とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第5章 『POKE MOA EVIL』
最終編 第6話

(近くにいるのは良いが、ある法則か…)


俺たちは我武者羅に森を探索するが、一向に洞窟は見付からない。
どこも同じ様な風景ばかりで、げんなりしてくる…
既にあれから1時間が経過しており、残り時間は11時間となった。
俺たちは一旦集まり、対策を考える事にする。



「…何か解るか?」

ピーチ
「法則と言われても、何がトリガーになっているのか…」

夏翔麗愛
「この手のRPGなら、決められたルートを通って行くのが基本なのです」


成る程、あえてゲーム的な解釈で考えてみるか。
それなら、確かに決められたルートってのは重要だ。
テキトーに進んでも絶対に見付からない。
とりあえず、色々周りを見ながら進んでみるか…



「聖様、ここは二手に別れませんか?」
「全員が一丸となって行くのは、安全ではありますが効率的ではありません」
「時間が決まっている以上、この際戦力を割いてでも別れる意味はあると思います」


俺は瞳さんの意見を聞いて納得する。
確かに、このまま全員で固まっていても時間がかかるだけだ。
幸い今は雑魚の出現率が低いし、その方が確実かもしれない。



「よし、ならそうしよう…で、どう別れる?」


「戦力バランスは考えた方が良いよな…」

夏翔麗愛
「ボスに任せるのです、ここは見事な采配を期待するのです!」

香飛利
「う〜怖いけど、我慢する〜」


とりあえず、皆俺の一存で問題は無さそうだ。
となると、俺なりにバランスを考えてみるか…



(まずは戦闘バランス…近距離が得意な娘は)


瞳さんと李さんだな…このふたりはバラけさせるのがまず基本となるだろう。
互いに前衛としては申し分無しだし、実力も相当ある。



(次に遠距離が得意な娘は…)


香飛利とピーチだな。このふたりもバラけさせるべきだろう。
香飛利にはまだ不安はあるが、それでも皆の為ならやれるはずだ。



(最後は万能型の夏翔麗愛ちゃんか)


ぶっちゃけ、伝説のポケモンと言うだけあり、まさしく万能型。
近距離も遠距離もそつなくこなし、戦闘外でもサポートは万全。
基本的にどちらに入れても問題は無いが…



(今回はあくまで探索…そうなると、頭の回転も考えて組んだ方が良いな)


俺はそこまで踏まえてパーティを決める。
とりあえず、二手に別れるなら…



「俺のチームは瞳さんとピーチだ、残りの3人は夏翔麗愛ちゃんにリーダーを任せる!」

夏翔麗愛
「了解なのです! どんと任せてなのです♪」


夏翔麗愛ちゃんは胸をポンと叩いて自信満々に引き受けてくれる。
李さんと香飛利は頭の方が全くダメだろうから、夏翔麗愛ちゃんの超能力は便りになるはずだ。
逆にこっちは、戦力が弱まる分自信のあるふたりにしたつもりだ。
瞳さんは間違いなく頼れるタイプだし、ピーチは頭も回る。
逆にピーチはまだ俺以外の面子にはあまり信用されてない可能性があるし、俺の側に置いた方が良いと判断した。
瞳さんは人付き合いも良いし、ピーチとは仲良くやれるだろう。



「よし、じゃあ散開するぞ!? もし洞窟を見付けたら迷わずに入れ!」
「あくまで唖々帝さんの救出が最優先だ!!」


夏翔麗愛
「了解なのです! ふたりとも行くのです!!」


「おおよ! 前衛は任せとけ!!」

香飛利
「怖いけど頑張る〜!」


夏翔麗愛ちゃんたちは俺たちとは反対の方向に移動して行く。
それを見て、俺は周りをグルッと確認した。



「ピーチ、何か気になる点はあるか?」

ピーチ
「そうですね…少なくとも、この場所の座標は入り口付近だと思われます」


「入り口? もう1時間も探索しているのに?」


俺はやはり…と考える。
夏翔麗愛ちゃんが言った様に、この森は決められたルートを進まないと、スタートに戻される仕組みなのかもしれない。
それなら、ピーチの能力は役に立つ。
間違った道を進んだら、すぐに座標を調べれば良いんだ。



