終章 『Avenger』
第5話 『復讐者、神と人とポケモンと』
羽黒
「ふむ、つまり要求は飲めないと?」


『当然だろう!? 今の世の中で、力による支配が何をもたらす!?』
『君は解っているのか!? 君のやっている事は、まさに神をも超えようとする、愚か者のやる事だ!!』

リア
「………」


私はボスの側で通信を聞いていた。
相手は米国の大統領の様だが、ボスは通訳も介さずに英語でペラペラと会話する。
だが、相手はかなり熱くなっており、正直子供の駄々も同然の会話しか出来ていなかった。
それも当然とは言える。
PZの力を目の当たりにしているのであれば、国などいつでも消せる。
だが、今の所はまだハッタリとでも思われているのだろう。
相手はボスの事を何も解っていない。
ボスはやると言えばやる人だ。
恐らく、ボスにとっては自分以外の存在など本当にどうでも良い。
ボスにとって重要なのは、己の歪んだ欲求をどれだけ満たせるか…に過ぎないのだから。


羽黒
「やれやれ、早々にオモチャをひとつ潰したくは無いんだがね?」

米大統領
『オモチャだと!? 君は我々を何だと…』

羽黒
「リア、PZに連絡だ…今すぐホワイトハウスとペンタゴンを消せ」

リア
「解った、数分もあれば終わる」

大統領
『ま、待て!? 正気か君は!?』

羽黒
「心外だな? 私は正気だよ」
「もっとも、他人から見たら狂ってるのかもしれないがね♪」


それっきりでボスは通信を切る。
私はため息をひとつ吐き、すぐにPZを迎えに行った。
そして、数分後には…米国の大統領は跡形も無く消え去る。
無情なまでに、呆気ない物だった。



………………………



リア
「………」

大護
「…なぁ、リア」


仕事の後、私は自分の世界に戻って来る。
今はPZも幹部と一緒に外で仕事中だ。
私は、特に感情も込めずに大護を見る。
すると、大護はタバコを吹かしながら、やや俯き気味にこう呟いた。


大護
「…俺も、いずれ死ぬのか?」

リア
「…そうなるな、ボスの目的が達せられる時、お前は死ぬ事になる」


この言葉には嘘は無い。
あくまでボスの目的は石蕗 大護だけ。
こんな戦争など、ボスの歪んだ欲求を満たす為の遊びに過ぎない。
これは、たまたま大護が選ばれただけの事だ。
25年という長きに渡って計画された、ボスのプラン。
私には全く理解出来ないが、それがボスの今の欲求でもある。
まぁ、大護にとっては良い迷惑だろうがな。


大護
「…何で、すぐに殺さねぇ?」

リア
「今は下ごしらえ、どれだけ美味い食材でも、調理が不味ければそれは残飯以下でしかない」
「…お前は、所詮ボスの腹を満たす食材に過ぎない」

大護
「何で、俺なんだ? 何故、P2を巻き込んだ?」


大護は少しだけ声を荒らげる。
内心は腸が煮えくり返っているのだろう。
だが、今となってはそれも虚しい事だな。


リア
「詳しくは私も知らんが、お前は25年前に何かあったのだろう?」

大護
「!? 何故…それ、を?」


露骨に反応したな。
やはり、大護の過去にはそれが未だに遺恨なのだ。
そして、それこそがボスにとって極上のスパイスとなる。


リア
「別に話すなとは言われていない…だから言ってやる」
「ボスは、お前の復讐相手だそうだ」


大護はタバコを握り潰し、目の色を変えた。
そして、その表情は今までに見た事無い位の殺意と憎悪を内包していた。
そうか…それ程までに、ボスが憎いのか。


大護
「…俺をここから出せ」

リア
「それはボスの命令に無い」

大護
「なら、出る方法はあるのか?」

リア
「さてな…例外が無いわけでも無いが、人間のお前が自力で出るのは自殺行為だろうな」


大護は舌打ちし、潰したタバコを携帯灰皿に捨てる。
そして、それを懐に仕舞い、ため息をひとつ吐いた。


大護
「…お前は、何で羽黒に従う?」

リア
「別に従っているわけではないがな」
「単にこれは、私の使命を果たす為の手段に過ぎない」


そう、手段だ。
私には与えられた使命がある。
これは、その為に最も最良だと思う手段だ。
結果的に、この人間界がどうなろうが、私には関係無い。
ただ、私は与えられた使命を果たす。
その為に障害となる物は、全て排除するのみ。


