Re: 光と闇の時空神  コメントは控えてください>< ( No.17 )
日時: 2010/09/07 14:01
名前: 天月 ID:

44話 変装

次の日、まだ全快とは言えないけど(シルバーが)
私にもやることがあるのでポケセンから釈放されたよ!

「…でも、大丈夫? 頭まだ治ってないんでしょ?」
「平気だ。まぁまたあんな事になったら傷口が開くかもしれないけどな」
「それ、本当に平気じゃないよね」


無視。あーはいはい、判りましたー
シルバーさんは心配されるのが嫌いなんですよねー
まぁいいや。私の今回の目的は……ココなんだし

「……デパート?」
「Yes.その中にある服屋に行くのよ!」
「服屋……。なんで?」
「まぁまぁ、人を欺くなら人に紛れる。でしょ?」

って、シルバー判ってないし
まぁいいや、さっさと用済ませて、この街を出ましょうか

           *


さて、ユウナはデパートの中に入ると真っ先に服屋に行き、シルバーはその辺で待っていることにしたらしい
途中、彼は何度か立ちくらみをしたがあまり気にしていないらしい


―小1時間。と言ったところだろう
シルバーもそろそろ待つのが飽きてきたのか、欠伸を連発していた
その時、ソプラノの少し低いような声が遠くから聞こえ、シルバーは寝ぼけ眼を擦る
そこには、いつもの白いワンピースはなく
代りに紺色のサロペットがあった


「ゆ、うな……?」
「そーよ。ごめんね待たせちゃって」
「いや、別にいい…。っつか、その服……」


その服。というのは、いつものカーディガンに白いわピース、ブーツではなく
白いV開きのTシャツに紺地のショートパンツのサロペット
そして、思いっきり脹脛露出してのスニーカーであった


「ん? ただの“変装”だよ“変装”」
「変装? なんっ………」
「少しでも、奴らに見つからないためにも、ね」

ユウナはそう言いながらバッグの中にあった黒いゴムを取り出し、髪を後ろで結った
そして、同じくバッグにしまわれていた帽子も被り、最後にブレスレットをTシャツの下に隠す
これで、変装は完成した

「これまでに二度見られた服装じゃ、またすぐ見つかってしまう可能性が高くなってしまう
でも、私は違う人にはなれない
だから、コレが最善の方法……なんだよ」


ユウナは、唇をかみ締めるように言う
いくらレッドが助けに来てくれたとはいえ、それは不幸中の幸運でしかない
だから、自分も自分なりに自分やソノ周りの人を守れるように、昨日の夜に決心したことだった
だから、着替えた


「……そうか」
「うん、あと……シルバーには“お守り”」
「お守り……?」


はい。とユウナはシルバーの首に何かを巻きつける
ユウナ自身は特に何も思っていないが
旗から見ればある意味、カレシとカノジョの光景だろう

「おお、案外似合う!」
「案外って…。つか、これ……」

シルバーの首に下げられていたのは、月を模した紺色に星がちりばめられたような金箔がある宝石のネックレスだった
それは、ユウナのかけている(ただ今隠していますが)月を模したダイヤモンドのネックレスと同じだった


「知ってる? 誕生石を身につけてると、威力倍増するんだよ! ……せめてもの、救いとしてね
知ってるよー。シルバーがそういうのに頼れないのも
でも、私はシルバー達に犠牲になってほしくないから」
「………いや、ありがとう。ユウナ」


そう言われ、一瞬顔を赤くしたが、すぐ微笑んで
ユウナはシルバーの手をとった


「んじゃ、ちゃちゃっとまた旅を始めましょうか!」
「……あぁ」



続く



45話 バケモノ、化ケ物、化物


それは、ユウトの心の闇の元凶だった
その単語は『俺』にとってもユウトにとっても禁句なのだから



―ある日、人とすれ違いました
その人はあと3日で死ぬ身でした
でも普通の人にはわかりません

普通だったら、わかるはずありません
でも、特別な人だったら…?

