風見杯の真相 翔VS唯! 準決勝を懸けて ( No.31 )
日時: 2010/09/07 00:19
名前: でりでり ID:
参照: http://www.geocities.jp/derideri1215/

 風見杯も三回戦、言い方を変えると準々決勝に進んだ。既に準決勝進出者も一人決まった。藤原拓哉だ。
 同じ教室にいるが存在感も薄く、翔に無理やり言われて戦ったが初心者すぎて相手にならなかった。そんなヤツが準決勝進出だと?
 よっぽど相手が弱いか何かだろう。対戦は時間の都合が合わず見れていない。
 準決勝ではないが準々決勝に長岡も進んだ。今年から始めたばかりという割には、見た感じセンスがある。
 いざという時のドロー力は翔に似たものがあるが、言い方を変えればドロー力以外秀でたものがない。「もし」長岡が次の相手に勝てば俺との対戦だ。
 時刻はすでに昼を回り二時。まだ昼食を食べていない。参加者の中にはコンビニでおにぎりやら何やらを買った奴がいるらしく、飲食禁止のエリアで食べている。そういう奴らは係員に注意され、飲食許可のエリアへ追いやられる。
 俺もその飲食許可エリアへ足を向けている。昼飯のためではない、人に会うためだ。
「こんにちは」
 ちょうど昼を終わらせたのか、薄っぺらいコンビニの袋を閉まっているスーツ姿の女性に声をかける。
 身長はわずか百三十程度で、頭二つも差がある。必然的に相手は俺を見上げるようになる。
「あら、風見君」
「こんなところにいたんですね」
「さっきまでは見てたわ。大会は順調みたいね」
「お陰様で」
「大会進行頑張ってね係長さん?」
 身長は俺の方が上だが位は彼女の方が上だ。株式会社クリーチャーズのカードゲーム部門を取り仕切る彼女の名前は松野藍(まつのあい)。
 係長というのは俺の会社での役職である。
 うちの会社は父が大学の仲間と共に作り上げた会社で、一代で成した会社だ。
 そのせいか、俺には金持ちの暮らしというより普通の暮らしをさせたがっていた。だが母がそれに猛反発し、父が忙しいのをいいことに俺を母が勝手に買った館に押し込まれていた。
 そんな感じで小学校、中学校と過ぎ去って行ったのだが高校生になってから急に父が俺の元にやって来て言い放ったのだ。「うちの会社に入れ」と。
 平社員として自分の父の会社に入る。可笑しいかもしれないが、父のこの判断を俺は非常にいいと思う。無能な息子が社長が後を継ぐより、息子が平社員から、「自力で」社長になった方が信頼もいいだろう。父はもう俺を息子としてではなく普通の一社員として他の人と同じ目で見ている。
 今まで人づきあいなどほとんどしなかった俺が、一般社会へと飛び込む。最初は特別扱いされるのが嫌だったが、だんだんうちとけていく。学校生活もある中、それでも同じ課の人たちは俺を「社長の息子」ではなく「仕事の仲間」として手助けしてくれた。俺の毎日は学校、仕事、(仕事の)勉強だけで過ぎ去っていくが不満は一つもない。今までの人生で一番充実している。
 そしてこの風見杯は俺にとって非常に重要なプロジェクトだ。この3D投影機を実践で初投入する。
 これが上手く行けばポケモンカードゲームの公式大会でも採用してもらえるのだ。社運がかかっていると言えども過言ではない。
 その取引先というのがこの松野藍だ。
「でもこの調子だと係長さん、風見くんが優勝しそうね」
「そのときはそのときです。ですけど優勝できるとは思ってませんよ」
「君ほどの実力者でも?」
「彼です」
 俺は翔のステージを指差す。相手は……、同じクラスのあの転校生か。黒川唯、彼女はここ一番では強くないが安定した実力の持ち主。
 丁度彼女がドンカラスをレベルアップさせたところのようだ。レベルアップさせると月光のスタジアムの効果で逃げるエネルギーなしでベンチに逃がしてヤミカラスへ交代させる。
 ドンカラスにエネルギーがついていればポケボディー「やみのいでんし」でヤミカラスはエネルギーなしでドンカラスのワザを使える。考えられたいいコンボだ。
「注目選手みたいね」
「すでに一度負けてましてね」
「なるほど。是非ともお手合わせ願いたいわ」
「いずれ戦えるでしょう。どうせ春の大会には出るんでしょう?」
「もちろんよ」
 翔のゴウカザルは攻撃に耐えきり、逆にいかりでヤミカラスを倒した。サイドが一枚になりリーチがかかる。
「本当にいい腕してるわね」
「デッキの回転の良さと、ここ一番の引きのよさ。そしてなによりコイントスが強い」
「過大評価」
「そうでもないですよ。本当に彼は強い」
「名前は?」
「奥村翔」
 翔の名前を告げると、藍の表情が驚きに包まれる。
 一方で黒川唯はドンカラスLV.Xのやみのはばたきで攻撃し、ゴウカザルを撃破した。やみのはばたきはこのワザで相手を気絶させたときトラッシュのカードを手札に加えることができる効果を持つ。ここからでは見えないがいいカードを手にしたのだろう。これで両者サイド一枚だ。
「奥村さんの息子ね……」
「翔の父と知り合いですか?」
「私の前任よ。非情に優しく朗らかな人だったわ。飛行機の交通事故で亡くなられた時はショックだった。今でも思い出すときついわ」
 藍は目を手で覆い伏せる。
「……」
 何か声をかけようとしたが声をかけられない。覆われた手の隙間から見えた彼女の瞳には涙が浮かんでいたのだった。
 こういう時はどうすればいいか分からない。
 仕方ないので翔の試合を再び見る。バシャーモにたつじんのおびをつけたようだ。勝負は決まった。
 バシャーモの攻撃でドンカラスLV.Xは一撃で倒されてしまった。ドンカラスLV.Xが3Dから消えると試合終了のブザーが鳴り響く。
「さて、出番なので行ってきますね」
「君は……」
「うん?」
 藍が俺を声で呼びとめる。彼女の眼には既に涙は消えていた。
「彼に負けて悔しいなどの気持ちを知った。そして、奥村くんに負けて君は人と触れ合うことを知った。これからもカードを通していろんなモノを学んでいって欲しいわね」
「さすが松野さん。おっしゃることが違う」
「応援してるわよ」
 俺は今、彼女に応援されることを知った。
 こうなれば翔には負けてられない、俺は意を決してステージへ足を向けた。



翔「今日のキーカードはドンカラスLV.X!
  やみのはばたきで敵を倒し、
  使ったトレーナーやサポーターをサルベージ!

ドンカラスLV.X HP110 悪 (DP4)
無無 だましうち
 相手のポケモン1匹に、そのポケモンの弱点・抵抗力・すべての効果に関係なく、40ダメージ。
悪悪無 やみのはばたき  60
 このワザのダメージで、相手の残りHPがなくなったとき、のぞむなら、自分のトラッシュのカードを1枚、相手プレイヤーに見せてから、手札に加えてよい。
─このカードは、バトル場のドンカラスに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 雷+30 抵抗力 闘−20 にげる なし



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バトルツアー09行ってきました。

でりでりの使用デッキ
「でりでり09」
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