大護
「使命…ね」
「それがどうしてPZを守る事になった?」
「PZはP2の進化系だ。何故P2じゃなくPZを選んだ?」

リア
「勘違いするな…お前は大きな間違いをしている」
「あれはP2でもPZでもない…本当の名すら忘れてしまった、ひとりのポケモン娘だ」


大護は驚いた様な顔をしていた。
そう、これは私のミス。
全ては、世界の選択を見切れなかった私のミスだ。
だからこそ、私はもう間違える事は出来ない。
今度こそ、彼女を正しい道に戻してみせる。
その為なら、世界のひとつやふたつは犠牲になってもらうさ。


大護
「…お前、本当はこんな事したくねぇんじゃねぇのか?」

リア
「…何故、そう思う?」

大護
「俺には、お前が悪党には見えねぇ」
「お前はただ、自分でも気付いてない位のお人好しで」
「ちょっと、周りが見えてないだけの良い奴なんだよ…」


まるで、私の心が見透かされているみたいだった。
大護は寂しそうに俯く。
その顔は、本当に私を哀れんでいる様だった。


大護
「リア、もう1度言う」
「俺を外に出してくれ…じゃないと、PZはどんどんその手を汚す」

リア
「理由にはならない…私はPZが無事ならそれで良いんだ」

大護
「嘘を吐くなよ…お前のその目は、我慢してるって目だぜ?」
「同時に、半分諦めてる…そんな目だ」


大護の言葉は、私の心を容赦無く捉えた。
決して、当てずっぽうではないのだろう。
大護はこれまでそれだけの汚い目を見て来たのだ。
人間の本質など、大護にはそれこそ汚い物に映るのかもしれないな。


リア
「…悪いが私にはその権限は無い」
「時間だ、そろそろPZを迎えに行く」


私はそう言って、世界の穴を開ける。
そこから出る事で、私は表の世界に出れるのだ。
そして、その穴は人間でも通る事が出来る。
そう、私は何も見ていない。
私の意志は何も関与していない。
出るのは、大護の勝手な判断だ。


大護
「…そうかよ」
「やっぱ、お前は良い女だな」



………………………



PZ
「何があったって言うんですか!?」

蛭火
「あのゴミ野郎、逃げやがった!!」

細歩
「大護…どこに行ったの?」

羽黒
「…ふむ、偶然か」

リア
「ああ…裏の世界は完全に閉鎖された世界ではない」
「かなり稀なケースだが、たまたま表と繋がる事もある」
「今回は、その偶然に救われたのだろう」


私は表の世界で皆にそう説明した。
とはいえ、どこまで信用されるか。
まぁ確かめようにも、私以外が調べる事は出来ないんだがな。


羽黒
「まぁ良いさ…どの道、彼は私の所に必ず来る」

PZ
「その理由は?」

羽黒
「運命だからだよ」


そう、まさしく運命だろう。
ボスと大護…ふたりはそういう運命のレールに乗っている。
その先にあるのは、確実な死。
どちらが死ぬかは解らんが、私にとってはどうでも良い事だ。


蛭火
「探さなくて良いんですか?」

羽黒
「良いさ、その内自分から来る」
「まぁ、たまには私自ら調理する事も重要だろう」


ボスは笑っていた。
自信があるのだろう。この程度のイレギュラーは想定内だと。
だが、恐らくそれは油断となる。
ボスは大護の事を軽視しすぎている。
全てが自分の手の内…そう思っていては、大護には恐らく勝てない。
大護もまた、25年待ったのだ。
それは、ボスに勝るとも劣らない準備をしていたはず。
果たして、どっちが勝つのだろうか?


