Re: 2010年秋企画【投稿期間10/16〜11/6】 ( No.20 ) |
- 日時: 2010/11/06 00:11
- 名前: NOTロリコン ID:
- 作品タイトル:平凡シンパシー
部門:A テーマ:橋
『平凡』という言葉の類語を探すと割と多く出て来るもんだ、『天才』を探すと比較的少なく『平凡』の半分ぐらいで、『馬鹿』を探すと『平凡』の二倍ぐらいある。 見下されるたびに倍プッシュされているのだが、やはり人間も生物の本能的性質上排他的な一面が見え隠れした結果なのかねー。 でも考えてみろよ。人ってさ、人を褒めるときより貶す時の方が勢いが籠ってて、何となく活き活きしてないか。 いやこんなこと言ったら世間体と言うか常識的良識的普遍的に人としてまずいんだろうけどさ、生憎俺は『平凡』だから音楽室にあるアレ(後で調べて『メトロノーム』と分かった)のように感情や意見がチックタックするわけ。 ポケモンスクールの成績は中の上の低、分数で言うと30分の13くらいだ。どうだ、的を射てる表現だろう。 どうでもいいけど今の番号、俺のライモン第三ポケモン育成ハイスクールでの成績の順位。部活動での100m走の記録は47人中23位、『平凡』と言わずして俺を他に何と言う。
『天才』過ぎても『馬鹿』過ぎても疲れるのだ、やっぱ『平凡』サイコー。 そんな平凡な俺は今日は部活が無いので西に傾き始めた太陽の光を浴びながら、ホドエモの跳ね橋を渡っているところだ。 明るいな。この自転車のライトが『平凡』だとするならば、太陽は『神』だね、ゴッドだね。 いつもと違った気分で帰路についている俺が最近流行りのアニメのオープニングを口笛で奏でている最中、そいつは突然訪れた。 いやいや、訪れたという証言は適格ではないかもしれない。『平凡』な俺でもそれぐらいの語彙力はあるつもりだ。
――如何にも取り柄が無さそうなポケモンが、捨てヨーテリー見たいにダンボールに入れられて置かれているんだが……あっ、なんか火噴いた
まあだからと言って別に俺の自転車の運動エネルギーがブレーキによって熱エネルギーに変換されるかと言うとそうではなく、そのまま運動エネルギーを保ち続けた。 互いに互いを見た瞬間に分かった。何て言うか、凡庸同士の何かが一致した感じ。 あぁ、こいつも平凡なんだな――ダンボールに入って捨てられたポケモンにそんなこと考えられたのかと思うと何か少し腹が立つが、感じたものは仕方ない。
俺はそのまま自転車を走らせ、特に迷うことも無く家へと帰った。 これで俺に文句を言える奴がいるなら言ってみやがれ、人間ってのは第三者視点にいると偽善者になって自分だって出来もしねー事を無責任に言い放つ生き物だからな。当然、俺だって政治家や教師に同じような感情を抱くことがあるさ。 人間は身勝手な生き物だ。だからあんな風にポケモンを捨てるし、面倒だから拾わないで放っておく。 ベッドに項垂れるように飛び込んだ俺は十分ほどぐーたらし、本日の数学の宿題を終わらせるべく机へ。 俺の平凡さはここでも発揮される。分かるのは基礎問題の第三問目ぐらいまで、その後は時々分かる、応用になると極稀に分かるレベル。 いくら考えたってわからねーよ。あとは明日ジュースでも掴ませて見せてもらおう。
……布団に寝転がっていたら寝てしまっていたのか、窓の外はもうすっかり暗くなっていた。 紫色の空を隠すように鉛色の雲が覆いかぶさっており、灰色のシートから零れる水滴がしとしとと旋律を響かせる。 何かを考えるより早く、タイミング良く晩飯に呼ばれた。今日の晩飯は秋刀魚のムニエルにシジミのみそ汁、白米、何とも『平凡』な献立だねぇ。 早いとも遅いとも言えない早さでそれなりに良く噛んで食事をしていると、外の雨の音が一気に激しさを増す。 あーやだやだ、今日は早く帰ってこれてマジで正解だった。部活があったらこんな雨の中帰ってくる羽目になって、しかも途中で雨に打たれるあいつに……あいつに…… どうしてんのかな、あいつ。俺が言うのもなんだけど、あんな見てくれも存在感も『平凡』な奴を、誰かが拾ってくれるとも思えない。 くっそ、何で俺があんな奴のことで悩まなくちゃいけないんだ。別にあいつとはただ橋ですれ違って、一瞬目が合っただけじゃねーかよ。 なのによ、なんだって俺は今玄関に居るんだ? そんでもって何で両親の制止を無視して傘持って走り出してるんだ? わからねーな。『平凡』の俺が行うにしては、少しアドベンチャー染みた行為じゃねーの?
橋に行ってみると、あいつは相変わらずそこにいた。さっき見たより、弱々しく震えていた。 自転車のスタンドを立てた俺はダンボールへ近づき、そいつの上に傘をかけてやった。 何故か薄ら笑っている俺が何も言わずに踵を返すと、そいつはダンボールから出て後ろについて来た。 俺は自転車に跨らず、手で押しながら、『平凡』同士傘に入って帰路につく。 こんなの『平凡』な俺のキャラじゃないんだけどな。何でだと思う?
そう、俺は感じたんだよ。『平凡』同士のシンパシーってやつをな……
〜 FIN 〜
ようやくA部門に出せた。丁度2000文字、何とかなるものだ。 今回はと言うか毎度だけど一人称小説で、主人公が何ともまーやる気無い奴と言うか、テンプレ染みた奴だねー全く。 作中に登場したポケモン、アレは皆おなじみ『クイタラン』です。不憫ポケモンの座を手に入れた掲示板のアイドル。 前半後半全くつながりが見えないね、そうだろう? 俺も見えない。自分で自分が分からない。 まぁ平凡に生きるのもいいけど、やっぱり夢を持って活力を持ちたいね。前に出した奴と今回の、何か正反対のベクトルだなー。 俺的には、この主人公も何となく好きなんだけどね。
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