―ある日、とある少年と人がぶつかりました
少年は、視てしまいました
何を? 財布を盗むところを?
いいえ、その人が死ぬ未来を、視てしまったのです
少年は、この能力が嫌で嫌でたまりませんでした


それが、彼の闇の元凶だったのです



            *


俺は、俺たちは、どうも他の人と違うらしい
家が?そりゃ、俺たちは「お坊ちゃま」の部類だ
違う、そういう地位的なのじゃない
もっと、中身が違う……


ヒソヒソ、ヒソヒソと、町を歩けば聞こえる声
あえて聞こえるように言ってるのかそんなのはどうでもよかった


でも、これだけは聞き逃せなかった

「―――――“化物”、よねぇ」
「そうよね。そんなのが町にいるなんて、恐ろしいわ……」


化物。うん、化物
………なんで? 同じ人間なのに。ちょっと中身が違うだけなのに
どうして……


大人たちはまだいい方。子供は、容赦ない



「……、兄ちゃん。あれ」
「んー…なんだよ。ただ子供が「そっちじゃない。上」
上……? って……!?」


子供―俺たちと同じくらいの―の上に、植木鉢があって
その植木鉢が、落ちそうになってる
多分、強い風が来れば落ちるだろう


―ヒュゥ

って言ってる傍から、風が吹いた
そして、植木鉢は落ちる、真下には子供が
ユウトは、真っ先に走り出して、子供を助けた
ガシャン、とガラスが割れる音がする


「………大丈夫?」
「…………、」
「ユウト、大丈夫か!?」
「兄ちゃん、うん。俺は大丈夫」


良かった。怪我したら俺が困るからな
その子供は、ずっとユウトをにらみつけていた

「…何、俺に触ってんだよ化物!!!!!!」

エコーのように、「化物」という単語が頭の中で響く
その子供や、周りの子供も怯えてる
なんで、なんで………?


「お前、助けてもらったのに礼も無しなのかよ
ユウトが助けなかったら、お前病院送りだったんだぞ!?」
「うるせぇ! 誰も化物に助けてもらおうなんて思ってないんだよ!
ただ、迷惑だし、目障りなんだよ!」
「っ、お前なぁッ……!」

本気で飛び掛ろうとしたとき、服の裾を掴まれた
ユウトだ。ユウトはただただ首を横に振っていた
「やらないで」そう言ってる


「……いいのかよ、お前は」
「良いんだよ、兄ちゃん。仕方ないよ、仕方、ないんだよ………」

仕方ない。言ってる割には泣きそうじゃないか
おかしいよ。この世界は


「さっさとどっか行けよ! 化物兄弟!」
「「そうだ、そうだ!!!」」
「…………行こう、兄ちゃん」


その次の日からだ。ユウトが家から、部屋から出なくなったのは





「父さんが子供の頃は、そんなことなかったのにな……
やっぱり、近代化の影響で信仰が薄れてるんだろうな……
それなのに“神サマ助けてください”なんて、矛盾にもほどがあるんだけど」
「………俺たちは、化物なの? 父さん」

そう訊くと、父さんは笑って



    「そんなわけがない」


そう言ってくれた


「俺やお前達は、神サマ直々に命をもらったすごく有難い人間なんだ
化物なんかじゃない。そんなのただの戯言だ
いいか? クウト。お前はお前らしく生きればいい
誰かの考えに流されたら、ダメなんだ。相手の考えに憑かれたらダメなんだ
……神崎空斗という人間はこの世でたった一人しか居ない
もちろん、神崎悠斗もたった一人しか居ない
一人いなくなっても代わりがいる世界なんてない
俺はお前ら2人が死んだら、哀しいからな
誰かが居なくていい世界なんて要らないんだ
俺や由香里、お前達や皆が居て当たり前の世界が一番の世界なんだ
…判るか?」

