ユウスケとケーシィ
「ふわぁ……」
いつの時代の学生だって一番の敵は授業中の睡魔なんだと思う。
僕、アイカワ・ユウスケは睡魔と戦っていた。マサラのスクールの卒業試験が一ヶ月後にあるっていうのに我ながら呑気だと思うけど、眠いものは眠い
「おいアイカワ」
「うわっ……な、なんですか」
しまった……欠伸をしてるところを先生に見られちゃったか。これはついてないなぁ
『な〜にやってんだよお前は』
先生の台詞は軽く聞き流してみせるのは簡単だけど……この台詞だけは聞き流す事は出来ないよ。まったく
余計なお世話だよ。って気持ちを込めて僕はベルトにセットされているモンスターボールを力強くつついた。
モンスターボール、ポケットモンスター、ポケモンと呼ばれる生き物を納める事が出来るボールだ。小型から大型までこのボールでポケットサイズに納まるからポケットモンスターって呼ばれるんだろうね。
『耳が痛いからってボールをつつくな。揺れるから。軽く酔うから!』
そう言われたらつつかない理由なんてない。構わずにまだまだつついてやる。
ケーシィ、僕のボールの中にいる狐のような超能力を操るポケモンで僕の初めて仲間になったパートナーと言えるポケモンだ。
本当は46時中寝てるらしいんだけど……僕のパートナーの場合はこのように超能力を駆使してボールの外の状況を把握してるし超能力を使って僕に人の言葉で話かけたりだってする。
本当は46時中寝てるだなんて嘘じゃないのか?
「アイカワ、ポケモンと戯れるな!」
「す、すいません!」
あわわ……ボールをつついてたのが結構教室内で響いてたのか。これは目立っちゃうよ
「全く。それじゃそろそろ授業を終わりにするぞ。次の時間はポケモンバトルの実技演習だ。遅れるなよ!」
た、タイミングがよくて助かった……タイミングが悪かったらガミガミ言われてたよ。全くこれもケーシィが余計な事を言うからだ。ボールを取りだして文句の一言でも……
『責任転嫁しようと思ったろ?
残念ながら欠伸をするお前が悪い』
う……そ、それは
「全く仲がいいなお前らは」
「誰が仲がいいんだよ。ケンイチ」
そう僕に話かけてくるのは幼なじみのセンカワ・ケンイチだ。僕ともケーシィとも付き合いが長いからこんな事言えるんだろうけど……今のを見たらどうしてそういう風に見えるんだろう
「そんなの言わずもがなだ。それより行くぞ。流石にあんな事あってからの遅刻は流石にまずい」
ま、まあその通りだね。それに次の授業はポケモンバトル。ケーシィと喧嘩してる場合じゃないんだ!
「うん、行こうか。ケーシィ、次の授業は頼むよ」
『当然』
そんな言葉が僕には聞こえた気がした。さあ、次の授業に行こうか