とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第5章 『POKE MOA EVIL』
最終編 第3話
聖&李
「………」

ピーチ?
「………」


どうやら、目の前にいるピーチらしき何者かはピーチらしい。
な、何を言ってるのかわからねーと思うが……以下略。



「とりあえず、本当にピーチか? まさかニセモンじゃねぇだろうな?」

ピーチ?
「本物ですよ! あの中でアップグレード拾って外に出たら進化してたんです!!」


ピーチを主張するポリゴン2は感情豊かにそう言う。
うーむ、性格が違いすぎて俄には信じられんが…



「雰囲気が違う所の騒ぎじゃないからな…誰だよお前?ってレベル」

ピーチ?
「そんな事言われても…私は書き換えられた感情プログラムに従って話してるだけですし」


「…佐藤さんもアップグレードで改善するとは言ってたが、ここまで変わると別人だわな」


少なくともこのピーチはとても無表情無感情ではない。
むしろ表情豊かに顔を変え、感情をしっかりと表現してる。
とはいえ、それはやはりピーチと信じろと言うのはかなり難しくもある。
俺にはピーチを絶対に元の世界に返すと約束したからな…
偽物返して、何じゃこりゃあ!?じゃ、洒落にならない。



「とりあえず俺の質問に答えろ…お前のマスターが最初にお前に名付けようとした名前は何だ?」

ピーチ?
「ポリですね、そのまんま過ぎるからってボツになりました♪」


ピーチは軽く笑顔で答えてみせる…チクショウ可愛いな。
とはいえ、間違ってないって事は本物の可能性は高い。
…ピーチの記憶を奪ってなければ、だが。



「…やれやれ、仕方ないか」


「信じるのか?」


「いや、最後に夏翔麗愛ちゃんに試してもらう」
「夏翔麗愛ちゃんなら、コイツが嘘を言っているかどうか見分けられるからな」


俺が言うと、李さんはなーる…と呟いて納得する。
夏翔麗愛ちゃんは感情の動きを手に取る様に理解出来る。
嘘を言ったなら、感情の揺れでそれがすぐに解るのだ。
つまり、とにもかくにも夏翔麗愛ちゃんが起きてくれなきゃ進まないわけだが…


ピーチ?
「あれから、こちらではどの位の時間が経ってるんですか?」


「30分程だな、多分…まぁ正確な時間は把握出来ないが」


ここには時計も何も無いからな。
スマホのストップウォッチを使えば経過した時間は解るが、今は使ってない。
今度、腕時計でも買った方が良いな…別世界だと経過時間が解らなくなるし。


ピーチ?
「でしたら、私が経過した時間とほぼ変わりませんね」
「まだ、夏翔麗愛ちゃんは眠ってるんですか?」


俺は草むらを見る。
そこにはまだ眠っている夏翔麗愛ちゃんがいた。
未だに起きる気配は無い…とりあえず待つしかないんだが。

ガキッ!と、音がする。
俺たちは何の音かと周りを見渡すが、ソイツはいつの間にか村に入ってやがった。
それも、機械人形の様な3m程のロボット!
全身が茶褐色の装甲で覆われ、見た目は人型。
頭部はヘルメットの様な丸い形状をしており、目は単眼。
無機質な機械の擦れる音が鳴り響き、ソイツはこちらにゆっくりと向かって来る。
俺たちは一気に緊張感を高め、戦闘体勢に入った。
コイツは、今までの雑魚とは違う…闇や影じゃない!?


ロボット
「ガガ…メモリ……ヌスンダノハオマエカ?」

聖&李
「コイツです!!」

ピーチ?
「酷い!? この状況で私だけ囮にする気ですか!?」
「っていうかメモリってアップグレードの事!?」


俺たちが同時にピーチ?を指差すと、ロボットはピーチに照準を定める。
ピーチは猛抗議したが、俺たちは無視して不意打ちの体勢に入った。
俺は近くの花壇から柔らかい土をもぎ取り、それを奴の目にばら蒔く。
カメラと思われる目に土を被り、視界を奪った所で、すかさず李さんが踏み込んで奴の右膝にストレートを放った。


バキィ!!



