とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない














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第3章 『混沌だからって、悪意ばかりじゃない』
第3話
夏翔麗愛
「げっつかーすーいもーく○ーンにーくマーン!」
「きーんどーにーちは遊びたい、ヤッホー!」


「ヤッホー!!」


さて、突然だが俺たちは今遊園地にいる。
何故って? 話せば長くなるので割愛するが…
強いて言うなら、大分前に棗ちゃんが行きたいって言ってたからだ…
まぁ、詳しくは前作を読破してくれ!!

…とはいえ、流石に家族全員で行くとなると、かなり大所帯。
なので、流石に今回はグループ分けして突入という形にしてある。
まぁ問題さえ無ければ、それで良いんだがな…



「とりあえず、こっちのグループは?」


「…私たち家族に、櫻桃、借音さん、麻亜守ね」


「やれやれ…まぁ、たまには息抜きに良いか」

夏翔麗愛
「初めてだから、スッゴい楽しみなのです!!」

白那
「あはは…まぁ、今日は楽しもう♪」

櫻桃
「遊園地ねぇ…まぁ、やっぱりどっちかって言うと子供向きな施設だよな〜」

借音
「はい、麻亜守には良い思い出になりますね♪」

麻亜守
「おお〜! 何か凄そう〜!!」


各員、それなりに楽しみな様だ。
なお、今回の遊園地は割りとありきたりな場所で、特に有名所というわけでも何でもない。
とはいえ、一応1日フリーパスを買ったので、今日はトコトンまで遊ぶつもりだ。
今は連休というわけでもないし、そこまでモロ混みって程でも無いのがありがたい所か。
まぁ、その方がトラブル少ないのも事実だし…



………………………



阿須那
「とりあえず、点呼!」

守連
「1♪」

華澄
「2」

女胤
「3」

愛呂恵
「4」

三海
「5〜」


とりあえず、こっちのメンバーはこれだけやな…?
聖が白那はんの所に行ったのはやむ無しやが、とりあえずウチが家族の面倒見たらな…

どうにもここん所、ウチも影薄いしもう少し活躍しとかんと…


華澄
「阿須那殿、どうするでござるか? 流石に、拙者たちだけでは勝手が解らないでござるが…」

阿須那
「基本的に、このフリーパスの証を見せたら、アトラクションには全部乗れるで?」
「とりあえず、全員はぐれん様に気ぃ付け…特に三海! 勝手に動くのは絶対アカンで?」

三海
「ンー…解った」

愛呂恵
「では三海さん、はぐれない様に手を…」


用心の為、愛呂恵は三海の手をしっかり握る。
とりあえず、愛呂恵に任せておけば三海は大丈夫やろ…

で、もうひとりの問題児にも、ウチは注意を促す。


阿須那
「守連も尻尾とか気付けぇよ? そこまで混んでへんけど、並んでる時とかは当たる事も多いやろから…」
「迂闊に電撃かまして、殺人事件でも起こったら即お巡りやからな!?」

守連
「う、うん…それは特に気を付けるよ〜…」
「でも、やっぱり楽しみ〜♪」


守連は冷や汗を滴しながらも不安になるが、すぐに嬉しそうな表情をする。
何だで心底楽しみみたいやな…まぁ、気持ちは解るが。
こんなアミューズメントスポットは、生まれて初めてやろうからな…


女胤
「しかし、よりにもよって聖様が別のグループとは…!」

阿須那
「我慢せぇ女胤…これは聖が決めた事やで?」


そう、今回の企画は、あくまで棗の希望や。
それも、それを聞いたんはあの夢の世界での出来事…
ウチはそれを聞いた時点で、一切反論はせぇへんと決めた。

あんな地獄味わったんや、こん位優遇されても構へん。
聖も身近な所におったんやし、叶えられる希望はなるたけ叶えたかったんやろ…
せやから、聖は今回白那はんたちと同じグループなんや…

ウチはそんな事を思い、少し暗い顔をした。
そんな中、守連がウチにこう聞いてくる。
ウチは気を取り直し、いつもの調子を取り戻した。
切り替えは肝心や…今日はしっかり楽しまんとな!


守連
「とりあえず、どれから行く?」

阿須那
「うーん、悩み所やな…ウチ等が絶叫系とか乗るのもなぁ」

華澄
「確かに…そもそも自力で出せかねない速度を、わざわざ乗り物で体感するというのも」

女胤
「ですが、空を飛べるわけでは無いのですし、あの様な回転や捻りは中々新鮮なのでは?」

三海
「ン〜皆、飛びたいの?」

愛呂恵
「…三海さん、ここは抑えてください」
「人前ですので、超能力は基本禁止です」


やれやれ、確かに三海にかかったら、飛行体験もあっさりやからな…
まぁ、とりあえず乗るだけ乗ってみるか…何事もチャレンジやろ。


阿須那
「ほな、まずはジェットコースターに行くで! 皆はぐれるなや!?」

一同
「おー!」



………………………



騰湖
「さて、我としてはこの回転木馬が良さそうなのだが…」

喜久乃
「それ、完全に別ベクトルの目的ですよね!?」


「騰湖らしいけどな…まぁ、俺は何でも良いぜ?」

舞桜
「結構広いし、色々あるよね〜」

水恋
「うーん、スピード系ってのも悩ましいかな…」

神狩
「…任せる、私は付いて行くから」
「でも、周りには気を付けて…特に騰湖と鳴は」


確かに、他の客は決して多すぎはしないものの、それでも人混みは危険だ。
翼は何とか体を覆う様にして畳めるものの、我らの尻尾は柔軟性が無さすぎるからな…
上手く方向だけ変えて凌ぐしかあるまい。



「やれやれ、とりあえずどうするんだ? 希望無いならあの回転木馬行っとく?」

喜久乃
「メリーゴーランドですね、まぁ無難は無難でしょう」
「…子供向けにも程があるアトラクションですけど」

騰湖
「お前は十分子供だろう…それに、別に大人が乗ってダメな訳でもない」


我はそう言ってパンフレットに目を通す。
写真には、子供連れの大人が一緒に乗っている物があり、どちらかと言うとそういう目的のアトラクションなのだと言うのが自ずと読み取れた。

まぁ、我の期待には到底答えられんだろうが、物は試しだ。
人間がどんな物を楽しんでいるのか、興味はあるからな。


舞桜
「まぁ、私は別に構いませんよ?」

水恋
「時間あるんだし、乗りほーだいだし、折角だから片っ端から行こうよ!」

神狩
「…任せる」


とりあえず、回転木馬に決まりだな…
あの横回転と縦揺れ…果たしてどんな快感が!?

我は少しだけ楽しみにしながら、全員を連れてそこへ向かう事にした。



………………………



鐃背
「で、こっちはこの面子か…」

香飛利
「わ〜、賑やか〜♪」

明海
「今日はよろしくお願いしますね♪」


「はい、こういうのも楽しそうです」

毬子
「うーん、どれから行くか迷う〜」

教子
「とりあえずどうしようか?」

悠和
「…まずは、近い所から行ってみては?」


改めて見れば、全員未成年と比較的若い連中じゃな。
とりあえず、ここは目上として、しっかり妾が見ててやらねば!
とはいえ、流石に妾としてはあまり勝負事に関わらんアトラクションは何とも言えんの…

まぁ、皆は楽しみにしておるし、妾も皆と一緒ならどんな物やぶさかではない。
ここは、大人の態度でしっかりと引っ張るとしよう!


