Re: 光と闇の時空神  コメントは控えてください>< ( No.15 )
日時: 2010/09/07 00:09
名前: 天月 ID:

21話 ソラ色少年


「ユウト、ユウト!!! 見ろよコレ!!!」
「ん〜……なにがどうし―――うわぁ」

ポケセンの宿泊施設の窓から見えたのは色取り取りの花…畑だった
その広さや花の種類の多さに流石の二人も息を呑む
それに暫く感じていなかった花の香りも故郷に良く似ていた
実は昨日、ノンノタウンについたのは夜だったため花が見れなかった二人だった

本日も晴天なり。まだ朝なのに昼のような空の明るさだった
ポケセンから出た後、クウトはんーっと腕を上げて伸びをして、ユウトは大きな欠伸をした

「さて、どうする?」
「んー……天気も良いし…今日はゆっくりする?」
「そうだなー。んじゃ、出せる奴は出すか」
「ん。サン、グレイ」
「ナイト、ライク」

ユウトはサンとグレイシアのグレイを
クウトはナイトとライボルトのライクを出した
まぁ言ってはなんだが二人の手持ちは比較的大型系が多いらしい
小型3:大型7という具合だ


「……にしても、長閑過ぎて超平和だな」
「だねー」
「バトルしたくなってきた……」
「じゃぁ、してみる?」
「いいねぇ……。って誰!?」

いつの間にか。本当にいつの間にか
何か居た。
年上のように見える、男の人
というか、滅茶苦茶なれなれしい…いやフレンドリーなお方


「あ、俺はソラ。お前達はユウトとクウトだろ?」
「……そうですけど、如何して知ってるんですか?」
「んー、だってお前達の話はユウナから聞いてるからさー」

知ってるんだよー。といかにもへらっと言うかほのぼのとソラは言った
何だか微妙に子供っぽい気もするが、聞いてみたら、二人より3歳年上の18歳であった
ソラは二人をその辺のベンチに座らせ、飲み物を買いに行くと言った

「飲み物、何がいい?」
「俺は炭酸以外なら何でも良いですよ」
「俺はレモン味の飲み物がいいー」
「へぇ、ユウトって炭酸無理なんだなー」
「はい…。あのシュワッって喉にくる感じが…嫌なんです」
「というか、前に飲んで吐いたからだろ?」
「うぐっ……」

事実なのか、ユウトは何も言えずに俯いた
ちなみに何かボソボソ言っている
ソラは何とか会話を変えようと

「……あ、クウトはレモン好きなのか?」
「はい! あのすっぱさが好きなんですよ!」
「へぇ〜。じゃ、俺行って来るな」
「いってらっさーい」


(思い出したくなかったのに……)
「おーい、戻ってこーい」

続く


22話 アレルギー


「はい、ユウトにはコーヒーミルク、クウトにはレモンサイダー」
「ありがとうございます」
「ありがとうございまーす」

ソラは二人に飲み物を渡した後、自分もベンチに座る
ちなみにソラの飲み物は苺ミルク
そういえば。とソラは一人呟き、こう訊いた

「ユウトって、なんで炭酸飲めないの?」
「え゛っ………と……………」
「あー、コイツ、炭酸アレルギーで、飲むと吐くんですよ、盛大に」
「盛大は余計だっ!!!」

振られたくなかったのか、言われて恥ずかしいのか、ユウトは真っ赤な顔をしてクウトに反撃した
クウトは余裕な顔で、あははーと笑っていた
ソラは仲良いなーと思いながら、二人を見ている
特に赤面しているユウトが、らしい


「そういえば、ユウナも核心つかれると赤面するんだよなー」
「……そう、なんですか?」
「というか、アイツに羞恥心があったのか」
「クウト。それは失礼だよー。ユウナは清楚キャラに見えて、ツンデレなんだから」
「「まじで!?」」

男の子がそんな会話して良いのか。というのは置いておき、何故そこまで知っているんだろう、ソラは。

「…ソラさんにとって、ユウナってどんな子なんですか?」
「んー………妹第二号。かなー」
「第二号…ってことは、もう一人妹みたいな人居るんですか?」

クウトがそう訊くと、あぁ。と健気に、それでいて少し淋しそうに言う
その表情に二人は疑問を抱くが、きっと訊かれたくない事なのだろうと思い、言わなかった

「今はすっごい遠い地方に居るんだけど、俺と一緒に孤児院に居た時は病弱で泣き虫だったんだ」

ソラは、思い出し語るように言った
二人は何も口を挟まず、ただ聞いていた

「でも、最近はすっごく元気らしくって、普通にポケモンバトル、それに旅をしてる。ってユウナから聞いた時さ、すっげー嬉しかったんだ
あの病弱で泣き虫なアイツ…マイって言うんだけどな、その子
そのマイが、普通の人と同じように過ごしてるってことが、俺にとってすごく嬉しかったんだよな…
ごめんな、こんな話しちゃって」
「いえ。初対面の俺たちに話してくれてありがとうございます
…俺も、そんな人が身近に居るからよく判ります」

クウトがそう言うと、ユウトが食いつくように訊いて来た

「そんな人って、誰?」
「…………。―――に、決まってるだろ」
「え。聞こえなかった。もう一回。ワンモア」
「嫌だ。男なら一度で聞くべきだ」
「えーっ」

口を尖らせて、愚痴を言っているユウトを見て
クウトは安心したように笑って
誰にも聞こえないように呟いた

「…ホント、良かった」

      ―お前が、元気になって―


           *



「じゃ、俺は家こっちだから。またなー!」
「はい。ありがとうございました!!!」
「ありがとうございました。…じゃ、今日また一泊して明日出発しよっか」
「おう!」


続く


23話 N極とS極


「……大丈夫か、コイツ」
「いいえ、大丈夫じゃないわ」
「返事が無い。ただの屍のようだ。ですね」
「イエロー先輩…さり気無く怖いッスよ?」
「っていうか、どうしてレッドさん、こんなことに…?」
((((クリス(さん)…まさか知らない?))))

