とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない - 第3章 『混沌だからって、悪意ばかりじゃない』
第1話

『神様、流し切りが完全に入ったのに…』

アルセウス
『…運命は変えられぬ、その青年は死ぬ定めだったのだろう』


俺はアルセウスさんに夢の中でマジレスされて、ちょっと恥ずかしくなってしまった…
流石にここでネタをぶち込むのは色々冒険だな!!


アルセウス
『まずは、また感謝をせねばならぬな』
『過去の過ちとはいえ、我の代わりにあの男を止めてくれた事を、感謝する』


『…アイツは、やっぱり救いが無かったんですか?』


俺はまた以前と同じく、近所の公園を模した夢の中でアルセウスさんと会っていた。
あくまで夢の中であり…現実かどうかは未だに判然とはしない。
とはいえ、ここに来る事はとても重要であり、必須事項。

俺は夢見の雫を体から出し、色を確認した。
透明度はほとんど無い…ほぼ黒になりかけてる。
今回ばかりは、本当に無理をしたと実感した。


アルセウス
『確かに、救いは無かったかもしれぬ…だが、それも己が意志で選んだ道』
『後悔は、していなかったであろう…』


アルセウスさんはそう言って雫を手で触れ、一気に邪気を吸い込んで浄化する。
その際に一瞬表情を曇らせたが、すぐに息を吐いて呼吸を整えていた。

明らかにフツーの汚れ方じゃない…俺はアルセウスさんの事が心配になり、こう声をかけた。



『大丈夫、ですか?』

アルセウス
『ふふ…人の子が、神を心配してくれるのか?』


アルセウスさんは優しく微笑み、安心する様にそう言った。
俺はつい気恥ずかしくなり、思わず頬を掻く。
アルセウスさんも、よく解らない所はあるんだよな…
でもまぁ…やっぱ神様だし、人とは考え方そのものが違うんだろう。


アルセウス
『…とはいえ、今回の濁りは危険であった』
『もし、そなたの心がが少しでも負の側面に傾いていたら、暴走していたかもしれぬ』


俺は聞いてゾッとした…そして、改めて悠和ちゃんに感謝する。
もし、悠和ちゃんが無理矢理でも止めてくれなかったら、俺は世界ごと皆を滅ぼしていたかもしれなかったのだ…

終わり良ければ全て良しとは言うが、今回はかなり危険な橋だったな…
本当に、俺は誰かに助けられてばかりだ…



『また、あんな辛い混沌が続くんですか?』

アルセウス
『いや、恐らくあれは極端な例だろう…先々代の悪意が、世界を渡って悲劇を引き起こした』
『本来なら、我がその歪みを絶ち切らねばならなかったのだが…』


『でも、俺はミュウスリーを救えました』


アルセウスさんは頷く、そして言葉をこう続けた。


アルセウス
『そなたでなければ、あのふたりは救えなかったであろう』
『もし我が介入していたのであれば、あのふたりは誕生すら出来なかったかもしれぬな…』


『それは…悲しいですね』

アルセウス
『その気持ちを大切にせよ』


俺は俯いて呟くが、アルセウスさんの言葉を聞いて顔を上げる。
そして、アルセウスさんの顔を真っ直ぐに見た。
すると、アルセウスさんは優しく微笑み、俺の手を取る。
夢だというのに、その手はやはり温かかった。
そうして少し戸惑う俺に対し、アルセウスさんはそんな俺に優しくこう言う…


アルセウス
『人を助けるのは、あくまで人の心だ…そなたは正しい事をした、それは神たる我が保証しよう』
『無論、それが全ての世界で受け入れられる訳では決してない…時には、希望が残酷に切り捨てられもしよう』
『だが、そなたは常にそなたらしくあれ…』


