とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第6章 『過去、そして未来』
第4話
風路
「8月27日に山へキャンプ?」

阿須那
「はい、聖等が家族何人か連れて行くみたいですわ」


今は丁度仕事も落ち着く時間帯。
コスプレ時間も終了間際、ラストオーダーも過ぎて今は少し暇な時間や。
ウチはそんな中、厨房で風路はんと話をしとった。


風路
「山かぁ…学生の時に行事で行ったきりだなぁ〜」

阿須那
「ほな、当日は厨房ウチに任せて、風路はんもどうです?」

風路
「ダメよ…その日からイベント始まるんだから、阿須那ちゃんいなかったら暴動が起きかねないわよ…」


ウチはそれを聞いて、ああ…と思い出す。
そういや、水着フェスやる言うとったな…今の今まで忘れとったわ。
となると、必然的に誰も行けそうにあらへんな…


阿須那
「しもたな…水着もまだ用意してへん」

風路
「とりあえず普通の水着じゃつまらないし、可能な限りはお洒落に決めたい所ね♪」

阿須那
「風路はんは、やっぱ手作りでほとんど作ったんですか?」

風路
「そりゃもちろん、夏コミの時とかに合わせて何着も作ったよ?」
「まぁ…出来は置いておいて!」


ウチはそれを聞いてクスクス笑う。
風路はんの事やから、どうせ大人気やったんやろうな…
何やかんやで風路はん手先も器用やし、往年のコスもレベル高かったんやろなぁ〜


阿須那
「コミケかぁ…テレビとかで見てみても、よう解らんけど」

風路
「物凄いわよ? 初めての時なんか、本当に緊張してマトモに演技出来なかったんだから!」


あの風路はんが緊張、ねぇ…?
全く想像つかへん…まぁそんな時代もあったいう事か。


風路
「ふふ…阿須那ちゃん、少しは心の整理ついたみたいね?」


ウチは言われて苦笑する。
風路はんには、正直に話した…聖に牙向けた事。
風路はんも、その時ばかりは少しだけ怒った。
せやけど、それは単なる怒りからやない。
ウチの為に、風路はんはあえて怒ってくれたんやと、ウチは解ってた。


阿須那
「…まだ、少しは」
「せやけど、大丈夫です…ウチは仕事には嘘吐かへんから!」


ウチは笑ってみせる。
風路はんもそれを見て納得はしてくれていた。
風路はんの洞察力は勇気はん譲りやからな…下手な嘘はすぐにバレる。
せやから、ウチは本音で言うんや。


風路
「本当は、キャンプに行きたいんでしょ?」

阿須那
「そらそうですわ…せやけど、今は仕事に打ち込みたいんです」
「中途半端な気持ちでキャンプ行っても、きっと楽しないですから…」


もちろん、その分仕事には全力や!
水着イベント、絶対に大成功させたる!!


風路
「…まぁ、阿須那ちゃんがそう言うなら大丈夫だと思うけど」
「でも覚悟はしててね? 多分初イベントって事もあって、お客さんの熱気が凄まじいと思うから」


ウチは想像するも何とも言えへん。
夢の世界では忙しいながらも、普通にこなしたからな〜
現実では2号店での営業やし、勝手は大分違うとは思うけど…


風路
「よっし、それじゃあそろそろ時間だから皆に声かけてあげて!」
「後、夜部隊は1時間後にスタッフルーム集合だから、それも!」

阿須那
「了解です、ほな言うて来ますわ♪」


ウチは片手を上げてそう応える。
その後すぐに店内に戻って、コスプレ時間の終了を皆に告げた…



………………………



一同
『お疲れ様でした〜!』


と、とりあえず最後の挨拶。
お客さんも全員お会計は済ましており、今はスタッフだけで店内にいる。
ウチはそんな中、夜部隊のメンバーに声をかけ、1時間後にスタッフルームに向かう様に告げた。


阿須那
「ほな、片付けと清掃!」

舞桜
「はい! 水恋ちゃん、こっちお願い!」

水恋
「はいよ〜水ならお任せ♪」

阿須那
「人に見られん様に技使えや? ガラス越しでも外からはモロ見えやからな?」


ウチが軽く注意すると、水恋ははーいと反省して掃除に入る。
やれやれ、この店が大人気店やと自覚してほしい所やな…
不祥事ひとつでトンでもない事になるっちゅうねん!



