とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第3章 『混沌だからって、悪意ばかりじゃない』
第4話
?A
「良い娘の諸君! 我らがフェスティバル空間にようこそ!!」

?B
「いきなり何なんだ!?と思われるかもしれないが、これも一種の運命だから受け入れてくれ!!」


「だ、誰だ!?」


突然、何者かの声がふたつ響き渡る。
俺たちは周りを見渡し確認するが、それはひとつ開けた広場に何故か設置されていた、プロレス系のリングだった。
その上に、ふたりの女性が両腕を組んで立っていた。


白那
「…あれは、ポケモン?」


「…そうね、コスプレ人間とは思いがたいし」
「…ただ、あの格好は何とも言えないわね」


そう、まず最初にツッコミたいのはそこだ。
相手の風貌は、まさに女子プロレスラーのその姿!
片方は赤と黒のレスラー服に、顔はまるで猫…の様なマスクを被っている。
強いて言うなら、縞模様の無いタイガーマスクだろうか?
だが、頭部の耳の部分は大きく強調されており、猫ポケモンだと言うのは何となく解った。

もう片方は赤いマントに白のレスラー服、黄色のブーツを履き、顔には緑色の鳥マスクを被っている。
とはいえ、口元は空いているマスクなので、○リフォンマスクでは断じてない。



「どっからどう見てもプロレスラーなのはよく解った!」
「だが、一体何が目的だお前ら!?」


俺はビシィッ!と相手を指差してそう尋ねる。
すると、相手は微笑しながらこちらを見てこう答えた。


?A
「まずは自己紹介だ! 私はルチャブル!」

?B
「俺はガオガエンだ!!」


相手は大声でそう宣言する。
そして、俺たちは次の言葉を待っていた…


ルチャブル
「とりあえず私たちの目的はひとつ!」

ガオガエン
「プロレスで勝負だ!!」


何でやねん!?と、思い切りツッコミたかったが、ここは抑えておく。
そもそも、これ混沌世界なんだよな?
何かノリが違いません? 前だったらもっとシリアスに緊迫した状況になってたのに…
俺は薄々嫌な予感を抱きつつも、相手は更に話を続ける。


ガオガエン
「とりあえず、ご都合主義だがまずはお前を貰う!!」


「!?」


ガオガエンが俺を指差すと、突然俺は暗闇に襲われる。
その直後、何か鐘の様な物が落下した音がし、俺は意識を失った。



白那
「なっ!? 聖君!!」


ルチャブル
「悪いけれど、彼は預かるわ! だけど安心して、決して危害は加えないから…」


聖君は突然、銅鐸の様な鐘…っていうか、まんまドータクン!?に上から被せられ、そのまま浮遊して連れ去られた。
オレは反射的に構えるも、ルチャブルは優しそうな顔で危害を加えないと、そう約束する。
オレはその顔を見て構えを解く。
どうやら、嘘は言ってない様に感じる。



「…成る程、つまりは賞品って所か」

ガオガエン
「その通り! 試合は明日の予定だ!!」
「ルールは時間無制限のタッグマッチ!! そっちは何タッグ来ても良いが、トーナメントだから多すぎると潰し合いになるぜ!?」
「組み合わせは全タッグ確認してからやるから、精々考えろ!!」


相手は笑ってそう説明する。
今の所、悪意の様な物は感じない…彼女たちは本当にプロレスを望んでるのか?
しかし、だとしたらまずは全員を集めて作戦を練らないと…


ルチャブル
「あくまでこれはプロレスって事を忘れないで!」
「ポケモンの技を使うのは自由だけど、プロレスらしくない行動には反則を取るわよ!?」

ガオガエン
「もちろん反則をやるのも、ヒールなら常套手段だ!」
「明日のリングには観客も入るから、精々罵声浴びない様な試合をするんだな!!」


そう言ってガオガエンはルチャブルに抱き抱えられ、空を飛んで去って行った…
その後リングは消え、ここにはオレたちだけが残される。
オレは息を吐いてとりあえずこう皆に聞く。


白那
「…どうする? 参加したい人…」


当然誰もいない…って言うか、プロレスのルール知ってるの藍位だろうし。
夏翔麗愛はやりたそうだけど、流石に娘を参加させるわけにはいかない。
オレもちょっとプロレスは辛いかな…能力的に反則過ぎるし。


櫻桃
「とりあえず、皆集合して決めた方が良いんじゃないっすか?」

借音
「そうですね…皆に説明もしなければなりませんし」

麻亜守
「む〜! 後10年経てば参加してやったものの!!」


麻亜守ちゃんは拳を握って憤慨する。
本当にやりかねないな…(゚Д゚;)
さて、とりあえずは夏翔麗愛の探知次第だけど…


夏翔麗愛
「…! 見付けたのです!! どうするのお母さん?」

白那
「大まかな距離を教えてくれ! ここに転移させる!」


オレはテレパシーで全グループの座標を受け取り、その場でここに空間転移させた。
全員が突然の事に驚くものの、オレはとりあえず皆に状況を説明する。



………………………



白那
「…という、訳なんだよ」

阿須那
「何やそら? プロレスって、どないすんねん?」

女胤
「流石にルールは詳しくありませんし、私たちでは難しいのでは?」

華澄
「ですが、聖殿が賞品として提示される以上、誰かは出ませんと…」


とりあえず説明はしたものの、皆基本的にはプロレスのルールなんて解ってない。
と、なると…やはりそれなりに体格が良い娘に優先で出て貰うしかないわけだけど。


鐃背
「妾に任せい! こういうのは祭じゃ〜!!」


予想通り、鐃背さんは乗り気だな…まぁ、問題は無いか。
とはいえ相方の問題もあるし、どうしたものかな…?