「ちっ!? 硬ぇ!!」


「鋼タイプと同じなのか!? 李さん、格闘技でもう1度だ!!」

ロボット
「ゲイゲキ…」


ロボットはカメラをやられて見えないのか、背中から6発のロケットを発射する。
それ等は空中で弧を描き、俺たちに向かって追尾して来た。
かわせる速度じゃない! 迎撃出来るか…!?
とはいえ、当然俺にそんな能力は…有るけど無い。
食らえば即死の生身では、俺は一瞬でバラバラに吹き飛ばされてしまうだろう。


ピーチ?
「放電開始! 全て落とします!!」


ピーチ?は両手から電撃を広範囲に空へと放つ。
正確に俺たちを追尾するロケットは俺たちの手前で電撃に遮られ、誘爆する。
俺は爆風で吹き飛ぶも、ダメージはさほど無い。
李さんは身を屈めてやり過ごした。
そして、すぐに李さんは集中力を高めて強打の体勢に入る。
ロボットはその隙に動き出し、一旦距離を離す。
射程を離された李さんは舌打ちし、集中を解いた。
見た目以上に素早いな! 2足歩行のロボットだが、1足跳びで数mは距離を離しやがった。
緊急回避だったのか、急に機敏な動きだ…どうにかして致命打を与えなければ。


ロボット
「…頭部洗浄、視界確保」


ロボットはヘルメットの内部から洗浄液を噴出し、カメラの土を洗い落とす。
これで目眩ましは効果を失った…! やれるのか!?


ピーチ?
「敵装甲のデータをダウンロード開始……クリア! 特殊攻撃による攻撃が有効と判断」
「特攻ブースト! トライアタック発射します!!」


ピーチ?は両手を前にかざし、得意技のトライアタックをロボットに向けて発射する。
電気、炎、氷の3属性を合わせたノーマル技は高速回転し、ロボットの左肩に着弾する。
以前よりも遥かに強力なソレはロボットの装甲を容易く吹き飛ばす。
ロボットは左肩を破損し、すぐに腕をパージした。



「効いてるぞ! 物理より特殊の方が良いみたいだな!」


「だったら李さんは前に出て足止めだ! ピーチの射線に入らない様に気を付けてください!!」


李さんはおおっ!と答え、ロボットの足元に踏み込む。
ロボットはそれに反応して思いっきり右足を振り上げ、踏み潰すつもりの様だった。
李さんはそれを見て全力で拳を握り、大きく屈んで右アッパーで迎え撃つ。

ガキャァァァァァァンッ!!と甲高い音が鳴り響き、李さんの拳とロボットの足裏が激突する。
そして、李さんの拳はロボットのバランスを崩し、ロボットはフラフラして後に倒れそうになった。
その瞬間、後方のピーチ?は胸の前でエネルギーを溜め終わり、その力を光線として放出する。
高速で放たれた破壊光線は、正確にロボットの心臓部を貫き、ロボットは貫かれた胸からスパークを発して爆発した。


ズバァァァァァァァァンッ!!!


ロボットの胸は爆発炎上。
そのままグラリ…とロボットは後に倒れ、地響きと砂煙を上げてダウンした。
そこから動く様子は無い…李さんは警戒して構えを続けるが、ピーチ?がふぅ…と息を吐き、こう告げる。


ピーチ?
「敵、沈黙を確認…勝利ですね」


「…やったか、何だったんだコイツは?」

ピーチ?
「アップグレードを拾った者を抹殺する為の機械だと思います」
「あれは、ブービートラップだったのかも…」


ピーチ?は胸を撫で下ろして悲しそうな顔をする。
俺は、何となくコイツが本物でも偽物でもどっちでも良いと思い始めていた。
コイツは理由がどうあれ、俺たちの為に戦ってくれた。
その姿は、確かに今までのピーチと大差は無いのだと思う。
少なくとも、コイツはコイツで良い。
俺は、コイツを信じる事にした。