「ピーチ、常に座標位置を参照しておいてくれ、もしこの近くに戻る様なら、そのルートは多分間違いだ」

ピーチ
「…成る程、初めからそうすれば良かったですね」


「でも、合っているかは解りません、あくまで可能性の話ですので」


そう、これはあくまで予想だ。
本当にそうなら、確かに初めからこの作戦で安定なんだが…
実際には手探りで法則を探しているに過ぎない。
ましてや、洞窟までどれ程の距離があるか解らない…最悪辿り着けてもギリギリの時間になる可能性はある。



「よし、行くぞ! ピーチ、進んだルートは記録しておいてくれ!」

ピーチ
「はい! 任せてください!!」


「前衛はお任せを! 聖様には傷ひとつ付けさせません!!」


俺たちはとりあえずテキトーに進んで行く。
そしてピーチからの反応を待ち、少しづつルートを絞る方針で進む事にした。



………………………




「…どうだ?」

ピーチ
「…ダメですね、またスタート地点に戻りました」


「やはり、一筋縄では行きませんね…」


俺たちはあれから2時間は試し続けていた。
疲労もバカにならず、雑魚との戦闘までこなしていては、流石に時間がかかりすぎる。
とはいえ、ちゃんと進んでいるのは確かな様で、確実に洞窟には近付いている様だった。


ピーチ
「ルートを再更新…これで12回目ですね」


「残り9時間…急がないと!」


「夏翔麗愛ちゃんとは、出会わないんだな?」


俺はふと疑問に思う。
夏翔麗愛ちゃんも同じ法則に従っているなら、スタート地点で出会いそうなものだが…未だに出会う事が無い。
まさか、夏翔麗愛ちゃんたちは既に洞窟に辿り着いているのだろうか?


ピーチ
「生体スキャンには反応無し…少なくとも100m以内にはいないと思われます」


「…本当に先に見付けてしまったのか?」


「だとしても、私たちも先に進んだ方が良いでしょう」
「戦力を割いている以上、出来るなら洞窟で合流した方が良いのですから」


確かにその通りだな。
今は確実に洞窟を目指す方が良い。
夏翔麗愛ちゃんたちと合流出来るなら、それに越した事は無いからな。



………………………



そして、それから更に1時間…俺たちは遂に鐘の洞窟に辿り着いた。



「やったぞ…! これに間違いないはずだ!!」

ピーチ
「外からは生体反応無し…やはりセンサーが全て役に立たない様ですね」


中に入れば逆に解るのだろうか?
とはいえ、迷う時間は無い。
後8時間! その前に唖々帝さんを見付けないと!!
俺たちはすぐに洞窟に入って行く。
すると、途端に大きな鐘の音が鳴り響いた。
ゴーーーーンッ!!と腹に響く重低音で、洞窟の隅から隅まで届いているかの様な音だった。
まさに、これが鐘の洞窟と言われる所以か?


ピーチ
「…生体センサーに反応無し、近くにはいませんね」


「ですが、敵の気配も全く感じません…ここにはモンスターはいないみたいです」


俺は考えるも、すぐに走り出す。
敵がいないなら好都合だ、この洞窟は相当入り組んでいるが、ピーチのナビがあればいずれ見付かるはず。
とにかく、我武者羅にでも今はしらみ潰しで探すしかない!



「ピーチ、マッピングは任せた! この際全ての道を進むぞ!?」

ピーチ
「はい! ルート記憶、マッピング開始します!!」


「唖々帝さん、一体何処に?」


俺たちはとにかくしらみ潰しに調べる。
洞窟内の有りとあらゆるルートを探し尽くし、俺たちは徐々に徐々にと全マップを網羅し始めていた。


ピーチ
「…生体反応キャッチ! 姿形予測…クワガノンと判断!」


「ビンゴだ! 遂に見付けたぜ!!」


あれから更に2時間、俺たちは敵と出会う事も無く、遂に唖々帝さんを発見した。
ピーチのナビに従い、最短ルートを辿る。
そして、洞窟の行き止まりで俺は唖々帝さんの背中を見たのだった…



「唖々帝さん!!」

唖々帝
「!? さ、聖…!?」
「まさか、本当に聖なのか!?」


俺は唖々帝さんの姿を見て安心する。
前と変わらぬガンマンスタイルで、唖々帝さんは驚いていた。
時間は後6時間…思ったより余裕だったな。
帰りは最短ルート通れば1時間もかからないだろう…


ゴーーーーンッ!!