鐃背
「とりあえず、意見が纏まらぬならアレから攻めい」


妾はすぐ近くのお化け屋敷、とかいうのを指差した。
要はゴーストの類いが出て来るのじゃろうが、本当に出るのか?
流石の妾も人間の幽霊は見た事無いが…はてさて?


香飛利
「うう…何か怖そう〜」

毬子
「そりゃ怖がらせるのが目的だからね〜」

教子
「うーん、ちょっと興味はあるかも…」


臆病な香飛利は露骨に嫌そうな顔をしたの…
毬子と教子も興味はあるものの、不安そうな顔はしておるか。

まぁ、行くかどうかはさておき、このままじっとしておっても仕方無い。
それならそれで別の案を出さねば…


明美
「とりあえずそこにしましょ! 何事も経験経験♪」


「そうね、もしかしたら何か得られる物もあるかもしれないし」

悠和
「私は異存ありません」


ふむ、明美の意見でとりあえず纏まった様じゃの。
妾もうんうん、と頷き、皆を率いてそこに向かう事にする。
さてさて…一体どんなアトラクションなのかの〜?



………………………



風路
「それじゃ、皆ちゃんといる?」

浮狼
「はい、全員ちゃんといます」

唖々帝
「問題無しだ」


「土筆、未生羅、大丈夫?」

土筆&未生羅
「はい、久し振りの出番ですけど大丈夫!!」


いきなりメタな話ね…とはいえ、ホントに全員の出番作るのって大変らしいのよね〜
今回は何気に全員登場の大型回だし、セリフ自体久し振りな娘も相当多いはず。

ちなみに、遊園地は私も何気に初めてであり、ちょっと楽しみだった。



「なぁ、この服大丈夫かな?」

祭花
「うん、大丈夫似合ってるよ♪」


ふたりは服のチェックか…李ちゃんは結構バストあるから、半袖のポロシャツ一枚は結構目立つわね。
ちなみに私も聖と同様に、今回は偽装対策の薬を飲んでるから、皆の本来の姿が見えてる状態ね?

李ちゃんはとにかく上半身が太めのケケンカニだから、人間として見ると少し圧巻…
特に腕は物凄い筋肉で、流石は格闘タイプね。
身長は150cmちょいでボーイッシュな短髪だけど、パワーに溢れる体格だわ。

逆に祭花ちゃんは身長120cmと小さすぎる位小さい。
このメンバーでは1番小さいし、こっちもかなり目立つ…
祭花ちゃんの服は、タンポポの花が沢山描かれてるTシャツを着ていた。
更に短めのスカートは黄色で、髪も黄色のセミロングと黄色多めな所はアブリボンらしさがあるわね。

本来は背中の羽で飛べるんだけど、流石にここは控えてもらっている。
祭花ちゃんも、仕事でそれなりに体力が付いてきたし、今では長時間歩くのも慣れてきた様だ。


浮狼
「風路殿、まずはどこへ行きますか?」

風路
「そうね、皆はどこが良い?」


「アタシ等は任せるよ、勝手が解んないし」

土筆&未生羅
「お任せします♪」


杏ちゃんたち三姉妹は笑ってそう言う。
うーん、長女の杏ちゃんは180cm以上の長身、バスト90のナイスバディと、改めて見てもスタイル抜群よね…
あえてチャイナドレス風の黒服を着ているのは謎だけど、本人はお気に入りらしいし、まぁ別に良いのかな?

だけど、彼女の特徴で目立つのは、やはり斜めに伸びている大きな2本角…って言うか触覚?
虫タイプだし普通は触覚なんだろうけど、メガホーンに使うんだからやっぱり角なのかな?

土筆ちゃんと未生羅ちゃんも、姉妹らしく同じ様に2本角がある。
髪型も姉と同じく長髪でスラッと腰の下まで伸びている。
ただホイーガと言う種族上、両肩や両腰、両足首等に棘の様な物が出ており、やはり多少の異形感はある。

更に額や首に赤い丸の模様もあり、この模様は腹や背中に至るまで、規則正しく並んでいた。
人間からすると刺青の様にも見えるから、知らない人がいきなり見たら、ちょっと驚くかもしれないわね…

両者共に身長は140cm程で、服は姉と同じくチャイナドレス風の服。
色は土筆ちゃんが灰色で、未生羅ちゃんが薄紫。
基本的に姉妹は仲が良く、妹ふたりは姉の真似をするのが好きなんだそうだ。


唖々帝
「だったら、アレはどうだ?」


唖々帝ちゃんが指差したのは、最近流行りのシミュレーターライドだ。
今やってるのは…恐竜とかに襲われるタイプの奴ね。
唖々帝ちゃんは意外にも結構楽しみにしてる様だ。

唖々帝ちゃんはクワガノンの特徴がかなり強く、口元の角が特に目立つ。
背中にも2枚の羽が着いており、その羽はほとんど動かさずとも自由に浮遊出来るのが最大の特徴。
服は動きやすさ重視で、深緑のタンクトップと黄色のズボン。
髪は深緑で肩の下まで伸びる位のセミロングだ。
身長は160cmで、バストは80ちょっとかな?
体付きも悪くなく、杏ちゃんや李ちゃん程ではないけど、十分逞しかった。


浮狼
「風路殿、どうしますか?」

風路
「うん、良いんじゃないかな? 時間はまだまだあるし、まずはそれで行ってみましょう♪」


特に反論する必要も無いし、それで行く事に。
こうして、私たちは最初のアトラクションに向かう事にした。
聖君たちも楽しんでいるだろうし、私も楽しまないとね♪



………………………




「さて、それじゃ何から攻める?」

夏翔麗愛
「うぬぬ…ジェットコースターに乗るには、身長が足りないとはぁ〜」


「つか、浮遊出来る俺様たちが、あれ乗っても楽しめないんじゃないのか?」

夏翔麗愛
「そこはビビり共の悲鳴をオカズにして楽しむのですよ!!」

白那
「あ、はは…お願いだから、暴走しないでね夏翔麗愛?」


夏翔麗愛ちゃんはサラリと変な事を言いのける。
まぁ冗談なんだろうけど、夏翔麗愛ちゃんもネタ成分は何気に強いよな…

今日は夏翔麗愛ちゃんと棗ちゃんはそれぞれ赤と黄色のワンピースを着ている。
藍は青の半袖と短パンでボーイッシュ系。
白那さんはいつも通りの白のタンクトップとズボンだな。
櫻桃さんも、いつもよく見る黒のTシャツとズボン。
借音さんはややフォーマル系の白ドレス、麻亜守ちゃんは白のTシャツとスカートだ。
ふたりとも髪は短めでややボーイッシュだが、雰囲気からそうはとても思えない。

俺も定番の白Tシャツと紺のジーンズだし、まぁフツーって事で。


櫻桃
「ゴーストタイプがゴーストハウスってのもな…」

借音
「あら、反って面白いんじゃないですか? 新鮮で…」

麻亜守
「の〜みそくれ〜」


あえて○タリアンかよ!? つーか麻亜守ちゃん何気にネタの幅が広いなっ!

