序章 『石蕗 大護という男』
第6話 『石蕗 大護』
大護
「PKM…か」


俺はまた最寄りのコンビニでタバコを吸っていた。
今や路上喫煙禁止で、喫煙者は必然的に灰皿のあるコンビニとかでタバコを吸うのが基本になっちまってんだな…
しかも、タバコが高え。
また近々値上がりだってんだから、たまったもんじゃねぇ…
まぁ、どこの国もタバコ問題はあるんだが、日本も厳しくなっちまったなぁ〜



「あ、また会ったね〜ちぃ〜っす♪」


俺に近付いて声をかけて来たのは、以前に会った猫耳PKMだった。
嬉しそうに笑顔を振り撒いており、タバコの煙も気にせずに耳をピコピコ動かして喜びを表現している。
前と似た様な長袖シャツとミニスカート。
相変わらず胸は強調しており、露骨に視線を引く様な立ち振舞いだ。
俺はとりあえず吸殻を設置されてる灰皿に捨て、ふぅ…と息を吐いた。


大護
「お前はまたヘルスやってんのか?」

猫娘
「ははっ、そりゃあね! だってPKMは法律で仕事出来ないし」
「お金がいるんだから、こうやってこっそり稼がないと♪」


金がいる、ねぇ…
この娘は何が目的で稼ごうとしてるのか?
聞いてやるべきなんだろうか?
それとも関わらない方がいいんだろうか?
…らしくねぇな、俺は余計なトラブルは避けるはずじゃねぇか。
こんなのは露骨にトラブルの元だ。
変に関わらない方が良い…
俺は相槌だけ打って、しばし佇む。
今日は仕事も無いし、気楽なもんだ…


猫娘
「そういえば、オジさん何の仕事してるの?」
「平日の朝からこんな所で堂々とサボってるの?」

大護
「俺は何でも屋だからな、仕事がありゃ働くし、無けりゃ暇なもんだ」


実際、表の仕事は暇だからな。
こんなご時世、何でもやる便利屋なんざやっぱ需要無いんだろうな…
まぁ、裏の仕事がそこそこに盛況だったし、蓄えはそこそこあるから無理に表で働く事も無いんだが…


猫娘
「何でも屋って、何でもやるの?」

大護
「そりゃ何でも屋だからな…金さえ貰えるなら暗殺だってやってやるぜ?」


俺は冗談混じりに笑ってやる。
まぁ、依頼があるなら本気でやるんだがな…
猫娘はあははっと苦笑していた。
そりゃ信じるわけ無いわな…


猫娘
「…もし、もしもなんだけど」

大護
「あん? 何だ?」


突然、猫娘は表情を曇らせて何かを話そうとしていた。
俺は少し真面目な顔になる。
今まで屈託なく笑っていた笑顔が、無くなってしまったのだ。
俺は緊張感を高め、猫娘の言葉を待った。


猫娘
「もし、死ぬのが解ってる病気を治してほしいって言ったら、治してもらえるのかな?」


それは、かなり難しい注文だった。
そもそも、死ぬのが解ってる病気とか完全に無理だろそれ?
俺は簡単な手当てとかは出来るが、重い病気となるとどうにもならんぞ…


大護
「とりあえず、医者は?」

猫娘
「この街の医者は、ここじゃどうしようもないって…」
「何か、心臓がどうとか何とかって、訳解んない事言われて…」


心臓病か…それで治らないって、相当放置されたタイプか、それとも限界まで耐えたか…って所か?
俺は医者じゃないからどうとも言えねぇが…


大護
「それ、誰の病気だ?」

猫娘
「…私の、保護責任者」
「どうしても、助けたくて…だからヘルスやってでもお金欲しくて」
「お金があれば、助かる道もあるかもしれないって、医者に言われたから」


そうか、それが理由か。
泣かせるねぇ〜こんな可愛い猫娘がそうまでして助けたい人間がいるとは…
そして金があれば、ね…常套句だな。
俺ははぁ…と大きなため息を吐き、携帯電話を取り出す。
そしてこう一言。