騰湖
「聖殿の為ならば我も負けられぬ!」


「おうよ! 俺たちでやってやろうぜ!!」


む…早速騰湖ちゃんと鳴ちゃんはタッグ結成か。
流石にふたりは体格も良いし、ルールさえ覚えれば良い勝負になるはず。
トーナメントと聞いている以上、やるなら3タッグ位は出た方が良いだろう。
誰かやる気のある娘が他にいれば良いけど…


鐃背
「よし悠和! 妾と一緒にタッグを組めい!!」

悠和
「え、ええっ!? そんなの無理ですよっ!」


悠和は指名されるが、手を振って無理とアピールする。
だけど、鐃背さんはわははっ!と笑って悠和の背中をバシッと叩いた。
その衝撃で悠和は前のめりによろめき、バランスを崩して戸惑う。


鐃背
「安心せい! これはあくまでイベントじゃ!」
「相手はプロレスでやると言うた以上、それに準じた戦いしかせぬじゃろう!!」
「ならば、妾たちも楽しんでやるのが流儀じゃ♪」


流石鐃背さんだね…もうハナッから楽しむ気満々だ。
とりあえず悠和も諦めた様な表情で項垂れるだけだった。
これで2タッグ…理想は後1タッグだけど。


白那
(…流石に、難しいかな?)


全員を見て思う。基本的に格闘タイプは少ない。
ましてや、トーナメントで味方と当たる事も想定すると、中々踏み切れないだろう。
仮にも伝説のポケモンが3人出場だ、いくら腕に自信があっても勝てるかは解らない。
ましてやプロレスルール…肉体派といえどもタッグの相性もあるからな。


白那
(誰も、立候補は無し…か)


「あの、すみません…ちょっと言い忘れてた事があったので、よろしいですか?」

白那
「ああ…はいはい、ってうわっ!? さっきの、ドータクン?」


オレは振り向いて応対するも、突然のドータクンに驚いてしまった。
他の皆も驚いており、全員がドータクンに注目する。
その姿はまんまポケモンとしてのドータクンであり、人化してる様には見えない。
だが、ドータクンの一部が窓の様に横スライドし、そこから何かを差し出した。
それは人間の手の様で、折り畳まれた紙が握ってあった。
な、成る程…このドータクン、被り物だったのか。


白那
「こ、これは?」

ドータクン
「控え室と試合会場の位置を示した地図です」
「そこは宿泊施設にもなってますので、ご自由にお休みください」
「食事もウチの団体のコックがちゃんと面倒見ますので、ご安心を♪」


ドータクンはくぐもった声でそう説明する。
何気に手厚いサポートだな…ホントに敵意を感じない。
オレがそれを受け取ると、ドータクンはゆっくり浮遊して飛び去って行った。
よく見ると、中はがらんどうの様で、シューズを履いた足がしっかりと見えた。
人化してあんな風になるなんて…ポケモン娘も色々だな。


白那
「とりあえず、今日はまず皆に大まかなルールを説明するよ」
「だから、まずは宿泊施設に行こう! そこでまずは一旦勉強だ!」


皆は返事をし、オレたちはそこへ歩いて向かう。
誰がいるかも解らないし、下手な空間転移はリスクが伴う…
ここは時間もあるし、歩いて向かう方が良いだろう。



「…やれやれ、とんだ休日になったな」


「…そうね、でも」
「…これも、良い思い出になるかもしれないわ」


棗はそう言って軽く笑った。
藍はため息を吐いてその後は何も言わなかった。
オレも、少し考えを改めた。
これは、思い出か…そうかもしれない。
危険があるかは置いておいて、聖君が無事ならこれはある意味アトラクションだ。
向こうの出方は気になるものの、ただプロレスを楽しみたいだけなら、ただの愉快犯。
それも、危害を加える気は一切無いと言う、異例の事態だ。

本来なら、どうすれば元の世界に戻るのかも考えなければならないけど、今は目の前の事態を処理する事からやるべきだろう。



………………………



守連
「ごっはーーーん!!」
香飛利
「わーーーおっ!!」
夏翔麗愛
「豪勢なのですーー!!」
三海
「ムーーー! お腹空いたーーー!!」

白那
「へぇ、ちゃんとした食事だね…」


とりあえず、味見してみたもののそんなに文句は無い。
夏翔麗愛たちは早速食べ始め、もう1食分無くなる勢いだった。


阿須那
「…味はまぁまぁやな」

愛呂恵
「ええ、スタミナや栄養も考えられたメニューです」

風路
「プロレスって言ってたし、やっぱり肉料理はメインね」

櫻桃
「でも野菜もしっかり作ってある、これならクソ主人でも食えそうだな」


コック連中もそれぞれ評価していた。
本来的なら自分で作っているメンバーだから、料理の評論になってるね…
他の皆もそれなりに美味しく食べてる。とりあえずは食事が終わってから勉強だな…
オレはそう思い、ステーキをいただく事にした。
昼食としては重めだけど、少しでもスタミナを意識した方が良いだろう…



