風見杯決勝運命の激突 翔VS風見! ( No.39 )
日時: 2010/09/07 00:22
名前: でりでり ID:
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 あの日。そう、ヤツと初めて戦ったあの日。
 ヤツはカードにとって一番大事なのはデッキを、カードを信じることだと言った。しかし俺はタクティクスだ、構築だと信じていた。
 そしてそのまま戦うことになり結果は惨敗。しかしそれでも俺はヤツのことを聞かず、リベンジをした。
 前回使ったデッキを入れ替えたような戦いだったが負けだった。こうなると俺はヤツの言うことを少し、少し信じてみることにした。
 だが一番関心となったのはカードを信じることではなく、ヤツ自身。
 あまり人づきあいは好きではないがヤツらのグループに交わることでヤツの言うことも少しずつ分かってきたし、おまけに人づきあいも出来るようになってきた。
 人づきあいが出来るようになってからカードを信じるという事が顕著に分かる。そして俺は今までにもカードを信じていたということが。
 デッキを作った。そしてこのデッキではもう誰にも負けないと思う。これもカードを信じることの一つ。俺は今までにこの愉悦を幾度も味わった。
 だがヤツと違ったのはその後。俺がカードを信じていたのはその瞬間だけである。ヤツは戦っている間もカードに期待し続けていた。この期待するということが肝心で、この期待するということもカードを信じるという一つである。
 そして何よりヤツ自身も楽しそうだった。それに比べ俺はどうだ。下手なプライドのためにピンチになると焦り、苛立つ。思うようにカードが引けないとカードを信じるどころか罵倒し、ひどいとカードを破ることもあった。
 無論今でもデッキにはタクティクスや構築が大事だと思っている。だがそれと同じくらいカードを信じるようになった。そうすればいつかアイツにも……。