大護
「P2、ルザミィだ」

P2
『分かりました』


俺が言うとP2はすぐにルザミィの携帯電話に発信する。
今日はP2も大人しく拠点でお留守番だ。
もっとも、こうやってサポートはしてくれるんだが…


ルザミィ
『はぁ〜い、もしもし〜♪』

大護
「ルザミィか、良い医者紹介してくんねぇか?」
「ちょっと見てほしい患者いんのよ」

ルザミィ
『患者? まぁ良いけど…3日はかかるけど大丈夫?』

大護
「…3日は持つのか?」

猫娘
「あ、うん…それは大丈夫と思う」


俺はそれを聞いて、ルザミィに大丈夫だと伝える。
すると、ルザミィは笑って手配すると言ってくれた。
やっぱ持つべき物は友人だな。


大護
「とりあえず3日待て、そしたら医者が来る」

猫娘
「え、えっ!? ど、どういう事!?」


まぁ、狼狽えるわな…普通。
あくまで予想だが、こんな物は体の良いボッタクリだ、PKMが相手だからって吹っ掛けやがったんだ恐らく。
どんな医者か知らねぇが、金に目が眩みやがったか、金が無いのを知ってて促したか…
どっちにしても、こんな少女に体売らせた金で私服肥やすってんなら、こっちもちぃ〜っと考えがある。


大護
「とりあえず、お前はもう仕事すんな…後は俺が引き受けた」

猫娘
「ちょっ、オジさん!? 何考えてんの!?」
「引き受けるって、治せるの本当に!?」

大護
「それはまだ解らねぇが、とにかく気にすんな」
「俺ぁ、気になる事があったらトコトン攻めるタチなんだ」
「お前はとにかく俺に任せろ」


俺は軽く笑って言ってやる。
すると、猫娘は訳が解らないという風に首を横にゆっくりと振り、目から涙を流していた。


猫娘
「どうして…? 前もタダでお金くれたし、今度も私頼んでもいないのに…」
「どうして、PKMの私にそこまでしてくれるの!?」

大護
「PKMとか関係ねぇ、俺にはお前が人間と同じに見えるよ」
「そんなお前がそうやって泣いているのは、人間と同じ証だ」


猫娘は、その場で立ち尽くして泣いた。
俺はそんな猫娘の頭を優しく撫でてやり、慰めてやった。
辛かったんだな、ひとりで悩んで、ただ助けたいと思って努力して。
例え間違った方法でも、それでも頑張って…
この娘は、良い娘だな…きっと。
そして、そんな良い娘が助けたいと思っている保護者も、きっと良い人なのだろう…
俺は真面目な顔で、先を見据える。
そして、久し振りに表の仕事を開始する事にした。



………………………




「そら、間違いなくヤブ医者やな」
「確か、最近でも不祥事の噂があったはずや」

大護
「予想通りのクソ野郎か、なら金目的であの娘を利用しようとしたな」


「あぁ、病気の詳細は不明やが、その辺はルザミィが手配しとる医者が解決するやろ」


俺たちはとりあえず情報を整理していた。
葛の裏情報から、担当した医者はヤブ医者と判明。
患者からの評判も悪く、典型的なクソ野郎みたいだ。
金の為なら手段は選ばないタイプだろうな。



「せやけど、どないするんや? これは依頼や無いんやろ?」

大護
「あぁ、だから別にヤブ医者をどうしようとは思わない」
「だが、少ーし社会的制裁は必要だな」


俺が微笑して言うと、葛はクククと笑う。
どうやらやる事は解ったらしいな。



「任しとけ、とりあえず何とかして診断書は入手したるわ」
「金は100万でええで?」

大護
「マジか、もうちょいまからねぇか?」


葛はアカン!とそこは関西人根性で譲らなかった。
ちっ…医者の方の見積もり次第では、また文無しになりそうだな。



………………………



ルザミィ
「まぁ、紹介料はこれ位でどう?」

大護
「…マジか? これ治療費は含んでねぇんだよな?」

ルザミィ
「当然でしょ? 紹介料だもの」


俺は金額が書かれた請求書を見て絶句する。
ドイツから呼びつけたのかよ…超一流の医者じゃねぇか!
やれやれ、下手したら借金だな…


大護
「とりあえずツケといてくれ、医者の請求が最優先だからな」

ルザミィ
「はいはい、相も変わらずに金の使い方が荒いんだから♪」


お前らが吹っかけすぎなんだよ!!
そこまで良い医者寄越さなくても良いだろうに…
俺は頭を掻いてとりあえず金策を探す事にした。
3日以内に見付かるかねぇ?



