とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第5章 『POKE MOA EVIL』
最終編 第4話

「やれやれ、とりあえず食事にありつけたな…」

ピーチ
「はい、これで体力も回復出来ますね♪」


俺たちは夜、ジャングルの中で火を起こし、夜食を食っていた。
その辺の獣とか蛇とかを焼いており、とりあえず食えるという事も判明。
味も特に問題無い、量も十分だろう。


香飛利
「はぐはぐはぐっ!!」


「はははっ、香飛利は相変わらず良く食うな〜♪」

夏翔麗愛
「調味料が無いのは残念ですけど、とりあえず食べられるだけでも御の字なのです!」


皆、味には文句無い様だった。
ピーチもフツーに肉食べてるし、やっぱ人工って言っても新陳代謝は人間と変わらないんだな…


ピーチ
「…うーん、独特の臭みがありますけど、食感は悪くなく栄養も必要分摂取可能」
「蛇って意外に食べやすい食材ですね…」


ピーチは木の枝に刺さった蛇肉を食べて考察していた。
やれやれ…とりあえず今日1日はこれで終わりだな。
夜に襲われる可能性はあるが、夏翔麗愛ちゃんが自動迎撃システムを張ってくれるからとりあえずは安心か。
気温はそんなに冷え込むわけでもないし、布団は無くても何とか寝れそうだ…

俺はそんな事を考えながらも食事を終える。
とりあえず腹一杯になれただけでも僥倖だ。
これで拠点をここに作れば、何とか飢えは凌げるだろう。



………………………




「やれやれ、とりあえずお休み…」

夏翔麗愛
「私は当然ボスに抱き着いて寝るのです!」

香飛利
「うー! 私も〜!!」


夏翔麗愛ちゃんと香飛利はふたりして抱き着いて来る。
まぁ、寄り添った方が温かいし、別に良いか…


ピーチ
「…エッチな事は控えてくださいよ?」


「しないからっ! 俺は不沈艦だぞ!?」


「とりあえず寝る…お休み〜」


李さんはすぐに寝息をたてて眠り始めた。
ピーチも軽蔑の眼差しを向けてすぐに横になる。
俺はため息を吐き、とりあえず大の字になって横になった。
夏翔麗愛とゃんと香飛利は俺に寄り添い、そのまま無邪気に眠ってしまう。
やれやれ…何だで、皆疲れてたんだろうな。
早く、他の家族も見付けてやらないと……



………………………




(何だ…これ? 夢…か?)


俺は、何故か見た事の無い風景を目にする。
思考は曖昧で、酷く虚ろだ…一体、俺は何を見ている?



『もうダメだ…お前は逃げろ!』


『ダメよ! 逃げてももうどうにもならない!!』
『私たち…ここで、死ぬの?』


『そんな事はさせない! アタシがお前だけは逃がす!!』
『リングを失った今、もうアタシの力は使えないけど、それでも……!!』


何かの会話が聞こえた。
だが、誰なのかは全く解らない。
どこかで聞いた事があるかの様な感じだが、肝心の名前を呼ぶ所だけが都合良く聞こえなかった。
ただ、ぼんやりと見えたのは…ふたりの少女。
そして、そのふたりを襲う…大量の兵隊。



………………………




「!?」


俺は、突如として目を覚ます。
そして、異常にすぐに気が付いた。
俺たちは、見た事の無い空間にいる!
いや、まるで地下の世界みたいだ。
明かりはちゃんとあり、ランプが点灯してる。
だが人の気配は全く無く、俺は家族の存在だけを確認してホッとする。
皆、はぐれてはいないらしい…とはいえ、何で目が覚めたらダンジョンにいるんだよ!