「つまり……邪魔な人間なんて、一人も居ないってこと……?」
「そう、ユウトにも教えてやれ。そしてユウトを外へ連れ出せ
そして、化物扱いした奴にヤキを入れてやれ」
「………最後は出来ないかもしれないけど、最初の二つは絶対出来るよ!」
「おう」

           *


「ユウト!!!」
「…………なんだよ。何の様だよ」
「外、出ようぜ。暗いとこにいたら、目が悪くなるぞ」
「いい」
「…………俺は、嫌だ。ユウトが死んじゃうは絶対に嫌だ
父さんが言ってた。誰かが居なくていい世界なんて無いんだって
だからお前もこの世界に必要な存在なんだよ!
だから俺がお前を死なせない。絶対に
だから………出ようぜ、外」
「………本当?」

ユウトは、痩せた顔で見てきた
その顔は嬉しさとかいろんなものが混じってぐちゃぐちゃだったけど
綺麗に見えた


「あぁ。当たり前だ。もしお前をバカにする奴が居たら、俺がぶっ飛ばすからな!」
「………暴力はダメだよ
…………ありがとう。兄貴」



            *



そーいえば……あれから7年かぁ……
早いようで、短いな………


「………んじゃ、いくか」
「うん」



早く、ユウトの本当の存在意義を、教えてやりたいな………





続く

46話 偽りの愛 T


偽りの愛なんてイラナイ 偽りの安らぎなんてイラナイ
ただ、教えてほしかっただけなの


「……そういえば、まだ教えてなかったね」
「何を?」
「――――――私の、事情
今から話すけど、間違っても自分を責めないでね」
「あ、あぁ………」



            *


私は、春の初めから、よく判らないけど家に閉じ込められていた
その理由は、後に判るんだけど
それは“私の従弟が誘拐されたから”っていう理由
私はその子に一回しか会った事ないから覚えてないけど
なんとなく、そのことを知ったときは怒りを覚えた
その子は私も全然知らないお母さんのお姉さんの子で
宝来の血は流れていないからこんな事になった。と家に余るほどいるメイド達が話してた
女の大人は、ヒソヒソ話が好きだな、と思ったけれど


外の世界にも憧れたけれど、それよりも私は欲しいものがあった


「ねぇ、おとうさんは?」
「……お父様は、今日もお仕事ですわ
だから、ユウナ様も勉強しないと」
「ほんとうに? ほんとうにおとうさんは、おしごとなの?
………わたし、おとうさんに、会いたい」

お父さんは?と聞くと、いつも「お仕事」と言う
月曜も火曜も水曜も木曜も金曜も土曜も、日曜も
流石に、怪しくなったから我侭を言ってみた

そしたら、

「いけません!!!」


急に大声を出したから、びっくりした
なんで?お父さんに会っちゃだめなの?
………ドウシテ?


「ねぇ、何で? どうして私はお父さんに会っちゃだめなの?
会わせない様にしてるの?
会ったらヤバイ事にでもなるの?
私は……宝来優李の娘だッ!!!!!!!
本当は今日も仕事なんて無いんだろう!?
じゃぁ、会わせろ!! 私の…宝来家次期頭首の命令だ!!!」

多分、この時に“闇の私”が目覚めたんだろう
幼い怒りと疑惑が生み出した、もう一人の自分
相手は、メイドは、さっきとは逆になって肩を強張らせていた
その時、威厳のある、低い女の人の声がした


「優奈様、優李様は…本当にお仕事ですよ
自分の意思だけで物事を決めてないでくださいね
………それでなくても、あの人は忙しいんです
貴方の相手をしている暇なんかないんですよ
優李様の代わりなら、執事にお願いすればいいじゃないですか?」

メイド長。聞くとお父さんのお父さんの頃からここで勤めているらしい
……正直、私はあまり好かないし、向こうも好いてないみたい
お父さんの代わり…?
お父さんは一人しかいない。代わりなんてない