………………………



そして当然の様に仕事も見付からずに3日後。
俺たちはそれぞれ目的の為に動き始めていた。


猫娘
「ね、ねぇ…? 本当に大丈夫なの?」

大護
「黙ってろ、今診察中だ」


俺たちは猫娘の家で診察を見ていた。
ルザミィが通訳を担当し、やや年老いた医者は同じく老いた女性を診察している。
俺と猫娘(チョロネコで紫音『しおん』と言う名前らしい)は静かに結果を待っていた。


ルザミィ
「…とりあえず、治療は可能」
「でも流石に大きな病院に行かないとならないから、まずはそこに連れて行きましょう」

大護
「分かった、なら紫音ちゃんを頼む」
「俺は葛に会いに行くよ」

ルザミィ
「分かったわ、任せてちょうだい♪」

紫音
「オジさん…ありがとう!」


紫音ちゃんは深々と頭を下げる。
俺は笑って手を振り、そしてそこから立ち去った。



………………………




「とりあえず診断書ゲーッツ!」
「予想通り、滅茶苦茶な診断結果やな、公表したら間違いなくアウトや」

大護
「良い気味だな、金の亡者には相応しい末路だろ」


俺たちは笑い合って診断書を見ていた。
後は正式な診断書と照らし合わせれば一目瞭然。
さーて、楽しくなって来たな♪


P2
『ダイゴ、お金はどうするんですか?』

大護
「…P2、良い風俗あるんだが、どうだ?」

P2
『ダイゴ、人でなしです…』


だって金策無いもん!!
今まで結構良いペースで依頼来てたのに、ここ最近ぱったり絶えるし…
もうちょっと節約するべきだったか…



「せやから貯金せぇ言うとんねん!」
「大金あっても、こうやっていつの間にか溶けとるし」

大護
「っせぇな、これは性分だ! 貯金とか主義じゃねぇ」
「良いんだよ、金なんてどうせすぐ無くなるモンなんだから」

P2
『でも、ダイゴのそういう優しさは、私好きですよ♪』


俺は途端に恥ずかしくなる。
葛はニヤニヤしていた。
チクショウ…P2の奴真面目に言いやがって。



「まぁ、とりあえず飯でも食おうや?」
「P2ちゃんも誘ってマクドでも行かへん?」

大護
「そだな…良いかP2?」

P2
『はい、ハンバーガー楽しみです♪』


そういやP2は食った事無かったか。
俺も日本に帰って来てからは何気に初めてだな。



「まぁ、飯位奢ったるわ♪」

大護
「そりゃ助かる…予算足りるか怪しいからな」

P2
『一気に貧乏生活…』


そりゃ金が無かったら仕方ない。
何はともあれ世の中マネーよ?マネー!!



………………………



そして、それから数日経ち、今回の仕事は終了が見えた。
紫音ちゃんの保護者は無事に助かり、しばらくは別の病院で入院。
紫音ちゃんも今は家と病院を往復してる毎日だそうだ。

診断書の件はすぐに葛が匿名のタレコミで流し、即報道。
見事にヤブ医者は逮捕となった。
この報道は、後にもPKMに対する風当たりを和らげる事件となり、少なからず世間に影響は与えたかもしれない。



………………………



大護
「………」


そして俺は、また最寄りのコンビニでタバコを吸っていた。
やれやれ、何とか借金は免れたが、今やタバコ買うのも難しくなっちまったな…
俺は残り少ないタバコを計算しながら、吸う回数を減らしていた。
やれやれ、ヘビースモーカーには厳しい事情だ。



「ちぃ〜っす♪ オジさん元気してる?」


そして、また現れた猫耳PKMの紫音ちゃん。
今日も笑顔でとても嬉しそうな顔だった。
俺はタバコを吹かしながら、手だけ上げて会釈する。
すると、紫音ちゃんはえへへ…と楽しそうに笑った。


紫音
「オジさん、トラウマ治った? 今ならタダでヤリホーダイさせてあげるよ♪」

大護
「そりゃ天国だな…だが断る」
「俺のトラウマはちょっとやそっとじゃあ消えないからな、多分」


俺が表情を変えずに言うと、紫音ちゃんはアハハッと笑う。
そして、満面の笑顔で俺にこう言った。


紫音
「私、本当に感謝してる! 人間にも、お婆ちゃんやオジさんみたいな良い人は沢山いるって解ったし♪」
「特にオジさんには、もう一生賭けても返せない恩が出来ちゃったから…」

