Re: 2010年秋企画【投稿期間10/16〜11/6】 ( No.2 )
日時: 2010/10/18 02:55
名前: Rという名の作者 ID:

『レインハロウィン』

 ザァァァァ、という屋根に水が当たる音が聞こえる。どうやらかなり大粒の雨が降っているようだ。
 キッチンでせっせとクッキーを作る手を止め、ふと窓の方を見る。窓はびっしょりと濡れて、普段見える景色がまったく見えない。何時の間にこんなに降りだしたんだろう?

(どうしましたマスター? あら、随分と降ってますね)

 手伝いをしてくれているエーフィがこちらにやってきて窓を見て一言。ちなみにこいつテレパシーを使いこなす珍しいエーフィ。長年修行してやっと習得できたのはいい思い出である。
 しかしこう大量に降りだすと、今日は誰も来ないかもしれない。毎年近所の子供や野生のポケモン達にクッキーやお菓子を配っているのだが、この雨だと来れないかもしれない。折角のハロウィンなのに少し寂しいな。
 ま、いざとなれば明日にでもおすそ分けすればいいし……仕方ないさ、うん。

(はぁ、折角美味しそうに焼けたのに……)
「彼氏が来ないかも知れなくてがっかりかい?」
(そ、そんなこと!? ……ありますけど)

 さぁっと頬を紅く染めるエーフィ。知り合いの手持ちであるブラッキーと恋仲であるこいつは時たま勝手にいなくなってデートを楽しむ。
 俺にはまだもう一匹いるから別に構わないが、それでも一言声をかけてほしいものだ。まぁお互い公認の仲だから構わないけどね。
 ……そういえば、もう一匹の相棒は一体どこに?

(フタチマル君なら外に修行しに行くと先ほど。まぁ彼は水タイプですし、大丈夫じゃないかと)

 あぁ成程。最近仲間になった彼は強くなりたいとこれまた勝手にいなくなって修行をしている奴。まぁ確かに水タイプだし問題ないだろう。
 というかエーフィ、心を読むな心を。別にいいでしょ? と言いたげな顔をしている。まったくもう……。
 ふと、ドアの方にカリカリと言う音が聞こえる。何だろうとドアを開けると、そこにはびっしょりと濡れているポチエナが一匹。……いや、他にもオタチやらマメパトやらもちらほら見える。毎年クッキーをねだりに来る野生ポケモン達だ。

「あらら、こんなになってまで来る事ないのに……エーフィ、タオルを数枚持ってきてくれ!」

 わかったわ、と脳に直接語りかけた後にさっさと走っていく。玄関に彼らを入れて拭いてあげた後に家へと招き入れる。
 相当打たれたらしくかなり寒そうだ。仕方ないので大きい皿にミルクを並々と注いで温める。
 少し熱いぐらいであったが、彼らは嬉々としてミルクを飲む。さっき焼いたクッキーも一緒になって食べ初め、キッチンはたちまちにぎやかになった。

 ――外を見ると、相変わらず雨が降り続いている。だけどたまには、こんなハロウィンもいいかもしれない。

〜END〜


〜あとがき〜
『A』部門、『雨』でついでにハロウィンも兼ねてみた。
タイトルとかを省いたら1104文字、加筆修正しなかったら1000文字切ってたとか……。
お目汚し失礼しました! でわ!