でも、目の前の人物が恐ろしくて、何もいえなかった


―今の時点では。



それから、4年後
小さい頃は外の世界にそこまで行きたいとは思わなかった
けど、6歳にもなれば自然と興味はわくものだった
けれど、家は反比例をするように厳しくなっていった
お父さんに会えるのはお互いの誕生日の日だけ
それ以外は会えなかった
私は勉強をさせられ、遊ぶこともなくなった
けど、窓からたまに見える子供達と遊びたいと思った
そして自由な子供達を、羨ましく思ったし妬ましく思った
それを見た執事やらメイドは、私の機嫌を直そうとした
直せるわけ無いのに。無駄なのに
それでも、営業スマイルで機嫌を直そうとしてる
誰一人、本当の笑みではなかった

そして、私は言い放つ



「そんな嘘っぽい笑顔なんて作らなくて良いし
そんな笑顔作るなら、初めからお嬢様のご機嫌直しなんてしなくていいから
……イラナイ。偽りの優しさなんて」

図星だったんだろう、何も言わずに去って行った
中には、私を睨みながら去っていく“新人”もいた
……辛くない
辛くなんかない。嘘の笑顔で嘘の態度取ってるほうが嫌だ
辛くなんかない。辛く、なんか……
ツラクナンカ、ナインダカラ



―1年後
さすがに、痺れが切れてきた
何度も脱走しようと試みたけど、それだけは遮られた
でも、今日は違う
今日は絶好の脱走日和
なぜかって? ………奴らが、クリスマスとか言うイベントの準備で忙しいから
あの時から私に張り付く奴は居なくなった
だから、今日こそ脱走できる





―そして、私は、大事な家族に出会った



続く

47話 偽りの愛 U

「さっむ……」

今は、“冬”という季節らしく、寒い
レイシン地方は豪雪地帯らしくて、1月にもなれば雪の壁が出来るらしい
…まぁ、私はまったく知らないんだけどね

カーディガンだけでは寒い
それでも、行かなくてはならなかった
なんだか、何かが起こりそうな気がしたから



「はぁっ……はぁっ…………!!」


流石に、この7年間をほぼ家で過ごしてきたバウンドは大きい
走ったらすぐに息が上がった。瞬発力はあってもスタミナはないらしい
それは、ヒョウと同じだ

それに寒くて眠くなってきた
でも周りには薄い雪を被った草原だけだった
………限界が近づいてきた頃、ひとつの家を見つけた
純白の壁の家。私の家は茶褐色のレンガだから、珍しかった
……家の明るさに誘われて、チャイムを押す


出てきたのは、藍色の髪に紫の瞳の女の人
何故だが、白衣を着ている
その人は一瞬驚いていたが、事態を理解したのか優しく笑った
始めてみた気がする、嘘じゃない笑顔

「……、寒かったでしょう? 入りなさい」

その声に促されるまま、家に入っていった



           *


「貴方、優奈さんでしょう?」
「え、なんで……」
「その瞳をみたら、ピーンと来たのよ」

温かい紅茶をすすりながら、瞳?と考えていた
私の瞳は変わってて、蒼と銀が両方混じった瞳
でも、蒼のほうが強いから蒼かがった銀。というのが正しいのかもしれない

でも、お父さんの瞳は蒼色だった


「本当、似てるわね。優李にも奈々にも」
「あ、の……お父さんのこと知ってるんですか?」
「知ってるも何も、幼馴染だったのよ私達」
「え!? じゃ、じゃぁ…奈々さん…も?」

そう訊くと、その人は少し哀しそうな顔をして
知らないのね。と呟いた

「奈々は、貴方のお母さんよ。………3日限りの」
「お母さん……、だったんですか……
そういえば、貴方は?」
「そういえば、自己紹介まだだったわね
私はアオイ、柊葵よ
レイシン地方のポケモン博士と呼ばれているわ」
「アオイ…さん。……私は優奈です。宝来優奈です」
「えぇ、改めてよろしくね優奈さん」