『はい…俺はもう2度と、貴女を悪意に包みはしません』
『必ず、正しくあります…あくまで俺らしく!』


俺の強い決意を受け、アルセウスさんは無言で頷き、そして微笑んだ。
その後、アルセウスさんは消えてしまい、俺もすぐに意識を落としていった…



………………………



アラーム
『デッデーデデ! デッデーデデ! ○プシマーン!!』



「んが!? …お、おっと朝か…? さて、それならまずは着替えて……」

ミュウスリー
「す〜……す〜……」


俺は布団の中を見て絶句する。
どうやら、いつの間にやら潜り込まれてたらしい…

結局、ミュウスリーはあれから家に連れ帰った。
あまりに俺と離れるのを嫌がった為、妥協案でこの家に住ませる事にしたのだ。
とはいえ、確か愛呂恵さんと同じ部屋で寝る様に言っておいたのだが…



「しゃあないな…とりあえず起きろ、ミュウスリー」


俺はペシペシと軽くミュウスリーの頬を叩く。
すると、目を擦りながらミュウスリーは大きな欠伸をした。
やれやれ、とりあえず起きたか。

この甘えん坊も少しは矯正していかんとな…


ミュウスリー
「ん……朝、着替える」


「ああ…俺はとりあえず制服っと」


その時、ガチャっとドアを開ける音が。
そして、扉の先に立っていたのは、久し振りの出番にも感じる女胤だった。

俺はとりあえず軽くボケてやる事に。



「いやん、エッチ♪」

ミュウスリー
「まだ、眠い…」

女胤
「こ、この痴女が!! 一体何発貰ったんですの!?」


女胤はいきなりそう叫んだ。
ついでに俺もそろそろ意識が覚醒して、ようやく状況を察する。
どうやら、俺とミュウスリーは共に着替える途中だった様で、タイミング良く俺はパンツ一丁、ミュウスリーはおっぱいさらけ出して、これまたパンツ一丁だった。
端から見たら、事後に見えるわな…

だが所詮は女胤の勘違い。
俺は全く狼狽える事無く、女胤に対してこう言った。



「とりあえず、ミュウスリーを部屋に連れて行ってくれ…」

女胤
「華麗にスルー!? もはや、体を重ねすぎて何とも思いませんの!?」


俺はミュウスリーの首根っこを片手で掴み、女胤に向けて放り投げる。
女胤はそれを軽く両手でキャッチし、不機嫌そうな顔でミュウスリーの脱ぎたてパジャマもついでに受け取った。

そして何やらぶつくさ言いながら、女胤はミュウスリーを下に連れて行ってくれる。
やれやれ、朝から騒がしいな…



「うむ、今日も息子は元気だ…」


俺は股間の膨らみを見てカーテンを開け放ち、窓から空を見た。
今日は良い天気だな…絶対何か起きそう。
俺はそう思いながら、ささっと制服に着替え、食卓に降りる事にした…



………………………



ミュウスリー
「ングング!!」
守連
「ハムハム!!」


「珍獣が2匹に…」

愛呂恵
「聖様、由々しき問題です…冷蔵庫が足りません」


俺は一瞬、聞き間違いか?と思った。
ただ、あの愛呂恵さんに限って、そんな馬鹿な言い間違いをするとは思えない。
そして俺は冷静に考え、それも仕方無いと理解した。
よく考えたら、全員で7人か…しかも大食いがふたりも、これはすぐにでも追加で買わなきゃダメだな。



「まぁ仕方無いか…とりあえず愛呂恵さん、冷蔵庫の買い方とか解ります?」

愛呂恵
「はい、資金さえありましたら、私が電器店で選んで来ましょう」


俺はそれを聞くと、とりあえず財布を取り出す。
そこからキャッシュカードを取り出し、それを愛呂恵さんに渡した。



「必要な金額はそれから引き出してくれたら良いんで」
「番号は覚えてますよね?」

愛呂恵
「はい、問題ありません、必ずや良い物を購入して参りましょう」


とりあえず、冷蔵庫の件は任せて良いだろう…当面はそれまでの繋ぎだが…


阿須那
「こら、えらいわ…ミュウスリーも負けず劣らずの食いっ振りやな」

華澄
「はい、これでは確かに冷蔵庫が足りませんな」
「1日で使う食材を確保するには、あれでは小さすぎます」

女胤
「ただでさえ、守連さんは基本3人前ですからね…」
「ある意味、とんでもない拾いモノだったのでは…?」


流石に皆色々思う所はあるだろう…とはいえ、俺は昨日の夜に皆には理由を全部話してある。
ミュウスリーとの出逢いも、そしてあの世界で何があったのかも…

悠和ちゃんも証人として一緒に説明してくれたし、皆も別に疑う事はしなかった。
ただ、いかんせんミュウスリーは無邪気過ぎる。
体は立派でも、心はまだ赤子…これから成長していけば良いが、しばらくは皆を振り回すかもしれないな。



