とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない - 第5章 『POKE MOA EVIL』
POKE MOA EVIL 『エピローグ』

『魔更は真っ白…始まりの色、か』

アルセウス
『随分、満ち足りた顔をしているな…?』


俺は、白くぼやける曖昧な夢の世界で、またアルセウスさんと会う。
場所はいつもの公園、ここに来るのもホントに久し振りだな…
そして…ようやく帰って来たのだと、俺は確信した。
とはいえ、家より先にこっちに来るとは思ってなかったが。


アルセウス
『時間にして、5か月近くも混沌に巻き込まれるとはな…』
『そして、許容ギリギリまで夢見の雫を濁らせるとは…』


俺は既にスライディング土下座の体勢に入っており、準備は万端だった。
とはいえ、アルセウスさんが本気で怒る姿はもう想像出来ないんだが…



『お願いします、もうちょっと敵のランク下げてください!』

アルセウス
『それは、我にはどうする事も出来ぬな…』
『混沌はあくまで混沌…我ですら、それを予知する事は出来ぬ』


素で返された…ぐすん。(涙)
俺はすぐに頭を上げ、雫をアルセウスさんに渡した。
その濁りは透明度など無く、ただ黒かった。
我ながら、やり過ぎたとは思う…


アルセウス
『…何故、そなたの雫はこうも綺麗なのか』


『えっ? こんなに黒いのに…?』


アルセウスさんは、雫を受け取ってそう呟く。
その無表情な顔からは感情が読み取れないが、アルセウスさんは不思議そうな顔をしている様だった。


アルセウス
『同じ黒でも、違うのだ』
『過去の暴走した漆黒と、そなたの煌めく黒はまるで違う』


言われてみれば…以前に見た別の夢見の雫は、もっと汚れた鉄球みたいな黒さだったな。
もっとも、それが今の俺の雫なのだが…

詳しくはクロスオーバー企画を見てくれ!


アルセウス
『やはり、そなたは継承者になるべくしてなったのだな…』


『そう、でしょうか? 俺は、姉さんでも同じ事が出来たと思いますけど…』


俺は立ち上り、何となくそう思う。
もし、俺が生まれてなかったら、きっと姉さんは俺の代わりに色んな人を救っていたのだろう。
助けられるなら絶対に助ける、決して見捨てない。
父である勇気さんから教えられたであろうその心は、姉さんだってきっと持ってるのだから。


アルセウス
『…かもしれぬ、だが今はそなたが継承者だ』


『…はい』


所詮、それは別の世界線の話だろう。
アルセウスさんも、どこまで別の世界を見ているのかは解らないが、前の混沌に関しては関与出来てなかったのだろうか?


アルセウス
『…っ』


アルセウスさんは雫を浄化した。
やはり、一瞬でも辛そうな顔をされるのは心が痛むな。
アルセウスさんは、いつも気にするなと言ってくれるが、俺は気にしなければならない。
極力、夢見の雫は濁らせない様に心がけないと…


アルセウス
『…ふふ、あれだけ濁っていても、何ひとつ穢れないか』


『穢れる…?』

アルセウス
『雫に悪意や邪気が貯まれば、それだけ我の体と心も穢れるのだ』
『だが、そなたの雫にはそんな悪意や邪気はほとんど無い』
『全て、正しい心で使用されている…』


『でも、今回はかなり大量の悪意を吸い込ませたのに…』


実質、アレが今回の濁りの大原因だからな…
そうしなければ、夏翔麗愛ちゃんは壊れていたかもしれないし。


アルセウス
『確かに、それは悪意や邪気ではあった様だが、そなたの物ではないのだろう?』


『…?』

アルセウス
『我が浄化する際、最も恐ろしいのは使用者の悪意だ』
『使用者の悪意や邪気で濁った雫は、我の心と体を穢す』
『そうなれば、以前の様に我は我で無くなるのだ…』


思い出してゾッとする。
俺は過去に、どれだけの悪意でこの人を汚したのだろうか?
無邪気に子供心で使い続けていたが、俺は次第に絶望して悪意のままに使っていた。
結局、それは暴走していたアルセウスさんの穢れを加速させているに過ぎなかったんだ。



『俺は、本当に継承者として相応しいんですか?』


俺は俯いて呟く。
ベンチに座り、アルセウスさんの隣で俺は悔やむ様にそう聞いた。
今は良くても、過去はあんなんだった…俺にとっては黒歴史に近いが、それでも皆との繋がりは大切にしたいと思う。