ちなみにここはレッドの家。そして現家主のレッドはまるで屍のように動かない
というか、ショックで動けない。らしい
さっきからぼそぼそと「ユウナ」と連呼しているので5人のうち一人以外は原因がすぐ判った様だ

「…クリス、おめーだけだと思うぞ? おしゃれ小僧も、野生児ギャルも、エメラルドも知ってるんだぜ?」
「な、何がよ!」
「レッド先輩とユウナが付き合ってる、ってこと」

本当にクリス…もといクリスタルは知らなかったらしく、瞳を大きくしている
その様子に、ブルー、グリーン、イエロー、ゴールドは、ほんの少しだけ引いた
と同時に、本当にこの子は“ユウナ”に興味ないのか・・・と思ったようだ

「………あれ? シルバーとかも居ないわね…」
(((((コイツ、ひでぇ)))))

そんな時、ゆらりとレッドは立ち上がった
まるで、操られているように

「クリス…タル」
「は、はい?」
「…………シルバーとかって、今居ないのは、ユウナとシルバーの二人だけだよ?」

どすの利いた低い声。笑っているのに怖い。ただひたすら怖い

「い、いや、えっと………」
「ユウナとシルバーは、今レイシンに居るの。判る?ユウナの故郷
で、俺は置いてけぼり。これでも、ユウナの彼氏なのによ……なんでなんだよ、こんなのアリかよ」
「先輩、俺みたいな口調になってるッスよ?」
「ヤケクソになってるわね……」

そして、スイッチが切れたようにまたレッドは倒れた
どんだけユウナを溺愛してどんだけ落ち込んでるんだこの人は

「……あ、じゃぁレッドさんもレイシンに行けばいいじゃないですか!」
「……なるほどな。様はストーカーのように」
「いやいやいや、それは流石にヤバイですよ、グリーン先輩」
「まぁ、いいアイディアではあるわね」

でしょう!? とイエローは両手をグッと握り、自信に満ち溢れた顔をした

「レッド先輩レッド先輩。先輩もレイシンに行けば良いんじゃないッスか?
そーすればユウナに逢えますよ?(多分)」
「……………。そっか!!!!」

がばっ、という効果音がつくほど急に立ち上がる
横にいたゴールドはびっくりしてしりもちをついた
そして、自分以上に単純な人だ…と半ば呆れたようだった

「行くのね?」
「あぁ。…っても、今日はもう遅いから…明日にでも」
「そう。逢えることを祈ってるわ」
「…シルバーは如何するんだ? 追い出すのか?」
「え、わかんない」

けろっとした返事にグリーンはため息を吐く
まぁ、レッドもそこまで鬼畜でSじゃないから、多分、シルバーを追い出すような真似はしないだろう。…多分


そんななか、ブルーは

(ユウナはともかく、離れていても引き合う存在なのね…この二人は
まるで、磁石や電子のN極(+極)とS極(−極)じゃない)


まぁ、だからバカップルなんでしょうけど、とブルーは肩をすくめた




次の日、レッドがあてもなくレイシンを歩き回ることになるのは言うまでも無い



続く



24話 黄の星と銀の羽


「『―千年に一度目覚め、七日間だけ地上で過ごす“願星”
願星は心が強く、優しい人間によって目が覚める
…以前、それを利用し願星を捉えようとした人間が居たらしい
願星の生まれし場所は、“麗神”。そこの“星の故郷(ふるさと)”である
神は、願星を護り讃えるニンゲンを創りだした
星の故郷には、海も広がっていた。その海に生まれた“海の神”も同時に護り讃えるようになった
そのニンゲンを“銀羽一族”と呼んだ』
――って、言うけど、わたしにはあんまり自覚ないんだよなー…」

はぁ、と軽くため息を吐いて分厚い本を閉じる
その小柄な身体にはあまり合わない机、それに椅子だった
題名は『神継ぐ者』

「アルセウス様とダークライの御家は、来る宝…、蓬莱…“宝来”でしょ
ディアルガとパルキアは神の崎(みさき)…“神崎”
ギラティナと『   』は魅せる海…“海魅”
蓬莱は、月…かぐや姫。まぁクレセリアだもん
神の崎……あ、ソノオ、花が咲き…だから崎?
海魅は、マナフィでしょう。それにミオは海が近いもの……」

幼い割に、かなり色々と詳しいのは幼い頃から学んでいたからか
鎖骨あたりまでの金色の髪と銀かがった白の瞳が特徴的な少女であった
少女は、部屋を出ようと椅子からおり、同時に星飾りのついたヘアゴムを二つ取り、髪を二つ結び…所謂、ツインテールにした。…髪の長さ故か、かなり小さかったが

部屋もかなりの広さだったが、廊下の広さも負けては居なかった
バカでかい家を建てるよりは、貧しい人たちに寄付でもしようよ。と何度思ったことか
そして家柄に捉われず走り出していったアノ人が羨ましいと思っていた

「あれ、姉ちゃんどっか行くの?」

不意に背後から声がして振り向くと、少女とは真逆の銀の髪、金かがった黒の瞳の…少女よりほんの少し幼い少年であった
“姉ちゃん”というあたり、弟なのだろう

「星汰(セイタ)…、平気だよ?脱走は“二度と”しないから」
「うん。判ってる。……でも逃げ出したいんでしょ?」
「当たり前だよ。どうして“優奈さん”は許されてわたしは許されないのかな……」