………………………




「じゃ、行ってくるよ」

ミュウスリー
「ンー! ワタシも行く!」


ミュウスリーは俺の腕を掴んでそう言うが、俺はここは厳しくダメだと言った。
ミュウスリーはすぐに泣きそうになるも、俺は優しく頭を撫でてこう言う。



「ちゃんとお留守番出来たら、美味しい物買って来てやるから」

ミュウスリー
「ホント!?」


「ああ、だから家でお留守番…ミュウスリーは良い娘だから、出来るな?」


ミュウスリーはコクコク!と激しく頷き、良い娘アピールをした。
俺はそれを見て笑い、ひとりで家を出る。
今度はミュウスリーもちゃんと我慢した様で安心した。
ミュウスリーも、ちゃんと言えば解ってくれる。
俺は帰りに特大のケーキを買ってやろうと思い、ウキウキしながら学校に向かった。



………………………



ミュウスリー
「………」

守連
「ミュウスリーちゃん、そこで待っててもすぐには帰って来ないよ?」

ミュウスリー
「ンー…いつ、帰って来る?」


私は玄関でじっと待っている、ミュウスリーちゃんの頭を撫でてあげた。
ミュウスリーちゃんは撫でられるのが好きなのか、目を細めて気持ち良さそうにしてくれる。
ちなみに、私も今は普段から定期的に放電する様にしてるので、ちょっと位なら、こうやって触れても感電は大丈夫になっていた。

電力のコントロールも、少しづつだけど出来る様になってる。
それでも、ちゃんと注意して触れないと…


守連
「ミュウスリーちゃん、信じて待っててあげて」
「聖さんは、ちゃ〜んとミュウスリーちゃんの所に帰って来るからね?」

ミュウスリー
「ンー…うん」


ミュウスリーちゃんは、そう返事して私に抱き付いて来た。
よっぽど寂しいんだね…私は思わず耳をショボン…とさせてしまう。
それでも、ちゃんとミュウスリーちゃんを抱き締めてあげた。
ミュウスリーちゃんより、私の方がお姉ちゃんだから、しっかりしないと。


阿須那
「しっかし、ホンマに子供なんやな…?」

女胤
「ええ、遺伝子改造で体を急成長させた為に、年齢自体はまだ0歳だそうですから…」

華澄
「確かに、それでは人肌恋しいのも、やむ無しですな」
「ミュウスリー殿は、体は大人でも心はまだまだ幼い」
「ここは拙者たちが目上として、しっかりミュウスリー殿を育てて差し上げねば!」

愛呂恵
「そうですね、姉であるミュウツーさんから託された以上、私たちが代わりに彼女を守らなければ」


私たちは思い出す、昨日の事を。
昨日、聖さんはミュウスリーちゃんと一緒に学校から帰って来た。
初めはとても驚いたけど、後から来た悠和ちゃんとミュウツーちゃんの話を聞き、私たちは全員納得したのだ。

その後、夜の内にミュウツーちゃんはひとりで家を出て行ってしまった。
大切な妹を、どうかよろしく頼む…と、それだけを言い残して。


守連
「ミュウスリーちゃん、お姉ちゃんの事、頼りにしてね♪」

ミュウスリー
「ンー…」


ミュウスリーちゃんは唸りながらも、私の胸に顔を擦り付けた。
私は背中を優しく擦ってあげ、慰めてあげる。
私は、ミュウスリーちゃんが、まるで本当の娘みたいに見えてしまった。


守連
「もし私がママになったら、こんな感じで子供を抱き締めてるのかな?」

阿須那
(マ、ママやて!?)
華澄
(母君…それはつまり)
女胤
(聖様の奥様!?)
愛呂恵
(これは、かなり高ポイントと予測されます)


