とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第5章 『POKE MOA EVIL』
最終編 第8話
ザッザッザッ!と、強い足踏みで前に進む集団がいた。
それは、ひとりの人間の少年と、7人のポケモン娘。
それぞれがそれぞれの想いを胸に、今…この混沌における、最後の戦いに挑もうとしていた!!



………………………




「さて、魔王山到着だが…」

ピーチ
「入り口…なんですよね、ここ?」

夏翔麗愛
「封印されてるんでしょうね…この場合、RPGなら何かキーアイテムがあるのですよ!」


俺はそれを聞き、とりあえず入り口と思われる悪魔の口を模した岩に触れてみた。
すると、突然地震が軽く起き、俺が触れた岩はシャッターの様に開いていく。
どうやら、歓迎はされてるみたいだな…


喜久乃
「あっさり開きましたね」


「魔王としても、決戦は望む所…という感じでしょうか?」


「何でも良いさ…さっさと行こうぜ?」

唖々帝
「ああ、こんな所はさっさとオサラバしたいからな…」


俺たちはとりあえず先へと進む。
そして、そこからはすぐに影モンスターたちの歓迎が始まる。
現れるモンスターは、今までとは比較にならない程強力な奴らが現れたが、それでも俺たちは全く問題無く先へと進んで行った。



………………………




「熱烈歓迎か…やれやれだな」

夏翔麗愛
「まぁ、ここがラスダンなら当然でもありますよね」

喜久乃
「ですが、それ程苦戦はしませんね…これじゃ、消耗狙いとも思えませんが」


敵は強いものの、あくまで俺たちを試すかの様な編成だった。
出現頻度も一定を越えた辺りで落ち着き、今俺たちは立ち止まって小休止をしていたのだ。


ピーチ
「…出来れば、このまま楽に進みたい所ですが」

香飛利
「う〜…出来ればもう出ないで〜」


香飛利は涙目で相変わらずの様だった。
まぁ、香飛利の臆病さは優しさでもあるからな…ザコ敵相手でも、香飛利は戦うのが躊躇われるのだろう。
ある意味、守連に似てる所があるよな香飛利は…



『ようやく…来たわね』


「!? この声…!」


突然、声が空間に響き渡る。
エコーがかったその声は俺たち全員に聞こえ、俺たちはいやが上にも緊張を高めた。
そして、俺たちの前に新たなモンスターがひとり出現する。
ソイツは足元の岩からせり上がる様に出現し、その異様な姿は俺たちを身構えさせた。
その姿は妖しくも、異形の女性。
姿を例えるなら、岩の壁に女性が捕らわれている…とでも言うべき風貌。
岩の壁から女性の上半身が飛び出しており、下半身は一切見えない。
腕は手首だけが斜め上に岩から突き出ており、ダラリと力無く垂れていた。
服は一切着ておらず、胸は完全に裸で、たわわな乳房が丸見え。
とはいえ、とても色気を出せる様な見た目ではない。
肌の色は岩の様に灰色で、目すらも光が無かった。
そう、1番解りやすい表現で言うなら、これは…石像だ。
だが、次の瞬間ソイツは動き出す。
俯いていた顔はこちらを捉え、無機質な目で口を開ける。
まさに動く石像だな…さて、ここはどうするか?


喜久乃
「…岩タイプなら、てっとり速く私が始末します」


「良いのか? 岩ならアタシも相性良いぜ?」


「いえ、李さんは氷でもありますし、ここは喜久乃さんに任せましょう」
「相手の力が解らない以上、迂闊なダメージは避けるべきです」


って、おいおい! 何か勝手にポケモンバトルみたいな雰囲気になってるぞ?
つーか、あれ岩タイプなの!?


