『Avenger The After』
第18話 『あれから1年…』
大護
「今日も日本は平和だねぇ〜」

真莉愛
「そうね…貴方が仕事さえしてなければね」


俺はカカカ…と笑い、駅前の喫茶店でコーヒーを飲む。
テーブルの前には真莉愛ちゃんが座っており、いつものスーツとグラサンを身に付けてエスプレッソを飲んでいた。

店内は昼時というのもあり、満員御礼。
いわゆる人気店って奴で、この時間はランチセットを頼みに来る客が多いってこったな…


大護
「で? またいつもの説教かい?」

真莉愛
「そうしたい所だけどね…上からは手を出すなって釘刺されてるから私」


真莉愛ちゃんはそう言って頭を抱えていた。
まぁ、相変わらず苦労ばっかしょってんだろう。
昔も、こうと決めた事には割と向こう見ずだったからな…


真莉愛
「…ピースちゃんたちは元気?」

大護
「元気も元気…ピースは特にかな〜」
「日に日にセックスアピール強めて来てやがるし、いい加減身の危険を感じて来た」


俺は日々のやり取りを思い返して笑う。
今は既に10月…もうあれから1年位か。
何だかんだで色々あったな…ピースと出会って、コンビを組んで、復讐も果たして……


真莉愛
「ふふ…あれからPKM周りの法律も整備されてきたし、本格的に人類のひとりとして認められる時代が来るわ」

大護
「結婚してる奴もいるみたいだしな…これからドンドン増えていくのかね〜?」


葛の知り合いもPKMと結婚したって言ってたし、もうPKMはただの異界人じゃなくなったのかもしれんな…


真莉愛
「…あれからゲートの出現も途絶え、私の仕事も少しは減ったけど」

大護
「それでも、まだまだ走るんだろ? ならそうすりゃ良い…」


俺はフライドチキンを食いながらそう言う。
真莉愛ちゃんもケーキを一口食いながらため息を吐いていた。


真莉愛
「…ねぇ、大護君はどうして戦うの?」

大護
「俺は、誰も裁いちゃくれねぇド悪党を殺す為に戦う悪党だ…」
「善意でやってる訳じゃねぇし、あくまで人間の屑」
「だが、そんな悪魔の力でも必要としている人間はいる…」


真莉愛ちゃんもそれは解っているはずだ。
だからこそ、険しい顔をするだけで何も言わない。
表向きに救える人間と、そうでない人間は必ずいるんだ。
俺は、そんな表向きに救われない人間の為に人を殺す。


真莉愛
「…手を引く気は、無いの?」

大護
「その答えが必要か? 俺は死ぬまでろくでなしだぜ?」


俺は笑いながらフライドポテトを摘まむ。
真莉愛ちゃんは完全に諦めた顔で、またため息を吐いた。


真莉愛
「…貴方がその気なら、バックアップ位はするのに」

大護
「無理だな…今更止めた所で、何も変わりゃしない」
「誰かひとりでも望む人間がいる限り、俺の戦いは終わらねぇよ…」

真莉愛
「でも、それに彼女たちを巻き込む必要は無いでしょ?」


俺は固まる。
彼女たちとは、もちろんピースたちの事だ。
蛭火も、細歩も、カネだって俺の仕事は手伝ってくれる。
あくまで同意の上ではあるし、本人も望んでる所はあったからな…


大護
「…確かに、褒められるこっちゃねぇわな」

真莉愛
「…なら」

大護
「だが、その選択も自由だろ」


俺は椅子の背もたれにもたれ掛かってそう言う。
天井を見上げ、両手で後頭部を支えて少し体を伸ばした。
そして、言葉に詰まる真莉愛ちゃんにこう言う。


大護
「あいつらはそれを望んだし、俺はそれを尊重した」
「俺は外道だからな…だから断らない」
「それに、あいつらは自分の意志でやってる…」
「やらせるからには俺も相応の覚悟はしてるし、責任は取る」
「何があっても、俺はあいつらを見捨てない…」

真莉愛
「…馬鹿よ貴方は、やっぱり」


真莉愛ちゃんはそれ以上何も言わず、ケーキとエスプレッソを平らげてそそくさと立ち上がった。
そして伝票を持ち、そのまま会計に向かう。


大護
「真莉愛ちゃん…」


真莉愛ちゃんは無言で会計を済ませ、そのまま店を出て行った。
結局、世間話をしただけだったな…
真莉愛ちゃんからしたら、まだ諦められねえ部分があったのかもしれねぇが…