何だか、途端に不穏な空気が…皆、何考えてるの〜?
ミュウスリーちゃんも、若干怖がって震えてるよ〜?
私は少し不安になり、若干凄みを含めてこう言った。


守連
「皆、ミュウスリーちゃんが怖がってるから、止めて」

阿須那
「い、いや…別に悪気があったんや無いで!? 怖がらせてスマンな〜♪」


阿須那ちゃんはやや作り笑いの笑顔だったけど、ミュウスリーちゃんは少しだけ警戒を解いてくれた。
それでも、私から離れ様とはしない。
まだ、そんなに皆の事が信用は出来ないのかもしれない…


華澄
「申し訳在りませぬ、拙者…そろそろ睡眠を取るでござるよ」

阿須那
「ああ、分かったわ…ウチもそろそろ準備して仕事行くし」
「守連と愛呂恵は、ミュウスリーの事しっかり面倒見いや?」

女胤
「では、私も仕事の準備をします…ミュウスリーさん、ちゃんと守連さんたちの言う事を聞くのですよ?」

ミュウスリー
「ンー…! 皆、いなくなる、の?」

守連
「わーわー! 泣かないでミュウスリーちゃん!」
「大丈夫! ちゃんと皆帰って来るから〜!」


ミュウスリーちゃんは泣きそうな顔で、3人を見た。
私は震えるミュウスリーちゃんの体を抱き締め、頭を撫でてあげる。
ミュウスリーちゃんは涙目になりながらも、鼻をグスグス鳴らして我慢していた。


阿須那
(か、可愛い…!)
華澄
(こ、これが母性をくすぐるという事なのですか!?)
女胤
(恐ろしい…これ程の破壊力とは!)


3人は胸に手を当て、少し顔を赤くしながらも、その後は名残惜しそうにミュウスリーちゃんに手を振っていた。
3人がいなくなっても、ミュウスリーちゃんは泣かずに我慢してくれている。

うんうん…頑張ったねミュウスリーちゃん♪


愛呂恵
「守連さん、そろそろ授業の予定ですが大丈夫ですか?」

守連
「あ、そっか…どうしよう? 愛呂恵さんも、買い物行くんだよね?」

愛呂恵
「はい、早急に冷蔵庫を追加せねばなりませんので」
「もし、ミュウスリーさんの事が心配でしたら、今日はキャンセルするのも…」


私は首を横に振る、そして笑顔でこう言った。


守連
「大丈夫です♪ この際、ミュウスリーちゃんにも勉強を教えてもらいます!」
「ミュウスリーちゃん、お姉ちゃんと一緒に、お勉強しようね〜?」

ミュウスリー
「ンー? お勉強…? ン…お勉強したら、聖喜ぶ?」

守連
「もっちろん! きっと聖さん、ミュウスリーちゃんの事、偉い偉い〜って、してくれるよ〜♪」


ミュウスリーちゃんはそれを聞いて、大きく頷く。
こうして、私たちは一緒に白那さんの授業を受ける事になった。



………………………



白那
「ふ〜ん、この娘が噂のミュウスリーちゃんか…」

守連
「はい…折角なので、ミュウスリーちゃんの勉強も見てもらおうかと」

白那
「とりあえず0歳とは聞いてるけど…まずは、どこまで学力があるか見てみないとね」
「ゴメン守連ちゃん、少し自習しててくれる?」


私は、はいと答え、自分のノートと教科書を開いた。
今日は、国語から…でも古文は難しいよ〜
白那さんは、空間を開けて別の教科書を取り出し、そしてそれをミュウスリーちゃんに見せてみた。


白那
「はい、これ…まず、字は読める?」

ミュウスリー
「??? これ、何?」

白那
「あ、はは…まだ字は読めないのか」
「それじゃ、まずは基本だね…良い? これは、『あ』」

ミュウスリー
「あ〜…」


白那さんは優しく字と発音を教えていく。
流石に3人の子供を育てたんだから、こういうのは得意なんだろうな〜


白那
「そうそう…あ、い、う、え、お…さぁ、口に出して言ってごらん?」

ミュウスリー
「あ〜い〜う〜え〜お〜…」

白那
「うん、上手♪ それじゃ、今度はそれをノートに書いてみようか?」
「鉛筆は持てる? ん〜それじゃ、ちゃんと見てて…」


ミュウスリーちゃんは、予想外に真剣な顔で白那さんの手を見ていた。
そして、白那さんがあいうえおと書くと、今度は鉛筆をミュウスリーちゃんに握らせる。
ミュウスリーちゃんはそれだけで覚えてしまったのか、白那さんの動きをトレースしたかの様な鮮やかな動きで、あいうえおを書き終えてしまった…


