因縁の戦い ( No.50 )
日時: 2010/12/30 19:05
名前: あずらび◆2UZxO8bG3w ID:399BcPf2
参照: うわああああああ

「次の街は“アヤメシティ”って所だって」
「どれどれ……“研究員が集う街”? なんか嫌な感じしかしないんだけど……」

 アリスは、タウンマップを見て歩きながらそう言った。クウもそのタウンマップを見てちょっと目を吊り上げながらそう呟いた。
 前回、ジムバッジを手にしたクウは、アリスと共にプラントシティを跡にし、次の街へ向かおうとしていたのだった。

「でもジムあるよ、この街」
「本当!?」

 ほら、と言ってアリスはタウンマップ上にあるジムのマークを指さすと、クウの瞳が突然炎のように燃え上る様子が感じられた。

「よぉし、一日でも早くその街についてジム戦を挑むぞー!!」
「ちょ、ちょっとクウちゃ……!」

 既にジム戦ができるということにクウは燃え上っていて、アリスの言葉など耳にすら入らなかった。だが、アリスは大事なことを言いたがっていたようだが、クウの様子を見てそれを諦めた。
 すると、近くの草むらからオレンジ色の小さなポケモンが出てきた。二人とも、よくぬいぐるみとかで見たことのあるポケモンだった。

「ひ……ヒメグマだぁ!!」

 額の三日月模様が特徴的なヒメグマ。その愛らしい姿は、よくポケモングッズコーナーで見かけることも少なくはない。そして、クウもそのハートを撃ち抜かれた一人である。
 そして、一瞬にして頭の中で“ゲット”という単語が出てきて、頭の仲をそれで埋め尽くした。ようは、捕まえるということだ。
 クウは自分の肩にいたライトを戦闘に出し、攻撃指示を出た。

「ライト、砂かけ!」
『ブイッ!!』

 ライトは野生のヒメグマに砂かけをし、技を当たらせない様にした。しかしそれでもヒメグマは我慢強いのか、それを耐えることができた。
 その我慢強さに、クウはますます野生のヒメグマがほしい気持ちが高まった。今度は体当たりを指示し、ダメージを喰らわせていた。
 攻撃は順調、あとはボールを投げるだけだ。バッグからモンスターボールを取り出し、すぐにヒメグマに向かって投げた。


「よし、シャイン、そろそろいいぞ。疲れただろ」
『ブイブイ!!』
「悔しい気持ちはわかる。でも――自分の体調管理をきちんとできねーと、いつまでたっても強くなれないぞ?」

 同じ頃、クウ達とはそんなに離れない場所で、ヒナタはポケモン達とバトルの特訓をしていた。
 しかし、ヒナタはいつもとは違う雰囲気でそれをやっていた。ちょっとだけ光のない目に、ポケモン達も我を忘れるかのように荒い特訓をしていた。
 主人――ヒナタが元気ではない、というのもあるのだがが――――。

「確かに俺はスイセンさんに負けた。でもそれは、お前らが弱いんじゃない。俺の実力不足なんだ」
『ブイ! ブブーイ、ブイ!!』
「大丈夫だ、ゆっくり強くなって、またジム戦を挑もうぜ。その代わり、絶対にバッジをゲットするんだからな!」

 どうやら、ヒナタはクウ達よりも一足先にアヤメシティに行き、ジム戦を行った。しかし、“スイセン”というジムリーダーに惨敗してしまい、ヒナタは一度引き返して特訓を始めた。
 そんなヒナタのために一生懸命頑張るポケモン達を見て、ヒナタは無理をしてほしくないとでも思ったのか、特訓を中断し、休憩に入らせた。
 そんな時、割と近くから聴き慣れた“奇声”が聞こえた。

「うぉっしゃああぁああああぁぁぁぁぁあああぁとったどぉぉぉぉおおおおぉおおぉぉお!!!!!」

 ヒナタは一瞬で全身をビクッとさせた。よーく聴き慣れた声の主が近くにいる。そう察したヒナタは、他のポケモンをボールに戻し、シャインだけを出しておき肩に乗せて、その声が聴こえた方向に向かった。

「アイツ……こんな所で何やってんだ……?」
『ブーイ……』

 とりあえずまぁ、アイツの所まで行ってみよう、べっべつにアイツのことが心配とかそういうんじゃねーからな! と心の中で自分に言い聞かせながらクウの所まで行こうとした。
 ――――その時、目の前にオレンジ色小さな物体が。

「ふごっ!!」
「あ、ヒメグ――――って、ヒナタッ!?」

 思い切りその物体……ヒメグマは、ヒナタの顔面に直撃し、ヒナタはその場に倒れ込んだ。

「ちょ、ヒナタ、だいじょぶ……?」
「………………」

  ――――返事がない。ただの屍の様だ。


「っつ……」
「あ、起きた。だいじょぶー?」
「この状態をどう取ったら大丈夫なんだよ……で、俺には何があったんだ?」

 ヒナタが目を覚ますと、目の前にクウがいた。クウはまるで心配ひとつしてないようでヒナタは呆れかえってしまった。
 そして、自分に何があったのかをクウに聞いたところ――――クウが先ほど捕獲に成功したヒメグマをボールから出した瞬間、目の前にいたヒナタに向かって直撃したらしい。

「……で、ヒメグマはどうなったんだ?」
「いや、だからボールから出てきて脱走して……あああああああああああああああ!!!!!!」
「アホか」
「何!?」

 どうやらヒメグマと衝突したヒナタに付いてばっかりで、ついヒメグマのことを忘れてしまっていたらしい。そこをヒナタはからかうようにクウに挑発すると、見事に挑発に乗ったクウ。
 何度も言うようだが二人は昔からのライバル同士。特にこういう状況においては色々と熱い。……ここだけの話、ヒナタはクウに好意を寄せてたり寄せてなかったり。

「ポケモン1匹まともに扱えないなんて、幼馴染として恥ずかしいな」
「あ? そっちこそ男の癖に私と身長1センチしか変わらないじゃないの!」
「そ……それはその内伸びる……って」

 ヒナタはコンプレックスの身長の話を持ち出されて少し歯を食いしばる。決してヒナタは身長が低いわけではない。クウが普通より身長が高めで、それでよく人と比べられるからだ。

「じゃ……じゃあお前はあのヒメグマを扱えるのか?」
「うっ…………あ、扱ってやろうじゃないの! 絶対に探してちゃんと育てるんだから!」
「む……」

 クウはヒナタに堂々と宣戦布告(?)をした。どうやらヒナタも乗ったようで、二人の因縁の戦いがまた始まったようだ。