終章 『Avenger』
Epilogue『それでも、生きる者たち』
紫音
『んっ…はぁっ……ん〜っ!』
『オジさんの…すっごく美味しい……んんっ♡』

ピース
「って、開幕から何やってるんですか!? この泥棒猫!!」


私は部屋の扉をバァンッ!と破壊しかねない程の力で開け放つ。
中には紫音さんとダイゴがふたりきり、そして紫音さんは太くて逞しいフランクフルトを……フ、フランクフルト?


大護
「おう、ピースお前も食うか?」

ピース
「いただきます! 私マスタードとケチャップダブルでいきたいです!!」
「じゃ! なくて!?」
「何で紫音さんは、さもフェラチオのごとくフランクフルトを頬張るんですか!?」
「すり潰しますよ下等生物!?」


おっと、つい暴言が…コホン!
どうにも気が昂ると、PZだった頃の激しさが出てきますね…
やはり、怪しいパッチの進化はどうにも問題がある様です。
とはいえ、私はダイゴから太くて逞しいフランクフルトをいただき、美味しくいただきました♪


紫音
「ん〜でも何でこの季節に屋台でフランクフルト?」

ピース
「チッチッチッ! 勉強不足ですね紫音さん…」
「もうすぐ新年! 年が明ければ、神社では屋台ラッシュに溢れるのですよ!?」


私が指を振り、紫音さんにそう言うと、紫音さんはへ〜とあまり関心が無い様でした。
ぬぅ…何だか私がズレてるみたいじゃないですか!


大護
「まぁ、当面これで生活費稼ぐしかねぇからな…」
「今後の事もあるし、復讐代行はしばらく休業だ」


確かに、あの騒動から今は、もうクリスマスも過ぎて年末。
日本はいきなり首相を失ってパニックになるも、すぐに新たな代表を立てて世界との摩擦は回復傾向にある。
結局、PKM人権法も廃止され、私たちは今まで通りの制限された生活を余儀なくされた。
あれから、世界で確認されるPKMも数を減らし、今はポツポツと新たなゲートが観測される程度。
少なくとも、今は復興の事もあり、平和な様には感じた。


大護
「やれやれ…結局あれからルザミィも日本から出て行っちまいやがったし、葛は飲み会とかで、連絡が着かねぇときた」
「こちとら今日の晩飯も心配だってのに、薄情な友人共だよな〜」


大護はそう言って自分の分のフランクフルトを焼き上げた。
そしてそれにマヨネーズをたっぷりつけて頬張る。
むぅ、あれはあれで美味しそうですね…


紫音
「ねぇ、私も屋台手伝って良い?」

大護
「そりゃヤバイだろ…PKMは働いたら問題だぞ?」

ピース
「そうですよ? 私たちは精々裏方で活躍するのが限界ですから…」
「それよりお代わり良いですか!? 私もマヨネーズを試したいです!!」


私がそう言って手を上げると、ダイゴは渋々追加を焼いてくれました。
流石は私の旦那様♪ 優しいのはポイントですよ♡


紫音
「む〜…! 私だって愛人なんだから!」

ピース
「こらそこ! 堂々と人妻の前で愛人宣言をしないでください!!」
「ダイゴは私の専用機です! ○ュータイプ以外はお断りですよ!?」


私は堂々と胸を張ってそう宣言する。
すると、紫音さんは耳をピンッ!と立てて軽く威嚇してきた。
私はそれを見てふふん!と鼻で笑う。


紫音
「ふんだ! フェラテクのひとつも無い癖に!」
「私だったら口だけで天国に上る気持ち良さを提供出来るんだから♡」

ピース
「黙りなさいCP800程度の小物!? 私たちは清純なお付き合いなんですから、そう言うエッチなのは軽い気持ちでやったりしないのです!!」

紫音
「だそうだけど、オジさんはしゃぶられたい?」

大護
「是非お願いします! むしろ生本番キボンヌ!!」


私は咄嗟に『破壊光線』を放つ。
とはいえ、軽く細いレーザー状で放っただけで、ダイゴの頬を掠めた程度だった。
それでも、ブスブスと家の壁を貫いており、ダイゴははぁ…とため息を吐いていた。


大護
「…大体、別にお前は嫁でも何でもないだろが?」

ピース
「酷い!? 名前くれて、一生相棒だって言ってくれたじゃないですか!?」
「一生相棒なら、それってプロポーズですよね!?」
「永遠にふたりで添い遂げるんでしょ!?」

紫音
「うわ〜ここまで勘違い甚だしいと、逆に痛いね…」


紫音さんに蔑まれた!?
ダイゴは既にフランクフルトを焼き上げ、マヨネーズをたっぷりとかけてくれ、それを無言で私に差し出す。
私はそれを早速噛み千切り、マヨネーズの味を噛み締めた。
うん、これはこれで美味です!