はーぁ。と先ほどより大きなため息を吐いた
弟…星汰もだよねぇと相槌をうつ

「それじゃ、わたしはその辺歩いてくるだけだからすぐ帰ってくるよ
…行って来ます」
「うん、行ってらっしゃい。星奈(セイナ)姉ちゃん」

少女…セイナは家を出る。6匹の“仲間”と一緒に
セイタは姉を見送り。何も起きないように。と思っていた

「でも…まだ姉ちゃんは良いほうだよ。僕は……
外に出ることさえ許されたことがないんだから
―――――――“跡継ぎ”だから」



           *

丁度その時、ユウトとクウトは…

「……“星の瞬く街、ノチウシティ”だって」
「いや、今昼だし」
「で。水タイプのジムリーダーさんが居るんだって」
「お、水タイプかー…ホントだ近くに海がある」
「…………………そ、そうなんだー」

“海”と聞いて、ユウトは冷や汗を浮かべて乾いた笑いをしていた
別に、彼は海が嫌いなわけではない。が苦手ではあった。泳ぐのは

「ユウトくんはカナヅチだからねー」
「っ、るせぇ!!!!」
「炭酸アレルギーに病弱、そしてカナヅチの3大苦……くくっ」
「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

クウトは笑いを堪えようとしているが堪えきれず
ユウトは恥ずかしくて顔を真っ赤にしている
図星のため、何も言えない、ユウトであった


そんな時、ピルルルル…とクウトのポケギアが鳴った
はい。と出てみると相手は父親で

「父さん?」
『そ、いまノチウシティ?』
「そーだけど、なん………あぁ、そーいうことか」
「能力、使ったんだ、父さん」
『た、たまたまだ。それよりノチウといえば星だ
さて問題。神継ぐ家は全部で何家でしょーか』

いきなり!?とツッコムのも嫌なので二人は考える
まず自分達で1つ。次にユウナ…宝来家で2つ
もう2つは……アイツで3つ

残りの1つが判らない

「神崎、宝来、海魅…あと1つ……」
「わかんねーよ。答えは?」
『答えは、願星と海の神の能力を継ぐ、銀羽家だよ
教えただろ、4つって。忘れないでくれよー
神崎だけなんだから、跡継ぎ決まっていないの』

銀羽(ぎんう)……習ったような、習ってないような……
と思いつつも、さりげなくアリエナイ事を口にした父に

「「マジかよ!?」」
『うん、マジ。だって、兄弟ならまだしも、双子だから“それぞれの能力”しか継いでないから
選ぶの難しいんだよ』

と父は言うが、本来「双子の下のほうは“生まれなかった”ことにして殺す」というのが基本であったが、父は「殺す」という言葉、行為が嫌いなためやらなかったらしい
そんなことも露知らず、“幸せな兄弟”は少々怒っていた


――姉弟の弟が後継ぐこともあり、また双子両方が継ぐこともある……

そんな、理不尽で曖昧な世の世界であった

続く


25話  母親似


「優李さん!!!」
「……あ、レッド君。久しぶりだねー如何したの?」

次の日、レッドは最初に優李のところに向かった
優李は相変わらずのんびりしていて、危うくそちらのムードに流れ込みそうだったが、それを寸でで止めた

「あ、あの…ユウナは……どこにいるんですか?」
「んー……どこだろうね……僕、連絡しないようにしてるから」
「な、ん………。そうですか…。判りました…」

何で。と言おうとしたがレッドはこの人の立場を思い出したため、それ以上は言わなかった
が、居場所がわからなければ逢えない。それがショックだった

「ま、なんならちょっと、ユウナがレッド君に“言えない”話でもしようかな」
「ユウナが俺にも言えない話……?」
「あぁ。というか…ユウナも知らない話…かな」

ユウナも知らない話……。自惚れかもしれないけれど、レッドは他の所有者よりユウナの事を判っている。そんな自信があった
けど、全てを知っているわけではない。ユウナは基本自分のことはあまり話さないタイプだからだ
それでもレッドに話したのは信用できるからであり、レッドはユウナの背負っているモノを少しでも軽くしてあげようと思っているからだ
興味本位ではない、純粋な想いで。

「……教えてください」
「うん。いいよ。……立ち話もなんだしこっちで話そうか」

そう言い、優李は歩き出す。その背中が何故か悲しそうに見えた


            *

「―――ユウナの、お母さん?」
「あぁ。シルバー君のお母さんの妹だったんだよ」
「だった……?」

もしかして、離婚だろうか。そしたらユウナとシルバーも従姉弟じゃない…辻褄が合わない
その時、一瞬最悪の状況を思いついてしまった
そして、自分の事も嫌な方へ考えてしまう
レッドはその予想を無しにしようと頭を振る。忘れるように

「……多分、レッド君の考えはあってる
……僕の妻…奈々は、亡くなっている」

ズシン、と心臓に杭を打たれたようなそんな痛みが走る。いや、最早痛みではないのかもしれないが
思えば、始めてこの家に来た時も、今も、母親。という姿を見たことがない
…ユウナはソレを、見て見ていぬフリをしていたのだろうか
そして、「甘え方が判らない」という彼女の言葉も判る気がした

「……どうして、亡くなったんですか?」
「警察は“事故”ってしているけど……
もしかしたら、意図的な犯罪だった……かもね
“宝来家の子供が生まれる前に母親を殺す”っていう。でも…奈々が亡くなったのは、ユウナが生まれた3日後…なのにね」
「みっ、3日後!?」

母という存在を覚える暇もなく、亡くなったのか、ユウナの母…奈々さんは
それは、一体どれだけ残酷なのであろう
そして、ユウナにどれだけの悪影響を与えてしまったのだろう
両親は、生まれてくる子供に夢を持って待っている
こんな子に育って欲しい、と
そして名前にもしっかりとした意味を持って名づけている
……と、前にブルーの母親が言っていた気がした

