プロローグ
――ポケットモンスター、縮めてポケモン―― ポケモンとは、火を吐いたり水を操ったり、電気を産み出したり、風を起こしたりと様々な事が出来る不思議な生き物。至る世界中に数多のポケモンが発見され始め幾年月。その数は現在も増え続けている。人間と暮らす者、異種族と愛し合う者……様々な世界で、皆自由な生き方をしている。この物語は、そんな不思議な生き物、ポケモン達が生きるとある世界のお話……
その日は、とても強い嵐がやって来ていた。木々を凪ぎ払い、岩をも削る強さに、外を歩くポケモンの姿が一切見えない。のだが……
「しょ、正気か貴様っ!?」
「ええ、少なくもアナタよりかはね」
嵐の中だというのに、どこに行くわけでもなくその中で佇み睨み合う二つの存在。空が黒き雲に覆い尽くされている事もあるからか、その見た目までは詳しくは分からない。
「それを使えば……私どころかお前さえ無事に済まないのがわかっているのか!?」
「あら、アナタはワタシに死んで欲しいんでしょう?」
「……ああ、死んで欲しいとも。但しこの私の手で殺される以外の死は絶対に許さん!」
「そう。じゃあ、ワタシが生きる事を祈ってるといいわ。また何処かで会いましょ」
「まt――――」
刹那、暗い嵐の中に一筋の閃光が走る。暫くその場を包み込んだ後には、二つの姿は無くなっていた。
「さて……ワタシは一体、これからどうなるのかな」
一人、誰も居ない空間で呟く。その言葉に含まれた意味とは……本人しか知らない――――