………………………



白那
「とりあえず、ここまでが基本ルールだ…何か質問は?」


食事後、施設の一室に皆を集め、オレはプロレスの基本ルールを皆に説明した。
特に質問が来る事はなく、皆へぇ〜という感じであまり関心無い様だった…
オレは流石にちょっと不安になる…


白那
「ほ、本当に大丈夫? 特に騰湖ちゃんと鳴ちゃんは出場する以上、ちゃんと頭に入れておいてよ?」

騰湖
「まぁ、何とかなります…要は勝てば良いのでしょう?」


「殴り合いなら任せとけ! 投げ技位適当でも行けるだろ!!」


ふたりは強気にそう言う…やれやれ、不安だなぁ〜
とはいえ、もう任せるしかないし、後は信じよう。


鐃背
「まぁ基本はOKじゃ、問題は制限時間じゃな…」

悠和
「やっぱり、メガ進化状態で出るつもりですか?」

鐃背
「うむ、相手がどの程度まで反則と捉えるか解らんからな」
「ならば、ここはあえて初めからメガ進化状態で出場し、短期決戦でやるしかあるまい!」


ふむ、確かにプロレスらしくとは言われたものの、どこまでが反則の範囲かは判断しかねる。
もちろん、反則前提でルールを組むのがプロレスでもあるだけに、相手もそれは想定しているだろう。
ましてや相手は専門家、こちらはド素人…間違いなく苦しい戦いになるだろうね。


浮狼
「ですが、相手はあのふたりだけなのでしょうか?」


「そこまで詳しくは言って無かったんですよね?」
「だったら、向こうも複数チームあると思った方が良いんじゃ?」


確かにそういえばそこまでは言ってなかったな。
トーナメントな以上、そうなると数合わせでもう1タッグは用意されていると踏むべきか…


明海
「でも、それなら敵味方2対2で割と公平なんじゃ…?」


「でも、そうなると組み合わせによっては味方同士で戦う事になるかも…」

女胤
「あくまで確認した後に組み合わせは発表すると言っていますし、それに関しては今は置いておくしか無いのでは?」

白那
「そうだね、相手は観客も用意してやると言ってたから、あくまでプロレスとして魅せる戦いも意識しなきゃならないはず」
「それなら、あえて味方同士で潰し合いにするなんて無粋な組み合わせはしないと、オレは踏むよ」


オレの意見に反論は無い。
とりあえず皆納得はしてる様だ。
今は、このままやるしかないだろうな…


白那
「じゃあ、少し休憩して次は簡単に技のかけ方とかを教えるよ」
「あくまで知識として知ってるだけだから、実践となると素人だけど…」

鐃背
「よいよい! そんな物はある程度型になっておれば見映えになる物よ!!」


「そうそう! 要は思いっきりやれば何とかなるさ!!」


不安だなぁ…相手はあくまでプロレスという事を強調してるのが問題なのに。
観客への評価も判定などに影響する可能性は高い。
時間無制限の完全決着式ルールとはいえ、細かい判定ルールはあるかもしれない。
特に、プロレスらしくない行動は反則と言っていた以上、技の使用はかなり制限されるはず…


悠和
「とりあえず、こちらは完全に素人ですし、いっその事開き直った方が良いのかもしれません…」

騰湖
「むしろ、下手に考えた所で良い結果が出るとは限らん」
「聖殿が賞品な以上、我等は全力で勝ちに行く!」
「仲間内とはいえ、これは譲れん!!」


にわかに全員がざわつく…
そう、これはあくまで聖君を取り戻す為の戦いだ。
その意味はことのほか大きい…いつもは何だで聖君には助けられてばかり、だけど今度ばかりはオレたちが自力で聖君を救わなきゃならない。


唖々帝
「で、どうするんだ? 結局、他に出る奴はいないのか?」


「殴り合いには自信があるが、投げ技とかアタシには無理だしな…」

祭花
「そんなの、私なんてもっとダメだし…」

毬子
「私たちも論外だし…」

教子
「出てもどうしようもないもんね…」

借音
「私は万が一の治療役に徹します…何かあれば頼ってください」

麻亜守
「私はとりあえず応援するぞ!」

土筆&未生羅
「私たちも!」


とりあえず皆それぞれに想いはある。
今はこれで行くしかないのかもしれない。
オレは出来る限りの知識を皆に教えよう…後は、信じるだけだ!

その日、オレたちは必至にプロレス技の研究をした。
その甲斐あって、鐃背さんたちと騰湖ちゃんたちのタッグは何とか基本的な技の型は習得し、とりあえず最低限の戦いは出来ると思われた。
後は、明日の試合を待つばかりだ…!



………………………



三海
「ン〜? 何これ?」

白那
「うん? これは…コスチュームだよ、プロレス用の」


次の日、オレは控え室でプロレス用のコスチュームを見付けた。
三海ちゃんが?を浮かべ、オレが持ってるそれを見ている。
三海ちゃんならあるいは優勝も狙えそうだけど、今回は流石に応援に回ってもらうべきだろうね…
やはり基本エスパーの娘にプロレスやらせるのはちょっと…


