とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第5章 『POKE MOA EVIL』
最終編 第1話

(これで…最後か)


俺は、恐らく最後になるであろう暗闇の空間で無気力に寝ていた。
もう、余計な事を考える必要は無い…後はやるべき事をやる。
どうせ俺の意志とは無関係にゲートは開くんだからな…



(ここまで色々あったが、それもお前のシナリオ通りか?)


俺は誰かも解らない相手に向かってそうイメージし、虚空を睨み付ける。
きっと奴は見ている…いや、ずっと見ていたはず。
何故こんな混沌を造り出したのか?
そして、何故『俺』を狙ったのか…?
俺はある程度の確信に近付きつつも、最後のゲートを確認して決意を高める。
もう、迷う事は無い…



(俺は…全部救う!!)





POKE MOA EVIL 『最終編』

『救済』





………………………




「…!? ここは、城…か?」


どことなく、白那城を思い出すかの様な内装だ。
今、俺がいる場所は玉座のある場所の様で、謁見の間って所か?
玉座はふたつあるな…王様と王妃様のって所みたいだ。
しかし、不気味な程に静かだな…人の気配も感じられない。



(今度は自分の意志で動ける…感覚もある)


少なくとも俺の肉体はここにあるという事だろう。
前の世界は新鮮すぎた感覚だったからな…
さて、まずは探索しないと話にならないが…

俺は周りをグルリと見渡す。
左右には部屋、正面には階段か。
とりあえず、部屋に入ってみるか?



(もっとも、入れるなら…だが)


俺はとりあえず玉座から見て左側の部屋に向かった。
扉のドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
すると、あっさりと扉は開き、俺は中に入る事が出来た。



(これは…寝室だな)


ベッドはふたつある…王様夫妻の物って感じのロイヤルさだ。
他に目立つ物は特に見当たらない…ヒントになりそうな物も無さそうだ。
やれやれ…何とも言えない世界だな、ここは。

俺は特に期待もせず、反対側の部屋にも入る。
そこも寝室で、ベッドはひとつ…王子とか姫様の部屋かね?
やはり特にヒントになる様な物は見当たらない…完全に無駄足だった様だ。
とはいえ、俺はある程度の推測を立てる。



(…やけに中世の城って感じだな、時代もそれ位の世界で設定されてるのか?)


まだ詳細は解らないが、今までの世界の傾向を考えると、住民や生活等は時代相応に統一されてる可能性は高い。
しかし、何でここに来て中世なんだ?
今までは歴史を辿るかの様な順番で世界を回っていたのに…



(最後にここって事は、それこそが本当の混沌の正体なのか?)


俺は、考える…何故黒幕は俺を狙ったのかを。
今まで、俺は家族が巻き込まれたのだと思っていた。
だが、俺はそれが違うと思い始めていたのだ。
フーパの真実、初対面のピーチ、これ等ははっきり言って家族が関係していない。
なのに、俺だけはその全てに関わらされた。
この意味を考えると…やはり初めから俺を狙って何かをさせようとしてるかの様なイメージが思い浮かぶ。
その意味は俺には解りかねる、が…



(あえて言うなら…試されている?)


何を…とは解らない。
ただ何となく、そんな気がした…あくまで勘だが。
何故、俺がクリアアイテムだったのか…?
最後は何故、家族が無関係なのか?
理由は全く解らないが、俺は試されていたのかもしれない。
だが、そうだとしてラスボスの目的は何処にある?
俺はその真意が読めずに、ただ呆然としていた。
そして、考えてもどうせ良い案は出ないと思い、俺は外に出る事にする。
こんな辛気臭い城にいたら、気が滅入っちまうぜ。



………………………




「庭園…か」


白那城に比べると狭いし、微妙な庭園だ。
花も全く手入れはされておらず、放置されてるのが解る位には枯れきって色褪せていた。
と、いうか…妙すぎる。
ここは外だというのに、風ひとつ吹いていない。
いや、それどころか空気の流れすら曖昧な感じだ。
呼吸は出来るのに、その流れがほとんど感じない…こんな不可思議な空間は初めてだな。
最果ての様に、呼吸が必要無い…という感覚とは違うし。



「!? な、何だこれは!?」


突然、異質な何かが庭園の花壇から浮かび上がって来る。
それはまるで、闇か影だかを写したかの様な漆黒の色で、形は様々。
人型の物もあれば、獣型もある…それだけじゃない、植物系、鉱物系、悪魔みたいなのも…
これじゃまるで…



