魔更 聖編
最終話

『…ん? 成功…したのこれ?』


俺は酷く曖昧な意識の中、真っ白な世界でひとり佇んでいた。
俺はあの公園の世界を思い浮かべるが、ここは全然違うな。



『良くやってくれた、異界の継承者よ』


俺の目の前に、突然光を伴って現れたのは、ひとりのジガルデ。
それは神々しさすらも放っており、優しい微笑みを絶やさぬ人でもあった。
俺は少し安心し、微笑みを返す。
そして、その人に俺はこう言った。



『成る程、ここは…色ジガルデさんの創った世界ですか?』

色ジガルデ
『…色? 良く解らぬが、この世界は私ではなく別の何者かが創った様だな』


おっと…流石に本人の前で色ジガルデってのは問題あったか?
とはいえ、他の呼び方も面倒だしな…
つーか、色ジガルデさんが創ったわけじゃないのか?



『…まぁ、良いか』
『それで、もしかしてわざわざ俺に会いに来てくれたんですか?』

色ジガルデ
『いや、そうではない』
『だが、何者かが導いた様だ…目的は解らぬが』


目的、ね…まさかまだ何か問題でもあるってのか?
ここからじゃ、流石に何も解らないし、ちょっと気になるな…


色ジガルデ
『まずは、礼を言う』
『お前のお陰で、あの世界の秩序は保たれた…当面はな』


『当面は? それじゃ、あの世界は…』

色ジガルデ
『お前がそれを気にする必要は無い』
『あの世界には、あの世界の秩序が存在する…それこそ、私ですら存在が意味を成さぬレベルの、な…』


俺はギョッとする。
色ジガルデさんは冷静に言うが、それはつまりこの人でもどうにもならない存在がいると言う証明。
俺はある意味納得した…恐らく、この世界にもこっちのアルセウスさんみたいな絶対的な存在がいるって事だろう。
それなら、確かに俺の出る幕じゃない…か。


色ジガルデ
『私がここに導かれた意味は解らぬ…だが、何となく意味はあるのだとは、思う』


『…?』


色ジガルデさんは、疑問に思ってはいるみたいだった。
だけど、そこに意味はある…か。
だとしたら、俺はこう思う。



『だったら、きっと俺と色ジガルデさんを巡り逢わせたかった誰かがいるんだと思います』

色ジガルデ
『巡り…逢わせ? …成る程、そうかもしれんな』
『それで…? お前は何を望む?』


色ジガルデさんはまるで神様みたいにそんな事を聞いてきた。
もちろん、この人にそれを叶える程の力は無いんだと思う。
それに、俺には夢見の雫があるからな…



『俺が望むのは、家族の幸せですよ…今は、それだけで良いです』

色ジガルデ
『欲が無いのだな? お前が望むのであれば、あの世界の様にポケモンと人が分け隔てなく過ごす事も出来るのだぞ?』


俺はそれを言われて少し考える。
確かに、その方が本当は良いのかもしれない。
だけど、俺はそれを望む事は絶対にしない。
何故なら、それを望んでしまったら、俺は1番大切な姉さんの願いを否定する事になるからだ。



『俺は、十分欲深いですよ…そして、エゴイストだ』

色ジガルデ
『だが、もっと欲深い俗物も世界には多い』


『違うんです、俺はこれで良い』
『これ以上は今は望まない…今のままで、十分奇跡なんですから……!』


俺は俯いて顔を押さえる。
他人との比較は意味を成さない…俺はそれで良いのだから。
俺は俺らしくあると、神様に約束した。
だから、自分を信じて、俺は家族と今を歩くんだ。


色ジガルデ
『やはり、お前は不思議だ』
『秩序を崩す要素をいくらでも孕みながら、それが不可思議な調和で保たれている』
『お前を見ていると、私は存在意義を見失いそうになる…』


『大丈夫ですよ、俺は色ジガルデさんの事はスゴい人だと思ってますから』

色ジガルデ
『…私は、秩序を護る監視者だ』


『はい、だから…色ジガルデさんは視てあげてください』
『今を頑張って生きてる、人とポケモンを…』


色ジガルデさんは、それを聞いてやや微笑みを薄める。
も、もしかして期限損ねてしまったか!?
ここに来て選択肢ミスってバッドエンドはゴメンだぞ!?


色ジガルデ
『…その、色ジガルデという呼称はどうにかならんのか?』


おっとそこか! まぁ、確かに呼ばれる方としては、確かに気分良くはならないか…
とはいえ、そうなると面倒だな…こちとらジガルデだけで3個体も見てきただけに。



『じゃあとりあえず、名前考えますね? この際呼びやすいので……』

色ジガルデ
『あ…いや、待……』


『色違いでそのまま色(しき)! 便宜的ですけど、解りやすいでしょ?』


俺が人差し指を立ててそう言うと、色ジガルデさんはポカンと口を開けていた。
って!? あの色ジガルデさんから微笑みが消えた!?
ま、まさかかなり失礼な事をしてしまったんだろうか…!?