差し伸べてきた手を、そっと握って、握手をした



「……そうだ。お近づきの印に、良い物あげるわ
あげる…というより、授けるわ」

そう言って、アオイさんは部屋の奥へと行った
一体……なんだろう………
暫くして、アオイさんは一つのモンスターボールを持ってやってきた


「優奈さん、この子を授けるわ」

そう言い、ボールの開閉ボタンを押し、ポケモンを出す
中からは、茶色い毛並みに首周りがクリーム色で尻尾がふわふわしてて、黒い瞳が可愛い
……イーブイ、だ

「イーブイ……、この子を、私に?」
「えぇ。ただ一つ質問に答えてくれるかしら
貴方にとって、今の時点でポケモンとはどんな存在?」

その質問は、なかなか答えられなかった
だって、生でポケモンを見たのは初めてのことだったから
でも、この子は何だが前にも会ったことがある気がしてならない
初対面なのに、どこが繋がりがあるそれは……


「“家族”………。私の答えは“家族”です」
「家族……良い答えね、ならその子は今日から貴方の家族よ
家族なら、名前を付けないとね」

んー……イーブイって7つの進化があるんだから……
炎、水、雷、陽、月、草、氷……
月、ムーン、ユエ、……ルナ

「ルナ、この子は、ルナ!よろしくね!ルナ!」
『うん!よろしくねー!!ユウナ!』

……ふぇ? 幻聴……
じゃない、この子がしゃべったんだ……


「宝来家…いいえ、神四家<シンシケ>の能力“会話”よ」
「会話………」

そういえば、言ってたような言ってなかったような………


その時、外から羽音が聞こえた


「あら、お迎えが来た見たいね
……今日はこれでお別れ。また今度ね」
「……はい。ありがとうございました」


礼をして、外へ出る。外にはカイリューと
……お父さん


「お、お父さん!?」
「や。ここに居ると思ったよ。……おや、パートナーを見つけたんだね
良かった。運良くアオイのトコに行ってて
さ、帰ろうか」
「……怒ってないの?」


私は脱走した、なのにお父さんは怒ってない


「怒らないよ。僕も同じ事を昔したんだから
それに、あんな窮屈な家にずっと居るとおかしくなっちゃうからね
…僕はユウナを自由に育てたかったのに、執事達が…ね
まぁ、もう寒いから家に帰ろう。ね?」

こくん、と頷き、お父さんの手を借りてカイリューの背に乗る




この時点で、ゆっくりゆっくりと歯車が廻り始めた


続く

48話 偽りの愛 V


「……んで、私は10歳になったとき、マサラに行ったの
シルバーを探すために、ね」
「そう、だったのか………すまん、な。
………俺のせいで「シルバーのせいじゃないよ」


きっぱり、という描写が相応しいほど言い切ったユウナ
それでも、シルバーは自分のせいだと思ったため、顔を俯かせる
その様子を見てユウナは笑って

「悪いのは、お父さんに頼まれても居ないのに私を家に出さなかったメイド達
そして、運命だよ。だからシルバーは悪くない」
「………あぁ。でも、すまん」

いいのにな。と言いそうになったが、シルバーもシルバー自身のせいではないとは言え、負い目を負っている
だから、これ以上この話はしないようにした


          *


「……そうですか。で、私があの2人に連絡をとれ、と?」
「そういう訳だ。なんなら直接話してもいいぞ、“詩亜”」

詩亜。そう呼ばれたシアン色の瞳の少女は口に手を当て考えるふりをしていた
その後、詩亜は行く。と答えた
そして、鞄を持ち、行って来ます。と行って屋敷をでる



「……さてと、“影探し<シャドウサーチ>”でクウトの位置を当てましょうか
じゃぁ行こっか、アクア」
『うん!』

詩亜……“海魅詩亜<カイミ シアン>”
海を魅せる。シアンは薄い青色の事。青は海の色
海魅。神四家の一つで“影と幻を司り海を示す者”の一族
そして彼女はその次期跡取りであった
ちなみに、神四家の中で最も知識が深い人物である

