双子の旅 ( No.11 ) |
- 日時: 2011/04/03 00:01
- 名前: れいず◆lIM97kjX4s ID:5Ax88XK2
- 研究所まで5分程度。研究所につくと、待っていたかのように父が出迎えた。相変わらず研究所内はゴチャゴチャしていて、二人とも思わず「うわぁ」という声が出てしまった。
父は一度研究室の奥に入っていき、すぐに戻ってきた。手元には、二つのモンスターボールがあった。父の話によると、二人の旅に捧げるポケモンだそうだ。
「これは……」 「ああ、今や珍しいイーブイというポケモンだよ。二人ならもう知ってるよね?」 「……たしか、レッドが持っていましたね」
希少価値があるイーブイという進化ポケモン。昔一緒に旅した「レッド」という少年もこのポケモンを持っていた……というより、悪の組織から保護したという方が近いだろう。 なぜ父がイーブイを持っていたのか。それはたまたま見つけたのだろう、と二人は自己完結させた。
「イーブイは今のところ3種類に進化する。でも、新たに別の形態に進化するという情報を得たんだ。それも2種類」 「2種類も? 進化条件とかはわかってないの?」 「んー……昼と夜に関係があるらしいね。何かの条件があって昼、あるいは夜に進化するんだろう」 「――――つまり、私たち2人で2種類に進化させてほしい、ってことですね」
その通り!! と父は彩華に指を指す。そんな理由は、陽彩にでも分かっていた。 そんなわけで、二人はオスとメスのイーブイを父から受け取った。そして、二人はそれぞれもう1匹のポケモンも出した。
「カチュ!」 「ピピ!」
2匹のピカチュウの「カチュ」と「ピピ」。カチュは彩華のポケモンでオス、ピピは陽彩のポケモンでメスだ。昔、神樂家の近くにいたのを捕獲した。そのため、もう何年ものパートナーだ。
「カチュ、新しい仲間のー……そう、「イブ」ですよ!」 「んー、じゃあ……「イィ」だね!」
二人はイーブイに「イブ」と「イィ」と名前を付け、カチュとピピに紹介すると、2匹とも新しい仲間ができて嬉しい表情でいる。 更に、父はまた研究所の奥へ行き、数分してから再び戻ってくると、二人にあるものを渡した。色々と渡してきたが、二人とも赤い箱のようなものに目が行った。二人は、それが何かは知っている。
「「ポケモン図鑑?」」 「そう! 流石は私の娘だ!」
いや、レッドが持ってただけだし……と二人とも内心思うがあえて口にはしない。 父は二人に幾つかモンスターボールを渡し、更にブライトシティの地図や、何かの青い箱を貰った。バッジケースで、二人がこの旅で手に入れたバッジを入れるようにと、母から言われたらしい。 二人はそれぞれ、陽彩は紺色のリュックに、彩華は同じく紺色の肩掛けのバッグにそれをしまった。陽彩はベレー帽を深くかぶると、父は少し寂しそうな表情を見せた。
「もう行くんだね?」 「大丈夫ですよ。心配しなくても私たちは自分達でどんなことにも乗り越えますから」
彩華の言葉に「そうそう!」と陽彩も乗せてくる。それまで父の心には心配があったが、それも和らぐような二人の表情に参ってしまった。 決心を決めた二人は、いよいよ旅に出るため、改めてバッグやリュックを持ち直し、服装も整えた。研究所が出ると、すぐそこに自分達の母が出迎えてた。
「……行ってきな。強くなりなよ」 「「……はい!!」」
母が、必要最小限の言葉を言わないこと、その性格を把握してるため、二人はあえて何も思わず旅を始めた。母は、二人の背中が見えなくなるまで、ずっと旅の様子を見たのだった。
そこから数分は、二人とも何も口にしなかった。いや、話す話題が無かったと言う方が正しいか。お互いの顔も見ず、ただ前や下を向いて歩いているだけだった。 そんな苦し紛れの状態の中から、まるでその不穏な空気をぶち壊すような行動をしたのは姉のイロハだった。突然、手に付けているもの――――ポケギアをいじると、電話機能を使い、とある人物に電話を掛けた。
「あ、もしもし、レッド?」 ≪――――イロハ? どうしたんだ?≫ 「っちょ、え? れ、レッド!!? なんであんたレッドの番号知ってるのよ!!!!」
それはかつて一緒に旅をしたレッドだ。イロハはレッドにあらかじめポケギアの番号を聞いていた。なぜヒイロがこんなに怒っているかというと、レッドに番号を聞いたのに自分には教えてもらえなかったからだ。 旅のことを伝えると、それだけですぐ電話を切った。本当はもう少し話したいところ、ややこしい人(ヒイロのこと)がいるためにあまり長話はしなかった。 電話を切ったその直前、イロハのポケギアをヒイロは奪った。レッドの番号を盗もうとしたのだろうか、しかしヒイロの「すかい★あっぱー」にてそれは断念してしまった。
「人のプライベートを見てはいけません!」 「プライベートて……どうやったらレッドに教えてもらったのさ?」 「え? 「教えなさい」って言ったら教えてくれた」 「命令形!?」
ヒイロはすぐにイロハを突っ込んだ。自分があれほど頼んでも教えてくれなかった番号をイロハにはあっさりと教えたことで、レッドを少し恨むようになったヒイロ。 もしやレッドは姉が好きなのか? とうーんとヒイロが考えているとイロハは勝手に先に行ってしまっていた。ヒイロはすぐに向かって「待って!」と言いながら息を切らして走り続けた。
「――――で? これから何処に行くの?」 「とりあえず隣町の‘ブロンズタウン’ですね。ルートなどはそれから考えましょう」
二人は父から貰った地図で、場所を確認しつつ目的地について話していた。 カンラクシティから一番近い‘ブロンズタウン’は二人も買い物なので行ったりする。大豪邸に住んでいるとはいえ、二人はほかの人とは変わらない、庶民的な生活にあこがれているため、普通の質素なご飯だって食べるのだ。 うーんと考えるヒイロに、文句ありますか? と少し脅し気味のイロハ。ヒイロは少し鳥肌が立つも、頷くほかなかったので、とりあえず首を縦に振っておいた。
「おっし、じゃあまずブロンズタウンに行くとしますかー、おねーさん」 「そうですね。あとその呼び方やめてください」
再びイロハから裏がありそうなニッコリ笑顔がヒイロの視線に突き刺さる。この姉、実は怒るとすごい恐いことをヒイロは知っている(ネタ的な意味で)。 そんなこんなで、二人の旅がスタートしたようなのだが……。
「……ふぅん、あれが神樂家の娘……か」
――――忍び寄る影になど、二人は気付くはずもなかった。
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