「奈々は、“生まれてくる子には自分と僕の名前を入れたい”と言っていた。…本当のユウナの名前の意味は“優しく、素直に育って欲しい”って意味なんだ
けど……偶然にも“光の優に奈落の奈”って意味にされちゃったんだけどね……」
「…奈々さんの願は…叶ってます。…素直、っていうのは微妙かもしれませんが……」
「うん。でもそれは僕の責任だ。仕事で忙しいことを言い訳に、ユウナに甘えさせてあげられなかったから」

と、優李は表情に翳りを含めて言った
ユウナは、優しくて自分以外の事に素直だ。ポケモンを助けようと思ったら、助けるまで決して諦めない。それは人も同じ
でも、自分の事になると頑なに何も言わない、何も動かない
それでも耐え切れなくなったら、自分にこっそり言ってくれるのだが
別にユウナはレッド以外の所有者を信用していないわけではなく、寧ろ仲間として「大好き」と言っている
きっと、ユウナは心配をかけさせたくないだけなのだろう
それでも、レッドに話したのは彼がユウナにとって一番「好き」な人だからであろう


「……ユウナは奈々にそっくりなんだ。生き写し…とでも言えばいいかな」
「生き写し……?」
「うん、優しくてポケモンや人の事を優先させて、何があっても諦めなかった
それでいて、自分の事はあまり話したがらない人だったんだ
…でも、僕には話してくれたんだ」
「……ホント、そっくりですね」
「だろう? 二人とも“自分が一番好きな人”にだけ素直なんだ。……ってことは僕とレッド君も似ているのかもね」
「俺はそんなにのほほんとしてませんよ
……でも、ちょっと似ているかもしれませんね」
「だろう? きっと奈々とユウナは趣味も性格も一緒なのかもね」
「そうかもしれないですね」

先ほどの暗い空気はどこへ行ったのだろう
流石、優李さんと言ったところだろう
この人は本当に場の空気を変えるのが上手い
だからこその強さ…つまり勝負の機転が上手いのかもしれない
そんなところも、二人は良く似ているのだが


「……レッド君、ユウナを頼んだよ」
「わかりまし…。って、え、っと…それって……」

にこり、と優李は笑って頷いた
レッドは綻びそうな顔を何とか保って「ありがとうございます」と言った

家を出た時、彼は本当に嬉しそうな顔をしていた

「さって、ユウナとシルバーに会いに行くか!!」


彼が目指すは、二人の居場所


続く


26話 星の子  +星奈視点+


「さてと…ドコに行こうかな。スカイ」
『どこでも良いんじゃない? 帰ってこられれば』
「そうだね。…あ、じゃぁ海行こう海!」
『さんせーい!』

わたしと、スカイ(イーブイ)は海へかけだした
あの海は、わたしとスカイの思い出の場所だから


「やー、もう夏だから人多いねー」
『そーだねー!!』

本当、暑くなったから人が多くなった
…人目につくのは苦手なんだけどね
人を眺めてるとき、何か違和感がはしった

「あれ……?」

こんな暑いのに、黒と灰色のパーカーきてる、男の子二人…
それに、あの二人から見える“能力の波紋”は……
そんな時、スカイが肩から飛び降りて、その二人の方に向かった

「ちょ、ちょっとスカイ!!!」

前もろくに見ないで、スカイを追いかけてたら、人とぶつかった

「あたたた……」
「大丈夫か?」
「あ。はい…すいません……ッ!?」

ぶつかったのは、あの二人
…っていうか、双子さん? っていうか一卵性双生児?
っていうか…スカイは!?

「この子、君の?」

と、思ってたらスカイは黒パーカーの男の子の肩にいた
…エーフィーの視線が怖い気がするのは気のせいかな?

「あ、ありがとうございます。もう、ダメだよスカイ!」
『だって、なんかセイナと“近かった”から、つい〜』
「近いって……」

まさか、あの“能力の波紋”は…ホンモノ?


「……どうした?」
「ふぇ!? あ、大丈夫、です!!
あの……わたし、銀羽星奈って言います」
「銀羽……あ、あの家?」
「“神の四家”の一つ…の?」
「え、知っているんですか!?」

そう聞くと、知ってるも何も…と二人は顔を見合わせる
…鏡見てるみたい……

「俺たち、神崎悠斗と、神崎空斗なんだけど」
「……。」

やっぱり……。
あの能力の波紋は本当だったんだ………
神の四家の中で、わたしだけが見える、「能力の波紋」
今まであんまり信じてなかったけど……
その時、一番聞きたくないことを言われた


「やっぱり、セイナが銀羽家の跡取りなのか?」


一瞬で周りが真っ暗になった。そんな錯覚を覚えた

「……あ、当たり前じゃないですか!!!」

嘘を、吐いてしまった
わたしはアノ人のように、怒れない
アノ人のように強くは無いから

「……。嘘、でしょ」
「ッ!? そ、そんな事……」
「別に俺たちは怒らないから、本当のこと言っていいよ?」
「………本当、ですか?」
「当たり前だろ。男に二言はない!」

……大丈夫、だよね。この二人なら………


「判りました。本当は―――――――」


続く


27話 己の願は +星奈視点+


「……わたしは、昔…家を脱走したことがあるんです
あの人は…優奈さんと、同じように」
「ユウナと、同じように?」

あぁ、この人…知らないのか………

「はい。優奈さんが8歳の時、優奈さんは家を抜け出したんですよ
…そんなこと、許される行為ではないのに。許されたんですけどね。あの人は
……でもわたしの時は……」

ぐっ、と唇をかみ締める。正直、言いたくない
でもその時、頭に柔らかい感触がやっていた
…撫でられてる…?
撫でてくれたのは、ユウトさん…

「セイナも、大変だったんだね」
「ゆ、ユウト…さん?」
「……弟くん、今は……大丈夫?」
「え……。あ、セイタ……!?」

どうしてわたしに弟がいるのかわかったのかは知らないけど
今はセイタの安否が最優先………
わたしの所為で、またセイタが犠牲になるようなことがあったら、わたし……!!