とりあえず俺はひとり残され、残ったチキンとポテトをさっさと平らげる。
そして、ひとりで店を出てしばらく街を歩いた…



………………………



大護
(平和だ…だが、こんな平和でも闇は常に潜んでいる)


仕事は今は無い…だが、不定期に依頼は来る。
あれから半年程やってなかったのもあって、溜まってた分もあったんだろうが、ここん所依頼は多めだった。
もちろん全部が全部引き受けた訳じゃない…俺は依頼主の『心』を見て仕事を決めるからな。

中にはダメな奴も多い…最近ではむしろ多かった位だ。
依頼はあっても、仕事をするかは相手次第だからな俺は。


ピース
『ダイゴ、まだ帰らないんですか?』

大護
「ああ、少し散歩するわ…」


無線イヤホンからピースの声が聞こえる。
例によってスマホに移してるからな。
こっちの会話も全部記録されてるだろ…


ピース
『むぅ…そろそろ婚姻届位書きません?』

大護
「アホ…んなもんあったら足付くだろうが」


もちろん偽造という手もあるが…
基本的に役所に提出する様な証拠は出したくない。
精々住民票と税金関係位だからな…表向きは会社の社長で通してるし。


ピース
『…ダイゴ〜』

大護
「別に良いじゃねぇか…実質夫婦みたいなもんだろ?」

ピース
『でも〜結婚式とか憧れるじゃないですかー』


やれやれ、ピースも女の子だな…
何だでそういうのには憧れるのか。
とはいえ、大々的にやりたくもないしな…目立つ行動はなるべくしたくないし。


大護
「まぁ、その内考えるよ…その代わりテレビみたいなシチュエーションは期待するなよ?」

ピース
『もちろんです! 何だったらふたりっきりでビーチとか教会で挙げるのでも構いませんから!』


…割と指定はしてくるのな。
まぁ、その内だし…いつにするかは明言してないからな!


大護
(結婚…ねぇ)


俺たちはいわゆる事実婚みたいなもんだろ。
家族は家族なんだし、別に問題は無ぇ。
…ピース的にはそれが不満みたいだが。


ピース
『…そろそろ子供が欲しいなぁ〜』

大護
「…悪い、吐かない保証が無い」


俺は想像するが、別に吐き気は無かった。
昔だったら確実に気持ち悪くなってたと思うんだが、今はそんな事も無い。
だが、まだ振り切れてない部分はあるかもな…


大護
(姉貴…やっぱ、似すぎてんだよな)


ピースの顔は姉の生き写し。
髪色が違うとはいえ、やはり俺が踏み込めねぇ理由のひとつと言えた。
近親相姦みたいでやっぱ気にしちまうんだよな〜
とはいえ、顔変えろとは口が裂けても言いたくねぇし、いつかは乗り越えなきゃならん。


大護
「…やっぱマスターベーション位はした方が良いか」

ピース
『声が漏れてますよ!? って、自慰に浸る位なら私を使ってくれても!?』

大護
「…つーか、お前もいつからそんなに積極的になった?」
「P2だった頃はエッチはいけません!って、お堅いキャラだったのに…」


もはや懐かしい話だが、あの頃のピースは清純でエッチな事は許しません!ってキャラだったからなぁ〜
今でも露骨なのは嫌う傾向があるが、最近は自分に対してのみなら望む様になって来てんだよな…


ピース
『わ、私に対してだったら…夫婦なんですし、良いんですよ?』

大護
「まぁ、俺は女見たらエロい事考えるのが基本動作だからなぁ〜」

ピース
『それは許しませんよ!? 妻である私以外に対してのエッチな行為は絶対許しません!!』


これだ…何つーか、独占欲?
俺はどっちかってーと縛られたくは無いからなぁ〜
ピースの愛は重いのだ…好きは好きなんだが。

俺的にエロスにはもっと広い心をもって欲しいのだよ…


大護
「ったく、独占欲の強い女は男を苦しめるぞ?」

ピース
『独占って…いけませんか? 愛し合ってる夫婦なのに…』

大護
「俺は夫婦なんて言葉はある意味飾りだと思ってる…」
「本当に好きだと思ってるなら、何も言わずに通じあってんのが真のパートナーだろ」
「それこそ、俺は人の生き死で糧を得てるクソヤロウだ」
「一々声に出して、愛を語ったりはしねぇ…」