『決勝戦を始めます。選手は試合会場七番にお集まりください』
 ラストコールだ。時刻は既に午後の三時半を廻り、初めはたくさんいた人も減ってきている。
 そして最後の最後に今まで共に闘ってきた三十枚のカードを見つめる。お前たちは非常に頑張ってきてくれた。お陰で俺はこうしてヤツと戦える。本当に感謝している。だから、もう少しだけ頼む……。
 神社で祈るかのように俺はカードに願いを捧ぐ。そして、意を決してステージへ進む。
 先にステージにいた翔は、ヤツにとっては特に負けられない戦いなのだがやはり満面の笑みでこう言う。
「さあ、楽しい勝負にしようぜ!」
「ふっ、望むところだ」
 ガラになく緊張してしまったようだ。デッキを切る手がおぼつかない。ようやっとデッキを切り終わり、カードを引く。そしてサイドを三枚伏せてポケモンのカードを伏せる。
 互いに準備が出来、ポケモンをリバースする。俺の最初のポケモンはフカマル。ヤツのポケモンはノコッチで、ベンチにヒコザル。
「さあいくぜ、風見。俺が先攻だ! 手札の炎エネルギーをヒコザルにつけてノコッチのへびどりを使う。その効果で山札からカードを一枚引いてターンエンド」
「遠慮はせん。俺のターン。フカマルをガバイトに進化させ、炎エネルギーをつける。そしてサポーター発動、スージーの抽選。その効果によって手札のボーマンダと水エネルギーをトラッシュし、山札からカードを四枚引く。更に、トレーナーカードのゴージャスボールを発動して山札からガブリアスを手札に加える」
 これでこのターンで一気にデッキが半分を切った。手札とトラッシュは潤ったものの、ガバイトはノコッチにダメージを与えるワザが使えないのでここで自分の番を終わらせる。
「俺の番だ。ヒコザルをモウカザルに進化させて、アチャモを場に出す。そして俺もゴージャスボールを発動。山札からゴウカザルを手札に加え、もうひとつトレーナーカード、不思議なアメ!」
 ベンチのヒコザルが光の柱に包まれる。そしてゴウカザルへとフォルムを変えると、光の柱は拡散しながら消えていく。
「まだだぜ。更にアチャモに炎エネルギーをつけ、ポケモンいれかえを発動。そしてノコッチとベンチのゴウカザルをバトル場へ出す!」
 先に仕掛けてくるのは翔からだった。ノコッチを引っ込めてゴウカザルから攻勢に入る。
「ゴウカザルで攻撃、ファイヤーラッシュ! ゴウカザルの炎エネルギーをトラッシュしてコイントス!」
 ファイヤーラッシュは自分の場の炎エネルギーを任意の数だけトラッシュし、表の数かける80ダメージを与える強烈なワザだ。
 もしもこのワザが通ればHPが80しかないガバイトはすぐに気絶。ベンチがいない俺はこの時点で負けとなってしまう。祈っても無駄だろうが祈りたくなる状況だ。
 しかし祈りが届いたのか、コイントスは失敗に終わる。
「調子があまりよろしくないようだな」
「これで勝負が決まるのもつまらないだろ?」
「ふん、俺のターン。ガバイトをガブリアスへと進化させて水エネルギーをつけさせる。ガブリアスでゴウカザルを攻撃、ガードクロー!」
 ガブリアスがゴウカザルに右の翼を叩きつける。攻撃後、自分の場に戻ったガブリアスは両手を自分の前でクロスさせた。ガードクローは相手に40ダメージ与えるだけではなく、次の番に相手から受けるダメージを20だけ軽減させる効果を持つ。
 もし次の番にファイヤーラッシュを食らってもダメージは60だけでHPは70も残る。そして俺の手札には水エネルギーがあるので次の番にガブリアスのもう一つのワザ、スピードインパクトを使って確実にとどめを刺せる。
「俺のターンだ。アチャモをワカシャモに進化させ、炎エネルギーをゴウカザルにつける」
 これで翔の手札はなくなった。カードゲームに置いて手札がなくなるということは可能性がなくなるということである。既存の場でどうこうするなんてのは論外、手札と場を組み合わせてこそのタクティクス。
 翔は戦略を切り、運に頼る方向に進んだのだ。
「ゴウカザルでもう一度ファイヤーラッシュ! ゴウカザルについている炎エネルギーを一枚トラッシュする。……表だ!」
「しかしガードクローの効果によってガブリアスが受けるダメージは60となる」
 ゴウカザルの突進をガブリアスは両手で受け止める。ダメージは受けたが想定通り次のターンにゴウカザルを撃破できる。
「俺のターン。水エネルギーをガブリアスにつけて、トレーナー、ミステリアスパールを発動。発動後にサイドカードを確認し、その中のポケモンのカードとミステリアスパールを入れ替える。俺はタツベイを手札に加え、ミステリアスパールを表向きのままサイドに置く。そしてタツベイをベンチに出す」
 今の手札はまだ使えそうなカードがない。ここは後のために温存して今は攻めるのみ。
「ガブリアスでゴウカザルに攻撃、スピードインパクト! このワザのダメージは、相手のエネルギーかける20ダメージぶん、小さくなる。ゴウカザルにはエネルギーがない、よって120ダメージだ!」
 ガブリアスは翼を頭の前でクロスさせると、そのままジェット機のように加速してゴウカザルに突っ込んだ。派手な爆発音とボールのように吹き飛ぶゴウカザルが印象的だ。
「ゴウカザルはこれで気絶。サイドカードを一枚とる」
 俺はミステリアスパールではないサイドカードを一枚手札に加える。今手札に入ったのは不思議なアメだ。ミステリアスパールではトレーナーカードを手札に加えれないので、このタイミングで取らないと次のターン使えない。
 そう、今の俺の手札にはボーマンダもいる。次のターンにベンチのタツベイを一気にボーマンダに進化させ、ゆっくりベンチ育成させる。
 そしてふとモニターを観ると、次の翔のバトルポケモンはなんとノコッチだった。ノコッチはエネルギーなしでワザを使えるが、デッキからカードを一枚引く「へびどり」と、相手に10ダメージだけ与えてベンチポケモンと入れ替わる「かんでひっこむ」のワザしかなくHPも60。確実に次のターン、ガブリアスの餌食となる。そうとわかっていて何故ノコッチだ。
「ノコッチだと……?」
「見てろよ風見! ここからが俺のタクティクスだ!」



翔「今日のキーカードはスージーの抽選!
  手札のカードをトラッシュさせながら、
  一気に複数ドローだ!

スージーの抽選 サポーター (DP4)
 自分の手札を2枚までトラッシュ。
 1枚トラッシュしたなら、自分の山札からカードを3枚引く。2枚トラッシュしたなら、4枚引く。

 サポータは、自分の番に1回だけ使える。使ったら、自分のバトル場の横におき、自分の番の終わりにトラッシュ。


───
とびんが28話「風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて」の挿絵を描いてくれました!
心から最大の感謝!

挿絵つき28話のアドレスはこちら
http://www.geocities.jp/derideri1215/library/card/28.html