愛呂恵
「ですが、色々ありますね…マスクも完備とは」


愛呂恵もオレと一緒に色々物色していた。
手には茶色の獣型マスクが握られており、愛呂恵は何か考えている様だった。


白那
「…愛呂恵、今回は流石に無理はしない方が良い」
「君は打撃専門だし、プロレスは不向きだ」
「演出まで…となると、君の場合は特にね」

愛呂恵
「…ですが、私は聖様のメイドです」
「このまま、黙って手をこまねくなど…」


愛呂恵は悔しそうな声だった。
表情には出さなくても、雰囲気に怒りは伝わって来る。
それでも自分で解っているのか、やがて力を抜き、コスチュームをロッカーに戻した。


白那
「…信じるんだ、きっと鐃背さんや騰湖ちゃんたちが取り戻してくれると」

愛呂恵
「…ですが、それでは私たちは聖様の1番にはなれません」
「白那様はそれでも良い…と、お考えですか?」


オレは言葉に詰まる…確かに、その想いが無いわけでは無い。
オレだって出来るならそうしたい…だが、今回は適任者が他にいる。
むしろ、無駄な行動で危険な方向に向かわせる方が今は不必要だ。


白那
「…参加したとしても、その想いが強ければ強い程、潰し合いに拍車がかかる」
「相手が何人いるのかは解らないし、もし1タッグだけとなれば、残りのこちらは多ければ多い程不利になる可能性があるんだ…」

愛呂恵
「…つまり、それは白那様自身が負けを想定していると取れます」
「少なくとも…鐃背さんたちか、騰湖さんたちか、どちらかは負ける…と、考えているのでしょうか?」


オレは無言で顔をしかめる。
それは、かなり深刻な想定…だが、オレは実際不安で仕方ない。
やった事も無いプロレスルールで、あのふたりに果たして勝てるのか?
少なくとも、2タッグはぶつけてみないと勝ちは薄い気がする。
…というのが、オレの今の予想だ。


白那
「…これは内密にしておいてくれ、オレは少なくとも初見で勝てるとは思ってない」
「だが、それでも最後には勝つと信じている」
「聖君への想いは、そんなに浅くは無いはずだから…」

三海
「…ン、白那さん痛いの?」


オレは不安になっている三海ちゃんを見て力を抜き、頬笑む。
すると、三海ちゃんも笑ってくれた。
愛呂恵はオレの言葉で納得した様に目を瞑り、そしてこう答えた。


愛呂恵
「…分かりました、白那様の言葉を今は信じます」
「私は、今回は信じて待つ事に致しましょう」
「三海さん、行きますよ? 今回は応援に徹しますので」

三海
「ン…分かった、応援、する」


そう言ってふたりは控え室から出て行った。
それと入れ替わる様に、鐃背さんたちが控え室に入って来る。
鐃背さんは本当に楽しそうだな…実際楽しむ気満々なんだろうけど。
とりあえず、単純な期待値が1番高いのがこの人だ。
鐃背さんは元々、格闘技が好きらしくよくテレビ中継も見ている。
この世界に来てからもずっと修行してるし、実戦値は間違いなくトップだろう。
タイプ相性で言ってもかなり優位だし、やはり優勝候補だろうね…


鐃背
「ん? さっき愛呂恵たちが出て行ったが、あやつ等は参加せんのか?」

白那
「うん、今回は応援に徹するって…」


オレはあえて詳細は告げなかった。
鐃背さんだと無理矢理にでも参加させかねないからな…
そんな鐃背さんは少し残念そうだった…大会の趣旨が解ってるのか解ってないのか。
…多分、解ってる上で楽しむんだろうなぁ〜


悠和
「とりあえず、ここで着替えれば良いんですかね?」

騰湖
「その様だな、ロッカーに服が入っている」


「へぇ〜これがレスラー服か…基本ハイレグみたいなんだな…」


後から入って来た騰湖ちゃんと鳴ちゃんは、早速ロッカーから自分好みの物を選んでいた。
騰湖ちゃんは白と赤の炎をイメージした服、鳴ちゃんは黒と黄色の稲妻模様を選んだ様だ。
うん、まぁピッタリだよね…そりゃ。
何だかんだでオレたちは、人化してもパーソナルカラーは何となくあるのか、自然とそういう色の服を選ぼうとするんだよね。
作者の都合だとは思うけど、ありきたりと言うか何と言うか…


鐃背
「ふむ…妾はメガ進化前提じゃが、服は大丈夫なのかの?」

悠和
「流石に無理なのでは? っていうより、普段の服はどうなってるんですかアレ?」

鐃背
「妾の服は特別製での、大きくなっても破れない伸縮性があるのじゃ!」


要は○リーザ軍の戦闘服だね…って、そんな素材の服着てたのか。
それならそれを持って来た方が良いんだけど…
流石にそれはそれでプロレスとしては勿体無いかもね。


鐃背
「むぅ、仕方あるまい…選ぶだけ選んで、試合直前に着替えるかの」

悠和
「それしか無いですよね…っていうか、普段着の時にメガ進化しないのって、もしかしてそれが理由ですか?」

鐃背
「そりゃそうじゃろう…進化する度に真っ裸になっとっては、エロゲーみたいではないか!」
「妾といえど、○ューティーハニーみたいに服は再構築出来んぞ?」


そもそも、鐃背さんのメガ進化は何で体格まで大きく変化するのかが、最大の疑問なんだけどね…
まぁ、今更だし野暮な疑問だけど…
とりあえず本人的には専用の服が無いと困る様だ。