しかしゾンビ系か…まぁ、今はVRとかもある時代だし、そっち系もあるにはあるのか?
とはいえ、白那さんたち的にはゾンビはどうなのか?
…間違っても、○タリアン系の楽しそうなタイプは無いと思うが。


白那
「オレは任せるよ、でも出来れば娘たちの優先で」


「なら、俺様も任せる…姉さんは?」


「…じゃあ、観覧車」


とりあえず、その決定に誰も反対はしなかった。
とはいえ、1発目から観覧車か…まぁ、今回はあくまで棗ちゃんがメインなんだし、楽しんでもらえれば何でも良いんだけど♪

こうして、俺たちは当面の目的を決める。
後はパンフを見ながら歩くだけだ…
白那さんは本当に幸せそうな顔で、棗ちゃんや夏翔麗愛ちゃんの手を引いて歩いていた。

藍は流石に恥ずかしいのか、やや退いた位置で歩いているが、櫻桃さんがすぐ横でニヤニヤしてそれを見ていた。

借音さんと麻亜守ちゃんも、楽しそうに手を繋いで歩いている。
ふたりは血も繋がっていない親子だけど、それでもとても信頼は強い親子なのだと見て思える。

そんな中、俺は先頭を歩いて皆を先導していた。



………………………




「えっと…人数は8人か、とりあえず4人づつにしましょうか?」

白那
「ん…じゃあオレは棗、夏翔麗愛と一緒に」
「藍は櫻桃たちとで良いかな?」


「ああ、構わないか櫻桃?」

櫻桃
「まぁ、しゃあないっすね…じゃ聖はそっちに譲るっす」

借音
「ふふ、楽しみね♪」

麻亜守
「お〜でっかい〜♪」


とりあえず、先に櫻桃さんたちが4人で乗った。
俺たちは、その次のに乗り込んでいく。
そして、ゆったりとした観覧の時間が始まった…



………………………




「何気に初めてなんだよな…遊園地」

白那
「そうだったんだ…じゃあ、ちゃんと思い出作らないとね♪」

夏翔麗愛
「お母さん、今なら誰にも見られずに子作り出来るのですよ!?」


「…止めなさいっ、そういう思い出を作ってどうするのよ!」


夏翔麗愛ちゃんはネタで言ってるのか、本気で言ってるのかが解らないな…
とりあえず、やる気は毛頭無いが。


白那
「はは…まぁ、聖君が望むならオレは構わないけどね?」


「望みません…初見から野外とか挑戦的すぎるわっ」

夏翔麗愛
「…そろそろ、この辺りから○エローテンパランスが…」


「…無いからっ、とりあえず景色を見ましょう」
「…普段は外で飛べないんだし、こういう景色は何気に貴重よ?」


棗ちゃんがそう言うと、俺たちは一斉に地上を見る。
結構高くまで上がった観覧車から見える地上は、確かに絶景だった。
比較的近場の遊園地だったから、ギリギリ俺たちの街も見えるな。
棗ちゃんは窓に張り付いて、その景色を無言で眺めている。
…目は瞑ってるけど。



「でも、こう言う景色って、折角だから目を開けて見ないモンなの?」


「…目を開けると、力が流れ出すからダメなのよ」
「…それに、幻視でも景色は景色よ」
「…私にとっては新鮮、だからそれで良いの」

夏翔麗愛
「見ろぉっ! 人がゴミの様だ!!」


「定番のネタだな! この高さから見たら、まぁ解らんでもないが」


とまぁ、こんな調子でネタを交わしつつも俺たちは楽しんだ。
棗ちゃんは、ひたすらに流れる景色を見続ける。
俺たちも、会話を交わしながらそうした。
今は…こんな時間が特に大切に思えるな。

以前の俺はそんな心の余裕はとても無かったし…
白那さんたちにとっても、そうだろう。
理不尽な理から逃げる為に、空間転移を繰り返し、それが終わっても戦いや訓練の日々。

心が休まる瞬間なんて、ほとんど無かったはずなのだから…
…それもこれも、全部俺が悪いんだけどなっ!



(だからと言って、贖罪のつもりじゃない)


俺は、決してそんな気持ちで、白那さんたちに接しているわけじゃない。
俺は本気で皆を家族として迎え入れたし、それだけ皆を愛すると決めた。

結果的に、それが罪を償う事になるのかもしれないが、それはまたそれだ…

とにかく、今は遊園地を楽しむ…
家族の、皆で…



………………………



櫻桃
「へぇ〜こっから見たら、あんな風になってんだな地上って」


「まぁ、この世界の空で飛ぶ事なんてしないからな…それなりに景色は新鮮だろ」

麻亜守
「高ーい高ーい♪」

借音
「ふふ、麻亜守も楽しそうで良かった♪」


まぁ、こっちは比較的大人しい方だから気楽で良いな。
今頃あっちはネタでも飛び交ってんだろ…夏翔麗愛はじっとしてられない性格だからな…
まぁ、俺様としては今日はゆっくり寝てたかったんだが。



「ふぁ〜あ…ここん所、時差ボケがキツいな」

櫻桃
「だったら寮で寝てる方が良いんじゃないっすか?」
「別に借りてはいるんでしょ?」


「まぁな、資材置き場くらいにしか使ってないが」
「寮で寝るのは昼寝位だ、基本的には我が家が1番落ち着く」
「第一、アメリカの飯は片寄りすぎて逆に辛い!」


よくもまぁ、あそこまで肉ばっかり食えるもんだ…
俺様も肉は好きだが、米の代わりに食う気にはならんな。
やっぱ俺様も何だで日本人気質って事か…


櫻桃
「好き嫌いの多いクソ主人らしくないっすね〜? あっちだったら野菜無くてラッキ〜♪位に思ってたんじゃ?」


「んなわきゃない…向こうにも野菜はちゃんとあるんだし」
「やっぱ、愛呂恵やお前の料理に舌が慣れると、食文化の違う料理は合わないって事だ」

借音
「でも、櫻桃さんの料理って、どっちかと言うと小麦文化な気も…?」

麻亜守
「パンとカレーが得意だからな!」


む…そう言われてみりゃ、櫻桃の料理は確かにパン多めだな。
サラダもドレッシングも、わざわざ手作りで作り込んでるみたいだし、俺様もここの所野菜は割と食べれる様になっている。

考えてもみりゃ、櫻桃はそうやって何気に気を遣ってくれていたのかもしれない。
そう考えると、流石に感謝の気持ちが無くもないな…

まぁ、口に出す気はさらさら無いが!