アルセウス
『…相応しいかどうかは、そなた自身が判断すれば良い』
『そして…そうでないと思うのなら、自分よりも相応しいと思う者に託せば良いのだ』
『無論、その結果今の世界が消える事になっても、それはそなたの選んだ選択に過ぎない』


サラリと怖い事言われる。
自分で考えろって事か…やれやれ。
俺は浄化された夢見の雫を体内に戻し、息を吐いた。
本当に、長かったな。


アルセウス
『…そろそろ時間だ、ではまた会おう』


俺の返答を待たずに、アルセウスさんは消えてしまう。
また…か。
そうだな…また、会えたら良いな。

そして俺は…いつまで、この関係を続けていけるんだろうか…?



………………………




「………」


俺は久し振りの道路を見る。
そして、スマホを確認して日付を見た。
20XX年7月15日…元の世界に戻ったな。
今日は海の日で休日、期末試験も先週終わってるし、後は夏休みを待つばかりだ…



「…俺だ、心配かけたな」


『はろ〜♪ ジャッリボーイ!』


「…何て事だ、既に混沌は終わったというのに、まだこんな試練を与えられるとは!」
「だが、俺は絶対に諦めない! 必ず皆の所に戻ってみせる!!」
「以上…さらばだ、強敵よ」


俺はそう言ってスマホから耳を離す。
やや厨二臭かったが別にネタではない。今回はただのおふざけだ。
つーか…



「誰だお前は!?」

フーパ
『お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ?』


「時期外れだよ!? こっちは今から夏休みだってのに!!」


そう、応答したのはフーパだったのだ。
俺は何事かと頭を抱えるが、すぐに俺の聞きたかった声が代わりに出て来る。


恵里香
『…ゴメンね聖君、フーパがどうしても伝えたい事があるからって』


「だったら、直接こっちに来りゃ良いだろうに…」

フーパ
『ちょっと、そうもいかなくなってね…今回は無理してここに来たから、多分今を逃したらもう話す事も出来ない』


俺は少し言葉に詰まる。
フーパは気楽そうに言うが、何か切羽詰まっている様だ。
混沌は終わり、全ては元に戻ったはず…それでも、まだ何かあるってのか?


フーパ
『気付いているとは思うけど、経過した時間は君たちの体には残ってる』


だろうな…混沌では時空を超えても、肉体の経過時間はそのまま残る。
服や持ち物は、元の世界にいた時のに基本修復されるが、向こうにいた時に得た物は持ち帰る事も一応出来る。

つまり、あの混沌を経験した7人のポケモン娘は、ちゃんと成長してるって事だな。


フーパ
『…今回は、アフターサービスだよ』
『恵里香の世界送り(ワールドメール)で手紙を送るから、詳しくはそれを見てくれ』
『じゃあ、時間が無いからここまで…元気にしなよジャッリボーイ!!』


言うだけ言って、フーパは以降出なくなった。
そして、突然空から1通の封筒が落ちてくる。
俺はアスファルトに落ちたそれを拾い、中身を見た。


恵里香
『とりあえず、お疲れ様』


『ああ…手紙ってこれか?』


中には7通の手紙が入っている。これは一体…?
俺はその内の1枚を確認するが、その内容を見て俺は絶句する。


恵里香
『ふふ…フーパ、随分嬉しそうだったよ?』
『キミとの出逢いは、彼女にとって重要な意味を持ったんだね…』
『例え忘れたとしても、きっと希望は忘れない…』


「…忘れる?」

恵里香
『例えの話さ、本当に忘れるかは解らない』
『彼女が属する時間軸の世界線は、ある意味そっちの世界線よりも混沌としているから』


成る程、フーパは別時間軸の世界線からやって来ていたのか。
つまり、俺たちが通常関知出来る存在じゃない。
恵里香ですら、見れるのは同一時間軸の世界線だけだからな。
今回の混沌は、別の時間軸のジラーチが起こした混沌だったって訳だ。



「なぁ恵里香…アイツ、今度は死なないよな?」

恵里香
『ボクにそれを答える事は出来ないよ』
『まぁ、情も何も無く言うなら、忘れる事だね』
『彼女なんて、初めから存在してなかった』
『そう思う事だよ、「あの時」の様に』