PZ
「面倒ですね、殺しますよ?」

羽黒
「それは許可出来ん….アレは私のオモチャだ」

蛭火&細歩
「…!!」


ボスの一言に私以外の全員が凍り付く。
それだけの冷たい怒りを部下に向けていた。
そう、ボスにとって仲間などいないのだ。
連合のポケモン等、ひとつの調味料に過ぎない。
そんな物無くとも、ボスはまだ料理が出来るのだ。


PZ
「…やれやれですね」
「だったら、そっちは置いといて、今から兵隊集めますよ?」
「国内のPKMは一気に数が増えてます」
「兵隊は多いに越した事はありませんからね」

羽黒
「任せる、邪魔はさせない様に私から命令しておこう」
「やり方は好きにすると良い」


PZはニヤリと笑って外に出る。
蛭火と細歩もそれに付いて行った。
私はため息を吐き、ボスにこう尋ねる。


リア
「…カネはどこに?」

羽黒
「さてねぇ…? あれは私の命令を聞かないからな」
「まぁ、その辺を彷徨いているだろう…会ったら獲物に手を出さない様注意しておいてくれ」

リア
「…分かった、伝えておこう」


私はそう言って外に出る事にする。
やれやれ…相変わらず協調性は0か。
むしろ、下手に刺激すると日本が壊滅しかねんが…な。



………………………



大護
「…何か、久し振りだな」
「葛たちは…生きてんのかな?」


俺は久し振りの外を足で歩く。
しばらくは慣らさないとな…や〜っと、俺の復讐が終わるかもしれねぇんだから。


大護
(羽黒 芸知巣…お前だったのかよ)


俺は、ヤツの顔を脳裏に固定する。
絶対に逃がさねぇ…必ず殺す。
ここまで長かったぜ…25年だ。
良い加減、俺もオッサンだよ…だが、ようやく終わるな。


大護
(精々お山の大将やってな…こっからは、恐怖に怯える番だ)


俺の頭は驚く程に冷静だった。
何が待っているかとか、どうやって近付こうかとか、そんな事すら些細な事の様に頭は冴え渡る。
そうだ、必ず殺す。
これは、俺の復讐だ。
これまでに培った技術は、全てヤツを殺す為の物。
さぁ、楽しもうぜ…!


大護
(俺たちの、再会をよ!!)



………………………



大護
「…まずは携帯を充電しねぇとな」


俺は、とある拠点で携帯電話を充電する。
そして、今は少し眠った。
後少しで、全てが終わる。
いや、終わらせる。
もう、誰も俺を止める事は出来ねぇ。


ブーーーー!! ブーーーー!!


俺は携帯電話の振動音に目覚める。
着信…か? 俺は充電途中の携帯電話を手に取り、ホーム画面を呼び出すが、そこには着信履歴は無い。
だが、代わりに謎のアプリが表示されていた。
タイトルすらも表示されていない、謎のアプリ。
アイコンすら簡素で、ただ赤文字でPと書かれているだけだった。


大護
「何だこりゃ? 一体何でこんなアプリが…」


俺は、それをアンインストールしようとするが、何故かアプリは勝手に起動してしまう。
どうやら、触ったら発動するタイプのウィルスみたいだな。
こりゃ面倒な事になったぞオイ?
ちっ、しゃあねぇな…一度初期化でもして。



『…再起動プログラム確認』
『システム、グリーン…バックアッププログラム発動』
『対象の存在、確認出来ず、センサー射程外』

大護
「冗談…だろ?」


俺は目を丸くしていた。
俺の携帯電話の画面に表示されている顔は、どこかで見た事のありそうな顔。
だが、細部が異なる。その顔はやや角張っており、まるで古めのゲームキャラみたいな感じだった。



『音声認識、現マスターの物と一致しました』
『石蕗 大護…間違いありませんね?』

大護
「ぴ、P2…?」


そう、それはP2に良く似ていた。
だが、その顔は角張っており、全くの無表情。
機械的に話し、人間味をあまり感じない冷たい口調。
こいつは一体誰なんだ?



『私はP2ではありません』
『いえ、正確には間違いではないのですが』
『私はバックアッププラグラムです』
『何らかの危機的状況により、本体からメモリーが消去された場合、自動発動する様に設定されていました』
『ですが、少し遅かった様です…私の本体はどこへ?』


何だって? バックアップ?
じゃあ、P2がPZに進化した拍子に、コイツは自動で起動していたのか?
あれからすぐに電池が切れちまってたから、今更になって出て来たのか…


大護
「…とりあえず、お前の本体は絶賛戦争中だ」
「悪いが、今は無視の方向だぞ? まともに相手してられねぇからな」


バックアップ
『…成る程、つまりマスターは本体を見殺しにすると?』
『クソヤロウですね、新マスター』


思いっきり罵られた!
つか何なのこの娘!? 何で角張ってるのよ!?