影探し。とは名の通り影を探すという事
彼女に流れている、影―ギラティナ―の能力で、自身の知っている人物の影を追うことができる能力であった


「……見つけました、ティ、お願いしますね」

シアンはボールからティ(ネイティオ)を出し、その背にのり、飛び立った


彼女が目指すは、“神話と神謡の語られる村”
レイシン地方・ユーカラタウンだった



そこに、双子はいた




続く

49話 幼馴染


「ユーカリタウン?」
「……バカ。ユーカラだよ。神話と神謡の村」
「うぐっ………」

わざとボケただけなのに、思いっきりバカにされたクウトは、ほんの少しだけへこんだ

「……兄貴は、神話信じる?」
「………エムリットにあったら3日で感情がなくなる、とか?」
「………うん。あと、“お前が剣を振るい仲間を傷つけるなら私達は爪とキバでお前の仲間を傷つけよう”……とかさ。これは神謡だけど」

と、ユウトは肩を竦めながら言う、言った割にはあまり信じていないようだった
その時、バサッという羽音が聞こえ二人そろって上を見ると
大きな目が二つあった
……良く見ると、それは目の模様だったのだが


「見つけました。クウト、ユウト」
「「……シアン!?」」
「正解です♪」

すたっ、とシアンはネイティオから軽やかに降りる
その時、少しクセのついた灰色の髪が踊る


「……でも、なんで来たの?」
「も・ち・ろ・ん、理由があって来たんですよ♪」

シアンは、右手の人差し指を立てながら言う
それは楽しそうだが少しだけ真面目な雰囲気を出していた
それにいち早く気づいたのはユウトだった


「……で、そのオハナシは?」

ユウトが真剣な口調で話すと、クウトも顔を引き締める
こういう部分はさすが双子だ。とシアンはつくづく感心した
そして一つ咳払いをして、話し出す


「……貴方達は神四家の中で最も知識が浅いです
……過去にイザコザがあったのは判っていますけど」

イザコザ。…簡潔に言うと、双子の過去であった
そのせいで、知識があまり得られなかった
そして逆にシアンは知識が神四家で最もあったのだった



「……私達神四家、及び神、天使、悪魔の能力を継ぐ者は皆、聖人と呼ばれる種族とされています
外見は人間。ですが中身は神等の代理。神代、と呼ばれてます
…………そして、貴方達2人と優奈さんは“世界の均衡”を保つ真聖人です
……貴方達3人が死ねば、世界にそれなりの代償がふりかかります」


代償。それはきっと自分の思っていること以上の惨劇なのだろう
ごくり、と2人は唾を飲む


「……私が伝えたかったことはそれだけです」
「………つまり、俺達にその自覚を持て。ってこと?」
「はい。……ついこの前、優奈が危険な目に遭いました
まぁ、奇跡的に紳士が助けてきてくれたらしいですけど
………ユウト。貴方が一番危険ですから、気をつけてくださいね
……時間は過ぎるだけ。戻ることなど、出来ませんから」
「……それもだけど、精神的にもなんだろ、シアン」

シアンに言われ、黙りこくったユウトに代り、クウトが言う
シアンは、ただ無言でうなずいた
精神的、恐らくストレスだろう
………それも、ユウトの過去から、だろう



「……とりあえず、ヤバクなったら私は再びここに着ます
貴方の影を追って。……では」


シアンは再びネイティオに乗り戻っていった
シアンの姿が見えなくなった頃、ユウトは不安そうな顔でクウトに訊いた

「………大丈夫、だよね? 兄貴が……助けてくれる、よね?
………俺、死なない、よね?」
「………あぁ。俺達双子はお互いを守るんだ
だから、ユウトも助けてくれるよな?」
「……………うん」
「よし!」



―大丈夫? なーに言ってんだか。俺は大切な人を護れた
でも、お前にソノ勇気は………ナイダロウ?



