初めてのバトルと…… ( No.10 )
日時: 2010/09/26 16:54
名前: あずらび◆4fprnT0Yg.2 ID:

 結局クウとアリスは、ヒナタと分かれて旅をすることになった。
 アリスは困ってはいたものの、7年前からずっと競い合ってきたクウにとっても、ヒナタにとってもそれは好都合だったかもしれない。
 負けないぞ! というクウの気持ちは瞳にも表現されていて、まるでメラメラと炎が燃えているようだ。
 ……のだが、クウにとってアリスは放ってはおけない存在であったため、クウはアリスに合わせて旅をすることを決めていた。

「ご、ごめんね、クウちゃん」
「大丈夫大丈夫! アリスが万が一狙われた時、私が守ってあげられるようにさ! ボディーガードってやつかな?」

 任せておけとでもいうようにクウは胸を張って自信満々にそういうと、アリスはくすっと笑って、「ありがとう」とクウに笑顔を見せた。
 クウは少し照れていたが、ロコンは何かしら不満を持っていた。
 連れ出していたイーブイ……いや、ライトを自分の肩に乗せて、アリスと一緒にまるでのんびりするかのように歩き続けていた。
 ところどころの草むらにはポケモンがいて、それを見ながら歩いていた。
 すると、近くの草むらが大きく揺れていたのだが、クウ達は気付かず歩いていると、その草むらからポケモンが飛び出し、クウ達の前に立ちふさがった。

「え、な、なに!? ポケモン?」
「クウちゃんクウちゃん! ポケモン図鑑を出してそのポケモンを調べて!」

 出てきたのは紫色のネズミのようなポケモン。クウは突然の行動に動揺したが、ハッとアリスのその言葉のことを聞くと、すぐに取り出してそのポケモンの方向に向けた。
 どうやらそのポケモンはコラッタと言うポケモンらしく、コラッタはライトを鋭い目つきで威嚇した。
 ライトはメスながら怯えるどころか、挑発に乗るようにしてコラッタの前に出て、戦闘態勢を取った。
 アリスはすぐにクウに「ポケモンバトルだよ!」と言うと、クウはこくりと小さく頷いた。
 コラッタは、食べ物があればどこにでも住みつける。というのなら、あの前歯はどんなものでも噛みつけるであろう、とクウは考え、慎重にライトに技の指示を出そうと、ポケモン図鑑でライトが覚えている“技”の確認をした。

「ライト、電光石火!」
「ブイッ!」

 電光石火は、先制攻撃を出来る技。ステータスによると、コラッタは割と素早さが高いので、先制攻撃をしてダメージを与える戦法だ。
 野生のコラッタはでんこうせっかで倒れこむが、また態勢を立ちなおして、なんとか堪えた。
 そしてコラッタはライトに引っ掻く攻撃をした。ライトはダメージを受けるが、まだまだ体力は残っている所で、クウはライトに次の技の指示を出した。

「ライト、鳴き声だよ!」
「ぶい、ぶーい!!」
「なきごえ? どんな技の効果があるの?」

 鳴き声、それは物理・特殊・変化という技の種類の中の“変化”で、相手にダメージを与えるわけではないが、相手の攻撃を下げる……つまり、コラッタの物理技の威力をさげ、ライトに負担をかけないようにするためだ。
 その大きなライトのなきごえに、コラッタは思わず攻撃ができなくなるほどであった。
 これはチャンスだ、とクウはニヤリと笑うと、とどめの一撃を指すかのように、ライトに小声で指示を出す。

「突進攻撃!」

 ライトは、コラッタに向かって前進で勢いよく突っ込んでいき、コラッタに突進する。
 コラッタの持ちこたえていた体も、だんだんとよろけて、ぱたん、と、その小さな体は倒れてしまった。
 アリスは思わずすごい、と言葉に出てしまって、クウは初戦で勝った喜びが絶えなかった。イーブイも、初めての戦いで勝ったことに喜んでいた。
 ……だが、流石に、そのまま倒したコラッタを放置してはいけない、とクウは考え、近くの木から木の実を取り、倒れこんでいるコラッタのそばに置いてあげた。クウの、それなりの優しさであった。

「さ、行こうかアリス」
「そーだね」


 ――その後、クウのライトは野生ポケモンと戦っていき、着々と力量<レベル>を上げていった。
 一方のアリスのロコンも、少しずつ戦いになれて、こちらも力量は順調にあがりつつあった。
 様々なポケモンを見ることができ、バトルもそこそこ慣れてきていた頃に、2人はネイチャタウンへと到着した。
 ネイチャタウン。<自然>というシンボルの街で、緑が多い街であり、まさに<自然>が美しい街だった。
 クウ達はポケモンを回復するという、ポケモンセンターへ向かった。この辺りの知識は、母に聞いていたので、すぐに分かった。
 大きくも小さくもないポケモンセンターに2人は入っていくと、結構な人が集まっていた。それも、きっとこの中にいる人のほとんどはトレーナーだと分かった。
 2人はライトとロコンをボールに戻し、ジョーイさんにポケモンが入っているモンスターボールを渡して、回復がすむまで、ポケモンセンター内をうろうろした。
 ポケモンセンターには、レストランや宿泊所があり、更に無料でポケモンを回復できるので、やはり利用者は多いのである。
 クウとアリスは近くのベンチに座って色々話をしていた。話をしている途中にクウは辺りを見渡していると、ある人物に一瞬で目がいき、その人物のもとへ走って行った。

「っ、ヒナタ!? なんでここに!」
「げ、クウじゃねぇか。って、なんでここにいって言われたら、ポケモン回復に決まってるだろ」

 ポケモンセンター内には、まさかのヒナタがいた。まぁ、理由はポケモン回復に決まってはいるのだが、「いやいや、そうじゃなくてさ」とクウはヒナタに突っ込んだ。

「あんたも野生のポケモンと戦って?」
「ああ。結構力量上がったぜ? なんだったら……バトル、してみるか?」

 ヒナタは口角を少し上げてクウに言った。……よっぽど勝つ自信があるのか、妙にヒナタは上から目線だった。……まぁ、身長はヒナタのほうが若干大きいのだが。
 そのヒナタの挑発に乗るように、クウは「やってやろうじゃないの!」と大声でヒナタに言ってやった。

「じゃ、ポケモンの回復がすんだらバトルって所だ。さっき来た道に広い場所があったから、そこでやろうぜ」
「臨むところよ!」

 二人の間には、因縁の炎がバチバチと燃え上って、周りの人は愚か、もはやアリスでさえも近づくことが出来なかった。
 この二人にかかれば、下手をすれば大ごとになりうる可能性もなくはなかった……。