夏翔麗愛
「ん〜? 朝〜?」

香飛利
「まだ暗い〜?」


「あん? 何だこりゃ…?」

ピーチ
「!? 謎の空間に迷い込んでる…? ここは、一体…!?」


皆目覚め、とりあえずは驚いていた。
かくいう俺も戸惑っている…こんな訳解らん状況、どうすりゃ良いのか。


夏翔麗愛
「何…このフィーリングパターン? ここには、何があるの?」


突然、夏翔麗愛ちゃんが虚ろな表情で浮遊する。
そして勝手に前に進み出し、俺たちは慌ててその後を追った。
ここは想像通りの地下迷宮みたく、夏翔麗愛ちゃんはただひたすらに通路を進んで行く。
その道中、俺たちはある物を見る事になった…


兵士A
『やはり、手を出すべきじゃなかったんだ!!』

兵士B
『我々は、神の怒りに触れた!!』

兵士C
『世界は終わりだ…もはや、魔王の手によって永遠の死が訪れる!!』


それは怨嗟の声だった。
まるで幽霊の様な透き通った体で、中世風の鎧を見に纏った兵士たちは、口々に後悔の念を発している。
進めば進む程その声は増え続け、中には一般人と思われる人間も多数いた。
まさか…これはこの世界の住民たち?


夏翔麗愛
「…こんな、こんな負だけの感情が、どうして?」


夏翔麗愛ちゃんは泣いていた。
ここに漂う怨念は、夏翔麗愛ちゃんに全て受け止められている様だった。
俺たちは誰ひとり声を発する事も出来ず、ひたすらに迷宮を進んで行く。



………………………



王様
『何という事だ…まさか、こんな結果になろうとは』

王妃
『神よ…お許しを!』



(王族…か、あの城の関係者だろうな)


やはり、あの城の人間は生きてはいないのだ。
恐らく、ここにいるのは全て幽霊…それも成仏する事すら許されず、永遠にここに縛られているのだろう。
だが、原因は何だと言うんだ?
神とか魔王とかのワードは出ていたが、一体何が原因で?


夏翔麗愛
「…貴女は?」

少女
『頼む…』


俺たちは最後のフロアにいた。
そして、そこには一際豪華な祭壇に祭られている、ひとりの少女の霊がいた。
俺はその姿を見て、すぐに叫ぶ。



「フーパ!?」

夏翔麗愛
「フー…パ?」

フーパ
『誰か…アイツを……止めてくれ』


フーパの霊は、虚ろな表情でそう告げる。
俺は思わず手を差し出すが、すぐにフーパの霊は消えてしまった。
俺の手は虚空を切り、何も掴めない。
俺は歯軋りし、拳を強く握る。
フーパは、まさかこの世界で死んだのか…!?
そして、フーパが助けたいと思った誰かは、恐らくこの世界を滅ぼしたんだ…



(そういう事だったのかよ…! フーパは、だから俺を頼ったんだな)


俺は遂に確信を見付けた。
フーパはこの世界で死に、フーパの大事な誰かはこの世界を滅ぼした。
だけど、フーパはそれを望んでいなかったんだ…本当は、憎しみなんて抱いてほしくなかったんだ!
でも、ソイツは滅ぼしてしまった…憎しみに囚われて。



(だけど、ラスボスはそれで何故俺たちを巻き込んだ?)


肝心要の理由がやはり判明しない。
この世界を滅ぼして終わりじゃなかったのか?
そこに、俺たちと何の接点がある?



(…まさか、夢見の雫を狙っているのか!?)


考えれば可能性は高い。
ラスボスは恐らく、フーパの大事な誰か。
ソイツはまさか、俺の雫を使ってフーパを甦らせようとか、そんな事を考えているのかも…



(だとしたら、絶対に負けるわけにはいかない!)


憎しみに支配された者が雫を使えば、世界ごと消えるだろう。
ましてや、その反動でまたアルセウスさんが暴走する可能性もある。
夢見の雫ははっきり言って制御不能の核爆弾みたいな物だ…正しい心で使ったとしても、必ず濁る。
そして、その願いが複雑であればある程、濁りは加速される。
死んだフーパを生き返らせる…そんな事象変更クラスの願いを叶えれば、間違いなく暴走するだろう。


夏翔麗愛
「…あ」


夏翔麗愛ちゃんが何かを呟いた。
次の瞬間、俺たちは真っ暗な暗闇の世界に立っている。
何事かと周りを見ても、俺たちの姿以外に光は無い。
ここは、どこなんだ!?