続く

50話 麗神神話  +弟様視点+


「「麗神神話?」」

ユーカラタウンの、村長さんの家で、俺たちはソノ話を聞いた
どうやら、レイシン地方の神話らしい
村長さんは古い一冊の本を持ってきて、読ませてくれた
よく判らないけど、この人は俺たちが普通じゃない人間だと直感でわかったらしい
それが俺たちにとって“良い意味”なのか“悪い意味”なのかはわからないけど

「神王<シンオウ>の神話とはちょっと違うんですか?」
「えぇ、感橙<カントー>神話、浄土<ジョウト>神話、豊艶<ホウエン>神話、依守<イッシュ>神話……それぞれの地方のみの神話はあるでしょう
それの、レイシン地方の神話なのです」

へぇ〜……と、俺と兄貴は声を上げ、本を見始めた


「“世界は、アルセウス様により創られた
アルセウス様は、人を創り、世界に運命を創った
アルセウス様は眠りに就く前、1人の神代を創った
それが、後の宝来家初代頭首……
名は『宝来 優』”
………同時に、ディアルガとパルキア、ギラティナも……神代―俺たち―の先祖を創った」

兄貴は淡々と、本に書いてあることを読んで、最後に付け足した
レイラの時みたいに、怒られないかと村長さんの顔をうかがったが、今の時点では大丈夫そうだった
次のページを開いたとき、俺はあ、と声を漏らした

「………“残酷な神話”……?」
「え……“誰かが大切な人を守ろうと、その人は命を犠牲にした
大切な人は涙を流した。次は両親が亡くなった
大切な人は大切なものを一度に亡くしてしまった
誰かは大切な人を守ろうとしたのに
大切な人はその人が居なくなるのを悲しんだ
もっと、一緒に居たかったのに……”」

兄貴が読み終えた後、頬がぬれてるのと、目頭が熱い事に気づいた
泣いてた。
なんで? 俺の大切な人も、両親も居るのに
なんで自分のことのように哀しいんだろう
涙はとめどなく流れて、止まらなくて
兄貴が頭をなでたら、もっと涙が流れてきて……

―だって、自分のことだったもんな。俺の経験した過去がレイシンの神話に載ってた
……嬉しいんだか、哀しいんだか…な


幻聴が聞こえた気がした。でも幻聴じゃないような気もした


            *



「ったく、びっくりしたよ。お前が急に泣き出すんだもん」
「………五月蝿い」
「ま、神話に涙流せるほど、お前は心の優しい奴だって証拠だろうけどな!」
「…じゃぁ、兄貴は冷たい人g「いや、それだけで決められても困ります」


……ま、兄貴は寧ろ優しい人間だろうけど
ただからかっただけなのに


大丈夫だよね。兄貴が死ぬなんてコト、ないよね



続く

51話 Information.

ピルルル……と、ポケットに入れていたポケギアがなる
かけてきたのは、GREEN……ぐれ、グリーンだ
レッドは通話ボタンを押し、話を始める


「何だ? グリーン」
《残念でした♪ あたしよ、あ・た・し♪》
「……ブルーか。で? どうしたんだよ」

何故グリーンのポケギアからブルーがかけたのかは知らないが、同じ質問をする
そして、ブルーは情報よ、情報♪とさも楽しそうに言っていた
情報……ブレイク団のことだ


「はやっ……、さすが情報収集が早いと言うか……」
《ホホホ、あたしにかかればちょちょいのちょいよ
それでね。あたしが見つけた情報はほんの一握りだけど、あったほうが無いより得よね?》
「あぁ。………教えてくれ」


多分、知れば知るほど自分の危険レベルは高くなるだろう
それでも、レッドは守りたいモノがあった


《まずね、ユウナが狙われてる理由は、アノ子が“聖人”っていう種族だかららしいの
平たく言えば、普通の人間ではないのよ、アノ子は》
「………あぁ。知ってる。自分はただの器だって、ユウナは言ってた。俺は否定したけどな」
《それで、アノ子の能力は神サマから受け継がれてる、これはあたし達も知ってるわ
……大事なのはここから
アノ子が死ねば、世界のバランスが崩れる
ソレを狙っているのよ、奴らは》
「………ユウナが、死んだら………
………いや、俺がさせない。ユウナは死なせないから、絶対に」
《えぇ。判ってるわ。あたしたちも準備が出来たら、行くかもしれないから、またね》