唖々帝
「鐘の音…7回目か」


「この鐘、何か定期的に鳴るんですか?」


俺は気になったので聞いてみた。
最初に入った時も聞いたが、一体何の意味があるんだ?


唖々帝
「ああ…良く解らないが、何かの時間でも示しているのかもしれないな」

ピーチ
「…嘘、そんな」


「ピーチさん? 顔を蒼くしてますが、何か?」


突然、ピーチは顔面蒼白になり、震え出した。
俺は何事かと思いピーチに近付くと、ピーチは信じられないと言った顔でこう言った。


ピーチ
「この洞窟は…恐らく時間が加速しています! 今の鐘は、12時間目の物と思われます!!」


「…な、んだと?」


「!? 灯りが…消える?」

唖々帝
「何だ!? 何かが近付いて来る!」


突然、俺たちの周囲は完全に闇となる。
そして、そんな隣の顔すら見えない闇の中で、俺たちを取り囲む4つの目が光っていた。


ピーチ
「敵性反応! 鉱物系の体組織と予測! 敵数4、来ます!!」


「聖様を守ります! 皆、聖様を背に三方から構えて!!」

唖々帝
「了解だ! 聖には指1本触れさせん!!」

ピーチ
「明かりを点灯させます! 『フラッシュ』!!」


ピーチは全身から光を放ち、周りを照らす。
かなりの光量で目がやられそうになり、俺は思わずこう叫ぶ。



「ポケモンフラッシュ!!」

ピーチ
「あれポリゴンは悪くないですからね!? 悪いの絶対にピカチュウですから!!」


おっと、どうやらピーチの遺伝子にも、あの忌まわしい記憶は継承されているらしい。
色んな意味で守連には会わせられんな…
とはいえ、これで敵は見える! 見た目はひとつ目の岩クリーチャー!
何か触手みたいな2本の腕が怪しく揺らめいている。
敵は浮遊しており、それぞれ4方向から俺たちを狙っている様だった。


唖々帝
「くたばれひとつ目野郎!!」


唖々帝さんはまず『電磁砲』で正面の敵を狙う。
だが、敵は砲弾よりも速く動き、あっさりと上昇して回避してしまった。


唖々帝
「速い!?」

ピーチ
「やはり、この洞窟の時間加速は敵にも効果があります!!」
「恐らく、通常の3倍以上は加速していると予想!!」


「まさか、赤い彗星…!?」


まぁ、赤くないんだがな!
相手はむしろ茶色で、目と触手は青かった。
しかし、時間加速かよ…! これはかなりヤバイんじゃないのか!?


ひとつ目B
「ギギギ!」


「はっ!」


背後のひとつ目が俺に向かって触手を伸ばす。
瞳さんはそれを瞬時に察し、左手で触手を掴んで軽く捻った。
すると、ひとつ目の触手は軽く千切れ、ひとつ目は悲鳴をあげて苦しんだ。



「いかに時間加速を用いていても、見切れない速度で無いのなら関係はありませんね!」


流石は瞳さん…あの速度でも、瞳さんにとっては捉えられる速度だって事か。


ピーチ
「敵の防御力は低い様です! ここは命中重視の技で殲滅しましょう!!」

唖々帝
「ならこれでどうだ!?」


唖々帝さんは両手を前にかざし、前方に『10万ボルト』を放つ。
唖々帝さんのそれはまさに電光…凄まじい速度で放たれた電撃はひとつ目を2体巻き込み、2体共黒こげになって地面に落ちた。


ひとつ目D
「ギギギーーー!!」

ピーチ
「きゃああっ!!」


突然、ダメージの無かったひとつ目が目からビームを放つ。
それはとても見てかわせる物では無く、ピーチは横腹を貫かれ、肉を抉られる。
傷からは焼け焦げた臭いがし、ピーチは悲鳴をあげて座り込んだ。



