ライバル登場!
「ケーシィ、よろしく頼むよ」
『えと座標はだいたいあの辺で異動対象は俺を含めて3人……行け!』
うわっ!? なにか体が浮くような感覚がしたかと思えば目の前の景色が海から平原に変わる。テレポート成功したみたいだね、
ケーシィのテレポートを使ってマサラタウンの浜辺から南の孤島までテレポートした。長距離のテレポートはあまり正確じゃなくなるからね。とりあえずは見える位置まで来てやってみたけどそれで正解だったみたいだね
『ふぅ、バトル控えている奴にやらせるかねこんなこと』
「悪かったよ。でもこれが一番安全なやり方だしさ」
小さな足場があってダート自転車で簡単に行える【ダニエル】って言う技術や器用にジャンプしていけばたどり着けるんだけど……それは海に落ちる可能性があってどう考えても危ない。 危険に自分から飛び込まないって母さんに約束した手前無茶をすることなんてできないからね一番の安全策を取らせてもらったよ
「ごめんねケーシィ」
そういうランはさっきまでと打って変わっていい笑顔をしている。本当に何がどうあってここまで違うんだろう? なんていうかすごいほっこりしていて見ていて微笑ましいよ
『ポケモンづかいが荒いトレーナー達だこと』
『ぴかぴか』
「いや、だから悪かったよ」
「その……ごめんね」
ケーシィだけだったらともかくピカチュウにまで頷かれるとなんか色々と罪悪感が湧いてくるのはなんでだろう
それにしてもなんかここ殺気立ってるな。ここの野生のポケモンのレベルが高いからそう思うのかな? でも今はそれを気にしちゃいられないよ。僕はあたりに人はいないか見渡す。えっと……どこだろう?
「待っていたぞ。アイカワ・ユウスケ」
!? こ、この声は!?
「オオシゲ・ゴウ……ジャイト!」
オオシゲ・ゴウ、通称ジャイト。僕達の学年の中で最強のポケモントレーナーだ。相棒のマンキーのパワーと野性的な勘、そしてトレーナーとしての強引とも言える力強い支持で何人もの同級生を撃破してきている。
ちなみにジャイトというのは本人が【ジャイアント】と呼んでくれと言おうとしたときに噛んで【ジャイト】と言ってしまったせいから来ている。それにしてもどうして彼が僕を指名で……
「俺は一度お前と戦ってみたかった!」
「なんでさ、今の僕より強い人なら何人だっている。それなのになんで僕を!」
思ったことをそのままぶつける。そうだ、僕より強いってのならケンイチやリョウトだって強い。それがなんで僕を
「この間の火事の件、それにオーキド研究所の襲撃事件の現場に居合せて中心となって解決したと聞いている。その力見せてみろ」
ブーバーの件はともかくオーキド研究所の件まで広まっているのか……あんまりそういう風に言いふらしてほしくないんだけどな
でも、そういうのが理由で勝負を挑まれたんだ。正直に言うと悪い気分じゃないね。少し優越感を感じるくらいだ
「分かったよ……勝負だ。ジャイト!」
「こい、ユウスケ!」
「頼むよ、ケーシィ!」
「マンキー!」
「ファイト! ユウスケくん、ケーシィ!」
僕の隣で立っていたケーシィが前に出る。それに対してジャイトがボールを投げて出してきたのはパートナーのマンキ―だ。相性では有利だけど、やっぱりエスパータイプの技がない以上は大きな優位性にはならない。どう勝負する?
「先手は貰う! ひっかく攻撃!」
『うきゃー!』
『!』
素早い動きで向かって来るマンキーをケーシィがバックステップをして上手くいなした。長考してる暇なんてない!
「シャドーボールで吹っ飛ばすんだ!」
「踏み込め!」
『ウキッ!』
シャドーボールの攻撃をしゃがんで回避してさらに踏み込んでくる。この距離だと!
「みだれひっかき!」
『ウキっ! ウキッ!』
「痛みは我慢! もらいすぎる前にテレポート!」
『つぅ……荒いことを!』
3回のみだれひっかきの攻撃を受けたところでケーシィはふっと消える。そしてマンキーの背後に現れたそして
『喰らえ!』
『ウキッ!?』
背後から蹴りを浴びせた。しかしやっぱり悲しいかなバランスを崩すだけでダメージにはなってない。でもバランスは崩してる! いまだ!
「シャドーボール!」
「味な真似を……! 攻撃ごと撃ち貫け!」
バランスを崩したマンキーにシャドーボールを撃つケーシィ。それは直撃したんだけどマンキーはひるまずに手を伸ばしてきた!?
な、なんてタフさなんだよ! その手に首根っこをつかまれてしまう……こ、この!
「からてチョップ、砕け!」
『ウキャアア!』
『がぁぁ!』
「ケーシィ!」
こ、このままじゃ、このままじゃ! タイプが有利なだけじゃ防御力が低いことはごまかせない。ケーシィがゴーストタイプならからてチョップなんて怖くないのに!
ん……ゴースト? そうだ!
「とどめだ! もう一度からてチョップ!」
「一か八か! シャドーボールを盾にするんだ!」
『ウキャアアアア!』
『どうにでもなれ!』
やった……からてチョップがケーシィに決まる寸前だった。ケーシィの目の前に黒いエネルギーの壁が出現する。それによりマンキーのチョップがはばまれた。
シャドーボールを成型するときにボール状じゃなくて壁のように成型したんだ。格闘技はゴーストタイプには通らないからね。ケーシィがエネルギーの操作に長けていて助かったよ。さあ、ここから反撃だ!
「さっきまでの倍返しだ!」
『喰らえぇぇ!』
『ウキャ!?』
「マンキー! やるな……」
シャドーボールの直撃を浴びせてマンキーを吹っ飛ばしたけど……ケ−シィだって満身創痍だ。からてチョップとみだれひっかきのダメージは大きい。それに対してマンキーも2回のシャドーボールの直撃を受けている。ダメージが小さい訳がないんだ。お互いにボロボロ……次で勝負が決まる!
「マンキー、からてチョップ!」
「ケーシィ、よく狙いを定めて! シャドーボール」
『ウッキぃ!』
『直撃させる!』
マンキーをぎりぎりまで引き付けて成形したシャドーボールを向ける。クロスレンジ! このタイミング、とった!
「取ったつもりになるな! 押しつぶせ!」
『うきゃあああ』
『げっ!?』
発射寸前のところにからてチョップを叩きこんできた。当然ケーシィには通らないけど……シャドーボール自体を強引に押し切ってケーシィにぶつけるつもりなの!?
「ケーシィ! テレポートで離脱するんだ! 付き合ってられないよ!」
「もう遅いぞ!」
シャドーボールが爆発しケーシィとマンキーがともに巻き込まれる。ケ、ケーシィ!
「勝負あり。やるなアイカワ」
「やっぱり強い……」
ケーシィもマンキーもお互いに目を回している。これは引き分け……?
「お疲れ様、ケーシィ。後はゆっくり休んでてよ」
そういいながら僕はケーシィをボールに戻した。よく頑張ってくれたよ
「アイカワ、次は俺達が勝つ」
「僕たちだって負けるもんか」
向けられた鋭い視線に対して僕も睨み返す。次は勝って見せる……!