『初めまして…魔更 聖』


「!?」


突然後から声をかけられ、俺たちは全員が戦慄する。
その重圧は正直フツーではなく、俺たちは全員凍り付いた様に動きを止められる。
俺たちは振り向く事すら出来ず、ただこの異様な重圧に耐えていた。


ピーチ
(スキャン不能!? 背後に存在する敵は、有りとあらゆる検索結果に引っ掛からない!)


(チクショウ! 何か妙な力で支配されてる! 指1本動かせねぇ…!!)

香飛利
(怖いよ〜!! でも体が動かない〜!?)

夏翔麗愛
(凄まじい念動力なのです!! この力、私の力よりも上なのです!!)


『魔更 聖…貴方の力を頂くわ』


(ざけんなっ!! そんなモン、俺が許すか!!)


俺は、夢見の雫に願う。
今、ここから全員元の場所に戻す!
この状態で戦うのは無謀だ! 家族が揃わない今はまだラスボスに挑むべきではない!!
夢見の雫は直ちに願いを聞き入れ、俺たちを転移させる。
濁りは気になるが、全滅するよりかはマシだ!!



『…逃げられないわよ』
『この…私の世界からは』



………………………




「はっ!?」

夏翔麗愛
「また暗闇なのです!?」

ピーチ
「ですが、座標は判明! ここは、ジャングルから北東の山です!!」


何だと…!? 俺はリスク承知で場所を指定したはずなのに。
夢見の雫が、力のコントロールを間違えたのか!?


香飛利
「と、とにかく逃げよーーー!!」


「あ、待て香飛利!!」


香飛利はさっさと飛び去ってしまう。
方角も解らないのにあのバカは!!
俺たちはすぐに香飛利を追いかけ、走り出す。
とはいえ、この面子で香飛利の速度に追い付ける奴はいない!!
俺はとりあえず夢見の雫の状態を確認する事にした。



(濁りは進行してる…! やっぱり願いは叶っているんだ!)


なのに、全く違う場所に転移した。
いや、この場合は俺の指定ミスかもしれない。
元の場所とは言ったものの、ジャングルとは指定していないのだ。
咄嗟の事でイメージが先行しすぎていたのかもしれない。
雫は正しく、元の場所に戻したのだ。
そこは、つまりここ…俺たちは寝ている間に転移させられていたのだろう。
ある意味、既に罠にかかっていたのだ!!


チリン…チリンッ!


鈴の音が、突然鳴り響く。
俺たちは?を浮かべるも、先行していた香飛利が急ブレーキし、こちらに戻って来た。
何事かと先を見るが、そこには鈴の音を鳴り響かせ、まるで死神を思わせる赤いボロ布を身に纏い、逆十字が彩られた兜を被っている何者かが迫っていた。
ゆっくりとした速度だが、右手には巨大な大剣を持っている。
足は無く、浮遊しているのが不気味すぎる…!
間違いなく、あれは刺客だ!!


ピーチ
「スキャンクリア! 物質系と推測!! 構成は鉄と骨の体組織!」
「外殻はかなりの硬度と予想されます、皆さん気を付けて!!」


それを聞いて俺たちは構える。
李さんは正面から踏み込み、敵を迎え撃った。



「来やがれ! まずはデカイの一発叩き込んでやる!!」


李さんは集中力を高め、『気合パンチ』の体勢に入る。
敵はゆらりと浮遊し、考えも読めない。
射程に入ったと同時、李さんは全力で拳を振り抜いた。
が…そこに敵はいなかった。



「!?」

ピーチ
「李さん、後です!!」


拳を振り抜いた李さんは完全に無防備だった。
敵は李さんの背後にいつの間にかおり、剣を振り上げている。
間違いなく食らったら致命傷だ! 李さんは、かわせない!!