「明海、こっちは終わったわ」

明海
「オッケー♪ なら毬子と教子はあっちを手伝ってあげて!」


こっちは相変わらず良い動きや。
瞳は前の混沌で進化しとるし、最初は別人かと思たけど…
体格が変わってもうとるから、お客さん誤魔化すのが苦難やったわ。
偽装薬で誤魔化せるのはあくまでポケモンの特徴とか髪の色とかやからな。
まぁ、でも瞳は一気に垢抜けたっちゅうか、人当たりがようなった。
その分人気も一気に上昇中で、何気にウチの地位が危うくなりつつあるのが解る。


阿須那
(元々メイドとして働いとった連中やし、接客は完璧なんよな…)


毬子と教子もまだまだながら覚えるのは早いし、来年になる頃にはええ戦力になるやろ。
舞桜や水恋も、基本さえ覚えりゃ応用力は高いねんけどな〜


祭花
「李〜そっちの植木ズラしてー!」


「おう! 任しとけ!」


李も瞳と一緒に混沌組やったんよな…そのせいか、筋肉量が目に見えて上がっとる。
こっちも誤魔化さなしゃああらへんし、色んな意味で注目を集めとるんよな…
李みたいな属性は貴重やし、ガチムチ好きにはドストライクやからな。
祭花は見た目幼児っぽくても大人ってだけで人気は高い。
元々人当たりが良いのもあって、この仕事は向いとったんやろな〜
まぁ、その分出番がトップクラスに無いのが最大の悩みか。


人間の店員A
「阿須那さん! これ夜部隊用なんですかね?」

阿須那
「せやで! 夜はウチと李、祭花の3人でやるさかい、それはスタッフルームに持って行ったって!」


ウチはバイトの店員にそう伝える。
それを聞くと彼女は笑顔で返事し、手荷物をスタッフルームに持って行った。
人間の店員は5人おるけど、みんな学生やさかい、基本コスプレオンリーなんよな…
まぁ、朝と夜の部隊は家族からで賄えてるし、無理には回ってもらう事も無いんやけど…
戦力としてはまだまだやけど、見所はある連中やし、続くなら十分未来はあるやろ。

とまぁ、そんな感じで清掃は滞りなく終わる。
そして、ウチは李と祭花を連れてスタッフルームに向かった。



………………………



風路
「それじゃあ、夜のミーティングに入るわね?」
「今日から本格的に夜の部も続けていくつもりだから、ちゃんと仕事の切り替えは覚えてね!」


「はい!」

祭花
「よろしくお願いします!」

阿須那
「とりあえずアンタ等は夜初めてやし、基本から教えとくわ」
「ええか? 基本的にこの店で朝と夜の部は普通の喫茶レストランや!」
「せやから、ここからは普通の制服で、普通の接客をせい!」


ウチは簡単にそう言ってやる。
祭花は元気良く返事を返したが、李はよう解ってないみたいやった。
うーむ、何か不安やな…



「ふ、普通ってどんなのなんだ?」

祭花
「そりゃ、テレビドラマとかでやってる様なイメージよ!」
「いらっしゃませ〜空いてる席へどうぞー♪ ってな感じよ!」

風路
「そうそう! あくまで普通にね? 解らない事があったら阿須那ちゃんの真似してれば多分大丈夫だから♪」

阿須那
「まぁ、そういうこっちゃ! とりあえず初めてやし、見て覚え!」


とりあえず李も何とか頷き、ウチ等は早速制服に着替える。
まぁ、そんなに露出も無い、実に普通の制服や。
流石に風路はんのデザインやから、装飾は綺麗やけどな♪
イメージ的にはどこぞの喫茶店ギャルゲーの制服でも浮かべたら大体合うてるわ!