その時、肩を叩く手があった

「落ち着けよ、まだ大丈夫だから」
「ッ、どうして、大丈夫って…あ……」
「うん、ごめん。ちょっとセイナの未来“視せて”もらったよ」

未来…視る……。時視……
ユウトさんは、ディアルガの能力を……?
じゃぁ、クウトさんは……
とクウトさんを見ると、ニッと右手を出して笑った
…本当、なんだ……

「……一緒に、来てくれませんか?」
「もちろん」
「良いぜ!」

ありがとうございます。と笑顔で言った
多分、久しぶりの笑顔



お母さん、わたし、初めて、

            自分の願が叶ったよ。




「…あ、姉ちゃん!」
「セイタ!! よかっ………!?」

ほっ、としたのもつかの間
セイタの、後ろに………イタ。


「…少し、」
「遅かった…みたいだね」

少し…そう、本当に少しだったのかもしれない

「お、とう……様……」
「また、脱走か? …セイナ」
「ッ、違います!」
「…では、何故時空双子がおる?」

と、お父様は、ユウトさんとクウトさんを見る
多分、慣れてるのか二人は動じていなかったけど

「……俺は、ただセイナを、あと弟を自由にさせてあげたいだけですよ」
「…束縛するのが、全てじゃありませんよ?」
「……戯けが。優李も昌斗も甘いのだよ
自由なんて、無くても良い…私達のような家は、な」

ピキッ、となにかの音がして、後ろから殺気が……

「……そーいうの、差別って言うんだけど
俺たちみたいなニンゲンでも、他のニンゲンと同じなんですよ?
…………そういうの、すごくウザイ」

ユウトさんが、怒ってる…(気の長い人だと思ってました)
クウトさんは…呆れてる………?

「ユウト、落ち着け。今お前が暴走しても何も変わらないから」
「……………判った」
「よし。……でも、お前、最悪だよ」

ニコリ、と黒い何かを含んでクウトさんは笑う
怖い………
でも、これも、全部、わたしのため……




なら、わたしも、言わなくてはいけない。


―自分の願は自分で叶えるよ、お母さん


続く

28話 最初で最後の願事 +星奈視点+


言わなきゃ、ずっと、ずっとわたしの中に閉じ込めていた
“言葉”を……!!

「お、おとう……お父様!
わたしは……いいえ、わたしとセイタは“自由”になりたかった!!!!
でも、お父様は許してくれなかった……
“自由”になれなくてもいい!!
せめて、理由を、本当の理由を教えてください…!」

今まで、恐くて逆らえなかったお父様に、初めて
自分の意思を伝えられた

お父様は、ふむ。と言って
こういった


「ならば、ポケモン勝負で決めるとするか。星奈、お前とな」
「え………?」


バトル?勝負?ポケモンの?
そんなの、やったことないよ……!?
テレビで見たことくらいしか……
その時、また肩に手を置かれた
やっぱり、ユウトさんだった

「大丈夫、俺らがアドバイスするから。な?」
「あぁ。大人と子供だ。ハンディはあるだろ?
おとーさま?」

ちょ、それ明らかに挑発……
でも、お父様は全然動じなかった。外側では

「いいだろう。こいつはバトル未経験だからな
ただのレベル上げ。と言ったところで終了させたからな」
((こいつ、まじムカつく……))
「判りました。ならわたしが勝ったら、自由にさせてください。セイタも!!!」
「判った。だがお前が負ければ、一生家に居る。ということにする」


…この勝負は、ある意味、わたしの人生の分かれ道………
セイタのぶんも、絶対に負けられない!!!


そして、腰に居る仲間たちも、カタカタと震える
やる気、だね……!




「では、庭へ来い、星奈」
「……はい」




続く

29話 生の分かれ道。  
*URLは挿絵の下書きです*

ヒュウッ、と潮の香りがする風が通り過ぎる
それに合わせて、セイナの金色の髪も踊る
ゴクリ、とセイナは固唾を飲み込む
額からは、冷や汗が頬を伝う
そして、腰のボールに手を掛ける

「先攻はお前からで良いぞ」
「……はい。エアロ!出番だよ!!」

セイナはボールから、エアロ(エアームド)を出す
エアロは鋼鉄の翼を広げ、甲高い声をあげる

「エアロ、頑張ろうね!」
『あぁ。セイナとセイタのためだからね!』

セイナとエアロは、お互いを見て、頷く
神の四家の共通能力は『ポケモンとの会話』
で、宝来家は「全てのポケモン」、神崎家は「“特別”なポケモン以外の全てのポケモン、海魅家は「“雷、草タイプ以外”の全てのポケモン」
そして、銀羽家は「手持ちとする全てのポケモン」であった
なので、セイナはスカイ、エアロと会話が出来る


「行け、ブーバーン」

セイナの父が出したのは、ブーバーの進化系であるブーバーン。炎タイプでエアロには相性が悪い


ユウトとクウトは、ヒソヒソと話をする
それは、セイナの父のことについて

「うわっ、汚っ……」
「そーいう奴、なんだろーな」
「それにしても、酷いな……」
「あーいうのが俺たちの父さんじゃなくてよかった」
「なー…」



また、ヒュウッと風が通り過ぎる
ザァ、と庭の草がざわめく

『相性不利……だね』
「うん、でも……信じてるから、エアロのこと」
『あたしもだよ。出逢った時からセイナを信頼してるからね!』
「ありがと。……エアロ、“嫌な音”!!!」