俺は少々強めの口調でそう言った。
ピースも言葉に詰まり、それ以上何も言わなくなる。
ちっ…言いすぎたか? だが本音だしな…


大護
「…俺は誰よりもお前は信用してる」
「それこそ、葛やルザミィよりもな…それじゃ不満か?」

ピース
『不満じゃ…ないです、けど』
『でも、それをしっかりと行動に表してくれないと、女は潰れちゃう事もあるかもしれませんよ?』


それを最後に、ピースは喋らなくなった。
俺は胸ポケからタバコを取り出し、コンビニまで向かって一服する。
やれやれ…面倒なこったな。



………………………



紫音
「ちぃ〜っす♪ オジさ〜ん!」

大護
「おう、紫音ちゃんか…学校もう終わったのか?」

紫音
「うん、今日は土曜日で半ドンだから♪」

大護
「ん? そういや土曜でも授業やってんのか?」


確か土日は休みじゃなかったのかね?
今は違うのか?


紫音
「他の学校はどうか知らないけど、ウチは土曜もやってるよ?」

大護
「ふ〜ん、まぁ昔の人間からしたら休みの方がおかしいからな…」

紫音
「あ…そういえばオジさんの頃は土曜が休みじゃないんだっけ?」

大護
「俺が小学生の頃はな」
「中学の頃には月2回は土曜休みになってたし、高校からは完全に週五日制になってたなぁ…」
「まぁ、俺は中退して日本から出て行ったから、そこから先は知らねぇが」


俺はタバコを噴かしながら遠い目で語る。
今考えてもロクな学校生活はしてねぇ。
それこそ、事件の後から俺は全青春を殺しの技術と知識に注いだからな。


紫音
「…高校、中退したの?」

大護
「ああ…生徒と3人と教師をひとり殺したからな」


紫音ちゃんはそれを聞いてハッ!となり、俯いてしまう。
俺の仕事の事はもう紫音ちゃんも知ってる、俺は隠してたつもりだったが、紫音ちゃんには既にバレていたみたいだ。
だからこそ、今はあえて語る。
俺を好きだと言ってくれる紫音ちゃんにだからこそ、俺は本音で語る事にしたのだ。


紫音
「…そっか、でも誰かを助けたんだよね?」

大護
「ああ…そいつは今でも幸せな家庭で生活してるよ」


それを聞いて紫音ちゃんはパァ…と笑顔になる。
彼女にとって、俺はヒーローだそうだからな。
どんだけ汚い仕事でも、それが誰かを救っているなら、彼女にとってはヒーローなのかもしれねぇ。
まっ、ダークヒーローって言い方も有りか。


紫音
「オジさんは、今でも誰かを殺したりしてるんだよね?」

大護
「…ああ、依頼があればな」

紫音
「でも、それは誰かを助ける為に…」

大護
「ああ、救われない奴の為にな…」


誰も救ってくれない、誰も裁いてくれない。
そんな理不尽をどうにかしてやりたいから、俺はこの道を選んだ。
真っ当な生き方じゃねぇのは百も承知だ。
ただそれでも、俺は誰かの悲しみや憎しみを和らげたかった。


紫音
「…オジさんは格好良いと思う」

大護
「だが、ただの人殺しだ」

紫音
「うん…でも、私にとっては大好きなヒーローだから♪」


そう言って紫音ちゃんは俺の体に抱き着く。
俺は少し驚くも、タバコの灰をかけない様に気を付けて紫音ちゃんを見た。
紫音ちゃんの体は震えている…本当は不安なんだろう。
この娘は、俺の為に命すら賭けて助けようとしてくれたPKMだ。
その勇気は誰よりも立派で、そして俺には眩しい。