「悪いな…疑うだけ疑って利用するなんて」

ピーチ?
「そうですね、それじゃあ今度甘い物を食べさせてください」
「それでチャラにしてあげます♪」


俺はそんなピーチ?のあまりにフツーな女の子っ振りに笑いが込み上げた。
そうかよ…普段は無表情無感情の中で、そんなフツーの事考えてたのか。
そうだよな…ピーチだって、女の子なんだから。
こうやって屈託無く笑って、可愛く振る舞うピーチは、ある意味本当のピーチなのかもしれないと、俺は思うのだった…


ロボット
「システム…エラー……シュウフク、フカノウ」
「サイシュウプログラム…ハツドウ……ジバクスイッチ、スタンバイ」


「何…だと!?」

ピーチ
「自爆!? 高エネルギー反応有り! 推定範囲…1km!?」


「李さん!! 『守る』で自分の身を守ってくれ!!」


「って、聖はどうすんだ!?」


俺はピーチの前に立ち、夢見の雫を取り出す。
イチかバチかだ!! 爆発エネルギーのベクトルをピンポイントに変えてやる!
座標と変更先のベクトルは指定しない! タイミングだけ合わせて、極力雫の負担を減らす!!


ピーチ
「ダメです逃げて!? 貴方だけなら助かります!!」


「ふざけんなっ!! 約束は守るって言ったろうが!?」


もはや猶予は無い、ロボットは全身から熱を放ち、爆発する寸前だ。
俺は覚悟を決めてタイミングを見計らう。
爆風が発生したと同時に発動させれば、最小限の濁りで済むはず!!



「ゴーーー!!」


今にも爆発する…そんな瞬間、突如として聞こえた雄々しき雄叫び。
俺はその声の主を知っていたから、驚きを隠せなかった…
そしてその声の主は、俺たちの前の地面に手を突き刺し、壁を作ってくれる。
瞬間、大爆発。
ロボットは半径1qの範囲で爆炎を放ち、村ごと焼き払った。
俺たちは、巨大な鋼鉄の手とバリアで守られ、爆風から難を逃れる…
そして、俺は頭上を見上げた。
そこに見えたのは、伝説の巨人…いや、スーパーロボット!!



「キングゴルーグ!!」

キングゴルーグ
「ゴーーー!!」


爆発が終わると、キングゴルーグは指を地面から抜き、直立不動で立ち尽くす。
そして、キングゴルーグの目から光が放たれ、そこから夏翔麗愛ちゃんが姿を見せていた。


夏翔麗愛
「ありがとうなのです、皆を守ってくれて♪」

キングゴルーグ
「ゴー!」


夏翔麗愛ちゃんが、キングゴルーグに笑顔で礼を言うと、キングゴルーグは光の粒子となってその場から消える。
ど、どうなってんだ!? 何でキングゴルーグは突然に…?



説明しよう!!
夏翔麗愛と魂の契約を結んだキングゴルーグは、夏翔麗愛の意志を感じ取り、皆のピンチに颯爽と現れる!!
その時、キングゴルーグは次元の壁をも超え、夏翔麗愛の為に、弱き者を助ける為に、何処にでも顕現出来るのだ!!