セイナがそう指示をすると、エアロは翼を擦り合わせてギリギリと嫌な音を出す
ブーバーンはその音に耐え切れず、両手で耳のあるらしい部分を押さえる
その瞬間を、セイナは見逃さなかった

「エアロ!“エアロスラッシュ”!!」

エアロは空高く飛び上がり、空気の刃を生み出してブーバーンに攻撃する

「……あれが、初心者?」
「全ッ然、そう見えない……」
「だよな……。埋もれた才能…か」

もし、彼女が自由だったら、自分達より強いトレーナーになっていたかも……
と、思う二人であった




が。現実はそう甘くは無かった


ドサッ、とエアロが地に落ちる
二人が目を放している時、ブーバーンの炎技によって、エアロが倒されたのであった


「くっ……スター!」
『エアロさんの仇、取って見せましょう!!』

セイナが次に出したのは、スター(スターミー)
水・エスパーでブーバーンと相性が良い
きっとセイナはそれに掛けているのだろう


「…絶対、負けないんだから……!!」


続く

30話 もう、負けない

「スター、“ハイドロポンプ”!!」

セイナが素早く指示をすると、スターは真中の紅いコアから、水圧の激しい水を出す
その水がブーバーンに届くのも早かったため、ブーバーンに水は直撃し、戦闘不能になった

「くっ……。いけ、エレキブル」
「……スター、戻って」

エアロの二の舞になるまい。と思ったのだろう
セイナはスターを戻す。そして……

「出番だよ、フレア!!」
『一発でねじふせてやるよ!デカ物!!』

セイナは、フレア(ブースター)を出す
先程のように、相性の良し悪しはないが、きっと何かあるのだろう

「エレキブル、“雷”だ」
「フレア、“穴を掘る”!!!」

雷がフレアに落ちる直前、フレアは地面に身を潜めた
チッ、とエレキブルは舌打ちをする
そして、地面の中のドコにいるのか。と探し始める

一瞬、ニヤリと笑い、セイナは声を上げる

「フレアは貴方の真下よ!!!」
「ブルッ!?」
『へへっ、上手くいったぜ!!!!』

ドサッ、と巨体が倒れる
攻撃をしたのは、小さな躰であるのに関わらず、だ
そんな時、ユウトはあることに気づく
とても簡単で、とても不思議な事にだ

(アノ人………もしかして………)

そしてユウトの心の中に、一つの疑念が生まれる
同時に、疑問も生まれた

その疑念は、決して間違っては居なかった

「なぁ、兄貴。もしかしてさ―――――」
「―――――、まじで?」
「うん。もしかしたら。だけど」



「フレア!!“火炎放射”!!!」

エレキブルの留めに、フレアは火焔を放つ
先程の技が効いていたのか、エレキブルは戦闘不能になる


そして、フレアはここに違和感を覚えた
無論、セイナは気づいては居ない

(あれ……?これ、“おかしくねぇ”……?)


フレアの感じた違和感、ユウトに生まれた疑念は、同じ意味だった


続く

31話 Is it you that win?

―俺が感じた疑問、それは……


「…これで、最後だ。いけドサイドン」
「……。フレア、戻って」
『あぁ。なぁセイナ。…なんか、おかしくないか?』
「……うん、最初から判ってた。でも勝負だから」
『……………そっか。俺は、俺たちは信じてるからな』
「うん。ありがと」

そう言い、セイナはフレアを戻し、再びスターを出す

「スター、一発で、決めるよ?」
『えぇ、セイナ。あなたは…これに勝ったら、お父様になんと?』
「………もう、考えてあるよ」
『……わかりました』


「ドサイドン、“雷パンチ”」
「スター!“サイコキネシス”でドサイドンの動きを封じて!!」

と、ドサイドンはスターの前で身動きが取れなくなる
自分の思い通りに動かない自分の身体にドサイドンはいらいらしている

でも父親は何もしない。



そう、“最初の攻撃以外、彼はポケモンに何も指示をしていない”のだ
相手が自分に不利なポケモンを出しても、交代はしなかった
………“初めから、『負け』を認めた戦い”だったというわけだ

ユウトの疑念はコレで晴れる
が、疑問はまだ残っている


「…スター、“ハイドロポンプ”」

セイナは、落ち着いて冷静に攻撃を指示する
ドサイドンは岩・地面タイプなのでダメージは二倍となり、戦闘不能となる


戻れ。と父親はドサイドンを戻し、セイナもスターをボールに戻す
そして、父親は言う

「…お前の勝ちだ、セイナ。好きにするがいい」
「まって。なんで…“勝負”なんて口実、作ったの?」
「……………。私は、優李から、優奈さんの従弟が攫われた。と聞き焦った
“もしかしたら、セイナやセイタも攫われるのではないか”と」


でも、それは終わった。けれど私は不安だったのだ


と父は言った

「……ありがとう。お父さん。私達の事心配してくれてたんだね
ごめんね。誤解、しちゃって」
「いや、いいんだ。私こそ悪かった。これからは二人とも自由にするがいい
…跡継ぎはセイタになってしまうが、な」
「僕はいいよ。お父さんが決めたんだし。ね、姉さん」
「うん!」


完全に、蚊帳の外の二人は、事が丸くなった家族を優しく見た後
去ろうとした

その時

「ユウトさん、クウトさん!!!」
「……何?」
「あの、ありがとうございます!
貴方達に逢ってなかったら、わたし、ずっとお父さんのこと誤解したままでした
だから、ありがとうございます!!!」
「……どういたしまして。セイナ、またな」
「家族3人、幸せにな!んじゃ、またなー!」