「ピーチィ!?」

ピーチ
「大丈夫です!! 『自己再生』開始…この程度の傷なんて!!」


ピーチは即座に傷を修復してみせる。
三海の様に細胞が急速に増えて再生するわけではなく、ホログラフみたいなエフェクトが出て、瞬時に傷を作り替えたみたいだ。
スゲェ! 三海も相当スゴかったが、ピーチもやっぱ再生力はあるんだな…



「残り2匹! 遠距離攻撃があるなら接近します! ピーチさん、聖様をお願いします!!」

ピーチ
「は、はいっ! 聖は私の後に! 唖々帝さんは反対を!!」

唖々帝
「よし、任せろ!  無傷の奴は私が一撃で仕留める!!」


そう言って唖々帝さんは俺の前に立ち、無傷のひとつ目に狙いを定める。
唖々帝さんは全身からオーラを放ち、両手を前にかざして腹から電気を集めていた。
これは、あの時のレールガン!? でも、この技は命中が安定しないんじゃ…?
俺は一瞬躊躇ったが、すぐに唖々帝さんの背中に抱き着き、唖々帝さんの反動を受け止める体勢に入る。
唖々帝さんは一瞬ビクッと体を震わせたが、それでも敵の姿を目で捉えて離さなかった。
敵は高速で動き回り、狙いをつけさせまいと必至だった。
流石にこの速度を捉えるのは無茶だ。
だけど、唖々帝さんは顔を曇らせる事すら無く、冷静に相手の動きを見ていた。



「唖々帝さん、当てられるんですかアレに!?」

唖々帝
「聖が信じてくれるなら…私は絶対に外さない!」


俺は背中越しに唖々帝さんの信頼を受け取る。
俺は更に力を込め、唖々帝さんの反動を何としても止めるつもりだった。
唖々帝さんはそんな状態で電気を溜め終わる。
後は射出するだけだが、敵はまだ動いている。
唖々帝さんは隙を伺っている…敵はやがて焦れて来たのか、遂に目からビームを放った。
唖々帝さんはその瞬間を待っていた。
敵がビームを撃つ瞬間、動きは止まるのだ。
だが敵のビームはあまりに速く、唖々帝さんは胸を焼かれてしまう。
唖々帝さんは痛みに耐え、それでもその好機を逃しはしなかった。


唖々帝
「1発は1発だ…! 『ライトニング ショック レールガン』!!」


唖々帝さんの口から電気の塊が射出される。
それは電気と磁力で作られたレールの上を走り、一瞬でビームを貫いてひとつ目の目も貫く。
その速度はまさに光速…ひとつ目はバチバチと目から電気を放ち、次の瞬間大爆発。
ビームと反応したのか、粉々に吹っ飛んでしまった。
俺は全力でその反動を受け止め、数p退がるもののちゃんと唖々帝さんを支えてみせた。
唖々帝さんは背中越しにニヤリと笑う。
俺も、同じ様に笑った。
さぁ、後は1匹だ!!



(手負いとはいえ、油断は出来ません)
(あれ程の速度で飛び回られては、生半可な反応では上回られてしまう)


俺は唖々帝さんから離れ、後ろを振り向くと瞳さんがひとつ目を追っていた。
かなりの速度で動き回り、互いに目で捉えるのは困難な速度で相対している。
しかし、やはり瞳さんは地上を走るのがメイン。
空を自由に飛ぶひとつ目を捉えるのは難しい様だ。
ひとつ目は瞳さんから必至に離れ、攻撃の隙を伺う。
瞳さんも足は止めず、狙いを定めさせずに地上を高速で走っていた。



「改めてマッスグマになった瞳さんって速ぇ…!」
「マッスグマって種族的に曲がるのは苦手って聞いてたけど…」


瞳さんは苦手なりに直線の動きだけで縦横無尽に駆け回っていた。
壁まで走り、そこで壁を蹴って方向を変える。
この繰り返しだけで、瞳さんは目にも止まらぬ速度で動いているのだ。
この動きにひとつ目は次第に追い詰められていく。
ひとつ目はやがて触手を振り回し、瞳さんの動きを止めようとする。
だが、それを待っていたと言わんばかりの瞳さんはまたも触手を引き千切る。
ひとつ目は再び悲鳴をあげ、動きを止めてしまった。
その瞬間、瞳さんはジャンプし、一瞬でひとつ目の頭上を取る。
そして、前方に回転して踵落としをひとつ目の目に叩き付けた。
その一撃でひとつ目の目は砕け、体の破片を撒き散らして地面に落ちる。
瞳さんは華麗に着地し、構えを取って息を整える。
これで、全滅! やったぞ…俺たちの勝ちだ!!


