終章 『Avenger』
第8話 『対峙』
ピーチ
『パラシュート解放! 降下時間計測、このままですと屋上に高速で激突しますが?』

大護
「構わねぇよ、どうせこいつでぶち抜くからな!」


俺はパラシュートで降下速度を緩め、バズーカを構える。
狙いは適当だ、とりあえず屋上を崩落させられれば良い。
俺は迷わず引き金を引き、屋上の天板に向かってバズーカをブッ放した。
弾は着弾し、屋上は見事に吹っ飛ぶ。
最上階にいたであろう羽黒は、これで下手すりゃ死んでる。
とはいえ、それじゃあっけなさ過ぎる。
まず生きていると見るべきだろうな。
俺はある程度の高度に達したのを見て、パラシュートをパージする。
そして、ぶち抜いた天板の穴から俺はビルの最上階へと侵入した。


大護
「よう、クソヤロウ…や〜っと、この時が来たぜ?」

羽黒
「ふふふ…やはり来たか、予想通りだよ」
「そして、これで私の欲求は満たされる!!」


やはりと言うか、羽黒は無傷だった。
ここまでの奇襲は想定内だったのか、羽黒は部屋のドア付近で不適に笑っている。

俺はバズーカを投げ捨て、すぐにハンドガンを構えて羽黒を狙い撃ちする。
が、羽黒はそれを胸で受けて平然としていた。
防弾チョッキか? だが、弾を弾きやがるとは…


羽黒
「温いな…私の体を普通の人間と同じに思ってては困るぞ?」

大護
「ちっ!?」


俺は危険を感じ、直ぐ様横に飛ぶ。
すると、羽黒の右手から高速で銃弾がマシンガンの様に放たれた。
明らかに普通の右手じゃない。
ヤツの右手は機械仕掛けか何かなのか!?


羽黒
「私の体は、7割がサイバネティクスでね…並の銃弾では怯む事もない」


成る程、そいつは厄介だ。
まさかサイボーグとはな…正面衝突じゃ分が悪いか。


大護
(だが、それならそれで対抗策はある)


俺は懐からチャフグレネードを取り出し、ひとつ投げる。
それは空中で爆散し、ヤツの周囲には妨害電波が広がった。
機械仕掛けなら、効果はあるはずだが?


羽黒
「ふふふ…原始的だが有効だ」
「これで私のレーダーは実質死んでいる」
「だが、駆動系は筋肉の電気信号で動かしている為、動きを止めるには至らないぞ!?」


ヤツは出鱈目に指マシンガンを掃射してくる。
俺は机の物陰に潜むが、すぐにそれはスクラップとなり、俺は追い詰められた。
ちっ! 小手先じゃダメか? こりゃ相当面倒だな!


大護
「これならどうだ!?」


俺はハンドタイプの榴弾を投げ付ける。
それは着弾と同時に爆散し、羽黒は若干怯んだ。
俺はその様子を細やかに見る。
頭部を庇いやがった…って事は、頭は機械化してねぇな!?
俺は直ぐ様ハンドガンを構え、噴煙が収まる前に奴のガードの隙間から頭部を狙う。
1発だけ正確に撃ち出された弾丸は、ヤツのガードをすり抜け、額に着弾する。
だが、その弾は容易く弾かれた。


羽黒
「良い勘をしている! 額に鉄板を張ってなければ即死だったよ…!」


クソッタレが、ピンポイントに急所はカバーしてやがるのか?
これじゃあ、正確に急所は狙えねぇな…さて、どうするか?



………………………



PZ
「あああああああああっ!?」


私は、とにかく暴れた。
気が付けば、人間共が数10人纏めて襲って来ている。
蛭火と細歩は姿が見えない、どうやら逃げた様だ。
私は、やはり孤独なのか…?
リアもいない…それでも私は戦い続ける。
私は生きたい!! こんな所で、死んでたまるか!!