夏翔麗愛
「と、いうわけなのです!」


「うむ、解説ご苦労!」


「すっげぇな今の!? どうやって出したんだ!?」

ピーチ
「身長50m以上の巨大ロボット…ううん、あれはゴルーグ!?」
「どうしてゴルーグが、あんなにも巨大に…?」


とりあえず、説明は必要みたいだがそれは後回しだな。
俺は夏翔麗愛ちゃんの側に寄り、無事を確認した。
夏翔麗愛ちゃんはニコニコ笑い、嬉しそうに俺に抱き着いて来る。


夏翔麗愛
「やっぱりちゃんと会えたのです!」


「ああ、元気そうで何よりだよ♪」


夏翔麗愛ちゃんは幸せそうに俺の胸に頬ずりする。
その姿を見て、李さんは笑い、ピーチは複雑そうな顔をしている。
とりあえず、これで3人目…後4人だな。


ピーチ
「…貴方は、本当にエムリットなのですか?」

夏翔麗愛
「そうですよ? って、貴女は誰?」
「またボスの愛人が増えたのですか?」


「はいストーーーップ!! 誤解されるからそういう言い方止めよう!?」


ピーチは露骨に軽蔑する目を向けてくれた。
ぐは…今までこういう反応する娘っていなかったから、突き刺さるなぁ〜


ピーチ
「聖…人でなしです」


「違うからね!? 決して君に手ぇ出したりしないから!!」


夏翔麗愛ちゃんと李さんはワハハと笑う。
普段ならにこやかな風景なんだが、部外者のピーチが絡むとこうもペースが乱れるのか…やれやれだな。


夏翔麗愛
「別に気にしなくても良いのに♪ 私たちはボスが何人愛そうとも気にしないのです!」


「そうそう、聖は皆を愛してくれるんだからな!」

ピーチ
「…な、何で私が間違ってるみたいな雰囲気なんですか?」


それが暗黙の了解だからな。
俺の家族は、皆が平等…そこには可能な限り壁は作らないつもりだ。
…まぁ、それでもやっぱり目の届かない所はあるんだが。
ピーチは全くの無関係なゲストだからな…こっちの常識は通用しなくて当然だ。


夏翔麗愛
『とりあえず、名前を名乗るのです!』

ピーチ
「えっ!? 何でテレパシー!?」


どうやら何か夏翔麗愛ちゃんがテレパシーをピーチに送っているらしい。
俺と李さんには当然聞こえず、ピーチは狼狽えながらこう告げる。


ピーチ
「ピ、ピーチと言います…ポリゴン、あ…今はポリゴン2の」
「聖には、前に助けて貰って…それで今は成り行きで」

夏翔麗愛
「………」


ピーチは若干オドオドしつつも、夏翔麗愛ちゃんをしっかり見る。
対して夏翔麗愛ちゃんは真剣な目でピーチの目を見ていた。
そして数秒黙って、ふぅ…と息を吐く。
夏翔麗愛ちゃんは肩の力を抜き、ピーチにこう告げた。


夏翔麗愛
「嘘は吐いてないけど、本音は出してないですね」
「でも良いのです…ボスが認めてるのなら私は何も言わないのです!」
「私は精神年齢20歳以上だから、大人の対応が出来るのです!」


そう言って夏翔麗愛ちゃんは両腕を組んで偉そうに浮遊してアピールする。
ピーチは、あはは…と複雑そうな顔で流していた。
やれやれ、とりあえず丸く収まったのかな?



「それより、食料はどうすんだ?」
「いくらなんでも、腹が減ったら動けなくなるぜ?」


確かに深刻だな…俺も腹は減ってきた。
結局村は丸ごと吹き飛び、探索もクソも無い。
何か、食える物でも無いのかね?


夏翔麗愛
「とりあえず、まともな獣も見つかりませんし、食料はかなり調達難度が高いのです」
「でも、南の森には何か果物の木があった気がするのです!」

ピーチ
「果物ですか…食べられるんでしょうか?」


「何でも良い! 毒でも眠りゃ治るし…」


李さんもメチャクチャ言ってるな…そもそも食中毒も状態異常に含まれるのか?
…○思議のダンジョン仕様なら治ったなそういや。
まぁ、俺は治せないわけだがな!
とにかく、俺たちの行き先は決まった。
まずは食料確保に森だな…つーか、あっちが南だったのか。
夏翔麗愛ちゃん、よく方角知ってたな。