紫音
「とりあえず、私は愛人でも良いし、いつでも生ハメOKだから♡」
「むしろ、今からどう? もうトラウマ無いんでしょ?」


私はフランクフルトを食べながら空いてる手で紫音さんの顔を破壊光線(弱)で撃ち抜く。
紫音さんは反射的にそれをかわし、何とか難を逃れていた。


ピース
「チッ!」

紫音
「こんのぉ〜! 当たったらどうすんのよ!?」


むしろ当たれ俗物!!
CP1000も無い癖に、運動性だけは良いんですから…


大護
「お前もいい加減にしろよ? 壁を修理すんの面倒なんだからな!?」


私は怒られ、しゅん…となってしまう。
大護は修繕用のパテを片手に取り、壁の修理に向かってしまった。
私は2本目のフランクフルトも食べ終わり、少し気まずくなる。


紫音
「ピースってば、すぐにカッとなるのは直した方が良いと
思うよ?」

ピース
「解ってはいるのですけど、どうしても抑えられないんですよね…」
「基本プログラムは元に戻ってるはずなのに、やはりどこかにバグがあるのかも…」


「おい、ゴミ野郎共! ケーキ買って来てやりましたよ!?」


『ただいま〜♪』


突然現れたのは、蛭火さんと細歩さんだった。
蛭火さんたちは、あれからとある喫茶店で細歩さんと一緒にお手伝いをしてるらしい。
その店では、ふたりの容姿はほとんど気にされず、良い意味で馴染んでいる様です。
とりあえず、ふたりは行く所が無かったので、今は大護が引き取る形で一緒にこの拠点で潜伏しています。
他の元連合のPKMたちも、今は全世界に散らばり、様々な人生を送っているみたいですね。


ピース
「蛭火さん、サイズは最大の物なんでしょうね!?」

蛭火
「わめくな紐! 私たちが汗水流して働いた金で買って来てやった代物ですよ!?」
「むしろ崇めよ!! この家は誰のお陰で生活出来るんですか!?」

大護
「はは〜! 蛭火様〜蛭火様〜ありがたやありがたや〜」


何とダイゴはあっさり屈する。
とはいえ、流石の私も強くは出れず、こればかりはふたりに感謝しているのは事実です。
しかし! この家での序列はあくまで私が1番上です!!


ピース
「これで勝ったと思わない事ですよ!?」

細歩
『ピース、それ負け惜しみにしか聞こえない…』

大護
「細歩もお疲れさん♪ ほれ、フランクフルト食うか? 蛭火はどうする?」

蛭火
「私は良いですよ、買い食いしてきましたし」

細歩
『私食べる…ペッパーたっぷりで♪ 』

大護
「よしよし、細歩はペッパーが良いのか…こんなもんで良いか?」


ダイゴはフランクフルトを片手に黒胡椒を適宜振りかける。
細歩さんはニコニコ笑顔で嬉しそうに頷き、それを受け取った。
毎度の事ですけど、細歩さんって物を食べる時はあのゲル体を解除するんですよね…
普段からランクルスは中の本体は自力で歩行や食事が出来ないので、何分あのゲル体が無いと動く事も難儀するらしいです。
特に着替えは1番辛いみたいで、仕事場ではいつも蛭火さんに手伝ってもらっているのだとか。


蛭火
「やれやれ…とりあえずケーキは冷蔵庫に入れておいてください」
「私は風呂に入りますので、覗くなよゴミ野郎!?」


蛭火さんはダイゴを睨み付け、多足の足を向けて威嚇する。
ちなみに1度覗いてダイゴは殺されそうになってましたね…
ああ見えて蛭火さん、悩殺ボディの持ち主ですから侮れないんですよね…
まぁ、今は入浴中に必ずトーチカ設置してますし、余程の事が無い限り覗こうという命知らずはこの家にはいないと思いますが。