そんな紫音ちゃんは、本当に誰かを救おうと思い、看護師を目指していると言うのだから…


大護
「あんまり抱き着くとタバコ臭くなるぞ?」

紫音
「良いも〜ん♪ 私オジさんの匂いは大好きだから!」


そう言って、紫音ちゃんはしばらく俺の体にすり寄っていた。
こうしてると本当に猫みたいだな…いや、間違ってないんだろうが。


ピース
『くおらぁ泥棒猫! いい加減に離れないと狙撃しますよ!?』

紫音
「うえっ!? 何!? どっかで見てんの!?」


紫音ちゃんはピースの脅しに驚いて離れてしまう。
そしてキョロキョロするも、当然ピースの姿は無い。
そりゃそうだ、ピースは今頃家で脱け殻になってるはずだからな。


大護
「やれやれ、いい加減にしとけよピース?」

ピース
『ダイゴ!? 嫉妬の心は親心ですよ!?』

紫音
「あ、あはは…」


紫音ちゃんは状況を理解したのか、脱力して項垂れる。
俺はやれやれと思いながらも、タバコを握り潰して火を消した。
そのまま吸い殻を灰皿に捨て、俺は首をコキコキ鳴らす。
まだ時間は早ぇな…仕事が無いと暇なもんだ。


大護
「とりあえず帰るか…暴君がうるさいしな」

ピース
『酷い! これも愛情の裏返しなのに!!』

紫音
「あはは…私も帰るよ〜」


とりあえずこれで俺たちは共に別行動。
コンビニを離れ、一旦家に帰る事にした。



………………………



ティナ
「あ…こんにちわ石蕗さん♪」

大護
「おう、常葉さんか…花屋の方はどうだい?」


俺は団地の入り口付近で常葉さんに出会う。
手には花束が持たれており、どうやら仕事の最中の様だった。


ティナ
「はい、まだまだ始めたばかりですが、とっても充実しています♪」

大護
「そうか、そりゃ何より…旦那さんは?」

ティナ
「今はお店で店番です」
「保美香さんも手伝ってくれてますし、私も配達に集中出来ますから♪」


そう言って常葉さんは可愛くガッツポーズをする。
本当に嬉しそうな笑顔で、本心で言ってるのが解るな。
ちなみに保美香というのはPKMで、家族のひとりらしい。
後で解った事だが、常葉さんの家には多数のPKMが同居しており、その全てを旦那さんが面倒見てるんだそうだ。

俺が想像してた以上に旦那さんはやり手らしく、奥さんも信頼してるのが解るな。


ピース
『ダイゴ〜人妻はNGですよ?』

大護
「…わぁってらぁ、心配すんな」

ティナ
「? 今の声は?」


俺は軽く手を上げて、気にしないでくれと言っておく。
常葉さんは?を浮かべたままだったが、俺はそのまま軽く手を振って帰る事にした。
やれやれ…暴君の嫉妬心も困ったもんだな。



………………………



大護
「ただいま〜」

カネ
「あら、お帰りなさい…お昼は食べたの?」


まず出迎えてくれたのはエプロン姿のカネ。
実に珍しく思うだろうが、何気にカネも料理は出来る。
旅の道中で俺が教えてやったのもあるが、基本的な料理ならカネも出来る様になっているのだ。

まぁ普段はピースがやるし、夜なら蛭火が作ってくれるけどな。
ふたりとも味は問題無ぇし、今の所食に関しては不満は無ぇ。


大護
「とりあえず軽くは食って来た…セーラは?」

カネ
「セーラなら外に出て行ったわよ? この時間は大抵いないけど…」


あれからセーラも家族のひとりとして、特に問題も起こさず馴染んでいる。
性格はアレだが頭は良いし、PKMは好きになれないそうだが家族の事は比較的受け入れてはいる様だ。
とはいえ、やはり魔術師らしく怪しい研究はしている様で、前にピースと科学対魔術で戦争しかけてたんだよな〜

頼むから家で争うのは止めてほしいもんだ。


ピース
『あんのチビ、また変な儀式やってんじゃないでしょうね〜?』

カネ
「…まぁ、便利なのは良いんだけどね〜」


カネも比較的受け入れてはいるものの、やっぱ魔術とかは意味解らんらしい。
仮にもポケモン世界の土地神なのに、オカルトがダメとはこれいかに?
人類科学の叡知と言われるポリゴンとかなら、争う理由も何となくは解るが…


ディアルガ
「ちょっと、ご飯まだ〜? もうお腹ペコペコなんだけど…」

大護
「…お前は、またたかりに来たのか?」


そう、今はこんな訪問者もいる。
あれから妙に気に入られたのか、それとも何か目を付けられたのか、良く飯をたかりに来ているのだ。
特に仕事もしてないみたいだし、定住もしていない様で、普段からブラブラしているらしい…