「ファンタジーじゃねぇか!?」


そして、それらは一斉に俺に襲いかかって来る。
スピードもバラバラで逃げるのは無理だ!
クソッタレ、いきなり絶体絶命とはやってくれるぜ!!
とはいえ諦めるわけにはいかない、相手の正体は解らないが、最悪雫の力で切り抜けるしかない!
俺は雫を取り出し、輝きを一瞬見る。
やはり濁ったままか…予想は出来てたが。
この状態からだと無茶な使い方は出来ない、となると単体ワープが1番リスクは少ないが…
問題なのは、ここがどんな世界か解らない点だ…下手な長距離ワープは恐らく意味が無い。
俺に基本戦闘能力が無い以上、ひとり途方に暮れていても同じ事を繰り返すだけなのだから。



「とりあえず、まずはやるだけやってやらぁ!!」


俺は雫を片手に向かって来る獣型に前蹴りを放つ。
すると、獣は割とあっさり吹き飛び、黒い霧となって消えた。
何だ…意外と弱い?
もしかして、これならやれるのか…?
俺は次に向かって来る悪魔みたいなのを拳で殴り抜く。
さっきと同じで生物に触れている感覚は無い。
まるで、圧縮された空気を殴っているみたいだ。
弾力性の低い風船を殴っているとでも言えば良いだろうか?
とにかく拳にも衝撃があまり感じられない。
だが相手はしっかり吹っ飛び、霧散する。
とりあえず、マジに戦えるらしい…それならとりあえず雫は無しだ。
まずは無理矢理にでも蹴散らしてやる!



「伊達に愛呂恵さんや鐃背さんに格闘技教わってんじゃねぇんだぜ!?」


俺はふたりの教えを思い出し、複数の雑魚を蹴散らしていく。
複数相手には大振りは避ける、確実に効果のある最小限の威力で、近い者から倒していく。
同時攻撃は立ち位置を調整し、タイミングをズラして対処。
射程の長い相手にはあえて振らせ、弾くなりかわすなりしてから一気に踏み込む!
そして次の矢が放たれる前に踏み込んだら、思いっきり攻撃を叩き込む!!
俺はほとんど考えも無しに突っ込んで来る敵を素手で蹴散らしていった。
どいつも一撃で霧散し、明らかに雑魚と言える様な強さのモンスターだな。



………………………




「…とりあえず、打ち止めか?」


数は7〜8体程だったが、全て倒しきれた。
何発かはダメージをもらったが、そこまで大ダメージじゃない。
露骨に弱かったな…まるでRPGの序盤モンスターみたいな感じだ。
とはいえ、俺の体はどこぞのRPGみたいにポンポン回復出来るわけじゃない。
こんなのが大多数で沸いて来たら、それこそ危険なのだ。



(とにかく、ここを出るしかない…危険なのは確かだ)


俺は城の外に出ようと城門を目指す。
だが、そこには巨大な影が立っていた。
俺は城門の外に聳える何かに恐怖する。
それはさっきと同じ闇や影みたいな色の謎モンスター。
その姿はまるで巨人…10mはありそうな巨大さで、手には棍棒の様な物も見える。
動く気配は無く、どうやら門番の役割の様だ。
となると、ここで俺には選択を迫られる。



(何とか隙間を縫って足元を突っ切るか、それとも城に戻るか…か)


一応、雫という最終選択肢もあるにはあるが…やはり今後を考えるとリスクがある。
可能なら、使わずに済ませたい所だな。



(あの巨人型は流石に見かけ倒しには見えない…戦うのは無謀だろう)


やはり、このまま城に留まるしかない。
とはいえ、どこから湧いてくるかも解らないモンスター共を捌きながら何とかなるか?
いや、何とかしなきゃならない! 俺には、約束があるんだ!!
俺は決意を固め、再び城内に戻る。
とにかく、調べるしかない!



………………………




「ここは…テラスか?」


俺は1度最上階に上り、テラスの様な場所に出た。
そして、そこから見られる景色に俺は絶句する。



(何だこりゃ? まるで、世界が死んでるかの様な褪せた色)


そう、あまりに色が無いのだ。
見える森や草木は色褪せており、灰の様な色に変色している。
枯れているわけじゃない…なのに色が無い。
庭園の様に放置されたとかじゃないな…大地の色までフツーには見えないのだから。
そして、蠢く影のモンスター…外にはどうやら更に危険が待っているらしい。
城内にもチラホラ小型のモンスターが沸いている、あまり同じ場所に長居するのは危険かもしれない。



(他には何も無いのか?)