櫻桃
「まぁ、誰かさんまで野菜嫌いだったおかげで、今じゃカレー職人になりつつあるんだがな…?」


そう言って、櫻桃は麻亜守を凝視する。
すると、麻亜守は顔を背けて口笛を吹き、誤魔化してる様だった。
子供だな…何てバレバレな。

…あまり俺様が言えた義理でも無いがな。


借音
「うふふ…麻亜守も、今はちゃんと野菜食べれるものね〜♪」

麻亜守
「とりあえず、ドレッシングがあれば何とかなる!!」


おやおや、まぁ気持ちは解らんでもないが。
そもそも、野菜が体に良いのは解ってるんだ…だからと言って、ただ食べろと言われて食べれる物じゃない。

やはり、そこはちゃんと苦手でも食べれる様に工夫してほしい…と思うのが、食べる側としての意見だな。
その点、愛呂恵や櫻桃は合格点だ、俺様でもちゃんと野菜を食べれる様に作ってくれてる。

前のホテルの奴とかは全然ダメだった…やっぱ、ああいうのは家庭の味が1番という事だな。



「あ〜あ、次の論文どうすっかな…?」

櫻桃
「おいクソ主人、今日位は勉強の事は忘れろ」
「空気読めっての…皆、遊園地モードなんだからさ」


俺様は言われて頭を掻き、やれやれ…と呟いた。
俺様も楽しみたいのは本音だが、やはり元々人外。
どうしても、興味を引く様なアトラクションなんてそもそも無いんだよな…
まぁ、姉さんたちが楽しんでるなら、別に良いんだけどな。



………………………




「ふぅ…これで終わりっと」


「………」


俺たちは観覧車から降り、藍たちと合流する。
隣にいる棗ちゃんの表情を覗くが、それなりに楽しかった様だ。
あくまで今回は棗ちゃんの為の企画だし、棗ちゃんが楽しんでくれるなら、やっぱそれが1番だな。


白那
「さて、次はどうしようか?」

夏翔麗愛
「うー、絶叫系はほとんど身長でアウトなのです〜!」

櫻桃
「小さい子でも乗れるのはちゃんとあるよ、色々探してみよ?」


そう言って櫻桃さんはパンフレットを眺める。
とりあえず次は絶叫系か…?
夏翔麗愛ちゃんはとにかく乗りたそうにしているが、そもそも空中を自由自在に飛び回れる浮遊エスパーが楽しめるのだろうか?

…夏翔麗愛ちゃんの場合、ホントに他人の絶叫を目的にしてる可能性も高いな。


借音
「麻亜守でも乗れそうなのはあります?」

櫻桃
「そうだね…おっ、ウォーターライドってのがあるぞ?」
「ここからだとちょっと遠いけど、それなら麻亜守でも乗れるな」

麻亜守
「おお〜! じゃあすぐ行こう!」

夏翔麗愛
「突撃なのです!」


「はは…元気だなホント」

白那
「うん、楽しそうでホントに良かった♪」


俺たちは夏翔麗愛ちゃんと麻亜守ちゃんの嬉しそうな顔を見て満足する。
ちゃんと、皆楽しめてるなら来て良かったな♪
藍はまだ何ともいえない感じだけど、棗ちゃんは楽しんでるみたいだし、とりあえず良い感じみたいだ…

さて、俺も人生初のアトラクション…人間なりに楽しみますかね?



………………………



阿須那
「よし、とりあえず乗れるで? 6人やさかい、ペアになろか? ウチの隣には誰が乗る?」

華澄
「それでは僭越ながら拙者が…」

守連
「じゃあ私は女胤ちゃんとだね♪」

女胤
「分かりました、お任せを」

愛呂恵
「それでは三海さんは私とですね…」

三海
「ン…分かった」


ウチ等は、それぞれペアになり座席は隣り合わせに座る。
ちなみにウチ等は先頭や…ホンマはど真ん中辺りがええんやけど、まぁしゃあないやろ。
とにもかくにも初めてのジェットコースターやし、まずは体験せなな…


阿須那
「最高時速は120kmか…流石にウチの全力疾走よりも速いわな」

華澄
「拙者も、そこまでの速度を出せるかは自信が無いでござるな…守連殿や女胤殿なら技で越える速度は出せるでしょうが」

守連
「でも空飛べるわけじゃないから、感覚は違うと思うよ〜?」

女胤
「確かに、地上と空中では風の受け方も違うでしょうし…」

愛呂恵
「とりあえず動きます、皆様気を付けましょう」

三海
「…ン、動いた、ゆっくり…?」


会場に注意を促すアナウンスが鳴り、やがて機体はゆっくりと坂を上り始める。
おお、何か緊張するな…華澄もそれなりに緊張しとるみたいや。
後ろからはいくつか悲鳴みたいな声もある、中々に恐怖を煽る時間やな。
この坂を上る時のカタカタ…とかいう音も独特で、いかにもって感じがする。
さて、そろそろ頂上…こっから一気に加速や。

ウチ等は一気に上から下に降るコースターで、風を全身で受け止めた。


阿須那
「おほっ! 良い風〜!!」

華澄
「おおおおっ!! カーブですぞ!?」

守連
「わ〜気持ち良い〜♪」

女胤
「やはり、こういったアクロバットは中々楽しめますね!」

愛呂恵
「大丈夫ですか、三海さん?」

三海
「ン…大丈夫、面白い♪」


それから曲がったり捻ったり、時には一回転したりと、高速で走るジェットコースターをウチ等は堪能した。
案外ええもんやな〜、他にも色んな種類あるし、この際色々試したろかな?



………………………



阿須那
「あ〜おもろかった〜!」

華澄
「はい、あの様な浮遊感は初めてでした!」


華澄も十分楽しんだ様や。
とりあえず、1発目としては当たりやったやな♪


守連
「うーん! 気持ち良かった〜♪」

女胤
「はい、貴重な体験でしたね♪」


守連は両手を上に上げて伸びをする。
女胤も笑顔で感想を述べていた。
まぁ、その気になったら弾丸より速い守連には、単純なスピードとしては遅すぎたやろうけど…


愛呂恵
「成る程、ことのほか面白い体験でしたね」
「空中であの様な軌道を描いて、風を切るのは悪くはありませんでした」

三海
「ン…覚えた、これがジェットコースター」


愛呂恵と三海も反応は薄いけど、それなりに楽しめた様や。
さて、こっからどないしよかな?
ウチはパンフを開き、他のアトラクションを探してみる事に…


阿須那
「次はどないする? 今のが気に入ったんやったら、他にも似たのは色々あるで?」

華澄
「それも悪くありませんが、それなら別のタイプもやってみたいですな」
「あの、大きな船の様な物が回る奴などはどうでしょう?」


華澄が指差したのは、船…というかゴンドラ?が、高速で水平に回転するタイプのアトラクションやった。
分類的にはフライングカーペット系とかやな…


守連
「私は乗ってみたい〜♪」

三海
「ワタシも〜♪」

女胤
「それなら決定ですね」

愛呂恵
「はい、断る理由はありませんので」


とりあえずそれに決定や…ウチ等は早速次のアトラクションに向かう。
この調子でどんどん行かなな…時間は限られとるし。
さ〜て、とにかく今日は楽しい1日になりそうや♪