はい!と3人は手を振り別れる



「……強かったなセイナ」
「あぁ。……っていうか、俺らなんか忘れて………
あ!!!! ジムリーダーの事……」
「忘れてた……ね。明日、挑戦しよっか」
「あぁ…。次、俺先だからな」
「はいはい」



そういい、二人はポケセンへと足を運んだ


続く


32話 静かなる海

「……僕に、挑戦者。だって?」
「はい、“セナ”さん」
「………うん、いいよ。入れてあげて」
「はい」


黒かがった青の髪を靡かせて、セナは座っていた椅子から立ち上がる
“海の遣い”と呼ばれている彼の夢は

「海の神に出逢う事」であった―――



            *
〜ここから、URLの曲をお聴きし楽しんでください〜

「君が、挑戦者?」
「―――あぁ。俺はクウト…です」
「クウト君か。僕はセナ、よろしくね
…じゃぁ早速、始めようか」

コクン、とクウトは相槌をうつ
そして二人は腰のボールに手をかける


(…相手は、水タイプ専門、兄貴なら…多分、アイツだろうな)



「では、ジムリーダー・セナ対チャレンジャー・クウトの試合を始めます!
使用ポケモンは3体。どちらか3匹先頭不能になった時点で終了します!
では……Ready Go!!」

その声と共に、二人はボールを投げる
二つのボールは弧を描き、地面に落ちる。そしてポケモンが出てくる


セナは、シャワーズ
クウトは、ラプラスを出した


「……舐めてるの? 僕のこと」
「ぜーんぜん。俺のラスは特別だからな!
ラス、“10万ボルト”!!!!」
「なっ!? シャワーズ、“守る”!」

土壇場で、シャワーズは何とか自分の身を守った
チッ、と聞こえないように舌打ちをしたクウト。そして次の作戦を思いつく

「ラス、」
『えぇ。判ったわ、クウト』
「サンキュ。ラス“怪しい光”!!」

ラスは濁った虹色の光を出し、シャワーズを混乱させた
よし、と心の中でガッツポーズをするクウト
対してセナは未だに余裕を見せていた

「……シャワーズ“岩砕き”!!!」
「!? ラス!!!」

混乱状態でも攻撃できるが、その確率は低い
が、あのシャワーズは………

あ。とクウトはココで気づいた
もしや……

「混乱が、解けてる……?」
「正解。状態異常を治す木の実を持たせておいてるからね」
「………流石。ラス、ありがとう。戻って休んでろ
……いけ、クライ!!」

クウトが次に出したのは、ラクライ
電気タイプであるため、相性は良い。……はずだ




「アノ子が、時空双子かー。なんだ、私と同じくらいじゃない」



続く

33話 天使の幼き末裔   +ある人視点+


今、私はこっそりと“神崎空斗”と“美汐瀬名”のバトルを見ている
二人とも、実力が高く、一進一退のバトル。とでも言うべきだろう
ただ……私が気になるのは、彼“神崎悠斗”の実力
………“炎華鈴羅”との時は、慌しくて見れなかったからね……

と、かくいう私の名は“天歌 留梨亜<テンカ ルリア>”
天歌の意味は、天使の歌声って意味らしい
……まぁ、わかる人にはわかるんじゃぁないかな?
ちなみに、神の四家とは無関係だけど
…いろんな意味で神サマに関係してるけど♪
あ。空斗が攻撃にでる

「クライ、“電撃波”!!」

ふぅん、威力は少ないけれど、必ず命中する技を選んだ……
性格に似合わず、慎重派ねー
……でもさっきのラプラスちゃんを戻す前に“ある事”やったほうが有利になっていたかも…ね

「くっ……。シャワーズ、“溶ける”!!」

瀬名の方は、シャワーズちゃんを水に潜る…んじゃなくて、溶け込ませる
でも…空斗はもう何か策を思いついたみたいだけど……

「クライ、水に向かって“放電”!!」

おお、上手いねー。これなら溶け込んだシャワーズにもダメージを与えられる
勝負事になると頭が回転するタイプみたいね、彼
その時、腰についてるボールのひとつが揺れる
……スノウか

「どしたの? スノウ、まさか…バトルしたいとか?」

スノウ(グレイシア)はうん。と力強くうなずく
この子は……すーぐ興奮しちゃうんだから
まぁ、私も戦ってみたくなったなぁ…彼と


「うん、じゃぁこのバトルを見届けたら、ね?」

再び、スノウは頷く
っと、いけない!最後まで見てなかった……
けど、シャワーズはラクライによって倒されたみたい
あと2匹……どんな子を出してくるのかな?


その時、ポケギアがなる。やばい。と思ったけれど、幸いにばれなかった
電話の相手は、彼女だった

「もしもし…? あ、結じゃない」
《結って、省略すんなよ……。私には“結那”って名前があるのよ》
「はいはい。どうでもいいけど、男言葉は無理しないほうがいいよ?」
《む……。判った。で? どうなの?》
「うん。けっこー実力派で頭脳型だよ。かなり冷静だし」
《ふぅん……。ルリア、あんた……》
「あ。一旦きるね、ばいばーい♪」

ピッ、と通話をきる。後で起こられそう…
まぁいっか
さっきのは結那。本当の名前は……“純悪 結那<ジュンアク ユイナ>”
さて……次はどんなバトルを見せてくれるかな?

