Re: 2010年秋企画【投稿期間10/16〜11/6】 ( No.22 )
日時: 2010/11/06 12:33
名前: はっぱさん ID:

《題名》雨上がり昼下がり
《部門》A
《テーマ》雨



 悪い時って悪い事が重なるもんだ。
 例えば、今日は授業が半日だった。
 用事もあったのでさっさと帰る事にする。
 そうしたら傘が盗まれた。
 傘立てに入れたはずの傘が何故か無いのだ。
 違うクラスの傘立てに俺のと同じ傘が何本か混ざっていたが、コンビニで買ったビニール傘なので、同じ傘だが俺の傘である保証はない。
 そんなわけで、俺は傘を諦め、雨の中走って駅へ向かう。
 もちろんずぶ濡れになった。
 制服はもちろん、中まで水浸しである。
 タオルなど持ってるわけもなく、髪から雨水が滴っている状態で立ち尽くす。
 見事に乗り遅れた。
 次の電車まで一時間。
 びしょ濡れの俺を避けるように通行人が歩いていく。
 思いっきり目立ってるのがまた恥ずかしい。
 時間を潰すにもこのなりではコンビニにも書店にも入りにくい。
 だからと言って、このまま駅で晒し者になっているのも勘弁だ。
 とりあえずトイレにでも行って制服の水気を絞ろう。
 そう思って踵を返した、その時だった。
 本日最悪っぽい出来事が俺を襲う。

「あ」
「……」
 バッチリと目が合ってしまった。
 それがクラスの奴とかなら、全然ましだ。
 全然ましと言う言葉は無いらしいが、本当にましな方だ。
 中学の時に好きな人がいて、卒業の時に告白したのだが、見事なくらいに玉砕した。
 仲は良かったと思う。
 三年間同じクラスで、たぶん一番よく話していた。
 それでもふられた、その相手が目の前にいた。
 彼女とは高校は違うが、高校の場所は近いため、今でもたまにすれ違ったりする。
 だが、お互いに避け合う感じで、卒業から二年以上話した事もない。
 最悪だ。
 こんな姿は見られたくなかった。
 今でも好きだったから。
 水浸しの格好が情けなくて、そして、彼女がこんな情けない奴の知り合いだと思われたくなくて、何も言わずにその横を通り過ごす。
 人混みの中に消えてしまいたいと思ったが、皆がずぶ濡れの俺を避けるため、そうはならなかった。

 本当に……最悪だ。

 そう思った瞬間、頭の上にそれは降ってきた。
 真っ白なスポーツタオル。
「なんて格好してるのよ、あんたは」
 二年ぶりに掛けられた声、二度と掛けられるはずのなかった言葉。
「傘は忘れたの?」
「……パクられた」
 惨めなのと嬉しいのと、どちらが大きいのか計りきれなくなり、涙が溢れそうになって、彼女に背を向けたまま呟く。
「あっちゃ……そりゃ運が悪かった……て言うかパクり返せばよかったのに……」
 それが出来るあんたじゃないけどね、と笑いながら乱雑に俺の髪を拭く……と言うか掻き回す。
「つーか、背伸びた? 髪拭きにくいんだけど」
 二年前はそんなに差がなかったはずの身長が、今は頭一つ分くらい違う。
「え……そうかもしれない」
「いや、拭きにくいから屈めって意味なんだけど……はい、終わり」
「あ……ごめ……」
「より先に言う事ない?」
 彼女は俺が言い終わるより先に釘を刺す。
 そう言えば、昔からそうだった気がする。
「……ありがとう」
「よろしい」
 彼女は道端にタオルを絞るとそれを投げて渡した。
「服も拭いちゃいなさい」
「ありがとう」
 俺は制服の水気を吸っては絞るを数度繰り返す。
その途中で彼女が尋ねてきた。
「あんた、今日暇? あたしさ、買い物に行きたいんだけど」
「うん、暇」
 そう言えば何かあったかもしれないが、即答で返す。
 彼女に比べたら大した用事じゃない。
「よし、じゃあ付き合え」
「わかった、タオル貸してくれたお礼にどこまでも付き合おう」
 俺達は笑う、二年前と変わらず。
「お、雨止んだかな?」
「止みそうだね」
 色々とあったが最終計算プラスで。
「じゃあ行こ」
「どこ行くの?」
 雨上がりの空、昼下がりの街。
「てきとー」
「へ?」
 俺達は歩いていく。








HHHHHHHHHHHHHHHHHHHH
構想5分
執筆45分
ごめん、許してw