………………………



騰湖
「むぅ…」


我は件の回転木馬に乗っているのだが、想像とは違うのにやや不満だった。
とはいえ、周りの子供たちは楽しんでいる様で、我々も勿論例外では無い。



「こういうのも、何気に良いもんだよな〜」

喜久乃
「ですね〜♪ この位の方が落ち着きます…」


鳴は、まぁ相変わらずというか…これはこれで楽しんでいる様だ。
喜久乃は流石に子供らしく楽しんでおり、珍しくニコニコしている。
マッギョは、それ程機敏に動くポケモンでは無いからな…喜久乃的にはこの位のスピードでも楽しめるのかもしれん。


舞桜
「結構、子供が多いね?」

水恋
「まぁ、どう見ても子供向けだからね〜」

神狩
「………」


流石に舞桜殿たちは違和感を覚えている様だな。
神狩殿に至っては…何を考えているのか全く解らない、そんないつもの無表情だった。

やがてアトラクションは終わり、我らは会場から出る事に…



………………………



騰湖
「むぅ、やはりもっと縦揺れが欲しいな…バイブ機能でもあれば良かったのだが」

喜久乃
「勘違いしてますよね!? あれ大人の乗り物じゃないですから!!」
「子供向けの遊具、アトラクションですからね!?」


やれやれ、喜久乃もうるさい事だ。
とはいえ、初めからそっちの期待はしていなかったし、これはこれで受け入れるしかあるまい。

仮にも今回の企画は聖殿の計らいだ、それを無下には出来ん。
我が欲求を満たせないのは確かに残念だが、それは仕方無い事なのだ。

我はそんな事を思いながら、白のスポーツブラを整える。
鳴と同じタイプなので翼は邪魔にならんが、サイズが微妙に合ってないのか、ズレる時があるのが難点だ。
やれやれ…鳴のサイズに合わせられているんじゃないだろうな?
あいつと我では、我の方が胸が小さいからな…


騰湖
「まぁ、下は大丈夫か…」


我は人生初めてのスカートとやらを着用していた。
外出にハイレグは流石にマズイと判断され、スポーツブラ同様、急遽支給された物だ。
スカートの丈はそれなりに長く、膝下までちゃんと隠れる。
尻尾の下までしか後ろは穿けないので、そこだけは少々違和感があるが…
まぁ、どの道偽装効果で外の目からは普通に見えるはずだし、問題は無かろう。


喜久乃
「んぐっんぐっ! ぷはぁ!」


「ほら喜久乃、ハンカチで口拭けよ」


喜久乃は水筒で湯を補充する。
ギリギリだったのか、焦って飲んで口元から零していた。
鳴はそれを見て、すぐに白のハンカチを渡す。
喜久乃はそれを受け取り、口回りの水滴を拭き取った。
このふたりも前に見た服と同じだ、我もズボンか短パンの方が良かったかもしれんな…

スカートの方が可愛らしそうだから…という理由で支給された物だしな。


舞桜
「鳴ちゃん、何気に気が利くよね〜?」

水恋
「確かに…見た目のゴツさや男口調に比べると、行動は女性的だもんね」

神狩
「ギャップ萌え…乙」


ふむ、やはり鳴は他の目から見てもポイントは高いらしい。
前にも聖殿の家に勝手に行ったみたいだし、変なフラグでも立ててはいまいな?
ちなみに舞桜殿は普通の黒い半袖と緑の短パン。
水恋殿は青の半袖と黒のスパッツ。
神狩殿は赤いタンクトップと紺のジーンズだ。
皆、外に出る時は定番の格好だと言えるだろう。


喜久乃
「水恋さん、お願いします」

水恋
「ん? もう無くなったのか…ほいっ」


水恋殿は喜久乃から水筒を受け取り、指から熱湯を注ぎ足す。
今回のグループにおいて、水恋殿の役割は大きい。
喜久乃は定期的に湯を補充せねばならない為、小さい水筒を常に首から下げている。

そしてその中身が無くなったら、水恋殿が補充してくれる事で喜久乃は体型を維持し続けられるというわけだ。
とはいえ、当然これには穴もある。


水恋
「一応、気を付けなよ? アタシが熱湯出せるのも、約20回が限界だから」

喜久乃
「PP問題ですね…気を付けます」


そうPPだ…いかにポケモン娘とはいえ、これには決して抗えない。
あくまで、ひとつの技に割り振られているPPは一定なのだ。
熱湯も水恋殿の技、それには限りがあるという事だな。


神狩
「…喜久乃も、熱湯を教えてもらえば良い」

喜久乃
「えっ? 出来ますかね?」

舞桜
「マッギョも熱湯を覚える事は出来るはずよ?」
「だから、今度教えてもらったら良いよ♪」

水恋
「まぁ、仕事じゃない時ならアタシは構わないけどね〜」


ふむ、その方法もあるか。
我々ポケモン娘の技は、あくまで人化した後に、かつて覚えた事のある技を思い出す…という形で再習得した物だ。

それに制限は特に無く、人化した後使える技の数は無数にも渡る。
そして、今から新たに技を覚える…というのもひとつの解答と言えるだろう。



「まぁ、自力で熱湯使えるなら越した事無いわな」

喜久乃
「確かに…私の場合は特に重要ですし」
「ただ、やっぱりペラペラモードだと難しいんですよね…」
「タイプ的に熱湯は効果抜群だから、火傷も気を付けないと…」

水恋
「アタシは水温調節してるし、一応すぐ飲める様にはしてあるよ?」
「とはいえ、保温出来る水筒に入れてても熱はその内逃げていくし、その温度も気を付けないとね〜」


やれやれ、喜久乃は特殊な仕様のお陰で面倒が多いな。
とはいえ喜久乃も大切な家族、蔑ろには出来ん。
ちゃんと我々がサポートしてやらねばな…



「とりあえず次はどうする? 身長制限とかあるのは喜久乃がキツくないか?」

舞桜
「それなら多分大丈夫よ? 喜久乃ちゃんは140cm以上あるし、ここのアトラクションは全部乗れるわね」

喜久乃
「うーん、でもジェットコースターとかは水分飛ばされてペラペラモードになりそうで怖いです…」


確かに、あれだけの風圧があればその可能性は高いか。
となると、ホントに絶叫系はアウトになってしまうが…


騰湖
「それならば、歩いて楽しめる物で良いのではないか?」
「あそこにミラーハウスというのがある、どうだ?」


「俺は任せる」

喜久乃
「私はそれで良いです、興味ありますし♪」

舞桜
「じゃ、決定♪」

水恋
「どんなのかな? ミラーって言うから鏡だらけって事?」

神狩
「パンフレットにはそんな感じで書いてある…迷路らしい」


迷路か…まぁ、悪くは無いだろう。
とりあえず、我々は次のアトラクションに早速向かった。
さて、我でも楽しめれば良いんだがな…



………………………



鐃背
「ふーむ、奇っ怪な…要は作り物で表現しとるわけか」

香飛利
「ヒィィィィィ!! やっぱり私こういうのダメですぅ!!」


香飛利は妾の腕に胸を押し付けて怖がる。
茶色のスポーツブラ越しに当たるそれは、軽く80cm以上ある大きさじゃ。
下には短パンを穿いており、この屋敷の気温じゃと少し寒いかの?