そして、無機質な音が聞こえ、レッドも通話を切った
仲間が多いに越したことはないし、今はユウナの傍にシルバーが居る
そして、もう1人………


「さっきから…いや、ずいぶん前から俺の事つけてるけど、何か用か?」
「……気づかれてたかー。さすが、図鑑所有者ってところだね」


草陰から姿を現したのは、こげ茶の瞳の少女、ユイナだった
腰まである髪についた葉っぱをとりながら、レッドの元へ歩いていく
対してレッドは警戒もせずにまるで味方だとわかっているような瞳で見ていた


「いつから気づいてたの?」
「んー……ユウナとシルバーが襲われた日」
「……最初から気づいてたもんじゃない
あ、私はユイナ。純悪結那よ、よろしく」
「俺はレッド、よろしくな。ユイナ」

ユイナは、自分より少しだけ背の高いレッドと握手を求めたが、レッドは笑顔で拒否した
ちょっと気分が悪いが仕方ない。とユイナは自分の知っていること全てを彼に話した



「……そっか。ユウナも大変なんだな……
なら、俺たちがもっとサポートしてやんないと」
「そうだね。……んじゃ、私は神子さんを見に行かないと。それじゃぁね」

ユイナはフワライドをだし、ユウナが居るという方向へと飛び立った


「………神代か。でも器じゃなくてユウナは人間だぜ
心もあるし、何より俺を好きになったんだからな」




続く

53話 前世ノ世界


―痛い 辛い 怖い……

そんな世界だった
でも

―優しさ 愛 強さ……

それがあった。狂った愛もあったけれど
強さを培った世界でもあった。絆の世界でもあった


でも、それは“罪と消失”の世界でもあった

―宝来優奈
5歳の頃に、祖父により虐待・重症、及び5歳以前の名前(本名ではない)などの個人情報以外の記憶を失う
心の傷の影響のため、トラウマが多々ある


―神崎悠斗
3歳の頃兄に庇われ兄を失い、5歳の頃に両親を失う
それに、その両方の死を間近で見てしまった為、血・刃物がトラウマとなっている
この世界の彼の能力は時視ではなく人護<パーソンディフェンス>であった
それは「二度と大切なものを失いたくない」という想いの表れだ


―神崎空斗
3歳の頃ユウトを庇い死亡。がユウトの心のバランスを保つため闇の存在となり彼の心に居座る
ユウトの感情を共にしているため、この世界ではユウナに恋を抱いている。が闇の存在のため恋愛表現が狂っている


……そんな世界だった
でも、罪や消失があっても、欠けているものはそれぞれで補っていた




イマノセカイハ?
そりゃ、見てれば判るでしょ
1人は欠けたものを気づいてもそのままで生きて
1人は前で欠けた物が無い。けど新たな傷が生まれ
1人は地上という場所で歩いて、生きてるんだから


まぁ、僕にはどうすることもできない
僕はただの傍観者だからね。見ることだけ、干渉は出来ない
……入りたいとは思ってるけどね
僕が入ったことで狂いが起こると困るし
僕が居なくたってこの世界には勝利が決まってるんだし
だから、僕は傍観者でオッケーてわけ


……僕の名前?運命の傍観者…は二つ名だしね
んー………、あ。やっぱやめた、教えない
というより、名前が無いっていうのが本当の理由だからね
夢の住人には二つ名しかないんだ、ごめんね
でもとりあえず、命<メイ>って覚えてくれればいいよ

ま、前世の“おさらい”が出来たから、またこっちのお話をはじめようか


神子さんが、ジムリーダーに挑戦するらしいしね
それじゃ、またね


続く