俺は、言葉を失う。
そして眉をひそめて、俺は俯く。
そのまま…無言で数秒が過ぎた。


恵里香
『…ゴメン、余計な事を言ったね』


「…良いさ、事実ではある」
「だけど、勘違いするな?」
「俺は『彼女』の事は絶対に忘れないし、決して無かった事になんかさせない」
「アレは戒めだ、俺はこれから先ずっと背負って生きて行く…もう、2度と絶望したりなんかしない」


俺はそう言って、スマホから耳を離す。
そして、それをズボンのポケットに突っ込み、封筒から出した手紙元に戻して、それを大事に鞄に入れた。

そういや、俺何で外に出てたんだっけ?
あれからおよそ5か月…ぶっちゃけ、何が起こっていたのかも忘れかけてるな。

やれやれ、まずは記憶の整理をしないとな…



………………………




「皆お疲れ」

香飛利
「あい〜♪」
唖々帝
「ああ…」

「はい」
喜久乃
「はいっ」

「おう!」
夏翔麗愛
「なのです!」


俺は家に帰って、早速当人たちと集まっていた。
場所は白那城の一室で、俺たちは円卓を囲んで全員座らせている。



「これより、第13回! 円卓会議を行う!!」

喜久乃
「いつの間に、そんな会議数こなしてたんですかっ」

夏翔麗愛
「それは皆の心の中にあるのです!!」


うむ、とりあえず皆元気そうで何より!
ちなみに、やっぱ瞳さんは進化したままだな…夏翔麗愛ちゃんも背が伸びてるし、肉体は確実に成長してる様だ。



「とりあえず、皆に手紙を預かっている、それを今から配るよ」


俺は、皆宛に届けられた手紙を1枚づつ配って行く。
全員にそれ等が渡り、皆は一斉にそれを見た。
ちなみに、俺は1度全部に目は通してある。

そしてこれは、それぞれの世界で出会った、ポケモンたちからのメッセージだったのだ…



………………………



『原始編』


赤子
「キャッキャッ♪」

マリス
「あははっ、こらこら♪」

セヴァ
「ふふ、元気な子供で良かったな♪」


あの戦いから、どの位経っただろうか?
アタシは今や母親となり、大切な子供も授かった。
今はハブネークたちとも協力して、何とか生活してる。
とりあえず、今はそれなりに平和で、それなりに充実した毎日だ。
今、アタシは子供の為に狩りには出られないけど、ハブネークたちが面倒を見てくれるから大丈夫。


マリス
「お前も、大きくなったらアタシみたいな長になるんだぞ〜?」


「あぅ〜?」

セヴァ
「ふふ、まぁなれるかどうかは解らんがな…」
「下手に似すぎない方が、返って良いかもしれんぞ?」


セヴァは、からかう様にそう言う。
アタシは特に気にせずに、娘に乳を飲ませてやった。
そしてアタシは思い出す…香飛利や聖と一緒に戦った時を…
香飛利、聖…お前たちは元気か?

アタシたちは、元気だぞ♪



………………………



『西武編』


ならず者
「ぎゃあぁっ!?」


ドガシャァッ!!と、デカイ音をたてて男が吹っ飛ぶ。
吹っ飛ばされた小太りの男はひぃひぃ良いながら、すぐにそこから退散した。


少年
「ありがとうロック! やっぱりロックは強いね!!」


俺は、宿屋の入り口から外に歩き、子供にそう言われてへっ…と笑う。
そう、今の俺は…あの時の宿屋で用心棒をしていた。


ロック
「まだまだ、この町は平和にはならねぇな…」

エミナ
「それでも、大分マシになったさ…今は保安官もやる気になってくれてるし」
「あんたのお陰で、何だかんだこの町は良い方向に向かってるよ♪」


俺は葉巻に火を点け、煙を吹く。
結局、唖々帝は2度と現れねぇ…か。
俺はあの時の決闘を未だに覚えている。
もう1年以上は経っちまったが、あの時の決闘は満ち足りていた。
まさか、殺されずに負けるとは、思ってもみなかったがな。

感電だけで気絶しちまうたぁ、俺も未熟だったって事だ。


ロック
「…唖々帝の野郎は、唯一俺に勝って、そして逃げ切った獲物だったな」

エミナ
「ふふ、それがショックで今は用心棒たぁね!」

ロック
「良いさ…アレ以来、賞金稼ぎも飽きちまったし、今はここでのんびり用心棒をしてた方が、良い飯も食える」


俺はそう言って、風の吹く荒野の町を見渡した。
そして聞こえる馬の足音…さて、今度はどんな奴が来るかな?
俺は少しだけ期待を込めながらも、ニヤリと笑って愛銃を手に取る…

さぁ、今日もコイツは絶好調だぜ!?