夏翔麗愛
「しっかし便利なのですこの腕時計…通信だけじゃなく、方位磁石とかその他色々機能付いてるのです!」


「それって博士がくれた奴か?」

夏翔麗愛
「そうなのです! 博士にしては気味が悪い位出来が良いのですよ…」


言いたい放題だな…あの博士って実際どこまで天才なのか。
まぁ、バカと天才は紙一重と言うしな。
…かなりバカな方に寄ってる気もするが。


ピーチ
「…生体反応は流石に見つかりませんね、やっぱり射程距離を強化してもらわないと」

夏翔麗愛
「森に誰かいるのですよ? 後、更に東にもうひとり、北にはひとりいるみたいです」


「…解るのか?」


夏翔麗愛ちゃんはコクリと頷く。
そして、グルリと浮遊して1周回り、確認をした様だった。


夏翔麗愛
「やっぱり3人…後ひとりいない?」


「…まさか、既に何かあったのか?」


予定なら、後4人いなきゃダメなはずだ。
なのに、3人…? それって、誰かが欠けているって事なんだが。


ピーチ
「うう…私の役割だったのに」


「まぁ、流石は伝説のエスパータイプだよな〜」


確かに、夏翔麗愛ちゃんは特にこういった広域サーチは得意なんだっけ。
感情を受け止めて位置も探れるんだから、凄い能力だよな…
逆に、受け止めすぎて危ない事もあったわけだが。


夏翔麗愛
「うーん、私の『エモーショナルサーチ』は3km位なら探知出来るんですけど…」
「この世界は思ったよりも相当狭いみたいですから、大体は範囲内だと思ったんですけどね…」


エモーショナル…つまり感情ね。
正確には感情的だが、夏翔麗愛ちゃん的にはその方が格好良いのだろう。
実に厨二病で良い!
とはいえ、最後のひとりはその範囲外にいる可能性が高いのか。
まぁ、今は解る範囲で探すしかないな…速く皆と合流しないと。
俺はまだ見ぬ家族の姿を思い浮かべ、南へ歩いて行く。
全員がそれぞれの想いを胸に、俺たちは森へ向かって行った。



………………………




「…ふい〜! でっけぇ蛇だなぁ!?」

ピーチ
「これ、影モンスターじゃ無いですよ? 本物の蛇みたいです」

夏翔麗愛
「どうやら、影モンスター以外にも生物はいるみたいですね」


「とはいえ、10m以上あるな〜これ、もしかして食えるか?」


突如、森で遭遇した巨大な大蛇に襲われた俺たちは、とりあえず撃退した。
危うく俺が真っ先に飲み込まれかけたが、何とか夏翔麗愛ちゃんに助けられて事なきを得たのだ。
そして、今その蛇はお亡くなりになられて横たわっている。
ピーチは生体スキャンでまずは検査…


ピーチ
「これ、大昔に生息していた古代種ですよ!?」
「何でこんな所に…少なくとも原始時代の頃の話なのに」


俺は何となくピンと来る。
この先にはとりあえず誰かがひとり。
そして、原始時代の生物…と、なると。



「ギャーーーーーーーー!!!」


とてつもない叫び声が耳をつんざく。
俺たちは一斉に耳を塞ぎ、その場で踞ってしまった。
しばらくその叫びは続き、俺は推測を確信に変える。



「…止んだか、やれやれ香飛利だなこりゃ」

夏翔麗愛
「今ので解ったのですか? でも、確かにこのフィーリングパターンは香飛利お姉ちゃんですね…」


おっと、また新たな厨二ワードが…っていうか、夏翔麗愛ちゃんでも、ある程度は近付かないとやっぱり個人の特定は難しいのか。


ピーチ
「今の叫び、相当強力な音波技みたいですね…」
「声帯パターンから察すると、鳥ポケモンみたいですが…」


「香飛利はオニドリルだからな、鳥ってのは合ってるのか」


「ああ、そんで今のは『騒ぐ』だ…香飛利の必殺技だな」


俺はとりあえず音のした方向に走る。
それを追って皆も付いて来る。
ここでは影モンスターがほとんど現れず、いるのはまさかの獣や爬虫類の住むジャングル状態だった。
見た目は色褪せているものの、この森ではしっかりと生態系が出来ているのである。