「クソッタレがぁ!!」

ルザミィ
「PZちゃんはやらせないわよ!?」


突然、妙なふたり組が乱入して来る。
かなり独特な装甲車に乗り、人間の兵隊を蹴散らしていた。
その状況に私は乗り、直ぐ様人間共を吹き飛ばす。
『トライアタック』で数人を吹き飛ばし、直ぐ様『放電』で周囲を凪ぎ払った。
受けたダメージは『自己再生』で回復し、私は息を荒らげながらも警戒する。
敵の数は100を越えてる…面倒ですね。



「PZちゃん! もう止めるんや!!」

ルザミィ
「これ以上暴れても、憎しみを生むだけよ!?」

PZ
「何偉そうに命令してんですか!? 私に命令出来るのは、私だけですよぉ!?」


私は構わず人間の兵士共を薙ぎ倒す。
電気や冷気によって死んでいく人間たちは少なからず恐怖する。
私はそれに優越感を覚え、堪らず笑い出した。


PZ
「ハハハ…アハハハハハハッ!!」
「脆い脆い脆い!! 人間なんて所詮この程度!!」
「私の欲求は満たせない!! 死ね!? 死んで後悔しなさい!」
「私には、もう殺す事しか出来ない!!」


「あかん、PZちゃんは暴走しとる!」

ルザミィ
「何とかして止めないと! ただでさえPZちゃんは命を狙われてるのよ!?」


どうやら、装甲車に乗っている男女はまだヤル気満々らしい。
良いでしょう、でしたら死ぬまで相手をしてあげますよ!?
もう、私には何も無い! これしか無い!!
連合とか、そんな物も意味は無かった…
結局、信じられるのは自分だけだ…!


PZ
「だったら、やってやりますよ!!」
「破滅しかないなら、最後まで抗ってやります!!」


私は全力を出して人間共を凪ぎ払う。
悲鳴、罵声、怨嗟…全てがどうでも良い。
私には、何も無い…虚無だ。
だったら、私は何で存在する?
何で私は、ここにいるんですか?
解らない…ワカラナイ……



………………………



紫音
「…う、匂いが消えてる?」

アブソル
「これ以上は辿れないのか?」


私は突如消えてしまった匂いに疑問を覚える。
恐らく、空中に四散してる。
つまり、オジさんたちは空に?


紫音
「…空じゃ、これ以上は辿れない」
「どうしよう…ここまで来たのに!」

アブソル
「腐るな! それでもお前は助けると決めたのだろう?」
「なら、信じろ! お前の想いは必ず届くと!!」


私はその言葉を受けて気を取り直す。
そうだ、諦めるなんて言葉は無い。
私は、最後までオジさんを信じる!!



「!? こ、こいつ等…!?」


突然、見た事も無い誰かがふたり現れる。
どちらも異様な姿で、形容しがたい。
アブソルの女性はひと睨みし、ふたりを睨み付けた。


アブソル
「…どうやら、連合のPKMの様だな」
「それも、それなりの実力者と見た…」


「細歩、あいつ等は!?」

細歩
『…チョロネコは大した事無い、でもアブソルの方はヤバい!』
『非戦闘時でCP2000以上!! 多分私たちじゃ話にならない!』
『蛭火、逃げた方が良い! 多分、前のピジョットと同じ位ヤバい!!』


細歩に、蛭火…?
とりあえず、PKMなのは解る。
だけど、アブソルの女性を見て、かなり恐れているみたい。
そして連合のPKMとなれば、オジさんの事を知っているかもしれない。
これは、何としても情報を手に入れないと!


紫音
「貴女たち、石蕗 大護を知ってる!?」

細歩
『!? 大、護…?』

蛭火
「クソッタレが! 知ってても教える程間抜けじゃありませんよ!!」
「関係者なら、消す方が無難ですね!!」

アブソル
「…来るか、下がっていろ紫音」


アブソルの女性は手をかざして私を制する。
向かって来る蛭火と言う女性は、何か殻の様な物をこちらに向け、そこから何か針を複数放って来た。
が、アブソルの女性はそれを意図も容易く弾き飛ばす。
まるで風の刃だ。
一瞬の事で私も相手も目を見開いている。