俺はとりあえずテラスをグルリと1周し探索する。
すると、何か人の足みたいな物を見付けた。
俺は一瞬ギョッとするが、ちゃんと色を持ったその綺麗な足は、ついこの間拝んだ気がする足だった。
っていうかこれ……


ピーチ
「………」


「ピーチじゃねぇか!? お前も巻き込まれたのか!?」


俺は驚愕する、まさか家族と関係の無いはずのピーチがここにいたのだ。
彼女はまるで動かなくなったロボットの様にぐったりとしており、長い髪が床に落ちている。
まさか死んでいるのか…?



「おい、冗談だろ…? 目を覚ませよピーチ!!」


俺はガクガクとピーチの体を揺するが、ピーチは何も反応しない。
俺は震える体を抑え、泣くのを我慢する。
こんなのは、きっと何かのトリックだ! 俺を騙す為の仕掛けに違いない…!
きっとピーチは何かのフラグで動けないはずだ、いやそうであってくれ!
くっそ…とはいえ何か無いのか?
せめて、ピーチに何か効果ありそうなアイテムとか…



(…充電、ケーブル?)


俺はふとスマホ用の充電機を取り出した。
ピーチは前にマザーコンピュータ相手にケーブル咥えてアクセスしてたけど、もしかしたらこういった充電器で何か起こるのかも…
俺は冷や汗を垂らしながら、恐る恐るピーチの口にケーブルを咥えさせる。
そして、充電器をオンに…


バチバチバチィ!!



「ぐわっ!?」


突然、ピーチは体をビクンと弾けさせ、電気を放つ。
俺は衝撃で吹っ飛ばされるが、その姿を見てもう1度驚愕する。
ピーチが、立ち上がったのだ。
充電ケーブル咥えたまま…


ピーチ
「ぺっ…マズイ電気です、全く出力が足りてませんね」
「とはいえ、再起動完了…以降は自己発電機能を使い、セーフモードで行動します」


「ホントに復活しやがった…」

ピーチ
「おや? あなたは仮マスター…こんな所で会うとは奇遇ですね」


ピーチは変わらずの無表情無感情でそう言う。
むしろこっちが疑問に思いたいんだがな!
とはいえ、ピーチがいるなら何とか協力してもらいたい所だ。
こんな訳の解らない世界でひとり旅は現実的じゃない。



「ピーチ、悪いが手を貸してくれ」

ピーチ
「…流石に脱着機能はありませんよ?」


いや、物理的にじゃなくてね!?
どこぞのアンドロイドギャグ漫画みたいなノリで返さないで!



「とにかく、あれを何とかしてくれ!!」
「あのデカブツが邪魔で城から出られないんだ!!」

ピーチ
「…スキャン開始、構成物質不明、組織不明、生体反応無し」
「予測開始…恐らくは気体に近い構成の肉体と思われますが、詳細は不明」
「限りなく気体に近く、限りなく物質に近い…そんな感じでしょうか?」


ピーチは巨人型を見てそう分析してみせた。
やはり、SFの情報を持ってしても謎モンスターか…
とはいえ殴れば吹っ飛ぶし、雑魚は案外大した事は無い。
アイツも、ひょっとしたら見かけ倒しな可能性も…?


ドバァァァァァァァァァァンッ!!!


ピーチは有無を言わさずに『破壊光線』を巨人に撃ち込む。
巨人は顔面を撃ち抜かれ、頭部が霧散するが全身が消える事は無かった。
やがて巨人の頭部は再び再構築し、何事も無かったかの様に再生してしまう。
ピーチは攻撃の反動で動けない為、それを見ているしかなかった。


ピーチ
「…再生が速いですね、しかもダメージが無さそうです」


「やっぱ、雑魚とは違うのか! 何かフラグがいるのか?」

ピーチ
「動く気配もありませんね、完全に門番としての使命を全うしている様です」


あの破壊光線を食らっても微動だにしやしないからな…
むしろ騒ぎになって敵が現れたりしそうだが…



「グゥゥゥゥ…」


「チックショウ! やっぱ出やがった!!」

ピーチ
「巨人型と同系統の何かと確認、敵性反応は無し…?」
「…アルゴリズム変更、独自の判断で迎撃に入ります!」


何だか、ピーチは一瞬戸惑った様だった。
だが、向かって来る犬型の影を見てすぐに対応。
ピーチは右手から『トライアタック』を発射して獣型を3匹纏めて吹っ飛ばした。


ピーチ
「生体スキャン開始…反応キャッチ、ここより下約15m地点に誰かがいます」


「誰か…? 何をしてるかとか解るか!?」

ピーチ
「対象の動作チェック………判定、筋力トレーニングと予測」


俺は眉を潜める、筋トレ?
何で、こんな訳の解らない世界で筋トレをやってるバカがいるんだ?
それとも、そこは安全地帯なのか? 敵が出ないとか?
と、とにかく今はそこに行ってみるべきか…?