大護
「そうだな、だったらトラウマ克服出来たら、返済完了まで抱き続けてやるよ♪」


俺がそう言ってやると、紫音ちゃんはうんっ!と屈託無く頷く。
まぁ、克服出来りゃあ良いんだがな…
実際には、例え復讐を成し遂げても消えないのかもしれない。
それ程に、姉の死んだ目は俺の脳裏で睨み付けて来る。
思い出そうとするとすぐに吐き気を催す。
だが、これが俺の原動力でもある、この光景が焼き付いているから、俺は躊躇わずに人が殺せる。


紫音
「オジさん、大丈夫? 顔、青いよ?」

大護
「あ、あぁ…大丈夫だ、心配はいらねぇよ」


俺はそう言って吸殻を備え付けのを灰皿に捨てる。
そして、空を見て俺は思う。
この世界にはPKMが日に日に増えている。
そして、その内の何人が死んでいるのか…?
P2は俺が拾わなきゃ死んでいた。
紫音ちゃんも、誰かが助けてやらなかったら、どうしようもない事態に陥っていたかもしれない。
俺は、少なくともこのふたりは救えてやれたのだと思いたかった。
そして、同時に笑いが出る…今更正義の味方ごっこかよ、と。


大護
(俺ぁ復讐者だ、悪党で外道で人間の屑だ)


それでも、俺は誰かが助けを求めるなら手を差し伸べる。
それが、悪魔の手だとしても、人はどこかで救いを求めている…


紫音
「オジさん、私もう病院行くね?」

大護
「…あぁ、お婆ちゃんを大切にな」

紫音
「うんっ! お婆ちゃんは、私の大切な家族だから♪」


紫音ちゃんは本当に幸せそうに走って行った。
俺にゃあ眩しすぎらぁ…あの笑顔は。
やっぱ、俺ぁ裏の人間だな。
俺はそう思い、紫音ちゃんとは逆方向に歩き出す。
そして、俺はいつもの駄菓子屋に向かった。



………………………



大護
「よっバアちゃん! 元気してる?」

店長
「あぁ、丁度良かった…今連絡しようと思ってたよ」


俺はすぐに察する。
どうやら仕事があるな…俺は微笑して奥に入って行った。



………………………



馴染みの部屋で、俺はひとりのPKMと対面する。
俺は、その人を見てまずこう言った。


大護
「…あんたの心、見せてもらおうか?」

依頼者
「はい、どうか…話を聞いていただけますか?」


俺は相手を見てまず話を聞く。
そして、俺はそこから相手の心を見る。
今回の依頼者も、心は伝わった…俺は、すぐに仕事に移る事にする…



………………………



真莉愛
「………」

大護
「な〜によ、真莉愛ちゃん!? ようやく一発ヤラせてくれる気になった?」


俺は突如真莉愛ちゃんに電話で呼び出され、指定された時刻通りに現れた。
あえて人通りの多い街中を選ぶとはね…
俺はヘラヘラ笑い、ダルそうにしながら革ジャンのポケットに左手を突っ込んでいた。
そんな俺に対し、真莉愛ちゃんは呆れた様にため息を吐いてこう返す。


真莉愛
「…まず最初に会って言う言葉がそれ?」
「とりあえず、相変わらずの様ね大護君」


そう言われ、俺はへいへい…と適当に返した。
やれやれ、俺の電話番号もどこから入手したのか知らねぇが、どうやら真莉愛ちゃんも相当覚悟決めてるって顔だな。


大護
「そっちも相変わらずだな…って、前に会ってからそんなに日は経ってねぇだろ?」

真莉愛
「直接会ってなくても、足跡は嫌でも目立ってるわよ?」
「今回は注意勧告…次からはもうこっちも黙っていられないわ」


真莉愛ちゃんがそう言うと、俺はハハハッと軽く笑う。
俺は飄々とし、何一つ悪びれる事なく、堂々とヘラヘラしていた。
真莉愛ちゃんは真剣な顔を崩さずに続けてこう言う。