細歩
『ダメ蛭火! 今のでCP6000以上まで上昇してる! とても勝てない!!』

蛭火
「バケモノめ…! こんな所で死ぬわけには…!!」

アブソル
「…お前たち、何に怯えている?」
「私の力を目の当たりにして、それでも退けぬ理由があるのか?」


アブソルの女性はまるで相手の心を見透かした様にそう言う。
それを聞いて、ゲル状の何かに包まれた少女はこう言った。


細歩
『…私たちは連合の幹部』
『でも、もうそれも崩壊する…予知で何となく解る』
『このままだと、私たちは皆消える』
『それは、避けられない運命…』

蛭火
「…っ! だからと言って、ただ消えるのを受け入れるんですか!?」

紫音
「…オジさんはどこ?」


蛭火と言う女性は目を細めて睨む。
私の事が余程気に入らないみたいだ。
アブソルの女性は私の前に立ち、守る様に立ってくれた。
それを見て蛭火と言う女性は舌打ちする。


蛭火
「あんな男、知りませんよ…」
「勝手に逃げたんですから、今頃どうなっているか」

細歩
『大護は今戦ってる、多分…ボスと』

紫音
「!? 戦ってる…?」

アブソル
「…ならば、お前たちは何故立ち塞がる?」
「私たちの目的は石蕗 大護…お前たちは違うのではないか?」


アブソルさんの言葉でふたりは言葉に詰まる。
そうなのだ…このふたりは別に戦うべき相手じゃない。
たまたま、遭遇しただけの相手なんだ。


蛭火
「…どの道、ボスが勝てば私たちも死にますよ」
「もう、何も残りません…ボスにとっては連合とかオモチャなんですから…!」

細歩
『…でも、大護が勝つかもしれない』

蛭火
「同じでしょう!? そうなったら異端者の私たちは人間に処刑されるだけ!」
「生き残る為には、見た者全て消すしかないんですよ!!」
「それに、あんな人間がボスに勝てるわけないでしょう!?」

紫音
「違うよ! オジさんは絶対に勝つ!!」


私は言い切る。
その言葉にアブソルさんは微笑み、蛭火さんと細歩ちゃんは戸惑った。
私は、信じている。
オジさんは絶対に勝つんだって! 誰が相手でも絶対に負けないんだって!!


蛭火
「別に、アイツがどうなろうと知ったこっちゃないですよ…!」

アブソル
「なら、戦うと言うのか? それで死が待つとしても、お前は満足か?」

蛭火
「…どうせ死ぬなら、最期まで抗いますよ!」
「誰かの勝手で殺されるのなんて、私は真っ平です!!」


蛭火さんは覚悟している様だった。
その顔は憎悪に歪んでおり、もう何もかもが嫌になってる目だ。
私は、そんな蛭火さんの前に無防備で出る。
そして、私は優しくこう言った。


紫音
「もう、止めてよ…」

蛭火
「命令するなって言ってるんですよ!?」
「こっちは、どの道生きる可能性が無いんですから!!」

紫音
「なら、私が守るよ!!」
「それに、オジさんが勝ったら絶対に助けてくれる!! だってオジさんはヒーローだもん!!」
「例え誰が信じなくても、私は信じる!!」
「石蕗 大護は、私のヒーローだもんっ!!」


私は涙を流してそう主張する。
アブソルの女性はそんな私の背中を優しく叩いてくれた。
そうだ、この気持ちだけは曲げられない。
私だけは絶対に信じる。
オジさんは、きっと生きて帰って来るって…!!
そして、皆が見捨てても、私は絶対見捨てないって。


細歩
『…蛭火、もう止めよう?』

蛭火
「!? このまま…死ぬのを待てって言うんですか!?」
「私たちはぐれ者に、もう安息の地は無いんですよ!?」


蛭火さんはまだ攻撃体制を取って威嚇する。
でも、実際に私を攻撃する事は無かった。
そして、その目にはあまりにも悲しそうな光。
この人は、どれだけ辛い思いをしたんだろうか?
私には、それが解ってあげられないのが、辛かった。


アブソル
「…PKMである事が、お前をそこまで苦しめたのか」

蛭火
「!? そうですよ!! 私たちはこんな見た目だから、人間には忌み嫌われた!!」
「引き取り手なんて現れるわけも無い! ただ排斥されるだけの存在!!」
「だから連合に与したんですよ!? あそこなら自由に振る舞える!」
「下らない人間を淘汰して、人権を得られる!!」
「なのに…何で結局何も無くなるんですかぁ!?」