………………………




「…って、誰も来ねぇ〜」

阿須那
「まぁ、これが普通やけどな…1号店と違うてまだまだ料理1本で客呼べる程の認知はされてないやろし…」

祭花
「そもそも、営業してるって知ってる客も少ないんじゃ…?」


時間は18時半…セオリーならそろそろ夕飯のピークに入るやろうけど、一向に客は来ん!
改めて勇気はんの積み重ねがスゴいんかは解るな…
1号店やったら朝も夜も固定客が絶対に来とったからな〜
風路はんの料理も間違いなく美味いんやけど、やっぱそれ目当てで来てくれる客はまだこの街にはおらんのかもな…


カランカラン!


阿須那
「おっ! いらっしゃませ〜♪ 1名様でっか〜? って…!?」


ウチは条件反射で接客してしもたが、客を見て驚く。
何と本日夜の部初めてのお客様は、ヤーさんのトップやった…


組長
「…何や、他の客はおらんのか?」

阿須那
「どないしたんや組長はん? 今日は何の用で?」

組長
「…ここは、飯を食う店やろ? なら、用はそれしかあらへん」


組長はんはギロリとウチを睨むも、そんな普通の事を言うた。
そしてウチは少しニヤつく…せやな、風路はんの料理を評価してくれたんは、この街やったらこの人が最初やったわ♪


阿須那
「それはすんまへん! ほな、カウンターとテーブルどっちにします?」

組長
「カウンターでええ、酒は置いてるんか?」

阿須那
「基本の一式は…まぁ居酒屋みたいなんは無いですけど」

組長
「ほな、冷酒をくれ…銘柄は何でもええわ」

阿須那
「ありがとうございます♪ 祭花、冷酒や! 冷蔵庫に入ってるから持って来ぃ!」

祭花
「は、はい! 少々お待ちを!!」


祭花は急に言われて慌てる…やれやれ、しっかりせぇよホンマに?


阿須那
「李! 何ボーッとしとんねん!? おしぼり持って来んかい!!」


「あ!? す、すいません!!」


李も呆気に取られとったな…ったく、お客様と解ったらすぐ動かんかいな。
こら、思ったよりも苦戦しそうやな…やれやれや。


組長
「クク…慣れてないのがバレバレやな」

阿須那
「堪忍ですわ…まだまだ素人やさかい、多目に見たってくれまへん?」


ウチはそう言って組長はんにウインクする。
すると、組長は微笑しながらおもむろにウチの尻尾に触れた。
ウチはビクッとなり、すぐにステップして離れてまう。
ヤバッ!? 今の…たまたまよな?
ウチは横目で組長はんを見ると、組長はんは少し真面目な顔をした。
な、何か疑われてる〜?


組長
「…ほうか、やっぱお前も狐か」

阿須那
「!? え…やっぱって……?」

祭花
「お待たせしました! 冷酒になります!」


「お、おしぼりです!」


ウチはとりあえず、すぐに冷酒用のグラスを差し出す。
すると組長はんは無言のまま、おしぼりで手を拭き、その後冷酒の栓を開けて中身をグラスに注いだ。
そしてまずはそれを一口飲む。
やがて組長は、一言こう言うた。


組長
「枝豆はあるか?」

阿須那
「あ、すぐに! 風路はん、枝豆頼んます!」


ウチは無線で風路はんにそう伝える。
そしてすぐに祭花を厨房に向かわせた。
組長はもう一口酒を飲み、一呼吸置いてウチにこう言うた。


組長
「…もう、5年位前や」

阿須那
「…え?」

組長
「ワシが組長になったばっかりの頃やな…そん時に、組には狐がおった」
「人の姿に化けた、九尾の狐や…」


それはどこか悲しそうに感じる目やった。
組長はんの厳つい顔の奥から感じるその感情は、どこか寂しそうにも思える。
ウチは、そんな組長はんの昔話をただ黙って聞いた。


組長
「お前さんよりかは、年は下やったな…言う事をよう聞かんじゃじゃ馬やったわ」
「せやけど、綺麗な女やった…白い髪に、白い尻尾」
「ワシに拾われて、懐いて、そんで死んでしもた」