真莉愛
「これまでの貴方の殺害件数はもう数えられない…でも、最近になってからの貴方は特に活発すぎる」

大護
「…そりゃあ、そんだけ依頼が多いってこった」
「特に…PKM関係でな」


そう言いきり、俺は一瞬険しい顔をした。
だがすぐにまたヘラヘラ顔に戻し、場を濁そうとする。
どの道、俺たちは相容れねぇ存在だからな。


真莉愛
「何故PKMが現れてから、貴方はそんなにも…?」

大護
「ちょっと待った、それよりも何で真莉愛ちゃんがそこまで俺に踏み込む?」
「政府関係者が黙っちゃいないぞ? 俺の仕事は暗黙の了解のはずだ」
「こんな腐った職業柄だが、結構信頼はされてる」
「俺を狙うって事は、ある意味政府に逆らうって事だぜ?」


俺は少々険しい顔でそう言った。
まぁ、十中八九真莉愛ちゃんの独断だろうがな。
不安そうな感情が見え隠れしてる…真莉愛ちゃん、ポーカーフェイスはあまり上手くないな。
真莉愛ちゃんは葛と似た様な所がある。
それは、PKMが関わると我先にと走り出す所だ。
特に真莉愛ちゃんは確保や保護、対処と一手に担わされている。
本人もやる気があってやってるんだろうし、その仕事を咎める事はしない。
だが、今回のこれは違う。
仕事じゃない、私用だ。
だから、俺はこう言ってやる。


大護
「止めときな真莉愛ちゃん、似合わねぇよそんなの」

真莉愛
「それを貴方が言うの!? 似合わないって…そんなのは」


『ダイゴ、そろそろ時間です』


突然、俺の胸ポケットから音声が流れる。
そういや時間来たら教えてくれとは言っていたな…やれやれ。
俺はその場で頭を掻き、軽く呟く様にこう注意する。


大護
「…音がデカい、他の人間にも聞こえてんぞ?」


『申し訳ありません』


今度は音を下げて言ったが、それでも真莉愛ちゃんには聞き取られた様だった。
ヤバイな、真莉愛ちゃんにはP2の存在は悟られない方が良い。
ここはとっとと退散しますかな!


大護
「じゃあな、真莉愛ちゃん! 次に会う時は股開いて待っててくれよ?」

真莉愛
「あっ!? ま、待ちなさい!!」


彼女が言うよりも早く、俺は人混みの中に消えて行った。
人にぶつかる事無く器用にスルスルと移動し、俺は軽く真莉愛ちゃんの視界から消えて行った…


真莉愛
「馬鹿…貴方は、どこまでも止まれないのね」



………………………



大護
「…撒いたな、さて」


『仕事ですね、ナビを開始します』


大護
「待てP2、声がデカい…」


俺が周りを見ながらそう言うと、音声は黙る。
チックショウ…やっぱイヤホン買うか? 便利なんだがコイツは周りが見えてねぇからな〜
だが、今はとりあえず仕事中だ。
まずはターゲットの移動先や行動ルーチンを調べねぇと…


大護
「P2、なるべく人の多い街中では声を出すな」

P2
『…分かりました、気を付けます』


やっぱり無線イヤホン買おう…
この依頼が終わったら金入るし、そんなに高いモンじゃなくても良いだろ 。
俺は空を見上げ、晴天を確認する。
季節は10月半ば、もう1ヶ月か…
思えば、P2とは何だかんだで楽しくやってる。
P2は俺の事を心配したり、サポートしたり、時には呆れたりと、今や女房みたいな関係になりつつある。
俺にとっちゃ新鮮なのもあってか、少し気が緩みそうなのが怖い。
だが、俺には目的がある…必ず復讐を成し遂げると言う目的が。
そして、その為に俺はP2をも利用するだろう。
きっとP2も承知の上で俺に従ってくれる。
だから、俺はこう思った。


大護
(地獄に落ちるのは、俺ひとりで良い)



これは、ひとりの殺人鬼を巡った、ひとりの復讐鬼の物語の序章。
復讐鬼は真実に近付き、頼れる仲間と共に己が運命に立ち向かって行く…
その先は、闇か影か?
そして、絶望か混沌か?

その答えは、神のみぞ知る…










『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』

スピンオフストーリー 『Avenger』



第6話 『石蕗 大護』

序章 『石蕗 大護という男』 完


To be continued…

Yuki ( 2019/07/04(木) 21:24 )