Re: 光と闇の時空神 ( No.10 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:31
- 名前: 天月 ID:
- 1話 旅立ち
「よし!! 準備できたか? “ユウト”」 「あぁ、出来てるよ、“クウト”」
黒い髪、蒼い瞳が印象的な瓜二つの少年がお互いの顔を見て―まるで鏡を見ているようだ―頷き、バックを手に取り、部屋を出て行った
「お、準備完成か、クウトにユウト」 「あぁ、やっと“外の世界”に行けるんだもんな!」 「っていうか、この“シンオウ地方”以外の地方な」
クウトと呼ばれた少年は「楽しみ」という文字が顔にかかれているくらい嬉しそうな顔をしていた 一方ユウトと呼ばれた少年は顔は緩んでいながら、少しだけ呆れて言った クウトとユウトは双子で、一応兄がクウト、弟がユウトだ この家は、シンオウ地方ソノオタウンに建つ屋敷――それが、神崎家で、ユウトとクウトの家であった そして、この二人はシンオウ地方のポケモン博士、「ナナカマド博士」の孫でもあったのだった―――
*
―マサゴタウン・ポケモン研究所
「「じっちゃーん!!」」
と、研究所の玄関ドアを開けて二人は入ってきた その研究所の向こうに、ナナカマド博士はいた すこし怖い貫禄のある顔をしているが、本当は子供好きな優しい博士だ
「おぉ、クウトにユウト。…今日だったな、旅に出るのは」 「そうだよ、俺達やっと、“レイシン地方”に行けるんだ!」
と、博士が二人に差し出したのは二つの機械。それも精密そうだ
「じっちゃん、これは?」
「これはな、“ポケモン図鑑”というものだ。ソノ名のとおり、ポケモンのデータを登録できる機会だ」 「へぇ……、で、これをくれるの?じっちゃん」 「あぁ、旅の祝いだ」 「シンオウの時はくれなかったのに…」 「ま、それはおいておき。私が授けたイーブイは元気か?」
そう訊かれ、二人は頷いてボールからポケモンを出した ユウトのボールからはエーフィ、クウトのボールからはブラッキーが出てきた
「おぉ…エーフィとブラッキーに進化したのか…」 「あぁ、もう一生のパートナーだよな、サン」 『そうですね』
「俺とナイトだって、な!」 『…あぁ』
まさか、この一年間でここまで絆を深めたのか…と、博士は感嘆をあげる 博士はゴホン、と咳払いをして、言う
「さて、シンオウを回った。次は…“レイシン地方”だ」 「レイシン地方…あ、“神が生まれた場所”ですね?」 「あー、あのレイシンかー」 「そうだ、船はミオシティから出る。これがチケットだ」
二人は博士から船のチケットを受け取る そして、二人は玄関へと踵を返した
「「んじゃ、行って来ます!」」
続く
2話 レイシン地方へ
ユウト視点
ミオシティから出る船に乗り、俺達はレイシン地方へ向かう どんな所なんだろうな……… あ、船が着く場所は……ワッカシティって場所か…
「なー…まだつかねーの?」 「もう少しじゃない?」 「おまっ、後何分何秒とかもわかんねーのかよ!」 「そういうのに無闇に“能力”使いたくないし」 「う………。でも、お前は羨ましいよな、“何も傷つかせない”能力でさ」
そういって、兄貴はその場から外れた。 ……何も傷つけないか…
「でも、俺はこの能力、嫌いだよ」
兄貴には聞こえないように、俺はそっと呟いた もっと、人を、救える能力が欲しい―――
*
暫くして、船はレイシン地方…ワッカシティに着いた 依然、兄貴は少しだけ機嫌が悪い。着いたっていうのに、なんなのさ一体
「ほら、行くよ兄貴」 「……ああ」 「何、俺なんかした?」 「別に、ユウトは何もしてない」 「なら機嫌直せよ、俺が困るから」 「はいはい。…で、何処に行けばいいんだっけ?」 「えーっと…もう少し行った所に“カムイシティ”があるハズだから…そこ行こっか」 「あぁ、カムイって確か…」 「うん、“神が生まれ、神が居座っている”場所」