白那
「…凄いね、もう覚えたの?」

ミュウスリー
「あ、い、う、え、お…覚えた、書き方も」


今度は発音もしっかりしていた。
そのまま、白那さんは平仮名の五十五音を全部教える。
ミュウスリーちゃんはそれを1度聞くだけで、完全にマスターしてしまっていた…
凄い…もしかして、天才なんじゃ?



………………………



ミュウスリー
「むかし、むかし、あるところに…」

白那
「うんうん…ちゃんと読めてるね〜」


ミュウスリーちゃんは、既に絵本を読む事も出来る様になっていた…
たった1時間でここまで出来るなんて…


白那
「うん、少し休憩しようか?」

ミュウスリー
「ンー…喉渇いた」

愛呂恵
「ジュースを持って来ました、よろしければどうぞ」


相変わらず完璧なタイミングでドアが開き、そこから愛呂恵さんが飲み物を持って来てくれていた。
いつもそうだけど、どうして解るのかな〜?

私は疑問に思うも、別に追及するつもりも無いので、すぐにそれを忘れて愛呂恵さんにこう礼を言った。


守連
「愛呂恵さんありがとう〜♪ はい、これミュウスリーちゃんの分」

ミュウスリー
「ありがと〜、愛呂恵、さん…んくっ、んくっ…美味しい〜♪」


ミュウスリーちゃんは、私と同じオレンジジュースを飲んで嬉しそうに笑った。
白那さんもニコニコしている、私たちは皆で笑いながら、休憩を楽しんだ。


愛呂恵
「それでは、そろそろ私は買い物に向かいます」
「冷蔵庫は配達をお願いするつもりですので、もし配送車が来ましたら、その時はよろしくお願いします」

守連
「はい、気を付けて行ってらっしゃい」

ミュウスリー
「行ってらっしゃ〜い」


ミュウスリーちゃんも真似してそう言う。
愛呂恵さんはそれを聞くと、丁寧に一礼して部屋を出た。
とりあえず、私たちはもう少し休憩する事に…



………………………



ミュウスリー
「………」

白那
「うん、もう簡単な漢字もマスターしたね」
「こりゃ、明日からは沢山ドリルを用意しなきゃダメだな…」

守連
「凄いね〜、ミュウスリーちゃん、もう漢字まで書けるの?」


ミュウスリーちゃんはうん…と頷き、漢字ドリルのページを見せてくれる。
そこには正確に機械の様な正確さで書かれた漢字が見られた。
うわぁ〜綺麗な字…私よりも綺麗かも。


白那
「やっぱり、元々ミュウツーって種族は頭の回転が違い過ぎるのかもね…」
「ましてや、この娘は常時メガ進化状態…その潜在能力は計り知れないな」

ミュウスリー
「ン〜? ワタシ、ミュウツーじゃなくて、ミュウスリー」

守連
「そうだけど、そうじゃないよ〜? ミュウスリーちゃんは、ミュウツーちゃんでもあるの」
「お姉ちゃんも同じミュウツーなんでしょ?」


ミュウスリーちゃんは?を浮かべながらも、何とか納得出来たのか、うん…と頷いた。
そして、ミュウスリーちゃんは何か色々考えていた様で、天井を見ながらゆらゆらと体を揺らしている。

たまにだけど、ミュウスリーちゃんが何を考えているか解らない時があるよね…
別に悪い事じゃ無いんだけど、少しだけ気になる時もある。


白那
「うん、午前はこの位にしようか…」

守連
「はい、ありがとうございました♪」

ミュウスリー
「ありがとう、ございました〜」


私たちがそう言って礼をすると、白那さんは笑いながら手を振ってから、一旦城に転移して戻った。
ミュウスリーちゃんは?を浮かべながらも、それには驚いている様だ。


ミュウスリー
「白那さん、エスパーなの?」

守連
「ううん、ドラゴンなんだよ〜♪」
「でも空間の神様で、ああやって自由に転移出来るの、凄いよね〜」


ミュウスリーちゃんは、お〜…と感心している様だった 。
ミュウスリーちゃん、まだ何も知らないだけなんだね…
勉強はあんなに得意なのに、それでも知らない事だらけ…だから、不安も反って多いのかも。


ピンポーン!!