………………………



『功夫編』


門下生たち
「ハイッ! ハイッ! ハイッ!!」


「よし、そのまま後100本!!」


あれから、アタシたちは正式に清山拳の師範代として門下生たちを指導していた。
まだ10人位だけど、それでもアタシたちはこの仕事にやり甲斐がある。
瞳は、あれからどうしているだろうか?
結局、決着は付けられなかったけど、きっと今やったら勝てないだろうな…



「もう少しでお昼だよ〜! 皆、頑張って!!」


包は毎日の食事を作ってくれてる。
味も今やかなりの物で、門下生たちにとっては重要なやる気の素にもなっていた。



(瞳…修行は怠るなよ? アタシたちも、まだまだ強くなるからな!)


門下生のひとり
「ハイ! ハイ!」


アタシはひとりの門下生に注目する。
その門下生は美しくも荒々しい型をしており、恐らく門下生の中ではトップの実力者だろう。
だけど、アタシはその型を見ただけで、その門下生に足りない物も解っていた。

だから、アタシは師範代としてしっかりとこう言ってやる。



「『心』を忘れるなバカヤロウ!!」

門下生のひとり
「!?」


「お前の拳は誰の為にある!? 殺気が駄々漏れなんだよ!」
「心技体! 全て備えてこその清山拳だっていつも言ってるだろうが!?」


アタシが厳しくそう言うと、門下生はギリッ…と歯軋りして俯いてしまう。
コイツは拳法家としては優秀だが、まだまだ清山拳の候補者としては足りない物が多すぎる。

だから、それもしっかりと教えていかねぇとな…
コイツはきっと、昔のアタシと同じ臭いがするから…
ちゃんと、ジジイみたいに正しい道を示してやらなきゃ。



(だよな? ジジイ、瞳!)



………………………



『幕末編』


北辰
「さ〜て、今日もええ天気やで♪」

水刃
「北辰殿、これからどちらへ?」


ワイは特に何も告げず、城下町を歩いた。
護衛には水刃はんひとりを連れ、ワイは賑やかな町に頬笑む。
あれからもう1年か…喜久乃はんたちは元気かのぉ?


水刃
「気を付けてください、今や貴方は有名人」
「貴方の命を狙う者は、絶えず存在します」


水刃はんは心配性やで。
とはいえ、今のこの世界はまだまだ戦乱がある。
ワイは、そんな戦を終わらせたいんや。
せやから、まだまだワイにはやる事がある。


北辰
(なぁ、喜久乃はん…あんさんにも、夢ってあるやろ?)


ワイは天を見上げ、太陽の光を一身に浴びる。
ホンマに良い天気や、こんな日は散歩に限るで♪



………………………



『現代編』


タダー
「よし、良いぞ! もっと軸足の親指にしっかりと力を込めるんだ!」

少年
「はい!!」


私はジムに通う子供たちを指導していた。
あれから時は経ち、彼女はいなくなってしまったが、私の情熱が消える事は無い。
これからも、自身を強くしていく。


タダー
(李さん、貴方の闘志は忘れません…)



………………………



ワーシリー
「ふっ!」

部下
「ぐわっ!?」


私は訓練で兵士を相手にしている。
あれから私を熱くさせる相手は中々現れない。
逆に言えば、それだけ李は素晴らしい女だったと後から理解出来た。


ワーシリー
「よし、今日はここまで!!」

部下たち
「サー! イエッサーーー!!」

ワーシリー
(李、男とは上手くやってんのかな? ははっ、こっちは良い男なんてまだいやしないよ…)



………………………



ルエ
「とおっ!」

カーチス
「なんの!!」


俺は異種格闘技戦の真っ最中だ。
相手は相撲レスラーのカーチス!
以前にも戦った事はあるが、かなりのパワーを持ったレスラーだ。
だが俺の自慢はスピード、以前は引き分けだったが、今回は決着をつけてやるぜ!!


