とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













小説トップ
第4章 『新たなる再会』
第3話
悠和
「………」


もう、あれからどの位の間、聖様と離れて過ごしたのだろうか?
6月も半ばを過ぎ、今日は体育祭後の日曜日。
私は城の自室でひとり項垂れる。
恐らく、誰が見ても沈んでいると答える位には、私は落ち込んでいると自覚していた。


悠和
「…分かっては、いるのに」


聖様は皆を愛してくれる。
それは、決して誰かひとりに向けられる物ではない。
だからこそ、私は悩むのだ。
きっと、こんな風にズルい事を考えてしまって、勝手に落ち込んでいるのは私だけだろうから…


悠和
(聖様は、自ら皆に対して宣言なされた…)


聖様は皆を愛し、誰かひとりだけは愛さないと。
私以外の皆は割と笑って受け入れていた。
複雑な顔をした人もいたけど、それはまたきっと別の感情。
少なくとも、露骨に嫌そうな顔をしてしまったのは、私だけだったろう…



………………………




「この城、白那城は、中世ヨーロッパ時代に建造されたと思われる、極めて古い城である」
「それも過去の俺の失策で生まれた難民の為に急遽白那さんが隔離した物だからだ」
「しかも俺が難民に対して行った施策はここまでで入れ物さえ造れば良しとして夢の世界に引きこもり、彼女たちに夢の世界を解放する事はしなかったのである」
「ポケモンの母アルセウスが人化した移民者、すなわちポケモン娘の自治権を俺に要求した時、母アルセウスは悪意に飲み込まれた」
「そしてその悪意は全ての並行世界を崩壊させると語り、俺たちに独立戦争を仕掛けたのである」
「その結果は諸君らが知っている通り、暴走したアルセウスの敗北に終わった。それは良い」
「しかしその結果、混沌は増長し、並行世界は腐敗し、別時空の俺の様な反家族運動を生み、夢見の雫の継承を騙るもうひとりの魔更 聖の跳梁ともなった」
「これが難民を生んだ歴史である!」
「ここに至って俺は、ポケモン娘が今後絶対に戦争を繰り返さないようにすべきだと確信したのである!」
「それが、俺の演説によって皆の不和を取り除く作戦の真の目的である」
「これによって、並行世界間の戦争の源である、この世界に居続ける我々の心を是正する」
「諸君! 自らの道を拓く為、ポケモン娘の為の家庭を手に入れる為に、後一息、諸君らの力を俺に貸していただきたい!」
「そして俺は、父准一の元に召されるであろう!」
「ジークマサラ!!」


とある日、突然城でそんな演説が行われた。
当然の様に意味は無い、だって聖様だもの…(;>_<;)


白那
「お疲れ様、聖君…」


「これでは俺は道化だな…」


「とりあえず全く解らんから普通に説明しろ!」


全くもってその通りである。
ここ最近真面目にネタを取り扱って無かったからって、張り切りすぎたのでは?
かなり継ぎ接ぎで台詞合わせてるから所々変な部分もあるし、突貫工事なのが良く解るネタだった…
とりあえず聖様は今度は簡単にこう宣言する。



「とりあえず、俺は皆の事を等しく愛している!」
「だから、誰かひとりを特別扱いはしない!」
「それだけは、皆に受け入れてほしいんだ…」

白那
「まぁ…今更だとは思うけどね? 皆、分かってる事だと思うよ♪」


私はぐさりと胸を抉られた気がする。
この時の私は間違いなく嫌な顔をしていただろう。
恐ろしくて皆の顔を見れなかった…私はやっぱり最低だ。



………………………



その後、私は聖様たちと距離を置いた。
今はあまり一緒には登下校していない。
意図的に時間をズラし、適当な言い訳をして誤魔化していた。
どうせ聖様にはバレてるだろうけど…でもだからこそ、聖様はあんな宣言をしたんだ。
私の浅はかな考えなんて、薄っぺらい膜の様な物でしかないから…



「悠(はる)っち、いる〜?」


コンコン…と優しくドアをノックされる。
この優しいトーンは、きっと明海さんの声だ。
私は、ゆっくりとドアに向かう。


悠和
「はい…何か?」


私はドアを開き、明海さんの姿を見た。
どうやら今から仕事に向かうらしい。
明海さんたちも、今や正式にこすぷれ〜ん2号店で働いているから…
かなり評判は良いらしく、明海さんたちは毎日楽しそうだった。
先輩たちは、ちゃんと働いて稼いでいるのに…私は。


明海
「…あれからずっと落ち込んでるみたいだけど、そんな顔を聖様に見せちゃ駄目よ?」

悠和
「…は、はい」


やっぱり見抜かれていた。
明海さんがそう言うなら、きっと他の人も…
私は、どこまで落ちれば気が済むんだろうか…?