蛭火さんは泣いていた。
それは、もうどうしようもなくなった人の涙。
やり場の無い怒りが、私たちの胸を貫いていた。
私も…こうなっていたのかもしれない。
お婆ちゃんや、オジさんに出会わなかったら、絶望して人を殺していたのかもしれない。
そして、人の怒りを買って駆除されたのだろう。
この人も、そうなる手前なのだ。
だったら、私はやっぱり手を差し伸べなければならない。
誰も手を差し出さないなら、私が手を取ってあげないと…


紫音
「蛭火さん、人間は確かに愚かかもしれない」
「でも、皆が皆、酷い訳じゃないですよ…」
「きっと、蛭火さんたちにも、優しくしてくれる人は必ずいると思います」

アブソル
「…そうだな、見た目などで評価する奴らは程度が知れている」
「お前たちには、お前たちを評価してくれる人間が、きっといる事だろう」


私たちの言葉を聞き、ふたりは俯く。
そして、何かを覚悟した様に、蛭火さんは私を睨む。


蛭火
「…石蕗 大護、そんなにあの人間が好きなの?」

紫音
「はいっ! 好きです!! 誰よりも、1番大好き!!」


私は笑顔で言い切った。
偽りは無い、これは本音だ。
そして、例え私が愛されていなくても良い。
私の想いは、私だけの唯一なんだから…!


細歩
『…蛭火、私たちはやっぱり間違ってた』
『人に蔑まれたからって、人に復讐するなんて、そんなのは意味無かった』

蛭火
「…もう、良いですよ」
「ふざけてますよ…何なんですか貴女たち?」
「私みたいな極悪ポケモン…説得しようだなんて!」
「信じられませんよ!? 私みたいな見た目最悪のポケモン…」
「そんなのでも、受け入れてくれるのがいるだなんて…!」


蛭火さんは、殻みたいなのに籠り、蹲ってしまった。
細歩ちゃんは、そんな蛭火さんをゲルみたいな腕で優しく撫でる。
な、何か細歩ちゃんの方が年上みたい。
ま、まぁ…見た目でPKMは判断出来ないけど。


アブソル
「…信じる信じないは、好きにすれば良い」
「だが、私たちは信じている…人間は、そこまで愚かではないと」

紫音
「だから、私は行きます…好きな人を助ける為に!」
「…その、だから、教えてもらえませんか? 大護オジさんの居場所?」

細歩
『解った、多分大護は…』



………………………



大護
(…正面からじゃ弾かれる、かと言って回り込むには障害物が無さすぎるか)

羽黒
「ふふふ…考えるのは結構」
「だが、君の武装では有効打は難しい」
「得意の精密射撃も、私の装甲には…」


ダァンッ!と即座に一発。
狙いは右脇、今度はしっかりとめり込んだぜ!?


羽黒
「ほう、早撃ちも流石だな…今のは0.5秒と言った所か」


ちっ、この銃はフェザータッチじゃねぇからな…
特注のカスタム銃なら0.2秒は出せるんだが。
しかし、あれでも効果ねぇのか?
弾丸はしっかりと中にめり込んだはずだが…


羽黒
「独学でここまでの技術を磨いたのは驚愕に値するよ」
「そして、それでこそ私の欲求も満たされる」


ダァンッ!ともう1発。
同じ部分を俺は正確に狙った。
だが今度は弾かれてしまう、ヤツに反応されたのだ。
狙いを読まれたか…ヤツも口だけじゃないのは確かだ。
さて、正直遊ばれてる感じがするが、どうしたもんかね?


羽黒
「やれやれ、さっきの1発で右腕の動きが悪い」
「同じ所に貰っていたらマズかった…」
「内臓マシンガンも残弾は切れてしまったし、さてどうするかな?」


ヤツはわざわざそんな事をペラペラと喋る。
余程の自信があるのか、それともまだまだ隠し武器があるのか?
どの道、俺には後退はねぇ。
とにかく周囲に警戒しながらやるしかねぇな。


大護
(こっちも隠し玉はある! 早速使わせてもらうぜ!?)