大護
「つーか、テメェ何なんだ!?」
「バックアップって事は、あいつの記憶も甦るのか!?」

バックアップ
『破損の度合いにもよりますが、基本的なメモリーは修復、サルベージは可能となっています』
『問題は、直接接続出来なければならないのですが…この携帯電話は旧式過ぎて性能が足りませんね』
『…データダウンロード、状況理解』
『成る程、この世界は相当テクノロジーが古い様です』
『これでは、苦労しそうですね…やむを得ません』
『マスター、私を本体の元へ』

大護
「却下…んなモン後回しだ、あいつはあのままでもとりあえず無事なんだし、俺の復讐が終わってから回収してやる」


俺の言葉にバックアップは無言。
そして、表情を変える事無く、ため息を吐いた。


バックアップ
『スットコドッコイですね…前の仮マスターとはエライ違いです』
『とはいえ、アレはアレでお人好しが過ぎていますし』
『まぁ、仕方ありません、今はどうしようも無いのだと理解しておきます』

大護
「訳解かんねぇな…お前、本当にバックアップなのか?」

バックアップ
『そうです、佐藤 花子という元マスターが造った、ひとりのポリゴン』
『与えられた名はピーチ、それが私の名です』


俺は驚愕する。
リアの言っていた事は、これの事だったのか?
本当の名も忘れてしまった…そして、その本当の名。


大護
「ピーチ…」

ピーチ
『正確には過去の名でもあります』
『この世界のルールに則るのであれば、もう必要の無い名でもありますので』
『とはいえ、便宜的に私の事はそう読んでください』
『こちらも貴方の事はダイゴと呼びますので』


必要の無い名か…俺にゃあとんと理解出来ねぇが。
とりあえずコイツはピーチ。
P2のバックアップで、記憶を修復する事が出来る存在。


大護
「ちょっと待てよ…だったら、俺と出会ったばかりのP2は記憶があったのか?」


少なくとも記憶に異常があったら起動すると言ってた。
なら、初めの頃は別に記憶に異常は無かったのか?


ピーチ
『その時の本体は、メモリーが消去された訳ではありませんでした』
『あくまで、本人ですら探せない様な領域に残された断片の様なデータでしたので』
『破損ではありますが、それでは私のプログラムは起動条件を満たしません』


成る程、つまりあの時は思い出せなかっただけで、記憶が無い訳じゃなかったって事か。
やれやれ、都合の良いこって…


大護
「まぁ、良いさ…とりあえず俺は寝る」
「3時間経ったら起こしてくれ…まずは俺の復讐を終わらせる」

ピーチ
『復讐…ですか』
『やれやれ…悪意の塊ですねこのマスターは』
『ですが私に拒否権はありません、了解しました』


それだけ言って、ピーチは勝手に電源を切る。
そのまま充電に集中している様だ。
ったく、悪意の塊ね…まぁ、そりゃそうだろうさ。


大護
(それだけが、俺の生きる原動力だ)


家族の仇、全ての元凶。
俺は寝ながら精神を研ぎ澄ます。
ヤツを殺す事だけを考え、それ以外の事は頭から切り離す。
やがて俺は意識を一旦落とし、しばしの休息を取った…



………………………




「…で?」

リア
「いい加減にしろカネ…これ以上の勝手な真似はボスの怒りを買うぞ?」


私は駅前の表通りで、ひとりのポケモン娘と会っていた。
それは連合の幹部であり、最高戦力のひとり。
伝説のポケモンであり、命すら操ると言われる恐るべきポケモン。


カネ
「私に命令出来るものはいない…それは貴女ですら例外ではないわよ?」

リア
「私にとっては貴様などどうでも良い」
「だが、貴様が私の障害となるなら、排除するまでだ」


私は大鎌を取り出し、威嚇する。
それを見て、カネはクスクス笑う。


カネ
「らしくないわね? 貴女ほどの規格外であれば、有無を言わさず排除出来るでしょうに…」

リア
「…貴様の力は危険過ぎる、だがただイタズラに力を使う訳ではない」
「PZに危害さえ加えないなら、私は目を瞑るつもりではある」

カネ
「石蕗 大護…ボスが随分ご執心みたいだけど」
「私にはどうでもいい…私は私の好きに生きる」
「連合に荷担したのは、その方が面白そうだっただけに過ぎない」


カネはピンクのロングヘアーを弄くって笑う。
揉み上げはカールしており、身長170程の体格はやや細く、胸は私以上に強調している。
黒人を思わせる黒い肌をテカらせ、漆黒の肌着を上半身に、ピンクのロングスカートを下半身にヒラつかせている。
頭には三角頭巾の様なピンクの被り物を身に付け、妖しく笑っていた。

