞き、ナイトはぐるりと後ろを向き、口から大きな大きな黒い玉をうみだし、星に向かって、2、3発放った 星はシャドーボールに辺り、細かく砕け、キラキラと反射しながら空気の中へと消えていく。それはまるでコンテストの演技の様にも見えた 自分のひらめきが成功したことに安堵しつつ、弟に見せ付けるかのような挑発的な視線を送った 冷静で沈着。というイメージで(作者が)通っている彼だが、挑発にはとことん乗りやすい。つまりプライドが高くて負けず嫌いなのだ こういう所は、まだ彼が15歳の少年だという事を表している クウトは弟のこういうあまり表向きにされていない性格もよく知っている。だからこそ挑発させて、ペースを乱す。……という考えではない 挑発されても理性を保てるのが、自分の片割れの長所であり厄介な部分でもあるのだ 自分が持っていないモノを、彼は持っている
「ナイト、今サンは混乱してる。ユウトの指示だって上手く通らないはずだ。……いくぞ?」 『ああ』
ナイトは静かに頷き、主人の指示のために構える
「よし、ナイト、“噛み砕く”!」
ダッ、とナイトは後ろ足を大きく蹴り上げ、自分の持てる最高の速さでサンへと噛み付こうとした
だがしかし
「サン、“破壊光線”」
ナイトがサンと目が合った瞬間、サンの額の珠から、もう光りすぎて周りが白く見えるほどの強い光と共に、とてつもなく大きな衝撃がやってきて、ナイトはいとも簡単にふとばされた
「……だめだなぁ、兄さん。“混乱”っつっても、必ず当たらない、ってことにはならないでしょ?」 「……お前、賭けてたの?」 「いーや。俺はサンがきっとやってくれるって、信じてたし」
ぞくり、と、クウトの背筋に冷やりとしたものが駆け抜けていった 恐怖とも、畏れともつかない其れは、クウトの思考を停止させるには十分だった
『……諦める気か?』
その落ち着いた声に、はっ、とクウトは我に帰る その声の主はナイトで、先ほどふっとばされたのにも関わらず、涼しい顔で立っていた…というわけではなく、肩で息をして、さっきの攻撃がどれほど協力だったのかを物語っていた
『…お前は、ココで諦めるような、そういうバカじゃないだろう』 「………ポケモンにもバカって言われる俺って……」 『質問に答えろ。諦めるのか?』
随分と主人に生意気な物言いだが、ナイトなりの信頼表現なのだから仕方が無い 血のような赤い瞳で見つめられても、まったく恐怖など感じない。むしろ優しい目、という印象しか受けず、そんな目をみて、クウトは笑って答える
「誰が諦めるって? 俺は諦めの悪い鬼なんだけど」 『……そうか。なら、いくぞ』 「おう。ナイト、…無理すんなよ」 『無理じゃないからこうやって立っているんだろう』 「へーへー」
まったく素直じゃないんだから。と思いつつ、目の前の“敵”に視線を向ける
さぁ、反撃はココからだ
続く
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