騰湖
「とりあえず、翼と尻尾の部分はどうするんだ?」


「いや、これめっちゃ伸びるぞ? 無理やり引っ張ったら何とかなる…」
「わざわざ尻尾用の穴空いてるし、何とかなりそうだ」


そう言って鳴ちゃんは服をびよ〜んと伸ばして無理矢理着ていった。
翼の部分も無理矢理肩口を通しているけど、そこまで窮屈でも無さそうだな。
それを見て騰湖ちゃんも同じ様に着替える。
鐃背さんもポカーンとそれを見ていた。


鐃背
「何じゃ、それなら普通に着替えても良さそうじゃの…」

悠和
「はい、初めからポケモン用と想定されているみたいですね…」


そう言ってふたりも着替える。
鐃背さんは緑と白の風をイメージした服、悠和は銀のみだがキラキラ輝いている服を選んだ。
さて、後は組み合わせの発表か…どうなるかな?
場合によっては裏の手も考えなきゃならないし、まずは相手の出方を待つとしようか…



………………………




「牛丼ひっとつで、さんびゃっくえ〜ん♪」
「はっやいの! うっまいの! やっす〜いの〜…」

ガオガエン
「ほいっ!」


「きっくうっ!?」


俺の牛丼音頭にしっかりとハンマーを脳天に合わせてくれるとはやるな…!
思わず目の前で星が踊ったぜ!
ちなみに今俺がいる所は、ガオガエンさんたちが運営しているプロレス団体の事務所だ。
いつの間に設営してたのか、それとも移動式なのか全く解らないが、とにかく俺はそこの食堂で牛丼を食っていた。
つか、朝から牛丼かよ…結構寝起きには重いな。


ガオガエン
「だははっ! おっ前、面白いな〜♪」


「数少ないこの作品のアイデンティティーですからね…いい加減ストックがキツくて、開幕ネタ考えんのがしんどくなりましたが」


そもそも、頻度がありすぎても問題だよな…
元々本来はギャグ路線(笑)なんだし、もはや数少ない初期のノリは大事にしたい所だ。
俺はそんな事を思いながら牛丼を食べる。
味は悪くないな、その辺のチェーン店と比べても不味くはない。
いわゆるフツーの美味さだな。



「で? 結局そっちの目的は興行なんですか?」

ガオガエン
「そっ、何か知らないけど…いつの間にやら、突然世界を飛ばされる様になってね…今はこうやって辿り着いた世界で毎回興行してる」
「でも今回は何か変な世界なんだけど、ここって何なんだ?」


俺に聞かれても困るんだが…しかし、そうか。
彼女たちは元々世界を渡り歩いてて、今回はたまたまこの混沌に巻き込まれたって事なのかも。
と、なると…まさか、他にも元凶がいるのか?
そう考えると相当不安になるな…だけど混沌の度合いはマチマチっぽいし、今回が前みたいな酷い物じゃ無い事を祈るしかないんだが…



「それで、俺を拐った理由は?」

ガオガエン
「相手には、やる気出してもらわねぇとならんからな! まぁ、悪いけど協力してくれれねぇ?」
「演技してくれとは言わねぇけど、これも客の為だから!」


そう言ってガオガエンさんは両手を合わせて頭を下げる。
まぁ、それは別に良いんだが…俺はとりあえず気になった事を聞いてみた。



「そもそも、お客さんってこの世界にいるのか?」

ガオガエン
「えっ? もう会場には数100人位は集まってるぜ?」


そんなにいたのかよ! どこに隠れてたんだ?
つか、それって人間…なのか?
しっかし、数100人か…モノホンのプロレスだったらチト寂しい観客入りかな?


ガオガエン
「とりあえず10時に開場だから、それまではゆっくりしててくれ」
「俺はルチャブルと打ち合わせがあるからまたな!」
「あ、そうそう! 何か解らないなら、ドータクンに聞けば良いぜ?」
「多分その辺をうろついてると思うから、探せばすぐに見付かるよ!!」


そう言って慌ただしくガオガエンは去って行く。
せっかちな性格だな…あれじゃ耐久が下がってしまうぞ。



「…とはいえ、今の所危険は一切無しか」


俺は空になったどんぶりをテーブルに置き、コップの水を飲んで喉を潤す。
そして、ポケットからスマホを取り出し、俺はこう尋ねた。



「戦いの結末は?」

恵里香
『生か死だけだね♪』


恒例のネタをかまして俺は満足する。
とりあえず恵里香もそれほど深刻とは思ってない様だな。



「とりあえず、他の元凶の可能性は?」

恵里香
『何とも言えないね…ボクにもそこは解らない』
『ただ、思ったよりもこの世界は平和なんじゃない?』
『それこそ、争いなんて特に無い程に…』


恵里香はあっけらかんとした風に言い放つ。
俺はそれを聞いて頭を掻く。
本当にこの世界はそうなのか?
だが、ガオガエンさんたちスタッフは何も危機感は出していない。
むしろ、どうやって皆を楽しませようか?と、前向きな感情しか放ってなかった。



「…つまり、この世界のクリア条件はプロレスするってか?」

恵里香
『今はそれしかないかもね…でも、それはそれで良いんじゃない?』
『本当にそれでクリアなら、今後の混沌への攻略基準のひとつになるんだし』


確かに、もしそれがクリア条件なら、今後の混沌でも似た様なクリア基準が想定出来るという事だ。
とりあえず、今は皆を信じてプロレス見るしかないな…
俺はそう思ってスマホを仕舞い、どんぶりを洗い場に持って行ってその場を後にする。