夏翔麗愛
「させないのです!!」


夏翔麗愛ちゃんは、すかさずサイコキネシスで敵の動きを止める。
夏翔麗愛ちゃんは苦い顔をした…恐らく、本当は吹き飛ばすつもりだったのだ。
なのに、動きが止まっただけで、全く動じていない!
あの野郎、かなりの防御力だぞ!?



「くそったれがぁ!!」


李さんはその場で守るを発動し、剣を防ぐ。
だが、敵は弾かれる事すらなく、振り下ろした剣をそのままフィールドに斬りつけ続けていた。
このままじゃ、守るが解けた途端にやられる!?


香飛利
「うわーーーん!! とりあえず止めてーーー!!」


香飛利は上空から熱風を放つ。
かなりの高温が発生するが、敵はそれでも怯まない。
どうすりゃ良い!? あんな化け物、どう倒す!?


ピーチ
「『冷凍ビーム』発射!!」


ピーチは右手から冷凍ビームを放った。
それは一直線に敵の右手に直撃し、剣ごと凍らせる。
敵は腕を封じられ、その場で一瞬止まった。
李さんはその間に距離を離し、射程から逃れる。
瞬間、敵は凍り付いた腕を無理矢理動かして剣を振り回した。
李さんには当たる事無く、剣は空しく空を斬る。
とりあえず、ダメージがあるのか無いのか解らない!
時折霊体化もするみたいだし、接近戦はかなり危険だ!
相手も逆に搦め手は一切無い、ただ近付いて剣を振るだけ。
シンプルだけに、対策が難しい。
動きを止めるだけでも、ここまで大変だとは。



「くそ…ゴーストタイプみたいだな、格闘は通用しねぇか?」

ピーチ
「特殊攻撃もほとんど効果がありません! やはり、打撃を当てるのが有効だと判断します!!」


つまり、何とかして李さんの一撃を当てるかって事だ!
それには、あの妙な動きを確実に捉える必要がある。
幸い、アイツは近い相手にしか目がいかないタイプらしく、執拗に李さんだけを狙っていた。
だが、その李さんの攻撃は全く当たらない。
李さんは隙の少ないジャブで牽制するも、敵はゆらりとすり抜け、李さんの攻撃を無効化するのだ。
これでは、いくら有効でも意味が無い!
特殊攻撃も殆ど通じず、足止めにもならないのに…!


夏翔麗愛
「接近戦出来るのは、李お姉ちゃんだけじゃ無いのです!!」


夏翔麗愛ちゃんは浮遊して敵の背後に近付く。
すると、射程に入った夏翔麗愛ちゃんに敵は狙いを変え、剣を素早く振り下ろす。
夏翔麗愛ちゃんはニヤリと笑い、すぐに守るを発動させた。


夏翔麗愛
「今です!!」


「そういう事かよ!! 任せろ!!」


李さんはオーラを発し、両腕を地面に叩き付ける。
その瞬間、氷の柱が敵に向かって並び立ち、敵の動きを封じた。
敵はそれでも夏翔麗愛ちゃんのフィールドに斬り付ける事を止めない。
李さんはそのまま足元を凍らせてスケートリンクを作り、滑る様に前へと加速する。
そして、そのまま敵の背中、心臓部と思われる位置に李さんは氷の拳を突き立てた。



「砕けろ…! このクソ野郎がぁぁぁぁっ!!」


李さんの全力の冷気は敵を一瞬で凍り付かせる。
夏翔麗愛ちゃんは守るの効果が切れた途端に後へと退がり、李さんの技の範囲から脱出した。
そして、凍り付いた敵は心臓部にヒビが入り、そこから瓦解していく。
やがて全身はバラバラになり、周りを覆っていた氷柱も砕け散る。
そこには拳を振り抜いた李さんの姿だけが残り、砕けた氷がパラパラと降り注ぐ。
李さんはそのまま拳を戻し、気合いを入れ直した。