俺はもう一挺のハンドガンを左手で構える。
そして速射、羽黒は反応して間接部と頭部を庇ったが、俺の狙いは正面心臓。
恐らく分厚い装甲で覆われてるんだろうが、この弾にゃああまり関係ない。
弾丸は装甲で弾け、中に詰まっている液体が装甲面を溶解する。
とはいえ、あの量じゃすぐには溶けない…だから何発も撃ち込む。
俺は連続で弾を撃ち込み、ヤツの心臓部はオレンジ色の液体を大量に浴びた。
やがて、ヤツの装甲は徐々に溶け始める。
ヤツは異常に気付き、即座にその場から動いた。


羽黒
「これは、王水!? 銀弾に内包しているのか!?」

大護
「気付いたか!? 即効性はあまりねぇが、時間が経てばどんどん脆くなるぜ!?」
「折角大枚叩いて仕込んだ特注弾だ! たっぷり味わえ!!」


俺はヤツの頭部を銀弾で狙う。
ヤツはすぐに反応し頭部をガードするも、王水がヤツの腕にも染み込んでいった。


羽黒
「見事だ! これ程あっさりと追い詰められるとは思わなかった!」


ヤツはそれでも笑っている。
ヤツに恐怖はさほど無い様だ。
だが、追い詰めているのは確かだろう。
ヤツは明らかに回避を意識している。
俺の銀弾も今ので弾切れだし、とりあえずこっからは通常弾だ。
俺はニヤリと笑い、左手の銃を投げ捨てる。
そして右手の銃でヤツを狙う。
が、ヤツは背中を丸めてガードを固めていた。
ちっ、あれじゃ急所にはぶち込めねぇか。


羽黒
「ふふ、次の手は無いか? なら、これはどうかな!?」


バルバルバルバルバルッ!!


ピーチ
『背面、戦闘ヘリが!?』

大護
「なっ!?」


俺の背後からバルカンの嵐が巻き起こる。
俺はピーチのお陰で咄嗟に身を屈め、何とか致命傷は避けたものの、何発かを胴体手足にもらってしまった。
戦闘ヘリは尚も俺を狙い、痛みに耐えている俺の背中を狙っている。
ビルの最上階はさっきのバルカン掃射で壁がほとんど無くなってしまった。
つまり、障害物はほぼ無い。
かわすのは無茶、だったら迎撃するしかねぇか!!


大護
「今だピーチーーー!!」

ピーチ
『了解! スティンガーミサイル発射します!』


数秒後、戦闘ヘリは空中で爆発する。
やれやれ、逃亡防止用と思ってマンホールの下に用意してたスティンガーが、こんな場面で役に立つとはな…
俺はヨロヨロと血を流しながらも立ち上がる。
羽黒は薄ら笑っていた。
だが、若干汗の量が多い。
サイボーグとは言うが、発汗機能はある様だな。


羽黒
「ふはは…っ!? まさか、対策していたとはな…!」

大護
「ああ、まぁ転ばぬ先の杖って奴だ」
「そして、これ以上はあるのか?」

ピーチ
『いえ、レーダに飛来物無し、今のだけの様です』


俺は勝ちを確信して銃を構える。
羽黒はもはやガードすらしていない。
片腕の装甲も溶けて脆くなってる、防御力はさほどねぇ。
残り残弾もまだ余裕。
後は不測の事態次第だな…


羽黒
「ふふふ…やはり君は最高のオモチャだ!」
「だが、まだ手は残っている…君にPZを見捨てる事が出来るかな?」

大護
「脅しなら効かねぇぞ? PZがどうなろうと俺はお前を殺す」


俺は目を細めて睨み付ける。
こいつだけは、絶対に逃がさねぇ!
どれだけ汚い手を使われても、俺はこいつを殺す!


羽黒
「ふふ、動じないか…それ程の覚悟で挑んでいたか」

大護
「最後にひとつだけ聞かせろ…何でこんな回りくどい事をした?」


それは、俺の最大の疑問でもあった。
羽黒はあれから政治家として長く過ごしている。
そして、今年になって急に首相になって戦争とか、正直意味が解らねぇ。
俺が目的なら、何でそんな回りくどいやり方をした?


羽黒
「全ては、私の欲求を満たす為だよ」


羽黒は堂々と棒立ちでそう語り始める。
その表情はまるで迷い無く、恐怖も無く、ただ愉悦に満ちている様だった。
そして、俺はこの後知る…こいつが計画した、ふざけすぎているプランを。










『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』

スピンオフストーリー 『Avenger』


第8話 『対峙』


To be continued…

Yuki ( 2019/07/05(金) 19:32 )