ピーチ
「敵、沈黙! 私たちの勝利です♪」

唖々帝
「やれやれ…無傷とはさすがにいかなかったか」


唖々帝さんは焼かれた胸を撫でる。
焼け焦がれた胸は服が無くなっており、唖々帝さんのおっぱいが丸見えになっていた…
ぬぅ…!? 初めて見てしまったが、やはり大きいな。
恐らく86はありそうだ…綺麗だと素直に感じる形だな。


ピーチ
「聖…エッチです」


「い、いや違う! 違わないけど違う!!」
「これは不可抗力だ!! 男はおっぱいには勝てんのだ!!」


我ながら無理のある言い訳だと思う。
唖々帝さんは特に気にした風も無く?を浮かべていた。
ピーチは露骨に軽蔑の眼を向け、素直な反応を返してくれていた…
そうだよな…フツーはこう言う目で見られるよな。



「…とにかく、ここを出ましょう」
「気が付けば明かりもまた点いていますし、今の内ならすぐに戻れるはず」

ピーチ
「そうですね、ルートは私がナビしますので瞳さんは先行を!」


瞳さんは頷き、先頭を走って俺たちはそれに付いて行く。
ピーチのナビのお陰で、30分かからずに俺たちは外に出る事が出来た。



………………………




「…特に、追っ手は無かったな」


「あの4匹だけだったのかもしれませんね」
「確かに、もしひとりで出会っていたら、命は間違いなく無かったでしょう」

唖々帝
「…まさか、安全と思ってたらあんな罠があったとはな」

ピーチ
「とにかく、見付かって良かったです♪」


本当に良かった…唖々帝さんひとりだけ行方不明だったからな。
どうやら本当に偶然迷い混んだみたいだし、運が良いのか悪いのか…
とりあえず、これで後は喜久乃だけ…場所は判明してるし、まずは夏翔麗愛ちゃんたちと合流したいが。



「ピーチ、夏翔麗愛ちゃんたちは見付かるか?」

ピーチ
「ここからじゃ探知出来ませんね…一体どこにいるのでしょうか?」


「心配ですね…まさか森を彷徨っているのでしょうか?」

唖々帝
「夏翔麗愛も来ているのか…他にもまさか?」


俺は頷き、とりあえず歩きながらここまでの経緯を唖々帝さんに説明する。
唖々帝さんは無言でそれを聞き、険しい表情をした。


唖々帝
「…つまり、聖はその魔王とやらを救いたいって訳か」

ピーチ
「そんな事を考えていたんですか?」


「流石は聖様…でしたら私は聖様の為に全力で戦います」


それぞれが、それぞれの反応を見せる。
ピーチだけは流石に呆れていたが、概ね唖々帝さんも瞳さんも反論はしなかった。
俺たちはそのまま、会話しながら森を出る。
ここまでで、遂に夏翔麗愛ちゃんたちと合流する事は無かった。



………………………




「おい、冗談だろ?」

ピーチ
「…出る時はあっさり出られるのに、ここまで会う事も無いなんて」


「夏翔麗愛様のエモーショナルサーチなら、こちらの居場所はすぐに解ると思うのですが…」

唖々帝
「…だったら、どこか別の所に迷い混んだのか」
「まさか、入れ違いで洞窟に入ったか?」


可能性はあるか…とはいえ、そうなると夏翔麗愛ちゃんたちが心配だな。
戻るのは簡単だが、どうする?