「さて、とりあえず自由ではあるものの、施設からは出るなと言われてるからな…」


俺はとりあえず食堂から出てドータクンさんを探す事にする。
その辺をうろついてると言ってたから、その内出会うだろ…



………………………




「…へぇ、何て言うか結構本格的にスタッフはいるんだな」


しばらく歩いていると、様々なポケモンが働いていた。
今も試合開場でセッティングしているらしく、事務所のここも控え室を兼任してるだけにドタバタみたいだ。



「あの、どうかしましたか?」


「おわっ!? ド、ドータクンさん!?」


突然、俺の横から声をかけるドータクンさんの姿。
まんま本物のドータクンと同じ姿で俺の横にいた。
ゆらゆらと浮遊しており、俺を確認してゆっくり地に足を着ける。
って、足があるって事は…



「もしかして、中に入ってるんですか…それの?」

ドータクン
「はい、これが私のドータクンらしさ…みたいなので」


ドータクンさんはくぐもった声でそう答える。
悠和ちゃんの鉄仮面とはまた違ったインパクトだな…
こっちは視線も解らないから、感情も解らないが。
って言うか…ある意味どこぞのメジェド様みたいな感じと言えば解り良いか。



「ちなみに、どうやって前見てるんですか?」

ドータクン
「一応、エスパーですので…普段は幻視して見てます」


成る程、棗ちゃんと同じ仕組みか。
とはいえ、こっちは目を開けてても見えないからだが…
俺は軽くそのの被り物を触ってみた。
硬いな…本当に銅とかで出来てるのか?



「これ…何で出来てるんです?」

ドータクン
「青銅ですよ、重さは40kg位ありますね」


俺はギョッとする、結構な重さじゃねぇか…
見た目以上にパワーあるのかもな…大きさも高さ180cmはあるし、中の人間は出てる足を含めても俺と変わらない位の身長かもしれない。



「そういえば、ドータクンさんは何してるんですか?」

ドータクン
「私は各スタッフに指示を出してます」
「一応、この団体のマネージャーなので…人数は少ないですけど」


マネージャーだったのか…それは驚きだ。
てっきり選手のひとりだと思ってたが、そういうわけじゃないんだな。



「ガオガエンさんやルチャブルさんたち以外にも選手はいるんですか?」

ドータクン
「そうですね、まだまだメインにはなれませんが、何人かはいますよ?」
「でも、今回出るかは未定ですね…出ても数合わせになると思いますし」


「数合わせ?」

ドータクン
「はい、相手のタッグ数が不明ですので、奇数になる様なら一考するつもりです」


成る程、トーナメントなのに奇数だったら面倒だもんな…
別にタイトル戦というわけでも無さそうだし、シードを作るのは流石に物議を醸すだろうし。



「じゃあ、結局ガオガエンさんとルチャブルさんのコンビがメインって事か」

ドータクン
「はい、うちの花形ですから♪ ヒールとベビィのタッグは異色ですし、結構人気はあるんですよ?」


そりゃ確かに異色だな…役割とかどうなってるんだろ?
日本では基本的にベビィとヒールは別れて勧善懲悪のシナリオが人気だったって聞いた事あるけど…


ドータクン
「聖さんも楽しんでくださいね? 私たちもお客さんが喜んでくれる様に頑張りますから♪」


くぐもった声だが、ドータクンさんはとても楽しそうだった。
声からちゃんと感情が伝わって来る、彼女もプロレスが好きだから頑張るんだろうな…
俺は思わず頬笑む…この世界は、本当に平和であれば良いな。
俺はとりあえず初めてのプロレス観戦に少し期待していた。
生で見るのなんて貴重だからな、さてどうなるかな?


ドータクン
「それでは、私はここで…聖さんも部屋で待機していてください」
「もう少ししたら打ち合わせに入りますので、その時は聖さんも参加をお願いします」


俺ははい、と答えてドータクンさんを見送った。
ドータクンさんはゆっくりとしたスピードで浮遊して行き、他の場所に向かう。
忙しいんだろうな…マネージャーって大変そうだし。
さて、俺も言われた通り部屋で待ってよう…迷惑かけるわけにはいかないしな。



………………………



ドータクンさん
「観客動員数は計312人、内半数以上はポケモンですね…」

ガオガエン
「あれ? 珍しいな…いつもなら人間の方がメインなのに」

ルチャブル
「まぁ、そういう事もあるんでしょう…私たちが世界を選ぶ事は出来ないんだし」
「とりあえず誰が相手でも観客は観客、全力で楽しませるだけよ!」


不思議がるガオガエンさんに対し、ルチャブルさんは改めて気合いを入れる。
それを見てガオガエンも気合いを入れ直し、クク…と笑った。
時間的にもうすぐ入場だ、そして組み合わせを発表して戦いは始まる。


ドータクン
「とりあえず、聖さんは人質という設定ですので、柱に括りつけてリングの外にて見守ってもらいます」
「演技の指導はしませんが、それなりに緊張感だけは持っていてください、相手に危機感を与える為の演出ですので」
「やらせとバレて白けるのは興行的には最悪ですから」


それは何気に重要だな…観客的にはあくまで俺は人質で、それを取り戻す為に俺の家族が向かって来るっていうのがシナリオだ。
一応、真剣に取り組もう…これもある意味仕事だからな。
俺はドータクンさんに案内され、準備に入る。
さぁ、後は開場を待つだけだ!



