プロローグ ( No.2 )
日時: 2010/09/24 20:27
名前: あずらび◆4fprnT0Yg.2 ID:

 太陽は朝日としてやってきて、夕日として沈む。月は、毎日形を変えながら、周りの星達とともに暗い夜空を照らしてくれる。この輝きがあるからこそ、朝も、昼も、夜も空は輝いているのだ。
 フェイス地方・ライトタウン。……少々田舎くさい街ではあるのだが、その田舎くささがあるものを輝かせていた。朝日の昇り、夕日の沈み、月や星々の輝きが見れるのはフェイス地方一番の街であった。


 ライトタウン、朝の6時。
 春だから、今の時間帯でも太陽の光は眩しい。何より、ライトタウンだから分かる眩しさと輝きであろう。
 その北の方角には、普通より少し大きめの一軒家がある。神月家、とよばれる家計が住んでいて、その一人娘は現在10歳。
 ……そう、ポケモントレーナーとして旅を許される年齢の少女がいたのだ。
 その少女は、自分の誕生日から今までの半年間、ずっと旅に出れることを思い続け、“今日”という日がやってきたのだ。

「……んっ……」

 少女の名は“神月 空羽”。
 朝、パチッと目を覚まし、ベッドから体を起こす。少し屈伸をして、ひとつ、大きな欠伸をした。クウは、すぐに近くの目覚まし時計を確認し、朝早く起きれたことにほっとする。
 下から少しだけ光がこぼれている窓のカーテンを開けると、眩しいくらいに太陽の光がクウの体を覆った。空は快晴、まさに旅の出発に相応しい天気だった。
 彼女は顔を洗うため、自分の部屋がある2階から洗面所がある1階へ階段を歩いて降りていくと、リビングには待っていたわよ、とでもいう顔の自分の母親が椅子に座っていた。

「おはよう、お母さん」
「おはよう、クウ。……ついに、この日が来たわね」

 うふふ、と笑う母親に、クウは少し顔を赤くして照れる。母親はいつものようにニコニコした笑顔でクウに言った。
 クウは洗面台に向かい、顔を洗って歯を磨くと、いつも通りに、いつもの朝ご飯を食べていた。
 ……こんな“当たり前”の生活は、今日からしばらくはなくなることになる。
 ――――自分の娘が旅に出る。たくましくなったなぁという気持ちと、寂しいなぁという気持ちが、母親の心の中に溜まっていた。それと似た感情は、クウの中にもあった。
 ……旅に出る楽しみと、旅に出る不安が混じり合っている。
 これからは、ポケギアを通してしかお母さんと話せないんだ、お母さんを頼れないんだ。そういう気持ちが、そっとクウの心の中にあった。
 母親は、今にも目から出そうな雫を踏ん張って出さず、代わりに気持ちを和らげるため、クウをそっと抱きしめた。弱弱しく、小さな声で、母親は言った。

「頑張ってね、お母さんは、いつでも貴方を応援しているからね。……その気持ちを、忘れちゃ駄目よ」
「……お母さん!」

 ぎゅっとクウは母親を抱きしめると、少しずつお互い離れていき、クウは着替えるために、自分の部屋に駆け足で戻って行った。
 ――一方の母親は、少し悲しげだけど、嬉しげな表情で、自分の娘を見ていた。


 ――――月は、人間を狂わせる、Lunatic Moon Ligth.
 ――――太陽は、人間を焼きつくす、Death Sun Shine.
 ――――星は、人間の夢を壊す、Destruction Starry Nigth.

 ――――あなたの運命は、さぁ、どれに等しい?――――