ディアルガ
「何よ〜? 別に良いじゃん! ここならタダで食べさせてくれるし!」

ピース
『…タダ飯食って、人の家でネトゲするだけのニート神が偉そうに!』


そう、ディアルガはよっぽど暇なのか、俺の家でネトゲ…ネットゲームをやっているのだ。
元々はピースが通信の為に使ってたパソコンを使っており、普段からピース以外誰も使わないだけに、ディアルガが目を付けたって所だな。


大護
「ったく、少しは働けっての…常葉さんは嬉しそうに仕事してんだぞ?」

ディアルガ
「それより貢いでよ! 今セールで3000円払ったらお得なセットが売ってるの!!」
「ゼクロムの野郎、大量に課金してやがるからこのままじゃ追い付けない!!」

ピース
『…典型的な廃人コースですね』


俺はとりあえずネトゲに集中しているディアルガを余所目に、ピースを本体に戻す。
するとピースはうーん!と体を伸ばし、ディアルガの方に歩み寄った。


ピース
「ほら、そこ調べる! その辺は日課の周回コースなんですから、ちゃんと回収するんですよ!」

ディアルガ
「わ、解ってるわよ! ちょっと忘れてただけなんだから!!」


ピースはそう言ってマウスを操作し、カーソルで場所を指示してやる。
ピースも満更ではないのか、いつもこうやってディアルガをサポートしてやってるのだ。
まぁ、その変わりに今は無課金でやらせてやってるんだが…


ディアルガ
「あ〜! コイツ、ウザイ!」

ピース
「ちゃんと属性把握しないからですよ…コースに合わせて装備アセンブル位登録するのが基本でしょう?」


ディアルガはまだ慣れてないのが見え見えで、ピースから助言を受けて何とかやっている。
やっているゲームはいわゆるハクスラ系のMMORPGで、よくあるファンタジー物の有名タイトルだ。
詳しくは割愛するが、どうやらディアルガはゼクロムたちのパーティに参加して潜ってる様だな。

あれからゼクロムも人生を自由に謳歌しているのか、よくネットに顔を出してるらしい。
というか、ディアルガ以上の廃人の様で、どこから用意したのか解らない資金源で課金しまくっているトッププレイヤーだそうだ。

世の中解らんもんだな…元神様がネトゲ廃人とか。


カネ
「はい、コロッケだけどここに置くわね? 飲み物はコーラ置いておくから」

ディアルガ
「ありがと! あちちっ、流石に熱い!」

ピース
「はふはふ! 中々美味ですね! ○野家程ではありませんが!!」

カネ
「はいはい…火傷しない様にね?」


カネは笑顔でそう言って炊事場に戻る。
オカンだ…俺は失礼ながらもそう思ってしまった。
そして、俺もコロッケをひとつ貰う事にする。
皿の上に10個以上乗っており、どれも出来立てで美味そうな匂いをさせていた。


大護
「おっ、確かに美味いな…」

ピース
「カネさんも密かにライバルですね! このいかにもな、おふくろの味は強敵です!」


ピースは一気に2〜3個を平らげながらも味は気に入っている様だ。
おふくろの味か…確かにこういう庶民的なのは馴染みがあって良いだろうな。
カネもすっかり所帯染みて来たし、今じゃ年長者って立場もあって家族内じゃ立場は強いからな〜


ディアルガ
「あー! 琉女の奴、それ横取りする〜!?」

ピース
「んぐっ…コロッケに気を取られているからですよ」


ディアルガは悔しそうにしながらもコロッケを頬張りながらコントローラを握り締める。
って、琉女ちゃんまで参加してんのか? 今日は休みだったのかね?
元神様が3人も参加してネトゲとは…ある意味貴重な光景だろ。

そして、ミッションが終わったのかリザルト画面が表示。
そこからはパーティ内でチャットなどが行われていた。
ディアルガもカタカタと慣れない手付きでキーボードを叩き、メッセージを配信している。


トキ
『連戦行く?』

混沌の求道者
『我は構わん』

漆黒の稲妻
『とりあえず、一旦休憩! メンバー増えるから、また夜に』


ちなみに、ディアルガがトキ、混沌の求道者が琉女ちゃん、漆黒の稲妻がゼクロムらしい。
何つーか、ディアルガのアカウントだけ浮いてる様に見えるぞ…
いや、いたって普通なんだけどな。


ディアルガ
「はぁ〜あんまり稼げなかったなぁ…」


ディアルガはそう言ってコーラを飲み、チラチラとこっちを見る。
救済が欲しそうな目だが、タダ飯食らう奴に出す金は無い。
ゲームすんのは構わんし、飯をたかるのも100歩譲って許してやろう。
だが、課金には一切手を貸さん! ここは一切退くつもりは無い!