ピーチ
「…近付くにつれて、動物の気絶した姿が目立ちますね」


「あいつの騒ぐは特別製だからな…もはや物理的に凶器となる音波だ」


特にZ技のは凄まじい…タイプ相性不利でも大ダメージだったからな。
しかし、アイツがここまで本気でやるとは、相当な何かと戦っているのか?


夏翔麗愛
「…何かいる! それもかなり強いフィーリングパターン!!」
「香飛利お姉ちゃん、何かと戦ってる!?」

ピーチ
「こちらでも探知しました! 敵1体、獣型と推測」
「体長は恐らく2m程、中型の猫科系と思われます!」


「くっそ、香飛利の奴を助けねぇと! アイツじゃマトモに戦えねぇだろ!?」


李さんはそう言うが、俺はそうは思わない。
香飛利はあれから随分成長した。
例え怖くても、自分から奮い立つ事を覚え、誰かを守る為なら、頑張って前に進む。
俺はそんな香飛利の成長を思い出し、確信する。
きっと、香飛利は頑張っているんだと…



………………………



香飛利
「ギャーーー!? まだ追って来る〜〜〜!!」


「臆病者め!! 100回目は無いぞ!?」


俺たちが香飛利を視界に納めた時、既に戦闘は続いていた。
猫…と言うか、黒に近い灰色の虎は香飛利を執拗に追いかけ、香飛利は泣き叫びながら飛んで回避している。
だが、おかしい…何で香飛利はもっと高く飛ばない!?
相手は接近戦が主みたいだ、香飛利なら遠くから攻撃すれば済むはずなのに。


夏翔麗愛
「何かのフィールドが展開されてる! 香飛利お姉ちゃん、そのフィールドに囚われて思う様に飛べないのです!」


「すぐに助けてやる! 虎野郎、香飛利に近付くなーーー!!」


「邪魔をするな!!」


虎は突っ込む李さんを睨み付ける。
その眼は怪しく光り、李さんはビクッと体を震わせ、動きを止める。
そして、李さんの体は数秒で石となってしまった…



「李さん!?」

ピーチ
「!? 李さんが石化! どうやらあの虎の視線で石化する様です!!」


ピーチがすぐに解析する。
まさか、李さんがあっさりとやられるなんて! しかも、目を合わせたら石化だって!?
メドゥーサじゃあるまいし、そんな奴にどうやって勝てば…


夏翔麗愛
「要は見なければ良いのですよね?」

ピーチ
「恐らく…でも目を剃らしていては戦う事が」


夏翔麗愛ちゃんは虎に目を合わせる事無く、『サイコキネシス』で攻撃する。
突然の空間湾曲で体を捻られ、虎は苦しんでその場から飛び退いた。



「貴様ぁ!? よくも!!」

夏翔麗愛
「単純なのですよ…見なくて良いだけなら、私には敵じゃありません」


夏翔麗愛ちゃんは目を合わせる事無く、的確にサイコキネシスで虎を攻撃していく。
虎は絶妙な反応でそれを回避し、次第に夏翔麗愛ちゃんに近付いて行く。
そして、射程距離に入る前に、ピーチが虎を迎撃した。


ドバァァァァンッ!!



「ぐああっ!?」

ピーチ
「くっ…見えないと狙いが定まらない!」
「夏翔麗愛さんは、見えなくてもここまで正確に…!」


ピーチはトライアタックで迎撃するも、当たりはイマイチだった。
虎はまだまだ戦えるといった感じで、威嚇しながらこちらに目を合わせようとする。
くっそ、マトモに見れないのは恐怖がヤバい!
俺は完全にお荷物だ…どうしようもない!!