ピーチ
「…スキャン完了、99%以上は一般的な岩と同じ物質で出来ていると思われます」

夏翔麗愛
「まぁ、とりあえず喜久乃お姉ちゃんに任せるのですよ!」

唖々帝
「何でも良い…喜久乃に任せる」


既にタイマン前提になってるな…
まぁ、ここまでの敵を見ても皆がてこずる様子はあまり無いし、この際好きにやらせるか…


喜久乃
「それじゃあ、早速行きますよ!!」


喜久乃は相手の動きも見ずにいきなり苦無を3本投げる。
そして、それらはあっさりと岩の肌に弾かれ、地面に転がる。
牽制にしたって効果が無さすぎるな…とはいえ、喜久乃は頭の回転は速い娘だ。
素早さは遅くても、搦め手は得意だしな。
とりあえず、無駄な行動はしてないと思うんだが…


岩女
「!!」


岩女は突然喜久乃の足元から岩の槍を2本突き立てた。
2m程の長さの槍は喜久乃の肩と膝を傷付け、喜久乃は舌打ちしてバックステップする。
すると、喜久乃はすかさず地面に手を着いて地面にエネルギーを送り込んだ。
その力は真っ直ぐに岩女を捉え、岩女の足元は軽く地震が起こる。
あれは『大地の力』か? とりあえず相手の防御を見て特殊に切り替えたって所か。
相手は回避すらせずに(出来ない?)、モロにそれを食らって体にヒビが入る。
とりあえず効いてるみたいだが、岩女はすぐに同じ攻撃を返してきた。
だが、今度は喜久乃も予想していた様で、すぐに移動して岩の槍をかわす。
足を止めずに、側転やステップを駆使して連続する攻撃をかわし続けていた。


喜久乃
「このっ…! しっつこい!!」


敵の攻撃は、激しさを増していく。
一切別の行動は取らず、同じ攻撃をより強く、速く繰り出してくる。
流石の喜久乃も次第に回避が遅れ始め、段々と掠り始めてきた。
喜久乃は目を細め、相手を凝視して攻撃をギリギリでかわす。
喜久乃の体は傷付きつつも、致命傷は一切貰わず、喜久乃は回避しながら電撃を放った。
バチバチバチィ!と10万ボルトが直撃するも、岩女は全く怯まない。
それ所か攻撃速度を更に上げ、遂に喜久乃は背中を大きく切り裂かれ、悲鳴をあげた。


喜久乃
「ぐうぅっ!? こいつぅ!!」


喜久乃は足を踏み込み、地震を起こす。
すると岩女の足元は大きく揺れ、地面が崩れて足場が傾く。
岩女の体は傾いたままでも更に攻撃を続け、喜久乃は更に首筋を切り裂かれた。
かなりの出血を伴い、喜久乃は目を細める。
特殊でも物理でもダメ! どうするんだ喜久乃!?


喜久乃
「ちいっ!!」


喜久乃は苦無を両手で投げ、6本地面に突き刺した。
意味があるのかは解らないが、岩女はお構い無しに攻撃を続ける。
だが、喜久乃はすぐに前方へ突進し、真っ直ぐに岩女を目指した。
ここで接近戦か!? いや、喜久乃のZ技は近付かなければ意味が無い。
喜久乃の奴、博打に出るつもりか!


喜久乃
「…!!」


喜久乃は更に速くなった岩の槍を今度は完璧にかわす。
そのまま2度3度と連続する槍も全てかわし、喜久乃はステップしながら距離を詰め始めた。
な、何でいきなり!?と俺は思うものの、喜久乃は笑っていた。


夏翔麗愛
「刺した苦難の振動で攻撃を予測してるのですね…」
「相手の攻撃はあくまで地面から発生する物ですから、苦無が反応すればそこから攻撃が来ると言う事です」


夏翔麗愛ちゃんの解説に俺は成る程と感心する。
喜久乃はそのまま苦無を刺した地面付近を駆け抜け、槍を全て回避してあと一歩まで迫った。
最後にことさら大きな岩の槍が飛び出るが、喜久乃は半身を捻り、胸から腹を切り裂かれただけでとどめる。
喜久乃はそのまま横に回転し、ジャンプして岩女の頭上を取った。
そして、右手には短刀が握られている。
気が付けば喜久乃はオーラを纏い、そのまま岩女の脳天に短刀を突き立てた。

ガキィィッ!!と岩を削る様な音と共に、喜久乃の短刀は見事に根本まで刺さる。
そして、喜久乃は叫んだ。


喜久乃
「『超振動炸裂剣』!! バラバラに砕け散りやがれぇ!!」


岩女の体はバイブレーションの様に激しく揺れる。
そして、短刀を突き立てた脳天から下に向かって岩女はふたつに割れる。
そのまま空中分解し、岩女は文字通りバラバラになったのだった…
とりあえず、勝ったのか…?


