第1章-スクール編-
いらない因縁
教室

「事件を引き起こしているのはお前なんじゃないのか?」
「な、なにを! ケンイチ、そういう言い方は無いよ!」

 ケンイチに昨日の事を話したらこんな事を言われる。ま、まあ確かにここ最近事件に巻き込まれすぎだけどさ……そういう言い方はさすがにないんじゃないの!

「大体、そのうち二つはケンイチもいただろ。それでそんな事言えるのはお門違いだよ」
「ジョークだ。それよりもランちゃんと二人きりだったんだろ? 教えろよ。どうせ張り切りすぎちゃったんだろ?」

……張り切りすぎたに関しては否定出来ないよ。身の丈以上に張り切ろうとして情けない事になったからね
 それより昨日ってよくよく考えなくてもランとずっと一緒にいたんだな。ケンイチに言われるまで気づかなかったよ

「ランはただの幼馴染でそれ以上でもそれ以下でもないよ。今さら何を言ってるのさ」
『ケンイチ、ユースケにそれを言ってもテンプレ回答が返ってくるだけだって』

 テ、テンプレ対応って……僕は事実を言っただけなんだけどな。ランだってそう思っているに違いないし

「ケーシィはうるさいよ。ま、そういうことだよ」
「……お、おう。どうしてそうなるんだか分からんが分かった」

 ん? う、う〜ん……僕の言ったことが分かり辛かったのかな?
 その通りに言ったつもりだったんだけどな……

「えっと、だからさ」
「分かったって言った。お前が鈍いって事がな」

 う、うん? どういうことなのさ! 色々と全く意味が分からないよ!

「ま、このままだと話が泥沼になるから変えるが卒業試験の方の勉強はお前大丈夫なのか?」

  は、話を変えすぎだよ。試験の方か……そうだね

「鉛筆ダイスの女神様が微笑んでくれれば少なくとも筆記の方は……」
「お前はバカか」
『知らなかったのか?』

 むむむ……軽い冗談で言ったつもりだったのになんでそこまで言われなくちゃならないのさ。鉛筆は冗談にしてもそれなりに勉強の方はしているさ。本を読む合間に

「大丈夫だよ。合格ラインぐらいはとってみせるさ。ただ実技のポケモンバトル方はやってみなくちゃ何とも言えないというかなんというか……」
「バトルに関しては運次第だよな。対戦相手も先生が勝手に決めてるし判断基準もまた立会いの先生次第だ。ここまで曖昧な試験でいいのかって。どうしてここまでいい加減なのか」

 ケンイチの意見に同意だね。これは先輩から教えてもらったことなんだけど実技試験の配点って【勝ち点】【チームワーク】【判断力】【知恵と勇気】の4つで判定されているんだ。勝ち点は勝てば満点がもらえるからいいんだけど……あとの3つが曲者だ。
 【チームワーク】はポケモンとトレーナーとの連携能力。【判断力】は的確に状況認識してからの判断力。【知恵と勇気】は状況を打開するための知恵とそれを怯えずに実行する勇気。これを立会いの先生の目と基準で判断するんだから学生側はたまったもんじゃないんだよ

「いい加減な採点ならいい加減でも文句ないぐらいの戦いをするだけなんだろうけど、技量が追いつくかどうか」
『追いつかせろよ。エースにでもなんでもなってみせろ』
「好き勝手言うよ。自分だって一緒に伸びていかないといけないのにさ」

 僕だってそうなってみせたいんだけどな。そのためにも今度の卒業試験、必ず合格して修行の旅に出なくちゃね

「切磋琢磨しようぜって言ってるんだろ。結局のところ目指すは頂点なんだ。相棒としっかり切磋琢磨していかないと頂点は無理だかんな。お前も俺もランちゃんもリョウト、それにジャイトだってな」

 ポケモンリーグ優勝を目指すんだったらそれは欠かせない事だよね。言われなくても分かってるよそれぐらいさ
 それにジャイトに勝負を挑んだんだ、自分達を成長をさせないわけにはいかないよ

「その目なら言わなくても分かってるみたいだな。ま、とりあえずは目の前の事だ。一発合格目指そうぜ」
「言われなく―」
『言われなくても当然だ』

 ぼ、僕のセリフを……ケーシィめ
 
「仲良いよなお前ら」

 う、う〜ん……よく否定してたけどさここまで来たら否定出来ないかも

「見つけたぞユースケ!」

 げっ、リョウト……一体どうしたのさ、また騒いじゃってさ。嫌な予感がするのは多分というか間違いなく昨日のせいだと思う

「ぼ、僕に何か用かい?」
「昨日ランとデートしてたと聞いた! それは本当なのか!」

 うげぇ、やっぱりだよ。どうしてそんな予想通りの行動ばかりするのさ

「してないよ。あんなのがデートであってたまるもんか!」
「二人でいたのは事実なのか! くそぉ、幼馴染ってだけで!」

 し、しまった……もうちょっと言葉を選ぶべきだったよ。授業前だし逃走ってのはできないし何とかお茶を濁すしかないかな?
 僕は立ち上がってベルトにセットされたボールに手を伸ばす、さあ頼むよ!

「ケーシィ、時間稼ぎよろしく!」
「ヘラクロス、ケーシィを抑え込め!」
『いきなり人使いが荒いぞ! お前はさ!』
『ヘラッ!』

 登場直後にケーシィとヘラクロスはにらみ合う。カブトムシ型のむし、かくとうタイプの強力なポケモンだ。って言っても動きは速くてテレポートが使えるケーシィを楽に捕えられるとは思ってなくてチャンスを見計らっているんだ。リョウトは頭まで筋肉でできてるぐらい猪突猛進だけどヘラクロスは違うみたいだ。
 このまま授業が始まるまで時間を……

「おい、今先生が来たら……」
「教室でポケモンを出して何をやっている! アイカワ! タジマ!」

 え〜と、そのミナミ・ベンケイ先生が来てこの怒鳴り声を上げる。ミナミ先生はこの間のブーバーの時の件の事もあるからあんまり顔を合わせたくないんだよね……

「止めるな先生! 男にはやらなくちゃならない時があるんだ!」
「止めてください! このままじゃ僕が危ないです!」
『そうだ! ヘラクロスだってこんな理不尽なのに付き合うなよ!』
『ヘラ……ヘラ!』
「お前ら……いいから矛を収めんかこのバカもの達が!」

 うわっ!? せ、先生がキレた! それにしてもなんで僕まで怒鳴られてるのさ、こんなの理不尽だ!
 最初にケーシィを出したのは僕だけど、これは正当防衛だよ。多分

「そんなに喧嘩をしたいなら教室でやるな! けが人をだすつもりか!」

 えっと、僕はそんなつもりは一切ないんだけど……なんていうかその流石に僕は悪くない

「リョウトはともかく僕は一切そんなつもりは無いんですけど……」
「そうだ! 俺はユースケから本音を聞きたいだけだ! 他人に迷惑をかけるつもりは無い!」

 少なくとも僕が迷惑を受けてるよ! どうして、どうしてこうなったんだ!

「ええい、そんなに争いたいなら今度の卒業試験の時にしろ。その時に対戦を組んでやる! それとお前らはしばらく廊下に立っていろ。ケーシィもヘラクロスも一緒だぞ」

 な、なんで僕までこんな目に……それにしても卒業試験の相手はリョウトか、また大変なバトルになりそうだ

Yu〜suke ( 2014/07/15(火) 23:12 )