明海
「とりあえず私たちは仕事に行って来るから、貴女も少し気を休めなさい」
「今の貴女が悩んでいるのは解るけど、悩むだけじゃ絶対に解決しないわよ?」


明海さんはそれだけ言って行ってしまう。
私は、更に悩んだ。
でも確かに悩んでも解決はしない。
だったら、少し外に出よう…
もしかしたら何か気付く事もあるかもしれない。
私はそう思って偽装薬を飲み、普段着に着替える。
もうすっかり日中は暑いから、私は半袖の白シャツに銀色のミニスカートで外に出る事にした。



………………………



サァァァァァァァァ!


悠和
「…はぁ」


私は速攻ため息。
今は梅雨時期、雨なんか降って当然だった。
私は一旦城に戻り、上着を羽織って傘を持つ事に…
そして、私はそのまま街を歩く事にした。



………………………



悠和
「…一応、水タイプに変化しておこうかな?」


私はそう思ってメモリを一枚ポーチから取り出し、それを胸に挟む。
これで私は水タイプとなり、水に耐性を得る事が出来る。
雨の冷たさなんかも一応軽減出来るのが利点だ。
ミニスカートだから足元は濡れちゃうし、この方が良い。


悠和
(とりあえず、どうしようかな?)


私は適当に歩くも、目的は無い。
ただ雨の中無駄に歩き続けるのは意味が無い気もした。
日曜とはいえ、雨だけに歩いている人は多くなく、人気は少ない。
私は1度、駅前に向かう事にした。



………………………



悠和
(そういえば、明海さんたちの職場ってどんな所なんだろう?)


確か隣街の駅前で店を構えてるという話だ。
この際、そこに行ってみるのも良いかもしれない。
私は財布を確認しておく、聖様から定期的にお小遣いをいただいているので、余裕はあった。
私は壁に書いてある料金を確認し、電車の切符を購入しようとする…が、良く考えたら駅名が全く解らない。
私は途方に暮れてしまう…これでは目的地に辿り着けないじゃない。



「ん? 何や悠和やんか…こんな所でどないしたんや?」

悠和
「あ…」


切符売り場の前で立ち尽くしている私に声をかけたのは、何とあの阿須那さんだった。
そういえば阿須那さんも同じ職場…だったら阿須那さんに聞けば…


阿須那
「駅におるっちゅう事は電車に乗る気なんやろうけど、さしづめどの駅に行けば良いんか解らんっちゅう所か…」


ズバリ当てられた…流石は阿須那さん。
私は顔を赤くして小さく頷く。
流石にこんな所を見られたのは恥ずかしかった。
阿須那さんはとりあえずクスクス笑って、優しく私にこう言う。


阿須那
「とりあえずどこに行くんや? ウチで解る所なら教えたる」

悠和
「は、はい…実は」


私は阿須那さんに目的地を話し、そこから切符を購入して阿須那さんと一緒に行く事となった。



………………………



阿須那
「ふ〜ん、成る程なぁ…まぁ、聖はあの性格やし、多少はしゃあないやろ」


私は、ここまでの悩みを阿須那さんに打ち明け、助言を貰う事にした。
今は駅のホームで電車を待ちながら阿須那さんと並んで会話している。
後数分もすれば次の電車が来るらしい…


悠和
「…阿須那さんは、平気なんですか?」

阿須那
「もう慣れたわ…どんだけ誘惑しても聖の特攻は下がらん!」
「アイツ、ホンマは性別不明なんちゃうんか?と思う程や…」


阿須那さんはネタ混じりにそう言う。
その顔は完全に呆れている顔で、いかに聖様の牙城が凄まじいかを物語っていた。
阿須那さんだってこんなに魅力的なのに、聖様はそれでも平然としているんだろうか?


悠和
「ちなみに誘惑ってどんな事を…?」


私は気になってしまったので聞いてみる事に。
しかし、そこから放たれた言葉は私の想像を遥かに越える行動だった。


阿須那
「とりあえず裸で迫っても無駄やったな…勃起位はしとったはずやが、確認は取れんかった」

悠和
「は、はだ…っ!?」


私は想像して蒸せてしまう。
想像以上に過激な事をやっていた様だ…
そしてそれでも何も発情しない聖様は、逆にどうなっているのだろう?
少なくとも、私のクラスメートたちは、そういった事に関してはとても敏感だと聞いていたけど…


阿須那
「女胤なんか、裸でケツ向けておねだりしても無駄やったで?」
「恐らく聖を性的に崩すのは無理や…」


聞いてるだけで無茶苦茶だ…普通に考えたら成人指定の内容だと思うのに…
そしてそれでも聖様はダメだと言うのだから、もはや聖様の精神は仏の域なのかもしれない…
っていうか、私にはそんな恥ずかしい事出来ないし、する必要は無いと思えた。
もう、こんなの参考にもならないですよね…?