阿須那
「…死んで、しもたん?」

祭花
「お待たせしました、枝豆になります!」


祭花は枝豆の皿を差し出して伝票をつける。
そして組長はそれを手にとって食べ始めた。
その後、また酒を一口飲む…


組長
「たまたま、襲撃があってな…ワシが留守の間に組がやられてもうた」
「事務所は半壊させられ、組員は全員逃げとったが…アイツだけは逃げずに戦っとったんや」
「事務所は所々が氷に覆われ、まるで氷の国みたいになっとった…夏やのに、雪が降っとったんやで?」

阿須那
「…『雪降らし』の、特性」

祭花
「ええっ? でもキュウコンの特性は…」

阿須那
「リージョン違いや、同じキュウコンでもタイプも特性も違うのが、世界にはおんねん」


ウチが言うと、祭花は驚く。
李は全く理解出来ていなかった…


組長
「…今日は、アイツの命日なんや」
「せやから、墓参りのついでにお前さんに会うてみたかった…」
「最初に会うた時の違和感…もしかしたら思たら、やっぱ当たりやったな…」


組長はんはやはりどこか悲しそうに見えた。
決して悪意があって試したわけや無い。
この人は、その娘の事が…忘れられへんねやな。


阿須那
「…ほうでっか、ウチよりも先にこの世界に来てたキュウコンがおったなんてな〜」

組長
「安心せい、お前の正体をバラしたりはせん」
「どの道、話した所で笑い話になるだけやからな…」


組長はんは微笑してそう言う。
本気なんやろな…信用は出来るやろ。
この人の顔の奥にある感情は、きっとそうや。


阿須那
「…その娘、組長はんの事が好きやったんやな」

組長
「…かもしれん、せやけどワシからしたら娘みたいなモンや」
「アイツが生きとったら、お前さんと同じ位にはなっとったかもしれへんけどな」

阿須那
「…今でも、その娘の事は好きでっか?」

組長
「さぁな…自分でも解らん」
「女を好きになった事もあらへんからな…」


成る程、漢らしいわ…部下の女好きに比べたら雲泥の差やな。
何て言うか、この人だけは多分特別なんやろな…
この組長はん、この街では相当有名な人みたいで、ヤクザやのに悪い噂をほとんど聞かへん。
部下はともかくとしても、この人自体の評判は、部下とは真逆なんや。
筋の通らん事は絶対に許さず、カタギには手を出さない。
自由奔放なのがたまに傷とは言われるものの人望は高く、強面やけど案外気さくなええ人って評判やったんよな…


組長
「…ご馳走さん、悪かったな今日は」

阿須那
「ええですわ、貴重な話聞かせてもろたし」

組長
「阿須那…やったか、名前?」

阿須那
「はい、そうですけど…?」

組長
「覚えとくわ…『雪』によう似た狐はん」
「釣りはいらん、これで足りるか?」


そう言って組長はんは2000円置いてそのまま立ち上がる。
ウチはそれを確認してこう聞いた。

阿須那
「毎度……あの、雪って?」

組長
「娘の名や…お前さんによう似た、雪みたいに、儚い狐やった…」


そう言って組長はんはひとり店を出て行く。
どことなく、寂しげやったな…


祭花
「な、何か…すっごく疲れた〜」


「でも不思議だよな〜どうやってこの世界に来たんだろ?」

阿須那
「確かにな…5年前言うたら、聖は夢見の雫を継承しとるし、何かの拍子に巻き込まれたんかもな」


逆にそれ以外の条件が浮かばない。
当時の聖は確かやさぐれとったやろし、可能性は低そうやけど…
それも、何かの混沌やったんかな?
ただ、多分…雪って娘は幸せやったんやと思う。
せやなかったら、命捨ててまで事務所守ろうとか思うかい…
きっと、好きやったんや…あの組長はんが。


