姉弟 ( No.53 )
日時: 2010/09/07 22:26
名前: でりでり ID:
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 PCCが着実に近づいてきた二月のとある寒い日曜日の昼ごろ。姉さんがキッチンでチャーハンを作ろうとしていた時だった。
 軽快な電子音を鳴らして玄関のチャイムが鳴る。うちはボロアパートだがチャイムだけついているのだ。
「翔、悪いけど見てくれない?」
「はいはい」
 丁度床で寝転がって英単語集を見ていた俺は今開けてるページをスプーンの尻の部分で栞代わりに挟み、玄関へ向かった。
「宅配便です」
 扉を開けると少し年を取った男の人が細長い段ボールを抱えていた。
「ここにハンコを……」
 男の人は段ボールを左足と左脇で器用に挟むと、開いた両手で伝票を渡してくる。
 ハンコをきっちり押して伝票を渡すと、先ほどと同じ器用な動作で伝票を直すと段ボールを手渡してきた。邪魔なので先に家の中に入れておく。
「ご苦労様です」
 男の人は律儀に社名とロゴの書かれた帽子を脱いでこちらに深くおじぎをする。誘われてこちらも少しからだ全体を下げた。
 ふぅ、なんだかやけに疲れる宅配便だった。
 改めて段ボールを見ると、それにはびっしり風見のとこの会社のロゴマークが。差出人もきっちり風見雄大だ。
 確かにこのデカさ、学校で渡されると軽いが非常に迷惑である。段ボールに貼られた伝票の品名を覗くと「バトルベルト」と書かれていた。
 ん、バトルベルトだって!?
「うおおお! 姉さんバトルベルト来たっ!」
 しかし反応なし。割と大きな声を出したつもりが換気扇のせいで聞こえていなかったようだ。
 段ボールを掲げて姉さんの傍に寄って、さっきと同じ言葉を繰り返す。
 今度は姉さんもビックリしてこちらを見つめた。俺は踵を返し、リビングへ戻りサンタさんがプレゼントをくれたかのように無邪気に段ボールを開けていく。



 チャーハンはとてもおいしかったです。開けた段ボールの中には商品用のバトルベルト二式と、風見の手紙が入っていた。
 手紙といっても、「普段の礼だ」みたいな大したことは書かれていなかったので早々にトラッシュした。
 バトルベルトは赤と青の二式で、俺は赤のベルト、姉さんは青のベルトをもうらことに。
「折角だし、早速やってみよう」
 もらったバトルベルトをPCCが開かれるまで埃かぶせる気はさらさらない。
 ちっさい部屋の中でバトルベルトを起動させようとする。使い方はこないだの勝負で見て覚えた。
「ちょっと待って! ここじゃ狭すぎて出来ないらしいわよ」
 姉さんが取扱説明書をヒラヒラさせる。
「えー。じゃあこんな寒いのに外でなくちゃいかんのか」
「仕方ないじゃない。まあ風邪ひかないようにちゃんと何か着といてね」



 幸いにも今日はまだ暖かい方で、コートを着てさえいればなんてことない寒さだった。といえど、外でカードをしてたら手はほぼ間違いなくかじかむだろう。
 だがそれでも早速。子供のように無邪気な気持ちでバトルベルトを起動する。
「おおおおっ、おおおお!」
 いざやってみるとめちゃくちゃ楽しいです。勝手に変形するなんて、子供時代に見た戦隊アニメの合体ロボットを思い出す。
「このボタンでテーブルとベルトを切り離すんだな」
 よし、離れた。デッキをデッキポケットに入れてオートシャッフルのボタンを入れる。
 本当に勝手にシャッフルしてくれて、さらに最初の手札となる七枚をデッキから突き出して用意してくれる。手札のポケモンをセットすると、いつの間にかサイド置き場にサイドが三枚置かれていた。
「よし、先攻は俺からだ!」
 俺の最初のバトルポケモンはヒノアラシでベンチはなし。姉さんの最初のバトルポケモンはデリバードでベンチはタマザラシだ。
 氷タイプねぇ。氷タイプといってもポケモンカードでは氷タイプは水タイプにカテゴライズされていているのだが、弱点が違う。
 ポケカの水タイプは基本的に雷タイプに弱いのだが、ゲームで氷タイプとなっているポケモンはカードでは鋼タイプが弱点になっている。
 現に今目の前にいるデリバードとタマザラシは弱点が鋼タイプだ。
「ヒノアラシに炎エネルギーをつけて攻撃。体当たり!」
 ヒノアラシがデリバードに頭から突っ込んで体当たりを仕掛ける。デリバードは少し後方に飛ばされると、体当たりを食らった場所をさすりながら元のポジションに戻る。デリバードの緑色のバーが少し削られ、HP表示は60/70となる。
「あたしの番ね。手札のスーパーボールを発動。デッキのたねポケモンを一枚選んでベンチに出すわ」
 タマザラシの右側にどこからかスーパーボールが現れた。スーパーボールは閃光を放つとユキワラシが姿を現していた。
「ユキワラシに水エネルギーをつけてデリバードのプレゼント!」
 デリバードが尻尾の袋をごそごそ漁り始める。パチスロのリーチ画面を見てる気分。
「コイントスをして表なら、デッキから好きなカードを一枚手札に加えれるわ。さて、トスよ」
 姉さんがコイントスのボタンを押す。運は俺の方に傾いていないらしく、表と表示された。
「この効果で山札のカードをサーチしたとき、相手に見せる必要はないのよ。さあ、何を引いたでしょう?」
 どうせ進化系のカードだろう。トドクラーかトドゼルガかオニゴーリかユキメノコか。って結構可能性多いな。
「行くぞ、俺のターンだ!」
 しゃきん。引いたカードはハマナのリサーチ。まずはこちらもポケモン達を立てていかないとな。
「手札のハマナのリサーチを発動。山札から基本エネルギーまたはたねポケモンを合計二枚まで選び、相手に見せてから手札に加える。俺が選ぶカードは……」
 デッキのカードをサーチする前に気づく。近所の小学生が俺たちの周りに集まっていた。
 そうか、バトルベルトが物珍しくて見学か。子供が見てる前で負けるなんてちょっと恥ずかしいな。
 安いプライドだが、相性は悪いものの安易に負けるわけにはいかないな。



雫「今日のキーカードはデリバードよ
  コイントス次第だけど、プレゼントはなかなかいい効果。
  好きなカードを一枚、ってのは大きなアドバンテージになるわよ!

デリバードLv.26 HP70 水 (DP4)
─ プレゼント
 コインを1回投げオモテなら、自分の山札の好きなカードを1枚、手札に加える。その後、山札を切る。
水 アイスボール  20
弱点 鋼+20 抵抗力  にげる 1

───
奥村雫の使用デッキ
「DD・フローズン」
http://moraraeru.blog81.fc2.com/blog-entry-692.html