ピーチ
「喜久乃さん!!」

喜久乃
「…き、汚い手で触るな」


「よし、後で修正してやるからな!? とりあえず今はピーチの巨乳に抱かれて眠れ!!」


俺がそう言ってやると、喜久乃は複雑そうな顔をして眠り始めた。
予想以上にダメージは大きかったな…あの岩女、他のモンスターとは一線を画す強さだったみたいだ。
時折出会っていた中ボスと似た様なモンか…もしかしてこの先にもまだ出て来るのか?


魔王
『…こんな程度で死ぬんじゃないわよ?』


「魔王…! 俺たちは絶対に負けはしないぞ!?」


俺の言葉に魔王は何も答えなかった。
喜久乃はとりあえずピーチに任せ、俺たちは改めて先に進む。
気が付けば岩女は跡形も無くなっており、その場には破片のひとつも落ちてなかった。



………………………



夏翔麗愛
「…ザコ敵が出なくなりましたね」


「先程の岩の魔物は、ボスの様なものだったのでしょうか?」


「いや、ここはラスダンだ…恐らく魔王がコントロールしてるに過ぎない」
「もう、ザコ敵を出す必要も無くなったのかもしれないな…」


俺たちは駆け足で魔王山の奥へと進んで行く。
山登りと同様の険しさで、俺は少し息を切らし始めていた。
流石にこのままペースを維持するのは無理か…!



「よっと! ここはアタシに任せな!!」


俺の疲労を鑑みたのか、李さんは片手で俺を担ぎ背中に乗せた。
俺は羞恥心を感じながらも今は耐える事にする。
体力の差は仕方がないからな…今は素直に甘えよう。
喜久乃はまだ眠っており、ピーチが背負って運んでくれてる。


魔王
『魔更 聖…夢見の雫の継承者』


またしても魔王の声…その後、今度は突然正面から黒い球体が突如現れる。
そして、漆黒のその球体からは、突然女性の上半身が生えてきた。
その姿もまた黒く、目だけが妖しく光っている。
例によって裸みたいだが、ここまで黒いと萌え様が無いな…
流石にシルエット状態の色じゃ、エロさはあまり感じないのが本音だ。


夏翔麗愛
「今度はゴーストタイプ?」

唖々帝
「悪タイプかもしれんぞ? どっちにしても夏翔麗愛は止めた方が良さそうだな」


「でしたら、ここはノーマルの私が…」


「いや、ここは香飛利にやらせよう…たまには戦わせないと本番でダメになる」


俺がそう言うと、香飛利は露骨に嫌な顔をした。
俺はとりあえず香飛利を3歩歩かせ、こう言ってやる。



「よし戦え香飛利!」

香飛利
「い〜や〜〜〜!!」


オノーレ…そもそも戦うのが嫌いだから、記憶関係なく本能で断りやがった!
とはいえ、香飛利だってやれるんだから何とかさせないと…



「大丈夫、お前ならやれる! イザとなったらちゃんと助けてやるから!」

香飛利
「うう…じゃあ、頑張る〜!」


香飛利は涙目ながらもフラフラ飛行する。
流石に天井はそこまで高くないからな…必然的に逃げる選択肢は無いだろう。
さて、相手はどんな攻撃をしてくるのか?
岩女みたいに同じパターンをひたすら繰り返すのか?