阿須那
「まぁ、ウチ等は付き合いも長いし、聖の発言どうこうでイチイチ目くじら立てたりせぇへんよ」
「アンタが悩むのは、実に自然や…ウチかて最初は悩みに悩んだ」
「せやけど、どんだけ悩んでも聖は考えを変えん」
「気が付いたら、もうどうでも良うなった…聖がウチ等の事好きなんは確定やし」
「ウチ等は聖が選んでくれるのを待つだけや」

悠和
「聖様が…選ぶ?」


それはある意味希望なのかもしれない。
そして私はそれを立場で有利にしている…
私はそんな立場に甘えて聖様に近付いていた…それがある意味許せなかったのかも。
そんな俯いた私を見て、阿須那さんはぶっきらぼうにこう言った。


阿須那
「…アンタはアンタで好きにし」

悠和
「…え?」

阿須那
「アンタはまだ縁が浅い方やし、少し位優遇されても構へんねん」
「どうせ聖はアンタひとりを特別扱いなんてせぇへんねんから、思いっきり甘えたったらええんや!」
「…まぁ、その後にドン底に落ちるやろうけど、それもエエ経験やろ!」


阿須那さんはまさに自分で体感したのであろう経験を思い出して苦笑していた。
阿須那さんたちは、本当に凄いな…私なんか全然聖様の気持ちも皆の気持ちも解ってない。
やっぱり、選ばれた人は違うんだ。


悠和
「阿須那さんたちは、自分たちが既に選ばれた存在というのは理解していますか?」

阿須那
「…そらそやろ? 何でアンタ等がウチ等殺してまで聖を奪おうとしたんか、知らんわけは無いで?」


阿須那さんは少し睨む様な目でワザと厳しめに言った。
私はまた胸を抉られる…こんな言い方は、多分卑怯だから。
あの惨劇は、決して忘れてはならない事件。
私たちは当時見えない場所で祈っていたけど、城で何が起こったかは予想出来た。
爆発音、破壊音、そして絶叫。
あの時の苦しさは…皆同じだったはずなのだ。


阿須那
「ウチ等は確かに選ばれた…聖の中でも特別かもしれん」
「せやけど、それを理由に聖はアンタ等を軽視なんかせぇへん」
「もしそれを負い目に感じとんなら、アンタは家族失格やで?」

悠和
「…!?」


阿須那さんの言葉は真っ直ぐに私の邪な心を突き刺した。
私のこれは、ただの嫉妬でしかない。
そして、阿須那さんはそれを察して叱ってくれているのだ。
そんな嫉妬ですら、阿須那さんは優しく諭してくれてる。
私は何て弱いのか…


阿須那
「アンタが聖を独り占めしたいと思うのは当然の欲求や」
「そんなんウチ等かてそうや、せやけどそれはウチ等が勝手に決める事やあらへん」
「それを決めるのは聖や、聖の選択がウチ等の全てや」
「アンタがそれを信じられへんねやったら、それはそこまでやで?」

悠和
「…はい」


阿須那さんは暗にこう言っているのだ…正々堂々戦おうと。
聖様に選んでもらえる様に、自分を磨いて。
そして聖様を信じて、聖様に付いて行く。
それが出来るから、聖様の家族なのだ…


阿須那
「さて、電車来たで? 折角2号店に来てくれる言うんや、今日はサービスしたるからな♪」


阿須那さんはもう笑顔だった。
私は苦笑しながらも涙を堪えて頷く。
そして私は決意する、聖様を信じると…必ず信頼を裏切らないと。
その為には、前を向こう。
そして知ろう…阿須那さんたちがどんな風に戦っているのかを。



………………………



明海
「こすぷれ〜ん2号店へようこそ! こすぷれ〜ん♪ チュッ♡」


明海さんは雨の中、傘を差しながら店頭でお客さんにアピールしている。
何でも2号店用にアレンジしたモーションだそうで、明海さんは最後に投げキッスをして締めていた。
服装は定番と言われるメイド服で、凄く綺麗だ。