大護
「やれやれ、トラウマ治った所で女運は何とも、か…」

細歩
『うふふ…♪ 私だったらいつでも相手してあげるよ?』

紫音
「私も私も! 何だったら3Pでも良いよ!?」

ピース
「いい加減にしてください!! すり潰しますよ下等生物!?」


おっと、またやってしまった…
とはいえ、この反応はしばらくどうにもなりそうにありませんね…
どうにかしてポリゴン2に戻れないものですかねぇ?
とはいえ、そんな前例は聞いた事ありませんし、無理なんでしょうね…どうせ。



………………………



マル
「ほい、とりあえず祝勝!」


「おう! ホンマおおきになマルちゃん♪」


俺は今年最後の仕事納めを終え、居酒屋でふたり飲んでいた。
そして、やや遅れてもうひとりがマルちゃんの隣に座る。
俺はそれを見て少し驚く。
それはまさしくPKMで、刺々しい針が特徴的なウルトラビーストだった。



「その娘、『アーゴヨン』か? かなり珍しい娘なんちゃうん?」

マル
「うん…この娘、この世界に現れてすぐに事故で人を殺しちゃって」
「それで今まで外に出る許可が降りなかったんよ…」


そういや聞いた事あるな…あまり報道はされてへんかったけど、俺らPKMマニアには結構大きな事件やったからな。



「そうか…その娘がマルちゃんが心に決めた娘か♪」

マル
「うん、優羽(ゆうは)って名付けたんだけど、どう?」


優羽、優しい羽か…ええやん!
俺は一口日本酒を飲み、良い気分で笑う。
マルちゃん、幸せそうや…ちょっと羨ましいかな。


優羽
「…マルも、どうぞ」

マル
「うん、いただくお♪ ありがとう、優羽♪」


優羽ちゃんはマルちゃんに微笑まれ、恥ずかしそうにしていた。
くっそ〜、羨ましなんか無いんやからな!?
会社でも、最近PKMの話題は出てるし、スケコマシもひとりおるし、何か疎外感あるな〜
話通じやすい夏川もこっちに引き込んだろかな?
あかんあかん…流石に裏の仕事に関わらしたらプロの名折れや。
やっぱ、こう言うのは身内の中だけで仕舞うべきやな…



(ルザミィ…あれから連絡着かへんな)


俺は何度も連絡を試みたが、ルザミィの行方は解らへんかった。
大護の方も全くと言うとるし、ルザミィの奴今頃はまたスパイ活動か。



(せやけど、一言位言えや…)


それだけが、俺は気に入らなかった。
この祝勝会も、ホンマは大護とルザミィも呼んでやる予定やったんに…
まぁ、これはこれでええんやけど、な…
ただ、俺は少し寂しかった。
マルちゃんはあくまで協力者であり、裏の仕事仲間や無い。
マルちゃんは全うなハッカーや、俺は違う。
俺は、得た情報で人心や金、時には命すらコントロールする悪魔や。
所詮、俺も善人やない…もっとも、そうやから大護とはウマがおうたんやしな。
俺は、コップの酒を一気に飲み、今は笑って楽しんだ。
そうや…今はマルちゃんの幸せを祝福したらな♪



………………………




「…久し振りね、ルザミィ」

ルザミィ
「…リーリエ、もう日本は良いの?」


極寒のシベリアで、私たちは偶然出会う。
恐らく、互いに仕事だろう。
だけど、それは同時にお互いの獲物を取り合う可能性があると言う事。


リーリエ
「…羽黒内閣を失った今、もう日本に価値は薄い」
「特に、PKMの増加が減少傾向になった今、ゲートの解明は遅れに遅れている」
「貴女は、またアメリカからの依頼かしら?」

ルザミィ
「残念ね、本命からの指令よ…ここ、ロシアからのね」


リーリエは少なからず目を細める。
つまり、敵同士って感じかしら?
前はフランスだったみたいだけど、この様子だとドイツ辺りからの刺客かしらね?