ルエ
(李、あいつは強かった…追い付くには相応の努力がいる!)

カーチス
(ルエも李に負けていた…やはり彼女は素晴らしいファイターだったのだ!)

ルエ
(出来るならもう1度戦いたい!)

カーチス
(その時は私が勝つ!!)


俺たちは戦いながらも、それぞれ別の相手の事を考えていた。
奇遇な物だが、今はこの戦いに集中だ!!

さぁ、ショータイムだぜ!?



………………………



マッスル
「ウィーーーーーー!!」


私のアピールで観客は大興奮。
うむ、今日も満員御礼! ならば無様な試合は見せられんな!

私は重量級の若手レスラーを相手にし、真っ正面から組み合う。
若さに任せたパワフルなスタイルだ。
だがこんな物では、まだまだ王座を譲るわけにはいかん!!


マッスル
(李、君はどうだ? まだまだ強くなっているのだろうな…)
(私も、生涯戦い続けるよ!!)



………………………




「…うむ」


私はあの戦いから、一戦を退いた。
今は、老後の楽しみとして盆栽いじりに精を出している。
もはや李の様な強者は、生きている内には現れまい。
それが少々残念ではあるが、それでもワシは嬉しい。
彼女が、今もどこかで戦ってると思うと、それだけでもう少し長く生きたいと思えるのじゃからな。



………………………



『近未来編』



「五郎さん…あれから1年が経ちましたよ?」


私は桜咲博士とふたりで、五郎さんの一周忌に墓参りをしていた。
あの惨劇から、世界は平和になりました。
軍は縮小され、暴走族も大人しくなり、より良くなったのが本当に嬉しい。

でも、辛い事はやっぱりあります。


桜咲
「…夏翔麗愛は、きっと元気にやっておるよ」
「その証拠に、キングゴルーグが時折いなくなるんじゃ」
「きっと夏翔麗愛の所で、今も悪と戦っておるのじゃろうて♪」


「ふふ…五郎さんが生きていたら、きっと笑ってますね♪」
「私も、良い加減結婚でもしないと…子供たちに苦労かけてしまうわね」


夏翔麗愛、どうか幸せになってね?
私たちも、そうなれる様に努力するから…



………………………



『SF編』


佐藤
『どうだいピーチ? 新しいバージョンの調子は』

ピーチ
「はい、良い調子です♪ これなら宇宙空間でもより長く作業が出来ます」


私は現在、宇宙空間で作業テストを行っている。
通信系やセンサー系の装備を一新し、より速く、より正確に作業が出来る様になりました。


ギル
『ピーチ、今から緊急時の作業メンテをテストする』
『気を抜くなよ? あくまで本番だと思え!』


私はそれを聞いて、すぐに気を引き締める。
あれからギルさんは軍を辞め、マスターと一緒に宇宙で調査をする仲間になりました。
マスターも最初は色々戸惑っていましたが、それでも今は立派に小さな船の船長をやってます。


ピーチ
(聖、私は寂しくありません…)
(私のメモリーには、貴方たち家族の記録が、しっかり残っているから)



………………………




「………」


皆、無言で読み耽っていた。
そして安心した様に皆笑う。
俺も、それは同じだった。


香飛利
「お〜! マリスさん、お母さんになったのか〜♪」


「みたいだな、セヴァさんとも仲良くやってるみたいだし、本当に良かったな♪」


香飛利もうんうん!と嬉しそうに頷く。
結果的に歴史は変わってしまったのかもしれないが、俺はこれで良かったと思ってる。

ただ憎みあって、それで子供の代まで続いていくなんて、俺は考えたくもないから…


唖々帝
「…そうか、ロックは賞金稼ぎを止めたのか」


「まさか、生きてたなんて驚きですよ…ワザとそうなる様に手加減したんですか?」

唖々帝
「手加減をしたつもりはないさ…だが、殺す気は最初から無かった」
「だから、反って辛かったんだ…アイツは真剣勝負を望んでいたのに、私はそれを正面から受け止められなかった」
「もしかしたら、生きている事がアイツの枷になってしまうんじゃないか?って…そう思うと、少しいたたまれなかった」