ピーチ
「城の構造を把握しました…恐らく対象は地下にいると思われます」


「地下があったのか…そりゃ何かありそうだな!」
「よし、とりあえず行くぞピーチ!」

ピーチ
「…その選択が現状1番マシと判断します」


俺たちは群がる雑魚を蹴散らしながら地下を目指す。
流石にピーチは遠距離戦が主体だから、近付く敵は俺が対処しないといけない。
ことのほか、敵の性能が上がっている気もする。
以前よりもより速く、より一撃が重い気がした。


ピーチ
「…仮マスター、後退してください」


「?」


俺は息を切らしながらピーチを振り向いて見る。
敵はまだいるが、ピーチは構わずに俺と立ち位置を交代し、前面に出て手から電撃を放つ。
それは広範囲に広がり、敵を一気に全滅させる。
『10万ボルト』だろうか? とにかく、一気に殲滅出来たな…


ピーチ
「…敵殲滅、増援無し」


「くっそ…急にパワーバランスを変えて来やがって」


俺は息を整えて歩き始める。
やはり、所詮は生身の人間…ポケモンに比べたら明らかに体力が足りない。
ピーチは一切疲れを見せないし、進化前の体でも流石だな。


ピーチ
「…仮マスター、以降は私の後でビクビクしながら震えててください」


「どういう扱い!? 俺、どんな反応すれば良いんだ!?」


ピーチは恐らく気遣っているつもりなのだろうが、言葉遣いが全く合ってない。
搭載している言語プログラムのミスみたいだが、ホントにそれだけなんだろうか?
とはいえ、悪気が無いのは理解している。
ピーチは恐らく俺の身を案じてくれているんだ。
何だかんだでピーチは俺と一緒に行動してたせいか、俺の影響をある程度受けてると言える。
変にネタに走る所まで似させてしまったが…
佐藤さんに恨まれなければ良いな。(-_-;)


ピーチ
「敵勢力のパラメータは、仮マスターの能力を上回り始めている様です」
「今後、更なる敵が現れた場合、私だけの力では貴方を守りきれないと、ご理解をお願いします」


ピーチは、ことのほか弱気にそう言った。
いや、ピーチの場合に誇張や謙虚は無い、守りきれないという事は、そのままの意味だ。
俺は流れる汗を手で拭い、ピーチの背中を見る。



(…良い尻してやがる、安産型だな)

ピーチ
「…エッチな目で見ましたね?」


ピーチは振り向いて無表情無感情にそう言う。
おっと、流石に気付かれたか。
とはいえ、ピーチの服装はピッチピチのハイレグスーツだ。
特に尻の辺りは食い込みが素晴らしく、男なら注目して然るべきエロさだからな。
要所要所の角張りさえ無ければ満点だったのだが…



「…そういや、何で胸と尻には角張りが無いんだ?」
「いや、無い方がもちろん萌えるのだが…」

ピーチ
「…ポリゴンとしての特徴だと思われます」
「角張りが無ければ、進化系と区別が難しくなりますので」


言われてみりゃそうか…進化系のポリゴン2は角張り取ったポリゴンと言えなくもないからな。
とはいえ、もう少しシェーディング効かせて丸みに見せても良さそうではある。
…いや、まさか胸と尻にその技術を結集させているのか?
だとしたら、かなりマニアックな設計だな。



「でも、ピーチの体って元々別の惑星の人のなんだよな?」

ピーチ
「そうなりますね、元の私の脳が完全に死んでいましたので、マスターの手によって新しく脳を造られましたから」


「…ちなみに、どこまでが機械とか決まってるのか?」

ピーチ
「…ほぼ生体組織のみですよ? 脳へのプログラミングも電子的な物でしかありませんし」
「ぶっちゃけて言うなら、機械の部分は存在しないと言っても良いです」
「なので、私がコンピュータにハッキングしたり、データをダウンロードしたり出来るのは、あくまでポリゴンとしての機能に過ぎません」
「…原種なら雌雄の設定は存在しませんが、恐らく貴方との交配で子供も産めると思いますよ?」