『…後悔を、するなよ?』


『は、はいっ! って、え?』


何故だろう、受け入れては貰えたみたいだが、どことなく色さんは戸惑っている様に見える。
ま、まぁ…良いのかね? これ…?



『…あ』


『時間の様だな…これで全て元に戻るだろう』


俺の姿は光の粒子となり、終わりを予感した。
だけど、色さんの体は変化が無い…?



『覚えておくが良い、私は色…秩序を護る監視者』
『私は…いつでも、お前を視ているぞ?』


『はい…! 何か、ありがとうございます!』
『俺、多分色さんに逢えて良かったんだと思いますから!』


俺は最後に手を振り、やがて視界が光に包まれていくのを見届けた。
色さんは最後にもう1度微笑み、その姿が曖昧になっていく。
こうして、不可思議な混沌は終わりを告げる様だった。



………………………



アルセウス
『…これはまた、酷い物だな』


『は…はは……す、すみませんでしたぁ!!』


俺はベンチから立ち上り、反転してソッコーでスライディング土下座する。
夢の中だから痛みも何も無いんだが…
あれから気が付いたらまた夢の中だよ!?
まぁとりあえず、元の世界には戻って来たみたいだし、安心か…


アルセウス
『やれやれ、これもそなたらしさ…か』
『だが、よもや別時間軸の雫と交換するとは、思いもよらなかったぞ』


『ホンットすみませんっ!! どうしてもこれしか方法思い付かなくて!!』

アルセウス
『もうよい、こうしてそなたが無事に雫と共に戻れた事の方が、我には嬉しいのだ…』


俺は頭を上げてアルセウスさんを見る。
アルセウスさんは本当に心配そうな顔で、容量ギリギリの濁りまくった雫を浄化し始めた。
流石にかなり辛そうな顔をし、アルセウスさんは耐える様な表情でそれを吸収しきった。


アルセウス
『…っ、これは本当に酷い物だな』
『とても、同じ継承者が使った雫とは思えぬ』


『…大丈夫、ですか? 流石に、今回のはヤバイんじゃ?』


俺が立ち上がって聞くと、アルセウスさんはふぅ…と大きく息を吐く。
そして雫を俺に渡すと、フラッ…と体を傾けた。
俺は慌ててアルセウスさんの体を支える。
アルセウスさんは息を少し荒くしており、俺はアルセウスさんの隣に座って体を優しく支えた。
すると、アルセウスさんは目を細めて頬笑む。
顔からは汗が垂れており、相当キツそうだった。


アルセウス
『流石に…しばらくは動けそうにもない』
『すまぬが、少し…このままでいさせてくれ』


『はい、俺の肩なんかで良ければ…』


アルセウスさんは目を瞑って俺の肩に体を預ける。
そしてしばらくの間、俺たちは誰もいない夢の中でふたり身を寄せ合う事となった…

それから、どれ位の時間が経ったのだろうか?
少なくとも数十分はこのままだった気がする。
俺はアルセウスさんの安らかな息づかいを聞いて少し安心した。
アルセウスさんはやがて目を開き、体をゆっくりと俺から離す。
そして軽く首を振り、こう言葉を放った。


アルセウス
『…ここまで悪意に染まりかけた願いは久しいな』


『染まりかけた…ですか?』


少なくとも、あの色はお世辞にも綺麗な色ではない。
もうひとりの俺はかなりの負の感情があったのは間違いないはずだ。


アルセウス
『決して完全な悪意ではない…あの濁りは、悲しみと怒りに満ちていた』
『そして、その中にそなたの温もりがあって安心した』
『やはり、そなたの心は、温かいのだ…』


俺はそう言われて頬を掻く。
アイツも、やっぱり俺って事だ。
だけど、どうしてここまで違ってしまったんだろう?
何故、別の俺はそこまで失敗したんだ?


アルセウス
『…そなたの運命は、とても数奇な奇跡の積み重ねで出来ている』


『奇跡の…積み重ね?』

アルセウス
『そう、数ある並行世界において、成功したのはそなたのみ』
『同じそなたでも、誰もが成功するとは限らぬのだ』


俺は愕然とする、つまりアイツはそんな中で足掻こうとしていたのか?
あの戦いは、ただひとりの成功者になる為の戦いだったのか…?



『アイツは救われたんでしょうか?』

アルセウス
『…残念ながら、我にはその未来は見えぬ』
『だが、そなたは誰にも読めぬ…そなたが自分らしく選んだ選択ならば、きっと何かが変わったのだろう』


俺はそう言われて考える。
アイツもきっと、夢見の雫の正しい使い方を覚えたはず。
そうして生まれた分岐は、きっと幸せな道を照らしてくれると、俺は信じたかった。


アルセウス
『すまない…そなたの温もりは、想像以上に心地が良かった』
『神たる我が、人の子の温もりに甘えるなど、あってはならぬな…』


『良いんじゃないですか? 神様だって、人化したら人間でしょう?』
『人なら、人の温もりに甘えたくなるのは必然だと思います』


俺の何気ない言葉に、アルセウスさんは無言無表情でポカンとする。
俺は何気に危惧した…もしかしてフラグ立った?