鐃背
「しかし、もっとしっかりせい! これは作り物じゃぞ?」

香飛利
「無理ですぅぅぅぅぅっ!!」


香飛利はひとつひとつの仕掛けに、律儀に涙目で驚いていく。
妾はやれやれ…と思いつつも他のメンバーも見た。


明海
「きゃ〜♪」


「結構楽しんでるわね…」

毬子
「ぎゃー!?」

教子
「ひぇぇっ!?」


何じゃ…皆結構堪能しとるの。
というか、改めてこの面子を見ると…


鐃背
(非戦闘員ばかり!! これでは、この程度の仕掛けに驚いてもやむ無しかっ!)

悠和
「………」


おっと、その一方でまるで動じぬのもおったな…
明海たち一行は、全員似た様な半袖&ミニスカートで着飾っており、実に普通の女の子という感じじゃ。
それぞれ明海は茶、瞳は黒、毬子は紫、教子は白と色分けしておる。
悠和だけは白の半袖カッターシャツに、長い茶色のスカートじゃった。
腰にはポーチを付けており、いつでも戦える準備は出来ておる…という感じじゃな。

悠和は以前、聖と共に混沌やらに巻き込まれたとの事じゃし、万が一も危惧しておるという事か…

ちなみに、妾の格好は以前に着た黒Tシャツと緑の短パンじゃ。
動きやすい格好の方が良いからの♪


ブシュウゥゥゥゥゥゥゥ!!


香飛利
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」
毬子
「ひぇぇぇぇっ!?」
教子
「ぴゃあぁぁぁぁぁっ!?」


ただ大きな音の水蒸気が吹いただけでこの騒ぎ様。
まぁ、そういうアトラクションじゃし、一応成功かの?


悠和
「…結構、驚きはしますね」

明海
「そうだね〜ちゃんとタイミングも考えられてるし、突然大きな音は、やっぱりビックリするよね♪」


「でも、鐃背さんだけは動じない…やっぱり、こういうのはあまり効果無いのかな?」


まぁ、妾とて全く驚かん訳でもない。
機械故に気配が解らぬから、予想もしないタイミングで仕掛けられると体が反応しかねん。
とりあえず平静を保っておかんと、仕掛けを壊しかねんからな。
妾の場合はそっちの方が怖いわ…


鐃背
(まぁ、幸いこの状態ならそれ程手は出せんか…)

香飛利
「ひぃっ!?」
毬子
「わきゃっ!?」
教子
「ぴゃっ!?」


気が付けば3人が小さな妾にしがみついておった。
やれやれ…この姿じゃと身動きが取れんではないか。
まぁ、無理矢理にでも歩く事は出来るが…

…その気になれば全員まとめて振り回せるのは内緒じゃがな!
本当に反応せん様に気を付けねば…


明海
「ふふふ…鐃背さん懐かれてるね〜♪」


「基本的に、面倒見は良い方ですからね…」

悠和
「はい、この中では年長者ですし頼れる存在かと」


ふむふむ、まぁ悪くは無いの…
皆が皆楽しめれば、それが1番良い。
妾は皆の楽しそうな顔が見れるなら、それで今回は満足じゃ♪
まぁ、たまには勝負事から離れるのも悪くは無かろうし…

妾はそう思いながらも皆の楽しんでいる顔(?)を見て微笑んだ。



………………………



明海
「あ〜怖かった♪」


「楽しめましたね、こういうのも新鮮」

悠和
「作り物とはいえ、面白い仕掛けが多かったですもんね…」

鐃背
「やれやれ、もういい加減離れんか…」

香飛利&毬子&教子
「((( ;TДT)))」


3人は無言で泣きながらガクブルしておった。
ノーマルタイプがゴーストにビビってどうするか…
やれやれ、先が思いやられるの〜?


鐃背
「これ、しっかりせいっ! 次は、もうちょっとマシなのにしてやるから…」

香飛利
「はひぃ〜…」
毬子
「もう怖いのやだ…」
教子
「あうう…」

明海
「とりあえず、あれなんてどうです? コーヒーカップ!」


「面白そうね…自分で回転力を変えられるのか」

鐃背
「とりあえず、それで良いじゃろ…お前たちも良いな?」

香飛利
「あい〜…」
毬子
「は〜い…」
教子
「良いです〜…」


やれやれ…本当に先が思いやられるの。
まぁ、今度は恐怖系でもないじゃろし、問題は無かろう。
妾は少々呆れながらも、しっかりと怖がりの3人を引っ張った。
仮にも年長者じゃからな…ここは良いとこ見せとかんと!



………………………



風路
「おおっ、流石に迫力ある〜!」

浮狼
「くっ! ゾンビがすぐそこに!?」


浮狼ちゃんはCGのゾンビに反応して構える。
いやいや…あくまで演出だから。


風路
「浮狼ちゃん、このアトラクションはあくまで見るだけだから、反撃は絶対にしないでね!?」

浮狼
「す、すみません…解ってはいるつもりなのですが」


浮狼ちゃんは申し訳なさそうにそう謝る。
本人的には真面目なんだろうな…でも、これはあくまで決められたシナリオの設定。
私たちが介入出来る要素は無いのよね〜


唖々帝
「うおっ!? 凄いなこの距離感!!」


「ホントッ! ギリギリの緊張感が堪らないね〜♪」

土筆
「あははっ、面白〜い♪」

未生羅
「これがゾンビ? 何か弱そう〜♪」


「あははっ! アタシたちでもこういうのは楽しいな!」

祭花
「確かに、演出的に逃げるだけっていうのはアレだけど、こういうのも良いね♪」


皆それぞれ楽しんではいる様だった。
あくまでこれはCGで作られた演出であり、決められた設定に則って演出するアトラクション。
観客はそれを見る事で、様々な感動を得る。
こういうのは、感性に従うのがある意味正解かもね♪


風路
「あははっ、皆楽しんでる!?」

浮狼
「…はいっ、これはこれで面白いですね!」


「ひゃっほー! 突撃ーーー!!」

土筆&未生羅
「やっほーー!!」


今は絶賛、車でゾンビの群れを蹴散らしている所。
CGで作られた仲間が色んな台詞を放ち、場を盛り上げている。
今のCGって本当に綺麗よね〜


唖々帝
「…ウズウズするな、私も参戦したい位だ!」

祭花
「どうどう! 唖々帝落ち着いて…」


「そうだよな〜どうせならこっちも戦えたら良かったのに」

風路
「ふふ、でもこれはあくまでCG…戦えたとしてもテレビゲームみたいな物よ?」


私がそう言うと、唖々帝ちゃんたちはう〜んと唸る。
そして、足元の振動と共に場面が急展開し、観客全員が声をあげた。
ここから最終局面、何が起こるかな?