確か、そこに俺達みたいな人も居る筈……どうだったっけな、まぁいいや
続く
3話 水色と銀の月
「んー、やっぱ故郷はいいねー」 「そうか……?」 「うん、でもトキワだっていい場所でしょ」 「…………まぁ、な」
ここは、レイシン地方カムイシティ 「神が生まれ神が居座る」神聖な街だ
「…んで、何処に行くんだっけ?」
茶色の髪、銀と蒼の混じった瞳の可愛らしい少女は隣に居る赤い髪に銀色の瞳が映える少年に訊く 少年は軽くため息をついて、言った
「…アオイ博士の研究所だろ。ついさっきユウリさんに言われたろ………」 「そうそう、アオイ博士!! って、そんなに呆れないでよ…“シルバー”」 「いつもこんな顔だ」
シルバーと呼ばれた少年は、ポケットに手を突っ込みながら呟いた 少女は、一瞬シルバーを睨んで言った
「ツンデレ」 「なっ!?」 「それとシスコン」 「ッ…五月蝿い!! さっさと行くぞ、“ユウナ”!」
シルバーはポケットから手を出し、ユウナと呼ばれた少女の手を握って先にズンズンと歩いて行った その顔は、髪と同じくらい真っ赤で
「…可愛い♪」 「…っるせ……」
***
「ここが、カムイシティ?」 「らしいね、うわ、壁が白い」
ソノ頃、ユウトとクウトはカムイシティに無事着いていた ユウトの言うとおり、家や建物の壁が真っ白だ 白、汚れの無い色。汚れ(悪)の無いこの街の象徴する色なのだろう
さて、着いたは良いものの、次はどうしようかと迷っている時、クウトのポケギアが鳴った
「もしもし…、あ、父さん?」 《あ、もうレイシンのカムイシティまで着いた?》 「あぁ、丁度今な」 《そっか、じゃぁさ、“アオイ博士”の研究所に行ってくれない?》 「アオイ博士って……じっちゃんの元教え子?」 《そ、結構判りやすいらしいから、お願いね》
と、ブツッと電話は切れた。自分達の父親とはいえ、随分とマイペースだな。と思った
「…んで、アオイ博士だっけ…?」 「う、うん………、判りやすいって、まぁ行けば判るか」 「そうだな、んじゃ行くか」
二人は、アオイ博士の研究所に向かって歩き出した
続く
3話 柊葵―ヒイラギアオイ―
「ここ……だよね?」 「………あぁ、ここだな」
だだッ広い草原にポツンと建つ一つの白壁の建物 それがアオイ博士の研究所だ ユウナの父…ユウリが言うには、彼女は“交換”や“道具”を使って進化するポケモンを中心に調べているらしい それで、シルバーとユウナが必要だ。と言われて二人はここまでやって来た
「…ま、“換える者”であるシルバーが必要なのはわかるけど、如何して私も……」 「問題のあるポケモンが居るから…かもな」 「ん〜………まぁ行けば判るか…こんにちはー」
そう言いながら、ユウナは研究所のドアを開けた 流石女性。と言うべきか部屋は綺麗に整頓されていた
「すいませーん、アオイ博士居ますかー?」 「あら、来てくれたのね。ユウナさんにシルバー君」
部屋の奥からやってきたのは、紺色の髪を後ろで縛り、紫の瞳をもつ、綺麗な人だった その雰囲気も大人っぽく、端麗な女性で、二人は少し見惚れていた
「あ、こんにちは!!」 「…こんにちは」
我に返った二人は慌ててお辞儀をし、次に訊いた
「あの、如何して私も?」 「えぇ、実は今日貴方達以外の子も来るのよ。……来たみたいね」
そうアオイ博士が言った時、研究所のドアが開いた そのドアを開けた人物は、ユウトとクウトだった
「あ、えと…こんにちは」 「こんにちは。昌斗さんとナナカマド先生からは話を聞いてるわ、ユウト君に、クウト君でしょう?」 「はい。………あの、あの二人は…?」
ユウトは、ユウナとシルバーを見て、アオイ博士に問うた アオイ博士は丁度良いわ。と言って
「さっき彼女にも教えようと思ってたの ……ユウナさん、彼らは神崎家の新跡取りよ そして、ユウト君クウト君、彼女は宝来家の跡取りよ」
そう言った後、部屋に静寂が走った その間シルバーはユウナに小さい声で聞いていた