守連
「あ、配送屋さんかな? ミュウスリーちゃん、一旦下に降りよ♪」

ミュウスリー
「ン…分かった」


私たちは下に降り、玄関を開けて確認した。
間違いなく、愛呂恵さんが頼んだ冷蔵庫だ。
こんなに早く着くなんて、凄いね〜


ミュウスリー
「…大きい」

守連
「だね〜、凄い大きい」


それは今まで見た事無い位、大きな冷蔵庫だった…前のより倍以上は大きい。
これなら、沢山食材が入るね〜


配達員
「これ、どこに設置しますか?」

守連
「あ、それじゃあ…あそこの隣に」


私はまだスペースのある空いてる場所を指差す。
そこは前の冷蔵庫がある場所でもあり、その隣にとりあえず並べて置いてもらう事にした。
同じ冷蔵庫だし、並んでた方が皆使いやすいはず。

後は配達員さんが複数人でそれを運び込み、設置が終わると1枚の紙を私に差し出す。


配達員
「それじゃ、こちらにサインお願いします!」

守連
「はい、ありがとうございます♪」


私は『魔更』と漢字でサインをし、配達員さんに礼を言った。
配達員さんは笑顔で、ありがとうございました!と元気に言って、外に出て行く。

ミュウスリーちゃんは新しく入った冷蔵庫を眺め、不思議そうにしていた。


ミュウスリー
「ン〜? これ、なぁに?」

守連
「冷蔵庫だよ〜♪ これに食べ物とか飲み物を入れておけるの」
「便利だよ〜? もうすぐ暑くなってくるから、ジュースとかアイスとかを冷やしておけるの♪」


ミュウスリーちゃんはそれを聞いて、おお〜!と感心していた。
そして、私は付属していた説明書をしっかりと読んでおく。
ミュウスリーちゃんにもそれを説明すると、ミュウスリーちゃんはすぐに理解した。

やっぱり、凄いね…家電の使い方もちゃんと教えたら、ちゃんと覚えるんだ。
私はこの際、家にある色んな物を教えてあげる事にした。
ミュウスリーちゃんはそれ等全てを真剣に学び、そして全てを学習していく。
やがて、お昼になって愛呂恵さんが帰って来る頃には、ほとんどの家電は使い方を覚えてくれていた。



………………………



愛呂恵
「遅くなって申し訳ありません…一気に食材を追加しましたので」

守連
「わぁ〜大変でしょ? 私も持ちます!」

ミュウスリー
「…ン、ワタシも手伝う」


ミュウスリーちゃんもそう言うと、愛呂恵さんが買って来た大量の買い物袋は突然宙に浮く。
そして、それを優しく冷蔵庫の前に運び、ゆっくりと床に下ろした。


守連
「ミュウスリーちゃん、ありがと〜♪ 偉い偉い♪」


私はミュウスリーちゃんの頭を撫で、誉めてあげる。
ミュウスリーちゃんは気持ち良さそうに目を細め、体をくねらせた。

だけど、それを見て愛呂恵さんは少し厳しい声でこう言う。


愛呂恵
「守連さん、確かに今のは助かりましたが、あまり不用意に誉めすぎるのはいけませんよ?」

守連
「え…?」


私は、予想外に愛呂恵さんから指摘され、狼狽えてしまう。
私がそのまま理解出来ないでいると、愛呂恵さんは静かにこう続けた。


愛呂恵
「もし、今のを外でやってしまっていたら、一目で彼女は異質だと、人間に思われてしまうでしょう」
「もちろん、ミュウスリーさんに悪気はありませんし、助かったのは事実」
「ですが…守連さんが親代わりとして、子供であるミュウスリーさんに物を教えるのであれば、ちゃんと人間社会の接し方も教えなければなりませんよ?」
「少なくとも、今のままではミュウスリーさんを迂闊に外に出す事は出来ませんね」