祭花
「…そして、客は来ず」


「だ、大丈夫なのかよ?」


まぁ、それは時間が何とかしてくれるやろ。
そんなこんなで、今日はボチボチの客足で閉店となった。
ただ、来てくれた客は皆驚きの声で料理を食べとったし、これから先は口コミで広まって行きそうやな…



………………………




「はぁ〜接客って難しいなぁ…」

祭花
「李は固すぎ! もっと自然に敬語言えたら良いのに…」

阿須那
「まぁ、マトモな接客は初めてやろし、しゃあないやろ」
「せやけど、これから多分急がしなって来るから、早よ慣れや?」


ウチ等は仕事終わり、一緒に帰宅していた。
もう21時過ぎや…食事は店で済ませたとはいえ、流石に午前からぶっ通しはそれなりに疲れる。
とはいえコスプレ部隊からは外れられへんし、育成も考えると厄介やな〜
って、風路はんが平気な顔してやっとんねんから、弱音吐けるかい!


阿須那
「うーん、明海と瞳に頼んで、朝と夜の指導に回ってもらおかな?」

祭花
「ふたりとも、すっごく接客上手いですもんね〜」


「アタシは良く解らないから、任せる!」
「とりあえず、ある意味コスプレよりも疲れたよ…慣れって怖いな」


李はそんな事を言って肩を落とす。
何やかんやで李もコスプレはしっかり出来てるし、個性も出しとる。
接客の下手さは逆にウケとる位やし、男勝りな点もマニアにはツボやからな。
とはいえ、そんなマニアックな属性は一般客にはいらん!
あくまで普通の仕事が出来へんかったら、その先があらへんからな…


祭花
「とりあえず、今日はお疲れ様でした! また明日もお願いしま〜す♪」


「お疲れです! また明日!」

阿須那
「お疲れさん! また明日も頼むわ♪」


玄関前で別れてウチ等はそれぞれの家に戻る。
祭花と李は人目を気にしながら城に繋がっとる裏庭に向かった。
あれから家の庭は少し改装しており、城へのゲートとなってる部分はトンネルの様に屋根を増設したんや。
これなら、外から見ても大して怪しまれはせぇへん。
まぁ、出て来る所は丸見えやから、もう少し対策考えた方がええかもな…


阿須那
「つーか、店にゲート作ったらええんちゃうんか?」


白那はんの能力がどこまでやれるのかは解らへんけど、その方が無難な気がした。
ゲートも家の中に作って、そこから出る様にした方がええと思うんやけどな〜?


阿須那
「今度相談してみるか…とりあえずただいま〜!」

愛呂恵
「お帰りなさいませ、お疲れ様でした阿須那さん」


珍しく愛呂恵が出迎えてくれる。
いつもやったら守連が出て来るんやけどな…?
とりあえずウチは靴を脱いで、スリッパに履き替える。
すると、リビングで守連がゲームをやっとった。
そういや、新しいの借りたんやったな…どんなゲームなんやろ?


守連
「( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪」

阿須那
「………」

愛呂恵
「………」

守連
「( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪」


愛呂恵は無言でウチの肩を叩き、首を横に振る。
ほうか…手遅れか。
とりあえず、ウチはゲーム画面見て放心した…何かキチガイな姿の敵っぽいのが大量に出とる。
守連は訳の解らない言葉を発しながら、それ等を相手に戦っていた…


阿須那
「と、とりあえず風呂入るわ…聖は寝てるんか?」

愛呂恵
「今頃は筋トレ中でしょう…その後入浴に降りて来るかと」


ウチはそれを聞いてとりあえず部屋に戻った。
そして着替えを持ち、風呂に入って汗を流す。
その後、ウチはリビングのソファーに座り、ホットコーヒーを片手にテレビ画面を見た。


守連
「………」


守連は完全に固まっとった…
とりあえずエンディングみたいやねんけど、何があったんやろ?