「……神崎家、って?」 「んーと、宝来家と同じような家で、時間と空間を司る家なの……詳しくは知らないけど」
同じく、クウトもユウトに訊いていた
「宝来家って……?」 「俺達と同じような家で、確か光闇を司る家だった……はず」
未だ続く静寂に、耐え切れなくなったのかユウナは
「っていうか、如何してソノ神崎の跡取りがここに?」 「それはッ…強くなるためだよ!」 「確か神崎はシンオウ地方でしょ!? ならシンオウで…」 「シンオウはもう回ったんだよ!」 「ふーん、じゃぁ強いんだ!?」 「あぁ、人並みにな!!」
エスカレートしていくユウナとユウトの言い合いはついにこんな事を言ってしまった
「じゃぁ、勝負しよう!!」 「あぁ、いいぜ!」
と。シルバーは心の中で、終わったな。と呟いた クウトも呆れたように弟を見ていた が、そんな二人も犠牲となる
「タッグバトルでね!!」 「「はぁ!?」」
続く
5話 タッグバトル
「な、何言ってんだよ! ユウナ!!」 「いいじゃない、最近バトルしてないんだし。ね?」
そう言われ、シルバーは渋々承諾した それに、「バトルをしたい」と前に言ったのは他ならぬ自分なのだから
「で? えっと……」 「俺はユウト。で、こっちは双子の兄のクウト」 ((……逆かと思った))
「そっか、私はユウナ。んで従弟のシルバー」 ((背ェちっさ……))
お互いはお互いが血の繋がった様には見えない。とでも言うように見つめていた
「ま、お互い自己紹介も済んだし。やるでしょ? バトル」 「あぁ、いいだろ? 兄貴」 「まぁ、お前がやりたい言うんなら別に構わないけど」
そう言ったのでバトルは既に決まった。という事でアオイ博士審判で、5人は外の草原に向かった
「ただの実力調べだし、両者一匹でいいよね?」 「あぁ、あと、自分の手持ちでもっとも強いポケモンで勝負ってのは?」 「いいねそれ、ますますやる気が出てきたよ!! …じゃぁ、アオイ博士、よろしくお願いします」 「判ったわ。それではユウナ&シルバーvsユウト&クウトのタッグバトルを始めます 使用ポケモンは一匹、レディー…ゴー!」
その言葉を引き金に、4人はいっせいにポケモンを出した
「行っておいで、ルナ!!」 「オーダイル!!」
ユウナはルナ…ブラッキーを。シルバーはオーダイルを出した
「行けっ、サン!!」 「行って来い、ナイト!!!」
ユウトはサンを。クウトはナイトを出した ユウトは一瞬だけオーダイルを見て呟き、サンはそれに反応して頷いた 「オーダイル…サンならいけるよな?」 「フィッ」
「先手必勝だよ、ルナ!“電光石火”!!」 「ブラァッ!!」
ユウナは素早く指示をし、ルナはサンに向かって“電光石火”をした が、
「そうはさせねーよ、ナイトお前も“電光石火”でブラッキーの動きを止めろ!!」 「ブラッ」
ナイトはサンを守る様に、ルナの前に立ちふさがった 2匹は衝突し、一度主人の前に戻った
「やるな…。オーダイル、エーフィに向かって“水鉄砲”だ! …………は?」
シルバーはオーダイルに指示したが、オーダイルは“何故か”ダメージを負っていた
「ナイスだよ。サン、オーダイルにはやっぱり“草結び”で対抗しないとね」 「“草結び”…そうか、水タイプで重さのあるオーダイルには最適…というわけか」
ユウトのサンは、ルナとナイトが衝突している隙を狙ってオーダイルの足元に“草結び”をしていたというわけだった 予想外れの双子の強さに冷や汗を浮かべる二人。だがソノ顔は余裕の顔にも見えた
「…結構強いね。二人とも」 「あぁ。………だが、“勝てない相手”ではないだろう?」 「当たり前じゃない。寧ろ“勝てる相手”なんだからさ」
ユウナがそう言い、シルバーは薄く微笑んで頷いた
「ルナ、もう一度“電光石火”!!!」 「だから、無駄だって!!!」
ルナが突っ込むと同時にナイトも突っ込む その瞬間、ユウナは