浮狼
「!? これは、巨大なゾンビ?」


「スッゲェ! 50m位あるんじゃない!?」

土筆
「わぁ〜! 戦車が薙ぎ払われてる!!」

未生羅
「空爆も効果薄いよ!?」


最後に出てきたのは、何と巨人のゾンビ。
あくまでフィクションとはいえ、また凄いの持ってきたわね…
しかも、いきなり軍隊が現れてドンパチやり始めた。
こちらは仲間と一緒に岩影に隠れてやり過ごしている。


唖々帝
「あんなのどうするんだ?」


「ほとんどダメージが無さそうだぞ?」

祭花
「今から対ゾンビ様の切り札を使うんだって! ついに完成したみたい!!」


おお、流石に王道展開ね。
ここまでのシナリオで伏線を張っていた、最後の武器がようやく完成。
これで主人公たちが自分たちの手で仕留めれば、まさに面目躍如だ。
主人公はライフルを構え、敵の脳天を狙う。
途端に場内の音は無音となり、画面はスローになって心臓の鼓動音が大きくなる…緊張の一瞬だ。

私たちも全員が息を飲み、発射の瞬間を待つ。
そして弾丸は発射され、真っ直ぐにボスの額を撃ち抜いた。
その瞬間スローも解け、音が一気に帰ってくる。
ボスの額から煙の様に緑の血が吹き出し、ボスはうめき声をあげて苦しんだ。

主人公たちは喜び、勝利を確信する。
ついに、戦いが終わるのだ…
ボスの体は後ろに大きく倒れ、肉体を崩れさせた。
そして、主人公は最後に私たちに感謝の意を述べる。
私たちは歓声をあげ、共に喜びを分かち合った…



………………………




「面白かったーーー! 科学の力ってすげーーー!!」

土筆&未生羅
「すげーーー!!」

唖々帝
「CGってのも凄いんだな…あんな大がかりな室内で、大勢と一緒に参加出来るんだから」

風路
「もっと大きな所だと、大々的にやってるのよ?」
「テレビでもCMやってる様な所だったら、有名アニメとかのコラボにも参加出来るんだから♪」


私の言葉に皆が感嘆の息を吐く。
ふふ、やっぱり知らない事はまだまだ多いわよね…
皆も、この世界が好きになってくれれば良いんだけど。



「でも、俺たちの体じゃあんまり人が多すぎる場所は辛いもんな…」

祭花
「李はマシでしょ? 体格以外そんなに人間と変わらないし…」

浮狼
「確かに、唖々帝や土筆たちを見ると、仕方無い部分もありますね」
「ですが…今回は今回で楽しめている、今はそれで良いのではありませんか?」


浮狼ちゃんの言葉に皆が賛同する。
やっぱり、このメンバーは浮狼ちゃんが引っ張ってるのね…
浮狼ちゃん、異世界の女王様だったって言うんだから、ホントに凄い。
そして他の皆は、それに付いて来た精鋭の兵士。
改めて、他のメンバーとはちょっと考え方が違うのよね…


風路
「さて、そろそろ次に行く? まだまだアトラクションはあるわよ?」


私は口元に人差し指を当てウインクする。
皆はおー!と掛け声をあげ、私たちは更に次のアトラクションに向かうのだった…



………………………




「おおおっ!!」

夏翔麗愛
「わっふーーー!!」
麻亜守
「わーーーい♪」


大きな水飛沫を上げ、俺たちは急流滑りを終えた。
ここまでに色んな景色を見られたし、流石に臨場感があったな。
夏翔麗愛ちゃんと麻亜守ちゃんも大満足の様だ。


櫻桃
「しっかし、流石に濡れるな…」


「傘やレインコートを貸し出してる位だからな…濡れるのが嫌なら対策すれば良い」
「まぁ、今日は暑い位だし俺様は丁度良いが…ちなみに、服が透けて下着が見えるからって欲情するなよ聖?」


「するかっ! そういうのは白那さん並の巨乳になってから言え!」


俺はケラケラ笑う藍にそうツッコンでやる。
とはいえ、皆確かにビショビショだな…夏翔麗愛ちゃんたちは大喜びだが。



「…結構良かったわね。こういうのも何気に楽しいわ」

白那
「ふふ、タオルあるから髪だけでも拭くんだよ?」


白那さんは棗ちゃんにタオルを渡し、笑った。
棗ちゃんは礼を言ってタオルで髪を拭く。
気持ち、いつもよりも表情は弛く、本当に楽しい様だ。


借音
「白那さんも髪を拭いた方が良いですよ? 髪が長い分、濡れ幅も大きいですから…」

白那
「ああ、オレは大丈夫だよ…水タイプだし」
「ただ…服はちょっとマズイね。白だから下着が透けてしまってる」


俺はつい見てしまったが、男の性だ許せ。
男はおっぱいには勝てんのだ!
とはいえ、本当に白那さんのたわわなおっぱいを包んでいる下着が完全に透けて見えてしまっていた。
流石に周りからの視線を一点に集めている。

元々白那さんは美人すぎる位美人だし、佇まいも落ち着いてるから、まさにクイーンの風格。
ぶっきらぼう気味な口調はあるけど、パッと見なら間違いなくほとんどの男は綺麗だと言うだろうな。


男A
「見ろよ、あの人スゲェスタイル…」

男B
「眼福眼福…しっかし、あの男が旦那か? そんな年いってなさそうだけど」

男C
「連れ子なんじゃね? とりあえずお父さんって呼ばれてたから間違いないだろ…」


ぬおっ、既に勘違いヤローが湧き始めている。
夏翔麗愛ちゃん、未だにあの呼び方だから完全に間違われてるじゃねーか!

これは早急に対策を講じねば!



「夏翔麗愛ちゃん、外ではお父さん呼び禁止ね」

夏翔麗愛
「えぇ〜!? どうしてどうして?」


「…聖さんが変態と思われるからよ、察してあげなさい」


「そこまでは思ってないからね!? とりあえず何か別の呼び方で!」


俺がやや強めにそう言うと、夏翔麗愛ちゃんはぶーと口をすぼめて不満そうな顔をする。
とはいえ、すぐに普通の顔になり、とりあえずこう言った。


夏翔麗愛
「じゃあボス、次はどこに行くのですか?」


「そこでボスと来るかっ! まぁ、良いや…とりあえずどうしよっかな?」

白那
「ふふ…まだ時間はあるんだし、少し休憩しても良いんじゃないかい?」

櫻桃
「そうっすね…今日は結構暑いし、水浴びしたとはいえすぐに乾きそうだ」

借音
「あそこに飲み物を売ってる店がありますし、そこで座って休憩しましょうか♪」

麻亜守
「さんせーい! 私、ジュース飲みたい!!」


とりあえず少し休憩だな…何だで、歩くだけでも疲れるし。
俺たちは近くの売店に向かい、飲み物を頼む事にした。
そしてふたつのテーブルに別れて座り、俺たちはしばし飲み物をいただく。



「ふぅ…とりあえず一息だな」

白那
「うん、やっぱりこういうのは慣れてないから疲れるね…」


俺はコーラを飲んで小さく息を吐いた。
白那さんもサイダーを飲んで落ち着いている。
疲れてると言うのも本当の様で、白那さんは大きく息を吐いていた。

なるべく負担はかけない様に配慮しないとな…


夏翔麗愛
「んぐっんぐっ! ぷはぁ〜…」


「………」


夏翔麗愛ちゃんはイチゴミルクを一気に飲む。
棗ちゃんはメロンソーダをストローでちびちび飲んでいた。
とりあえず味は文句無いか。


櫻桃
「とりあえず、次はどこにするっすか?」


「身長制限がネックで、ほとんどの絶叫アトラクションが無理だからな…」
「保護者同伴でOKなのもあるから、それで攻めてみるか?」

借音
「そうですね、幸い子供4人に対してひとりづつ割り振れますし、それが良さそうです♪」

麻亜守
「だったら私はお母さんと!」


「だったら俺様は櫻桃とだな」

櫻桃
「はいはい…しっかり保護者やらせていただくっすよ〜」


ふむ、とりあえず保護者同伴で絶叫系か…
となると、こっちもペアを考えるか?