「おっ、帰ってたのか…お疲れ阿須那♪」

阿須那
「ただいま…今日は疲れたわ〜」

愛呂恵
「聖様、入浴でしたらどうぞ…今なら誰も入っておりません」
「もちろん、お望みとあらば裸で乗り込ませていただきます」


「全力で遠慮します! てか、絶対に入らないで!!」


聖が強くそう言うと、愛呂恵は心なしかシュンとした。
まぁ、解っとった返答やろ…


阿須那
「…聖はウチ等を愛してくれてる」
「疑う余地なんか…無いのにな」


ウチはボソッと呟いて俯いた。
今思っても、何であんな事したんやろ?
今までの幸せが全部夢かもしれへんって思ったら、頭が真っ白になった…
自分でも訳が解らんかった…ただ、少しだけ出た憎しみが、聖に向いてしもた。
ウチは、それが何よりも許せへんかった…


愛呂恵
「…気になさらない様」
「誰しも黒歴史にしたい行為はあります、あの時の阿須那さんはまさにそれと言えるでしょう」

阿須那
「黒歴史に出来るか! 絶対に頭に刻み込むわ!」

愛呂恵
「ですが、聖様は気にしていません」


ウチは言葉に詰まる。
そうなんや…聖は、何も気にせぇへん。
優しすぎるんや…せやから、逆に不安なんや。
聖はウチの想いを焦らすから、もしかして全部夢なんちゃうんかって、疑問になるんや…
これが現実やったら、ウチはとっくに聖に抱かれとったんやないか?って…


愛呂恵
「…大丈夫です、聖様が私たちを信じてくれる限り、私たちの絆は切れる事が無いのですから」

阿須那
「せや…な」
「聖は、絶対に信じてくれる…せやから、ウチ等も信じれるんや」


そんな簡単な事が、ウチは出来へんかった。
きっと、今のウチの評価はドン底なんやろな〜
せやけど、それならそれでやり直せる。
諦めへん限り、何度でもやり直したらええ…
ウチはこっからリベンジや! 格闘タイプの技と違うで!? キュウコンは覚えへんからな!?


阿須那
「…ところで、守連大丈夫か?」

愛呂恵
「完全にコントローラーを持って固まってますね」
「仕方ありません、そっとしておきましょう…」

阿須那
「ええんか!? あれ重症やろ!?」

愛呂恵
「まだふたつ目のエンディングだそうですので、本番はこれからだと聖様は言っておられました」
「信じましょう…守連さんが全てを乗り越えるのを」


いや、もう既に折れてるやろ!?
真っ白な灰やで!? イメージ的には!
こっからが本番って、守連の精神が先に死にそうな気がするんやが…


阿須那
「そもそも何やねんこのゲーム? ○ラッグオンドラグーン?」
「○クウェアのゲームやん…何々? かつて、これほどまでに挑戦的で意欲的なシナリオがあったであろうか!? ねぇ…」

愛呂恵
「ちなみにキャッチコピーは『抗え、最後まで』だそうです」

阿須那
「………」

愛呂恵
「そう、最後まで」


あえて最後までを2度言われる
ほうか…それなら何も言えんな。
キャッチコピーがそう言うてんねや、それを信じて守連は抗っとるんや!
やれやれ、アクション苦手な守連がようやるわ…


愛呂恵
「さて、そろそろドリンクを用意しなければ…」

阿須那
「ウチはもう寝るわ…明日も仕事やし」

愛呂恵
「解りました、どうぞお休みを…」


愛呂恵はペコリとお辞儀して冷蔵庫に向かう。
ふぁ〜あ、気抜けたら一気に眠気が来るわ…早よ寝て体休めよ。



………………………




そして次の日の17時過ぎ…


阿須那
「風路はん、今日の夜は瞳に任せますんで、ほな!」

風路
「うん、了解♪ たまにはゆっくり休んでくれても良いからね?」
「その分、イベントには期待してるから!」

阿須那
「了解です、その分給料期待してますんで♪」


ウチはウインクを風路はんに返して笑う。
流石の風路はんも苦笑していた。
まぁ、ぶっちゃけ給料はええから不満無いんやけどな♪
店としても利益はかなり出とるみたいやし、早い内に借金は返せるかもって言うとった。
とはいえ、店員全員のモチベにも関わるから賃金は考え所よな〜
バイトはともかく、家族は全員正社員やし、人件費は何気にバカにならない。
これからの事も考えたら、維持費も相当出るはずやからな…
とはいえ、そんなんも全部含めて風路さんが管理する事や…ウチ等もサポートはするけど、店長の風路はんの腕に全部かかっとるんやから!