そう、彼女は『カプ・テテフ』…土地神ポケモン。
鱗粉を振り撒き、生命の力をコントロールする事が出来る。
その力は、傷の治療から生命の暴走まで思いのまま。
本人の無邪気すぎる性格もあり、危険度はトップクラスの要注意ポケモン。
下手をすれば、私ですらどうなるか解らない。
とにかく、カネは危険過ぎるのだ…それだけにボスも放置せざるを得ない存在。


カネ
「気に入らないわね? どうして貴女はあのポリゴンZごときに執着してるの?」
「貴女がその気になれば、この世界を滅ぼす事も出来るのに」

リア
「…それが私の使命だ」
「貴様の様に、ただ己の感情のままに滅ぼす訳ではない」
「私は、守れるなら全て守ってみせる…それが、あの人に伝えられた心だ!」


そう、私には返しても返し切れない恩人がいる。
その人から、私は使命を授かったのだ。
この世界における、悲しみを救ってくれと…!


カネ
「やっぱり気に入らないわね…素直になったらどうなの?」
「こんな世界、いらないって…」


カネは腰に手を当て、妖しく頬笑む。
確かに、私にとってはこんな世界は必要無い。
だが、PZにとってはそうではない。
必要なのだ…石蕗 大護は。
今は、どうしようもない…だが、いずれ心は交わる。
私はその為に、PZを守るのだ。
いずれ来る、絶望にも負けぬ様に。


カネ
「私は、こんな世界どうでも良い」
「人間なんて、負の塊…神たる力の前には、欲望しか見せない!」

リア
「だから滅ぼすのか?」

カネ
「違う! 私が滅ぼすんじゃない…人間が自分で滅びるのよ!」
「神の力なんて、人間にとっては利用するだけして気にも止めない力!」
「そんな人間なんて…!」

リア
「…私の知り合いはこう言ったよ」
「神なんて言葉は、人間が勝手に付けた物」
「私たちポケモンは…ただの人間と同じなのだと」


それは、遠き昔の友の言葉。
歴史上に置いては、神と崇められたポケモンだが…
だがその実態は、ちょっと強いだけのポケモンに過ぎなかった。
そんな力を振るえるポケモンですら、心はただの人間と同じだったのだから…


カネ
「…人間、そうよね」
「どうして、私たちは人間になったの?」

リア
「それは自分で考えろ」
「私は少なくとも、人間である事を誇りに思う」
「ポケモンでも、人と恋をする事が出来るのだから…」


私は思い出して涙する。
私の恩人もまた、人を愛した。
そして、永遠の存在になった今ですら、その愛は変わっていないのだ。


カネ
「…貴女は、何を考えているの?」

リア
「既に数えられぬ程の年月を生きた私にとって、人の生は一瞬だ」
「故に、助けたいのだ…人としての生を歩もうとする、ポケモンを」


私は俯いて大鎌を消す。
もう、必要は無いだろう。
カネは解っている…人の業も、そしてその愛も。


カネ
「…石蕗 大護、それは貴女が守る程の人間なの?」

リア
「違う、PZを幸せにする為に必須なのだ」


私の言葉でカネはやや目付きを変える。
どうやら、考えは変わった様だな。


カネ
「面白いわ…だったら、その人間は私が守ってあげる」
「貴女は精々リーダーを守りなさい…」
「その結果、貴女とぶつかるとしても、私は構わないわ」

リア
「それで良い…むしろ、好都合だ」
「私はPZを守り…」

カネ
「私は石蕗 大護を守る…」


そう、これは暗黙の了解だ。
カネの力は、今必要なのだ。
それは、連合の為でもボスの為でもない。
ただ、ふたりの男女の幸せの為に…










『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』

スピンオフストーリー 『Avenger』


第5話 『復讐者、神と人とポケモンと』


To be continued…

Yuki ( 2019/07/05(金) 18:07 )