厳しいながらも、まさに正論だった…私は、そこまで考えてはいなかった。
でも、確かにその通りだ…私たちは人間じゃなくてあくまでポケモン。
人前で気軽に、人外の力を使うわけには、いかないのだから…


守連
「ゴメンね、ミュウスリーちゃん…今のは、絶対に外の人間に見せちゃダメだよ?」
「約束、お姉ちゃんと出来る?」


私は悲しい顔をして言い、ミュウスリーちゃんもそれを見て少し悲しい顔をした。
でも、ミュウスリーちゃんは、コクリと頷いてくれる。
私は笑顔で頭を撫でてあげた。
ミュウスリーちゃんはまた目を細めて、気持ち良さそうにする。
そして、私たちは冷蔵庫に大量の食材を詰めていった。



………………………



ミュウスリー
「ンー! 美味しい!」
「悠和のも美味しいかったけど、愛呂恵さんのはもっと美味しい!」

愛呂恵
「光栄です、とはいえ…まだまだ弟子に負けるわけにもいきませんので」

守連
「ハム…ん〜でも、和食だったら悠和ちゃん凄く美味しかったよね〜♪」

華澄
「確かに、悠和殿は和食を突き詰めていた様ですし、その道なら愛呂恵殿と同等以上かもしれませぬ」

愛呂恵
「成る程、確かに一芸に秀でた部分であれば、私を越える部分はあるかもしれませんね」


ちなみに今日の昼は定番のカレーライス。
とりあえず、大量に作りやすいという事で、これに決まったらしい。
相変わらず皆別々の好みの辛さに仕上がっており、抜群に美味しかった。


ミュウスリー
「アムッ! はふはふ!」

華澄
「ふふ…本当に幸せそうに食べますな、ミュウスリー殿は」

守連
「ハムム! うん、私も幸せ〜♪」

愛呂恵
「そう言われると、私も作り甲斐があります」
「お代わりもありますので、必要ならどうぞお気軽に」


私たちは超特盛のカレーをふたりでお代わりし、昼食は大満足だった。
そして、食事が終わるとミュウスリーちゃんは少しウトウトし始める。


守連
「あ、眠いんだね…? じゃあ、ちょっとお昼寝だね♪」

ミュウスリー
「す〜…」

華澄
「もう寝てしまわれましたな…」
「守連殿は部屋に戻るとよろしいでしょう、拙者が部屋で寝かせておくでござるよ」

守連
「うん、それじゃお願い華澄ちゃん」


私は華澄ちゃんにミュウスリーちゃんを任せ、自室に戻った。
時間はまだあるから、私も少し昼寝をしておこう…13時からまた授業だ。



………………………



華澄
「さて、ではこちらに…」

ミュウスリー
「す〜……す〜……」


拙者はミュウスリー殿を優しく布団に寝かせてあげた。
ミュウスリー殿は、安らかに寝息をたてておられる。
本当に見た目はそれなりに大人びて見えるのに、中身はまるで子供。
とはいえ、それもやむ無し…ミュウスリー殿は実質0歳なのだ。
ミュウスリー殿はこれから、色んな社会を知っていかねばなりませんな。


ミュウスリー
「…ン〜…さと、し…大、スキ」

華澄
「ふふ、聖殿はモテモテでござるな♪」


かくいう拙者も聖殿を愛する身…また、新たな好敵手の来訪でもござろう。
拙者はミュウスリー殿の側で、しばし頭を撫でてさしあげた。
ミュウスリー殿は、布団の中で幸せそうな顔をなされる。

拙者はそんなミュウスリー殿がとても愛おしく思えた。
もし娘が出来るなら、こんな感覚になるのでござろうか…?
拙者は想像する…もし、仮に聖様の子供を身籠ったなら、どんな気持ちなのだろうか?と。
きっと幸せなのでしょう…拙者は確信した。

ミュウスリー殿の顔を見れば、なおの事そう思う。
きっと、これが本当に自分の子供であれば、どれだけ幸せなのでしょうか…?



