VSルイス(後編) ( No.43 ) |
- 日時: 2010/12/26 14:14
- 名前: あずらび◆2UZxO8bG3w ID:KvkGW2ak
- 参照: ※まだ終わってません※
- 「クウちゃんは凄いなぁ……」
一方、観客席に座っているアリスは、腕の中にはロコンを抱えて、先ほどからのルイスとクウのジム戦をじっと眺めていた。幼馴染のあの勇気と強さに、思わず見とれていた。アリスは、クウのあの勇敢な姿を、今まででも何度も見てきていた。
「いやーあの子本当凄いね。あのルイスでさえ手こずっているもの」 「ひ!?」 「あ、ごめんね。私あの子の知り合いで」
自分の真横から、聞こえるはずのない声が聞こえ、アリスは全身に鳥肌を立たせて声をあげる。アリスの横には、見知らぬ少女がちょこん、と座っていた。 彼女の容姿は、ピンクと赤が混ざった色の髪で、ショートヘア。純白のキャミソールを着て、腰に上着を縛りつけていて、デニムショートパンツを着ている、ちょっと……いやかなりアウトドアなタイプだった。 彼女の声は、見た目の幼さとは裏腹に、とても高く、透き通った声だ。アリスも淡々と話す少女の声に引きつけられていた。
「凄いですよね……旅に出たばっかりなのに、あんなに軽々と技を言えたりとか、白熱した戦いで……」 「……ふふ、貴方って面白いのね」 「ふぇ!?」 「瞳がすごい輝いているもの。……きっと、貴方だっていつかはあんな戦い方はできるわよ」
少女はその透き通る声でくすくすと笑っている。アリス本人は無意識に話しているようだが、少女からすればすごいキラキラした表情だそうだ。 すると、少女はアリスのロコンの頭にそっと手を置くと、頭を軽く撫でた。ロコンは、気持ち良さそうな顔になっている。
「昔からロコンと一緒にいるから、信頼は深いのね」 「は、はい! ついこの間もピカチュウを捕まえたんですよ! このロコンが居てくれたから私も新しいポケモンを捕まえることができて……!!」
少女はふふ、と微笑ましい笑みを浮かべる。アリスもその話を聞いてほしかったのか、満面の笑みを浮かべながら少女に次々と色々な話をしていった。
「よし、一気に決めるよハート! 念力!」 「あ、もう次のバトル始まってたんだ! ……あ、そういえば貴方の名前――――」
アリスが淡々と語っている間に、クウはもう次1匹のポケモンを倒して、ルイスの2匹目のポケモンと戦っていた。その時、数秒だけ少女から目を離してフィールドの方を向いた。 そして、名前をまだ聞いてないということに気付いて、再び少女“がいた所”に目を向けた。しかし、そこは“無”だった。
「……あれ?」
クウの指示通り、ハートは動く。念力をキマワリにぶつけてダメージを与える。しかし、ルイスはその場で反撃するような攻撃をさせずに、キマワリは素直に攻撃を受け入れた。 一瞬、何か反撃してくるとクウもハートも身を構えていたので、何も起こらないことに動揺を見せる。
「キマワリ、メガドレイン」 「めっ、メガドレイン……?」
キマワリは攻撃を受けているというのに、ルイスは落ち着いた顔と声で技を指示する。クウは聞きなれない技の名前に、どんな攻撃が来るかは分からなかった。 そして、キマワリはハートに近づいて先ほどのクサイハナの吸い取る攻撃と似たような攻撃をした。しかし、その吸い取る攻撃とは明らかにパワーが違う攻撃をして、ハートにダメージを与える。一方キマワリは、吸い取る攻撃のように自分のダメージを回復した。
「吸い取るよりも威力が高い、それがメガドレインよ。先ほどよりもたくさんダメージを与えてたくさん体力を回復したの。キマワリはもともと足が遅いから、いっそ攻撃を受けて回復させた方が都合も良いし。……ラルトスも、もう限界じゃないかしら?」 「そんなことないです! まだ……まだ行けますよ! ハート、念力ッ!!!」
相手の弱点を見つけて、まだハートを倒すわけにはいかない。すばやさが遅いなら、こちらがさっさと攻撃して倒せばいい、そうクウは考えた。 ハートはどちらかというと素早い方。先制は取れる。ハートはキマワリから距離を置きながら、念力でキマワリを浮かせ、攻撃“しようとしていた”。 ――――何かが、おかしい。
「宿り木の種」
ハートよりも遅い“はず”のキマワリが、ハートの素早さを上回って攻撃をした。その種は、ハートの体中に絡みついて、体力を吸い取っていった。
「――――ひとつ、言い忘れてたよ。キマワリの特性は葉緑素といってね、晴れている時素早さがあがるのよ」 「! そうか、初めからそれを狙って……!」
クウは、ルイスの“本当の狙い”に気付いた。このフィールドと、この天候は、キマワリにとってかなり有利な場所であると。
「キマワリ、行くわよ!」 『キマッ!』
キマワリはルイスにそれだけ言われると、葉っぱの手を頭に翳し、太陽の光を浴びると、その手の中から大きな玉のような物体ができる。それはとても輝かしいもので、眩しいものだ。 クウもTVで何度も見たことがある大技だ。ハートにかわさせる指示を出しても、ハートもその眩しさで辺りが見えない状態になっていた。
「ソーラービーム、発射!!!」
その瞬間、更に眩しい光線がフィールド上に広がり、クウもルイスも見えない中で、何かに直撃する音が聞こえる。 やがて、その眩しさ晴れた頃、フィールド上にハートの横たわっている姿が一瞬で目に入ってきた。
「ラルトス戦闘不能! キマワリの勝ち!」 「ハートっ!!」
審判がそう言うと、クウはすぐに横たわっているハートの元に行き、抱きかかえた後、モンスターボールに戻した。 これで、クウのポケモンもライトだけとなった。しかし、相手のキマワリの強さを見るに、正直勝つことは無理に等しいと考えた。だが、ここで諦めるわけにもいかなかった。 “まだ”1体いる。ライトに、全てを掛ける。絶対に勝って、バッジを貰うだけだ。
「ライト!!」 『ブイ!』 「イーブイかぁ! イーブイはそこそこに強いし、素早い。でも……勝たせる気は1%もないからね! 手加減なしに行くよ!!」
ボールからライトを出した。ライトはこちらに目を向け、「まかせて」という表情をした。一方のルイスも、容赦はしないのだが。 ――――決着まで、あと少し――――
「もしもしー?」 ≪ん? どうしたんだ、故郷にはもう帰ったのか?≫ 「うん、そのまま帰ろうと思ったんだけどね、面白い初心者トレーナー3人を見つけたから、じっくりとその3人の様子を窺おうと思ってね」 ≪……“また”、木の上からか?≫ 「だってバレるし。まぁそのうちの2人には姿を見せたけど、1人は気付いてない」 ≪…………≫ 「それに、ある組織が動いてるみたいなの。放ってはおけないでしょ? だからまぁ……2度目の旅を楽しんでる感じ、かな」 ≪……まぁ、無理だけはするなよ?≫ 「それは貴方が一番分かってほしいけど。……じゃあ、ね」
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