(くそ…まさか二手に別れた事で、こんな事態になるなんて)

ピーチ
「…聖、遠回りになりますが、1度あの魚の魔物に頼んでみては?」


そうか…確かにあの鯉なら場所は解るかもしれない。
だが、それならそれで先にやるべき事もある。
俺はとりあえず決断し、まずは魔王山の麓へと向かう事にした。



………………………




「ピーチ…」

ピーチ
「サーチ完了、あの木の枝に隠れていますね」


俺たちはとりあえず喜久乃を回収する事にした。
いつからここにいたのかは知らないが、ある意味好都合だ。
俺は近くに看板があるのを見付け、何となくそれを見てみた。


『この先、魔王山…決して近付くなかれ』


意味深な看板だな…この世界の人間はよっぽど魔物が嫌いだったんだろう。
俺はため息をひとつ吐き、そして上を見上げる。
その後、大声で俺はこう叫んだ。



「喜久乃ーーー!! 隠れてないで出て来い!!」


瞬間、シュタッ!っと着地音がし、俺たちの目の前には忍び装束姿の喜久乃がいた。
喜久乃は眼を潤ませ、体を震わせてこう叫ぶ。


喜久乃
「聖さーーーん!! やっと見付けてくれました〜!!」


俺は抱き着いて来る喜久乃を受け止め、頭を撫でてやった。
やれやれ…喜久乃の事だから、ずっと探してくれるのを待ってたんだろうな。
マッギョらしいって言うか…まぁ忍んでいたのは良い事だ。
とりあえず傷も無いみたいだし、無事で何より。
さて、次は夏翔麗愛ちゃんたちを探さないとな…!


喜久乃
「…何か、見慣れない顔もいますけど?」

ピーチ
「あ、初めまして…ポリゴン2のピーチと言います♪」

喜久乃
「ぶってんじゃねーよ…何ですかこの人? 騰湖さん以上に信用ならないんですけど?」


ヒデェ…ってか、騰湖はそんなに信頼されてないのか。
まぁ、アレ以上の扱いのピーチは察しろと言うレベルだな。


ピーチ
「酷い…普通に挨拶しただけなのに」


「喜久乃、初対面の相手にその態度は何だ!」


俺はゴツンと喜久乃に拳骨を見舞う。
喜久乃は頭を抱えて痛がるが、俺も静電気で痛い…コノヤロウ!
喜久乃は涙ぐみながらもピーチを睨み、仕方無さそうに挨拶する。


喜久乃
「ふん…マッギョの喜久乃です」
「精々、聖さんに迷惑かけない様にしてくださいね?」


喜久乃はプイ、と顔を背けそれだけ言ってブーたれていた。
やれやれ…喜久乃ももう少し口が良ければな。
さて、そろそろ行くか…



「喜久乃、とりあえず付いて来い。まずは夏翔麗愛ちゃんたちを探す」

喜久乃
「夏翔麗愛たちも来ているんですね…という事は他の皆も?」


俺は頷き、とりあえず歩きながら話す事にする。
喜久乃は割と真面目に聞いており、これまでの情報を統合して自分なりに考えている様だった。



………………………



喜久乃
「…つまり、その魔王を救えばこの混沌も終わると言う事ですね?」


「ああ、間違いないと思う」


恐らく、ここまでの一連の流れを作っていたのは魔王だろう。
フーパの死に怒り、憎しみを増大させている。
だが、それでも…


喜久乃
「…何で私たちを巻き込んだんですかね?」
「夢見の雫が目的なら、聖さんだけを狙えば済む事なのに…」


そう、俺もそれが気になっていた。
何故魔王は家族を巻き込んだんだ?
フーパのコピーは何かを知っていたみたいだが、あくまでアイツはこの世界をゲームだと例えていた。
ゲームだから、俺はクリアアイテムとなり、皆を成長させた。
だが、フツーに考えたらそんな事に意味は無い。
俺には、そこが何も解らなかった。



「別に、良いのではありませんか?」

ピーチ
「瞳さん…でも、気になりませんか?」


「いえ、良いのです…聖様は、聖様なのですから」


俺は、それを聞いて吹き出してしまった。
そうだよな…考えて解らないなら、とりあえず会って救えば良い。
それこそが、俺だもんな…
俺は、改めて難しく考えるのは止めた。
とりあえず、後少し…俺は、この際迷わずに家族と突き進む!










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第6話 『集う家族』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 07:46 )