………………………



ミュウスリー
「…ン? ウー…」

華澄
「あ、目覚めたでござるな…よく、眠れたでござるか?」


ミュウスリー殿は、1時間程昼寝して目覚めた。
そして寝ぼけ眼で拙者の顔を見て、不思議そうに首を傾げる。
拙者は、そんなミュウスリー殿を笑顔で見ていた。


ミュウスリー
「ござる、どうした、の?」

華澄
「あ、はは…拙者はござると言う名前では無いでござる」
「拙者は、華澄…華澄で、ござる」

ミュウスリー
「かす、み? で、ござる?」

華澄
「はい、拙者は華澄…か、す、み…」

ミュウスリー
「か、す、み…華澄、うん…覚えた」


ミュウスリー殿は、すぐにそう言って拙者の名前を覚える。
やはり、ミュウスリー殿は学習能力がとても高い…
守連殿も驚いていましたが、ちゃんと教えてあげれば、すぐにでもミュウスリー殿は覚える能力がある様ですな。


華澄
「さてミュウスリー殿、これからどうするでござるか?」
「勉強するのでしたら、守連殿の部屋に連れて行くでござるが?」

ミュウスリー
「ン…勉強、する…聖、喜ぶ…ワタシ、もっと覚える…色んな事」


拙者はそれを聞き、笑ってミュウスリー殿の手を取って、そして守連殿の部屋に連れて行ってさしあげた。



………………………



トントン…


守連
『あ、空いてるよ〜? どうぞ〜』

ミュウスリー
「守連、お姉ちゃん…また、勉強したい」

守連
「あ、ミュウスリーちゃん…うん、良いよ〜♪」

白那
「ふふ、勉強熱心だね♪ これは先が楽しみだ…」

華澄
「では、拙者はこれで…もうしばし仮眠を取ります」


華澄ちゃんはそう言って礼をし、部屋を出て行った。
私はミュウスリーちゃんと一緒にまた勉強する。
ミュウスリーちゃんは、今度は算数を勉強していた。
そして、凄いスピードでそれを習得していく…
そのまま17時になるまでに、ミュウスリーちゃんは足し算、引き算、かけ算、割り算と全てをマスターしてしまった…



………………………




「そうか、そんなに頑張ったのか…偉いなミュウスリー♪」

ミュウスリー
「ン〜♪ 聖、嬉しいなら、ワタシも嬉しい♪ 聖、ご褒美くれる?」


俺はそう言うミュウスリーに、大きなケーキを見せてやった。
すると、ミュウスリーは目をキラキラと輝かせる。
俺は愛呂恵さんにそれを渡し、とりあえず冷蔵庫に入れてもらう事にした。

ミュウスリーはそれを見て、少し悲しそうな顔をする。


ミュウスリー
「ン〜? 食べられない、の…?」


「まだ、お預け…代わりに、ミュウスリーにはちゃんとした名前をあげるから、それで我慢してくれないか?」


ミュウスリーはそれを聞いて?を浮かべる。
自分にはミュウスリーと言う名前があるのに?とでも言いたげだな…

だけど、これはちゃんと必要な事だ。
これから家族として生きていくのだから、その為の名前は必ず必要になるのだから…



「これから、お前は『三海』(みうみ)だ…少し安直な付け方だけど、どうだ?」

ミュウスリー
「…ン〜、聖がそうしたいなら、ワタシはそれで良い…みうみ、ワタシの名前は、三海」


俺はそんな三海の頭を撫でてあげた。
すると、三海は幸せそうに目を細めて気持ち良さそうにする。
こうして、俺たちは正式に新たな家族を得た。
三海…この娘はきっと、俺たちの大切な家族になる。
俺はそう確信し、三海の笑顔を見て安らぐ
さぁ、これからどんな混沌が俺たちを巻き込むのか…?

不安も多いながら、それでも俺は諦めずに乗り越えると心に誓った。
そして、その先で救いを求める誰かがいるなら、絶対に助けてあげよう…とも。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第3章 『混沌だからって、悪意ばかりじゃない』

第1話 『新たな家族、その名は三海』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/22(月) 15:52 )