「っしゃあ!! アタシたちの勝ちだぜ!?」


李さんは高らかに右腕を天へと掲げ、笑顔で勝利宣言する。
前の戦いじゃ出落ちだったから、今回は大活躍だったな。
とりあえず…危機は去ったか。
俺たちは、暗闇の中に光を見付け、全員の安全を確認してそこへ向かう。
李さんはかなり疲労していたが、どうにか走る事は出来た様だ。
夏翔麗愛ちゃんも緊張が解けてやや疲れている。
恐怖はそれなりにあった筈だからな…


香飛利
「出口〜!」

ピーチ
「…この先は一体何が?」



………………………




「!? な、何で雪山!?」

ピーチ
「!? 座標確認、ここは城の西にある雪山です!!」


俺はギョッとする。
まさか、そんな所にワープするとは…!
俺たちは、雪山のコテージ前で立ち尽くしていた。
幸い吹雪いてはおらず、寒くはあっても耐えれなくはない。
とりあえず、俺はコテージのドアノブに触れてみるが…



「例によって開かないか」

夏翔麗愛
「村の時と同じみたい…これは破壊も出来ないのです!」


「アタシには問題無い気温だけど、皆大丈夫か!?」

ピーチ
「私は大丈夫です…理論上は宇宙空間でも活動出来ますし」

香飛利
「さささ、さぶいーーー!!」


どうやら香飛利だけがキツい様だ…まぁ、飛行は氷に弱いからな。
とはいえ、鳥は寒くても耐えられる様に羽毛が進化したはずなのだが…
鳥は耐えれてもオニドリル娘は耐えれないらしい…どこぞの失敗怪人かっ!!



「とりあえず、こっちに来いっ! 人肌で少しはマシになるだろ…」


俺は香飛利を抱き寄せ、温めてやる。
すると香飛利は鼻水をすすりながらも嬉しそうに抱き着く。
やれやれ、まぁ仕方ない所か…


ピーチ
「…とりあえず、欲情しないでくださいね?」


「そういう目的じゃないからね!? これはあくまで香飛利の為にだから!!」


ピーチはやや軽蔑の眼差しでため息を吐く。
やれやれ、確かに香飛利のおっぱいは中々の逸材だからな…
男としては、確かに反応してしまうのは性である…


夏翔麗愛
「…上に誰かいるね、このパターンは瞳お姉ちゃん?」


「瞳か…こんな所で何やってんだ?」

ピーチ
「…瞳さんとは?」


「家族のひとりだ…マッスグマの、拳法家♪」


俺は笑顔でそう言うと、ピーチは少し驚く。
そして目をぱちくりさせ、山頂を見た。
とりあえず怪我の功名か、近くに瞳さんがいる様だ。
瞳さんと合流出来れば、戦力的にもかなり助かる。
すぐに迎えに行かないとな!



………………………



そして俺たちは1時間程上に登り、色褪せた太陽の光を浴びる山頂で、ひとりの拳法家を見た。
何やら、墓みたいな物が山頂には立てられており、瞳さんと思われる女性は手を合わせて祈る様に佇んでいた。
俺は先頭を歩き、まずは声をかける。



「瞳さん!」


「!? さ、聖様…!!」


瞳さんは振り返り、俺の姿を見て驚く。
その姿は拳法着のままで、それは清山拳の継承者としての姿でもあった。
皆はマッスグマとなった瞳さんの新たな姿を見て、驚きを隠せないでいる。
今の瞳さんは髪色が白になっており、尻尾も以前より短くなっていた。
身長も少し伸びており、胸も若干大きくなっている。
そんな瞳さんは安心した様な顔をし、優しく微笑んでこちらに歩み寄って来た。