黒女
「!!」


黒女は下半身の球体から、いくつもの小さい球体を吐き出す。
それらは不規則な軌道を描き、一気に香飛利へと向かって行った。
香飛利は不意を突かれた形でいきなり攻撃を貰う。
爆発みたいな音はせず、形容しがたい音で小さな球体は香飛利の腹の肉を抉り取った。
パチンコ玉位の大きさのそれは無数に飛来し、香飛利は泣きながらいきなり加速する。
そのスピードは俺の予想を遥かに超える速度で、羽ばたいた際の風がここまで届いていた。
黒玉は目標を見失い、香飛利のいた場所を通り抜ける。
だがすぐに香飛利を再ロックし、再び不規則な軌道を描いて突っ込んで来た。


香飛利
「来ないでーーーーー!!!」


俺たちはすぐに耳を塞ぐ。
香飛利の『騒ぐ』が発動したのだ。
アレが始まるとしばらくは声も届かなくなるからな…

香飛利の声から発せられる衝撃波は黒玉を全て吹き飛ばした。
そしてそれは地上付近にいる黒女にまで及び、黒女は体をくねらせて苦しんでいる。


香飛利
「ワーーーーーーッ!!」


香飛利は叫び続ける。
黒女は業を煮やしたのか、その場から動き始める。
だが距離を離した所で、この限られた空間では射程外に逃げる事は出来ない。
音波技はこういう時こそ力を発揮するからな。
だが、黒女は忽然とその場から姿を消した。
俺は目をパチクリさせて見るが、本当に見えない。
いつの間にか、黒女は姿を消してしまったのだ!


香飛利
「はひ〜…」


香飛利はようやく収まるものの、黒女は姿を見せてない。
香飛利はキョロキョロと地上を見渡すが、どこにも敵はいなかった。



「気を付けろ香飛利!! どこか見えない場所に潜んでいるぞ!!」


俺の助言で香飛利はビビクゥ!と体を震わせる。
そしてわたわたと飛び回り、とりあえず的を絞らせない様に動いている様だった。
その次の瞬間、突如影が弾ける。
魔王山の内部は、魔法の様な不思議な灯りが壁の上部に付いているのだが、その灯りは暗く、さほど光量は無い。
だが、それだけにノーマークでもあった。
こんな暗さでも、影は映るのだ。
香飛利の影から弾けたソレは、真っ直ぐに下から香飛利を狙う。
動き回っている香飛利に向かい、正確に。


香飛利
「きゃあぁぁぁっ!!」


香飛利は影の直撃を受け、地上に落ち始める。
香飛利を襲った影は、香飛利に纏わり付いて全身を貪る様に蠢く。
香飛利は苦しみながらも落下中に騒ぎ始めた。


香飛利
「嫌ーーーーーー!!!」


ことさらに大きな声で衝撃波が放たれる。
地上付近で放たれたソレは、俺たちをも吹き飛ばし、香飛利には地上スレスレでブレーキがかかった。
騒ぐの衝撃波で落下スピードを和らげたんだな。
あれだけの衝撃波だ、風圧も相当あるはず。
香飛利に纏わり付いてる影はすぐに吹き飛び、またその場から姿を消した。
香飛利は無駄にそのまま叫び続け、俺たちは端の方で耳を塞いで耐える。
やれやれ…本当に面倒な技だな。


香飛利
「はぁ…はぁ…」


香飛利は叫び疲れてしまっている。
それだけ強力な音波を放っていたからな。
とはいえ、そこにいなければ効果は薄い…か。



(厄介な能力だな…影に潜むとは)


恐らく香飛利の影に隠れて潜んでいるのだ。
そしてそこが安全地帯なのか、奴は騒ぎ終わるまで出て来ない。
おのれ…何てチキンなモンスターなんだ。
しかし、それは同時に香飛利の技が怖いと言っている様なもの。
影から炙り出せる方法があれば良いんだが…


香飛利
「うわ〜ん!!」


香飛利は泣きながら再び上昇する。
天井スレスレまで高度を上げ、香飛利はぼんやり光っている灯りの側まで飛んで行って背中側に灯りを向けた。
瞬間、またしても影が弾ける。
ワンパターンだが、破れなければそれは驚異でしかない。
しかし、香飛利は俺の予想外に成長していた様である。
香飛利は向かって来る影を真っ正面に据え、全身でオーラを纏い思いっきり息を吸い込んで、こう叫んだのだ。