………………………



ガオガエン
「レッディーーース! アンド! ジェントルメン!!」
「今日集まってくれた連中には心から感謝する!!」
「とりあえず、俺たちの技で血の雨に染めてやるぜ! 覚悟しとけよ、カッ!!」


ガオガエンさんはマイクパフォーマンスで、まず観客に中指を立てて舌を出しヒールさをアピールする。
それに歓声やら罵倒やらが混じり、ガオガエンさんは舌を出したまま親指で首をカッ切るアピールをした。
場は一気に盛り上がり、続いて俺はルチャブルさんに括りつけられた木の柱ごと肩に抱えられて入場。
それをルチャブルさんは会場の目立つ所に立てる…
ちなみに試合会場は外で、本日は暑い位の晴天。
会場の熱気もあってか、かなり気温だ。
くっそ、汗が拭えないのは少し気持ち悪いな…水分はあらかじめ取らされてるとはいえ、熱中症には気を付けないと…


ルチャブル
「さぁ、後は相手待ちよ! 誰が先に来るのかしら!?」


「妾たちじゃ!!」


高らかな声と共に現れたのは、何とメガ進化済みの鐃背さんと悠和ちゃんだった。
鐃背さんは解るけど、悠和ちゃんは意外だ…こういうのにはあまり自分から参加はしたがらなさそうだったけど。


悠和
「は、はう…本当にお客さんがこんなに」


予想通りテンパってるぞ…大丈夫なのかこのタッグ?
悠和ちゃん実力はあるかもしれないが、プロレスとか流石に無理なんじゃないのか?
だが、ある意味鐃背さんがバカ強いからバランスは取れてるのかもな…ワンマンって感じで。



「我々もいるぞ!!」


次にゆっくりと歩いて来るドラゴンふたり。
間違えるはずもなく騰湖と鳴だ…例によっての禁伝コンビか。
つか、何つードラゴンゲーだよ。
まぁ、格闘タイプなんて李さん位だし仕方ないわな…
その李さんもどっちかというとボクサースタイルだし、プロレスは不向きだろう。



「とりあえず来てやったぜ!? 聖は必ず返してもらう!!」


鳴は何気にマイクを持っており、ガオガエンさんたちを指差してアピールした。
その姿に観客はヒートアップし、激闘必至の構図が出来上がりつつある。
そして、それに続くタッグは無く、どうやらこの2組だけの様だ。
奇数か…となると、団体側も出すのか?


ガオガエン
「よし! だったら、こっちももう1組紹介だ!」
「団体ん中じゃまだまだ若手だが、ヒールタッグとしては中々有望だぜ!?」
「出て来い! 『ブラックナイブズ』!!」


ガオガエンさんが大声で呼び付けると、上空から突如ふたり降りて来る。
ドータクンさんが『テレキネシス』であらかじめ飛ばしていたらしく、これも演出との事だ…
しかし、ヒールタッグって言ってたけど、ふたりとも黒と白のストライプ模様のレスラー服を来ており、マスクも被っている。
特に片方のマスクは露骨にキリキザンの頭を模しており、口元は空いているものの、見た目でバレバレの種族の様だった。
その相方は逆にモヒカンが目立つ露骨なズルズキン。
マスクは被ってないが、ハイレグ系のレスラー服はズルズキンとしてどうなのかとは思ってしまった。



「面白ぇ! これで2対2ってわけだ!!」

騰湖
「数が増えた所で結果は変わらん! 我等が優勝は間違いないからな!!」


騰湖は堂々と優勝宣言し、ブラックナイブズに睨まれる。
露骨な演技なんだろうけど、迫力は抜群で、流石にプロだなと思わせられた。
観客も更に大声で歓声をあげ、今か今かと煽り立てて来る。
そして、一触即発と思われたその瞬間…別の声が上空から放たれた。


?A
「待った!! まだタッグはここにいるよ!?」

?B
「後れ馳せながらも参上!!」


ブラックナイブズと同様に上空から降って来たタッグ。
このタイミングでまさかとは思ったものの、その姿はまさしく俺の知っている家族の姿だった…


キリキザン
「な、何者だ!?」

?A
「私は、マスクドピカチュウ!」

?B
「私はマスクドケンホロウよ!!」


うわ、姉さん何やってんの…? つか、ノリノリじゃないの!
俺はこの時密かに思い出す…そういえば、姉さん子供の頃からプロレスとか好きだったなぁ〜って。
守連に関してはよく解らないが…アイツ、プロレスとか出来んのか?
ふたりともそれぞれ自分の種族を意識した様なカラーのレスラー服を身に纏っており、ついでにマスクも被っている。
姉さんも今回は髪を首下でお下げにして纏めており、あくまでマスク選手としてやる気の様だ。
ガオガエンさんは少々鬱陶しそうな顔をし、こう守連たちに告げる。


ガオガエン
「おいおい、乱入は結構だが数合わせが悪いぞ? 同士討ち前提になるが良いのか?」

Mケンホロウ
「同士討ちは別に構わないわよ? 後、数合わせならそちらの弱そうなタッグにはご退場願いましょうか?」


事もあろうに姉さんはどこぞの悪魔超人みたいな挑発をする。
もしかしてヒール設定なのか? だとしたら似合わなさすぎるが…
そして、それを聞いてブラックナイブズは露骨に怒りを露にする。