阿須那
「とりあえず、カウンターに案内するから中に入り」
「ウチは着替えてすぐ戦場に出るから」


阿須那さんは平然と戦場にとか言った。
とはいえ、見れば解る…この大行列。
既に最後尾が見えない程並んでおり、外国人の人も大勢いた。
改めてこの店は異次元なのだと思わされる。
1号店は見た事あるけど、2号店程大きくはない。
中は倍近くの座席数があり、店員も同様に12人体制と増員している。
基本的な営業内容は同じらしいから、1号店とはコスプレが被らない様にしているそうだ。
つまり、今1号店ではメイド以外のコスプレをやっているという事。
これなら客層が被らず、食い合い難くなるというわけだ。



………………………




「悠っち、こっちへ…」

悠和
「は、はい…凄いですね、これ」


私は瞳さんに案内され、店奥のカウンターに座った。
カウンターの座席は8席…既に半分は埋まっている。
瞳さんはまず、メニュー片手に私に店のルールを説明してくれた。
基本的には1号店と同じで、満席の際には注意か…
私はとりあえずメニューを見てみる。
やっぱり、洋食が多いわね…とはいえ作ってるのはあの風路さん。
間違いなく美味しいはず…これも良い経験にしないと!


悠和
「1番人気のオムライスをお願いします!」


「分かったわ、少し待っててね♪」


瞳さんは笑顔で応対し、すぐに無線で厨房にオーダーを伝えた。
う…何かドキドキする!
私はミネラルウォーターを飲みながらオムライスの到着を待つ。
その中、私は皆の仕事振りを見回していった。



………………………



阿須那
「ワンテーブル、スペシャル入るでーーー!?」


阿須那さんの声と共に店内は大歓声。
一体何事かと思うと、阿須那さんはテーブルに乗っているオムライスの皿にケチャップでハートマークを描いて見せた。
そして、何やら呪文の様な言葉を呟き、最後に投げキッスをオムライスに放つ。
その瞬間、そのテーブルの客は思いっきり喜んで体を震わせていた。
店内は大盛り上がりで、他の客からも歓声があがって場を盛り上げる。


悠和
(す、凄い…このテンションが閉店まで続くの?)


阿須那さんだけでなく、他のメンバーもファンが既にいるのかそれぞれ色んなアピールをしている。
舞桜さんはややドジをしながらも堅実に、水恋さんは元気良く活発に。
李さんは力強く逞しく、祭花さんは可愛く愛らしく。
毬子さんと教子さんも、いつもとはまるで違うメイドの仕事に生き生きとしていた。
明海さんと瞳さんもそう…ここは、私が知らない戦場だ。


悠和
(でも、これが…皆が望んだ仕事場)


人間の店員も含め、皆が笑顔だった。
特に阿須那さんは凄い…間違いなく1番人気だ。
この中で一際異彩を放っている。
噂には聞いていたけど、まるで普段とは別人の様な雰囲気だ。



「はい、お待たせ…オムライスよ♪」

悠和
「は、はい…ありがとうございます」


私はついに来たオムライスに喉を鳴らす。
見た目からして美味しそう。
シンプルな見た目なのに、卵の乗り方が既に食欲をそそる。
私はスプーンを片手にまず、一口頬張った。
そして全身に雷撃を受けたかの様な衝撃を感じる。
こ、これが…あの愛呂恵さんですらショックを受けたと言う、オムライスの破壊力!?

いや、そもそもオムライスとはこんな食べ物だったのか?とすら思える全く別次元の食べ物に感じた。
私もオムライスは作れるけど、とてもこんなオムライスは作れないと断言出来る。
っていうか、本当にオムライスなのこれ!?



「…驚いたみたいね、無理もないわ」
「店員皆が同じ反応してるもの…阿須那さん以外は」

悠和
「…阿須那さんは違ったんですか?」


「まぁ、阿須那さんは以前から味を知っていたみたいだから」
「初めての時は流石の阿須那さんも驚いていたと思うけど…」


ですよね…それ位この味は衝撃的だ。
私は温かい内に全ていただく事にする。
ぐは…ライスの中心に行く程、味の濃さが変わっていく!
人の味覚の裏を突く様なギミックだ!!
こんなの気が付いたら一気に無くなっちゃう!!