「皆さん、お久し振りです」


「へぇ〜進化して、大分変わったな? 何か、強くなったって気がぷんぷん伝わってくるぜ!」

夏翔麗愛
「瞳お姉ちゃん、立派になったのです!」


「夏翔麗愛様も、少し背が伸びましたね…お元気そうで何よりです♪」


夏翔麗愛ちゃんも瞳さんの笑顔に釣られて笑顔を見せる。
あの戦いの後だが、俺たちは幾分か気力が戻ったのを感じた。
それだけ、瞳さんに会えたのは精神的に大きい。
やはり、家族の安心を確認出来るだけでも、大きいのだ。


香飛利
「うう…瞳さん、無事で良かった〜」


「香飛利さん、貴女も無事で何よりです」
「それで、こちらの方は? 見覚えの無い顔ですが…」

ピーチ
「初めまして、ポリゴン2のピーチと言います」
「成り行きで共に行動をしていますが、どうかよろしくお願いします」


ピーチは丁寧にお辞儀をして挨拶する。
瞳さんはそれを見て微笑み、自分もお辞儀をした。
癖が染み付いているのか、両手を胸の前で合わせてお辞儀をしてるな…
あの世界だと、中華風だったから作法も染み付いてる。
まぁ、それも含めて瞳さんはやっぱり真面目なんだな…



「…これで6人、ですか」


「ああ、後は喜久乃と唖々帝さんだ」


「唖々帝の奴、どこにいるんだろうな?」
「アイツに限って、危険は無いと思いたいけど…」

夏翔麗愛
「…喜久乃お姉ちゃんも、実力はあるから大丈夫だと思うけど」
「それでも、さっきの様な敵と戦ってたら…ひとりじゃきっと無理なのです」


俺たちはあの死神を思い出す。
アレは本当にヤバかった…ひとりじゃ絶対に倒せなかっただろうな。
もし、アレと同じ様な敵が出て来てたら、喜久乃や唖々帝さんでもどうなってるか…



「とにかく、下山しましょう…聖様と合流出来たのでしたら、ここに留まる必要はありません」


「どうして瞳さんはここに?」


「動くより、待つ方が確実だと思ったのです…聖様なら必ず見付けてくれる」
「私は、そう信じていますから♪」


俺はその信頼に少し照れる。
それを見てピーチが露骨にニヤニヤしていたが、俺は恥ずかしくなって頬をポリポリ掻いた。
そしてコホンッと咳払いし、改めて俺は山頂から見える風景を見下ろした。
そこに広がるのは、暗い漆黒の山…
あそこには、恐らくラスボスがいる。
あの時は間違いなく戦ったら負けてた…雫を使わなかったら全滅してただろう。
夏翔麗愛ちゃんですら抗えない念動力の使い手…エスパーの可能性は高いか。
とはいえ、正体も何も解らなかった。
声もやけにエコーがかってて、女っぽい声としかイメージ出来ない。
フーパの知り合いだし、ポケモン娘の可能性は高いはずだが。



「ん? これは…」


「それは、その墓に供えられていたリングですね」
「誰の物かは解りませんが、何か重要な方の遺品なのかもしれません」


俺は、それを握って震える。
間違いない…これは、フーパのリングだ。
つまり、ここはフーパの墓…
俺はその場でリングを抱き締め、膝を落として涙する。



(フーパ…俺は、絶対に救うからな!)
(約束は守る…何があっても、必ず救ってやるから…!!)


俺は涙を拭き、そのリングを右腕にはめる。
サイズは少し小さいが、それでも俺には力を与えてくれそうな気がした。



「聖様…まさか、そのリングの持ち主を知っているのですか?」


俺は無言で頷く。
そして、聳える漆黒の山を睨み、俺は決意を改める。
憎しみで世界を滅ぼしたバカ野郎が…俺が絶対に救ってやるぞ!?
そんで全部終わらせてやる…こんな、悲しい混沌は!

俺は、家族の顔をひとりひとり思い出していく。
そして、必ず皆と一緒に帰ると決心した。
迷いは無い…まずは喜久乃と唖々帝さんを探す!
その後は、全員で突撃してゲームクリアだ!!










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第4話 『恐怖の魔王登場…そしてフーパの願い』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 06:58 )