アルセウス
『…ありえん(笑)』


『神様がネタに走った!?』


どうやら効果は抜群だった様だ。
いかんいかん、こんな所でフラグ立ては自重せねば…


アルセウス
『ふ…そなたは本当にそなたらしいな』
『だからこそ我も安心している、そなたなら夢見の雫を正しく使ってくれると…』


それだけ言って、俺は意識が微睡む。
どうやら目覚めるらしい…さて、次はどんな混沌が来るのかな?



………………………




「…うん、戻って来た」


俺はいつも通りの風景を見て落ち着く。
そして、鞄を見て出掛けている途中だと俺は思い出した。
やれやれ…買い物の途中だったな。

こうして、不可思議な混沌は終わりを告げた。
いくつかの謎は残ったままだが、それも雫の力で全て元に戻っているはずだ。
そして、俺が持っている夢見の雫も綺麗に浄化済み。
後は、本当にいつも通りだな…



(さて、折角だから美味しい物でも買って帰るかな♪)


俺はそう思って少し早足に商店街へと向かう。
その足取りは軽く、すぐに皆の笑顔が思い浮かんだ。
そう、こうして俺たちの生活は進んでいく。
この世界は、きっと幸せなんだ…何てったって、神様が見守ってくれてるんだからな♪










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』

X

『突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語』



最終話 『見守るもの』


The End…
































「………」


それは、とてもとても小さな生物の様だった。
その生物は、隠れる様にひとりの少年を……ただ、視ていた。
































………ここから後書きとなります♪



とりあえず、割と短く纏めたのですが、何かクロスオーバーというにはあまり代わり映えしなかったかな?

何となくで構想するものの、やっぱりあまり良い案が浮かばず、消化不良気味に最後は終わってしまったかと思います。

この辺はやはり筆者の実力不足が露呈しており、行き当たりばったりでギミック考えてなかったのが最悪の形に…

クロスオーバー先の先方には多大な迷惑をかけており、その辺は次回があればもう少し練り直したい所です。

本当はこの作品以前に、クロスオーバー物を書き終わっているのですが、色々不具合があり、永久凍結となりました…
今回の作品は、それを踏まえた上で作り直した代物なのですが、結局自分でもあまり納得のいく形には出来なかったと、少し後悔しております…


とはいえ、個人的には伏線も残してありますし、今後の聖君に少しづつ、関わってくるかもしれません。
それでは、とりあえずキャラ評価の方に…





『茜』

とりあえず先方のヒロインで、イーブイ。
実の所、この時点ではロクな戦闘描写もなく、その辺はほとんど描けずに見事空気となりました。
まぁ、これも仕方の無い理由がありましたので、やむを得ないと割りきります!



『保美香』

ウツロイドらしさを出そうと色々考えた結果、本編で1度も使ってない技を疲労すると言う離れ業で何とか目立ったと思います。
性格的にも絡ませやすく、多少のネタも使ってもらって、個人的には満足♪



『美拑』

実行戦闘要員としては遺憾無く力を発揮。
とはいえ、シナリオの都合上、後半空気と化した感は否めません。
セリフ自体は多目にしてあるのですが、やはり聖君との絡みは難しかったかも…



『伊吹』

かなり難航したキャラです。
とはいえ、何とかバトルさせる事には成功し、先方もそれなりに満足してくださってたのでとりあえず良かったのだと思いました…
巨乳お姉さんは偉大ですわ♪




『凪』

戦闘でしか活躍がない…とも言えるキャラ。
都合上、後半からの登場キャラはやはり不遇扱いとなっており、出番の少なさが顕著です。
とはいえ、これも後の華凛に比べれば恵まれてる方で、見せ場あるだけマシとも言えます。



『華凛』

ザ、空気。
そもそも出番が少なすぎて印象に残るのかすらも曖昧に…
ただでさえ、ボスラッシュに放り込まれてただの驚き役になりさがり、ラストは一言二言しか話さないと言う…
好きなキャラなんですけど、その分無茶もさせられなかったのは遺憾かも…

なお、ボツ作品の方ではこれでもかと目立ってたりしてました。
反動がかなり大きかったですね…個人的には。





とりあえず、これにて作品終了!
先方のKaZuKi氏にはこの場を借りて感謝を致します!

そしてここまで見てくださった全ての方に、大感謝!
また、既存の作品の方もよろしければお願い致します♪



2019年5月1日…ここに作品終了を記録

Yuki ( 2019/05/01(水) 21:39 )