それが大人のケジメであり、この家のルールだ。
ディアルガも少しは働くという事を覚えてほしいんだがな…


ピース
「いっその事、データ改竄してBANされてやりましょうか?」

ディアルガ
「お願いそれだけは止めてぇ!? 今までの苦労が全部リセットされる!!」


ピースは軽く脅しを入れた。
流石のディアルガもそれだけは怖いらしく、涙目になって諦める。
やれやれ…暇してる神様だな〜


ディアルガ
「むぅ…琉女は働いてるから解るけど、何でゼクロムはあんなに金あんのよ〜?」

ピース
「貴女はゼクロムさんが働いてないと決め付けているのですか?」

ディアルガ
「いや、だっておかしいでしょ!? アイツ15時間以上は確実にログインしてるし、働いてる暇無いでしょ!?」

ピース
「…うーん、ゼクロムさんのデータに不正は無いですしね」
「課金額は確かにかなりふざけてますが…」


ピースはパソコンのケーブルを口に咥えて内部データを解析する。
これ位ならバレないそうだが、良いのかそれ?


ピース
「まぁ、『大きいお友達』が何とかしてるんじゃないですか?」

ディアルガ
「は? 何それ…?」

大護
「…まぁ、大きいお友達なら仕方無いな」

ディアルガ
「えっ何なの!? 何かのスラング!?」


どうやらディアルガは解っていないらしい。
まぁ解った所で何も変わらんのだが…
ゼクロムはあれで世渡り上手な感じだったしなぁ〜
その辺は上手くやってんだろ。
琉女ちゃんなんかは、葛の支援を断ってまで自分の稼いだ金で趣味はやるって言ってたらしいからな…

多分あそこまで真摯なプレイヤーは中々いないだろう。


大護
「全く、働いて稼いだらいくらでも課金出来るだろうに…」

ディアルガ
「え〜メンドイしー」
「それに、その間に差を付けられちゃうじゃーん」


ダメだコイツ…完全に思考がニートだ。
かつてここまで堕落した神はいたのだろうか?
若葉さんなんかは、神様と思えない位のお母さん力を感じた物だが…それに比べたらコイツは。


ピース
「…やれやれですね」

大護
「まぁ、もう諦めてるけどな…」

ディアルガ
「何よー…迷惑だと思ってるわけ?」

ピース
「そのド底辺な脳ミソを分解してやりましょうか!?」
「その態度で迷惑じゃないと思ってるなら、1度ミジンコにまで堕ちてから転生した方が良いですよ貴女!?」


流石にピースは容赦無くこき下ろしたな…
まぁ、否定も出来ねぇわな…迷惑っちゃ迷惑だし。


大護
「まぁ、居たきゃ好きにしたら良いさ…迷惑でも嫌いじゃ無ぇんだし」

ディアルガ
「えっ…それって?」

ピース
「フラグじゃ無いですからね!? 立ってもへし折りますから!!」


ピースは過剰反応して叫ぶ。
ディアルガは少し頬を赤らめながらも、プイッとパソコンのモニターに向き直った。
やれやれ…ホントにガキだな。
まぁ、子供の面倒を見てやるのは大人の仕事だ。
これ位は迷惑でも、面倒は見てやるのが家族ってもんだ。


大護
「さーて、風呂に入って着替えるか〜」

ピース
「じゃお背中流しますね〜♪」


ピースはそう言って俺に付いて来る。
俺は軽くピースにデコピンをして追い返した。
ったく、客の前でいらん事を言うなってのに…

日に日にアピールを強めてくるピース…
俺はそんなピースを愛しているし、信頼しているが、それでは足りないのだろうか?
俺は風呂にゆったり浸かって考えるも、その答えはまだ出そうに無かった…










『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』

スピンオフストーリー 『Avenger The After』


第18話 『あれから1年…』


To be continued…

Yuki ( 2019/12/17(火) 18:57 )