続く

34話 荒々しき海  +クウト視点+

「いけ、スターミー!」

スターミー……。素早さも高いうえに、エスパータイプも備えてある……
ある意味、強敵だ。けど……

「クライ、ちょっと休んでろ
……いけ、ナイト!!」

次に俺が出したのはナイト。素早さが低いけど、“一つのタイプの攻撃”が無効化されるんだから、五分五分だろ


「……スターミー“冷凍ビーム”」

ピーッ、とスターミーのコアから冷却が流れ出し、ナイトにあたる
もちろん、よけることはできた。けど……これも作戦の一種ってもんだ

「ナイト、“しっぺ返し”!!!」

状態異常にならなかったナイトは、プールサイド飛び越えて、スターミーに攻撃する
んで、同時に“噛み付く”もやっていた

「!? ……こういう、ことだったのですか」
「へへっ、わざと攻撃受けたほうが威力倍増! ……まぁ、凍り状態にならなきゃの話だったけどな」

まぁ、効果抜群の技を二つ受けたんだ。スターミーは倒れた
さぁて、次は最後………いったい、何だしてくるのかねぇ


「……これで、最後だ。キングドラ!!」
「なっ!?」

キングドラって……水とドラゴン…
ちぇ、微妙に……不利じゃん

「んー………。よし、ナイト“シャドーボール”!!!」
「キングドラ、“高速移動”で避けて」

ナイトのシャドーボールは避けられ、壁にぶつかって消滅した
高速移動で素早さがあがって、避けやすくなっちまったな………
あ。でも………

「ナイト、“騙まし討ち”」

とっさにナイトはキングドラに向かって飛び出す
そして俺は次の準備をしようとボールにてをかける
一回目は避けられた。でも…ナイトは身体を捻って次はキングドラに当てる
騙まし討ちは、絶対に当たる攻撃だからな
こっちに戻ってきたナイトを一度戻し、またラスを出す
ちょっくらダメージ負ってるけど、向こうも同じくらいだから、なんとかなるだろ
……多分


「ラス、“あられ”! んでもって“吹雪”!!」

ラスは天に向かって金切り声をあげ、雪より硬く雹より小さいあられを降らせ
次は前が見えなくなるほどの吹雪をキングドラにあてさせる
あられの効果で吹雪は必ず命中する技になってるからな

……吹雪が晴れた頃、キングドラは既に倒されていた
ってことで、俺のか……



「認めない!!!!!!!!!!!!!!!!!」


突然の大声に、俺とラスも驚く
認めないって、どういうことだよ……


「僕は……認めない。クウト君。僕の次のポケモンを倒せたら、認めてあげる」
「ちょ、それってズルイじゃんか!!! 最初に3対3と決めたら、それ以上はできない!! お前もわかってるだろ!?」
「あぁ、判ってるさ。だが、認めない!! 僕は海の神……ルギアに会うまで、僕は勝ち続けなければいけなんだ!!!!」
「それは…………」


―――ただの、往生際の悪い奴の言う事じゃねぇか
セナの言っていることは、3回じゃんけんで決める。と言ったことを「やっぱり4回」「やっぱり5回」と言ってるようなもんだ
こいつの言ってることは、間違ってる
けど……戦わないと何起こるか、わかんないし……
しゃーねぇな


「……仕方ねぇ。早く出せよ。お前の4匹目とやらを……!!」
「ふっ……。いけ、“ギャラドス”!!!」

4匹目が、ギャラドス……か

「ギャラドス“龍の怒り”!!」

って、攻撃早ッ!? 指示するヒマもねぇじゃん!!!
…まぁ、なんとか耐え切ったけど
ギャラドスに攻撃する体力はもう無い……なら

「ラス“雨乞い”!!!」

ラスは再び、金切り声を上げて次は雨を降らした
ギャラドスの特性は「威嚇」だから素早さはあがること無い
俺はラスを戻し、クライを出した

「クライ、“雷”!!!!」

クライは天に向かって吠え、ギャラドスの頭上に雷を打ち落とす
水・飛行のギャラドスには効果4倍だ
ギャラドスは、そのままグラリと横に倒れた


「ギャラドス……まで……」
「さ、俺の勝ちだ。だろ? 審判さん」
「え、あ、はい。勝者チャレンジャーのクウト!!」

審判がそういうと、ステージにあったプールは無くなった(なんかの操作で)
そのプールがあった場所を歩いて俺はセナのところまで歩く


「お前、間違ってる」
「ッ、何がだ!? ルギアは強い者の前に現れる。だから、僕は……」
「ルール破ってまでして勝って、それが本当に強いといえるのか?」

びくっ、とセナの肩がゆれる
多分、自分でもこんなやり方は間違ってると思ってるんだろう
俺は頭を掻きながら続ける

「……本当に強い奴って、ただ勝負に勝つだけが強いってわけじゃないと思うんだ
ただ、力量があれば良いわけでもない
………必要なのは、強い心と信頼する心、なんじゃないのか?」


その言葉に、セナは目を見開く
きっと今までの自分の行動が間違っていたと、気づいたのだろう
セナはゆっくりと立ち上がり、はい。と手のひらにのったバッチを見せる
ほんの少し後ろめたいけど、俺はそのバッチを受け取る


「……君が、僕からバッチを取ったのは初めてのトレーナーだ。誇りを持て」
「はいはい、でもお前も強かったぜ。またいつかバトルしような」
「…………あぁ」


             *


ジムを後にして、もう日が落ちかけている夕日が綺麗に反射している海を見た
すごく、綺麗

「……綺麗、だな」
「あぁ。夜の海も、朝の海も、綺麗だけど」


――夕日の海は、もっと綺麗だ

とユウトは言った
そういうのって、普通だったら「君のほうが綺麗だ」って言うけど、俺男だし、それはそれでいっか
っつか、ユウトがそんな台詞言うはずないけど



結局、街を出るのは明日になった



           *


僕を負かして、僕に大切なものを気づかせてくれた
……どれもこれも、君が初めてだった


「さて……ジムに篭りっ放しじゃなくて、たまには外に出てみようかな」


まぁ、今日は疲れたから寝るけれど



続く