でも、ロックは結局満足して今も元気に生きてる。
唖々帝さんの選択は、間違ってなかったんだと俺は思うよ…



「麗さん、包さん…しっかりと修行を続けているのですね」
「私も、まだまだ頑張らなければ」


「瞳さんも負けてられませんからね」
「もし再会して戦ったら、追い抜かれてるかもしれませんし♪」


俺がそう言うと、瞳さんはクスリと笑う。
瞳さんの事だから、そうなら嬉しいと思ってるんだろうな。
共に同じ釜の飯を食った兄弟弟子だし、互いに成長してるのなら、それがきっと1番嬉しいのだ。

新たな門下生たちもいるんだし、清山拳はきっと正しく受け継がれていくだろ。


喜久乃
「…北辰さん、本当にブレませんね〜」


「徹底的に平和主義者だからな…あの人は変わらないだろ」

喜久乃
「頑固を通り越した大馬鹿ですからね…きっと死ぬまで人は切れないんでしょうね〜」


まぁ、それもあの人だからだろ。
短い間だったけど、本当にインパクトが強い人だった…
忘れろと言っても忘れられないだろうな…



「へへっ、皆まだまだ頑張ってんだな!」


「まぁそれが格闘家ってモンですからね」
「でも、武さんは引退か…歳もいってたし、仕方無い所だよな」


「そだな…アタシもそんな歳になってまだ戦えるかねぇ〜?」


李さんはそんな事を考えながら大笑いする。
実際に想像してみたんだろうな…
きっと、李さんなら婆ちゃんになっても体鍛えてそうなイメージはある。


夏翔麗愛
「…五郎さん」


「あれは、仕方無かったんだよ…」
「五郎さんの死は、俺たちを強くしてくれたんだから」


夏翔麗愛ちゃんは、友愛の皆や、五郎さん、博士の事を考えて寂しそうにしていた。
数ヶ月の間、厄介になってたんだもんな…
夏翔麗愛ちゃんとしては帰りたかったのが本音だけど、仲良くしてくれた皆の事は、気になっていたんだろう。

でも、あの世界は夏翔麗愛ちゃんにとってあまりに悲しすぎた…


夏翔麗愛
「私は泣かないのです、これでも精神年齢は大人ですから」


「そうだな…だったら、夏翔麗愛お姉ちゃんは年下の俺に甘えず立派になってくれよ?」


俺が笑ってそう言うと、夏翔麗愛ちゃんはうっ…となって頬を膨らます。
俺がハハハと笑うと、皆も釣られて笑っていた。

そして…それぞれが手紙をしっかりと握り、場は少し静かになる。
多分、もう会う事は無いであろう人々の事を頭に浮かべ、俺たちは改めて勝利の余韻に浸った…

そんな中、静寂を破って俺は立ち上がり、皆にこう言う。



「…とりあえず、今回はこれで解散! 俺はこのまま家に帰るよ」

夏翔麗愛
「分かったのです♪ それじゃ私も戻ってゲーム三昧なのです!」


「私は、少し体を動かします…何だかじっとしていられませんので」


「おっ、だったらアタシも付き合うぜ!」

唖々帝
「やれやれ…私は、部屋に戻るよ」

喜久乃
「私もそうします…まだ時差ボケが直りませんし、ふぁ〜」

香飛利
「お腹空いたから、何か食べに行く〜」


皆、それぞれ思い思いの考えで解散する事に…
俺もとりあえずは自宅に帰る事にした。

何だかんだ、肉体的にも精神的にも、今は疲れきってるからな…
とりあえず、久し振りに愛呂恵さんの料理が食べたいもんだ♪



(ピーチも、頑張ってるみたいで本当に良かった…)


佐藤さんやギルとも仲良くやってるみたいだし、あいつならきっとしっかりやってるだろ。
元々、超未来な世界に住んでいただけに、ピーチは色んな意味で皆とは違う存在だったのかもしれないからな…

でも、きっともう出会う事は無い…
俺は何となくそう思った。
いや、これは願望なのかもしれない…
あいつは、もう俺とは出会わない方がきっと幸せなはずだから。



(だから、ちゃんと幸せになってくれよ…? 短い間のヒロインさん♪)


俺はそんな事を思いながら、更にこれから先の事も考える。
きっと、まだ混沌は続く…だから、これからも頑張らないとな!
何があっても、俺は必ず乗り越えてみせるさ!!










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第10話 『POKE MOA EVIL エピローグ』

第5章 『POKE MOA EVIL(ポケ モア ライブ)』 完


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 21:47 )