「ルナ、ぶつかったっていい!“シャドーボール”!!!」 「ブラァッ!!!!!」 「なっ…!?」
先ほどと同じようにルナとナイトはぶつかった。がルナはぶつかる瞬間、口から黒い球体を出し、サンの方へ放つ
「!? サン、避けろ!!」 「無駄だ。オーダイル“切り裂く”!!!」
横に気を取られていたサンは切り裂くを受け、直後にシャドーボールを受けた シャドーボールは効果抜群で、切り裂くの攻撃力も強いためサンは戦闘不能なり、その場に倒れた
「サン……。お前はよく頑張ったよ。お疲れ様」 そう言い、ユウトはサンを抱き上げた 「頼んだよ。兄貴、…っても、不安だけど」
(…ルナの体力はまだある。オーダイルのほうはギリギリ。ってところか…… 俺のナイトもルナと同じくらい…、なら)
「オーダイル、ブラッキーに“冷凍パンチ”!!!」
サンの近くに居たオーダイルは、すぐにナイトのそばへ行き、冷気を帯びた拳をぶつけた
「………。“しっぺ返し”」 「ブラッ!」
ナイトは冷凍パンチを耐え、オーダイルにしっぺ返しをした 攻撃された後なら攻撃力の上がるこの技。体力(HP)の少ないオーダイルは戦闘不能になった
「くっ……。よくやったな。オーダイル 頼んだぞ。ユウナ」 「えぇ、任せて」
シルバーはオーダイルをボールに戻し、ユウナに託した
これで両者残り一体ずつ。それに同じポケモンだ
続く
|
Re: 光と闇の時空神 ( No.11 ) |
- 日時: 2010/09/06 23:42
- 名前: 天月 ID:
- 6話 勝負の行方
(電光石火で決めてもいい。でも向こうはしっぺ返しがある…どうするか……な)
「…ナイト“影分身”!!!!」
ナイトは指示に瞬時に反応して影分身をして自分自身と分身でルナの周りを囲った 普通なら本物を探すために慌てるはずだが、ルナにその様子は見られない それに不審に感じるクウト
「…ルナ“騙し討ち”」
ユウナがそう言い、ルナは本物のナイトに攻撃をし、分身は全て消えた
「なるほどね……あの余裕は騙し討ちがあったからこそ、か……」
騙し討ちは必ず命中する技。たとえ影分身を使っていても、だ
「…お互い、“墓穴を掘る技”を覚えてるわけかよ……」 「そーみたいだね、まぁ…」
「「負けないけど(な/ね)」」
両者一歩も引かず。と言った所か ブラッキーは元々特防と防御が高く、素早さが低い だから電光石火の温存、しっぺ返しを覚える というように組み立てられるのだ この勝負はソノ自分が組み立てた攻撃をぶつけ合う。という意味になる
「……ルナ、小細工なしに勝負つけよっか」 「ナイト、次は作戦とかなしに、全力でぶつけるぞ」
主人の言葉に、ルナとナイトは頷く そして、二人は同時に
「「ルナ/ナイト、“悪の波動”!!!!」」
同時の指示、そして同時に2匹から邪悪な衝撃波が発し、ぶつかりあって、その反動で煙が生じた
煙が晴れた頃、勝敗が見えた 2匹はギリギリの状態でまだ立っていた が、力尽きたように倒れたのは――――
「ル……ナ………。如何して……」
ユウナは膝を突いて弱々しく呟いた ルナを両手に抱えて
「“月の光”だよ。俺のナイトはあの煙の中で“月の光”をして少しだけ回復した。ギリギリだったのは変わりないんだけどさ」 「“月の光”……そっか。それで…… 強いね二人とも。久しぶりに負けてもすっきりしたよ!!! ね? シルバー」
立ち上がり、本当に吹っ切れたような顔を見せたユウナに、一瞬シルバーは見とれていたが、すぐ我に返った
「あ、あぁ……。そう、だな」 「私もまだまだだなー…これじゃ、到底“アノ人”になんて……」 「………。」
そして、ユウナは二人の傍により
「ね、“友達”にならない?」 「友、達………?」 「そ。思い切りぶつかりあった者同士、ね!!」 「………うん。よろしく、な。ユウナ」 「うん!!」
そう言って、多分今日最高の笑顔を見せたユウナに二人は顔を赤くした そしてその訳を知るのはこの時点ではシルバーのみとなる