「こっちはどうします?」

白那
「娘に任せる」

夏翔麗愛
「だったら私は…!」


「………」


夏翔麗愛ちゃんはいの一番に何か言おうとしたが、突然止まる。
そして数秒固まった所で、改まりこう告げた。


夏翔麗愛
「…お母さんと一緒にするのです!」

白那
「良いの? 聖君じゃなくて…?」

夏翔麗愛
「良いのです! 私はこう見えても中身は大人だから、寛大な心を持ってお姉ちゃんに1番良い所を譲るのです!!」


「…私は、別に」


「良いよ、じゃあ棗ちゃんは俺とな?」


俺は半ば強引に棗ちゃんの手を取る。
夏翔麗愛ちゃんも白那さんに抱き付いてペアをアピールした。
そして夏翔麗愛ちゃんは笑って楽しむ。
白那さんもクスクス笑い、夏翔麗愛ちゃんの頭を撫でる。
優しい微笑みだ…改めて俺はこの笑顔を救えて良かったと思う。



(俺は、あの時の苦しさ、悲しさを決して忘れない)


もう2度と、あんな惨劇があってはならない…
だからこそ、俺は家族を護ってみせる。
この家族の優しさと微笑みを…



「棗ちゃんも撫でてあげようか?」


「…馬鹿にしないで、そこまで子供じゃないわ」
「…精神的には貴方より本来年上よ?」


おっと、そういやそうだったな…
しかし、そうなると俺は本来敬語を使うべきなのだが…
うむ、変態かっ! 見た目小学生にひれ伏すゴミは中々のMだな。



「まぁ、良いけど…確かに棗ちゃんは性格的には大人びてるし」


「…そうね、だから迷ったわよ…10年越しの約束を果たそうかどうか」


約束…それはあの時、棗ちゃんが家族で約束した事だったらしい。
戦いに勝ったら、遊園地に行こう…と。
だが、それは果たされなかった…あの時は勝てなかったから。
その後、棗ちゃんたちは記憶を継承したまま、再び10年をやり直し、ようやくその時の約束が果たされる事になったのだ。

皆で生きて平和に過ごす…そういう意味では結果的に大勝利だからな♪



「でも、どうして今更になって?」


「…さぁ? 何となくよ…ただ、何となく」
「…何となく、こうやって家族で遊んでみたかった」
「…1度も、こんな風に外に出て遊んだ事は無かったから」


その言葉はとても重く感じた。
棗ちゃんたちは、良くも悪くもフツーの生活は送っていない。
最初の10年をあの城で閉鎖的に暮らし、次の10年はほとんど戦闘訓練。
こうやって平和に遊ぶ事が、本当に願っていた望みなのかもしれない…



「…棗ちゃん、今は幸せか?」


「…何よ突然? そんなの、当然に決まってるじゃない…」


棗ちゃんは、顔を綻ばせて、そう断言した。
そしてメロンソーダを飲む、顔は少し恥ずかしそうだった。
俺は軽く笑い、コーラを飲む。
やっぱり俺は間違ってなかった、この家族を救えて、本当に良かったんだ…

例え自己満足でも良い、俺は俺らしく生きる。
この手で救えるポケモンは全部救ってやる…!
俺は自分の右手の掌を見て、それを強く握り込んでそう誓った。
次はどんな混沌が来るか解らないが、俺は絶対に負けはしない。
必ず、生きて……



(って!? こ、この感覚は…!)


俺は突然、全身で違和感を覚えた。
しかも、三海の混沌の時と同じ感覚…!?
俺はすぐに周りを見渡すが、既に他の客はやスタッフは誰もいなくなっていた。
ここにいるのは俺たちだけ…ヤバい、別行動してる他の皆は!?


白那
「…迂闊に転移するのは危険か」


「おい、これが例の混沌世界か? 場所は同じなのに、人だけが忽然と消えたぞ…」

櫻桃
「ヤバいんじゃないっすか? まさか、巻き込まれたのアタシたちだけなんじゃ…?」


既に臨戦態勢になっている白那さんは流石だな…
藍も慌てる事は無く、冷静に状況を見ている。
櫻桃さんは少し驚いているものの、そこまで狼狽えてはいないか。

俺はまずスマホを見るが、予想通り圏外…
仕方無いので、俺はそれを耳に当ててこう話しかけた。



「…恵里香、状況は解るか?」

恵里香
『とりあえず、前と似た様な状況みたいだね…別の世界が元の世界に張り付いてる様な感じの世界だ』
『どうやら、キミたちがいる遊園地全体が混沌世界の様だね』


遊園地全体が、か…となると、他の家族も皆いるのだろうか?
以前は悠和ちゃんだけが巻き込まれていたが、もしかしたら俺の家族をピンポイントに巻き込むルールとかがあるってのか?

アルセウスさんは俺が中心であり、そして特異点だと言っていたが…
それなら、まず前提として俺が巻き込まれるのは確定…
次に近くにいる家族が巻き込まれるって考えでも良いのかもしれないな。



「他のグループの存在は解るか?」

恵里香
『うん…全員いるよ、これは大所帯だね』
『とりあえず、今の所危険な感じはしないし、まずは皆と合流するべきじゃない?』
『前みたく、ジャミング染みた妨害もされてないし、とりあえずこっちからは常時監視出来るから』


俺はああ…と言って、スマホを仕舞う。
妨害は無し…ね。
って事は、前はやっぱり富士が意図的に妨害してた可能性が高いな。
とりあえず恵里香からは危険無しと…
俺はそれを考慮し、真剣な顔で皆にこう告げる。



「とりあえず、混沌なのは確定…まずは他のグループと合流しよう」

白那
「そうだね…夏翔麗愛、空中に飛んで探してみてくれ」

夏翔麗愛
「合点なのです!!」


夏翔麗愛ちゃんは空高く浮遊し、グルリと回って皆を探す。
果たして何が起こる? 今度はどんなポケモンが出て来るんだ?
前のは極端な例らしいし、今回も同じ様な戦争染みた戦いが起こるとは限らない。

とはいえ、それでも戦いが無いとは限らないし、用心はした方が良いだろう。
富士ではなくても、俺が中心であるなら雫は誰が狙ってもおかしくは無い代物だからな…

ただ、それでも俺は絶対に負けはしない。
そして救いを求める誰かがいるなら、俺は必ず救ってみせる!










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第3話 『混沌、再び…』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/25(木) 05:12 )