入学
4月11日月曜日、冬の寒さがかすかに残る。
俺はたったいまレグナ中学の校門を通った。
周りにはまだ教室まで行っていないのであろう見知らぬ新入生達が集まっていた。
とりあえず、俺は校舎を改めて見上げてみる。
白いコンクリートで固められた綺麗な校舎だ。とても今年30周年とは思えない。
…寒い。中に入ろう。
入り口には新入生の教室を書いてある壁紙が貼られていた。
当然、他の新入生が群がり、なかなか見れない。
俺は素早く人ごみを通り抜け、クラスを確認。…『シーダ 1-2 二階』
即効で二階への階段を駆け上がる。
二階にたどり着いてもまだ新入生のざわつきが聞こえる。
とにかく1-2だ。教室のネームプレートを確認し、教室へ入る。
中には俺とこれから過ごすであろう1-2の生徒が20人ほど、確か一クラス30人ずつだったからまあ遅刻ではないだろう。
「お、シーダ!おせえぞ!」
教室に入って早々、ヒトカゲがこちらに近づいてきた。
「やったな!この1年間同じクラスだ!このヒート&シーダで小学校の時のように大暴れしようぜ!」
大暴れしたっけ、覚えてないな。
「ああ、そうだな」
とりあえずヒートには適当に返事をしておいた。
「やあ、シーダ。また一緒のクラスだね」
右方向からスバメが羽ばたきながら近づいてきた。
「スバル!お前もこのクラスだったのか!」
ヒートが目を輝かせる。
「全く…友人のクラスぐらい確認してもらわないと」
スバルは肩をすくめた。
「シーダ!他にもクイノ小の連中も何人か同じクラスだぞ!」
ほう、そうなのか。
しかし、たった今すぐに廊下から声が轟いた。
「コラ!座れ一年坊!」
スバルは咄嗟に耳をふさぐ。
いわゆる体育会系なのだろう。2組だけではなく、他のクラスにも怒鳴っている。
「仕方が無い、座るぞ」
ヒートが自分の席に腰を下ろした。
俺の席はヒートの後ろだった。
机の数は生徒と同じ30。縦5つ横6つの形である。
俺の席は前から3番目、左の窓側からも3つめだ。
「担任ってどんな奴だろうな」
ヒートが顔を後ろに向けて話しかけてくる。
俺は…そうだなあ…とにかく普通の教師がいいな
「普通の奴で」
「相変わらずつまんねえ意見だな。笑える奴が一番だろ」
「笑える奴と言うと?」
「パノナ先生見たいな奴とか」
「パノナ?」
「覚えてねえのか?小6の時のルンパッパの先生だ」
あいにく覚えていない。しかし適当に返事はしておいた。
「ああ、そうだったな」
そんなつまらない会話をしていたら黒板側の入り口から声が轟いた。
「お前ら前を向け!」
さっきの声の主だろう。
姿は…小さい。かなり小さい。黄色い体だ。
いってしまえばバチュルだった。
「今日からお前らの担任のバルノだ!担当は数学!見た目で判断する輩は嫌いだ!」
見た目っつーか声がうるさい。まさか数学はずっとこの声を聞かなければいけないのか?
「とにかく!時間が押している!細かい自己紹介は後にし、体育館で入学式だ!」