「ふふ、流石ね。“図鑑所有者”同士のバトルは」 「……図鑑、所有者って……」 「図鑑所有者?」 「………マジかよ」 「な、なんだ。それ……?」
続く
7話 図鑑所有者
「で、図鑑所有者。って何? ユウナ」
ちなみに、in研究所。ユウトは先ほどの“図鑑所有者”のことについてユウナに訊いていた
「えっと、ポケモン図鑑事態は知ってるでしょ?」 「うん。これだよね?」 「そ。それはね博士から認められた“特別”なトレーナーしか貰えないの で、私達のことを皆は“図鑑所有者”って呼んでるのよ」 「「へー………」」
ユウナの判りやすい説明に、ユウトとクウトは感嘆の声を上げた それを横目で睨みながらシルバーは紅茶(甘い方)を飲んでいた
「…あ、アオイ博士。そういえば俺に用があるって………」 「あぁ! すっかり忘れてたわ。シルバー君、貴方の“換える者”としての才能を見込んでちょっと手伝って欲しいのよね。こっち来てくれる?」
そう言われ、シルバーは研究所の奥へと向かった
「……“換える者”って?」 「んと、所有者の代名詞の事。私達は何かしらの能力に長けていて “戦う者(ポケモンバトル)”、“育てる者(ポケモン育成)”、“化える者(ポケモン進化)”、癒す者(ポケモン回復)”、“孵す者(ポケモン孵化)”、“換える者(ポケモン交換)”、“捕らえる者(ポケモン捕獲)”、“魅せる者(ポケモン美しさ)”、“挑む者(ポケモン挑戦)”、鎮める者(ポケモン癒し)” で、私は“繋ぐ者(ポケモン対話)”だよ」 「随分多いな……11人もいるのか?」 「そうね、でも今は13人。貴方達もいれて、ね」 「……それじゃ、俺達もあるよな、そういう能力。な? ユウト」
そうクウトに訊かれ、一瞬目を伏せてから「そうだな」と淋しそうに笑って言った
「……。ん、じゃ!! 俺達はもうそろそろ行くか」 「え、あ、あぁ……」
重い空気を無くそうと、クウトは椅子から立ち ユウトに言った
「もう行くの?」 「あぁ。膳は急げってな」 「膳じゃないだろ。…それじゃ、またなユウナ」 「うん。またね!!!」
***
「……ごめんな」 「別に」 「怒ってる……よな」 「別に。怒ってない」 「………ごめん、な。お前が……“神継ぐ子”として生まれて来た事を後悔してるの、俺が一番判ってたのに………」 「仕方ないよ。“運命”だもの」
―でも、きっと、幸せになれる……そう思う―
続く
8話 月の夜
その日の夜。ユウナの家―宝来邸―へと二人―ユウナとシルバー―は帰路についていた
「7月でもやっぱり夜は寒いねー……」 「だな。……そういや、ユウナは……やるのか?」 「え? あぁ……“ジム制覇”? それとも、“チャンピオン制覇”?」 「……可能なのは、ジム制覇、だろうな」 「ねー。あの人は勝負事になると鬼畜になるから……」
あははー。と苦笑いをしてユウナは言う まぁな。と半ば呆れるようにシルバーも相槌をうった
「でも、やってみようかな」 「……そうか。なら俺も着いて行く」 「ふぇ? どして?」 「俺は一応、お前の……い、とこだし……」
そこで照れるか。とツッコミたくなるが、あえてしないでおこう ユウナは一瞬きょとん、としてから笑って
「ありがとう。シルバー」 「………………フン」
*
「そういえば、シンオウにもあるように、こっちだってジムあるよな?」 「あー…あるかもね、……やるの?」 「あったりまえだろ。ユウトもやるよな?」
子供のように(15歳)目を輝かせて、こちらを見る兄に ユウトは内心「ガキ」と思ったが、あえて言わないで置いた
「……ま、やろうかな」 「よっしゃ!!!! “また”頑張ろうな!!」 「…………あぁ、“二人で一緒に”な」
おう!と元気よく返事をするクウト ユウトは少しだけ微笑んだ後、あ。と声を出した
「……泊まる場所、どうしよう」
数十秒後、クウトが夜にも関わらず叫んだのはいうまでもなかった
続く
9話 新人?