俺は一瞬ドキッとする。
あくまで無表情無感情だが、ピーチの口調はどことなく挑発的にも感じる。
とはいえ、どこまで考えて言っているのかは未知数だな…



「まぁ良いや…俺にとってはピーチは人間、それで良いだろ?」

ピーチ
「………」


ピーチは黙ってしまった…一切表情は変えないが。
何かを考えていそうだが、ピーチは何も言わないまま俺に背を向けて走り出す。
あくまで鈍足のその走りを見て、俺は微笑する。
ピーチの奴、照れてるのかもしれないな。
やっぱりピーチはちゃんと人間だ。
人化した事によって、人の体を得た人工のポケモン。
悠和ちゃんもそうだが、人化した彼女は人造とは思えない程人間的だ。
ピーチは悠和ちゃんに比べるとまだまだ感情が未成熟だが、それも進化すれば改善されるという。
そうなったら、今度はどんなネタを振り撒くのやら…?



(それよりも、何故ピーチがここに…?)


俺の予想では、家族がいるとは思っていた。
だが、1番最初に再会したのはまさかのピーチ。
家族とは一切関係が無く、たまたま俺と接点があった程度の存在。
そんなピーチが、何故この世界に巻き込まれたのか?
俺はそんな事を考えながら、ピーチのプルプル揺れる尻と尻尾を見て和んでいた…ええ眺めや♪


ピーチ
「…セクハラで訴えますよ? もちろん全国ネットに晒して差し上げます」


「ひぃぃぃっ!? すみません、余計な事考えません!!」


心なしか、ピーチは本気で怒っている様だ。
俺は逆に新鮮に感じる…家族でこんな反応する奴いないからな。
むしろヤってくれなきゃイヤン!な奴らがいる位だし…( ; ゚Д゚)
そういう意味でもやはりピーチは異端だ…家族とは違う。
俺の事を心配してはくれるが、それはただの親切でしかないのだ…
そこに、家族の様な絆は存在しない…



(それでも、俺は守ってあげないといけない)


ピーチには、帰るべき世界がある。
佐藤さんと言う、母親が待ってる。
俺は何としても、そんなピーチを大事な家族の元に、ちゃんと送り返してやらなきゃならないんだ…!
決して、ピーチを見捨てたりはしない…!!



「…ピーチ、これだけは言っておく」

ピーチ
「………」


ピーチは振り向かなかった。
だが、声は聞こえているはず。
俺は構わずにこう伝える。



「ヤバいと思ったら、俺の事は見捨てろ」

ピーチ
「……自己犠牲ですか? 涙が出ますね、偽善者」


ここで毒舌とは恐れ入る。
だが、この反応は逆にピーチにとっては気に入らなかった言葉だって事だ。
俺はそれでも、こう続けた。



「偽善者で構わない、だがお前は俺の家族じゃない」
「お前には佐藤さんと言う家族がいる…俺は絶対にお前を佐藤さんの元に返してみせる」
「だから、お前は帰る事だけを最優先に考えろ…絶対に、生きろ」

ピーチ
「…私には、理解不能のプログラムがあります」


それは、唐突なピーチの回答。
俺は少し驚くも、走りながらピーチの言葉を待つ。
ピーチはやや黙るも、すぐに走りながらこう話した。


ピーチ
「理由は解りません、ですが何故か私には貴方の指示が絶対的な優先度を誇る」
「貴方が死ねと言うなら、私は死ぬでしょう…」


それは俺にも理解不能だった。
何故、そんなプログラムがピーチに組み込まれている?
佐藤さんですら知らない、バグみたいな物なのか?
それとも…それすらラスボスの仕込んだフラグか?


ピーチ
「貴方は生きろと言いました…それなら私は従います」
「そして必ず帰ります…マスターの元へ」


ピーチには、自分でも理解出来ない何かがある様だ。
そして、ピーチは疑問に思いながらもそれを実行している。
俺は…何となく、これこそがピーチの心の鍵なんじゃないかと思った。
ピーチは、あくまでプログラム通りに行動している。
だが、それを疑問に思うって事は、ピーチはプログラム外の意志で何かを考えていると言う事。
佐藤さんも言っていた…プログラムだけの行動を取らないのは、喜ぶべき事だと。
俺も、そう思う…ピーチは、プログラムに関係無く、自分の意志を持ってほしい。
この世界で、少しでもそうなれれば良いな…










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第1話 『最終世界、そして再会』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/07(火) 05:30 )