香飛利
「ギャーーーーーーーーー!!!!」


香飛利の声は文字通りの物体と化し、影を完全に吹き飛ばす。
そしてそのままギャーの巨大文字は自身の影を真っ直ぐにぶち抜いた。
影のあった地面は思いっきり爆裂し、岩肌がバラバラに飛び散る。
そして、そこから見覚えのある球体が影から飛び出し、形を保てずにグニャグニャとうねった。
やがて、それは力を失ったかの様に震え始め、数秒後に動きを止めて地面に落ち、そのまま地面に吸い込まれる様に消えてしまう…



「…やったのか?」

ピーチ
「反応はありません…恐らく倒したかと」


とりあえず何とかなったか…やれやれ危なかったな。
香飛利も何だかんだで学習出来てるのかな?
あの一瞬で影から攻撃が来るのを見切っていたとは。



「香飛利、よくやった!」

香飛利
「うう…もう嫌〜」


香飛利は地上に降りると、すぐに俺に抱き着いて泣いてしまう。
やれやれ…実力は付いてるのに、泣き虫は変わらないか。



「しかし、よく影から攻撃が来るのが解ったな?」

香飛利
「何それ〜? 私、解んない〜」


「おいおい…じゃあ何でわざわざ灯りの側で待ち構えたんだよ?」

香飛利
「暗くてよく見えないから、1番明るい所に飛んだの〜」
「そしたら、目の前に近付いて来そうなのがあったから叫んだ…」


…どうやら全部偶然だった様だ。
鳥目だから暗い所は何気に苦手なのか。
おのれ…光の差さぬイワヤマトンネルの中ですら、本家のオニドリルは命中が下がらない目を持っていると言うのに…!


魔王
『さぁ…早くここまで』


「…遊んでやがるのか知らねぇが、面倒な事だな」


魔王の口調は嘲笑っているかの様な感じだった。
こっちの都合はお構い無し、この調子だとまだ何体かああいうのがいそうだな…



「とりあえず香飛利も眠っとけ…喜久乃はまだ寝てるのか?」


「ああ、もう少ししたら起きるだろ」
「香飛利もこっちに来い、寝てる間はアタシが担いでやるから」


それを聞くと、香飛利はパタパタと李さんの側に行き、右肩に担がれてそのまま眠り始めた。
とりあえず、このまま進むしかないか…
俺たちは不安を帯びながらも、先へと進む。
まだ半分位だろうか? 気が遠くなるな…



………………………




「ギアァァッ!!」


「今度は翼竜か? つっても、見た目はハーピー的だが」


そして、今度は色々エロい! 爬虫類の肌だが、肉質と色合いがちゃんと有り、前2体と比べたら生物的で躍動感も有る。
…問題は、頭が完全にプテラノドンみたいなのって所だけだがな!!



「ええい! この山にはマトモな形の女はいないのか!?」


「そう言う問題でもないと思うが…」

夏翔麗愛
「なのです!」


俺の叫びは空しく響いた。
とはいえ、今度は誰がやるよ?
定番のドラゴン、飛行なら李さんが抜群だけど…


唖々帝
「…私がやる、皆は退がってろ」


唖々帝さんがマントを翻し、敵の前に出る。
相手はそれを確認してからすぐに飛ぶ。
かなりの高速で、スピードだけなら香飛利よりも速そうだ。
だが唖々帝さんは全く動じない。
その場で相手の動きをしっかりと見つめ、獲物をロックして離さなかった。
そもそも、唖々帝さんだって浮遊して飛べるんだが、今回はあえて地上で迎え撃つのか?


唖々帝
「面倒だ、『放電』するから伏せてろ」


「あのバカ! こんな障害物の無い場所で放電かよ!?」

夏翔麗愛
「精々上手く避けるのですよ!!」


「無茶を言うな!!」


李さんは担いでいる香飛利を庇って守るを展開。
俺は夏翔麗愛ちゃんに守られ、瞳さんと喜久乃はピーチに守られた。
同時に唖々帝さんは全力で放電する。
その範囲は洞窟全体に及び、このフロアに逃げ場は無かった。
その容赦無い電撃をマトモに浴びたプテラ女は、情けなく地上に落ちる。
そのまま唖々帝さんは右手から強烈な電撃を放ち、追い撃ちをかけて確実に敵を仕留めた。
焼け焦げる様な音と臭いを発し、そのまま敵はあっさりと霧散する。


