能力者の影 ( No.50 ) |
- 日時: 2010/09/07 22:24
- 名前: でりでり ID:
- 参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/
- 「戻すときは逆の手順だ。テーブルに近づいて、ベルトとキッチリ合わせてテーブル手前のボタンを押す。そう、それでテーブルの脚がなくなる。今度は一個だけ残ったポケット傍のモンスターボールのボタンを押してくれ。その時も危ないから手とか近付けるなよ。最後にさっきのボールを最初とは逆にへそ側へ押してカチッと鳴ったら終わりだ。そう、そうだ」
二人はバトルベルトをはずして風見に返す。風見はテストプレイが上手く行ってご満悦のようだ。 「さて、私に負けたから言うことを一つ聞いてもらうわよ」 ショックからか、下を向く拓哉の傍へ松野さんが近づきながら言い放つ。 「私の言うことは、『私の言う事を聞いてほしい』よ」 「は?」 思わず間抜けた声が出る。意味がまるでわからん。 「まあ、分かりやすく言うと、貴方達を呼んだ理由を話すからさっきみたいに喧嘩とか売らないで私の話を黙って聞いてほしいの」 「はぁ」 イマイチしっくりこない。そんなまどろっこしい事しなくてもいいのに。 しかしそのお願いを完全に無視して風見が先制パンチ。 「それよりも松野さんが何故株ポケのオフィスに? クリーチャーズのオフィスでは」 「どうしても確かめたいことがあったから、無理を言って入れてもらったのよ。それも今から言う話に関係するからよく聞いてね」 松野さんの目が真剣になる。相当は威圧眼だ、自分のつばを飲み込む音が聞こえた。 「まず、君」 と言って松野さんは拓哉を指差す。 「この前の風見杯で、君は人を消した。君の言い方を借りると、異次元に幽閉した、かしら」 「あ、ああ」 「君みたいに不思議な『能力(ちから)』を持つ人が最近あちこちに現れたの」 「なんだと?」 「どういうことですか? 詳しく教えてください」 風見だけは話を聞くというより、話を聞いている俺と拓哉を静観しているようだった。事情は既に聞いているのだろうか。 「それぞれ藤原君とは違う能力だけど、まあ似た類のものが跋扈して困ってるのよ。たとえば、ここ東京では対戦相手がことごとく意識不明になったり、青森県ではカードのポケモンが具現化したり、島根県では左半身麻痺の女の子がポケモンカードをやっているうちに麻痺が回復したり」 「いろいろありますね」 「今のところ二十八人確認されてるわ。このままだと増加していく一方よ」 「それで?」 「この、能力を持つ人のこと。まあ能力者って名づけようかしら。その人達の全員が勝率百パーセントなのよ。ほら」 パソコンの方へ誘導される。モニターを覗き込むと、これは大好きクラブのポケモンカードゲームネットワークの画面。 指で示された所には大好きクラブのユーザー名と、何勝何敗かが書かれている。勝数はバラバラだが、どれも負けがない。 「あれ? でも一敗してる人も数人混ざってる……」 「ええ。勝負で負けた能力者は能力にセーブがかかるようになるの。能力というより精神かしら。まあなんにせよ能力がほとんど無効化されて能力者とは言えなくなるわね」 「精神?」 「今のところ、負けた能力者は藤原君を含め五名。その五名とも、何かしら出来事があって精神状態が崩れ、能力を身に付けた」 「具体的に言うと藤原は母親と揉めてから、今までの怒りや不満が爆裂して精神状態が崩壊して能力を身に付けた。精神状態が安定しないためについでに人格が増えた」 松野さんに代わって風見が代弁するも、拓哉の気に触れたようで「ついでってなんだよ!」と怒鳴られる。 「高揚している精神が、負けによって一気にクールダウンして落ち着くの。なんでもかんでも回り構わず夢中で能力を使っていたのが、まるで夢から覚めたような気になり、使わなくなる。藤原君もそうでしょ? 奥村君に負けないまではなんでもかんでも能力を使おうとしていたが、負けてからはその気が失せる」 「……。ああ」 拓哉が沈んでいく。きっと能力を使ったときの事を思い出しているのだろうか。とてもじゃないが人を気に入らないからといって幽閉するだなんて正気の沙汰でない。幽閉と言ってるが実質、拉致監禁以外の何物でもない。今こうして沈んでいるのはきっと後悔しているのだろう。 「俺達を呼んだのはそれを伝えるだけじゃないでしょう?」 「ええ、もちろんよ。君たちにはお願いがあるの。風見君も含めてね」 じっとこちらを見つめていただけの風見がふと我に返ったように松野さんを見る。 「能力者を倒してほしい」 これが福本漫画なら、ざわざわ擬音が浮かんでいるところだ。倒してほしいって簡単に言ってくれる。 「このまま不祥事が表立ってしまったら私の会社やここ(株式会社ポケモン)が完全に信用を失ってしまうの。我儘なのは承知よ。でもこれもポケモンカードの、いや、むしろポケモンの存続のためなの」 最後の言葉で完全にお願いが脅迫になったじゃないか。こうなったらもう選択肢は一つしかない。 「なんとかします」 「おい翔! それでいいのか!?」 「いや、いいもクソも」 「だってある種、ポケモンの存続危機だぞ?」 「それは……そうだが」 「俺もやるぞ」 「風見、テメーも!」 拓哉は不満もいいとこ、興奮のあまり思いっきり脚をドタドタ踏みならす。下の階に迷惑だ。 しかしふと何か気づいたらしく、松野さんに向かって拓哉が言葉を放つ。 「というよりも能力者をポケモンカードから遠ざければいいだけだろ!」 「それがそうもいかないのよ」 拓哉の言う事は正しい。そうすれば問題は大抵なくなるはずである。しかしそうもいかないとはどういうことだろうか。俺と拓哉は頭にクエスチョンマークを浮かべる。 「さっき言った東京の能力者は、ポケモンカードから遠ざけようとした親を意識不明にしたの」 「つまりあんまり意味がないどころか犠牲者が増えるってことだ。分かったか?」 松野さんと風見が辛辣な表情で答える。分かれ道があるように思えた道も結局合わさり一本道になった。やるしかない。 「分かりました。やります!」 「し、仕方ない! こうなったらやってやる!」 「二人ともありがとう。能力者のほとんどがPCCに出るの。対戦表は操作できないけど、高確率で勝ちあがってくるはずよ。その時に必ず倒してね」 公式大会に出す前になんとかならんものか。 「東京はまだしも他の道府県は?」 「そこの有力トレーナーにもう話はつけてあるわ」 俺たちは現場をこの目で見たのだが、その有力トレーナーとやらはほとんどが能力を見てないだろう。こんなオカルト(というよりはファンタジック?)めいた話をよく信じたもんだ。 「まあなんにせよ、俺たちは初めから相手が誰だろうと勝ち抜くつもりですよ!」 「ああ」 「けっ、全くだ!」 しかし俺たちは能力者の真の恐ろしさを知らなかった。
松野「今日のキーカードというよりは前回のキーカードよ。 このスタジアムが場にある限り出した番、あるいは進化した番にも進化できるわ。 これがあるだけで試合のスピードが一気に変わるわね。
破れた時空 サポーター おたがいのプレイヤーは、自分の番に、その番に出たばかりのポケモンを進化させられる。(その番に進化したポケモンも進化させられる。)
スタジアムは、自分の番に1回だけバトル場の横に出せる。別の名前のスタジアムが出たなら、このカードをトラッシュ。
─── 結末は出来てるけど過程ができてない>< あと二話くらいのストックはあるけども
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