風路
「ふぅ…さぁ仕込みの続き続き!」

阿須那
「ほなお先に、お疲れです〜♪」



………………………



ウチはひとり街を歩いとった。
イベント用の水着を選ぶ為だ。
もちろん、買うてそのまま使うのは素人や…あくまで店はコスプレ喫茶!
改造案は風路はんが出してくれるし、とりあえず早めにベースは決めとかんとな〜


阿須那
「やっぱ露出多めの方がエエかな?」
「せやけど、定番のビキニとかは被りが多そうやしなぁ〜」
「ホットパンツは無難やけど、改造となると手間かかりそうやし…」


ウチは水着専門店に入り、品定めしている。
中には客もそこそこおり、海の話題を話してる様やった。
うーん、海かぁ〜それなら、いっそハイレグで攻めるか?
ボディラインには自信あるし、改造も無難に出来そうやけど…


阿須那
「無地やと何色にしようかな?」


「あ、阿須那さん、はっけーん!」


ウチは呼ばれて振り向くと、そこには光里がおった。
どうやらバイト終わりの様で、同じ様に水着を探しに来たみたいやな。


光里
「阿須那さん、お久し振りです! 聞いてますよ〜2号店の評判♪」

阿須那
「そっちも元気そうやな…例のキュレムとは仲良うやっとん?」


光里は、はいっ!と元気良く笑顔で答える。
良い笑顔や、あれからまた成長したみたいやし、これからも1号店の主力になってくれるやろな…


阿須那
「光里も水着買いに来たん?」

光里
「いえ、たまたま外から阿須那さん見えたんで、挨拶しようかなって♪」

阿須那
「何やそうやったんか…ほな丁度ええわ、ウチに似合う色って何色やと思う?」

光里
「そうですね〜…阿須那さんは金髪だし、赤は似合うと思いますけど…」


おっと、そういや光里は対抗薬飲んどるんやったな…
実際には偽装するから、黒髪に見えるはずなんやが。
ここでウチはピーンと来る。
そうか、その手があったか…!


阿須那
「成る程なぁ、ほんなら赤にしよ! ありがとな光里♪」

光里
「? まぁ、役に立てたのなら良かったです♪」


こうしてウチは水着を買い、光里と一緒に途中まで帰宅する事にした。
その間に、ウチ等は色々情報交換しとった。



………………………



光里
「うーん、そっちのイベントは面白そうですね〜」

阿須那
「1号店は平常運転か…まぁ、客足自体はそこまで衰えてもおらんみたいやし、安心したわ」


もっとも、実際には1号店の利益はかなり減っている。
やっぱ、風路はんとウチが抜けたのは大きかった証拠なんやが…
それでも残ったメンバーのファンは数多く、特に光里は研修生ながらも1号店では1番人気になりつつある有望株や。
長い行列こそ出来なくなったものの、それでもピークは常に満席。
商店街にひっそりと構える店ってのもあって、身近に通ってくれる客もおるんやろな…

ウチは思う。
全ては、積み重ねやと…
皆、失敗を繰り返して成長していく…
ウチも、まだまだ成長が足らんねやろ…せやから大ポカやらかすんや。
改めて、ウチは開き直った。
そうや、大きな失態が何や! ウチはこっから大きくなればええんや!!
新たな目標が出来た…ウチは、慕ってくれる皆に誇れる女になる!
失敗したって良い! ウチは、これがウチやと胸張って言える女になるんや!!
せやから、期待しててな…聖?
ウチ、今度こそ聖を信じられる女になってみせるから!


阿須那
(せやから…見捨てんとってな? ウチ、聖が大好きやから……)










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第4話 『悩む阿須那、開き直る狐』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/09(木) 21:07 )