キリキザン
「上等だ! まずはテメェ等から地獄に叩き落としてやる!!」

ズルズキン
「オラオラァ!!」


ブラックナイブズはふたりで息を合わせて突っ込んで来る。
それを見て姉さんと守連は軽く息を吐き、迎え撃つ体勢に入った。
まずはキリキザンが姉さんに、隠し持っていた凶器で襲いかかる。
小型のナイフの様だが、不意打ちにも程がある。
だが姉さんはそれを冷静にパーリングで捌き、すかさず背後に回ってキリキザンの首と両腕をロックして回転を始めた。



「ゲェーッ!? あ、あの技はーーー!?」


姉さんはその回転を利用してキリキザンを空中に高く放り投げる。
そして空中には既に守連が待ち構えており、守連はキリキザンの両手両足をロックし、ロメロスペシャルの体勢で落ちて来た。
そして、その一瞬に気を取られたズルズキンはいつの間にか姉さんに捕まり、こちらも即ロメロスペシャルの体勢に固められる。
そして、そのまま守連たちが落ちてくるのを待ち構え、完璧な構図でキリキザンとズルズキンは互いの体を勢い良く衝突させた。



「地獄の○ンビネーション!!」

キリキザン
「ぎゃぁーーー!?」
ズルズキン
「ぐわぁーーー!!」


ブラックナイブズはいとも容易くのされ、新たなタッグの強さを引き立ててくれた。
それを見てガオガエンさんはククク…と笑う。
そしてルチャブルさんはため息をひとつ吐いて、こう宣言した。


ルチャブル
「とりあえずふたりの参加を認めるわ! そして組み合わせ発表!!」
「第1試合は…って、タッグ名無いから適当に決めるわよ!?」
「レックウザ&シルヴァディとマスクドタッグ!!」
「第2試合が私たちファイヤーストームズと白黒ドラゴンズ!!」


本当に適当だよ! ってか、皆そういうのは決めてなかったんだな…
姉さんなら何かしら考えてそうだったけど、特にツッコム気は無い様だ。
っていうか、姉さん顔がマジすぎる…確か姉さんって闘争心の特性だったっけ。
こういう時の姉さんは間違いなくバカ力だからな…とんでもない事になりそう。
つーか、あんな簡単にツープラトン決めてみせたんだから、守連も相当だな…


鐃背
「ほう…面白い、一番手とは助かるわ!」

Mピカチュウ
「悪いけど私たちは負けない…」

悠和
「う…何でこうなるのかな?」

Mケンホロウ
「まぁ、諦めてね? 流石にプロレスなら勝たせてもらうつもりだから!」


やる気満々の鐃背さんに対し、悠和ちゃんは珍しくビビっている。
さっきの戦い見たらまぁ仕方ないかもな…次に自分がアレ食らうと想像したらそりゃ怖じ気づきもするだろう。
つーか、どうなるんだこの試合?


騰湖
「ふ…一番手で本命を倒せるとはな、名誉な事だ」

ルチャブル
「…ふぅ、あまり舐めない事ね」
「口は達者だけど、プロレスはあくまで観客に喜んでもらう為の物」
「自分本意な戦いをする様なら、惨めな姿を晒す事になるわよ?」


「へっ、要は力比べだろ? それなら俺が負けるとは思えねぇ!」
「せいぜい呆気ない負け方は勘弁してくれよ?」

ガオガエン
「はっ! 口だけじゃねぇ事を祈りたいモンだな?」
「こちとら早くぶっ殺したくてウズウズしてんだ! 今更後悔しても遅ぇぞ!?」


騰湖に対し、あくまでクレバーなルチャブルさん。
そして鳴に対し、今にも襲いかかりそうなガオガエンさん。
ふたりは対照的な演技でベビィとヒールを演じる。
その姿は演技とは思えない程迫真であり、ふたりのプロ意識を強調していた。
多分、皆これが演技だとは思ってないんだろうな。
だけど俺は知っている…これはあくまでシナリオ上の演技なのだと。
ガオガエンさんたちは、リングの外ならただの良い人たちなのだ。
だからこそ凄い…これがプロなのだと俺は改めて感じる。
騰湖たち、間違いなく苦労するだろうな…


アナウンサー
「さぁ、いよいよ組み合わせも決まり、試合開始が待たれます!」
「実況は私、団体お抱えのぺラップがお送りいたします!」
「なお、今回解説席にはかの伝説のパルキアこと、白那さんにご同席いただいております!」

白那
「どうも、よろしく〜♪ とりあえず初めてだけど頑張るよ…」


白那さんが解説かい!
まぁ、ある意味似合うだろうけど…これもプロレスか。
実況のぺラップは普通の女子アナみたいな風貌で、一体どんな実況やるのか…?
しかし、そういやリングはどうする気なんだ?
ここには無いけど、一々移動する気か?


ガオガエン
「よっしゃぁ!! とりあえず行くぜ!?」


ガオガエンさんは両手の人差し指を真上に立て、それを天高く振り上げる。
すると、突如として『何故か』地面からリングがせり上がり、たちまちに戦う舞台は整ってしまった…
リング召喚かよ!! 便利だなガオガエンの能力(!?)
そして、皆の驚きの声の元、姉さんたちは先にロープを飛び越えてリングに上がる。
それを見て、鐃背さんたちも同様にリングに上がった。
さぁ、まずは第1戦…果たしてどうなるかな?










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第4話 『夢のポケモンタッグトーナメント編! の巻』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/26(金) 10:25 )