リーリエ
「…まぁ良いわ、お互い精々死なない様にしましょう」


そう言ってリーリエは背を向け、私が乗って来た汽車に乗る。
行き先はモスクワって所かしらね…私とは逆。
汽車は出発し、私は背を向ける。
そして、吹雪の止まないシベリアの街を私は歩き続けた。



………………………



リア
「…約束だ、何でも好きな事をひとつだけ命令するが良い」

ルザミィ
「なら、永遠に私の下僕になりなさい!」


私は冗談混じりにそう言う。
するとリアは少しだけ黙り、すぐにこう言う。


リア
「…良いだろう、好きにするが良い」
「だが、本当に良いんだな? それだとお前の特異点は解除出来ない」
「お前が寿命で死んでも、またあの時間にループしてしまうが…?」

ルザミィ
「…冗談よ、もう別に良いわ」
「その代わり、その特異点設定を解除して…それだけされれば私は何もいらないわ」


私は両腕を胸の下で組んで重いバストを持ち上げる。
リアはやや意外そうな顔で何か考えている様だった。


リア
「良いのか? どの道それは願い関係無しに解除するつもりではあった」
「お前にとって私は、忌むべき悪魔だろう?」

ルザミィ
「だからよ、私は悪魔と契約する気は無いわ」
「自分の望みは自分で叶える…だから、もう消えて」
「貴女には、確かに恨みはある…それでも、あのふたりを救ってくれたのは事実」
「ねぇ…もし貴女が現れなかったら、私はどうなってたのかしら?」

リア
「…さぁな、流石の私にも、自分がいない世界の事は解らん」
「ただ、それでもお前は生きたのではないか?」


リアは軽くそう言った。
それを聞いて私は、ふふ…と笑みが零れる。
生きた…か、死ぬかもしれないけど、生きた。
そうね…人間とは、そうあるべきなのかもしれない。
未来がどうなろうと、そんな事は関係無い。
私は…生きる。
今を…ただ、貪欲に。


ルザミィ
「…ありがとう、リア」
「貴女の事は、忘れないわ」

リア
「…そうか」
「すまなかったルザミィ…都合が良かったとはいえ私は利用したに過ぎないのに」

ルザミィ
「良いわよもう…貴女は貴女で、苦しんだんでしょうし」


そう、リアもまた私と同じ様に何度も繰り返したはずなのだ。
一体、何回あのふたりが死んだ所を見たのだろう?
あの腐った計画の通り、最悪の結果も見たのかもしれない。
それでも、リアは諦めなかった。
例え誰かに恨まれても、生きてほしかったから。


リア
「…感謝する、この世界でお前に会えたのは幸運だった」
「さらばだ…恐らく2度と会う事は無いだろう」
「強く生きろ…例え絶望があったとしても、決して諦めるな」


それだけ言って、リアは姿を消してしまった。
私は俯き、そして天を仰ぐ。
雪が降っていた。
積もる様な物ではないけれど、私の心は癒してくれている気がする。
さて…もう潮時でしょう。
旅立つ準備を…しないとね。



………………………



ルザミィ
(あれから、誰もリアの事は覚えていなかった)


それどころか、歴史にすら抹消されていた。
何故私だけが覚えているのかは解らない。
でも、それは私に残された唯一の繋がりなのだと思いたかった。
そうでなければ、リアは寂しすぎる。
誰にも覚えてもらえず、ただ誰かを助けて去っていく。
そんな、幻の様なお人好しが他にいるのだろうか?
少なくとも、私は聞いた事が無い。
だから、私は今はひとりでいる。
覚えていると言う事は、私はそれだけ危険な存在と言う可能性が高い。


ルザミィ
(…ごめんなさいね、大護、葛君、そしてピースちゃん)


私は、多分2度とあの輪には入れないのだと想像する。
今や機密の塊となってしまった私の頭の中は、きっと想像を絶する程の価値を秘めているはず。
だけど、 私は生きる。
例え絶望があったとしても、最期まで自分らしく生きる。
それが、私に課せられた罪。
知ってしまったが故の、罰。


ルザミィ
(さようなら、皆…きっと、幸せになってね)



………………………





それは、ひとつの世界に標された、もうひとつの分岐点。
その先にあるのは、歩む者たちだけが知っている。
そして、人はどんな世界でも、生きている。

これは、そんな生きる為に戦った、人間とポケモンたちの物語。










『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』

スピンオフストーリー 『Avenger』


Epilogue『それでも、生きる者たち』


Forever with Poke'mon…
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Yuki ( 2019/07/05(金) 20:14 )