香飛利
「うう…聖さんたちに、イジワルするなーーーー!!!」


「うぐおぅ!?」


香飛利は突如叫び出す。
しかもそれはオーラを纏ったZ技。
台詞その物が物理的な攻撃となり、虎の横っ面に激突して吹き飛ばした。
流石の威力に虎はピクピクと痙攣する。
だがまだ生きているのを確認してか、ピーチと夏翔麗愛ちゃんは同時に攻撃体勢に入る。
ピーチは破壊光線を、夏翔麗愛ちゃんはサイコキネシスを準備し、倒れていた虎に全力で追い討ちをかけた。


ドッバァァァァァァァァァァァァンッ!!!


大爆発…虎は無造作に空へと飛び、そのまま受け身も取らずに地面に落ちた。
そして、そのまま起き上がる事は無く、虎はやがて灰になって霧散していく。
どうやら、勝てたらしい…



「…あ、あれ?」


気が付くと、李さんは元に戻っていた。
ふぅ…良かった、戻らなかったらどうしようかと思ったぜ。


香飛利
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


瞬間、香飛利が俺に抱き着いて来る。
香飛利のおっぱいが俺の顔を締め付け、俺は呼吸困難に陥ってしまった。



「ギ、ギブ! 香飛利、ブレイク!!」

香飛利
「うわぁぁぁんっ!! 聖さぁぁぁぁぁんっ!!」


香飛利は泣き叫んでいた。
よっぽど怖かったんだな、と俺は内心納得する。
でも香飛利はやっぱり成長している。
ただ逃げるだけじゃなく、ちゃんと立ち向かって見せたんだから…



「やれやれ…まさか気が付いたら終わってるなんて」

夏翔麗愛
「知力が足りないのですよ! せめてエリアル装備で対策するのです!!」

ピーチ
「…エリアル?」


とりあえずそれは元ネタの話だ!
この世界にそんな便利な装備は無い…石化とかフツーに恐怖過ぎたな。
俺はとりあえず香飛利を無理矢理引き剥がし、香飛利の泣き顔を見て笑ってやる。



「ゴメンな、遅くなって…」

香飛利
「うう…! 良かった…聖さんが無事で!!」
「私、怖くて、ずっと逃げてて…気が付いたらあの虎に追いかけられて…!!」

夏翔麗愛
「100回逃げた結果がコレですよ!! やっぱり香飛利お姉ちゃんは臆病者なのです!!」


夏翔麗愛ちゃんは容赦無くそう言い放つ。
まぁ、それも香飛利らしさか…100回逃げて窮地に陥るとか、どんだけだよ。( ; ゚Д゚)


ピーチ
「とにかく、勝てて良かったです…下手をしたら全滅していたかも」


「まぁ、夏翔麗愛ちゃんのお陰だな…エスパーの面目躍如って所だ♪」

夏翔麗愛
「えっへん! なのです!!」


夏翔麗愛ちゃんは胸を張って偉そうに誇る。
夏翔麗愛ちゃんも、結構おっぱいが張って来たな…こりゃ将来的楽しみだ♪


ピーチ
「…聖、エッチです」


「いや、違う!! 違ってないけど違う!!」
「おっぱいに国境は無いんやーーー!!」


ピーチの的確なツッコミに俺は狼狽える。
そんな光景を見て、皆笑う。
俺は釣られて笑い始めた。
とにかく、これで4人目…後、3人!
俺たちは、空腹に頭を悩ませながら、更に先を見据える。
ここから北西には、やけに暗く高い山が聳えている。
俺はその山を見て、何故か恐怖感を覚えた。
そして、何となく気付く…あの山は、恐らくラスダンなのだと。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第3話 『襲い来る魔の手、家族を救え!』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 06:34 )