場所は変わって、ここはカントー地方のマサラタウン そして、その郊外にある一つの一軒家でちょこっとした物語が始る
明らかに不満そうな顔をしている赤い瞳の少年 そして明らかに呆れた顔をしている青い瞳の少女が居た
「俺、嫌われてるのか?」 「さぁ? アノ子に限ってそれは無いと思うけど?」 「いや、でもさ、最近連絡すら……」 「忙しいのよ」 「それに、何故シルバーなんだよ」 「従姉弟だから」
もういい加減にして。と言う様にソファに寝転がる友人を見下す少女 少年は先ほどからブツブツと小言を言っていた
「なら、電話すれば? “レッド”」 「……もうちょっと待ってみる」
レッドと呼ばれた少年は、希望を捨ててないのか自分からは電話しなかった 少女…“ブルー”は、まったく…。と呟いて長い栗色の髪をかきあげた
ちょうど、その時レッドのポケギアが鳴り 飛び起きるようにレッドは、通話ボタンを押した
《あ、久しぶり! レッド!》 「あぁ、久しぶりだな。ユウナ!!」
電話の相手は、レイシンに居るユウナからだった 実はこの二人、世に言う恋人同士の関係にある ……とは言うものの、現在遠距離恋愛中なのだが
《あのね、実は今日。新しい図鑑所有者にあったの!!》 「……新しい、図鑑所有者? まじで?」 《うん、双子の男の子だったよ!》
と言った時、ピシリ、とレッドは固まった ソノ後、尋問するように
「な、なにもされてないよな!?」 《な、なんかって。何が…?》 「……ならいい」 《?》
電話の向こうでハテナマークを浮かべているであろうユウナだったが、すぐに話題を戻した ブルーは「バカね」と心の中でため息をついた
《あ、でね。ソノ二人。神崎家の人だったの!》 「……神崎って、あの時空を司る?」 《そ!! シルバーとダブルバトルやったんだけど、負けちゃってさ〜》 「ユウナが!?」 「シルバーも。って言ってるでしょうに」
どんだけシルバーの存在無視してんの。と言いたげな顔をしてブルーはレッドを睨んだ
「あ、どんな名前なんだ?」 《えっと、お兄さんの方がクウトで、弟の方がユウトって言うんだよ》 「(……ユウナと名前似てるな)へぇ、いい名前だな」 《ねー。あ、あとね私レイシンのジムとか制覇するまで帰らないから!! じゃあね!》
と言ったあと、ユウナからの通話は途切れた
「……あ、はは、ははは………。俺もレイシンに行けばよかった……」 「自業自得よ」
続く
10話 最初の行く先
―翌日
泊まる場所もなかったため、二人はその辺で野宿をしていた ちなみに、二人はシンオウを旅している時はホテル(スウィートルーム)に泊まって居たんだとか 初めての野宿で二人は少し寝不足であった
「……次の町って、何処?」 「えーっと……ここはカムイシティだから次は…… “炎を祀りし街、イレスシティ”だって」 「炎を祀る…? なんか神サマでもいんのか?」 「…いや、ただ単に。炎が称えられてるだけだろ」
家のせいだからしょうがない。と思いつつも この「祀る=神サマ」という方程式はどうかと思っているユウトだった
「―――――あ。この街、炎タイプ使うジムリーダーいるっぽい」 「まじで!? よっしゃ、早く行こうぜ!!!」
クウトはユウトの腕を引っ張って ユウトはやや引き摺られながら歩いていった
***
「よーし、最初に挑戦するはイレスシティジムリーダー、レイラに挑戦するわよー!!!」 (朝っぱらから元気なことで………)
低血圧なシルバーは、期限の悪そうな顔でユウナを見ていた ユウナは疲れ知らずのようでウキウキしながら出発の準備をしていた
「……あれ、ユウナ。カーディガン…ちょっと違う?」 「あ、よく気づいたねー。この前お父さんが『もう暑くなるから』って買ってくれたんだよー」 「ふーん…(男の大人が女の服を……ねぇ…)」
まぁ、“母親が居ない”のだからしょうがない。とシルバーは割り切った そのカーディガンは、昨日までのと色は同じだが 長袖では無く、半袖になっていて、袖口に小さなレースが施されてあった そして、明るい茶色を基調にした肩下げバックを持ち、濃い水色に白いリボンのついたマリン帽を取り、階段を下りて行った
「あ。似合ってるねー」 「ありがと、お父さん!!」 「……シルバー君、暑くないかい?」 「いえ。平気です(多分)」
ユウナの父…ユウリはシルバーの黒いフリース姿をみて少し心配そうな顔をして言った
「……それじゃ、行ってきます!」 「行ってきます……」
ユウナとシルバーは玄関で靴(ユウナはブーツ)を履き、旅へ出ようとしていた
「うん、頑張ってね。……挑戦してくるの、楽しみにしてるよ」 「うん! 負かさせてやるからね!!!」
そう言い、ユウナとシルバーは家を出て行った
「……ふふ、僕も娘だからと言って容赦はしないけどね」
家に一人残ったユウリは楽しそうな笑みを浮かべ、呟いた
続く
|
|