結局、5分もしない内に私はオムライスを平らげてしまった。
ぷは…こんなにオムライスで幸せになれるなんて〜♪



………………………



悠和
「…凄かったな、風路さんのオムライス」


私は結局、オムライス一杯に満足してしまい、それから店を出た。
今も外から大歓声は聞こえて来る…これがこの店の通常営業なのだから凄まじい。
皆、楽しそうだな…それに比べて私は。


悠和
(聖様…寂しいよ、やっぱり会いたいよ…)


私は聖様の事を考えて泣きそうになる。
だけど、これは聖様が言い出した事。
私は聖様が好きだから、距離をおかなきゃならない…
でも、やっぱり辛いよ…



「…あれ? アンタ、美代さん?」

悠和
「え…あ、貴方は…万丁、君?」


突然話しかけて来たのは、いつものリーゼント姿の万丁君だった。
万丁君、この辺りに住んでるんだろうか?
透明のレインコートに身を包んでいるも、自慢の髪型は覆えずに雨に濡れている様だった。
私は思わず涙目の瞼を腕で拭いてすぐに表情を戻す。
すると、万丁君はやや訝しげにこう聞いてきた。


万丁
「何かあったのか? その…泣いてたみたいだったが」

悠和
「ううん、大丈夫…これは私の問題だから」


私は強くそう言う。他の人に弱味はもう見せられない。
私は聖様の家族で、聖様を護る兵士。
今は、それで良い…


万丁
「…そうか、それなら良いんだが」

悠和
「万丁君は、この街に住んでるの?」

万丁
「え? あ、いや…今は隣街さ、学校から徒歩15分のマンション」
「今日は、たまたまダチに会いにな…」


そうだったのか。
でも、万丁君の顔は何だか悲しそうだった。
この街には何かあるのだろうか?
それとも、そのダチと言うのが問題なのだろうか?


万丁
「それより、美代さんはどうして?」
「美代さん、確か魔更先輩の家に居候してんでしょ?」


正確には違うのだけど、住所登録の都合上そうしてもらってるのが現状だ。
なので、住民票的には聖様の家と同じとなっている。


悠和
「今日は、先輩の仕事場に来てたの」
「ほら、あの行列の店…あそこで働いてる人が私の先輩なの♪」

万丁
「へぇ…確かあの店、最近出来た店だよな」
「大した先輩だな…あんな繁盛店で働いてるなんて」


やっぱり、万丁君にとってもあの店は凄いらしい。
そりゃそうだよね…あんな行列そうそう見れなさそうだもん。


万丁
「開店時なんてテレビで報道されてたからな…有名喫茶店の2号店オープンって」

悠和
「そ、そうなの? 私あまりテレビ見ないから知らなかった…」


凄い…それじゃあ皆もう有名人なんだ。
だからこんなにもお客さんが来てるのかな?
それとも、やっぱり風路さんがスゴいから…?


万丁
「…さて、俺はもう帰るけど」

悠和
「あ、私も帰るよ…電車なの?」

万丁
「ああ…いや、俺は原付で来てるから」

悠和
「…原付?」


私が?を浮かべてると、万丁君は複雑そうな顔をする。
何で知らないの?って顔だね…
流石にこの世界の物はまだ解りきってないし…
でも万丁君は、別に嫌そうな顔をする事もなく、こう説明してくれた。


万丁
「…スクーターの事だよ、原動機付自転車の略」
「一応16歳だからな、高校入ってすぐに取った」
「金さえ工面出来りゃ、普通二輪取ってたんだが…」

悠和
「スクーター…バイクとは違うの?」

万丁
「バイクは一般的に普通二輪とか大型二輪の事だよ」
「美代さん、成績良いのに妙に当たり前の事知らないんだな?」


私は少し言葉に詰まる。
やっぱり人間世界の常識はまだまだ知らない事だらけだ。
変に怪しまれない様にしないと…


悠和
「ごめんね、私ももう急ぐから」

万丁
「ああ、じゃあまた明日ガッコでな!」


万丁君はそう言って走って行った。
私もそれを見送って駅に向かう。
今度は覚えたから大丈夫。
帰ったら聖様に会いに行こう…少し位、良いよね?
私はそう決心し、駅で切符を買って電車に乗った。



………………………



そうして余裕を見せていたのが運のツキで、私は上り線と下り線を間違えて乗ってしまい、案の定途方に暮れたのだった…
うう…ベタ過ぎる。(;ω;)
もう1度確認して電車に乗って戻るが、聖様は現在お出掛け中で結局会えなかったという…
私は意気消沈してそのまま城の自室に戻り、1度昼寝をして時間を潰したが、寝過ぎて一気に夜に…
結局、その日は聖様に会えなかった所か、夜寝る事も出来なかった…

もしかして、私呪われてる?
きっと神様が私に天罰を下したんだ〜!
そして私はその後気付く事になる…私は致命的に運が無いという事に…










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第3話 『嫉妬の罪 美代 悠和』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/01(水) 22:24 )