唖々帝
「…終わりか、呆気なかったな」


「バカ野郎! 守る方の身にもなれ!!」


「問答無用のMAPWで速攻ですか…」

夏翔麗愛
「まぁ、尺の問題も有るのです! さっさと先に進むのですよ!!」


メタな事情だな…とはいえ、やっぱ唖々帝さんはこの中じゃかなり強いよな。
李さんもそうだけど、唖々帝さんはやっぱり実戦で戦っていただけに隙が殆ど無い。
喜久乃や香飛利も実力はあるけど、やっぱ経験の差って大きいんだろうな。



………………………




「…そして、遂にマトモそうな女が出て来た」


の、だが!!
山頂間近と言うかなり後半と思われる、最後っぽい扉の前で現れた女は、事もあろうにほぼ真っ裸だった!!
しかも局部はゲル状の液体を乗せているだけで、ぶっちゃけ透けて見えてる!!
長髪が美しく靡き、優しそうな目でこちらを見ているその女性は、今までの異形女を無かった事に出来る位のインパクトがある。
つーか…


ピーチ
「聖は向こう向いててください!!」


「蕩ける愛ー!?」


俺はピーチに無理矢理首を捻られ、後ろを向かされる。
一瞬首が折れるかと思わんばかりの怪力で俺は意識を失う所だった。
まぁ、こればかりは仕方がない…アレは青少年には有害なのだ!!
つか、何でここに来てフツーの人間っぽい見た目のが出て来るかね!?
しかもあからさまに動きがエロかったし…そう言う目的の魔物とか?
サキュバス的な…その、そっち系の。


ピーチ
「こんなハレンチな魔物、塵ひとつ残さず消滅させます!!」


ちょっ!? 尺の都合とはいえ開幕からZ技ですかい!?
ピーチの放つ異様なオーラは、背中を向けてる俺にすら発動が解る程の気迫だった。
そして次の瞬間にそれは放たれ、一本の光線が敵を貫く。
…いや、今回のは多分貫くと言うのは適切じゃなさそうだな。
俺は恐る恐る振り向くと、目の前には2m程の大穴が空いており、扉ごと消滅させた様だった…



「跡形も無しかよ…」

ピーチ
「やけに残念そうですね?」


俺はビクゥ!と体を震わせる。
ピーチは下手に怒らせるとヤバイのは良く解った。
やれやれ…とりあえずこれが本当に最後臭いな。
ピーチの空けた穴の先には階段があり、山頂まで真っ直ぐ延びている様だ。
ってか、階段は無傷…?


夏翔麗愛
「…バリアみたいな物です?」

ピーチ
「その様です…でも、今ので壊れもしないなんて」


やはり疑問には思っている様だ。
とはいえ、相手は俺たちを異世界に送りホーダイのチート魔王だ。
ビームのひとつやふたつを消し去る事位は出来るんだろ…


唖々帝
「…さて、行くぞ?」


「おい、そろそろ起きろ! もうすぐ山頂だ!」


唖々帝さんは歩き始め、李さんは喜久乃と香飛利を起こす。
するとふたりは自分の足で何とか歩き始め、次第に意識を覚醒させていった。


喜久乃
「…この先に、魔王がいるんですか?」

香飛利
「高い〜」


「気を引き締めろよ? 相手はここまでの奴らとは訳が違うぞ…」


俺の言葉を受け、喜久乃は真剣な顔をする。
香飛利はビクビクしながらも、頑張って耐えている様だった。
そのまま、ふたりは瞳さんや唖々帝さんに着いて行き、ピーチと夏翔麗愛ちゃんも後に続いた。
俺はその後、一番後から皆の背中を追う。
そして、何となく…あの決戦を思い出した。



(長い階段、皆の背中…最後の戦い)


あの時も、俺は皆を信じて見守った。
今度も、そうなるだろう…俺は直接戦う事は出来ないんだから。
だけど、俺は最後にやる事がある…
全てを救う…約束は、必ず守る。
長い、長い階段を俺たちは上り、やがて外の光が差し込む山頂へと俺たちは躍り出た。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第8話 『ラストダンジョン』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 12:14 )